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再表2019-64462ストレッチ成形装置及びストレッチ成形方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年4月4日
【発行日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】ストレッチ成形装置及びストレッチ成形方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 11/02 20060101AFI20191122BHJP
   B21D 37/02 20060101ALI20191122BHJP
   B21D 53/92 20060101ALN20191122BHJP
【FI】
   B21D11/02
   B21D37/02 Z
   B21D37/02 A
   B21D53/92
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
【出願番号】特願2019-545517(P2019-545517)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年9月28日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山田 毅
(72)【発明者】
【氏名】河野 亮
(72)【発明者】
【氏名】菅井 淳史
(72)【発明者】
【氏名】松永 優
(72)【発明者】
【氏名】近藤 傑
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 智史
【テーマコード(参考)】
4E050
【Fターム(参考)】
4E050BA02
(57)【要約】
長尺状である被成形材料の中央部と端部の変形量の偏りを低減することを目的とする。ストレッチ成形装置(1)は、金型(2)と、長尺状材料(20)の両端部を把持する把持部(3)とを備え、金型(2)の断面形状は、成形面(6)の中央側が膨らんだ曲線形状を有し、長尺状材料(20)の長手方向に沿った長さが成形面(6)よりも短く、成形面(6)に沿った第2成形面(8)を有する第2金型(7)が、成形面(6)の中央部に取り外し可能に設置され、第2金型(7)が成形面(6)に設置されたとき、把持部(3)によって長尺状材料(20)に対して引っ張り力を付与しつつ、第2金型(7)のみが長尺状材料(20)を押し当てる第1モードと、第2金型(7)が成形面(6)から取り外されたとき、把持部(3)によって長尺状材料(20)に対して引っ張り力を付与しつつ、金型(2)が長尺状材料(20)を押し当てる第2モードとを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型と、
長尺状である被成形材料の両端部を把持する把持部と、
を備え、
前記金型の断面形状は、成形面の中央側が膨らんだ曲線形状を有し、前記金型の前記成形面は、前記被成形材料に対して曲線形状を付与するように形成されており、
前記被成形材料の長手方向に沿った長さが前記成形面よりも短く、前記成形面に沿った第2成形面を有する第2金型が、前記成形面の中央部に取り外し可能に設置され、
前記第2金型が前記成形面に設置されたとき、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記第2金型のみが前記被成形材料を押し当てる第1モードと、
前記第2金型が前記成形面から取り外されたとき、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記第1金型が前記被成形材料を押し当てる第2モードとを有するストレッチ成形装置。
【請求項2】
金型と、
長尺状である被成形材料の両端部を把持する把持部と、
を備え、
前記金型は、前記被成形材料の長手方向に複数に分割され、個々に前記被成形材料側に対する位置を変更できる複数の分割金型を有し、
前記複数の分割金型のうち中央部に設置された前記分割金型が、端部に設置された前記分割金型よりも前記被成形材料側に突出して配置されたとき、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記中央部に配置された前記分割金型のみが前記被成形材料を押し当てる第1モードと、
前記中央部と前記端部に配置された前記複数の分割金型が、前記被成形材料に対して曲線形状を付与するように配置されたとき、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記中央部と前記端部に配置された前記複数の分割金型が前記被成形材料を押し当てる第2モードとを有するストレッチ成形装置。
【請求項3】
金型と、
長尺状である被成形材料の両端部を把持する把持部と、
を備え、
前記金型の断面形状は、成形面の中央側が膨らんだ曲線形状を有し、前記金型の前記成形面は、前記被成形材料に対して曲線形状を付与するように形成されており、
