(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2017年9月15日〜17日 LIFE2017「第33回ライフサポート学会大会 第17回日本生活支援工学会大会 日本機械学会 福祉工学シンポジウム2017」
行動判定装置は、ユーザの足底面に設置される1以上のセンサが計測する圧力又は力を示す計測データを取得する計測データ受信部と、前記計測データを解析して、前記ユーザが1歩、1ステップ又は1踏み込みを行う1荷重期を特定し、前記1荷重期ごとに、足底圧パラメータと時間パラメータを算出するデータ解析部と、前記足底圧パラメータ及び前記時間パラメータに基づいて所定の時間ごとに最大の極大値となるピーク点を検出し、前記ピーク点に基づいて前記ユーザの行動を判定する行動判定部とを含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る最適な実施形態について、添付する図面を参照して具体例を説明する。
【0011】
<システム構成例>
図1は、システムの構成例を示す機能ブロック図である。例えば、行動判定システム100は、計測デバイス(靴デバイス)2、情報端末3及びサーバ装置5等を有する。なお、行動判定システム100には、図示するように、管理端末6等の情報処理装置が更にあってもよい。以下、図示する行動判定システム100を例に説明する。また、図示する行動判定システム100は、サーバ装置5が行動判定装置となる例である。以下、サーバ装置5を行動判定装置の例として説明するが、行動判定装置は、図示する以外の形態で用いられてもよい。
【0012】
行動判定システム100では、図示するように、ユーザが使用する靴1(左右)には、計測デバイス(靴デバイス)2が設けられる。
【0013】
図示するように、計測デバイス2は、センサ部21及び通信部22等を有する機能構成である。
【0014】
計測デバイス2は、まず、センサ部21によって、ユーザの足底面における圧力を計測する。又は、センサ部21は、ユーザの足底面における力を計測してもよい。
【0015】
次に、通信部22は、センサ部21によって計測される計測データ等をBluetooth(登録商標)又は無線LAN(Local Area Network)等の無線通信により、情報端末3に送信する。
【0016】
情報端末3は、例えば、スマートフォン、タブレット、PC(Personal Computer)又はこれらの組み合わせ等の情報処理装置である。
【0017】
計測デバイス2は、例えば、10ms(ミリ秒、100Hz)ごとに、計測データを情報端末3に送信する。このように、計測デバイス2は、あらかじめ設定される所定間隔で計測データを情報端末3に送信する。
【0018】
センサ部21は、例えば、いわゆるインソール(中敷き)型の基材211等に1以上設置される圧力センサ212等で実現される。なお、圧力センサ212は、インソールに設置されるに限られない。例えば、圧力センサ212は、靴下又は靴底等に設置されてもよい。
【0019】
なお、センサは、圧力センサ212以外に、剪断力(摩擦力)センサ、加速度センサ、温度センサ、湿度センサ又はこれらの組み合わせ等が更にあってもよい。
【0020】
また、インソールには、情報端末3側からの制御により、色が変化する機構(視覚刺激を与える機構)、又は、素材が変形したり、硬さが変化したりする機構(触覚刺激を与える機構)が設けられてもよい。
【0021】
ほかにも、情報端末3には、ユーザに示す歩行又は足部の状態がフィードバックされてもよい。また、通信部22は、GPS(Global Positioning System)等によって、位置データ等を送信してもよい。なお、位置データは、情報端末3によって取得されてもよい。
【0022】
情報端末3は、あらかじめ設定される所定間隔(例えば、10秒ごと等である。)ごとに、計測デバイス2から受信する計測データをインターネット等のネットワーク4を介してサーバ装置5に送信する。
【0023】
また、情報端末3は、サーバ装置5から、ユーザの歩行又は足部の状態等を示すデータを取得して画面に表示し、ユーザに歩行又は足部の状態等をフィードバックしたり、靴の選択を支援したりする機能を有してもよい。
【0024】
なお、計測データ等は、計測デバイス2からサーバ装置5にデータが直接に送信されてもよい。この場合には、情報端末3は、例えば、計測デバイス2に対する操作又はユーザへのフィードバック等に用いられる。
【0025】
サーバ装置5は、例えば、基本データ入力部501と、計測データ受信部502と、データ解析部503と、行動判定部507と、データベース521とを含む機能構成である。また、サーバ装置5は、図示するように、ライフログ書込部506等を含む機能構成でもよい。以下、図示する機能構成を例にサーバ装置5を説明するが、サーバ装置5は、図示する機能構成に限られない。
【0026】
基本データ入力部501は、ユーザ及び靴等の基本的なデータの設定を受け付ける基本データ入力手順を行う。例えば、基本データ入力部501が受け付けた設定は、データベース521上のユーザデータ522等に登録される。
【0027】
計測データ受信部502は、計測デバイス2から情報端末3を介して送信されるデータ等を受信する計測データ受信手順を行う。そして、計測データ受信部502は、データベース521上の計測データ526等に受信したデータを登録する。
【0028】
データ解析部503は、荷重期データ解析部504等を有する。例えば、荷重期データ解析部504は、計測データ526を解析して解析処理後データ527等を生成するデータ解析手順を行う。
【0029】
ライフログ書込部506は、ライフログデータ524をデータベース521上に登録する。
【0030】
行動判定部507は、行動判定処理等によってユーザがどのような行動をしているかを判定する行動判定手順を行う。
【0031】
また、管理者は、管理端末6等によって、ネットワーク4を介してサーバ装置5にアクセスできる。そして、管理者は、サーバ装置5で管理されるデータを確認したり、又は、メンテナンス等ができたりする。
【0032】
図示するように、データベース521には、例えば、ユーザデータ522、ライフログデータ524、計測データ526、解析処理後データ527及び行動データ528等のデータが保持される。例えば、各データは、以下のような構成である。
【0033】
<データ例>
図2は、データの一例を示す図(その1)である。
【0034】
ユーザデータ522は、図示するように、「ユーザID(Identification)」、「名前」、「靴ID」、「性別」、「生年月日」、「身長」、「体重」、「靴サイズ」、「登録日」及び「更新日」等の項目を有するデータである。すなわち、ユーザデータ522は、ユーザの特徴等を入力するデータである。
【0035】
図3は、データの一例を示す図(その2)である。
【0036】
