(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年4月4日
【発行日】2019年11月14日
(54)【発明の名称】インク、インクジェット記録用インク、印刷物及び印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09D 11/30 20140101AFI20191018BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20191018BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20191018BHJP
【FI】
C09D11/30
B41J2/01 501
B41M5/00 120
B41M5/00 100
B41M5/00 112
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】35
【出願番号】特願2019-517867(P2019-517867)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年9月13日
(11)【特許番号】特許第6593666号(P6593666)
(45)【特許公報発行日】2019年10月23日
(31)【優先権主張番号】特願2017-184812(P2017-184812)
(32)【優先日】2017年9月26日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】北出 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】島村 佳ノ助
(72)【発明者】
【氏名】保坂 正喜
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056EA21
2C056FC01
2H186AB12
2H186BA08
2H186DA09
2H186DA10
2H186FA13
2H186FB11
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2H186FB16
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2H186FB25
2H186FB29
2H186FB30
2H186FB48
2H186FB58
4J039AD09
4J039BC09
4J039BC43
4J039BE12
4J039BE25
4J039CA06
4J039EA43
4J039GA24
(57)【要約】
本発明が解決しようとする課題は、インクに含まれる溶媒を吸収しにくい、例えば各種樹脂フィルムやコート紙等のインク非吸収性または難吸収性の被記録媒体に対する優れた密着性と、優れたセット性とを有するインクを提供することである。本発明は、カルボニル基を有するバインダー(A)及び前記カルボニル基と反応しうる構造を有する化合物(B)が、水性媒体(C)に溶解または分散したものであることを特徴とするインクに関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボニル基を有するバインダー(A)及び前記カルボニル基と反応しうる構造を有する化合物(B)が、水性媒体(C)に溶解または分散したものであることを特徴とするインク。
【請求項2】
前記バインダー(A)がコアシェル型重合体であって、前記コアシェル型重合体のコア部がカルボニル基を有するものである請求項1に記載のインク。
【請求項3】
前記コアシェル型重合体が、ダイアセトンアクリルアミドを含むビニル単量体成分のアクリル重合体を含むコア部と、任意のアクリル重合体を含むシェル部とを有するものである請求項1または2に記載のインク。
【請求項4】
前記化合物(B)がヒドラジン構造を有する化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク。
【請求項5】
前記化合物(B)がアジピン酸ジヒドラジドである請求項4に記載のインク。
【請求項6】
前記水性媒体(C)が、ハンセン溶解度パラメータの極性項が7以上、かつ、水素結合項が15以上である溶媒(C1)を含有するものである請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク。
【請求項7】
前記溶媒(C1)が、1,2−プロパンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオールまたは3−メチル−1,4−ブタンジオールのいずれかを含む請求項6に記載のインク。
【請求項8】
前記溶媒(C1)が、1,2−プロパンジオールと、1,2−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール及び3−メチル−1,4−ブタンジオールからなる群より選ばれる1種以上とを含有する請求項6に記載のインク。
【請求項9】
前記インクの全量に対する前記バインダー(A)の質量割合が3質量%〜10質量%の範囲であり、前記バインダー(A)に対する前記化合物(B)の質量割合が0.1質量%〜5質量%の範囲であり、かつ、前記インクの全量に対する前記溶媒(C1)の質量割合が15質量%〜40質量%の範囲である請求項6に記載のインク。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用インク。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクが、被記録媒体の表面に接触後、前記インクに含まれるバインダー(A)が有するカルボニル基と、前記化合物(B)が有するヒドラジン構造とが反応し下記化学式(1)で示される構造を形成したものであることを特徴とする印刷物。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクが、被記録媒体の表面に接触した後、前記被記録媒体の表面温度を5℃〜60℃の範囲内で維持し乾燥させることによって、前記インクに含まれるバインダー(A)が有するカルボニル基と、前記化合物(B)が有するヒドラジン構造とを反応させ下記化学式(1)で示される構造を形成することを特徴とする印刷物の製造方法。
【請求項13】
インクジェットヘッドのインク吐出口を有する面(x)から、前記面(x)の垂線と被記録媒体とが交わる位置(y)までの距離を1mm以上に設定したインクジェット記録方式で、請求項10に記載のインクジェット印刷用インクを被記録媒体の表面に接触させた後、前記被記録媒体の表面温度を5℃〜60℃の範囲内で維持し乾燥させることによって、前記インクに含まれるバインダー(A)が有するカルボニル基と、前記化合物(B)が有するヒドラジン構造とを反応させ下記化学式(1)で示される構造を形成することを特徴とする印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物の製造に使用可能なインクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターは、家庭やオフィス等において、普通紙への印刷場面で広く使用されている。
【0003】
一方、産業界では、インクジェットプリンターを用いて包装材料や広告宣伝媒体へ印刷する方式が検討されている。前記包装材料や広告宣伝媒体としては、例えばオレフィン樹脂系フィルムやポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム等の樹脂フィルムからなるインク非吸収性の被記録媒体、それらの表面にコート層が設けられたコート紙等の難吸収性被記録媒体が挙げられる。
【0004】
しかし、前記インク非吸収性または難吸収性の被記録媒体は、前記普通紙と異なり、インクに含まれる溶媒をほとんど吸収しないため、普通紙への印刷に使用されていた従来のインクを、インク非吸収性または難吸収性の被記録媒体への印刷に転用しても、鮮明な画像を形成することができない場合があった。
【0005】
前記インク非吸収性または難吸収性の被記録媒体への印刷に使用可能で、かつ、有機溶剤等に起因した環境負荷を低減可能なインクとしては、例えば顔料、アルカリ可溶性樹脂、ワックスエマルション、塩基性化合物、水性媒体、及び、界面活性剤を含有する水性インクジェット用インク組成物であって、前記ワックスエマルションのワックスの平均粒子径が150〜200nmであり、前記ワックスエマルションの固形分の含有量が水性インクジェット用インク組成物中の0.5〜4質量%であり、前記界面活性剤がアセチレンジオール系界面活性剤である水性インクジェット用インク組成物が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0006】
しかし、前記インク組成物は、前記インク非吸収性または難吸収性の被記録媒体のうち、一般に難付着性のポリオレフィンフィルムやポリエチレンフィルム等の被記録媒体に対する密着性の点で十分でない場合があるため、印刷画像の経時的な剥がれ等を引き起こす場合があった。
