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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年4月11日
【発行日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】波長変換素子および投射型表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20201106BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20201106BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20201106BHJP
   F21V 29/502 20150101ALI20201106BHJP
   F21V 29/77 20150101ALI20201106BHJP
   F21V 29/83 20150101ALI20201106BHJP
   F21V 7/26 20180101ALI20201106BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20201106BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20201106BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20201106BHJP
【FI】
   G03B21/14 A
   G03B21/00 D
   H04N5/74 Z
   F21V29/502 100
   F21V29/77
   F21V29/83
   F21V7/26
   F21V7/28 240
   F21S2/00 311
   F21Y115:30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
【出願番号】特願2019-546559(P2019-546559)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年8月17日
(31)【優先権主張番号】特願2017-194977(P2017-194977)
(32)【優先日】2017年10月5日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高沢 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】小林 出志
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA24
2K203FA34
2K203FA44
2K203FA45
2K203FA54
2K203FA62
2K203GA35
2K203HA30
2K203MA12
5C058BA35
5C058EA51
(57)【要約】
本開示の一実施形態の波長変換素子は、第1基材と、第1基材と対向配置されると共に、第1基材との対向面に、内周部から外周部に向かって延伸する複数の凸部を内包する円環状の凹部を有する第2基材と、第1基材と第2基材の凹部とによって形成される第1の空間に充填された蛍光体層とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基材と、
前記第1基材と対向配置されると共に、前記第1基材との対向面に、内周部から外周部に向かって延伸する複数の凸部を内包する円環状の凹部を有する第2基材と、
前記第1基材と前記第2基材の前記凹部とによって形成される第1の空間に充填された蛍光体層と
を備えた波長変換素子。
【請求項2】
前記凸部の平面形状は、前記内周部から前記外周部に向かって細くなっている、請求項1に記載の波長変換素子。
【請求項3】
前記凸部の平面形状は、前記内周部側の端面に切り欠き部を有する、請求項2に記載の波長変換素子。
【請求項4】
前記複数の凸部は、前記内周部から前記外周部に向かって直線状に配置されている、請求項1に記載の波長変換素子。
【請求項5】
前記複数の凸部の平面形状は、前記内周部から前記外周部に向かって長軸を有する楕円形状である、請求項4に記載の波長変換素子。
【請求項6】
前記複数の凸部は、前記内周部から前記外周部に向かって螺旋状に配置されている、請求項1に記載の波長変換素子。
【請求項7】
前記第2基材は、前記複数の凸部の間の端面にテーパを有する、請求項1に記載の波長変換素子。
【請求項8】
前記第2基材は、前記第1基材との対向面に溝部を有し、前記溝部には接着剤が充填されている、請求項1に記載の波長変換素子。
【請求項9】
前記溝部は、前記凸部に設けられ、前記第1の空間とは独立した第2の空間を形成している、請求項8に記載の波長変換素子。
【請求項10】
前記溝部は、前記第2基材の前記外周部の外縁に設けられている、請求項8に記載の波長変換素子。
【請求項11】
前記第2基材は、前記凹部の内周側の側面および外周側の側面の少なくとも一方に空気孔を有する、請求項1に記載の波長変換素子。
【請求項12】
前記蛍光体層は複数の蛍光体粒子により形成されている、請求項1に記載の波長変換素子。
【請求項13】
前記蛍光体層は複数の蛍光体粒子により形成され、
前記空気孔の孔径は、前記蛍光体粒子の平均粒径の50%以下である、請求項11に記載の波長変換素子。
【請求項14】
前記第1基材および前記第2基材の少なくとも一方は光透過性を有する、請求項1に記載の波長変換素子。
【請求項15】
前記光透過性を有する基材は表面に凹面構造を有する、請求項14に記載の波長変換素子。
【請求項16】
前記光透過性を有する基材の表面には光拡散機能を有する構造が形成されている、請求項14に記載の波長変換素子。
【請求項17】
前記光拡散機能を有する構造は、微細な凹凸構造またはナノ粒子拡散層である、請求項16に記載の波長変換素子。
【請求項18】
前記第2基材は光透過性を有し、
前記凹部の底面の少なくとも一部には、所定の波長を一定割合反射するダイクロイック膜が形成されている、請求項1に記載の波長変換素子。
【請求項19】
波長変換素子を有する光源光学系と、
入力された映像信号に基づいて前記光源光学系からの光を変調することにより、画像光を生成する画像生成光学系と、
前記画像生成光学系で生成された画像光を投射する投射光学系とを備え、
前記波長変換素子は、
第1基材と、
前記第1基材と対向配置されると共に、前記第1基材との対向面に、内周部から外周部に向かって延伸する複数の凸部を内包する円環状の凹部を有する第2基材と、
前記第1基材と前記第2基材の前記凹部とによって形成される第1の空間に充填された蛍光体層と
を有する投射型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、励起光を蛍光に変換して射出する波長変換素子およびこれを備えた投射型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタの光源として、青色半導体レーザ(laser diode;LD)の光(励起光)を波長変換素子に入射させ、蛍光(黄色光)を取り出し、この黄色光と波長変換に利用した光とは別の青色LD光とを合わせて白色の光源として用いるレーザ蛍光体方式の光源が多用されている。一般的なレーザ蛍光体方式の光源では、波長変換素子に用いられている蛍光体は、バインダと混合されて基板上に固定されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、レーザ蛍光体方式の光源では、蛍光体部に入射した励起光のエネルギーのうち、蛍光に変換されて取り出せるエネルギー以外は熱となるため、蛍光体部が発熱する。蛍光体部の温度上昇は、蛍光体部の破壊および寿命の低下等の信頼性の低下や、光変換効率の低下を招く。このため、蛍光体部には高い冷却能力が求められる。また、光変換効率を向上させるために、単位体積当たりの蛍光体粒子の充填率を高めることが求められている。
【0004】
これらの観点から、バインダを用いない、所謂バインダレス蛍光体ホイールの開発が行われている。バインダレス蛍光体ホイールは、ホイール基板とカバーガラスとの間に隙間を形成し、その隙間に蛍光体粒子を充填する。このため、蛍光体の密度の高い蛍光体部を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−185402号公報