ライフログデータ524は、図示するように、「ログID」、「年月日時刻」、「ユーザID」、「1日の予定」、「目的地」、「移動距離」、「歩数」、「平均歩行速度」、「最多位置情報(GPS)」、「登録日」及び「更新日」等の項目を有するデータである。すなわち、ライフログデータ524は、ユーザの行動(予定が含まれてもよい。)を示すデータである。
【0037】
図4は、データの一例を示す図(その3)である。
【0038】
計測データ526は、図示するように、「年月日時刻」、「ユーザID」、「左足1番センサ:後足部(踵)圧力値」、「左足2番センサ:中足部1圧力値」、「左足3番センサ:前足部1圧力値」、「左足4番センサ:前足部2圧力値」、「左足5番センサ:前足部3圧力値」、「左足6番センサ:中足部2圧力値」、「左足7番センサ:前足部4圧力値」、「右足1番センサ:後足部(踵)圧力値」、「右足2番センサ:中足部1圧力値」、「右足3番センサ:前足部1圧力値」、「右足4番センサ:前足部2圧力値」、「右足5番センサ:前足部3圧力値」、「右足6番センサ:中足部2圧力値」及び「右足7番センサ:前足部4圧力値」等の項目を有するデータである。なお、各センサの具体的な配置例は、
図7等で説明する。また、計測データ526の各圧力値は、計測された時間でプロットして波形データの形式としてもよい。波形データの例は、
図10等で説明する。
【0039】
図5及び
図6は、データの一例を示す図(その4)である。
【0040】
解析処理後データ527は、図示するように、「年月日時刻」、「ユーザID」、「歩数」、「全センサ総和圧力値最大極大値平均」、「左足1番センサ:後足部(踵)前期最大極大値平均」、「左足1番センサ:後足部(踵)後期最大極大値平均」、「左足2番センサ:中足部1前期最大極大値平均」、「左足2番センサ:中足部1後期最大極大値平均」、「左足3番センサ:前足部1前期最大極大値平均」、「左足3番センサ:前足部1後期最大極大値平均」、「左足4番センサ:前足部2前期最大極大値平均」、「左足4番センサ:前足部2後期最大極大値平均」、「左足5番センサ:前足部3前期最大極大値平均」、「左足5番センサ:前足部3後期最大極大値平均」、「左足6番センサ:中足部2前期最大極大値平均」、「左足6番センサ:中足部2後期最大極大値平均」、「左足7番センサ:前足部4前期最大極大値平均」、「左足7番センサ:前足部4後期最大極大値平均」、「右足1番センサ:後足部(踵)前期最大極大値平均」、「右足1番センサ:後足部(踵)後期最大極大値平均」、「右足2番センサ:中足部1前期最大極大値平均」、「右足2番センサ:中足部1後期最大極大値平均」、「右足3番センサ:前足部1前期最大極大値平均」、「右足3番センサ:前足部1後期最大極大値平均」、「右足4番センサ:前足部2前期最大極大値平均」、「右足4番センサ:前足部2後期最大極大値平均」、「右足5番センサ:前足部3前期最大極大値平均」、「右足5番センサ:前足部3後期最大極大値平均」、「右足6番センサ:中足部2前期最大極大値平均」、「右足6番センサ:中足部2後期最大極大値平均」、「右足7番センサ:前足部4前期最大極大値平均」、「右足7番センサ:前足部4後期最大極大値平均」、「左足平均立脚時間」、「右足平均立脚時間」、「両脚支持時間」、「左足単脚支持時間」、「右足単脚支持時間」、「左足1番センサ:ピーク出現点」、「左足2番センサ:ピーク出現点」、「左足3番センサ:ピーク出現点」、「左足4番センサ:ピーク出現点」、「左足5番センサ:ピーク出現点」、「左足6番センサ:ピーク出現点」、「左足7番センサ:ピーク出現点」、「右足1番センサ:ピーク出現点」、「右足2番センサ:ピーク出現点」、「右足3番センサ:ピーク出現点」、「右足4番センサ:ピーク出現点」、「右足5番センサ:ピーク出現点」、「右足6番センサ:ピーク出現点」、及び「右足7番センサ:ピーク出現点」等の項目を有するデータである。
【0041】
また、解析処理後データ527の項目のうち、「左足平均立脚時間」、「右足平均立脚時間」、「両脚支持時間」、「左足単脚支持時間」、「右足単脚支持時間」、「左足1番センサ:ピーク出現点」、「左足2番センサ:ピーク出現点」、「左足3番センサ:ピーク出現点」、「左足4番センサ:ピーク出現点」、「左足5番センサ:ピーク出現点」、「左足6番センサ:ピーク出現点」、「左足7番センサ:ピーク出現点」、「右足1番センサ:ピーク出現点」、「右足2番センサ:ピーク出現点」、「右足3番センサ:ピーク出現点」、「右足4番センサ:ピーク出現点」、「右足5番センサ:ピーク出現点」、「右足6番センサ:ピーク出現点」及び「右足7番センサ:ピーク出現点」等が時間パラメータの例となる。
【0042】
さらに、解析処理後データ527の項目のうち、「全センサ総和圧力値最大極大値平均」、「左足1番センサ:後足部(踵)前期最大極大値平均」、「左足1番センサ:後足部(踵)後期最大極大値平均」、「左足2番センサ:中足部1前期最大極大値平均」、「左足2番センサ:中足部1後期最大極大値平均」、「左足3番センサ:前足部1前期最大極大値平均」、「左足3番センサ:前足部1後期最大極大値平均」、「左足4番センサ:前足部2前期最大極大値平均」、「左足4番センサ:前足部2後期最大極大値平均」、「左足5番センサ:前足部3前期最大極大値平均」、「左足5番センサ:前足部3後期最大極大値平均」、「左足6番センサ:中足部2前期最大極大値平均」、「左足6番センサ:中足部2後期最大極大値平均」、「左足7番センサ:前足部4前期最大極大値平均」、「左足7番センサ:前足部4後期最大極大値平均」、「右足1番センサ:後足部(踵)前期最大極大値平均」、「右足1番センサ:後足部(踵)後期最大極大値平均」、「右足2番センサ:中足部1前期最大極大値平均」、「右足2番センサ:中足部1後期最大極大値平均」、「右足3番センサ:前足部1前期最大極大値平均」、「右足3番センサ:前足部1後期最大極大値平均」、「右足4番センサ:前足部2前期最大極大値平均」、「右足4番センサ:前足部2後期最大極大値平均」、「右足5番センサ:前足部3前期最大極大値平均」、「右足5番センサ:前足部3後期最大極大値平均」、「右足6番センサ:中足部2前期最大極大値平均」、「右足6番センサ:中足部2後期最大極大値平均」、「右足7番センサ:前足部4前期最大極大値平均」及び「右足7番センサ:前足部4後期最大極大値平均」等が足底圧パラメータの例となる。
【0043】
行動データ528は、行動判定部507によるユーザの行動を判定した結果を示すデータである。すなわち、行動データ528は、ユーザがどのような行動をしたか等が保持される。
【0044】
なお、ユーザデータ522及びライフログデータ524は、必須なデータではない。また、各データは、図示するような項目をすべて有さなくともよい。
【0045】
<センサの配置例>
図7は、センサ位置の例を示す配置図である。例えば、センサは、図示するような位置に設置される。図示するように、センサは、ユーザの足における前部、中部及び後部をそれぞれ計測できるように、複数設置されるのが望ましい。
【0046】
