特表-19004318IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2019-4318クラスター担持多孔質担体及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年1月3日
【発行日】2019年11月7日
(54)【発明の名称】クラスター担持多孔質担体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/40 20060101AFI20191011BHJP
   B01J 37/34 20060101ALI20191011BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20191011BHJP
   B01J 37/16 20060101ALI20191011BHJP
   B01J 29/48 20060101ALI20191011BHJP
   B01J 29/44 20060101ALI20191011BHJP
   B01J 29/70 20060101ALI20191011BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20191011BHJP
【FI】
   B01J29/40 AZAB
   B01J37/34
   B01J37/02 101C
   B01J37/16
   B01J29/48 A
   B01J29/44 A
   B01J29/70 A
   B01J29/76 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】55
【出願番号】特願2019-527002(P2019-527002)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年6月27日
(31)【優先権主張番号】特願2017-125685(P2017-125685)
(32)【優先日】2017年6月27日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】598014814
【氏名又は名称】株式会社コンポン研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(72)【発明者】
【氏名】武田 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】外山 南美樹
(72)【発明者】
【氏名】江頭 和宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊明
(72)【発明者】
【氏名】伊東 正篤
(72)【発明者】
【氏名】市橋 正彦
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA05A
4G169BA05B
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BC16A
4G169BC23A
4G169BC23B
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC33B
4G169BC40A
4G169BC42A
4G169BC43A
4G169BC43B
4G169BC51A
4G169BC51B
4G169BC54A
4G169BC59A
4G169BC62A
4G169BC62B
4G169BC71A
4G169BC71B
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169CA02
4G169CA03
4G169CA07
4G169CA08
4G169CA13
4G169CA14
4G169CC32
4G169DA05
4G169EA18
4G169EC25
4G169FB06
4G169FB13
4G169FB18
4G169FB43
4G169FB58
4G169FC04
4G169FC10
4G169ZA10A
4G169ZA10B
4G169ZA11B
4G169ZA14B
4G169ZC04
4G169ZD05
4G169ZF05A
(57)【要約】
改良された耐熱性及び/又は触媒活性を有するクラスター担持多孔質担体、及びその製造方法を提供する。
本発明のクラスター担持多孔質担体は、ゼオライト粒子のような多孔質担体粒子(20)、及び多孔質担体粒子の細孔内に担持された金属酸化物クラスター(16)を有する。また、クラスター担持多孔質担体を製造する本発明の方法は、分散媒(11)及び分散媒中に分散している多孔質担体粒子を含有している分散液を提供すること、及び分散液中において、正電荷を有する金属酸化物クラスター(16)を形成し、そして静電気的な相互作用によって、金属酸化物クラスターを多孔質担体粒子(20)の細孔内に担持させることを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質担体粒子、及び前記多孔質担体粒子の細孔内に担持された金属酸化物クラスターを有する、クラスター担持多孔質担体。
【請求項2】
前記多孔質担体粒子がゼオライト粒子である、請求項1に記載のクラスター担持多孔質担体。
【請求項3】
前記金属酸化物クラスターが、正電荷を有し、かつ静電気的な相互作用によって前記多孔質担体粒子の細孔内の酸点に担持されている、請求項1又は2に記載のクラスター担持多孔質担体。
【請求項4】
前記金属酸化物クラスターが、卑金属の酸化物のクラスター、又は卑金属を含有する複合金属酸化物のクラスターである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のクラスター担持多孔質担体。
【請求項5】
前記金属酸化物クラスターが、セリウム、ジルコニウム、マンガン、モリブデン、バナジウム、アルミニウム、及びそれらの組合せからなる群より選択される金属の酸化物のクラスター、又はこれらの金属を含む複合酸化物のクラスターである、請求項4に記載のクラスター担持多孔質担体。
【請求項6】
前記金属酸化物クラスターが、セリア−ジルコニア複合酸化物、アルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物、セリア−ジルコニア−酸化ランタン−酸化イットリウム複合酸化物、及びアルミナ−セリア−ジルコニア−酸化ランタン−酸化イットリウム複合酸化物からなる群より選択される、請求項5に記載のクラスター担持多孔質担体。
【請求項7】
前記多孔質担体粒子の細孔内に担持された触媒金属クラスターを更に有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のクラスター担持多孔質担体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の金属酸化物クラスター担持多孔質担体、及び金属クラスター担持多孔質担体が互いに混合されており、かつ
前記金属クラスター担持多孔質担体が、多孔質担体粒子、及び前記多孔質担体粒子の細孔内に担持された触媒金属クラスターを有する、
クラスター担持多孔質担体。
【請求項9】
前記触媒金属クラスターが、正電荷を有し、かつ静電気的な相互作用によって前記多孔質担体粒子の細孔内の酸点に担持されている、請求項7又は8に記載のクラスター担持多孔質担体。
【請求項10】
前記触媒金属クラスターが、ロジウム、パラジウム、白金、及び銅のクラスター及びそれらの組合せからなる群より選択される、請求項7〜9のいずれか一項に記載のクラスター担持多孔質担体。
【請求項11】
触媒として用いられる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のクラスター担持多孔質担体。
【請求項12】
排ガス浄化触媒として用いられる、請求項11に記載のクラスター担持多孔質担体。
【請求項13】
液相合成反応用、気相合成反応用、空気電池用、又は燃料電池反応用の触媒として用いられる、請求項11に記載のクラスター担持多孔質担体。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか一項に記載のクラスター担持多孔質担体、及び前記クラスター担持多孔質担体を担持している基材を有する、触媒装置。
【請求項15】
クラスター担持多孔質担体の製造方法であって、
前記クラスター担持多孔質担体が、多孔質担体粒子、及び前記多孔質担体粒子の細孔内に担持されている金属酸化物クラスターを有し、かつ
下記の工程を含む、クラスター担持多孔質担体の製造方法:
分散媒及び前記分散媒中に分散している前記多孔質担体粒子を含有している分散液を提供すること、及び
前記分散液中において、正電荷を有する金属酸化物クラスターを形成し、そして静電気的な相互作用によって、前記金属酸化物クラスターを前記多孔質担体粒子の細孔内に担持させること。
【請求項16】
前記分散液中に、前記金属酸化物クラスターを構成する金属酸化物の粒子を分散させ、そして前記金属酸化物の粒子に対してレーザーを照射するレーザーアブレーション法によって、前記分散液中において前記金属酸化物クラスターを形成する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
下記のいずれかの方法によって、前記分散液中において前記クラスターを形成する、請求項14又は15に記載の方法:
液中レーザーアブレーション法、
液中マイクロ波アブレーション法、
液中プラズマアブレーション法、
プラスマイナス反転法、及び
液中還元法。
【請求項18】
前記液中還元法によって、還元剤を用いて前記金属酸化物を構成する金属のイオンを還元して、前記分散液中において前記クラスターを形成し、かつプラズマ及び/又はマイクロ波を前記分散液に照射して、前記還元剤による還元を促進する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記分散液の分散媒が有機溶媒である、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラスター担持多孔質担体及びその製造方法、特に排ガス浄化、液相化学合成反応、気相化学合成反応、燃料電池反応、空気電池反応等のための触媒として用いられるクラスター担持多孔質担体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライト等の多孔質担体は、分子ふるい、イオン交換材料、触媒、触媒担体、吸着材料等として利用されている。ゼオライトが特に触媒又は触媒担体として用いられる場合には、触媒反応条件及び再生条件の高温に耐えるための高い耐熱性が求められることがある。
【0003】
なお、触媒担体に触媒金属を担持した担持触媒は多くの分野で使用されており、排ガス浄化、液相化学合成反応、気相化学合成反応、燃料電池反応、空気電池反応等のための触媒として使用されている。
【0004】
このような担持触媒では、触媒担体に担持されている触媒金属粒子の大きさが重要であることが知られている。これに関して例えば、特許文献1では、1nm〜10nmの大きさの触媒金属粒子を、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、又はこれらの組合せである担体上に担持している担持触媒を提案している。また、特許文献2では、イオン交換によってゼオライトに銅イオンを担持した窒素酸化物用触媒を提案している。さらに、特許文献3では、イオン交換によってゼオライトに担持したパラジウムを乾燥した後に、還元処理によってクラスター化して、クラスター担持触媒を製造し、このクラスター担持触媒をカップリング反応等に用いることを提案している。
【0005】
また、本件の基礎出願時に未公開であった特許文献4では、ゼオライト等の酸点を有する多孔質担体粒子、及びこの多孔質担体粒子の細孔内に担持されている触媒金属クラスターを有する、クラスター担持触媒、並びにその製造方法について開示している。
【0006】
なお、排ガス浄化触媒等の触媒としては、一般的に、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が触媒金属として用いられている。しかしながら、これらの貴金属は資源量が限られており、また高価であることから、貴金属以外の卑金属を酸化物の状態で用いる検討もなされているが、一般に卑金属酸化物等の金属酸化物触媒は、金属の状態で用いられる貴金属触媒と比べて触媒活性が低い。
【0007】
これに関して、特許文献5では、卑金属担持触媒をハニカム基材の隔壁表面に均一に導入して担持させることによって、排ガス浄化触媒において効果的に卑金属を触媒として用いることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−212464号公報
【特許文献2】特開2012−148272号公報
【特許文献3】特開2010−69415号公報
【特許文献4】国際公開WO2017/115767号パンフレット
【特許文献5】特開2013−146697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、高い耐熱性を有するゼオライト等の多孔質担体が求められている。また、上記のように、金属酸化物の状態の卑金属を触媒として用いるための様々な構成が提案されているが、触媒活性が更に改良された金属酸化物担持触媒が求められている。
【0010】
したがって、本発明では、高い耐熱性を有するゼオライト等の多孔質担体、及び改良された触媒活性を有する金属酸化物担持触媒、並びにそれらの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本件発明者らは、特定の金属酸化物担持多孔質担体が改良された耐熱性及び/又は触媒活性を有することを見いだして、下記の本発明に想到した。
【0012】
〈態様1〉
多孔質担体粒子、及び前記多孔質担体粒子の細孔内に担持された金属酸化物クラスターを有する、クラスター担持多孔質担体。
〈態様2〉
前記多孔質担体粒子がゼオライト粒子である、態様1に記載のクラスター担持多孔質担体。
〈態様3〉
前記金属酸化物クラスターが、正電荷を有し、かつ静電気的な相互作用によって前記多孔質担体粒子の細孔内の酸点に担持されている、態様1又は2に記載のクラスター担持多孔質担体。
〈態様4〉
前記金属酸化物クラスターが、卑金属の酸化物のクラスター、又は卑金属を含有する複合金属酸化物のクラスターである、態様1〜3のいずれか一項に記載のクラスター担持多孔質担体。
〈態様5〉
前記金属酸化物クラスターが、セリウム、ジルコニウム、マンガン、モリブデン、バナジウム、アルミニウム、及びそれらの組合せからなる群より選択される金属の酸化物のクラスター、又はこれらの金属を含む複合酸化物のクラスターである、態様4に記載のクラスター担持多孔質担体。
〈態様6〉
前記金属酸化物クラスターが、セリア−ジルコニア複合酸化物、アルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物、セリア−ジルコニア−酸化ランタン−酸化イットリウム複合酸化物、及びアルミナ−セリア−ジルコニア−酸化ランタン−酸化イットリウム複合酸化物からなる群より選択される、態様5に記載のクラスター担持多孔質担体。
〈態様7〉
前記多孔質担体粒子の細孔内に担持された触媒金属クラスターを更に有する、態様1〜6のいずれか一項に記載のクラスター担持多孔質担体。
〈態様8〉
態様1〜7のいずれか一項に記載の金属酸化物クラスター担持多孔質担体、及び金属クラスター担持多孔質担体が互いに混合されており、かつ
前記金属クラスター担持多孔質担体が、多孔質担体粒子、及び前記多孔質担体粒子の細孔内に担持された触媒金属クラスターを有する、
クラスター担持多孔質担体。
〈態様9〉
前記触媒金属クラスターが、正電荷を有し、かつ静電気的な相互作用によって前記多孔質担体粒子の細孔内の酸点に担持されている、態様7又は8に記載のクラスター担持多孔質担体。
〈態様10〉
前記触媒金属クラスターが、ロジウム、パラジウム、白金、及び銅のクラスター及びそれらの組合せからなる群より選択される、態様7〜9のいずれか一項に記載のクラスター担持多孔質担体。
〈態様11〉
触媒として用いられる、態様1〜9のいずれか一項に記載のクラスター担持多孔質担体。
