特表-19077865IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年4月25日
【発行日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】生体磁気計測装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/05 20060101AFI20201120BHJP
【FI】
   A61B5/05 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
【出願番号】特願2019-549132(P2019-549132)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年8月21日
(31)【優先権主張番号】特願2017-200389(P2017-200389)
(32)【優先日】2017年10月16日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】504179255
【氏名又は名称】国立大学法人 東京医科歯科大学
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】川端 茂徳
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 朝彦
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA10
4C127EE01
4C127FF01
4C127FF02
(57)【要約】
本発明は、簡便に、生体の磁気情報を三次元的に取得可能な生体磁気計測
装置を提供するものである。
本発明の生体磁気計測装置(101)は、生体磁気を複数の磁気センサ(1)
で同時に計測するための装置であって、複数の磁気センサ(1)は計測方向
が異なるように保持部(10)(第1保持部分(11)及び第2保持部分(1
2))に保持されており、さらに保持部(10)(第1保持部分(11)及び
第2保持部分(12))には、複数箇所の生体磁気を同時に計測できるように、
複数の磁気センサ(1)が配置されている。磁気センサ(1)は、常温に準
じた温度環境下で生体磁気を検出するものを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体磁気を複数の磁気センサで同時に計測するための装置であって、
前記磁気センサは計測方向が異なるように保持部に保持されており、
さらに前記保持部には、複数箇所の生体磁気を同時に計測できるように、複数の磁気センサが配置されており、
前記磁気センサは、常温に準じた温度環境下で前記生体磁気を検出するものを含む、
生体磁気計測装置。
【請求項2】
前記保持部は、前記磁気センサが生体の体表面に略平行な(x−y)座標の座標位置に二次元に配置される第1保持部分と、前記磁気センサが(x−y)座標とは異なる座標の座標位置に二次元に配置される第2保持部分とを備える、
請求項1に記載の生体磁気計測装置。
【請求項3】
前記第1保持部分の磁気センサが配置される第1保持面と、前記第2保持部分の磁気センサとが配置される第2保持面とが、断面視で略直角に配置される、
請求項2に記載の生体磁気計測装置。
【請求項4】
前記保持部は、前記磁気センサが二次元に配置される第3保持部分と、前記第3保持部分を前記第1保持部分又は前記第2保持部分に対して開閉可能にする開閉機構と、前記第3保持部分を前記第1保持部分又は前記第2保持部分に向けて移動可能にする移動機構とを備える、
請求項2又は3に記載の生体磁気計測装置。
【請求項5】
前記磁気センサは、SQUIDセンサを含む、
請求項1〜4のいずれかに記載の生体磁気計測装置。
【請求項6】
前記保持部には、前記磁気センサを着脱可能又は可動自在に保持する保持枠がアレイ状に配置されている、請求項1〜5のいずれかに記載の生体磁気計測装置。
【請求項7】
前記保持部には、前記磁気センサをスライド移動可能に保持するレールが複数配置されている、請求項1〜6のいずれかに記載の生体磁気計測装置。
【請求項8】
前記保持部は、前記磁気センサを生体に対して接離する接離方向へ個別に移動させる移動機構を備える、請求項1〜7のいずれかに記載の生体磁気計測装置。
【請求項9】
前記保持部は、非磁性材料から構成される、請求項1〜8のいずれかに記載の生体磁気計測装置。
【請求項10】
前記保持部は、可撓性材料から構成される、請求項1〜9のいずれかに記載の生体磁気計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサを用いた生体磁気計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療現場において、生体の脳、心臓、筋肉の電気活動に伴って発生する微弱な低周波の磁気(磁場)を検出する脳磁計、心磁計、筋磁計といった生体磁気計測装置が使用されている。脳の電気的活動に伴って発生する脳磁は、地磁気の約1億分の1程度の強度であり、心臓の心筋の電気的活動に伴って発生する心磁は、地磁気の百万分の1程度の大きさである。そのため、生体が発生する磁気(以下、「生体磁気」ともいう。)を検出するに際し、磁気センサには、極めて高感度な検出性能が要求される。
【0003】
高感度な磁気検出を可能にする高感度磁気センサとして、超電導量子干渉素子(Superconducting Quantum Interference Device、以下、「SQUID」ともいう。)が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
