(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
樹脂(A)を含有するレジスト組成物であって、上記樹脂(A)は、特定構造を有する繰り返し単位と、酸分解性基を有する繰り返し単位とを含む、レジスト組成物、上記レジスト組成物により形成されるレジスト膜、上記レジスト組成物を用いたパターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法を提供する。
前記樹脂(A)が、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が80℃以下であるモノマーを由来とする繰り返し単位(B1)を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレジスト組成物。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されない。
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet)、X線、軟X線、及び電子線(EB:Electron Beam)等を意味する。本明細書中における「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、及びEUV等による露光のみならず、電子線、及びイオンビーム等の粒子線による描画も含む。
本明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0028】
本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種を表す。また(メタ)アクリル酸はアクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種を表す。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分散度(分子量分布ともいう)(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー株式会社製HLC−8120GPC)によるGPC測定(溶剤:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):10μL、カラム:東ソー株式会社製TSK gel Multipore HXL−M、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率検出器(Refractive Index Detector))によるポリスチレン換算値として定義される。
【0029】
本明細書中における基(原子団)の表記について、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さない基と共に置換基を有する基をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。また、本明細書中における「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
【0030】
また、本明細書において、「置換基を有していてもよい」というときの置換基の種類、置換基の位置、及び、置換基の数は特に限定されない。置換基の数は例えば、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上であってもよい。置換基の例としては水素原子を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、例えば、以下の置換基群Tから選択することができる。
【0031】
(置換基T)
置換基Tとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp−トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基及びベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びメトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基及びtert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基及びp−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;ヘテロアリール基;水酸基;カルボキシ基;ホルミル基;スルホ基;シアノ基;アルキルアミノカルボニル基;アリールアミノカルボニル基;スルホンアミド基;シリル基;アミノ基;モノアルキルアミノ基;ジアルキルアミノ基;アリールアミノ基;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0032】
〔レジスト組成物〕
本発明のレジスト組成物(以後、単に「本発明の組成物」ともいう)は、樹脂(A)を含有するレジスト組成物であって、
上記樹脂(A)は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(2)で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも一つの繰り返し単位(以下、「特定構造を有する繰り返し単位」とも言う)と、酸分解性基を有する繰り返し単位とを含む、レジスト組成物である。
【0035】
一般式(1)中、
R
1、R
2及びR
3は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。但し、R
2はAr
4と結合して環を形成していてもよく、その場合のR
2は単結合又はアルキレン基を表す。
X
4は、単結合、−COO−、又は−CONR
64−を表し、R
64は、水素原子又はアルキル基を表す。
L
4は、単結合又は2価の連結基を表す。
Ar
4は、(n+1)価の芳香族炭化水素基を表し、R
2と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香族炭化水素基を表す。
nは、2〜5の整数を表す。
一般式(2)中、
Rは、水素原子又はアルキル基を表す。
Xは、O、S、又はNR
11を表し、R
11は、水素原子又はアルキル基を表す。
Lは、下記一般式(3)で表される連結基を表す。
qは、2〜5の整数を表す。
【0037】
一般式(3)中、
R
0は、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組合せを表す。R
0は、複数存在する場合には、各々独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組合せを表す。
Zは、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表す。Zは、複数存在する場合には、各々独立に、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表す。
rは、0〜5の整数を表す。
*は基Xに結合する結合手を表し、**は、ベンゼン環に結合する結合手を表す。
【0038】
本発明は上記構成をとるため、特に厚膜(例えば膜厚1μm以上)のレジスト膜及びこれを用いて形成されたレジストパターンにおけるクラックが抑制されるものである。
その理由は明らかではないが、以下の通りと推測される。
先ず、本発明者らは、上記したように、レジスト膜又はレジストパターンのクラックが、溶剤の揮発に伴って発生しているものと推測している。詳細には、溶剤の揮発が、レジスト膜又はレジストパターンに内部応力を発生させ、この応力がクラックの原因になっているものと考えられる。そして、特に、本発明者らは、厚膜(例えば膜厚1μm以上)のレジスト膜及びこれから形成されるレジストパターンは、レジスト膜中の溶剤量及びレジストパターン中の残存溶媒量が多く、クラックが発生しやすいものと推測している。
しかしながら、本発明における上記特定構造を有する繰り返し単位は、従来、汎用されるヒドロキシスチレンに由来する繰り返し単位とは異なって、2個以上の水酸基を有している。そのため、本発明のレジスト組成物における樹脂同士は、上記特定構造を有する繰り返し単位の2個以上の水酸基を介した水素結合等により、疑似架橋しやすい状態となるため、レジスト膜の強度が上がり、上記膜の靱性が上がる傾向となるものと考えられる。その結果、塗布膜の加熱時、及び、真空下でのエッチング工程時において、それぞれ、レジスト膜及びレジストパターンの、溶剤が揮発されることに伴い発生する応力に対する耐性が上がり、クラックの発生が抑制されたものと推定される。
【0039】
本発明のレジスト組成物は、ポジ型のレジスト組成物であっても、ネガ型のレジスト組成物であってもよい。また、アルカリ現像用のレジスト組成物であっても、有機溶剤現像用のレジスト組成物であってもよい。なかでも、ポジ型のレジスト組成物であり、アルカリ現像用のレジスト組成物であることが好ましい。
本発明の組成物は、典型的には、化学増幅型のレジスト組成物である。
以下、本発明の組成物に含まれる成分について詳述する。
【0040】
<樹脂(A)>
本発明の組成物に含まれる樹脂(A)は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位及び上記一般式(2)で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも一つの繰り返し単位と、酸分解性基を有する繰り返し単位とを含む樹脂である。
【0041】
樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位を含有することから、酸の作用により分解して極性が増大する樹脂である。つまり、後述する本発明のパターン形成方法において、典型的には、現像液としてアルカリ現像液を採用した場合には、ポジ型パターンが好適に形成され、現像液として有機系現像液を採用した場合には、ネガ型パターンが好適に形成される。
【0042】
〔上記一般式(1)で表される繰り返し単位及び上記一般式(2)で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも一つの繰り返し単位〕
【0043】
上記一般式(1)において、R
1、R
2及びR
3は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。但し、R
2はAr
4と結合して環を形成していてもよく、その場合のR
2は単結合又はアルキレン基を表す。
X
4は、単結合、−COO−、又は−CONR
64−を表し、R
64は、水素原子又はアルキル基を表す。
L
4は、単結合又は2価の連結基を表す。
Ar
4は、(n+1)価の芳香族炭化水素基を表し、R
2と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香族炭化水素基を表す。
一般式(1)におけるR
1、R
2、及びR
3で表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、及びドデシル基等の炭素数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上8以下のアルキル基がより好ましく、炭素数1以上3以下のアルキル基が更に好ましい。
【0044】
一般式(1)におけるR
1、R
2、及びR
3で表されるシクロアルキル基としては、単環でも、多環でもよい。置換基を有していてもよい、シクロプロピル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等の炭素数3〜8個で単環のシクロアルキル基が好ましい。
一般式(1)におけるR
1、R
2、及びR
3で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
一般式(1)におけるR
1、R
2、及びR
3で表されるアルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R
1、R
2、及びR
3におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
R
64で表されるアルキル基は、上記R
1、R
2、及びR
3におけるアルキル基と同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0045】
上記各基における好ましい置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、及びニトロ基等が挙げられ、置換基の炭素数は8以下が好ましい。
【0046】
Ar
4は、(n+1)価の芳香族炭化水素基を表す。
【0047】
nが2以上の整数である場合における(n+1)価の芳香族炭化水素基の具体例としては、2価の芳香族炭化水素基の下記の具体例から、(n−1)個の任意の水素原子を除してなる基を好適に挙げることができる。
2価の芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、及びアントラセニレン基等の炭素数6〜18のアリーレン基、又は、例えば、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、及びチアゾール等のヘテロ環を含む芳香族炭化水素基が好ましい。
(n+1)価の芳香族炭化水素基は、更に置換基を有していてもよい。
【0048】
上述したアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基及び(n+1)価の芳香族炭化水素基が有し得る置換基としては、例えば、一般式(1)におけるR
1、R
2、及びR
3で挙げたアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、及びブトキシ基等のアルコキシ基;フェニル基等のアリール基;等が挙げられる。
X
4により表される−CONR
64−(R
64は、水素原子又はアルキル基を表す)におけるR
64のアルキル基としては、置換基を有していてもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、及びドデシル基等の炭素数20以下のアルキル基が好ましく、炭素数8以下のアルキル基がより好ましい。
X
4としては、単結合、−COO−、又は−CONH−が好ましく、単結合、又は−COO−がより好ましい。
【0049】
L
4としての2価の連結基としては、アルキレン基であることが好ましく、アルキレン基としては、置換基を有していてもよい、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、及びオクチレン基等の炭素数1〜8のアルキレン基が好ましい。
Ar
4としては、置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が好ましく、ベンゼン環基、ナフタレン環基、又はビフェニレン環基がより好ましい。なかでも、一般式(1)で表される繰り返し単位は、ヒドロキシスチレンに由来する繰り返し単位であることが好ましい。即ち、Ar
4は、ベンゼン環基であることが好ましい。
【0050】
上記一般式(1)において、nは、2〜5の整数を表し、2又は3が好ましい。
上記一般式(2)において、Rは、水素原子又はアルキル基を表す。
Rのアルキル基は、特に限定されないが、例えば、置換基を有しても良い、炭素数1〜8の直鎖、分岐状のアルキル基が挙げられる。
Xは、O、S、又はNR
11を表し、R
11は、水素原子又はアルキル基を表す。
R
11のアルキル基は、特に限定されないが、例えば、置換基を有しても良い、炭素数1〜8の直鎖、分岐状のアルキル基が挙げられる。
各基の置換基としては、後述のR
0のアルキレン基又はシクロアルキレン基が有しても良い置換基と同様である。
qは、2〜5の整数を表し、2又は3は好ましい。
【0051】
一般式(3)において、R
0は、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組合せを表す。R
0は、複数存在する場合には、各々独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組合せを表す。
【0052】
R
0のアルキレン基は、特に限定されないが、例えば、炭素数が1〜20のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
R
0のシクロアルキレン基は、特に限定されないが、例えば、炭素数が3〜8のシクロアルキレン基が好ましく、シクロヘキシレン基が好ましい。
【0053】
R
0のアルキレン基又はシクロアルキレン基は置換基を有してもよい。
置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜8)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜8)、カルボキシル基、及びアルコキシカルボニル基(炭素数2〜8)、アミノ基等が挙げられる。
【0054】
Zは、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表す。Zは、複数存在する場合には、各々独立に、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表す。
Zとしては、エステル結合、アミド結合が好ましく、エステル結合がより好ましい。
【0055】
rは、0〜5の整数を表し、1〜3が好ましい。
rが0である場合、−R
0−Z−は存在せず、単結合となる。
【0056】
以下、一般式(1)で表される繰り返し単位、又は一般式(2)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
aは、2又は3を表す。nは、2又は3を表す。
【0059】
樹脂(A)は、一般式(2)で表される繰り返し単位を含有することが好ましい。
一般式(2)は、主鎖構造と、側鎖の末端の水酸基の間に連結基(すなわち、C(=O)−X−Lで表される基)が挿入されており水酸基を含む側鎖の柔軟性が向上する。そのため、本発明のレジスト組成物における樹脂同士は、上記特定構造を有する繰り返し単位の2個以上の水酸基を介した水素結合等により、更に疑似架橋しやすい状態となる。その結果、レジスト膜の強度が更に上がり、上記膜の靱性が上がり、クラックの発生がより抑制される傾向となる。
【0060】
樹脂(A)は、一般式(2)で表される繰り返し単位を含有することが好ましく、XがNR
11であることが更に好ましい。
【0061】
樹脂(A)は、特定構造を有する繰り返し単位を、1種のみで含んでもよく、2種以上含んでもよい。
樹脂(A)中の特定構造を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して5モル%以上であることが好ましく、5〜80モル%であることがより好ましく、20〜80モル%であることが更に好ましく、50〜80モル%であることが特に好ましい。
【0062】
〔酸分解性基を有する繰り返し単位〕
樹脂(A)は酸分解性基を有する繰り返し単位を有する。
【0063】
樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位を1種単独で有していてよく、2種以上を併用して有していてもよい。