〈態様12〉
排ガス浄化触媒として用いられる、態様11に記載のクラスター担持多孔質担体。
〈態様13〉
液相合成反応用、気相合成反応用、空気電池用、又は燃料電池反応用の触媒として用いられる、態様11に記載のクラスター担持多孔質担体。
〈態様14〉
態様11〜13のいずれか一項に記載のクラスター担持多孔質担体、及び前記クラスター担持多孔質担体を担持している基材を有する、触媒装置。
〈態様15〉
クラスター担持多孔質担体の製造方法であって、
前記クラスター担持多孔質担体が、多孔質担体粒子、及び前記多孔質担体粒子の細孔内に担持されている金属酸化物クラスターを有し、かつ
下記の工程を含む、クラスター担持多孔質担体の製造方法:
分散媒及び前記分散媒中に分散している前記多孔質担体粒子を含有している分散液を提供すること、及び
前記分散液中において、正電荷を有する金属酸化物クラスターを形成し、そして静電気的な相互作用によって、前記金属酸化物クラスターを前記多孔質担体粒子の細孔内に担持させること。
〈態様16〉
前記分散液中に、前記金属酸化物クラスターを構成する金属酸化物の粒子を分散させ、そして前記金属酸化物の粒子に対してレーザーを照射するレーザーアブレーション法によって、前記分散液中において前記金属酸化物クラスターを形成する、態様14に記載の方法。
〈態様17〉
下記のいずれかの方法によって、前記分散液中において前記クラスターを形成する、態様14又は15に記載の方法:
液中レーザーアブレーション法、
液中マイクロ波アブレーション法、
液中プラズマアブレーション法、
プラスマイナス反転法、及び
液中還元法。
〈態様18〉
前記液中還元法によって、還元剤を用いて前記金属酸化物を構成する金属のイオンを還元して、前記分散液中において前記クラスターを形成し、かつプラズマ及び/又はマイクロ波を前記分散液に照射して、前記還元剤による還元を促進する、態様16に記載の方法。
〈態様19〉
前記分散液の分散媒が有機溶媒である、態様14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明のクラスター担持多孔質担体によれば、改良された耐熱性及び/又は改良された触媒活性を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A図1Aは、本発明のクラスター担持触媒を製造する方法の1つの態様を示す図である。
図1B図1Bは、本発明のクラスター担持触媒を製造する方法の他の1つの態様を示す図である。
図2A図2Aは、参考例5A、実施例5B、比較例5C、及び実施例5Dの触媒についての、一酸化炭素酸化試験の結果を示す図である。
図2B図2Bは、参考例6A、実施例6B、比較例6C、及び実施例6Dの触媒についての、一酸化炭素酸化試験の結果を示す図である。
図2C図2Cは、参考例7A、実施例7B、比較例7C、及び実施例7Dの触媒についての、一酸化炭素酸化試験の結果を示す図である。
図2D図2Dは、参考例8A、及び実施例8B〜8Eの触媒についての、一酸化炭素酸化試験の結果を示す図である。
図2E図2Eは、参考例8A、及び実施例8B〜8Eの触媒についての、貯蔵される酸素原子のモル数を示す図である。
図3図3は、参考実施例1及び2、並びに参考比較例1の金クラスター担持触媒についての蛍光スペクトルを示す図である。
図4図4は、参考実施例3の銅クラスター担持触媒についての酸化処理及び還元処理の前後の蛍光スペクトルを示す図である。
図5図5は、触媒活性評価のための温度変化を示す図である。
図6図6は、参考実施例4及び参考比較例2のロジウムクラスター担持触媒についての一酸化炭素浄化性能を示す図である。ここで、図6(a)は昇温過程の結果であり、かつ図6(b)は降温過程の結果である。
図7図7は、参考実施例5及び参考比較例3のロジウムクラスター担持触媒についての一酸化炭素浄化性能を示す図である。ここで、図7(a)は昇温過程の結果であり、かつ図7(b)は降温過程の結果である。
図8図8は、参考実施例6及び参考比較例4のロジウム担持触媒についての一酸化炭素浄化性能を示す図である。ここで、図8(a)は昇温過程の結果であり、かつ図8(b)は降温過程の結果である。
図9図9は、参考実施例7〜10のロジウムクラスター担持触媒についての一酸化炭素浄化性能を示す図である。ここで、図9(a)は昇温過程の結果であり、かつ図9(b)は降温過程の結果である。
図10図10は、液中還元法によるクラスターの作成において用いられる装置の概略図である。
図11図11は、液中還元法によってクラスターを作成する参考実施例11及び12で作成した試料、並びに参照試料としての銅イオン交換ゼオライト担体粒子についての蛍光スペクトル(励起波長:350nm)を示す図である。
図12図12は、液中還元法によってクラスターを作成する参考実施例11についての蛍光スペクトル(励起波長:350nm)と励起スペクトル(蛍光モニター波長440nm、520nm)を示す図である。
図13図13は、それぞれ液中レーザーアブレーション法及びイオン交換−還元法で作成した参考実施例13及び参考比較例5のロジウムクラスター担持触媒の蛍光スペクトルを示す図である。
図14図14は、液中レーザーアブレーション法で作成した参考実施例15のロジウムクラスター担持触媒についての、水素昇温還元法試験(H−TPR)試験の結果を示す図である。
図15図15は、イオン交換−還元法で作成した参考比較例7のロジウムクラスター担持触媒についての、H−TPR試験の結果を示す図である。
図16図16は、液中レーザーアブレーション法で作成した参考実施例16、及びイオン交換−還元法で作成した参考比較例8のパラジウムクラスター担持触媒についての、一酸化炭素酸化試験の結果を示す図である。
図17図17は、液中レーザーアブレーション法で作成した参考実施例17、及びイオン交換−還元法で作成した参考比較例9の白金クラスター担持触媒についての、一酸化炭素酸化試験の結果を示す図である。
図18図18は、液中レーザーアブレーション法で作成した参考実施例18、及びイオン交換−還元法で作成した参考比較例10の銅クラスター担持触媒についての、一酸化窒素昇温脱離試験の結果を示す図である。
図19図19は、プラスマイナス反転法で作成した参考実施例19、及びイオン交換−還元法で作成した参考比較例11の白金クラスター担持触媒についての、蛍光スペクトルを示す図である。
図20図20は、液中レーザーアブレーション法で作成した参考実施例20、及びイオン交換−還元法で作成した参考比較例12のロジウムクラスター担持触媒についての、一酸化窒素還元試験結果(ガス組成)を示す図である。
図21図21は、液中レーザーアブレーション法で作成した参考実施例20、及びイオン交換−還元法で作成した参考比較例12のロジウムクラスター担持触媒についての、一酸化窒素還元試験結果を示す図である。
図22図22は、液中レーザーアブレーション法で作成した参考実施例21の白金クラスター担持触媒、及び液中レーザーアブレーション法で作成した参考実施例22のロジウムクラスター担持触媒についての、洗浄処理後の吸着一酸化炭素の酸素酸化反応試験の結果、並びに一般的な三元触媒についての、洗浄処理前後の吸着一酸化炭素の酸素酸化反応試験の結果を示す図である。
図23A図23Aは、チャバサイト(CHA)型ゼオライトの熱耐久前後のX線回折分析(XRD)結果を示す図である。
図23B図23Bは、細孔内にセリア(CeO)のクラスターが担持されているCHA型ゼオライトの熱耐久前後のXRD結果を示す図である。
図23C図23Cは、細孔内にジルコニア(ZrO)のクラスターが担持されているCHA型ゼオライトの熱耐久前後のXRD結果を示す図である。
図23D図23Dは、細孔内にアルミナ(Al)のクラスターが担持されているCHA型ゼオライトの熱耐久前後のXRD結果を示す図である。
図24図24は、図23A〜23Dで示した熱耐久前後のXRD結果における散乱角度2θが10°付近のピーク高さの比(熱耐久後のXRD結果における散乱角度2θが10°付近のピーク高さ/熱耐久前のXRD結果における散乱角度2θが10°付近のピーク高さ)を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0016】
《クラスター担持多孔質担体》
本発明のクラスター担持多孔質担体は、多孔質担体粒子、及び多孔質担体粒子の細孔内に担持されている金属酸化物クラスターを有する。このような本発明のクラスター担持多孔質担体は、下記に示す本発明の方法によって製造することができる。また、このような本発明のクラスター担持多孔質担体は、多孔質担体粒子にイオン交換によって金属イオンを担持し、そして担持した金属イオンを還元剤によって還元して金属クラスターとし、そしてこの金属クラスターを酸化するイオン交換−還元−酸化法によって製造することができる。なお、この酸化工程は、乾燥工程の一部として行うこと、又は別個の工程として行うことができる。
【0017】
ここで、金属酸化物クラスターは、正電荷を有し、かつ静電気的な相互作用によって多孔質担体粒子の細孔内の酸点に担持されていてよい。このような本発明のクラスター担持多孔質担体は、下記に示す本発明の方法によって製造することができる。
【0018】
理論に限定されるものではないが、本発明のクラスター担持多孔質担体は、金属酸化物クラスターが多孔質担体の細孔内において微細な状態を維持していること、及び/又は金属酸化物クラスターが多孔質担体の細孔内に安定に固定されていること、特に細孔内の負の電荷を有する箇所、より特に細孔内の酸点に安定に固定されていること等によって、金属酸化物が多孔質担体に優れた耐熱性を提供し、かつ/又は金属酸化物が他の状態の金属酸化物等と比較して優れた触媒活性を有すると考えられる。
【0019】
なお、「クラスター」は一般に、数百程度までの化学種の集合体として定義されているが、本発明において、「クラスター担持多孔質担体」は、クラスターを含む微細な金属酸化物が担体粒子に担持されている多孔質担体を意味している。
【0020】
本発明のクラスター担持多孔質担体は、例えば排ガス浄化触媒、液相化合物合成反応用触媒、気相合成反応用触媒、空気電池用触媒、燃料電池用触媒等の触媒、及びそれらの担体として、特に排ガス浄化触媒及びその担体として好ましく用いることができる。
【0021】
本発明のクラスター担持多孔質担体は、多孔質担体粒子の細孔内に担持された触媒金属クラスターを更に有することができる。
【0022】
また、本発明のクラスター担持多孔質担体は、他の触媒と混合して用いること、特に金属クラスター担持多孔質担体、すなわち多孔質担体粒子及び多孔質担体粒子の細孔内に担持された触媒金属クラスターを有する触媒と物理的に混合して用いることができる。
【0023】
ここで、触媒金属クラスターとしては、触媒貴金属クラスター、具体的には金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、及びオスミウムである貴金属のクラスターを挙げることができる。
【0024】
本発明のクラスター担持多孔質担体の多孔質担体粒子の細孔内に触媒金属クラスターを更に担持する方法、及び金属クラスター担持多孔質担体の製造方法については、金属酸化物クラスターを多孔質担体に担持する本発明の方法に関する下記の記載を参照することができる。
【0025】
このように本発明のクラスター担持多孔質担体を、触媒貴金属クラスターのような触媒金属クラスターと組み合わせて用いる場合、金属酸化物クラスターによる触媒効果と、触媒金属クラスターによる触媒効果とを組み合わせて得られる点で好ましいことがある。
【0026】
〈金属酸化物〉
金属酸化物クラスターを構成している金属酸化物は、多孔質担体の細孔内に担持することができる任意の金属又は半金属の酸化物であってよい。特に、金属酸化物クラスターを構成している金属酸化物は、ゼオライトのような多孔質担体の耐熱性を改良できる任意の金属酸化物、及び/又は意図する用途において触媒として用いることができる任意の酸化物であってよい。この金属酸化物は例えば、卑金属、すなわち貴金属を除く金属の酸化物、特に遷移金属である卑金属の酸化物、又は典型金属である卑金属の酸化物である。
【0027】
具体的には、遷移金属である卑金属の酸化物は、特に希土類金属、ジルコニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、タングステン、レニウム、及びそれらの組合せからなる群より選択される金属の酸化物であってよい。ここで、希土類金属としては、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、特にセリウムを挙げることができる。
【0028】
また、具体的には、典型金属(遷移金属以外の金属)である卑金属の酸化物は、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、及びそれらの組合せからなる群より選択される金属の酸化物であってよい。
【0029】
より具体的には、金属酸化物は、セリウム、マンガン、モリブデン、バナジウム、及びそれらの組合せからなる群より選択される金属の酸化物、又はこれらの金属を含む複合酸化物であってよい。特に金属酸化物は、セリア−ジルコニア複合酸化物、若しくはアルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物であってよい。
【0030】
〈多孔質担体粒子〉
多孔質担体粒子は、意図する用途において用いることができる任意の多孔質担体粒子、特に金属又は半金属の酸化物で構成されている多孔質担体であってよく、例えばミクロポーラス材料、メソポーラス材料、マクロポーラス材料、及びそれらの組合せからなる群より選択される材料の粒子であってよい。
【0031】
ミクロポーラス材料は、体積基準の細孔径分布における最大ピークが0.1nm超2nm以下の範囲に存在する多孔質材料を意味しており、メソポーラス材料は、この細孔径分布における最大ピークが2nm超50nm以下の範囲に存在する多孔質材料を意味しており、またマクロポーラス材料は、この細孔径分布における最大ピークが50nm超の範囲に存在する多孔質材料を意味している。本発明に関して、体積基準の細孔径分布は、窒素吸着法による値であり、これは、BETの式(吸着等温式)によって、例えば自動比表面積/細孔分布測定装置トライスターII 3020シリーズ((株)島津製作所)を用いて得ることができる。
【0032】
具体的には例えば、ミクロポーラス材料としては、活性炭、ゼオライト、粘土ケイ酸塩、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される材料を挙げることができる。ここで、ゼオライト粒子は、ゼオライト誘導体粒子、又は異種元素導入ゼオライト粒子であってもよく、異種元素導入ゼオライト粒子において導入されている異種元素は、例えばホウ素、鉄、ゲルマニウム、ガリウム、ランタン、チタン、及びそれらの組合せからなる群より選択される元素であってよい。
【0033】
ゼオライト粒子は、意図する用途において用いることができる任意のゼオライト粒子であってよい。
【0034】
また、ゼオライトとしては、例えばA型(略号:LTA)、フェリエライト型(略号:FER)、MCM−22型(略号:MWW)、ZSM−5型(略号:MFI)、シリカライト型、モルデナイト型(略号:MOR)、L型(略号:LTL)、Y型及びX型(略号:FAU)、ベータ型(略号:BEA)、SSZ型(略号:CHA)、並びにそれらの組合せを挙げることができる。
【0035】
多孔質担体粒子は、細孔内に安定に触媒金属酸化物を担持するため、及び/又は担持された触媒金属酸化物の活性を良好に発揮させるために、細孔内に酸点(すなわち電子リッチな点又は負電荷を有する点)を有する多孔質担体、例えばゼオライトであることが好ましい。
【0036】
《触媒装置》
本発明の触媒装置は、本発明のクラスター担持多孔質担体、及びこのクラスター担持多孔質担体を担持している基材、並びに随意に、この基材を収容している容器を有する。
【0037】
本発明の触媒装置では、基材として、ハニカム基材、特にコージェライト製ハニカム基材を用いることができる。また、本発明の触媒装置では、随意の容器として、ステンレス性等の金属製容器を用いることができる。
【0038】
《クラスター担持多孔質担体の製造方法》
