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再表2020-136935青銅合金及びその青銅合金を用いた摺動部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年7月2日
【発行日】2021年2月18日
(54)【発明の名称】青銅合金及びその青銅合金を用いた摺動部材
(51)【国際特許分類】
   C22C 9/02 20060101AFI20210122BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20210122BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20210122BHJP
   C22C 1/04 20060101ALI20210122BHJP
   B22F 7/04 20060101ALI20210122BHJP
【FI】
   C22C9/02
   C23C26/00 B
   B22F1/00 L
   C22C1/04 A
   B22F7/04 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
【出願番号】特願2019-572698(P2019-572698)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年5月8日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2018/047938
(32)【優先日】2018年12月26日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】592177498
【氏名又は名称】株式会社明石合銅
(74)【代理人】
【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
(74)【代理人】
【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
(72)【発明者】
【氏名】舟木 克之
(72)【発明者】
【氏名】小泉 彰護
(72)【発明者】
【氏名】明石 隆史
【テーマコード(参考)】
4K018
4K044
【Fターム(参考)】
4K018AA05
4K018BA02
4K018DA31
4K018JA25
4K018KA02
4K044AA02
4K044AB03
4K044AB10
4K044BA06
4K044BA10
4K044BB01
4K044BC01
4K044CA11
4K044CA24
(57)【要約】
本願発明は、鉛フリー組成でありながら、変動する高速・高面圧摺動に耐える高い耐焼き付け性や耐凝着摩耗性を付与した青銅合金及び摺動部材を提供することを目的とする。
本願発明の青銅合金は、Snが8−15質量%、Biが0.5−5.0質量%、Niが0.5−5.0質量%、Sが0.08−1.2質量%、Feが0.5−6.0質量%で含有し、残部がCu及び不可避的不純物よりなり、α銅中に微細な片状銅スズ系金属間化合物が析出した共析組織を持ち、鉄ニッケル系金属間化合物と銅鉄系の複硫化物が分散した金属組織であることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅(Cu)、スズ(Sn)、ビスマス(Bi)、ニッケル(Ni)、硫黄(S)及び鉄(Fe)を含有する青銅合金であって、Snが8〜15質量%、Biが0.5〜5.0質量%、Niが0.5〜5.0質量%、Sが0.08〜1.2質量%、Feが0.5〜6.0質量%で含有し、残部がCu及び不可避的不純物よりなり、α銅中に微細な片状銅スズ系金属間化合物が析出した共析組織を持ち、鉄ニッケル系金属間化合物と銅鉄系の複硫化物が分散した金属組織であることを特徴とする青銅合金。
【請求項2】
Feが1.5〜6.0質量%で含有することを特徴とする請求項1記載の青銅合金。
【請求項3】
Niの含有量に対する、Feの含有量の質量比(Fe/Ni)が0.7〜1.5であることを特徴とする請求項1または2記載の青銅合金。
【請求項4】
摺動面が、前記請求項1から3に記載の青銅合金により形成されていることを特徴とする摺動部材。
【請求項5】
