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再表2019-93121ペースト組成物、半導体装置及び電気・電子部品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年5月16日
【発行日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】ペースト組成物、半導体装置及び電気・電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/22 20060101AFI20201127BHJP
   C09J 9/02 20060101ALI20201127BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20201127BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20201127BHJP
   B22F 1/02 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   H01B1/22 A
   C09J9/02
   C09J11/06
   B22F1/00 L
   B22F1/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
【出願番号】特願2019-552699(P2019-552699)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年10月23日
(31)【優先権主張番号】特願2017-218316(P2017-218316)
(32)【優先日】2017年11月13日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 正和
(72)【発明者】
【氏名】似内 勇哉
【テーマコード(参考)】
4J040
4K018
5G301
【Fターム(参考)】
4J040HA066
4J040KA03
4J040KA23
4J040KA32
4J040LA09
4J040NA20
4K018BA02
4K018BB01
4K018BB04
4K018BB05
4K018BC29
4K018BD04
4K018KA33
5G301DA06
5G301DA42
5G301DD01
5G301DD02
5G301DE01
(57)【要約】
低温焼成での導電性の発現が可能で、粒子自体の酸化が低減され、かつ、高収率で製造できる銅微粒子を用いたペースト組成物を提供する。(A)厚さ又は短径が10から500nmであり、化学式(1)に示すアミノアルコールによって被覆されている銅微粒子と、(B)有機溶剤と、を含むペースト組成物。
【化1】

(式中、Rは、互いに独立して同一又は異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシ基又はメトキシ基を表し、n及びmは0〜10の整数を表し、m+nは10以下である。)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)厚さ又は短径が10から500nmであり、下記化学式(1)で表されるアミノアルコールによって被覆されている銅微粒子と、(B)有機溶剤と、を含み、
前記(A)銅微粒子を100質量部としたとき、前記(B)有機溶剤が2〜20質量部、配合されていることを特徴とするペースト組成物。
【化1】
(式中、Rは、同一又は異なっていてもよく、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシ基又はメトキシ基を表し、n及びmはそれぞれ0〜10の整数を表し、m+nは10以下である。)
【請求項2】
前記(A)銅微粒子が、多面体形状又はプレート形状であることを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
【請求項3】
下記式(I)により算出した、前記(A)銅微粒子の酸化度が3%未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載のペースト組成物。
【数1】
(式中、[Cu]は前記銅微粒子中の銅の含有量(質量%)、[CuO]は前記銅微粒子中の酸化銅(II)の含有量、[CuO]は前記銅微粒子中の酸化銅(I)の含有量(質量%)、を表す。)
【請求項4】
前記(B)有機溶剤が、還元剤として機能するアルコール(ヒドロキシ化合物)であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のペースト組成物。
【請求項5】
さらに(C)カルボン酸を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のペースト組成物。
【請求項6】
基板と、
前記基板上に、請求項1乃至5のいずれか1項記載のペースト組成物をを含むダイアタッチ材料の硬化物を介して接着された半導体素子と、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
前記半導体素子が、発光素子であることを特徴とする請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
発熱部品と、
前記発熱部品に、請求項1乃至5のいずれか1項記載のペースト組成物を含む放熱部材接着用材料の硬化物を介して接着された放熱部材と、を有することを特徴とする電気・電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペースト組成物、並びに該ペースト組成物を用いた半導体装置及び電気・電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製品の大容量、高速処理化及び微細配線化に伴い半導体製品作動中に発生する熱の影響が顕著になってきている。このため、半導体製品から熱を逃がす、いわゆるサーマルマネージメントが注目されてきている。そこで、半導体製品にヒートスプレッダー、またはヒートシンクなどの放熱部材を取り付ける方法などが一般的に採用されており、放熱部材を接着する材料自体の熱伝導率はより高いものが望まれてきている。
【0003】
また、半導体製品の形態によっては、半導体素子そのもの、または半導体素子を接着したリードフレームのダイパッド部にヒートスプレッダーを接着する方法が採用されている。さらに、ダイパッド部をパッケージ表面に露出させることにより放熱板としての機能を持たせる方法(例えば、特許文献1参照)も採用されている。
【0004】