樹脂(A)において、酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、10〜90モル%であることが好ましく、20〜75モル%であることがより好ましく、20〜60モル%であることが更に好ましい。
【0064】
酸分解性基としては、極性基が酸の作用により分解して脱離する基(脱離基)で保護された構造を有することが好ましい。
極性基としては、カルボキシ基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基、スルホ基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及びトリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基(2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)、並びにアルコール性水酸基等が挙げられる。
【0065】
なお、アルコール性水酸基とは、炭化水素基に結合した水酸基であって、芳香環上に直接結合した水酸基(フェノール性水酸基)以外の水酸基をいい、水酸基としてα位がフッ素原子等の電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール基等)は除く。アルコール性水酸基としては、pKa(酸解離定数)が12以上20以下の水酸基であることが好ましい。
【0066】
好ましい極性基としては、カルボキシ基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、及びスルホン酸基が挙げられる。
【0067】
酸分解性基として好ましい基は、これらの基の水素原子を酸の作用により脱離する基(脱離基)で置換した基である。
酸の作用により脱離する基(脱離基)としては、例えば、−C(R
36)(R
37)(R
38)、−C(R
36)(R
37)(OR
39)、及び−C(R
01)(R
02)(OR
39)等が挙げられる。
式中、R
36〜R
39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R
36とR
37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
R
01及びR
02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
【0068】
R
36〜R
39、R
01及びR
02のアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、へキシル基、及びオクチル基等が挙げられる。
R
36〜R
39、R
01及びR
02のシクロアルキル基は、単環でも、多環でもよい。単環のシクロアルキル基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、及びアンドロスタニル基等が挙げられる。なお、シクロアルキル基中の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R
36〜R
39、R
01及びR
02のアリール基は、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントリル基等が挙げられる。
R
36〜R
39、R
01及びR
02のアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、及びナフチルメチル基等が挙げられる。
R
36〜R
39、R
01及びR
02のアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、及びシクロへキセニル基等が挙げられる。
R
36とR
37とが互いに結合して形成される環としては、シクロアルキル基(単環又は多環)であることが好ましい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又はノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
【0069】
酸分解性基として、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、又は第3級のアルキルエステル基等が好ましく、アセタール基、又は第3級アルキルエステル基がより好ましい。
【0070】
(−COO−基が酸の作用により分解して脱離する脱離基で保護された構造(酸分解性基)を有する繰り返し単位)
樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位として、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
【0072】
一般式(AI)において、
Xa
1は、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx
1〜Rx
3は、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rx
1〜Rx
3のいずれか2つが結合して環構造を形成してもよく、形成しなくてもよい。
【0073】
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、−COO−Rt−、及び−O−Rt−等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基を表す。
Tは、単結合又は−COO−Rt−が好ましい。Rtは、炭素数1〜5の鎖状アルキレン基が好ましく、−CH
2−、−(CH
2)
2−、又は−(CH
2)
3−がより好ましい。Tは、単結合であることがより好ましい。
【0074】
Xa
1は、水素原子又はアルキル基であることが好ましい。
Xa
1のアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、水酸基、及びハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)が挙げられる。
Xa
1のアルキル基は、炭素数1〜4が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基及びトリフルオロメチル基等が挙げられる。Xa
1のアルキル基は、メチル基であることが好ましい。
【0075】
Rx
1、Rx
2及びRx
3のアルキル基としては、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、又はt−ブチル基等が好ましい。アルキル基の炭素数としては、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が更に好ましい。Rx
1、Rx
2及びRx
3のアルキル基は、炭素間結合の一部が二重結合であってもよい。
Rx
1、Rx
2及びRx
3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又はノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
【0076】
Rx
1、Rx
2及びRx
3の2つが結合して形成する環構造としては、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、シクロヘプチル環、及びシクロオクタン環等の単環のシクロアルカン環、又はノルボルナン環、テトラシクロデカン環、テトラシクロドデカン環、及びアダマンタン環等の多環のシクロアルキル環が好ましい。なかでも、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、又はアダマンタン環がより好ましい。Rx
1、Rx
2及びRx
3の2つが結合して形成する環構造としては、下記に示す構造も好ましい。
【0078】
以下に一般式(AI)で表される繰り返し単位に相当するモノマーの具体例を挙げるが、本発明は、これらの具体例に限定されない。下記の具体例は、一般式(AI)におけるXa
1がメチル基である場合に相当するが、Xa
1は、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基に任意に置換することができる。
【0080】
樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位として、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0336]〜[0369]に記載の繰り返し単位を有することも好ましい。
【0081】
また、樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位として、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0363]〜[0364]に記載された酸の作用により分解してアルコール性水酸基を生じる基を含む繰り返し単位を有していてもよい。
【0082】
(フェノール性水酸基が酸の作用により分解して脱離する脱離基で保護された構造(酸分解性基)を有する繰り返し単位)
樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位として、フェノール性水酸基が酸の作用により分解して脱離する脱離基で保護された構造を有する繰り返し単位を有することが好ましい。なお、本明細書において、フェノール性水酸基とは、芳香族炭化水素基の水素原子を水酸基で置換してなる基である。芳香族炭化水素基の芳香環は単環又は多環の芳香環であり、ベンゼン環及びナフタレン環等が挙げられる。
【0083】
酸の作用により分解して脱離する脱離基としては、例えば、式(Y1)〜(Y4)で表される基を挙げることができる。
式(Y1):−C(Rx
1)(Rx
2)(Rx
3)
式(Y2):−C(=O)OC(Rx
1)(Rx
2)(Rx
3)
式(Y3):−C(R
36)(R
37)(OR
38)
式(Y4):−C(Rn)(H)(Ar)
【0084】
式(Y1)、(Y2)中、Rx
1〜Rx
3は、各々独立に、アルキル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。但し、Rx
1〜Rx
3の全てがアルキル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)である場合、Rx
1〜Rx
3のうち少なくとも2つはメチル基であることが好ましい。
なかでも、Rx
1〜Rx
3は、各々独立に、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す繰り返し単位であることがより好ましく、Rx
1〜Rx
3が、各々独立に、直鎖状のアルキル基を表す繰り返し単位であることが更に好ましい。
Rx
1〜Rx
3の2つが結合して、単環若しくは多環を形成してもよい。
Rx
1〜Rx
3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びt−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
Rx
1〜Rx
3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx
1〜Rx
3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。なかでも、炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基がより好ましい。
Rx
1〜Rx
3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
式(Y1)及び(Y2)で表される基は、例えば、Rx
1がメチル基又はエチル基であり、Rx
2とRx
3とが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
【0085】
式(Y3)中、R
36〜R
38は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。R
37とR
38とは、互いに結合して環を形成してもよい。1価の有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び、アルケニル基等が挙げられる。R
36は、水素原子であることが好ましい。
【0086】
式(Y4)中、Arは、芳香族炭化水素基を表す。Rnは、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表す。RnとArとは互いに結合して非芳香族環を形成してもよい。Arはより好ましくはアリール基である。
【0087】
フェノール性水酸基が酸の作用により分解して脱離する脱離基で保護された構造(酸分解性基)を有する繰り返し単位としては、フェノール性水酸基における水素原子が式(Y1)〜(Y4)で表される基によって保護された構造を有するものが好ましい。
【0088】
フェノール性水酸基が酸の作用により分解して脱離する脱離基で保護された構造(酸分解性基)を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AII)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0090】
一般式(AII)中、
R
61、R
62及びR
63は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又はアルコキシカルボニル基を表す。但し、R
62はAr
6と結合して環を形成していてもよく、その場合のR
62は単結合又はアルキレン基を表す。
X
6は、単結合、−COO−、又は−CONR
64−を表す。R
64は、水素原子又はアルキル基を表す。
L
6は、単結合又はアルキレン基を表す。
Ar
6は、(n+1)価の芳香族炭化水素基を表し、R
62と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香族炭化水素基を表す。
Y
2は、n≧2の場合には各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Y
2の少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。Y
2としての酸の作用により脱離する基は、式(Y1)〜(Y4)であることが好ましい。
nは、1〜4の整数を表す。
【0091】
上記各基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、及びアルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)等が挙げられ、炭素数8以下のものが好ましい。
【0094】
樹脂(A)は、エッチング耐性をより向上させる観点から、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0096】
一般式(I)中、
R
41、R
42及びR
43は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。但し、R
42はAr
41と結合して環を形成していてもよく、その場合のR
42は単結合又はアルキレン基を表す。
X
41は、単結合、−COO−、又は−CONR
64’−を表し、R
64’は、水素原子又はアルキル基を表す。
L
41は、単結合又は2価の連結基を表す。
Ar
41は、2価の芳香族炭化水素基を表し、R
42と結合して環を形成する場合には3価の芳香族炭化水素基を表す。
【0097】
一般式(I)におけるR
41、R
42、及びR
43で表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、及びドデシル基等の炭素数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上8以下のアルキル基がより好ましく、炭素数1以上3以下のアルキル基が更に好ましい。
【0098】
一般式(I)におけるR
41、R
42、及びR
43で表されるシクロアルキル基としては、単環でも、多環でもよい。置換基を有していてもよい、シクロプロピル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等の炭素数3〜8個で単環のシクロアルキル基が好ましい。
一般式(I)におけるR
41、R
42、及びR
43で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
一般式(I)におけるR
41、R
42、及びR
43で表されるアルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R
41、R
42、及びR
43におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
R
64’で表されるアルキル基は、上記R
41、R
42、及びR
43におけるアルキル基と同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0099】
上記各基における好ましい置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、及びニトロ基等が挙げられ、置換基の炭素数は8以下が好ましい。
【0100】
Ar
4は、2価の芳香族炭化水素基又は3価の芳香族炭化水素基を表す。2価の芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、及びアントラセニレン基等の炭素数6〜18のアリーレン基、又は、例えば、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、及びチアゾール等のヘテロ環を含む芳香族炭化水素基が好ましい。
【0101】
3価の芳香族炭化水素基の具体例としては、2価の芳香族炭化水素基の上記した具体例から、1個の任意の水素原子を除してなる基を好適に挙げることができる。
2価の芳香族炭化水素基、及び3価の芳香族炭化水素基は、それぞれ更に置換基を有していてもよい。
【0102】
上述したアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基、2価の芳香族炭化水素基、及び3価の芳香族炭化水素基が有し得る置換基としては、例えば、一般式(I)におけるR
41、R
42、及びR
43で挙げたアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、及びブトキシ基等のアルコキシ基;フェニル基等のアリール基;等が挙げられる。
X
4により表される−CONR
64−(R
64は、水素原子又はアルキル基を表す)におけるR
64のアルキル基としては、置換基を有していてもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、及びドデシル基等の炭素数20以下のアルキル基が好ましく、炭素数8以下のアルキル基がより好ましい。
X
4としては、単結合、−COO−、又は−CONH−が好ましく、単結合、又は−COO−がより好ましい。
【0103】
L