前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記金型の前記成形面の中央部のみが前記被成形材料を押し当てる第1モードと、
前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記金型の前記成形面全面が前記被成形材料を押し当てる第2モードとを有するストレッチ成形装置。
【請求項4】
金型と、
長尺状である被成形材料の両端部を把持する把持部と、
を備え、
前記金型の断面形状は、成形面の中央側が膨らんだ曲線形状を有し、前記金型の前記成形面は、前記被成形材料に対して曲線形状を付与するように形成されたストレッチ成形装置を用いたストレッチ成形方法であり、
前記被成形材料の長手方向に沿った長さが前記成形面よりも短く、前記成形面に沿った第2成形面を有する第2金型を、前記成形面の中央部に設置するステップと、
前記第2金型が前記成形面に設置されたとき、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記第2金型のみが前記被成形材料を押し当てるステップと、
前記第2金型が前記成形面から取り外されたとき、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記金型が前記被成形材料を押し当てるステップと、
を有するストレッチ成形方法。
【請求項5】
金型と、
長尺状である被成形材料の両端部を把持する把持部と、
を備え、
前記金型は、前記被成形材料の長手方向に複数に分割され、個々に前記被成形材料側に対する位置を変更できる複数の分割金型を有するストレッチ成形装置を用いたストレッチ成形方法であり、
前記複数の分割金型のうち中央部に設置された前記分割金型を、端部に設置された前記分割金型よりも前記被成形材料側に突出して配置するステップと、
前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記中央部に配置された前記分割金型のみが前記被成形材料を押し当てるステップと、
前記中央部と前記端部に配置された前記複数の分割金型が、前記被成形材料に対して曲線形状を付与するように配置されたとき、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記中央部と前記端部に配置された前記複数の分割金型が前記被成形材料を押し当てるステップと、
を有するストレッチ成形方法。
【請求項6】
金型と、
長尺状である被成形材料の両端部を把持する把持部と、
を備え、
前記金型の断面形状は、成形面の中央側が膨らんだ曲線形状を有し、前記金型の前記成形面は、前記被成形材料に対して曲線形状を付与するように形成されたストレッチ成形装置を用いたストレッチ成形方法であり、
前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記金型の前記成形面の中央部のみが前記被成形材料を押し当てるステップと、
前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記金型の前記成形面全面が前記被成形材料を押し当てるステップと、
を有するストレッチ成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレッチ成形装置及びストレッチ成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空機の胴体や主翼等の航空機部品は、例えば板状のスキン、長尺状のフレーム及びストリンガーなどの構造部材から構成される。胴体及び主翼等は、曲面形状を有することから、フレーム及びストリンガーは、長手方向に沿って湾曲した曲線形状を有する。
【0003】
アルミニウム合金製の長尺状材料に対して曲線形状を付与するため、従来、ロール成形装置によって焼きなまし(焼鈍)された材料(O材とも呼ばれる。)に対してロール成形を行って、O材を概略形状としている。その後、ロール成形によって得られたO材に対して溶体化処理を行って、W材とする。
【0004】
この場合、W材の長尺状材料の両端を引っ張りながら長尺状材料に対して金型を当てて、W材に対して曲線形状を更に付与するストレッチ成形を行う。これにより、長尺状材料に対して製品として要求される形状又はそれに近い曲率を付与する。
【0005】
下記の特許文献1では、ストレッチ成形を行う成形装置において、複数のブロックによって成形面を形成し、各ブロックの位置を個々に成形方向に移動して、成形面の形状を変更できるようにし、かつ、成形中に長尺材に対して相対移動をしないで良好なストレッチ成形を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−231380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ストレッチ成形を行うと、被成形材料である長尺状材料の両端部近傍では、長尺状材料は、引っ張り力の作用によって、変形し伸長しやすい。一方、金型と接触する中央部分では、長尺状材料は、金型との間に作用する摩擦等の影響によって引っ張り力が減少し、変形量が少なく伸長しにくい。
