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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年7月18日
【発行日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】フォトマスク
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/70 20120101AFI20201127BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   G03F1/70
   G03F7/20 501
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】特願2019-564654(P2019-564654)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年12月28日
(31)【優先権主張番号】特願2018-1938(P2018-1938)
(32)【優先日】2018年1月10日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】奥村 哲人
(72)【発明者】
【氏名】宮地 宏昭
【テーマコード(参考)】
2H195
2H197
【Fターム(参考)】
2H195BA01
2H195BB02
2H195BB07
2H195BB32
2H195BB36
2H197AA09
2H197BA11
2H197CC11
2H197HA05
2H197HA08
2H197HA10
2H197JA05
(57)【要約】
マルチレンズの接続部(J1〜J4)によるスキャン露光により転写されるフォトマスクのパターンの線幅と、マルチレンズの非接続部(L1〜L3)によるスキャン露光により転写されるフォトマスクのパターンの線幅との、少なくとも一方は設計線幅に対して補正された線幅であり、補正された線幅は、スキャン方向と、スキャン方向と直交する方向との、少なくとも一方向に段階的に変化する線幅であり、段階的に変化する線幅は、乱数に基づく補正成分(R)を含み、乱数は、正弦波を周波数変調した波形か、若しくはホワイトノイズに基づくフォトマスクとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチレンズからなる投影レンズを備えたスキャン方式の投影露光に用いるフォトマスクであって、
前記マルチレンズの接続部によるスキャン露光により転写される前記フォトマスクのパターンの線幅と、前記マルチレンズの非接続部によるスキャン露光により転写される前記フォトマスクのパターンの線幅との、少なくとも一方は設計線幅に対して補正された線幅であり、
前記補正された線幅は、スキャン方向と、前記スキャン方向と直交する方向との、少なくとも一方向に段階的に変化する線幅であり、
前記段階的に変化する線幅は、乱数に基づく補正成分を含むフォトマスク。
【請求項2】
前記マルチレンズの接続部によるスキャン露光により転写される領域と、前記マルチレンズの非接続部によるスキャン露光により転写される領域との、少なくとも一方は複数に分割された小領域となっており、
前記乱数に基づく補正成分は、前記複数に分割された小領域の各々に対する乱数に基づく補正成分である請求項1に記載のフォトマスク。
【請求項3】
前記乱数は、正弦波を周波数変調した波形に基づき生成する請求項1に記載のフォトマスク。
【請求項4】
前記乱数は、正弦波を周波数変調した波形に基づき生成する請求項2に記載のフォトマスク。
【請求項5】
前記乱数は、ホワイトノイズに基づき生成する請求項1または2に記載のフォトマスク。
【請求項6】
前記乱数は、ホワイトノイズに基づき生成する請求項2に記載のフォトマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチレンズからなる投影レンズを備えたスキャン方式の投影露光に用いるフォトマスクに関する。本願は、2018年1月10日に、日本国に出願された特願2018−001938号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、大型カラーテレビ、ノートパソコン、携帯用電子機器の増加に伴い、液晶ディスプレイ、特にカラー液晶ディスプレイパネルの需要の増加がめざましい。カラー液晶ディスプレイパネルに用いられるカラーフィルタ基板は、ガラス基板等からなる透明基板上に、赤色フィルタ、緑色フィルタ、青色フィルタ等からなる着色画素、ブラックマトリックス、およびスペーサ等が、フォトマスクを用いたパターン露光、現像等のパターニング処理を行うフォトリソグラフィプロセスを経て形成される。
【0003】