4としての2価の連結基としては、アルキレン基であることが好ましく、アルキレン基としては、置換基を有していてもよい、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、及びオクチレン基等の炭素数1〜8のアルキレン基が好ましい。
Ar
4としては、置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が好ましく、ベンゼン環基、ナフタレン環基、又はビフェニレン環基がより好ましい。なかでも、一般式(I)で表される繰り返し単位は、ヒドロキシスチレンに由来する繰り返し単位であることが好ましい。即ち、Ar
4は、ベンゼン環基であることが好ましい。
【0104】
以下、一般式(I)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0106】
上記一般式(I)で表される繰り返し単位の中でも、下記の一般式(4)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0108】
樹脂(A)は、一般式(I)で表される繰り返し単位を1種単独で有していてよく、2種以上を併用して有していてもよい。
樹脂(A)において、一般式(I)で表される繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、5モル%以上であり、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%であることがより好ましく、10〜30モル%であることが更に好ましい。
【0109】
(繰り返し単位(B1))
レジスト膜に含まれる溶剤が揮発されることに伴い発生する応力に対する耐性が上がり、クラックが抑制されることから、樹脂(A)は、上記した繰り返し単位以外に、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度(Tg)が80℃以下であるモノマーを由来とする繰り返し単位である繰り返し単位(B1)を含有することが好ましい。
繰り返し単位(B1)は、酸分解性基を有さないことが好ましい。
上記モノマーは、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度(Tg)が80℃以下であれば特に限定されないが、クラックの発生がより抑制できるという観点で、Tgが50℃以下であることが好ましく、Tgが30℃以下であることが更に好ましい。下限は特に制限されないが、典型的には、−80℃以上である。
【0110】
(ホモポリマーのガラス転移温度の測定方法)
ホモポリマーのガラス転移温度は、カタログ値又は文献値がある場合はその値を採り、無い場合には、示差走査熱量測定(DSC:Differential scanning calorimetry)法によって測定する。Tgの測定に供するホモポリマーの重量平均分子量(Mw)は18000とし、分散度(Mw/Mn)は1.7とする。DSC装置としては、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)社製熱分析DSC示差走査熱量計Q1000型を用い、昇温速度は10℃/minで測定する。
なお、Tgの測定に供するホモポリマーは、対応するモノマーを用いて公知の方法で合成すればよく、例えば一般的な滴下重合法などで合成することができる。以下に一例を示す。
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)54質量部を窒素気流下、80℃に加熱した。この液を攪拌しながら、対応するモノマー21質量%、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル0.35質量%を含むPGMEA溶液125質量部を6時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で更に2時間攪拌した。反応液を放冷後、多量のメタノール/水(質量比9:1)で再沈殿、ろ過し、得られた固体を乾燥することでホモポリマー(Mw:18000、Mw/Mn:1.7)を得た。得られたホモポリマーをDSC測定に供した。DSC装置及び昇温速度は前述のとおりとした。
【0111】
また、上記繰り返し単位(B1)としては、レジスト膜に含まれる溶剤が揮発されることに伴い発生する応力に対する耐性が更に上がり、クラックが抑制されることから、ヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数が2以上の非酸分解性鎖状アルキル基を有する繰り返し単位であることが好ましい。本明細書において「非酸分解性」とは、光酸発生剤が発生する酸により、脱離/分解反応が起こらない性質を有することを意味する。
つまり、「非酸分解性鎖状アルキル基」とは、より具体的には、光酸発生剤が発生する酸の作用により樹脂(A)から脱離しない鎖状アルキル基、又は、光酸発生剤が発生する酸の作用により分解しない鎖状アルキル基が挙げられる。
以下、ヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数が2以上の非酸分解性鎖状アルキル基を有する繰り返し単位について説明する。
【0112】
非酸分解性鎖状アルキル基の炭素数は、2以上であれば特に限定されない。ホモポリマーのTgが50℃以下とする観点から、上記非酸分解性鎖状アルキル基の炭素数の上限は、例えば20以下である。
【0113】
ヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数が2以上の非酸分解性鎖状アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数が2〜20の鎖状(直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。)アルキル基、及び、ヘテロ原子を含有する炭素数2〜20の鎖状アルキル基が挙げられる。
ヘテロ原子を含有する炭素数2〜20の鎖状アルキル基としては、例えば、1つ又は2つ以上の−CH
2−が、−O−、−S−、−CO−、−NR
6−、又はこれらを2以上組み合わせた2価の有機基で置換された鎖状アルキル基が挙げられる。上記R
6は、水素原子、又は炭素数が1〜6のアルキル基を表す。
ヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数が2以上の非酸分解性鎖状アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソブチル基、sec−ブチル基、1−エチルペンチル基、及び2−エチルヘキシル基、並びに、これらの1つ又は2つ以上の−CH
2−が−O−又は−O−CO−で置換された1価のアルキル基が挙げられる。
【0114】
ヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数が2以上の非酸分解性鎖状アルキル基の炭素数としては、耐クラック性により優れる点で、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。
なお、炭素数が2以上の非酸分解性鎖状アルキル基は、置換基(例えば置換基群T)を有していてもよい。
【0115】
ヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数が2以上の非酸分解性鎖状アルキル基を有する、繰り返し単位としては、本発明の効果により優れる点で、なかでも、下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0117】
一般式(1−1)中、R
1は、水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基を表す。R
2は、ヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数が2以上の非酸分解性鎖状アルキル基を表す。
【0118】
R
1で表されるハロゲン原子としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
R
1で表されるアルキル基(直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよい。)としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、及びtert−ブチル基等が挙げられる。なかでも、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
R
1としては、なかでも、水素原子又はメチル基が好ましい。
【0119】
R
2で表されるヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数が2以上の非酸分解性鎖状アルキル基の定義及び好適態様は、上述した通りである。
【0120】
また、上記繰り返し単位(B1)としては、レジスト膜に含まれる溶剤が揮発されることに伴い発生する応力に対する耐性が更に上がり、クラックが抑制されることから、カルボキシ基又は水酸基を有する、ヘテロ原子を含んでいてもよい、非酸分解性アルキル基を有する繰り返し単位であってもよい。
以下、カルボキシ基又は水酸基を有する、ヘテロ原子を含んでいてもよい、非酸分解性アルキル基を有する繰り返し単位について説明する。
【0121】
非酸分解性アルキル基としては、鎖状(直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。)及び環状のいずれであってもよい。
非酸分解性アルキル基の炭素数は、2以上が好ましく、ホモポリマーのTgが50℃以下とする観点から、上記非酸分解性アルキル基の炭素数の上限は、例えば20以下である。
【0122】
ヘテロ原子を含んでいてもよい、非酸分解性アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数が2〜20のアルキル基、及び、ヘテロ原子を含有する炭素数2〜20のアルキル基が挙げられる。なお、上記アルキル基中の水素原子の少なくとも一つは、カルボキシ基又は水酸基で置換されている。
ヘテロ原子を含有する炭素数2〜20のアルキル基としては、例えば、1つ又は2つ以上の−CH
2−が、−O−、−S−、−CO−、−NR
6−、又はこれらを2以上組み合わせた2価の有機基で置換されたアルキル基が挙げられる。上記R
6は、水素原子、又は炭素数が1〜6のアルキル基を表す。
ヘテロ原子を含んでいてもよい、非酸分解性アルキル基の具体例としては、上述した非酸分解性鎖状アルキル基のほか、例えば、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0123】
ヘテロ原子を含んでいてもよい、非酸分解性アルキル基の炭素数としては、耐クラック性により優れる点で、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。
なお、非酸分解性アルキル基は、置換基(例えば置換基群T)を有していてもよい。
【0124】
カルボキシ基又は水酸基を有する、ヘテロ原子を含んでいてもよい、非酸分解性アルキル基を有する繰り返し単位としては、なかでも、下記一般式(1−2)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0126】
一般式(1−2)中、R
3は、水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基を表す。R
4は、カルボキシ基又は水酸基を有する、ヘテロ原子を含んでいてもよい、非酸分解性アルキル基を表す。
【0127】
一般式(1−2)中、R
3は、上述したR
1と同義であり、好ましい態様も同じである。
【0128】
R
4で表されるカルボキシ基又は水酸基を有する、ヘテロ原子を含んでいてもよい、非酸分解性アルキル基の定義及び好適態様は、上述した通りである。なかでも、R
4としては、カルボキシ基又は水酸基を有する、ヘテロ原子を含んでいてもよい環状アルキレン基が好ましい。
【0129】
上記一般式(1−1)で表される繰り返し単位又は一般式(1−2)で表される繰り返し単位を構成するモノマーとしては、例えば、エチルアクリレート(−22℃)、n−プロピルアクリレート(−37℃)、イソプロピルアクリレート(−5℃)、n−ブチルアクリレート(−55℃)、n−ブチルメタクリレート(20℃)、n−へキシルアクリレート(−57℃)、2−エチルへキシルアクリレート(−70℃)、イソノニルアクリレート(−82℃)、ラウリルメタアクリレート(−65℃)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(−15℃)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(26℃)、コハク酸1−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](9℃)、2−エチルへキシルメタクリレート(−10℃)、sec−ブチルアクリレート(−26℃)、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=2)(−20℃)、ヘキサデシルアクリレート(35℃)、及び2−エチルへキシルメタアクリレート(−10℃)、シクロヘキシルメタクリレート(65℃)、シクロヘキシルアクリレート(15℃)等が挙げられる。なお、括弧内は、ホモポリマーとしたときのTg(℃)を表す。
【0130】
樹脂(A)は、繰り返し単位(B1)を、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
樹脂(A)において、繰り返し単位(B1)の含有量(繰り返し単位(B1)が複数存在する場合はその合計)は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、5モル%以上が好ましく、5〜50モル%がより好ましく、5〜40モル%が更に好ましく、5〜30モル%が特に好ましい。
【0131】
(その他の繰り返し単位)
樹脂(A)は、上記した繰り返し単位以外に、その他の繰り返し単位を含有してもよい。
以下に、樹脂(A)が含有し得るその他の繰り返し単位について詳述する。
【0132】
樹脂(A)は、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
【0133】
ラクトン構造又はスルトン構造としては、ラクトン構造又はスルトン構造を有していればよく、5〜7員環ラクトン構造又は5〜7員環スルトン構造が好ましい。なかでも、ビシクロ構造若しくはスピロ構造を形成する形で5〜7員環ラクトン構造に他の環構造が縮環しているもの、又は、ビシクロ構造若しくはスピロ構造を形成する形で5〜7員環スルトン構造に他の環構造が縮環しているもの、がより好ましい。
樹脂(A)は、下記一般式(LC1−1)〜(LC1−21)のいずれかで表されるラクトン構造、又は、下記一般式(SL1−1)〜(SL1−3)のいずれかで表されるスルトン構造を有する繰り返し単位を有することが更に好ましい。また、ラクトン構造又はスルトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましい構造としては、一般式(LC1−1)、一般式(LC1−4)、一般式(LC1−5)、一般式(LC1−8)、一般式(LC1−16)、若しくは一般式(LC1−21)で表されるラクトン構造、又は、一般式(SL1−1)で表されるスルトン構造が挙げられる。
【0135】
ラクトン構造部分又はスルトン構造部分は、置換基(Rb
2)を有していても、有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb
2)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、及び酸分解性基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、又は酸分解性基が好ましい。n
2は、0〜4の整数を表す。n
2が2以上の時、複数存在する置換基(Rb
2)は、同一でも異なっていてもよい。また、複数存在する置換基(Rb
2)同士が結合して環を形成してもよい。
【0136】
ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(III)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0138】
上記一般式(III)中、
Aは、エステル結合(−COO−で表される基)又はアミド結合(−CONH−で表される基)を表す。
nは、−R
0−Z−で表される構造の繰り返し数であり、0〜5の整数を表し、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。nが0である場合、−R
0−Z−は存在せず、単結合となる。
R
0は、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。R
0が複数個ある場合、R
0は、各々独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。
Zは、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表す。Zが複数個ある場合には、Zは、各々独立に、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表す。
R
8は、ラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基を表す。
R
7は、水素原子、ハロゲン原子又は1価の有機基(好ましくはメチル基)を表す。
【0139】
R
0のアルキレン基又はシクロアルキレン基は置換基を有してもよい。
Zとしては、エーテル結合、又はエステル結合が好ましく、エステル結合がより好ましい。
【0140】
樹脂(A)は、カーボネート構造を有する繰り返し単位を有していてもよい。カーボネート構造は、環状炭酸エステル構造であることが好ましい。
環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位は、下記一般式(A−1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【0142】
一般式(A−1)中、R
A1は、水素原子、ハロゲン原子又は1価の有機基(好ましくはメチル基)を表す。
nは0以上の整数を表す。
R
A2は、置換基を表す。nが2以上の場合、R
A2は、各々独立して、置換基を表す。
Aは、単結合、又は2価の連結基を表す。
Zは、式中の−O−C(=O)−O−で表される基と共に単環構造又は多環構造を形成する原子団を表す。
【0143】
樹脂(A)は、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位として、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0370]〜[0414]に記載の繰り返し単位を有することも好ましい。
【0144】
樹脂(A)は、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位を、1種単独で有していてよく、2種以上を併用して有していてもよい。
【0145】