鉄系材料の摺動面に前記請求項1から3に記載の青銅合金が溶融接合されているか、あるいは溶射などの方法で青銅合金のみを溶融させてライニング処理されていることを特徴とする複層摺動部材。
【請求項6】
鉄系材料の摺動面に前記請求項1から3に記載の青銅合金粉末が、焼結・接合されていることを特徴とする複層摺動部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキシャルピストン型油圧ポンプやモータのシリンダブロックなどの高圧・高速下で使用される青銅合金摺動部材に関し、鉛フリー組成でありながら優れた耐焼き付き性や摩擦摩耗特性を有する青銅合金に関するもので、さらには、係る青銅合金を鉄系材料と溶融接合した摺動面か、あるいは溶射などの方法で青銅合金のみを溶融させてライニング処理した摺動面を有する複層摺動部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧機器においては、小型化や高圧化、高速化等が進められ、油圧ポンプやモータのシリンダブロック、足廻り、変速機軸受け等は、過酷な条件下で使用されている。例えば、パワーショベル等の建設機械分野で使用されるアキシャルピストン型油圧ポンプやモータでは、年々厳しくなる排ガス規制に対処するため触媒等の付帯設備が動力室内で占める体積が増加している。そのため、油圧ポンプを小型化せざるを得ないが、小型化した油圧ポンプにこれまでと同等の吐出量を求めようとすると、圧力450bar、回転数3000rpmを越える高圧・高速下での使用が求められる。
【0003】
このような状況から、油圧ポンプのように高面圧が加わる摺動部材では、前述のような過酷な条件下でも安定した摺動特性を得るため、窒化鋼製ピストンと鉛青銅合金を摺動材料として用いたシリンダブロックという組み合わせが用いられ、軽量摺動部材として、鋼材に銅合金をライニングした複層摺動部材も開発されている。
【0004】
ただし、前述の油圧ポンプのシリンダブロック等のような高面圧が加わる摺動部材では、高い耐焼付性も要求されることから、市場の製品における前記銅合金には、主に鉛を10質量%程度含有する鉛青銅が使われている。銅合金中に含まれる鉛は、鋼材及び銅合金の両方に対する親和力が小さく、高い耐焼付性と耐摩耗性を付与するためには不可欠な元素である。前記鉛青銅において鉛の含有量を抑えると、耐焼付性が低下して過酷な条件で使用される油圧機器の摺動部材に使用することはできない。
【0005】
一方で、環境保全の観点から、電気機械や産業機械部品で使用する銅合金における鉛の含有を0.15%以下に規制することが欧州を中心に検討されており、近い将来には、銅合金摺動部材における鉛フリー化が実施されることが予測されている。
【0006】
このような状況から、摺動用銅合金の鉛フリー化については各方面で検討されており、鉛の含有量を抑えながら摺動特性を向上した種々の摺動材料が提案されている(特許文献1〜5)。
【0007】
特許文献1、2に記載される技術は、いずれも粉末焼結技術によりビスマス系固体潤滑相を基地中に分散・析出させたCu−Sn系銅合金(青銅)を鋼板と接合させた複層摺動部材に関するものである。銅合金中の固体潤滑相は、比重差によって浮上分離しやすく溶融混合が困難なこと、均一に分散させなければ十分な摺動特性が得られないことなどから、これらの摺動材料は粉末焼結技術で製造されている。粉末焼結では原料粉末を混合後、金型を用いたプレス成形によって成形体を準備する必要があり、同一形状を大量生産する用途には適しているものの、多品種少量生産が求められる産業機械部品には不向きであり、特に、建設機械用途の油圧ポンプや油圧モータの製造には適用が難しい。
【0008】
特許文献3に記載される技術は、青銅にNi、Bi、硫黄の3元素を同時に添加することで基地中に硫化銅の生成と金属組織の一部を層状の共析組織に変化させ、鉛フリー組成でありながら鉛青銅に匹敵する耐焼き付き性を持つ青銅合金とその青銅合金を用いた摺動部材の製造に関して開示している。しかし、青銅合金の鋳造材では初晶α−Cuがデンドライト状に大きく成長して、共析組織との間で不均質な金属組織を生成し、油圧モータなどスラスト面での回転が頻繁に反転する高速・高面圧摺動の用途では、初晶αと共析組織との間で金属疲労が蓄積して銅合金摺動面でマイクロクラックを生じやすい欠点がある。
【0009】