また、半導体製品は半導体素子をサーマルビアなどの放熱機構を有する有機基板などに接着する場合もある。この場合も半導体素子を接着する材料に高熱伝導性が要求される。
また、近年の白色発光LEDの高輝度化により、フルカラー液晶画面のバックライト照明、シーリングライト、またはダウンライト等の照明装置にも広く用いられるようになっている。ところで、白色発光LEDの高輝度化は、発光素子チップの発熱量の増大を招く。これに伴いLEDの構造及びそれに使用する部材にも放熱性の向上が求められている。
【0005】
特に、近年、電力損失の少ない炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウムのようなワイドバンドギャップ半導体を使用するパワー半導体装置の開発が盛んとなり、素子自身の耐熱性が高くなり、大電流による250℃以上の高温動作が可能となっている。しかし、その特性を発揮するためには、動作時の発熱を効率的に放熱する必要があり、導電性及び伝熱性に加え、長期高温耐熱性に優れた接合材料が求められている。
【0006】
このように半導体装置及び電気・電子部品の各部材の接合に用いられる材料(ダイアタッチペースト、または放熱部材接合用材料等)には高い熱伝導性が要求されている。また、これらの材料は、同時に製品の基板搭載時のリフロー処理に耐える必要もあり、さらには大面積の接着が要求される場合も多く、構成部材間の熱膨張係数の違いによる反りなどの発生を低減するための低応力性も併せ持つ必要がある。
【0007】
ここで、通常、高熱伝導性を有する接着剤を得るには、銀粉、銅粉などの金属フィラー、または窒化アルミニウム、窒化ボロンなどのセラミック系フィラーなどを充填剤として有機系のバインダーに高い含有率で分散させる必要がある(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
ところが、昨今、そうした要求に耐えうる接合方法の候補として、バルク体の銀よりも低温の条件下で接合を可能とする、銀ナノ粒子による接合方法が着目されるようになってきた(例えば、特許文献3参照)。
現在、銀粒子と比較して安価で、マイグレーション耐性のある銅粒子に注目が集まっている。
【0009】
さらに、このような状況のなか、ナノサイズの金属微粒子が導電性材料として期待され、その検討が進められている。具体的には、より小さいナノサイズの銅微粒子を提供する手段が検討されている。例えば、銅微粒子の製造方法として、シュウ酸銅ヒドラジン錯体を熱分解し、銅微粉末を製造する方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−086273号公報
【特許文献2】特開2005−113059号公報
【特許文献3】特開2011−240406号公報
【特許文献4】特許第5858374号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示のペースト組成物は、(A)厚さ又は短径が10から500nmであり、下記化学式(1)で表されるアミノアルコールによって被覆されている銅微粒子と、(B)有機溶剤と、を含み、前記(A)銅微粒子を100質量部としたとき、前記(B)有機溶剤が2〜20質量部、配合されている。
【化1】
(式中、Rは、同一又は異なっていてもよく、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシ基又はメトキシ基を表し、n及びmはそれぞれ0〜10の整数を表し、m+nは10以下である。)
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】参考例1で得られた銅微粒子の電子顕微鏡写真である。
図2】参考例2で得られた銅微粒子の電子顕微鏡写真である。
図3】参考例3で得られた銅微粒子の電子顕微鏡写真である。
図4】参考例4で得られた銅微粒子の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示についての説明である。
<ペースト組成物>
本実施形態のペースト組成物は、(A)厚さ又は短径が10から500nmであり、所定の構造のアミノアルコールによって被覆されている銅微粒子と、(B)有機溶剤と、を含む。
【0014】
[(A)銅微粒子]
本実施形態において、(A)銅微粒子は、厚さ又は短径が10から500nmであり、化学式(1)で表されるアミノアルコールによって被覆されたものである。このような銅微粒子は、例えば、以下のようにして製造することができる。なお、本明細書において被覆とは、銅微粒子の表面の全部又は一部に上記アミノアルコールが付着していることを意味する。
【0015】
((A)銅微粒子の製造方法)
本実施形態に使用する銅微粒子は、含銅化合物と、アミノアルコールと、還元性化合物と、を有機溶剤中で混合し、該混合により得られた混合物を含銅化合物が熱分解する温度にまで加熱して、銅微粒子を製造することで得られる。
この製造方法により得られる銅微粒子は、アミノアルコールによって表面が被覆されたものとなり、このアミノアルコールが表面を被覆することで、酸化が低減され、所定の特性・性状を有する銅微粒子が得られる。
【0016】
以下は本実施形態の銅微粒子の製造に使用する原料についての説明である。
【0017】
〈含銅化合物〉
ここで用いる含銅化合物は、金属銅を析出させ銅微粒子とするための材料である。含銅化合物は、加熱により分解して銅イオンを放出する。この銅イオンが還元されて金属銅となる含銅化合物でもよい。また、この含銅化合物は、加熱により分解して銅イオンと含銅化合物由来の有機物イオンとを放出するものであってもよい。
【0018】
このような含銅化合物としては、例えば、ギ酸、シュウ酸、マロン酸、安息香酸、またはフタル酸などのカルボン酸と銅が化合したカルボン酸銅が挙げられる。さらに、含銅化合物としては、亜酸化銅、硝酸銅、硫酸銅等も挙げられる。
【0019】
〈アミノアルコール〉
ここで用いるアミノアルコールは、下記化学式(1)であらわされるアミノ基を有するアルコールである。
【化2】
(式中、Rは、同一又は異なっていてもよく、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシ基又はメトキシ基を表し、n及びmはそれぞれ0〜10の整数を表し、m+nは10以下である。)
【0020】
具体的には、アミノエタノール、ヘプタミノール、プロパノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノジブタノール、2−ジエチルアミノエタノール、3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール、3−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール、3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール等が挙げられる。これらは焼結性の観点から沸点が70〜300℃でもよい。また、作業性の観点から、アミノアルコールは常温で液体でもよい。