一方、冷却を必要としない常温域で、微弱な磁気の検出が可能な磁気抵抗効果素子(MR素子)を用いたMRセンサの利用も検討されている。MRセンサを用いた生体磁気計測装置では、MRセンサを冷却容器(デュワー)内に配置する必要がなく、SQUIDセンサを用いる場合に比べ、低コストで、取り扱いが簡単で、MRセンサを生体に近づけやすい利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−41965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これまでの生体磁気計測装置においては、SQUIDセンサやMRセンサのいずれを用いた場合においても、生体の体表面に略平行な接線方向成分のみの磁気を検出するのが一般的であった。具体的には、生体の体表面に略平行な平面上に磁気センサが二次元に配置されるのが一般的であった。そのため、生体の体表面に対して二次元の生体磁気情報を取得できるが、生体の体表面に対して深さ方向の生体磁気成分を含む三次元の生体磁気情報を取得できず、生体の磁気情報をより詳細に取得できることが期待されている。
【0007】
なお、特許文献1には、SQUIDセンサを内蔵した冷却容器を略Lの字状に構成し、SQUIDセンサを被験者の体前部と体側部に極力近接して配置した生体磁気計測装置が提案されている。しかしながら、SQUIDセンサを略Lの字状の冷却容器内に配置することは技術的に難しく、また、計測対象の被験者に応じて最適な位置にSQUIDセンサを配置することが難しい。さらに、仰臥位(仰向け)や伏臥位(うつ伏せ)のみならず、立位や座位で計測することや、被験者の体格に応じた位置の調整は困難である。
【0008】
本発明は、簡便に、生体の磁気情報を三次元的に取得可能な生体磁気計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、常温に準じた温度環境下で生体磁気を検出する磁気センサを用い、これら磁気センサを、生体磁気の複数成分を同時に検出可能な位置に配置することにより、簡便に、生体の磁気情報を三次元的に取得できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
(1) 本発明は、生体磁気を複数の磁気センサで同時に計測するための装置であって、前記磁気センサは計測方向が異なるように保持部に保持されており、さらに前記保持部には、複数箇所の生体磁気を同時に計測できるように、複数の磁気センサが配置されており、前記磁気センサは、常温に準じた温度環境下で生体磁気を検出するものを含む、生体磁気計測装置である。
【0011】
(2) 本発明は、前記保持部は、前記磁気センサが生体の体表面に略平行な(x−y)座標の座標位置に二次元に配置される第1保持部分と、前記磁気センサが(x−y)座標とは異なる座標の座標位置に二次元に配置される第2保持部分とを備える、(1)に記載の生体磁気計測装置である。
【0012】
(3) 本発明は、前記第1保持部分の磁気センサが配置される第1保持面と、前記第2保持部分の磁気センサとが配置される第2保持面とが、断面視で略直角に配置される、(2)に記載の生体磁気計測装置である。
【0013】
(4) 本発明は、前記保持部は、前記磁気センサが二次元に配置される第3保持部分と、前記第3保持部分を前記第1保持部分又は前記第2保持部分に対して開閉可能にする開閉機構と、前記第3保持部分を前記第1保持部分又は前記第2保持部分に向けて移動可能にする移動機構とを備える、(2)又は(3)に記載の生体磁気計測装置である。
【0014】
(5) 本発明は、前記磁気センサは、SQUIDセンサを含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の生体磁気計測装置である。
【0015】
(6) 本発明は、前記保持部には、前記磁気センサを着脱可能又は可動自在に保持する保持枠がアレイ状に配置されている、(1)〜(5)のいずれかに記載の生体磁気計測装置である。
【0016】
(7) 本発明は、前記保持部には、前記磁気センサをスライド移動可能に保持するレールが複数配置されている、(1)〜(6)のいずれかに記載の生体磁気計測装置である。
【0017】
(8) 本発明は、前記保持部は、前記磁気センサを生体に対して接離する接離方向へ個別に移動させる移動機構を備える、(1)〜(7)のいずれかに記載の生体磁気計測装置である。
【0018】
(9) 本発明は、前記保持部は、非磁性材料から構成される、(1)〜(8)のいずれかに記載の生体磁気計測装置である。
【0019】
(10) 本発明は、前記保持部は、可撓性材料から構成される、(1)〜(9)のいずれかに記載の生体磁気計測装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、簡便に、生体磁気の情報を三次元的に取得可能な生体磁気計測装置を提供することができる。また、本発明によれば、生体磁気の情報を三次元的に得ることができるため、磁気共鳴映像装置(MRI)、X線コンピュータ断層撮影装置(CT)等の画像診断装置で撮影された立体画像と重ね合わせることができ、心臓や神経疾患等を診断する上で非常に有用である。
【0021】
さらに、本発明によれば、常温に準じた温度環境下で生体磁気を検出する磁気センサを含むため、その磁気センサを容易に移動させることができる。その結果、固定する必要があるSQUIDセンサのみの場合と異なり、計測対象に応じて最適な位置に磁気センサを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態に係る生体磁気計測装置の構成を模式的に示す模式断面図である。
