特表-19138891IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2019-138891異常箇所特定装置、異常箇所特定方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年7月18日
【発行日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】異常箇所特定装置、異常箇所特定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20201127BHJP
【FI】
   G06F11/07 190
   G06F11/07 140A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
【出願番号】特願2019-564632(P2019-564632)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年12月26日
(31)【優先権主張番号】特願2018-3117(P2018-3117)
(32)【優先日】2018年1月12日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124844
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 隆治
(72)【発明者】
【氏名】松尾 洋一
(72)【発明者】
【氏名】池田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 敬志郎
(72)【発明者】
【氏名】川原 亮一
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042GA12
5B042GC16
5B042JJ03
5B042JJ15
5B042KK15
5B042LA20
5B042MA08
5B042MA14
5B042MC22
5B042MC40
(57)【要約】
異常箇所特定装置は、複数の機器から出力される各情報の一部又は全部を、異常検知アルゴリズムに入力して異常の有無を判定する判定部と、前記判定部によって異常が有ると判定された場合に、前記各情報のいずれかについて、当該異常への寄与の程度を示す指標を計算する計算部と、前記指標を入力とする因果モデルを用いた分析アルゴリズムを計算して、異常な機器を特定する特定部と、を有することで、異常箇所の特定に関する精度及び計算速度を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器から出力される各情報の一部又は全部を、異常検知アルゴリズムに入力して異常の有無を判定する判定部と、
前記判定部によって異常が有ると判定された場合に、前記各情報のいずれかについて、当該異常への寄与の程度を示す指標を計算する計算部と、
前記指標を入力とする因果モデルを用いた分析アルゴリズムを計算して、異常な機器を特定する特定部と、
を有することを特徴とする異常箇所特定装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記各情報の一部又は全部を複数の異常検知アルゴリズムに入力して、前記異常検知アルゴリズムごとに異常の有無を判定し、
前記計算部は、いずれかの前記異常検知アルゴリズムによって異常が有ると判定された場合に、前記異常検知アルゴリズムごとに、当該異常検知アルゴリズムに入力された前記情報について前記指標を計算し、
前記各異常検知アルゴリズムに入力された前記情報について計算された前記指標の中から一部の指標を選択する選択部を有し、
前記特定部は、前記選択部によって選択された異常検知アルゴリズムに関して計算された前記指標を入力とする因果モデルを用いた分析アルゴリズムを計算する、
ことを特徴とする請求項1記載の異常箇所特定装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記指標に基づいて、前記因果モデルを構築する範囲を選定する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の異常箇所特定装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記指標に基づいて、前記範囲を規定する機器を前記複数の機器から選定する、
ことを特徴とする請求項3記載の異常箇所特定装置。
【請求項5】
複数の機器から出力される各情報の一部又は全部を、異常検知アルゴリズムに入力して異常の有無を判定する判定手順と、
前記判定手順によって異常が有ると判定された場合に、前記各情報のいずれかについて、当該異常への寄与の程度を示す指標を計算する計算手順と、
前記指標を入力とする因果モデルを用いた分析アルゴリズムを計算して、異常な機器を特定する特定手順と、
をコンピュータが実行することを特徴とする異常箇所特定方法。
【請求項6】
請求項1乃至4いずれか一項記載の各部としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常箇所特定装置、異常箇所特定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムの異常対応では、(1)異常検知と(2)異常箇所・要因特定の迅速な実行が重要であり、(1)、(2)のそれぞれにおいて、様々な手法が提案されている(例えば、非特許文献1〜7)。
【0003】
まず、(1)について、システム内の各機器の観測情報を用いて、各機器について個別に外れ度等を計算し、外れ度が閾値を超えたら異常と判定してアラートを上げる方法が一般的に知られている。この方法では、各機器に対して独立に異常検知手法が適用されるため、異常が検知された場合には、どの機器のどの観測情報が異常であるか分かる。一方で、非特許文献6のように、システム内の様々な観測情報から、システム全体での異常の有無を判別する手法が提案されている。この手法では、システム全体で得られた観測情報間の相関関係等も考慮して異常の判定が行われる。ただし、この方法ではシステム全体における異常状態の有無しか判定できず、どの機器の観測情報が異常なのかは分からない。この問題を解決するため、異常寄与度計算アルゴリズムを用いて、異常を検知した際にどの観測情報が異常に寄与しているのか(以下「寄与度」という。)を計算し、異常な観測情報を絞り込む手法が提案されている。これによって、システム全体の異常を判定しながら、個々の機器が出力する観測情報の状態も推定することができ、異常検知手法の結果に基づいてどの観測情報が異常かを判断し、対処することができる(非特許文献7)。
【0004】
また、(2)について、従来の異常箇所・要因特定技術では、トラヒック量を閾値などによりアラート化したものや、シスログのアラートを観測情報として、予め定めた機器状態と観測情報の因果関係をもとに異常箇所を特定する技術が存在する。これによって、機器からアラートが上がった場合に、どの機器が異常箇所であるかを特定する。この結果をもとに異常機器に対して対処する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Srikanth Kandula, Dina Katabi, and Jean-philippe Vasseur. Shrink: A tool for failure diagnosis in IP networks. Proceedings of the 2005 ACM SIGCOMM workshop on Mining network data, pages 173-178, 2005.