【0021】
〈還元性化合物〉
ここで用いる還元性化合物は、含銅化合物の分解により生じた銅イオンを還元し、金属銅を遊離させる還元力を有するものであれば、特に限定されない。さらに、還元性化合物は、その沸点が70℃以上でもよい。還元性化合物の沸点は、加熱工程における加熱温度以上であってもよい。さらに、還元性化合物は、炭素、水素及び酸素から構成される後述する(B)有機溶剤に溶解する化合物でもよい。
【0022】
このような還元性化合物としては、典型的には、ヒドラジン誘導体が挙げられる。このヒドラジン誘導体としては、例えば、ヒドラジン一水和物、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、n−プロピルヒドラジン、i−プロピルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、i−ブチルヒドラジン、sec−ブチルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、n−ペンチルヒドラジン、i−ペンチルヒドラジン、neo−ペンチルヒドラジン、t−ペンチルヒドラジン、n−ヘキシルヒドラジン、i−ヘキシルヒドラジン、n−ヘプチルヒドラジン、n−オクチルヒドラジン、n−ノニルヒドラジン、n−デシルヒドラジン、n−ウンデシルヒドラジン、n−ドデシルヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、フェニルヒドラジン、4−メチルフェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、2−フェニルエチルヒドラジン、2−ヒドラジノエタノール、アセトヒドラジン等が挙げられる。
【0023】
〈有機溶剤〉
本実施形態において使用する銅微粒子を製造する際には、上記含銅化合物とアミノアルコールと還元性化合物とを、有機溶剤中で混合してもよい。
ここで用いられる有機溶剤は、上記混合して得られる混合物から生成する錯体等の性質を阻害しない反応溶媒として用いることができるものであれば、特に限定されずに使用できる。有機溶剤は、上記した還元性化合物に対して相溶性を示すアルコールでもよい。
【0024】
また、還元性化合物による銅イオンの還元反応は発熱反応であるため、還元反応中に揮発しない有機溶剤でもよい。
有機溶剤が揮発してしまうと、含銅化合物−アミン化合物錯体の分解による銅イオンの生成及び生成した銅イオンの還元による金属銅の析出を制御しにくくなり、形状の安定性が低減するおそれがある。したがって、有機溶剤はその沸点が70℃以上であり、炭素、水素及び酸素から構成されてもよい。有機溶剤の沸点が70℃以上であると、含銅化合物−アルコールアミン化合物錯体の分解による銅イオンの生成、及び生成した銅イオンの還元による金属銅の析出の制御が容易となり、銅微粒子の形状が安定する。
【0025】
有機溶剤として用いられる上記アルコールとしては、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ブチルセロソルブなどが挙げられる。
なお、この有機溶剤には、上記したアミノアルコール、還元性化合物は含まれない。
【0026】
〈その他のアミン化合物〉
本実施形態において使用する銅微粒子を製造する際には、さらにその他のアミン化合物を添加してもよい。
その他のアミン化合物としては、以下のアルキルアミン、アルコキシアミンから選ばれる少なくとも1種を含む化合物が挙げられる。このアミン化合物は、含銅化合物と錯体を形成するものであれば特に限定されない。
【0027】
これらアミン化合物は、使用する含銅化合物の熱分解の条件、製造される銅微粒子に期待される特性等に応じて、適宜選択して用いることができる。
これらアミン化合物は、含銅化合物を熱分解することで得られる銅微粒子の表面に付着し、銅微粒子の酸化を低減する機能を有する。
【0028】
このように金属銅の成長方向が制御されると、多角形状又はプレート形状という特異的な形状の銅微粒子を得ることができる。
【0029】
アルキルアミンは、アミノ基にアルキル基等の脂肪族炭化水素基が結合したアミン化合物であれば、特にその構造に制限がない。例えば、アミノ基を1個有するアルキルモノアミン、またはアミノ基を2個有するアルキルジアミンが挙げられる。なお、上記アルキル基はさらに置換基を有していてもよい。
【0030】
具体的には、アルキルモノアミンとしては、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ドデシルアミン、オレイルアミン等、が挙げられる。アルキルジアミンとしては、エチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N´−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N´−ジエチルエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N´−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、N,N´−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン等、が挙げられる。
なお、アルキルアミンには、以下に説明するアルコキシアミンは含まない。
【0031】
アルコキシアミンとしては、アルコキシル基を有するアミン化合物であれば、特にその構造に制限がなく、例えば、アミノ基を1個有するアルコキシモノアミン、またはアミノ基を2個有するアルコキシジアミンが挙げられる。具体的には、アルコキシモノアミンとしては、メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−ブトキシプロピルアミン等が、アルコキシジアミンとしては、N−メトキシ−1,3−プロパンジアミン、N−メトキシ−1,4−ブタンジアミン等が挙げられる。なお還元され生成した銅に対する配位力を考慮し、アルコキシアミンは、一級アミン(RONH)又は二級アミン(R(RO)NH)等のアルコキシモノアミンでもよい。
【0032】
ここで、上記アルキルアミン及びアルコキシアミンで記載している一級アミンの置換基Rはアルキル基を表し、炭素数4〜18のアルキル基であってもよい。また、二級アミンの置換基R及びRは、アルキル基を表し、共に炭素数4〜18のアルキル基であってもよい。置換基R及びRは、同一であっても異なっていてもよい。さらに、これらのアルキル基には、シリル基、グリシジル基等の置換基を有していてもよい。