図2】磁気センサと生体磁気との位置関係を示す模式図である。
図3】第2実施形態に係る生体磁気計測装置の構成例を模式的に示す模式断面図である。
図4】第3実施形態に係る生体磁気計測装置の構成例を模式的に示す模式断面図である。
図5】第4実施形態に係る生体磁気計測装置の構成例を模式的に示す模式断面図である。
図6】第5実施形態に係る生体磁気計測装置の構成例を模式的に示す模式断面図である。
図7】保持部の構成例1を模式的に示す模式正面図である。
図8図7に示す保持部におけるA−A’断面の部分拡大図である。
図9】保持部の構成例2を模式的に示す模式正面図である。
図10】保持部の構成例3を模式的に示す模式断面図である。
図11】保持部の構成例4を模式的に示す模式正面図である。
図12】(a)は、被験者の正面側に配置された第1保持部分の磁気センサにより得られ磁場波形データを示す図であり、(b)は、被験者の側面側に配置された第2保持部分の磁気センサ1により得られた磁場波形データを示す図である。
図13】生体磁気計測装置から得られた生体信号データから構築された心磁図データと、X線(CT)画像とを重ね合わせた生体情報の一例を示す図である。
図14】本発明の第3実施形態を採用した試作機で被験者を実際に計測している様子を、背後から撮った写真である。
図15】本発明の第3実施形態を採用した試作機の第2保持部材と第3保持部材を分離させた写真である。
図16】本発明の第3実施形態を採用した試作機を斜視方向から撮った写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0024】
本実施形態に係る生体磁気計測装置は、生体磁気を複数の磁気センサで同時に計測するための装置であって、複数の磁気センサは計測方向が異なるように保持部に保持され、一箇所の生体磁気に対して複数方向成分の生体磁気を検出する。さらに、保持部には、所望の計測範囲に応じて複数箇所の生体磁気を同時に計測できるように、複数の磁気センサが配置され、複数箇所の生体磁気に対してそれぞれ複数方向成分の生体磁気を検出する。ここで、一箇所の生体磁気とは、一つの磁気センサで検出可能な箇所内で発生する生体磁気であり、該箇所における生体磁気の発生源は1箇所であっても、複数箇所であってもよい。
【0025】
例えば、後述するように、生体の体表面に略平行な(x−y)座標の特定の座標位置(x、y)に配置された磁気センサにより、一箇所の生体磁気のx方向成分又はy方向成分を検出すると同時に、(y−z)座標の特定の座標位置(y、z)に配置された磁気センサにより、一箇所の生体磁気のz方向成分を検出する。さらに、複数箇所の生体磁気を同時に検出するべく、複数の磁気センサを(x−y)座標の複数の座標位置、及び(y―z)座標の複数の座標位置にそれぞれ二次元に配置することにより、三方向以上の成分を含む三次元の生体磁気情報を得ることができる。
【0026】
本実施形態に係る生体磁気計測装置によれば、複数の磁気センサにより一箇所の生体磁気の複数方向成分を計測するため、ひとつの磁気センサで一箇所の生体磁気の一方向成分のみを計測する場合に比べ、生体磁気の情報を詳細に取得可能である。
【0027】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の、数、寸法比率等は実際とは異なっていることがある。
【0028】
<第1実施形態に係る生体磁気計測装置>
図1は、第1実施形態に係る生体磁気計測装置の構成を模式的に示す模式断面図である。図2は、磁気センサと生体磁場との位置関係を示す模式図である。図1に示すように、第1実施形態に係る生体磁気計測装置101は、複数の磁気センサ1が保持部10によって保持され、断面視で略L字状に形成された保持部10が生体である被験者Sの左側半身を囲むように配置される。そして、図2に示すように、生体磁気計測装置101は、刺激装置からの電気的刺激によって、被験者S(例えば、心臓)に発生した生体活動電流Iから生じる微小な生体磁場(生体磁気)Hを、複数の磁気センサ1で検出する。
【0029】
[磁気センサ]
磁気センサ1としては、常温に準じた温度環境下で少なくとも1軸方向の磁気を検出可能で、10−4T(テスラ)〜10−10T(テスラ)程度の磁気を検出することができれば、いずれの磁気センサであってもよい。
【0030】
このような磁気センサ1としては、例えば、磁気巨大磁気抵抗センサ(GMRセンサ)、トンネル磁気抵抗センサ(TMRセンサ)、異方的磁気抵抗センサ(AMRセンサ)、磁気インピーダンスセンサ(MIセンサ)、フラックスゲートセンサ、光ポンピング原子磁気センサ等が好ましく挙げられる。
【0031】
これら磁気センサ1は、SQUIDセンサと同程度の情報を得ることができ、かつ、SQUIDセンサのように液体ヘリウムや液体窒素とった冷媒を収容する冷却容器等の温度調整機構を設置する必要がなく、取り扱い(配置変更、取り替え、取り出し等)が簡便で、生体に近づけやすい点で好ましく用いられる。
【0032】
なお、本発明における「常温に準じた温度環境下」とは、磁気センサ1の温度を調整する温度調整機構を必要としない環境下(室温)又は温度調整機構として冷却、加温が必要であっても断熱材を使用する程度で簡便に利用できる環境であり、例えば、−10℃〜250℃であることをいう。
【0033】
[保持部]
保持部10は、被験者Sの正面(胸前)側に配置される第1保持部分11と、被験者Sの側面側に配置される第2保持部分12とから構成される。第1保持部分11には、被験者Sの体表面に略平行なx成分又はy成分(以下、「接線成分」ともいう。)の磁気を検出する磁気センサ1が、(x−y)座標の座標位置に二次元にアレイ状に複数配置される。これにより、第1保持部分11に保持される複数の磁気センサ1からは、(x−y)座標の二次元の生体磁気情報を得ることができる。
