特表-19027008IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年2月7日
【発行日】2020年8月6日
(54)【発明の名称】保持部材および採光装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20200710BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20200710BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20200710BHJP
   F21V 9/08 20180101ALI20200710BHJP
   F21V 5/02 20060101ALI20200710BHJP
   F21S 11/00 20060101ALI20200710BHJP
   F21V 9/06 20180101ALI20200710BHJP
【FI】
   E06B5/00 D
   E06B9/24 E
   G02B5/00 A
   F21V9/08 400
   F21V5/02 100
   F21V5/02 300
   F21S11/00 300
   F21V9/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】34
【出願番号】特願2019-534584(P2019-534584)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年8月2日
(31)【優先権主張番号】特願2017-150823(P2017-150823)
(32)【優先日】2017年8月3日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 康
(72)【発明者】
【氏名】菅野 透
(72)【発明者】
【氏名】西中 俊平
【テーマコード(参考)】
2H042
【Fターム(参考)】
2H042AA03
2H042AA08
2H042AA33
(57)【要約】
保持部材は、少なくとも一部が可視光透過性を有し、弾性変形可能な材料で構成され、可視光調整フィルムを収納する収納部材と、収納部材の窓面に対向する面の少なくとも一部に設けられ、収納部材を窓面に貼合する第1貼合部と、を備える。収納部材は、窓面に対向して設けられる第1平面部と、第1平面部に対して窓面と反対側に設けられ、第1平面部と略平行に配置された第2平面部と、第1平面部と第2平面部との間において可視光調整フィルムを収納する第1空隙部と、可視光調整フィルムを出し入れするための出入口と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光調整フィルムを収納した状態で窓面に保持するための保持部材であって、
少なくとも一部が可視光透過性を有し、弾性変形可能な材料で構成され、前記可視光調整フィルムを収納する収納部材と、
前記収納部材の前記窓面に対向する面の少なくとも一部に設けられ、前記収納部材を前記窓面に貼合する第1貼合部と、
を備え、
前記収納部材は、前記窓面に対向して設けられる第1平面部と、前記第1平面部に対して前記窓面と反対側に設けられ、前記第1平面部と略平行に配置された第2平面部と、前記第1平面部と前記第2平面部との間において前記可視光調整フィルムを収納する第1空隙部と、前記可視光調整フィルムを出し入れするための出入口と、を備えた、保持部材。
【請求項2】
前記収納部材は、前記可視光透過性以外の特定機能を有する、請求項1に記載の保持部材。
【請求項3】
前記特定機能は、可視域および非可視域のうちの少なくとも一部の波長の光の透過量を減少させる機能である、請求項2に記載の保持部材。
【請求項4】
前記特定機能は、反射防止機能もしくは防眩機能である、請求項2に記載の保持部材。
【請求項5】
前記特定機能は、撥水機能、防汚機能、防傷機能、防炎機能のいずれかである、請求項2に記載の保持部材。
【請求項6】
前記特定機能は、前記第1平面部および前記第2平面部の前記第1空隙部に対向する面に施された易滑機能である、請求項2に記載の保持部材。
【請求項7】
前記収納部材は、前記出入口の一部に設けられた切り欠き部をさらに備えた、請求項1に記載の保持部材。
【請求項8】
前記収納部材は、前記可視光調整フィルムを所定の向きに収納するための位置決め部をさらに備えた、請求項1に記載の保持部材。
【請求項9】
前記第1貼合部は、前記窓面に対向する前記収納部材の外面の全域に設けられている、請求項1に記載の保持部材。
【請求項10】
前記第1貼合部は、可視域および非可視域のうちの少なくとも一部の波長の光の透過を抑制する機能を有する、請求項9に記載の保持部材。
【請求項11】
前記第2平面部は、前記第1平面部の外側に張り出した張出部と、前記張出部の前記窓面に対向する側の面に設けられた第2貼合部と、をさらに備えた、請求項1に記載の保持部材。
【請求項12】
前記第2平面部は、布、不織布、紙のいずれかで構成されている、請求項1に記載の保持部材。
【請求項13】
前記収納部材は、前記第2平面部に対して前記第1平面部と反対側に設けられ、前記第2平面部と略平行に配置された第3平面部と、前記第2平面部と前記第3平面部との間において前記可視光調整フィルムとは異なる光学フィルムを収納する第2空隙部と、をさらに備えた、請求項1に記載の保持部材。
【請求項14】
前記第1平面部と前記第2平面部とは、一体形成された筒状部材で構成されている、請求項1に記載の保持部材。
【請求項15】
前記第1平面部と前記第2平面部とは、周縁部が互いに接着された別体の2枚の板状部材で構成されている、請求項1に記載の保持部材。
【請求項16】
請求項1から請求項15までのいずれか一項に記載の保持部材と、
前記保持部材に保持された前記可視光調整フィルムとしての採光フィルムと、
を備えた、採光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明のいくつかの態様は、保持部材および採光装置に関する。
本願は、2017年8月3日に、日本に出願された特願2017−150823号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
建築物の窓等を通して太陽光を室内に採り込むための採光装置が、特許文献1に開示されている。下記の特許文献1には、光透過性を有する複数の突起部からなる採光部が基材の一面に設けられた第1採光部と、光散乱シートからなる第2採光部と、を備えた採光部材が開示されている。特許文献1には、採光部材を窓に設置する際には、採光部材の複数の採光部が形成された側の面の全域が接着層を介して窓ガラスに貼り付けられる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/002585号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の採光部材を窓に設置した際、採光部の先端部分が接着層に埋め込まれることによって採光機能が低下する、という問題があった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記の課題を解決するためになされたものであり、所定の機能を低下させることなく、可視光調整フィルムを窓面に保持することができる保持部材を提供することを目的の一つとする。また、上記の保持部材と採光フィルムとを備えた採光装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの態様の保持部材は、可視光調整フィルムを収納した状態で窓面に保持するための保持部材であって、少なくとも一部が可視光透過性を有し、弾性変形可能な材料で構成され、前記可視光調整フィルムを収納する収納部材と、前記収納部材の前記窓面に対向する面の少なくとも一部に設けられ、前記収納部材を前記窓面に貼合する第1貼合部と、を備えている。前記収納部材は、前記窓面に対向して設けられる第1平面部と、前記第1平面部に対して前記窓面と反対側に設けられ、前記第1平面部と略平行に配置された第2平面部と、前記第1平面部と前記第2平面部との間において前記可視光調整フィルムを収納する第1空隙部と、前記可視光調整フィルムを出し入れするための出入口と、を備えている。
【0007】
本発明の一つの態様の保持部材において、前記収納部材は、前記可視光透過性以外の特定機能を有していてもよい。
【0008】
本発明の一つの態様の保持部材において、前記特定機能は、可視域および非可視域のうちの少なくとも一部の波長の光の透過量を減少させる機能であってもよい。
【0009】
本発明の一つの態様の保持部材において、前記特定機能は、反射防止機能もしくは防眩機能であってもよい。
【0010】
本発明の一つの態様の保持部材において、前記特定機能は、撥水機能、防汚機能、防傷機能、防炎機能のいずれかであってもよい。
【0011】
本発明の一つの態様の保持部材において、前記特定機能は、前記第1平面部および前記第2平面部の前記第1空隙部に対向する面に施された易滑機能であってもよい。
【0012】
本発明の一つの態様の保持部材において、前記収納部材は、前記出入口の一部に設けられた切り欠き部をさらに備えていてもよい。
【0013】
本発明の一つの態様の保持部材において、前記収納部材は、前記可視光調整フィルムを所定の向きに収納するための位置決め部をさらに備えていてもよい。
【0014】
本発明の一つの態様の保持部材において、前記第1貼合部は、前記窓面に対向する前記収納部材の外面の全域に設けられていてもよい。
【0015】
