再表2018-66444IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年4月12日
【発行日】2019年6月24日
(54)【発明の名称】DC−DCコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/07 20060101AFI20190603BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20190603BHJP
【FI】
   H02M3/07
   H02M3/00 U
   H02M3/00 W
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
【出願番号】特願2018-543863(P2018-543863)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年9月28日
(11)【特許番号】特許第6521187号(P6521187)
(45)【特許公報発行日】2019年5月29日
(31)【優先権主張番号】特願2016-198464(P2016-198464)
(32)【優先日】2016年10月6日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-227590(P2016-227590)
(32)【優先日】2016年11月24日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 和則
(72)【発明者】
【氏名】田子 政成
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AA15
5H730AS05
5H730BB03
5H730BB13
5H730BB84
5H730BB88
5H730DD04
5H730EE13
(57)【要約】
DC−DCコンバータ(1)は、第1端子(101)側に接続された容量性電力変換器(10)と、インダクタ(L10)と、第2キャパシタ(C20)と、を有し、第2端子(201)側に接続された、LC回路(20)と、複数のスイッチ素子をスイッチングする制御回路(17)と、を備える。制御回路(17)は、容量性電力変換器(10)のキャパシタンス、LC回路(20)のキャパシタンスおよびインダクタンスにより定まる共振周波数以上のスイッチング周波数でスイッチングを行い、第1端子(101)に入力された直流電圧(Vin)を降圧して第2端子(201)から直流電圧(Vout)として出力する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部と、出力部と、複数の第1キャパシタと、複数のスイッチ素子と、前記複数のスイッチ素子をスイッチング制御する制御回路とを有し、前記複数のスイッチ素子を切り替えて前記複数の第1キャパシタを充放電することで前記入力部から入力された入力電圧を降圧変換して前記出力部へ出力電圧を出力する容量性電力変換器と、
前記出力部に設けられ、インダクタと第2キャパシタとを有するLC回路と、を備え、
前記容量性電力変換器は、前記複数のスイッチ素子の接続状態によって、少なくとも第1接続状態と第2接続状態とを有し、
前記制御回路は、
前記第1接続状態において、前記容量性電力変換器のキャパシタンス、前記LC回路のキャパシタンスおよびインダクタンスにより定まる第1の共振周波数以上のスイッチング周波数で動作するように制御し、
前記第2接続状態において、前記容量性電力変換器のキャパシタンス、前記LC回路のキャパシタンスおよびインダクタンスにより定まる第2の共振周波数以上のスイッチング周波数で動作するように制御する、
DC−DCコンバータ。
【請求項2】
入力部と、出力部と、複数の第1キャパシタと、複数のスイッチ素子と、前記複数のスイッチ素子をスイッチング制御する制御回路とを有し、前記複数のスイッチ素子を切り替えて前記複数の第1キャパシタを充放電することで前記入力部から入力された入力電圧を昇圧変換して前記出力部へ出力電圧を出力する容量性電力変換器と、
前記入力部に設けられ、インダクタと第2キャパシタとを有するLC回路と、を備え、
前記容量性電力変換器は、前記複数のスイッチ素子の接続状態によって、少なくとも第1接続状態と第2接続状態とを有し、
前記制御回路は、