【0007】
また、前記インク非吸収性または難吸収性の被記録媒体にインクを連続して印刷し印刷物を製造しようとした場合、前記印刷物の印刷面と、別の印刷物の裏面とが接触した際に、インクが前記印刷面から前記裏面に転写され、その結果、印刷画像の剥がれや、被記録媒体の破れを引き起こす場合があった。この課題を有する印刷物は、一般にセット性が不十分であるとされ、前記したような広告媒体等を連続生産する際の大きな課題となっていた。
【0008】
ところで、前記インク非吸収性または難吸収性の被記録媒体に対するインクの密着性を向上させる方法としては、例えばガラス転移温度の低い樹脂を含有するインクを使用する方法が挙げられる。
【0009】
しかし、前記ガラス転移温度の低い樹脂を含有するインクをインクジェット印刷インクに使用すると、吐出安定性の低下を引き起こす場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開2015/111644パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、インクに含まれる溶媒を吸収しにくい、例えば各種樹脂フィルムやコート紙等のインク非吸収性または難吸収性の被記録媒体に対する優れた密着性と、優れたセット性とを有するインクを提供することである。
【0012】
また、本発明が解決しようとする課題は、インクに含まれる溶媒を吸収しにくい、例えば各種樹脂フィルムやコート紙等のインク非吸収性または難吸収性の被記録媒体に対する優れた密着性と、優れたセット性と、吐出安定性とを両立したインクジェット印刷用インクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、カルボニル基を有するバインダー(A)及び前記カルボニル基と反応しうる構造を有する化合物(B)が、水性媒体(C)に溶解または分散したものであることを特徴とするインク及びインクジェット印刷用インクによって課題を解決した。
【発明の効果】
【0014】
本発明のインクは、インクに含まれる溶媒を吸収しにくい、例えば各種樹脂フィルムやコート紙等のインク非吸収性または難吸収性の被記録媒体に対するセット性や密着性に優れ、インクジェット方式で印刷物を製造しようとした場合には、優れたセット性や密着性を損なうことなく、優れた吐出安定性を長期間にわたり維持することができる。
【0015】
また、本発明のインクは、およそ5℃〜60℃の範囲の常温環境下で乾燥した場合であっても、架橋した塗膜を形成できるため、印刷物を乾燥する際の熱の影響により変形や変色を引き起こしやすい樹脂フィルム等の被記録媒体への印刷に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のインクは、カルボニル基を有するバインダー(A)及び前記カルボニル基と反応しうる構造を有する化合物(B)が、水性媒体(C)に溶解または分散したものであることを特徴とする。
【0017】
(カルボニル基を有するバインダー(A))
前記カルボニル基を有するバインダー(A)は、本発明のインクに、優れたセット性及び密着性を付与する。
【0018】
前記バインダーが有するカルボニル基は、具体的にはアルデヒド基、ケトン基、アミド基、カルボキシル基等が挙げられ、ケトン基であることが好ましい。
【0019】
前記カルボニル基は、本発明のインクが被記録媒体の表面に印刷され、インク中の溶媒が揮発等した後に、前記化合物(B)が有する官能基と反応する。これにより、本発明のインクは、優れたセット性と密着性とを発現することができる。
【0020】
前記バインダー(A)としては、例えばアルデヒド基を有するアクリル重合体、ケトン基を有するアクリル重合体、アミド基を有するアクリル重合体、カルボキシル基を有するアクリル重合体等が挙げられ、ケトン基を有するアクリル重合体を使用することが、一般に難付着性のポリオレフィンフィルムやポリエチレンフィルム等の被記録媒体に対してより一層優れた密着性を付与するうえで好ましい。
【0021】
また、前記バインダー(A)としては、いわゆるコアシェル型の重合体を使用することができ、前記カルボニル基をコア部またはシェル部のいずれか一方または両方に有する重合体を使用することができる。
【0022】
前記バインダー(A)としては、前記したなかでも、コア部にアミド基等のカルボニル基を有するコアシェル型の重合体を使用することが、前記難付着性の被記録媒体に対してより一層優れた密着性と、インクジェット方式で吐出する場合に求められるレベルの優れた吐出安定性とを備えたインクを得るうえで好ましい。
【0023】
より具体的には、前記コアシェル型重合体としては、ダイアセトンアクリルアミドを含む単量体成分のアクリル重合体を含むコア部と、任意のアクリル重合体を含むシェル部とを有するコアシェル型アクリル重合体を使用することが、インクジェット方式で吐出する場合に求められるレベルのより一層優れた吐出安定性を備えたインクを得るうえで好ましい。
【0024】
前記バインダー(A)としては、例えば前記カルボニル基を有する単量体と、必要に応じてその他の単量体とを含有する単量体成分を重合させることによって製造することができる。
【0025】
前記カルボニル基を有する単量体としては、例えばダイアセトンアクリルアミド、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート等を使用することができ、ダイアセトンアクリルアミドを使用することが、被記録媒体への密着性をより一層向上させるうえで好ましい。
【0026】
前記その他の単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸やそのアルカリ金属塩、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、アクリルアマイド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアマイド等のアミド基を有するアクリル系単量体、(メタ)アクリロニトリル、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等のアクリル系単量体、スチレン、α−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等の芳香族ビニル化合物、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸などのビニルスルホン酸化合物、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ナフチルビニルピリジン等のビニルピリジン化合物、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を使用することができる。
【0027】
前記単量体の重合方法としては、溶液重合法や乳化重合法等が挙げられ、乳化重合法を採用することが好ましい。
【0028】
前記バインダー(A)としては、ガラス転移温度が−12℃〜25℃の範囲のものを使用することが好ましく、8℃〜25の範囲のものを使用することが、前記難付着性の被記録媒体に対するより一層優れた密着性と、インクジェット方式で吐出する場合に求められるレベルの優れた吐出安定性とを備えたインクを得るうえで特に好ましい。
【0029】
(ガラス転移温度)
前記バインダー(A)のガラス転移温度(K)は、前記バインダー(A)を構成する単量体の各ホモポリマーのガラス転移温度を用い、次のFOX式により求められる理論計算値である。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn
(式中、Tgは、ビニル重合体のガラス転移温度(K)であり、W1、W2、・・・、Wnは、各モノマーの重量分率であり、Tg1、Tg2、・・・、Tgnは、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度である)
計算に用いるホモポリマーのガラス転移温度は、「POLYMER HANDBOOK THIRD EDITION」(A WILEY−INTERSCIENCE PUBLICATION)に収録された値を使用した。
【0030】
前記バインダー(A)は、本発明のインクの全量に対して1質量%〜10質量%の範囲で使用することが好ましく、3質量%〜6質量%の範囲で使用することが、前記難付着性の被記録媒体に対してより一層優れた密着性を備えたインクを得るうえで特に好ましい。
【0031】
(カルボニル基と反応しうる構造を有する化合物(B))
前記化合物(B)としては、前記バインダー(A)が有するカルボニル基と反応し得る構造を有するものを使用する。
【0032】
本発明のインクは、前記被記録媒体の表面に着弾し、インクに含まれる水性媒体(C)等の溶媒が揮発した後に、前記バインダー(A)が有するカルボニル基と、前記化合物(B)が有する前記構造とが脱水縮合等することで架橋し、前記被記録媒体の表面に定着する。これにより、セット性や密着性に優れた印刷物を得ることができる。
【0033】