本発明の一つの態様の保持部材において、前記第1貼合部は、可視域および非可視域のうちの少なくとも一部の波長の光の透過を抑制する機能を有していてもよい。
【0016】
本発明の一つの態様の保持部材において、前記第2平面部は、前記第1平面部の外側に張り出した張出部と、前記張出部の前記窓面に対向する側の面に設けられた第2貼合部と、をさらに備えていてもよい。
【0017】
本発明の一つの態様の保持部材において、前記第2平面部は、布、不織布、紙のいずれかで構成されていてもよい。
【0018】
本発明の一つの態様の保持部材において、前記収納部材は、前記第2平面部に対して前記第1平面部と反対側に設けられ、前記第2平面部と略平行に配置された第3平面部と、前記第2平面部と前記第3平面部との間において前記可視光調整フィルムとは異なる光学フィルムを収納する第2空隙部と、をさらに備えていてもよい。
【0019】
本発明の一つの態様の保持部材において、前記第1平面部と前記第2平面部とは、一体形成された筒状部材で構成されていてもよい。
【0020】
本発明の一つの態様の保持部材において、前記第1平面部と前記第2平面部とは、周縁部が互いに接着された別体の2枚の板状部材で構成されていてもよい。
【0021】
本発明の一つの態様の採光装置は、本発明の一つの態様の保持部材と、前記保持部材に保持された前記可視光調整フィルムとしての採光フィルムと、を備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一つの態様によれば、所定の機能を低下させることなく、可視光調整フィルムを窓面に保持することができる保持部材を実現することができる。また、本発明の一つの態様によれば、上記の保持部材を備えた採光装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態の採光装置の斜視図である。
図2図1のII−II線に沿う断面図である。
図3】保持部材の正面図である。
図4図3のIV−IV線に沿う断面図である。
図5】保持部材を窓に設置した状態を上から観察した窓の断面図である。
図6A】保持部材の製造プロセスの一工程を示す図である。
図6B図6Aの続きである。
図6C図6Bの続きである。
図6D図6Cの続きである。
図7】比較例の採光装置を示す断面図である。
図8】本発明者らが試作した採光装置の評価方法を説明するための模式図である。
図9】本実施形態の採光装置の採光特性を示すグラフである。
図10】比較例の採光装置の採光特性を示すグラフである。
図11】採光フィルムの第1変形例を示す断面図である。
図12】採光フィルムの第2変形例を示す断面図である。
図13】採光フィルムの第3変形例を示す断面図である。
図14】採光フィルムの第4変形例を示す断面図である。
図15】採光フィルムの第5変形例を示す斜視図である。
図16】異方性拡散層の作用を説明するための図である。
図17】第2実施形態の保持部材の正面図である。
図18図17のXVIII−XVIII線に沿う断面図である。
図19】第3実施形態の採光装置の断面図である。
図20】第4実施形態の採光装置の正面図である。
図21図20のXXI−XXI線に沿う断面図である。
図22】第5実施形態の採光装置の正面図である。
図23】第6実施形態の採光装置の正面図である。
図24】第7実施形態の採光装置の正面図である。
図25】第8実施形態の採光装置の正面図である。
図26】第9実施形態の採光装置の断面図である。
図27】第10実施形態の採光装置の断面図である。
図28】第11実施形態の採光装置の正面図である。
図29】採光装置を設置した部屋の断面図である。
図30】部屋の天井を示す平面図である。
図31】採光装置により室内に採光された光(自然光)の照度と、室内照明装置による照度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1図10を用いて説明する。
第1実施形態では、可視光調整フィルムとしての採光フィルムを備えた採光装置の一例を挙げる。本実施形態の採光装置は、例えば窓面に設置され、太陽光を室内の天井方向に採り入れるために用いられる。
図1は、第1実施形態の採光装置の斜視図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。図3は、保持部材の正面図である。図4は、図3のIV−IV線に沿う断面図である。図5は、保持部材を窓に設置した状態を上から観察した窓の断面図である。
【0025】
以下の説明において、採光装置の各部の位置関係(上下、左右、前後)については、室内に位置する使用者から見た位置関係(上下、左右、前後)に基づき、特に説明がない限り、図面においても、採光装置の各部の位置関係は、紙面における位置関係と一致するものとする。
また、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素により寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0026】
図1に示すように、採光装置10は、保持部材11と、保持部材11に保持された採光フィルム12と、を備える。保持部材11は、採光フィルム12を収納した状態で窓面13に保持する。
【0027】
以下、保持部材11について説明する。
図2図4に示すように、保持部材11は、収納部材15と、貼合部16(第1貼合部)と、を備えている。収納部材15は、可視光波長域で光透過性を有し、弾性変形可能な樹脂製のシート、不織布、紙などで構成されており、内部に採光フィルム12を収納する。収納部材15を構成する樹脂材料としては、例えばアクリル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、ビニル系ポリマー、セルロース系ポリマー、アミド系ポリマー、フッ素系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シリコーン系ポリマー、イミド系ポリマー等を有する光透過性基材が用いられる。具体的には、例えばトリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、シクロオレフィンポリマー(COP)、アクリル(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)等が挙げられる。
【0028】
貼合部16は、収納部材15の窓面13に対向する外面の全域に設けられている。貼合部16は、収納部材15を窓面13に貼合する粘着層で構成されている。
【0029】
収納部材15は、第1平面部18と、第2平面部19と、空隙部20(第1空隙部)と、出入口21と、切り欠き部22と、位置決め部23と、を備えている。
【0030】
収納部材15は、互いに略平行に設けられた2つの平面部18,19を有する。以下、2つの平面部18,19のうち、窓面13に対向して設けられる平面部を第1平面部18と称する。第1平面部18に対して窓面13と反対側(室内側)に設けられ、第1平面部18と略平行に配置された平面部を第2平面部19と称する。本実施形態の場合、第1平面部18と第2平面部19とは、一体形成された筒状部材で構成されている。
【0031】
空隙部20は、第1平面部18と第2平面部19との間において採光フィルム12を収納する収納空間となる箇所である。図4に示すように、採光フィルム12が収納部材15に収容されていない状態において、第1平面部18と第2平面部19とは互いに接触する程度に接近し、空隙部20は非常に狭まった状態である。
【0032】
ところが、収納部材15が弾性変形可能な樹脂シートで構成されているため、図2に示すように、採光フィルム12が収納部材15に収容された状態では、採光フィルム12は、第1平面部18と第2平面部19との間に開いた空隙部20に収容され、第1平面部18と第2平面部19とによって挟み込まれた状態となる。この構成により、収納部材15は、採光フィルム12を窓面13に対して略平行な姿勢で保持することができる。
【0033】
図1に示すように、出入口21は、使用者が採光フィルム12を出し入れする際に用いられる。図3に示すように、収納部材15を正面から見た形状は長方形であり、出入口21は長方形のいずれの辺に設けられていてもよいが、本実施形態では左辺に沿って設けられている。
【0034】
図3に示すように、切り欠き部22は、出入口21の一部に設けられている。詳細には、切り欠き部22は、第2平面部19の左辺における出入口21の上下方向の略中央の一部が半円状に切り欠かれたことにより形成されている。採光フィルム12を収納部材15に収納した状態においては、採光フィルム12の一部が切り欠き部22から外部に露出する。これにより、使用者は、切り欠き部22から露出した採光フィルム12に指を掛けることにより、採光フィルム12を出し入れしやすい。ただし、切り欠き部22は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0035】
図3に示すように、位置決め部23は、収納部材15の出入口21とは反対側(採光フィルム12の挿入方向の奥側)の下部に設けられ、空隙部20が三角形状に閉じた部分である。これにより、位置決め部23には、採光フィルム12が挿入されないようになっている。ただし、位置決め部23は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0036】
保持部材11の寸法は、窓面13に設置する採光フィルム12の寸法に合わせて適宜設定される。また、保持部材11の厚さは、採光フィルム12を収納した状態で10mm以下である。したがって、図5に示すように、引き違い窓25を構成する2枚の窓面13A,13Bに採光装置10がそれぞれ設置されていても、窓面13A,13Bを支障なく開閉することができる。
