再表2019-244492IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年12月26日
【発行日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/48 20060101AFI20201120BHJP
【FI】
   H01L23/48 S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
【出願番号】特願2020-525335(P2020-525335)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年5月8日
(31)【優先権主張番号】特願2018-115327(P2018-115327)
(32)【優先日】2018年6月18日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】山田 教文
(57)【要約】
半導体装置は、半導体基板(29)、半導体基板(29)の上面の上面電極(31−1,31−2)、上面電極(31−1,31−2)の上面の端部を選択的に被覆する絶縁膜(34)、及び絶縁膜(34)の開口部に露出した上面電極(31−1,31−2)の上面を被覆する鍍金層(33−1,33−2)を含む半導体チップ(30)と、絶縁膜(34)及び鍍金層(33−1,33−2)の上方の接合部(61)を含み、接合部(61)の下面から上方に溝部(66−1)が設けられた金属配線板(60)と、溝部(66−1)を満たし鍍金層(33−1,33−2)と接合部(61)の下面とを接合するはんだ部(25)とを備え、平面視において絶縁膜(34)と鍍金層(33−1,33−2)の境界線AR,ALが溝部(66−1)の内側に配置され、はんだ部(25)は境界線AR,AL上において鍍金層(33−1,33−2)上における厚さより厚い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を有する半導体基板、前記半導体基板の上面に配置された上面電極、前記上面電極の上面の端部を選択的に被覆する絶縁膜、および、前記絶縁膜の開口部に露出した前記上面電極の上面を被覆する鍍金層を含む半導体チップと、
前記絶縁膜及び前記鍍金層の上方に位置する接合部を含み、前記接合部の下面から前記上方に向かって溝部が設けられた金属配線板と、
前記溝部を満たし、前記鍍金層と前記接合部の下面とを接合するはんだ部と、
を備え、
平面視において、前記絶縁膜と前記鍍金層の境界線が前記溝部の内側に配置され、
前記はんだ部は、前記境界線上において、前記鍍金層上における厚さより厚い半導体装置。
【請求項2】
前記金属配線板は、前記溝部の縁部と前記絶縁膜との間の距離が0.5mm以上となるように配置された請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体チップの上面に前記上面電極と離間して配置された配線層を更に備え、
前記絶縁膜は、前記配線層を被覆し、
平面視において、前記溝部は、前記配線層の位置を含むように設けられる請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記配線層は、前記半導体チップを構成する半導体素子の主電流を制御する制御電極の配線層である請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体チップを搭載する絶縁基板と、
少なくとも、前記半導体チップ、前記金属配線板、前記はんだ部及び前記絶縁基板を封止する封止樹脂と、
を更に備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー半導体モジュールとして使用可能な半導体装置
【背景技術】
【0002】
パワー半導体モジュールにおいて、主電極および主電極を分割する絶縁膜を有する半導体チップに、金属配線板をはんだを用いて接合することが知られている。例えば、特許文献1は、半導体チップの電極部と金属片であるフレームとをはんだにより接続する半導体装置を開示する。特許文献2は、波形に成形されたリードの谷に当たる部分を半導体基板表面の電極に接合し、山に当たる部分を筐体の表面近傍に位置させる電力用半導体装置を開示する。
【0003】
特許文献3は、バンプを介して半導体チップの電極に接合する接合部材と放熱板とにより半導体チップを挟み込む半導体装置を開示する。特許文献4は、エミッタ電極に接続する部材が保護膜に対向する位置にスリットを有する半導体装置を開示する。特許文献5は、ゲート−エミッタ間のショート不良を防止するために、ゲート電極の配線の保護膜と別に、ゲート電極の配線とはんだとの間に配置された絶縁層を備える半導体装置を開示する。
【0004】
このような半導体モジュールでは、温度サイクル試験を実施すると金属配線板やはんだに起因して主電極にクラックが発生することがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−216736号公報
【特許文献2】特開2006−190728号公報