前記第1接続状態において、前記容量性電力変換器のキャパシタンス、前記LC回路のキャパシタンスおよびインダクタンスにより定まる第1の共振周波数以上のスイッチング周波数で動作するように制御し、
前記第2接続状態において、前記容量性電力変換器のキャパシタンス、前記LC回路のキャパシタンスおよびインダクタンスにより定まる第2の共振周波数以上のスイッチング周波数で動作するように制御する、
DC−DCコンバータ。
【請求項3】
複数の第1キャパシタと、複数のスイッチ素子と、前記複数のスイッチ素子をスイッチング制御する制御回路とを有し、前記複数のスイッチ素子を切り替えて前記複数の第1キャパシタを充放電することで電圧を昇降圧する容量性電力変換器と、
一方端と他方端とを有し、前記一方端が前記容量性電力変換器に接続されるインダクタと、前記インダクタの前記他方端に接続される第2キャパシタとを有するLC回路、を備え、
前記容量性電力変換器は、電力変換のための少なくとも第1接続状態と第2接続状態とを有し、入力電圧を出力電圧に変換するように前記制御回路により制御され、
前記第1接続状態において、前記第1接続状態の期間は、前記容量性電力変換器のキャパシタンス、前記LC回路のキャパシタンスおよびインダクタンスにより定まる第1の共振周波数の逆数の半分より短く、
前記第2接続状態において、前記第2接続状態の期間は、前記容量性電力変換器のキャパシタンス、前記LC回路のキャパシタンスおよびインダクタンスにより定まる第2の共振周波数の逆数の半分より短い、
DC−DCコンバータ。
【請求項4】
前記容量性電力変換器の後段に接続され、前記インダクタおよび前記第2キャパシタを含む誘導性降圧コンバータを備える、
請求項1または3に記載のDC−DCコンバータ。
【請求項5】
前記容量性電力変換器の前段に接続され、前記インダクタおよび前記第2キャパシタを含む誘導性昇圧コンバータを備える、
請求項2または3に記載のDC−DCコンバータ。
【請求項6】
前記LC回路は、前記容量性電力変換器の低電圧側の端子に接続される、
請求項1から5のいずれかに記載のDC−DCコンバータ。
【請求項7】
前記制御回路は、負荷変動に応じて、前記第1接続状態の期間と前記第2接続状態の期間の切り替えを制御する、
請求項1から3のいずれかに記載のDC−DCコンバータ。
【請求項8】
前記第1の共振周波数は、前記第2の共振周波数と等しい、
請求項1から7のいずれかに記載のDC−DCコンバータ。
【請求項9】
前記容量性電力変換器は、前記入力電圧と前記出力電圧が整数倍の関係となる、
請求項1から8のいずれかに記載のDC−DCコンバータ。
【請求項10】
前記容量性電力変換器は回路基板に構成され、
前記インダクタは前記回路基板に形成された導体パターンからなる、
請求項1から9のいずれかに記載のDC−DCコンバータ。
【請求項11】
前記第1接続状態と前記第2接続状態のオン時間は等しい、
請求項1から10のいずれかに記載のDC−DCコンバータ。
【請求項12】
前記容量性電力変換器は、等価な第1容量性電力変換器および第2容量性電力変換器で構成され、
前記制御回路は、前記第1容量性電力変換器と前記第2容量性電力変換器をインターリーブ制御する、
請求項1から11のいずれかに記載のDC−DCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量性電力変換器を備えたDC−DCコンバータ
【背景技術】
【0002】
スイッチトキャパシタ回路やチャージポンプ回路とも称される容量性電力変換器を備えたDC−DCコンバータは、トランスなどの誘導性素子が不要となることから、小型化が比較的容易である。そのため、小型・小電力用途の電源装置に適しているといえる。
【0003】
容量性電力変換器を備えたDC−DCコンバータとしては、例えば非特許文献1が開示されている。非特許文献1に記載のDC−DCコンバータは、インダクタを有していない。
【0004】