【0037】
また、収納部材15もしくは貼合部16は、可視光透過性以外の特定の機能を有していてもよい。特定の機能は、可視域および非可視域のうちの少なくとも一部の波長域の光の透過量を減少させる機能であり、例えば紫外線吸収機能、紫外線反射機能等であってもよい。これにより、室内に進入する紫外線の量を減少させることができる。
【0038】
また、特定の機能は、第1平面部18および第2平面部19の空隙部20に対向する面、もしくは第2平面部19の室内側の面に施された反射防止機能もしくは防眩機能であってもよい。これにより、室内の使用者が眩しさを感じることが少なくなる。
【0039】
また、特定の機能は、各平面部18,19の空隙部20に対向する面もしくは第2平面部19の室内側の面に施された撥水機能、防汚機能、防傷機能、防炎機能のいずれかであってもよい。これにより、耐水性、防汚性、耐傷性、耐火性に優れた採光装置10を提供することができる。その他、第2平面部19の室内側の面にハードコート層、ダイヤモンドコート層等を形成し、強度を高めてもよい。
【0040】
また、特定の機能は、各平面部18,19の空隙部20に対向する面に施された易滑機能であってもよい。これにより、採光フィルム12の滑りが良くなり、採光フィルム12を出し入れしやすくなる。
【0041】
以下、上記構成の保持部材11の製造方法について説明する。
最初に、図6Aに示すように、インフレーション法等により、円筒状のフィルム27を作製する。インフレーション法では、押出機によって溶融された樹脂を円形ダイによって円筒状に成型し、連続したチューブ状に押し出す。この際、円筒の内部に空気が送風されることで樹脂が膨張し、所定の幅を有する円筒状のフィルム27となる。
【0042】
次に、図6Bに示すように、円筒状のフィルム27を押しつぶし、両端を折り曲げ加工する。このとき、ヒートシール法等を用いてフィルム27の折り曲げた両端の縁を融着し、強度を高めてもよい。
【0043】
次に、図6Cに示すように、折り曲げ加工したフィルム27の片面に粘着層28を形成する。このとき、必要に応じて、フィルム27の他の面に対して、上記の種々の機能性を付与するためのコーティングを施してもよい。
【0044】
次に、図6Dに示すように、粘着層28を形成したフィルムを任意の寸法、任意の形状に切断線Sに沿って切断する。また、両端の切断面のうち、一方の切断面において切り欠き部22を形成するとともに、他方の切断面においてヒートシール法等を用いて縁を融着し、開口を閉じる。さらにヒートシール法等を用いて縁を三角形状に融着し、位置決め部23を形成する。
以上の工程により、保持部材11が作製される。
【0045】
次に、採光フィルム12について説明する。
図2に示すように、採光フィルム12は、光透過性を有する基材29と、基材29の第1面29aに設けられた光透過性を有する複数のプリズム構造体30と、を備えている。
また、隣り合うプリズム構造体30同士の間には、空隙部31が設けられている。本実施形態において、採光フィルム12は、複数のプリズム構造体30が設けられた基材29の第1面29aが室外側を向くように設置される。
【0046】
図1に示すように、採光フィルム12は、保持部材11の位置決め部23に対応して、右下の角部12cが斜めにカットされている。これにより、採光フィルム12が保持部材11に対して正しい向きに挿入された場合に、採光フィルム12が保持部材11の奥まで挿入される。つまり、使用者は、採光フィルム12が保持部材11の奥まで挿入されなかった場合に採光フィルム12が正しい向きでなかったことを認識できる。そのため、使用者は、採光フィルム12の上下、表裏を間違えることなく、採光フィルム12を正しい向きに挿入することができる。これにより、採光装置10は、所定の採光性能を発揮することができる。
【0047】
基材29としては、例えば熱可塑性ポリマー、熱硬化性樹脂、光重合性樹脂等の樹脂類から構成される光透過性基材が用いられる。アクリル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、ビニル系ポリマー、セルロース系ポリマー、アミド系ポリマー、フッ素系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シリコーン系ポリマー、イミド系ポリマー等を有する光透過性基材が用いられる。具体的には、例えばトリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリエーテルサルフォン(PES)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、アクリル(PMMA)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム等の光透過性基材が好ましく用いられる。本実施形態では、一例として厚さが100μmのPETフィルムが用いられる。基材29の全光線透過率は例えば90%以上が好ましい。これにより、十分な透明性が得られる。
【0048】
プリズム構造体30は、一方向(図2の紙面と垂直な方向)に直線状に細長く延びた部材であって、長手方向と直交する断面形状が例えば三角形の部材である。プリズム構造体30の長手方向は、基材29の1辺と平行である。複数のプリズム構造体30は、互いに平行に鉛直方向に並べて配置されている。
【0049】
図2に示すように、この例では、プリズム構造体30の断面形状は二等辺三角形である。プリズム構造体30の断面形状において、面30aと面30bとのなす角度と、面30aと面30cとのなす角度とはそれぞれ例えば65°である。また、プリズム構造体30は、面30bおよび面30cのうち、一方の面30bから入射した光を他方の面30cで反射することにより、太陽光を室内へ採光する機能を有する。この場合、面30cを、以下の説明では反射面30cと称する。
【0050】
プリズム構造体30は、例えばアクリル樹脂やエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の光透過性および感光性を有する有機材料で構成されている。また、これらの樹脂に重合開始剤、カップリング剤、モノマー、有機溶媒などを混合した透明樹脂製の混合物を用いることができる。さらに、重合開始剤は、安定剤、禁止剤、可塑剤、蛍光増白剤、離型剤、連鎖移動剤、他の光重合性単量体等のような各種の追加成分を含んでいてもよい。有機材料の全光線透過率は90%以上が好ましい。これにより、十分な透明性が得られる。
【0051】
窓面13を透過した太陽光Lが、プリズム構造体30に入射し、基材29から射出される際の経路はいくつか考えられるが、図2に典型的な経路を示す。
図2に示すように、プリズム構造体30は、反射面30cで反射した光Lを、基材29の第2面29b側から射出し、室内の水平方向もしくは天井に向けて進行させる。このプリズム構造体30の作用により、採光装置10は、太陽光Lを室内に採り入れて水平方向もしくは天井の方向に導く。
【0052】
空隙部31には、空気が存在している。したがって、空隙部31の屈折率は概ね1.0である。空隙部31の屈折率を1.0とすることにより、空隙部31とプリズム構造体30との界面における臨界角が最小となる。本実施形態の場合、空隙部31は、空気からなる空気層としたが、空隙部31は、例えば他の部材によって覆われて密閉空間とされた上で、窒素等の不活性ガスからなる不活性ガス層であってもよいし、減圧状態とされた減圧層であってもよい。
【0053】
この構成に代えて、互いに隣り合うプリズム構造体30の間の空間に他の低屈折率材料が充填されていてもよい。しかしながら、プリズム構造体30と空隙部31との界面の屈折率差は、空隙部31にいかなる低屈折率材料が存在する場合よりも空気が存在する場合に最大となる。したがって、隣り合うプリズム構造体30の間の空隙部31に空気が存在する場合は、スネル(Snell)の法則より、プリズム構造体30に入射した太陽光Lのうち、反射面30cで全反射する光の臨界角が最も小さくなる。
【0054】
以下、従来の採光フィルムの問題点と、本実施形態の採光装置10の作用、効果について説明する。
図7に示すように、従来の採光フィルム112は、粘着層116によって窓面13に直接貼合されていた。そのため、プリズム構造体130の先端が粘着層116に埋め込まれ、面130cのうち、粘着層116に埋め込まれた部分が反射面として機能しなくなっていた。その結果、反射面として機能しない部分を透過した光L1が採光フィルム112を直進し、床面側に進行する結果、室内の使用者が眩しさ(グレア)を感じる原因となっていた。
【0055】
これに対して、本実施形態の採光装置10の場合、図2に示すように、採光フィルム12が保持部材11に収納されることで窓面13に保持されるため、プリズム構造体30が粘着層に埋め込まれることがなく、反射面30cの全てが反射面として機能する。その結果、本実施形態の採光装置10によれば、採光フィルム12を直進し、床面側に進行する光を低減することができ、グレアを抑制できるとともに所望の採光特性を得ることができる。
【0056】
ここで、本発明者らは、上記構成の採光装置10と比較例の採光装置を実際に試作し、採光特性を評価した。なお、試作した採光フィルムは、断面が3角形の上記のプリズム構造体に代えて、断面が5角形のプリズム構造体を備えた採光フィルムである。
【0057】
評価方法は、図8に示すように、採光フィルム101のプリズム構造体102が形成された第1面101aの法線方向(水平方向)に対して光源104を斜め上方35°の角度に設置し、光源104から光を入射させ、第2面101b側に配置した受光機105によって光の強度を検出し、その検出値から透過率を算出した。この際、第2面101bの法線方向に対する受光機105の設置角度α(極角)を変えて光の強度を検出した。