【特許文献3】特開2000−349207号公報
【特許文献4】特開2012−191012号公報
【特許文献5】特開2011−66377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、問題点を鑑み、主電極におけるクラックの発生を抑制し、構造的な信頼性を向上することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
目的を達成するために、本発明の一態様は、(a)上面を有する半導体基板、半導体基板の上面に配置された上面電極、上面電極の上面の端部を選択的に被覆する絶縁膜、および、絶縁膜の開口部に露出した上面電極の上面を被覆する鍍金層を含む半導体チップと、(b)絶縁膜及び鍍金層の上方に位置する接合部を含み、接合部の下面から上方に向かって溝部が設けられた金属配線板と、(c)溝部を満たし、鍍金層と接合部の下面とを接合するはんだ部とを備える半導体装置であることを要旨とする。本発明の一態様に係る半導体装置の絶縁膜と鍍金層の境界線が平面視において溝部の内側に配置され、はんだ部は、境界線上において、鍍金層上における厚さより厚い。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、主電極におけるクラックの発生を抑制し、構造的な信頼性を向上することができる半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の半導体装置の外観を説明する斜視図である。
【図2】本発明の半導体装置の内部構造を冷却器、ケース及び封止樹脂を省略して説明する斜視図である。
【図3】本発明の半導体装置の積層基板、半導体チップ及び金属配線板を説明する平面図である。
【図4】図3のIV−IV方向から見た断面図である。
【図5】本発明の半導体装置の金属配線板を説明する斜視図である。
【図6】本発明の半導体装置の半導体チップ及び金属配線板の配置を説明する平面図である。
【図7】図6のVII−VII方向から見た断面図である。
【図8】溝部を有しない金属配線板に接合された上面電極の塑性ひずみ振幅を示すコンター図である。
【図9】幅0.8mmの溝部を有する金属配線板に接合された上面電極の塑性ひずみ振幅を示すコンター図である。
【図10】幅1.3mmの溝部を有する金属配線板に接合された上面電極の塑性ひずみ振幅を示すコンター図である。
【図11】幅2.0mmの溝部を有する金属配線板に接合された上面電極の塑性ひずみ振幅を示すコンター図である。
【図12】絶縁膜及び溝部の間の距離と上面電極の塑性ひずみ振幅の最大値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なる場合がある。また、図面相互間においても寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。また、以下に示す本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。
【0011】
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。
【0012】
(半導体装置)
図1に示すように、本発明の半導体装置100は、半導体チップ30及び金属配線板60を備える。半導体装置100は、冷却器10、積層基板11、ケース20および封止樹脂21を含んでよい。半導体チップ30は、半導体基板29(図7参照)に形成された、pn接合を含む活性領域によって主電流の流れを制御する機能を有する素子である。冷却器10の上面は積層基板11の下面に直接又は間接的に接する。ケース20の内部に積層基板11の上面、半導体チップ30及び金属配線板60等を封止する封止樹脂21が充填される。半導体装置100は、例えばパワー半導体である半導体チップ30を用いて、入力された電力を所定の電力に変換する電力用半導体装置(パワーデバイス)である。実施形態において、理解を容易にするために、それぞれ1つの積層基板11、半導体チップ30及び金属配線板60を備える半導体装置100について説明する。半導体装置100は、複数の積層基板、半導体チップ及び金属配線板等を備え得る。また、外部と接続するための端子及び配線、並びに信号処理回路等については図示及び説明を省略する。
【0013】
冷却器10は、活性領域に主電流が流れて半導体チップ30等が発する熱を積層基板11を介して外部に放出する。冷却器10は、例えばアルミニウム(Al)等の熱伝導率が高い材料から形成された概略として直方体状のヒートシンクである。冷却器10は、表面積を増大させて放熱性能を向上させるために、複数のフィンを有してもよい。この場合、フィンの間を冷媒の流路とすることができる。冷媒は、例えばエチレングリコール水溶液や水などの液体であっても、空気のような気体であってもよい。また、フロンのように相変化可能な冷媒も採用可能である。
【0014】