【0033】
このアミン化合物の沸点は、70℃以上200℃以下でもよく、120℃以上200℃以下でもよい。アミン化合物の沸点が70℃以上であれば、加熱工程でのアミンの揮発が低減される。アミン化合物の沸点が200℃以下であれば、アミン化合物が銅微粒子の焼結時に揮発して系外に除去されるため、低温焼結性が良好となる。
【0034】
上記説明した含銅化合物、アミノアルコール、還元性化合物、さらに必要に応じて添加される有機溶剤、アミン化合物を用いて、以下のように銅微粒子を製造することができる。
【0035】
〈混合物の形成〉
まず、本開示の銅微粒子の製造方法は、反応容器中に有機溶剤を収容し、該有機溶剤中において、上記説明した、含銅化合物、アミノアルコール、還元性化合物及び必要に応じて有機溶剤、アミン化合物を混合する。この混合の順番は、上記化合物をどのような順番で混合しても構わない。
この混合は、所定の時間間隔をもって反応溶液に含銅化合物と還元性化合物を複数回投入してもよい。このようにして、含銅化合物とアミノアルコール類とを複数回にわたって反応させることで、所望の形状または粒径の銅微粒子を生成することができる。
【0036】
混合物の形成は、先に含銅化合物とアミノアルコールを混合して、0〜50℃で5〜30分程度混合しておき、その後、還元性化合物を添加、混合してもよい。このようにすることで、混合物は含銅化合物とアミノアルコールの錯体が効率的に形成される。
【0037】
この混合にあたって、各化合物の使用量は、含銅化合物1molに対し、アミノアルコールを0.5〜10mol、還元性化合物を0.5〜5mol、でもよい。有機溶剤の使用量は各成分が十分に反応を行うことができる量であればよく、例えば、50〜2000mL程度でもよい。
【0038】
〈混合物の加熱〉
次の工程では、上記で形成して得られた混合物を十分に加熱して含銅化合物の熱分解反応を進行させる。この加熱により、錯体を形成している含銅化合物は含銅化合物由来の有機物イオンと銅イオンとに分解される。分解された銅イオンは還元性化合物により還元され、金属銅が析出、成長して銅微粒子となる。
【0039】
そして、このとき金属銅が析出すると同時に生成する含銅化合物由来の有機物イオンは、析出した金属銅の特定の結晶面に配位する傾向がある。
これにより、生成する銅微粒子の成長方向が制御でき、多面体形状又はプレート形状の銅微粒子を効率的に得ることも可能である。
また、後述するアミン化合物は、銅微粒子の表面に付着し、成長を制御することで粒子が粗大化するのを防ぐ作用を有している。
【0040】
この混合物の加熱温度は、含銅化合物が熱分解及び還元され、多面体形状又はプレート形状の銅微粒子が生成できる温度である。例えば、加熱温度は、70℃〜150℃であればよく、80〜120℃でもよい。また、加熱温度は原料成分及び有機溶剤の沸点よりも低いことがよい。加熱温度が上記範囲にあると、銅微粒子を効率的に生成できるとともに、アミン化合物の揮発が低減される。
【0041】
加熱温度が70℃以上であれば、含銅化合物の定量的な熱分解が進行する。また、加熱温度が150℃以下であればアミンの揮発量は低減し、安定して熱分解が進行する。
【0042】
析出した銅微粒子は、遠心分離等により有機溶剤等と分離する。析出した銅微粒子は、その固形物を減圧乾燥してもよい。このような操作によって、本実施形態の銅微粒子を得ることができる。
【0043】
〈銅微粒子の形状、サイズ〉
本実施形態の銅微粒子は、上記したように含銅化合物と還元剤から形成された錯体がアミノアルコール中で熱分解されて生成した銅原子に、アミノアルコールが配位結合を形成した状態となる。これらの銅原子が凝集することで、アミノアルコール、および含銅化合物由来の有機物イオン種に被覆された銅微粒子が形成されると推察している。
従って、使用する含銅化合物、アミノアルコール、還元剤の種類、反応温度を適宜選択することによって任意の銅微粒子の形状、及びサイズを得ることができる。
【0044】
さらに含銅化合物とアミノアルコールと還元剤の混合物中に、その他のアミン化合物を添加することによって、上記熱分解によって生成した銅微粒子の表面にアミン化合物が付着することで、酸化が低減され金属銅の成長方向が制御される。
このように金属銅の成長方向が制御されると、多面体形状又はプレート形状という特異的な形状の銅微粒子を得ることができる。
【0045】
本実施形態において、プレート形状とは、均一な厚みを有し、厚み方向に垂直な方向の長辺が厚みの3倍以上の粒子をいう。多面体形状とは上記プレート形状と類似するが、その厚み方向に垂直な方向の長辺が厚みの3倍未満の粒子をいう。
【0046】
上記の銅微粒子の製造方法により得られた銅微粒子は、低温焼成が可能である。これを用いた導電性ペーストは、焼成時に還元雰囲気を必要としない。そのため、本実施形態の銅微粒子は、低温で焼成しても低抵抗化が可能である。また、ボイド原因となりうるアウトガスの排出量が少ないことから、微細な焼結膜が得られる。
【0047】
上記した銅微粒子の製造方法によれば、大気中で低温焼成が可能な銅微粒子を、簡便な操作により、効率よく製造できる。
【0048】
なお、得られた銅微粒子の形状は、走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JSM−7600F;SEM)で観察することにより確認できる。また、本明細書における上記銅微粒子の大きさ(厚さ、短径及び長径)は、それぞれ同SEMの観察画像に基づく任意に選択した10個の銅微粒子(n=10)の平均値として算出する。なお、平均値は算術平均値であり、その算出にあたっては10個以上の銅微粒子としてもよい。
【0049】
なお、上記銅微粒子について、銅全体に対する酸化銅の割合が多い程、銅微粒子表面の活性が低く、焼結しにくくなる。この酸化銅の割合は、次に示す式(I)で求められる酸化度で表すことができる。酸化度は小さいほどよく、3%未満であってもよい。3%未満であると焼結性が良好で、抵抗の低いペースト組成物が得られる。
【0050】
【数1】
式中、[Cu]は銅微粒子中の銅(Cu)の含有量(質量%)、[CuO]は銅微粒子中の酸化銅(II)の含有量(質量%)、[CuO]は銅微粒子中の酸化銅(I)の含有量(質量%)、を表す。
【0051】
なお、この酸化度は、X線回折(XRD)を用いて測定した各成分の含有量から算出できる。各成分の含有量は、XRDにより得られる、上記Cu、CuO、CuOの各成分の最強線ピークの積分強度比からRIR(参照強度比)法により定量を行って得ることができる。
【0052】
本実施形態のペースト組成物は、上記製造方法により得られた、(A)厚さ又は短径が10から500nmであり、炭素数3から10のアミノアルコールによって被覆された銅微粒子を用いる。