図示する配置例では、「1番センサ」等が、後部を計測し、計測データを生成する。すなわち、後部HELに設置されるセンサが、足底面における後部を計測するためのセンサの例となる。そして、後部HELに設置されるセンサは、主に、踵部等がある、いわゆる「後足部」と呼ばれる範囲を計測対象とする。
【0047】
また、図示する配置例では、「2番センサ」及び「6番センサ」等が、中部を計測し、計測データを生成する。すなわち、中部LMF及び中部MMF等に設置されるセンサが、足底面における中部を計測するためのセンサの例となる。そして、中部LMF及び中部MMFに設置されるセンサは、主に、いわゆる「中足部」と呼ばれる範囲を計測対象とする。
【0048】
さらに、図示する配置例では、「3番センサ」、「4番センサ」、「5番センサ」及び「7番センサ」等が、前部を計測し、計測データを生成する。すなわち、前部LFF、前部TOE、前部FMT及び前部CFF等に設置されるセンサが、足底面における前部を計測するためのセンサの例となる。前部LFF、前部TOE、前部FMT及び前部CFFに設置されるセンサは、主に、つま先等がある、いわゆる「前足部」と呼ばれる範囲を計測対象とする。
【0049】
なお、センサは、図示する以外の位置に設置されてもよい。
【0050】
<ハードウェア構成例>
図8は、計測デバイス、情報端末、サーバ装置及び管理端末等の情報処理装置が有する情報処理に係るハードウェア構成例を示すブロック図である。図示するように、計測デバイス、情報端末、サーバ装置及び管理端末等の情報処理装置は、例えば、一般的なコンピュータである。以下、各情報処理装置が同一のハードウェア構成の例で説明するが、各情報処理装置は、異なるハードウェア構成でもよい。
【0051】
計測デバイス2等は、バス207を介して相互に接続されるCPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203及びSSD(Solid State Drive)/HDD(Hard Disk Drive)204等を有する。また、計測デバイス2等は、接続I/F(Interface)205及び通信I/F206等の入力装置及び出力装置を有する。
【0052】
CPU201は、演算装置及び制御装置の例である。そして、CPU201は、RAM203等の主記憶装置をワークエリアとし、ROM202又はSSD/HDD204等の補助記憶装置に格納されたプログラムを実行すると、各処理及び各制御を行うことができる。そして、計測デバイス2等が有する各機能は、例えば、CPU201において所定のプログラムが実行されることで実現される。なお、プログラムは、記録媒体を経由して取得されてよいし、ネットワーク等を経由して取得されるものでもよいし、ROM等にあらかじめ入力されてもよい。
【0053】
図示するようなハードウェア構成では、例えば、計測データ受信部502は、接続I/F205又は通信I/F206等で実現される。また、データ解析部503及び行動判定部507は、例えば、CPU201等で実現される。
【0054】
<全体処理例>
図9は、全体処理例を示すフローチャートである。
【0055】
<計測データの取得例>(ステップS111)
ステップS111では、行動判定装置は、計測データを取得する。具体的には、
図1に示すシステム構成では、サーバ装置5は、情報端末3等を介して、計測デバイス2が計測し、生成した計測データを取得する。なお、計測データの詳細は、
図10で説明する。
【0056】
<1荷重期データの生成例>(ステップS112)
ステップS112では、行動判定装置は、1荷重期データを生成する。すなわち、行動判定装置は、計測データのうち、各行動の1荷重期分となる範囲を解析して特定し、「1荷重期データ」を生成する。
【0057】
1荷重期は、歩行若しくは走行等の行動における1歩、階段の上り若しくは下り等の行動における1ステップ又は自転車に乗る行動における1踏み込みを行うための時間に相当する。したがって、ユーザが歩行している場合には、1荷重期は、1立脚期となる。
【0058】
例えば、行動判定装置は、まず、計測データが示す各センサの圧力値を時系列にした波形データに基づいて、波形の立ち上がりから接地時点までを抽出する。このようにして、行動判定装置は、1荷重期を特定する。次に、行動判定装置は、1荷重期ごとに、波形データを切り出す。
【0059】
具体的には、行動判定装置は、例えば、全センサの圧力値が最小になる点から次に全センサの圧力値が最小になる点までを1荷重期と特定する。また、例えば、以下の(a)及び(b)の条件を満たすように、1荷重期データは、生成される。
(a)波形データ全体のうち、最も高い圧力値(トップ最大値)を示すセンサを特定し、そのセンサからの波形データの複数の荷重期の最大極大値がいずれもトップ最大値を基準として80%以上の値を示すこと
(b)1荷重期の長さが1200ms未満であること
なお、1荷重期データの詳細は、
図10で説明する。
【0060】
<足底圧パラメータの取得例>(ステップS113)
ステップS113では、行動判定装置は、足底圧パラメータを取得する。具体的には、行動判定装置は、まず、1荷重期の前期と後期ごとに、各センサが計測する圧力値の最大極大値又は片足の全センサにおける総和圧力値の最大極大値を検出する。次に、行動判定装置は、検出される最大極大値を加算する。このように加算して得られる合計値を荷重期数で除算すると、行動判定装置は、平均値を計算できる。このようにして計算される平均値が、「左足1番センサ:後足部(踵)前期最大極大値平均」又は「左足総和圧力値の最大極大値平均」等の値となる。
【0061】
なお、足底圧パラメータの詳細は、
図11及び
図12で説明する。
【0062】
<時間パラメータの取得例>(ステップS114)
ステップS114では、行動判定装置は、時間パラメータを取得する。具体的には、行動判定装置は、各足が接地している時間等に基づいて、各足の単脚支持時間等を特定する。ほかにも、行動判定装置は、例えば、両足がどちらも接地している時間を両脚支持時間等とする。また、行動判定装置は、これらの荷重期ごとの時間を平均して平均値等を計算し、各時間パラメータの値としてもよい。また、1荷重期の前期と後期ごとに各センサの最大極大値が算出された時点を1荷重期の長さを「100」とした場合の時間割合で取得し、例えば、ピーク出現点等とする。
【0064】
<解析処理後データに記録する例>(ステップS115)
ステップS115では、行動判定装置は、ステップS113及びステップS114等で解析した結果を解析処理後データに記録する。例えば、解析処理後データは、
図5及び
図6に示す項目等で記録される。
【0065】
<行動判定例>(ステップS116)
ステップS116では、行動判定装置は、計測データ等に基づいて、ユーザの行動を判定する。なお、判定処理の詳細は、
図15で説明する。
【0066】
<計測データ及び1荷重期データの例>
図10は、計測データの一例を示す図である。図では、横軸は、時間を示し、縦軸は、圧力値を示す。
【0067】