クラスター担持多孔質担体を製造する本発明の方法では、多孔質担体粒子、及び多孔質担体粒子の細孔内に担持されている金属酸化物クラスターを有する、クラスター担持多孔質担体、特に本発明のクラスター担持多孔質担体を製造する。
【0039】
ここで、この方法は、分散媒及び分散媒中に分散している多孔質担体粒子を含有している分散液を提供すること、及び分散液中において、正電荷を有する金属クラスター又は金属酸化物クラスターを形成し、そして静電気的な作用によって、この金属クラスター又は金属酸化物クラスターを多孔質担体粒子の細孔内の負の電荷を有する箇所、特に細孔内の酸点に担持させることを含む。この方法は更に、金属クラスターを担持させた多孔質担体粒子を乾燥及び焼成することを含むことができる。また、この方法で、金属酸化物クラスターではなく、金属クラスターを多孔質担体粒子に担持させた場合には、必要に応じて酸化処理を行って、金属クラスターを金属酸化物クラスターにすることができる。
【0040】
この本発明の方法によれば、多孔質担体粒子が存在している分散液中において、金属又は金属酸化物クラスターを形成し、そして形成された金属又は金属酸化物クラスターを多孔質担体粒子の細孔内に担持することによって、制御された大きさの金属クラスター、特に比較的均一な大きさを有する金属又は金属酸化物クラスターを、多孔質担体粒子の細孔内に担持することができる。ここで、この金属又は金属酸化物クラスターの大きさの制御は、分散液中における金属又は金属酸化物クラスターの形成条件を調節することによって行うことができる。
【0041】
本発明の方法においては、金属又は金属酸化物クラスターと多孔質担体粒子の負の電荷を有する箇所との静電気的な相互作用によって、金属又は金属酸化物クラスターの多孔質担体粒子の細孔内への担持を行うことができる。
【0042】
ここで、静電気的相互作用は、正の電荷を有する金属又は金属酸化物クラスターを、負の電荷を有する多孔質担体粒子の細孔内の負の電荷を有する箇所、特に細孔内の酸点に担持させることができる。
【0043】
〈金属酸化物〉
本発明の方法で用いることができる金属酸化物については、本発明のクラスター担持多孔質担体に関する記載を参照することができる。
【0044】
〈多孔質担体粒子〉
本発明の方法で用いることができる多孔質担体粒子については、本発明のクラスター担持多孔質担体に関する記載を参照することができる。
【0045】
本発明の方法では、多孔質担体粒子としてゼオライト粒子を用いることが好ましい。これは、多孔質担体粒子としてゼオライト粒子を用いる場合、正電荷を有する金属又は金属酸化物クラスターを、静電気的な作用によって、負電荷を有するゼオライト粒子の細孔内の負の電荷を有する箇所、特に細孔内の酸点に担持させることができる。したがって、ゼオライト粒子は、ゼータ電位が比較的小さいことが好ましく、例えば−50mV以下、−70mV以下、−90mV以下、又は−100mV以下のゼータ電位を有することができる。また、同様の理由で、ゼオライト粒子は、酸点が比較的多いこと、すなわちSi/(Al及びB)比が比較的小さいことが好ましく、例えば500以下、300以下、100以下、又は50以下のSi/(Al及びB)比を有することができる。
【0046】
なお、本発明の方法では、多孔質担体粒子を粉砕し、そして粉砕した多孔質担体粒子を分散媒に分散させることによって、分散液を提供することができる。
【0047】
これによれば、多孔質担体粒子が予め粉砕されていることによって、多孔質担体粒子の細孔内への金属又は金属酸化物クラスターの担持を促進することができる。なお、このように粉砕した多孔質担体粒子はアモルファス化していることがあるので、必要に応じて、金属又は金属酸化物クラスターの担持の前又は後に、アニーリングによって多孔質担体粒子を再結晶化することができる。
【0048】
〈分散液の分散媒〉
分散液の分散媒としては、金属又は金属酸化物クラスターと、多孔質担体粒子、特に多孔質担体粒子の酸点との間の静電気的な相互作用によって、金属又は金属酸化物クラスターを多孔質担体粒子の細孔内に引き寄せることを可能にする任意の分散媒を用いることができる。
【0049】
これに関して、静電気的な相互作用によって金属又は金属酸化物クラスターを多孔質担体粒子の細孔内に担持する場合、金属又は金属酸化物クラスターの表面が正電荷を有し、かつ多孔質担体粒子の細孔内の箇所、特に多孔質担体粒子の細孔内の酸点が、負電荷を有するようにして、分散媒を選択することができる。したがって、多孔質担体粒子の細孔内への金属又は金属酸化物クラスターの担持を促進するためには、分散媒のpHの調節及び/又は分散媒への塩の添加によって、金属又は金属酸化物クラスター及び/又は多孔質担体粒子のゼータ電位及び/又はイオン化率を調整することができる。
【0050】
これに関して、金属又は金属酸化物クラスター及び多孔質担体粒子の表面電位は、直接的に計測できないが、ゼータ電位(界面動電電位)を計測することにより、間接的に知ることができる。
【0051】
例えば、白金クラスターのゼータ電位はpHに大きく依存し、そのゼータ電位は、pHが8以下の場合には、pHの減少とともに微増する。これは、白金クラスターの表面の白金原子が一部酸化されており、pHの減少とともに酸化された白金原子はPt−OHの状態になり、それと同時に白金クラスター表面の一部の白金原子にプロトンが付加してPt−Hとなって、正電荷の密度が高まることにより、ゼータ電位が上昇することによると考えられる。
【0052】
他方で、白金クラスターのゼータ電位は、pHが8よりも大きい場合には、pHの増加とともに急激に減少する。これは、pHの増加とともに酸化された白金原子がPt−Oになり、さらに白金クラスターの表面の一部が脱プロトン化されて正電荷の密度が低下し、それによってゼータ電位が低下することによると考えられる。
【0053】
なお、静電気的相互作用を用いる場合、分散媒としては、水系でも非水系でもよいが、非水系の分散媒、例えば有機溶媒を用いることが一般に好ましい。これは、水系の分散媒を用いる場合には、水の誘電率(誘電率80)が大きいこと、すなわち極性が大きいことによって、金属又は金属酸化物クラスターが分散媒中で安定化され、それによって多孔質担体粒子の細孔内への金属クラスターの担持が十分に行われないことがあることによる。
【0054】
これに対して、比較的極性が小さい分散媒、すなわち比較的誘電率が小さい分散媒を用いる場合には、金属又は金属酸化物クラスターは分散媒中では安定化されず、静電的相互作用によって、多孔質担体粒子の細孔内において担持され、そこで安定化することができる。
【0055】
したがって、分散媒としては、水(誘電率80)よりも誘電率が小さい分散媒、例えば誘電率が50以下、40以下、30以下、25以下、又は20以下の分散媒を用いることができる。具体的な分散媒としては、アセトン(誘電率20)、2−プロパノール(誘電率18)、エタノール(誘電率25)、メタノール(誘電率32)、四塩化炭素(誘電率2.2)等を用いることができる。
【0056】
〈金属酸化物クラスターの形成〉
金属又は金属酸化物クラスター、特に正電荷を有する金属又は金属酸化物クラスターは、任意の方法で、分散液中において形成することができる。このような金属クラスターの形成方法としては、液中レーザーアブレーション法、液中マイクロ波アブレーション法、液中プラズマ法、プラスマイナス反転法、液中(液相)還元法等の方法を挙げることができる。
【0057】
ここで、液中レーザーアブレーション法、液中マイクロ波アブレーション法、及び液中プラズマアブレーション法は、分散液中に配置されている金属又は金属酸化物のターゲット、及び/又は分散液中に分散している金属又は金属酸化物粒子にレーザー、マイクロ波、又はプラズマを照射することによって、金属クラスターを形成する方法である。
【0058】
プラスマイナス反転法では、初めに、溶液中、特に水溶液中において、マイナスに帯電している多孔質担体とマイナスの電荷をもった金属イオン源を共存させておく。この状態では、マイナス電荷同士の反発力によりイオン交換体は生成しない。この溶液中に、パルスレーザーを収束させて導入する。これによれば、レーザーの焦点部位にプラズマが生成し、金属イオン源から様々な化学種(配位子が除かれた金属イオン、マイナスの金属イオン源が電子脱離して生成したプラス金属イオンなど)が生成し、さらにプラス金属イオンに中性の金属原子が凝集して、プラス帯電金属クラスターが生成する。このようにして生成されたプラス帯電金属又は金属酸化物クラスターは、静電気的相互作用により多孔質担体の負の電荷を有する箇所、特に酸点に担持される。
【0059】
液中還元法は、還元剤を用いて、金属酸化物を構成する金属のイオンを液中で還元して金属クラスターを形成する方法である。
【0060】
液中還元法においては、還元剤として、金属のイオンを液中で還元できる任意の還元剤を用いることができ、具体的には例えば、水素化ホウ素ナトリウム等のヒドリド還元剤、プロパノール等のアルコールを用いることができる。また、この液中還元法においては、分散媒として、用いる還元剤に対して安定な分散媒であって、金属のイオンの供給源としての金属塩、及び還元剤が可溶な分散媒を用いることが好ましい。したがって、還元剤及び分散剤の両方として同じ化合物を用いることもでき、例えばアルコールは還元剤及び分散剤の両方として用いることができる。
【0061】
液中還元法においては、還元剤に加えて、随意に、マイクロ波、液中プラズマを用いて、金属のイオンの還元を促進してもよい。
【0062】
なお、制御された大きさを有する金属クラスター、例えば比較的均一な大きさを有する金属クラスターを形成するためには、例えば液中還元法において、還元剤に加えて、随意に、マイクロ波、液中プラズマを用いて、分散液中において均一な金属イオンの還元を促進することができる。
【0063】
以下に示す実施例を参照して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。
【実施例】
【0064】
《実施例1及び比較例1(アルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物粒子)》
〈実施例1〉
アセトン中にアルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物粒子(ACZ酸化物粒子)、及びゼオライト担体粒子を分散させ、そしてこの複合酸化物粒子のレーザーアブレーションを行うことにより、アルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物粒子クラスター担持ゼオライトを作成した。なお、このACZ酸化物粒子は、アルミナ、セリア、及びジルコニアに加えて酸化ランタン、及び酸化イットリウムも含有していた。
【0065】
具体的には、図1A(a)に示すように、ACZ酸化物粒子18、及びゼオライト担体粒子(図示せず)を分散させた分散媒としての水11を容器13に入れ、レンズ14を通して、レーザー15を、水11中のACZ酸化物粒子18に照射して、レーザーアブレーションによってACZ酸化物クラスター16を水中で形成した。このようにして形成されたACZ酸化物クラスター16の少なくとも一部は、正の電荷を帯びており、それによって、図1A(b)に示すように、ゼオライト担体粒子20の担体粒子の負の電荷を有する箇所、特に酸点に電気的に引き寄せられて担持された。
【0066】
ここで、レーザー光は、Nd:YAGレーザーの基本波(1064nm、10Hz)であり、その強度は2Wであった。
【0067】
クラスターを担持している担体粒子を水から取り出し、約25℃で約1時間にわたって乾燥し、そして300℃で2時間にわたって焼成して、ACZ酸化物クラスターがゼオライトに担持されている実施例1の触媒を得た。
【0068】
この実施例1では、担体粒子及びレーザー照射時間は下記のとおりであった:
担体粒子: MFI型ゼオライト(MFI)(Si/Al比:40)
レーザー照射時間: 9時間
【0069】
〈比較例1〉
実施例1で水中に分散させたACZ酸化物粒子を、そのまま比較例1の触媒とした。
【0070】
〈評価〉
実施例1のACZ酸化物クラスター担持ゼオライト触媒、及び比較例1のACZ酸化物触媒について、10体積%の酸素及び残部のヘリウムの雰囲気において、800℃で30分間にわたって加熱して酸素前処理を行った。
【0071】
酸素前処理後の実施例1及び比較例1の触媒について、反応ガス中において、25℃から800℃の昇温、及び800℃から25℃への降温を10℃/分の速度で行って、50体積%の一酸化炭素(CO)が浄化される温度(T(50%CO))、及び50体積%の一酸化窒素(NO)が浄化される温度(T(50%NO))を評価した。得られた結果を下記に示す。
【0072】
T(50%CO
実施例1(ACZ酸化物クラスター担持ゼオライト触媒):
389℃(昇温)、374℃(降温)
比較例1(ACZ酸化物触媒):
511℃(昇温)、482℃(降温)
【0073】
T(50%NO
実施例1(ACZ酸化物クラスター担持ゼオライト触媒):
376℃(昇温)、344℃(降温)
比較例1(ACZ酸化物触媒):
(50%浄化に達せず)(昇温及び降温)
【0074】
なお、反応ガス組成は、一酸化炭素:0.65体積%、酸素:0.25体積%、及び一酸化窒素:0.15体積%、及びヘリウム:残部であり、空間速度は、30,000h−1であった。
【0075】
評価に用いた実施例1の触媒は、ACZ酸化物クラスター担持ゼオライト触媒全体の質量が、30mgであり、そのうちのACZ酸化物の質量が0.95mgであった。他方で、評価に用いられた比較例1の触媒は、ACZ酸化物の質量が30mgであった。
【0076】
この結果から明らかなように、実施例1のACZ酸化物クラスター担持ゼオライト触媒は、ゼオライトに担持していない比較例1の通常のACZ酸化物触媒と比較して有意に優れた触媒活性を有していた。
【0077】
《実施例2及び比較例2(酸化マンガン)》
〈実施例2〉
ACZ酸化物粒子の代わりに酸化マンガン粒子を用いたことを除いて実施例1と同様にして、酸化マンガンクラスター担持ゼオライトを作成した。
【0078】
〈比較例2〉
実施例2で用いた酸化マンガン粒子を、そのまま比較例2の触媒とした。
【0079】
〈評価〉
実施例2の酸化マンガンクラスター担持ゼオライト触媒、及び比較例2の酸化マンガン触媒について、実施例1及び比較例1と同様にして、一酸化炭素及び一酸化窒素の浄化に関して評価した。ただし、ここでは、一酸化炭素及び一酸化窒素の浄化率が50体積%になる温度ではなく、一酸化炭素及び一酸化窒素の浄化率が20体積%になる温度(T(20%CO)、及びT(20%NO)))を、800℃から室温への降温について評価した。得られた結果を下記に示す。
【0080】
T(20%CO
実施例2(酸化マンガンクラスター担持ゼオライト触媒): 260℃(降温)
比較例2(酸化マンガン触媒): 317℃(降温)
【0081】
T(20%NO
実施例2(酸化マンガンクラスター担持ゼオライト触媒): 376℃(降温)
比較例2(酸化マンガン触媒): (20%浄化に達せず)(降温)
【0082】
評価に用いた実施例3の触媒は、酸化マンガンクラスター担持ゼオライト触媒全体の質量が、30mgであり、そのうちの酸化マンガンの質量が0.24mgであった。他方で、評価に用いられた比較例2の触媒は、酸化マンガンの質量が30mgであった。
【0083】
この結果から明らかなように、実施例1の酸化マンガンクラスター担持ゼオライト触媒は、ゼオライトに担持していない比較例2の通常の酸化マンガン触媒と比較して有意に優れた触媒活性を有していた。
【0084】
《参考例3A及び3B、並びに実施例3C〜F》
(調製例3−1)ロジウムクラスター担持ゼオライト(Rhcluster/MFI)の調製
アセトン中におけるロジウムターゲットのレーザーアブレーション法により、ロジウムクラスター担持ゼオライトを作成した。
【0085】
具体的には、図1B(a)に示すように、ZSM−5型ゼオライト(MFI)(Si/Al比:40)(図示せず)を分散させた分散媒としてのアセトン11を容器13に入れ、アセトン11中にロジウムのターゲット12を設置し、レンズ14を通して、レーザー15を、アセトン11中の金のターゲット12に照射して、レーザーアブレーションによってロジウムクラスター16をアセトン中で形成した。このようにして形成されたロジウムクラスター16は、正の電荷を帯びており、それによって、図1B(b)に示すように、ゼオライト担体粒子20の担体粒子の負の電荷を有する箇所、すなわち酸点に電気的に引き寄せられて担持された。
