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再表2019-116871車両並びにその制御システム及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年6月20日
【発行日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】車両並びにその制御システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20201127BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20201127BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20201127BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20201127BHJP
【FI】
   G08G1/16
   B60W60/00
   B60W40/02
   B60W50/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】特願2019-559525(P2019-559525)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年11月26日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2017/044660
(32)【優先日】2017年12月13日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100166648
【弁理士】
【氏名又は名称】鎗田 伸宜
(74)【代理人】
【識別番号】100161399
【弁理士】
【氏名又は名称】大戸 隆広
(72)【発明者】
【氏名】向井 拓幸
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA29
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB01Z
3D241DB12Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
(57)【要約】
外界認識装置群(31A、31B、32A及び32B)及びアクチュエータ群(41A、41B、42A、42B及び50)を有する車両(V)の制御システム(V)は、外界認識装置群の認識結果に基づいてアクチュエータ群を制御することによって自動運転又は走行支援を行う走行制御部(20A、21B)と、アクチュエータ群の制御結果として外界認識装置群による物標(501)の検出状況を監視する監視部(20A、21B)とを備える。監視部は、物標の検出状況に基づいて自動運転又は走行支援の継続可否を判定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外界認識装置群及びアクチュエータ群を有する車両の制御システムであって、
前記外界認識装置群の認識結果に基づいて前記アクチュエータ群を制御することによって自動運転又は走行支援を行う走行制御手段と、
前記アクチュエータ群の制御結果として前記外界認識装置群による物標の検出状況を監視する監視手段とを備え、
前記監視手段は、前記物標の検出状況に基づいて自動運転又は走行支援の継続可否を判定することを特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記監視手段が自動運転又は走行支援の継続が不能であると判定した場合に、前記走行制御手段は、自動運転又は走行支援を終了するための処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記処理は、前記車両の運転者に運転交代を要求することと、運転交代が行われない場合に代替制御を行うこととを含むことを特徴とする請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記監視手段は、第1監視手段であり、
前記制御システムは、前記走行制御手段による代替制御の実行中に、前記走行制御手段へ入力された入力情報と、前記走行制御手段から出力された出力情報とを監視する第2監視手段を更に備え、
前記第2監視手段は、前記入力情報及び前記出力情報に基づいて、前記走行制御手段による前記代替制御の実行を抑制することを特徴とする請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記走行制御手段は、前記車両と前記物標との距離が第1閾値以下となった場合に、当該距離を拡大するように前記アクチュエータ群を制御し、
前記監視手段は、前記車両と前記物標との距離が前記第1閾値よりも小さい第2閾値以下となった場合に自動運転又は走行支援の継続が不能であると判定することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の制御システム。
【請求項6】
前記監視手段は、前記車両と前記物標との距離を周期的に検出することを特徴とする請求項5に記載の制御システム。
【請求項7】
前記監視手段は、前記車両と前記物標との距離を周期的に検出し、
前記走行制御手段は、前記車両と前記物標との距離が第1閾値以下となった後に、前記距離が減少傾向である場合に自動運転又は走行支援の継続が不能であると判定することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記監視手段は、前記車両を中心とし前記車両を含む自車マージンと、前記物標を中心とし前記物標を含む物標マージンとを設定し、前記自車マージンと前記物標マージンとの距離又は干渉度合いに基づいて前記継続可否を判定することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記監視手段は、動作状態及び種別に応じた大きさとなるように前記自車マージン又は前記物標マージンを設定することを特徴とする請求項8に記載の制御システム。
【請求項10】
前記監視手段は、前記走行制御手段によって作成された軌道に依存せずに前記継続可否を判定することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の制御システム。