以下に一般式(III)で表される繰り返し単位に相当するモノマーの具体例、及び一般式(A−1)で表される繰り返し単位に相当するモノマーの具体例を挙げるが、本発明は、これらの具体例に限定されない。下記の具体例は、一般式(III)におけるR
7及び一般式(A−1)におけるR
A1がメチル基である場合に相当するが、R
7及びR
A1は、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基に任意に置換することができる。
【0147】
上記モノマーの他に、下記に示すモノマーも樹脂(A)の原料として好適に用いられる。
【0149】
樹脂(A)に含まれるラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位の含有量(ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位が複数存在する場合はその合計)は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、5〜30モル%が好ましく、10〜30モル%がより好ましく、20〜30モル%が更に好ましい。
【0150】
樹脂(A)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性、標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、又は、更にレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有していてもよい。
このような繰り返し構造単位としては、所定の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0151】
所定の単量体としては、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、及びビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等が挙げられる。
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物を用いてもよい。
樹脂(A)において、各繰り返し構造単位の含有モル比は、種々の性能を調節するために適宜設定される。
【0152】
(樹脂(A)の重合方法)
樹脂(A)は、常法(例えばラジカル重合)に従って合成できる。一般的な合成方法としては、例えば、(1)モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、(2)モノマー種と開始剤を含有する溶液を1〜10時間かけて滴下することにより加熱溶剤へ加える滴下重合法等が挙げられ、なかでも(2)の滴下重合法が好ましい。
【0153】
重合の際の反応溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、及びジイソプロピルエーテル等のエーテル類、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル溶剤、ジメチルホルムアミド、及びジメチルアセトアミド等のアミド類、並びに、後述するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、及びシクロヘキサノン等の本発明の組成物を溶解する溶剤が挙げられる。重合の際の反応溶剤としては、なかでも、本発明の組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いることが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
【0154】
重合反応は、窒素及びアルゴン等の不活性ガスの雰囲気下で行われることが好ましい。重合反応には、重合開始剤として市販のラジカル開始剤(例えば、アゾ系開始剤、及びパーオキサイド等)を用いることが望ましい。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、又はカルボキシル基を有するアゾ系開始剤がより好ましい。このようなアゾ系開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、及びジメチル2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が挙げられる。
重合反応には、上述のとおり重合開始剤を任意で添加してもよい。重合開始剤の系中への添加方法は特に限定されず、一括で添加する態様であっても、分割して複数回に分けて添加する態様であってもよい。重合反応に際して、反応液の固形分濃度は、通常5〜60質量%であり、10〜50質量%が好ましい。反応温度は、通常10〜150℃であり、30〜120℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。反応終了後、溶剤に投入して粉体又は固形分を回収する方法等の方法により、重合体を回収する。
【0155】
樹脂(A)の重量平均分子量は、1,000〜200,000が好ましく、2,000〜30,000がより好ましく、3,000〜25,000が更に好ましい。分散度(Mw/Mn)は、通常1.0〜3.0であり、1.0〜2.6が好ましく、1.0〜2.0がより好ましく、1.1〜2.0が更に好ましい。
【0156】
樹脂(A)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物中、樹脂(A)の含有量は、全固形分中に対して、一般的に20質量%以上の場合が多く、40質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、99.5質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましく、98質量%以下が更に好ましい。
【0157】
(固形分濃度)
本発明のレジスト組成物は、固形分濃度が10質量%以上であることが好ましい。この結果として、例えば、膜厚が1μm以上(好ましくは10μm以上)の厚膜のパターンを形成することが容易となる。なお、固形分濃度とは、本発明の組成物の総質量に対する、溶剤を除く他のレジスト成分(レジスト膜を構成し得る成分)の質量の質量百分率を意図する。
【0158】
<光酸発生剤>
本発明の組成物は、典型的には、光酸発生剤を含有することが好ましい。
光酸発生剤は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物である。
光酸発生剤としては、活性光線又は放射線の照射により有機酸を発生する化合物が好ましい。例えば、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、ジアゾニウム塩化合物、ホスホニウム塩化合物、イミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート化合物、ジアゾジスルホン化合物、ジスルホン化合物、及びo−ニトロベンジルスルホネート化合物が挙げられる。
【0159】
光酸発生剤としては、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物を、単独又はそれらの混合物として適宜選択して使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0125]〜[0319]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0086]〜[0094]、及び、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0323]〜[0402]に開示された公知の化合物を好適に使用できる。
【0160】
光酸発生剤としては、例えば、下記一般式(ZI)、一般式(ZII)又は一般式(ZIII)で表される化合物が好ましい。
【0162】
上記一般式(ZI)において、
R
201、R
202及びR
203は、各々独立に、有機基を表す。
R
201、R
202及びR
203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30であり、好ましくは1〜20である。
また、R
201〜R
203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R
201〜R
203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)及び−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−が挙げられる。
Z
−は、アニオン(非求核性アニオンが好ましい。)を表す。
【0163】
一般式(ZI)におけるカチオンの好適な態様としては、後述する化合物(ZI−1)、化合物(ZI−2)、一般式(ZI−3)で表される化合物(化合物(ZI−3))及び一般式(ZI−4)で表される化合物(化合物(ZI−4))における対応する基が挙げられる。
なお、光酸発生剤は、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR
201〜R
203の少なくとも1つと、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR
201〜R
203の少なくとも一つとが、単結合又は連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0164】
まず、化合物(ZI−1)について説明する。
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR
201〜R
203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、すなわち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R
201〜R
203の全てがアリール基でもよいし、R
201〜R
203の一部がアリール基であり、残りがアルキル基又はシクロアルキル基であってもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、及びアリールジシクロアルキルスルホニウム化合物が挙げられる。
【0165】
アリールスルホニウム化合物に含まれるアリール基としては、フェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。アリール基は、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、ピロール残基、フラン残基、チオフェン残基、インドール残基、ベンゾフラン残基、及びベンゾチオフェン残基等が挙げられる。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖状アルキル基、炭素数3〜15の分岐鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0166】
R
201〜R
203のアリール基、アルキル基、及びシクロアルキル基は、各々独立に、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、又はフェニルチオ基を置換基として有してもよい。
【0167】
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR
201〜R
203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含む芳香族環も包含する。
R
201〜R
203としての芳香環を有さない有機基は、一般的に炭素数1〜30であり、炭素数1〜20が好ましい。
R
201〜R
203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又はビニル基であり、より好ましくは直鎖状又は分岐鎖状の2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、又はアルコキシカルボニルメチル基、更に好ましくは直鎖状又は分岐鎖状の2−オキソアルキル基である。
【0168】
R
201〜R
203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖状アルキル基又は炭素数3〜10の分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基)、及び、炭素数3〜10のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びノルボルニル基)が挙げられる。
R
201〜R
203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、又はニトロ基によって更に置換されていてもよい。
【0169】
次に、化合物(ZI−3)について説明する。
【0171】
一般式(ZI−3)中、Mは、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表し、環構造を有するとき、上記環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、及び炭素−炭素二重結合の少なくとも1種を含んでいてもよい。R
1c及びR
2cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。R
1cとR
2cとが結合して環を形成してもよい。R
x及びR
yは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、又はアルケニル基を表す。R
x及びR
yが結合して環を形成してもよい。また、M、R
1c及びR
2cから選ばれる少なくとも2つが結合して環構造を形成してもよく、上記環構造に炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。Z
−は、アニオンを表す。
【0172】
一般式(ZI−3)中、Mで表されるアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1〜15(好ましくは炭素数1〜10)の直鎖状アルキル基、炭素数3〜15(好ましくは炭素数3〜10)の分岐鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15(好ましくは炭素数1〜10)のシクロアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、及びシクロヘキシル基、及びノルボルニル基等が挙げられる。
Mで表されるアリール基としては、フェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。アリール基は、酸素原子又は硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、及びベンゾチオフェン環等が挙げられる。
【0173】
上記Mは、更に置換基(例えば、置換基群T)を有していてもよい。この態様として、例えば、Mとしてベンジル基などが挙げられる。
なお、Mが環構造を有する場合、上記環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、及び、炭素−炭素二重結合の少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0174】
R
1c及びR
2cで表されるアルキル基、シクロアルキル基、及びアリール基としては、上述したMと同様のものが挙げられ、その好ましい態様も同じである。また、R
1cとR
2cは、結合して環を形成してもよい。
R
1c及びR
2cで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
【0175】
R
x及びR
yで表されるアルキル基、及びシクロアルキル基としては、上述したMと同様のものが挙げられ、その好ましい態様も同じである。
R
x及びR
yで表されるアルケニル基としては、アリル基又はビニル基が好ましい。
上記R
x及びR
yは、更に置換基(例えば、置換基群T)を有していてもよい。この態様として、例えば、R
x及びR
yとして2−オキソアルキル基又はアルコキシカルボニルアルキル基などが挙げられる。
R
x及びR
yで表される2−オキソアルキル基としては、例えば、炭素数1〜15(好ましくは炭素数1〜10)のものが挙げられ、具体的には、2−オキソプロピル基、及び2−オキソブチル基等が挙げられる。
R
x及びR
yで表されるアルコキシカルボニルアルキル基としては、例えば、炭素数1〜15(好ましくは炭素数1〜10)のものが挙げられる。また、R
xとR
yは、結合して環を形成してもよい。
R
xとR
yとが互いに連結して形成される環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、又は、炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。
【0176】
一般式(ZI−3)中、MとR
1cとが結合して環構造を形成してもよく、形成される環構造は、炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。
【0177】
上記化合物(ZI−3)は、なかでも、化合物(ZI−3A)であることが好ましい。
化合物(ZI−3A)は、下記一般式(ZI−3A)で表され、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
【0179】
一般式(ZI−3A)中、
R
1c〜R
5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表す。
R
6c及びR
7cとしては、上述した一般式(ZI−3)中のR
2及びR
3と同義であり、その好ましい態様も同じである。
R
x及びR
yとしては、上述した上述した一般式(ZI−3)中のR
x及びR
yと同義であり、その好ましい態様も同じである。
【0180】
R
1c〜R
5c中のいずれか2つ以上、R
xとR
yは、各々結合して環構造を形成してもよく、この環構造は、各々独立に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、又は、炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。また、R
5c及びR
6c、R
5c及びR
xは、各々結合して環構造を形成してもよく、この環構造は、各々独立に炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。また、R
6cとR
7cは、各々結合して環構造を形成してもよい。
上記環構造としては、芳香族又は非芳香族の炭化水素環、芳香族又は非芳香族の複素環、及びこれらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環が挙げられる。環構造としては、3〜10員環が挙げられ、4〜8員環が好ましく、5又は6員環がより好ましい。
【0181】
R
1c〜R
5c中のいずれか2つ以上、R
6cとR
7c、及びR
xとR
yが結合して形成する基としては、ブチレン基、及びペンチレン基等が挙げられる。
R
5cとR
6c、及びR
5cとR