【発明の概要】
【0006】
ところで、バインダレス蛍光体ホイールでは、ホイール基板とカバーガラスとは、接着剤によって接合されているが、接着剤は、励起光の照射により発熱した蛍光体部からの伝熱により、アウトガスを発生させ、信頼性の低下を招く虞がある。
【0007】
信頼性を向上させることが可能な波長変換素子および投射型表示装置を提供することが望ましい。
【0008】
本開示の一実施形態の波長変換素子は、第1基材と、第1基材と対向配置されると共に、第1基材との対向面に、内周部から外周部に向かって延伸する複数の凸部を内包する円環状の凹部を有する第2基材と、第1基材と第2基材の凹部とによって形成される第1の空間に充填された蛍光体層とを備えたものである。
【0009】
本開示の一実施形態の投射型表示装置は、波長変換素子を有する光源光学系と、入力された映像信号に基づいて光源光学系からの光を変調することにより、画像光を生成する画像生成光学系と、画像生成光学系で生成された画像光を投射する投射光学系とを備えたものである。この光源光学系に用いられている波長変換素子は、上記本開示の一実施形態の波長変換素子と同一の構成要素を有している。
【0010】
本開示の一実施形態の波長変換素子および一実施形態の投射型表示装置では、第1基材と対向する第2基材の第1基材との対向面に、内周部から外周部に向かって延伸する複数の凸部を内包する円環状の凹部を形成し、第1基材とこの凹部によって形成されている第1の空間に蛍光体層を形成するようにした。これにより、蛍光体層の厚みのばらつきを低減することが可能となる。
【0011】
本開示の一実施形態の波長変換素子および一実施形態の投射型表示装置によれば、第2基材に内周部から外周部に向かって延伸する複数の凸部を内包する円環状の凹部を形成し、この凹部と第1基材とによって形成される第1の空間に蛍光体層を形成するようにしたので、蛍光体層の厚みのばらつきが低減される。よって、信頼性を向上させることが可能となる。
【0012】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の第1の実施の形態に係る蛍光体ホイールの構成を表す平面模式図である。
図2図1に示した蛍光体ホイールのI−I線における断面図である。
図3図1に示した蛍光体ホイールのII−II線における断面図である。
図4図1に示した蛍光体ホイールのIII−III線における断面図である。
図5図1に示した蛍光体ホイールのIV−IV線における断面図である。
図6図1に示した凸部の平面形状を表す模式図である。
図7図1に示した蛍光体ホイールを有する光源装置の構成例を表す概略図である。
図8図7に示した光源装置を備えたプロジェクタの構成例を表す概略図である。
図9】本開示の第2の実施の形態に係る蛍光体ホイールの構成を表す断面斜視図である。
図10図9に示した蛍光体ホイールのV−V線における断面模式図である。
図11図9に示した蛍光体ホイールの分解斜視図である。
図12】本開示の変形例1に係る蛍光体ホイールの構成を表す平面模式図である。
図13】本開示の変形例2に係る蛍光体ホイールの要部の構成を表す断面模式図である。
図14】本開示の変形例3に係る蛍光体ホイールの要部の構成を表す断面模式図である。
図15】本開示の変形例3に係る蛍光体ホイールの要部の構成を表す断面模式図である。
図16】本開示の変形例3に係る蛍光体ホイールの要部の構成を表す断面模式図である。
図17】本開示の変形例4に係る蛍光体ホイールの要部の構成の一例を表す断面模式図である。
図18】本開示の変形例4に係る蛍光体ホイールの要部の構成の他の例を表す断面模式図である。
図19】本開示の変形例5に係る光源装置の構成例を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示における実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本開示の一具体例であって、本開示は以下の態様に限定されるものではない。また、本開示は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比等についても、それらに限定されるものではない。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.第1の実施の形態(カバーガラスに凹部を設け、この凹部とホイール基板との間に蛍光体粒子を充填した蛍光体ホイールの例)
1−1.蛍光体ホイールの構成
1−2.光源装置の構成
1−3.プロジェクタの構成
1−4.作用・効果
2.第2の実施の形態(放熱フィンの追加およびホイール基板とガラス基板とを機械的に固定した例)
2−1.蛍光体ホイールの構成
2−2.作用・効果
3.変形例
3−1.変形例1(カバーガラスに形成された凹部内に螺旋状の凸部を設けた例)
3−2.変形例2(カバーガラスの内周側の端面に傾斜角を設けた例)
3−3.変形例3(光学薄膜を設けた例)
3−4.変形例4(カバーガラスの表面に凹面構造を設けた例)
3−5.変形例5(光源装置の他の構成の例)
【0015】
<1.第1の実施の形態>
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る波長変換素子(蛍光体ホイール1)の平面構成を模式的に表したものである。図2は、図1に示した蛍光体ホイール1のI−I線における断面構成を模式的に表したものである。図3は、図1に示したII−II線における蛍光体ホイール1の断面構成を模式的に表したものである。図4は、図1に示したIII−III線における蛍光体ホイール1の断面構成を模式的に表したものであり、図5は、図1に示したIV−IV線における蛍光体ホイール1の断面構成を模式的に表したものである。この蛍光体ホイール1は、例えば、後述する投射型表示装置(プロジェクタ10)の光源装置(光源装置100)を構成するものである(図7,8参照)。
【0016】
本実施の形態の蛍光体ホイール1は、カバーガラス13(第2基材)のホイール基板11(第1基材)との対向面に凹部13Aが形成されており、この凹部13Aとホイール基板11とによって形成される空間X1(第1の空間)に蛍光体粒子121が充填された構成を有する。更に、凹部13A内には、内周部から外周部に向かって、例えば直線状に延伸する複数の凸部13Bが設けられており、この複数の凸部13Bの間から蛍光体粒子121が充填されるようになっている。
【0017】
(1−1.蛍光体ホイールの構成)
本実施の形態の蛍光体ホイール1は、回転軸(例えば、軸J15)を中心に回転可能なホイール基板11上に蛍光体層12およびカバーガラス13がこの順に積層された構成を有する。
【0018】
ホイール基板11は、蛍光体層12を支持するためのものであり、例えば、円板形状を有する。ホイール基板11は、放熱部材としての機能を有することが好ましく、熱伝導率が高く、鏡面加工が可能な金属材料やセラミックス材料等の無機材料からなる。ホイール基板11の構成材料としては、例えば、アルミニウム(Al),銅(Cu),モリブデン(Mo),タングステン(W),コバルト(Co),クロム(Cr),白金(Pt),タンタル(Ta),リチウム(Li),ジルコニウム(Zr),ルテニウム(Ru),ロジウム(Rh)またはパラジウム(Pd)等の単体金属、またはこれらを1種以上含む合金が挙げられる。あるいは、Wの含有率が80原子%以上のCuWや、Moの含有率が40原子%以上のCuMo等の合金を、ホイール基板11を構成する金属材料として用いることもできる。セラミックス材料としては、例えば、炭化ケイ素(SiC),窒化アルミニウム(AlN),酸化ベリリウム(BeO),SiとSiCとの複合材料、またはSiCとAlとの複合材料(但しSiCの含有率が50%以上のもの)を含むものが挙げられる。ホイール基板11は、例えば、モータ15によって、ホイール基板11の中心を通る方線を回転軸Oとして、矢印C方向に回転可能となっている。
【0019】
蛍光体層12は、複数の蛍光体粒子121からなり、ホイール基板11とカバーガラス13との間の隙間、より詳細には、ホイール基板11とカバーガラス13に設けられた凹部13Aとによって形成される空間X1に複数の蛍光体粒子121が充填されることにより形成されたものである。蛍光体層12は、ホイール基板11上に、例えば図1に示したように、ホイール基板11の回転円周方向に連続して形成されている。換言すると、蛍光体層12は、例えば円環状に形成されている。