例えば、ステップS111では、
図10(a)に図示するような計測データが取得される。そして、ステップS112では計測データを解析して、1荷重期が特定され、
図10(a)に示す計測データから1荷重期分が抽出されると、例えば、
図10(b)に示すような1荷重期データが生成できる。
【0068】
したがって、
図10(b)に示す1荷重期CYCが、歩行の行動では、立脚時間となる。
【0069】
<足底圧パラメータの例>
図11及び
図12は、1荷重期の足底圧パラメータの取得例を示す図である。図では、1荷重期における割合を横軸に示し、縦軸は、圧力値を示す。
【0070】
ステップS113等では、行動判定装置は、各波形のピークとなる点(以下「ピーク点」という。)と複数のピーク点の間に現れる極小点を検出する。なお、ピーク点は、所定の時間において極大値又は最大値となる点である。
【0071】
例えば、行動判定装置は、計測データを微分する等によって、ピーク点または極小点を判定する。なお、ピーク点または極小点の検出方法は、極大値または極小値を検出できる方法であれば、微分以外の方法でもよい。
【0072】
具体的には、1荷重期における各センサの最大値等を検出すると、第1ピーク点PM1及び第2ピーク点PM2等のようなそれぞれの1つずつのセンサの荷重期前期又は後期における最大極大値となる値が検出でき、足底圧パラメータとして取得できる。また、全センサの総和圧力値の最大値等を検出すると、PN1乃至3のような総和圧力のピーク点と、PN4のような極小点とが圧力値で検出でき、それぞれを足底圧パラメータとして取得する。総和圧力値について、
図11では、その極大点がPN1とPN2のように2個又は極小点がPN4のように極大点の数マイナス1個、
図12では、その極大点PN3が1つ検出される。なお、図では、ピーク点と極小点の例を黒四角で示す。
【0073】
したがって、ステップS113の処理を行うと、行動判定装置は、例えば、図示するような足底圧パラメータを取得できる。
【0074】
<時間パラメータの例>
また、
図11及び
図12において各センサの荷重期前期と後期における最大極大値を検出した時点(パーセント)は各センサの「ピーク出現点」とし、時間パラメータとして取得する。
【0075】
具体的には、
図11においては、22パーセントの時点で、1つのセンサにおいて、第1ピーク点PM1が検出され、48パーセントの時点で、第1ピーク点PM1が検出されるセンサとは別のセンサにおいて、第2ピーク点PM2が検出される。
図12では、50パーセント付近で、1つのセンサの荷重期前期と後期における最大極大点PM3とPM4が検出される。
【0076】
図13は、1荷重期の時間パラメータの取得例を示す図である。図は、歩行の場合を例にした時間パラメータの例を示す。
【0077】
例えば、一定以上の圧力値が計測される時間を特定すると、立脚時間TSが取得できる。図示するように、立脚時間TSは、例えば、左足が接地してから、次に左足が地面から離れるまでの時間とほぼ一致する。そして、この例では、立脚時間TSが1荷重期となる。
【0078】
以下、図示するように、左足及び右足の両方が接地している時間を「両脚支持期」という場合がある。一方で、左足及び右足のうち、どちらか一方の足のみが接地している時間を「単脚支持期」という場合がある。
【0079】
したがって、ステップS114の処理を行うと、行動判定装置は、例えば、図示するような時間パラメータを取得できる。
【0080】
<行動判定処理の対象となる計測データの例>
図14は、4種類の行動を計測した計測データの例を示す図である。以下、図示するような計測データが取得できた場合を例に説明する。
【0081】
この例では、計測データは、図示するように、ユーザが、歩行する行動(以下「歩行行動」という場合がある。)ACT1、階段の下り行動ACT2、自転車に乗る行動(以下「自転車行動」という場合がある。)ACT3及び階段の上り行動ACT4を行った場合における各センサが計測した圧力値を示す。
【0082】
なお、この例では、センサは、図示するようなセンサ位置SEPとする。
【0083】
そして、図示する計測データに対して、行動判定装置は、
図9に示す全体処理を行う。この全体処理では、ステップS116で、行動判定装置は、例えば、以下のような判定処理を行う。
【0084】
<行動判定処理例>
図15は、行動判定処理の例を示すフローチャートである。図示する行動判定処理は、あらかじめステップS113とS114で取得でき、S115でサーバ等に記録される解析処理後データ等に基づいて行われる。
【0085】
また、行動判定処理は、図示する例では、自転車行動判定、走行行動判定、階段の下り行動判定、階段の上り判定行動、歩行行動の判定の順で行うが、各行動判定の順序は、図示する順序でなくともよい。例えば、各判定は、別々に行われてもよい。
【0086】
<ピーク検出例>(ステップS201)
ステップS201では、行動判定装置は、各波形のピークとなる点(以下「ピーク点」という。)を検出する。このステップは、具体的にはステップS115で解析処理後データに記録されている足底圧パラメータを利用し、1荷重期の前期と後期それぞれにおいて、各センサの最大極大値平均からピーク点を特定する。また、同じく足底圧パラメータを利用し、全センサ総和圧力値の最大極大値平均から1つ又は2つのピーク点を特定する。
【0087】
また、行動判定装置は、解析処理後データに寄らない場合でも、計測データから最大値等があらかじめ算出されている場合には、最大値等から処理対象とするピーク点を抽出してもよい。
【0088】
<全センサの和の軌跡が単峰であるか、二峰であるか又はいずれでもないかの判定例>(ステップS202)
ステップS202では、行動判定装置は、全センサ総和圧力値の1荷重期データのパラメータを用いて、全総和圧力値の波形が、単峰であるか、二峰であるか又はいずれでもないかを判定する。
【0089】
単峰は、1荷重期データの波形において、ピーク点を1つ有する場合である。一方で、二峰は、1荷重期データの波形において、ピーク点を2つ有し、その間に極小点がある場合である。したがって、行動判定装置は、1荷重期データ内で全センサ総和圧力値において発生したピーク点数と極小点の有無により、1荷重期データが単峰であるか、二峰であるか又はいずれでもないかを判定できる。このとき、二峰であることの判定を明確にするために、行動判定装置は、2つのピーク点のうち、低い方の圧力値と極小点の圧力値との差が所定値以上になることを基準に追加して判定してもよい。
【0090】
1荷重期データが単峰であると行動判定装置が判定すると(ステップS202で「単峰」)、行動判定装置は、ステップS203に進む。一方で、1荷重期データが二峰であると行動判定装置が判定すると(ステップS202で「二峰」)、行動判定装置は、ステップS205に進む。また、単峰とも二峰とも判定されない場合(ステップS202で「いずれでもない」)、行動判定装置は、ステップS215に進む。
【0091】