ケース20は、例えば矩形の枠形状を有し、冷却器10の上面において、積層基板11、半導体チップ30、金属配線板60等を、封止樹脂21を介して囲むように設けられる。ケース20は、金属等の導電性材料で形成されてよく、樹脂等の絶縁材料で形成されてもよい。封止樹脂21としては、例えばエポキシ樹脂やマレイミド樹脂等、絶縁性能及び成形性が良好な樹脂を採用可能である。これらの樹脂と混合されるフィラーの量により、封止樹脂21の線膨張係数やヤング率を調整することができる。
【0015】
図2〜図4に示すように、積層基板11は、絶縁基板13と、絶縁基板13の下面に接合された金属板12と、絶縁基板13の上面に接合された回路パターン層(14,15,16)とを備える。積層基板11は、例えば、セラミックス基板の表面に銅が直接接合されたDCB基板、セラミックス基板の表面に活性金属ろう付け法により金属が配置されたAMB基板等を採用可能である。積層基板11は、はんだ部22により冷却器10の上面に接合され、冷却器10に熱的に接続される。はんだ部22としては、例えばスズ(Sn)−アンチモン(Sb)系またはSn−Sb−銀(Ag)系の高強度はんだを採用可能である。積層基板11は、その主面がX−Y面と平行になるように配置されてよい。
【0016】
図2〜図4に示すように回路パターン層(14,15,16)は、第1回路パターン層14、第2回路パターン層15及び複数の第3回路パターン層16を有する。第1回路パターン層14は、その上面に半導体チップ30を搭載し、第2回路パターン層15は、その上面に金属配線板60を接合する。回路パターン層(14,15,16)は、半導体チップ30を構成する半導体素子に電気的に接続され、半導体チップ30を構成する半導体素子との間で電力および電気信号等を受け渡す。回路パターン層(14,15,16)は、絶縁基板13の上面に形成された金属配線、パッド等を含んでよく、信号処理回路等を含んでもよい。
【0017】
半導体チップ30は、図7に示すように、半導体基板29、半導体基板29の上面に配置された上面電極31−1等、上面電極31−1等の端部を選択的に被覆する絶縁膜34等、および、絶縁膜34等の開口部に露出した上面電極31−1等を被覆する鍍金層33−1等を含む。上面電極31−1等および鍍金層33−1等からなる第1主電極は、グリッド状に形成された絶縁膜34等により分割されている。
【0018】
半導体基板29は、上面と、上面に対向する下面とを有する。半導体基板29は、例えばシリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)等の半導体材料から形成された半導体片である。半導体チップ30の厚さは例えば50〜450μm程度であり、半導体チップ30の形状は例えば5〜15mm程度の一辺の長さを有する矩形の形状等である。半導体基板29に形成され、半導体チップ30を構成する半導体素子は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)やパワーMOSFET等、縦型の半導体素子を含む。半導体素子には、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、電界効果トランジスタ(FET)、静電誘導トランジスタ(SIT)、ゲートターンオフ(GTO)サイリスタや静電誘導(SI)サイリスタ等が含まれてもよい。更に、これらの半導体スイッチング素子の他にショットキーバリアダイオード等のダイオードを含み得る。半導体チップ30を構成する半導体素子は、その他、IGBTとフリーホイールダイオードを一つのチップに設けた逆阻止IGBT(RB−IGBT)や逆導通IGBT(RC−IGBT)を含んでよい。
【0019】
半導体チップ30として、例えば、半導体基板29の上面に複数の第1主電極が配置され、下面に第2主電極が配置される縦型構造の素子が例示される。半導体チップ30を構成する半導体素子がIGBTやBJTである場合において、第1主電極はエミッタ電極又はコレクタ電極のいずれか一方の電極を意味し、第2主電極は他方の電極を意味する。IGBTの場合、制御電極はゲート電極を意味し、BJTの場合、制御電極はベース電極を意味する。FETやSIT等において、第1主電極はソース電極又はドレイン電極のいずれか一方の電極を意味し、第2主電極は他方の電極を意味し、制御電極はゲート電極を意味する。GTOサイリスタ等のサイリスタにおいて、第1主電極はアノード電極又はカソード電極のいずれか一方の電極を意味し、第2主電極は他方の電極を意味し、制御電極はゲート電極を意味する。
【0020】
図4に示すように、半導体チップ30は、はんだ部23を介して第1回路パターン層14の上面に接合される。半導体チップ30は、その主面がX−Y面と平行になるように配置されてよい。半導体チップ30の第2主電極が第1回路パターン層14に電気的に接続されるとともに、半導体チップ30は、積層基板11を介して冷却器10に熱的に接続される。半導体チップ30は、はんだ部25を介して金属配線板60に接合される。はんだ部23の厚さは、例えば0.05mm〜0.4mmであり、好ましくは0.1mm〜0.2mmである。はんだ部25の、半導体チップ30に含まれる鍍金層33−1〜33−6(図3参照)の上面上における厚さは、0.05mm〜0.4mmであり、好ましくは0.05mm〜0.3mmであり、さらに望ましくは0.1mm〜0.2mmである。はんだ部23,25としては、例えばSn−Sb系、Sn−銅(Cu)系のはんだを採用可能である。