最近では、カラー液晶ディスプレイパネル自体の大型化が要請されるとともに、生産効率の向上も求められている。このため、カラー液晶ディスプレイパネルに用いられるカラーフィルタ基板に関しては、例えば、マザーガラスのサイズを大型化してディスプレイパネル用のパターンを数多く含む、多面付けされた大型のカラーフィルタ基板を効率良く製造することが特に重要である。
【0004】
この他、カラー液晶ディスプレイパネルでは、表示デバイスを形成したアレイ基板(シリコン基板)上に、着色画素、ブラックマトリックス、平坦化層、スペーサ等の構成要素を形成した反射型カラー液晶表示装置も提案されている。
【0005】
これらのカラー液晶表示装置用のカラーフィルタ基板の製造においては、従来、高い生産性を得るために一括露光タイプのフォトマスクを用いて一括露光処理方式を採用することが多かった。しかし、基板サイズの一層の大型化に伴うフォトマスクの大型化が進むと、一括露光タイプのフォトマスクの製造技術上の困難が増すとともに高価になり、一括露光処理方式の問題点が大きくなってきた。このため、安価で製造の容易な小サイズのフォトマスクを用いてレジスト(感光性樹脂液)を基板上に塗布し、基板上をスキャンしながら露光する方式(スキャン露光方式)の開発が進んでいる。
【0006】
一方、デジタルカメラ等に内蔵される固体撮像素子は、直径が30cm程度のシリコンウェハ基板の表面に複数のイメージセンサを面付け配置し、イメージセンサを構成する多数の光電変換素子(CCDあるいはCMOS)や配線をウェハプロセスにて形成する。そしてカラー画像を撮像可能とするため、前記光電変換素子上に色分解用の着色画素とマイクロレンズからなるOCF(On Chip Filter)層をフォトリソグラフィプロセスにより形成した後、ダイシング工程にて断裁しチップ(個片)状の固体撮像素子とするが、前記のスキャン露光方式を、OCF層を形成するためのフォトリソグラフィプロセスにも利用するべく開発が進んでいる。
【0007】
図13は、従来のスキャン露光方式の投影露光装置の構成を示す概念図である(例えば、特許文献1)。従来の投影露光装置では、フォトマスク200の上部に設置された光源ユニット(図示せず)から出射した露光光110をフォトマスク200に照射し、パターニングされたフォトマスク200を介して基板400上に塗布されたレジストを感光することにより、ブラックマトリックスや着色画素やスペーサ、マイクロレンズのパターンを形成する。投影レンズ300は、千鳥配列された複数の柱状レンズからなるマルチレンズで構成されており、投影レンズ300の全体の中心はフォトマスク200のスキャン方向の中心線上に位置する。
【0008】
例えばフォトマスク200の大きさが基板400の1/4の大きさで、(X,Y)方向に(2,2)の4面付けスキャン露光を行う場合、まずフォトマスク200の中心は、基板400の1/4の領域における中心と一致するように移動して初期位置を定める。その後、フォトマスク200および基板400は、固定された投影レンズ300に対してY方向に同時にスキャン動作を行い、フォトマスク200に形成されたパターンを基板400の1/4の領域のレジストに転写する。この動作を残りの3か所の初期位置に移動して繰返し、基板400全体のレジストへの転写が行われる。
【0009】
従来の投影露光装置において、投影レンズ300を透過する光の光路上には各柱状レンズの露光領域を接続するための視野絞りが挿入される。このため、投影レンズ300の露光領域600は、図14の(a)に示すように、平面視で台形形状を有し、複数の露光領域600が千鳥配列されている。隣り合う一対の柱状レンズの接続部付近を図14の(b)に拡大図示する。隣り合う接続部の露光領域は各柱状レンズの端部では三角形部分が向き合う形状になり、Y方向にスキャンすることで、一対のレンズを透過した光の合計光量が、どの位置においても接続部600aを含まない露光領域600の四角形領域(非接続部)に等しい100(相対値、図14の(b)参照)となるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】日本国特開平11−160887号公報
【0011】
しかし、現実の転写されたレジストパターン線幅は、光量100の1回露光で形成した線幅と、2回露光で合計光量100として形成した線幅には差異が生じる。例えば、ネガレジストで形成する場合、図14の(c)に示すように、2回露光で形成される線幅は、1回露光で形成される線幅よりも細くなり、接続部の中心位置(光量50+50の2回露光部)で最も細くなる。これは2回露光では1回目の露光の終わりから2回目の露光が始まるまでの間にレジストの反応性が下がり、2回目の露光時まで持続できないことが原因と考えられる。また、この1回露光で形成される線幅と2回露光で形成される線幅との差異は目視では認識できない大きさである。しかし、線幅の差異が周期的に現れるとカラーフィルタ基板上にぼんやりとした濃淡パターン(以下、ムラ)となって見えるので表示装置とした時に欠陥となって見える。この問題への対策として、レジストの高感度化等を行っても、上記問題を解決するには至らない。