【請求項11】
前記監視手段は、前記車両の進行方向又は可動方向に位置する物標を監視対象とすることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の制御システム。
【請求項12】
前記走行制御手段は運転者に周辺監視義務がある第1状態と運転者に周辺監視義務がない第2状態とで動作可能であり、
前記監視手段は、前記第1状態において前記継続可否を判定せず、前記第2状態において前記継続可否を判定することを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の制御システム。
【請求項13】
前記走行制御手段は、前記第1状態において車線変更を行うように動作し、前記第2状態において車線変更を行わないように動作し、
前記第2状態における前記走行制御手段による車速の上限は、前記第1状態における前記走行制御手段による車速の上限よりも低いことを特徴とする請求項12に記載の制御システム。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか1項に記載の制御システムと、
前記外界認識装置群と、
前記アクチュエータ群と
を備える車両。
【請求項15】
外界認識装置群及びアクチュエータ群を有する車両の制御方法であって、
前記外界認識装置群の認識結果に基づいて前記アクチュエータ群を制御することによって自動運転又は走行支援を行う走行制御工程と、
前記アクチュエータ群の制御結果として前記外界認識装置群による物標の検出状況を監視する監視工程と、
前記物標の検出状況に基づいて自動運転又は走行支援の継続可否を判定する判定工程と
を有する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両並びにその制御システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の自動運転を実現するための様々な技術が提案されている。特許文献1には、自動運転制御装置による各種制御が正常に作動しているか否かを監視するために監視装置が設けられている。監視装置は、自身の制御演算結果と、自動運転制御装置による制御演算結果とを比較して、両者が一致しない場合には、自動運転制御装置による自動制御機能を強制的に解除させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/080452号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1の監視装置により自動制御機能が正常に動作していると判定された場合であっても、車両の実挙動が正常でない場合がありうる。本発明の一部の側面は、車両の走行制御機能の低下を精度よく判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一部の実施形態によれば、外界認識装置群及びアクチュエータ群を有する車両の制御システムであって、前記外界認識装置群の認識結果に基づいて前記アクチュエータ群を制御することによって自動運転又は走行支援を行う走行制御手段と、前記アクチュエータ群の制御結果として前記外界認識装置群による物標の検出状況を監視する監視手段とを備え、前記監視手段は、前記物標の検出状況に基づいて自動運転又は走行支援の継続可否を判定することを特徴とする制御システムが提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両の走行制御機能の低下を精度よく判定できる。
【0007】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。添付図面において、同じ又は同様の構成に同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1】実施形態に係る車両用制御システムのブロック図。
図2】実施形態に係る車両用制御システムのブロック図。
図3】実施形態に係る車両用制御システムのブロック図。
図4】実施形態に係る車両用制御方法を説明するフローチャート。
図5】実施形態に係る車両用制御方法を説明する模式図。
図6】実施形態に係る車両用制御方法を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図3は、本発明の一実施形態に係る車両用制御システム1のブロック図である。制御システム1は、車両Vを制御する。図1および図2において、車両Vはその概略が平面図と側面図とで示されている。車両Vは一例としてセダンタイプの四輪の乗用車である。制御システム1は、制御装置1Aと制御装置1Bとを含む。図1は制御装置1Aを示すブロック図であり、図2は制御装置1Bを示すブロック図である。図3は主に、制御装置1Aと制御装置1Bとの間の通信回線及び電源の構成を示している。
【0010】
制御装置1Aと制御装置1Bとは車両Vが実現する一部の機能を多重化又は冗長化したものである。これによりシステムの信頼性を向上することができる。制御装置1Aは、例えば、自動運転制御や、手動運転における通常の動作制御の他、危険回避等に関わる走行支援制御も行う。制御装置1Bは主に危険回避等に関わる走行支援制御を司る。走行支援のことを運転支援と呼ぶ場合がある。制御装置1Aと制御装置1Bとで機能を冗長化しつつ、異なる制御処理を行わせることで、制御処理の分散化を図りつつ、信頼性を向上できる。
【0011】
本実施形態の車両Vはパラレル方式のハイブリッド車両であり、図2には、車両Vの駆動輪を回転させる駆動力を出力するパワープラント50の構成が模式的に図示されている。パワープラント50は内燃機関EG、モータMおよび自動変速機TMを有している。モータMは車両Vを加速させる駆動源として利用可能であると共に減速時等において発電機としても利用可能である(回生制動)。
【0012】
<制御装置1A>
図1を参照して制御装置1Aの構成について説明する。制御装置1Aは、ECU群(制御ユニット群)2Aを含む。ECU群2Aは、複数のECU20A〜29Aを含む。各ECUは、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含む。記憶デバイスにはプロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。各ECUはプロセッサ、記憶デバイスおよびインタフェース等を複数備えていてもよい。なお、ECUの数や、担当する機能については適宜設計可能であり、本実施形態よりも細分化したり、あるいは、統合したりすることが可能である。なお、図1および図3においてはECU20A〜29Aの代表的な機能の名称を付している。例えば、ECU20Aには「自動運転ECU」と記載している。