【0020】
蛍光体粒子121は、例えば、光源部110から照射される励起光ELを吸収して蛍光FL1を発する粒子状の蛍光体である。蛍光体粒子121としては、例えば、青色波長域(例えば400nm〜470nm)の波長を有する青色レーザ光により励起されて黄色の蛍光(赤色波長域から緑色波長域の間の波長域の光)を発する蛍光物質が用いられている。このような蛍光物質として、例えばYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系材料が挙げられる。蛍光体粒子121の平均粒径は、例えば、5μm以上40μm以下であり、蛍光体層12の厚さは、例えば、図3等に示したように、蛍光体粒子121が1層〜2層積層された厚みであることが好ましく、具体的には、例えば、40μm以上200μm以下の厚みに形成されていることが好ましい。
【0021】
カバーガラス13は、例えば、中央に開口13Hを有する円環形状を有し、蛍光体層12を構成する蛍光体粒子121をホイール基板11上に保持するためのものである。カバーガラス13は、光透過性を有する材料によって構成され、励起光ELおよび蛍光体粒子によって変換された蛍光FLを透過する性質を有している。カバーガラス13の構成材料としては、例えば、石英、ガラス、サファイア、水晶等が挙げられる。この中でも、熱伝導率の高いサファイアを用いることが好ましい。この他、後述する光源装置100において出力の低い光源を用いる場合には、ポリエチレンテレフタレート(PET)やシリコーン樹脂等の樹脂材料を用いることができる。
【0022】
本実施の形態のカバーガラス13は、上記のように、ホイール基板11との対向面に空間X1を形成する凹部13Aを有する。この凹部13Aは、カバーガラス13の外周側に側面13S2を有し、内周側は外部と繋がるようになっている。凹部13Aの高さ(深さ)hは、例えば、蛍光体粒子121が1層〜2層積層可能な厚みであることが好ましく、具体的には、例えば、40μm以上200μm以下の厚みに形成されていることが好ましい。また、カバーガラス13には、内周側の端部から外周側に向かって延伸する複数の凸部13Bが形成されている。蛍光体粒子121は、この複数の凸部13Bの間から遠心力によって空間X1に充填される。
【0023】
複数の凸部13Bは、空間X1に蛍光体粒子121を充填するための充填口を形成すると共に、空間X1に充填された蛍光体粒子121の外部への流出を防ぐためのものである。また、凸部13Bは、カバーガラス13の内周部側の空間X1を維持するための支持部として機能するものである。即ち、カバーガラス13の断面形状は、複数の凸部13Bが形成されている部分では、内周側および外周側にそれぞれ側面13S1,13S2を有するお堀状になっており、このお堀部分が、平面視において蛍光体層12の円環部分を形成している。また、カバーガラス13の断面形状は、複数の凸部13Bとの間では、図5に示したように、外周側にのみ側面13S2を有するL字状になっている。
【0024】
複数の凸部13Bの平面形状は、例えば、図6(A)に示したように、内周部から外周部に向かって長辺を有する矩形形状としてもよいが、図1および図6(B)に示したように、内周部側から外周部側にかけて先端部分が細くなっていることが好ましい。先端部分の幅wは、例えば、蛍光体粒子121の平均粒径と同程度以下とすることが好ましく、具体的には、例えば2mm以下とすることが好ましい。これにより、空間X1内において蛍光体粒子121が充填されにくい領域が減少する。また、複数の凸部13Bは、図6(C)内に示したように、内周部側の端面に切り欠き部13bが形成されていてもよい。これにより、空間X1への遠心力による蛍光体粒子121の充填が容易となる。更に、複数の凸部13Bは、図6(D)に示したように、内周部から前記外周部に向かって長軸を有する楕円形状としてもよい。
【0025】
また、カバーガラス13には、ホイール基板11とカバーガラス13とを接着する接着剤14を充填するための溝部13Cが設けられている。溝部13Cは、カバーガラス13の内周部および外周部の少なくとも一方に形成されていることが好ましく、さらに、蛍光体層12が形成される空間X1とは隔てられていることが好ましい。このため、内周部の溝部13Cは、例えば、図1図3および図4に示したように、複数の凸部13Bのうちのいくつかの凸部13Bの内側に設けられていることが好ましい(溝部13Ca)。凸部13Bの内側に溝部13Caを形成することにより、空間X1とは独立した空間X2が形成される。外周部の溝部13Cは、例えば、図1および図4に示したように、凹部13Aの側面13S2を構成するカバーガラス13の外周部の外縁に設けられていることが好ましい(溝部13Cb)。これにより、励起光ELの照射によって蛍光体層12に発生した熱の接着剤14への伝達が緩和され、アウトガスの発生が低減される。なお、図1では、溝部13Caを内包する凸部13Bを他の凸部13Bよりも大きな形状で示したがこれに限らず、他の凸部と同じ形状としてもよい。また、必ずしも凸部13Bに溝部13Caを形成する必要はなく、別途、接着剤14を充填可能な構造部を形成するようにしてもよい。
【0026】
更に、カバーガラス13には、例えば外周部に、空間X1と外部とを繋ぐ空気孔13Dが設けられている。空気孔13Dは、蛍光体層12に発生した熱によって暖められた空気やアウトガス等の有害な気体を空間X1内から外部に排出するためのものである。これにより、空間X1内の温度上昇や有害な気体の充満を防ぐことができる。空気孔13Dの孔径は、蛍光体粒子121が通らない大きさであることが望ましく、例えば、蛍光体粒子121の平均粒径の50%以下であることが望ましい。
【0027】
上記構造は、例えば、カバーガラス13を成型することで一体的に形成することができる。これにより、各部の構造を精度よく形成することが可能となる。
【0028】
モータ15は、蛍光体ホイール1を所定の回転数で回転駆動するためのものである。モータ15は、後述する光源部110から射出される励起光ELの照射方向に直交する面内で蛍光体層12が回転するように蛍光体ホイール1を駆動する。これにより、蛍光体ホイール1の励起光ELの照射位置が、励起光の照射方向に直交する面内において回転数に対応した速度で時間的に変化(移動)する。
【0029】
なお、本実施の形態の蛍光体ホイール1は、上記以外の部材が設けられていてもよい。例えば、蛍光体ホイール1は、ホイール基板11の面S1側に反射層を形成するようにしてもよい。反射層は、例えば、誘電体多層膜のほか、アルミニウム(Al)、銀(Ag)あるいはチタン(Ti)等の金属元素を含む金属膜等により形成することができる。反射層は、光源部110から照射される励起光ELや蛍光体層12において変換された蛍光FLを反射し、蛍光体ホイール1における発光効率を高めるように機能する。反射層を設けることにより、ホイール基板11は、光反射性を持たない材料を用いることが可能となる。そのような材料としては、Si単体やSiC、ダイアモンド、サファイア等の結晶材料のほか、石英やガラス等、光透過性を有する材料が挙げられる。この他、具体例は後述するが、カバーガラス13の表面や、蛍光体層12とカバーガラス13との間に光学薄膜を設けるようにしてもよい。
【0030】
(1−2.光源装置の構成)
図7は、本実施の形態の蛍光体ホイール1を備えた光源装置100の全体構成を表す概略図である。光源装置100は、蛍光体ホイール1と、光源部110と、偏光ビームスプリッタ(PBS)112と、1/4波長板113と、集光光学系114とを有する。蛍光体ホイール1は、例えば、反射型の波長変換素子であり、軸J15により回転可能に支持されている。上記光源装置100を構成する各部材は、蛍光体ホイール1側から、集光光学系114、1/4波長板113およびPBS112の順に、蛍光体ホイール1から射出される光(合波光Lw)の光路上に配置されている。光源部110は、合波光Lwの光路と直交する方向で、且つ、PBS112の1つの光入射面に対向する位置に配置されている。
【0031】
光源部110は、所定の波長の光を射出する固体発光素子を有する。本実施の形態では、固体発光素子として、励起光EL(例えば、波長445nmまたは455nmの青色レーザ光)を発振する半導体レーザ素子が用いられており、光源部110〜は、直線偏光(S偏光)の励起光ELが射出される。