【0012】
具体的に、図15を用いて、従来の露光装置でカラーフィルタ基板用の着色画素を形成した場合について説明する。すなわち、レジストの反応性は、図15の(a)において2対の柱状レンズの接続部600aの中心に向かうにつれてL1、J11、J12、・・・と次第に小さくなる。このため、ネガレジストで形成する場合、着色画素のX方向線幅は、図15の(b)に示すC1kx、C2kx、・・・Cnkx(k=1、2、・・・n)のレジストパターンの順に細くなる。同様に、Y方向線幅はCk1y、Ck2y、・・・Ckny(k=1、2、・・・n)のレジストパターンの順に細くなる。ポジレジストで、ネガレジストの場合の反転マスクで形成する場合は、上述の順に線幅が太くなる。
【0013】
また、図16に、従来の露光装置でカラーフィルタ基板用のブラックマトリックスを形成する例を示す。すなわち、ネガレジストで形成する場合、図16の(b)に示すように、ブラックマトリックスのX方向線幅bx1、bx2・・・bxnはレジストパターンBx1、Bx2・・・Bxnの順に細くなる。同様に、Y方向線幅by1、by2・・・bynはレジストパターンBy1、By2・・・Bynの順に細くなる。ポジレジストで、ネガレジストの場合の反転マスクで形成する場合は、上述の順に線幅が太くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、スキャン露光方式の投影露光において、投影レンズの露光領域の接続部に発生する周期的な線幅変動に起因するムラを解消するフォトマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第一の態様に係るフォトマスクは、マルチレンズからなる投影レンズを備えたスキャン方式の投影露光に用いるフォトマスクであって、前記マルチレンズの接続部によるスキャン露光により転写される前記フォトマスクのパターンの線幅と、前記マルチレンズの非接続部によるスキャン露光により転写される前記フォトマスクのパターンの線幅との、少なくとも一方は設計線幅に対して補正された線幅であり、前記補正された線幅は、スキャン方向と、前記スキャン方向と直交する方向との、少なくとも一方向に段階的に変化する線幅であり、前記段階的に変化する線幅は、乱数に基づく補正成分を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の第二の態様は、第一の態様に係るフォトマスクにおいて、前記マルチレンズの接続部によるスキャン露光により転写される領域と、前記マルチレンズの非接続部によるスキャン露光により転写される領域との、少なくとも一方は複数に分割された小領域となっており、前記乱数に基づく補正成分は、前記複数に分割された小領域の各々に対する乱数に基づく補正成分であってもよい。
【0017】
本発明の第三の態様は、第一または第二の態様に係るフォトマスクにおいて、前記乱数は、正弦波を周波数変調した波形に基づいていてもよい。
【0018】
本発明の第四の態様は、第一または第二の態様に係るフォトマスクにおいて、前記乱数は、ホワイトノイズに基づいていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るフォトマスクによれば、スキャン露光において、投影レンズの露光領域の接続部に発生する線幅変動に起因するムラの問題を解消できる。本発明に係るフォトマスクを用いて着色画素やブラックマトリックスやスペーサ、マイクロレンズを製造することにより、カラーフィルタ基板やOCF層上でムラが視認されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】スキャン露光方式の投影露光装置の構成を示す概念図である。
図2図1に示す投影露光装置で投影レンズを透過した光の形状を部分的に示す平面図(a)と、(a)の部分拡大図(b)と、スキャン露光により形成されるネガレジストパターンの線幅のX方向位置による変化を説明するための特性を示す図(c)である。
図3図1に示す投影露光装置で着色画素を形成したときの状況を説明する図であり、(a)投影レンズを透過した光の形状の部分拡大図および(b)ネガレジスト用フォトマスクの部分拡大図である。
図4図1の投影露光装置でブラックマトリックスを形成したときの状況を説明するために使用する図であり、(a)投影レンズを透過した光の形状の部分拡大図および(b)ネガレジスト用フォトマスクの部分拡大図である。
図5】本実施形態に係るフォトマスクで着色画素を形成するためのマスクパターン線幅を補正する方法のうち、特に測定線幅に基づく補正を説明するための図面である。
図6】本実施形態に係るフォトマスクでブラックマトリックスを形成するためのマスクパターン線幅を補正する方法のうち、特に測定線幅に基づく補正を説明するための図面である。
図7】本実施形態に係るフォトマスクで着色画素を形成するためのマスクパターンを分割して線幅を補正する方法のうち、特に測定線幅に基づく補正を説明するための図面である。
