(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
サービスの申し込みに関する第一トランザクションデータを受信し、受信した第一トランザクションデータを複数のサーバそれぞれが備える分散台帳に格納し(S401)、サービスは、サービスについて予め定められた目標条件が満たされた場合に、当該サービスに申し込みをしたユーザである申込者に対してトークンを提供するサービスであり、目標条件が満たされたと判定した場合には、サービスについて予め定められたトークンをユーザに提供することを示す第二トランザクションデータを分散台帳に格納し(S404)、第一トランザクションデータを分散台帳に格納してから、目標条件が満たされたか否かを判定(S403)するまでの期間に含まれる所定のタイミングにおいて、サービスについて予め定められた仮のトークンであるデポジットをユーザに提供することを示す第三トランザクションデータを分散台帳に格納する(S402)。
前記第三トランザクションデータを前記分散台帳に格納した後に、前記デポジットの保有者から、前記デポジットの提供先である被提供者に、前記デポジットを提供することを示すトランザクションデータである第四トランザクションデータを前記分散台帳に格納する
請求項1に記載の制御方法。
前記第三トランザクションデータを前記分散台帳に格納した後に、前記目標条件が満たされたと判定した場合には、前記デポジットを保有している保有者に、前記デポジットに対応するトークンを提供するトランザクションデータである第六トランザクションデータを前記分散台帳に格納する
請求項1〜3のいずれか1項に記載の制御方法。
前記第三トランザクションデータを前記分散台帳に格納した後に、前記目標条件が満たされないと判定した場合には、前記デポジットの保有者が前記申込者でないときには、前記デポジットに相当するトークンを前記申込者から前記保有者に提供するトランザクションデータである第七トランザクションデータを前記分散台帳に格納する
請求項3に記載の制御方法。
前記第四トランザクションデータを前記分散台帳に格納する際には、前記デポジットが予め定められた回数を超えて提供されることになる場合には、前記第四トランザクションデータを前記分散台帳に格納することを制限する
請求項2〜6のいずれか1項に記載の制御方法。
前記トランザクションデータを前記複数のサーバそれぞれが備える分散台帳に格納する際には、前記複数のサーバそれぞれによるコンセンサスアルゴリズムの実行を経て、前記分散台帳に格納する
請求項1〜7のいずれか1項に記載の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載したシステムに関する技術に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0011】
従来、所定の条件を達成した場合に、仮想通貨のような価値情報を提供するシステムがある。そのシステムの一例は、クラウドファンディングである。
【0012】
クラウドファンディングは、例えば、インターネット上において、複数の申込者から金銭を集め、その金銭を用いて投資等により得た金銭リターンを申込者に提供する仕組みである。
【0013】
しかしながら、上記システムは、所定の条件が達成される前の時点では、ユーザに価値情報を与えることがなく、システムの稼働効率が良くないという問題がある。言い換えれば、上記システムは、所定の条件が達成されるまでの期間にも電力を消費しているが、その期間においてユーザに価値情報を与える処理をしていないので、電力消費効率が低いという問題がある。
【0014】
そこで、本発明は、システムの電力消費効率を改善し得る制御方法などを提供する。
【0015】
このような問題を解決するために、本発明の一態様に係る制御方法は、分散台帳を保有している複数のサーバを備えるサービス管理システムにおいて、当該複数のサーバのうちの一のサーバが実行する制御方法であって、サービスの申し込みに関するトランザクションデータである第一トランザクションデータを受信し、受信した前記第一トランザクションデータを前記複数のサーバそれぞれが備える前記分散台帳に格納し、前記サービスは、前記サービスについて予め定められた目標条件が満たされた場合に、当該サービスに申し込みをしたユーザである申込者に対してトークンを提供するサービスであり、前記目標条件が満たされたと判定した場合には、前記サービスについて予め定められたトークンを前記ユーザに提供することを示すトランザクションデータである第二トランザクションデータを前記分散台帳に格納し、前記第一トランザクションデータを前記分散台帳に格納してから、前記目標条件が満たされたか否かを判定するまでの期間に含まれる所定のタイミングにおいて、前記サービスについて予め定められた仮のトークンであるデポジットを前記ユーザに提供することを示すトランザクションデータである第三トランザクションデータを前記分散台帳に格納する。
