(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、リビングラジカル重合の重合開始種として用いることができる下記式(1)〜(4)で表される含ヨウ素化合物を提供する。
【0009】
以下、本開示の含ヨウ素化合物について説明する。本開示の含ヨウ素化合物は、概略的には、ヨウ素が結合する炭素原子に、電子吸引性基または芳香族基を有することを特徴とする。
【0010】
・式(1)で表される化合物
【化7】
【0011】
上記式(1)で表される化合物は、リビングラジカル重合の重合開始点となるヨウ素以外に、さらにR
2として別の機能性部位を有することを特徴とする。
【0012】
上記式(1)中、R
1は、H、F、Cl、CH
3、CF
3、またはO(CF
2)
p1Fである。
【0013】
上記p1は、1〜10の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜3の整数である。
【0014】
R
1は、好ましくはH、F、CH
3、またはCF
3であり、より好ましくはHまたはCH
3であり、さらに好ましくはHである。
【0015】
上記式(1)中、R
2は、−COOR
6、−PO(OR
6)
2、−SO
3−R
6、−SO
2−R
6、−SO−R
6、−フェニル−R
6、または−CONR
102である。R
2は、好ましくは−COOR
6または−PO(OR
6)
2であり、より好ましくは−COOR
6である。
【0017】
本明細書において、「有機基」とは、炭素を含有する基を意味する。かかる有機基としては、代表的には、置換されていてもよい直鎖、分枝鎖または環状の、飽和または不飽和の炭化水素基、およびかかる炭化水素基の骨格の末端または分子鎖中に、1つまたはそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有する基が挙げられる。
【0018】
一の態様において、R
6は、−R
7−R
8である。
【0019】
上記R
7は、フッ素により置換されていてもよいアルキレン基、または(ポリ)アルキレンオキシ基である。
【0020】
一の態様において、フッ素により置換されていてもよいアルキレン基は、パーフルオロアルキレン基である。
【0021】
別の態様において、フッ素により置換されていてもよいアルキレン基は、非置換アルキレン基である。
【0022】
上記R
7において、「アルキレン基」とは、炭素数10以下のアルキレン基であり、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基であり得る。かかるアルキレン基は、直鎖または分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0023】
上記(ポリ)アルキレンオキシ基は、アルキレンオキシ鎖の繰り返し数が1、即ちアルキレンオキシ基およびアルキレンオキシ鎖の繰り返し数が2以上、即ちポリアルキレンオキシ基を包含する。
【0024】
上記(ポリ)アルキレンオキシ基の繰り返し数は、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜6であり得る。
【0025】
上記R
7において、「(ポリ)アルキレンオキシ基」における「アルキレン」は、炭素数10以下のアルキレン基であり、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基であり得る。かかるアルキレン基は、直鎖または分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0026】
一の態様において、R
8は、アルキル基、−OH、−CH=CH
2、−OCH=CH
2、−OCO−CR
41=CH
2、−OCOCR
422R
43、−SiR
443である。
【0027】
上記R
41は、Hまたはアルキル基である。該アルキル基とは、炭素数10以下のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、さらに好ましくはメチル基であり得る。かかるアルキル基は、直鎖または分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0028】
一の態様において、R
41は、Hまたはメチル基である。
【0029】
上記R
42は、各出現においてそれぞれ独立して、Hまたはアルキル基である。該アルキル基とは、炭素数10以下のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、さらに好ましくはメチル基であり得る。かかるアルキル基は、直鎖または分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0030】
上記R
43は、各出現においてそれぞれ独立して、ハロゲン原子である。
【0031】
上記R
43におけるハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくは臭素である。
【0032】
R
44は、各出現においてそれぞれ独立して、アルコキシ基である。該「アルコキシ基」とは、炭素数10以下のアルコキシ基であり、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基、さらに好ましくはメトキシ基であり得る。かかるアルキル基は、直鎖または分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0033】
一の態様において、R
44は、メトキシ基またはエトキシ基である。
【0034】
一の態様において、R
8は、−SiR
8’3:
[式中、
R
8’は、それぞれ独立して、H、炭素数1〜3のアルキル基、または−O−(SiR
8aR
8b−O)
n8−SiR
8c3であり、
R
8aおよびR
8bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、より好ましくはメチル基であり;
R
8cは、各出現においてそれぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基、好ましくはメチル基であり;
n8は、1〜100の整数である]
で表される基である。
【0035】
上記R
10は、H、またはアルキル基であり、好ましくはH、メチル基、またはエチル基である。
【0036】
上記式(1)中、R
3は、HまたはFである。
【0037】
上記式(1)中、R
4は、H、F、アリール基、−COOR
9またはフッ素により置換されていてもよいアルキル基である。
【0038】
上記式(1)中、R
5は、H、F、アリール基、−COOR
9またはフッ素により置換されていてもよいアルキル基である。
【0039】
上記R
4およびR
5におけるアルキル基は、炭素数10以下のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、さらに好ましくはメチル基であり得る。かかるアルキル基は、直鎖または分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0040】
上記R
4およびR
5におけるアリール基は、炭素数6〜22のアリール基であり、好ましくは炭素数6〜16のアリール基、さらに好ましくはフェニル基であり得る。
【0041】
上記R
9は、H、またはアルキル基である。該アルキル基は、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、さらに好ましくはメチル基であり得る。かかるアルキル基は、直鎖または分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0042】
一の態様において、上記式(1)で表される化合物は、
R
1が、H、F、Cl、CH
3、CF
3、またはO(CF
2)
p1Fであり、好ましくはHまたはCH
3であり;
R
2が、−COOR
6であり;
R
3が、HまたはFであり;
R
4が、HまたはFであり;
R
5が、H、Fまたはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基であり、;
R
6が、−R
7−R
8であり;
R
7が、フッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、または(ポリ)C
1−6アルキレンオキシ基であり、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基であり;
R
8が、−CH=CH
2、−OCH=CH
2、または−OCO−CR
41=CH
2であり;
R
41が、Hまたはメチル基であり;
p1が、1〜10の整数である
化合物である。
【0043】
上記の化合物は、ヨウ素を有することからリビングラジカル重合の重合開始剤として機能する。さらに、上記の化合物はエチレン性二重結合を有することからモノマーとしても機能する。
【0044】
一の態様において、上記式(1)で表される化合物は、
R
1が、H、F、Cl、CH
3、CF
3、またはO(CF
2)
p1Fであり、好ましくはHまたはCH
3であり;
R
2が、−COOR
6であり;
R
3が、HまたはFであり;
R
4が、HまたはFであり;
R
5が、H、Fまたはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基であり、;
R
6が、−R
7−R
8であり;
R
7が、炭素数1〜6のアルキレン基、またはポリC
1−6アルキレンオキシ基であり;
R
7が炭素数1〜6のアルキレン基である場合、R
8は−OHであり、R
7がポリC
1−6アルキレンオキシ基である場合、R
8は炭素数1〜3のアルキル基、好ましくはメチル基であり;
p1が、1〜10の整数である
化合物である。
【0045】
上記の化合物は、ヨウ素を有することからリビングラジカル重合の重合開始剤として機能する。さらに、上記の化合物は末端に水酸基を有するか、ポリアルキレンオキシ基を有することから親水化剤としても機能する。
【0046】
一の態様において、上記式(1)で表される化合物は、
R
1が、H、F、Cl、CH
3、CF
3、またはO(CF
2)
p1Fであり、好ましくはHまたはCH
3であり;
R
2が、−COOR
6であり;
R
3が、HまたはFであり;
R
4が、HまたはFであり;
R
5が、−COOR
9であり;
R
6が、−R
7−R
8であり;
R
7が、炭素数1〜6のアルキレン基、またはポリC
1−6アルキレンオキシ基であり、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基であり;
R
8が−SiR
443であり;
R
9が、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり;
R
44は、各出現においてそれぞれ独立して、メトキシ基またはエトキシ基である
化合物である。
【0047】
上記の化合物は、ヨウ素を有することからリビングラジカル重合の重合開始剤として機能する。さらに、上記の化合物は末端に加水分解可能な基を有するSi原子を有することから、シランカップリング剤としても機能する。
【0048】
一の態様において、上記式(1)で表される化合物は、
R
1が、H、F、Cl、CH
3、CF
3、またはO(CF
2)
p1Fであり、好ましくはHまたはCH
3であり;
R
2が、−COOR
6であり;
R
3が、HまたはFであり;
R
4が、HまたはFであり;
R
5が、H、Fまたはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基であり;
R
6が、−R
7−R
8であり;
R
7が、炭素数1〜6のアルキレン基、またはポリC
1−6アルキレンオキシ基であり、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基であり;
R
8が−OCOCR
422R
43であり;
R
42は、各出現においてそれぞれ独立して、Hまたは炭素数1〜3のアルキル基であり;
R
43は、各出現においてそれぞれ独立して、ハロゲン原子、好ましくは臭素であり;
p1が、1〜10の整数である
化合物である。
【0049】
上記の化合物は、ヨウ素を有することからリビングラジカル重合の重合開始剤として機能する。さらに、上記の化合物は、−OCOCハロゲン骨格を有することから原子移動ラジカル重合の開始剤としても機能する。
【0050】
・式(2)で表される化合物
【化8】
【0051】
上記式(2)で表される化合物は、リビングラジカル重合の重合開始点となるヨウ素以外に、さらにR
15として別の機能性部位を有することを特徴とする。
【0052】
上記式(2)中、R
11は、H、F、Cl、CH
3、CF
3、またはO(CF
2)
p2Fである。
【0053】
上記p2は、1〜10の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜3の整数である。
【0054】
R
11は、好ましくはH、F、CH
3、またはCF
3であり、より好ましくはHまたはCH
3であり、さらに好ましくはHである。
【0055】
R
12は、F、Cl、−COOR
16、−PO(OR
16)
2、またはアリール基である。
【0056】
R
16は、それぞれ独立して、H、またはアルキル基である。該アルキル基とは、炭素数10以下のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、さらに好ましくはメチル基であり得る。かかるアルキル基は、直鎖または分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0057】
上記アリール基は、好ましくはフェニル基である。該フェニル基は、置換されていてもよい。該置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子;および、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
3−10シクロアルキル基、C
3−10不飽和シクロアルキル基、5〜10員のヘテロシクリル基、5〜10員の不飽和ヘテロシクリル基、C
6−10アリール基および5〜10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
【0058】
一の態様において、上記置換基は、フッ素原子である。
【0059】
上記式(2)中、R
13は、HまたはFである。
【0060】
上記式(2)中、R
14は、HまたはFである。
【0061】
上記式(2)中、R
15は、有機基である。