【0013】
ECU20Aは、車両Vの走行制御として自動運転に関わる制御を実行する。自動運転においては車両Vの駆動(パワープラント50による車両Vの加速等)、操舵または制動の少なくとも1つを、運転者の運転操作に依らず自動的に行う。本実施形態では、駆動、操舵および制動を自動的に行う。
【0014】
ECU21Aは、車両Vの周囲状況を検知する検知ユニット31A、32Aの検知結果に基づいて、車両Vの走行環境を認識する環境認識ユニットである。ECU21Aは周辺環境情報として後述する物標データを生成する。
【0015】
本実施形態の場合、検知ユニット31Aは、撮像により車両Vの周囲の物体を検知する撮像デバイス(以下、カメラ31Aと表記する場合がある。)である。カメラ31Aは車両Vの前方を撮影可能なように、車両Vのルーフ前部に設けられている。カメラ31Aが撮影した画像の解析により、物標の輪郭抽出や、道路上の車線の区画線(白線等)を抽出可能である。
【0016】
本実施形態の場合、検知ユニット32Aは、光により車両Vの周囲の物体を検知するライダ(Light Detection and Ranging)であり(以下、ライダ32Aと表記する場合がある)、車両Vの周囲の物標を検知したり、物標との距離を測距したりする。本実施形態の場合、ライダ32Aは5つ設けられており、車両Vの前部の各隅部に1つずつ、後部中央に1つ、後部各側方に1つずつ設けられている。ライダ32Aの数や配置は適宜選択可能である。
【0017】
ECU29Aは、検知ユニット31Aの検知結果に基づいて、車両Vの走行制御として走行支援(換言すると運転支援)に関わる制御を実行する走行支援ユニットである。
【0018】
ECU22Aは、電動パワーステアリング装置41Aを制御する操舵制御ユニットである。電動パワーステアリング装置41Aは、ステアリングホイールSTに対する運転者の運転操作(操舵操作)に応じて前輪を操舵する機構を含む。電動パワーステアリング装置41Aは操舵操作をアシストしたり、あるいは、前輪を自動操舵するための駆動力を発揮したりするモータや、モータの回転量を検知するセンサや、運転者が負担する操舵トルクを検知するトルクセンサ等を含む。
【0019】
ECU23Aは、油圧装置42Aを制御する制動制御ユニットである。油圧装置42Aは例えばESB(電動サーボブレーキ)を実現する。ブレーキペダルBPに対する運転者の制動操作はブレーキマスタシリンダBMにおいて液圧に変換されて油圧装置42Aに伝達される。油圧装置42Aは、ブレーキマスタシリンダBMから伝達された液圧に基づいて、四輪にそれぞれ設けられたブレーキ装置(例えばディスクブレーキ装置)51に供給する作動油の液圧を制御可能なアクチュエータであり、ECU23Aは油圧装置42Aが備える電磁弁等の駆動制御を行う。本実施形態の場合、ECU23Aおよび油圧装置23Aは電動サーボブレーキを構成し、ECU23Aは、例えば、4つのブレーキ装置51による制動力と、モータMの回生制動による制動力との配分を制御する。
【0020】
ECU24Aは、自動変速機TMに設けられている電動パーキングロック装置50aを制御する停止維持制御ユニットである。電動パーキングロック装置50aは、主としてPレンジ(パーキングレンジ)選択時に自動変速機TMの内部機構をロックする機構を備える。ECU24Aは電動パーキングロック装置50aによるロックおよびロック解除を制御可能である。
【0021】
ECU25Aは、車内に情報を報知する情報出力装置43Aを制御する車内報知制御ユニットである。情報出力装置43Aは例えばヘッドアップディスプレイ等の表示装置や音声出力装置を含む。更に、振動装置を含んでもよい。ECU25Aは、例えば、車速や外気温等の各種情報や、経路案内等の情報を情報出力装置43Aに出力させる。
【0022】
ECU26Aは、車外に情報を報知する情報出力装置44Aを制御する車外報知制御ユニットである。本実施形態の場合、情報出力装置44Aは方向指示器(ハザードランプ)であり、ECU26Aは方向指示器として情報出力装置44Aの点滅制御を行うことで車外に対して車両Vの進行方向を報知し、また、ハザードランプとして情報出力装置44Aの点滅制御を行うことで車外に対して車両Vへの注意力を高めることができる。
【0023】
ECU27Aは、パワープラント50を制御する駆動制御ユニットである。本実施形態では、パワープラント50にECU27Aを1つ割り当てているが、内燃機関EG、モータMおよび自動変速機TMのそれぞれにECUを1つずつ割り当ててもよい。ECU27Aは、例えば、アクセルペダルAPに設けた操作検知センサ34aやブレーキペダルBPに設けた操作検知センサ34bにより検知した運転者の運転操作や車速等に対応して、内燃機関EGやモータMの出力を制御したり、自動変速機TMの変速段を切り替えたりする。なお、自動変速機TMには車両Vの走行状態を検知するセンサとして、自動変速機TMの出力軸の回転数を検知する回転数センサ39が設けられている。車両Vの車速は回転数センサ39の検知結果から演算可能である。
【0024】
ECU28Aは、車両Vの現在位置や進路を認識する位置認識ユニットである。ECU28Aは、ジャイロセンサ33A、GPSセンサ28b、通信装置28cの制御および検知結果あるいは通信結果の情報処理を行う。ジャイロセンサ33Aは車両Vの回転運動を検知する。ジャイロセンサ33の検知結果等により車両Vの進路を判定することができる。GPSセンサ28bは、車両Vの現在位置を検知する。通信装置28cは、地図情報や交通情報を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。データベース28aには、高精度の地図情報を格納することができ、ECU28Aはこの地図情報等に基づいて、車線上の車両Vの位置をより高精度に特定可能である。
【0025】
入力装置45Aは運転者が操作可能に車内に配置され、運転者からの指示や情報の入力を受け付ける。
【0026】
<制御装置1B>