【0034】
第2保持部分12には、被験者Sの体表面に略直交するz成分(以下、「法線成分」。ともいう。)の磁気を検出する磁気センサ1が、(y−z)座標の座標位置に二次元にアレイ状に複数配置される。これにより、第2保持部分12に保持される複数の磁気センサ1からは、(y−z)座標の二次元の生体磁気情報を得ることができる。ここで、第1保持部分11の磁気センサ1の検出面が露出する第1保持面11aと、第2保持部分12の磁気センサ1の検出面が露出する第2保持面12aとは、断面視で略直角(第1実施形態ではL字状)に交差している。
【0035】
[制御部]
制御部2は、第1保持部分11及び第2保持部分12に保持される磁気センサ1から出力された生体磁気情報(生体信号)を、予め設定されたサンプリング周波数にしたがってA/D変換し、生体信号データにするA/D変換手段、サンプリング周波数にしたがってA/D変換された複数の生体信号データ(磁場波形データ)を記録する記録手段、所定期間内に記録手段に記録された複数の生体信号データを所定の演算処理方法により処理し、最終的に三次元の生体磁気情報を取得する処理手段、処理手段で処理中又は処理された生体信号データを外部の表示装置に出力する出力手段等を備えている。
【0036】
なお、処理手段が行う演算処理方法は、特に制限されないが、加算平均処理、移動平均処理、ウイナーフィルター処理、ローパスフィルタ(LPF)、ハイパスフィルタ(HPF)、バンドパスフィルタ(BPF)、バンド阻止フィルタ(BEF)等が挙げられる。中でも、環境磁気等をはじめとしたノイズを低減しやすいことから、演算処理方法は、複数の磁場波形データを加算平均処理して加算平均波形データを生成することが好ましい。
【0037】
このように、磁気センサ1が第1保持部分11のみに保持される生体磁気計測装置では二次元の生体磁気情報しか得られないが、磁気センサ1が第1保持部分11と第2保持部分12とにそれぞれ保持される生体磁気計測装置101では、三次元の生体磁気情報を得ることができる。生体磁気計測装置101から得られた三次元の生体磁気情報は、例えば、核磁気共鳴映像装置(MRI)やコンピュータ断層撮影装置(CT)で得られる立体画像と重ね合わせることができ、心臓や神経疾患等の診断する上で非常に有用である。
【0038】
<第2実施形態に係る生体磁気計測装置>
第2実施形態に係る生体磁気計測装置102においては、後述するように、被験者Sの正面と側面とに加えて、正面と側面との間の領域にも磁気センサ1が配置される点で、第1実施形態に係る生体磁気計測装置101と異なる。
【0039】
図3は、第2実施形態に係る生体磁気計測装置の構成例を模式的に示す模式断面図である。以下、図中、上述した部材と同一部材には、同一符号を付し、説明を省略する場合がある。図3に示すように、第2実施形態に係る生体磁気計測装置102においては、複数の磁気センサ1が保持部20によって保持される。保持部20は、被験者Sの正面側に配設される第1保持部分11と、被験者Sの側面側及び第1保持部分11の側面11b側に配設される第2保持部分13とから構成される。
【0040】
第1保持部分11には、被験者Sの接線成分の磁気を検出する磁気センサ1が、(x−y)座標の座標位置に二次元にアレイ状に複数配置される。これにより、第1保持部分11に保持される複数の磁気センサ1からは、(x−y)座標の二次元の生体磁気情報を得ることができる。
【0041】
第2保持部分13には、被験者Sの法線成分の磁気を検出する磁気センサが、(y−z)座標の座標位置に二次元にアレイ状に複数配置される。これにより、第2保持部分13に保持される複数の磁気センサ1からは、(y−z)座標の二次元の生体磁気情報を得ることができる。ここで、第1保持部分11の磁気センサ1の検出面が露出する第1保持面11aと、第2保持部分13の磁気センサ1の検出面が露出する第2保持面13aとは、断面視で略直角(第2実施形態ではT字状)に交差している。
【0042】
ところで、第1実施形態に係る生体磁気計測装置101においては、被験者Sの正面と側面との間の領域(第2実施形態における第1保持部分11の側面11b側の領域)に磁気センサ1が配置されていない。そのため、第1保持部分11において第2保持部分12に最近接する磁気センサ1の検出範囲と、第2保持部分12において第1保持部分11に最近接する磁気センサ1の検出範囲とから外れる検出範囲外の生体磁気の存在を検出できない。
【0043】
そこで、第2実施形態に係る生体磁気計測装置102においては、上述したように、第1保持面11aと第2保持面13aとを断面視で略T字状に交差させ、被験者Sの正面と側面との間の領域(側面11bと対向する領域)にも磁気センサ1を配置している。これにより、第2実施形態に係る生体磁気計測装置102においては、上述した検出範囲外の生体磁気も検出することが可能となる。
【0044】
例えば、この検出範囲外で生体磁場Hが反転した場合もこれを検出することが可能である。このように、生体磁気計測装置102の一方側で、第1保持面11aと第2保持面13aとを略T字状に交差させることは、被験者Sの中央部よりも左側に寄っている心臓の生体磁気を検出する上で、特に有用である。
【0045】
<第3実施形態に係る生体磁気計測装置>
第3実施形態に係る生体磁気計測装置103においては、後述するように、被験者Sの背面にも磁気センサ1が配置される点で、第2実施形態に係る生体磁気計測装置102と異なる。
【0046】