特許文献4に記載される技術は、水栓金具や接水栓等の素材として使用される鋳物用無鉛銅合金であり、耐摩耗性と耐焼付性を高いレベルで両立させるという観点からは、適した材料とは言えない。特許文献4記載の発明では、例えば段落0018に記載されるように、生成する硫化銅の融点が3.5%以下のBiや0.5%以下のFe、3.0%以下のNiを添加することによって銅の初晶温度(凝固開始温度)よりも低下することに着目したもので、鋳巣発生の抑制と硫化物の生成によって被削性を向上させることに主眼が置かれている。また、引用文献4記載の発明は、水栓金具や接水栓等の素材として使用される無鉛銅合金を対象としたものであり、実施例でもSnの含有量も3〜4%程度での検討が中心で、耐摩耗性や耐焼付性に関しては全く考慮されていない。
【0010】
特許文献5のような、Snを含む青銅鋳造材では、凝固温度範囲が非常に広いため、凝固過程においては銅含有量の多いα固溶体を初晶として晶出し、α相は残留する液相中にSnを排出しながらデンドライト状に成長する。Sn濃度の高いデンドライト間ではβ相を晶出し、520℃付近で共析反応によりα+δ相の共析組織を生じる。青銅に加えたNiはδ相中に固溶してδ相の生成自由エネルギーを低下させ、青銅合金中でのδ相の生成と成長を促進するため、金属組織中では網状に成長した粗大なδ相が出現する。青銅に硫黄が加えられると凝固界面での組成的過冷が大きくなって新しい均質凝固核が生成し、それらが個々に成長しはじめるので、α+微細δの共析組織を生じる。青銅に加えられたBiは共析反応温度では液相であり、析出した微細δ相表面を濡らすように出現し、凝固の進行に伴ってδ相から分離して共析組織中で微細粒子となる。Biの微細粒子は少量の添加でも摺動面の摩擦摩耗特性を著しく改善する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−293305号公報
【特許文献2】特開2002−285262号公報
【特許文献3】国際公開公報 WO 2007/126006 A1
【特許文献4】特開2007−297675号公報
【特許文献5】特許第4806823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献5に記載されている技術は、青銅にNi、Bi、硫黄を添加することで青銅の共析反応中の析出挙動を制御して、優れた摩耗摩擦特性や耐焼付性を実現したものであるが、初晶αのデンドライト成長に伴う共析組織との間での不均質な金属組織の生成を抑制できない。青銅合金の鋳造材では初晶α−Cuがデンドライト状に大きく成長して、共析組織との間で不均質な金属組織を生成するため、油圧モータなどスラスト面での回転方向が頻繁に変動する高速・高面圧摺動の用途では、初晶αと共析組織との間で金属疲労が蓄積して銅合金摺動面でマイクロクラックを生じやすい欠点がある。このように特許文献5の技術では、不均質な金属組織が生成することや、合金の硬さ(ブリネル硬さ)が低いことなどから、マイクロクラック耐性改良の余地があった。また、産業界における鉛フリー化の流れは必至であり、暫定措置の低鉛合金に対するニーズは低い。
【0013】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、本発明の目的は、初晶αの晶出温度よりも高い温度で不均質凝固核を晶出させることで初晶αの微細化を実現し、青銅合金の鋳造組織の不均質を解消するものである。そして、高価な元素や鋳造性を阻害する元素の添加も抑え、製造コストを抑えることが可能な、工業的に利用価値の高い青銅合金及び摺動部材ならびにその製造方法を提供することを目的とする。さらには鉛フリー組成でありながら、引張強度や硬さなどの機械的性質や金属疲労によるマイクロクラック耐性を高めるとともに、建設機械の油圧ポンプや油圧モータのシリンダブロックなど、スラスト面で変動する高速・高面圧摺動に耐える高い耐焼き付き性や耐凝着摩耗性を付与した青銅合金およびその摺動部材を提供することを目的とする。
【0014】
不均質凝固核はCu−Sn系2元平衡状態図には現れない、液相中で不溶解、または初晶の晶出よりも高い温度で生成した固体粒子であり、硫化物や窒化物、酸化物、ホウ化物などがある。液相中で存在する硫化物や窒化物、酸化物、ホウ化物は不純物により生成したもので、含まれる量が微量なためその大きさはナノサイズの微粒子であり、青銅合金の鋳造組織を微細化する効果は小さい。
【0015】
青銅合金においては、実験室レベルでTiやZrなど酸化物や窒化物を生成しやすい元素の添加やこれら元素を含むフラックスによる溶湯処理が試みられているが、生成する不均質凝固核が微小粒子であるため短時間で効果が消失し、鋳造作業時間の長い実生産においては、鋳造組織の微細化効果を得ることが困難である。