図2を参照して制御装置1Bの構成について説明する。制御装置1Bは、ECU群(制御ユニット群)2Bを含む。ECU群2Bは、複数のECU21B〜25Bを含む。各ECUは、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含む。記憶デバイスにはプロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。各ECUはプロセッサ、記憶デバイスおよびインタフェース等を複数備えていてもよい。なお、ECUの数や、担当する機能については適宜設計可能であり、本実施形態よりも細分化したり、あるいは、統合したりすることが可能である。なお、ECU群2Aと同様、図2および図3においてはECU21B〜25Bの代表的な機能の名称を付している。
【0027】
ECU21Bは、車両Vの周囲状況を検知する検知ユニット31B、32Bの検知結果に基づいて、車両Vの走行環境を認識する環境認識ユニットであると共に、車両Vの走行制御として走行支援(換言すると運転支援)に関わる制御を実行する走行支援ユニットである。ECU21Bは周辺環境情報として後述する物標データを生成する。
【0028】
なお、本実施形態では、ECU21Bが環境認識機能と走行支援機能とを有する構成としたが、制御装置1AのECU21AとECU29Aのように、機能毎にECUを設けてもよい。逆に、制御装置1Aにおいて、ECU21Bのように、ECU21AとECU29Aの機能を1つのECUで実現する構成であってもよい。
【0029】
本実施形態の場合、検知ユニット31Bは、撮像により車両Vの周囲の物体を検知する撮像デバイス(以下、カメラ31Bと表記する場合がある。)である。カメラ31Bは車両Vの前方を撮影可能なように、車両Vのルーフ前部に設けられている。カメラ31Bが撮影した画像の解析により、物標の輪郭抽出や、道路上の車線の区画線(白線等)を抽出可能である。本実施形態の場合、検知ユニット32Bは、電波により車両Vの周囲の物体を検知するミリ波レーダであり(以下、レーダ32Bと表記する場合がある)、車両Vの周囲の物標を検知したり、物標との距離を測距したりする。本実施形態の場合、レーダ32Bは5つ設けられており、車両Vの前部中央に1つ、前部各隅部に1つずつ、後部各隅部に1つずつ設けられている。レーダ32Bの数や配置は適宜選択可能である。
【0030】
ECU22Bは、電動パワーステアリング装置41Bを制御する操舵制御ユニットである。電動パワーステアリング装置41Bは、ステアリングホイールSTに対する運転者の運転操作(操舵操作)に応じて前輪を操舵する機構を含む。電動パワーステアリング装置41Bは操舵操作をアシストしたり、あるいは、前輪を自動操舵するための駆動力を発揮したりするモータや、モータの回転量を検知するセンサや、運転者が負担する操舵トルクを検知するトルクセンサ等を含む。また、ECU22Bには後述する通信回線L2を介して操舵角センサ37が電気的に接続されており、操舵角センサ37の検知結果に基づいて電動パワーステアリング装置41Bを制御可能である。ECU22Bは、運転者がステアリングハンドルSTを把持しているか否かを検知するセンサ36の検知結果を取得可能であり、運転者の把持状態を監視することができる。
【0031】
ECU23Bは、油圧装置42Bを制御する制動制御ユニットである。油圧装置42Bは例えばVSA(Vehicle Stability Assist)を実現する。ブレーキペダルBPに対する運転者の制動操作はブレーキマスタシリンダBMにおいて液圧に変換されて油圧装置42Bに伝達される。油圧装置42Bは、ブレーキマスタシリンダBMから伝達された液圧に基づいて、各車輪のブレーキ装置51に供給する作動油の液圧を制御可能なアクチュエータであり、ECU23Bは油圧装置42Bが備える電磁弁等の駆動制御を行う。
【0032】
本実施形態の場合、ECU23Bおよび油圧装置23Bには、四輪それぞれに設けられた車輪速センサ38、ヨーレートセンサ33B、ブレーキマスタシリンダBM内の圧力を検知する圧力センサ35が電気的に接続され、これらの検知結果に基づき、ABS機能、トラクションコントロールおよび車両Vの姿勢制御機能を実現する。例えば、ECU23Bは、四輪それぞれに設けられた車輪速センサ38の検知結果に基づき各車輪の制動力を調整し、各車輪の滑走を抑制する。また、ヨーレートセンサ33Bが検知した車両Vの鉛直軸回りの回転角速度に基づき各車輪の制動力を調整し、車両Vの急激な姿勢変化を抑制する。
【0033】
また、ECU23Bは、車外に情報を報知する情報出力装置43Bを制御する車外報知制御ユニットとしても機能する。本実施形態の場合、情報出力装置43Bはブレーキランプであり、制動時等にECU23Bはブレーキランプを点灯可能である。これにより後続車に対して車両Vへの注意力を高めることができる。
【0034】
ECU24Bは、後輪に設けられている電動パーキングブレーキ装置(例えばドラムブレーキ)52を制御する停止維持制御ユニットである。電動パーキングブレーキ装置52は後輪をロックする機構を備える。ECU24Bは電動パーキングブレーキ装置52による後輪のロックおよびロック解除を制御可能である。
【0035】
ECU25Bは、車内に情報を報知する情報出力装置44Bを制御する車内報知制御ユニットである。本実施形態の場合、情報出力装置44Bはインストルメントパネルに配置される表示装置を含む。ECU25Bは情報出力装置44Bに車速、燃費等の各種の情報を出力させることが可能である。
【0036】
入力装置45Bは運転者が操作可能に車内に配置され、運転者からの指示や情報の入力を受け付ける。
【0037】
<通信回線>
ECU間を通信可能に接続する、制御システム1の通信回線の例について図3を参照して説明する。制御システム1は、有線の通信回線L1〜L7を含む。通信回線L1には、制御装置1Aの各ECU20A〜27A、29Aが接続されている。なお、ECU28Aも通信回線L1に接続されてもよい。
【0038】
通信回線L2には、制御装置1Bの各ECU21B〜25Bが接続されている。また、制御装置1AのECU20Aも通信回線L2に接続されている。通信回線L3はECU20AとECU21Aを接続する。通信回線L5はECU20A、ECU21AおよびECU28Aを接続する。通信回線L6はECU29AとECU21Aを接続する。通信回線L7はECU29AとECU20Aを接続する。
【0039】