図8】X方向、Y方向に分割された着色画素の例を示す平面図である。
図9】本実施形態に係るフォトマスクで着色画素を形成するためのマスクパターン線幅を補正する方法のうち、乱数に基づく補正の第1態様を説明するための図面である。
図10】本実施形態に係るフォトマスクで着色画素を形成するためのマスクパターン線幅を補正する方法のうち、乱数に基づく補正の第2態様であり、第1態様でさらに転写領域を小領域に分割して行う乱数に基づく補正を説明するための図面である。
図11】本実施形態に係るフォトマスクで着色画素を形成するためのマスクパターン線幅を補正する方法のうち乱数に基づく補正の第3態様を説明するための図面である。
図12】本実施形態に係るフォトマスクで着色画素を形成するためのマスクパターン線幅を補正する方法のうち乱数に基づく補正の第4態様を説明するための図面である。
図13】従来のスキャン露光方式の投影露光装置の構成を示す概念図である。
図14図13の投影露光装置で投影レンズを透過した光の形状を部分的に示す平面図(a)と、(a)の部分拡大図(b)と、スキャン露光により形成されるネガレジストパターンの線幅のX方向位置による変化を説明するための特性を示す図(c)である。
図15図13の投影露光装置で着色画素を形成したときの状況を説明するための図であり、投影レンズを透過した光の形状(a)とネガレジスト用フォトマスク(b)とを示す部分拡大図である。
図16図13の投影露光装置でブラックマトリックスを形成したときの状況を説明するための図であり、投影レンズを透過した光の形状(a)とネガレジスト用フォトマスク(b)とを示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るフォトマスクの実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、以下の実施形態に限定されるものではない。尚、同一の構成要素については便宜上の理由がない限り同一の符号を付け、重複する説明は省略する。
【0022】
以下、特に明記しない限り、ネガレジストで着色画素、及びブラックマトリックスを形成する場合について説明する。ネガレジストで形成する場合とポジレジストで形成する場合の違いは、フォトマスクの開口部(光透過部)と遮光部の反転と、マスクパターン線幅を補正する方向、すなわち、ネガレジストでは線幅を太く補正し、ポジレジストでは線幅を細く補正する、のみである。
【0023】
図1は、スキャン露光方式の投影露光装置の構成を示す概念図である。投影露光装置では、フォトマスク2の上部に設置された光源ユニット(図示せず)から出射した露光光1をフォトマスク2に照射し、パターニングされたフォトマスク2を介して基板4上に塗布されたレジストを感光することにより、ブラックマトリックスや着色画素やスペーサ、マイクロレンズのパターンを形成する。投影レンズ3は、千鳥配列された複数の柱状レンズからなるマルチレンズで構成されており、投影レンズ3の全体の中心はフォトマスク2のスキャン方向の中心線上に位置する。
【0024】
例えばフォトマスク2の大きさが基板4の1/4の大きさで、(X,Y)方向に(2,2)の4面付けスキャン露光を行う場合、まずフォトマスク2の中心は、基板4の1/4の領域における中心と一致するように移動して初期位置を定める。その後、フォトマスク2および基板4は、固定された投影レンズ3に対してY方向に同時にスキャン動作を行い、フォトマスク2に形成されたパターンを基板4の1/4の領域のレジストに転写する。この動作を残りの3か所の初期位置に移動して繰返し、基板4全体のレジストへの転写が行われる。
【0025】
投影露光装置において、投影レンズ3を透過する光の光路上には各柱状レンズの露光領域を接続するための視野絞りが挿入される。このため、投影レンズ3の露光領域6は、図2の(a)に平面視で部分的に示すように、台形状を有し、複数の露光領域600が千鳥配列されている。隣り合う一対の柱状レンズの接続部付近の露光領域を図2の(b)に拡大図示する。隣り合う接続部の露光領域は各柱状レンズの端部では三角形部分が向き合う形状になり、Y方向にスキャンすることで、一対のレンズを透過した光の合計光量が、どの位置においても接続部6aを含まない露光領域6の四角形領域(非接続部)に等しい100(相対値)となるように構成されている。
【0026】
図5は、本実施形態に係るフォトマスクで着色画素を形成するためのマスクパターン線幅を補正する方法のうち、特に測定線幅に基づくマスクパターン線幅の補正を説明するための図面である。図5の(a)は、投影レンズを透過した光による露光領域6と遮光領域7の平面視形状を示している。レジストの反応性は2対の柱状レンズの接続部の中心に向かうにつれてL1、J11、J12、・・・と次第に低下する。
【0027】