【0058】
評価結果を図9および図10に示す。
図9および図10において、グラフの横軸は角度α[°]であり、縦軸は透過率[%]である。図9は本実施形態の採光装置の評価結果であり、図10は比較例の採光装置の評価結果である。また、角度αについては、基準となる水平面H(図8参照)に対して上側(天井側)を正の符号で示し、下側(床面側)を負の符号で示す。
【0059】
比較例の採光装置においては、図10に示すように、透過率曲線は、−35°の近傍に透過率のピークP1を有している。これは、プリズム構造体の反射面で反射することなく、採光フィルムを直進して床面を照らす光が多いことを示している。また、0°〜20°程度の範囲F1での透過率が低く、部屋の奥側に届く光が少ないことが判った。40°の近傍にある透過率のピークP2は、プリズム構造体の粘着層に埋まっていない部分の反射面において採光フィルムの設計通りの反射が生じていることを示している。
【0060】
これに対して、本実施形態の採光装置においては、図9に示すように、比較例の採光装置で生じていた−35°近傍の透過率のピークP1が存在せず、採光フィルムを直進して床面を照らす光が略存在しなくなったことが判った。また、0°〜20°の範囲に透過率のピークP3が現れ、比較例と比べて部屋の奥側に届く光が多くなったことが判った。また、40°近傍の透過率のピークP4も、0°〜20°の透過率のピークP3と同程度のレベルであり、天井側に向かう光も十分に存在していることが判った。
【0061】
以上説明したように、本実施形態によれば、所定の機能を低下させることなく、採光フィルム12を窓面に確実に保持することができる保持部材11を提供することができる。
また、この保持部材11の使用により、所望の採光特性を発揮できる採光装置10が実現できる。
【0062】
本実施形態の採光装置10は、さらに以下の効果を得ることができる。
一般に、採光フィルムは、窓面に平行に設置されることを前提としてプリズム構造体の形状等が設計される。そのため、プリズム構造体が粘着層に埋め込まれることがなかったとしても、採光フィルムが例えば窓面に対して傾いて設置された場合には、採光フィルムは所望の採光特性を発揮することができない。ところが、本実施形態の採光装置10では、収納部材15の各平面部18,19がある程度の弾性を有しており、採光フィルム12は2枚の平面部18,19に挟み込まれた状態で窓面13に対して略平行な姿勢で保持される。これにより、採光装置10は、所望の採光特性を十分に発揮することができる。
【0063】
また、使用状況に応じて採光フィルム12の交換、取り外しを行う場合に、交換作業や取り外し作業を容易に行うことができる。従来の採光フィルムは粘着層で窓面に直接貼合されているため、例えば採光フィルムを取り外す際に無理な力が加わると、プリズム構造体の変形や破損が生じるという不具合があった。これに対し、本実施形態の採光装置10においては、採光フィルム12を取り外したい場合には保持部材11から採光フィルム12を抜き取るだけでよく、採光フィルム12の変形や破損が生じるおそれがない。
【0064】
また、窓面13と採光フィルム12との間に空気層が介在すると、不要な界面反射が生じ、光の透過率が低下するという問題がある。この問題に対して、本実施形態の採光装置10においては、図2に示すように、貼合部16が収納部材15の外面の全域に設けられているため、窓面13と収納部材15との間に空気層が全く存在しない。これにより、界面反射に伴う光の透過率低下が抑えられ、光の利用効率を高めることができる。
【0065】
なお、本実施形態の保持部材11において、収納部材15は、第1平面部18と第2平面部19とが一体形成された筒状部材で構成されていたが、この構成に代えて、第1平面部18と第2平面部19とは、出入口を除く周縁部が互いに接着された別体の2枚のシート(板状部材)で構成されていてもよい。
【0066】
なお、本実施形態の採光フィルム12は、断面形状が三角形状のプリズム構造体30を備えていたが、プリズム構造体の断面形状は三角形状に限ることなく、以下の変形例の構成を採用することが可能である。また、以下の変形例に限らず、さらに他の断面形状を有するプリズム構造体を採用することができる。
【0067】
[採光フィルムの第1変形例]
図11は、採光フィルム33の第1変形例を示す断面図である。
図11に示すように、第1変形例の採光フィルム33は、基材29と、基材29の第1面29aに設けられた光透過性を有する複数のプリズム構造体34と、を備えている。採光フィルム33は、複数のプリズム構造体34が設けられた基材29の第1面29aが室外側を向くように設置される。
【0068】
プリズム構造体34の長手方向に垂直な断面形状は、5角形状である。プリズム構造体34において、面34aおよび面34bは主に入射面として機能し、面34cおよび面34dは主に光の反射面として機能する。基材29の第2面29bは、射出面として機能する。
【0069】
[採光フィルムの第2変形例]
図12は、採光フィルム36の第2変形例を示す断面図である。
図12に示すように、第2変形例の採光フィルム36は、基材29と、基材29の第2面29bに設けられた光透過性を有する複数のプリズム構造体37と、を備えている。採光フィルム36は、複数のプリズム構造体37が設けられた基材29の第2面29bが室内側を向くように設置される。
【0070】
プリズム構造体37の長手方向に垂直な断面形状は、4角形状である。プリズム構造体37において、面37cは反射面として機能し、面37aおよび面37bは射出面として機能する。基材29の第1面29aは、入射面として機能する。
【0071】
[採光フィルムの第3変形例]
図13は、採光フィルム48の第3変形例を示す断面図である。
図13に示すように、第3変形例の採光フィルム48は、基材49の内部に形成された複数のプリズム構造体49Aと、複数の屈折率変調部49Bと、を備えている。すなわち、本変形例の採光フィルム48において、複数のプリズム構造体49Aおよび複数の屈折率変調部49Bは、基材49の内部に埋め込まれており、表面に露出していない。複数の屈折率変調部49Bの各々は、基材の屈折率よりも低い屈折率を有する材料が充填された構成であってもよいし、空隙であってもよい。
【0072】
[採光フィルムの第4変形例]
図14は、採光フィルム39の第4変形例を示す断面図である。
図14に示すように、第4変形例の採光フィルム39は、基材29と、複数のプリズム構造体30と、アンチグレアコーティング層40と、を備えている。複数のプリズム構造体30は、基材29の第1面29aに設けられている。アンチグレアコーティング層40は、複数の光散乱粒子41を含有し、基材29の第2面29bに設けられている。採光フィルム39は、複数のプリズム構造体30が設けられた基材29の第1面29aが室外側を向くように設置される。
【0073】
第4変形例の採光フィルム39によれば、基材29の室内側にアンチグレアコーティング層40が設けられたことにより、室内の使用者が感じる眩しさを低減することができる。
【0074】
[採光フィルムの第5変形例]
図15は、採光フィルムの第5変形例を示す断面図である。
図15に示すように、第5変形例の採光フィルム43は、基材29と、複数のプリズム構造体30と、異方性拡散層44と、を備えている。複数のプリズム構造体30は、基材29の第1面29aに設けられている。異方性拡散層44は、基材29の第2面29bに設けられている。採光フィルム43は、複数のプリズム構造体30が設けられた基材29の第1面29aが室外側を向くように設置される。
【0075】
異方性拡散層44は、鉛直方向に延びる複数のシリンドリカルレンズ45が水平方向に並べられたレンチキュラーレンズから構成されている。この例では、各シリンドリカルレンズ45は、鉛直方向に直線状に延びているが、曲線状に湾曲していてもよい。もしくは、異方性拡散層は、このような規則的なシリンドリカルレンズ45に代えて、不規則な形状を有し、全体として概ね鉛直方向に延びる複数の凸部が設けられた層で構成されていてもよい。
【0076】
異方性拡散層は、図8に示した光強度の測定方法において、光源104を採光フィルム101の第1面101aの法線上に配置し、光を入射角0°で入射させた場合に、図16に示すように、透過光の拡散強度分布が採光フィルム面内の互いに直交する2方向で異なっており、強拡散方向(符号KSの曲線)と弱拡散方向(符号KWの曲線)とを有する。
例えば、上述の曲線状に湾曲したシリンドリカルレンズ、不規則な形状の複数の凸部等を備えた異方性拡散層の場合、図16に示したような拡散強度分布を示す。これに対し、鉛直方向に直線状に延びるシリンドリカルレンズを備えた異方性拡散層の場合、光の拡散は水平方向でのみ生じ、鉛直方向では生じない。本変形例では、いずれの異方性拡散層が用いられてもよい。
【0077】
第5変形例の採光フィルム43によれば、個々のシリンドリカルレンズ45が鉛直方向に延びる異方性拡散層44が設けられたことにより、光を水平方向(窓面の左右方向)に拡散させることができ、室内の明るさムラを低減することができる。
【0078】
[第2実施形態:採光装置]
以下、第2実施形態の採光装置について、図17図18を用いて説明する。
第2実施形態の採光装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、保持部材の構成が第1実施形態と異なる。したがって、採光フィルムの説明は省略し、保持部材についてのみ説明する。
図17は、第2実施形態の保持部材の正面図である。図18は、図17のXVIII−XVIII線に沿った保持部材の断面図である。