通信回線L1〜L7のプロトコルは同じであっても異なっていてもよいが、通信速度、通信量や耐久性等、通信環境に応じて異ならせてもよい。例えば、通信回線L3およびL4は通信速度の点でEthernet(登録商標)であってもよい。例えば、通信回線L1、L2、L5〜L7はCANであってもよい。
【0040】
制御装置1Aは、ゲートウェイGWを備えている。ゲートウェイGWは、通信回線L1と通信回線L2を中継する。このため、例えば、ECU21Bは通信回線L2、ゲートウェイGWおよび通信回線L1を介してECU27Aに制御指令を出力可能である。
【0041】
<電源>
制御システム1の電源について図3を参照して説明する。制御システム1は、大容量バッテリ6と、電源7Aと、電源7Bとを含む。大容量バッテリ6はモータMの駆動用バッテリであると共に、モータMにより充電されるバッテリである。
【0042】
電源7Aは制御装置1Aに電力を供給する電源であり、電源回路71Aとバッテリ72Aとを含む。電源回路71Aは、大容量バッテリ6の電力を制御装置1Aに供給する回路であり、例えば、大容量バッテリ6の出力電圧(例えば190V)を、基準電圧(例えば12V)に降圧する。バッテリ72Aは例えば12Vの鉛バッテリである。バッテリ72Aを設けたことにより、大容量バッテリ6や電源回路71Aの電力供給が遮断あるいは低下した場合であっても、制御装置1Aに電力の供給を行うことができる。
【0043】
電源7Bは制御装置1Bに電力を供給する電源であり、電源回路71Bとバッテリ72Bとを含む。電源回路71Bは、電源回路71Aと同様の回路であり、大容量バッテリ6の電力を制御装置1Bに供給する回路である。バッテリ72Bは、バッテリ72Aと同様のバッテリであり、例えば12Vの鉛バッテリである。バッテリ72Bを設けたことにより、大容量バッテリ6や電源回路71Bの電力供給が遮断あるいは低下した場合であっても、制御装置1Bに電力の供給を行うことができる。
【0044】
<制御例:自動運転>
図4を参照して、自動運転中のECU20A及びECU21Bによる車両Vの制御方法について説明する。上述のように、ECU20Aは車両Vの自動運転を行う走行制御部として動作する。さらに、ECU21Bは、ECU20Aによる走行制御が正常に動作しているかを監視する監視部として動作する。また、ECU21Bは、ECU20Aによる代替制御が正常に動作しているかを監視する監視部として動作してもよい。以下の説明ではECU21Bが監視部として動作するが、ECU20Aが監視部として動作してもよいし、ECU29Aが監視部として動作してもよい。走行制御を監視する監視部と、代替制御を監視する監視部とは、同一のECUによって実現されてもよいし、別々のECUによって実現されてもよい。以下の説明では、ECU20Aが、運転者に周辺監視義務がある状態と運転者に周辺監視義務がない状態との両方で動作可能であるとする。例えば、SAE(Society of Automotive Engineers)インターナショナルのJ3016に規定される自動運転レベルがレベル2であれば運転者に周辺監視義務がある状態であり、レベル3であれば運転者に周辺監視義務がない状態である。周辺監視義務がない状態では、周辺監視義務がある状態よりも運転者による介入に時間がかかるので、ECU20Aによる動作が制限されていてもよい。例えば、ECU20Aは、周辺監視義務がある状態において車線変更を行うように動作し、周辺監視義務がない状態において車線変更を行わないように動作してもよい。また、周辺監視義務がない状態におけるECU20Aによる車速の上限は、周辺監視義務がある状態におけるECU20Aによる車速の上限よりも低くてもよい。
【0045】
ステップS401で、ECU20Aは、外界認識装置群の認識結果を取得する。外界認識装置群は、例えば上述のカメラ31A、カメラ31B、ライダ32A及びレーダ32Bを含む。認識結果は、周囲の物標の位置や速度、路面状況などを含む。
【0046】
ステップS402で、ECU20Aは、車両Vがとるべき軌道を生成する。この軌道は、ステップS401で取得された認識結果に基づいてルールベースで生成されてもよい。
【0047】
ステップS403で、ECU20Aは、生成された軌道を車両Vが進行するようにアクチュエータ群を制御する。アクチュエータ群は、アクチュエータ群は、上述の電動パワーステアリング装置41A、電動パワーステアリング装置41B、油圧装置42A、油圧装置42B及びパワープラント50を含む。これによって、車両Vの位置が変化する。以上のように、ステップS401〜S403において、ECU20Aは、外界認識装置群の認識結果に基づいてアクチュエータ群を制御することによって自動運転を行う。
【0048】
ステップS404で、ECU21Bは、現在の自動運転の状態が車両Vの運転者に周辺監視義務がある状態か否かを判定する。周辺監視義務がある状態の場合(ステップS404で「YES」)、処理はステップS401に戻る。周辺監視義務がない状態の場合(ステップS404で「NO」)、処理はステップS405に進む。本実施形態では、周辺監視義務がある状態の場合に、運転者自身が自動運転の継続の可否を判定できると考えられるため、以下の説明するECU21Bによる自動運転の継続可否の判定を行わない。一方、周辺監視義務がない状態の場合に、運転者が自動運転の継続の可否を判定することは困難であると考えられるため、以下の説明するECU21Bによる自動運転の継続可否の判定を行う。これに代えて、両方の状態においてECU21Bによる自動運転の継続可否の判定が行われてもよい。
【0049】
ステップS405で、ECU21Bは、監視対象の物標に関する情報を取得する。ステップS406で、ECU21Bは、物標の検出状況に基づいて自動運転の継続可否を判定する。ECU21Bは、ECU20Aによって作成された軌道に依存せず、自動運転の継続可否を判定してもよい。ステップS405及びS406の処理の詳細については後述する。自動運転の継続が可能な場合(ステップS406で「YES」)、処理はステップS401に戻る。自動運転の継続が不能な場合(ステップS406で「NO」)、処理はステップS407に進み、自動運転を終了するための処理を行う。
【0050】