【0086】
ここで、レーザー光は、Nd:YAGレーザーの基本波(1064nm、10Hz)であり、その強度は2Wであった。
【0087】
クラスターを担持している担体粒子をアセトンから取り出し、約25℃で約1時間にわたって乾燥し、そして300℃で2時間にわたって焼成して、ロジウムクラスターがゼオライトに担持されているロジウムクラスター担持ゼオライトを得た。
【0088】
ここでは、レーザー照射時間は下記のとおりであった:
レーザー照射時間:4時間
ロジウムの担持量:0.33質量%
【0089】
(調製例3−2)ロジウムクラスター及びACZ酸化物クラスター担持ゼオライト((Rhcluster+ACZcluster)/MFI)(同時接触担持)の調製
アセトン中にロジウム、アルミニウム、セリウム、及びジルコニウムのターゲットを設置したことを除いて調製例3−1と同様にして、ロジウムクラスター及びACZ酸化物クラスター担持ゼオライト(同時接触担持)を作成した。
【0090】
(調製例3−3)セリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)の調製
アセトン中にロジウムターゲットの代わりにセリウムターゲットを配置したこと、及びゼオライト粒子として、ZSM−5型ゼオライト(MFI)(Si/Al比:40)ではなく、ZSM−5型ゼオライト(MFI)(Si/Al比:1500)を用いたことを除いて調製例3−1と同様にして、セリアクラスター担持ゼオライトを作成した。
【0091】
(調製例3−4)ロジウムクラスター及びセリアクラスター担持ゼオライト((Rhcluster+Cecluster)/MFI)(同時接触担持)の調製
アセトン中にロジウムターゲットとセリウムターゲットを設置したことを除いて調製例3−1と同様にして、ロジウムクラスター及びセリアクラスター担持ゼオライト(同時接触担持)を作成した。
【0092】
(調製例3−5)ロジウムクラスター及びセリアクラスター担持ゼオライト(逐次接触担持)((Rhcluster+Cecluster)/MFI)の調製
アセトン中に分散させるゼオライトとして、調製例3−1でのようにして得たロジウムクラスター担持ゼオライトを用い、かつアセトン中にロジウムターゲットに代えてセリウムターゲットを設置し調製例3−1と同様にして、ロジウムクラスター及びセリアクラスター担持ゼオライト(逐次接触担持)を作成した。
【0093】
〈参考例3A〉
調製例3−1でのようにして得たロジウムクラスター担持ゼオライト(Rhcluster/MFI)を触媒として用いた。
【0094】
〈参考例3B〉
調製例3−1でのようにして得たロジウムクラスター担持ゼオライト(Rhcluster/MFI)、及びセリア−ジルコニア複合酸化物粒子(CZ酸化物粒子)を物理的に混合して、触媒として用いた。
【0095】
〈実施例3C〉
調製例3−2でのようにして得たロジウムクラスター及びACZ酸化物クラスター担持ゼオライト((Rhcluster+ACZcluster)/MFI)(同時接触担持)を触媒として用いた。
【0096】
〈実施例3D〉
調製例3−1でのようにして得たロジウムクラスター担持ゼオライト(Rhcluster/MFI)、及び調製例3−3でのようにして得たセリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)を物理的に混合して、触媒として用いた。
【0097】
〈実施例3E〉
調製例3−4でのようにして得たロジウムクラスター及びセリアクラスター担持ゼオライト((Rhcluster+Cecluster)/MFI)(同時接触担持)を触媒として用いた。
【0098】
〈実施例3F〉
調製例3−5でのようにして得たロジウムクラスター及びセリアクラスター担持ゼオライト((Rhcluster+Cecluster)/MFI)(逐次接触担持)を触媒として用いた。
【0099】
〈評価〉
参考例3A及びB、並びに実施例3C〜3Fの触媒について、実施例1及び比較例1と同様にして、一酸化炭素及び一酸化窒素の浄化に関して100℃から600℃の昇温で評価した。得られた結果を下記に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
この結果から明らかなように、ロジウムクラスター担持ゼオライトのみを用いた実施例3Aの触媒、及びロジウムクラスター担持ゼオライトとセリア−ジルコニア複合酸化物粒子の組合せを用いた参考例3Bの触媒と比較して、ロジウムクラスター担持ゼオライトと金属酸化物クラスター担持ゼオライトとを組み合わせて用いた実施例3C〜3Fの触媒は、有意に優れた触媒活性を有していた。
【0102】
《実施例4(セリア−ジルコニア複合酸化物粒子)》
ACZ酸化物粒子の代わりにセリア酸化物粒子とジルコニア酸化物粒子の混合物を用いて、CZ酸化物クラスター担持ゼオライトを作成した。
【0103】
〈評価〉
実施例4のCZ酸化物クラスター担持ゼオライト触媒について、10体積%の酸素及び残部のヘリウムの雰囲気において、800℃で30分間にわたって加熱して酸素前処理を行った。
【0104】
酸素前処理後の実施例4の触媒について、反応ガス中において、室温から800℃への昇温を10℃/分の速度で行って、下記に示す水性ガスシフト反応に対する触媒作用を評価した:
CO+HO→CO+H
【0105】
それによれば、水性ガスシフト反応は約200℃から開始した。
【0106】
なお、反応ガス組成は、一酸化炭素:2体積%、水:数%、及びヘリウム:残部であり、空間速度は、30,000h−1であった。
【0107】
また、評価に用いた実施例4の触媒は、CZ酸化物クラスター担持ゼオライト全体の質量が、30mgであり、そのうちのCZ酸化物の質量が1.2mgであった。
【0108】
この結果から明らかなように、通常のCZ酸化物粒子が水性ガスシフト反応に対する有意の浄化性能を有さないのに対して、実施例4のCZ酸化物クラスター担持ゼオライト触媒では、水性ガスシフト反応に対する有意の浄化性能を示した。
【0109】
《参考例5A、実施例5B、比較例5C、及び実施例5D》
(調製例5−1)パラジウムクラスター担持ゼオライト(Pdcluster/MFI)の調製
ロジウムターゲットの代わりにパラジウムターゲットを用いたことを除いて調製例3−1でのようにして、パラジウムクラスター担持ゼオライトを作成した。
【0110】
(調製例5−2)セリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)の調製
アセトン中にロジウムターゲットに代えてセリウムターゲットを設置し調製例3−1と同様にして、セリアクラスター担持ゼオライトを作成した。
【0111】
(調製例5−3)パラジウム担持アルミナ(Pd/Al)の調製
テトラアンミンパラジウム(II)塩化物水溶液を用いてアルミナ粉末にパラジウムを含浸担持し、そして600℃で4時間にわたって焼成してパラジウム担持アルミナを作成した。
【0112】
〈参考例5A〉
調製例5−1でのようにして得たパラジウムクラスター担持ゼオライト(Pdcluster/MFI)を触媒として用いた。
【0113】
〈実施例5B〉
調製例5−1でのようにして得たパラジウムクラスター担持ゼオライト(Pdcluster/MFI)、及び調製例5−2でのようにして得たセリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)を物理的に混合して、触媒として用いた。
【0114】
〈比較例5C〉
調製例5−3でのようにして得たパラジウム担持アルミナ(Pd/Al)を触媒として用いた。
【0115】
〈実施例5D〉
調製例5−3でのようにして得たパラジウム担持アルミナ(Pd/Al)、及び調製例5−2でのようにして得たセリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)を物理的に混合して、触媒として用いた。
【0116】
〈評価〉
下記の略号で示される参考例5A、実施例5B、比較例5C、及び実施例5Dの触媒に、0.1体積%の一酸化窒素、0.1体積%の一酸化炭素、及び残部のヘリウムを含有するモデルガスを、空間速度10,000h−1で流通させて、10℃/分の速度で、室温から800℃まで昇温する昇温過程を行い、その後、室温まで降温する降温過程を行い、上記降温過程における温度60℃での、1秒間に1個のパラジウム原子が二酸化炭素分子に酸化できる一酸化炭素分子の分子数を評価した。
【0117】
参考例5A:Pdcluster/MFI
実施例5B:Pdcluster/MFI+Cecluster/MFI(物理混合)
比較例5C:Pd/Al
実施例5D:Pd/Al+Cecluster/MFI(物理混合)
【0118】
実施例5Bの触媒で得られた結果と参考例5Aの触媒で得られた結果との比、すなわち参考例5Aの触媒にセリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)を物理混合して実施例5Bの触媒としたことによる効果を、図2Aの左側に示す。また、実施例5Dの触媒で得られた結果と比較例5Cの触媒で得られた結果との比、すなわち比較例5Cの触媒にセリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)を物理混合して実施例5Dの触媒としたことによる効果を、図2Aの右側に示す。
【0119】
図2Aに示される結果から明らかなように、セリアクラスター担持ゼオライトを物理混合して用いた実施例5B及び5Dの触媒は、セリアクラスター担持ゼオライトを用いなかった参考例5A及び比較例5Cの触媒とそれぞれ比較して、有意に優れた触媒活性を有していた。
【0120】
また、図2Aに示される結果から明らかなように、セリアクラスター担持ゼオライトとの物理混合の効果は、パラジウム担持アルミナと混合した実施例5Dの触媒と比較して、パラジウムクラスター担持ゼオライトと混合した実施例5Bの触媒の方が大きかった。
【0121】
《参考例6A、実施例6B、比較例6C、及び実施例6D》
(調製例6−1)白金クラスター担持ゼオライト(Ptcluster/MFI)の調製
ロジウムターゲットの代わりに白金ターゲットを用いたことを除いて調製例3−1でのようにして、白金クラスター担持ゼオライトを作成した。
【0122】
(調製例6−2)セリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)の調製
アセトン中にロジウムターゲットを配置するのに代えてセリウムターゲットを設置したことを除いて調製例3−1と同様にして、セリアクラスター担持ゼオライトを作成した。
【0123】
(調製例6−3)白金担持アルミナ(Pt/Al)の調製
硝酸テトラアンミン白金(II)の水溶液を用いてアルミナ粉末に白金を含浸担持し、そして300℃で2時間にわたって焼成して白金担持アルミナを作成した。
【0124】
〈参考例6A〉
調製例6−1でのようにして得た白金クラスター担持ゼオライト(Ptcluster/MFI)を触媒として用いた。
【0125】
〈実施例6B〉
調製例6−1でのようにして得た白金クラスター担持ゼオライト(Ptcluster/MFI)、及び調製例6−2でのようにして得たセリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)を物理的に混合して、触媒として用いた。
【0126】
〈比較例6C〉
調製例6−3でのようにして得た白金担持アルミナ(Pt/Al)を触媒として用いた。
【0127】
〈実施例6D〉
調製例6−3でのようにして得た白金担持アルミナ(Pt/Al)、及び調製例6−2でのようにして得たセリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)を物理的に混合して、触媒として用いた。
【0128】
〈評価〉
下記の略号で示される参考例6A、実施例6B、比較例6C、及び実施例6Dの触媒に、8体積%の酸素、0.3体積%の一酸化炭素、及び残部のヘリウムを含有するモデルガスを、空間速度10,000h−1で流通させて、10℃/分の速度で、室温から800℃まで昇温する昇温過程を行い、その後、室温まで降温する降温過程を行い、上記降温過程における温度60℃での、1秒間に1個の白金原子が二酸化炭素分子に酸化できる一酸化炭素分子の分子数を評価した。
【0129】
参考例6A:Ptcluster/MFI
実施例6B:Ptcluster/MFI+Cecluster/MFI(物理混合)
比較例6C:Pt/Al
実施例6D:Pt/Al+Cecluster/MFI(物理混合)
【0130】
実施例6Bの触媒で得られた結果と参考例6Aの触媒で得られた結果との比、すなわち参考例6Aの触媒にセリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)を物理混合して実施例6Bの触媒としたことによる効果を、図2Bの左側に示す。また、実施例6Dの触媒で得られた結果と比較例6Cの触媒で得られた結果との比、すなわち比較例6Cの触媒にセリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)を物理混合して実施例6Dの触媒としたことによる効果を、図2Bの右側に示す。
【0131】
図2Bに示される結果から明らかなように、セリアクラスター担持ゼオライトを物理混合して用いた実施例6B及び6Dの触媒は、セリアクラスター担持ゼオライトを用いなかった参考例6A及び比較例6Cの触媒とそれぞれ比較して優れた触媒活性を有していた。
【0132】
また、図2Bに示される結果から明らかなように、セリアクラスター担持ゼオライトとの物理混合の効果は、白金担持アルミナと混合した実施例6Dの触媒と比較して、白金クラスター担持ゼオライトと混合した実施例6Bの触媒の方が大きかった。
【0133】
《参考例7A、実施例7B、比較例7C、及び実施例7D》
(調製例7−1)ロジウムクラスター担持ゼオライト(Rhcluster/MFI)の調製
調製例3−1でのようにして、ロジウムクラスター担持ゼオライトを作成した。
【0134】
(調製例7−2)セリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)の調製
アセトン中にロジウムターゲットを配置するのに代えてセリウムターゲットを設置したことを除いて調製例3−1と同様にして、セリアクラスター担持ゼオライトを作成した。
【0135】
(調製例7−3)ロジウム担持アルミナ(Rh/Al)の調製
硝酸ロジウム水溶液を用いてアルミナ粉末にロジウムを含浸担持し、そして300℃で2時間にわたって焼成してロジウム担持アルミナを作成した。
【0136】
〈参考例7A〉
調製例7−1でのようにして得たロジウムクラスター担持ゼオライト(Rhcluster/MFI)を触媒として用いた。
【0137】
〈実施例7B〉
調製例7−1でのようにして得たロジウムクラスター担持ゼオライト(Rhcluster/MFI)、及び調製例7−2でのようにして得たセリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)を物理的に混合して、触媒として用いた。
【0138】
〈比較例7C〉
調製例7−3でのようにして得たロジウム担持アルミナ(Rh/Al)を触媒として用いた。
【0139】
〈実施例7D〉
調製例7−3でのようにして得たロジウム担持アルミナ(Rh/Al)、及び調製例7−2でのようにして得たセリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)を物理的に混合して、触媒として用いた。
【0140】
〈評価〉
下記の略号で示される参考例7A、実施例7B、比較例7C、及び実施例7Dの触媒に、1体積%の一酸化炭素、0.5体積%の酸素、及び残部のヘリウムを含有するモデルガスを、空間速度10,000h−1で流通させて、10℃/分の速度で、室温から800℃まで昇温する昇温過程を行い、その後、室温まで降温する降温過程を行い、上記降温過程における温度60℃での、1秒間に1個のロジウム原子が二酸化炭素分子に酸化できる一酸化炭素分子の分子数を評価した。
【0141】
参考例7A:Rhcluster/MFI
実施例7B:Rhcluster/MFI+Cecluster/MFI(物理混合)