【0016】
上記態様によれば、システムは、目標条件が達成されるまでの期間に、将来に提供する価値情報であるトークンに相当する仮のトークンであるデポジットをユーザに提供する。デポジットは、トークンと同じように、または、トークンに準ずるように使用されるように分散台帳によって管理され得る。よって、システムは、目標条件が達成されるまでの期間にユーザに価値情報を与える処理をすることで電力消費効率が改善し得る。よって、本発明に係る制御方法は、システムの電力消費効率を改善し得る。
【0017】
また、分散台帳に格納されたトランザクションデータの改ざんが実質的に不可能であることから、システムにより管理されているデポジットの提供に関する管理情報が適切に管理される。仮に、上記管理情報が改ざんされると、デポジットおよびトークンといった価値情報の流通が不適切になる。本発明の一態様に係る制御方法によれば、管理情報が分散台帳に格納され、改ざんが実質的に不可能となるので、デポジットおよびトークンといった価値情報の流通を適切に管理できる効果もある。
【0018】
例えば、前記第三トランザクションデータを前記分散台帳に格納した後に、前記デポジットの保有者から、前記デポジットの提供先である被提供者に、前記デポジットを提供することを示すトランザクションデータである第四トランザクションデータを前記分散台帳に格納してもよい。
【0019】
上記態様によれば、システムは、さらに、デポジットを被提供者に提供する処理により、申込者に提供した価値情報をユーザ間で流通させることができる。システムは、このように価値情報を流通させる処理をするので、電力消費効率がより一層改善し得る。よって、本発明に係る制御方法は、システムの電力消費効率をより一層改善し得る。
【0020】
例えば、前記第三トランザクションデータを前記分散台帳に格納した後に、前記目標条件が満たされたと判定した場合、または、前記目標条件が満たされないと判定した場合には、前記デポジットを無効化するトランザクションデータである第五トランザクションデータを前記分散台帳に格納してもよい。
【0021】
上記態様によれば、システムは、目標条件が達成されない場合にデポジットを無効化する処理をするので、デポジットの有効性の制御を適切に行うことができる。よって、本発明に係る制御方法は、価値情報の流通をより一層適切に管理しながら、システムの電力消費効率をより一層改善し得る。
【0022】
例えば、前記第三トランザクションデータを前記分散台帳に格納した後に、前記目標条件が満たされたと判定した場合には、前記デポジットを保有している保有者に、前記デポジットに対応するトークンを提供するトランザクションデータである第六トランザクションデータを分散台帳に格納してもよい。
【0023】
上記態様によれば、システムは、目標条件が達成された場合に、デポジットに対応するトークンを提供する処理をするので、目標条件を達成した後にデポジットをトークンに置き換えるように管理することができる。よって、本発明に係る制御方法は、価値情報の流通をより一層適切に管理をしながら、システムの電力消費効率をより一層改善し得る。
【0024】
例えば、前記第三トランザクションデータを前記分散台帳に格納した後に、前記目標条件が満たされたと判定した場合には、前記デポジットを保有している保有者に通知してもよい。
【0025】
上記態様によれば、システムは、目標条件が達成された場合に通知をすることにより、目標条件を達成した後にデポジットをトークンに置き換える行動(つまり両替)を促すことができる。よって、本発明に係る制御方法は、価値情報の流通をより一層適切に管理しながら、システムの電力消費効率をより一層改善し得る。
【0026】
例えば、前記第三トランザクションデータを前記分散台帳に格納した後に、前記目標条件が満たされないと判定した場合には、前記デポジットの保有者が前記申込者でないときには、前記デポジットに相当するトークンを前記申込者から前記保有者に提供するトランザクションデータである第七トランザクションデータを前記分散台帳に格納してもよい。
【0027】
上記態様によれば、システムは、目標条件が達成された場合に、申込者ではない保有者が保有しているデポジットを置き換えるトークンが、申込者から提供されたように管理する。仮に、保有者が保有しているデポジットが単に消滅してしまうことになれば、価値情報の流通が不適切になる。よって、本発明に係る制御方法は、価値情報の流通をより一層適切に管理しながら、システムの電力消費効率をより一層改善し得る。
【0028】