【0062】
一の態様において、R
15は、−R
17−O−CR
18=CR
182、−R
17−CR
18=CR
182、−R
19−CF
2I、または−R
20−O−R
20−SO
2Fである。
【0063】
上記R
17は、各々独立して、フッ素により置換されていてもよいアルキレン基である。
【0064】
上記R
17において、「アルキレン基」とは、炭素数10以下のアルキレン基であり、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基であり得る。かかるアルキレン基は、直鎖または分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0065】
一の態様において、R
17は、炭素数1〜6のアルキレン基である。
【0066】
別の態様において、R
17は、フッ素原子により置換された炭素数1〜6のアルキレン基である。
【0067】
上記R
18は、各々独立して、水素原子またはハロゲン原子である。該ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。ハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子または塩素原子である。
【0068】
上記R
19は、単結合またはフッ素原子により置換されていてもよいアルキレン基である。
【0069】
上記R
19において、「アルキレン基」とは、炭素数10以下のアルキレン基であり、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基であり得る。かかるアルキレン基は、直鎖または分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0070】
一の態様において、R
19は、フッ素により置換されていてもよいアルキレン基であり、好ましくはフッ素により置換されているアルキレン基である。
【0071】
一の態様において、R
20は、各々独立して、フッ素により置換されていてもよいアルキレン基であり、好ましくはパーフルオロアルキレン基である。かかるフッ素により置換されていてもよいアルキレン基における「アルキレン基」は、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、より好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基であり得る。
【0072】
一の態様において、上記式(2)で表される化合物は、
R
11が、H、F、Cl、CH
3、CF
3、またはO(CF
2)
p2Fであり;
R
12が、−COOR
16であり;
R
13が、HまたはFであり;
R
14が、HまたはFであり;
R
16が、それぞれ独立して、H、または炭素数1〜3のアルキル基であり;
R
15が、−R
17−O−CR
18=CR
182、−R
17−CR
18=CR
182であり;
R
17が、各々独立して、フッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキレン基であり;
R
18が、各々独立して、水素原子またはハロゲン原子、好ましくはフッ素原子であり;
p2が、1〜10の整数である
化合物である。
【0073】
上記の化合物は、ヨウ素を有することからリビングラジカル重合の重合開始剤として機能する。さらに、上記の化合物は、エチレン性二重結合を有することからモノマーとしても機能する。
【0074】
一の態様において、上記式(2)で表される化合物は、
R
11が、H、F、Cl、CH
3、CF
3、またはO(CF
2)
p2Fであり;
R
12が、−COOR
16であり;
R
13が、HまたはFであり;
R
14が、HまたはFであり;
R
16が、それぞれ独立して、H、または炭素数1〜3のアルキル基であり;
R
15が、−R
19−CF
2Iであり;
R
19が、フッ素により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、
p2が、1〜10の整数である
化合物である。
【0075】
上記の化合物は、ヨウ素を有することからリビングラジカル重合の重合開始剤として機能する。さらに、上記の化合物は、−CF
2Iを有することからヨウ素移動重合の開始剤、連鎖移動剤としても機能する。
【0076】
・式(3)で表される化合物
【化9】
【0077】
上記式中、X
1は、n1価の基である。
【0078】
上記n1は、1〜10の整数であり、好ましくは1〜8の整数、より好ましくは1〜6の整数であり得る。
【0079】
一の態様において、X
1は、n1価のシロキサン基である。
【0080】
上記X
1は、好ましくは、下記式(i)〜(iii)で表されるシロキサン基である。
−(SiR
272−O)
q−SiR
272− (i)
−SiR
28rR
293−r (ii)
(R
aSiO
1.5)
t (iii)
[式中:
R
27は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基(好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、より好ましくはメチル基)であり;
R
28は、各出現においてそれぞれ独立して、−O−(SiR
272−O)
s−SiR
273
R
29は単結合(即ち、結合手)であり;
R
aは、各出現において各々独立して、R
bまたはR
cであり;
ただし、少なくとも1つのR
aはR
bであり;
R
bは、単結合であり;
R
cは、水素原子またはアルキル(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)であり;
qは1〜20の整数であり;
rは1〜3の整数、好ましくは1〜2の整数であり;
sは0〜20の整数であり;
tは任意の整数、例えば6〜16、好ましくは6〜14、特に好ましくは8である。]
【0081】
上記式(i)で表されるシロキサン基は、2価のシロキサン基である。
【0082】
好ましい態様において、式(i)中、R
27はメチル基であり、qは1〜20の整数である。
【0083】
上記式(ii)で表されるシロキサン基は、1〜3価のシロキサン基である。
【0084】
好ましい態様において、式(ii)中、R
28は、各出現においてそれぞれ独立して、−O−(SiR
272−O)
s−SiR
273であり、R
27はメチル基である。
【0085】
上記式(iii)で表されるシロキサン基は、いわゆるシルセスキオキサンである。
【0086】
上記式(iii)で表されるシロキサン基は、ランダム型、かご形またはラダー型のシルセスキオキサンのいずれであってもよく、好ましくはかご型またはラダー型、より好ましくはかご型のシルセスキオキサンである。
【0087】
好ましい態様において、上記式(iii)で表されるシロキサン基は、tが8であるかご型のシルセスキオキサン化合物である。
【0088】
一の態様において、X
1は、直鎖または分枝鎖のn1価の炭化水素基、またはn1価の芳香族基である。
【0089】
上記直鎖または分枝鎖のn1価の炭化水素基としては、例えば、下記の基が挙げられる。
【化10】
【0090】
上記n1価の芳香族基としては、例えば、下記の基が挙げられる。
【化11】
【0091】
上記式(3)中、R
21は、H、F、Cl、CH
3、CF
3、またはO(CF
2)
p1Fである。
【0092】
上記p3は、1〜10の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜3の整数である。
【0093】
R
21は、好ましくはH、F、CH
3、またはCF
3であり、より好ましくはHまたはCH
3であり、さらに好ましくはHである。
【0094】
上記式(3)中、R
22は、−R
26−OCO−である。ここに、R
26がX
1に結合する。
【0095】
上記R
26は、単結合またはフッ素により置換されていてもよいアルキレン基である。
【0096】
上記R
26において、「アルキレン基」とは、炭素数10以下のアルキレン基であり、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基であり得る。かかるアルキレン基は、直鎖または分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0097】
一の態様において、R
26は、非置換の炭素数1〜6、より好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基である。
【0098】
上記式(3)中、R
23は、HまたはFである。
【0099】
上記式(3)中、R
24は、HまたはFである。
【0100】
上記式(3)中、R
25は、H、Fまたはフッ素により置換されていてもよいアルキル基である。該アルキル基とは、炭素数10以下のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、さらに好ましくはメチル基であり得る。かかるアルキル基は、直鎖または分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0101】
好ましい態様において、上記フッ素により置換されていてもよいアルキル基は、パーフルオロアルキル基である。
【0102】
一の態様において、上記式(3)で表される化合物は、
X
1が、下記式:
−(SiR
272−O)
q−SiR
272−
−SiR
28rR
293−r、または
(R
aSiO
1.5)
t
[式中:
R
27は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基であり;
R
28は、各出現においてそれぞれ独立して、−O−(SiR
272−O)
s−SiR
273であり;
R
29は単結合であり;
R
aは、各出現において各々独立して、R
bまたはR
cであり;
ただし、少なくとも1つのR
aはR
bであり;
R
bは、単結合であり;
R
cは、水素原子またはアルキルであり;
qは1〜20の整数であり;
rは1〜3の整数であり;
sは0〜20の整数であり;
tは任意の整数、例えば6〜16、好ましくは6〜14、特に好ましくは8である。]
で表されるシロキサン基であり;
R
21が、H、F、Cl、CH
3、CF
3、またはO(CF
2)
p3Fであり;
R
22が、−R
26−OCO−であり、ここに、R
26がX
1に結合し;
R
23が、HまたはFであり;
R
24が、HまたはFであり;
R
25が、H、Fまたはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基であり;
R
26が、単結合または炭素数1〜3のアルキレン基であり、好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基であり;
p3が、1〜10の整数であり;
n1が、1〜10の整数である、
化合物である。
【0103】
上記の化合物は、ヨウ素を有することからリビングラジカル重合の重合開始剤として機能する。さらに、上記の化合物は、シロキサン骨格を有することから各種添加剤としても機能する。
【0104】
一の態様において、上記式(3)で表される化合物は、
X
1が、下記式:
【化12】
で表される基であり;
R
21が、H、F、Cl、CH
3、CF
3、またはO(CF
2)
p3Fであり;
R
22が、−R
26−OCO−であり、ここに、R
26がX
1に結合し;
R
23が、HまたはFであり;
R
24が、HまたはFであり;
R
25が、H、Fまたはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基であり;
R
26が、単結合または炭素数1〜3のアルキレン基であり、好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基であり;
p3が、1〜10の整数であり;
n1が、1〜10の整数である、
化合物である。
【0105】
上記の化合物は、ヨウ素を有することからリビングラジカル重合の重合開始剤として機能する。また、上記の化合物は、複数のヨウ素を有し得ることから、多官能性ポリマー、スターポリマーなどの合成に利用することができる。
【0106】
・式(4)で表される化合物
【化13】
【0107】
上記式中、X
2は、n2価の基である。
【0108】
上記n2は、1〜10の整数であり、好ましくは1〜8の整数、より好ましくは1〜6の整数であり得る。
【0109】
好ましい態様において、X
2は、直鎖または分枝鎖のn2価のフッ素により置換されていてもよい炭化水素基である。
【0110】
上記直鎖または分枝鎖のn2価のフッ素により置換されていてもよい炭化水素基としては、例えば、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基等が挙げられる。
【0111】
別の好ましい態様において、X
2は、n2価のシロキサン基である。
【0112】
上記X
2は、好ましくは、下記式(i)〜(iii)で表されるシロキサン基である。
−(SiR
272−O)
q−SiR
272− (i)
−SiR
28rR
293−r (ii)
(R
aSiO
1.5)
t (iii)
【0113】
上記式(i)〜(iii)で表されるシロキサン基は、X
1において記載したものと同じである。
【0114】
上記式(4)中、R
31は、H、F、Cl、CH
3、CF
3、またはO(CF
2)
p4Fである。
【0115】
上記p4は、1〜10の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜3の整数である。
【0116】
R
31は、好ましくはH、F、CH
3、またはCF
3であり、より好ましくはHまたはCH
3であり、さらに好ましくはHである。
【0117】
上記式(4)中、R
32は、F、Cl、−COOR
36、−PO(OR
36)
2、またはアリール基である。
【0118】
R
36は、それぞれ独立して、H、またはアルキル基である。該アルキル基とは、炭素数10以下のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、さらに好ましくはメチル基であり得る。かかるアルキル基は、直鎖または分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0119】
上記アリール基は、好ましくはフェニル基である。該フェニル基は、置換されていてもよい。該置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子;および、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、C