【0008】
ストレッチ成形の結果、ストレッチ成形前のロール成形や溶体化処理などの工程で導入された残留応力が低減されるが、中央部分の変形量が少ないため、中央部分は端部に比べて残留応力が低減されにくい。したがって、ストレッチ成形後にエッチングや穴明け等の切削加工が行われると、材料ごとに形状が変化し、ばらつきが生じやすいという課題がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、長尺状である被成形材料の中央部と端部の変形量の偏りを低減することが可能なストレッチ成形装置及びストレッチ成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のストレッチ成形装置及びストレッチ成形方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の第1態様に係るストレッチ成形装置は、金型と、長尺状である被成形材料の両端部を把持する把持部とを備え、前記金型の断面形状は、成形面の中央側が膨らんだ曲線形状を有し、前記金型の前記成形面は、前記被成形材料に対して曲線形状を付与するように形成されており、前記被成形材料の長手方向に沿った長さが前記成形面よりも短く、前記成形面に沿った第2成形面を有する第2金型が、前記成形面の中央部に取り外し可能に設置され、前記第2金型が前記成形面に設置されたとき、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記第2金型のみが前記被成形材料を押し当てる第1モードと、前記第2金型が前記成形面から取り外されたとき、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記第1金型が前記被成形材料を押し当てる第2モードとを有する。
【0011】
本発明の第2態様に係るストレッチ成形装置は、金型と、長尺状である被成形材料の両端部を把持する把持部とを備え、前記金型は、前記被成形材料の長手方向に複数に分割され、個々に前記被成形材料側に対する位置を変更できる複数の分割金型を有し、前記複数の分割金型のうち中央部に設置された前記分割金型が、端部に設置された前記分割金型よりも前記被成形材料側に突出して配置されたとき、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記中央部に配置された前記分割金型のみが前記被成形材料を押し当てる第1モードと、前記中央部と前記端部に配置された前記複数の分割金型が、前記被成形材料に対して曲線形状を付与するように配置されたとき、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記中央部と前記端部に配置された前記複数の分割金型が前記被成形材料を押し当てる第2モードとを有する。
【0012】
本発明の第3態様に係るストレッチ成形装置は、金型と、長尺状である被成形材料の両端部を把持する把持部とを備え、前記金型の断面形状は、成形面の中央側が膨らんだ曲線形状を有し、前記金型の前記成形面は、前記被成形材料に対して曲線形状を付与するように形成されており、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記金型の前記成形面の中央部のみが前記被成形材料を押し当てる第1モードと、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記金型の前記成形面全面が前記被成形材料を押し当てる第2モードとを有する。
【0013】
本発明の第4態様に係るストレッチ成形方法は、金型と、長尺状である被成形材料の両端部を把持する把持部とを備え、前記金型の断面形状は、成形面の中央側が膨らんだ曲線形状を有し、前記金型の前記成形面は、前記被成形材料に対して曲線形状を付与するように形成されたストレッチ成形装置を用いたストレッチ成形方法であり、前記被成形材料の長手方向に沿った長さが前記成形面よりも短く、前記成形面に沿った第2成形面を有する第2金型を、前記成形面の中央部に設置するステップと、前記第2金型が前記成形面に設置されたとき、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記第2金型のみが前記被成形材料を押し当てるステップと、前記第2金型が前記成形面から取り外されたとき、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記金型が前記被成形材料を押し当てるステップとを有する。
【0014】