例えば、前記第四トランザクションデータを前記分散台帳に格納する際には、前記デポジットが予め定められた回数を超えて提供されることになる場合には、前記第四トランザクションデータを前記分散台帳に格納することを制限してもよい。
【0029】
上記態様によれば、システムは、デポジットが所定回数を超えて提供されないように管理することができる。デポジットは、目標条件が満たされるまでの期間に限定してトークンとして利用されるものであることに鑑み、提供できる範囲を制限するためである。よって、本発明に係る制御方法は、価値情報の流通を一層適切に管理しながら、システムの電力消費効率をより一層改善し得る。
【0030】
例えば、前記第三トランザクションデータを分散台帳に格納する処理は、前記第一トランザクションデータを前記分散台帳に格納したときに実行されるスマートコントラクトによりなされてもよい。
【0031】
上記態様によれば、システムは、デポジットの提供の処理を、他の人又は他のシステムを介在することなく、早期かつ安全に実行される。よって、本発明に係る制御方法は、早期かつ安全な処理をしながら、システムの電力消費効率を改善し得る。
【0032】
例えば、前記トランザクションデータを前記複数のサーバそれぞれが備える分散台帳に格納する際には、前記複数のサーバそれぞれによるコンセンサスアルゴリズムの実行を経て、前記分散台帳に格納してもよい。
【0033】
上記態様によれば、システムは、コンセンサスアルゴリズムの実行を得て分散台帳を格納する。よって、本発明に係る制御方法は、コンセンサスアルゴリズムの実行を経ることによって、より容易に、システムの電力消費効率をより一層改善し得る。
【0034】
また、本発明の一態様に係るデータ構造は、分散台帳を保有している複数のサーバを備えるサービス管理システムにおいて用いられるデータ構造であって、前記サービスについて予め定められた仮のトークンであるデポジットを一意に特定し得る識別情報と、前記デポジットが提供される提供先を一意に特定し得る識別情報と、前記デポジットの量を示す情報と、前記デポジットの発行者の電子署名とを含む。
【0035】
上記態様により、上記サービス管理システムと同様の効果を奏する。
【0036】
また、本発明の一態様に係るサーバは、分散台帳を保有している複数のサーバを備えるサービス管理システムにおいて、当該複数のサーバのうちの一のサーバであって、処理部と、制御部とを備え、前記処理部は、サービスの申し込みに関するトランザクションデータである第一トランザクションデータを受信し、受信した前記第一トランザクションデータを前記複数のサーバそれぞれが備える前記分散台帳に格納し、前記サービスは、前記サービスについて予め定められた目標条件が満たされた場合に、当該サービスに申し込みをしたユーザである申込者に対してトークンを提供するサービスであり、前記制御部は、前記目標条件が満たされたと判定した場合には、前記サービスについて予め定められたトークンを前記ユーザに提供することを示すトランザクションデータである第二トランザクションデータを前記分散台帳に格納し、前記第一トランザクションデータを前記分散台帳に格納してから、前記目標条件が満たされたか否かを判定するまでの期間に含まれる所定のタイミングにおいて、前記サービスについて予め定められた仮のトークンであるデポジットを前記ユーザに提供することを示すトランザクションデータである第三トランザクションデータを前記分散台帳に格納する。
【0037】
上記態様により、上記制御方法と同様の効果を奏する。
【0038】
また、本発明の一態様に係るプログラムは、上記の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0039】
上記態様により、上記制御方法と同様の効果を奏する。
【0040】
また、本発明の一態様に係るデータ構造は、分散台帳を保有している複数のサーバを備えるサービス管理システムにおいて、前記分散台帳に記録されるデータ構造であって、前記データ構造は、前記サービスについて予め定められた期限までの間のみ有効であって、前記サービスの申込者に対して付与される仮のトークンであるデポジットを示す第1IDと、前記デポジットの額と、前記デポジットの使用条件と、前記申込者を示す第2IDと、を含み、前記分散台帳に記録された後に、前記申込者に対して前記デポジットを付与する処理に用いられる。
【0041】
上記態様により、上記サービス管理システムと同様の効果を奏する。
【0042】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0043】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0044】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0045】