一方、特許文献1には、容量性電力変換器を備えたDC−ACコンバータが記載されている。特許文献1には、インダクタとキャパシタとの共振を利用して、入力された直流電圧を正弦波状の交流電圧に変換して出力することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−116679号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】VincentWai-Shan Ng and Seth R. Sanders;"Switched Capacitor DC-DC Converter:Superior where the Buck Converter has Dominated"; EECS Department Universityof California, Berkeley Technical Report No. UCB/EECS-2011-94 August 17, 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
小電力の用途では、DC−DCコンバータの電力変換効率に起因する発熱が問題となることは少ない。また、集積回路技術の進歩により、小電力の領域では、小型化が比較的容易な容量性電力変換器を備えたDC−DCコンバータが普及しつつある。
【0008】
一方、大電力の用途では、従来、トランスやコイルを備えたDC−DCコンバータが用いられている。
【0009】
近年、チップコンデンサの大容量化が進み、容量性電力変換器を備えたDC−DCコンバータにおいても、従来よりも大電力を扱うことが可能となった。そのため、今後、容量性電力変換器を備えたDC−DCコンバータにおいても、電力変換効率を高めるための取り組みが必要となりつつある。つまり、容量性電力変換器を用いて、例えば数百mW以上の電力を変換しようとする場合、発熱を考慮して電力変換効率を高めることも必要になる。
【0010】
一方、容量性電力変換器を用いて数百mW以上の電力を変換しようとする場合、容量性の電力変換器であるがゆえに大きなピーク電流が発生し、この大きなピーク電流による損失の軽減や、電力変換器のキャパシタンスと当該電力変換器が有する寄生インダクタンスとの共振現象により生じる損失を低減することが必要になることを本願の発明者等は見出した。
【0011】
そこで本発明の目的は、小型化を図りながら電力変換効率を改善した容量性電力変換器を備えたDC−DCコンバータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明のDC−DCコンバータは、入力部と、出力部と、複数の第1キャパシタと、複数のスイッチ素子と、複数のスイッチ素子をスイッチング制御する制御回路とを有し、複数のスイッチ素子を切り替えて複数の第1キャパシタを充放電することで入力部から入力された入力電圧を降圧変換して出力部へ出力電圧を出力する容量性電力変換器と、出力部に設けられ、インダクタと第2キャパシタとを有するLC回路と、を備え、容量性電力変換器は、複数のスイッチ素子の接続状態によって、少なくとも第1接続状態と第2接続状態とを有し、制御回路は、第1接続状態において、容量性電力変換器のキャパシタンス、LC回路のキャパシタンスおよびインダクタンスにより定まる第1の共振周波数以上のスイッチング周波数で動作するように制御し、第2接続状態において、容量性電力変換器のキャパシタンス、LC回路のキャパシタンスおよびインダクタンスにより定まる第2の共振周波数以上のスイッチング周波数で動作するように制御する。
【0013】
(2)本発明のDC−DCコンバータは、入力部と、出力部と、複数の第1キャパシタと、複数のスイッチ素子と、複数のスイッチ素子をスイッチング制御する制御回路とを有し、複数のスイッチ素子を切り替えて複数の第1キャパシタを充放電することで入力部から入力された入力電圧を昇圧変換して出力部へ出力電圧を出力する容量性電力変換器と、入力部に設けられ、インダクタと第2キャパシタとを有するLC回路と、を備え、容量性電力変換器は、複数のスイッチ素子の接続状態によって、少なくとも第1接続状態と第2接続状態とを有し、制御回路は、第1接続状態において、容量性電力変換器のキャパシタンス、LC回路のキャパシタンスおよびインダクタンスにより定まる第1の共振周波数以上のスイッチング周波数で動作するように制御し、第2接続状態において、容量性電力変換器のキャパシタンス、LC回路のキャパシタンスおよびインダクタンスにより定まる第2の共振周波数以上のスイッチング周波数で動作するように制御する。
【0014】