図4は、第3実施形態に係る生体磁気計測装置の構成例を模式的に示す模式断面図である。図4に示すように、第3実施形態に係る生体磁気計測装置103は、複数の磁気センサ1が保持部30によって保持される。保持部30は、被験者Sの正面側に配置される第1保持部分11と、被験者Sの左側面側及び第1保持部分11の側面11b側に配置される第2保持部分13と、被験者Sの背面側に配置される第3保持部分14とから構成される。
【0047】
第1保持部分11及び第3保持部分14は、被験者Sの接線成分の磁気を検出する磁気センサが、(x−y)座標の座標位置にそれぞれ二次元にアレイ状に複数配置される。これにより、第1保持部分11及び第3保持部分14に保持される複数の磁気センサ1からは、被験者Sの正面側及び背面側の両方からの(x−y)座標の二次元の生体磁気情報を得ることができる。
【0048】
第2保持部分13には、被験者Sの法線成分の磁気を検出する磁気センサが、(y−z)座標の座標位置に二次元にアレイ状に複数配置される。これにより、第2保持部分13に保持される複数の磁気センサ1からは、(y−z)座標の二次元の生体磁気情報を得ることができる。ここで、第1保持部分11の磁気センサ1の検出面が露出する第1保持面11aと、第2保持部分13の磁気センサ1の検出面が露出する第2保持面13aとは、断面視で略T字状に交差している。
【0049】
このように、第3実施形態に係る生体磁気計測装置103においては、第1保持部分11、第3保持部分14、及び第2保持部分13に保持されたそれぞれの磁気センサ1により、被験者Sの正面側、背面側、左側面側、及び正面と側面との間の領域のわたり、生体磁気を検出することができるので、第1及び第2実施形態に係る生体磁気計測装置101、102よりもさらに詳細な生体磁気情報を得ることができる。なお、被験者Sの右側面側に第4保持部分を配置して、被験者Sの両側面ともに磁気センサ1を配置し、被験者Sを囲う構造としてもよい。
【0050】
ここで、第1保持部分11、第3保持部分14、第2保持部分13は、被験者Sにより近づけるためそれぞれ水平、垂直に可動する機構を備えることもできる。また、測定領域に被験者Sが入り易いように、第1保持部分11又は第2保持部分13と第3保持部分14とが開閉又は分離するような機構を備えることも好ましい。
【0051】
例えば、第2保持部分13と第3保持部分14とをアームで連結して開閉機構を構成すれば、第3保持部分14を開けることによって被検者Sを簡単に測定領域に入れることができる。そして、第3保持部分14を閉めて生体磁気を検出することにより、第1保持部分11の磁気センサ1だけでは取得しにくい被検者Sの背面側の生体磁気を第3保持部分14の磁気センサ1で容易に取得できるようになる。さらに、第3保持部分14を第1保持部分11に向けて移動可能にする移動機構を設ければ、被検者Sの体格(胸板の厚さ等)の相違にも対応できるようになる。
【0052】
なお、第2及び第3実施形態に係る生体磁気計測装置102、103においては、被験者Sの正面と側面との間の領域の磁気を検出するために、磁気センサ1の検出面が露出する第2保持面13aの一部が、第1保持部分11の側面11bに対向する形態であったが、この構成に限定されない。
【0053】
例えば、第1保持部分11の第1保持面11aの一部が、被験者Sの側面に対向する第2保持部分13の側面に対向するように延設され、その延設部分にも磁気センサ1の検出面が露出するように磁気センサ1が配置され、第1保持面11a(延設部分を含む)と第2保持面13aとが、断面視で略T字状に交差する構成であってもよい。
【0054】
また、第1〜第3実施形態に係る生体磁気計測装置101、102、103においては、互いに直交する(x−y−z)座標に基づき、(x−y)座標に第1保持面11aが、(y−z)座標に第2保持面12a、13aが配置される形態であったが、磁気センサ1の位置情報を把握することができれば、第1保持面11aと第2保持面12a、13aとが直交していない形態であってもよい。
【0055】
さらに、第1〜第3の実施形態に係る生体磁気計測装置101、102、103においては、被験者Sが立位の姿勢で計測される形態を示しているが、被験者Sの体位は、立位、座位、又は仰臥位(仰向け)又は伏臥位(うつ伏せ)のいずれであってもよい。例えば、寝台の一部を保持部とし、被験者Sは、寝台の上に仰臥位(仰向け)又は伏臥位(うつ伏せ)であってもよい。
【0056】
被験者Sが寝台上で仰臥位又は伏臥位をとることで、被験者Sの体表面と磁気センサ1の検知面との密着性が向上し、より精度の高い生体磁気情報を得ることが可能となる。また、保持部10、20、30に回転機構を備えるようにすれば、磁気センサ1を任意の角度に設定することが可能となり、立位にも仰臥位にもその中間にも対応できるようになる。
【0057】
<第4実施形態に係る生体磁気計測装置>
第4実施形態に係る生体磁気計測装置104においては、後述するように、保持部40にSQUIDセンサ41が配置される点で、第1実施形態に係る生体磁気計測装置101とは異なる。
【0058】
図5は、第4実施形態に係る生体磁気計測装置の構成例を模式的に示す模式断面図である。図5に示すように、第4実施形態に係る生体磁気計測装置104は、寝台の機能を兼ね備えた保持部40を備える。保持部40は、被験者Sを仰臥位の姿勢で保持する第1保持部分15と、被験者Sの側面に配設される第2保持部分16とから構成される。
【0059】
第1保持部分15には、被験者Sの接線成分の磁気を検出するSQUIDセンサ41が、(x−y)座標の座標位置に二次元にアレイ状に複数配置される。これにより、第1保持部分15に保持される複数のSQUIDセンサ41からは、(x−y)座標の二次元の生体磁気情報を得ることができる。