【0032】
なお、半導体レーザ素子で光源部110を構成する場合には、1つの半導体レーザ素子で所定の出力の励起光ELを得る構成としてもよいが、複数の半導体レーザ素子からの出射光を合波して所定の出力の励起光ELを得る構成としてもよい。更に、励起光ELの波長は、上記数値に限定されず、青色光と呼ばれる光の波長帯域内の波長であれば任意の波長を用いることができる。
【0033】
PBS112は、光源部110から入射される励起光ELと、蛍光体ホイール1から入射される合波光Lwとを分離するものである。具体的には、PBS112は、光源部110から入射した励起光ELを1/4波長板113に向かって反射するものである。また、PBS112は、蛍光体ホイール1から集光光学系114および1/4波長板113を透過して入射した合波光Lwを透過し、透過された合波光Lwは照明光学系200(後出)に入射される。
【0034】
1/4波長板113は、入射光に対してπ/2の位相差を生じさせる位相差素子であり、入射光が直線偏光の場合には直線偏光を円偏光に変換し、入射光が円偏光の場合には円偏光を直線偏光に変換するものである。本実施の形態では、偏光ビームスプリッタ112から射出される直線偏光の励起光ELは、1/4波長板113によって円偏光の励起光ELに変換される。また、蛍光体ホイール1から射出される合波光Lwに含まれる円偏光の励起光成分は、1/4波長板113によって直線偏光に変換される。
【0035】
集光光学系114は、1/4波長板113から射出された励起光ELを所定のスポット径に集光し、集光された励起光ELを蛍光体ホイール1に向けて射出するものである。また、集光光学系114は、蛍光体ホイール1から射出される合波光Lwを平行光に変換し、その平行光を1/4波長板113に向けて射出するものである。なお、集光光学系114は、例えば、複数のレンズ(例えば、2つのレンズ114A,114B)を用いて入射光を平行光に変換する構成としてもよいし、例えば、1枚のコリメートレンズで構成してもよい。
【0036】
なお、光源部110から入射される励起光ELと、蛍光体ホイール1から出射される合波光Lwとを分離する光学部材の構成としては、PBS112に限定されず、上述した光の分離動作を可能にする構成であれば、任意の光学部材を用いることができる。また、光源装置100内には、励起光ELの照射に伴う蛍光体層12の発熱を冷却するため、冷却ファンを設けるようにしてもよい。
【0037】
(1−3.プロジェクタの構成)
次に、本開示の投射型表示装置(プロジェクタ10)について説明する。図8は、図7に示した光源装置100を光源光学系として備えたプロジェクタ10の全体構成を表した概略図である。なお、以下では、反射型の液晶パネル(LCD)により光変調を行う反射型3LCD方式のプロジェクタを例示して説明する。なお、蛍光体ホイール1は、反射型液晶パネルの代わりに、透過型液晶パネルやデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD:Digital Micro-mirror Device)等を用いたプロジェクタにも適用され得る。
【0038】
プロジェクタ10は、図8に示したように、上述した光源装置100と、照明光学系200と、画像形成部300と、投影光学系400(投射光学系)とを順に備えている。
【0039】
照明光学系200は、例えば、光源装置100に近い位置からフライアイレンズ210(210A,210B)と、偏光変換素子220と、レンズ230と、ダイクロイックミラー240A,240Bと、反射ミラー250A,250Bと、レンズ260A,260Bと、ダイクロイックミラー270と、偏光板280A〜280Cとを有している。
【0040】
フライアイレンズ210(210A,210B)は、光源装置100からの白色光の照度分布の均質化を図るものである。偏光変換素子220は、入射光の偏光軸を所定方向に揃えるように機能するものである。例えば、P偏光以外の光をP偏光に変換する。レンズ230は、偏光変換素子220からの光をダイクロイックミラー240A,240Bへ向けて集光する。ダイクロイックミラー240A,240Bは、所定の波長域の光を選択的に反射し、それ以外の波長域の光を選択的に透過させるものである。例えば、ダイクロイックミラー240Aは、主に赤色光を反射ミラー250Aの方向へ反射させる。また、ダイクロイックミラー240Bは、主に青色光を反射ミラー250Bの方向へ反射させる。したがって、主に緑色光がダイクロイックミラー240A,240Bの双方を透過し、画像形成部300の反射型偏光板310C(後出)へ向かうこととなる。反射ミラー250Aは、ダイクロイックミラー240Aからの光(主に赤色光)をレンズ260Aに向けて反射し、反射ミラー250Bは、ダイクロイックミラー240Bからの光(主に青色光)をレンズ260Bに向けて反射する。レンズ260Aは、反射ミラー250Aからの光(主に赤色光)を透過し、ダイクロイックミラー270へ集光させる。レンズ260Bは、反射ミラー250Bからの光(主に青色光)を透過し、ダイクロイックミラー270へ集光させる。ダイクロイックミラー270は、緑色光を選択的に反射すると共にそれ以外の波長域の光を選択的に透過するものである。ここでは、レンズ260Aからの光のうち赤色光成分を透過する。レンズ260Aからの光に緑色光成分が含まれる場合、その緑色光成分を偏光板280Cへ向けて反射する。偏光板280A〜280Cは、所定方向の偏光軸を有する偏光子を含んでいる。例えば、偏光変換素子220においてP偏光に変換されている場合、偏光板280A〜280CはP偏光の光を透過し、S偏光の光を反射する。
【0041】
画像形成部300は、反射型偏光板310A〜310Cと、反射型液晶パネル320A〜320C(光変調素子)と、ダイクロイックプリズム330とを有する。
【0042】
反射型偏光板310A〜310Cは、それぞれ、偏光板280A〜280Cからの偏光光の偏光軸と同じ偏光軸の光(例えばP偏光)を透過し、それ以外の偏光軸の光(S偏光)を反射するものである。具体的には、反射型偏光板310Aは、偏光板280AからのP偏光の赤色光を反射型液晶パネル320Aの方向へ透過させる。反射型偏光板310Bは、偏光板280BからのP偏光の青色光を反射型液晶パネル320Bの方向へ透過させる。反射型偏光板310Cは、偏光板280CからのP偏光の緑色光を反射型液晶パネル320Cの方向へ透過させる。また、ダイクロイックミラー240A,240Bの双方を透過して反射型偏光板310Cに入射したP偏光の緑色光は、そのまま反射型偏光板310Cを透過してダイクロイックプリズム330に入射する。更に、反射型偏光板310Aは、反射型液晶パネル320AからのS偏光の赤色光を反射してダイクロイックプリズム330に入射させる。反射型偏光板310Bは、反射型液晶パネル320BからのS偏光の青色光を反射してダイクロイックプリズム330に入射させる。反射型偏光板310Cは、反射型液晶パネル320CからのS偏光の緑色光を反射してダイクロイックプリズム330に入射させる。
【0043】
反射型液晶パネル320A〜320Cは、それぞれ、赤色光、青色光または緑色光の空間変調を行うものである。
【0044】
ダイクロイックプリズム330は、入射される赤色光、青色光および緑色光を合成し、投影光学系400へ向けて射出するものである。
【0045】
投影光学系400は、レンズL410〜L450と、ミラーM400とを有する。投影光学系400は、画像形成部300からの出射光を拡大してスクリーン460等へ投射する。
【0046】
(光源装置およびプロジェクタの動作)
続いて、図7および図8を参照して、光源装置100を含めたプロジェクタ10の動作について説明する。
【0047】
まず、光源装置100においてモータ15が駆動し、蛍光体ホイール1が回転する。そののち、光源部110からPBSに向けて励起光ELが発振される。励起光ELは、PBS112によって反射されたのち、1/4波長板113および集光光学系114をこの順に透過して蛍光体ホイール1に照射される。
【0048】
蛍光体ホイール1では、蛍光体層12において励起光EL(青色光)の一部が吸収され、所定の波長帯域の光(蛍光FL;黄色光)に変換される。蛍光体層12において発光した蛍光FL1の一部は、蛍光体層12において吸収されない励起光ELの一部と共に拡散されて集光光学系114側に反射される。蛍光体層12において集光光学系114側に反射されない蛍光FLおよび励起光ELは、ホイール基板11や反射層を設けている場合には反射層によって集光光学系114側に反射される。