(3)本発明のDC−DCコンバータは、複数の第1キャパシタと、複数のスイッチ素子と、複数のスイッチ素子をスイッチング制御する制御回路とを有し、複数のスイッチ素子を切り替えて複数の第1キャパシタを充放電することで電圧を昇降圧する容量性電力変換器と、一方端と他方端とを有し、一方端が容量性電力変換器に接続されるインダクタと、インダクタの他方端に接続される第2キャパシタとを有するLC回路、を備え、容量性電力変換器は、電力変換のための少なくとも第1接続状態と第2接続状態とを有し、入力電圧を出力電圧に変換するように制御回路により制御され、第1接続状態において、第1接続状態の期間は、容量性電力変換器のキャパシタンス、LC回路のキャパシタンスおよびインダクタンスにより定まる第1の共振周波数の逆数の半分より短く、第2接続状態において、第2接続状態の期間は、容量性電力変換器のキャパシタンス、LC回路のキャパシタンスおよびインダクタンスにより定まる第2の共振周波数の逆数の半分より短い。
【0015】
(1)(2)(3)に記載のいずれの構成でも、LC回路のインダクタンスによって容量性電力変換器から発生する大きなピーク電流による損失が軽減される。さらに、スイッチング動作を行うことで、容量性電力変換器のキャパシタンス、LC回路のキャパシタンスおよびインダクタンスにより生じる共振現象による逆電流の発生が抑制される。よって、電力変換効率が改善される。
【0016】
(4)容量性電力変換器の後段には、インダクタおよび第2キャパシタを含む誘導性降圧コンバータが接続されてもよい。この構成によれば、容量性電力変換器の電圧変換比の一部を降圧コンバータが担うことにより、容量性電力変換器の負荷を減らすことができ、結果的により高い電圧変換比で高効率の電力変換を行うことができる。
【0017】
(5)容量性電力変換器の前段には、インダクタおよび第2キャパシタを含む誘導性昇圧コンバータが接続されてもよい。この構成によれば、昇圧コンバータを併用することで、容量性電力変換器の電圧変換比の一部を昇圧コンバータが担うことにより、容量性電力変換器の負担を減らすことができ、結果的により高い電圧変換比で高効率の電力変換を行うことができる。
【0018】
(6)LC回路は、前記容量性電力変換器の低電圧側の端子に接続されることが好ましい。
【0019】
(7)制御回路は、負荷変動に応じて、第1接続状態の期間と第2接続状態の期間の切り替えを制御することが好ましい。この構成によれば、負荷変動が生じた場合でも高い電力変換効率が維持される。
【0020】
(8)第1の共振周波数は、第2の共振周波数と等しいことが好ましい。この構成によれば、第1接続状態と第2接続状態のいずれにおいても電力変換効率が改善される。
【0021】
(9)容量性電力変換器は、入力電圧と出力電圧が整数倍の関係となることが好ましい。
【0022】
(10)容量性電力変換器は回路基板に構成され、インダクタは回路基板に形成された導体パターンからなることが好ましい。この構成によれば、インダクタのコストを削減しつつ、低背化が容易になる。
【0023】
(11)第1接続状態と第2接続状態のオン時間は等しいことが好ましい。この構成では、スイッチング周波数の最適値が定まりやすい。
【0024】
(12)制御回路は、等価な第1容量性電力変換器および第2容量性電力変換器をインターリーブ制御することが好ましい。
【0025】
この構成では、インターリーブ制御を行うことで、ピーク電流をさらに抑えることができ、さらに等価的なスイッチング周波数が2倍になり、出力リップル電圧を抑えることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、容量性電力変換器のキャパシタンス、LC回路のキャパシタンスおよびインダクタンスにより定まる共振周波数以上のスイッチング周波数でスイッチングを行うことで、損失が軽減されるとともに、電力変換効率が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、第1のDC−DCコンバータ1のブロック図である。
【図2】図2は、第1のDC−DCコンバータ1の回路図である。
【図3】図3(A)、図3(B)、図3(C)は、図2に示す回路が第1接続状態のときの回路図である。
【図4】図4は、DC−DCコンバータにおける共振回路を示す図である。
【図5】図5は、第1の別のDC−DCコンバータの回路図である。
【図6】図6は、DC−DCコンバータにおける、共振周波数とスイッチング周期とスイッチング電流との関係を示す波形図である。
【図7】図7は、DC−DCコンバータにおける、第1接続状態の期間および第2接続状態の期間とスイッチング電流との関係を示す波形図である。