比較例7C:Rh/Al
実施例7D:Rh/Al+Cecluster/MFI(物理混合)
【0142】
実施例7Bの触媒で得られた結果と参考例7Aの触媒で得られた結果との比、すなわち参考例7Aの触媒にセリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)を物理混合して実施例7Bの触媒としたことによる効果を、図2Cの左側に示す。また、実施例7Dの触媒で得られた結果と比較例7Cの触媒で得られた結果との比、すなわち比較例7Cの触媒にセリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)を物理混合して実施例7Dの触媒としたことによる効果を、図2Cの右側に示す。
【0143】
この結果から明らかなように、セリアクラスター担持ゼオライトを物理混合して用いた実施例7B及び6Dの触媒は、セリアクラスター担持ゼオライトを用いなかった参考例7A及び比較例7Cの触媒とそれぞれ比較して優れた触媒活性を有していた。
【0144】
また、図2Cに示される結果から明らかなように、セリアクラスター担持ゼオライトとの物理混合の効果は、ロジウム担持アルミナと混合した実施例7Dの触媒と比較して、ロジウムクラスター担持ゼオライトと混合した実施例7Bの触媒の方が大きかった。
【0145】
《参考例8A、及び実施例8B〜8E》
(調製例8−1)白金クラスター担持ゼオライト(Ptcluster/MFI)の調製
ロジウムターゲットの代わりに白金ターゲットを用いたことを除いて調製例3−1でのようにして、白金クラスター担持ゼオライトを作成した。
【0146】
(調製例8−2)セリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)の調製
アセトン中にロジウムターゲットを配置するのに代えてセリウムターゲットを設置したことを除いて調製例3−1と同様にして、セリアクラスター担持ゼオライトを作成した。
【0147】
(調製例8−3)酸化マンガンクラスター担持ゼオライト(Mncluster/MFI)の調製
アセトン中にロジウムターゲットを配置するのに代えてマンガンターゲットを設置したことを除いて調製例3−1と同様にして、酸化マンガンクラスター担持ゼオライトを作成した。
【0148】
(調製例8−4)酸化モリブデンクラスター担持ゼオライト(Mocluster/MFI)の調製
アセトン中にロジウムターゲットを配置するのに代えてモリブデンターゲットを設置したことを除いて調製例3−1と同様にして、酸化モリブデンクラスター担持ゼオライトを作成した。
【0149】
(調製例8−5)酸化バナジウムクラスター担持ゼオライト(Vcluster/MFI)の調製
アセトン中にロジウムターゲットを配置するのに代えてバナジウムターゲットを設置したことを除いて調製例3−1と同様にして、酸化バナジウムクラスター担持ゼオライトを作成した。
【0150】
〈参考例8A〉
調製例8−1でのようにして得た白金クラスター担持ゼオライト(Ptcluster/MFI)を触媒として用いた。
【0151】
〈実施例8B〉
調製例8−1でのようにして得た白金クラスター担持ゼオライト(Ptcluster/MFI)、及び調製例8−2でのようにして得たセリアクラスター担持ゼオライト(Cecluster/MFI)を物理的に混合して、触媒として用いた。
【0152】
〈実施例8C〉
調製例8−1でのようにして得た白金クラスター担持ゼオライト(Ptcluster/MFI)、及び調製例8−3でのようにして得た酸化マンガンクラスター担持ゼオライト(Mncluster/MFI)を物理的に混合して、触媒として用いた。
【0153】
〈実施例8D〉
調製例8−1でのようにして得た白金クラスター担持ゼオライト(Ptcluster/MFI)、及び調製例8−4でのようにして得た酸化モリブデンクラスター担持ゼオライト(Mocluster/MFI)を物理的に混合して、触媒として用いた。
【0154】
〈実施例8E〉
調製例8−1でのようにして得た白金クラスター担持ゼオライト(Ptcluster/MFI)、及び調製例8−5でのようにして得た酸化バナジウムクラスター担持ゼオライト(Vcluster/MFI)を物理的に混合して、触媒として用いた。
【0155】
〈比較例8F〉
調製例8−1でのようにして得た白金クラスター担持ゼオライト(Ptcluster/MFI)、及び酸化セリウム粉末を物理的に混合して、触媒として用いた。
【0156】
〈評価:二酸化炭素分子に酸化できる一酸化炭素分子の分子数〉
下記の略号で示される参考例8A、及び実施例8B〜8Eの触媒に、8体積%の酸素、0.3体積%の一酸化炭素、及び残部のヘリウムを含有するモデルガスを、空間速度10,000h−1で流通させて、10℃/分の速度で、室温から800℃まで昇温する昇温過程を行い、その後、室温まで降温する降温過程を行い、上記降温過程における温度150℃での、1秒間に1個の白金原子が二酸化炭素分子に酸化できる一酸化炭素分子の分子数を評価した。結果を図2Dに示す。
【0157】
参考例8A: Ptcluster/MFI
実施例8B: Ptcluster/MFI+Cecluster/MFI
実施例8C: Ptcluster/MFI+Mncluster/MFI
実施例8D: Ptcluster/MFI+Mocluster/MFI
実施例8E: Ptcluster/MFI+Vcluster/MFI
【0158】
この結果から明らかなように、白金クラスター担持ゼオライト(Ptcluster/MFI)に、セリア、マンガン、モリブデン、又はバナジウムクラスター担持ゼオライトを物理混合して用いた実施例8B〜8Eの触媒は、セリアクラスター担持ゼオライトを用いなかった参考例8Aの触媒と比較して優れた触媒活性を有していた。
【0159】
〈評価:酸素貯蔵能〉
下記の略号で示される参考例8A、実施例8B〜8E、及び比較例8Fの触媒に、700℃において、0.67体積%の一酸化炭素、及び残部のヘリウムを含有するガスを、空間速度30,000h−1で60分間流通させて、さらにヘリウムガスで30分間洗浄した。さらに33体積%の酸素、及び残部のヘリウムを含有するガスを、空間速度30,000h−1で60分間流通させ、そして吸着していない酸素を除去するために700℃においてヘリウムガスで60分間洗浄した。その後、0.67体積%の一酸化炭素を流通し、このときに無酸素状態でCOが燃焼して二酸化炭素に変換した量から、酸素貯蔵能(OSC)を測定した。金属酸化物クラスター又は粉末を構成する金属原子1つあたりに貯蔵される酸素原子数として求めた結果を下記に示す。
【0160】
参考例8A: Ptcluster/MFI
0.00(酸素原子数/金属原子数)
実施例8B: Ptcluster/MFI+Cecluster/MFI
0.34(酸素原子数/金属原子数)
実施例8C: Ptcluster/MFI+Mncluster/MFI
0.12(酸素原子数/金属原子数)
実施例8D: Ptcluster/MFI+Mocluster/MFI
0.95(酸素原子数/金属原子数)
実施例8E: Ptcluster/MFI+Vcluster/MFI
0.45(酸素原子数/金属原子数)
比較例8F: Ptcluster/MFI+CeO粉末
0.039(酸素原子数/金属原子数)
【0161】
白金クラスター担持ゼオライト(Ptcluster/MFI)に、セリア、マンガン、モリブデン、又はバナジウムクラスター担持ゼオライトを物理混合して用いた実施例8B〜8Eの触媒は、白金クラスター担持ゼオライト(Ptcluster/MFI)に、セリア粉末を物理混合して用いた実施例8Fの触媒に比べて、金属酸化物クラスター又は粉末を構成する金属原子1つあたりに貯蔵される酸素原子数が有意に多かった。
【0162】
金属酸化物クラスター又は粉末を構成する金属原子1つあたりに貯蔵される酸素原子数に、参考例8A、及び実施例8B〜8Eの触媒に担持されている金属酸化物クラスター又は粉末を構成する金属の原子数を掛け合わせて得られた値、すなわち参考例8A、及び実施例8B〜8Eの触媒に貯蔵される酸素原子のモル数を図2Eに示す。
【0163】
図2D及びEの結果から明らかなように、図2Dで示される白金原子が二酸化炭素分子に酸化できる一酸化炭素分子の数は、図2Eで示される触媒に貯蔵される酸素原子の数に相関していることが理解される。
【0164】
《比較例9A、及び実施例9B〜9D》
〈比較例9A〉
チャバサイト(CHA13)型ゼオライトを、真空中において、室温から100℃までを2℃/分の速度で加熱し、100℃から200℃までを5℃/分の速度で加熱し、200℃から800℃までを10℃/分の速度で加熱し、800℃で5分間にわたって保持し、800℃から900℃までを10℃/分の速度で加熱し、900℃で5分間にわたって保持し、900℃から1000℃までを10℃/分の速度で加熱し、そして1000℃で5分にわたって保持して、熱耐久を行った。この熱耐久の前後で、X線回折分析(XRD)装置(スペクトリス社製、型番X’ Pert PRO MRD)によってXRD結果を得た。結果を図23Aに示す。
【0165】
〈実施例9B〉
アセトン中にロジウムターゲットを配置するのに代えてセリウム(Ce)ターゲットを設置したこと、及びゼオライトとして比較例9Aで用いたCHA型ゼオライトを用いたことを除いて調製例3−1と同様にして、セリアクラスター担持ゼオライト(CeO/CHA13)を作成した。
【0166】
得られたセリアクラスター担持ゼオライトについて、比較例9Aと同様に熱耐久を行い、熱耐久の前後で、X線回折分析を行ってXRD結果を得た。結果を図23Bに示す。
【0167】
〈実施例9C〉
アセトン中にロジウムターゲットを配置するのに代えてジルコニウム(Zr)ターゲットを設置したこと、及びゼオライトとして比較例9Aで用いたCHA型ゼオライトを用いたことを除いて調製例3−1と同様にして、ジルコニアクラスター担持ゼオライト(ZrO/CHA13)を作成した。
【0168】
得られたジルコニアクラスター担持ゼオライトについて、比較例9Aと同様に熱耐久を行い、熱耐久の前後で、X線回折分析を行ってXRD結果を得た。結果を図23Cに示す。
【0169】
〈実施例9D〉
アセトン中にロジウムターゲットを配置するのに代えてアルミニウム(Al)ターゲットを設置したこと、及びゼオライトとして比較例9Aで用いたCHA型ゼオライトを用いたことを除いて調製例3−1と同様にして、アルミナクラスター担持ゼオライト(Al/CHA13)を作成した。
【0170】
得られたアルミナクラスター担持ゼオライトについて、比較例9Aと同様に熱耐久を行い、熱耐久の前後で、X線回折分析を行ってXRD結果を得た。結果を図23Dに示す。
【0171】
〈評価:酸化物クラスターによるゼオライト骨格強化〉
図23A図23Dで示されている比較例9A、及び実施例9B〜9DのXRD結果のうちで、低角度側である散乱角度2θが10°付近のピークは、ゼオライトの大きい面間隔に対応するピークであり、したがって熱耐久後にこの部分のピークが維持されていることは、ゼオライトの全体的な構造が維持されていることを示唆している。
【0172】
これに関して、ゼオライトの熱耐久性を評価するために、図24において、図23A〜23Dで示した比較例9A、及び実施例9B〜9Dの熱耐久前後のXRD結果における散乱角度2θが10°付近のピーク高さの比(熱耐久後のXRD結果における散乱角度2θが10°付近のピーク高さ/熱耐久前のXRD結果における散乱角度2θが10°付近のピーク高さ)を比較している。図24に示されているように、ゼオライトの細孔内に酸化物クラスターが担持されている実施例9B〜9Dではいずれも、酸化物クラスターが担持されていない比較例9Aと比較して、熱耐久後の散乱角度2θが10°付近のピーク高さの比が大きく、したがってゼオライトの全体的な構造が維持されていることを示唆している。
【0173】
なお、参考までに、CHA型ゼオライトの細孔に特定の金属酸化物クラスターが挿入された場合の、ゼオライトと金属酸化物クラスターとの間の結合エネルギーを構造計算によって求めた。結果を下記に示す:
Al: 0.8eV
Al: 0.6eV
Fe: 3.2eV
Fe: 2.4eV
Zn: 3.0eV
Zr: 3.2eV
Ce: 2.0eV
【0174】
この構造計算の結果で示されているように、ゼオライトの細孔に金属酸化物クラスターが挿入された場合の、ゼオライトと金属酸化物クラスターとの間の結合エネルギーは、いずれも正であり、これは金属酸化物クラスターの挿入によってゼオライトが安定化することを示している。
【0175】
《参考実施例及び参考比較例》
特許文献4において実施例及び比較例として記載された以下の参考実施例及び参考比較例では、本発明の方法によってゼオライトの細孔内に触媒金属クラスターを担持できること、及びこのように細孔内に触媒金属クラスターを担持している担持触媒が優れた排ガス浄化性能を有することを示す。
【0176】
《参考実施例1〜2、及び参考比較例1》
参考実施例1〜2、及び参考比較例1では、アセトン中における金ターゲットのレーザーアブレーション法によって金クラスターを形成し、この金クラスターを担体粒子に担持して、金クラスター担持触媒を調製した。参考実施例1〜2、及び参考比較例1で得られた触媒について、蛍光スペクトルを評価した。
【0177】
〈参考実施例1〉
図1B(a)に示すように、担体粒子(図示せず)を分散させた分散媒としてのアセトン11を容器13に入れ、アセトン11中に金のターゲット12を設置し、レンズ14を通して、レーザー15を、アセトン11中の金のターゲット12に照射して、レーザーアブレーションによって金クラスター16をアセトン中で形成した。このようにして形成された金クラスター16は、正の電荷を帯びており、それによって、図1B(b)に示すように、ゼオライト担体粒子20の担体粒子の負の電荷を有する箇所、すなわち酸点に電気的に引き寄せられて担持された。
【0178】
ここで、レーザー光は、Nd:YAGレーザーの基本波(1064nm、10Hz)であり、その強度は2Wであった。
【0179】
クラスターを担持している担体粒子をアセトンから取り出し、約25℃で約1時間にわたって乾燥し、そして300℃で2時間にわたって焼成して、参考実施例1の金クラスター担持触媒を得た。
【0180】
この参考実施例1では、担体粒子及びレーザー照射時間は下記のとおりであった:
担体粒子:ZSM−5型ゼオライト(MFI)(Si/Al比:1500)
レーザー照射時間:2時間45分
【0181】
〈参考実施例2〉
担体粒子及びレーザー照射時間を下記のようにしたことを除いて参考実施例1と同様にして、参考実施例2の金クラスター担持触媒を得た:
担体粒子:ZSM−5型ゼオライト(MFI)(Si/Al比:1500)
レーザー照射時間:12時間30分
【0182】
なお、担体粒子や金の板の表面状態によりアブレーション効率が異なるため、この参考実施例2及び下記の参考比較例1では、レーザーアブレーション時間を調節して、金のアブレーション量が参考実施例1と同程度になるようにした。ここで、金のアブレーション量は、分散媒の色の変化から判断した。
【0183】
〈参考比較例1〉
担体粒子及びレーザー照射時間を下記のようにしたことを除いて参考実施例1と同様にして、参考比較例1の金クラスター担持触媒を得た:
担体粒子:フュームドシリカ
レーザー照射時間:30分
【0184】
〈評価:蛍光スペクトル〉
参考実施例1〜2、及び参考比較例1の金クラスター担持触媒について、蛍光スペクトル測定(励起波長:350nm)を行った。蛍光スペクトルの評価結果を、金1mg当たりの強度に規格化したグラフを図3(a)に示す。ここで、図3(a)において、参考実施例1についての結果はスペクトル(i)で示しており、参考実施例2についての結果はスペクトル(ii)で示しており、かつ参考比較例1についての結果はスペクトル(iii)で示している。
【0185】
図3(a)において、400nm付近の蛍光シグナルは、8量体程度の金クラスターからの蛍光発光が重なったスペクトルである。したがって、この図3(a)は、参考実施例1及び2の金クラスター担持触媒、特に参考実施例1の金クラスター担持触媒では、8量体前後の金クラスターが比較的多量に担体粒子に担持されていることを意味している。
【0186】