【非特許文献2】R.R. Kompella, J. Yates, A. Greenberg, and A.C. Snoeren. IP Fault Localization via Risk Modeling. IEEE Transactions on Dependable and Secure Computing, 7(4):1-14, 2010.
【非特許文献3】He Yan, Lee Breslau, Zihui Ge, Dan Massey, Dan Pei, and Jennifer Yates. G-RCA: A Generic Root Cause Analysis Platform for Service Quality Management in Large IP Networks. IEEE/ACM Transactions on Networking, 20(6):1734-1747, 2012.
【非特許文献4】松尾洋一, 中野雄介, 渡邉暁, 渡辺敬志郎, 石橋圭介, 川原亮一, "非定型故障の原因箇所推定技術の検討",信学会総合大会, B-7-35, 2017.
【非特許文献5】Hodge, Victoria J., and Jim Austin. "A survey of outlier detection methodologies.", Artificial intelligence review 22.2 (2004): 85-126.
【非特許文献6】櫻田 麻由 ・ 矢入 健久,"オートエンコーダを用いた次元削減による宇宙機の異常検知", 人工知能学会全国大会論文集 28, 1-3, 2014
【非特許文献7】池田,石橋,中野,渡辺,川原,"オートエンコーダを用いた異常検知におけるスパース最適化を用いた要因推定手法",信学技報, vol. 117, no. 89, IN2017-18, pp. 61-66, 2017年6月.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
各機器に対して独立に異常検知手法を適用する場合、異常が発生すると、異常機器だけでなく、異常機器の周囲の機器の観測情報も影響を受けて複数機器で異常を検知する可能性があり、異常となっている機器や観測情報を一意に特定できないケースが存在する。また、各機器に対して独立に異常検知手法を適用する場合には、外れ度などが閾値に達しない場合には異常の検知に失敗して異常機器からアラートが上がらないリスクがある。
【0007】
したがって、このような異常検知手法を適用する場合、複数機器で異常が検知されると、異常箇所を特定するには(2)の技術を適用する必要があるが、一方で(2)の技術には、異常が発生した特定の機器からはアラートが上がるという前提がある。したがって、異常の検知に失敗して異常が発生した機器からアラートが出ない場合、異常そのものを検知できず異常箇所の推定精度が低下したり、異常箇所や要因特定に要する時間が長期化したりするなどの問題がある。また、非特許文献7のように、システム全体の異常度と、異常度に対する寄与度を計算することで、異常な観測情報を出力している機器を絞り込むことはできるが、必ずしも機器が一意に特定できるわけではない。異常な機器の周囲の機器が出す観測情報の寄与度も高くなる場合があるため、複数の機器からどの機器が異常かを人手で判断する必要が生じる。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、異常箇所の特定に関する精度及び計算速度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで上記課題を解決するため、異常箇所特定装置は、複数の機器から出力される各情報の一部又は全部を、異常検知アルゴリズムに入力して異常の有無を判定する判定部と、前記判定部によって異常が有ると判定された場合に、前記各情報のいずれかについて、当該異常への寄与の程度を示す指標を計算する計算部と、前記指標を入力とする因果モデルを用いた分析アルゴリズムを計算して、異常な機器を特定する特定部と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
異常箇所の特定に関する精度及び計算速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態における異常箇所特定装置10のハードウェア構成例を示す図である。
図2】本発明の実施の形態における異常箇所特定装置10の機能構成例を示す図である。
図3】異常箇所特定装置10が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態では、異常検知技術と異常箇所・要因特定技術とを効果的に連携させて、異常箇所・要因特定の精度及び計算速度を向上させる。
【0013】