【図8】図8(A),図8(B),図8(C),図8(D),図8(E)は、DC−DCコンバータにおける、第1接続状態の期間と第2接続状態の期間の関係を示すタイムチャートである。
【図9】図9は、第2のDC−DCコンバータ2のブロック図である。
【図10】図10は、第3のDC−DCコンバータ3のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以降、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各図中には同一箇所に同一符号を付している。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態を分けて示すが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能である。第2の実施形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0029】
《第1の実施形態》
図1はDC−DCコンバータ1のブロック図である。DC−DCコンバータ1は、容量性電力変換器10、LC回路20および制御回路17を備える。LC回路20は、インダクタL10とキャパシタC20とで構成される。本実施形態では、LC回路20は容量性電力変換器10の出力部に接続される。キャパシタC20は本発明における「第2キャパシタ」に相当する。
【0030】
DC−DCコンバータ1は、第1端子101に接続される入力電源の直流電圧Vinを直流電圧Voutに降圧して負荷RLに供給する。DC−DCコンバータ1には入力電流Iinが入力され、負荷RLへ出力電流Ioutが出力される。
【0031】
図2はDC−DCコンバータ1の回路図の一例である。容量性電力変換器10は、並列接続された第1容量性電力変換器11と、第2容量性電力変換器12とを備える。第1容量性電力変換器11と第2容量性電力変換器12の構成は同じである。第1容量性電力変換器11には、複数の第1キャパシタC10,C11,C12,C13および複数のスイッチ素子S111,S112,S113,S114,S115,S116,S117が配されている。第2容量性電力変換器12には、複数の第1キャパシタC10,C11,C12,C13および複数のスイッチ素子S121,S122,S123,S124,S125,S126,S127が配されている。
【0032】
容量性電力変換器10は、集積回路やチップ部品などのデバイスが回路基板などに実装されてなる。インダクタL10とキャパシタC20は、例えばそれぞれ回路基板に実装された個別のチップ部品である。第1キャパシタC1,C11,C12,C13およびキャパシタC20は、例えば回路基板に実装されたセラミックコンデンサである。この構成では、大容量のセラミックコンデンサによって実装面積を抑えることが容易となる。
【0033】
制御回路17は、第1容量性電力変換器11および第2容量性電力変換器12をインターリーブ制御する。図2に示す例では、スイッチ素子S111,S114,S115,S116,S122,S123,S127がON状態であり、且つ、スイッチ素子S112,S113,S117,S121,S124,S125,S126がOFF状態のときを第1接続状態Φ1とする。また、スイッチ素子S111,S114,S115,S116,S122,S123,S127がOFF状態であり、且つ、スイッチ素子S112,S113,S117,S121,S124,S125,S126がON状態のときを第2接続状態Φ2とする。
【0034】
また、スイッチ素子全てをOFF状態とし、貫通電流などの好ましくない電力消費を回避するための第3の接続状態を設け、この第3状態を、第1接続状態から第2接続状態へ遷移する際の、または第2接続状態から第1接続状態へ遷移する際の、中間状態として利用することもできる。本実施形態では説明の簡略化のために第3の接続状態は省略して説明する。
【0035】
図3(A)は、図2に示す回路が第1接続状態Φ1のときの回路図である。
【0036】
図3(B)は、図3(A)に示す回路において、電源のインピーダンスが高く(無視できない或る値を有していて)、キャパシタC10,C11のキャパシタンスをそれぞれC10,C11で表すとき、C10>>C11ではない場合の回路図である。
【0037】