図3(b)は、検討のために、図3(a)のスペクトルに基づいて、参考実施例1についての結果(スペクトル(i))を1倍にし、参考実施例2についての結果(スペクトル(ii))を8倍にし、かつ参考比較例1についての結果(スペクトル(iii))を60倍に拡大したものである。
【0187】
ゼオライトに金クラスターを担持した参考実施例1及び2についての結果(スペクトル(i)及び(ii))と比較して、フュームドシリカに金クラスターを担持した参考比較例1についての結果(スペクトル(iii))は、長波長にシフトしている。これは、参考比較例1のフュームドシリカに担持に担持された金クラスターは、参考実施例1及び2のゼオライトに担持された金クラスターよりも、粒径が大きいことを示唆している。なお、550nm付近のピークは、クラスターと同時に担体粒子表面に付着したナノ粒子によるミー散乱に由来するものである。
【0188】
〈他の金属〉
上記の参考実施例1〜2及び参考比較例1では、金ターゲットを用いて金クラスターを形成した。これに対して、下記の金属についても、参考実施例1と同様にして、これらの金属のターゲットを用いる液中レーザーアブレーション法によって、これらの金属のクラスターを形成できることを確認した:
アルミニウム、ケイ素、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ジルコニウム、ニオブ、銀、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、インジウム、スズ、タンタル、タングステン、イリジウム、白金、セリウム。
【0189】
また、これらの金属のクラスターのうちの、銅、銀、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、白金については、励起光で照射したときに蛍光が観察されることを確認した。またこれらの金属クラスターのうち銅、銀、ロジウム、ルテニウム、及び白金については、イオン交換−還元法で作成したクラスターをゼオライト担体粒子についても、励起光で照射したときに蛍光が観察されることを確認した。
【0190】
《参考実施例3》
参考実施例3では、金ターゲットの代わりに銅ターゲットを用いたこと、ゼオライト担体粒子としてZSM−5型ゼオライト担体粒子(MFI)(Si/Al比:40)を用いたことを除いて参考実施例1と同様にして、銅クラスターをゼオライト担体粒子に担持した銅クラスター担持触媒を調製した。また、得られた触媒について、蛍光スペクトルを評価した。
【0191】
なお、銅は金とは異なり、空気中で酸化されるため、調製直後の銅クラスターは酸化物の状態であった。したがって、調製直後の銅クラスター担持触媒は蛍光を発しなかった。
【0192】
そこで、得られた銅クラスター担持触媒を、水素雰囲気下において300℃で2時間にわたって加熱して還元処理を行い、その後で、蛍光強度を評価した。それによれば、還元処理をしたこの銅クラスター担持触媒は、蛍光を示していた。蛍光強度評価(励起波長350nm)の結果を、図4にスペクトル(i)として示している。このスペクトル(i)において、400〜500nmの蛍光は、銅の8量体及び9量体の既報の蛍光シグナルと合致する。
【0193】
その後、この還元処理を行った銅クラスター担持触媒を、大気雰囲気で一晩にわたって放置して酸化処理し、そして再び蛍光強度を評価した。それによれば、大気雰囲気で放置したこの銅クラスター担持触媒は、大気雰囲気での放置前と比較して弱まっていたものの、蛍光を示していた。蛍光強度評価の結果を、図4にスペクトル(ii)として示している。
【0194】
また、その後、この大気雰囲気で放置した銅クラスター担持触媒に、再び上記の還元処理を行い、そして再び蛍光強度を評価した。それによれば、再び還元処理を行ったこの銅クラスター担持触媒は、大気雰囲気での放置前と同等の蛍光を示していた。蛍光強度評価の結果を、図4にスペクトル(iii)として示している。
【0195】
このように酸化処理及び還元処理を行った後で、銅クラスター担持触媒がこれらの処理の前と同等の蛍光を示すことは、銅クラスターがゼオライト担体粒子の細孔内に保持されており、それによってこれらの処理によっては銅クラスターの凝集等の変化が生じないことを示唆している。
【0196】
《参考実施例4及び参考比較例2》
参考実施例4及び参考比較例2では、ロジウムクラスター担持触媒(参考実施例4)及び市販の排ガス浄化触媒(参考比較例2)の触媒活性を評価した。
【0197】
具体的には、参考実施例4及び参考比較例2は下記のようにして実施した。
【0198】
〈参考実施例4〉
参考実施例4では、金ターゲットの代わりにロジウムターゲットを用いたこと、及びゼオライト担体粒子としてベータ型ゼオライト担体粒子(BEA)(Si/Al比:40)を用いたことを除いて参考実施例1と同様にして、ロジウムクラスターをゼオライト担体粒子に担持した。
【0199】
得られたロジウムクラスター担持触媒(Rhcluster/BEA)30mgに、下記の組成の評価ガスを流通させつつ、電気炉で約24時間にわたって、12℃/分の加熱速度で室温から640℃〜800℃のピーク加熱温度まで加熱し、そして室温まで放冷する操作を繰り返して、供給された一酸化炭素のうちの50%が消費される温度(TCO(50%))を評価した:
一酸化炭素(CO):0.3%
酸素(O):8%
ヘリウム(He):残部
【0200】
上記の加熱及び放冷の反復工程の温度変化は、図5で示すように、後半になるに従ってピーク加熱温度が高くなり、全体で約24時間かかった。
【0201】
この加熱及び放冷の反復工程において、評価ガスの温度をピーク加熱温度まで上げながら、すなわち昇温過程で評価を行った。また、同様に、この加熱及び放冷の反復工程において、評価ガスの温度をピーク加熱温度から下げながら、すなわち降温過程で評価を行った。
【0202】
〈参考比較例2〉
参考までに、参考比較例2としての市販の排ガス浄化触媒(Rh/Al−CeO−ZrO)について、参考実施例4と同様にして、昇温過程及び降温過程で評価を行った。
【0203】
〈評価:耐久性〉
昇温過程及び降温過程での評価結果を、参考実施例4の結果と参考比較例2の結果の差((参考実施例4のTCO(50%))−(参考比較例2のTCO(50%)))として、それぞれ図6(a)及び(b)に示している。この差の値がマイナスであることは、参考実施例4のTCO(50%)が参考比較例2のTCO(50%)よりも低いこと、すなわち、参考実施例4の触媒の低温活性が優れていることを示している。なお、図6において、横軸は、促進劣化処理を行った温度(図5におけるピークの温度)を示している。
【0204】
図6(a)及び(b)からは、参考実施例4の触媒は、ピーク加熱温度が上がるに従って、参考比較例2の触媒に対して優れた排ガス浄化性能を提供することが理解される。これは、参考実施例4の触媒が、参考比較例2の触媒と比較して劣化しにくいことを示している。
【0205】
理論に限定されるものではないが、参考比較例2の触媒では、単原子レベルからサブマイクロメートルレベルの様々な大きさのロジウムが担体に担持されていることによって、ピーク加熱温度の熱によってランダムにロジウム粒子のシンタリングが発生し、劣化したのに対し、参考実施例4の触媒では、ロジウムクラスターがゼオライトの細孔内に安定に維持されていることによって、ピーク加熱温度の熱によって劣化しなかったことによると考えられる。
【0206】
なお、ピーク加熱温度が640℃及び660℃の場合の変化は、ゼオライトに吸着していた水分子を除去する焼成過程の変化であるので、実質的には、ピーク加熱温度が700℃以上の場合の変化から触媒活性を評価する必要がある。
【0207】
《参考実施例5及び参考比較例3》
参考実施例5及び参考比較例3では、ロジウムクラスターをゼオライト担体粒子又はフュームドシリカ担体粒子に担持した触媒を得、得られた触媒について、これらの触媒の耐久性を評価した。
【0208】
具体的には、参考実施例5及び参考比較例3は下記のようにして実施した。
【0209】
〈参考実施例5〉
参考実施例5では、金ターゲットの代わりにロジウムターゲットを用いたこと、及びゼオライト担体粒子としてベータ型ゼオライト担体粒子(BEA)(Si/Al比:40)を用いたことを除いて参考実施例1と同様にして、ロジウムクラスターをゼオライト担体粒子に担持した。
【0210】
得られたロジウムクラスター担持触媒(Rhcluster/BEA)について、参考実施例4と同様にして、昇温過程及び降温過程で、供給された一酸化炭素のうちの50%が消費される温度(TCO(50%))を評価した。
【0211】
〈参考比較例3〉
参考比較例3では、金ターゲットの代わりにロジウムターゲットを用いたこと、及び担体粒子としてフュームドシリカ粒子を用いたことを除いて参考実施例1と同様にして、ロジウムクラスターをフュームドシリカ粒子に担持した。
【0212】
このロジウムクラスター担持触媒(Rhcluster/シリカ)について、参考実施例4と同様にして、昇温過程及び降温過程で、供給された一酸化炭素のうちの50%が消費される温度(TCO(50%))を評価した。
【0213】
〈評価:耐久性〉
昇温過程及び降温過程での評価結果を、参考実施例5の結果と参考比較例3の結果の差((参考実施例5のTCO(50%))−(参考比較例3のTCO(50%)))として、それぞれ図7(a)及び(b)に示している。この差の値がマイナスであることは、参考実施例5のTCO(50%)が参考比較例3のTCO(50%)よりも低いこと、すなわち、参考実施例5の触媒の低温活性が優れていることを示している。なお、図7において、横軸は、促進劣化処理を行った温度(図5におけるピークの温度)を示している。
【0214】
図7(a)及び(b)からは、ロジウムクラスターがベータ型ゼオライト担体粒子(BEA)に担持されている参考実施例5の触媒(Rhcluster/BEA)は、ロジウムクラスターがフュームドシリカ担体粒子に担持されている参考比較例3の触媒(Rhcluster/シリカ)と比較して、全てのピーク加熱温度について有意に優れた低温活性を有することが理解される。
【0215】
理論に限定されるものではないが、これは、参考比較例3の触媒で用いられているフュームドシリカは細孔を有さないために、ロジウムクラスターがその表面に担持されているだけであるので、担体へのロジウムクラスターの担持の間及び/又は促進劣化処理の間に、ロジウムクラスターが凝集又は粒成長していたことによると考えられる。すなわち、これは、参考実施例5の触媒のロジウムクラスターが、ゼオライト担体の細孔内に安定に維持されているのに対して、参考比較例3の触媒のロジウムクラスターは、フュームドシリカ担体の外表面上に存在していることによると考えられる。
【0216】
《参考実施例6及び参考比較例4》
参考実施例6及び参考比較例4では、ロジウムクラスターをゼオライト担体粒子に担持し又は担持せずに触媒を得、そして得られた触媒について、耐久性を評価した。
【0217】
具体的には、参考実施例6及び参考比較例4は下記のようにして実施した。
【0218】
〈参考実施例6〉
参考実施例6では、金ターゲットの代わりにロジウムターゲットを用いたこと、及びゼオライト担体粒子としてZSM−5型ゼオライト担体粒子(MFI)(Si/Al比:40)を用いたことを除いて参考実施例1と同様にして、ロジウムクラスターをゼオライト担体粒子に担持した。
【0219】
得られたロジウムクラスター担持触媒(Rhcluster/MFI)について、参考実施例4と同様にして、昇温過程及び降温過程で、供給された一酸化炭素のうちの50%が消費される温度(TCO(50%))を評価した。
【0220】
〈参考比較例4〉
参考比較例4では、金ターゲットの代わりにロジウムターゲットを用いたこと、及び担体粒子を用いなかったことを除いて参考実施例1と同様にして、ロジウムクラスターをアセトン中に分散させた。その後、このロジウムクラスターが凝集してロジウムクラスター凝集粒子を形成した段階で、ゼオライト担体粒子としてZSM−5型ゼオライト担体粒子(MFI)(Si/Al比:40)をアセトンに加えて、このロジウムクラスター凝集粒子をZSM−5型ゼオライト担体粒子(MFI)に担持して、参考比較例4の触媒(Rhparticle/MFI)を調製した。
【0221】
このロジウム凝集粒子担持触媒(Rhparticle/MFI)について、参考実施例4と同様にして、昇温過程及び降温過程で、供給された一酸化炭素のうちの50%が消費される温度(TCO(50%))を評価した。
【0222】
〈評価:耐久性〉
昇温過程及び降温過程での評価結果を、参考実施例6の結果と参考比較例4の結果の差((参考実施例6のTCO(50%))−(参考比較例4のTCO(50%)))として、それぞれ図8(a)及び(b)に示している。この差の値がマイナスであることは、参考実施例6のTCO(50%)が参考比較例4のTCO(50%)よりも低いこと、すなわち、参考実施例6の触媒の低温活性が優れていることを示している。なお、図8において、横軸は、促進劣化処理を行った温度(図5におけるピークの温度)を示している。
【0223】
図8(a)及び(b)からは、ロジウムクラスターがZSM−5型ゼオライト担体粒子(MFI)に担持されている参考実施例6の触媒(Rhcluster/MFI)は、ロジウムクラスター凝集粒子がZSM−5型ゼオライト担体粒子(MFI)に担持されている参考比較例4の触媒(Rhparticle/MFI)と比較して、全てのピーク加熱温度について有意に優れた低温活性を有することが理解される。
【0224】
理論に限定されるものではないが、これは、参考実施例6の触媒で用いられているロジウムクラスターの粒子径が、参考比較例4の触媒で用いられているロジウムクラスター凝集粒子の粒子径よりも有意に小さく、それによってクラスター特有の低温触媒活性が発現したこと、及び触媒反応のための比較的大きい表面積を提供できたことによると考えられる。
【0225】
《参考実施例7〜10》
参考実施例7〜10では、ロジウムクラスターをゼオライト担体粒子に担持して触媒を得、そして得られた触媒について、耐久性を評価した。
【0226】
具体的には、参考実施例7〜10は下記のようにして実施した。
【0227】
参考実施例7〜10では、金ターゲットの代わりにロジウムターゲットを用いたこと、及びそれぞれゼオライト担体粒子として下記の担体粒子を用いたことを除いて参考実施例1と同様にして、ロジウムクラスターをゼオライト担体粒子に担持した。
参考実施例7:ZSM−5型ゼオライト担体粒子(MFI)(Si/Al比:1500)
参考実施例8:ベータ型ゼオライト担体粒子(BEA)(Si/Al比:1500)
参考実施例9:ベータ型ゼオライト担体粒子(BEA)(Si/Al比:40)
参考実施例10:ZSM−5型ゼオライト担体粒子(MFI)(Si/Al比:40)
【0228】
得られた参考実施例7〜10のロジウムクラスター担持触媒について、参考実施例4と同様にして、昇温過程及び降温過程で、供給された一酸化炭素のうちの50%が消費される温度(TCO(50%))を評価した。
【0229】
〈評価:耐久性〉
昇温過程及び降温過程での評価結果を、参考実施例7〜10の結果と参考比較例2(市販の排ガス浄化触媒)の結果の差((参考実施例7〜10のTCO(50%))−(参考比較例2のTCO(50%)))として、それぞれ図9(a)及び(b)に示している。この差の値がマイナスであることは、参考実施例7〜10のTCO(50%)が参考比較例2のTCO(50%)よりも低いこと、すなわち、参考実施例7〜10の触媒の低温活性が優れていることを示している。なお、図9において、横軸は、促進劣化処理を行った温度(図5におけるピークの温度)を示している。
【0230】
図6(a)及び(b)からは、参考実施例7〜10の触媒は、ピーク加熱温度が上がるに従って、参考比較例2の触媒に対して優れた又は同等の排ガス浄化性能を提供することが理解される。これは、参考実施例7〜10の触媒が、参考比較例2の触媒と比較して劣化しにくいことを示している。
【0231】
理論に限定されるものではないが、参考比較例2の触媒では、単原子レベルからサブマイクロメートルレベルの様々な大きさのロジウムが担体に担持されていることによって、ピーク加熱温度の熱によってランダムにロジウム粒子のシンタリングが発生し、劣化したのに対し、参考実施例7〜10の触媒では、ロジウムクラスターがゼオライトの細孔内に安定に維持されていることによって、ピーク加熱温度の熱によって劣化しなかったことによると考えられる。