2−6アルキニル基、C
3−10シクロアルキル基、C
3−10不飽和シクロアルキル基、5〜10員のヘテロシクリル基、5〜10員の不飽和ヘテロシクリル基、C
6−10アリール基および5〜10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
【0120】
上記式(4)中、R
33は、Hまたはハロゲン原子である。
【0121】
上記ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。一の態様において、ハロゲン原子は、フッ素原子である。別の態様において、ハロゲン原子は、臭素原子、ヨウ素原子であり、好ましくはヨウ素原子である。
【0122】
上記式(4)中、R
34は、HまたはFである。
【0123】
上記式(4)中、R
35は、単結合またはハロゲン原子により置換されていてもよいアルキレン基である。
【0124】
上記ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子から選択される1種またはそれ以上の原子である。
【0125】
上記R
35において、「アルキレン基」とは、炭素数10以下のアルキレン基であり、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基であり得る。かかるアルキレン基は、直鎖または分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0126】
一の態様において、R
35は、非置換の炭素数1〜6、より好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基である。
【0127】
別の態様において、R
35は、−CHZ
1−R
39−である。
【0128】
Z
1は、臭素原子、ヨウ素原子であり、好ましくはヨウ素原子である。
【0129】
R
39は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基である。R
39は、好ましくは、−CH
2−R
39a−である。
【0130】
R
39aは、炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基である。
【0131】
一の好ましい態様において、R
35は、−CHI−CH
2−R
39a−である。
【0132】
一の態様において、上記式(4)で表される化合物は、
X
2が、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、好ましくは炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基であり;
R
31が、H、F、Cl、CH
3、CF
3、またはO(CF
2)
p4Fであり;
R
32が、F、Cl、−COOR
36、−PO(OR
36)
2、またはアリール基であり、好ましくは−COOR
36であり;
R
33が、HまたはFであり;
R
34が、HまたはFであり;
R
35が、単結合またはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜6アルキレン基であり、好ましくは炭素数1〜6アルキレン基であり;
R
36が、H、または炭素数1〜3のアルキル基であり;
p4が、1〜10の整数であり;
n2が、2である、
化合物である。
【0133】
上記の化合物は、ヨウ素を有することからリビングラジカル重合の重合開始剤として機能する。また、上記の化合物は、複数のヨウ素を有し得ることから、多官能性ポリマー、スターポリマーなどの合成に利用することができる。
【0134】
上記式(1)〜(4)で表される化合物は、二重結合を有する化合物にヨウ化物を反応させることにより得ることができる。例えば、式(1)で表される化合物は、CR
1R
2=CR
3R
4と、R
5−Iを反応させることにより得ることができる。式(2)で表される化合物は、CR
11R
12=CR
13R
14と、R
15−Iを反応させることにより得ることができる。式(3)で表される化合物は、X
1−(R
22−CR
21=CR
23R
24)
n1と、R
25−Iを反応させることにより得ることができる。式(4)で表される化合物は、CR
31R
32=CR
33R
34と、X
2−(R
35−I)
n2を反応させることにより得ることができる。
【0135】
上記した式(1)〜(4)で表される化合物は、リビングラジカル重合の開始剤として用いることができる。即ち、式(1)〜(4)で表される化合物は、モノマーと反応して重合体を形成する。
【0136】
従って、本開示は、本開示の式(1)〜(4)で表される化合物にモノマーを重合させた重合体をも開示する。
【0137】
一の態様において、上記モノマーは、少なくとも1つのフッ素原子を有するモノマー(以下、「含フッ素モノマー」ともいう)である。
【0138】
一の態様において、上記含フッ素モノマーは、パーフルオロポリエーテル基またはパーフルオロアルキル基、および重合性基Aを有する化合物であり得る。
【0139】
上記含フッ素モノマーは、2以上のパーフルオロポリエーテル基またはパーフルオロアルキル基、および、重合性基Aを有していてもよい。
【0140】
上記パーフルオロアルキル基は、C
jF
2j+1(jは、1〜30の整数、好ましくは3〜20の整数、例えば5〜10の整数である)で表される基である。パーフルオロアルキル基は、直鎖であってもよく分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0141】
一の態様において、上記パーフルオロアルキル基は、炭素原子数1〜10の直鎖状のパーフルオロアルキル基である。具体的には、上記パーフルオロアルキル基は、F−(CF
2)
nで表され、nは1〜10の整数、より好ましくは、nは4〜8の整数、例えば6である。
【0142】
上記パーフルオロポリエーテル基(以下、「PFPE」ともいう)は、下記式:
−(OC
6F
12)
a−(OC
5F
10)
b−(OC
4F
8)
c−(OC
3F
6)
d−(OC
2F
4)
e−(OCF
2)
f−
で表される基である。式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1である。好ましくは、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0以上100以下の整数である。好ましくは、a、b、c、d、eおよびfの和は5以上であり、より好ましくは10以上である。好ましくは、a、b、c、d、eおよびfの和は200以下であり、より好ましくは100以下であり、例えば10以上200以下であり、より具体的には10以上100以下である。また、a、b、c、0d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
【0143】
これら繰り返し単位は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよいが、好ましくは直鎖状である。例えば、−(OC
6F
12)−は、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF(CF
3)CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF(CF
3)CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF(CF
3)CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF(CF
3)CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF(CF
3))−等であってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−である。−(OC
5F
10)−は、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF(CF
3)CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF(CF
3)CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF(CF
3)CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF
2CF(CF
3))−等であってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2CF
2CF
2)−である。−(OC
4F
8)−は、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF(CF
3)CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF(CF
3)CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF(CF
3))−、−(OC(CF
3)
2CF
2)−、−(OCF
2C(CF
3)
2)−、−(OCF(CF
3)CF(CF
3))−、−(OCF(C
2F
5)CF
2)−および−(OCF
2CF(C
2F
5))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2CF
2)−である。−(OC
3F
6)−は、−(OCF
2CF
2CF
2)−、−(OCF(CF
3)CF
2)−および−(OCF
2CF(CF
3))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2)−である。また、−(OC
2F
4)−は、−(OCF
2CF
2)−および−(OCF(CF
3))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2)−である。
【0144】
一の態様において、上記PFPEは、−(OC
3F
6)
d−(式中、dは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)である。好ましくは、PFPEは、−(OCF
2CF
2CF
2)
d−(式中、dは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)または−(OCF(CF
3)CF
2)
d−(式中、dは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)である。より好ましくは、PFPEは、−(OCF
2CF
2CF
2)
d−(式中、dは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)である。
【0145】
別の態様において、PFPEは、−(OC
4F
8)
c−(OC
3F
6)
d−(OC
2F
4)
e−(OCF
2)
f−(式中、cおよびdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、eおよびfは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、c、d、eおよび0fの和は、好ましくは10以上200以下の整数であり、添字c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)である。好ましくは、PFPEは、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2)
c−(OCF
2CF
2CF
2)
d−(OCF
2CF
2)
e−(OCF
2)
f−である。一の態様において、PFPEは、−(OC
2F
4)
e−(OCF
2)
f−(式中、eおよびfは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)であってもよい。
【0146】
さらに別の態様において、PFPEは、−(R
55−R
56)
k−で表される基である。式中、R
55は、OCF
2またはOC
2F
4であり、好ましくはOC
2F
4である。式中、R
56は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10およびOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせである。好ましくは、R
56は、OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせである。OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8から独立して選択される2または3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば−OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
4F
8−、−OC
3F
6OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
3F
6−、−OC
3F
6OC
4F
8−、−OC
4F
8OC
4F
8−、−OC
4F
8OC
3F
6−、−OC
4F
8OC
2F
4−、−OC
2F
4OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
2F
4OC
4F
8−、−OC
2F
4OC
3F
6OC
2F
4−、−OC
2F
4OC
3F
6OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
4F
8OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
2F
4OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
3F
6OC
3F
6OC
2F
4−、および−OC
4F
8OC
2F
4OC
2F
4−等が挙げられる。上記kは、2〜100の整数、好ましくは2〜50の整数である。上記式中、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10およびOC
6F
12は、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、PFPEは、好ましくは、−(OC
2F
4−OC