図3(C)は、図3(A)に示す回路において、電源のインピーダンスが十分に低い場合の回路図である。また、図3(C)は、キャパシタC10のキャパシタンスがキャパシタC11のキャパシタンスより充分に大きい場合(C10>>C11である場合)の回路図でもある。つまり、電源のインピーダンスが無視できない或る値であっても、C10>>C11であれば、キャパシタC10は電源のインピーダンスを実質的に見えなくするので、等価的に図3(C)に示す回路で表される。
【0038】
なお、図3(B)、図3(C)においては、各スイッチ素子のオン抵抗RONは無視できるほど小さい値であるものとしている。
【0039】
図4は、図3(B)または図3(C)に示す回路をさらに合成した回路図である。この図4に示すように、容量性電力変換器10とLC回路20とによって、インダクタL10の入力端に合成キャパシタCINが配され、インダクタL10の出力端にキャパシタCOUTが配されるLC共振回路が構成される。このLC共振回路に共振電流Ihが流れる。
【0040】
電源のインピーダンスが高く且つキャパシタC10のキャパシタンスが小さい(C10>>C11でない)場合、すなわち等価的に図3(B)で表せる場合の合成キャパシタCINのキャパシタンスCinは次式で表される。
【0041】
【数1】
【0042】
また、電源のインピーダンスが十分に低い理想的な電源である場合、または、電源のインピーダンスが無視できない或る値であっても、C10>>C11である場合、すなわち図3(C)で表せる場合の合成キャパシタCINのキャパシタンスCinは次式で表される。
【0043】
【数2】
【0044】
また、図4に示す共振回路の共振周波数Fhは次式で求められる。
【0045】
【数3】
【0046】
なお、理解の容易性を考慮して、第1容量性電力変換器11と第2容量性電力変換器12とを独立した回路で表したが、並列接続されるキャパシタ(二重に接続されるキャパシタ)は単一のキャパシタで構成することができる。例えば、キャパシタC10,C10やキャパシタC13,C13はそれぞれ単一化できる。また、スイッチについても同様に、二重関係にあるスイッチは共用化できる。これらのことで部品点数を削減できる。
【0047】
図5は、DC−DCコンバータ1の回路図の一例であり、回路を完全に二重構成にしなくても、インターリーブ動作が可能であることを示している。つまり、第1キャパシタC10は入力コンデンサとして共有している。第1キャパシタC13は出力コンデンサとして共有している。スイッチ素子S112,S114,S115,S117は、正負のパルスを生成しているので、それらスイッチ素子の接続順番を見直すことで共有が可能である。
【0048】
図6は、DC−DCコンバータ1における、共振周波数Fhとスイッチング周期Tとスイッチング電流Isとの関係を示す波形図である。ここでは、第1接続状態Φ1の期間T1と、第2接続状態Φ2の期間T2の合計値をスイッチング周期Tとしている。
【0049】
スイッチング周波数Fsはスイッチング周期Tの逆数である。全てのスイッチをオフさせるブランクタイムなどを考慮しない場合、T=T1+T2となり、Fs=1/Tが成立する。説明を簡略化するために、この条件にて説明を行う。図6中のスイッチング電流Isは、スイッチ素子S111を流れる電流波形を模擬している。ここでは出力に向かう方向を正としている。
【0050】
容量性電力変換器10から容量性または抵抗性の負荷RLに電力伝送を行う場合、共振周波数Fhはスイッチング周波数Fsよりも非常に高くなり(Fh>>Fs)、図6に示すように、非常に大きなピーク電流が発生するため、損失が大きくなる。一方、第2端子201側にインダクタL10を接続すると誘導性の性質が現れて、共振周波数Fhはスイッチング周波数Fsよりもやや高い状態となり(Fh>Fs)、図6に示すように、スイッチング電流Isは負極性に振れる期間が生じる。また、インダクタL10のインダクタンスを大きくすると、共振周波数Fhはスイッチング周波数Fsよりも低くなり(Fh<Fs)、図6に示すように、スイッチング電流Isには負電流期間が生じず、非常に小さい値で推移する。
【0051】
容量性電力変換器の出力電流は、各スイッチを流れる合計電流であり、当該合計電流の平均値により求まる。図6における3条件に関して、DC−DCコンバータの総出力電流が全てIoutであるとき、スイッチ素子S111の電流を示している各波形の平均電流値は、おおよそIoutの6分の1となる。そのため、図6における電流波形が負に振れた場合、つまり逆方向電流が流れ場合は、第1接続状態Φ1の期間T1内において、同等の正方向電流を補う必要が生じる。そのため、スイッチを流れる電流の絶対値が増加し、スイッチの熱損失も増加することになり、結果的に効率が低下してしまう。