図5の(b)は、着色画素パターンを有する本実施形態に係るフォトマスク8aの平面図である。図3の(b)に示すように、着色画素パターンを有するフォトマスクは、X方向およびY方向に複数のパターン配列が並んでいるが、図5の(b)では、説明の簡略化のため複数のパターン配列のうち、X方向に並んだ開口パターンC1n、C2n、C3n、・・・、Cnnのみを表わしている。C1n、C2n、・・・、Cnnはいずれも開口パターンであり、開口パターンC1nでは既述のように相対光量100の1回露光で露光されるが、開口パターンC2n、C3n、・・・、Cnnの順に透過光によるレジストの反応性が低下し、X方向及びY方向の線幅が細くなる。
【0028】
そこで本実施形態に係るフォトマスクでは、開口パターンC2n、C3n、・・・、Cnnの線幅(開口パターン幅)を次第に大きく補正して作製し、上述した線幅細りの問題を改善する。本実施形態に係るフォトマスクを使用する露光装置では、投影レンズ3の中心はフォトマスク2のスキャン方向の中心線上にある。その結果、レンズの接続部に起因する露光領域の線幅変動が発生するフォトマスク上の位置が定まり、線幅細りの問題の改善に有効である。
【0029】
具体的には、設計線幅に対して補正係数Kを乗じた値を開口パターンC2n以降の線幅に設定する。より具体的には、まず予め測定した特性曲線A(図2の(c)参照)を平滑化した曲線を作成し、縦軸は設計線幅をC2n以降の平滑化した曲線から求めた測定線幅で割った値として、図5の(c)のような補正曲線Bを作成する。
【0030】
次に、開口パターンC2n、C3n、・・・、CnnのX方向の両辺の位置から補正曲線Bに垂線を下ろし、補正曲線Bとの2つの交点(例えば、C3nについては交点δ31と交点δ32)を求め、2交点における平均値を開口パターンC2n、C3n、・・・、Cnnの補正係数Kとする(図5の(d)参照)。例えば開口パターンC3nについては交点δ3aである。補正曲線Bの変化は小領域では直線的なため、ほぼ交点δ31と交点δ32との中間値となる。従って、開口パターンC2n、C3n、・・・、Cnnの補正係数Kは設計線幅を基準(1.0)とする測定線幅の逆数となり、補正されたフォトマスクの開口パターンの線幅はスキャン方向と直交する方向にパターンごとに段階的に変化する線幅となる。
【0031】
非接続部の開口パターンC1nについては、ほぼ設計線幅に近い線幅が得られるため、補正係数Kは1.0(補正なし)としてもよい。しかし、設計線幅に近い線幅が得られない場合は、上述した接続部の場合と同様の手順により、1.0以外の補正係数Kを使用してもよい。以上により、本実施形態に係るフォトマスクを用いてスキャン露光を行うと、非接続部の線幅が接続部の線幅の変動に近くなるので、露光後の着色画素の線幅変動が少なくなる。
【0032】
図5の補正曲線Bは図示の都合上、開口パターンC2n、C3n、・・・、CnnのX方向の線幅C2nx、C3nx、・・・、Cnnxの補正についての補正曲線であるが、スキャン方向であるY方向の線幅C2ny、C3ny、・・・、Cnnyの補正に対しても有効である。何故なら、各画素でのレジスト反応性の比はX方向、Y方向ともに同じであるため、Y方向の線幅C1ny、C2ny、C3ny、・・・、Cnnyのレジストパターン線幅を測定すれば図2の(c)の特性曲線Aと相似形になる。従って、補正曲線BはX方向の線幅に対する曲線と同じになり、各画素のY方向の補正係数Kの値は、開口パターンC2n、C3n、・・・、CnnのY方向の位置にのみ依存する。このようにして、本実施形態に係るフォトマスクでは、補正された線幅はスキャン方向に画素ごとに段階的に変化する線幅となり、スキャン方向にも露光後の着色画素の線幅変動が少なくなる。
【0033】
以上、着色画素を形成するための本実施形態に係るフォトマスクについて説明したが、図4の(b)に示すブラックマトリックスを形成するためのフォトマスクについても同様である。図6は、本実施形態に係るフォトマスクでブラックマトリックスを形成するためのマスクパターン線幅を補正する方法のうち、特に測定線幅に基づく補正を説明するための図面である。着色画素の場合との違いは、着色画素の場合は個々の画素についてX方向、Y方向の線幅補正を行うが、ブラックマトリックスの場合は、X方向に並んだレジストパターンBx2、Bx3、・・・BxnについてはX方向の線幅bx2、bx3、・・・bxnについて補正を行い、Y方向に並んだBy2、By3、・・・BynについてはY方向の線幅by2、by3、・・・bynについて補正を行えばよいということである。
【0034】
X方向のレジストパターンBx2、Bx3、・・・Bxnの場合、両辺の位置から補正曲線Bに垂線を下ろし、補正曲線Bとの2つの交点(例えば、レジストパターンBx3については交点δ31と交点δ32)を求め、2交点における平均値(Bx3については交点δ3a)をレジストパターンBx2、Bx3、・・・Bxnの補正係数Kとする(図6の(d)参照)。以上により、レジストパターンBx2、Bx3、・・・Bxnの補正係数Kは設計線幅/測定線幅、すなわち設計線幅を測定線幅で除した値となる。この結果、本実施形態に係るフォトマスクを用いてスキャン露光を行うと、露光後のブラックマトリックスの線幅が揃う。Y方向のレジストパターンBy1、By2、・・・Bynについても同様である。