前記構造としては、例えばヒドラジン構造、ヒドラジノ構造等が挙げられ、ヒドラジン構造であることが、前記被記録媒体への密着性とセット性に優れたインクを得るうえで好ましい。
【0034】
前記化合物(B)としては、具体的には、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、サリチル酸ジヒドラジド等が挙げられ、アジピン酸ジヒドラジドを使用することが、前記被記録媒体への密着性に優れたインクを得るうえで好ましい。
【0035】
前記化合物(B)は、本発明のインクの全量に対して0.003質量%〜0.5質量%の範囲で使用することが好ましく、0.01質量%〜0.5質量%の範囲で使用することがより一層優れた被記録媒体への密着性を備えたインクを得るうえで好ましい。
【0036】
また、前記化合物(B)は、前記バインダー(A)の全量に対して0.1質量%〜5質量%の範囲で使用することが、被記録媒体への密着性を備えたインクを得るうえで好ましい。
【0037】
前記カルボニル基を有するバインダー(A)と前記化合物(B)との質量割合[バインダー(A)/化合物(B)]は、20/1〜1000/1となる範囲で使用することが好ましく、100/1〜500/1の範囲で使用することが、より一層セット性に優れたインクを得るうえでより好ましい。
【0038】
(水性媒体(C))
本発明のインクは、溶媒として水性媒体(C)を含有するものを使用する。
【0039】
前記水性媒体(C)としては、水を単独、または、水と後述する水溶性有機溶剤との混合溶媒を使用することができる。
【0040】
前記水としては、具体的にはイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水を使用することができる。
【0041】
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、等のケトン類;メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類;ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールおよびこれらと同族のジオール等のジオール類;ラウリン酸プロピレングリコール等のグリコールエステル;ジエチレングリコールモノエチル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールエーテル、ジプロピレングリコールエーテル、および、トリエチレングリコールエーテルを含むセロソルブ等のグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールや2−ブタノール等のブチルアルコール、ペンチルアルコール、およびこれらと同族のアルコールなどのアルコール類;スルホラン;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;N−(2−ヒドロキシエチル)ピロリドン等のラクタム類などを、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
【0042】
また、前記水溶性有機溶剤としては、前記したものの他にインクの速乾性を高めるうえで、沸点が100℃以上200℃以下であり、かつ20℃での蒸気圧が0.5hPa以上である水溶性有機溶剤を用いることができる。
【0043】
前記範囲の沸点及び蒸気圧を有する水溶性有機溶剤としては、例えば3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコール−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチルラクテート等が挙げられ、これらのものを2種以上組み合わせ使用することができる。
【0044】
前記水溶性有機溶剤のなかでも、インクの良好な分散安定性の維持や、例えばインクジェット装置が備えるインク吐出ノズルの、前記インクに含まれる溶剤の影響による劣化を抑制するうえで、HSP(ハンセン溶解度パラメータ)の水素結合項δ
Hが6〜30の範囲であるような水溶性有機溶剤を使用することが好ましい。
【0045】
前記範囲のHSPの水素結合項を有する水溶性有機溶剤としては、具体的には、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコール−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルが好ましく、より好ましくは3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールである。
【0046】
水性媒体(C)としては、本発明のインクをインクジェット印刷法で印刷する際の良好な吐出安定性を確保するために、グリセリン、ジグリセリンおよび/またはこれらの誘導体である有機溶剤として、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジグリセリン脂肪酸エステル、一般式(1)で表されるポリオキシプロピレン(n)ポリグリセリルエーテル、一般式(2)で表されるポリオキシエチレン(n)ポリグリセリルエーテル等を使用することができる。これらのものを2種以上同時に用いてもよい。本発明においては、グリセリン及びn=8〜15のポリオキシプロピレン(n)ポリグリセリルエーテルを選択することが特に好ましい。
【0048】
一般式(1)及び一般式(2)中のm、n、o及びpは、各々独立して1〜10の整数を示す。
【0049】
(溶媒(C1))
前記水性媒体(C)としては、前記したなかでもハンセン溶解度パラメータの極性項が7以上、かつ、水素結合項が15以上である溶媒(C1)を含有するものを使用することが、インクジェット方式で吐出する場合に求められるレベルの良好な吐出安定性の点で優れるため好ましい。
【0050】
前記溶媒(C1)としては、前記極性項が好ましくは7〜15、より好ましくは7〜12の範囲であり、かつ、前記水素結合項が好ましくは15〜30、より好ましくは17〜22の範囲のものを使用することが、インクジェット方式で吐出する場合に求められるレベルの優れた吐出安定性を備えたインクを得るうえで好ましい。
【0051】
前記溶媒(C1)としては、例えば1,2−プロパンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオールまたは3−メチル−1,4−ブタンジオールの1種または2種以上組合せ使用することができる。なかでも、前記溶媒(C1)としては、1,2−プロパンジオールと、1,2−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール及び3−メチル−1,4−ブタンジオールからなる群より選ばれる1種以上とを組合せ使用することが、インクジェットヘッドのへのダメージが少なく、かつ被記録媒体へのインクのぬれ性を向上し、その結果、セット性や密着性をより一層向上させるうえでより好ましい。
【0052】
前記溶媒(C1)は、本発明のインクの全量に対し、15質量%〜40質量%の範囲で含まれることが好ましく、15質量%〜25質量%の範囲で含まれることが、インクジェット方式で吐出する場合に求められるレベルの良好な吐出安定性の点で優れるため好ましい。
【0053】
また、前記溶媒(C1)等の前記水性媒体(C)は、本発明のインク全量に対し15質量%〜50質量%の範囲で使用することが好ましく、15質量%〜30質量%の範囲で使用することが、セット性に優れ、インクジェット方式で吐出する場合に求められるレベルの良好な吐出性を備え、鮮明な印刷物の製造に使用できるためより好ましい。
【0054】
(色材)
本発明のインクとしては、必要に応じて色材を含有するものを使用することができる。
【0055】
前記色材としては、顔料や染料等を使用することができ、なかでも、耐候性等に優れた印刷物を製造するうえで、顔料を使用することが好ましい。
【0056】
前記顔料としては、例えば有機顔料または無機顔料を使用することができる。
【0057】
また、前記顔料としては、未酸性処理顔料、酸性処理顔料、顔料が樹脂で被覆されたものを使用することもできる。
【0058】
前記無機顔料としては、例えば、酸化鉄や、コンタクト法、ファーネス法またはサーマル法等の方法で製造されたカーボンブラック等を使用することができる。
【0059】
前記有機顔料としては、例えばアゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、レーキ顔料(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等を使用することができる。
【0060】