図17図18において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0079】
図17図18に示すように、保持部材51は、収納部材52と、第1貼合部53と、第2貼合部54と、を備えている。収納部材52は、可視光波長域で光透過性を有し、弾性変形可能な樹脂製のシートで構成されており、内部に採光フィルムを収納する。収納部材52は、第1平面部55と、第2平面部56と、空隙部57(第1空隙部)と、出入口58と、位置決め部23と、を備えている。
【0080】
第1実施形態の保持部材11においては、出入口21が収納部材15の左辺に沿って設けられていた。これに対して、本実施形態の保持部材51においては、出入口58が収納部材52の上辺に沿って設けられている。また、第2平面部56は、第1平面部55の上辺の出入口58よりも上方に張り出した張出部56tを備えている。
【0081】
第1貼合部53は、第1実施形態と同様、収納部材52の第1平面部55の窓面に対向する外面の全域に設けられている。第2貼合部54は、収納部材52の第2平面部56のうち、張出部56tの窓面に対向する側の面に設けられている。第1貼合部53と第2貼合部54とは、同種の粘着層で構成されている。ただし、第1貼合部53と第2貼合部54とは、例えば粘着力が互いに異なる異種の粘着層で構成されていてもよい。
保持部材51のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0082】
本実施形態においても、所定の機能を低下させることなく、採光フィルムを窓面に確実に保持することができる保持部材51が得られる、所望の採光特性を発揮できる採光装置が得られる、採光フィルムの交換、取り外しを容易に行うことができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0083】
さらに本実施形態の場合、出入口58が収納部材52の上辺に沿って設けられており、第1実施形態に比べて出入口58の広さが広いため、採光フィルムを出し入れしやすい。
ただし、収納部材52の上辺に出入口58が設けられている構成は、収納部材52の内部に出入口58から埃や水分が浸入しやすいという欠点を有している。ところが、第2平面部56の張出部56tには第2貼合部54が設けられているため、張出部56tによって出入口58を塞ぐように、保持部材51を窓面に設置することができる。これにより、埃や水分の浸入を防止することができる。また、第2平面部56の張出部56tに第2貼合部54が設けられたことによって、収納した採光フィルムの重みで出入口58が広がり、収納部材52が撓むことを抑えることができる。
【0084】
なお、本実施形態では、張出部56tは収納部材52の上辺側に設けられているが、収納部材52の左右のいずれかの辺に出入口58を設け、張出部56tを収納部材52の出入口が設けられた左右のいずれかの辺に設けてもよい。すなわち、張出部は、収納部材の側方に設けられていてもよく、第1平面部の外側に張り出していればよい。
【0085】
[第3実施形態:採光装置]
以下、第3実施形態の採光装置について、図19を用いて説明する。
第3実施形態の採光装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、保持部材の構成が第1実施形態と異なる。したがって、採光フィルムの説明は省略し、保持部材についてのみ説明する。
図19は、第3実施形態の採光装置の断面図である。
図19において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0086】
図19に示すように、本実施形態の採光装置60において、保持部材61は、収納部材62と、貼合部16(第1貼合部)と、を備えている。収納部材62は、第1平面部18と、第2平面部63と、空隙部20(第1空隙部)と、出入口(図示せず)と、を備えている。
【0087】
第1実施形態の保持部材11において、収納部材15は、第1平面部18と第2平面部19とが一体形成された筒状部材で構成されていた。これに対して、本実施形態の保持部材61において、収納部材62は、第1平面部18と第2平面部63とが別々のシート状の部材で構成されている。第1平面部18と第2平面部63とは、出入口を除く周縁部に設けられた接合部64によって接合されている。
【0088】
本実施形態の場合、第1平面部18は、第1実施形態と同様、(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)等の樹脂材料で構成されている。一方、第2平面部63は、布、不織布、紙等の繊維状材料で構成されており、光散乱性を有している。いずれの材料を選択するかによって光散乱性や意匠性を調整することができる。
保持部材61のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0089】
本実施形態においても、所定の機能を低下させることなく、採光フィルム12を窓面13に確実に保持することができる保持部材61が得られる、所望の採光特性を発揮できる採光装置60が得られる、採光フィルム12の交換、取り外しを容易に行うことができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0090】
さらに本実施形態の場合、第1平面部18と第2平面部63とが異種材料によって構成されるため、第1平面部18と第2平面部63とに要求される性能を満たす材料の選択の自由度を高められる。上記の性能とは、例えば光散乱特性、紫外線吸収性能、表面処理の容易性等である。特に布、不織布、紙等の繊維状材料を選択した場合、採光装置60は、光散乱性の向上とともに、意匠性の向上、部屋の雰囲気の向上等に寄与することができる。
【0091】
なお、本実施形態では、第1平面部18と第2平面部63とを異種材料で構成したが、第1平面部18と第2平面部63とを同一材料で構成してもよい。また、第1平面部18と第2平面部63を同一材料で構成した場合、第1平面部18と第2平面部63の表面加工、厚さ等を変えてもよい。
【0092】
[第4実施形態:採光装置]
以下、第4実施形態の採光装置について、図20図21を用いて説明する。
第4実施形態の採光装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、保持部材の構成が第1実施形態と異なる。したがって、採光フィルムの説明は省略し、保持部材についてのみ説明する。
図20は、第4実施形態の採光装置の断面図である。図21は、図20のXXI−XXI線に沿った採光装置の断面図である。
図20図21において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0093】
図20図21に示すように、本実施形態の採光装置70において、保持部材71は、収納部材72と、貼合部16(第1貼合部)と、を備えている。収納部材72は、第1平面部18と、第2平面部73と、空隙部20(第1空隙部)と、出入口21と、を備えている。
【0094】
本実施形態の保持部材71において、収納部材72は、第1平面部18と第2平面部73とが異種のシート状部材で構成されている。第1平面部18と第2平面部73とは、出入口21を除く周縁部に設けられた接合部64によって接合されている。
【0095】
本実施形態において、第3実施形態と同様、第1平面部18は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)等の樹脂材料で構成されている。一方、第2平面部73は、布、不織布、紙等の繊維状材料で構成されている。また、第2平面部73は、内部が刳り抜かれた複数の開口部73kを有している。開口部73kの形状、数、寸法等については、要求される性能に応じて適宜設定される。
保持部材71のその他の構成は、第3実施形態と同様である。
【0096】
本実施形態においても、所定の機能を低下させることなく、採光フィルム12を窓面13に確実に保持することができる保持部材71が得られる、所望の採光特性を発揮できる採光装置70が得られる、採光フィルム12の交換、取り外しを容易に行うことができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0097】
さらに本実施形態の場合、第2平面部73に開口部73kが設けられているため、第2平面部73が有する機能や特性を調整することができる。例えば開口部73kの数や大きさを調整することにより、光拡散性を調整することができる。また、開口部73kによって任意の模様や文字を表現してもよく、意匠性を付与することもできる。さらに、第2平面部73の一部を着色することにより、模様や文字を表現してもよい。
【0098】
[第5実施形態:採光装置]
以下、第5実施形態の採光装置について、図22を用いて説明する。
第5実施形態の採光装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、保持部材の構成が第1実施形態と異なる。したがって、採光フィルムの説明は省略し、保持部材についてのみ説明する。
図22は、第5実施形態の採光装置の正面図である。
図22において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0099】