【0049】
その結果、蛍光体ホイール1内において、蛍光FL1,FL2および一部の励起光ELが合波されて白色光が生成され、この白色光(合波光Lw)が集光光学系114に向かって出射される。
【0050】
この後、合波光Lwは、集光光学系114、1/4波長板113およびPBS112を透過して照明光学系200に入射される。
【0051】
光源装置100から入射される合波光Lw(白色光)は、フライアイレンズ210(210A,210B)と、偏光変換素子220と、レンズ230とを順次透過したのち、ダイクロイックミラー240A,240Bに到達する。
【0052】
ダイクロイックミラー240Aにより主に赤色光が反射され、この赤色光は反射ミラー250A、レンズ260A、ダイクロイックミラー270、偏光板280Aおよび反射型偏光板310Aを順次透過し、反射型液晶パネル320Aへ到達する。この赤色光は反射型液晶パネル320Aにおいて空間変調されたのち、反射型偏光板310Aにおいて反射されてダイクロイックプリズム330に入射する。なお、ダイクロイックミラー240Aにより反射ミラー250Aへ反射された光に緑色光成分が含まれる場合には、その緑色光成分はダイクロイックミラー270により反射されて偏光板280Cおよび反射型偏光板310Cを順次透過し、反射型液晶パネル320Cへ到達する。ダイクロイックミラー240Bでは主に青色光が反射され、同様の過程を経てダイクロイックプリズム330に入射する。ダイクロイックミラー240A,240Bを透過した緑色光もまたダイクロイックプリズム330に入射する。
【0053】
ダイクロイックプリズム330に入射した赤色光、青色光および緑色光は、合成されたのち映像光として投影光学系400へ向けて射出される。投影光学系400は、画像形成部300からの映像光を拡大してスクリーン460等へ投射する。
【0054】
(1−4.作用・効果)
前述したように、プロジェクタの光源として近年多用されているレーザ蛍光体方式の光源では、波長変換素子の蛍光体部に入射した励起光のエネルギーは、蛍光に変換されて取り出されるエネルギー以外は熱となる。このため、波長変換素子の蛍光体部は発熱して高温になる。蛍光体部の温度上昇は、蛍光体部の破壊および寿命の低下等の信頼性の低下や、光変換効率の低下を招くため、蛍光体部の冷却能力は高い方が好ましい。また、一般的な波長変換素子(蛍光体ホイール)では、蛍光体部はバインダと混合されてホイール基板上に固定されているが、光変換効率を向上させるために単位体積当たりの蛍光体粒子の充填率を高めることが求められる。
【0055】
これらの観点から、バインダを用いないバインダレス蛍光体ホイールが提案されている。バインダレス蛍光体ホイールは、ホイール基板とカバーガラスとの間に隙間を形成し、その隙間に蛍光体粒子を充填するため、蛍光体の密度の高い蛍光体部を形成することができる。また、バインダレス蛍光体ホイールは、ホイール基板に加えてカバーガラス側からも放熱することができるため、蛍光体部の冷却能力を高めることができる。
【0056】
このバインダレス蛍光体ホイールでは、蛍光体部の厚みのばらつきは蛍光出力のばらつきに繋がる。このため、蛍光体部の厚みは高精度に調整することが求められる。バインダレス蛍光体ホイールにおいて、蛍光体部の厚みを調整する方法としては、直径精度が高いガラスビーズをホイール基板とカバーガラスとを接着する接着剤に混合する方法が考えられる。また、ガラスビーズの代わりに、厚み精度の高いスペーサ等をホイール基板とカバーガラスとの間に配置する方法が考えられる。いずれの方法でも、蛍光体粒子を遠心力によってホイール基板とカバーガラスとの隙間に充填して蛍光体部を形成することを考慮すると、ホイール基板とカバーガラスとの間には、接着剤が用いられる。
【0057】
接着剤は、励起光の照射により発熱した蛍光体部からの伝熱によってアウトガスを発生させ、蛍光体粒子を劣化させる虞がある。また、蛍光体部からの伝熱によってホイール基板とカバーガラスとの剥離が発生する虞がある。このように、接着剤は、信頼性の低下を招く虞がある。
【0058】
これに対して本実施の形態では、カバーガラス13のホイール基板11との対向面に凹部13Aを設け、ホイール基板11とカバーガラス13との間に空間X1を設けるようにした。更に、この凹部13A内に、内周部から外周部に向かって延伸する複数の凸部13Bを設けるようにし、この複数の凸部13Bの間から遠心力によって空間X1内に蛍光体粒子121を充填することにより、ホイール基板11とカバーガラス13との間に蛍光体層12を形成するようにした。これにより、蛍光体層12の厚みのばらつきを低減することが可能となる。
【0059】
以上により、本実施の形態の光源装置100では、カバーガラス13のホイール基板11との対向面に、内周部から外周部に向かって延伸する複数の凸部13Bを内包する凹部13Aを設け、この凹部13Aとホイール基板11とによって形成される空間X1に蛍光体粒子121を充填して蛍光体層12を形成するようにした。よって、蛍光体層12の厚みのばらつきが低減され、信頼性を向上させることが可能となる。
【0060】
また、本実施の形態では、複数の凸部13Bの平面形状が内周部から外周部に向かって先端が細くなるようにした。これにより、空間X1内における蛍光体粒子121が充填されにくい領域を減少させることが可能となり、単位体積当たりの蛍光体粒子121の充填率の高い蛍光体層12を形成することが可能となる。よって、光変換効率を向上させることが可能となる。
【0061】
更に、本実施の形態では、カバーガラス13に、蛍光体層12が形成される空間X1とは隔てられた位置に溝部13Cを設け、この溝部13C内に接着剤14を充填してホイール基板11とカバーガラス13とを接着するようにした。具体的には、例えば、複数の凸部13Bのいくつかの凸部13Bの内側に溝部13Caを設け、これによって形成された、空間X1とは独立する空間X2に接着剤14を充填するようにした。また、カバーガラス13の外周部の外縁に溝部13Cbを設け、この溝部13Cbに接着剤14を充填するようにした。これにより、励起光ELの照射によって蛍光体層12に発生した熱の接着剤14への伝達が緩和されると共に、アウトガスの発生が低減される。よって、蛍光体粒子121の劣化が低減され、信頼性をさらに向上させることが可能となる。
【0062】
次に、第2の実施の形態および変形例1〜5について説明する。以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0063】
<2.第2の実施の形態>
図9は、本開示の第2の実施の形態に係る蛍光体ホイール2の断面構成を斜視的に表したものである。図10は、図9に示したV−V線における断面構成を模式的に表したものである。図11は、図9に示した蛍光体ホイール2の各部を分解して斜視したものである。この蛍光体ホイール2は、例えば、上述した投射型表示装置(プロジェクタ10)の光源装置(光源装置100)を構成するものである。本実施の形態の蛍光体ホイール2は、ホイール基板11およびカバーガラス13に、それぞれ放熱部材(アウタースペーサ16、ホイールヒートシンク17およびガラスホルダヒートシンク18)が配設された構成を有する。また、本実施の形態では、ホイール基板11とカバーガラス13とを機械的に固定することにより、蛍光体層12の厚さを制御した構成を有する。
【0064】
(2−1.蛍光体ホイールの構成)
蛍光体ホイール2は、上記第1の実施の形態における蛍光体ホイール2と同様に、ホイール基板11と、蛍光体層12と、カバーガラス13とがこの順に積層された構成を有する。本実施の形態の蛍光体ホイール2では、放熱部材として、ホイール基板11の外縁部にはアウタースペーサ16が固定されており、ホイール基板11の背面(面S2)側の周縁部にはホイールヒートシンク17が配設されている。カバーガラス13の表面(面S1)側の周縁部には、ガラスホルダヒートシンク18が配設されている。ホイール基板11およびカバーガラス13は、例えばインナープレート19によってモータ15にネジ21によって固定されており、例えば、軸J15を中心に回転可能となっている。
【0065】