【0232】
なお、参考実施例7の触媒は、参考比較例2の触媒と比較して800℃までの温度範囲で劣った触媒性能を示していたが、図9(a)及び(b)の曲線からは、更に促進劣化処理を継続した場合には、参考実施例7の触媒の性能が参考比較例2の触媒の性能を上回ることは明らかに理解される。
【0233】
担体としてZSM−5型ゼオライト担体粒子(MFI)を使用した参考実施例7及び10について検討すると、Si/Al比が40のZSM−5型ゼオライト担体粒子(MFI(40))を用いた参考実施例10の触媒は、Si/Al比が1500のZSM−5型ゼオライト担体粒子(MFI(1500))を用いた参考実施例7の触媒と比較して、良好な触媒性能を示した。これは、Si/Al比が40のZSM−5型ゼオライト担体粒子(MFI(40))は、Si/Al比が1500のZSM−5型ゼオライト担体粒子(MFI(1500))よりも酸点が多く、それによって静電気的な作用によるロジウムクラスターのゼオライト担体粒子への担持が良好に行われたことによると考えられる。
【0234】
また、担体としてベータ型ゼオライトを使用した参考実施例8及び9について検討すると、MFIゼオライトの場合と同様に、Si/Al比が40のベータ型ゼオライト担体粒子(BEA(40))、すなわち酸点が比較的多いゼオライト担体粒子を用いた参考実施例9の触媒は、Si/Al比が1500のベータ型ゼオライト担体粒子(BEA(1500))、すなわち酸点が比較的少ないゼオライト担体粒子を用いた参考実施例8の触媒と比較して、良好な触媒性能を示した。
【0235】
ただし、ベータ型ゼオライト担体粒子(BEA)を用いた場合には、Si/Al比の差による触媒性能の違いは、ZSM−5型ゼオライト担体粒子(MFI)を用いた場合ほどではなかった。これは、ベータ型ゼオライト担体粒子(BEA)は、本質的に表面固体酸強度が大きいので、酸点の量の差による違いの影響が出にくかったことによると考えられる。
【0236】
参考までに、参考実施例7〜10で用いたゼオライト担体粒子のゼータ電位(固体酸強度の指標)は、下記のとおりである:
参考実施例7:ZSM−5型ゼオライト担体粒子(MFI(1500)):−72.7mV
参考実施例8:ベータ型ゼオライト担体粒子(BEA(1500)):−96.8mV
参考実施例9:ベータ型ゼオライト担体粒子(BEA(40)):−117mV
参考実施例10:ZSM−5型ゼオライト担体粒子(MFI(40)):−87mV
【0237】
すなわち、ベータ型ゼオライト担体粒子(BEA)では、Si/Al比が大きくてもゼータ電位が低く、それによって静電気的な作用によるロジウムクラスターのゼオライト担体粒子への担持が良好に行われたと考えられる。
【0238】
なお、この理解を確認するために、MFI(40)(ゼータ電位:−87mV)及び(MFI(1500))(ゼータ電位:−72.7mV)に、液中レーザーアブレーションでロジウム粒子を担持させたところ、担体粒子にロジウム粒子が担持されたことによる担体粒子の着色が、MFI(40)において、MFI(1500)よりも顕著に起こった。
【0239】
これによれば、ゼータ電位が比較的小さい、すなわち酸強度が比較的大きいMFI(40)に対しては、ロジウム粒子と担体粒子の酸点との静電的相互作用によって、ロジウム粒子が担体粒子に比較的良好に担持されたことが理解される。
【0240】
《参考実施例11及び12》
参考実施例11及び12では、液中還元法によって銅クラスター担持触媒を得、そして得られた触媒を、蛍光を用いて評価した。
【0241】
〈参考実施例11〉
参考実施例11では、ゼオライト担体粒子を2−プロパノール中に分散させて、ゼオライト担体粒子分散液を生成し、そしてこの分散液に、銅イオン源としての塩化銅(II)、及び還元剤としての水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)を混合し、それによってこの分散液中で銅クラスターを合成した。このようにして合成された銅クラスターは正電荷を有しており、それによってゼオライト担体粒子の酸点に電気的に引き寄せられて担持された。
【0242】
具体的には、塩化銅(II)及び水素化ホウ素ナトリウムの混合は図10に示されているような装置を用いて行った。
【0243】
すなわち、マグネチックスターラー81上に約10℃の水浴82を配置し、その中にフラスコ83を配置し、そしてこのフラスコ83上に滴下ロート84を配置し、撹拌子81aによる撹拌を行いながら、この滴下ロート84の内容物84aを、フラスコ83の内容物83aに滴下させた。ここでは、水浴によって温度を維持しながら、1時間にわたって滴下を行い、滴下の終了後、水浴によって温度を維持しながら、更に1時間にわたって撹拌を行い、その後、室温において更に2時間にわたって撹拌を行った。その後、フラスコの内容物を濾過し、大気中において300℃の温度で2時間にわたって焼成して、参考実施例11の銅クラスター担持触媒を得た。
【0244】
参考実施例11における滴下ロート84の内容物84a及びフラスコ83の内容物83aを下記の表2にまとめている。
【0245】
〈参考実施例12〉
滴下ロート84の内容物84a及びフラスコ83の内容物83aを下記の表2に示すように変更したことを除いて参考実施例11と同様にして、参考実施例12の銅クラスター担持触媒を得た。
【0246】
【表2】
【0247】
〈評価:蛍光スペクトル〉
参考実施例11及び12で作成した銅クラスター担持触媒、並びに参照試料としての銅イオン交換ゼオライト担体粒子及びプロトン型ゼオライト担体粒子について、励起波長350nmで蛍光スペクトルを測定した。結果を図11に示す。
【0248】
図11において、参考実施例11についての結果はスペクトル(i)で示しており、参考実施例12についての結果はスペクトル(ii)で示しており、参照試料としての銅イオン交換ゼオライト担体粒子についての結果はスペクトル(iii)で示しており、かつ参照試料としてのプロトン型ゼオライト担体粒子についての結果はスペクトル(iv)で示している。
【0249】
図11から理解されるように、参考実施例11及び12、特に参考実施例11で得られた銅クラスター担持触媒は、約440nmにおいてピークを示した。このピークは、銅クラスター由来するものであると考えられる。参考実施例11で得られた銅クラスター担持触媒では、このピークは、半値幅約100nmのブロードなものであり、銅クラスター由来と考えられる。
【0250】
〈評価:蛍光スペクトル〉
また、参考実施例11で得られた銅クラスター担持触媒について、励起波長を350nmとした蛍光スペクトル、蛍光モニター波長を440nm、520nmにした励起スペクトルを測定した。結果を図12に示す。
【0251】
図12において、励起波長350nmについての結果は、蛍光スペクトル(i)で示しており、蛍光モニター波長440nmについての結果は、励起スペクトル(ii)で示しており、かつ蛍光モニター波長520nmについての結果は、励起スペクトル(iii)で示している。
【0252】
図12では銅クラスター特有の蛍光が観測されており、したがって担体粒子に銅クラスターが担持されていることが理解される。
【0253】
《参考実施例13及び参考比較例5》
参考実施例13及び参考比較例5では、それぞれ液中レーザーアブレーション法及びイオン交換−還元法を用いて、ロジウムクラスター担持触媒を得た。
【0254】
〈参考実施例13〉
参考実施例13では、金ターゲットの代わりにロジウムターゲットを用いたこと、及びゼオライト担体粒子としてZSM−5型ゼオライト担体粒子(Si/Al比:40)を用いたことを除いて参考実施例1と同様にして、液中レーザーアブレーション法でロジウムクラスターをゼオライト担体粒子に担持した。
【0255】
〈参考比較例5〉
参考比較例5では、イオン交換によってZSM−5型ゼオライト担体粒子(Si/Al比:40)にロジウムイオンを担持し、その後、このロジウムイオンを還元してゼオライト担体粒子に金属ロジウム粒子を担持して、ロジウムクラスターをゼオライト担体粒子に担持した(イオン交換−還元法)。ここで、ロジウムイオン源としては、Rh(NOを用い、かつ還元剤としては、NaBHを用いた。
【0256】
〈評価:蛍光スペクトル〉
参考実施例13及び参考比較例5の担持触媒について、蛍光スペクトル(励起波長:350nm)を測定した。蛍光スペクトルの評価結果を、ロジウム1mg当たりの強度に規格化したグラフを図13に示す。
【0257】
図13からは、イオン交換−還元法を用いた参考比較例5と比較して、液中レーザーアブレーションを用いた参考実施例13では、蛍光のピークが大きいこと、すなわち比較的多くのロジウム粒子がクラスターの状態でゼオライト担体粒子に担持されていることが理解される。
【0258】
《参考実施例14及び参考比較例6》
参考実施例14及び参考比較例6では、それぞれ液中レーザーアブレーション法及びイオン交換−還元法を用いて、金クラスター担持触媒を得た。
【0259】
〈参考実施例14〉
参考実施例14では、ゼオライト担体粒子としてZSM−5型ゼオライト担体粒子(MFI)(Si/Al比:1500)を用いたことを除いて参考実施例1と同様にして、液中レーザーアブレーション法で金クラスターをゼオライト担体粒子に担持した。
【0260】
〈参考比較例6〉
参考比較例6では、イオン交換によってZSM−5型ゼオライト担体粒子(MFI)(Si/Al比:1500)に金イオンを担持し、その後、この金イオンを還元して、金クラスターをゼオライト担体粒子に担持した(イオン交換−還元法)。ここで、金イオン源としては、塩化金酸(HAuCl)を用い、かつ還元剤としては、NaBHを用いた。
【0261】
〈評価:全体組成評価(ICP−OES)〉
参考実施例14及び参考比較例6の担持触媒について、誘導結合プラズマ分光分析装置(ICP−OES装置)(アジレント・テクノロジー製のAgilent5100、及び日立ハイテクサイエンス製のSPS3000)を用いて、担持触媒全体の元素組成を評価した。結果を下記の表3に示している。
【0262】
〈評価:表面組成評価(TEM−EDX)〉
参考実施例14及び参考比較例6の担持触媒について、透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(TEM−EDX)(日本電子製のJEM−2100F及びJED−2300)を用いて、担持触媒表面の元素組成を評価した。結果を下記の表3に示している。
【0263】
【表3】
【0264】
上記の表3からは、液中レーザーアブレーション法で得られた参考実施例14の担持触媒は、イオン交換還元法で得られた参考比較例6の担持触媒と比較して、全体における金元素の割合と表面における金元素の割合との比が小さいこと、すなわち金クラスターが比較的均一に担持触媒中に分散していることが理解される。
【0265】
《参考実施例15及び参考比較例7》
参考実施例15及び参考比較例7では、それぞれ液中レーザーアブレーション法及びイオン交換−還元法を用いて、ロジウムクラスター担持触媒を得た。
【0266】
〈参考実施例15〉
参考実施例15では、金ターゲットの代わりにロジウムターゲットを用いたこと、及びゼオライト担体粒子としてZSM−5型ゼオライト担体粒子(Si/Al比:40)を用いたことを除いて参考実施例1と同様にして、液中レーザーアブレーション法でロジウムクラスターをゼオライト担体粒子に担持した。ゼオライト担体粒子に対するロジウムの担持量は、0.1質量%であった。
【0267】
〈参考比較例7〉
参考比較例7では、イオン交換によってZSM−5型ゼオライト担体粒子(Si/Al比:40)にロジウムイオンを担持し、その後、この金属イオンを還元してゼオライト担体粒子に金属ロジウム粒子を担持して、ロジウムクラスターをゼオライト担体粒子に担持した(イオン交換−還元法)。ここで、ロジウムイオン源としては、Rh(NOを用い、かつ還元剤としては、NaBHを用いた。ゼオライト担体粒子に対するロジウムの担持量は、0.051質量%であった。
【0268】
〈評価:H−TPR試験(熱耐久前)〉
参考実施例15及び参考比較例7の担持触媒について、30℃で1時間にわたって100体積%酸素雰囲気中で酸素を吸着させ、500℃で1時間にわたってヘリウム雰囲気中において過剰な酸素を除去して前処理を行った。
【0269】
前処理を行った上記の担持触媒について、0.5体積%の水素及び残部のヘリウムを含有する還元ガスを、10℃/分の速度で20℃から昇温させつつ、空間速度10,000h−1で流通させて、水素昇温還元法試験(H−TPR)試験を行った。
【0270】
参考実施例15の担持触媒についての結果を図14(a)に示し、また参考比較例7の担持触媒についての結果を図15(a)に示す。図14(a)の矢印で示されるピークのピーク/ノイズ比は、35.7(ノイズレベル:0.000215%)であり、図14(b)の矢印で示されるピークのピーク/ノイズ比は、5.12(ノイズレベル:0.000394%)であった。
【0271】
これらの図からは、参考実施例15及び参考比較例7のいずれの担持触媒も、供給された水素とクラスター担持触媒に吸着した酸素との比較的大きい反応のピーク、すなわちピーク/ノイズ比が2.0以上であるピークを、150℃以下の温度範囲に有すること、すなわち低温活性を有することが理解される。
【0272】
〈評価:H−TPR試験(熱耐久後)〉
参考実施例15及び参考比較例7の担持触媒について、20体積%の酸素及び残部のヘリウムを含有する800℃の雰囲気において、2時間にわたって加熱し、その後、0.5体積%の水素及び残部のヘリウムを含有する800℃の雰囲気において、1時間にわたって加熱して、熱耐久処理を行った。
【0273】
熱耐久処理を行った上記の担持触媒について、上記のように前処理を行った。
【0274】
前処理を行った上記の担持触媒について、上記のようにH−TPR試験を行った。
【0275】
参考実施例15の担持触媒についての結果を図14(b)に示し、また参考比較例7の担持触媒についての結果を図15(b)に示す。図15(a)の矢印で示されるピークのピーク/ノイズ比は、7.76(ノイズレベル:0.000326%)であり、図15(b)の矢印で示されるピークのピーク/ノイズ比は、1.62(ノイズレベル:0.000377%)であった。
【0276】
図14(b)からは、参考実施例15の担持触媒は、比較的大きい反応のピークを150℃以下の温度範囲に有すること、すなわち低温活性を有することが理解される。また、図15(b)からは、参考比較例7の担持触媒は、実質的なピークを150℃以下の温度範囲に有さないこと、すなわちピーク/ノイズ比が2.0以上であるピークを有さないことが理解される。このように参考比較例7の担持触媒が実質的なピークを150℃以下の温度範囲に有さないことは、低温活性を有さないことを意味している。すなわち、イオン交換−還元法で得られた参考比較例7の担持触媒では、クラスター粒子の分散性が低く、それによって耐熱性が劣っていたことが理解される。
【0277】
《参考実施例16及び参考比較例8》
参考実施例16及び参考比較例8では、それぞれ液中レーザーアブレーション法及びイオン交換−還元法を用いて、パラジウムクラスター担持触媒を得た。
【0278】
〈参考実施例16〉
参考実施例16では、金ターゲットの代わりにパラジウムターゲットを用いたこと、及びゼオライト担体粒子としてZSM−5型ゼオライト担体粒子(Si/Al比:40)を用いたことを除いて参考実施例1と同様にして、液中レーザーアブレーション法でパラジウムクラスターをゼオライト担体粒子に担持した。ゼオライト担体粒子に対するパラジウムの担持量は、0.09質量%であった。
【0279】
〈参考比較例8〉
参考比較例8では、イオン交換によってZSM−5型ゼオライト担体粒子(Si/Al比:40)にパラジウムイオンを担持し、その後、このパラジウムイオンを還元してゼオライト担体粒子に金属パラジウム粒子を担持して、パラジウムクラスターをゼオライト担体粒子に担持した(イオン交換−還元法)。ここで、パラジウムイオン源としては、Pd(NHCl・HO(テトラアンミンパラジウム(II)クロリド一水和物)を用い、かつ還元剤としては、NaBHを用いた。ゼオライト担体粒子に対するパラジウムの担持量は、0.86質量%であった。
【0280】
〈評価:一酸化炭素酸化試験〉