(実施の形態1)
本実施の形態において、システムの電力消費効率を改善し得るシステムおよびその制御方法などについて説明する。
【0046】
本システムは、申込者にサービスを提供するシステムである。サービスとは、当該サービスについて予め定められた目標条件が満たされた場合に、当該サービスに申し込みをしたユーザである申込者に対して価値情報を提供するサービスである。ここでは、価値情報の一例としてトークンを用いて説明する。サービスの一例は、クラウドファンディングであり、この場合を例として説明するが、サービスは、預金、保険または投資などの金融商品などであってもよい。
【0047】
クラウドファンディングでは、ファンドにおける資金調達の単位をプロジェクトともいう。プロジェクトは、複数の申込者から金銭を集め、その金銭を用いて投資等により得た金銭リターンを申込者に提供するプロジェクトであることが想定される。プロジェクトについて、当該プロジェクトを管理する者を管理者といい、資金提供を申し込む者を申込者という。管理者は、資金提供の募集、および、価値情報の管理をする。プロジェクトは、当該プロジェクトについて定められた募集期間中に、定められた目標額の資金提供の申し込みを受けることができた場合に、「成立する」と表現される。
【0048】
図1は、本実施の形態におけるシステム1の構成を模式的に示すブロック図である。
【0049】
図1に示されるように、システム1は、サーバ10A、10B及び10Cと、端末40、50および51とを備える。システム1が備える各装置は、ネットワークNによって互いに通信可能に接続されている。ネットワークNは、どのような通信回線又はネットワークから構成されてもよく、例えば、インターネット、携帯電話のキャリアネットワークなどを含む。サーバ10A、10B及び10Cを「サーバ10A等」ともいう。
【0050】
サーバ10Aは、システム1によって行われるクラウドファンディングを管理する複数のサーバ10A、10B及び10Cのうちの1つである。サーバ10Aは、分散台帳を保有している複数のサーバ10A、10B及び10Cのうちの1つである。サーバ10Aが保有している分散台帳には、クラウドファンディングにおける手続または処理に関する各種トランザクションデータが格納される。サーバ10Aは、上記トランザクションデータを受信することで、クラウドファンディングにおけるデポジットおよびトークンに関する手続または処理を受け付ける。
【0051】
なお、プロジェクトにおける資金提供は、一例として、分散台帳により、トークンの提供として管理される。トークンは、分散台帳により管理されている価値情報であり、金銭、商品券またはクーポン等に相当し、または、金銭、商品券またはクーポン等に交換可能である。
【0052】
また、デポジットとは、目標条件が満たされたことに基づいてトークン(真のトークンともいう)が提供されるまでの間にトークンとして利用され得る仮のトークンを意味する。つまり、デポジットは、発行されてから、トークンが提供されるまでの間に有効であり、トークンが提供された後には無効であるように管理される。デポジットは、システム1からユーザに一時的に預ける価値情報であるといえる。
【0053】
サーバ10B及び10Cは、それぞれ、サーバ10Aと同じ機能を有する装置であり、サーバ10Aとは独立に動作する。なお、サーバの台数は、3に限られず、複数であればよい。また、サーバ10A等同士は、通信可能に接続されており、ネットワークNを介して接続されていてもよい。
【0054】
ここでは例として、サーバ10A等のうち、サーバ10Aが端末40等からトランザクションデータを受信したり、端末40等に通知を送信したりする場合を説明するが、他のサーバ(サーバ10Bまたは10C)が上記の処理を行ってもよい。
【0055】
端末40は、管理者が保有する端末装置である。管理者は、プロジェクトの募集期間および目標額を決定し、端末40によりシステム1に登録する。これにより管理者は、申込者による資金提供の申し込みの合計額が目標額に達するように、申込者による資金提供を募集する。端末40は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどである。
【0056】
端末50は、申込者が保有する端末装置である。申込者は、端末50を用いて、資金提供の募集に関する情報を参照し、資金提供の申し込みをする。申込者は、プロジェクトが成立する前にデポジットを提供される。提供されたデポジットは、申込者から他の者に提供されることもある。デポジットを保有している者(保有者)は、プロジェクトが成立するとトークンを提供される。なお、申し込みの際に申込者から管理者に資金が提供されてもよい。