前記顔料のうち、ブラックインクに使用可能なカーボンブラックとしては、三菱化学株式会社製のNo.2300、No.2200B、No.900、No.960、 No.980、No.33、No.40、No,45、No.45L、No.52、HCF88、MA7、MA8、MA100、等が、コロンビア社製のRaven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、Raven700等、キャボット社製のRegal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Mogul 700、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400等、デグサ社製のColor Black FW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、Printex 35、同U、同V、同1400U、Special Black 6、同5、同4、同4A、NIPEX150、NIPEX160、NIPEX170、NIPEX180等を使用することができる。
【0061】
また、イエローインクに使用可能な顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、174、180、185等が挙げられる。
【0062】
また、マゼンタインクに使用可能な顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、146、168、176、184、185、202、209、269、282等、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
【0063】
また、シアンインクに使用可能な顔料の具体例としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:3、15:4、16、22、60、63、66等が挙げられる。
【0064】
また、白インクに使用可能な顔料の具体例としては、アルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸塩、微粉ケイ酸、合成珪酸塩、等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等があげられる。これらは、表面処理されていてもよい。
【0065】
前記顔料は、インク中に安定に存在させるために、水性媒体(C)に良好に分散させる手段を講じてあることが好ましい。
【0066】
前記手段としては、例えば
(i)顔料を顔料分散剤と共に、後述する分散方法で水性媒体(C)中に分散させる方法
(ii)顔料の表面に分散性付与基(親水性官能基および/またはその塩)を直接またはアルキル基、アルキルエーテル基またはアリール基等を介して間接的に結合させた自己分散型顔料を水性媒体(C)に分散および/または溶解させる方法が挙げられる。
【0067】
前記自己分散型顔料としては、例えば、顔料に物理的処理または化学的処理を施し、分散性付与基または分散性付与基を有する活性種を顔料の表面に結合(グラフト)させたものを使用することができる。前記自己分散型顔料は、例えば、真空プラズマ処理、次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸塩による酸化処理、またはオゾンによる酸化処理等や、水中で酸化剤により顔料表面を酸化する湿式酸化法や、p−アミノ安息香酸を顔料表面に結合させることによりフェニル基を介してカルボキシル基を結合させる方法によって製造することができる。
【0068】
自己分散型顔料を含有する水性インクは、前記顔料分散剤を含む必要がないため、顔料分散剤に起因する発泡等がほとんどなく、吐出安定性に優れたインクを調製しやすい。また、自己分散型顔料を含有する水性インクは、取り扱いが容易で、顔料分散剤に起因する大幅な粘度上昇が抑えられるため顔料をより多く含有することが可能となり、印字濃度の高い印刷物の製造に使用することができる。
【0069】
自己分散型顔料としては、市販品を利用することも可能であり、そのような市販品としては、マイクロジェットCW−1(商品名;オリヱント化学工業(株)製)、CAB−O−JET200、CAB−O−JET300(以上、商品名;キヤボット社製)が挙げられる。
【0070】
前記色材としては、前記インクの全量に対して1質量%〜20質量%の範囲で使用することが好ましく、2質量%〜10質量%の範囲で使用することが、インク中における前記顔料等の色材の分散安定性をより一層向上させるうえで好ましい。
【0071】
(顔料分散剤)
前記顔料分散剤は、前記色材として顔料を使用する場合に、好適に使用することができる。
【0072】
前記顔料分散剤としては、例えばポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体の水性樹脂、及び、前記水性樹脂の塩を使用することができる。前記顔料分散剤としては、味の素ファインテクノ(株)製品)のアジスパーPBシリーズ、ビックケミー・ジャパン(株)のDisperbykシリーズ、BASF社製のEFKAシリーズ、日本ルーブリゾール株式会社製のSOLSPERSEシリーズ、エボニック社製のTEGOシリーズ等を使用することができる。
【0073】
前記顔料分散剤としては、ブロック重合体やランダム重合体を使用することができる。また、前記ブロック重合体としては、リビングアニオン重合法や、リビングラジカル法で製造したものを使用することができる。具体的には一般式1で示されるものを使用することが好ましい。
【0074】
リビングアニオン重合によって製造される前記ポリマーは、具体的には、一般式(3)で表されるポリマーである。
【0076】
一般式(3)中、A
1は有機リチウム開始剤残基を表し、A
2は芳香環または複素環を有するモノマーのポリマーブロックを表し、A
3はアニオン性基を含むポリマーブロックを表し、nは1〜5の整数を表し、Bは芳香族基またはアルキル基を表す。
【0077】
一般式(3)中、A
1は有機リチウム開始剤残基を表す。有機リチウム開始剤として具体的にはメチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム(n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、iso−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなど)、ペンチルリチウム、へキシルリチウム、メトキシメチルリチウム、エトシキメチルリチウムなどのアルキルリチウム;ベンジルリチウム、α−メチルスチリルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、フェニルエチルリチウムなどのフェニルアルキレンリチウム;ビニルリチウム、アリルリチウム、プロペニルリチウム、ブテニルリチウムなどのアルケニルリチウム;エチニルリチウム、ブチニルリチウム、ペンチニルリチウム、ヘキシニルリチウムなどのアルキニルリチウム;フェニルリチウム、ナフチルリチウムなどのアリールリチウム;2−チエニルリチウム、4−ピリジルリチウム、2−キノリルリチウムなどのヘテロ環リチウム;トリ(n−ブチル)マグネシウムリチウム、トリメチルマグネシウムリチウムなどのアルキルリチウムマグネシウム錯体などが挙げられる。
【0078】
前記一般式(3)中、A
2は疎水性基を有するポリマーブロックを表す。A
2は、前述の通り適度な溶解性のバランスのバランスを取る目的の他、顔料と接触したときに顔料への吸着の高い基であることが好ましく、A
2は芳香環または複素環を有するモノマーのポリマーブロックであることが好ましい。
芳香環または複素環を有するモノマーのポリマーブロックとは、具体的には、スチレン系モノマー等の芳香族環を有するモノマーや、ビニルピリジン系モノマー等の複素環を有するモノマーを単独重合または共重合して得たホモポリマーまたはコポリマーのポリマーブロックである。
【0079】
芳香環を有するモノマーとしては、スチレン、p−tert−ブチルジメチルシロキシスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、m−tert−ブトキシスチレン、p−tert−(1−エトキシメチル)スチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−フロロスチレン、α−メチルスチレン、p−メチル−α−メチルスチレン、などのスチレン系モノマーや、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどがあげられる。
【0080】
また、複素環を有するモノマーとしては、例えば2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどのビニルピリジン系モノマーを単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
【0081】
前記一般式(3)中、A
3はアニオン性基を含むポリマーブロックを表す。A
3は、前述の通り適度な溶解性を与える目的の他、顔料分散体となったときに水中で分散安定性を付与する目的がある。
前記ポリマーブロックA