ステップS407で、ECU20Aは、車両Vの運転者への運転交代報知を開始する。運転交代報知とは、運転者に運転交代を要求するための報知である。ステップS408で、ECU20Aは、所定時間以内(例えば、15秒以内)に運転者が運転交代報知に応答したか否かを判定する。応答しなかった場合(S408で「NO」)に処理はステップS409に進み、応答した場合(ステップS408で「YES」)に処理はステップS410に進む。運転者は例えば入力装置により手動運転への移行の意思表示を行うことができる。これに代えて、操舵トルクセンサにて検出される操舵によって同意の意思表示を行ってもよい。
【0051】
ステップS409で、ECU20Aは、代替制御での自動運転を開始する。代替制御において、ECU20Aは、車両Vを減速させつつ、車両Vを停止可能な位置を探す。ECU20Aは、停止可能な位置を発見できた場合にそこに車両Vを停止させ、停止可能な位置を発見できない場合に極低速(例えば、クリープ速度)で車両Vを走行させつつ停止可能な位置を探す。その後、ECU20Aは、回転数センサ39の検知結果から車両Vの停止を判定し、停止したと判定すると車両Vの停止を維持する。ECU21Bは、ECU20Aによる代替制御の実行中に、ECU20Aへ入力された入力情報と、ECU20Aから出力された出力情報とを監視してもよい。入力情報は、例えば車両Vの状態に関する情報や、外界情報などである。出力情報は、例えば行動計画や、アクチュエータへの指令値などである。ECU21Bは、これらの入力情報及び出力情報に基づいて、ECU20Aによる代替制御の実行を抑制してもよい。例えば、ECU21Bは、現在出力されている出力情報と、同様の入力情報に対する過去の出力情報とを比較する。ECU21Bは、これらの出力情報が大きく異なる場合に代替制御が正常に機能していないと判断し、ECU20Aによる代替制御を終了させてもよい。このように動作することによって、代替制御の機能低下によって車両挙動が不安定化することを防止できる。
【0052】
ステップS410で、ECU20Aは、運転交代報知を終了し、自動運転を終了するとともに手動運転を開始する。手動運転において、車両1の各ECUは運転者の運転操作に応じて車両1の走行を制御することになる。ECU20Aに性能低下等の可能性があるため、ECU20Aは、整備工場へ車両Vを持ち込むことを促すメッセージ等を表示装置92に出力してもよい。
【0053】
上述のステップS405及びS406の処理の詳細について図5を参照して説明する。まず、ECU21Bは、ステップS405で、ステップS403におけるアクチュエータ群の制御結果として外界認識装置群による監視対象の物標の検出状況を取得する。この物標は走行中の他車両501のような動的物標であってもよいし、ガードレールなどの静的物標であってもよい。ECU21Bは、外界認識装置群で認識可能なすべての物標を監視対象としてもよい。これに代えて、ECU21Bは、認識可能な物標のうち、車両Vの進行方向又は可動方向に位置する物標(例えば、図5の範囲502に含まれる物標)を監視対象としてもよい。物標の検出状況は、例えば物標の種別、位置、(動的物標の場合に)速度などを含む。
【0054】
続いて、ステップS406について説明する。まず、ECU21Bは、車両Vを中心とし車両Vを含む自車マージン503を設定する。また、ECU21Bは、監視対象の各物標に対して、この物標を中心とし物標を含む物標マージンを設定する。例えば、ECU21Bは、他車両501に対して物標マージン504を設定する。自車マージン503とは、車両V(自車両)の安全が担保される範囲のことである。ECU21Bは、自車マージン503と他の物標の位置関係に基づいて自車の安全性を判定する。物標マージン504とは、物標の安全が担保される範囲のことである。図5では自車マージン503及び物標マージン504ともに略楕円形状で示しているが、他の形状であってもよい。
【0055】
ECU21Bは、車両Vの動作状態及び種別に応じた大きさとなるように自車マージン503を設定してもよい。例えば、ECU21Bは、車両Vの速度が大きいほど自車マージン503を大きくしてもよい。これに代えて、ECU21Bは、物標に対する相対速度に応じて自車マージン503の大きさを設定してもよい。例えば、ECU21Bは、物標に対する相対速度が大きいほど自車マージン503を大きくしてもよい。同様に、ECU21Bは、物標の動作状態及び種別に応じた大きさとなるように物標マージン504を設定してもよい。例えば、ECU21Bは、静的物標の物標マージン504の大きさを動的物標の物標マージンの大きさよりも小さくしてもよい。
【0056】
続いて、ECU21Bは、自車マージン503と物標マージン504との距離又は干渉度合いに基づいて自動運転の継続可否を判定する。例えば、ECU21Bは、自車マージン503と物標マージン504とが重ならない場合に自動運転の継続可能と判定し、(図5に示すように)重なる場合に継続不能と判定する。これに代えて、ECU21Bは、自車マージン503と物標マージン504とが重なる量(以下、ラップ量という)が閾値以下の場合に自動運転の継続可能と判定し、閾値よりも大きい場合に継続不能と判定してもよい。さらに、ECU21Bは、ラップ量の時間変化率を監視してもよい。例えば、他車両501の割込みなどによって、自動運転が正常に動作していたとしても、ラップ量が一時的に閾値を超える場合がある。そこで、ECU21Bは、ラップ量が閾値を超えた後、所定の期間(例えば、3秒間)、ラップ量の時間変化を監視する。ラップ量が減少するのであれば、ECU21Bは自動運転の継続可能と判定してもよい。一方、ラップ量が増加するのであれば、ECU21Bは自動運転の継続不能と判定してもよい。ECU21Bは、ラップ量の時間変化を監視するための所定の期間の長さを、車両Vの動作状態及び種別や車両Vと他車両501との相対速度に応じて決定してもよい。例えば、車両Vの速さや車両Vと他車両501との相対速度が大きければ、両者の衝突までの時間が短い可能性があるので、ECU21Bは、所定の期間の長さを短くする(例えば、1秒)。一方、車両Vの速さや車両Vと他車両501との相対速度が小さければ、ECU21Bは、所定の期間の長さを長くする(例えば、5秒)。
【0057】