【0053】
本実施形態の(B)有機溶剤としては、公知の有機溶剤を用いることができる。この(B)有機溶剤としては、還元剤として機能するアルコール(ヒドロキシ化合物)が挙げられる。このような(B)有機溶剤はペースト硬化(焼結)時の熱処理により、高温となることで還元力を増大させる。このため、ペースト組成物は、緻密な焼結構造が得られるため、導電性が高く、且つリードフレーム、等の基板との密着性の高いものとなる。
このメカニズムは以下の様に推定している。
接合箇所は、半導体素子と基板に挟まれているため、焼結時の加熱により有機溶剤が一部還流状態となる。このため、有機溶剤は、直ちに揮発することなく、暫時接合箇所に留まる。このとき、ペースト組成物の銅粒子中に一部存在している酸化銅、及び接合する基板表面に存在する酸化金属(例えば、酸化銅)は、有機溶剤(例えば、還元剤として機能するアルコール)によって金属(例えば、銅)に還元される。その後、銅粒子は、還元された金属(例えば、銅)と焼結が進行する。これにより、接合箇所のペースト組成物は、導電性が高く、且つ基板との密着性の高い金属結合を形成する。
【0054】
この(B)有機溶剤の沸点は、具体的には、100〜300℃であればよく、150〜290℃でもよい。沸点が100℃以上であると、分散媒の揮発による還元能力の低下が生じることなく、安定した接着強度を得ることができる。また、沸点が300℃以下であると、膜中に溶剤が揮発せずに残存することなく、良好な焼結性が得られる。
【0055】
(B)有機溶剤としては、具体的には、例えば、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ブチルセロソルブなどを挙げることができる。これらの溶剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
さらに本実施形態のペースト組成物は、用途に応じて、上記以外の有機溶剤を加えてもよい。
(B)有機溶剤の配合量は、(A)銅微粒子を100質量部としたとき、2〜20質量部であればよく、5〜15質量部でもよい。この範囲にあることで作業性の良好なペースト組成物とすることができる。
【0056】
さらに本実施形態のペースト組成物は、用途に応じて、(C)カルボン酸、および、エポキシ化合物、フェノール化合物、アクリル化合物、マレイミド化合物などの(D)熱硬化性樹脂を混合してもよい。さらに本実施形態のペースト組成物は、必要に応じて硬化剤、硬化促進剤、分散剤、Cu、Ag、Al、Niなどの金属粉、シリカ、アルミナなどの金属酸化物粉を混合してもよい。
【0057】
(C)カルボン酸としては、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、及びこれらカルボン酸の無水物のいずれであってもよい。カルボン酸を加えることにより、銅微粒子の分散性、低温焼結性が向上し、安定した接着強度を得ることができる。
本実施形態のペースト組成物は、カルボン酸を配合することにより、接合基材の酸化被膜を除去するだけでなく、接合加熱時の配位子(保護基)交換反応による(A)銅微粒子の被覆層、及びそれに含まれる酸化被膜、酸化銅を除去する。同時に、接合加熱時にカルボン酸が分解もしくは蒸散するため、その後の銅同士の焼結進行の障害とはならない。このことにより本実施形態のペースト組成物は、添加前よりも低温で銅同士の焼結が促進される。
【0058】
(C)カルボン酸の分解温度は100〜300℃であってもよく、150〜290℃であってもよい。(C)カルボン酸の分解温度がこの範囲にあると、接合基材の酸化被膜の除去に有効である。(C)カルボン酸の分解温度が100℃以上であると、カルボン酸の還元作用により焼結性が良好となり、微細な焼結膜が得られる。また、(C)カルボン酸の分解温度が300℃以下であると焼結後に分散媒が接合部材中に残留することはない。
【0059】
脂肪族カルボン酸としては、例えば、マロン酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、アリルマロン酸、2,2’−チオジ酢酸、3,3’−チオジプロピオン酸、2,2’−(エチレンジチオ)ジ酢酸、3,3’-ジチオジプロピオン酸、2-エチル
−2−ヒドロキシ酪酸、ジチオジグリコール酸、ジグリコール酸、アセチレンジカルボン酸、マレイン酸、リンゴ酸、2-イソプロピルリンゴ酸、酒石酸、イタコン酸、1,3−
アセトンジカルボン酸、トリカルバリン酸、ムコン酸、β−ヒドロムコン酸、コハク酸、メチルコハク酸、ジメチルコハク酸、グルタル酸、α−ケトグルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタ
ル酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、クエン酸、アジピン酸、3−tert−ブチルアジピン酸、ピメリン酸、フェニルシュウ酸、フェニル酢酸、ニトロフェニル酢酸、フェノキシ酢酸、ニトロフェノキシ酢酸、フェニルチオ酢酸、ヒドロキシフェニル酢酸、ジヒドロキシフェニル酢酸、マンデル酸、ヒドロキシマンデル酸、ジヒドロキシマンデル酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、スベリン酸、4,4’−ジチオジ酪酸、桂皮酸、ニトロ桂皮酸、ヒドロキシ桂皮酸、ジヒドロキシ桂皮酸、クマリン酸、フェニルピルビン酸、ヒドロキシフェニルピルビン酸、カフェ酸、ホモフタル酸、トリル酢酸、フェノキシプロピオン酸、ヒドロキシフェニルプロピオン酸、ベンジルオキシ酢酸、フェニル乳酸、トロパ酸、3−(フェニルスルホニル)プロピオン酸、3,3−テトラメチレングルタル酸、5-オキソアゼライン酸、アゼライン酸、フェニルコハク酸、1
,2−フェニレンジ酢酸、1,3−フェニレンジ酢酸、1,4−フェニレンジ酢酸、ベンジルマロン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ウンデカン二酸、ジフェニル酢酸、ベンジル酸、ジシクロヘキシル酢酸、テトラデカン二酸、2,2−ジフェニルプロピオン酸、3,3−ジフェニルプロピオン酸、4,4-ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、ピマール酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、アガト酸などが挙げられる。
【0060】
芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、2−[ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル]安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、1,4−ジヒドロキシ−2