3F
6)
k−または−(OC
2F
4−OC
4F
8)
k−である。
【0147】
一の態様において、PFPEは、炭素数1〜2のオキシペルフルオロアルキレン基の少なくとも1種からなる基(α)の1〜3つと、炭素数3〜6のオキシペルフルオロアルキレン基の少なくとも1種からなる基(β)の1〜3つとを有する単位(αβ)を単位とし、前記単位(αβ)の2つ以上が連結してなる鎖((αβ)
i)を有する基であってもよい。
【0148】
上記化合物は、鎖((αβ)
i)に属さない他のオキシペルフルオロアルキレン基を有していてもよい。
【0149】
単位(αβ)中の基(α)と基(β)の順は特に限定されない。例えば、基(α)が2つ存在する場合、2つの基(α)は連結していてもよく、少なくとも1つの基(β)を介して結合していてもよい。
【0150】
上記PFPEは、単位(αβ)の2つ以上が連結してなる鎖((αβ)
i)を有していてもよい。単位(αβ)の一方の端部が基(α)であり、他方の端部が基(β)である場合、鎖((αβ)
i)としては、単位(αβ)の2つ以上が、単位間で基(α)と基(β)とが交互に配置されるように連結することが好ましい。すなわち、隣接する単位(αβ)が頭−尾構造(ヘッド ツー テイル構造)となるように結合していることが好ましい。単位(αβ)において、基(α)基(β)の結合順序は限定されない。すなわち、基(α)と基(β)がランダムに配置されてもよく、基(α)と基(β)とが交互に配置されてもよく、複数の基からなるブロックの2以上が連結してもよい。
【0151】
単位(αβ)としては、下記が例示される。
(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2O)、
(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)、
(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2O)、
(CF
2CF
2O−CF
2CF(CF
3)OCF
2CF
2CF
2O)、
(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2O)。
【0152】
上記PFPEの好ましい態様は、具体的には、下式で表される。
−O−[(Rf
1O)
x1(Rf
2O)
x2(Rf
3O)
x3(Rf
4O)
x4(Rf
5O)
x5(Rf
6O)
x6]
i−
ただし、式中の記号は以下の通りである。
iは、1以上の整数であり、2以上の整数であることが好ましい。iの上限は45が好ましい。iは、4〜40が好ましく、5〜35が特に好ましい。
x1〜x2:それぞれ独立に0〜3の整数であり、x1+x2は1〜3の整数である。
x3〜x6:それぞれ独立に0〜3の整数であり、x3+x4+x5+x6は1〜3の整数である。
Rf
1:炭素数1のペルフルオロアルキレン基。
Rf
2:炭素数2のペルフルオロアルキレン基。
Rf
3:炭素数3のペルフルオロアルキレン基。
Rf
4:炭素数4のペルフルオロアルキレン基。
Rf
5:炭素数5のペルフルオロアルキレン基。
Rf
6:炭素数6のペルフルオロアルキレン基。
【0153】
上記重合性基Aは、特に限定されないが、例えばエチレン性二重結合を有する基ならびにこれらの誘導体が挙げられる。
【0154】
重合性基Aは、好ましくは下記式:
−R
163−CR
164=CR
1652
[式中、R
163は、単結合、−O−、−CO−または−OC(O)−であり、
R
164は、水素原子、フッ素原子、あるいはフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基(好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基、より好ましくはメチル基)、ラクタム基(好ましくは、β-ラクタム、γ-ラクタムまたはδ-ラクタム基、より好ましくはγ-ラクタム基)またはフェニル基を表し、好ましくは、メチル基または水素原子であり、
R
165は、それぞれ独立して、水素原子、またはフッ素原子を表し、好ましくは水素原子である。]
で表される基である。
【0155】
本実施態様において、好ましい重合性基Aは、下記式:
−R
163−CR
164=CR
1652
[式中、R
163は、単結合または−OC(O)−であり、
R
164は、水素原子、フッ素原子、あるいはフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基(好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基、より好ましくはメチル基)、ラクタム基(好ましくは、β-ラクタム、γ-ラクタムまたはδ-ラクタム基、より好ましくはγ-ラクタム基)またはフェニル基を表し、好ましくは、メチル基または水素原子であり、好ましくは、水素原子、フッ素原子、あるいはフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基(好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基、より好ましくはメチル基)またはフェニル基を表し、より好ましくは、メチル基または水素原子であり、
R
165は、上記と同意義である。]
で表される基である。
【0156】
より好ましい重合性基Aは、下記式:
−OC(O)−CR
164=CR
1652
[式中、R
164およびR
165は、上記と同意義である。]
で表される基である。
【0157】
さらに好ましい重合性基Aは、アクリロイル基またはメタクリロイル基である。
【0158】
含フッ素モノマーの例としては、限定するものではないが、例えば、下記式(A1)、(A2)、(B1)、および(B2)のいずれか:
【化14】
[式中、Rf
aは、それぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し、
PFPEは、上記と同意義であり、
R
71は、それぞれ独立して、重合性基Aを表し、
Xは、2価の有機基を表し、
R
72は、下記式:
−(Q)
e1−(CFZ)
f1−(CH
2)
g1−
(式中、Qは、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子、フェニレン、カルバゾリレン、−NR−(式中、Rは、水素原子または有機基を表す)または2価の極性基を表し、Zは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または低級フルオロアルキル基を表し、e1、f1およびg1は、それぞれ独立して、0以上50以下の整数であって、e1、f1およびg1の和は少なくとも1であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり、
R
73は、それぞれ独立して、2価の有機基を表し、
R
74は、各出現においてそれぞれ独立して、R
74aまたはR
74bを表し:ただし、少なくとも1つのR
74はR
74aであり、
R
74aは、各出現においてそれぞれ独立して、重合性基を有する2価の有機基を表し、
R
74bは、各出現においてそれぞれ独立して、重合性基を有しない2価の有機基を表し、
n10は、それぞれ独立して、1以上50以下の整数であり、
R
75は、それぞれ独立して、−O−、−S−、−NH−または単結合を表し、
R
76は、それぞれ独立して、1価の有機基または水素原子を表す。]
で表される少なくとも1つの化合物が挙げられる。
【0159】
本明細書において用いられる場合、「1価の有機基」および「2価の有機基」とは、それぞれ、炭素を含有する1価および2価の基を意味する。
【0160】
上記式(A1)および(A2)中、R
71は、それぞれ独立して、重合性基を表す。
【0161】
R
71は、好ましくは、下記式:
−R
63−CR
64=CH
2
[式中、R
63は、単結合、−O−、−CO−または−OC(O)−であり、
R
64は、水素原子、フッ素原子、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基(好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基、より好ましくはメチル基)、ラクタム基(好ましくは、β-ラクタム、γ-ラクタムまたはδ-ラクタム基、より好ましくはγ-ラクタム基)またはフェニル基を表し、好ましくは、メチル基または水素原子である。]
で表される基である。
【0162】
より好ましい重合性基は、下記式:
−OC(O)−CR
64=CH
2
[式中、R
64は、上記と同意義である。]
で表される基である。
【0163】
さらに好ましくは、R
71は、アクリロイル基またはメタクリロイル基である。
【0164】
上記式(A1)および(B1)中、Rf
aは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表す。
【0165】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基における「炭素数1〜16のアルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖の炭素数1〜6、特に炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは直鎖の炭素数1〜3のアルキル基である。
【0166】
また、Rf
aは、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されている炭素数1〜16のアルキル基であり、より好ましくはCF
2H−C
1−15フルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜16のパーフルオロアルキル基であり、さらにより好ましくは炭素数1〜6、特に炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基である。
【0167】
上記式(A1)および(A2)中、Xは、それぞれ独立して、2価の有機基を表す。当該X基は、PFPEとR
71とを連結するリンカーと解される。したがって、当該X基は、上記(A1)および(A2)で表される化合物が、安定に存在し得るものであれば、いずれの2価の有機基であってもよい。
【0168】
上記Xの例としては、特に限定するものではないが、例えば、下記式:
−(CFZ’)
x−(CH
2)
y−(Y’)
z−
[式中、Z’は、フッ素原子または炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基またはその誘導体基を表し、
Y’は、−OCO−、−OCONH−または−CONH−、あるいはこれらの1種を含有する有機基を表し、
x、yおよびzは、それぞれ独立して、0〜3の整数であり、
x、yまたはzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基が好ましい。
【0169】
上記Xの具体的な例としては、例えば:
−CF
2CF
2CH
2−
−CF
2CF
2CH
2−OCO−
−CF
2CF
2CH
2−CONH−
−CF
2CF
2CH
2−OCONH−
等が挙げられる。
【0170】
上記式(B1)および(B2)中、R
72は、式:−(Q)
e1−(CFZ)
f1−(CH
2)
g1−で表される基である。ここに、e1、f1およびg1は、それぞれ独立して、0以上50以下の整数であって、e1、f1およびg1の和は少なくとも1であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
【0171】
上記式中、Qは、酸素原子、フェニレン、カルバゾリレン、−NR−(式中、Rは、水素原子または有機基を表す)または2価の極性基を表し、好ましくは酸素原子または2価の極性基であり、より好ましくは酸素原子である。
【0172】
上記Qにおける「2価の極性基」としては、特に限定されないが、−C(O)−、−C(=NR
h)−、および−C(O)NR
h−(これらの式中、R
hは、水素原子または低級アルキル基を表す)が挙げられる。当該「低級アルキル基」は、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピルであり、これらは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい。
【0173】
上記式中、Zは、水素原子、フッ素原子または低級フルオロアルキル基を表し、好ましくはフッ素原子である。
【0174】
上記「低級フルオロアルキル基」は、例えば、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、更に好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0175】
R
72は、好ましくは、式:−(O)
e1−(CF
2)
f1−(CH
2)
g1−(式中、e1、f1およびg1は、上記と同意義であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である)で表される基である。
【0176】
上記式:−(O)
e1−(CF
2)
f1−(CH
2)
g1−で表される基としては、例えば、−(O)
e’−(CF
2)
f’−(CH
2)
g’−O−[(CH
2)
g”−O−]
g’’’(式中、e’は0または1であり、f’、g’およびg”は、それぞれ独立して、1〜10の整数であり、g’’’は、0または1である)で表される基が挙げられる。
【0177】
上記式(B1)および(B2)中、R
73は、2価の有機基を表す。
【0178】
R
73基は、好ましくは、−C(R
73a)(R
73b)−である。ここに、R
73aおよびR
73bは、それぞれ独立して、水素原子、またはアルキル基を表し、好ましくは、R
73aおよびR
73bの一方はアルキル基である。
【0179】
上記式(B1)および(B2)中、R
74は、各出現において、それぞれ独立して、R
74aまたはR
74bである。ただし、少なくとも1つのR
74は、R
74aである。
【0180】
上記R
74aは、各出現においてそれぞれ独立して、重合性基を有する2価の有機基を表す。
【0181】
R
74aは、好ましくは、下記式:
【化15】
で表される基である。
【0182】
上記式中、R
81は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子、またはアルキル基を表す。当該R
81は、好ましくは水素原子である。
【0183】
上記式中、R