<全センサのピーク出現点が荷重期の中央に集中するか否かの判定例>(ステップS203)
ステップS203では、行動判定装置は、全センサにおけるそれぞれの前期のピーク出現点と後期のピーク出現点がすべて荷重期の中央に集中しているか否かを判定する。具体的には、行動判定装置は、全センサの前期と後期におけるピーク出現点を取得し、例えば、すべてのピーク出現点が35%以上、かつ、65%以下であった場合に、全センサのピーク出現点が荷重期の中央に集中している、すなわち、1荷重期の圧力が中央の時間帯に集中していると判定する。そして、全センサのピーク出現点が荷重期中央に集中している場合(ステップS203でYES)、行動判定装置は、ステップS204に進む。一方で、いずれかのピーク出現点が35%以上、かつ、65%以下にない場合(ステップS203でNO)、行動判定装置は、ステップS215に進む。
【0092】
<自転車行動と判定する例>(ステップS204)
ステップS204では、行動判定装置は、ユーザが自転車に乗る行動をしていると判定する。
【0093】
ステップS203及びステップS204等で実現される自転車行動の判定方法は、
図17で詳細を説明する。
【0094】
<両脚支持時間が第4所定値以上か未満であるかの判定例>(ステップS205)
ステップS205では、行動判定装置は、両脚支持時間が第4所定値以上か否かを判定する。具体的には、行動判定装置は、まず、
図13等のように、各足の立脚時間を計算し、
図13における「両脚支持期」となる両脚支持時間を計算する。そして、行動判定装置は、あらかじめ設定される両脚支持時間が第4所定値以上であるか未満であるか、すなわち、両脚支持時間が短いか否かを判定する。
【0095】
ステップS205において両脚支持時間が第4所定値以上であると(ステップS205でYES)、行動判定装置は、ステップS207に進む。一方で、ステップS205において両脚支持時間が第4所定値未満であると(ステップS205でNO)、行動判定装置は、ステップS206に進む。
【0096】
<走行行動と判定する例>(ステップS206)
ステップS206では、行動判定装置は、ユーザが走る行動をしていると判定する。
【0097】
ステップS205及びステップS206等で実現される走行行動の判定方法は、
図20及び
図21等で詳細を説明する。
【0098】
<1つのセンサにおけるピーク差が第1所定値未満であるか否かの判定例>(ステップS207)
ステップS207では、行動判定装置は、荷重期において最も大きい圧力値を示す1つのセンサにおいて荷重期前期と後期のピーク差が第1所定値未満であるか否かを判定する。具体的には、行動判定装置は、全センサの最大極大値平均を比較し、最も大きい値を示すセンサを特定する。その1つのセンサにおいて、まず、荷重期前期と後期のピーク点の値の差を計算し、ピーク差を計算する。そして、行動判定装置は、ピーク差があらかじめ設定される第1所定値未満であるか、すなわち、ピーク差が小さい値であるか否かを判断する。
【0099】
なお、第1所定値等の所定値は、個人差等を考慮して、人ごとに異なる値が設定されてもよい。
【0100】
1つのセンサにおけるピーク差が第1所定値未満であると(ステップS207でYES)、行動判定装置は、ステップS208に進む。一方で、1つのセンサにおけるピーク差が第1所定値未満でないと(ステップS207でNO)、行動判定装置は、ステップS210に進む。
【0101】
<圧力又は力が前足部乃至中足部に集中するか否かの判定例>(ステップS208)
ステップS208では、行動判定装置は、圧力又は力が足部の前足部乃至中足部に集中しているか否かを判定する。
【0102】
具体的には、荷重期前期の各センサの最大極大値平均を比較し、最も大きい値を示すセンサ及び二番目に大きい値を示すセンサが足部の前足部又は中足部に設置されたセンサであるか否かを調べ、同様に荷重期後期についても調べ、いずれも正の場合、圧力又は力が前足部乃至中足部に集中していると判定する。その場合(ステップS208でYES)、行動判定装置は、ステップS209に進む。一方で、圧力又は力が前足部乃至中足部に集中していない場合(ステップS208でNO)、行動判定装置は、ステップS210に進む。
【0103】
<階段の下り行動と判定する例>(ステップS209)
ステップS209では、行動判定装置は、ユーザが階段を下る行動をしていると判定する。
【0104】
ステップS207、ステップS208及びステップS209等で実現される階段の下り行動の判定方法は、
図18で詳細を説明する。
【0105】
<1荷重期の圧力が荷重期後期に集中しているか否かの判定例>(ステップS210)
ステップS210では、行動判定装置は、1荷重期の圧力が荷重期後期に集中しているか否かを判定する。
【0106】
具体的には、1荷重期の前期と後期それぞれにおいて、各センサのピーク点(最大極大値平均)のうち最も大きい値(以下「ピーク値」という。)を取得し、後期のピーク値が前期のピーク値より大きいか否かを判定する。
【0107】
後期のピーク値が前期より大きい場合には(ステップS210でYES)、行動判定装置は、ステップS211に進む。一方で、後期のピーク値が前期より小さい、又は、ピーク値が等しい場合には(ステップS210でNO)、行動判定装置は、ステップS213に進む。
【0108】
<全センサにおける全ピーク差が第2所定値以上であるか否かの判定例>(ステップS211)
ステップS211では、行動判定装置は、すべてのセンサにおける全ピーク差が第2所定値以上であるか否かを判定する。具体的には、まず、行動判定装置は、1荷重期の前期と後期のピーク点からピーク値の差を計算し、ピーク差(以下「全ピーク差」という。)を取得する。そして、行動判定装置は、全ピーク差があらかじめ設定される第2所定値以上であるか、すなわち、全ピーク差が大きい値であるか否かを判定する。
【0109】
全ピーク差が第2所定値以上であると(ステップS211でYES)、行動判定装置は、ステップS212に進む。一方で、全ピーク差が第2所定値以上でないと(ステップS211でNO)、行動判定装置は、ステップS213に進む。
【0110】
<階段の上り行動と判定する例>(ステップS212)
ステップS212では、行動判定装置は、ユーザが階段を上る行動をしていると判定する。
【0111】
ステップS210、ステップS211及びステップS212等で実現される階段の上り行動の判定方法は、
図19で詳細を説明する。
【0112】
<全ピーク差が第3所定値未満か否かの判定例>(ステップS213)
ステップS213では、行動判定装置は、前記全ピーク差が第3所定値未満か否かを判定する。具体的には、行動判定装置は、前記全ピーク差を取得する。そして、全ピーク差があらかじめ設定される第3所定値未満であるか、すなわち、全ピーク差が小さい値であるか否かを判定する。全ピーク差が第3所定値未満であると(ステップS213でYES)、行動判定装置は、ステップS214に進む。一方で、全ピーク差が第3所定値未満でないと(ステップS213でNO)、行動判定装置は、ステップS215に進む。