アウタースペーサ16は、例えば、図11に示したように、中央に開口16Hを有する円板形状(具体的には、円環形状)を有し、蛍光体粒子121が励起光EL1を吸収して蛍光FLを発する際に生じる、ストークス損による熱を放熱させる放熱部材としても機能するものである。また、アウタースペーサ16は、ホイール基板11の外縁部に固定することにより、蛍光体層の12厚さを制御するためのものである。アウタースペーサ16には、蛍光体層12の外周側の側面を封止するガスケット20A用の溝16Aが設けられている。アウタースペーサ16は、熱伝導率が高い材料から構成されていることが好ましい。具体的には、アウタースペーサ16は、純アルミ系の材料によって構成されていることが望ましい。
【0066】
アウタースペーサ16の周縁部には、図11に示したように、複数のフィンが設けられている。この複数のフィンは、アウタースペーサ16の周縁部に沿って、互いに離隔して配置されており、周縁部にいくつかの切り込みを入れることで設けられたものである。複数のフィンは、例えば、2種類のフィン(フィン16aおよびフィン16b)により構成されており、アウタースペーサ16の周縁部には、このフィン16aおよびフィン16bが交互に配置されている。このうち、フィン16aは、後述するガラスホルダヒートシンク18を固定するための固定部として用いられる。このように、アウタースペーサ16の周縁部に互いに離隔した複数のフィンを設けることにより、アウタースペーサ16を介した蛍光体層12の放熱効率が向上する。
【0067】
また、フィン16aおよびフィン16bは互いに段差を有することが好ましい。本実施の形態では、例えばフィン16aは、アウタースペーサ16の内周部と同一面内に形成され、例えばフィン16bは、その付け根が例えばホイールヒートシンク17側(面S2側)に折り曲げられ、フィン16aよりもホイールヒートシンク17に近接した面を形成するようにしてもよい。これにより、アウタースペーサ16の面内における温度境界層が破壊され、アウタースペーサ16を介した蛍光体層12の放熱効率がさらに向上する。更に、アウタースペーサ16は、例えば、フィン16bが複数に分割され、隣り合うフィン16bが互いに段差を有するように形成されていてもよい。
【0068】
ホイールヒートシンク17は、アウタースペーサ16と同様に、蛍光体粒子121が励起光ELを吸収して蛍光FLを発する際に生じる、ストークス損による熱をホイール基板11側から放熱させるためのものである。ホイールヒートシンク17は、熱伝導率が高い材料から構成されていることが好ましく、例えば、アウタースペーサ16と同様に、純アルミ系の材料によって構成されていることが望ましい。
【0069】
ホイールヒートシンク17は、図11に示したように、中央に開口17Hを有する円板形状(具体的には、円環形状)を有する。ホイールヒートシンク17は、図10に示したように、ホイール基板11の背面(面S2)に接する内周部17R1と、ホイール基板11の背面とは離れた位置に面を形成する周縁部17R2とを有し、周縁部17R2には、複数のフィンが設けられている。複数のフィンは、例えば、2種類のフィン(フィン17aおよびフィン17b)を有し、これらは、アウタースペーサ16に設けられた複数のフィン16a,16bと同様に、交互に配置され、互いに段差を有することが好ましい。具体的には、例えばフィン17bは、ホイールヒートシンク17の周縁部17R2と同一面内に形成されており、フィン17aは、その付け根が、例えばアウタースペーサ16からより離れるように折り曲げられ、フィン17bの形成面よりもアウタースペーサ16からより離れた位置に面を形成している。これにより、ホイールヒートシンク17の周縁部17R2の面内における温度境界層が破壊され、ホイールヒートシンク17を介した蛍光体層12の放熱効率が向上する。
【0070】
ガラスホルダヒートシンク18は、蛍光体粒子121が励起光ELを吸収して蛍光FLを発する際に生じる熱をカバーガラス13側から放熱するためのものである。このことから、ガラスホルダヒートシンク18は、熱伝導率が高い材料から構成されていることが好ましい。また、ガラスホルダヒートシンク18は、カバーガラス13を固定すると共に、ガスケット18Aに常時圧力を印加して、ホイール基板11、カバーガラス13および一対のガスケット18A,18Bによって形成される空間からの蛍光体粒子121の漏れを防止するためのものである。このことから、ガラスホルダヒートシンク18は、バネ材を用いて構成されていることが好ましい。このような材料としては、例えば、ベリリウム銅が挙げられる。
【0071】
ガラスホルダヒートシンク18は、例えば図11に示したように、中央に開口18Hを有する円板形状(具体的には、円環形状)を有する。ガラスホルダヒートシンク18の周縁部には、互いに離隔する複数のフィンが設けられている。複数のフィンは、例えば、2種類のフィン(フィン18aおよびフィン18b)が交互に配置されており、このうち、フィン18aは、ガラスホルダヒートシンク18をアウタースペーサ16に固定するための固定部として用いられる。
【0072】
フィン18aおよびフィン18bは互いに段差を有することが好ましい。例えばフィン18aは、その付け根が、例えばアウタースペーサ16側に折れ曲げられ、ガラスホルダヒートシンク18の面内よりもアウタースペーサ16に近接した面を形成している。フィン18bは、ガラスホルダヒートシンク18の内周部と同一面内に形成されている。このように、ガラスホルダヒートシンク18の周縁部に互いに離隔すると共に、段差を有する複数のフィンを設けることにより、ガラスホルダヒートシンク18の面内における温度境界層が破壊され、ガラスホルダヒートシンク18を介した蛍光体層12の放熱効率が向上する。なお、フィン16aおよびフィン18aには、それぞれ対向する位置に開孔16h,18hが設けられており、例えばネジ(図示せず)によって一体化されている。
【0073】
インナープレート19は、蛍光体ホイール2をモータ15に固定するものである。また、インナープレート19は、ガスケット18Bに常時圧力を印加して、ホイール基板11、カバーガラス13および一対のガスケット18A,18Bによって形成される空間からの蛍光体粒子121の漏れを防止するためのものである。インナープレート19は、ガラスホルダヒートシンク18と同様に、バネ材を用いて構成されていることが好ましく、また、高い熱伝導性を有することが好ましく、このような材料としては、例えば、ベリリウム銅が挙げられる。
【0074】
ガスケット20A,20Bは、上記のように、蛍光体粒子121をホイール基板11とカバーガラス13との間に封止すると共に、ホイール基板11とカバーガラス13との間隔を保持するためのものである。ガスケット20A,20Bは、耐熱性を有することが好ましく、例えば、シリコン系のガスケットを用いることが好ましい。
【0075】
なお、図9図11では、アウタースペーサ16、ホイールヒートシンク17およびガラスホルダヒートシンク18が、それぞれ周縁部に沿って離隔して配置された2種類のフィン(フィン16a,16b,17a,17b,18a,18b)を有する例を示したがこれに限らない。例えば、図9に示したように、アウタースペーサ16にのみ、周縁部に互いに離隔する2種類のフィン16a,16bを設け、ホイールヒートシンク17およびガラスホルダヒートシンク18は単なる円環形状であってもよい。また、必ずしもアウタースペーサ16の周縁部に複数のフィンを設ける必要はない。例えば、アウタースペーサ16は単なる円環形状とし、ホイールヒートシンク17およびガラスホルダヒートシンク18が周縁部に互いに離隔する2種類のフィン17a,17b,18a,18bを有する構成としてもよい。このように、蛍光体ホイール2を構成する放熱部材の少なくとも1つの周縁部に複数のフィンを設けることで、その放熱部材の放熱性能が向上し、蛍光体層12の放熱効率が向上する。
【0076】
更に、本実施の形態では、アウタースペーサ16、ホイールヒートシンク17およびガラスホルダヒートシンク18に、それぞれ2種類の高さを有するフィンが交互に配置されている例を示したが、3種類以上の高さの異なるフィンが設けられていてもよい。
【0077】
(2−2.作用・効果)
本実施の形態の蛍光体ホイール2では、ホイール基板11の外縁部および背面(面S2)に、それぞれ、放熱部材としてアウタースペーサ16およびホイールヒートシンク17を配設するようにした。また、カバーガラス13の表面および周縁に放熱部材としてガラスホルダヒートシンク18を配設するようにした。更に、これら放熱部材には、周縁部に沿って複数のフィン(フィン16a16b、フィン17a,17b、フィン18a,18b)をそれぞれ設けるようにした。これにより、励起光ELを吸収して蛍光FLを発する際に生じる熱の放熱効率が向上し、蛍光体層12の冷却効率を向上させることが可能となる。