観測対象の複数の機器を含むシステムの各機器が出力する情報群(以下、「観測情報群」という。)を用いて、システム全体での異常の有無を判定する異常検知技術を適用し、システム全体の異常の有無を判定する。システムに異常が有った場合には、観測情報群に含まれる個々の情報(以下、「観測情報」という。)について、検知された異常に寄与している程度を示す指標(以下、「寄与度」という。)を計算し、寄与度を異常箇所・要因特定手法への入力とする。寄与度を異常箇所・要因特定技術への入力とすることで、異常検知技術と寄与度だけでは複数機器で寄与度の高い観測情報が出現した場合に異常機器を正確に特定できない、という課題を解決することができる。また、寄与度を異常箇所・要因特定技術の入力とすることで、アラートのみを扱っていた異常箇所・要因特定技術の異常検知の失敗によるアラートの見逃しに基づく精度低下を解決する。寄与度を異常箇所・要因特定技術の入力する方法としては、或る閾値を設定し、寄与度がその閾値以上であれば1、そうでなければ0の2値として与える方法や、寄与度をそのまま入力とする方法がある。
【0014】
異常検知に失敗してアラート化されないトラヒックやリソース等の変化も寄与度に現れる。また、システム内に伝搬するような異常についても、より異常箇所・要因に近い機器の観測情報の寄与度が高い値になる。したがって、寄与度を異常箇所・要因特定手法に入力することで、従来のようなアラートを入力とする手法と比べると、精度向上と計算速度の向上が可能になる。さらに、寄与度が高い観測情報を出力している機器の周囲の機器のみに対して異常箇所・要因特定技術を適用することで、異常箇所・要因特定技術に関する計算範囲がシステム全体ではなく一部に限定できるため、異常箇所・要因特定手法の高速化が可能である。このように異常検知から異常箇所・要因特定の効果的な連携により、異常箇所・要因特定の精度及び計算速度を向上させる。
【0015】
続いて、上記の処理を実行する異常箇所特定装置10について具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態における異常箇所特定装置10のハードウェア構成例を示す図である。図1の異常箇所特定装置10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、インタフェース装置105、表示装置106、及び入力装置107等を有する。
【0016】
異常箇所特定装置10での処理を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0017】
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って異常箇所特定装置10に係る機能を実現する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置106はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置107はキーボード及びマウス等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。
【0018】
なお、異常箇所特定装置10は、表示装置106及び入力装置107を有さなくてもよい。この場合、ネットワークを介して異常箇所特定装置10と接続可能な端末等が表示装置106及び入力装置107として機能してもよい。また、異常箇所特定装置10は、複数のコンピュータによって構成されてもよい。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態における異常箇所特定装置10の機能構成例を示す図である。図2において、異常箇所特定装置10は、観測情報収集部11、異常検知部12、寄与度計算部13、寄与度選択部14、異常箇所特定部15及び出力部16を有する。これら各部は、異常箇所特定装置10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。
【0020】
観測情報収集部11は、通信システム1を構成する各機器(例えば、ルータ等の通信機器)から定期的に観測情報群を収集する。なお、各機器は、1種類以上の観測情報(例えば、トラヒック量やリソース情報、シスログ等)を出力する。各機器が出力する観測情報の種類及び数は同じであってもよいし、異なってもよい。例えば、各機器が、同じ種別・同じモデルの機器であれば、各機器から出力される観測情報の種類及び数は同じとなるが、各機器の種別又はモデルが異なれば、各機器から出力される観測情報の種類又は数は異なる可能性が有る。例えば、機器が5台であり、各機器が5つの観測情報を出力するのであれば、5×5=25個の観測情報が1回の収集時期で収集される。
【0021】
異常検知部12は、観測情報収集部11によって収集された観測情報群の一部又は全部を、複数種類の公知の異常検知アルゴリズム(例えば、非特許文献7)のそれぞれに入力して、通信システム1における異常の有無を判定する。例えば、各異常検知アルゴリズムは、観測情報に基づいて異常度を算出し、当該異常度を閾値と比較することで、異常の有無を判定する。なお、各異常検知アルゴリズムに入力される観測情報の種類及び数は異なっていてもよい。また、各異常検知アルゴリズムによる異常の有無の判定方法は、各異常検知アルゴリズムに依存する。