本発明の第5態様に係るストレッチ成形方法は、金型と、長尺状である被成形材料の両端部を把持する把持部とを備え、前記金型は、前記被成形材料の長手方向に複数に分割され、個々に前記被成形材料側に対する位置を変更できる複数の分割金型を有するストレッチ成形装置を用いたストレッチ成形方法であり、前記複数の分割金型のうち中央部に設置された前記分割金型を、端部に設置された前記分割金型よりも前記被成形材料側に突出して配置するステップと、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記中央部に配置された前記分割金型のみが前記被成形材料を押し当てるステップと、前記中央部と前記端部に配置された前記複数の分割金型が、前記被成形材料に対して曲線形状を付与するように配置されたとき、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記中央部と前記端部に配置された前記複数の分割金型が前記被成形材料を押し当てるステップとを有する。
【0015】
本発明の第6態様に係るストレッチ成形方法は、金型と、長尺状である被成形材料の両端部を把持する把持部とを備え、前記金型の断面形状は、成形面の中央側が膨らんだ曲線形状を有し、前記金型の前記成形面は、前記被成形材料に対して曲線形状を付与するように形成されたストレッチ成形装置を用いたストレッチ成形方法であり、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記金型の前記成形面の中央部のみが前記被成形材料を押し当てるステップと、前記把持部によって前記被成形材料に対して引っ張り力を付与しつつ、前記金型の前記成形面全面が前記被成形材料を押し当てるステップとを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、長尺状である被成形材料の中央部と端部の変形量の偏りを低減することができ、中央部分近傍も端部と同様に残留応力が低減される。その結果、ストレッチ成形後にエッチングや穴明け等の切削加工を行ったとき、材料に生じる形状変化や、材料ごとのばらつきを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るストレッチ成形装置を示す概略構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るストレッチ成形装置を示す概略構成図である。
図3】本発明の第2実施形態に係るストレッチ成形装置を示す概略構成図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るストレッチ成形装置を示す概略構成図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るストレッチ成形装置の変形例を示す概略構成図である。
図6】本発明の第3実施形態に係るストレッチ成形装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1及び図2を用いて説明する。
本実施形態に係るストレッチ成形装置1は、被成形材料である長尺状材料20に対して、金型2によってストレッチ成形を行う装置である。長尺状材料20は、例えばアルミニウム合金製であり、航空機の胴体や主翼等の航空機部品を構成するフレーム及びストリンガーなどの構造部材として作製される材料である。
【0019】
長尺状材料20は、焼きなまし(焼鈍)された材料(O材)に対してロール成形が行われ、かつ、ロール成形によって得られたO材に対して溶体化処理が行われた材料(W材)である。または、長尺状材料20は、焼きなましされた材料(O材)に対して溶体化処理を行って得られたW材に対してロール成形が行われた材料でもよい。
【0020】
ストレッチ成形では、長尺状材料20の両端部をそれぞれ把持部3が把持し、引っ張り力を作用させながら、金型2に長尺状材料20を押し付ける(又は長尺状材料20に金型2を押し付ける)。そして、ストレッチ成形は、ロール成形によって曲線形状に形成された長尺状材料20に対して塑性変形を行い、曲線形状を更に付与する。
【0021】
ストレッチ成形装置1は、金型2と、把持部3と、移動部4と、操作部5などを備える。
金型2は、被成形材料である長尺状材料20の長手方向に沿って長い成形面6を有する。金型2の成形面6は、長尺状材料20に対して曲線形状を付与するように形成されており、曲面を有する。金型2の断面形状は、成形面6の中央側が膨らんだ曲線形状であり、例えば、円弧又は楕円の一部である。
【0022】
把持部3は、長尺状材料20の端部を把持するように構成されている。把持部3は、長尺状材料20の両端部にそれぞれ一つずつ設置される。把持部3は、移動部4に接続されており、移動部4によって移動可能である。
【0023】
本実施形態に係る金型2の成形面6の中央部には、第2金型7が取り外し可能に設置される。第2金型7は、長尺状材料20の長手方向に沿った長さが成形面6よりも短く、成形面6に沿った第2成形面8を有する。第2成形面8は、例えば、金型2の成形面6と平行な曲面を有する。第2金型7の長さは、金型2の長さの1/4〜1/3程度である。
【0024】