【0060】
第2保持部分16には、被験者Sの法線成分の磁気を検出する磁気センサが、(y−z)座標の座標位置に二次元にアレイ状に複数配置される。これにより、第2保持部分16に保持される複数の磁気センサ1からは、(y−z)座標の二次元の生体磁気情報を得ることができる。ここで、第1保持部分15のSQUIDセンサ41の検出面が露出する第1保持面15aと、第2保持部分16の磁気センサ1の検出面が露出する第2保持面16aとは、断面視で略直角(第4実施形態ではL字状)に交差している。
【0061】
SQUIDセンサ41は、温度調整機構を要するが、高感度な磁気検出が可能である。よって、第4実施形態に係る生体磁気計測装置104においては、常温で磁気を検出可能な磁気センサ(MRセンサ等)1と、SQUIDセンサ41とを併せて使用することにより、磁気センサ1のみを用いる場合に比べ、より精度の高い生体磁気情報を得ることができる。
【0062】
<第5実施形態に係る生体磁気計測装置>
第5実施形態に係る生体磁気計測装置105においては、後述するように、被験者Sの背面と側面に加えて、背面と側面との間の領域にも磁気センサ1が配置される点で、第4実施形態に係る生体磁気計測装置104とは異なる。
【0063】
図6は、第5実施形態に係る生体磁気計測装置の構成例を模式的に示す模式断面図である。図6に示すように、第5実施形態に係る生体磁気計測装置105は、寝台の機能を兼ね備えた保持部50を備える。保持部50は、被験者Sを仰臥位の姿勢で保持する第1保持部分15と、被験者Sの側面及び第1保持部分15の側面15b側に配設される第2保持部分17とから構成される。
【0064】
第1保持部分15には、被験者Sの接線成分の磁気を検出するSQUIDセンサ41が、(x−y)座標の座標位置に二次元にアレイ状に複数配置される。これにより、第1保持部分15に保持される複数のSQUIDセンサ41からは、(x−y)座標の二次元の生体磁気情報を得ることができる。
【0065】
第2保持部分17には、被験者Sの法線成分の磁気を検出する磁気センサが、(y−z)座標の座標位置に二次元にアレイ状に複数配置される。これにより、第2保持部分17に保持される複数の磁気センサ1からは、(y−z)座標の二次元の生体磁気情報を得ることができる。ここで、第1保持部分15のSQUIDセンサ41の検出面が露出する第1保持面15aと、第2保持部分17の磁気センサ1の検出面が露出する第2保持面17aとは、断面視で略直角(第5実施形態ではT字状)に交差している。
【0066】
このように、第5実施形態に係る生体磁気計測装置105においては、第1保持面15aと第2保持面17aとを断面視で略T字状に交差させ、被験者Sの正面と側面との間の領域にも磁気センサ1を配置している。これにより、第5実施形態に係る生体磁気計測装置105においては、第4実施形態に係る生体磁気計測装置104では検出範囲外となる磁気も検出することが可能となり、より詳細に生体磁気を検出することが可能である。
【0067】
<保持部について>
上述した第1〜第5の実施形態に係る磁気計測装置101〜105において、常温に準じた温度環境下で磁気を検出可能な磁気センサ(例えば、MRセンサ)1の保持方法は、特に限定されないが、磁気センサ1は保持部10〜50に対して着脱可能又は可動自在に保持されることが好ましい。以下、保持部10の第1保持部分11を例に説明する。
【0068】
[保持部の構成例1]
図7は、保持部の構成例1を模式的に示す模式正面図である。図8は、図7に示す保持部におけるA−A’断面の部分拡大図である。図7に示すように、例えば、第1保持部分11の保持面11aには、磁気センサ1を着脱可能に保持する略正方形状の保持枠3がアレイ状(14×14)に配置され、保持枠3に磁気センサ1が装着される。
【0069】
図8に示すように、保持枠3は、第1保持面11aに磁気センサ1の検出面が露出するように、磁気センサ1を保持する。具体的には、第1保持部分11に設けられた保持孔4の下部側から磁気センサ1が挿入され、保持枠3で磁気センサ1が保持されている。磁気センサ1を保持枠3に保持する手段は、特に制限されるものでなく、非磁性材料からなるネジ等の固定具によって固定されてもよい。また、固定することなく、嵌合等であってもよい。
【0070】
このように、磁気センサ1が保持枠3に対して着脱可能に支持されることにより、全ての保持枠3に磁気センサ1を配置する必要がなく、必要に応じて、所望の数の磁気センサ1を所望の保持枠3に配置することができる。つまり、被験者Sの体型・部位に応じて、磁気センサ1を最適な位置に配置することができ、最適な領域で生体磁気情報を得ることができる。また、要求される計測結果の分解能に応じて、磁気センサ1を密に配置したり、疎に配置したりしてもよい。
【0071】
このように、配置に柔軟性を持たせることができる点で、常温に準じた温度環境下で磁気を検出可能な磁気センサ1は、温度調整機構を要するために固定した配置しかできないSQUIDセンサ41に比べて優位性がある。その結果、不要な磁気センサ1が配置されることもないので、不要な磁気センサ1との信号授受や電力供給も行われず、省電力化及び低コスト化が可能となる。
【0072】
なお、磁気センサ1は、信号の授受や電力供給のための配線を有していてもよいし、有していなくてもよい。ただし、図7に示すように、生体磁気計測装置10においては複数の磁気センサ1が配置されることから、混線を避けるためには、磁気センサ1は、図8に示すように、配線5を有していることが好ましい。
【0073】
[保持部の構成例2]