【0113】
<歩行行動と判定する例>(ステップS214)
ステップS214では、行動判定装置は、ユーザが歩行する行動をしていると判定する。
【0114】
ステップS213及びステップS214等で実現される歩行行動の判定方法は、
図16等で詳細を説明する。
【0115】
<判定保留とする例>(ステップS215)
ステップS215では、行動判定装置は、特定の行動判定に至らなかった時間帯の行動を判定保留として、行動判定処理を終了する。
【0116】
以上のような行動判定処理は、例えば、1荷重期ごとに行われる。なお、行動判定処理は、1荷重期ごとに限られず、あらかじめ設定される周期ごと又は間隔ごと等のように、所定間隔で行われてもよい。
【0117】
<歩行行動の判定例>
図16は、歩行する行動を計測した1荷重期データの例を示す図である。
【0118】
ユーザが歩行行動ACT1中であると、例えば、図示するような1荷重期データが生成される。まず、図示するように、歩行行動ACT1における1荷重期データに基づいて、全センサにおいて、第11ピーク点PKW1及び第12ピーク点PKW2のように、ピーク点が、ステップS201で2点検出される。図示するように、第11ピーク点PKW1のセンサと、第12ピーク点PKW2のセンサは、異なるセンサである。
【0119】
したがって、歩行行動ACT1であると、1荷重期データは、二峰となる。
【0120】
このとき、歩行行動ACT1における1荷重期データは、第11ピーク点PKW1及び第12ピーク点PKW2の差である第1全ピーク差DWAが小さい値となる。したがって、歩行行動ACT1であると、第1全ピーク差DWAは、第3所定値未満の値となる。ゆえに、ステップS213では、正(YES)と判定される。
【0121】
また、歩行行動の判定では、以下のように、圧力値の分布が考慮されることが望ましい。
【0122】
まず、1荷重期を立脚前期HAW1と、立脚後期HAW2とに2等分すると、立脚前期HAW1では、第11計測結果RW1のような圧力分布が計測され、一方で、立脚後期HAW2では、第13計測結果RW3のような圧力分布が計測される。なお、図示するように、中間時点では、第12計測結果RW2のような圧力分布が計測される。
【0123】
第11計測結果RW1は、第1分布となる例である。図示するように、第11計測結果RW1は、踵等の後部に圧力が集中する分布となる(以下「第1集中分布CW1」という)。
【0124】
第13計測結果RW3は、第2分布となる例である。図示するように、第13計測結果RW3は、つま先等の前部に圧力が集中する分布となる(以下「第2集中分布CW2」という)。
【0125】
図14に示すようなセンサ位置SEPでは、1番目のセンサ等があるため、後部に発生する圧力又は力を計測することができる。したがって、行動判定装置は、立脚前期HAW1において、第1集中分布CW1となっているか否かを判定できる。これは第11ピーク点PKW1が後部に位置するか否かで判定できる。
【0126】
同様に、
図14に示すようなセンサ位置SEPでは、4番目のセンサ等があるため、前部に発生する圧力又は力を計測することができる。したがって、行動判定装置は、立脚後期HAW2において、第2集中分布CW2となっているか否かを判定できる。これは、第12ピーク点PKW2が前部に位置するか否かで判定できる。
【0127】
このように、歩行行動では、立脚前期HAW1において、第1集中分布CW1が発生し、一方で、立脚後期HAW2において、第2集中分布CW2が発生する。すなわち、歩行行動では、第1分布と、第2分布とが周期的に発生する。
【0128】
したがって、行動判定装置は、第1分布と、第2分布とが周期的に発生しているか否かを判定し、歩行行動を判定することができる。このような判定を行うと、行動判定装置は、歩行行動ACT1をより精度良く判定できる。
【0129】
<自転車行動の判定例>
図17は、自転車に乗る行動を計測した1荷重期データの例を示す図である。
【0130】
ユーザが自転車行動ACT3中であると、例えば、図示するような1荷重期データが生成される。まず、図示するように、自転車行動ACT3における1荷重期データに基づいて、荷重期前期と後期それぞれに第2ピーク点PKB1及び第3ピーク点PKB2のように、ピーク点が、ステップS201で2点検出される。このとき第2ピーク点PKB1及び第3ピーク点PKB2の間には際だった極小点は持たない。また、各ピーク点のピーク出現点は、第2ピーク点PKB1は35パーセント以上50パーセント未満、第3ピーク点PKB2は50パーセント以上65パーセント以内に現れる。つまり、荷重期前期のピーク点と荷重期後期のピーク点はともに荷重期の中央付近に集中する。このことから、自転車行動ACT3であると、1荷重期データは、単峰となる。ゆえに、ステップS203では、正(YES)と判定される。
【0131】
また、自転車行動の判定では、以下のように、圧力値の分布が考慮されるのが望ましい。
【0132】
まず、
図16と同様に、1荷重期を行動前期HAB1と、行動後期HAB2とに2等分すると、行動前期HAB1では、第21計測結果RB1のような圧力分布が計測され、一方で、行動後期HAB2では、第23計測結果RB3のような圧力分布が計測される。なお、図示するように、中間時点では、第22計測結果RB2のような圧力分布が計測される。
【0133】
第21計測結果RB1、第22計測結果RB2及び第23計測結果RB3が示すように、自転車行動では、圧力又は力は、足部の所定の箇所に集中する場合が多い。図示する例は、第3分布CBのように、圧力又は力が足部の前部乃至中部に集中する例である。なお、圧力又は力が集中する所定の箇所は、人によって異なる。すなわち、圧力又は力が集中する所定の箇所は、第3分布CBのように、前部乃至中部に限られない。
【0134】
したがって、行動判定装置は、第3分布CBのように、圧力又は力が足部の所定の箇所に集中しているか否かを判定し、自転車行動を判定する。このような判定を更に行うと、行動判定装置は、自転車行動ACT3をより精度良く判定できる。
【0135】
<階段の下り行動の判定例>
図18は、階段を下る行動を計測した1荷重期データの例を示す図である。
【0136】
ユーザが階段の下り行動ACT2中であると、例えば、図示するような1荷重期データが生成される。まず、図示するように、階段の下り行動ACT2における1荷重期データに基づいて、第31ピーク点PKD1及び第32ピーク点PKD2のように、ピーク点が、ステップS201で2点検出される。図示するように、第31ピーク点PKD1のセンサと、第32ピーク点PKD2のセンサは、
図16に示す場合とは異なり、同一のセンサである。なお、判定で用いられるセンサは、最大圧力値を示すセンサである。
【0137】
このように、1つのセンサにおいてピーク点が2点検出される場合も、1荷重期データは、二峰となる。
【0138】