移動部4は、把持部3を移動することで、把持部3によって把持された長尺状材料20を金型2の成形面6側へ移動させ、第2金型7が設置されていない場合、長尺状材料20を金型2の成形面6へ押し付け、又は、第2金型7が設置されている場合、第2金型7の第2成形面8へ押し付ける。また、移動部4は、長尺状材料20の長手方向外側へ把持部3を移動することで、金型2の成形面6、又は、第2金型7の第2成形面8へ押し付けられた長尺状材料20に対して引っ張り力を付与する。
【0025】
操作部5は、作業者からの入力操作を受け付け、移動部4に対して操作信号を送信する。
【0026】
なお、上述した説明では、移動部4が、把持部3を移動することで、把持部3によって把持された長尺状材料20を金型2の成形面6側へ移動させるとしたが、本発明はこの例に限られず、金型2を移動させる移動部(図示せず。)によって、金型2を長尺状材料20側へ移動させてもよい。
【0027】
本実施形態に係るストレッチ成形装置1を用いたストレッチ成形方法では、まず、図1に示すように、金型2の成形面6に第2金型7を設置する。そして、把持部3によって把持された長尺状材料20を移動させ、長尺状材料20を第2金型7の第2成形面8へ押し付ける。また、移動部4は、長尺状材料20の長手方向外側へ把持部3を移動することで、第2金型7の第2成形面8へ押し付けられた長尺状材料20に対して引っ張り力を付与する(第1モード)。このとき、金型2の成形面6には、長尺状材料20が接触しないようにする。
【0028】
これにより、第2金型7を設置しないときの長尺状材料20と金型2との接触面積に比べて、長尺状材料20と第2金型7の接触面積が小さくなるため、長尺状材料20に引っ張り力が付与されたとき、長尺状材料20の中央部近傍に作用する摩擦力が低減され、中央部近傍に伝達される引っ張り力が増加する。その結果、長尺状材料20の中央部近傍に生じる変形量が増加する。
【0029】
次に、移動部4において検出された引っ張り方向の移動量に基づいて、所定の変形量が付与されたことが確認された場合、移動部4の移動を停止して、長尺状材料20に対する引っ張り力の付与を停止する。そして、把持部3によって把持された長尺状材料20を移動させて、第2成形面8から長尺状材料20を離間させ、成形面6から第2金型7を取り外す。
【0030】
その後、把持部3によって把持された長尺状材料20を移動させ、図2に示すように、長尺状材料20を金型2の成形面6へ押し付ける。また、移動部4は、長尺状材料20の長手方向外側へ把持部3を移動することで、金型2の成形面6へ押し付けられた長尺状材料20に対して引っ張り力を付与する(第2モード)。次に、移動部4において検出された引っ張り方向の移動量に基づいて、所定の変形量が付与されたことが確認された場合、移動部4の移動を停止して、長尺状材料20に対する引っ張り力の付与を停止する。そして、把持部3によって把持された長尺状材料20を移動させて、成形面6から長尺状材料20を離間させる。
【0031】
これにより、長尺状材料20が金型2の成形面6に沿って塑性変形され、長尺状材料20に対して曲線形状が付与される。
【0032】
従来、ストレッチ成形の開始時から、金型2の成形面6に押し付けて長尺状材料20に対して曲線形状を付与していたが、本実施形態では、初めに接触面積の小さい第2金型7の第2成形面8に長尺状材料20を押し付けて、長尺状材料20の中央部近傍に作用する摩擦力を低減し、中央部近傍に伝達される引っ張り力を増加させ、長尺状材料20の中央部近傍に生じる変形量を増加させる。そして、従来に比べて変形量が多く付与された長尺状材料20に対して、再度、金型2によってストレッチ成形が行われる。
【0033】
このように2段階に分けてストレッチ成形が実施されることによって、長尺状材料20の中央部近傍における残留応力を低減することができる。その結果、ストレッチ成形後にエッチングや穴明け等の切削加工を行ったときに生じる形状変化や、切削加工後の材料ごとのばらつきを小さくすることができる。また、既存の金型2を活用することができるため、金型を新たに製作する必要がない。
【0034】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図3及び図4を用いて説明する。なお、第1実施形態と重複する構成及び作用については詳細な説明を省略する。
【0035】
第1実施形態と異なり、本実施形態に係る金型2は、複数の分割金型10を有する。すなわち、金型2は、被成形材料である長尺状材料20の長手方向に複数に分割されている。そして、複数の分割金型10は、個々に長尺状材料20側に対する位置を変更できる。
【0036】
個々の分割金型10における長尺状材料20との接触部分は、図3及び図4に示すように、曲面を有する。
【0037】
本実施形態では、分割金型10を移動する移動部11を更に備える。移動部11によって、各分割金型10の位置を変更することによって、図3に示すように、各分割金型10を配置することも可能である(第1モード)。すなわち、第1実施形態の金型2の成形面6に第2金型7を設置した状態のように、複数の分割金型10のうち中央部に設置された分割金型10が、端部に配置された分割金型10よりも長尺状材料20側に突出して配置することができる。分割金型10を突出させる中央部の長さは、金型2の全体長さの1/4〜1/3程度である。