3におけるアニオン性基は、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基または燐酸基等があげられる。なかでも、カルボキシル基がその調製やモノマー品種の豊富さ入手し易さから好ましい。また2つのカルボキシル基が分子内または分子間において脱水縮合した酸無水基となっていてもよい。
【0082】
本発明のインクは、前記成分のほかに必要に応じて、前記カルボニル基を有するバインダー以外のその他のバインダー、湿潤剤(乾燥抑止剤)、浸透剤、防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等のその他の添加剤を含有するものを使用することができる。
【0083】
前記その他のバインダーとしては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を1種もしくは数種併用して使用することができる。
【0084】
前記湿潤剤は、本発明のインクのインク吐出ヘッド内での乾燥を防止するうえで使用することができる。前記湿潤剤は、本発明のインクの全量に対して好ましくは0質量%〜10質量%、より好ましくは0質量%〜5質量%の範囲で使用することができる。
【0085】
前記湿潤剤としては、本発明のインクのインク吐出ヘッド内での乾燥を防止するうえで、水との混和性が高いものを使用することが好ましく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、尿素、エチレン尿素、2-ヒドロキシエチル尿素等が挙げられる。
【0086】
前記浸透剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、エチレングリコールヘキシルエーテルやジエチレングリコールブチルエーテル等のアルキルアルコールのエチレンオキシド付加物やプロピレングリコールプロピルエーテル等のアルキルアルコールのプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。前記浸透剤は、本発明のインクの全量に対して好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下の範囲で使用することができ、実質的に使用しないことが特に好ましい。
【0087】
前記界面活性剤は、本発明のインクの表面張力を低下させ、前記インクのレベリング性を向上させることを目的として使用することができる。
【0088】
前記界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤を使用することが好ましい。
【0089】
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等を使用することができる。前記アニオン性界面活性剤としては、具体的にはドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩などを挙げることができる。
【0090】
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアルカノールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー等を使用することができる。前記ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマーを使用することが好ましく、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物を使用することが、被記録媒体に対するインク液滴の接触角を低減し、白スジや色抜けなどがなく十分な画像濃度を備えた印刷物を得られることからより好ましい。
【0091】
その他の界面活性剤としては、ポリシロキサンオキシエチレン付加物のようなシリコーン系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルのようなフッ素系界面活性剤;スピクリスポール酸、ラムノリピド、リゾレシチンのようなバイオサーファクタント等も使用することができる。
【0092】
前記界面活性剤は、単独または2種類以上を組み合わせ用いることができる。前記界面活性剤としては、前記水性媒体(C)への溶解安定性等を考慮すると、HLBが7〜20の範囲であるものを使用することが好ましい。
【0093】
前記界面活性剤は、本発明のインクの全量に対し、0.001質量%〜2質量%の範囲で使用することが好ましく、0.001質量%〜1.5質量%の範囲で使用することより好ましく、0.01質量%〜1質量%の範囲で使用することが、より一層優れたセット性と密着性とを備えた印刷物を製造可能なインクを得るうえでさらに好ましい。
【0094】
(インクの製造方法)
本発明のインクは、例えばカルボニル基を有するバインダー(A)、前記カルボニル基と反応しうる構造を有する化合物(B)、水性媒体(C)及び必要に応じて溶媒(C1)や色材をはじめとする任意成分を混合することによって製造することができる。
【0095】
前記混合の際には、例えば、ビーズミル、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、ナノマイザー等の分散機を使用することができる。
【0096】
前記インクの製造方法としては、より具体的には前記バインダー(A)、前記化合物(B)、水性媒体(C)及び必要に応じて前記任意成分を、一括して混合し、攪拌などすることによって製造する方法が挙げられる。
【0097】
また、前記とは別のインクの製造方法としては、例えば<1>前記顔料分散剤と、前記顔料等の色材と必要に応じて溶媒(C1)等とを混合することで色材を高濃度で含有する色材分散体aを製造する工程、<2>前記バインダー(A)、前記化合物(B)及び必要に応じて溶媒(C1)等とを混合することによって組成物bを製造する工程、<3>前記組成物bと前記水性媒体(C)等とを含有する組成物cを製造する工程、ならびに、<4>前記色材分散体aと前記組成物cとを混合する工程を経ることによって製造する方法が挙げられる。
【0098】
前記方法で得られたインクは、必要に応じて遠心分離処理や濾過処理を行うことが、インク中に混入した不純物を除去するうえで好ましい。
【0099】
(インクの物性)
本発明のインクとしては、32℃の粘度が、好ましくは2.0mPa・s以上、より好ましくは3.0mPa・s以上、更により好ましくは5.0mPa・s以上である。また、インクの保存安定性及び吐出性を向上させる観点から、好ましくは20mPa・s以下、より好ましくは12mPa・s以下、より好ましくは9.0mPa・s以下、更に好ましくは7.0mPa・s以下である。前記範囲の粘度を有するインクであれば、例えばインクジェット方式でインクを吐出する際に、良好な吐出安定性を維持することが可能となる。
【0100】
本発明のインクのpHは、インクの保存安定性及び吐出性を向上させ、インク非吸収性または難吸収性の被記録媒体に印刷した際のドット径の広がり、印字濃度、被記録媒体への密着性を向上させるうえで、好ましくは7.0以上、より好ましくは7.5以上、更により好ましくは8.0以上である。前記インクのpHの上限は、インクの塗布または吐出装置を構成する部材(例えば、インク吐出ノズル、インクの流路等)の劣化を抑制し、かつ、インクが皮膚に付着した場合の影響を小さくするうえで、好ましくは11.0以下、より好ましくは10.5以下、更により好ましくは10.0以下である。
【0101】
(被記録媒体)
本発明のインクは、複写機で一般的に使用されているコピー用紙(PPC紙)等のインク吸収性に優れた被記録媒体、インクの吸収層を有する被記録媒体、インクの吸収性を全く有しない非吸収性の被記録媒体、または、インクの吸水性の低い難吸収性の被記録媒体に印刷することが可能である。とりわけ、本発明のインクは、インク非吸収性または難吸収性の被記録媒体に対して印刷した場合であっても、セット性や被記録媒体への密着性に優れた印刷物を得ることができる。
【0102】
前記難吸収性の被記録媒体としては、被記録媒体と純水との接触時間100m秒における前記被記録媒体の吸水量が10g/m
2以下である被記録媒体を、本発明のインクと組み合わせ使用することが、被記録媒体へのより一層優れた密着性を備えた印刷物を得るうえで好ましい。
【0103】
なお、前記の吸水量は、自動走査吸液計(熊谷理機工業(株)社製、KM500win)を用いて、23℃、相対湿度50%の条件下にて、純水の接触時間100msにおける転移量を測定し、100m秒の吸水量とした。測定条件を以下に示す。
【0104】
[Spiral Method]
Contact Time:0.010〜1.0(sec)
Pitch:7(mm)
Lencth per sampling:86.29(degree)
Start Radius:20(mm)
End Radius:60(mm)
Min Contact Time:10(ms)
Max Contact Time:1000(ms)
Sampling Pattern:50
Number of sampling points:19
[Square Head]
Slit Span:1(mm)
Width:5(mm)
【0105】