上述の例では自車マージン503及び物標マージン504とが設定され、これらのマージンに基づいて自動運転の継続可否が判定された。これに代えて、ECU21Bは、車両Vと物標との距離に基づいて自動運転の継続可否を判定してもよい。例えば、ECU21Bは、車両Vと物標との距離が閾値TH2以下となった場合に自動運転の継続が不能であると判定し、閾値TH2よりも大きければ継続可能と判定してもよい。さらに、ECU20Aはこのような状況の発生を抑制するための動作を行ってもよい。例えば、ECU21Bは、車両Vと物標との距離が閾値TH1以下となった場合に、この距離を拡大するようにアクチュエータ群を制御してもよい。ここで、閾値TH2は閾値TH1よりも小さい値である。物標との距離が拡大するようにアクチュエータ群を制御してもこの距離が縮まる場合には、自動運転機能の性能が低下している可能性があるので、ECU21Bは、自動運転の継続が不能であると判定する。
【0058】
図4で説明したように、ステップS406で自動運転を継続可能と判定された場合に、処理はステップS401から繰り返される。すなわち、ステップS401〜ステップS406の処理は周期的に行われる。そのため、ECU21Bは、車両Vと物標との距離を周期的に検出することになる。この周期的な検出において、ECU21Bは、車両Vと物標との距離が閾値TH1以下となった後に、この距離が減少傾向である場合(すなわち、車両Vが物標に近づき続ける場合)に自動運転の継続が不能であると判定してもよい。この場合も自動運転機能の性能が低下している可能性があるためである。
【0059】
<制御例:走行支援>
図4を参照して、走行支援中のECU20A及びECU21Bによる車両Vの制御方法について説明する。上述のように、ECU21Bは車両Vの走行支援を行う走行制御部として動作する。さらに、ECU20Aは、ECU21Bによる走行制御が正常に動作しているかを監視する監視部として動作する。以下の説明ではECU20Aが監視部として動作するが、ECU21Bが監視部として動作してもよいし、ECU29Aが監視部として動作してもよい。運転者の手動運転を支援する走行支援中であるので運転者に周辺監視義務がある。
【0060】
ステップS601で、ECU21Bは、ステップS401と同様にして、外界認識装置群の認識結果を取得する。
【0061】
ステップS602で、ECU21Bは、車両Vがとるべき支援内容を生成する。この支援内容は、ステップS601で取得された認識結果に基づいてルールベースで生成されてもよい。
【0062】
ステップS603で、ECU21Bは、生成された支援内容を車両Vが実行するようにアクチュエータ群を制御する。アクチュエータ群は、アクチュエータ群は、上述の電動パワーステアリング装置41A、電動パワーステアリング装置41B、油圧装置42A、油圧装置42B及びパワープラント50を含む。運転者による手動操作とこの支援内容とによって、車両Vの位置が変化する。以上のように、ステップS601〜S603において、ECU21Bは、外界認識装置群の認識結果に基づいてアクチュエータ群を制御することによって走行支援を行う。
【0063】
ステップS604で、ECU20Aは、監視対象の物標に関する情報を取得する。ステップS605で、ECU20Aは、物標の検出状況に基づいて走行支援の継続可否を判定する。ECU20Aは、ECU21Bによって作成された支援内容に依存せず、走行支援の継続可否を判定してもよい。ステップS604及びS605の詳細はステップS405及びS406と同様である。走行支援の継続が可能な場合(ステップS605で「YES」)、処理はステップS601に戻る。走行支援の継続が不能な場合(ステップS605で「NO」)、処理はステップS606に進み、ECU21Bは走行支援を中止する。この場合に、車両Vの走行は走行支援なしの手動運転によって行われる。
【0064】
上記実施形態では、自動運転状態においてECU20Aが実行する自動運転制御として、駆動、制動および操舵の全てを自動化するものを説明したが、自動運転制御は、運転者の運転操作に依らずに駆動、制動または操舵のうちの少なくとも1つを制御するものであればよい。運転者の運転操作に依らずに制御するとは、ステアリングハンドル、ペダルに代表される操作子に対する運転者の入力が無くても制御することを含むことができ、あるいは、運転者の車両を運転するという意図を必須としないと言うことができる。したがって、自動運転制御においては、運転者に周辺監視義務を負わせて車両Vの周辺環境情報に応じて車両Vの駆動、制動または操舵の少なくとも1つを制御する状態であってもよいし、運転者に周辺監視義務を負わせて車両Vの周辺環境情報に応じて車両Vの駆動または制動の少なくとも1つと操舵とを制御する状態であってもよいし、運転者に周辺監視義務無く車両Vの周辺環境情報に応じて車両Vの駆動、制動および操舵を全て制御する状態であってもよい。また、これらの各制御段階に遷移可能なものであってもよい。また、運転者の状態情報(心拍などの生体情報、表情や瞳孔の状態情報)を検知するセンサを設け、該センサの検知結果に応じて自動運転制御が実行されたり、抑制されたりするものであってもよい。
【0065】
一方、ECU29AやECU21Bが実行する運転支援制御(あるいは走行支援制御)は、運転者の運転操作中に駆動、制動または操舵のうちの少なくとも1つを制御するものであってもよい。運転者の運転操作中とは、操作子に対する運転者の入力がある場合、あるいは、操作子に対する運転者の接触が確認でき、運転者の車両を運転するという意図が読み取れる場合と言うことができる。運転支援制御は、運転者がスイッチ操作等を介してその起動を選択することにより実行されるもの、運転者がその起動を選択することなく実行するもの、の双方を含むことができる。前者の運転者が起動を選択するものとしては、前走車追従制御、車線維持制御等を挙げることができる。これらは自動運転制御の一部と定義することも可能である。後者の運転者が起動を選択することなく実行するものとしては、衝突軽減ブレーキ制御、車線逸脱抑制制御、誤発進抑制制御等を挙げることができる。
【0066】
<実施形態のまとめ>
[構成1]
外界認識装置群(31A、31B、32A及び32B)及びアクチュエータ群(41A、41B、42A、42B及び50)を有する車両(V)の制御システム(V)であって、
前記外界認識装置群の認識結果に基づいて前記アクチュエータ群を制御することによって自動運転又は走行支援を行う走行制御手段(20A、21B)と、
前記アクチュエータ群の制御結果として前記外界認識装置群による物標(501)の検出状況を監視する監視手段(20A、21B)とを備え、
前記監視手段は、前記物標の検出状況に基づいて自動運転又は走行支援の継続可否を判定することを特徴とする制御システム。
この構成によれば、走行制御機能が正常であれば行わないであろう車両の挙動を監視することによって、車両の走行制御機能の低下を精度よく判定できる。