【0038】
また、移動部11によって、各分割金型10の位置を変更することによって、図4に示すように、中央側が膨らんだ曲線形状に、複数の分割金型10を配置できる(第2モード)。これにより、第1実施形態の金型2の成形面6のように、複数の分割金型10が、長尺状材料20に対して曲線形状を付与できる。
【0039】
移動部11により各分割金型10の配置位置を調整することによって、第1モードと第2モードの切り替えが可能である。なお、第1モードと第2モードの切り替えは、作業者によって手動で行われてもよいし、長尺状材料20の変形量を検出して、所定の変形量が付与されたことが確認されたときに第1モードから第2モードへ移行するように制御装置によって行われてもよい。
【0040】
なお、図3及び図4に示すように、分割金型10は、中央部と端部において、それぞれ二つ以上に分割されて細かく曲線形状を形成できるようにしてもよいし、図5に示すように、分割金型10は、中央部において一つ、端部においてそれぞれ一つずつの合計三つであってもよい。また、両者の組み合わせも可能である。
【0041】
本実施形態に係るストレッチ成形装置1を用いたストレッチ成形方法では、まず、図3に示すように、複数の分割金型10のうち中央部に設置された分割金型10を、端部に配置された分割金型10よりも長尺状材料20側に突出させて配置する。そして、把持部3によって把持された長尺状材料20を移動させ、長尺状材料20を中央部で突出して配置された分割金型10へ押し付ける。また、移動部4は、長尺状材料20の長手方向外側へ把持部3を移動することで、分割金型10へ押し付けられた長尺状材料20に対して引っ張り力を付与する(第1モード)。このとき、端部に配置された分割金型10には、長尺状材料20が接触しないようにする。
【0042】
これにより、分割金型10全てを押し付けるときの長尺状材料20と金型2との接触面積に比べて、長尺状材料20と分割金型10の接触面積が小さくなるため、長尺状材料20に引っ張り力が付与されたとき、長尺状材料20の中央部近傍に作用する摩擦力が低減され、中央部近傍に伝達される引っ張り力が増加する。その結果、長尺状材料20の中央部近傍に生じる変形量が増加する。
【0043】
次に、移動部4において検出された引っ張り方向の移動量に基づいて、所定の変形量が付与されたことが確認された場合、移動部4の移動を停止して、長尺状材料20に対する引っ張り力の付与を停止する。そして、各分割金型10を移動させて、長尺状材料20に対して曲線形状を付与できるように、中央側が膨らんだ曲線形状に複数の分割金型10を配置する(図4参照)。
【0044】
その後、移動部4は、長尺状材料20の長手方向外側へ把持部3を再び移動することで、分割金型10へ押し付けられた長尺状材料20に対して引っ張り力を付与する(第2モード)。次に、移動部4において検出された引っ張り方向の移動量に基づいて、所定の変形量が付与されたことが確認された場合、移動部4の移動を停止して、長尺状材料20に対する引っ張り力の付与を停止する。そして、把持部3によって把持された長尺状材料20を移動させて、分割金型10から長尺状材料20を離間させる。
【0045】
これにより、長尺状材料20が金型2の複数の分割金型10に沿って塑性変形され、長尺状材料20に対して曲線形状が付与される。
【0046】
従来、ストレッチ成形の開始時から、すべての複数の分割金型10に押し付けて長尺状材料20に対して曲線形状を付与していたが、本実施形態では、初めに接触面積が小さくなるように中央部の分割金型10のみに長尺状材料20を押し付けて、長尺状材料20の中央部近傍に作用する摩擦力を低減し、中央部近傍に伝達される引っ張り力を増加させ、長尺状材料20の中央部近傍に生じる変形量を増加させる。そして、従来に比べて変形量が多く付与された長尺状材料20に対して、再度、金型2によってストレッチ成形が行われる。
【0047】
このように2段階に分けてストレッチ成形が実施されることによって、長尺状材料20の中央部近傍における残留応力を低減することができる。その結果、ストレッチ成形後にエッチングや穴明け等の切削加工を行ったときに生じる形状変化や、切削加工後の材料ごとのばらつきを小さくすることができる。また、第1実施形態と異なり、第2金型7を取り外すためにかかる時間が不要になり、かつ、金型形状の変更を手動ではなく機械によって自動的に実施することもできる。
【0048】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、図6を用いて説明する。なお、第1実施形態と重複する構成及び作用については詳細な説明を省略する。
【0049】
本実施形態では、第1実施形態と異なり、金型2の成形面6に第2金型7を設置せずに、金型2のみを用いて、2段階に分けてストレッチ成形を実施する。すなわち、移動部4による把持部3の移動方向を調整して、図6の長尺状材料20の実線部分で示すように、成形面6の中央部のみに長尺状材料20を押し付けたり、図6の長尺状材料20の二点鎖線部分で示すように、成形面6の長手方向全面にわたって長尺状材料20を押し付けたりすることによって、第1及び第2実施形態と同様に、2段階に分けて長尺状材料20に対してストレッチ成形を施す。