【0021】
図3に示すように、半導体チップ30には、それぞれ第1主電極をなす複数の鍍金層33−1〜33−6と複数の電極パッド39が配置されている。複数の鍍金層33−1〜33−6のパターンの間には、複数のゲートランナー36−1〜36−3が配置されている。鍍金層33−1〜33−6の形状はそれぞれ、平面視において、矩形であってよい。ここで、「ゲートランナー36−1〜36−3」は、半導体チップ30を構成する半導体素子の主電流を制御する制御電極の配線である。複数の鍍金層33−1〜33−6のパターンの配置を囲むようにガードリング35のパターンが設けられている。なお、図面を簡単にするために図4において鍍金層33−1〜33−6、ガードリング35、複数のゲートランナー36−1〜36−3、複数の電極パッド39等の図示を省略している。なお、本明細書において、「平面視において」とは、半導体基板29(図7参照)の上面に垂直な方向(Z軸の正方向)から視た場合を意味する。
【0022】
半導体チップ30の上面において、図3に示すように2本のゲートランナー36−1,36−2が、互いに平行な方向(Y軸方向)に延伸している。そして、1本のゲートランナー36−3が、ゲートランナー36−1,36−2に直交する方向(X軸方向)に延伸する。6つの鍍金層33−1〜33−6は、3本のゲートランナー36−1〜36−3によって、互いに離間した2×3のマトリクス状に配置される。ガードリング35は、半導体チップ30の4辺に沿って鍍金層33−1〜33−6を囲む。電極パッド39は、平面パターンとしてガードリング35内において互いに離間して配置される。
【0023】
図2〜図4に示すように、金属配線板60は、例えばCu、Cu合金、Al、Al合金等からなるリードフレームである。金属配線板60は、例えば0.5〜1.5mm程度の厚さを有する。金属配線板60は、第1接合部61と、第1接合部61に連続する第1立ち上がり部62と、第1立ち上がり部62に連続する接続部63とで第1のクランク形状をなしている。第1接合部61の下面は、はんだ部25を介して半導体チップ30の上面に接合される。金属配線板60は更に、接続部63と、接続部63に連続する第2立ち上がり部64と、第2立ち上がり部64に連続する第2接合部65とで第2のクランク形状をなしている。第2接合部65の下面は、はんだ部24を介して第2回路パターン層15の上面に接合される。第1接合部61の鍍金層33−1〜33−6の上面に対向する面は、半導体チップ30の上面に実質的に平行な面を含む。第2接合部65の下面は、第2回路パターン層15の上面に実質的に平行に対向する。はんだ部24としては、例えばSn−Cu系、Sn−Sb系等のはんだを採用可能である。
【0024】
第1立ち上がり部62は、第1接合部61の接続部63側の端部において、半導体チップ30の上面をなす平面から上方に向かう方向、例えば直角方向に延伸し、第1接合部61と略L字形をなしている。第2立ち上がり部64は、第2接合部65の接続部63側の端部において、第2回路パターン層15の上面をなす平面から上方に向かう方向、例えば直角方向に延伸し、第2接合部65と略L字形をなしている。実施形態において第1立ち上がり部62及び第2立ち上がり部64は、半導体チップ30の上面及び第2回路パターン層15の上面と垂直な方向(Z軸方向)に延伸している。金属配線板60は、例えばプレス等を用いて、第1接合部61、第1立ち上がり部62、接続部63、第2立ち上がり部64及び第2接合部65を有するように適宜90°に曲げ加工される。
【0025】
第1接合部61と第1立ち上がり部62とのなす角、および、第2立ち上がり部64と第2接合部65とのなす角は、それぞれ45°以上135°以下の範囲、好ましくは80°以上100°以下の範囲から選択されてよく、実質的に90°であってよい。また、接続部63の主面は、第1接合部61および第2接合部65の主面に実質的に平行であってよい。第1接合部61、接続部63および第2接合部65の主面は、半導体チップ30、第1回路パターン層14および第2回路パターン層15の主面に対し、若干傾いて配置されてもよい。
【0026】
半導体チップ30の第1主電極は、金属配線板60を介して第2回路パターン層15と電気的に接続される。即ち、第1接合部61は半導体チップ30の第1主電極に接続され、第2接合部65は第2回路パターン層15に接続される。
【0027】
図5に示すように、第1接合部61は、半導体チップ30の第1主電極に接合する接合面(下面)に、3本の溝部66−1〜66−3を有する。3本の溝部66−1〜66−3の位置は、図3に示した3本のゲートランナー36−1〜36−3にそれぞれ対応するように設けられている。図6から分かるように、平面視において、溝部66−1〜66−3のパターンは、ゲートランナー36−1〜36−3のパターンを含むように配列されている。即ち、ゲートランナー36−1〜36−3は、溝部66−1〜66−3のそれぞれの中央部に位置し、溝部66−1〜66−3のそれぞれの内側に収まる。図5に示すように、溝部66−1〜66−3は、それぞれ第1接合部61の接合面から反対側の背面に向かって凹む。これにより第1接合部61は、溝部66−1〜66−3において、厚さが他所よりも薄くなっている。