【0022】
寄与度計算部13は、1以上の異常検知アルゴリズムによって異常が検知された(異常が有ると判定された)場合に、観測情報収集部11によって収集された観測情報群のうち、異常を検知した異常検知アルゴリズムに入力された観測情報について、当該異常への寄与度を計算する。複数の異常検知アルゴリズムが異常を検知した場合、複数の異常検知アルゴリズムごとに、当該異常検知アルゴリズムに入力された観測情報について寄与度が計算される。寄与度の値は、異常検知アルゴリズムにおいて用いられた関数に影響されるからである。したがって、仮に、観測情報群に含まれる観測情報が25個であり、15個の観測情報を入力とする異常検知アルゴリズムAと、20個の観測情報を入力とする異常検知アルゴリズムBとの2種類の異常検知アルゴリズムによって異常が検知された場合、異常検知アルゴリズムAについて15個の寄与度が計算され、異常検知アルゴリズムBについて20個の寄与度が計算される。寄与度の計算は、非特許文献7に記載された方法を用いて実行されてもよい。
【0023】
寄与度選択部14は、異常箇所・要因特定手法への入力とする寄与度を選択する。例えば、上記のように2種類の異常検知アルゴリズムによって異常が検知された場合、寄与度選択部14は、いずれの異常検知アルゴリズムに関して計算された寄与度を異常箇所・要因特定手法への入力とするのか、又は異常を検知した各異常検知アルゴリズムに関して計算された寄与度のうちのいずれを入力とするのかを判定する。
【0024】
異常箇所特定部15は、寄与度選択部14によって選択された寄与度を入力とした因果モデルを用いた分析アルゴリズム(非特許文献1〜4)に基づいて、異常箇所(異常な機器又は検知された異常の要因の機器)を特定(推定)する。
【0025】
出力部16は、異常箇所特定部15によって特定された異常箇所(異常機器)を示す情報を出力する。例えば、表示装置106に当該情報が表示されてもよいし、他の出力方法によって、当該情報が出力されてもよい。
【0026】
以下、異常箇所特定装置10が実行する処理手順について説明する。図3は、異常箇所特定装置10が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0027】
ステップS101において、観測情報収集部11は、一定時間ごとに到来する、観測情報群の収集時期の到来を待機する。当該収集時期が到来すると(S101でYes)、観測情報収集部11は、通信システム1に含まれる各機器から、直近の一定時間において出力された観測情報群を収集する(S102)。
【0028】
続いて、異常検知部12は、複数種類の異常検知アルゴリズムのそれぞれに対して、当該観測情報群のうち、当該異常検知アルゴリズムが必要とする1以上の観測情報を入力して当該複数種類の異常検知アルゴリズムを計算することで、異常検知アルゴリズムごとに異常の有無(異常の検知の有無)を判定する(S103)。利用した全ての異常検知アルゴリズムによって異常が検知されない場合(S104でNo)、ステップS101へ戻る。
【0029】
一方、少なくとも1種類の異常検知アルゴリズムによって異常が有ると判定された(異常が検知された)場合(S104でYes)、寄与度計算部13は、異常を検知した異常検知アルゴリズムごとに、当該異常検知アルゴリズムに入力された観測情報について寄与度群を計算する(S105)。寄与度群は、1以上の寄与度を意味する。なお、異常検知アルゴリズムごとに入力される観測情報が異なる可能性が有り、異常検知アルゴリズムが用いる関数が寄与度の計算に影響するため、異常検知アルゴリズムごとに、算出される寄与度の個数及び値が異なる可能性が有る。
【0030】
続いて、寄与度選択部14は、寄与度計算部13によって計算された寄与度群の中から一部の寄与度群を異常箇所特定部15に対して入力とする寄与度群として選択する(S106)。すなわち、寄与度選択部14は、いずれの異常検知アルゴリズムに関して算出された寄与度群を異常箇所特定部15へ入力するのか、又は異常を検知した各異常検知アルゴリズムに関して計算された寄与度のうちのいずれを入力とするのかを判定する。
【0031】