82は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子、またはアルキル基を表す。当該R
82は、好ましくはメチル基または水素原子であり、より好ましくは水素原子である。
【0184】
上記式中、R
83は、各出現において、それぞれ独立して、重合性基を有する有機基を表す。
【0185】
かかる重合性基としては、上記と同様のものが挙げられるが、CH
2=CX
1−C(O)−(式中、X
1は、水素原子、塩素原子などのハロゲン原子、フッ素原子またはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す)が好ましく、具体的にはCH
2=C(CH
3)−C(O)−またはCH
2=CH−C(O)−が挙げられる。
【0186】
上記式中、Y
1は、−O−、−N(R
f)−、フェニレンまたはカルバゾリレンを表す。ここでR
fは有機基を表し、好ましくはアルキル基である。
【0187】
Y
1は、好ましくは−O−、フェニレン、またはカルバゾリレンであり、より好ましくは−O−またはフェニレンであり、更に好ましくは−O−である。
【0188】
上記式中、Y
2は、主鎖の原子数が1〜16(より好ましくは2〜12、更に好ましくは2〜10)であるリンカーを表す。当該Y
2としては、特に限定されるものではないが、例えば、−(CH
2−CH
2−O)
p10−(p10は、1〜10の整数、例えば2〜10の整数を表す)、−(CHR
g)
p20−O−(p20は、1〜40の整数であり、R
gは、水素、またはメチル基を表す)、−(CH
2−CH
2−O)
p30−CO−NH−CH
2−CH
2−O−(p30は、1〜10の整数、例えば2〜10の整数を表す)、−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−、−(CH
2)
p40−(p40は1〜6の整数を表す)、−(CH
2)
p50−O−CONH−(CH
2)
p60−(p50は1〜8の整数、好ましくは、2または4を表し、p60は1〜6の整数、好ましくは3を表す)、または−O−(但し、Y
1は−O−ではない)が挙げられる。好ましいY
2としては、−(CH
2−CH
2−O)
p10−(p10は、1〜10の整数、例えば2〜10の整数を表す)または−(CHR
d)
p20−O−(p20は、1〜40の整数であり、R
dは、水素、またはメチル基を表す)、具体的には、−(CH
2−CH
2−O)
2−または−CH
2−CH
2−O−が挙げられる。なお、これらの基は、左端が分子主鎖側(Y
1側)に結合し、右端が重合性基側(R
83側)に結合する。
【0189】
R
74aは、さらに好ましくは、下記式:
【化16】
で表される基である。
【0190】
上記式中、X
1は、水素原子、塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子、またはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、好ましくは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、例えばメチル基である。上記式中、q1は、1〜10の整数であり、好ましくは1〜5の整数、例えば1または2である。q2は、1〜10の整数であり、好ましくは1〜5の整数、例えば2である。
【0191】
上記R
74bは、各出現においてそれぞれ独立して、重合性基を有しない2価の有機基である。
【0192】
R
74bは、好ましくは、−(CHR
74c−CR
74dR
74e)
s−である。ここに、R
74cおよびR
74dは、それぞれ独立して、水素原子、またはアルキル基を表し、sは0から50の整数であり、R
74eは、−Q’−R
74fである。ここに、Q’は上記Qと同意義であり、R
74fは、重合性基を有しない有機基であり、後記の基R
74gがリンカーを介して、または直接Q’に結合する基である。
【0193】
当該リンカーは、好ましくは、
(a)−(CH
2−CH
2−O)
s1−(s1は、1〜10の整数、例えば2〜10の整数を表す。)、
(b)−(CHR
74h)
s2−O−(s2は、1〜40の整数である繰り返し数を表す。R
74hは、水素またはメチル基を表す。)、
(c)−(CH
2−CH
2−O)
s1−CO−NH−CH
2−CH
2−O−(s1は、上記と同意義である。)、
(d)−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−、
(e)−(CH
2)
s3−(s3は1〜6の整数を表す。)、または
(f)−(CH
2)
s4−O−CONH−(CH
2)
s5−(s4は1〜8の整数、好ましくは、2または4を表す。s5は1〜6の整数、好ましくは3を表す。)、または
(g)−O−(但し、Q’は−O−ではない)
である。
【0194】
R
74gは、好ましくは以下の基である。
(i)アルキル基
例:メチル、エチル
【0195】
(ii)フッ素で置換されたアルキル基を含有する鎖状基
例:
【化17】
【0196】
(iii)単環式炭素環、二環式炭素環、三環式炭素環、および四環式炭素環からなる群より選択される1個以上の環状部を含有する基
例:
【化18】
【0197】
(iv)1個以上(好ましくは1または2個)のカルボキシ基で置換された炭化水素基を含有する基
例:
【化19】
【0198】
(v)1個以上(好ましくは1個)のアミノ基を含有する基
(vi)水素原子
(vii)イミダゾリウム塩を含有する基
例:
【化20】
【0199】
R
74gは、より好ましくは、水素原子、またはフッ素化されていてもよく、かつエチレン鎖を介して結合してもよいアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、メトキシエチル基、イソブチル基、またはR
3i−CF
2−(CF
2)
s6−(CH
2)
s7−O−(CH
2)
2−(R
3iはフッ素原子または水素原子であり、s6は0〜6の整数であり、およびs7は1〜6の整数である)であり、更に好ましくは、3−(ペルフルオロエチル)プロポキシエチル基[示性式:CF
3−(CF
2)−(CH
2)
3−O−(CH
2)
2−]である。
【0200】
上記R
74中、構成単位R
74aと構成単位R
74bは、それぞれがブロックを形成していてもよく、ランダムに結合していてもよい。
【0201】
上記式(B1)および(B2)中、n10は、1以上100以下の整数、好ましくは1以上50以下の整数、更に好ましくは2以上30以下の整数である。
【0202】
上記式(B1)および(B2)中、R
75は、−O−、−S−、−NH−または単結合を表し、好ましくは−O−である。
【0203】
上記式(B1)および(B2)中、R
76は、1価の有機基または水素原子を表す。
【0204】
R
76は、好ましくは、Rf
a−PFPE−R
72(式中、Rf
a、PFPEおよびR
72は、上記と同意義である)、またはフッ素により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、更に好ましくはメチルである。
【0205】
一の態様において、上記式(B1)および(B2)で表される化合物は、それぞれ、以下の一般式(B1a)および(B2a):
【化21】
[式中、Rf
a、PFPE、R
73、R
76、X
10、Z、およびn10は、上記と同意義であり、
gは0または1であり、
hは1または2である。]
で表される少なくとも1種の化合物であってもよい。
【0206】
また、別の含フッ素モノマーの例としては、
C
nF
2n+1−X−R
71
[式中、R
71およびXは、上記と同意義であり、
nは、1〜30の整数、好ましくは3〜20の整数、例えば4〜10の整数である。]
で表される化合物である。
【0207】
さらに別の含フッ素モノマーは、式:
【化22】
[式中、Xは、水素原子、メチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX
11X
12基(但し、X
11およびX
12は、互いに独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換もしくは非置換のベンジル基、または、置換もしくは非置換のフェニル基、
Yは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜10の芳香族基または環状脂肪族基、−CH
2CH
2N(R)SO
2−基(但し、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)または−CH
2CH(OY
1)CH
2−基(但し、Y
1は水素原子またはアセチル基である。)、
Rf
8は、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状の、フルオロアルキル基もしくはフルオロアルケニル基である。]
で示される含フッ素アクリレートエステルである。
【0208】
含フッ素アクリレートエステルにおいて、Xは、水素原子またはメチル基であることが好ましい。
【0209】
上記式において、Rf
8基が、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基であることが好ましい。フルオロアルキル基またはフルオロアルケニル基の炭素数は、1〜6、例えば1〜4である。
フルオロアルキル基の例は、−CF
3、−CF
2CF
3、−CF
2CF
2CF
3、−CF(CF
3)
2、−CF
2CF
2CF
2CF
3、−CF
2CF(CF
3)
2、−C(CF
3)
3、−(CF
2)
4CF
3、−(CF
2)
2CF(CF
3)
2、−CF
2C(CF
3)
3、−CF(CF
3)CF
2CF
2CF
3、−(CF
2)
5CF
3、−(CF
2)
3CF(CF
3)
2等である。
フルオロアルケニル基の例は、−CF=CF
2、−CF
2CF=CF
2、−(CF
2)
2CF=CF
2、−CF
2C(CF
3)=CF
2、−CF(CF
3)CF=CF
2、−(CF
2)
3CF=CF
2、−C(CF
3)
2CF=CF
2、−(CF
2)
2C(CF
3)=CF
2、−(CF
2)
4CF=CF
2、−(CF
2)
4CF=CF
2、−(CF
2)
3C(CF
3)=CF
2、等である。
【0210】
Yは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜10の芳香族基または環状脂肪族基、−CH
2CH
2N(R)SO
2−基(但し、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)または−CH
2CH(OY
1)CH
2−基(但し、Y
1は水素原子またはアセチル基である。)である。脂肪族基はアルキレン基(特に炭素数1〜4、例えば、1または2)であることが好ましい。芳香族基および環状脂肪族基は、置換されていてもあるいは置換されていなくてもどちらでもよい。
【0211】
含フッ素モノマーの例として、式:
【化23】
【0212】
[式中、Rf
9は炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基、
R
91は、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、
R
92は、炭素数1〜10のアルキレン基、
R
93は、水素原子またはメチル基、
Arは、置換基を有することもあるアリール基、
n9は、1〜10の整数を表す。]
で示される含フッ素アクリレートエステルを挙げることができる。
【0213】
一の態様において、上記式中、Rf
9は炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、
R
91は、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、
R
92は、炭素数1〜10のアルキレン基、
R
93は、水素原子またはメチル基、
Arは、置換基を有することもあるアリール基、
n9は、1〜10の整数であることが好ましい。
【0214】
含フッ素モノマーの具体例は、
CF
3(CH
2)OCOCH=CH
2、
CF
3(CH
2)OCOC(CH
3)=CH
2、
CF
3(CF
2)
5(CH
2)OCOCH=CH
2、
CF
3(CF
2)
5(CH
2)OCOC(CH
3)=CH
2、
CF
3(CF
2)
7(CH
2)OCOCH=CH
2、
CF
3(CF
2)
7(CH
2)OCOC(CH
3)=CH
2、
(CF
3)
2CF(CF
2)
3(CH
2)
2OCOCH=CH
2、
CF
3(CF
2)
3(CH
2)
2OCOC(CH
3)=CH
2、
CF
3(CF
2)
3(CH
2)
2OCOCH=CH
2、
CF
3(CF
2)
5(CH
2)
2OCOC(CH
3)=CH
2、
CF
3(CF
2)
5(CH
2)
2OCOCH=CH
2、
CF
3CF
2(CH
2)
2OCOCH=CH
2、
CF
3(CF
2)
3SO
2N(CH
3)(CH
2)
2OCOCH=CH
2、
CF
3(CF
2)
3SO
2N(C
2H
5)(CH
2)
2OCOC(CH
3)=CH
2、
(CF
3)
2CF(CF
2)
3CH
2CH(OCOCH
3)CH
2OCOC(CH
3)=CH
2、
(CF
3)
2CF(CF
2)
3CH
2CH(OH)CH
2OCOCH=CH
2
を例示することができる。
【0215】
一の態様において、含フッ素モノマーは、パーフルオロアルキル基、および、重合性基Aを有する。
【0216】
本態様において、上記含フッ素モノマーは、Rf
jCH=CH
2で表される化合物、パーフルオロオレフィン、パーフルオロオレフィンのダイマー、およびパーフルオロオレフィンのオリゴマーよりなる群より選ばれる少なくとも1であることが好ましい。
【0217】
上記Rf
jは、パーフルオロアルキル基であり、好ましくは、炭素原子数1〜10の直鎖状のパーフルオロアルキル基である。具体的には、Rf
jは、F−(CF
2)
nで表され、nは1〜10の整数、より好ましくは、nは4〜8の整数、例えば6である。
【0218】
上記Rf
jCH=CH
2で表される化合物の具体的な構造としては、例えば、パーフルオロヘキシルエチレン(F(CF
2)
6CH=CH
2)を挙げることができる。
【0219】
上記Rf
jCH=CH
2で表される化合物の合成方法は、特に限定されないが、例えば、Rf
jCH
2CH
2Y
3(式中、Rf
jは、上記と同意義であり、Y