【0078】
以上により、本実施の形態では、蛍光体層12の冷却効率が向上し、蛍光体の温度消光が低減される。よって、本実施の形態の蛍光体ホイール2では、上記第1の実施の形態の効果に加えて、光源装置100における輝度を向上させることが可能となるという効果を奏する。
【0079】
また、前述したように、ホイール基板とカバーガラスとの間に接着剤を用いたバインダレス蛍光体ホイールでは、励起光の照射により発熱した蛍光体部からの伝熱によって接着剤からアウトガスが発生し、蛍光体粒子121が劣化する虞がある。また、蛍光体部からの伝熱によってホイール基板とカバーガラスの剥離が発生する虞がある。このように、信頼性の低下を招く虞がある。また、ホイール基板とカバーガラスとの間に接着剤を用いたバインダレス蛍光体ホイールでは、その製造工程において、接着剤の塗布工程や接着工程等の工程数を増加させ、製造コストを増大させる虞がある。
【0080】
これに対して、本実施の形態では、ホイール基板11とカバーガラス13とを機械的に固定するようにした。具体的には、ガラスホルダヒートシンク18およびインナープレート19の構成材料としてバネ材を用い、さらに、蛍光体ホイール2の内周部および外周部にガスケット20A,20Bを配置してホイール基板11とカバーガラス13との間に蛍光体粒子121121を封止すると共に、ホイール基板11とカバーガラス13との間の隙間を一定に保つようにした。
【0081】
以上により、本実施の形態の蛍光体ホイール2では、接着剤を用いることなく、ホイール基板11とカバーガラス13とを固定することができ、信頼性を向上させることが可能となる。また、接着剤の塗布工程や接着工程等が削減されるため、信頼性の向上に加えて、製造コストを低減することが可能となるという効果を奏する。
【0082】
<3.変形例>
(3−1.変形例1)
図12は、本開示の変形例1に係る蛍光体ホイール3の平面構成を模式的に表したものである。本変形例の蛍光体ホイール3は、カバーガラス33のホイール基板11との対向面に凹部33Aが形成されており、この凹部33A内に、内周部から外周部に向かって螺旋状に延伸する複数の凸部33Bが設けられている点が、上記第1の実施の形態とは異なる。
【0083】
カバーガラス33は、上記のように、ホイール基板11との対向面に、内周部から外周部に向かって螺旋状に延伸する複数の凸部33Bを内包する凹部33Aが設けられた構成を有する。この螺旋の中心部から周縁部に向かう回転方向は、図12に示したように、蛍光体ホイール3の回転方向Cとは逆方向になっていることが好ましい。また、螺旋形状を有する複数の凸部33Bの平面形状は、上記第1の実施の形態における凸部13Bと同様に、内周部から外周部に向かって先端が細くなるように形成されていることが好ましい。
【0084】
また、本変形例では、ホイール基板11とカバーガラス33とを接合する接着剤34を充填する溝部33Cを、複数の凸部33Bのうちのいくつかの内側(溝部33Ca)と、カバーガラス33の外縁部(33Cb)とに設け、溝部33Cbは、カバーガラス33の外縁部を連続する溝として形成するようにした。このように、カバーガラスに設けられる溝部は、上記第1の実施の形態のように、部分的に複数個所設けてもよいし、本変形例のように、外縁部を1周するように形成してもよい。
【0085】
(3−2.変形例2)
図13は、本開示の変形例2に係る蛍光体ホイール4の要部の断面構成を模式的に表したものである。本変形例の蛍光体ホイール4は、カバーガラス43の内周部側の端面、具体的には、蛍光体粒子121の充填口に対応するカバーガラス43の端面に傾斜面43S(テーパ)が設けられた点が上記第1の実施の形態等とは異なる。
【0086】
このように、蛍光体粒子121の充填口となるカバーガラス43の端面に傾斜面43Sを設けることにより、上記第1の実施の形態の効果に加えて、ホイール基板11とカバーガラス32に設けられた凹部43Aによって形成される空間X1へ蛍光体粒子121を容易に充填させることが可能となるという効果を奏する。
【0087】
(3−3.変形例3)
図14図16は、本開示の変形例3に係る蛍光体ホイール5A,5B,5Cの要部の断面構成を模式的に表したものである。本変形例は、上述したカバーガラス13の表面や、蛍光体層12とカバーガラス13との間に光学薄膜を設けた蛍光体ホイールの一例である。
【0088】
図14に示した蛍光体ホイール5Aおよび図15に示した蛍光体ホイール5Bは、カバーガラス13の表面に拡散機能を有する光学薄膜を設けたものである。具体的には、蛍光体ホイール5Aは、カバーガラス13の表面に微細な凹凸構造51が設けられた構成を有する。蛍光体ホイール5Bは、カバーガラス13の表面にナノ粒子拡散層52が設けられた構成を有する。このように、カバーガラス13の表面に拡散機能を有する光学薄膜(あるいは、光学構造)を設けることにより、上記第1の実施の形態の効果に加えて、表示特性を向上させることが可能となるという効果を奏する。具体的には、例えば、これら蛍光体ホイール5A,5Bを用いたプロジェクタ10において、投射画像の青色光のムラやスペックルを低減することが可能となる。
【0089】
図16に示した蛍光体ホイール5Cは、蛍光体層12とカバーガラス13との間にダイクロイック膜53が設けられたものである。ダイクロイック膜53は、例えば、励起光ELを一定割合反射する機能を有するものである。このダイクロイック膜53を、蛍光体層12とカバーガラス13との間に配置することにより、蛍光発光面と拡散面との距離を縮めることが可能となる。これにより、上記第1の実施の形態の効果に加えて、照明光学系の効率(光の変換効率)を向上させることが可能となるという効果を奏する。
【0090】
なお、凹凸構造51およびナノ粒子拡散層52は、カバーガラス13の表面全面に設ける必要はなく、少なくとも励起光ELの照射位置を含む周辺領域に設けられていればよい。ダイクロイック膜53も同様に、凹部13Aの底面全面に設ける必要はなく、少なくとも励起光ELの照射位置を含む周辺領域に設けられていればよい。
【0091】
(3−4.変形例4)
図17は、本開示の変形例4に係る蛍光体ホイール6の要部の断面構成の一例を模式的に表したものである。本変形例の蛍光体ホイール6は、カバーガラス63の、例えば、励起光ELの照射位置、即ち、蛍光体層12の励起位置に対応する位置に、ホイール基板11側に突出する凹面構造63Dが設けられた点が上記第1の実施の形態等とは異なる。
【0092】
前述したように、バインダレス蛍光体ホイールでは、蛍光体部の厚みのばらつきは蛍光出力のばらつきに繋がる。バインダレス蛍光体ホイールでは、蛍光体層の厚みが厚くなる、即ち、複数の蛍光体粒子が励起光ELの入射方向に重なると、光源としての発光効率が低下する虞がある。このため、蛍光体層の厚みは、蛍光体粒子が励起光ELの入射方向に1層〜2層程度積層された厚みとすることが好ましい。しかしながら、励起光ELの照射による蛍光体部の発熱によって、カバーガラスが熱膨張して、例えば蛍光体層の厚みが増加する方向に変形する虞がある。
【0093】
これに対して、本変形例では、カバーガラス63の、例えば、励起光ELの照射位置に対応する位置に、ホイール基板11側に突出する凹面構造63Dを設けるようにした。これにより、蛍光体層12の発熱により熱膨張が発生した場合に、カバーガラス63は蛍光体層12側に突出するように熱変形するようになり、蛍光体層12を形成する空間X1の体積の膨張を防ぐことが可能となる。よって、本変形例の蛍光体ホイール6では、上記第1の実施の形態の効果に加えて、光源としての発光効率の低下を低減することが可能となるという効果を奏する。
【0094】
なお、上記作用は、上記蛍光体ホイール6のようにカバーガラス63に凹面構造63Dを設けた場合だけによらない。例えば、図18に示した蛍光体ホイール7のように、例えば、ホイール基板11の励起光ELの照射位置に対応する位置に、カバーガラス63側に突出する凹面構造11Dを形成するようにしてもよい。これにより、蛍光体ホイール6と同様の作用および効果が得られる。
【0095】
(3−5.変形例5)
図19は、本開示の変形例5に係る光源装置500の全体構成を表す概略図である。この光源装置500は、例えば、図8に示したプロジェクタ10の光源装置として用いられるものである。