−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,7−ジヒドロキシ−2-ナフトエ酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2−フェ
ノキシ安息香酸、ビフェニル−4−カルボン酸、ビフェニル−2−カルボン酸、2−ベンゾイル安息香酸などが挙げられる。
【0061】
これらの中でも、保存安定性または入手容易さの観点から、コハク酸、リンゴ酸、イタコン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、アジピン酸、3,3’−チオジプロピオン酸、3,3’−ジチオジプロピオン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、スベリン酸、セバシン酸、フェニルコハク酸、ドデカン二酸、ジフェニル酢酸、ベンジル酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、アビエチン酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、2−[ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル]安息香酸、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、イソ酪酸無水物、吉草酸無水物、トリメチル酢酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物、デカン酸無水物、ラウリン酸無水物、ミリスチン酸無水物、パルミチン酸無水物、ステアリン酸無水物、ドコサン酸無水物、クロトン酸無水物、メタクリル酸無水物、オレイン酸無水物、リノール酸無水物、クロロ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、ジクロロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、クロロジフルオロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロ酪酸無水物、無水コハク酸、メチルコハク酸無水物、2,2−ジメチルコハク酸無水物、イタコン酸無水物、無水マレイン酸、グルタル酸無水物、ジグリコール酸無水物、安息香酸無水物、フェニルコハク酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、ホモフタル酸無水物、イサト酸無水物、無水フタル酸、テトラフルオロフタル酸無水物、テトラブロモフタル酸無水物、などが挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
(C)カルボン酸は、無水カルボン酸でもよい。特に、カルボン酸無水物は銅微粒子表面への配位能が高いため、銅微粒子表面の保護基と置換し、銅微粒子表面にカルボン酸無水物が配位する。カルボン酸無水物が表面に配位した銅微粒子は良好な分散性を示すとともに、カルボン酸無水物が揮発性に優れていることから、良好な低温焼結性を発現する。
【0063】
(C)カルボン酸の含有量は、(A)成分100質量部に対して0〜5質量部であり、0.01〜5質量部でもよい。この含有量が5質量部以下であると、ボイド発生のない、信頼性の良好なペースト組成物が得られる。
【0064】
(D)熱硬化性樹脂としては、一般に接着剤用途として使用される熱硬化性樹脂であれば特に限定されずに使用できる。熱硬化性樹脂は、液状樹脂でもよく、室温(25℃)で液状である樹脂が使用できる。この(D)熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ラジカル重合性のアクリル樹脂、マレイミド樹脂などが挙げられる。本実施形態のペースト組成物は、(D)熱硬化性樹脂を含むことで、適度な粘度を有する接着材料となる。また、本実施形態のペースト組成物は、(D)熱硬化性樹脂を含むことで、その硬化時の反応熱によって樹脂組成物の温度が上昇し、銅微粒子の焼結性を促進させる。
【0065】
ここで、(D)熱硬化性樹脂の配合量は、上記(A)銅微粒子100質量部に対して、0〜10質量部であり、1〜10質量部でもよい。
(D)成分の配合量が10質量部以下であると、得られたペースト組成物は良好な熱伝導性を発現し、熱放散性に優れる。
さらに、得られたペースト組成物は光及び熱の影響による劣化が少ないため、高寿命の発光装置の接合材料に使用できる。
【0066】
本実施形態のペースト組成物は、上記説明したように、(A)厚さ又は短径が10から500nmであり、化学式(1)で表わされるアミノアルコールによって被覆された銅微粒子と、(B)有機溶剤と、を含む。
また、本実施形態のペースト組成物の製造方法は、必要に応じて添加される(C)カルボン酸、(D)熱硬化性樹脂、その他の成分と、を混合した後、さらにディスパース、ニーダー、3本ロールミル、プラネタリーミキサー等により混練処理を行う。
次いで、得られた樹脂組成物は脱泡することにより、ペースト組成物が得られる。
なお、本明細書において、ペースト組成物には、スラリー、インク等の粘度の低いものも包含される。本実施形態のペースト組成物の粘度は、例えば、40〜300Pa・sであり、60〜200Pa・sであってもよい。
【0067】
[半導体装置及び電気・電子部品]
本実施形態の半導体装置は、上記したペースト組成物を用いて、半導体素子を素子支持部材となる基板上に接着してなるものである。すなわち、ここでペースト組成物はダイアタッチペーストとして使用される。
【0068】
ここで用いられる半導体素子は、公知の半導体素子であればよく、例えば、トランジスタ、ダイオード等が挙げられる。さらに、この半導体素子としては、LED等の発光素子も含まれる。また、発光素子の種類は特に制限されるものではなく、例えば、MOCVD法等によって基板上にInN、AIN、GaN、InGaN、AIGaN、InGaAIN等の窒化物半導体を発光層として形成させたものも挙げられる。
【0069】
また、素子支持部材は、銅、銀メッキ銅、PPF(プリプレーティングリードフレーム)、ガラスエポキシ、セラミックス等の材料で形成された支持部材が挙げられる。
【0070】
本実施形態のペースト組成物を用いた半導体装置は、電気抵抗値が十分小さく、経時変化が少ないため、長時間の駆動でも出力の経時的減少が少なく長寿命であるという利点がある。
【0071】