3は、BrまたはIである)で表わされるハロゲン化物と、カルボン酸のアルカリ金属塩とをアルコール溶媒中で加熱する方法を挙げることができる(例えば、特公昭39−18112号公報)。上記方法では、アルコールと本態様の含フッ素モノマーとは、アルコールおよび含フッ素モノマーの融点差に着目し、いわゆる晶析操作により分離することができる(例えば、特開2009−173588号公報に記載のオレフィン−アルコール共沸混合物の分離方法)。
【0220】
上記パーフルオロオレフィンとしては、例えば、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペンを挙げることができる。
【0221】
パーフルオロオレフィンのダイマー、またはパーフルオロオレフィンのオリゴマーとしては、例えば、テトラフルオロエチレンのオリゴマー、ヘキサフルオロプロピレンのオリゴマー等を挙げることができる。上記テトラフルオロエチレンのオリゴマーは、重合度2〜7であることが好ましく、上記ヘキサフルオロプロピレンのオリゴマーは、重合度2〜4であることが好ましい。これらのオリゴマーは、種々の加工処理に応用し得る点から有利である。テトラフルオロエチレンのオリゴマー、またはヘキサフルオロプロピレンのオリゴマーは、例えば米国特許第3403191号明細書、米国特許第2918501号明細書などに記載の方法で、テトラフルオロエチレンまたはヘキサフルオロプロピレンをオリゴメル化することによって得られる。
【0222】
上記オリゴマーは、多くの異性体からなる、高度に分岐した分子鎖を有する化合物であり得る。上記オリゴマーとしては、例えば以下のような構造を挙げることができる。
【0223】
ヘキサフルオロプレペンダイマー:
【化24】
【0224】
ヘキサフルオロプロペントリマー:
【化25】
【0225】
ヘキサフルオロプロペンテトラマ−:
【化26】
【0226】
テトラフルオロエチレンダイマー:
【化27】
【0227】
テトラフルオロエチレントリマー:
【化28】
【0228】
テトラフルオロエチレンテトラマ−:
【化29】
【0229】
テトラフルオロエチレンペンタマー:
【化30】
【0230】
テトラフルオロエチレンヘキサマー:
【化31】
【0231】
一の態様において、上記含フッ素モノマーは、Rf
jCH=CH
2で表される化合物である。
【0232】
一の態様において、上記含フッ素モノマーは、パーフルオロオレフィン、パーフルオロオレフィンのダイマー、およびパーフルオロオレフィンのオリゴマーよりなる群より選ばれる少なくとも1である。
【0233】
別の態様において、含フッ素モノマーは、エチレン性二重結合を有する炭化水素であって、その一部または全部の水素原子がフッ素原子に置換された化合物であり得る。
【0234】
上記エチレン性二重結合を有する炭化水素であって、その一部または全部の水素原子がフッ素原子に置換された化合物としては、例えば、フッ素置換された、炭素数1〜6のアルキル基を含有しかつエステル基を有しないエチレン性二重結合を有する反応性のオレフィン系モノマー、具体的にはエチレン、プロピレン、ブチレン等、またはこれらの二量体を挙げることができる。上記化合物は、好ましくは、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有しかつエステル基を有しないエチレン性二重結合を有する反応性のオレフィン系モノマー、具体的にはフッ素により全置換されたエチレン、プロピレン、ブチレン等、またはこれらの二量体が挙げられる。好ましい態様において、エチレン性二重結合を有する炭化水素であって、その一部または全部の水素原子がフッ素原子に置換された化合物は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンの二量体、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含有し、かつエステル基を有さないエチレン性二重結合を有する反応性のオレフィン系モノマーであり得る。
【0235】
好ましい態様において、含フッ素モノマーは、式
【化32】
で表される含フッ素アクリレートエステル(式中、X、Y、およびRf
8は、上記と同意義である)、Rf
jCH=CH
2で表される化合物(式中、Rf
jはパーフルオロアルキル基である。)、およびパーフルオロオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1を有する。好ましくは、Xは、水素原子またはメチル基であり;Yは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜10の芳香族基または環状脂肪族基、−CH
2CH
2N(R)SO
2−基(但し、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)または−CH
2CH(OY
1)CH
2−基(但し、Y
1は水素原子またはアセチル基である。)であり;Rf
8基が、炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基である。
【0236】
一の態様において、上記モノマーは、フッ素原子を有しないモノマー(以下、「非フッ素モノマー」ともいう)である。
【0237】
一の態様において、上記非フッ素モノマーは、重合性基Bを有し、フッ素原子を有しない化合物であり得る。
【0238】
重合性基Bとしては、好ましくは、下記式:
−R
63’−CR
64’=CH
2
[式中、R
63’は、単結合または−OC(O)−であり、
R
64’は、水素原子、あるいは炭素数1〜10のアルキル基(好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基、より好ましくはメチル基)またはフェニル基を表し、好ましくは、メチル基または水素原子である。]
で表される基である。
【0239】
より好ましい重合性基Bは、下記式:
−OC(O)−CR
64’=CH
2
[式中、R
64’は、上記と同意義である。]
で表される基である。
【0240】
さらに好ましい重合性基Bは、アクリロイル基またはメタクリロイル基である。
【0241】
重合性基Bを有する化合物としては、例えば、エステル末端に炭素原子数1〜20のアルキル基の結合した(メタ)アクリル系モノマー類;ノルボルネンビニル、スチレン、塩化ビニル等のビニル系モノマー類等を挙げることができる。
【0242】
重合性基Bを有する化合物としては、例えば、エステル末端に炭素原子数1〜15のアルキル基の結合した(メタ)アクリル系モノマー類、具体的にはステアリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ドデセニル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、テトラデセニル(メタ)アクリレート等;アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド;プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、ノルボルネンビニル、スチレン、塩化ビニル等のビニル系モノマー類;等を挙げることができる。
【0243】
別の態様において、グラフト量を向上させる観点からは、上記重合性基Bを有する化合物として多官能の(メタ)アクリレート類を用いてもよい。多官能の(メタ)アクリレート類は、上記と同意義である。
【0244】
一の態様において、重合性基Bは、
−R
63’−CR
64’=CH
2
[式中、R
63’は、単結合であり、
R
64’は、水素原子、あるいは炭素数1〜10のアルキル基(好ましくは、炭素数1〜5のアルキル基、より好ましくはメチル基)またはフェニル基を表し、好ましくは、メチル基または水素原子である。]
で表される基である。
【0245】
本態様において、上記重合性基Bを有する化合物としては、上記重合性基Bに、例えば、炭素原子数1〜12のアルキル基、具体的には、炭素原子数1〜10のアルキル基、より具体的には、炭素原子数3〜10のアルキル基の結合した化合物を挙げることができる。
【0246】
本態様において、上記重合性基Bを有する化合物としては、例えば、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、イソブテン、ペンテン、ヘプテン、ノネン等を挙げることができる。
【0247】
上記モノマーは、好ましくは、エチレン性二重結合を有する。
【0248】
一の態様において、上記モノマーは、含フッ素モノマーを少なくとも1つ含む
【0249】
上記含フッ素原子モノマーは、好ましくは水素原子がフッ素原子に全置換された、いわゆるパーフルオロモノマーであり得る。
【0250】
これらの含フッ素モノマーは、1個またはそれ以上のフッ素原子が、他の置換基により置換されていてもよい。
【0251】
好ましい態様において、上記含フッ素モノマーは、下記式:
【化33】
[式中、
R
45は、水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲン原子により置換されていてもよいアルキル基であり;
R
46は、水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲン原子により置換されていてもよいアルキル基であり;
R
47は、水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲン原子により置換されていてもよいアルキル基であり;
R
48は、水素原子、ハロゲン原子、−R
37、−R
38−O−R
37、−R
38−COOR
37、−R
38−OCOR
37、アリールであり;
R
37は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子により置換されていてもよいアルキル基、またはハロゲン原子により置換されていてもよいアリール基であり;
R
38は、単結合、またはハロゲン原子により置換されていてもよいアルキレン基であり;
ただし、式中少なくとも1つのフッ素原子を含む。]
で表されるモノマーである。
【0252】
上記式中、アルキル基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0253】
上記式中、アルキレン基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基である。
【0254】
上記式中、アリール基は、好ましくは炭素数6〜22のアリール基、より好ましくはフェニル基である。
【0255】
上記式中、ハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、より好ましくはフッ素原子または塩素原子、さらに好ましくはフッ素原子である。
【0256】
好ましい態様において、R
48は、フッ素原子、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜3のアルコキシ基、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数6〜22のアリール基、またはフッ素原子により置換されていてもよい−COOR
37であり、フッ素原子により置換されていてもよいアリール基である。
【0257】
上記含フッ素モノマーとしては、例えば、フェニル基にフッ素原子またはフッ素原子を含む置換基を有するスチレン、例えば2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、トリフルオロメチルスチレンが挙げられる。
【0258】
他の態様において、含フッ素モノマーとしては、例えば、モノフルオロエチレン、1,1−ジフルオロエチレン、1,3−ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、1,1,1,2−テトラフルオロ−2−プロピレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、フッ化ビニリデン(VDF)等が挙げられる。
【0259】
一の態様において、上記モノマーは、非フッ素モノマーを少なくとも1つ含む。
【0260】
上記非フッ素モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、1,3−ブタジエン等が挙げられる。
【0261】
これらの非フッ素モノマーは、1個またはそれ以上の水素原子が、他の置換基により置換されていてもよい。
【0262】
一の態様において、上記非フッ素モノマーは、下記式:
【化34】
[式中、
R
85は、水素原子、塩素原子、または塩素原子により置換されていてもよいアルキル基であり;
R
86は、水素原子、塩素原子、または塩素原子により置換されていてもよいアルキル基であり;
R
87は、水素原子、塩素原子、または塩素原子により置換されていてもよいアルキル基であり;
R
88は、水素原子、塩素原子、−R
89、−R
90−O−R
89、−R
90−COOR
89、−R
80−OCOR
89、アリール基、または−CHCH
2であり;
R
89は、水素原子、塩素原子、塩素原子により置換されていてもよいアルキル基、または塩素原子により置換されていてもよいアリール基であり;
R
90は、単結合、または塩素原子により置換されていてもよいアルキレン基である。]
で表される化合物である。
【0263】
好ましい態様において、R
88は、アリール、水素原子、塩素原子により置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基、塩素原子により置換されていてもよい炭素数1〜3のアルコキシ基、塩素原子により置換されていてもよい炭素数6〜22のアリール基、塩素原子により置換されていてもよい−COOR
75、または−CHCH
2である。
【0264】
上記非フッ素モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、1,3−ブタジエン等が挙げられる。
【0265】
上記1,3−ブタジエンのような共役ジエン系モノマーを用いる場合、得られたポリマー鎖は、ポリマー鎖の主鎖に二重結合を有していてもよく、あるいは側鎖に二重結合を有していてもよい。例えば、1,3−ブタジエンをモノマーとして用いる場合、ポリマー鎖は、−(CH
2CH=CHCH
2)−および−(CH
2CH(CH=CH
2))−のいずれか一方または両方のユニットを有していてもよい。
【0266】
上記ポリマー鎖に存在する二重結合は、反応性部位として利用することもできる。例えば、Rf
α−Hal(Rf
αはフルオロアルキルであり、Halはハロゲン、例えば臭素またはヨウ素である)と反応させて、−(CH
2−CHHal−CHRf
α−CH
2)−または−(CH
2CH(CHHal−CH
2Rf
α))−を得ることができる。
【0267】