インク吸収性の被記録媒体としては、例えば普通紙、布帛、ダンボール、木材等が挙げられる。インク吸収層を有する被記録媒体としては、インクジェット専用紙等が挙げられ、より具体的には株式会社ピクトリコのピクトリコプロ・フォトペーパー等が挙げられる。
【0106】
インクの吸水性の低い難吸収性の被記録媒体としては、例えば印刷本紙などのアート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙などを使用することができる。前記インク難吸収性の被記録媒体は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものであり、王子製紙(株)製の「OKエバーライトコート」及び日本製紙(株)製の「オーロラS」等の微塗工紙、王子製紙(株)製の「OKコートL」及び日本製紙(株)製の「オーロラL」等の軽量コート紙(A3)、王子製紙(株)製の「OKトップコート+(坪量104.7g/m
2、接触時間100m秒における吸水量(以下の吸水量は同じ)4.9g/m
2)」、日本製紙(株)製の「オーロラコート」、UPM社製のFinesse Gloss(UPM社製、115g/m
2、吸水量3.1g/m
2)及びFiness Matt(115g/m
2、吸水量4.4g/m
2)等のコート紙(A2、B2)、王子製紙(株)製の「OK金藤+」及び三菱製紙(株)製の「特菱アート」等のアート紙(A1)等が挙げられる。
【0107】
インクの吸収性を有しない非吸水性の被記録媒体としては、例えば食品用の包装材料に使用されているもの等のプラスチックフィルムを使用することができる。
前記プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ナイロン等のポリアミド系フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリ乳酸フィルム等が挙げられる。なかでも、前記プラスチックフィルムとしては、特にポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリアミド系フィルムを使用することが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロンを使用することが好ましい。前記プラスチックフィルムとしては、ガスバリア性を有するものを使用することもでき、例えば前記したプラスチックフィルムの片面または両面に、ポリ塩化ビニリデン等を含む層を有するフィルムや、アルミニウム等の金属や、シリカまたはアルミナ等の金属酸化物を含有する蒸着層を有するフィルムを使用することができる。
【0108】
前記プラスチックフィルムとしては、未延伸フィルムを使用することができ、1軸または2軸方向に延伸されたものを使用することができる。前記プラスチックフィルムとしては、コロナ放電処理、オゾン処理、低温プラズマ処理、フレーム処理、グロー放電処理等の接着性を向上させるための各種処理が施された表面を有するものを使用することが好ましい。
【0109】
前記プラスチックフィルムとしては、用途に応じて任意の厚さのものを使用することができ、例えば軟包装用途で使用する場合であれば、良好な柔軟性と耐久性と耐カール性を維持するうえで、厚さが10μm〜100μmのものを使用することが好ましく、10μm〜30μmのものを使用することがより好ましい。前記プラスチックフィルムとしては、東洋紡株式会社のパイレン、エスペット(いずれも登録商標)などが挙げられる。
【0110】
本発明のインクは、前記したような被記録媒体の表面に印刷し印刷物を製造する際に使用することができる。
【0111】
前記インクは、例えばインクジェット方式、スクリーン印刷方式、フレキソ印刷方式、グラビア印刷方式等に適用できるが、好ましくはインクジェット印刷用インクとして使用することができる。
【0112】
前記インクを用いた印刷物としては、例えば前記インクを、前記インクジェット方式等で被記録媒体の表面に接触した後、乾燥させることによって、前記インクに含まれるバインダー(A)が有するカルボニル基と、前記化合物(B)が有するヒドラジン構造とを反応させ下記化学式(1)で示される構造が形成された印刷物が挙げられる。
【0113】
前記乾燥は、前記被記録媒体の表面温度が25〜60℃の範囲内で行うことが、比較的熱に弱い被記録媒体を用いた場合であっても、被記録媒体の熱の影響による変形や変色を防止できるため好ましい。
【0115】
前記化学式(1)で示される構造は、具体的には、前記バインダー(A)のカルボニル基がケトン基であり、かつ、前記化合物(B)が有する前記構造がヒドラジン構造である場合に形成される構造である。印刷物の塗膜に構造が形成されることによって、前記難付着性の被記録媒体に対して優れた密着性やセット性を発現することができる。
【0116】
ところで、前記インクジェット印刷方式で前記被記録媒体に本発明のインクを印刷する際、前記被記録媒体の表面が凹凸形状である場合や、前記被記録媒体が大型で歪みや反りを有するものである場合に、インクジェットヘッドと被記録媒体とが接触することが懸念される。前記接触を回避する方法としては、インクジェットヘッドのインク吐出口を有する面(x)から、前記面(x)の垂線と被記録媒体とが交わる位置(y)までの距離(ギャップ)を、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上、さらに好ましくは3mm以上である構成を備えたインクジェット記録装置を使用することが好ましい。
【0117】
前記面(x)から、前記面(x)に対して仮定した垂線と、被記録媒体とが交わる位置(y)までの距離は、被記録媒体が大きく、反りやすいものであっても、前記被記録媒体の表面と前記インク吐出口とが接触することを防止し、前記インク吐出口の損傷や、前記インク吐出口が備える場合の多い撥水機能の低下に起因したインク吐出不良を効果的に防止するとともに、被記録媒体の表面とインクジェットヘッドとの距離が長い場合であっても、スジを有さない印刷物を製造するうえで、前記距離の下限は3mm以上であることが好ましく、前記距離の上限は、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることが特に好ましい。
【0118】
よって、本発明のインクを用い、かつ、前記インクジェットヘッドと被記録媒体との接触を回避し印刷物を製造する方法としては、具体的にはインクジェットヘッドのインク吐出口を有する面(x)から、前記面(x)の垂線と被記録媒体とが交わる位置(y)までの距離を1mm以上に設定したインクジェット記録方式で、本発明のインクジェット印刷用インクを被記録媒体の表面に接触させた後、前記被記録媒体の表面温度を5℃〜60℃の範囲内で維持し乾燥させることによって、前記インクに含まれるバインダー(A)が有するカルボニル基と、前記化合物(B)が有するヒドラジン構造とを反応させ下記化学式(1)で示される構造を形成する方法で印刷物を製造方法することが好ましい。
【実施例】
【0119】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。
【0120】
(スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体)
攪拌装置、滴下装置、温度センサー、および上部に窒素導入装置を有する還流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(重合試験機DSL−2AS型、轟産業(株)製)の反応容器にイソプロピルアルコール(IPA)1,200質量部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。
【0121】
反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置よりメタクリル酸2−ヒドロキシエチル75.0質量部、メタクリル酸260.8質量部、スチレン400.0質量部、メタクリル酸ベンジル234.2質量部、メタクリル酸グリシジル30.0質量部、および「パーブチル(登録商標)O」(有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日油(株)製)80.0質量部の混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で15時間反応を継続させた後、IPAの一部を減圧留去し、固形分含有比率を42.5質量%に調整することによって、酸価170mgKOH/gのスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体(X)溶液を得た。
【0122】
(顔料分散体の調製)
冷却用ジャケットを備えた混合槽に、カーボンブラック(三菱ケミカル(株)C.I.ピグメント ブラック7)360質量部と、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体(X)溶液170質量部、25質量%水酸化カリウム水溶液61質量部、イソプロピルアルコール83質量部、イオン交換水1000質量部を仕込み、スリーワンモーターで1時間攪拌し混合した。