図9は、保持部の構成例2を示す模式図である。図9に示すように、第1保持部分11には、磁気センサ1を移動可能に保持するレール6が長手方向に沿って複数本並列して形成されていてもよい。
【0074】
(レール)
レール6は、長手方向における任意の位置で、第1保持部分11の第1保持面11aから磁気センサ1の検出面が露出するように、磁気センサ1を移動可能に保持する。磁気センサ1は、レール6に対して着脱可能であっても、着脱不能であってもよい。
【0075】
第1保持部分11にレール6が形成された生体磁気計測装置では、計測者は、被験者Sの生体磁気を計測する際、計測結果を確認しながら磁気センサ1をレール6に沿って移動させやすく、磁気センサ1の位置合わせを容易に行いやすい。このように、構成例2も構成例1と同様に、配置に柔軟性を持たせることが可能な磁気センサ1を用いることで、最適な領域で生体磁気情報を得ることができる。
【0076】
[保持部の構成例3]
図10は、保持部の構成例3を示す模式断面図である。図10に示すように、第1保持部分18は、磁気センサ1を保持孔7内において、被験者Sに対して接離する接離方向に個別に移動させる移動機構を備えていてもよい。移動機構は、手動又は自動で磁気センサ1を被験者Sに対して接離する接離方向へ個別に移動させ、磁気センサ1の検出面と被験者Sとを密着させる。
【0077】
その結果、微弱な磁気をより高感度に検出できるようになる。移動機構としては、磁気センサ1を所定の位置に移動させることができれば、特に制限はないが、例えば、空気圧機構、油圧機構、弾性体機構、ネジ機構、歯車機構等が挙げられる。空気圧機構や油圧機構は、磁気センサ1の感度に影響を与えない空気や油を用いる点で好ましい。
【0078】
上述した保持部10、20、30、40、50(保持部分11〜18、保持枠3、保持孔4、レール6等を含む)等の磁気センサ1が取り付けられる治具は、アクリル樹脂等のプラスチック材料、銅・真鍮等の非鉄金属、木材等の非磁性材料で構成されることが好ましい。
【0079】
保持部10、20、30、40、50等の磁気センサ1が直接取り付けられる治具が非磁性材料で構成されることにより、これらが呼吸等による被験者Sの動きによって振動しても、環境磁気の変動を抑制することができ、精度の高い生体磁気情報を得ることができる。
【0080】
[保持部の構成例4]
上述した保持部10、20、30、40、50は、プラスチック材料等の非磁性材料が一体成形された成形体であったが、保持部は、可撓性材料から構成されてもよい。
【0081】
図11は、保持部の構成例4を模式的に示す模式正面図である。図11に示す保持部60は、複数の磁気センサ1を個別に固定する複数の固定部8と、複数の固定部8同士を連結するヒンジ9とを有する。ヒンジ9がゴム等の可撓性材料や蝶番から構成されることにより、保持部60は、被験者Sに凹凸や曲率があっても、その形状に沿って磁気センサ1を配置可能であり、被験者Sの体表面と磁気センサ1の検知面とを密着させることが可能である。
【0082】
その結果、保持部60を備えた生体磁気計測装置は、生体磁気を精度よく計測することができる。なお、固定部8は、磁気センサ1を固定できれば、固定部8自体が可撓性材料から構成されてもよい。
【実施例】
【0083】
上述した第1実施形態に係る生体磁気計測装置101と、さらにX線撮影装置とを用意し、胸部からの生体磁気を検出するとともに、胸部のX線画像を得た。図12(a)は、被験者Sの正面側に配置された第1保持部分11の磁気センサ1により得られ磁場波形データを示す図であり、(b)は、被験者Sの側面側に配置された第2保持部分12の磁気センサ1により得られた磁場波形データを示す図である。
【0084】
図13は、生体磁気計測装置101から得られた生体信号データ(図12参照)から構築された心磁図データと、X線画像とを重ね合わせた生体情報の一例を示す図である。
【0085】
図13に示すように、心磁図の生体磁気情報と、X線画像から得られる生体情報とを重ね合わせた診断も可能である。特に、三次元の生体磁気情報と、MRIやCTから得られる立体画像とを重ね合わせて診断が可能となることから、その有用性は大きい。
【0086】
図14は、本発明の上述した第3実施態様に係る生体磁気計測装置103(図4参照)の一実施例である試作機103aにおいて、実際に被験者Sを計測している状態を示す写真である。上述したように第3実施形態に係る生体磁気計測装置103は、図4に示すように、複数の磁気センサ1が保持部30によって保持され、当該保持部30が、被験者Sの正面側に配置される第1保持部分11と、被験者Sの側面側及び第1保持部分11の側面11b側に配置される第2保持部分13と、被験者の背面側に配置される第3保持部分14とから構成されているが、通常、被験者Sの心臓が左側にあることから、図14に示す試作機103aでは、被験者Sの前面、背面、左側面の計測範囲に欠陥が生じないように第2保持部分13は被験者Sの左側に位置するように配置されている。
【0087】
なお、この試作機103aの構成の変更態様として、被験者Sの全体を囲むように右側にも第4保持部分(図4に示す第2保持部分13を左右対称にしたもの等)を設けることも可能である。
【0088】
また図15は同試作機103aの第2保持部分13と被験者Sの背面側に配置される第3保持部分14とが離合した状態を示す写真である。この試作機103aにおいては、図4に示す保持部30のうち、被験者Sの正面側に配置される第1保持部分11と、被験者Sの側面側及び第1保持部分11の側面側に配置される第2保持部分13とが、水平方向断面視にて略L字型を有して一体成形されており(以下、この部材を「L字型保持部」と称する場合がある。)、一方、被験者Sの背面側に配置される第3保持部分14は、前記L字型保持部とは、別体的に形成された水平方向断面視にて略I字型を有している部材とされている(以下、この部材を「I字型保持部」と称する場合がある。)。