xが結合して形成する基としては、単結合又はアルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、メチレン基、及びエチレン基等が挙げられる。
Zc
−は、アニオンを表す。
【0182】
次に、化合物(ZI−4)について説明する。
化合物(ZI−4)は、下記一般式(ZI−4)で表される。
【0184】
一般式(ZI−4)中、
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜8の整数を表す。
R
13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又は単環若しくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
R
14は、複数存在する場合は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又は単環若しくは多環のシクロアルキル骨格を有するアルコキシ基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
R
15は、各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、又はナフチル基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。2つのR
15が互いに結合して環を形成してもよい。2つのR
15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、又は窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよい。一態様において、2つのR
15がアルキレン基であり、互いに結合して環構造を形成することが好ましい。
Z
−は、アニオンを表す。
【0185】
一般式(ZI−4)において、R
13、R
14及びR
15のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状である。アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、又はt−ブチル基等がより好ましい。
【0186】
次に、一般式(ZII)、及び(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)、及び(ZIII)中、R
204〜R
207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
R
204〜R
207のアリール基としてはフェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R
204〜R
207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基の骨格としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、及びベンゾチオフェン等が挙げられる。
R
204〜R
207のアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖状アルキル基又は炭素数3〜10の分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基)、又は、炭素数3〜10のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びノルボルニル基)が好ましい。
【0187】
R
204〜R
207のアリール基、アルキル基、及びシクロアルキル基は、各々独立に、置換基を有していてもよい。R
204〜R
207のアリール基、アルキル基、及びシクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、及びフェニルチオ基等が挙げられる。
Z
−は、アニオンを表す。
【0188】
一般式(ZI)におけるZ
−、一般式(ZII)におけるZ
−、一般式(ZI−3)におけるZc
−、及び一般式(ZI−4)におけるZ
−としては、下記一般式(3)で表されるアニオンが好ましい。
【0190】
一般式(3)中、
oは、1〜3の整数を表す。pは、0〜10の整数を表す。qは、0〜10の整数を表す。
【0191】
Xfは、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。このアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜4がより好ましい。また、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロアルキル基が好ましい。
Xfは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子又はCF
3であることがより好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが更に好ましい。
【0192】
R
4及びR
5は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R
4及びR
5が複数存在する場合、R
4及びR
5は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
R
4及びR
5で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、炭素数1〜4が好ましい。R
4及びR
5は、好ましくは水素原子である。
少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基の具体例及び好適な態様は一般式(3)中のXfの具体例及び好適な態様と同じである。
【0193】
Lは、2価の連結基を表す。Lが複数存在する場合、Lは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
2価の連結基としては、例えば、−COO−(−C(=O)−O−)、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO
2−、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜15)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜6)及びこれらの複数を組み合わせた2価の連結基等が挙げられる。これらの中でも、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CO−、−O−、−SO
2−、−COO−アルキレン基−、−OCO−アルキレン基−、−CONH−アルキレン基−又は−NHCO−アルキレン基−が好ましく、−COO−、−OCO−、−CONH−、−SO
2−、−COO−アルキレン基−又は−OCO−アルキレン基−がより好ましい。
【0194】
Wは、環状構造を含む有機基を表す。これらの中でも、環状の有機基であることが好ましい。
環状の有機基としては、例えば、脂環基、アリール基、及び複素環基が挙げられる。
脂環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。単環式の脂環基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環基としては、例えば、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が挙げられる。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基等の炭素数7以上の嵩高い構造を有する脂環基が好ましい。
【0195】
アリール基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基及びアントリル基が挙げられる。
複素環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。多環式の方がより酸の拡散を抑制可能である。また、複素環基は、芳香族性を有していてもよいし、芳香族性を有していなくてもよい。芳香族性を有している複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、及びピリジン環が挙げられる。芳香族性を有していない複素環としては、例えば、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、スルトン環及びデカヒドロイソキノリン環が挙げられる。ラクトン環及びスルトン環の例としては、前述の樹脂において例示したラクトン構造及びスルトン構造が挙げられる。複素環基における複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、又はデカヒドロイソキノリン環が特に好ましい。
【0196】
上記環状の有機基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよく、炭素数1〜12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、及び、スピロ環のいずれであってもよく、炭素数3〜20が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、水酸基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、及びスルホン酸エステル基が挙げられる。なお、環状の有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であってもよい。
【0197】
一般式(3)で表されるアニオンとしては、SO
3−−CF
2−CH
2−OCO−(L)q’−W、SO
3−−CF
2−CHF−CH
2−OCO−(L)q’−W、SO
3−−CF
2−COO−(L)q’−W、SO
3−−CF
2−CF
2−CH
2−CH
2−(L)q−W、SO
3−−CF
2−CH(CF
3)−OCO−(L)q’−Wが好ましい。ここで、L、q及びWは、一般式(3)と同様である。q’は、0〜10の整数を表す。
【0198】
一態様において、一般式(ZI)におけるZ
-、一般式(ZII)におけるZ
-、一般式(ZI−3)におけるZc
−、及び一般式(ZI−4)におけるZ
-としては、下記の一般式(4)で表されるアニオンも好ましい。
【0200】
一般式(4)中、
X
B1及びX
B2は、各々独立に、水素原子、又はフッ素原子を有さない1価の有機基を表す。X
B1及びX
B2は、水素原子であることが好ましい。
X
B3及びX
B4は、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表す。X
B3及びX
B4の少なくとも一方がフッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基であることが好ましく、X
B3及びX
B4の両方がフッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基であることがより好ましい。X
B3及びX
B4の両方が、フッ素原子で置換されたアルキル基であることが更に好ましい。
L、q及びWは、一般式(3)と同様である。
【0201】
一般式(ZI)におけるZ
-、一般式(ZII)におけるZ
-、一般式(ZI−3)におけるZc
−、及び一般式(ZI−4)におけるZ
-は、ベンゼンスルホン酸アニオンであってもよく、分岐鎖状アルキル基又はシクロアルキル基によって置換されたベンゼンスルホン酸アニオンであることが好ましい。
【0202】
一般式(ZI)におけるZ
-、一般式(ZII)におけるZ
-、一般式(ZI−3)におけるZc
−、及び一般式(ZI−4)におけるZ
-としては、下記の一般式(SA1)で表される芳香族スルホン酸アニオンも好ましい。
【0204】
式(SA1)中、
Arは、アリール基を表し、スルホン酸アニオン及び−(D−B)基以外の置換基を更に有していてもよい。更に有してもよい置換基としては、フッ素原子及び水酸基等が挙げられる。
【0205】
nは、0以上の整数を表す。nとしては、1〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、3が更に好ましい。
【0206】
Dは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基、スルホン酸エステル基、エステル基、及び、これらの2種以上の組み合わせからなる基等が挙げられる。
【0208】
好ましくは、Dは単結合であり、Bは脂肪族炭化水素構造である。Bは、イソプロピル基又はシクロヘキシル基がより好ましい。
【0209】
一般式(ZI)におけるスルホニウムカチオン、及び一般式(ZII)におけるヨードニウムカチオンの好ましい例を以下に示す。
【0211】
一般式(ZI)、一般式(ZII)におけるアニオンZ
-、一般式(ZI−3)におけるZc
−、及び一般式(ZI−4)におけるZ
-の好ましい例を以下に示す。
【0215】
上記のカチオン及びアニオンを任意に組みわせて光酸発生剤として使用できる。
【0216】
光酸発生剤は、低分子化合物の形態であってもよく、重合体の一部に組み込まれた形態であってもよい。また、低分子化合物の形態と重合体の一部に組み込まれた形態を併用してもよい。
光酸発生剤は、低分子化合物の形態であることが好ましい。
光酸発生剤が、低分子化合物の形態である場合、分子量は3,000以下が好ましく、2,000以下がより好ましく、1,000以下が更に好ましい。
光酸発生剤が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、前述した樹脂(A)の一部に組み込まれてもよく、樹脂(A)とは異なる樹脂に組み込まれてもよい。
光酸発生剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物中、光酸発生剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜35質量%が好ましく、0.5〜25質量%がより好ましく、1〜20質量%が更に好ましく、1〜15質量%が特に好ましい。
光酸発生剤として、上記一般式(ZI−3)又は(ZI−4)で表される化合物を含有する場合、組成物中に含まれる光酸発生剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、1〜35質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。
【0217】
<酸拡散制御剤>
本発明の組成物は、酸拡散制御剤を含有することが好ましい。酸拡散制御剤は、露光時に光酸発生剤等から発生する酸をトラップし、余分な発生酸による、未露光部における酸分解性樹脂の反応を抑制するクエンチャーとして作用する。例えば、塩基性化合物(DA)、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(DB)、酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DD)、又はカチオン部に窒素原子を有するオニウム塩化合物(DE)等を酸拡散制御剤として使用できる。本発明の組成物においては、公知の酸拡散制御剤を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0627]〜[0664]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0095]〜[0187]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0403]〜[0423]、及び、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0259]〜[0328]に開示された公知の化合物を酸拡散制御剤(D)として好適に使用できる。
【0218】
塩基性化合物(DA)としては、下記式(A)〜(E)で示される構造を有する化合物が好ましい。
【0220】
一般式(A)及び(E)中、
R
200、R
201及びR
202は、同一でも異なってもよく、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(炭素数6〜20)を表す。R
201とR
202は、互いに結合して環を形成してもよい。
R
203、R
204、R
205及びR
206は、同一でも異なってもよく、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を表す。
【0221】
一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、置換基を有していても無置換であってもよい。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜20のシアノアルキル基が好ましい。
一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
【0222】
塩基性化合物(DA)としては、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、又はピペリジン等が好ましく、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造若しくはピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/若しくはエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、又は、水酸基及び/若しくはエーテル結合を有するアニリン誘導体等がより好ましい。
【0223】
活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(DB)(以下、「化合物(DB)」ともいう。)は、プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解して、プロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化する化合物である。
【0224】
プロトンアクセプター性官能基とは、プロトンと静電的に相互作用し得る基又は電子を有する官能基であって、例えば、環状ポリエーテル等のマクロサイクリック構造を有する官能基、又は、π共役に寄与しない非共有電子対をもった窒素原子を有する官能基を意味する。π共役に寄与しない非共有電子対を有する窒素原子とは、例えば、下記式に示す部分構造を有する窒素原子である。
【0226】
プロトンアクセプター性官能基の好ましい部分構造として、例えば、クラウンエーテル構造、アザクラウンエーテル構造、1〜3級アミン構造、ピリジン構造、イミダゾール構造、及びピラジン構造等が挙げられる。
【0227】
化合物(DB)は、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下若しくは消失し、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する。ここでプロトンアクセプター性の低下若しくは消失、又はプロトンアクセプター性から酸性への変化とは、プロトンアクセプター性官能基にプロトンが付加することに起因するプロトンアクセプター性の変化であり、具体的には、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物(DB)とプロトンとからプロトン付加体が生成するとき、その化学平衡における平衡定数が減少することを意味する。