また、階段の下り行動ACT2における1荷重期データは、第31ピーク点PKD1及び第32ピーク点PKD2の差である、1つのセンサにおける第1ピーク差DD1が小さい値となる。したがって、階段の下り行動ACT2であると、第1ピーク差DD1は、第1所定値未満の値となる。ゆえに、ステップS207では、第1ピーク差DD1が、第1所定値未満であると判定される。
【0139】
また、階段の下り行動の判定では、以下のように、圧力値の分布が考慮される。
【0140】
まず、
図16と同様に、1荷重期を立脚前期HAD1と、立脚後期HAD2とに2等分すると、立脚前期HAD1では、第31計測結果RD1のような圧力分布が計測され、一方で、立脚後期HAD2では、第33計測結果RD3のような圧力分布が計測される。なお、図示するように、中間時点では、第32計測結果RD2のような圧力分布が計測される。
【0141】
第31計測結果RD1、第32計測結果RD2及び第33計測結果RD3が示すように、階段の下り行動では、圧力又は力は、前部又は中部に集中する場合が多い。このことは、荷重期前期のピーク点を示すセンサが前部又は中部に位置するか否か、同様に荷重期後期のピーク点を示すセンサが前部又は中部に位置するか否かで判定できる。これに、荷重期前期の最大極大値平均が第2位のセンサが前部又は中部に位置するか否か、同様に荷重期後期の最大極大値平均が第2位のセンサが前部又は中部に位置するか否かを判定に追加してもよい。
【0142】
図示する例は、第4分布CDのように、圧力又は力が前部乃至中部に集中する例である。図示するように、1荷重期データでは、
図7に示すセンサ位置において、前部を計測する7番センサCFF、4番センサTOE及び5番センサFMTが示す圧力値が高い。すなわち、この例は、前部に圧力が集中する例である。
【0143】
したがって、行動判定装置は、第4分布CDのように、圧力又は力が前部又は中部に集中しているか否かを判定し、階段の下り行動を判定する。ゆえに、ステップS208は、正(YES)と判定される。
【0144】
さらに、行動判定装置は、ピーク点を示すひとつのセンサにおいて、荷重期前期のピーク点と荷重期後期のピーク点の間に極小点LMがあるか否かを考慮するのがより望ましい。図示するように、階段の下り行動では、1つのセンサにおいて、二峰となるため、極小点LMがある場合が多い。なお、極小点LMは、例えば、微分等によって検出できる。したがって、行動判定装置は、極小点LMを検出し、階段の下り行動を判定する。このような判定を更に行うと、行動判定装置は、階段の下り行動ACT2をより精度良く判定できる。
【0145】
<階段の上り行動の判定例>
図19は、階段を上る行動を計測した1荷重期データの例を示す図である。
【0146】
ユーザが階段の上り行動ACT4中であると、例えば、図示するような1荷重期データが生成される。まず、図示するように、階段の上り行動ACT4における1荷重期データに基づいて、全センサにおいて、第41ピーク点PKU1及び第42ピーク点PKU2のように、ピーク点が、ステップS201で2点検出される。図示するように、第41ピーク点PKU1のセンサと、第42ピーク点PKU2のセンサは、
図18に示す場合とは異なり、異なるセンサである。
【0147】
したがって、階段の上り行動ACT4であると、1荷重期データは、二峰となる。また、このとき、荷重期後期のピーク値は、荷重期前期のピーク値より必ず大きくなる。図示する例では、第42ピーク点PKU2は第41ピーク点PKU1より大きい。ゆえに、ステップS210は、正(YES)と判定される。
【0148】
また、階段の上り行動ACT4における1荷重期データは、第41ピーク点PKU1及び第42ピーク点PKU2の差である第2全ピーク差DUAが大きい値となる。図示する例は、
図16に示す第1全ピーク差DWAより、第2全ピーク差DUAが、3倍程度大きくなる。なお、歩行行動との違いは、人によって異なる。したがって、階段の上り行動ACT4であると、第2全ピーク差DUAは、第2所定値以上の値となる。ゆえに、ステップS211では、第2全ピーク差DUAが、第2所定値以上であると判定される。
【0149】
なお、第2全ピーク差DUAを計算するのに用いられるピーク点は、1荷重期の前半に発生するピーク点(以下「前ピーク点」という。)と、1荷重期の後半に発生するピーク点(以下「後ピーク点」という。)との組み合わせである。この例では、前ピーク点が第41ピーク点PKU1となり、かつ、後ピーク点が第42ピーク点PKU2となる。
【0150】
図示するように、まず、
図16と同様に、1荷重期を立脚前期HAU1と、立脚後期HAU2とに2等分する。この例では、1荷重期の前半が立脚前期HAU1となり、1荷重期の後半が立脚後期HAU2となる。したがって、第2全ピーク差DUAは、立脚前期HAU1で検出されるピーク点と、立脚後期HAU2で検出されるピーク点との差で計算される値である。
【0151】
また、階段を上る行動の判定では、以下のように、圧力値の分布が考慮されるのが望ましい。例えば、立脚前期HAU1では、第41計測結果RU1のような圧力分布が計測され、一方で、立脚後期HAU2では、第43計測結果RU3のような圧力分布が計測される。なお、図示するように、中間時点では、第42計測結果RU2のような圧力分布が計測される。
【0152】
第41計測結果RU1、第42計測結果RU2及び第43計測結果RU3が示すように、階段の上り行動では、圧力又は力は、前部又は中部に集中する場合が多い。図示する例は、第51分布CU1のように、圧力又は力が前部乃至中部に集中する例である。
【0153】
さらに、階段の上り行動では、圧力又は力は、後部に発生しない場合が多い。図示する例は、第52分布CU2のように、圧力又は力が後部に発生しない例である。
【0154】
図示するように、1荷重期データでは、
図7に示すセンサ位置において、前部を計測する7番センサCFF、4番センサTOE及び5番センサFMTが示す圧力値が高い。すなわち、この例は、前部に圧力が集中する例である。
【0155】
一方で、図示するように、1荷重期データでは、
図7に示すセンサ位置において、後部を計測する1番センサHELが示す圧力値が低い。すなわち、この例は、後部に圧力が発生しない例である。
【0156】
したがって、行動判定装置は、第51分布CU1のように、圧力又は力が前部又は中部に集中しているか否かと、第52分布CU2のように、圧力又は力が後部に発生しないか否かを判定し、階段の上り行動を判定する。このような判定を更に行うと、行動判定装置は、階段の上り行動ACT4をより精度良く判定できる。
【0157】
<走行の行動の判定例>
図20は、走行の行動の判定例を示す図(その1)である。
【0158】
図21は、走行の行動の判定例を示す図(その2)である。
【0159】
行動判定において、走行か否かを判定するには、行動判定装置は、各足の立脚時間を用いるのが望ましい。
【0160】
まず、対照例として、歩行行動では、左足での立脚時間は、例えば、