【0123】
得られた混合液を、直径0.3mmのジルコニアビーズが充填された分散装置(SCミルSC100/32型、三井鉱山(株)製)に通し、循環方式(前記分散装置から排出された混合液が前記混合槽に戻され、再び前記分散機に供給される方式)により分散処理することによって分散液を得た。前記分散処理は、前記分散装置のローター周速を11.25m/秒に固定して4時間行った。また、前記分散処理中、前記冷却用ジャケットに冷水を通すことによって前記混合液の温度を30℃以下に保つよう制御した。
【0124】
前記方法で得られた前記分散液を、前記混合槽から抜きとった。次に、水1500質量部を前記混合槽に供給し、前記混合槽及び前記分散装置の流路を洗浄し、その洗浄に使用した水と、前記分散液とを混合したものをミル分散液とした。
【0125】
次に、ガラス製蒸留装置に前記ミル分散液を入れ、前記ミル分散液に含まれるイソプロピルアルコールの全量と水の一部とを留去した。前記留去後のミル分散液を室温まで放冷した後、それを攪拌しながら2質量%塩酸を滴下してpH3.5に調整し、それに含まれる固形分をヌッチェ式濾過装置で濾過し水洗したものをウェットケーキとした。
【0126】
前記ウェットケーキを容器に採り、25質量%水酸化カリウム水溶液を加えてpH9.0に調整したものを、ディスパー(TKホモディスパー20型、特殊機化工業(株)製)にて再分散し、遠心分離処理(6000G、30分間)した後、イオン交換水を加えることによって、固形分18質量%の水性顔料分散体(K)を得た。
【0127】
(水性インクの調製)
(実施例1 水性インクの調製方法)
前記水性顔料分散体(K)40質量部に、組成物A(コア部にダイアセトンアクリルアミド由来の構造(カルボニル基としてケトン基を有する)を有するコアシェル型アクリル重合体であるバインダー、及び、アジピン酸ジヒドラジドの混合物、不揮発分42質量%、前記コアシェル型アクリル重合体の体積平均粒子径50nm、前記コアシェル型アクリル重合体のガラス転移温度−12℃)17.14質量部、PG(旭硝子(株)製、プロピレングリコール)20質量部、イオン交換水21.56質量部、トリエタノールアミン0.20質量部、ACTICIDE MV4(ソー・ジャパン(株)製、防腐剤)0.10質量部及びSURFYNOL 440(エボニック社製、アセチレンジアルコール系界面活性剤)1質量部を加えて攪拌することによって黒色水性インク(J1)を得た。
【0128】
(実施例2〜20及び比較例1〜5 水性インクの調製方法)
インクの組成を表1〜表5に記載の組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、水性インク(J2)〜(J20)及び水性インク(H1)〜(H5)を得た。
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】
【表3】
【0132】
【表4】
【0133】
【表5】
【0134】
表中、略語は以下の通りである。
【0135】
組成物A:コア部にダイアセトンアクリルアミド由来の構造(カルボニル基としてケトン基を有する)を有するコアシェル型アクリル重合体であるバインダー、及び、アジピン酸ジヒドラジドの混合物、不揮発分42質量%、前記コアシェル型アクリル重合体の体積平均粒子径50nm、前記コアシェル型アクリル重合体のガラス転移温度−12℃
組成物B:コア部にダイアセトンアクリルアミド由来の構造(カルボニル基としてケトン基を有する)を有するコアシェル型アクリル重合体であるバインダー、及び、アジピン酸ジヒドラジドの混合物、不揮発分37質量%、前記コアシェル型アクリル重合体の体積平均粒子径50nm、前記コアシェル型アクリル重合体のガラス転移温度8℃
組成物C:コア部にダイアセトンアクリルアミド由来の構造(カルボニル基としてケトン基を有する)を有するコアシェル型アクリル重合体であるバインダー、及び、アジピン酸ジヒドラジドの混合物、不揮発分48質量%、前記コアシェル型アクリル重合体の体積平均粒子径50nm、前記コアシェル型アクリル重合体のガラス転移温度25℃
組成物D:前記化合物(B)に相当するアジピン酸ジヒドラジドを含まない、アクリル重合体バインダーの水分散体、不揮発分43質量%、Tg−24℃
組成物E:前記化合物(B)に相当するアジピン酸ジヒドラジドを含まない、アクリル重合体バインダーの水分散体、不揮発分46質量%、体積平均粒子径70nm、Tg15℃
組成物F:前記化合物(B)に相当するアジピン酸ジヒドラジドを含まないウレタンディスパージョン、不揮発分35質量%
【0136】
【表6】
【0137】
TEA:トリエタノールアミン
MV4:ソー・ジャパン(株)社製防腐剤ACTICIDE MV4
SF440:エボニック社製SURFYNOL 440
水:イオン交換水
【0138】
(水性インクの評価)
水性インク(J1)〜(J20)及び(H1)〜(H5)の特性の評価は以下のようにおこなった。結果は表5〜表7に記載した。
【0139】
[セット性評価]
京セラ社製インクジェットヘッドKJ4B−YHに、実施例及び比較例で得た水性インクをそれぞれ充填し、ヘッドノズルプレート面からのインクサブタンクの水頭差を+35cm、負圧−5.0kPaに設定したインクジェット印刷装置を用いて、OPPフィルム(パイレンP2161;東洋坊(株)製二軸延伸ポリプロピレンフィルム)、及び、PETフィルム(エスペットE5102;東洋坊(株)製二軸延伸ポリエステルフィルム)のコロナ処理面に100%濃度ベタ画像を印刷し、60℃の温風乾燥機で1分間乾燥させることによって印刷物を得た。
【0140】
前記インクジェットヘッドと前記OPPフィルム及び前記PETフィルムとのギャップは1.2mmに設定した。ヘッドの駆動条件は、インクジェットヘッドの標準電圧及び標準温度とし、インクの液滴サイズは18pLに設定した。
【0141】
前記印刷物を温風乾燥機から取り出し、室温下に1分間放置した後、印刷物の印刷面に、とは別のOPPフィルムのコロナ未処理面を重ね、100g/cm
2荷重になるように重石をセットし、1分間放置した。
【0142】
1分後、重石を外し、前記印刷物に重ねたOPPフィルムをはがした後、前記印刷物の印刷面をスキャナーで読み取り、OPPフィルムを重ねる前の100%濃度の画像を基準としたときの、前記OPPフィルムをはがした後の画像濃度の割合(色残存率)を画像解析ソフト『ImageJ』にて解析した。
【0143】
◎:印刷物の色残存率が90%以上
〇:印刷物の色残存率が70%以上90%未満
×:印刷物の色残存率が70%未満
【0144】
[密着性評価]
京セラ社製インクジェットヘッドKJ4B−YHに、実施例及び比較例で得た水性インクをそれぞれ充填し、ヘッドノズルプレート面からのインクサブタンクの水頭差を+35cm、負圧−5.0kPaに設定したインクジェット印刷装置を用いて、OPPフィルム(パイレンP2161;東洋坊(株)製二軸延伸ポリプロピレンフィルム)、及び、PETフィルム(エスペットE5102;東洋坊(株)製二軸延伸ポリエステルフィルム)のコロナ処理面に100%濃度ベタ画像を印刷し、60℃の温風乾燥機で5分間乾燥させることによって印刷物を得た。
【0145】
前記インクジェットヘッドと前記OPPフィルム及び前記PETフィルムとのギャップは1.2mmに設定した。ヘッドの駆動条件は、インクジェットヘッドの標準電圧及び標準温度とし、インクの液滴サイズは18pLに設定した。
【0146】
次に、前記印刷物の印刷面にセロハン粘着テープを強く圧着後、セロハン粘着テープを前記印刷面に対して90°の方向に引張った。
【0147】
前記セロハン粘着テープを剥離した後の前記印刷面(x)と、前記セロハン粘着テープを貼付していない印刷面(y)とをスキャナーで読み取り、前記印刷面(x)の色に対する前記印刷面(y)の色の割合(色残存率)を画像解析ソフト『ImageJ』にて解析した。
◎:色残存率が70%以上
○:色残存率が50%以上70%未満
×:色残存率が50%未満
【0148】
[インクジェット吐出性]
京セラ社製インクジェットヘッドKJ4B−YHに、実施例及び比較例で得た水性インクをそれぞれ充填し、ヘッドノズルプレート面からのインクサブタンクの水頭差を+35cm、負圧−5.0kPaに設定することで供給圧を調整した。ヘッドの駆動条件は、インクジェットヘッドの標準電圧及び標準温度とし、液滴サイズを18pLに設定して、20kHzで100発液滴を吐出した際のインク液滴の飛翔状態をストロボカメラにて観察した。
【0149】
◎:インク液滴がまっすぐに連続して吐出できている
〇:インク液滴が曲がることはあるが、連続して吐出できている
×:インク液滴が曲がったり、不吐出が発生している
【0150】
[印刷物のスジの評価]
京セラ株式会社製インクジェットヘッドKJ4B−YHに、実施例及び比較例で得た水性インクをそれぞれ充填し、ヘッドノズルプレート面からのインクサブタンクの水頭差を+35cm、負圧−5.0kPaに設定することで供給圧を調整した。また、インクジェットヘッドのインク吐出口を有する面(x)から、前記面(x)に対して仮定した垂線と、被記録媒体とが交わる位置(y)までの距離(ギャップ)は3mmに設定した。被記録媒体としては白の着色層を有する厚さ2mm程度の段ボールを使用した。前記ヘッドの駆動条件は、インクジェットヘッドの標準電圧、標準温度とし、液滴サイズを18pLに設定して100%ベタ印刷を実施し、印刷物を得た。