【0028】
図6に示すように、第1接合部61の接合面において、2本の溝部66−1,66−2が、互いに平行な方向(Y軸方向)に延伸している。そして、1本の溝部66−3が、溝部66−1,66−2に直交する方向(X軸方向)に延伸している。この結果、第1接合部61の接合面には、図5に示すように、2×3のマトリクスをなすように島状に分離された台地部67−1〜67−6がメサ状に突出する。即ち、溝部66−1〜66−3により分割された第1接合部61の接合面の6つの領域は、6つの平坦な上面を有する台地部67−1〜67−6に相当する。第1接合部61は、台地部67−1〜67−6において、厚さが他所よりも厚くなっている。
【0029】
図6に示すように、溝部66−1〜66−3の幅Dは、ゲートランナー36−1〜36−3の幅dより大きい。例えば図7に示すように、溝部66−1の側面は、幅Dが第1接合部61の背面側に向かうほど小さくなるように傾斜し、背面に平行な溝部66−1の頂部の面に連結する。図示を省略しているが、同様に、溝部66−2,66−3の側面は、幅Dが第1接合部61の背面に向かうほど小さくなるように傾斜し、背面に平行な溝部66−2,66−3の頂部の面に連結する。図6に示すように、台地部67−1〜67−6は、平面パターンとして、鍍金層33−1〜33−6のそれぞれの中央部に位置し、鍍金層33−1〜33−6のそれぞれの内側に収まる。
【0030】
半導体チップ30は、図7に示すように、上面に配置された上面電極31−1と、上面電極31−1の上面に配置された鍍金層33−1とを含む第1主電極の一の領域を有する。更に、半導体チップ30は、上面に配置された上面電極31−2と、上面電極31−2の上面に配置された鍍金層33−2とを含む第1主電極の他の領域を有する。上面電極31−1,31−2は、例えば、Al、Al−Si等の金属、合金からなる。鍍金層33−1,33−2は、ニッケル(Ni)等を含む金属、合金からなる。図7では、鍍金層33−1および鍍金層33−2に対応した2つの第1主電極のみが図示されている。図6に示されている他の4つの鍍金層33−3〜33−6に関しても図7と同様であり、それぞれ上面電極を有した構造で第1主電極の領域がそれぞれ構成されることは勿論である。なお、以下において全ての上面電極を総称する場合は「上面電極31」と包括的に表示する。半導体チップ30は、半導体基板29の下面に配置された下面電極28を有する。
【0031】
また、半導体装置の「ゲートランナー36−1」は、半導体チップ30の上面に配置された配線層32と、配線層32を被覆する絶縁膜34とを含む構造として定義される。配線層32は、例えば金属やポリシリコン等の導電性材料からなる。配線層32は、例えば、半導体チップ30を構成する半導体素子の制御電極と電極パッド39との間を電気的に接続する配線のパターンである。絶縁膜34は、配線層32を鍍金層33−1〜33−6、上面電極31−1,31−2、及びはんだ部25から絶縁する。図7では図示を省略するが、他のゲートランナー36−2〜36−3も同様に、半導体チップ30の上面にそれぞれ配置された複数の配線層と、配線層をそれぞれ被覆する絶縁膜とを含む構造として定義される。ゲートランナー36−1〜36−3の表面をなす絶縁膜及びガードリング35は、例えばポリイミド等の連続する絶縁膜により構成され得る。なお電極パッド39は、温度検出用電極等に用いられてもよい。ゲートランナー36−1〜36−3は、平面視において、グリッド状に配置されてよい。
【0032】
図7に示すように、絶縁膜34は、上面電極31−1,31−2のそれぞれ上面の端部を選択的に覆い、鍍金層33−1,33−2は、絶縁膜34の開口部(窓部)に露出する上面電極31−1,31−2のそれぞれ上面を被覆し、絶縁膜34に接している。このため、上面電極31−1,31−2の上面には、3種の材料が共存し、境界をなす領域が形成される。上面電極31−1,31−2の上面には、右側境界線ARと左側境界線ALが対をなして存在する。右側境界線ARでは、上面電極31−1の上面、鍍金層33−1の端部及び絶縁膜34の端部の物性の異なる3種の材料が線状に共存する。左側境界線ALでは、上面電極31−2の上面、鍍金層33−2の端部及び絶縁膜34の端部の物性の異なる3種の材料が線状に共存する。図7の断面図の表示において、右側境界線ARと左側境界線ALは点として示されているが、実際には図7の断面図の紙面に垂直方向に延びる線である。紙面に垂直方向に延びる右側境界線ARと左側境界線ALの形状は、図8〜図11の平面パターン上に破線で示している。境界線AR,ALは、絶縁膜34の開口部の内側に沿って画定される。境界線AR,ALは、幅を有してもよく、延伸方向に沿って線幅が変化してもよく、また、延伸方向に沿ってうねってもよい。
【0033】