[構成2]
前記監視手段が自動運転又は走行支援の継続が不能であると判定した場合に、前記走行制御手段は、自動運転又は走行支援を終了するための処理を行うことを特徴とする構成1に記載の制御システム。
この構成によれば、自動運転であれば手動運転への切替、手動運転であれば完全な手動運転への切替が可能になる。
[構成3]
前記処理は、前記車両の運転者に運転交代を要求することと、運転交代が行われない場合に代替制御を行うこととを含むことを特徴とする構成2に記載の制御システム。
この構成によれば、車両を安全な状態に移行できる。
[構成4]
前記監視手段は、第1監視手段であり、
前記制御システムは、前記走行制御手段による代替制御の実行中に、前記走行制御手段へ入力された入力情報と、前記走行制御手段から出力された出力情報とを監視する第2監視手段を更に備え、
前記第2監視手段は、前記入力情報及び前記出力情報に基づいて、前記走行制御手段による前記代替制御の実行を抑制することを特徴とする構成3に記載の制御システム。
この構成によれば、代替制御の入出力を監視することによって、代替制御の機能低下により車両挙動が不安定化することを防止できる。
[構成5]
前記走行制御手段は、前記車両と前記物標との距離が第1閾値以下となった場合に、当該距離を拡大するように前記アクチュエータ群を制御し、
前記監視手段は、前記車両と前記物標との距離が前記第1閾値よりも小さい第2閾値以下となった場合に自動運転又は走行支援の継続が不能であると判定することを特徴とする構成1乃至4の何れか1項に記載の制御システム。
この構成によれば、正常な走行制御では起こりえない接近を監視することによって、走行制御の機能低下を判定できる。
[構成6]
前記監視手段は、前記車両と前記物標との距離を周期的に検出することを特徴とする構成5に記載の制御システム。
この構成によれば、周期的に検出を行うことによって、一層高い精度で機能低下を検出できる。例えば、一時的な割込みなどに対して過剰に反応することを抑制できる。
[構成7]
前記監視手段は、前記車両と前記物標との距離を周期的に検出し、
前記走行制御手段は、前記車両と前記物標との距離が第1閾値以下となった後に、前記距離が減少傾向である場合に自動運転又は走行支援の継続が不能であると判定することを特徴とする構成1乃至4の何れか1項に記載の制御システム。
この構成によれば、周期的に検出を行うことによって、一層高い精度で機能低下を検出できる。例えば、一時的な割込みなどに対して過剰に反応することを抑制できる。
[構成8]
前記監視手段は、前記車両を中心とし前記車両を含む自車マージン(503)と、前記物標を中心とし前記物標を含む物標マージン(504)とを設定し、前記自車マージンと前記物標マージンとの距離又は干渉度合いに基づいて前記継続可否を判定することを特徴とする構成1乃至4の何れか1項に記載の制御システム。
この構成によれば、マージン同士を比較する音によって、安心感を持って機能低下を検出できる。
[構成9]
前記監視手段は、動作状態及び種別に応じた大きさとなるように前記自車マージン又は前記物標マージンを設定することを特徴とする構成8に記載の制御システム。
この構成によれば、動作状態や種別に合わせて検出を行える。
[構成10]
前記監視手段は、前記走行制御手段によって作成された軌道に依存せずに前記継続可否を判定することを特徴とする構成1乃至9の何れか1項に記載の制御システム。
この構成によれば、走行制御手段によって作成された軌道に依存した場合に検出できない機能低下を検出できる。
[構成11]
前記監視手段は、前記車両の進行方向又は可動方向に位置する物標を監視対象とすることを特徴とする構成1乃至10の何れか1項に記載の制御システム。
この構成によれば、自車後方などの対応できない範囲を対象外にすることができる。
[構成12]
前記走行制御手段は運転者に周辺監視義務がある第1状態と運転者に周辺監視義務がない第2状態とで動作可能であり、
前記監視手段は、前記第1状態において前記継続可否を判定せず、前記第2状態において前記継続可否を判定することを特徴とする構成1乃至11の何れか1項に記載の制御システム。
この構成によれば、周辺監視義務がある場合に機能低下の判定を運転者に任せ、周辺監視義務がない場合に機能低下を自動的に判定できる。
[構成13]
前記走行制御手段は、前記第1状態において車線変更を行うように動作し、前記第2状態において車線変更を行わないように動作し、
前記第2状態における前記走行制御手段による車速の上限は、前記第1状態における前記走行制御手段による車速の上限よりも低いことを特徴とする構成12に記載の制御システム。
この構成によれば、走行制御の機能低下の判定における過検知リスクを低減できる。具体的に、運転者に周辺監視義務がある場合には、制御システムが過検知したとしても、運転者が車両制御に対して速やかに運転介入できる。運転者に周辺監視義務がない場合には、走行速度が低く、自動運転レベルが高く、交通参加者が限られるため、制御システムは過検知リスクを低減した状態で走行制御を実行できる。また、運転者に周辺監視義務がない場合には、制御システムは、車線変更を行わないため、車線からの逸脱を検出することによって、誤作動したことの判定を速やかに行える。
[構成14]
構成1乃至13の何れか1項に記載の制御システムと、
前記外界認識装置群と、
前記アクチュエータ群と
を備える車両(V)。
この構成によれば、車両の走行制御機能の低下を精度よく判定できる。
[構成15]
外界認識装置群(31A、31B、32A及び32B)及びアクチュエータ群(41A、41B、42A、42B及び50)を有する車両(V)の制御方法であって、
前記外界認識装置群の認識結果に基づいて前記アクチュエータ群を制御することによって自動運転又は走行支援を行う走行制御工程(S401〜S403、S601〜S603)と、
前記アクチュエータ群の制御結果として前記外界認識装置群による物標(501)の検出状況を監視する監視工程(S404、S604)と、
前記物標の検出状況に基づいて自動運転又は走行支援の継続可否を判定する判定工程(S406、S605)と
を有する制御方法。
この構成によれば、走行制御機能が正常であれば行わないであろう車両の挙動を監視することによって、車両の走行制御機能の低下を精度よく判定できる。
【0067】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】