また、本実施形態の電気・電子部品は、上記したペースト組成物を介して、発熱部材と放熱部材とを接着してなるものである。すなわち、ここでペースト組成物は放熱部材接着用材料として使用される。
【0072】
ここで、発熱部材としては、上記した半導体素子又は該半導体素子を有する部材でもよいし、それ以外の発熱部材でもよい。半導体素子以外の発熱部材としては、光ピックアップ、パワートランジスタ等が挙げられる。また、放熱部材としては、ヒートシンク、ヒートスプレッダー等が挙げられる。
【0073】
このように、発熱部材に上記したペースト組成物を用いて放熱部材を接着した電気・電子部品は、発熱部材で発生した熱を放熱部材により効率良く外部へ放出することが可能となり、発熱部材の温度上昇を抑えることができる。なお、発熱部材と放熱部材とは、ペースト組成物を介して直接接着してもよいし、他の熱伝導率の高い部材を間に挟んで間接的に接着してもよい。
【0074】
[導電パターンを有する基板]
この導電パターンを有する基板として使用される基板は、特に制限されない。例えば、有機基板、セラミック基板、ガラス基板などを使用することができる。なかでも、フレキシビリティの観点から、使用される基板はポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、またはポリエチレンナフタレート(PEN)製のフィルムであってもよい。
【0075】
ここで銅微粒子を含むペースト組成物は導電性配線の形成材料として用いられる。
上記ペースト組成物は、150℃で低抵抗化が可能である。このため、上記ペースト組成物を、配線を形成しようとする基板上に、所望の形状となるよう、直接導電パターンを塗布により描画し、これを加熱して基板上に描画したペースト組成物中の銅微粒子同士を融着させることで、導電パターンを形成することができる。
【0076】
本実施形態のペースト組成物を使用することにより、フォトリソグラフィによるサブトラクティブプロセス、スパッタなどの真空プロセス、またはエッチング、メッキなどのウェットプロセスが適用されている電子回路、電子素子の製造プロセスを、大気圧下の印刷法に置き換えることができる。これにより、電子回路の製造方法は、省資源かつ、生産性が高いものとなる。
【実施例】
【0077】
次に、実施例及び比較例を用いて、本開示をより詳細に説明する。
【0078】
(銅微粒子の製造)
[参考例1]
クエン酸銅(5mmol)とクエン酸(3.75mmol)、ブチルセロソルブ(3ml)を50mLのサンプル瓶に入れ、アルミブロック式加熱撹拌機中、90℃で5分混合した。これに1−アミノ−2−プロパノール(60mmol)を加え、さらに5分加熱し、銅前駆体溶液とした。この溶液を室温まで冷却した後、1−プロパノール 3mLに溶解させたヒドラジノエタノール(20mmol)を、サンプル瓶の銅前駆体溶液に加え、5分撹拌した。
【0079】
再び90℃のアルミブロック式加熱撹拌機で2時間加熱撹拌した。5分後エタノール(関東化学、特級) 2mLを加え、遠心分離(4000rpm(1分間))により、固体物を得た。その遠心分離した固体物を減圧乾燥すると、銅光沢をもつ粉体状の銅微粒子1(収量 0.66g、収率97.2%)が得られた。銅微粒子1は、1−アミノ−2−プロパノールによって、その表面が被覆されていた。
【0080】
[参考例2]
参考例1の1−アミノ−2−プロパノールを4−アミノ−1−ブタノール(30mmol)に置き換え、さらにオクチルアミン(30mmol)を加えた以外は参考例1と同じ基質、および操作によって固体物を得た。その遠心分離した固体物を減圧乾燥すると、銅光沢をもつ粉体状の銅微粒子2(収量 0.62g、収率 94.5%)が得られた。銅微粒子2は、4−アミノ−1−ブタノールによって、その表面が被覆されていた。
【0081】
[参考例3]
亜酸化銅(8.75mmmol)、1−プロパノール(5mL)を50mLのサンプル瓶に入れ、アルミブロック式加熱撹拌機中、90℃で5分混合した。これに4−アミノ−1−ブタノール(30mmol)、オクチルアミン(30mmol)を加え、さらに5分加熱し、銅前駆体溶液とした。この溶液を室温まで冷却した後、1−プロパノール 3mLに溶解させたヒドラジン一水和物(20mmol)を、サンプル瓶の銅前駆体溶液に加え、5分撹拌した。
【0082】
再び90℃のアルミブロック式加熱撹拌機で2時間加熱撹拌した。5分後エタノール(関東化学、特級) 2mLを加え、遠心分離(4000rpm(1分間))により、固体物を得た。その遠心分離した固体物を減圧乾燥すると、銅光沢をもつ粉体状の銅微粒子3(収量 1.0g、収率98.5%)が得られた。銅微粒子3は、4−アミノ−1−ブタノールによって、その表面が被覆されていた。
【0083】
[参考例4]
室温でヒドラジン一水和物(13.2mmol)と反応媒としてのメタノール5mLを予め混合した混合溶液に、シュウ酸銅(3.33mmol)を投入して10分間撹拌し、シュウ酸銅・ヒドラジン錯体(複合化合物)を生成させた。
【0084】
得られたシュウ酸銅・ヒドラジン錯体に対して、オレイルアミン(16.6mmol)を加え、室温で10分間撹拌し、懸濁液とした。撹拌後、混合液の入った容器を150℃のオイルバス中で加熱を行った。加熱に伴い混合液から発泡を生じて赤化し、その後1時間加熱撹拌することで銅光沢のある懸濁液を得た。室温まで冷却後、エタノール(関東化学、特級)(2mL)を加え、遠心分離(4000rpm(1分間))により、固体物を得た。その遠心分離した固体物を減圧乾燥すると、銅光沢をもつ粉体状の銅微粒子4(収量 0.62g、収率 61.5%)が得られた。銅微粒子4は、オレイルアミンによって、その表面が被覆されていた。
【0085】
得られた参考例1〜4の各銅微粒子を走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JSM−7600F;SEM)で観察し、粒子径、粒子形状を観察により評価した。これらの銅微粒子の電子顕微鏡写真を図1〜4に示した。また、上記各銅微粒子について、酸化度、アウトガス量、収率、についても以下のように調べた。以上の特性を表1にまとめて示した。
【0086】
【表1】
【0087】
<銅微粒子の評価方法>
[酸化度]
銅微粒子の酸化度は、X線回折(XRD)により、Cu、CuO、Cu2Oの各成分の最強線ピークの積分強度比からRIR(参照強度比)法により含有量の定量を行い、次の式(I)により算出した。
【数2】
なお、式中、[Cu]は銅微粒子中の銅(Cu)の含有量(質量%)、[CuO]は銅微粒子中の酸化銅(II)の含有量(質量%)、[Cu2O]は銅微粒子中の酸化銅(I)の含有量(質量%)、を表す。
【0088】
[粒子径]