第1実施形態の採光装置10において、保持部材11は1枚の採光フィルム12を収納する。これに対し、本実施形態の採光装置80において、保持部材81は2枚の採光フィルム12A,12Bを収納する。すなわち、図22に示すように、収納部材82は、2つの空隙部20A,20Bと、2つの出入口21A,21Bと、を備えている。収納部材82の上辺および下辺と中央部にヒートシール加工が施され、右側の空隙部20Aの右辺に沿って出入口21Aが設けられ、左側の空隙部20Bの左辺に沿って出入口21Bが設けられている。したがって、使用者は、右側の空隙部20Aに右側から採光フィルム12Aを入れることができ、左側の空隙部20Bには左側から採光フィルム12Bを入れることができる。
【0100】
本実施形態の場合、右側の空隙部20Aと左側の空隙部20Bとでは、位置決め部23の位置が左右逆であるため、右側の空隙部20Aに右側用の採光フィルム12Aを挿入し、左側の空隙部20Bには左側用の採光フィルム12Bを挿入する必要がある。そこで、空隙部20Aと左側の空隙部20Bとで、位置決め部の形状やサイズを変えてもよい。
保持部材81のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0101】
本実施形態においても、所定の機能を低下させることなく、採光フィルム12A,12Bを窓面13に確実に保持することができる保持部材81が得られる、所望の採光特性を発揮できる採光装置80が得られる、採光フィルム12A,12Bの交換、取り外しを容易に行うことができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0102】
さらに本実施形態の場合、保持部材81が2枚の採光フィルム12A,12Bを収納できる構成となっているため、例えば1枚の採光フィルムでは窓全体をカバーできないような大型の窓面に対しても対応が可能である。また、2枚の採光フィルム12A,12Bのうち、1枚の採光フィルムのみを交換したり、取り外したりすることもできるし、特性が互いに異なる採光フィルムを用いることもできる。
【0103】
[第6実施形態:採光装置]
以下、第6実施形態の採光装置について、図23を用いて説明する。
第6実施形態の採光装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、保持部材の構成が第1実施形態と異なる。したがって、採光フィルムの説明は省略し、保持部材についてのみ説明する。
図23は、第6実施形態の採光装置の正面図である。
図23において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0104】
本実施形態の採光装置90において、保持部材91は、6枚の採光フィルム12Aを収納する。図23に示すように、収納部材92は、6個の空隙部20Aと、6個の出入口21Aと、を備えている。各出入口21Aは、各空隙部20Aの右辺に沿ってそれぞれ設けられている。したがって、使用者は、全ての空隙部20Aに対して右側から採光フィルム12Aを入れることができる。
【0105】
本実施形態においても、所定の機能を低下させることなく、採光フィルム12Aを窓面13に確実に保持することができる保持部材91が得られる、所望の採光特性を発揮できる採光装置90が得られる、採光フィルム12Aの交換、取り外しを容易に行うことができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0106】
さらに本実施形態の場合、保持部材91が6枚の採光フィルム12Aを収納できるため、例えば1枚の採光フィルムでは窓全体をカバーできないような大型の窓面に対しても対応が可能である。また、6枚の採光フィルム12Aのうち、一部の採光フィルム12Aのみを交換したり、取り外したりすることもできる。
【0107】
[第7実施形態:採光装置]
以下、第7実施形態の採光装置について、図24を用いて説明する。
第7実施形態の採光装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、保持部材の構成が第1実施形態と異なる。したがって、採光フィルムの説明は省略し、保持部材についてのみ説明する。
図24は、第7実施形態の採光装置の正面図である。
図24において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0108】
本実施形態の採光装置95において、保持部材96は、第6実施形態と同様、6枚の採光フィルム12Aを収納することができる。図24に示すように、収納部材97は、6個の空隙部20Aと、6個の出入口21Cと、を備えている。各出入口21Cは、各空隙部20Aの上辺に沿ってそれぞれ設けられている。したがって、使用者は、全ての空隙部20Aに対して上側から採光フィルム12Aを入れることができる。
【0109】
本実施形態においても、所定の機能を低下させることなく、採光フィルム12Aを窓面13に確実に保持することができる保持部材96が得られる、所望の採光特性を発揮できる採光装置95が得られる、採光フィルム12Aの交換、取り外しを容易に行うことができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0110】
さらに、大型の窓面に対しても対応が可能である、一部の採光フィルム12Aのみの交換や取り外しが可能である、といった第5、第6実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0111】
[第8実施形態:採光装置]
以下、第8実施形態の採光装置について、図25を用いて説明する。
第8実施形態の採光装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、保持部材の構成が第1実施形態と異なる。したがって、採光フィルムの説明は省略し、保持部材についてのみ説明する。
図25は、第8実施形態の採光装置の正面図である。
図25において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0112】
本実施形態の採光装置65において、保持部材66は、3枚の採光フィルム12C,12Dを収納することができる。図25に示すように、収納部材67は、3個の空隙部20C,20Dと、3個の出入口21C,21Dと、を備えている。左側の2個の空隙部20Cについては、各出入口21Cは各空隙部20Cの左辺に沿ってそれぞれ設けられている。右側の1個の空隙部20Dについては、出入口21Cは空隙部20Dの右辺に沿って設けられている。したがって、使用者は、左側の2個の空隙部20Cに対して左側から採光フィルム12Cを入れることができ、右側の空隙部20Dに対して右側から採光フィルム12Dを入れることができる。
【0113】
本実施形態においても、所定の機能を低下させることなく、採光フィルム12C,12Dを窓面13に確実に保持することができる保持部材66が得られる、所望の採光特性を発揮できる採光装置65が得られる、採光フィルム12C,12Dの交換、取り外しを容易に行うことができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0114】
さらに本実施形態の場合、各空隙部20C,20Dの形状や寸法を適宜設計することによって、矩形以外の多様な形状を有する窓にも対応が可能である。また、一部の採光フィルム12C,12Dのみの交換や取り外しが可能である、といった第5〜第7実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0115】
[第9実施形態:採光装置]
以下、第9実施形態の採光装置について、図26を用いて説明する。
第9実施形態の採光装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、保持部材の構成が第1実施形態と異なる。したがって、採光フィルムの説明は省略し、保持部材についてのみ説明する。
図26は、第9実施形態の採光装置の断面図である。
図26において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0116】
図26に示すように、本実施形態の採光装置150において、保持部材151は、収納部材152と、貼合部16(第1貼合部)と、を備えている。収納部材152は、第1平面部18と、第2平面部19と、第3平面部47と、第1接合部64Aと、第2接合部64Bと、第1空隙部20Eと、第2空隙部20Fと、第1出入口21Eと、第2出入口21Fと、を備えている。
【0117】
本実施形態の収納部材152において、第1平面部18、第2平面部19、および第1空隙部20E(第1実施形態の空隙部20)に係る構成は、第1実施形態と同様である。
第3平面部47は、第2平面部19に対して第1平面部18とは反対側に設けられ、第2平面部19と略平行に配置されている。第2空隙部20Fは、第2平面部19と第3平面部47との間の空間であって、採光フィルム12とは異なる任意の光学フィルム154を収納する。第1空隙部20Eと第2空隙部20Fとは、第2平面部19を挟んで収納部材152の厚さ方向に設けられている。光学フィルム154としては、光拡散フィルム、意匠性フィルム等の種々のフィルムを適宜選択できる。
【0118】
第1平面部18と第2平面部19とは、第1出入口21Eを除く周縁部に設けられた第1接合部64Aによって接合されている。第2平面部19と第3平面部47とは、第2出入口21Fを除く周縁部に設けられた第2接合部64Bによって接合されている。
【0119】
第1平面部18、第2平面部19、および第3平面部47は、例えば同種の材料で構成されていてもよいし、異種の材料で構成されていてもよい。これらの平面部18,19,47が異種の材料で構成されている場合、第3実施形態と同様、光散乱性や意匠性を調整することができる。
【0120】