上記リビングラジカル重合の条件は、特に限定されず、当業者であれば、用いる原料、および所望の生成物に応じて適宜選択することができる。
【0268】
上記重合反応は、好ましくは、ラジカル発生剤の存在下で行われる。
【0269】
上記ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物、有機アゾ化合物等が挙げられ、好ましくは有機過酸化物が用いられる。下記に限定されるものではないが、例えば、有機過酸化物としては過酸化ベンゾイル、無機過酸化物としてはカリウムパーサルファイト、有機アゾ化合物としてはアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。
【0270】
本開示の式(1)〜(4)で表される化合物とモノマーとから得られる重合体は、下記式(1A)〜(4A)で表される重合体を含む。
【化35】
[式中:
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、X
1、n1、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、X
2、n2、R
31、R
32、R
33、R
34、およびR
35は、上記と同意義であり、
R
51は、各出現においてそれぞれ独立して、ポリマー鎖であり、
R
52は、各出現においてそれぞれ独立して、ヨウ素原子または水素原子であり、
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、任意の整数である。]
【0271】
上記式中R
51におけるポリマー鎖とは、1種またはそれ以上の上記したモノマー由来のユニットが少なくとも2、好ましくは5以上、好ましくは20以上結合した鎖を意味する。
【0272】
一の態様において、R
51は二価のポリマー鎖であり、m2は1である。
【0273】
また、本開示は、上記式(4A)で表される重合体と、式(4A)におけるR
52がラジカル発生剤由来の基または重合溶剤由来の基である重合体副生成物との混合物を提供する。かかる混合物は、式(4A)で表される重合体を、80mol%以上、90mol%以上、95mol%以上、または98mol%以上含み、残部として重合体副生成物を含み得る。
【0274】
本開示は、無機粒子の表面に、I−CR
x2−COO−(式中、R
xは任意の置換基である)を含む化合物を有する無機粒子をも提供する。
【0275】
一の態様において、本開示は、下記式(5):
[式中:
R
61は、H、F、Cl、CH
3、CF
3、またはO(CF
2)
p5Fであり;
R
62は、−COOR
66であり;
R
63は、HまたはFであり;
R
64は、HまたはFであり;
R
65は、H、Fまたはフッ素により置換されていてもよいアルキル基であり;
R
66は、単結合、または−R
67−R
68であり;
R
67は、フッ素により置換されていてもよいアルキレン基、または(ポリ)アルキレンオキシ基であり;
R
68は、単結合、−O−、または−SiR
69uR
703−uであり;
R
69は、単結合であり;
R
70は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、またはアルコキシ基であり;
uは、1〜3の整数であり;
p5は1〜10の整数である。]
で表される化合物を表面に有する、SiO
2を主成分とする無機粒子を提供する。
【0276】
本開示は、上記した式(1)〜(4)で表される化合物、式(1A)〜(4A)で表される重合体、または式(5)で表される化合物を表面に有する無機粒子を含む組成物を提供する。
【実施例】
【0277】
実施例1
【化36】
【0278】
パイレックスチューブ中、化合物14(279mg)をCH
2Cl
2(0.4 ml)に溶解し、C
6F
13I(330μL)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(474mg、2ml水溶液)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら400W高圧水銀ランプを用い、紫外光を24時間照射した。反応終了後、カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物15(429 mg)を得た。
【0279】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) ; 4.6(1H,dd, J=3.6, 10.4 Hz, ICH), 4.2(2H, t, OCH
2), 3.33(1H, m, CF
2CHH), 2.71(1H, m , CF
2CHCH), 1.88(7H, m, CH(CH
3)
2), 1.78(2H,tt, SiCH
2CH
2), 0.97(21H, d, CH(CH
3)
2), 0.68(2H, tt, CH
2CH
2CH
2), 0.63(14H, SiCH
2CH)
19F NMR (376 MHz、CDCl
3) ; -81.3(3F, s, CF
3),-114.7(2F,dd, J=276.0, 670.4 Hz, CH
2CF
2), -122.3(2F, s, CF
2), -123.4(2F, s, CF
2), -124.1(2F, s, CF
2), -126.6(2F, s, CF
2)
【0280】
実施例2
【化37】
a)溶解重合、25%トルエンおよび75%モノマー
b)MeOH−不溶部分
c)THF中GPC測定(較正標準として直鎖ポリスチレン)
【0281】
反応容器中、化合物15(0.1 mmol)をトルエン(0.57mL)に溶解し、メタクリル酸メチル(1.7mL)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(36.6mg)を加え、反応容器内を不活性ガスで十分に置換した後に、120℃で1時間加熱した。反応終了後、再沈殿により精製し、化合物16(811mg、M
n=1.6×10
4、M
w/M
n=1.5)で得た。
【0282】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) ; 3.83(s, C(O)OCH
3), 2.0-1.7(s, C(CH
3)), 1.86(7H, m, CH(CH
3)
2), 1.1(CH
2C(CH
3)(COOCH
3)), 0.95(21H, d, CH(CH
3)
2), 0.8(CH
2C(CH
3)(COOCH
3)), 0.60(14H, SiCH
2CH)
19F NMR (376 MHz、CDCl
3) ; -81.3(3F, s, CF
3),-114.7(2F,dd, J=276.0, 670.4 Hz, CH
2CF
2), -122.3(2F, s, CF
2), -123.4(2F, s, CF
2), -124.1(2F, s, CF
2), -126.6(2F, s, CF
2)
【0283】
実施例3
【化38】
【0284】
パイレックスチューブ中、化合物11(397mg)をCH
2Cl
2(4 ml)及びアサヒクリンAK−225(4mL)の混合溶媒に溶解し、C
6F
13I(1.1mL)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(475mg、2ml水溶液)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら450W高圧水銀ランプを用い、紫外光を24時間照射した。反応終了後、再沈殿により精製し、化合物12(1.01g)を得た。
【0285】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) ; 4.6(8H, ICH), 4.1(2H, OCH
2), 2.7(16H, CF
2CH
2), 1.8(16H, SiCH
2CH
2), 0.97(21H, 0.7(14H, SiCH
2)
19F NMR (376 MHz、CDCl
3) ; -81.4(24F, s, CF
3),-114.7(2F, CH
2CF
2), -122.4(2F, s, CF
2), -123.4(2F, s, CF
2), -124.2(2F, s, CF
2), -126.7(2F, s, CF
2)
【0286】
実施例4
【化39】
【0287】
反応容器中、化合物12(489mg)をトルエン(0.57mL)に溶解し、メタクリル酸メチル(1.7mL)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(36.5mg)を加え、反応容器内を不活性ガスで十分に置換した後に、120℃で1時間加熱した。反応終了後、再沈殿により精製し、化合物13(1.65g、M
n=3.5×10
4、M
w/M
n=1.8)で得た。
【0288】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) ; 4.2(m, (O)CCH(CH
2C
6F
13)(CH
2)), 3.8(OCH
2), 3.6(C(O)OCH
3), 2.6(CF
2CH
2), 1.8(CH
2C(CH
3)(C(O)OCH
3), 1.6(SiCH
2CH
2), 1.1(C(CH
3)), 0.9(C(CH
3))
19F NMR (376 MHz、CDCl
3) ; -81.4(24F, s, CF
3),-114(2F, br, CH
2CF
2), -122.4(2F, s, CF
2), -123.5(2F, s, CF
2), -124.4(2F, s, CF
2), -126.8(2F, s, CF
2)
【0289】
実施例5
【化40】
【0290】
パイレックスチューブ中、化合物1(20.3mg)をCH
2Cl
2(4 ml)に溶解し、I−C
4F
8−I(36μL)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(158mg、1ml水溶液)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら400W高圧水銀ランプを用い、紫外光を24時間照射した。得られた反応混合物を
1H及び
19F NMRによって分析したところ、目的物を得たことを確認した。
【0291】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) ; 4.6(1H, dd, 3.8, 10.6 Hz, ICH), 4.2(2H, OCH
2CH
3), 3.2(1H, m, CF
2CHH), 2.7(1H, m, CF
2CHH), 1.2(3H, CH
2CH
3)
19F NMR (376 MHz、CDCl
3) ; -114.8(2F,dd, J=265.8, 647.1 Hz, CH
2CF
2), -123.8(2F, s, CH
2CF
2CF
2), -113.2(2F, s, CF
2CF
2I), -59.1(2F, s, CF
2I)
【0292】
実施例6
【化41】
【0293】
パイレックスチューブ中、化合物1(60.6mg)をCH
2Cl
2(4 ml)に溶解し、I−C
4F
8−I(36μL)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(316mg、1ml水溶液)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら400W高圧水銀ランプを用い、紫外光を24時間照射した。得られた反応混合物を
1H及び
19F NMRによって分析したところ、目的物を得たことを確認した。
【0294】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) ; 4.6(2H, dd, 3.8, 10.6 Hz, ICH), 4.2(4H, OCH
2CH
3), 3.2(2H, m, CF
2CHH), 2.7(2H, m, CF
2CHH), 1.2(6H, CH
2CH
3)
19F NMR (376 MHz、CDCl
3) ; -114.8(4F,dd, J=277.5, 658.8 Hz, CH
2CF
2), -123.1(4F, s, CF
2)
【0295】
実施例7
【化42】
【0296】
パイレックスチューブ中、化合物4(39.9mg)をCH
2Cl
2(4 ml)に溶解し、C
6F
13−I(44μL)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(158mg、1ml水溶液)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら400W高圧水銀ランプを用い、紫外光を1時間照射した。得られた反応混合物を
1H及び
19F NMRによって分析したところ、目的物を得たことを確認した。
【0297】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) ; 6.4(1H, dd, CH
2=CHC(O)), 6.1(1H, dd, CH
2=CHC(O)), 5.8(1H, dd, CH
2=CHC(O)), 4.2(4H, OCH
2), 4.2(1H,m, ICH), 3.3(1H, m, CF
2CHH), 2.7(1H, m , CF
2CHCH), 1.8(4H,OCH
2CH
2)
19F NMR (376 MHz、CDCl
3) ; -81.3(3F, s, CF
3),-114.7(2F,dd, J=276.0, 670.4 Hz, CH
2CF
2), -122.3(2F, s, CF
2), -123.4(2F, s, CF
2), -124.1(2F, s, CF
2), -126.6(2F, s, CF
2)
【0298】
実施例8
【化43】
【0299】
反応容器中、化合物15(138mg)をトルエン(0.79mL)に溶解し、化合物6(2.36mL)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(36.7mg)を加え、反応容器内を不活性ガスで十分に置換した後に、120℃で5時間加熱した。反応終了後、再沈殿により精製し、化合物7(収率27%、M
n=3.8×10
3、M
w/M
n=3.5)で得た。
【0300】
1H NMR (400 MHz, C
6D
6) δ 4.17 (262H, br s), 2.25 (314H, br s), 2.02 (133H, br s), 1.41-1.09 (562H, br m), 1.07 (86H, dt, J = 9.2, 3.7 Hz), 0.77 (14H, d, J = 6.9 Hz).