【0016】
本発明者らは、鋳造作業時間の長い実生産においても不均質凝固核が消失せず、鋳造組織の微細化効果の大きい鉛フリー青銅合金を実現するべく、様々な角度から検討した結果、青銅の液相中で生成する高融点金属間化合物を利用して鋳造組織を微細化する方法を考案した。液相中で生成する金属間化合物は、多量に含まれる合金元素が反応して生成することからその大きさはミクロンサイズとなり、青銅合金の鋳造組織を微細化する効果は大きい。
【課題を解決するための手段】
【0017】
ところで、Cu−Sn系合金に包共晶点(約3.2%)以上の鉄が含まれると、鉄は液相中に初晶オーステナイト(κ相)として現れる。これが初晶αデンドライトの成長を妨げ、凝固核となって周囲にβ相が晶出する。デンドライトが消失した鋳造組織は微細化し、β→α+δの共析変態によって析出するδ相は微細化される。しかし包共晶点以下の亜包共晶域では、鉄の増加に伴ってオーステナイト初晶は粗大なデンドライト状に成長しやすく、徐冷されるとFeSnを析出して脆化しやすい。
【0018】
また、青銅に鉄が0.5質量%以上含まれると包共晶反応により遊離鉄が晶出し、ハードスポットとなって被削性を著しく低下させる。そのため青銅合金では一般に、鉄は不純物として扱われ、鉄の含有量は0.5質量%未満に抑えられている。
【0019】
本発明者らは青銅における包共晶反応により生成する遊離鉄に着目し、遊離鉄を金属間化合物として晶出させることで被削性を低下させずに、鋳造組織が微細化することを見出した。請求項1に記載の青銅合金は、Snが8〜15質量%、Biが0.5〜5.0質量%、Niが0.5〜5.0質量%、Sが0.08〜1.2質量%、残部がCu及び不可避的不純物である青銅合金に、1.5〜6.0質量%のFeを添加することで、晶出する遊離鉄がFe−Ni系の金属間化合物と硫化銅に固溶した複硫化物となってハードスポットを生じないことを特徴とする。なお、本合金では鋳造性の改善のため、リンを0.02〜0.1%程度添加することができる。
【0020】
一方、Fe−Ni系金属間化合物は、青銅中にFeが0.5%以上存在すれば晶出し、晶出が少量でも摩擦面における凝着粒子の生成を抑制して、摩擦面上で凝着粒子が混錬・結合して形成する変質層を生成しにくいことを見出した。このことは、摩擦速度が毎秒5mを超える高速摺動時に顕著である。なお、摩擦面に変質層を生成しにくくなれば耐焼付性や耐摩耗性が向上する。
【0021】
本発明は青銅の共析変態を利用し、FeとNi、硫黄の含有量を調整することで、耐焼付性や摩擦摩耗特性、耐焼付性、マイクロクラック耐性に優れた青銅合金を提供するものである。
【0022】
本発明者らは、ニッケルはCu−Sn系合金の固溶限を広げ、Feと同時に添加されると、液相中に現れる初晶オーステナイト(κ相)をFe−Ni系の金属間化合物に変化させ、組織中で均一に分散させる効果があり、合金のブリネル硬さ(HB)が向上することを見出した。そして、銅とスズを主成分としデンドライト型の凝固をする青銅に、包共晶点以上の鉄を添加して液相中に初晶オーステナイト(κ相)を出現させる。これが初晶αデンドライトの成長を妨げ、凝固核となって周囲にβ相が晶出する。デンドライトが消失した鋳造組織は微細化し、β→α+δの共析変態によって析出するδ相は微細化されることを見出した。銅中でのスズの拡散を阻害するとともにα銅の固溶限を低下させて凝固偏析を促進する硫黄を添加して、β銅から多量のγ銅を出現させ、さらに少量のビスマスとニッケルと鉄の同時添加によって、δ銅の生成を抑制するとともに共析変態温度を低下させることで、α銅中に片状のCu−Sn−Ni系金属間化合物が析出した共析組織であって、Fe−Ni系の金属間化合物と銅鉄系の複硫化物が分散した共析組織が容易かつ安定に出現することを見出した。
【0023】
本発明の青銅合金は、銅及びスズを主成分とする青銅合金であって、α銅中に微細な片状銅スズ系金属間化合物が析出した共析組織を持ち、Fe−Ni系金属間化合物とCu−Fe−S系の複硫化物が分散した金属組織であることを特徴とするものである。さらには、前記青銅合金はβ銅が出現する青銅合金であってニッケル、ビスマス、硫黄、及び鉄の4元素を同時に合金化することで前記共析組織を含むように制御されていることを特徴としたものである。
【0024】