例えば、異常検知アルゴリズムごとに、当該異常検知アルゴリズムに関して計算された各寄与度を当該異常検知アルゴリズムに関する寄与度全体の合計値で割ることで得られる値の絶対値の上位10個の合計が、当該絶対値の総和に占める割合が高い寄与度群を使用する、といったような方法で寄与度群の選択が実現可能である。具体的には、例えば異常検知アルゴリズムAに関して30個の寄与度Aが計算され、異常検知アルゴリズムBに関して30個の寄与度Bが計算され、異常検知アルゴリズムCに関して30個の寄与度Cが計算されたとする(すなわち、合計で90個の寄与度が計算されたとする。)。この場合、寄与度選択部14は、Aの各寄与度を、Aの全ての寄与度の合計値で割り、それをA'とする(30個のA'が計算される)。また、寄与度選択部14は、Bの各寄与度を、Bの全ての寄与度の合計値で割り、それをB'とする(30個のB'が計算される)。更に、寄与度選択部14は、Cの各寄与度を、Cの全ての寄与度の合計値で割り、それをC'とする(30個のC'が計算される)。続いて、寄与度選択部14は、A'について、A'の上位10個がA'全体(30個のA'の合計)に占める割合を計算し、B'及びC'についても同様の計算をする。寄与度選択部14は、上位10個の占める割合が最も高いもの(例えばA'の集合)の中から、上位10個に対応する寄与度群を異常箇所特定部15への入力対象の寄与度群として選択する。又は、上記の30個のA'、30個のB'及び30個のC'の全ての中で上位10個に対応する寄与度群が異常箇所特定部15への入力対象の寄与度群として選択されるようにしてもよい。このように、様々な異常検知手法を用いることで、様々なタイプの異常に対応できるようになる。
【0032】
続いて、異常箇所特定部15は、寄与度選択部14によって選択された寄与度群に基づいて、異常箇所・要因特定技術を用いる範囲(すなわち、因果モデルを構築する範囲)を選定する(S107)。例えば、当該寄与度群に含まれる各寄与度のうち、閾値以上の寄与度に係る観測情報の出力元の機器とその隣接機器が当該範囲を規定する機器として選定されてもよい。或る機器の隣接機器とは、当該機器からのホップ数が1である(当該機器と直接的に接続されている)機器をいう。
【0033】
続いて、異常箇所特定部15は、機器状態層X=x(i=1,…,N)と、観測情報の状態層Y=y(j=1,…,M)とを結んだ有向マルコフモデル等の因果モデルを生成する(S108)。この因果モデルは、観測情報と機器の構成(機器間の接続関係)との因果関係を分析して構築された因果モデルである。ここで、Nは、ステップS107において選定された機器の数である。Mは、ステップS107において選定された機器が出力した観測情報のうち、寄与度選択部14によって選択された寄与度群に対応する異常検知アルゴリズムへ入力された観測情報の数である。また、yは、j番目の観測情報の寄与度に基づく値である。上述したように、当該値は、寄与度そのものであってもよいし、寄与度と閾値との比較結果に基づく2値(1又は0)であってもよい。
【0034】
続いて、異常箇所特定部15は、ステップS108において生成した因果モデル(例えば、有向マルコフモデル)を用いた分析アルゴリズム(非特許文献1〜4)を計算して、異常箇所(異常機器)を特定(推定)する(S109)。なお、非特許文献1〜4のいずれかの分析アルゴリズムの場合、通信システムの構成情報が必要とされるが、当該構成情報は、予め補助記憶装置102等に記憶されていればよい。また、非特許文献3の分析アルゴリズムの場合、過去の異常発生事例の情報が必要とされるが、当該情報も予め補助記憶装置102等に記憶されていればよい。
【0035】
続いて、出力部16は、異常箇所特定部15によって特定(推定)された異常機器を示す情報(例えば、異常機器の識別情報等)を出力する(S110)。
【0036】
なお、上記では、複数種類の異常検知アルゴリズムが利用される例について説明したが、1種類の異常検知アルゴリズムのみが利用されるようにしてもよい。この場合、ステップS106は実行されなくてよい。
【0037】
また、本実施の形態は、通信システム以外のシステムであって、複数の機器(又は装置)を含むシステムに関して適用されてもよい。
【0038】
上述したように、本実施の形態によれば、寄与度を用いることで、様々な異常検知手法(異常検知アルゴリズム)の計算結果を一様に異常箇所・要因特定手法への入力とすることができ、異常検知から箇所特定までを一連の動作として実行できる。その結果、異常箇所の特定に関する精度及び計算速度を向上させることができる。
【0039】
なお、本実施の形態において、異常検知部12は、判定部の一例である。寄与度計算部13は、計算部の一例である。異常箇所特定部15は、特定部の一例である。寄与度選択部14は、選択部の一例である。
【0040】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0041】
本出願は、2018年1月12日に出願された日本国特許出願第2018−003117号に基づきその優先権を主張するものであり、同日本国特許出願の全内容を参照することにより本願に援用する。
【符号の説明】
【0042】
1 通信システム
10 異常箇所特定装置
11 観測情報収集部
12 異常検知部
13 寄与度計算部
14 寄与度選択部
15 異常箇所特定部
16 出力部
100 ドライブ装置
101 記録媒体
102 補助記憶装置
103 メモリ装置
104 CPU
105 インタフェース装置
106 表示装置
107 入力装置
B バス
図1
図2
図3
【国際調査報告】