右側境界線ARの領域では、絶縁膜34の端部と鍍金層33−1の間の上面電極31−1上に隙間(ギャップ)が生じやすく、はんだ部25が右側境界線ARにおける隙間に侵入して、上面電極31−1の上面の露出箇所に接触し得る。同様に、左側境界線ALの領域では、絶縁膜34の端部と鍍金層33−2の端部との間に隙間が生じやすく、はんだ部25が左側境界線ALにおける隙間に侵入して、上面電極31−2の上面の露出箇所に接触し得る。前述のように、積層基板11、半導体チップ30及び金属配線板60は、封止樹脂21により封止される。よって、半導体チップ30に対し温度サイクル試験を実施すると、温度変化に伴う伸縮により、図2〜図6に示した第1立ち上がり部62は、はんだ部25、鍍金層33−1,33−2及び上面電極31−1,31−2を押圧し、又は引っ張る。このとき、上面電極31−1,31−2は、境界線AR,ALにおいて塑性ひずみ振幅が他所より大きくなり、上面電極31−1,31−2にクラックが生じる可能性がある。特に、第1立ち上がり部62側のゲートランナー36−2において振幅が大きくなる傾向がある。更に、上面電極31−1,31−2に生じたクラックを起点として、半導体チップ30にもクラックが生じる可能性がある。
【0034】
これに対して、半導体装置100では、一対の境界線AR,ALをなす絶縁膜34と鍍金層33−1,33−2との境界は、図7に示すように、溝部66−1の内側に位置する。図6に示すように、平面視において、ゲートランナー36−1に含まれる絶縁膜34(図7参照)と鍍金層33−1,33−2との間の境界線AR,AL(図7参照)はゲートランナー36−1の縁部の位置と概ね一致し、溝部66−1の内側に配置されている。図7に示すように、はんだ部25は、溝部66−1を満たすように形成されるため、右側境界線ARと左側境界線ALの間の領域に位置する絶縁膜34の直上のはんだ部25の厚さT1が、鍍金層33−1,33−2の直上のはんだ部25の厚さT2よりも厚くなる。このため、金属配線板60から受ける力に対する上面電極31−1,31−2の応力が、溝部66−1内のはんだ部25により緩和され、塑性ひずみ振幅を低減することができるので、半導体装置100の信頼性を向上できる。図7に図示しない他の4つの鍍金層33−3〜33−6に関しても同様である。台地部67−1,67−2の主面に対する溝部66−1の深さD1は、Z軸方向において、0.2mm〜0.8mmであり、好ましくは0.4mm〜0.6mmである。
【0035】
図8〜図11は、半導体装置の上面電極31における最大せん断塑性ひずみ振幅(本明細書において、単に塑性ひずみ振幅、ともいう)を、溝部66−1〜66−3の幅Dのみを変化させてシミュレーションした結果を示すコンター図である。シミュレーションは、有限要素法解析ソフトADINA(登録商標、商品名)を用いて行った。図8〜図11では、0〜1.8%の範囲の塑性ひずみ振幅を11段階の濃淡で示しており、濃度が大きいほど塑性ひずみ振幅が大きいことを意味している。なお図中の破線は、ゲートランナー36−1〜36−3の縁部を示しており、即ち一対の境界線AR,ALのそれぞれの位置を示している。図8〜図11において、破線で2辺又は3辺を囲まれた矩形の内部の領域等には、上面電極31が存在するが、図示をしていない。
【0036】
シミュレーションでは、上面電極31の材料をAl−Si、厚さを5μmとし、鍍金層33−1〜33−6の材料をNi、厚さを4.5μmとした。また、はんだ部25の材料をSn−0.7Cu、厚さを100μmとすることにより、0.2%耐力を低く設定している。金属配線板60の材料はCu(具体的にはC1020−1/2H、線膨張係数は16.7×10−6/℃)、厚さを1.0mm、溝部66−1〜66−3の深さD1は0.5mmとした。絶縁膜34の幅dを260μmとした。以上の条件で、半導体チップ30の温度を1秒間で40℃から175℃まで加熱した後、9秒間で40℃まで冷却する際のひずみの差分を塑性ひずみ振幅として算出する。
【0037】
図8は、溝部66−1〜66−3の幅Dが0、即ち第1接合部61の接合面(下面)に溝部66−1〜66−3が設けられていない場合の上面電極31における塑性ひずみ振幅をシミュレーションした結果である。図8から、図8の中央部に上側の2つの頂部が面取りされた矩形(蒲鉾型)で示した第1接合部61の接合面の輪郭に沿って、上面電極31の塑性ひずみ振幅が大きくなっていることが分かる。平面視において、第1立ち上がり部62とゲートランナー36−2を挟む領域との間で、相対的に塑性ひずみ振幅が大きくなっている。特に、図8の蒲鉾型の輪郭において、右下に一点鎖線の円で示すゲートランナー36−2を挟む領域の塑性ひずみ振幅が大きく、その値は最大で約1.55%であった。ゲートランナー36−2と第1立ち上がり部62との間において、塑性ひずみ振幅は連続的に変化し、第1立ち上がり部62側で第2のピークをもっており、その値は約1.29%であった。
【0038】