本実施形態においても、所定の機能を低下させることなく、採光フィルム12を窓面13に確実に保持することができる保持部材151が得られる、所望の採光特性を発揮できる採光装置150が得られる、採光フィルム12の交換、取り外しを容易に行うことができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0121】
さらに本実施形態の場合、採光フィルム12以外の光学フィルム154を収納するための第2空隙部20Fが設けられているため、採光特性にとって付加的な機能を光学フィルム154に担わせることができる。また、使用する採光フィルム12と光学フィルム154との組合せを変えて、光学特性を調整することができる。
【0122】
[第10実施形態:採光装置]
以下、第10実施形態の採光装置について、図27を用いて説明する。
第10実施形態の採光装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、保持部材の構成が第1実施形態と異なる。したがって、採光フィルムの説明は省略し、保持部材についてのみ説明する。
図27は、第10実施形態の採光装置の断面図である。
図27において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0123】
図27に示すように、本実施形態の採光装置160において、保持部材161は、収納部材162と、貼合部16(第1貼合部)と、を備えている。収納部材162は、第1平面部18と、第2平面部19と、第3平面部47と、第1接合部64Aと、第2接合部64Bと、第1空隙部20Eと、第2空隙部20Fと、第1出入口21Eと、第2出入口21Fと、を備えている。
【0124】
本実施形態の収納部材162の構成は、第9実施形態の収納部材152の構成と略同様である。第9実施形態の収納部材152では、第1平面部18、第2平面部19、および第3平面部47は、別体の3枚のシート状の部材で構成されていた。これに対して、本実施形態の収納部材162では、第1平面部18、第2平面部19、および第3平面部47は、折り曲げられた1枚のシート状の部材で構成されている。したがって、シート状部材の折り曲げ部分Mには、第1接合部64Aおよび第2接合部64Bが存在していない。
【0125】
本実施形態においても、所定の機能を低下させることなく、採光フィルム12を窓面13に確実に保持することができる保持部材161が得られる、所望の採光特性を発揮できる採光装置160が得られる、採光フィルム12の交換、取り外しを容易に行うことができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。また、採光フィルム12以外の光学フィルム154によって他の機能を付加することができる、等の第9実施形態と同様の効果が得られる。
【0126】
[第11実施形態:採光装置]
以下、第11実施形態の採光装置について、図28を用いて説明する。
第11実施形態の採光装置の基本構成は第1実施形態と同一であり、保持部材の構成が第1実施形態と異なる。したがって、採光フィルムの説明は省略し、保持部材についてのみ説明する。
図28は、第11実施形態の採光装置の正面図である。
図28において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0127】
図28に示すように、採光装置170は、複数の保持部からなる保持部材171と、保持部材171に保持された採光フィルム12と、を備える。すなわち、第1〜第10実施形態では、1枚の採光フィルムが一体の保持部材によって保持される形態を例示したが、本実施形態では、1枚の採光フィルム12が複数の保持部からなる保持部材171によって保持される形態を例示する。特に本実施形態では、1枚の採光フィルム12が4つの保持部171A〜171Dからなる保持部材171によって保持される例を挙げる。
【0128】
保持部材171は、水平方向に互いに距離をおいて配置された4つの保持部171A〜171Dから構成されている。言い換えると、本実施形態の保持部材171は、第1実施形態の保持部材を分割して一部の分割した保持部材を間引き、採光フィルム12の一部を露出させた構成を有する。採光フィルム12は、図28における保持部材171の右側から挿入される。以下、4つの保持部を右側から左側に向けて順に、第1保持部171A、第2保持部171B、第3保持部171C、第4保持部171Dと称する。
【0129】
第1保持部171A、第2保持部171Bおよび第3保持部171Cは、互いに同一の構成を有しており、これらの保持部171A〜171Cと第4保持部171Dとは、構成が異なる。第1保持部171A、第2保持部171Bおよび第3保持部171Cは、右辺と左辺とがともに出入口21となっている。第4保持部171Dは、右辺のみが出入口21となっており、左辺は閉じられている。また、第4保持部171Dの左下の角部には、位置決め部23が設けられている。
【0130】
第1保持部171A、第2保持部171B、第3保持部171Cおよび第4保持部171Dの構成材料は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。各保持部171A〜171Dの材料を異ならせることにより、窓面の位置に応じて採光装置170の光学特性を調整することができる。
【0131】
本実施形態においても、所定の機能を低下させることなく、採光フィルム12を窓面に確実に保持することができる保持部材171が得られる、所望の採光特性を発揮できる採光装置170が得られる、採光フィルム12の交換、取り外しを容易に行うことができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0132】
なお、保持部材171を構成する保持部の数、寸法、形状は、本実施形態の例に限らず、適宜変更が可能である。ただし、保持部の数が少なすぎたり、保持部の幅が狭すぎたりして、採光フィルムの露出部分が多くなり過ぎると、保持部材171が採光フィルム12を十分に保持できず、採光フィルム12が撓むおそれがある。したがって、保持部の数や寸法は、採光フィルム12が窓面に略平行に保持される程度に設定される必要がある。
【0133】
[照明システム]
図29は、採光システム2010を備えた部屋モデル2000を示す図であり、図30のJ−J’線に沿う断面図である。
図30は、部屋モデル2000の天井を示す平面図である。
【0134】
太陽光が導入される部屋2003の天井2003aを構成する天井材は、高い光反射性を有することが望ましい。図29および図30に示すように、部屋2003の天井2003aには、光反射性を有する天井材として、光反射性天井材2003Aが設置されている。光反射性天井材2003Aは、窓2002に設置された採光システム2010からの外光を室内の奥の方に導入することを促進する。光反射性天井材2003Aは、窓際の天井2003aに設置されている。具体的には、天井2003aの所定の領域E(窓2002から約3mの領域)に設置されている。
【0135】
光反射性天井材2003Aは、上述したように、いずれかの実施形態の採光装置からなる採光システム2010が設置された窓2002を介して室内に導入された太陽光を室奥側まで効率良く導く。採光システム2010から室内の天井2003aに向けて導入された太陽光は、光反射性天井材2003Aで反射され、向きを変えて室内の奥に置かれた机2005の机上面2005aを照らすことになり、当該机上面2005aを明るくする効果を発揮する。
【0136】
光反射性天井材2003Aは、拡散反射性であってもよいし、鏡面反射性であってもよいが、室内の奥に置かれた机2005の机上面2005aを明るくする効果と、室内に居る人にとって不快なグレア光を抑える効果を両立するために、両者の特性が適度に合わさっていることが好ましい。
【0137】
採光システム2010により室内に導入された光のうちの多くは天井に向かう。一般に、窓2002の近傍は光量が十分である場合が多い。そのため、上記のような採光システムと光反射性天井材2003Aとを併用することにより、窓付近の天井(領域E)に入射した光を、窓際に比べて光量の少ない室内の奥側に振り分けることができる。
【0138】
光反射性天井材2003Aは、例えばアルミニウム等の金属板に数十μm程度の凹凸によるエンボス加工を施したり、同様の凹凸を形成した樹脂基板の表面にアルミニウム等の金属薄膜を蒸着したりして作製することができる。あるいは、エンボス加工により形成される凹凸がより大きな周期の曲面で形成されていてもよい。
【0139】
さらに、光反射性天井材2003Aに形成するエンボス形状を適宜変えることにより、光の配光特性や室内での光の分布を制御することができる。例えば、室内の奥側に延在するストライプ状にエンボス加工を施した場合は、光反射性天井材2003Aで反射した光が、窓2002の左右方向(凹凸の長手方向に交差する方向)に拡がる。窓2002の大きさや向きが限られているような場合は、このような特性を利用して、光反射性天井材2003Aにより光を水平方向へ拡散させるとともに、部屋の奥側に向けて反射させることができる。
【0140】
採光システム2010は、部屋2003の照明システムの一部として用いられる。照明システムは、例えば、採光システム2010と、複数の室内照明装置2007と、これらの制御系と、天井2003aに設置された光反射性天井材2003Aと、を含む部屋全体の構成部材から構成される。
【0141】
部屋2003の窓2002には、採光システム2010が設置されている。窓の上部に採光システム2010が配置され、下部側に遮光部2008が設けられている。
【0142】