【0057】
端末51は、ファンドの申込者であって、端末50を保有する申込者とは異なる申込者が保有する端末装置である。端末51は、端末50と同じ機能を有する装置であり、端末50とは独立に動作する。なお、申込者が保有する端末の台数は、2に限られず、申込者の人数と同じ数だけ存在する。
【0058】
以降において、システム1が備えるサーバ10A等の構成について詳細に説明する。
【0059】
図2は、本実施の形態におけるサーバ10Aの構成を模式的に示すブロック図である。
【0060】
図2に示されるように、サーバ10Aは、処理部11と、台帳管理部12と、制御部13とを備える。サーバ10Aが備える上記機能部は、例えばCPU(Central Processing Unit)がメモリを用いてプログラムを実行することで実現され得る。
【0061】
処理部11は、分散台帳によって各種情報の管理を行う処理部である。処理部11は、システム1内の装置からトランザクションデータを受信した場合、又は、制御部13が生成したトランザクションデータを取得した場合に、受信又は取得したトランザクションデータを台帳管理部12に提供することで分散台帳に格納する。トランザクションデータには、デポジット発行トランザクションデータ、デポジット提供トランザクションデータ、デポジット無効化トランザクションデータおよびトークン提供トランザクションデータが含まれる。各トランザクションデータについては後で詳しく説明する。
【0062】
台帳管理部12は、分散台帳を管理している処理部である。台帳管理部12は、処理部11から提供されたトランザクションデータを分散台帳に格納する。分散台帳には、過去から現在までのトランザクションデータが格納される。分散台帳に記録された情報の改ざんが困難であるという特性に基づいて、上記トランザクションデータが改ざんされないように管理されている。
【0063】
台帳管理部12は、格納部15と、台帳記憶部16とを有する。
【0064】
格納部15は、分散台帳に格納すべき新しいトランザクションデータを台帳記憶部16に格納する処理部である。格納部15は、分散台帳の種別に応じた方式で新しいトランザクションデータを台帳記憶部16に格納する。また、格納部15は、サーバ10A等のうちの他のサーバの格納部15と通信データを送受信し、他のサーバの台帳記憶部16にも上記新しいトランザクションデータを格納させる。例えば、格納部15は、分散台帳がブロックチェーンである場合には、新しいトランザクションデータを含むブロックを生成し、生成したブロックをサーバ10A等の間で同期をとったうえで、上記ブロックを台帳記憶部16に格納する。
【0065】
台帳記憶部16は、分散台帳を記憶している記憶装置である。台帳記憶部16に格納されている分散台帳は、1以上のトランザクションデータを記憶しており、ハッシュ値などの特性を用いて改ざんが困難であるように管理されている(後述)。
【0066】
なお、分散台帳は、例えばブロックチェーンであり、この場合を例として説明するが、他の方式の分散台帳(例えば、IOTA又はハッシュグラフ等)を採用することも可能である。なお、分散台帳は、新しいデータの格納の際にコンセンサスアルゴリズム(例えば、PBFT(Practical Byzantine Fault Tolerance)、PoW(Proof of Work)又はPoS(Proof of Stake))を実行するものであってもよいし、実行しないものであってもよい。コンセンサスアルゴリズムを実行しない分散台帳技術の一例としてHyperledger fabricがある。
【0067】
制御部13は、クラウドファンディングのプロジェクトの目標条件が達成されたか否かを判定するとともに、デポジットおよびトークンの制御をする処理部である。
【0068】
制御部13は、クラウドファンディングの目標条件を端末40から受信する。また、制御部13は、端末50及び51から資金提供の申し込みを受ける。制御部13は、クラウドファンディングの目標条件が満たされるか否かを判定する。
【0069】
制御部13は、目標条件が満たされたと判定した場合には、サービスについて予め定められたトークンを申込者に提供することを示すトランザクションデータであるトークン提供トランザクションデータ(第二トランザクションデータに相当)を分散台帳に格納する。
【0070】