【0089】
そして、図14図15の写真に表されるように、前記I字型保持部は、当該L字型保持部の側面である第2保持部分13に、第3保持部分14を開閉可能にするための開閉機構の一例である多節(三節)アーム19を介して接続されており、前記L字型保持部とI字型保持部との相互の垂直面が同一高さに保持される一方で、前記L字型保持部の側面である第2保持部分13に対し、前記I字型保持部が水平方向で回動自在に離合ないし係合でき、かつ前記L字型保持部に対し前記I字型保持部が係合状態において、前記L字型保持部の前面である第1保持部分11に対し前記I字型保持部の第3保持部分14(背面を構成する)が平行を保ちつつ近接ないし遠隔自在に移動できるように構成されている。
【0090】
なお、前記I字型保持部の左側(前記L字型保持部の側面である第2保持部分13に係合する側)には、その上下端において水平方向にわずかに突出する一対のフランジ14aが設けられており、前記L字型保持部の側面の上下端面に設けられたガイド13bに嵌合して移動可能な構成とされている。
【0091】
従って、ガイド13bとフランジ14aとが移動機構を構成し、前記I字型保持部と前記L字型保持部とが係合した状態(図14参照)にあって、前記I字型保持部の第3保持部分14(背面に相当する)が、前記L字型保持部の側面である第2保持部分13に直角、すなわちその前面である第1保持部分11に平行な状態を保ちつつ、前面に向かって容易に移動することができるようになっている。
【0092】
このためこの試作機103aでは、前記L字型保持部とI字型保持部とを離合させた状態とすれば、被験者Sが前記L字型保持部の測定領域から出入りし易いものとなり、一方、被験者Sが計測の所定位置に位置した後に、前記L字型保持部とI字型保持部とを係合させ、さらに前記I字型保持部の第3保持部分14(背面に相当する)を、前記L字型保持部のその前面である第1保持部分11に向けて移動させることによって水平方向の位置を調整し、被験者Sの胸部の厚みに応じて測定に適した位置に前記I字型保持部を配置することができる。
【0093】
なお、上記した前記L字型保持部と前記I字型保持部との間の離合ないし係合のための開閉機構としては、図14図15の写真に示されるような多節(三節)アーム19に何ら限定されるものではなく、例えば、二節ないしはより多節の多節アーム、水平前後方向のみに拡縮する単純な軌条機構、多自由度の球面間接アーム等のその他の機構を用いることも可能である。
【0094】
また、上記したガイド13b及びフランジ14aとしても、このような移動機構に何ら限定されるものではなく、例えば、ガイド溝、レール等といった直線方向に動きを規制する機構を、前記L字型保持部とI字型保持部との係合部位に設けてもよい。
【0095】
また、第3保持部分14を第1保持部分11に対して開閉可能とし、第2保持部分13に向けて移動可能にすることもできる。なお、この試作機103aでは、前記I字型保持部の裏面に、図14に示すように、取っ手14bが取り付けられており、上記したような前記L字型保持部と前記I字型保持部との間の離合ないし係合の操作を行い易いものとしている。
【0096】
さらに図16は、本発明に係る生体磁気計測装置の同試作機103aの垂直方向における前記L字型保持部の接続機構を示す写真である。同試作機103aは、図14に示されるように、被験者Sを座位状態で計測するものであるが(もちろん立位状態でも計測することができる)、被験者Sの座高差に応じて適当な胸の位置に前記L字型保持部を配置できるように、前記L字型保持部は、試作機103aの支持脚21(図14において被験者Sの左側方に位置する)に対して、上下方向に遷移自在な接続機構を介して保持されている。
【0097】
この接続機構は、外ねじを有する棒状体を垂直方向に立設し、当該棒状体の上端に取り付けられた回転ハンドル22によって旋回自在に把持する前記支持脚21側に固定された第1部材と、内ねじを有する係合穴を半球状の突起部の中央部に有し、この突起部と垂直な接合面で前記L字型保持部の側面に固定された第2部材とを有し、第2部材の係合穴を第1部材の棒状体に螺合してなる構造を有するものであって、前記回転ハンドル22を回転させることによって垂直方向の位置を調整し、所定の高さ範囲内において、前記L字型保持部の位置を自在に変位させることが可能とされている。
【0098】
なお、前記L字型保持部の上下位置を変位させる接続機構としては、上記したような構造に何ら限定されるものではなく、例えば、垂直に配されたロッドに対して自在に変位するスライダーとロックからなる構造や、ギヤやチェーン駆動等を組み合わせた構造等を用いることも可能である。
【0099】
この試作機103aにおいては、上記したように、水平方向、垂直方向に位置調整をすることが可能な機構を有していることから、あらゆる体型の被験者Sに対しても、その個々の体型(心磁取得の場合には心臓の位置)に合わせた計測が可能となっている。
【符号の説明】
【0100】
1 磁気センサ
2 制御部
3 保持枠
4 保持孔
5 配線
6 レール
7 保持孔
8 固定部
9 ヒンジ
10、20、30、40、50、60 保持部
11、15、18 第1保持部分
12、13、16、17 第2保持部分
14 第3保持部分
19 多節(三節)アーム
41 SQUIDセンサ
101、102、103、104、105 生体磁気計測装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】