本発明の青銅合金は、Niが0.5〜5.0質量%、Feが1.5〜6.0、または0.5〜1.5質量%含有していることが好ましい。これは本発明の青銅合金鋳物において、以下の目的を達成するために必要な特性が得られる成分範囲を限定したものである。
Niが0.5〜1.5質量%、Feが0.5〜1.5質量%の範囲では、片状のCu−Sn−Ni系金属間化合物の析出量が少なく、青銅合金の破断伸びは大きくなる。しかし、Feが1.0質量%未満では鋳造組織を微細化する効果が小さく、用途は小さなサイズのシリンダブロックに限定される。一方、Feが6.0質量%以上含まれると、Cu−Fe−S系複硫化物が粗大化し、鋳造組織を微細化するが不十分である。しかし、Niが0.5〜5.0質量%、Feが1.5〜6.0質量%含有している場合には、被削性が低下せず、共析組織中に金属間化合物と複硫化物が分散する微細構造となって、サイズの大きなシリンダブロックにも好適に使用可能である。請求項1に記載の青銅合金は、鋳造組織を微細化させることで金属間化合物と複硫化物が均一に分散した微細構造の共析組織を出現させたことを特徴としたものである。
【0025】
また、青銅中にFeとNiが0.5質量%以上存在すれば、Fe−Ni系金属間化合物が晶出し、摩擦面における凝着粒子の生成が抑制されて摩擦面上に変質層を生成しにくくなる。つまり、凝着摩耗に対する耐性が向上し、耐久面圧は上昇する。一方、高速摺動時においては、摩擦面同士の接触具合、いわゆる当たり面の状態に敏感であり、良好な当たり面が形成されるまでは少しの面圧変動に対しても焼き付きを生じ易い。青銅合金の硬さが高いと良好な当たり面の形成、いわゆる初期なじみに長時間を要するため、高速摺動用の青銅合金ではブリネル硬さ(HB)で110以下であることが好ましい。
【0026】
Snが8〜15質量%の青銅合金においては、NiとFeが1.5質量%以上含まれるとHB110以下とすることが困難であり、高速摺動用青銅合金に求められる初期なじみ性と耐凝着摩耗性を満足するためには、NiとFeをそれぞれ0.5〜1.5質量%の範囲に制限する必要がある。請求項2に記載の青銅合金は、青銅合金の硬さを調整し、初期なじみ性を向上させたことを特徴としたものである。
【0027】
また、本発明の青銅合金鋳物中のFe−Ni系金属間化合物の金属組織での分散状態はNi含有量に対するFe含有量の質量比(Fe/Ni)の影響を受け、NiとFeとの添加量を工夫することで、Fe添加によるハードスポット発生の問題が解消され、マイクロクラックが発生しにくくなり、ブリネル硬さ(HB)が向上する。また、金属間化合物や複硫化物の晶出ムラを生じにくくなり、それらが均一に分散した金属組織が得られる。請求項3に記載の青銅合金は、Fe/Niが0.7〜1.5の範囲にあり、鋳造時に出現するFeの初晶をFe−Ni系の金属間化合物として析出させていることを特徴としたものである。
【0028】
また、前述の青銅合金は優れた摩耗摩擦特性や耐焼付性を有するものであり、摺動部材として用いることができる。請求項4に記載の摺動部材は、前述の青銅合金により摺動面が形成されていることを特徴とする。あるいは、請求項5に記載の複層摺動部材のように、鉄系材料の摺動面に前述の青銅合金が溶融接合された複層構造であることを特徴とする。摺動部材は全体を本発明の青銅合金を使用した鋳造品の形態でも良いし、鋼鉄製の部材の一部に鋳造や肉盛溶接等の方法で溶融接合しても良い。あるいは溶射などの方法で青銅合金のみを溶融させてライニング処理した複層構造としても良い。さらに、本発明の青銅合金と同じ成分を持つように原料粉末を調整し、鉄系部材と一緒に真空炉、または還元性雰囲気炉の中で焼結・接合し、請求項6に記載の複層摺動部材とすることもできる。
【発明の効果】
【0029】
以上のような構成を有する本発明の青銅合金は、鉛青銅に匹敵する耐焼付性を持ち、摩擦摩耗特性や機械的性質、被削性、硬さに優れたものであり、特に高圧・高速下で使用される工業的な鉛青銅代替軸受銅合金材料として有用なものである。また、本発明で示す青銅合金の相変態と包共晶反応を利用すれば、生成化合物や晶出相の固体潤滑を利用する従来技術に比べて、ビスマス等の高価な元素や硫黄のような鋳造性を阻害する元素の添加量を最小限に抑えることができ、製造コストの抑制や生産性を向上することができる等、工業的に利用価値の高い青銅合金を提供することが可能である。
【0030】