【0050】
移動部4は、把持部3を移動することで、把持部3によって把持された長尺状材料20を金型2の成形面6側へ移動させ、長尺状材料20を金型2の成形面6へ押し付ける。また、移動部4は、長尺状材料20の長手方向外側へ把持部3を移動することで、金型2の成形面6へ押し付けられた長尺状材料20に対して引っ張り力を付与する。
【0051】
移動部4は、第1モードでは、把持部3を移動することによって長尺状材料20に対して引っ張り力を付与しつつ、金型2の成形面6の中央部のみが長尺状材料20を押し当てるように、把持部3を移動させる。移動部4は、第2モードでは、把持部3によって長尺状材料20に対して引っ張り力を付与しつつ、金型2の成形面6の全面が長尺状材料20を押し当てるように、把持部3を移動させる。第1モードにおいて、長尺状材料20を接触させる成形面6の中央部の長さは、成形面6の全体長さの1/4〜1/3程度である。
【0052】
移動部4による把持部3の移動方向を調整することによって、第1モードと第2モードの切り替えが可能である。なお、第1モードと第2モードの切り替えは、作業者によって手動で行われてもよいし、長尺状材料20の変形量を検出して、所定の変形量が付与されたことが確認されたときに第1モードから第2モードへ移行するように制御装置によって行われてもよい。
【0053】
本実施形態に係るストレッチ成形装置1を用いたストレッチ成形方法では、まず、図6の長尺状材料20の実線部分で示すように、金型2の成形面6の中央部のみが長尺状材料20を押し当てるように、把持部3によって把持された長尺状材料20を移動させ、長尺状材料20を金型2の成形面6の中央部へ押し付ける。また、移動部4は、長尺状材料20の長手方向外側へ把持部3を移動することで、金型2の成形面6の中央部へ押し付けられた長尺状材料20に対して引っ張り力を付与する(第1モード)。このとき、金型2の成形面6の中央部以外の端部には、長尺状材料20が接触しないようにする。
【0054】
これにより、長尺状材料20と金型2の全面が接触するときの接触面積に比べて、長尺状材料20と金型2の接触面積が小さくなるため、長尺状材料20に引っ張り力が付与されたとき、長尺状材料20の中央部近傍に作用する摩擦力が低減され、中央部に伝達される引っ張り力が増加する。その結果、長尺状材料20の中央部近傍に生じる変形量が増加する。
【0055】
次に、移動部4において検出された引っ張り方向の移動量に基づいて、所定の変形量が付与されたことが確認された場合、移動部4の移動を停止して、長尺状材料20に対する引っ張り力の付与を停止する。
【0056】
その後、把持部3が長尺状材料20を把持したまま移動部4を移動させ、図6の長尺状材料20の二点鎖線部分で示すように、長尺状材料20を金型2の成形面6の全面へ押し付ける。また、移動部4は、長尺状材料20の長手方向外側へ把持部3を移動することで、金型2の成形面6の全面へ押し付けられた長尺状材料20に対して引っ張り力を付与する(第2モード)。次に、移動部4において検出された引っ張り方向の移動量に基づいて、所定の変形量が付与されたことが確認された場合、移動部4の移動を停止して、長尺状材料20に対する引っ張り力の付与を停止する。そして、把持部3によって把持された長尺状材料20を移動させて、成形面6から長尺状材料20を離間させる。
【0057】
これにより、長尺状材料20が金型2の成形面6の全面に沿って塑性変形され、長尺状材料20に対して曲線形状が付与される。
【0058】
従来、ストレッチ成形の開始時から、金型2の成形面6の全面に押し付けて長尺状材料20に対して曲線形状を付与していたが、本実施形態では、初めに接触面積の小さい金型2の成形面6の中央部のみに長尺状材料20を押し付けて、長尺状材料20の中央部近傍に作用する摩擦力を低減し、中央部近傍に伝達される引っ張り力を増加させ、長尺状材料20の中央部近傍に生じる変形量を増加させる。そして、従来に比べて変形量が多く付与された長尺状材料20に対して、再度、金型2の成形面6の全面によってストレッチ成形が行われる。
【0059】
このように2段階に分けてストレッチ成形が実施されることによって、長尺状材料20の中央部近傍における残留応力を低減することができる。その結果、ストレッチ成形後にエッチングや穴明け等の切削加工を行ったときに生じる形状変化や、切削加工後の材料ごとのばらつきを小さくすることができる。また、既存の金型2を活用することができるため、金型を新たに製作する必要がない。
【符号の説明】
【0060】
1 :ストレッチ成形装置
2 :金型
3 :把持部
4 :移動部
5 :操作部
6 :成形面
7 :第2金型
8 :第2成形面
10 :分割金型
11 :移動部
20 :長尺状材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】