【0052】
LC共振現象による電流は、本実施形態の回路構成によれば、インダクタを流れる電流を観測することで効果的に確認することができる。その波形の例を図7に示す。図7において、各波形の平均電流値は、DC−DCコンバータの出力電流に等しい。一方、共振周波数Fhとスイッチング周波数Fsとの関係により、図6と同様に、各波形はそれぞれ異なる形状や波高値を持つ。
【0053】
共振周波数Fhの逆数である共振周期Thは、特に第1接続状態Φ1の期間T1が共振周波数Fhの逆数である共振周期Thの半分より大きい、T1>Th/2となる条件下では、電流が逆方向に流れる区間が存在する。本構成では電力伝送として2つの接続状態が備えられているため、第1接続状態Φ1の期間T1が共振周波数Fhの逆数である共振周期Thの半分より小さい、T1<Th/2となる条件を満たす必要がある。また、第2接続状態Φ2の期間T2が共振周波数Fhの逆数である共振周期Thの半分より小さい、T2<Th/2となる条件を満たす必要がある。なお、デッドタイムなどの非接続状態においてはその限りではない。
【0054】
上述の通り、共振周波数Fhがスイッチング周波数Fsよりも高い場合、逆方向電流および順方向電流によってスイッチ素子を通過する電流量が増え、損失が増大する。スイッチ素子の熱損失PLSはスイッチのオン抵抗RONに、スイッチ素子に流れる電流Isの2乗を乗じた値を時間積分したものである。つまり、電流のピークを単純にフィルタ等で軽減すればよいというわけではない。インダクタを設けたために、または寄生インダクタンスにより、損失が増大するケースも生じ得る。本共振周波数Fhの算定に基づき、スイッチ素子のオン時間TONを適切に制御することによって、電力変換効率を高めることができる。
【0055】
そのため、本実施形態では、制御回路17は、容量性電力変換器10のキャパシタンス、LC回路20のキャパシタンスおよびインダクタンスにより定まる共振周波数Fh以上のスイッチング周波数Fsでスイッチングを行う構成となっている。言い換えれば、オン周期TNが、共振周期Thの半分のTh/2以下となるスイッチング周期でスイッチングをおこなう。ここで、Nは容量性電力変換器の接続状態を示す整数であり、この例でTNは、T1またはT2である。
【0056】
スイッチング周波数Fsが共振周波数Fhよりも低い場合、逆方向電流が流れることに伴って、それと同等の順方向電流が流れることとなり、電力変換効率は低下する。スイッチング周波数Fsが共振周波数Fh以上である場合、逆方向電流が流れず、電力変換効率は改善される。こちらも同様に時間軸に置き換えるならば、スイッチング周期Tが共振周期Thの半分よりも短ければ効率が最大限に改善されるといえる。
【0057】
図8(A),図8(B),図8(C),図8(D),図8(E)は、DC−DCコンバータ1における、第1接続状態Φ1の期間と第2接続状態Φ2の期間の関係の例を示すタイムチャートである。図8(A)は、第1接続状態Φ1の期間と第2接続状態Φ2の期間とが等しく、且つ、スイッチング周期Tが第1接続状態Φ1の期間と第2接続状態Φ2の期間との合計値である例である。つまり、スイッチングのデューティ比は0.5である。この場合、スイッチング周波数Fsは共振周波数Fhより高い。一方、図8(B),図8(C),図8(D)に示すように、デッドタイムなどのブランク時間を挿入し、オンデューティを50%より少ない値にすることも可能である。この場合は前述のとおり、スイッチング周期Tは共振周期Thの半分より短い。
【0058】
DC−DCコンバータの負荷条件に応じて、スイッチング周波数を変動させることで効率を改善させる手段は、誘導性スイッチングレギュレータでは一般的に用いられている。本実施形態でも、例えば負荷が軽い状態において、スイッチング周波数を低減することで、スイッチ駆動にかかる損失を低減させ、効率を向上させることができる。このような場合においても、スイッチング周期と共振周期とを上述の関係に保つことが重要である。
【0059】
以外の方法としては、図8(E)のように、第1接続状態Φ1の期間と第2接続状態Φ2の期間をそれぞれ大きくすることで、スイッチングのデューティ比を0.5に保ったまま、スイッチング周期を大きくする方法がある。この制御方法は、スイッチング周波数Fsと共振周波数Fhとの関係が維持できている範囲内で実行可能である。