【0151】
前記印刷物をスキャナーで読み取り、画像解析ソフト『ImageJ』にてインクが塗布されていない部分の割合(スジ率)を算出した。
【0152】
◎:印刷物のスジ率3%未満
○:印刷物のスジ率3%以上5%未満
△:印刷物のスジ率5%以上10%未満
×:印刷物のスジ率10%以上
【0153】
【表7】
【0154】
【表8】
【0155】
【表9】
【0156】
【表10】
【0157】
【表11】
【0158】
実施例1〜20の水性インクでは、OPP及びPETフィルムへの密着性、及びセット性がいずれも良好な結果となることを確認した。特にTgが5℃以上のカルボニル基を有するバインダー(A)と前記カルボニル基と反応しうる構造を有する化合物(B)の混合物を使用し、かつハンセン溶解度パラメータの極性項が7〜12、水素結合項が15〜30である溶剤を使用した実施例2〜3、実施例5、及び実施例8〜20の水性インクではいずれもインクジェット吐出時にヨレがなく、特に良好な結果となることを確認した。
【0159】
一方、比較例1,2,4及び5の水性インクでは、カルボニル基を有するバインダー(A)と前記カルボニル基と反応しうる構造を有する化合物(B)の混合物を含まない組成であるため、OPP及びPET基材に対する密着性が不十分であった。比較例3の水性インクでは、ウレタン樹脂を使用しており、フィルムへの密着性は良好だったが、ノズル部で皮膜を形成しやすく、インクジェット吐出性が劣悪となった。
【手続補正書】
【提出日】2019年4月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボニル基を有するバインダー(A)及び前記カルボニル基と反応しうる構造を有する化合物(B)が、水性媒体(C)に溶解または分散したものであって、前記バインダー(A)がコアシェル型重合体であり、前記コアシェル型重合体のコア部がカルボニル基を有するものであり、前記水性媒体(C)は、ハンセン溶解度パラメータの極性項が7〜12、かつ、水素結合項が17〜22である溶媒(C1)を含有するものであることを特徴とするインクジェット印刷インク。
【請求項2】
前記溶媒(C1)が1,2−プロパンジオールを含むものである請求項1に記載のインクジェット印刷インク。
【請求項3】
前記コアシェル型重合体が、ダイアセトンアクリルアミドを含むビニル単量体成分のアクリル重合体を含むコア部と、任意のアクリル重合体を含むシェル部とを有するものである請求項1または2に記載のインクジェット印刷インク。
【請求項4】
前記化合物(B)がヒドラジン構造を有する化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット印刷インク。
【請求項5】
前記化合物(B)がアジピン酸ジヒドラジドである請求項4に記載のインクジェット印刷インク。
【請求項6】
前記溶媒(C1)が、1,2−プロパンジオールと、1,2−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール及び3−メチル−1,4−ブタンジオールからなる群より選ばれる1種以上とを含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット印刷インク。
【請求項7】
前記インクの全量に対する前記バインダー(A)の質量割合が3質量%〜10質量%の範囲であり、前記バインダー(A)に対する前記化合物(B)の質量割合が0.1質量%〜5質量%の範囲であり、かつ、前記インクの全量に対する前記溶媒(C1)の質量割合が15質量%〜40質量%の範囲である請求項6に記載のインクジェット印刷インク。
【請求項8】
プラスチックフィルムへの印刷に使用する請求項1〜7のいずれか1項に記載のプラスチックフィルム用インクジェット印刷インク。
【請求項9】
請求項1〜
8のいずれか1項に記載の
インクジェット印刷用インクが、被記録媒体の表面に接触後、前記インクに含まれるバインダー(A)が有するカルボニル基と、前記化合物(B)が有するヒドラジン構造とが反応し下記化学式(1)で示される構造を形成したものであることを特徴とする印刷物。
【請求項10】
前記被記録媒体が厚さ10μm〜30μmのプラスチックフィルムである請求項9に記載の印刷物。
【請求項11】
前記プラスチックフィルムがポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルムまたはポリアミド系フィルムである請求項10に記載の印刷物。
【請求項12】
請求項1〜
8のいずれか1項に記載の
インクジェット印刷用インクが、被記録媒体の表面に接触した後、前記被記録媒体の表面温度を5℃〜60℃の範囲内で維持し乾燥させることによって、前記インクに含まれるバインダー(A)が有するカルボニル基と、前記化合物(B)が有するヒドラジン構造とを反応させ下記化学式(1)で示される構造を形成することを特徴とする印刷物の製造方法。
【請求項13】
インクジェットヘッドのインク吐出口を有する面(x)から、前記面(x)の垂線と被記録媒体とが交わる位置(y)までの距離を1mm以上に設定したインクジェット記録方式で、請求項
1に記載のインクジェット印
刷インクを被記録媒体の表面に接触させた後、前記被記録媒体の表面温度を5℃〜60℃の範囲内で維持し乾燥させることによって、前記インクに含まれるバインダー(A)が有するカルボニル基と、前記化合物(B)が有するヒドラジン構造とを反応させ下記化学式(1)で示される構造を形成することを特徴とする印刷物の製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2019年7月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボニル基を有するバインダー(A)及び前記カルボニル基と反応しうる構造を有する化合物(B)が、水性媒体(C)に溶解または分散したものであって、前記バインダー(A)がダイアセトンアクリルアミドを含むビニル単量体成分のアクリル重合体を含むコア部と、任意のアクリル重合体を含むシェル部とを有するコアシェル型重合体であり、前記化合物(B)がアジピン酸ジヒドラジドであり、前記水性媒体(C)が1,2−プロパンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオールまたは3−メチル−1,4−ブタンジオールの1種または2種以上の溶媒(C1)を含有するものであることを特徴とするインクジェット印刷インク。
【請求項2】
前記インクの全量に対する前記バインダー(A)の質量割合が3質量%〜10質量%の範囲であり、前記バインダー(A)に対する前記化合物(B)の質量割合が0.1質量%〜5質量%の範囲であり、かつ、前記インクの全量に対する前記溶媒(C1)の質量割合が15質量%〜40質量%の範囲である請求項1に記載のインクジェット印刷インク。
【請求項3】
プラスチックフィルムへの印刷に使用する請求項1または2に記載のプラスチックフィルム用インクジェット印刷インク。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用インクが、被記録媒体
である厚さ10μm〜30μmのプラスチックフィルムの表面に接触後、前記インクに含まれるバインダー(A)が有するカルボニル基と、前記化合物(B)が有するヒドラジン構造とが反応し下記化学式(1)で示される構造を形成したものであることを特徴とする印刷物。
【請求項5】
前記プラスチックフィルムがポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルムまたはポリアミド系フィルムである請求項
4に記載の印刷物。
【請求項6】
請求項1〜
3のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用インクが、被記録媒体の表面に接触した後、前記被記録媒体の表面温度を5℃〜60℃の範囲内で維持し乾燥させることによって、前記インクに含まれるバインダー(A)が有するカルボニル基と、前記化合物(B)が有するヒドラジン構造とを反応させ下記化学式(1)で示される構造を形成することを特徴とする印刷物の製造方法。
【請求項7】
インクジェットヘッドのインク吐出口を有する面(x)から、前記面(x)の垂線と被記録媒体とが交わる位置(y)までの距離を1mm以上に設定したインクジェット記録方式で、請求項1に記載のインクジェット印刷インクを被記録媒体の表面に接触させた後、前記被記録媒体の表面温度を5℃〜60℃の範囲内で維持し乾燥させることによって、前記インクに含まれるバインダー(A)が有するカルボニル基と、前記化合物(B)が有するヒドラジン構造とを反応させ下記化学式(1)で示される構造を形成することを特徴とする印刷物の製造方法。
【国際調査報告】