19F NMR (376 MHz, C
6D
6) δ -79.38 (3nF, s), -118.80 (2nF, dd, J = 433.5, 283.2 Hz), -130.20 (2nF, s), -132.08 (2nF, s).
【0301】
実施例9
【化44】
【0302】
反応容器中、化合物15(138mg)、アクリル酸ブチル(1.40mL)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(1当量)を加え、反応容器内を不活性ガスで十分に置換した後に、110℃で48時間加熱した。反応終了後、再沈殿により精製し、化合物8(収率34%、M
n=7.0×10
3、M
w/M
n=1.24)で得た。
【0303】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 4.09-3.96 (53H, m), 2.36-2.28 (23H, br m), 1.92-1.78 (18H, m), 1.67-1.62 (82H, m), 1.49-1.47 (8H, m), 1.37 (55H, dd, J = 14.2, 7.3 Hz), 0.96-0.92 (120H, m), 0.60 (14H, t, J = 5.7 Hz).
19F NMR (376 MHz, CDCl
3) δ -81.28 (3F, s), -113.95 (2F, s), -122.34 (2F, s), -123.38 (2F, s), -124.12 (1F, s), -126.64 (2F, s).
【0304】
実施例10
【化45】
【0305】
反応容器中、化合物15(138mg)、化合物9(1.25mL)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(148mg)を加え、反応容器内を不活性ガスで十分に置換した後に、110℃で48時間加熱した。反応終了後、再沈殿により精製し、化合物10(収率7%、M
n=2.3×10
3)で得た。
【0306】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 4.47 (12H, br s), 2.47 (6H, br s), 2.05 (3H, br s), 1.86 (6H, tt, J = 9.8, 4.5 Hz), 1.78 (8H, br s), 1.56 (5H, br s), 0.95 (40H, t, J = 6.4 Hz), 0.62-0.59 (14H, m).
19F NMR (376 MHz, CDCl
3) δ -74.49 (3nF, s), -81.28 (3F, s), -113.98 (1F, s), -115.30 (1F, s), -121.97--122.60 (2F, m), -123.14--123.78 (2F, m), -123.94--124.40 (1F, m), -126.67 (2F, s).
【0307】
実施例11
【化46】
【0308】
反応容器中、化合物12(488mg)、アクリル酸ブチル(2.30mL)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(147mg)を加え、反応容器内を不活性ガスで十分に置換した後に、120℃で1時間加熱した。反応終了後、再沈殿により精製し、化合物17(収率10%、M
n=3.1×10
4、M
w/M
n=2.05)で得た。
【0309】
19F NMR (376 MHz, CDCl
3) δ -81.43(3F, s), -109.98 (2F, s), -122.5 (2F, s), -123.5 (2F, s), -123.8-125.0 (2F, m), -126.9 (2F, s).
【0310】
実施例12
【化47】
【0311】
パイレックスチューブ中、化合物18(168mg)をCH
2Cl
2(5.0ml)に溶解し、化合物2(553mg)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(317mg、1ml水溶液)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら400W高圧水銀ランプを用い、紫外光を24時間照射した。得られた反応混合物を
1H及び
19F NMRによって分析したところ、化合物19を収率52%で得たことを確認した。
【0312】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) ; 4.60(1H, m, CH
2C
HICO
2CH
2)), 4.23(2H, q, CO
2C
H2CH
3), 3.30(1H, m, CF
2C
H2CHI), 3.12(1H, dd, SiC
HICH
2), 2.88(1H, m, CF
2C
H2CHI), 2.80-2.45(2H, m, SiCHIC
H2CF
2), 1.86(7H, tq, CH
2C
H(CH
3)
2), 1.28(3H, t, CO
2CH
2C
H3), 0.95(14H, d, CH2CH(C
H3)
2), 0.64(42H, m, SiC
H2CH(CH
3)
2)
19F NMR (376 MHz、CDCl
3) ; -115.0(2F, dd, CH
2C
F2), -115.6(2F, dd, C
F2CH
2) -124.1(4F, s, CF
2C
F2C
F2CF
2)
【0313】
実施例13
【化48】
【0314】
反応容器中、化合物19(150mg)をトルエン(0.37mL)に溶解し、メタクリル酸メチル(1.1mL)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(36.7mg)を加え、反応容器内を不活性ガスで十分に置換した後に、120℃で1時間加熱した。反応終了後、再沈殿により精製し、化合物20(収率36%、M
n=1.2×10
4、M
w/M
n=1.15)で得た。
【0315】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) ; 4.14(2H, q, CO
2C
H2CH
3),3.60(3nH, s, CO
2C
H3), 3.12(1H, dd, SiC
HICH
2), 2.65-2.45(2H, m, SiCHIC
H2CF
2), 2.1-1.7(br, CH
2C(C
H3)(CO
2CH
3)), 1.50-1.35(br, CH
2C(C
H3)(CO
2CH
3)), 1.30-1.18(br, C
H2C(CH
3)(CO
2CH
3)), 1.02(s, C
H2C(CH
3)(CO
2CH
3)), 0.95(14H, d, SiCH
2CH(C
H3)
2), 0.85(s, C
H2C(CH
3)(CO
2CH
3)), 0.64(42H, m, SiC
H2CH(CH
3)
2)
19F NMR (376 MHz、CDCl
3) ; -114.28(2F, CH
2C
F2), -115.6(2F, C
F2CH
2), -124.2(4F, s, CF
2C
F2C
F2CF
2)
【0316】
実施例14
【化49】
【0317】
パイレックスチューブ中、化合物21(210mg)をCH
2Cl
2(7.5ml)に溶解し、C
6F
13I(0.26mL)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(237mg、1.5ml水溶液)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら400W高圧水銀ランプを用い、紫外光を4時間照射した。得られた反応混合物を
1H及び
19F NMRによって分析したところ、化合物22を308mg得たことを確認した。
【0318】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) ; δ 4.61 (1H, dd, J = 12.0, 4.0 Hz) , 4.18 - 4.12 (2H, br m), 3.40 - 3.22 (1H, m), 2.74 - 2.63 (1H, m) , 1.80 - 1.62 (2H, br m) , 0.70 - 0.4 (2H, br m), 0.30 - -0.15 ( (6n+9)H, br m)
19F NMR (376MHz, CDCl
3) ; δ -81.3 (3F, s) , -114.7 (2F, dd, J = 646.7, 278.2 Hz) , -122.3 (2F, s), -123.4 (2F, s) , -124.1 (2F, s), -126.6 (2F, s)
【0319】
実施例15
【化50】
【0320】
パイレックスチューブ中、アクリル酸エチル(121mg)をCH
2Cl
2(25ml)に溶解し、化合物24(0.21mL)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(791mg、5ml水溶液)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら400W高圧水銀ランプを用い、紫外光を4時間照射した。得られた反応混合物を
1H及び
19F NMRによって分析したところ、化合物25を271mg得たことを確認した。
【0321】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) ; δ 4.57 (1H, dd, J = 10.4, 3.6 Hz), 4.32 - 4.22
(2H, m), 3.30 - 3.18 (1H, m), 2.72 - 2.59 (1H, m), 1.35 - 1.25 (3H, t, J = 7.2 Hz)
19F NMR (376MHz, CDCl
3) ; δ 45.1 (1F, s) , -82.6 (2F, s), -88.1 (2F, s) , -112.7 (2F, s), -118.43 (2F, dd, J = 684.6, 259.6 Hz).
【0322】
実施例16
【化51】
【0323】
反応容器中、化合物25(53mg)、アクリル酸ブチル(1.4mL)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(148mg)を加え、反応容器内を不活性ガスで十分に置換した後に、110℃で15時間加熱した。反応終了後、再沈殿により精製し、化合物26(モノマー転化率33%、M
n=6.1×10
3、M
w/M
n=1.08)で得た。
【0324】
1H-NMR (CDCl
3) δ: 4.09 ( (2n)H, br m), 2.28 ( (2n)H, br s), 1.91-1.24 ( (5n)H, br m), 1.04-0.92 ( (3n)H, br m)
19F-NMR (CDCl
3) δ: 45.08 (1F, s), -82.66 (2F, s), -88.19 (2F, s), -112.66 (2F, s), -117.82 - -118.71 (2F, m).
【0325】
実施例17
【化52】
【0326】
反応容器中、化合物25(53mg)をトルエン(0.35mL)に溶解させ、メタクリル酸メチル(1.1mL)、メチルトリブチルホスホニウムアイオダイド(34.4mg)を加え、反応容器内を不活性ガスで十分に置換した後に、70℃で4時間加熱した。反応終了後、再沈殿により精製し、化合物27(モノマー転化率64%、M
n=1.2×10
4、M
w/M
n=1.18)で得た。
【0327】
1H-NMR (CDCl
3) δ: 3.69 ( (3n)H, br s), 2.17-1.81 ( (2n)H, br m), 1.02, 0.87 ( (3n) H, br s).
19F-NMR (CDCl
3) δ: 44.90 (1F, s), -82.60 (2F, s), -88.16 (2F, s), -112.66 (2F, s), -118.13 (2F, d, J = 69.6 Hz).