図20に示すような第11立脚時間TWL等となる。一方で、歩行行動では、右足での立脚時間は、例えば、
図20に示すような第12立脚時間TWR等となる。
【0161】
同様に、走行行動では、左足での立脚時間は、例えば、
図21に示すような第21立脚時間TRL等となる。一方で、走行行動では、右足での立脚時間は、例えば、
図21に示すような第22立脚時間TRR等となる。
【0162】
第11立脚時間TWL、第12立脚時間TWR、第21立脚時間TRL及び第22立脚時間TRR等の立脚時間は、例えば、
図6に示す時間パラメータで算出される値等である。
【0163】
走行行動では、各足の立脚時間が重複する時間帯が少ない、すなわち、
図6に示す「両脚支持時間」が歩行の場合より短い。
図21に示す例は、第21立脚時間TRL及び第22立脚時間TRRの間に、空白時間TNがあり、ユーザが両足で立脚している両脚支持時間が「0」となる例である。一方で、
図20に示す例には、空白時間TNがない。したがって、走行行動の場合には、ステップS205では、両脚支持時間は、あらかじめ設定される第4所定時間以上ではないと判定される。
【0164】
また、走行行動の判定には、第21立脚時間TRL及び第22立脚時間TRRは、第11立脚時間TWL及び第12立脚時間TWRより短い時間であることが考慮されることが望ましい。すなわち、走行行動では、各足の立脚時間つまり接地している時間は、歩行の場合より短い場合が多い。したがって、行動判定装置は、あらかじめ歩行行動が判定された後、歩行行動が持つ時間パラメータである立脚時間等と比較し、歩行の場合より、立脚時間が短い場合を走行行動と判定することもできる。このような判定を更に行うと、行動判定装置は、歩行行動ACT1及び走行行動をより精度良く判定できる。
【0165】
<実験結果>
複数人を計測したところ、以下のような結果が得られた。
【0166】
図22は、荷重期前期と後期のピーク差の例を示す図である。
【0167】
実験の結果、歩行行動、階段の上り行動及び階段の下り行動の各計測データにおいて、前期と、後期とでは、図示すようなピーク差があった。図示するように、階段の上り行動は、ピーク差が「9.1±2.11[N]」となり、他の行動よりピーク差が大きくなった。これは、ステップS213で第1全ピーク差DWAを、ステップS207で第1ピーク差DD1を、またステップS211で第2全ピーク差DUAを、それぞれ判定に用いる相当性を示す。
【0168】
図23は、各行動における各センサのピーク値の例を示す図である。
【0169】
図示するように、踵部の圧力値は、歩行行動において、「16.4±1.26[N]」となり、他の箇所より大きくなった。
【0170】
<まとめ>
以上のように、ピーク点を用いると、行動判定において、ピーク出現点、ピーク差及び全ピーク差等の値が計算できるため、行動判定装置は、ユーザの行動を精度良く判定することができる。ほかにも、上記のような行動判定処理を行うと、行動判定装置は、従来の方法では判定できなかった階段の上り行動及び階段の下り行動等の行動も判定できる。
【0171】
<その他の実施形態>
行動判定処理は、例えば、以下のような処理でもよい。
【0172】
図24は、行動判定処理の変形例を示すフローチャートである。
図15に示す処理と比較すると、ステップS202がステップS220となる点が異なる。以下、
図15と同様の処理は、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0173】
<全センサの軌跡がいずれも単峰か否かの判断例>(ステップS220)
ステップS220では、行動判定装置は、全センサの軌跡がいずれも単峰か否かを判断する。そして、全センサの軌跡がいずれも単峰であると判断すると(ステップS220でYES)、行動判定装置は、ステップS203に進む。一方で、全センサの軌跡に単峰でない軌跡があると判断すると(ステップS220でNO)、行動判定装置は、ステップS207に進む。
【0174】
例えば、以上のような処理であっても
図15等と同様の結果が得られる。
【0175】
なお、行動判定の結果と、ライフログデータとを組み合わせて分析が行われてもよい。例えば、運動強度が分析されたり、地理的位置と、行動との関係が分析されたりしてもよい。このような分析を行うと、行動判定装置は、ユーザの生体情報モニタリングがより詳細にできる。
【0176】
上記説明では、主に圧力を例に説明したが、計測されるのは、力センサを用いて力が計測されてもよい。また、力を計測する面積があらかじめ分かる状態であって、力を計測し、力を面積で除算して算出できる圧力等が用いられてもよい。
【0177】
行動判定システム100は、図示したシステム構成に限られない。すなわち、行動判定システム100は、図示した以外の情報処理装置を更に有してもよい。一方で、行動判定システム100は、1以上の情報処理装置で実現され、図示した情報処理装置より少ない情報処理装置で実現されてもよい。
【0178】
なお、各装置は、1台の装置で実現されなくともよい。すなわち、各装置は、複数の装置で構成されてもよい。例えば、行動判定システム100における各装置は、各処理を複数の装置で分散、並列又は冗長して行ってもよい。
【0179】
なお、本発明に係る各処理の全部又は一部は、アセンブラ等の低水準言語又はオブジェクト指向言語等の高水準言語で記述され、コンピュータに行動判定方法を実行させるためのプログラムによって実現されてもよい。すなわち、プログラムは、情報処理装置又は複数の情報処理装置を有する情報処理システム等のコンピュータに各処理を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0180】
したがって、プログラムに基づいて行動判定方法が実行されると、コンピュータが有する演算装置及び制御装置は、各処理を実行するため、プログラムに基づいて演算及び制御を行う。また、コンピュータが有する記憶装置は、各処理を実行するため、プログラムに基づいて、処理に用いられるデータを記憶する。
【0181】
また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されて頒布することができる。なお、記録媒体は、補助記憶装置、磁気テープ、フラッシュメモリ、光ディスク、光磁気ディスク又は磁気ディスク等のメディアである。さらに、プログラムは、電気通信回線を通じて頒布することができる。
【0182】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上記に説明した実施形態等に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、実施形態は、種々の変形又は変更が可能である。
【0183】
本国際出願は、2018年2月26日に出願された日本国特許出願2018−032336号に基づく優先権を主張するものであり、その全内容を本国際出願に援用する。