【0035】
以上の本実施形態に係るフォトマスクにおける線幅の補正方法では、マスクパターンを分割して補正を行ってもよい。図7は、本発明のフォトマスクで着色画素を形成するためのマスクパターンを分割して線幅を補正する方法を説明するための図面である。ここでは、図5の(b)におけるC3n画素をX方向に分割する場合を代表的に示している。このように、n個の部分に分割して、それぞれの領域について補正曲線により、図5の場合と同様に補正係数δ3a1、δ3a2、・・・δ3anを求める。これにより、補正による線幅の段階的な変化が図5の場合よりも小刻みになって曲線に近くなり、接続部に起因する線幅変動に対する対策がより実際に即したものとなる。この結果、上述した線幅変動の問題がさらに改善する。
【0036】
上述した開口パターンを分割して補正を行う方法は、同様の方法により着色画素のY方向、及びブラックマトリックスのX方向、Y方向に対しても行うことができ、線幅変動の改善に有効である。尚、通常ブラックマトリックスの寸法は、幅方向には着色画素の線幅よりも小さく、長さ方法には着色画素の線幅よりも大きい。そのため、幅方向の分割数については着色画素よりも少なく、長さ方向の分割数については多くすることが好ましい。
【0037】
本実施形態に係るフォトマスクにおいては、以上の線幅補正の導入により投影レンズの露光領域の接続部に発生する線幅変動を改善することができる。しかし、スキャン露光による線幅は、図2の(c)の測定値による特性曲線Aからも分るように変動が見られる。そのような変動は描画装置固有の描画方式やレジスト特性を含むレジストプロセスに起因するものであり、これが繰り返し形成されるとムラとして視認される。
【0038】
そこで本実施形態に係るフォトマスクでは、さらに線幅変動の規則性を解消するため、線幅の補正は乱数に基づく補正成分を含む。通常、フォトマスクの作製には電子線描画装置が使われ、原パターンの作成は電子線描画データの作成によって行われる。補正線幅への乱数に基づく補正成分の導入も前記の測定線幅に基づく補正と同様に、描画データの変更によって行うことができる。補正線幅への乱数に基づく補正成分の導入は、日本国特開2011−187869号公報に記載されている方法を参照することができる。
【0039】
本実施形態に係るフォトマスクにおける補正線幅への乱数に基づく補正成分の導入は、具体的には、上述の測定線幅に基づく補正係数Kに、乱数によって発生させた第2の補正係数Rを乗じることによって導入する。日本国特開2011−187869号公報に記載のメッシュ単位としては、本実施形態に係るフォトマスクでは、着色画素の場合、分割のない個々の画素(図3の(b)参照)としてもよく、図7のようにX方向に、あるいは図8のようにX方向及びY方向に分割した後の画素を単位としてもよい。ブラックマトリックスの場合についても同様であるが、特に長さ方向については分割した後の画素をメッシュ単位とすることが有効である。
【0040】
図9は、本実施形態に係るフォトマスクで着色画素を形成するためのマスクパターン線幅を補正する方法のうち、乱数に基づく補正の第1実施形態を説明するための図面である。図9において、(a)〜(d)は、より多くの投影レンズを含む範囲を図示範囲とし、(b)にレジスト線幅を加えた以外は、図5に示す(a)〜(d)と同じである。尚、ここでは開口の数はレンズ接続部、非接続部とも1領域あたり4個の例を示している。
【0041】
図9の(d)のKL1、KL2、KL3は非接続部の各開口に対応する補正係数Kの群であるので、図5のC1nの補正係数と同様に1.0(補正なし)としてもよく、線幅変動がある場合は設計線幅/測定線幅としてもよい。KJ1、KJ2、KJ3、KJ4は接続部の各開口に対応する補正係数Kの群であり、図5の開口パターンC2n、C3n、・・・、Cnnの補正係数と同様、設計線幅/測定線幅とする。
【0042】
図9の(e)のRL1、RL2、RL3は非接続部の乱数によって発生させた第2の補正係数Rである。図9の(e)のRJ1、RJ2、RJ3、RJ4は接続部の乱数によって発生させた第2の補正係数Rである。本実施形態に係るフォトマスクでは、これらのすべて非接続部および接続部に適用する補正係数は乱数を用いた第2の補正係数とする必要はなく、非接続部のRL1、RL2、RL3、若しくは接続部のRJ1、RJ2、RJ3、RJ4のいずれか一方を第2の補正係数としてもよい。乱数によって発生させた第2の補正係数を用いない場合は、第2の補正係数を用いない領域の乱数に基づく補正係数Rを1.0(補正なし)とすればよい。
【0043】
設計線幅に補正係数Kと補正係数Rを乗じた線幅を用いて実際に作製した線幅が、製品としての仕様線幅を越えることがないように、補正係数Rの範囲は1.0を含み、1.0近傍の、1.0を中心としてプラスマイナス側に同じ大きさだけの振り幅とすることが望ましい。