部屋2003には、複数の室内照明装置2007が、窓2002の左右方向(Y方向)および室内の奥行き方向(X方向)に格子状に配置されている。これら複数の室内照明装置2007は、採光システム2010と合わせて部屋2003の全体の照明システムを構成する。
【0143】
図29および図30に示すように、例えば、部屋2003の幅方向(窓2002の左右方向、Y方向)の長さLが18m、部屋2003の奥行き方向(X方向)の長さLが9mのオフィスの天井2003aを示す。ここでは、室内照明装置2007は、天井2003aの横方向(Y方向)および奥行き方向(X方向)に、それぞれ1.8mの間隔Pをおいて格子状に配置されている。より具体的には、50個の室内照明装置2007は、10行(Y方向)×5列(X方向)に配列されている。
【0144】
室内照明装置2007は、室内照明器具2007aと、明るさ検出部2007bと、制御部2007cと、を備える。室内照明装置2007は、室内照明器具2007aに明るさ検出部2007bと制御部2007cとが一体化された構成を有する。
【0145】
室内照明装置2007は、室内照明器具2007aおよび明るさ検出部2007bをそれぞれ複数ずつ備えていてもよい。ただし、明るさ検出部2007bは、各室内照明器具2007aに対して1個ずつ設けられる。明るさ検出部2007bは、室内照明器具2007aが照明する被照射面の反射光を受光して、被照射面の照度を検出する。ここでは、明るさ検出部200bにより、室内に置かれた机2005の机上面2005aの照度を検出する。
【0146】
室内照明装置2007に1個ずつ設けられた制御部2007cは、互いに接続されている。各室内照明装置2007は、互いに接続された制御部2007cにより、各々の明るさ検出部2007bが検出する机上面2005aの照度が一定の目標照度L0(例えば、平均照度:750lx)になるように、それぞれの室内照明器具2007aのLEDランプの光出力を調整するフィードバック制御を行っている。
【0147】
図31は、採光装置によって室内に採光された光(自然光)の照度と、室内照明装置による照度(照明システム)との関係を示すグラフである。図31において、縦軸は机上面の照度(lx)を示し、横軸は窓からの距離(m)を示す。また、図中の破線は、室内の目標照度を示す(●:採光装置による照度、△:室内照明装置による照度、◇:合計照度)。
【0148】
図31に示すように、採光システム2010により採光された光に起因する机上面照度は、窓の近傍ほど明るく、窓から遠くなるに従ってその効果は小さくなる。採光システム2010を適用した部屋では、昼間における窓からの自然採光により、このような部屋の奥行き方向への照度分布が生じる。そこで、採光システム2010は、室内の照度分布を補償する室内照明装置2007と併用して用いられる。
【0149】
室内天井に設置された室内照明装置2007は、それぞれの装置の下方の平均照度を明るさ検出部2007bにより検出し、部屋全体の机上面照度が一定の目標照度L0になるように調光制御されて点灯する。したがって、窓の近傍に設置されているS1列、S2列はほとんど点灯せず、S3列、S4列、S5列と部屋の奥側に向かうに従って出力を上げながら点灯される。結果として、部屋の机上面は自然採光による照明と室内照明装置2007による照明との双方で照らされ、部屋全体にわたって執務をする上で十分とされる机上面照度である750lx(「JIS Z9110 照明総則」の執務室における推奨維持照度)を実現することができる。
【0150】
以上述べたように、採光システム2010と照明システム(室内照明装置2007)とを併用することにより、室内の奥側まで光を届けることが可能となり、室内の明るさをさらに向上させることができ、部屋全体にわたって執務をする上で十分とされる机上面照度を確保することができる。したがって、季節や天気による影響を受けることなく、より一層安定した明るい光環境が得られる。
【0151】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態では、貼合部が第1平面部の窓面の対向する側の面の全域に設けられているが、貼合部は第1平面部の窓面の対向する側の面の少なくとも一部に設けられていてもよい。また、上記実施形態では、粘着層で構成された貼合部の例を挙げたが、帯電処理が施されることで静電吸着方式により窓面に貼合する貼合部であってもよい。静電吸着方式を用いた場合、保持部材を窓面から剥がした際に粘着材の残り等が発生しないため、採光装置を取り外した際の見栄えがよい。
【0152】
また、保持部材および採光装置を構成する各構成要素の数、形状、寸法、配置、材料等の具体的な記載については、上記実施形態で例示したものに限らず、適宜変更が可能である。
【0153】
また、上記実施形態では、本発明の一態様による保持部材を採光フィルムと組合せ、採光装置として使用する例を挙げたが、この例に代えて、保持部材を採光フィルム以外の光学フィルム、例えば光拡散フィルム、減光フィルター等と組み合わせて用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明の一態様は、太陽光などの外光を室内に採り入れるための採光装置に利用が可能である。
【符号の説明】
【0155】
10,60,65,70,80,90,95,150,160,170…採光装置、11,51,61,66,71,81,91,96,151,161,171…保持部材、12,12A,12B,12C,12D,33,36,39,43,48…採光フィルム(可視光調整フィルム)、13,13A,13B…窓面、15,52,62,67,72,82,92,97,152,162…収納部材、16…貼合部(第1貼合部)、18,55…第1平面部、19,56,63,73…第2平面部、20,20A,20B,20C,20D,20E,57…空隙部(第1空隙部)、21,21A,21B,21C,21D,58…出入口、21E…第1出入口、21F…第2出入口、22…切り欠き部、23…位置決め部、47…第3平面部、53…第1貼合部、54…第2貼合部、56t…張出部、154…光学フィルム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31

【手続補正書】
【提出日】2020年1月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光調整フィルムを収納した状態で窓面に保持するための保持部材であって、
少なくとも一部が可視光透過性を有し、弾性変形可能な材料で構成され、前記可視光調整フィルムを収納する収納部材と、
前記収納部材の前記窓面に対向する面の少なくとも一部に設けられ、前記収納部材を前記窓面に貼合する第1貼合部と、
を備え、
前記収納部材は、前記窓面に対向して設けられる第1平面部と、前記第1平面部に対して前記窓面と反対側に設けられ、前記第1平面部と略平行に配置された第2平面部と、前記第1平面部と前記第2平面部との間において前記可視光調整フィルムを収納する第1空隙部と、前記可視光調整フィルムを出し入れするための出入口と、を備え
前記第1平面部及び前記第2平面部は、矩形形状であって、
前記第1平面部及び前記第2平面部それぞれの四辺のうち対応する三辺が互いに結合されており、前記第1平面部及び前記第2平面部それぞれの四辺のうち対応する残りの一辺同士の間に設けられる隙間が前記出入口となっている
保持部材。
【請求項2】
前記収納部材は、前記可視光透過性以外の特定機能を有する、請求項1に記載の保持部材。
【請求項3】
前記特定機能は、可視域および非可視域のうちの少なくとも一部の波長の光の透過量を減少させる機能である、請求項2に記載の保持部材。
【請求項4】
前記特定機能は、反射防止機能もしくは防眩機能である、請求項2に記載の保持部材。
【請求項5】
前記特定機能は、撥水機能、防汚機能、防傷機能、防炎機能のいずれかである、請求項2に記載の保持部材。
【請求項6】
前記特定機能は、前記第1平面部および前記第2平面部の前記第1空隙部に対向する面に施された易滑機能である、請求項2に記載の保持部材。
【請求項7】
前記収納部材は、前記出入口の一部に設けられた切り欠き部をさらに備えた、請求項1に記載の保持部材。
【請求項8】
前記収納部材は、前記可視光調整フィルムを所定の向きに収納するための位置決め部をさらに備えた、請求項1に記載の保持部材。
【請求項9】
前記第1貼合部は、前記窓面に対向する前記収納部材の外面の全域に設けられている、請求項1に記載の保持部材。
【請求項10】
前記第1貼合部は、可視域および非可視域のうちの少なくとも一部の波長の光の透過を抑制する機能を有する、請求項9に記載の保持部材。
【請求項11】
前記第2平面部は、前記第1平面部の外側に張り出した張出部と、前記張出部の前記窓面に対向する側の面に設けられた第2貼合部と、
をさらに備えた、請求項1に記載の保持部材。
【請求項12】
前記第2平面部は、布、不織布、紙のいずれかで構成されている、請求項1に記載の保持部材。
【請求項13】
前記収納部材は、前記第2平面部に対して前記第1平面部と反対側に設けられ、前記第2平面部と略平行に配置された第3平面部と、前記第2平面部と前記第3平面部との間において前記可視光調整フィルムとは異なる光学フィルムを収納する第2空隙部と、をさらに備えた、請求項1に記載の保持部材。
【請求項14】
前記第1平面部と前記第2平面部とは、一体形成された筒状部材で構成されている、請求項1に記載の保持部材。
【請求項15】
前記第1平面部と前記第2平面部とは、周縁部が互いに接着された別体の2枚の板状部材で構成されている、請求項1に記載の保持部材。
【請求項16】
請求項1から請求項15までのいずれか一項に記載の保持部材と、
前記保持部材に保持された前記可視光調整フィルムとしての採光フィルムと、
を備えた、採光装置。
【国際調査報告】