また、本発明の摺動部材(例えば油圧ポンプ用シリンダーブロック)は、摺動面に前述の銅合金を鋼鉄製ボディに溶融接合や圧入等の方法で貼り付けることにより形成されていることを特徴とするもの(複層摺動部材)である。前述の銅合金が摩擦摩耗特性や耐焼付性に優れるものであることから、これを用いた摺動部材は優れた性能を発揮し、例えば変動する高荷重、高速摺動下で優れた軸受特性を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明を適用した青銅合金は、主成分であるCuやSnの他、Ni、Fe、BiおよびS(硫黄)を必須元素として含み、他は不可避的不純物(0.3質量%未満の元素、ただしSは0.08質量%未満)よりなるものであるが、これらの範囲を限定する理由は次の通りである。
【0032】
[Sn:8〜15質量%]
SnはCu基地に固溶して、青銅合金の引張強さや硬さを向上させる。8質量%未満であると摺動部材として必要な強さや硬さが得られずに耐摩耗性が低下し、15質量%を超えるとCu−Sn−Ni系金属間化合物が多く生成して脆くなって、マイクロクラック耐性が低下する。Snの好ましい下限は9.0質量%であり、上限は13.5質量%である。より好ましくは10.0〜13.0質量%の範囲とするのが良い。
【0033】
[Ni:0.5〜5.0質量%]
Niは液相中に現れるFeの初晶オーステナイトをFe−Ni系の金属間化合物に変化させて、被削性の低下を防止する。また、晶出相を組織中で均一に分散させる効果があり、SnとともにCu基地に固溶して青銅合金のブリネル硬さ(HB)を向上させる。0.5質量%未満では被削性の低下を防止する効果や晶出相を組織中で均一に分散させる効果がなく、5.0質量%を超えると溶湯の流動性が低下して鋳造性が悪くなる。Niの好ましい範囲は、初期なじみ性を重視する高速摺動用途で0.5〜1.5質量%である。鋳造組織を微細均一化させ、マイクロクラック耐性を重視する用途での好ましい範囲は、2.0〜4.5質量%である。
【0034】
[Fe:1.5〜6.0質量%、または0.5〜1.5質量%]
青銅中のFeは、包共晶反応により初晶オーステナイト(遊離鉄)を生成する。遊離鉄はCuの初晶αデンドライトの成長を妨げ、不均質凝固核となって鋳造組織を微細化する。1.5質量%未満では鋳造組織を微細化する効果がなく、6.0質量%を超えると初晶オーステナイトが粗大化して鋳造組織を微細化する効果がなくなる。Feのより好ましい範囲は2.0〜5.5質量%である。一方、摩擦摩耗特性の改善に必要なFe−Ni系金属間化合物は、Feが0.5質量%以上含まれると青銅合金中に晶出し、1.5質量%以上含まれると青銅合金が硬くなって、初期なじみ性が低下する。よって、初期なじみ性が重視される高速摺動用途での好ましいFeの範囲は、0.5〜1.5質量%である。
【0035】
[Bi:0.5〜5.0質量%]
BiはPbと類似した性質を持ったCuに固溶しない低融点の金属元素であり、青銅合金の被削性や摩擦摩耗特性を向上させる。しかし、結晶粒界に偏析して高温強度を低下させ易く、過剰に含まれると切削加工時の発熱でクラックを生じて機械的性質を低下させる。0.5質量%未満では被削性や摩擦摩耗特性を向上させる効果がなく、5.0質量%を超えるとBi相が過剰になって機械的性質を低下させる。Biのより好ましい範囲は1.0〜3.5質量%である。
【0036】
[S:0.08〜1.2質量%]
SはCuやFeと結合して銅と鉄の複硫化物を形成し、複硫化物は摺動面の焼き付きを防止する極圧添加剤としての作用がある。0.08質量%未満では生成する複硫化物が少ないため効果がなく、1.2質量%を超えると凝固時に反応ガスを発生して健全な鋳物を製造できない。Sのより好ましい範囲は0.15〜0.6質量%である。
【実施例】
【0037】
次に、本発明による青銅合金および摺動部材の具体的な実施例について、実験結果を基に説明する。
【0038】
表1に示した組成を有する青銅合金を高周波溶解炉により溶製し、JIS A号引張試験片のシェル砂型に鋳込んだ後にJIS4号引張試験片に機械加工し、これらの試験片について引張強さ(MPa)、破断伸び(%)、およびブリネル硬さ(HB)、金属組織の結晶粒度の測定を行った。
【0039】
【表1】
【0040】
比較材1は鉛フリー組成で、実施例との違いはFeを含んでいないことであり、比較材8および9は既存の鉛青銅系合金である。図2に実施例5の金属組織、図3に比較材1の金属組織を示す。
【0041】