【0044】
第2の補正係数Rの導出は、予め設定した関数によって乱数を発生し、発生した乱数を非接続部(L1、L2、L3)、若しくは接続部(J1、J2、J3、J4)の少なくともいずれか一方に順次割り振り、割り振られた乱数に基づき、予め乱数と対応させておいた第2の補正係数R(RL1、RL2、RL3、及び/またはRJ1、RJ2、RJ3、RJ4)を決定する。その後、設計線幅に補正係数Kと補正係数Rを乗じ、各領域のリサイズ後の線幅を決定する。また、プラス側のリサイズまたはマイナス側のリサイズが連続した場合に再度乱数を割り振る処理をはじめ、その他のデータ処理は日本国特開2011−187869号公報による方法と同様に行えばよい。
【0045】
図10の(e)は、本実施形態に係るフォトマスクで着色画素を形成するためのマスクパターン線幅を補正する方法のうち、乱数に基づく補正の第2実施形態である。図10は、図9に示したマスクパターン線幅の補正でさらに転写領域を分割して行う乱数に基づく補正を説明するための図面である。本実施形態に係るフォトマスクでは、このように非接続部(L1、L2、L3)の領域、若しくは接続部(J1、J2、J3、J4)の領域の少なくともいずれか一方を分割し、それぞれ分割後の小領域に対して乱数に基づく補正成分を導入し、非接続部の小領域に対し第2の補正係数RL11・・・RL1n、・・・、及び/または接続部の小領域に対し第2の補正係数RJ11・・・RJ1n、・・・を使用する。これにより、乱数に基づく補正の範囲が広がるので線幅の周期的な変化がより少なくなるので、ムラ発生のリスクがさらに緩和される。
【0046】
図11は、本実施形態に係るフォトマスクで着色画素を形成するためのマスクパターン線幅を補正する方法のうち、特に(e)乱数に基づく補正の第3実施形態を説明するための図面である。図11における(a)〜(d)までは、より多くの投影レンズを含む範囲を図示範囲とし、図11の(b)にレジスト線幅を加えた以外は、図5における(a)〜(d)と同じである。尚、図11では開口の数はレンズ接続部、非接続部とも1領域あたり4個を示している。
【0047】
図11の(d)に示すKL1、KL2、KL3は非接続部の各開口に対応する補正係数Kの群であるので、図5のC1nの補正係数と同様に1.0(補正なし)としてもよく、線幅変動がある場合は設計線幅/測定線幅としてもよい。KJ1、KJ2、KJ3、KJ4は接続部の各開口に対応する補正係数Kの群であり、図5の開口パターンC2n、C3n、・・・、Cnnの補正係数と同様、設計線幅/測定線幅とする。
【0048】
図11の(e)に示すRL1、RL2、RL3は非接続部の各開口に対応する乱数によって発生させた第2の補正係数Rの群である。図11の(e)に示すRJ1、RJ2、RJ3、RJ4は接続部の各開口に対応する乱数によって発生させた第2の補正係数Rの群である。乱数に基づく補正の第3実施形態では、補正係数を導出する乱数を正弦波を周波数変調した波形に基づいて生成する。図11の(e)に示すRFは、正弦波を周波数変調した波形の一例である。
【0049】
一般に、搬送波Vcを(1)式、搬送波を変調する変調波Vsを(2)式の、いずれも正弦波とすると、時間を横軸とした被変調波Vmは、以下のような(3)式で表わされる。
Vc=Vcm・Cos(ωc・t) ・・・・(1)
Vs=Vsm・Cos(ωs・t) ・・・・(2)
Vm=Vcm・Sin((ωc・t)+mf・Sin(ωs・t))・・・・(3)
ここで、Vcm:搬送波振幅、 ωc:搬送波角周波数、t:時間、
Vsm:変調波振幅、 ωs:変調波角周波数、
mf(=△ω/ωs):変調指数、 △ω:角周波数偏移
尚、△ωは搬送波周波数の、周波数変調による変化の幅を意味している。
【0050】
今、正弦波を周波数変調した波形が、空間を横軸としたRFであるとき、図11の(d)に示す補正係数Kを求めるときと同様に、各開口の両辺の位置から周波数変調した波形RFに垂線を下ろし、波形RFとの2つの交点を求め、2交点における平均値を、該開口に対応する第2の補正係数Rとする(図11の(e)参照)。
【0051】
設計線幅に補正係数Kと補正係数Rを乗じた線幅を用いて実際に作製した線幅が、製品としての仕様線幅を越えることがないように、補正係数Rの範囲(図11の(e)における1.0−Vcm〜1.0+Vcm)は、1.0を中心とし、1.0近傍で、プラスマイナス側に同じ大きさだけの範囲とすることが望ましい。
【0052】
(3)式から分かるように、被変調波Vmは周期性を有するが、ωc:搬送波角周波数、ωs:変調波角周波数、△ω:角周波数偏移は任意に設定できるので、周波数変調した波形はデータ処理により任意に作成することができる。最終製品の仕様線幅、描画装置の特性、レジスト種を含むレジストプロセスに応じて、周期的なムラが生じないようにωc、ωs、△ωを好適に選択し、周波数変調した波形を決定すればよい。
【0053】