【0060】
《第2の実施形態》
図9は第2のDC−DCコンバータ2のブロック図である。本実施形態では、LC回路20は容量性電力変換器10の入力部に接続される。DC−DCコンバータ2は、第2端子201に接続される入力電源の直流電圧Vinを直流電圧Voutに昇圧して負荷RLに供給する。DC−DCコンバータ2には入力電流Iinが入力され、負荷RLへ出力電流Ioutが出力される。
【0061】
容量性電力変換器10には、図2に示した回路と同じ回路を用いることができる。但し、図2に示した容量性電力変換器10の入力と出力の関係は逆にして用いる。
【0062】
《第3の実施形態》
図10は第3のDC−DCコンバータ3のブロック図である。本実施形態では、誘導性降圧コンバータ30が容量性電力変換器10の後段に接続される。LC回路20は誘導性降圧コンバータ30に含まれるインダクタおよびキャパシタで構成される。
【0063】
誘導性降圧コンバータ30は、整流スイッチ素子Q11と、転流スイッチ素子Q12と、インダクタL10と、キャパシタC20と、ドライバ31とを有する。整流スイッチ素子Q11はp型MOS−FETである。転流スイッチ素子Q12はn型MOS−FETである。ドライバ31は、整流スイッチ素子Q11と転流スイッチ素子Q12とを交互にスイッチングする。なお、この降圧コンバータ30は、複数並列に接続してインターリーブ動作させてもよい。
【0064】
《他の実施形態》
図10では、誘導性降圧コンバータ30が容量性電力変換器10の後段に接続された例を示したが、誘導性昇圧コンバータが容量性電力変換器10の前段に接続されてもよい。すなわち、図9に示したDC−DCコンバータ2において、誘導性昇圧コンバータを容量性電力変換器10の前段に接続する。この場合、LC回路20は誘導性昇圧コンバータに含まれるインダクタおよびキャパシタで構成してもよい。
【0065】
また、各実施形態では2つのディクソン型回路を並列接続してインターリーブ駆動する例を説明したが、単一のシリーズパラレルチャージポンプ回路を用いることができる。また、単相や二相以外に、多相(マルチフェーズ)の容量性電力変換器を構成することも可能である。
【0066】
以上の各実施形態で示したDC−DCコンバータでは、説明の簡便さから、LC回路20を構成するインダクタおよびキャパシタがひとつずつ配されている例を説明したが、複数のインダクタおよび複数のキャパシタを用いてもよい。また、チップ部品が実装された回路基板からなる容量性電力変換器10の例を説明したが、容量性電力変換器10を構成するキャパシタの一部または全部が多層基板に内装されていてもよい。
【0067】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。例えば、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
1,2,3…DC−DCコンバータ
10…容量性電力変換器
11…第1容量性電力変換器
12…第2容量性電力変換器
20…LC回路
101…第1端子
201…第2端子
C10,C11,C12,C13…第1キャパシタ
C20…第2キャパシタ
L10…インダクタ
S111,S112,S113,S114,S115,S116,S117,S121,S122,S123,S124,S125,S126,S127…スイッチ素子
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】

【手続補正書】
【提出日】2019年2月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
容量性電力変換器10は、集積回路やチップ部品などのデバイスが回路基板などに実装されてなる。インダクタL10とキャパシタC20は、例えばそれぞれ回路基板に実装された個別のチップ部品である。第1キャパシタC10,C11,C12,C13およびキャパシタC20は、例えば回路基板に実装されたセラミックコンデンサである。この構成では、大容量のセラミックコンデンサによって実装面積を抑えることが容易となる。
【国際調査報告】

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