実施例5の金属組織では、FeはNiとの化合物を形成して析出し、金属間化合物と複硫化物が微細粒状に金属組織中で均一に分散した。α銅の初晶は細かくなり、全面が微細な共析組織となった。一方、比較材1では初晶のα銅が大きく成長して、共析組織との間で不均質な金属組織を形成しており、析出する化合物(硫化銅)は大きく、まばらに分散していた。このように、本発明である鉛フリー青銅にFeとNiをほぼ等量添加することによって、金属組織の均質化に劇的な効果が得られることは明らかである。
【0042】
引張強さ(MPa)、破断伸び(%)は、JIS Z2241に準じて行い、ブリネル硬さはJIS Z2243の規定に準じて行い、表2に示した。結晶粒度測定は切断法で行い、その代表値を表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】
表2に示される機械的性質試験と結晶粒度測定結果において、本発明を実施したFeが2.0質量%を超える青銅合金では、いずれもブリネル硬さが120を超えており、ほぼ同量のSnを含む比較材に比べて高い硬さを得られることがわかる。なお、Feが2.0質量%以下のNo.2とNo.8〜11では、ブリネル硬さが110を上回ることはなかった。また、図2、3で示したように、Feが1.5質量%を超えるとα銅の初晶が細かくなるため、結晶粒度は比較材よりも一桁小さく、約3.5質量%のFeとNiを含んだNo.5では未実施の青銅合金(比較材1)と比べて1/10以下の結晶粒度が得られた。なお、NiやBi量も結晶粒度に影響することがわかる。
【0045】
また、一部の供試材(表1の青銅合金のうち、No.5、9(実施例)、比較材1、7、8および9)については、φ60×150mmの円筒金型に鋳込んだ後にφ25.5×φ20×20mmのリング試験片Rに機械加工して、図1に示す試験機Tを用いてリング・ディスク方式の平面摺動試験を行った(図1)。平面摺動試験では、潤滑油luに60℃に加熱した10W級のディーゼルエンジンオイルを使用した。摩擦材のディスクDには、浸炭焼入して硬さHRC58に調整したSCM420鋼材を使用した。なお記号Mはトルクメータ、記号dは排油を示す(図1)。これらの試験片Rについては、焼き付き限界PV値(N/mm・m/min)と比摩耗量(mm/(N/cm・m/min・hr))を測定した。限界PV値は10m/秒の一定速度で回転軸sを中心に回転するディスクDに押し付けた試験片Rを1.25MPaで10分間なじみ運転させ、その後は0.4MPa/minの勾配で連続的に荷重Lを増加させ、回転異常や異音の発生、試験片温度が120℃以上、または摩擦係数が0.2に到達したときに焼付として判定することで行った。比摩耗量は5または10m/秒の一定速度で回転軸sを中心に回転するディスクDに押し付けた試験片Rを2.5MPaで10分間なじみ運転させ、その後は6.4MPaの一定圧力で8時間摩擦試験を行い、試験前後の寸法変化から計算した。これらの結果を表3、4に示した。
【0046】
【表3】
【表4】
【0047】
表3に示される摩擦速度5m/秒での平面摺動試験結果において、本発明を実施した青銅合金No.5、9は、鉛フリー青銅合金系の比較材1、7や鉛青銅系の比較材8、9よりも高い6000オーバーの焼き付き限界PV値を示し、比摩耗量も小さいことがわかる。表4に示す摩擦速度10m/秒での平面摺動試験結果においても、鉛青銅系の比較材8、9と同等の焼付限界PV値や比摩耗量を示し、特に、FeとNi量を1.5質量%以下に制限したNo.9では、鉛青銅系の比較材8、9よりも小さな比摩耗量となった。このことは、青銅合金の硬さの上昇を抑えることで、高い摩擦速度でも良好な初期なじみが得られたためと考えられる。
【0048】
図4に本発明を実施した青銅合金No.5の摩擦速度10m/秒での耐焼付試験データの一例を示した。横軸は時間(m)である。縦軸は摩擦係数(μ)、荷重(N)、温度(℃)であり、その各々が、グラフ内の摩擦係数のデータ(記号A)、荷重のデータ(記号B)、試験片温度のデータ(記号C)に対応する。変動幅の大きいグラフが荷重の上昇に伴う摩擦係数の変化を表している。焼付限界PV値は、摩擦係数が急上昇した時の荷重から計算している。焼付限界PV値の違いは試験片押付荷重の違いであり、摩擦速度が10m/秒という高速摺動のため、摩擦面における油膜が途切れると瞬時に焼き付いている。そのため、表3における本発明を実施した青銅合金No.5、9と鉛フリー青銅合金系の比較材1、7との違いは、Fe−Ni系の金属間化合物の晶出や共析組織における微細構造が変化して移着物質の堆積が抑制され、潤滑油の保持性が改善されたものと考えられる。