図12は、本実施形態に係るフォトマスクで着色画素を形成するためのマスクパターン線幅を補正する方法のうち、特に乱数に基づく補正の第4実施形態を説明するための図面である。図12における(a)〜(d)は、図11における(a)〜(d)と同じであるので、説明を省略する。
【0054】
図12の(e)に示すRL1、RL2、RL3は非接続部の、RJ1、RJ2、RJ3、RJ4は接続部の、各開口に対応する、いずれも乱数によって発生させた第2の補正係数Rの群である。乱数に基づく補正の第4実施形態では、乱数を、ホワイトノイズに基づいて生成する。図12の(e)に示すRWは、ホワイトノイズに基づく波形の一例である。
【0055】
ホワイトノイズは電子回路中のトランジスタ、ダイオード等の能動素子や、抵抗、コンデンサ等の受動素子から発生し、広範囲の周波数を含み、ある特定の数値内の振幅でランダムに変動し、全体の平均と分散はゼロとなるような、非常に不規則なノイズであり、特定の周期性をもたない。
【0056】
今、ホワイトノイズに基づく波形がRWであるとき、図12の(d)に示す補正係数Kを求めるときと同様に、各開口の両辺の位置からホワイトノイズに基づく波形RWに垂線を下ろし、波形RWとの2つの交点を求め、2交点における平均値を、該開口に対応する第2の補正係数Rとする(図12の(e)参照)。
【0057】
設計線幅に補正係数Kと補正係数Rを乗じた線幅を用いて実際に作製した線幅が、製品としての仕様線幅を越えることがないように、補正係数Rの範囲は、1.0を中心とし、1.0近傍で、プラスマイナス側に同じ大きさの範囲(図12の(e)に示す1.0−W〜1.0+W、Wは波形RWの最大振幅)とすることが望ましい。
【0058】
ホワイトノイズは特定の周期性をもたないが、波形RWが振動する平均的な周期は、開口との位置関係を考慮し、適切に選択する必要がある。平均的な周期を変えた波形RWは、ホワイトノイズをアナログ・ディジタル変換しデータ処理することにより任意に作成することができる。最終製品の仕様線幅、描画装置の特性、レジスト種を含むレジストプロセスに応じて、周期的なムラが生じないように平均的な周期を好適に選択し、波形RWを決定すればよい。
【0059】
図11、及び図12では、第1実施形態で用いる乱数に、それぞれ正弦波を周波数変調した波形に基づく乱数、及びホワイトノイズに基づく乱数を適用する場合について説明したが、転写領域を小領域に分割して補正を行う、第2実施形態で用いる乱数に適用してもよい。
【0060】
以上の乱数に基づく補正を接続部と非接続部のいずれか一方、あるいは両方のいずれで行うかは、最終製品の仕様線幅、描画装置の特性、レジスト種を含むレジストプロセスに応じて、適宜選択すればよい。適用する対象を少なくする方が描画データボリュームは小さくなり有利である。また、以上の乱数に基づく補正はX方向の線幅補正について説明したが、Y方向の補正についても有効であることは、測定線幅に基づく補正の場合と同様である。
【0061】
以上のように本実施形態に係るフォトマスクでは、測定線幅に基づく補正係数Kの導入により線幅を段階的に変化させることで投影レンズの露光領域の接続部に起因する線幅変動を改善し、さらに乱数によって発生させた第2の補正係数Rを導入することで、描画装置やレジストプロセスに起因する線幅変動を緩和するので、周期性を伴うムラ発生の問題を解消することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のフォトマスクを用いることによって、線幅の異常や変動のない着色画素、ブラックマトリックス、スペーサ、マイクロレンズを作製することができる。これにより、カラーフィルタ基板、アレイ基板上のカラーフィルタ層やOCF層上で問題となっていたムラが視認されることがなくなる。従って、本発明に係るフォトマスクは高い表示品質が求められるカラー液晶ディスプレイパネルやそれを用いた高精細液晶表示装置、及び固体撮像素子用のカラーフィルタやマイクロレンズの製造に対して好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0063】
1・・・・露光光
2・・・・フォトマスク
3・・・・投影レンズ
4・・・・基板
5・・・・ステージ
6・・・・露光領域
6a・・・接続部
7・・・・遮光領域
8・・・・着色画素パターンを有するフォトマスク
8a、8b・・・着色画素パターンを有するフォトマスクの一部
9・・・・ブラックマトリックスパターンを有するフォトマスク
9a・・・ブラックマトリックスパターンを有するフォトマスクの一部
A・・・・測定値による特性曲線
B・・・・補正曲線
S1・・・非接続部を含むスキャン領域
S2・・・接続部を含むスキャン領域
L1、L2、L3・・・・・・非接続部
J1、J2、J3、J4・・・接続部
C3n・・・1個の着色画素パターン
RF・・・・正弦波を周波数変調した波形
RW・・・・ホワイトノイズに基づく波形
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】