プロトンアクセプター性は、pH測定を行うことによって確認することができる。
【0228】
活性光線又は放射線の照射により化合物(DB)が分解して発生する化合物の酸解離定数pKaは、pKa<−1を満たすことが好ましく、−13<pKa<−1を満たすことがより好ましく、−13<pKa<−3を満たすことが更に好ましい。
【0229】
酸解離定数pKaとは、水溶液中での酸解離定数pKaのことを表し、例えば、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に定義される。酸解離定数pKaの値が低いほど酸強度が大きいことを示す。水溶液中での酸解離定数pKaは、具体的には、無限希釈水溶液を用い、25℃での酸解離定数を測定することにより実測できる。あるいは、下記ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を、計算により求めることもできる。本明細書中に記載したpKaの値は、全て、このソフトウェアパッケージを用いて計算により求めた値を示す。
【0230】
ソフトウェアパッケージ1: Advanced Chemistry Development (ACD/Labs) Software V8.14 for Solaris (1994−2007 ACD/Labs)。
【0231】
本発明の組成物では、光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)を酸拡散制御剤として使用できる。
光酸発生剤と、光酸発生剤から生じた酸に対して相対的に弱酸である酸を発生するオニウム塩とを混合して用いた場合、活性光線性又は放射線の照射により光酸発生剤から生じた酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると、塩交換により弱酸を放出して強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため、見かけ上、酸が失活して酸拡散の制御を行うことができる。
【0232】
光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩としては、下記一般式(d1−1)〜(d1−3)で表される化合物が好ましい。
【0234】
式中、R
51は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、Z
2cは置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基(但し、Sに隣接する炭素にはフッ素原子は置換されていないものとする)であり、R
52は有機基であり、Y
3は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基又はアリーレン基であり、Rfはフッ素原子を含む炭化水素基であり、M
+は各々独立に、アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンである。
【0235】
M
+として表されるスルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンの好ましい例としては、一般式(ZI)で例示したスルホニウムカチオン及び一般式(ZII)で例示したヨードニウムカチオンが挙げられる。
【0236】
光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)は、カチオン部位とアニオン部位を同一分子内に有し、かつ、カチオン部位とアニオン部位が共有結合により連結している化合物(以下、「化合物(DCA)」ともいう。)であってもよい。
化合物(DCA)としては、下記一般式(C−1)〜(C−3)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【0238】
一般式(C−1)〜(C−3)中、
R
1、R
2、及びR
3は、各々独立に炭素数1以上の置換基を表す。
L
1は、カチオン部位とアニオン部位とを連結する2価の連結基又は単結合を表す。
−X
−は、−COO
−、−SO
3−、−SO
2−、及び−N
−−R
4から選択されるアニオン部位を表す。R
4は、隣接するN原子との連結部位に、カルボニル基(−C(=O)−)、スルホニル基(−S(=O)
2−)、及びスルフィニル基(−S(=O)−)のうち少なくとも1つを有する1価の置換基を表す。
R
1、R
2、R
3、R
4、及びL
1は、互いに結合して環構造を形成してもよい。また、一般式(C−3)において、R
1〜R
3のうち2つを合わせて1つの2価の置換基を表し、N原子と2重結合により結合していてもよい。
【0239】
R
1〜R
3における炭素数1以上の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、及びアリールアミノカルボニル基等が挙げられる。好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基である。
【0240】
2価の連結基としてのL
1は、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、及びこれらの2種以上を組み合わせてなる基等が挙げられる。L
1は、好ましくは、アルキレン基、アリーレン基、エーテル結合、エステル結合、又はこれらの2種以上を組み合わせてなる基である。
【0241】
窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DD)(以下、「化合物(DD)」ともいう。)は、酸の作用により脱離する基を窒素原子上に有するアミン誘導体であることが好ましい。
酸の作用により脱離する基としては、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、又はヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、又はヘミアミナールエーテル基がより好ましい。
化合物(DD)の分子量は、100〜1000が好ましく、100〜700がより好ましく、100〜500が更に好ましい。
化合物(DD)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有してもよい。カルバメート基を構成する保護基としては、下記一般式(d−1)で表される。
【0243】
一般式(d−1)において、
Rbは、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30)、アリール基(好ましくは炭素数3〜30)、アラルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、又はアルコキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を表す。Rbは相互に結合して環を形成していてもよい。
Rbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、各々独立にヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい。Rbが示すアルコキシアルキル基についても同様である。
【0244】
Rbとしては、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はシクロアルキル基がより好ましい。
2つのRbが相互に連結して形成する環としては、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。
一般式(d−1)で表される基の具体的な構造としては、米国特許公報US2012/0135348A1号明細書の段落[0466]に開示された構造が挙げられるが、これに限定されない。
【0245】
化合物(DD)は、下記一般式(6)で表される構造を有することが好ましい。
【0247】
一般式(6)において、
lは0〜2の整数を表し、mは1〜3の整数を表し、l+m=3を満たす。
Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。lが2のとき、2つのRaは同じでも異なっていてもよく、2つのRaは相互に連結して式中の窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。この複素環には式中の窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。
Rbは、上記一般式(d−1)におけるRbと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(6)において、Raとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、各々独立にRbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基が置換されていてもよい基として前述した基と同様な基で置換されていてもよい。
【0248】
上記Raのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基(これらの基は、上記基で置換されていてもよい)の具体例としては、Rbについて前述した具体例と同様な基が挙げられる。
本発明における特に好ましい化合物(DD)の具体例としては、米国特許出願公開2012/0135348A1号明細書の段落[0475]に開示された化合物が挙げられるが、これに限定されない。
【0249】
カチオン部に窒素原子を有するオニウム塩化合物(DE)(以下、「化合物(DE)」ともいう。)は、カチオン部に窒素原子を含む塩基性部位を有する化合物であることが好ましい。塩基性部位は、アミノ基であることが好ましく、脂肪族アミノ基であることがより好ましい。塩基性部位中の窒素原子に隣接する原子の全てが、水素原子又は炭素原子であることが更に好ましい。また、塩基性向上の観点から、窒素原子に対して、電子求引性の官能基(カルボニル基、スルホニル基、シアノ基、及びハロゲン原子等)が直結していないことが好ましい。
化合物(DE)の好ましい具体例としては、米国特許出願公開2015/0309408A1号明細書の段落[0203]に開示された化合物が挙げられるが、これに限定されない。
【0250】
酸拡散制御剤の好ましい例を以下に示す。
【0253】
本発明の組成物において、酸拡散制御剤(D)は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸拡散制御剤の本発明の組成物中の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、0.05〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましい。
【0254】
<疎水性樹脂>
本発明の組成物は、疎水性樹脂を含有していてもよい。なお、疎水性樹脂は、樹脂(A)とは異なる樹脂であることが好ましい。
本発明の組成物が、疎水性樹脂を含有することにより、レジスト膜の表面における静的/動的な接触角を制御できる。これにより、現像特性の改善、アウトガスの抑制、液浸露光における液浸液追随性の向上、及び液浸欠陥の低減等が可能となる。
疎水性樹脂は、レジスト膜の表面に偏在するように設計されることが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。
【0255】
疎水性樹脂は、膜表層への偏在化の観点から、“フッ素原子”、“ケイ素原子”、及び“樹脂の側鎖部分に含有されたCH
3部分構造”からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位を有する樹脂であることが好ましい。
疎水性樹脂が、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含む場合、疎水性樹脂における上記フッ素原子及び/又はケイ素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
【0256】
疎水性樹脂がフッ素原子を含む場合、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又はフッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
【0257】
疎水性樹脂は、下記(x)〜(z)の群から選ばれる基を少なくとも1つを有することが好ましい。
(x)酸基
(y)アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(以下、極性変換基ともいう)
(z)酸の作用により分解する基
【0258】
酸基(x)としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及びトリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
酸基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、又はビス(アルキルカルボニル)メチレン基が好ましい。
【0259】
アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(y)としては、例えば、ラクトン基、カルボン酸エステル基(−COO−)、酸無水物基(−C(O)OC(O)−)、酸イミド基(−NHCONH−)、カルボン酸チオエステル基(−COS−)、炭酸エステル基(−OC(O)O−)、硫酸エステル基(−OSO
2O−)、及びスルホン酸エステル基(−SO
2O−)等が挙げられ、ラクトン基又はカルボン酸エステル基(−COO−)が好ましい。
これらの基を含んだ繰り返し単位としては、例えば、樹脂の主鎖にこれらの基が直接結合している繰り返し単位であり、例えば、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルによる繰り返し単位等が挙げられる。この繰り返し単位は、これらの基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合していてもよい。又は、この繰り返し単位は、これらの基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
ラクトン基を有する繰り返し単位としては、例えば、先に樹脂(A)の項で説明したラクトン構造を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。
【0260】
アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(y)を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂(E)中の全繰り返し単位に対して、1〜100モル%が好ましく、3〜98モル%がより好ましく、5〜95モル%が更に好ましい。
【0261】
疎水性樹脂(E)における、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位は、樹脂(A)で挙げた酸分解性基を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位は、フッ素原子及びケイ素原子の少なくともいずれかを有していてもよい。酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂(E)中の全繰り返し単位に対して、1〜80モル%が好ましく、10〜80モル%がより好ましく、20〜60モル%が更に好ましい。
疎水性樹脂(E)は、更に、上述した繰り返し単位とは別の繰り返し単位を有していてもよい。
【0262】
フッ素原子を含む繰り返し単位は、疎水性樹脂(E)中の全繰り返し単位に対して、10〜100モル%が好ましく、30〜100モル%がより好ましい。また、ケイ素原子を含む繰り返し単位は、疎水性樹脂(E)中の全繰り返し単位に対して、10〜100モル%が好ましく、20〜100モル%がより好ましい。
【0263】
一方、特に疎水性樹脂(E)が側鎖部分にCH
3部分構造を含む場合においては、疎水性樹脂(E)が、フッ素原子及びケイ素原子を実質的に含まない形態も好ましい。また、疎水性樹脂(E)は、炭素原子、酸素原子、水素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる原子のみによって構成された繰り返し単位のみで実質的に構成されることが好ましい。
【0264】
疎水性樹脂(E)の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましい。
【0265】
疎水性樹脂(E)に含まれる残存モノマー及び/又はオリゴマー成分の合計含有量は、0.01〜5質量%が好ましく、0.01〜3質量%がより好ましい。また、分散度(Mw/Mn)は、1〜5の範囲が好ましく、より好ましくは1〜3の範囲である。
【0266】
疎水性樹脂(E)としては、公知の樹脂を、単独又はそれらの混合物として適宜に選択して使用することができる。例えば、米国特許出願公開2015/0168830A1号明細書の段落[0451]〜[0704]、及び、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0340]〜[0356]に開示された公知の樹脂を疎水性樹脂(E)として好適に使用できる。また、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0177]〜[0258]に開示された繰り返し単位も、疎水性樹脂(E)を構成する繰り返し単位として好ましい。
【0267】
疎水性樹脂(E)を構成する繰り返し単位に相当するモノマーの好ましい例を以下に示す。
【0270】
疎水性樹脂(E)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
表面エネルギーが異なる2種以上の疎水性樹脂(E)を混合して使用することが、液浸露光における液浸液追随性と現像特性の両立の観点から好ましい。
疎水性樹脂(E)の組成物中の含有量は、本発明の組成物中の全固形分に対し、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜8質量%がより好ましい。
【0271】
<溶剤(F)>
本発明の組成物は、溶剤を含有することが好ましい。
本発明の組成物においては、公知のレジスト溶剤を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0665]〜[0670]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0210]〜[0235]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0424]〜[0426]、及び、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0357]〜[0366]に開示された公知の溶剤を好適に使用できる。