【0049】
各添加元素と硬さ
本発明の青銅合金において合金の硬さに対する影響の大きい元素は、Sn、Fe、Niである。図5に供試材の硬さを添加元素の量で整理して示した。横軸は添加量(質量%)であり、縦軸はブリネル硬さ(HB)である。Feの近似直線の傾きは、SnやNiの近似直線の傾きよりも2倍大きな傾きを有しており、少量でも硬さを上昇させる効果が大きい。このことは、SnやNiはCu基地に固溶した固溶体強化であるのに対し、FeはNiと結びついて微細な金属間化合物を形成し、金属組織中で均一に析出した分散強化によるためと考えられる。
【0050】
表2において、本発明を実施したNo.1〜8では、比較材1と比べて硬さが向上し、結晶粒が細かくなる効果も認められる。また、比較材1では硬さと結晶粒度の両方でNo.1よりも劣る。また、Feが6.16質量%、およびNiが5.96質量%のNo.6、ならびにFeが1.48質量%、およびNiが1.60質量%のNo.2では、破断伸びが低下する。このことから、Niは1.5〜5.0質量%で含有し、Feは1.5〜5.5質量%で含有していることが好ましい。また、FeとNiの割合も重要であり、好ましくは、Fe/Ni比が0.7〜1.5の範囲がよい。この範囲においては、Feの包共晶反応生成する初晶オーステナイトがNiと結びついて微細な金属間化合物を形成し、金属組織中で均一に析出するため、ハードスポットの発生が抑制される。
【0051】
図6は、摩耗試験後の比較材1(左側図6a)と実施例5(右側図6b)の青銅合金の摺動面の状態である。本発明を実施した合金は硬さが高いため耐凝着摩耗性が高く、摺動面上に移着物質は見られない。また、金属組織中で均一に析出しているFe−Ni系の金属間化合物が移着物質の堆積を妨げ、耐凝着摩耗性を高めていると考えられる。一方、硬さの低い比較材1の摺動面上には、縞状の移着物質の堆積が確認される。移着物質は脆く、強い摩擦力を受けるとマイクロクラックに成長するため、移着物質を堆積しにくい発明合金は、マイクロクラック耐性に優れていることが確認された。
【0052】
金属組織の析出物の同定
図7は、実施例5の青銅合金に析出している物質を同定した電子顕微鏡写真である。図7aは分析視野であり、図7bは銅、図7cは硫黄、図7dはニッケル、図7eは鉄を同定した図である。左側の分析視野中の矢印で示した析出物は、右側の硫黄の信号と対応し、銅と鉄の形状が浮き出ていることから複硫化物である。また、硫化物以外の丸い析出物も多数見られる。この硫化物以外の析出物は、発明を実施した青銅合金のみに見られるもので、ニッケルと鉄の形状が浮き出ていることからFe−Ni系の金属間化合物であることがわかる。このように、本発明を実施すると硫化物以外の微細なFe−Ni系の金属間化合物が析出し、この金属組織中に出現する金属間化合物は、共析組織中に存在するCu−Sn−Ni系析出物と相まって金属組織の微細構造を複雑にしている。この金属組織中に出現する析出物の違いが、本発明青銅合金が高い焼付限界PV値や耐凝着摩耗性、マイクロクラック耐性に優れている理由であると考えられる。
【0053】
以上のように、本発明は鉛フリー組成の青銅合金でありながら鉛青銅系合金と同等、或いはそれ以上の優れた耐焼き付き性を有する上、機械的強度やマイクロクラック耐性に優れた銅合金系の摺動部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】リング・ディスク方式の平面摺動試験に用いる試験機の概略図である。
図2】実施例5の金属組織を示す顕微鏡写真である。
図3】比較材1の金属組織を示す顕微鏡写真である。
図4】本発明を実施した青銅合金の耐焼付試験データの一例である。
図5】供試材の硬さを添加元素の量で整理して示したグラフである。
図6】摩耗試験後の比較材1と実施例5の青銅合金の摺動面の状態を示す図である。
図7】実施例5の青銅合金に析出している物質を同定した電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0055】
T 試験機、L 荷重、Lu 潤滑油、M トルクメータ、R 試験片、D ディスク、d 排油口、s 回転軸

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】