図9は、溝部66−1〜66−3の幅Dが0.8mmである場合の上面電極31における塑性ひずみ振幅をシミュレーションした結果である。図8と同様に第1接合部61の接合面の輪郭に沿って塑性ひずみ振幅が大きくなっている。図9に示す蒲鉾型の輪郭において、右下の一点鎖線の円で囲んだ領域の塑性ひずみ振幅が最も大きく、その値は最大で約1.74%であった。本例でも、ゲートランナー36−2と第1立ち上がり部62との間において、塑性ひずみ振幅は連続的に変化し、第1立ち上がり部62側で第2のピークをもっており、その値は約1.23%であった。
【0039】
図10は、溝部66−1〜66−3の幅Dが1.3mmである場合の上面電極31における塑性ひずみ振幅をシミュレーションした結果である。図8及び図9と同様に第1接合部61の接合面の輪郭に沿って塑性ひずみ振幅が大きくなっている。図10に示す蒲鉾型の輪郭において、右下の一点鎖線の円で囲んだ領域の塑性ひずみ振幅が最も大きく、その値は最大で約1.54%であった。本例でも、ゲートランナー36−2と第1立ち上がり部62との間において、塑性ひずみ振幅は連続的に変化し、第1立ち上がり部62側で第2のピークをもっており、その値は約1.16%であった。
【0040】
図11は、溝部66−1〜66−3の幅Dが2.0mmである場合の上面電極31における塑性ひずみ振幅をシミュレーションした結果である。図8、図9及び図10と同様に第1接合部61の接合面の輪郭に沿って塑性ひずみ振幅が大きくなっている。図11に示す蒲鉾型の輪郭において、右下の一点鎖線の円で囲んだ領域の塑性ひずみ振幅が最も大きく、その値は最大で約1.29%であった。本例でも、ゲートランナー36−2と第1立ち上がり部62との間において、塑性ひずみ振幅は連続的に変化し、第1立ち上がり部62側で第2のピークをもっており、その値は約1.07%であった。
【0041】
図12は、図8〜図11のそれぞれの場合の塑性ひずみ振幅を示すグラフである。横軸は、絶縁膜34の幅方向における端部及び溝部66−1〜66−3の幅方向における端部の間の距離を、縦軸は、塑性ひずみ振幅を示す。丸印(〇)は、ゲートランナー36−2を挟む領域における最大(第1のピーク)の振幅を、四角印(□)は、第1立ち上がり部62側の第2のピークでの振幅を、それぞれ示す。図8の溝部66−1〜66−3が設けられていない場合のデータを距離(横軸)を0mmとしてプロットした。塑性ひずみ振幅は、ゲートランナー36−2を挟む領域の、特に、絶縁膜34と鍍金層33−2,33−3の境界線を含む領域において最大値をとっている。
【0042】
このように、溝部66−1〜66−3の幅Dが大きくなり、絶縁膜34と溝部66−1〜66−3との間の距離が大きくなるほど、上面電極31における塑性ひずみ振幅の最大値が小さくなることが確認された。また、第1立ち上がり部62側の塑性ひずみ振幅も、溝部66−1〜66−3が設けられ、溝部66−1〜66−3の幅Dが大きくなるほど、小さくなることが確認された。
【0043】
図7の断面図では、絶縁膜34の幅方向における縁部は、絶縁膜34の延伸方向に沿う縁部であり、一対の境界線AR,ALのそれぞれの位置に概ね一致する。以下、絶縁膜34の縁部の位置をAR、ALで示すことがある。溝部66−1〜66−3の幅方向における端部とは、図7に示した溝部66−1の構造の縁部BR,BLに対応する溝部66−1〜66−3の延伸方向に沿う縁部である。図12の横軸の「距離」とは、図7に示した溝部66−1の構造において定義される絶縁膜34の右側の縁部と溝部66−1の右側の縁部BRとの半導体チップ30の主面に平行方向(X軸方向)の距離CRを意味する。同様に「距離」は、絶縁膜34の左側の縁部と溝部66−1の左側の縁部BLと半導体チップ30の主面に平行方向の距離CLを意味する。以下においてすべての溝部66−1〜66−3の縁部を包括的に定義する場合は「縁部B」と総称することにする。即ち、図12の横軸の距離は、図6に示した平面パターンにおいては、絶縁膜34の縁部と溝部66−1〜66−3の縁部Bとの最短距離C=CR,CLを意味する。
【0044】
図12における点a1は、図9の場合、即ち金属配線板60が幅0.8mmの溝部66−1〜66−3を有する場合の距離C=CR,CL(0.27mm、図7参照)と、上面電極31の塑性ひずみ振幅の最大値とを示す。点a2は、図10の場合、即ち金属配線板60が幅1.3mmの溝部66−1〜66−3を有する場合の距離C(0.52mm)と、上面電極31の塑性ひずみ振幅の最大値とを示す。点a3は、図11の場合、即ち金属配線板60が幅2.0mmの溝部66−1〜66−3を有する場合の距離C(0.87mm)と、上面電極31の塑性ひずみ振幅の最大値とを示す。なお、線eは、図8の場合、即ち金属配線板60が溝部66−1〜66−3を有しない場合の上面電極31の塑性ひずみ振幅の最大値を示す。
【0045】
一般に塑性ひずみ振幅ΔεPは、式(1)で示したマンソン・コフィン則に従う:
ΔεP×Nfb=c …(1)
但し、Nfは疲労寿命、b,cは材料による定数である。式(1)によれば、疲労寿命を延ばすためには、塑性ひずみ振幅を小さくすることが必要となる。
【0046】