組成物を調製する際に使用できる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及びピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
【0272】
有機溶剤として、構造中に水酸基を有する溶剤と、水酸基を有さない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。
水酸基を有する溶剤、及び水酸基を有さない溶剤としては、前述の例示化合物を適宜選択できるが、水酸基を含む溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、又は乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、又は乳酸エチルがより好ましい。また、水酸基を有さない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を有していてもよいモノケトン化合物、環状ラクトン、又は酢酸アルキル等が好ましく、これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエトキシプロピオネート(具体的には、3−エトキシプロピオン酸エチル)、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、酢酸3‐メトキシブチル、又は酢酸ブチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、エチルエトキシプロピオネート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン又は2−ヘプタノンが更に好ましい。水酸基を有さない溶剤としては、プロピレンカーボネートも好ましい。
水酸基を有する溶剤と水酸基を有さない溶剤との混合比(質量比)は、1/99〜99/1であり、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜60/40がより好ましい。水酸基を有さない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が、塗布均一性の点で好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有することが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独溶剤でもよいし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する2種類以上の混合溶剤でもよい。
【0273】
<界面活性剤(H)>
本発明の組成物は、界面活性剤を含有することが好ましい界面活性剤を含有する場合、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(具体的には、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、又はフッ素原子とケイ素原子との両方を有する界面活性剤)が好ましい。
【0274】
本発明の組成物が界面活性剤を含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源を使用した場合に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないパターンを得ることができる。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落[0276]に記載の界面活性剤が挙げられる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落[0280]に記載の、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。
【0275】
これらの界面活性剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.0001〜2質量%が好ましく、0.0005〜1質量%がより好ましい。
一方、界面活性剤の含有量が、組成物の全固形分に対して10ppm以上とすることにより、疎水性樹脂(E)の表面偏在性が上がる。それにより、レジスト膜の表面をより疎水的にすることができ、液浸露光時の水追随性が向上する。
【0276】
(その他の添加剤)
本発明の組成物は、更に、酸増殖剤、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、溶解阻止剤、又は溶解促進剤等を含有してもよい。
可塑剤としては、例えば、ポリアルキレングリコール(オキシアルキレン単位中の炭素数としては、2〜6が好ましく、2〜3がより好ましく、平均付加数としては、2〜10が好ましく、2〜6がより好ましい)が挙げられる。可塑剤として具体的には、例えば下記のものが挙げられる。
【0279】
これらの可塑剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が可塑剤を含有する場合、可塑剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.01〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましい。
【0280】
<調製方法>
本発明の組成物の固形分濃度は、10質量%以上であり、その上限は、通常50質量%程度である。本発明の組成物の固形分濃度としては、なかでも、10〜50質量%がより好ましく、25〜50質量%がより好ましく、30〜50質量%が更に好ましい。固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他のレジスト成分の質量の質量百分率である。
【0281】
なお、本発明の組成物からなるレジスト膜の膜厚は、1μm以上が好ましく、加工段数を増やす、インプラ耐性を向上させる等の目的から、3μm以上が好ましく、4μm以上がより好ましく、5μm以上が更に好ましい。上限は特に限定されないが、例えば100μm以下である。
なお、後述するように、本発明の組成物からパターンを形成することができる。
形成されるパターンの膜厚は、1μm以上が好ましく、加工段数を増やす、インプラ耐性を向上させる等の目的から、3μm以上が好ましく、4μm以上がより好ましく、5μm以上が更に好ましい。上限は特に限定されないが、例えば100μm以下である。
【0282】
本発明の組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは上記混合溶剤に溶解し、これをフィルター濾過した後、所定の支持体(基板)上に塗布して用いる。フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.03μm以下が更に好ましい。このフィルターは、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、又はナイロン製のものが好ましい。フィルター濾過においては、例えば日本国特許出願公開第2002−62667号明細書(特開2002−62667)に開示されるように、循環的な濾過を行ってもよく、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して濾過を行ってもよい。また、組成物を複数回濾過してもよい。更に、フィルター濾過の前後で、組成物に対して脱気処理等を行ってもよい。
【0283】
本発明の組成物は、粘度が100〜500mPa・sであることが好ましい。本発明の組成物の粘度は、塗布性により優れる点で、100〜300mPa・sがより好ましい。
なお、粘度は、E型粘度計により測定することができる。
【0284】
<用途>
本発明の組成物は、活性光線又は放射線の照射により反応して性質が変化するレジスト組成物に関する。更に詳しくは、本発明の組成物は、IC(Integrated Circuit)等の半導体製造工程、液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造、インプリント用モールド構造体の作製、その他のフォトファブリケーション工程、又は平版印刷版、若しくは酸硬化性組成物の製造に使用されるレジスト組成物に関する。本発明において形成されるパターンは、エッチング工程、イオンインプランテーション工程、バンプ電極形成工程、再配線形成工程、及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等において使用できる。
【0285】
〔パターン形成方法〕
本発明は上記レジスト組成物を用いたパターン形成方法にも関する。以下、本発明のパターン形成方法について説明する。また、パターン形成方法の説明と併せて、本発明のレジスト膜についても説明する。
【0286】
本発明のパターン形成方法は、
(i)上述したレジスト組成物によってレジスト膜を支持体上に形成する工程(レジスト膜形成工程)、
(ii)上記レジスト膜を露光する(活性光線又は放射線を照射する)工程(露光工程)、及び、
(iii)上記露光されたレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程(現像工程)、を有する。
【0287】
本発明のパターン形成方法は、上記(i)〜(iii)の工程を含んでいれば特に限定されず、更に下記の工程を有していてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程における露光方法が、液浸露光であってもよい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の前に、(iv)前加熱(PB:PreBake)工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の後、かつ、(iii)現像工程の前に、(v)露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake)工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(iv)前加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(v)露光後加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
【0288】
本発明のパターン形成方法において、上述した(i)成膜工程、(ii)露光工程、及び(iii)現像工程は、一般的に知られている方法により行うことができる。
また、必要に応じて、レジスト膜と支持体との間にレジスト下層膜(例えば、SOG(Spin On Glass)、SOC(Spin On Carbon)、及び、反射防止膜)を形成してもよい。レジスト下層膜を構成する材料としては、公知の有機系又は無機系の材料を適宜用いることができる。
レジスト膜の上層に、保護膜(トップコート)を形成してもよい。保護膜としては、公知の材料を適宜用いることができる。例えば、米国特許出願公開第2007/0178407号明細書、米国特許出願公開第2008/0085466号明細書、米国特許出願公開第2007/0275326号明細書、米国特許出願公開第2016/0299432号明細書、米国特許出願公開第2013/0244438号明細書、国際特許出願公開第2016/157988A号明細書に開示された保護膜形成用組成物を好適に使用することができる。保護膜形成用組成物としては、上述した酸拡散制御剤を含有するものが好ましい。
上述した疎水性樹脂を含有するレジスト膜の上層に保護膜を形成してもよい。
【0289】
支持体は、特に限定されるものではなく、IC等の半導体の製造工程、又は液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造工程のほか、その他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程等で一般的に用いられる基板を用いることができる。支持体の具体例としては、シリコン、SiO
2、及びSiN等の無機基板等が挙げられる。
【0290】
加熱温度は、(iv)前加熱工程及び(v)露光後加熱工程のいずれにおいても、70〜180℃が好ましく、80〜150℃がより好ましい。
加熱時間は、(iv)前加熱工程及び(v)露光後加熱工程のいずれにおいても、30〜300秒が好ましく、30〜180秒がより好ましく、30〜90秒が更に好ましい。
加熱は、露光装置及び現像装置に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
【0291】
露光工程に用いられる光源波長に制限はないが、例えば、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極紫外光(EUV)、X線、及び電子線等が挙げられる。これらの中でも遠紫外光が好ましく、その波長は250nm以下が好ましい。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F
2エキシマレーザー(157nm)、X線、EUV(13nm)、及び、電子線等であり、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV又は電子線が好ましく、KrFエキシマレーザーがより好ましい。
本発明のレジスト組成物は、250nm以下の波長の光源による露光に供されるレジスト膜を形成するために用いられることが好ましい。
【0292】
(iii)現像工程においては、アルカリ現像液であっても、有機溶剤を含有する現像液(以下、有機系現像液ともいう)であってもよいが、アルカリ現像液であることが好ましい。
【0293】
アルカリ現像液としては、通常、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに代表される4級アンモニウム塩が用いられるが、これ以外にも無機アルカリ、1〜3級アミン、アルコールアミン、及び環状アミン等のアルカリ水溶液も使用可能である。
更に、上記アルカリ現像液は、アルコール類、及び/又は界面活性剤を適当量含有していてもよい。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。アルカリ現像液のpHは、通常10〜15である。
アルカリ現像液を用いて現像を行う時間は、通常10〜300秒である。
アルカリ現像液のアルカリ濃度、pH、及び現像時間は、形成するパターンに応じて、適宜調整できる。
【0294】
有機系現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び炭化水素系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有する現像液であるのが好ましい。
【0295】
ケトン系溶剤としては、例えば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、2−ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、及びプロピレンカーボネート等が挙げられる。
【0296】
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、ブタン酸ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、酢酸イソアミル、イソ酪酸イソブチル、及びプロピオン酸ブチル等が挙げられる。
【0297】
アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び炭化水素系溶剤としては、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0715]〜[0718]に開示された溶剤を使用できる。
【0298】
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤又は水と混合してもよい。現像液全体としての含水率は、50質量%未満が好ましく、20質量%未満がより好ましく、10質量%未満が更に好ましく、実質的に水分を含まないことが特に好ましい。
有機系現像液に対する有機溶剤の含有量は、現像液の全量に対して、50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%が更に好ましく、95〜100質量%が特に好ましい。
【0299】
有機系現像液は、必要に応じて公知の界面活性剤を適当量含有していてもよい。
【0300】
界面活性剤の含有量は現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
【0301】
有機系現像液は、上述した酸拡散制御剤を含有していてもよい。
【0302】
現像方法としては、例えば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、又は一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【0303】
アルカリ水溶液を用いて現像を行う工程(アルカリ現像工程)、及び有機溶剤を含有する現像液を用いて現像する工程(有機溶剤現像工程)を組み合わせてもよい。これにより、中間的な露光強度の領域のみを溶解させずにパターン形成が行えるので、より微細なパターンを形成できる。
【0304】
(iii)現像工程の後に、リンス液を用いて洗浄する工程(リンス工程)を含むことが好ましい。
【0305】
アルカリ現像液を用いた現像工程の後のリンス工程に用いるリンス液は、例えば純水を使用できる。純水は、界面活性剤を適当量含有していてもよい。この場合、現像工程又はリンス工程の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を追加してもよい。更に、リンス処理又は超臨界流体による処理の後、パターン中に残存する水分を除去するために加熱処理を行ってもよい。
【0306】
有機溶剤を含有する現像液を用いた現像工程の後のリンス工程に用いるリンス液は、パターンを溶解しないものであれば特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含有する溶液を使用できる。リンス液としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及びエーテル系溶剤の具体例としては、有機溶剤を含有する現像液において説明したものと同様のものが挙げられる。
この場合のリンス工程に用いるリンス液としては、1価アルコールを含有するリンス液がより好ましい。
【0307】
リンス工程で用いられる1価アルコールとしては、直鎖状、分岐鎖状、又は環状の1価アルコールが挙げられる。具体的には、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、tert―ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、シクロペンタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、及びメチルイソブチルカルビノールが挙げられる。炭素数5以上の1価アルコールとしては、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、及びメチルイソブチルカルビノール等が挙げられる。