銅微粒子の粒子径は、得られた固体生成物を、走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JSM−7600F;SEM)の観察画像に基づく任意に選択した10個の銅微粒子(n=10)の平均値とした。このとき、長径、短径及び厚さも同じ方法で算出できる。
【0089】
[粒子形状]
銅微粒子の粒子形状は、走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JSM−7600F;SEM)で観察した。
【0090】
[アウトガス量]
銅微粒子のアウトガス量は、得られた銅微粒子の乾粉を用いて、示差熱−熱重量同時測定(TG−DTA)により40から500℃まで、昇温速度10℃/minにて測定し、測定前後の質量減少分をアウトガス量(%)とした。
【0091】
[実施例1〜4、比較例1]
ペースト組成物は、表2の配合(質量部)に従って各成分を混合し、ロールで混練した。得られたペースト組成物は、以下の方法で評価した。評価結果は表2に併せて示す。なお、実施例1〜4及び比較例1で用いた材料は、銅微粒子以外、市販品を使用した。
【0092】
[(A)銅微粒子]
(A1):参考例1で得られた銅微粒子1
(A2):参考例2で得られた銅微粒子2
(A3):参考例3で得られた銅微粒子3
[その他の銅微粒子]
(CA1):参考例4で得られた銅微粒子4
【0093】
[(B)有機溶剤]
(B1):ジエチレングリコール(東京化成工業(株)製)
[(C)カルボン酸]
(C1):グルタル酸無水物(和光純薬工業株式会社製)
[(D)熱硬化性樹脂]
(D1):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学工業(株)製、商品名:jER828)
硬化促進始剤:イミダゾール(四国化成工業(株)製、商品名:2E4MZ)
【0094】
【表2】
【0095】
<ペースト組成物の評価方法>
[粘度]
ペースト組成物の粘度は、E型粘度計(3°コーン)を用いて、25℃、5rpmでの値を測定した。
[ポットライフ] 25℃の恒温槽内に樹脂ペーストを放置した時の粘度が初期粘度の1.5倍以上増粘するまでの日数を測定した。
【0096】
[熱伝導率]
熱伝導率は、175℃×30分で硬化させたペースト組成物をJIS R 1611−1997に従い、レーザーフラッシュ法により測定した。
【0097】
[電気抵抗]
試験片は、ガラス基板(厚み1mm)にスクリーン印刷法によりペースト組成物を厚み200μmとなるように塗布し、175℃、200℃、225℃、60分で硬化した。電気抵抗は、硬化したペースト組成物を高精度高機能抵抗率計「MCP−T600」(製品名、三菱化学(株)製)を用いて4端子法にて測定した。
【0098】
<半導体装置の評価方法>
【0099】
[熱時接着強度]
試験片は、4mm×4mmの接合面に金蒸着層を設けた裏面金チップを、ペースト組成物を用いて、無垢の銅フレーム及びPPF(Ni−Pd/Auめっきした銅フレーム)にマウントし、200℃、60分で硬化した。チップをフレームにマウントした試験片は、85℃、相対湿度85%、72時間の条件で吸湿処理した。
ペースト組成物の熱時接着強度は、マウント強度測定装置を用いて、260℃におけるチップとフレーム間の熱時ダイシェア強度を測定して求めた。
【0100】
[高温熱処理後の熱時接着強度]
試験片は、4mm×4mmの接合面に金蒸着層を設けた裏面金チップを、半導体用ペースト組成物を用いて、PPF(Ni−Pd/Auめっきした銅フレーム)にマウントして、200℃、60分で硬化して、接合した。
ペースト組成物の高温熱処理後の熱時接着強度は、250℃で100時間及び1000時間の加熱処理を行った後、マウント強度測定装置を用い、260℃での熱時ダイシェア強度を測定した。
ペースト組成物の冷熱サイクル処理による高温熱処理後の熱時接着強度は、−40℃から250℃まで昇温し、また−40℃に冷却する操作を1サイクルとし、これを100サイクル及び1000サイクル処理した後、マウント強度測定装置を用い、260℃での熱時ダイシェア強度を測定した。
【0101】
[耐冷熱衝撃性]
試験片は、6mm×6mmの接合面に金蒸着層を設けた裏面金シリコンチップを、ペースト組成物を用いて銅フレーム及びPPFにマウントした。上記シリコンチップの銅フレーム及びPPFへの接合において、ペーストの硬化条件は、ホットプレート上で、200℃、60秒間の加熱硬化(HP硬化)又はオーブンを使用し、200℃、60分の加熱硬化(OV硬化)を行った。上記フレームにマウントしたシリコンチップは、京セラ(株)製エポキシ封止材(商品名:KE−G3000D)を用い、下記の条件で樹脂封止してパッケージを得た。耐冷熱衝撃性試験は、上記樹脂封止したパッケージを85℃、相対湿度85%、168時間吸湿処理した後、IRリフロー処理(260℃、10秒)及び冷熱サイクル処理(−55℃から150℃まで昇温し、また−55℃に冷却する操作を1サイクルとし、これを1000サイクル)を行い、各処理後それぞれのパッケージの内部クラックの発生数を超音波顕微鏡で観察することで評価した。耐冷熱衝撃性の評価結果は、5個のサンプルについてクラックの発生したサンプル数を表示した。
【0102】
試験片及びエポキシ封止材硬化条件
・パッケージタイプ:80pQFP(14mm×20mm×2mm厚さ)
・チップ概要:シリコンチップ及び裏面金メッキチップ
・リードフレーム:PPF及び銅
・エポキシ封止材による成形:175℃、2分間
・ポストモールドキュアー:175℃、8時間
【0103】
[ボイド率]
ペースト組成物のボイド率は、マイクロフォーカスX線検査装置(SMX−1000、島津製作所社製)を用いて観察した。ボイド率の評価基準は、発生率5%未満を「良」、5%以上8%未満を「可」、8%以上を「不可」として判定した。尚、上記ボイド率は、X線透過装置によりはんだ接合部を接合面に対し垂直方向から観察し、ボイド面積と接合部面積を求め、下式により算出した。
ボイド率(%)=ボイド面積÷(ボイド面積+接合部面積)×100
【0104】
以上の結果より、本開示の銅微粒子を含有するペースト組成物は175℃程度での低温焼結性に優れることが分かった。
さらに、無水カルボン酸を含むことにより、良好な焼結状態が得られることから、熱伝導率が良好なペースト組成物が得られることが分かった。
【0105】
また、実施例で得られた銅微粒子は、粒子の厚さ又は短径が10〜500nm程度であり、低温焼結が可能で、アウトガス量も少ない。そのため、実施例で得られた銅微粒子は、素子接着用ダイアタッチペースト又は放熱部材接着用材料、導電性を有する配線基板の配線材料としても使用できる。この導電性ペーストを用いることで、低温で焼結でき、信頼性に優れた半導体装置及び電気電子機器、導電パターンを有する基板を得ることができる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】