【0096】
光源装置500は、上述した蛍光体ホイール1と、拡散板621と、励起光またはレーザ光を発する光源部610と、レンズ612〜615と、ダイクロイックミラー616と、反射ミラー617とを有する。蛍光体ホイール1は、例えば、反射型の波長変換素子であり、軸J15により回転可能に支持されている。拡散板621は、軸J621により回転可能に支持されている。光源部610は、第1のレーザ群610Aと第2のレーザ群610Bとを有する。第1のレーザ群610Aは励起光(例えば、波長445nmまたは455nm)を発振する半導体レーザ素子611Aが、第2のレーザ群610Bは青色レーザ光(例えば、波長465nm)を発振する半導体レーザ素子611Bが複数配列されたものである。ここでは便宜上、第1のレーザ群610Aから発振される励起光をEL1とし、第2のレーザ群610Bから発振される青色レーザ光(以下、単に青色光とする)をEL2とする。
【0097】
本変形例では、蛍光体ホイール1は、第1のレーザ群610Aからレンズ612と、ダイクロイックミラー616と、レンズ613とを順に透過した励起光EL1が蛍光体層12に入射されるように配置されている。蛍光体ホイール1からの蛍光FL1はダイクロイックミラー616で反射されたのち、レンズ614を透過して外部、即ち、照明光学系200へ向かうようになっている。拡散板621は、第2のレーザ群610Bから反射ミラー617を経由した青色光EL2を拡散させるものである。拡散板621で拡散された青色光EL2は、レンズ615およびダイクロイックミラー616を透過したのち、レンズ614を透過して外部、即ち照明光学系200へ向かうようになっている。なお、光源装置500内には、励起光EL1の照射に伴う蛍光体層12の発熱を冷却するため、冷却ファンを設けるようにしてもよい。
【0098】
続いて、図8および図19を参照して、光源装置500を含めたプロジェクタ10の動作について説明する。
【0099】
まず光源装置500において、モータ15およびモータ622が駆動し、蛍光体ホイール1および拡散板621が回転する。そののち、光源部610における第1のレーザ群610Aおよび第2のレーザ群610Bから励起光EL1および青色光EL2がそれぞれ発振される。
【0100】
励起光EL1は、第1のレーザ群610Aから発振され、レンズ612とダイクロイックミラー616とレンズ613とを順に透過したのち、蛍光体ホイール1の蛍光体層12に照射される。蛍光体層12は励起光EL1の一部を吸収し、黄色光である蛍光FL1に変換し、これをレンズ613へ向けて発する。蛍光FL1,FL2はダイクロイックミラー616により反射されたのち、レンズ614を透過して照明光学系200へ向かう。
【0101】
青色光EL2は、第2のレーザ群610Bから発振され、反射ミラー617を経由したのち、拡散板621に照射される。拡散板621は、青色光EL2を拡散して、レンズ615へ向けて発する。青色光EL2はダイクロイックミラー616を透過したのち、レンズ614を透過して照明光学系200へ向かう。
【0102】
このようにして、光源装置500は、黄色光である蛍光FL(FL1)と、青色光(EL2)とを合成した白色光を照明光学系200へ入射させる。
【0103】
以上、第1,第2の実施の形態および変形例1〜5を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態において説明した各層の材料および厚み等は一例であってこれに限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよい。
【0104】
また、本技術に係る投射型表示装置として、上記プロジェクタ以外の装置が構成されてもよい。例えば、上記第1の実施の形態では、光変調素子として反射型液晶パネルを用いた反射型3LCD方式のプロジェクタを挙げて説明したが、これに限らず、本技術は、透過型液晶パネルと用いた、所謂透過型3LCD方式のプロジェクタにも適用することができる。
【0105】
更に、本技術は投射型表示装置ではない装置に本技術に係る光源装置が用いられてもよい。例えば、本開示の光源装置100は、照明用途として用いてもよく、例えば、自動車のヘッドランプやライトアップ用の光源に適用可能である。
【0106】
なお、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
第1基材と、
前記第1基材と対向配置されると共に、前記第1基材との対向面に、内周部から外周部に向かって延伸する複数の凸部を内包する円環状の凹部を有する第2基材と、
前記第1基材と前記第2基材の前記凹部とによって形成される第1の空間に充填された蛍光体層と
を備えた波長変換素子。
(2)
前記凸部の平面形状は、前記内周部から前記外周部に向かって細くなっている、前記(1)に記載の波長変換素子。
(3)
前記凸部の平面形状は、前記内周部側の端面に切り欠き部を有する、前記(2)に記載の波長変換素子。
(4)
前記複数の凸部は、前記内周部から前記外周部に向かって直線状に配置されている、前記(1)乃至(3)のうちのいずれかに記載の波長変換素子。
(5)
前記複数の凸部の平面形状は、前記内周部から前記外周部に向かって長軸を有する楕円形状である、前記(4)に記載の波長変換素子。
(6)
前記複数の凸部は、前記内周部から前記外周部に向かって螺旋状に配置されている、前記(1)乃至(5)のうちのいずれかに記載の波長変換素子。
(7)
前記第2基材は、前記複数の凸部の間の端面にテーパを有する、前記(1)乃至(6)のうちのいずれかに記載の波長変換素子。
(8)
前記第2基材は、前記第1基材との対向面に溝部を有し、前記溝部には接着剤が充填されている、前記(1)乃至(7)のうちのいずれかに記載の波長変換素子。
(9)
前記溝部は、前記凸部に設けられ、前記第1の空間とは独立した第2の空間を形成している、前記(8)に記載の波長変換素子。
(10)
前記溝部は、前記第2基材の前記外周部の外縁に設けられている、前記(8)または(9)に記載の波長変換素子。
(11)
前記第2基材は、前記凹部の内周側の側面および外周側の側面の少なくとも一方に空気孔を有する、前記(1)乃至(10)のうちのいずれかに記載の波長変換素子。
(12)
前記蛍光体層は複数の蛍光体粒子により形成されている、前記(1)乃至(11)のうちのいずれかに記載の波長変換素子。
(13)
前記蛍光体層は複数の蛍光体粒子により形成され、
前記空気孔の孔径は、前記蛍光体粒子の平均粒径の50%以下である、前記(11)または(12)に記載の波長変換素子。
(14)
前記第1基材および前記第2基材の少なくとも一方は光透過性を有する、前記(1)乃至(13)のうちのいずれかに記載の波長変換素子。
(15)
前記光透過性を有する基材は表面に凹面構造を有する、前記(14)に記載の波長変換素子。
(16)
前記光透過性を有する基材の表面には光拡散機能を有する構造が形成されている、前記(14)に記載の波長変換素子。
(17)
前記光拡散機能を有する構造は、微細な凹凸構造またはナノ粒子拡散層である、前記(16)に記載の波長変換素子。
(18)
前記第2基材は光透過性を有し、
前記凹部の底面の少なくとも一部には、所定の波長を一定割合反射するダイクロイック膜が形成されている、前記(1)乃至(17)のうちのいずれかに記載の波長変換素子。
(19)
波長変換素子を有する光源光学系と、
入力された映像信号に基づいて前記光源光学系からの光を変調することにより、画像光を生成する画像生成光学系と、
前記画像生成光学系で生成された画像光を投射する投射光学系とを備え、
前記波長変換素子は、
第1基材と、
前記第1基材と対向配置されると共に、前記第1基材との対向面に、内周部から外周部に向かって延伸する複数の凸部を内包する円環状の凹部を有する第2基材と、
前記第1基材と前記第2基材の前記凹部とによって形成される第1の空間に充填された蛍光体層と
を有する投射型表示装置。
【0107】
本出願は、日本国特許庁において2017年10月5日に出願された日本特許出願番号2017−194977号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願の全ての内容を参照によって本出願に援用する。
【0108】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】