【0308】
各成分は、複数混合してもよいし、上記以外の有機溶剤と混合して使用してもよい。
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。含水率を10質量%以下とすることで、良好な現像特性が得られる。
【0309】
リンス液は、界面活性剤を適当量含有していてもよい。
リンス工程においては、有機系現像液を用いる現像を行った基板を、有機溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、例えば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、又は基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。中でも、回転塗布法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2,000〜4,000rpm(revolution per minute)の回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。この加熱工程によりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程において、加熱温度は通常40〜160℃であり、70〜95℃が好ましく、加熱時間は通常10秒〜3分であり、30秒〜90秒が好ましい。
【0310】
本発明のレジスト組成物、及び、本発明のパターン形成方法において使用される各種材料(例えば、レジスト溶剤、現像液、リンス液、反射防止膜形成用組成物、又はトップコート形成用組成物等)は、金属成分、異性体、及び残存モノマー等の不純物を含まないことが好ましい。上記の各種材料に含まれるこれらの不純物の含有量としては、1ppm以下が好ましく、100ppt以下がより好ましく、10ppt以下が更に好ましく、実質的に含まないこと(測定装置の検出限界以下であること)が特に好ましい。
【0311】
上記各種材料から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルターを用いた濾過が挙げられる。フィルター孔径としては、ポアサイズ10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、3nm以下が更に好ましい。フィルターの材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、又はナイロン製のフィルターが好ましい。フィルターは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルター濾過工程では、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種類のフィルターを使用する場合は、孔径及び/又は材質が異なるフィルターを組み合わせて使用してもよい。また、各種材料を複数回濾過してもよく、複数回濾過する工程が循環濾過工程であってもよい。フィルターとしては、日本国特許出願公開第2016−201426号明細書(特開2016−201426)に開示されるような溶出物が低減されたものが好ましい。
フィルター濾過のほか、吸着材による不純物の除去を行ってもよく、フィルター濾過と吸着材を組み合わせて使用してもよい。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができ、例えば、シリカゲル若しくはゼオライト等の無機系吸着材、又は活性炭等の有機系吸着材を使用できる。金属吸着剤としては、例えば、日本国特許出願公開第2016−206500号明細書(特開2016−206500)に開示されるものが挙げられる。
また、上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う、又は装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法が挙げられる。各種材料を構成する原料に対して行うフィルター濾過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
【0312】
上記の各種材料は、不純物の混入を防止するために、米国特許出願公開第2015/0227049号明細書、日本国特許出願公開第2015−123351号明細書(特開2015−123351)等に記載された容器に保存されることが好ましい。
【0313】
本発明のパターン形成方法により形成されるパターンに、パターンの表面荒れを改善する方法を適用してもよい。パターンの表面荒れを改善する方法としては、例えば、米国特許出願公開第2015/0104957号明細書に開示された、水素を含有するガスのプラズマによってパターンを処理する方法が挙げられる。その他にも、日本国特許出願公開第2004−235468号明細書(特開2004−235468)、米国特許出願公開第2010/0020297号明細書、Proc. of SPIE Vol.8328 83280N−1“EUV Resist Curing Technique for LWR Reduction and Etch Selectivity Enhancement”に記載されるような公知の方法を適用してもよい。
また、上記の方法によって形成されたパターンは、例えば日本国特許出願公開第1991−270227号明細書(特開平3−270227)及び米国特許出願公開第2013/0209941号明細書に開示されたスペーサープロセスの芯材(Core)として使用できる。
【0314】
本発明のパターン形成方法は、上記工程(iii)の現像工程を経て形成されたレジストパターンをマスクとして、支持体を、又は、支持体とレジストパターンとの間にレジスト下層膜が設けられている場合においては、レジスト膜若しくはレジスト下層膜と支持体(以下、「非加工膜」ともいう)を加工してパターンを形成する工程(工程(vi)ともいう)を更に含んでも良い。
【0315】
非加工膜の加工方法は特に限定されないが、工程(vi)は、レジストパターンをマスクとして、非加工膜に対してドライエッチングを行うことによりパターンを形成する工程であることが好ましい。
ドライエッチングは、1段のエッチングであっても、複数段からなるエッチングであってもよい。エッチングが複数段からなるエッチングである場合、各段のエッチングは同一の処理であっても異なる処理であってもよい。
ドライエッチング装置の方式は特に限定されるものではないが、特にICP(Inductive Coupled Plasma、誘導結合)型、二周波CCP(Conductive Coupled Plasma 容量結合)型、ECR(electron
cyclotron resonance;電子サイクロトロン共鳴)型等のようなプラズマ密度とバイアス電圧を独立制御可能な方式がより好ましい。
エッチングは、公知の方法をいずれも用いることができ、各種条件等は、基板の種類や用途等に応じて、適宜、決定される。例えば、国際光工学会紀要(Proc.ofSPIE)Vol.6924,692420(2008)、特開2009−267112号公報等に準じて、エッチングを実施することができる。また、「半導体プロセス教本 第四版
2007年刊行 発行人:SEMIジャパン」の「第4章 エッチング」に記載の方法に準ずることもできる。
【0316】
中でも、非加工膜に対するドライエッチングは、酸素プラズマエッチングであることが好ましい。
ここでいう酸素プラズマエッチングとは、酸素原子を含有するガスを使用したプラズマエッチングであることを意味し、具体的にはO
2、O
3、CO、CO
2、NO、NO
2、N
2O、SO、SO
2、COS等からなる群から少なくとも一つが選択される。また、上記酸素含有ガスに加えて、希釈ガスとしてAr、He、Xe、Kr、N
2等からなる群から少なくとも一つを、さらに添加ガスとしてCl
2、HBr、BCl
3、CH
4、NH
4等からなる群から少なくとも一つを加えてもよい。
酸素原子含有ガスを使用すると、プラズマ中で発生する酸素ラジカル及び酸素イオンの照射効果により、非加工膜のエッチングが促進される一方、シリコン含有レジスト膜に関しては、レジスト膜中のケイ素成分の酸化・凝集によりエッチング耐性が高まり、シリコン含有レジスト膜とレジスト下層膜の選択比を高めることが可能となる。
エッチング前後のパターン寸法変動を抑える場合、酸素原子及びC、N、S等の少なくとも1種を含む酸素含有ガス(例えば、CO、CO
2、NO、NO
2、N
2O、SO、SO
2、COS)の比率を高めることで、プラズマ中で生成された堆積性成分がエッチング加工パターン側壁に付着し、酸素ラジカルよるサイドエッチング効果を抑制し、エッチング前後の線幅細りを低減することが可能となる。上記効果は酸素含有ガス(例えばO
2、O
3、CO、CO
2、NO、NO
2、N
2O、SO、SO
2、COS)に添加ガスとしてCH
4やNH
4を加えることでも同様に発揮される。
また、Cl
2やHBr等のフッ素以外のハロゲン元素を含むガスを使用すると、下層膜のエッチング生成物として高沸点な炭素塩化物や炭素臭化物が形成され、加工パターン側壁への付着性が高まる。この場合においても酸素ラジカルによるサイドエッチングの抑制効果が期待できる。
一方でO
2あるいはO
3ガスと希釈ガスの混合比率を適切に選択することで、シリコン含有レジスト膜及びレジスト下層膜のサイドエッチング量を制御し、エッチングと同時に所望寸法量のトリミング処理を施すことも可能である。
【0317】
〔電子デバイスの製造方法〕
また、本発明は、上記したパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法にも関する。本発明の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイスは、電気電子機器(例えば、家電、OA(Office Automation)関連機器、メディア関連機器、光学用機器、及び通信機器等)に、好適に搭載される。
【実施例】
【0318】
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0319】
<樹脂>
使用した樹脂について、繰り返し単位の構造及びその含有量(モル比率)、重量平均分子量(Mw)、及び分散度(Mw/Mn)を示す。
なお、樹脂の重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)はGPC(キャリア:テトラヒドロフラン(THF))により測定した(ポリスチレン換算量である)。また、繰り返し単位の含有量は、
13C−NMR(nuclear magnetic resonance)により測定した。
【0320】
【化49】
【0321】
【化50】
【0322】
また、各樹脂に含まれる繰り返し単位のうち、対応するモノマーをホモポリマーとしたときのガラス転移温度(Tg)が80℃以下となるモノマーを由来とする繰り返し単位(B1)の有無、及び上記繰り返し単位(B1)のホモポリマーとしたときのTgの値を下記表1に示した。なお、ホモポリマーのガラス転移温度の測定は、明細書に記載の測定方法にて行った。
【0323】
【表1】
【0324】
なお、上記表1に示した各樹脂が、「繰り返し単位(B1)」を含む場合の「繰り返し単位(B1)」を以下の表2に示す。
【0325】
【表2】
【0326】
<酸発生剤>
使用した酸発生剤(化合物C−1〜C−4)の構造を以下に示す。
【0327】
【化51】
【0328】
<酸拡散制御剤>
使用した酸拡散制御剤の構造を以下に示す。
【0329】
【化52】
【0330】
<界面活性剤>
使用した界面活性剤を以下に示す。
【0331】
【化53】
【0332】
<溶剤>
使用した溶剤を以下に示す。
S−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
S−2:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
S−3:乳酸エチル(EL)
S−4:3−エトキシプロピオン酸エチル(EEP)
S−5:2−ヘプタノン(MAK)
S−6:3−メトキシプロピオン酸メチル(MMP)
S−7:酢酸3−メトキシブチル
【0333】
<レジスト組成物の調製>
下記表3に示した各成分を、下記表3に記載した固形分濃度(質量%)となるように混合して溶液を得た。次いで、得られた溶液を、3μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターで濾過することにより、レジスト組成物res−1〜res−10、res−1X〜res−2Xを調製した。なお、レジスト組成物において、固形分とは、溶剤以外の全ての成分を意味する。得られたレジスト組成物を、実施例及び比較例で使用した。
【0334】
なお、下記表3おいて、溶剤以外の各成分の含有量(質量%)は、全固形分に対する含有比率を意味する。また、下記表3には用いた溶剤の全溶剤に対する含有比率(質量%)を記載した。
【0335】
【表3】
【0336】
〔パターン形成及び各種評価〕
<パターン形成(実施例1〜10、比較例1〜2)>
東京エレクトロン製スピンコーター「ACT−8」を用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施した8インチのSi基板(Advanced Materials Technology社製(以下、「基板」ともいう。))上に、反射防止層を設けることなく、上記で調製したレジスト組成物を基板が静止した状態で滴下した。滴下した後、基板を回転し、その回転数を、3秒間500rpmで維持し、その後2秒間100rpmで維持し、更に3秒間500rpmで維持し、再び2秒間100rpmで維持した後、膜厚設定回転数(1200rpm)に上げて60秒間維持した。その後、ホットプレート上で150℃にて60秒間加熱乾燥を行い、膜厚9.2μmのポジ型のレジスト膜を形成した。このレジスト膜に対し、スペース幅が1μm、ライン幅が5μmであるマスクを介して、KrFエキシマレーザースキャナー(ASML製、PAS5500/850C波長248nm)を用いて、パターン露光した。照射後に110℃にて60秒ベークし、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて60秒間浸漬した後、30秒間、純水でリンスして乾燥して、ラインアンドスペースパターンを形成した。
上記手順により、基板と基板表面に形成されたパターンとを有する評価用パターンウェハを得た。
1インチは25.4ミリメートルである。
【0337】
<性能評価>
得られたレジスト膜、評価用パターンウェハ用いて、レジスト膜、レジストパターンの性能評価を実施した。
【0338】
(性能評価1:得られたレジスト膜の真空処理に対する耐クラック性の評価)
CD−SEM(Critical Dimension-Scanning Electron Microscope)内のチャンバーにて、評価用パターンウェハに対して60秒間の真空処理(真空引き)を行った。なお、チャンバー内は0.002Pa圧力となるように設定した。
真空処理後、上記評価用パターンウェハを光学顕微鏡にて観察し、耐クラック性の評価を実施した。具体的には、基板表面に形成されたパターンのひび割れ(クラック)の個数(/8インチウエハ)をカウントし、下記基準に基づいて評価した。
「S」:ひび割れが0個
「A」:ひび割れが1もしくは2個
「B」:ひび割れが3個以上、5個未満
「C」:ひび割れが5個以上、50個未満
「D」:ひび割れが50個以上
「C」以上であれば、実用上問題がないレベルである。結果を表4に示す。
【0339】
(性能評価2:評価用パターンウェハ用いたレジストパターンに対する耐クラック性の評価)
評価用パターンウェハを用いて、基板上に形成されたパターンのプラズマ処理に対する耐クラック性を評価した。被エッチング物のドライエッチング処理に際しては、マスクとして用いられるパターンもプラズマ環境下に曝される。このため、パターンのプラズマ処理に対する耐クラック性が良好である必要がある。
【0340】
パターンのプラズマ処理に対する耐クラック性は、具体的には、評価用パターンウェハを、ドライエッチング装置(日立ハイテクノロジーズ製、U−621)に入れ、CF
4/Ar/N
2混合ガス(ガス比(体積比)、1:10:10)を用いて、ガス圧力4Pa、プラズマパワー1200W、及び基板バイアス600Wの条件により60秒間エッチング処理を真空下で(10
−5Pa)行った。上記エッチング処理後、上記評価用パターンウェハを光学顕微鏡にて観察し、耐クラック性の評価を実施した。具体的には、基板表面に形成されたパターンのひび割れ(クラック)の個数(/8インチウエハ)をカウントし、下記基準に基づいて評価した。
「S」:ひび割れが0個
「A」:ひび割れが1もしくは2個
「B」:ひび割れが3個以上、5個未満
「C」:ひび割れが5個以上、50個未満
「D」:ひび割れが50個以上
「C」以上であれば、実用上問題がないレベルである。結果を表4に示す。
【0341】
(性能評価3:エッチング耐性の評価)
評価用パターンウェハを、ドライエッチング装置(日立ハイテクノロジーズ製、U−621)に入れ、CF
4/Ar/N
2混合ガス(ガス比(体積比)、1:10:10)を用いて、ガス圧力4Pa、プラズマパワー1200W、及び基板バイアス600Wの条件により60秒間エッチング処理を真空下で(10
−5Pa)行った。
上記エッチング処理後、基板表面に形成されたパターンの膜厚を光干渉式膜厚測定装置(SCREEN製、VM−1020)で測定した。エッチング耐性は、「エッチング処理前の膜厚−エッチング処理後の膜厚」から求められるエッチングレート(単位:nm/min)を算出し、下記基準に基づいて評価した。
「A」:エッチングレートが50nm/min未満
「B」:エッチングレートが50nm/min以上、100nm/min未満
「C」:エッチングレートが100nm/min以上
「B」以上であれば、実用上問題がないレベルである。結果を表4に示す。
【0342】
【表4】
【0343】
表4の結果から、実施例のレジスト組成物は、特に厚膜(例えば膜厚1μm以上)のレジスト膜及びこれを用いて形成されたレジストパターンにおけるクラックの発生が抑制され、また、上記レジストパターンにおけるエッチング耐性に優れるものであることが分かった。
また、レジスト組成物における樹脂(A)が、上記一般式(I)で表される繰り返し単位を含有すると、特に厚膜(例えば膜厚1μm以上)のレジスト膜を用いて形成されたレジストパターンにおけるエッチング耐性が更に優れるものであることが分かった。
【0344】
本発明によれば、特に厚膜(例えば膜厚1μm以上)のレジスト膜及びこれを用いて形成されたレジストパターンにおけるクラックの発生が抑制されるレジスト組成物、上記レジスト組成物により形成されるレジスト膜、上記レジスト組成物を用いたパターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法を提供することができる。
【0345】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2017年12月27日出願の日本特許出願(特願2017−252555)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。