図12に示すように、距離Cは、概ね0.5mm以下のとき、金属配線板60が溝部66−1〜66−3を有しない場合と比べて、塑性ひずみ振幅の最大値が増大することが見込まれる。これについて、以下のようなメカニズムを推定している。第1接合部61の接合面の輪郭に沿った箇所は塑性ひずみ振幅が大きくなることが図8〜図11から読み取れる。そうすると、溝部66−1〜66−3の形成により溝部66−1〜66−3の縁部BL及びBRも第1接合部61の接合面の輪郭とみなすことができ、その直下は塑性ひずみが大きくなる。したがって、境界線ALと縁部BL、及び境界線ARと縁部BRの距離が近い場合は、溝部66−1〜66−3を有しない場合よりも境界線ALおよびARの塑性ひずみ振幅が大きくなる。これが図12で距離Cが0mmよりも点a1の方が大きくなるメカニズムと推定している。一方で、上面電極31の塑性ひずみ振幅は、はんだ部25の厚さに反比例して変化することが分かっている。このため、距離Cが0.5mm以上となるように金属配線板60を配置することにより、一対の境界線AR,ALのそれぞれの近傍におけるはんだ部25の厚さを確保することができる。かつ、距離Cを十分に確保しているために、縁部BL及びBRの影響は小さい。この結果、上面電極31の塑性ひずみ振幅を低減することができる。なお、距離Cの上限は、例えば台地部67−1〜67−6が鍍金層33−1〜33−6との接合に必要な面積を確保される程度とすることができる。
【0047】
図12に示す特性は、はんだ部25の組成により変化し得る。しかしながら前述のように、上面電極31の塑性ひずみ振幅は、はんだ部25の厚さに反比例して変化する。はんだ部25の厚さは、絶縁膜34の縁部と溝部66−1〜66−3の縁部Bとの距離Cとして考えることが可能である。このため、はんだ部25の組成が変化したとしても、図12に示す距離に対する塑性ひずみ振幅の特性は、概ね上下にシフトすることが見込まれる。よって、溝部66−1〜66−3は、縁部Bと絶縁膜34との距離Cが0.5mm以上となるように配置されることにより、上面電極31の塑性ひずみ振幅を低減可能と考えられる。
【0048】
本発明の半導体装置によれば、上面電極31の上面方向から見た平面パターンにおいて、一対の境界線AR,ALのそれぞれの走行位置が、溝部66−1〜66−3の領域に内包されている。ここで、既に述べたとおり、境界線AR,ALのそれぞれは、絶縁膜34の縁部と、対応する鍍金層33−1〜33−6の端部とが上面電極31の上面上で共存する三重境界線である。このため、図7に示すように一対の境界線AR,ALに挟まれた領域の直上において、はんだ部25の厚さT1が、鍍金層33−1〜33−6の中央部の真上における厚さT2よりも厚くなる。このため、金属配線板60から受ける力に対する上面電極31−1の応力が、溝部66−1内のはんだ部25により緩和される。よって、上面電極31−1の塑性ひずみ振幅を低減することができ、半導体装置の寿命を延ばすことができる。
【0049】
なお、ガードリング35上の絶縁膜の端部と鍍金層33−1〜33−6の端部との境界においても、同様に上面電極31の上面において、ガードリング35上の絶縁膜の端部と鍍金層33−1〜33−6の端部の物性の異なる3種の材料が線状に共存する境界線が存在する。このため、ガードリング35上の絶縁膜の端部と鍍金層33−1〜33−6の端部との境界線上に第1接合部61が位置する場合には、境界線上のはんだ部25の厚さが確保できるように、第1接合部61の下面に溝部が設けられていてもよい。
【0050】
(その他の実施形態)
のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0051】
例えば、溝部66−1〜66−3は、ゲートランナー36−1〜36−3に対応して設けられる他に余計に設けられていてもよい。溝部66−1〜66−3は、少なくとも一対の境界線AR,ALの走行位置に対応して設けられればよく、寸法、配置及び数は一対の境界線AR,ALの平面パターンによって適宜決定されればよい。
【0052】
その他、の実施形態及び各変形例において説明される各構成を任意に応用した構成等、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲はの説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0053】
10 冷却器
11 積層基板
13 絶縁基板
14 第1回路パターン層
15 第2回路パターン層
16 第3回路パターン層
20 ケース
21 封止樹脂
22〜25 はんだ部
28 下面電極
29 半導体基板
30 半導体チップ
31,31−1,31−2 上面電極
32 配線層
33−1〜33−6 鍍金層
34 絶縁膜
35 ガードリング
36−1〜36−3 ゲートランナー
39 電極パッド
60 金属配線板
61 第1接合部
62 第1立ち上がり部
63 接続部
64 第2立ち上がり部
65 第2接合部
66−1〜66−3 溝部
67−1〜67−6 台地部
100 半導体装置
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【国際調査報告】

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