参考実施例16及び参考比較例8の担持触媒について、20体積%の酸素及び残部のヘリウムを含有する800℃の雰囲気において、10時間にわたって加熱して、熱耐久処理を行った。
【0281】
熱耐久処理を行った上記の担持触媒に、0.3体積%の一酸化炭素、8.0体積%の酸素、及び残部のヘリウムを含有するモデルガスを、空間速度10,000h−1で流通させて、10℃/分の速度で、室温から800℃まで昇温する昇温過程を行い、その後、室温まで降温する降温過程を行い、上記降温過程における温度100℃での、1個のパラジウム原子が二酸化炭素分子に酸化できる一酸化炭素分子の分子数を評価した。
【0282】
なお、この分子数は、1秒間に流れる反応後のモデルガス中の二酸化炭素分子のモル数を、担持触媒中の触媒金属であるパラジウムのモル数で割ることによって、得ることができる。
【0283】
参考実施例16及び参考比較例8の担持触媒についての結果を図16に示す。図16からは、レーザーアブレーション法で得られた参考実施例16の担持触媒では、1個のパラジウム原子が二酸化炭素分子に酸化できる一酸化炭素分子の分子数が0.008個近く、他方で、イオン交換−還元法で得られた参考比較例8の担持触媒では、この数が0.002個に達していないことが分かった。これは、イオン交換−還元法で得られた参考比較例8の担持触媒では、クラスター粒子の分散性が低く、それによって耐熱性が劣っていたことを示している。
【0284】
《参考実施例17及び参考比較例9》
参考実施例17及び参考比較例9では、それぞれ液中レーザーアブレーション法及びイオン交換−還元法を用いて、白金クラスター担持触媒を得た。
【0285】
〈参考実施例17〉
参考実施例17では、金ターゲットの代わりに白金ターゲットを用いたこと、及びゼオライト担体粒子としてZSM−5型ゼオライト担体粒子(Si/Al比:40)を用いたことを除いて参考実施例1と同様にして、液中レーザーアブレーション法で白金クラスターをゼオライト担体粒子に担持した。ゼオライト担体粒子に対する白金の担持量は、1.1質量%であった。
【0286】
〈参考比較例9〉
参考比較例9では、イオン交換によってZSM−5型ゼオライト担体粒子(Si/Al比:40)に白金イオンを担持し、その後、この白金イオンを還元してゼオライト担体粒子に金属白金粒子を担持して、白金クラスターをゼオライト担体粒子に担持した(イオン交換−還元法)。ここで、白金イオン源としては、Pt(NHCl・xHO(テトラアンミン白金(II)クロリド水和物)を用い、かつ還元剤としては、NaBHを用いた。ゼオライト担体粒子に対する白金の担持量は、1.9質量%であった。
【0287】
〈評価:一酸化炭素酸化試験〉
参考実施例17及び参考比較例9の担持触媒について、20体積%の酸素及び残部のヘリウムを含有する800℃の雰囲気において、10時間にわたって加熱して、熱耐久処理を行った。
【0288】
熱耐久処理を行った上記の担持触媒に、0.3体積%の一酸化炭素、8.0体積%の酸素、及び残部のヘリウムを含有するモデルガスを、空間速度10,000h−1で流通させて、10℃/分の速度で、室温から800℃まで昇温する昇温過程を行い、その後、室温まで降温する降温過程を行い、上記降温過程における温度60℃での、1個の白金原子が二酸化炭素分子に酸化できる一酸化炭素分子の分子数を評価した。
【0289】
参考実施例17及び参考比較例9の担持触媒についての結果を図17に示す。図17からは、レーザーアブレーション法で得られた参考実施例17の担持触媒では、1個の白金原子が二酸化炭素分子に酸化できる一酸化炭素分子の分子数が0.0002個近く、他方で、イオン交換−還元法で得られた参考比較例9の担持触媒では、この数が0.0001個に達していないことが分かった。これは、イオン交換−還元法で得られた参考比較例9の担持触媒では、クラスター粒子の分散性が低く、それによって耐熱性が劣っていたことを示している。
【0290】
《参考実施例18及び参考比較例10》
参考実施例18及び参考比較例10では、それぞれ液中レーザーアブレーション法及びイオン交換−還元法を用いて、銅クラスター担持触媒を得た。
【0291】
〈参考実施例18〉
参考実施例18では、金ターゲットの代わりに銅ターゲットを用いたこと、及びゼオライト担体粒子としてチャバザイト(CHA)型ゼオライト担体粒子を用いたことを除いて参考実施例1と同様にして、液中レーザーアブレーション法で銅クラスターをゼオライト担体粒子に担持した。ゼオライト担体粒子に対する銅の担持量は、0.9質量%であった。
【0292】
〈参考比較例10〉
参考比較例10では、イオン交換によってチャバザイト(CHA)型ゼオライト担体粒子に銅イオンを担持し、その後、この銅イオンを還元してゼオライト担体粒子に金属銅粒子を担持して、銅クラスターをゼオライト担体粒子に担持した(イオン交換−還元法)。ここで、銅イオン源としては、硝酸銅を用い、かつ還元剤としては、NaBHを用いた。ゼオライト担体粒子に対する銅の担持量は、0.9質量%であった。
【0293】
〈評価:一酸化窒素昇温脱離試験〉
参考実施例18及び参考比較例10の担持触媒について、10体積%の酸素及び残部のヘリウムを含有する雰囲気中において800℃1時間にわたって加熱し、100体積%のヘリウムを含有する雰囲気中において800℃で30分加熱し、雰囲気の温度を25℃まで温度を下げ、その後、500体積ppmの一酸化窒素及び残部のヘリウムを含有する雰囲気中で1時間保持し、そして100体積%のヘリウムを含有する雰囲気中で1時間保持して、担持触媒に一酸化窒素を吸着させた。
【0294】
このようにして吸着させた一酸化窒素を有する担持触媒を、100体積%のヘリウムを含有する雰囲気中において、10℃/minの昇温速度で800℃まで加熱し、その間に脱離した一酸化窒素の量を質量分析計で検出して、一酸化窒素昇温脱離スペクトルを得た。なお、雰囲気のガス流量はいずれも、10sccmであった。
【0295】
参考実施例18及び参考比較例10の担持触媒についての結果を、それぞれ図18(a)及び(b)に示す。
【0296】
図18(a)からは、レーザーアブレーション法で得られた参考実施例18の担持触媒では、200℃〜400℃の範囲における最大ピークを約270℃に有することが示された。これに対して、図18(b)からは、イオン交換還元法で得られた参考比較例10の担持触媒では、200℃〜400℃の範囲における最大ピークを約320℃に有することが示された。なお、約200℃以下の温度において観察されている鋭いピークは、測定温度の変動による測定エラーだと考えられる。
【0297】
図18(a)及び(b)で示される最大ピークの温度の違いは、レーザーアブレーション法で得られた参考実施例18の担持触媒と、イオン交換還元法で得られた参考比較例10の担持触媒とが、互いに異なる構造を有することを示している。
【0298】
《参考実施例19及び参考比較例11》
参考実施例19及び参考比較例11では、それぞれプラスマイナス反転法及びイオン交換−還元法を用いて、白金クラスター担持触媒を得た。
【0299】
〈参考実施例19〉
参考実施例19では、純水中に10mMのH[PtCl]を含有している200mlの水溶液にゼオライトMFI(40)を添加し、そしてこの水溶液にパルスレーザーを収束させて導入し、H[PtCl]を分解してプラス帯電白金クラスターを生成させ、そしてこのプラス帯電白金クラスターを静電気的相互作用によりゼオライトの酸点に担持させた。
【0300】
〈参考比較例11〉
参考比較例11では、純水中のH[PtCl]をイオン交換によってゼオライトMFI(40)に担持させた。ゼオライト担体粒子に対する白金の担持量は、0.003質量%であった。
【0301】
〈評価:蛍光スペクトル〉
参考実施例19及び参考比較例11の白金クラスター担持触媒について、蛍光スペクトル測定(励起波長:350nm)を行った。蛍光スペクトルの評価結果を図19に示す。ここで、図19において、参考実施例18についての結果はスペクトル(i)で示しており、かつ参考比較例11についての結果はスペクトル(ii)で示している。
【0302】
図19において、410nm付近の蛍光シグナルは、4量体程度の白金クラスターからの蛍光発光が重なったスペクトルである。したがって、この図19は、参考実施例18の白金クラスター担持触媒では、4量体前後の白金クラスターが比較的多量に担体粒子に担持されていることを意味している。これに対して、参考比較例11の白金担持触媒では、このようなクラスターが有意には存在していないことを示している。
【0303】
《参考実施例20及び参考比較例12》
参考実施例20及び参考比較例12では、それぞれ液中レーザーアブレーション法及びイオン交換−還元法を用いて、ロジウムクラスター担持触媒を得た。
【0304】
〈参考実施例20〉
参考実施例20では、金ターゲットの代わりにロジウムターゲットを用いたこと、及びゼオライト担体粒子としてZSM−5型ゼオライト担体粒子(Si/Al比:40)を用いたことを除いて参考実施例1と同様にして、液中レーザーアブレーション法でロジウムクラスターをゼオライト担体粒子に担持した。ゼオライト担体粒子に対するロジウムの担持量は、0.1質量%であった。
【0305】
〈参考比較例12〉
参考比較例12では、イオン交換によってZSM−5型ゼオライト担体粒子(Si/Al比:40)にロジウムイオンを担持し、その後、このロジウムイオンを還元してゼオライト担体粒子にロジウムクラスターを担持し。ここで、ロジウムイオン源としては、Rh(NOを用い、かつ還元剤としては、NaBHを用いた。ゼオライト担体粒子に対するロジウムの担持量は、0.051質量%であった。
【0306】
〈評価:一酸化窒素還元試験〉
8体積%の酸素、0.3体積%の一酸化炭素、及び残部のヘリウムを含有する800℃の雰囲気において1時間にわたって加熱し、熱耐久処理を行った。
【0307】
熱耐久処理を行った上記の担持触媒に、0.1体積%の15NO、0.65体積%のCO、及び残部のヘリウムを含有するモデルガスを空間速度10,000h−1で流通させて、10℃/分の速度で、室温から800℃まで昇温し(昇温過程)、その後、室温まで降温し(降温過程)、一酸化窒素還元反応を測定した。
【0308】
この一酸化窒素還元反応による各成分の濃度変化に関して、参考実施例20の触媒についての評価結果を図20(a)に示し、また参考比較例12の触媒についての評価結果を図20(b)に示す。
【0309】
図20(a)及び(b)において、100℃〜200℃の範囲において一酸化窒素がピークが出現しているが、これは触媒に吸着した一酸化窒素が脱離したことによる濃度上昇である。さらに反応温度が上昇すると、一酸化窒素の濃度が減少し、一酸化窒素(15NO)が一酸化炭素(CO)によって還元されて窒素(N)が生成する反応が始まる。
【0310】
供給された一酸化窒素の半分が還元されて窒素になる反応温度、すなわち窒素濃度が0.05体積%になる反応温度は、参考実施例20の触媒では、昇温過程で約272℃、及び降温過程で254℃であったのに対して、参考比較例12の触媒では、昇温過程で約321℃、及び降温過程で279℃であった。したがって、液中レーザーアブレーション方で得られた参考実施例20の触媒は、イオン交換還元法で得られた参考比較例12の触媒と比較して、低温活性が優れていることが明らかであった。
【0311】
また、降温過程における温度250℃のときに、1個のロジウム原子が窒素まで還元できる一酸化窒素分子の分子数の評価結果を図21に示す。
【0312】
図21からは、レーザーアブレーション法で得られた参考実施例20の担持触媒では、1個のロジウム原子が1秒間に浄化できる一酸化窒素分子の分子数が0.007個を超え、他方で、イオン交換還元法で得られた参考比較例12の触媒では、この数が0.004個に達していないことが分かった。したがって、液中レーザーアブレーション方で得られた参考実施例20の触媒は、イオン交換還元法で得られた参考比較例12の触媒と比較して、低温活性が優れていることが明らかであった。
【0313】
《参考実施例21及び22、並びに参考比較例13》
参考実施例21及び22では、それぞれ液中レーザーアブレーション法を用いて、白金クラスター担持触媒及びロジウムクラスター担持触媒を得た。また、参考比較例13では、アルミナ担体粒子及びセリア・ジルコニア担体粒子の混合粉末に、白金、ロジウム、及びパラジウムが担持された一般的な三元触媒を用いた。
【0314】
〈参考実施例21〉
参考実施例21では、金ターゲットの代わりに白金ターゲットを用いたこと、及びゼオライト担体粒子としてZSM−5型ゼオライト担体粒子(Si/Al比:40)を用いたことを除いて参考実施例1と同様にして、液中レーザーアブレーション法で白金クラスターをゼオライト担体粒子に担持した。ゼオライト担体粒子に対する白金の担持量は、0.59質量%であった。
【0315】
〈参考実施例22〉
参考実施例22では、金ターゲットの代わりにロジウムターゲットを用いたこと、及びゼオライト担体粒子としてZSM−5型ゼオライト担体粒子(Si/Al比:40)を用いたことを除いて参考実施例1と同様にして、液中レーザーアブレーション法でロジウムクラスターをゼオライト担体粒子に担持した。ゼオライト担体粒子に対するロジウムの担持量は、0.1質量%であった。
【0316】
〈参考比較例13〉
参考比較例13では、アルミナ担体粒子及びセリア・ジルコニア担体粒子の混合粉末に、白金、ロジウム、及びパラジウムが担持された一般的な三元触媒を用いた。担体粉末に対する白金、ロジウム、及びパラジウムの担持量はそれぞれ、0.2質量%、0.19質量%、及び0.25質量%であった。
【0317】
〈評価:吸着一酸化炭素の酸素酸化反応試験〉
参考実施例21及び22、並びに参考比較例13の触媒を500体積ppmの一酸化炭素及び残部のヘリウムを含有する雰囲気中で800℃において1時間保持して、担持触媒に一酸化炭素を吸着させ、そしてその後、吸着させた一酸化炭素を有する担持触媒を、10体積%の酸素及び残部のヘリウムを含有する雰囲気中において、10℃/minの昇温速度で800℃まで加熱して、吸着一酸化炭素の酸素酸化反応試験を行った。なお、これらの処理の間の空間速度は、10,000h−1であった。
【0318】
また、下記の処理(i)〜(iv)を行って、参考実施例21及び22、並びに参考比較例13の触媒を洗浄した:
(i)触媒を4質量%の濃度で、1Mの塩化ナトリウム水溶液に入れ、そして80℃において10日間にわたって撹拌し、
(ii)上記(i)の後で、触媒をイオン交換水ですすぎ、
(iii)上記(ii)の後で、触媒を4質量%の濃度で、6質量%のポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、0.25Mのエチレンジアミン四酢酸3ナトリウム、及び0.01Mの水素化ホウ素ナトリウムを含有する水溶液に入れ、そして80℃において10日間にわたって撹拌し、そして
(iv)上記(iii)の後で、触媒をイオン交換水ですすぐこと。
【0319】
洗浄処理を行った参考実施例21及び22、並びに参考比較例13の触媒に、上記のようにして吸着一酸化炭素の酸素酸化反応試験を行った。
【0320】
洗浄処理前及び後の吸着一酸化炭素の酸素酸化反応試験の結果を、参考実施例21及び22、並びに参考比較例13の触媒について図22に示す。
【0321】
図22から明らかなように、液中レーザーアブレーション方で得られた参考実施例21及び22の触媒では、洗浄処理の後で、低温側200℃以下のシグナルが存在するのに対して、一般的な三元触媒である参考比較例13の触媒は、洗浄処理の前後で、評価結果の差が大きく、低温側200℃以下のシグナルはみられなかった。
【0322】
これは、液中レーザーアブレーション方で得られた参考実施例21及び22の触媒では、触媒金属クラスターがゼオライトの細孔内に担持されており、それによって洗浄によっても触媒金属クラスターが失われなかったのに対して、一般的な三元触媒では、触媒金属粒子が担体粒子の外表面に担持されており、それによって洗浄によっても触媒金属粒子が失われたことによると考えられる。
【符号の説明】
【0323】
11 分散媒
12 触媒金属又は金属酸化物のターゲット
13 容器
14 レンズ
15 レーザー
16 クラスター
18 触媒金属又は金属酸化物の粒子
20 ゼオライト担体粒子
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図23C
図23D
図24
【国際調査報告】