また、制御部13は、デポジットの制御として、デポジットの提供および有効性を制御する。具体的には、制御部13は、申込トランザクションデータを分散台帳に格納してから、目標条件が満たされたか否かを判定する前の所定のタイミングにおいて、サービスについて予め定められたデポジットを申込者に提供する。デポジットを申込者に提供する際には、デポジットを提供することを示すトランザクションデータであるデポジット発行トランザクションデータ(第三トランザクションデータに相当)を分散台帳に格納する。所定のタイミングは、デポジットを申込者に提供するための条件(デポジット発行条件ともいう)が満たされたと判定したタイミングとすることができる。つまり、デポジットを申込者に提供する際には、あらかじめデポジット発行条件が満たされたか否かを制御部13が判定し、満たされたと判定した場合にデポジットを申込者に提供するようにしてもよい。なお、デポジットをシステム1から申込者に提供することを「発行」ともいう。
【0071】
デポジット発行条件は、例えば、所定数の申込トランザクションデータを受信したこと、または、受信した申込トランザクションデータの個数の増加速度が所定速度を超えたこと、とすることができる。これらの場合、目標条件が満たされると判定される蓋然性が比較的高いからである。
【0072】
また、制御部13は、デポジットの提供の制御として、ユーザから別のユーザへのデポジットの提供を制御することもできる。つまり、制御部13は、デポジット発行トランザクションデータを分散台帳に格納した後に、デポジットの保有者から、デポジットの提供先である被提供者に、デポジットを提供することを示すトランザクションデータであるデポジット提供トランザクションデータ(第四トランザクションデータに相当)を分散台帳に格納する。
【0073】
また、デポジットの有効性の制御とは、デポジットを有効なものとして扱うか、または、無効なものとして扱うかを制御することである。デポジット発行トランザクションデータが分散台帳に格納されたすぐ後には、発行されたデポジットは有効なものとして管理される。そして、目標条件が満たされることによりそのデポジットに対応するトークンが提供されるトークン提供トランザクションデータが分散台帳に格納されるときに、デポジットが無効になるように管理される。
【0074】
すなわち、制御部13は、目標条件が満たされたと判定した場合、または、目標条件が満たされないと判定した場合に、デポジットを無効化する。デポジットの無効化の際には、デポジットを無効化することを示すトランザクションデータであるデポジット無効化トランザクションデータ(第五トランザクションデータに相当)を分散台帳に格納する。
【0075】
また、制御部13は、デポジットを提供した後に目標条件が満たされた場合には、デポジットが真のトークンに置き換えられるように管理する。すなわち、制御部13は、デポジット発行トランザクションデータを分散台帳に格納した後に、目標条件が満たされたと判定した場合には、デポジットを保有している保有者に、デポジットに相当するトークンを提供するトランザクションデータであるトークン提供トランザクションデータ(第六トランザクションデータ)を分散台帳に格納する。
【0076】
なお、制御部13は、デポジットを提供した後に目標条件が満たされた場合には、デポジットの保有者に対して、通知(より具体的にはデポジットを真のトークンに両替する手続きをすることを促すための通知)をしてもよい。すなわち、制御部13は、デポジット発行トランザクションデータを分散台帳に格納した後に、目標条件が満たされたと判定した場合には、デポジットを保有している保有者に通知してもよい。
【0077】
また、制御部13は、デポジットを提供した後、申込者とは別のユーザ(保有者ともいう)にデポジットが提供された後に目標条件が満たされない場合には、保有者のデポジットを真のトークンに置き換えられるように管理するとともに、保有者のデポジットに相当するトークンを申込者から徴収するように管理してもよい。つまり、保有者のデポジットに相当するトークンを申込者から保有者に提供するように管理してもよい。すなわち、制御部13は、デポジット発行トランザクションデータを分散台帳に格納した後に、目標条件が満たされないと判定した場合には、デポジットの保有者が申込者でないときには、デポジットに相当するトークンを申込者から保有者に提供するトランザクションデータであるトークン提供トランザクションデータ(第七トランザクションデータに相当)を分散台帳に格納する。
【0078】
なお、制御部13は、デポジットの提供の回数を制限してもよい。すなわち、制御部13は、デポジット提供トランザクションデータを分散台帳に格納する際には、デポジットが予め定められた回数を超えて提供されることになる場合には、デポジット提供トランザクションデータを分散台帳に格納することを制限してもよい。
【0079】
なお、制御部13の上記の処理の一部または全部は、台帳記憶部16に記憶されたコントラクトコードを実行することで実現されるスマートコントラクトによりなされ得るが、これに限定されない。例えば、デポジットの提供処理は、第一トランザクションデータを分散台帳に格納したことに基づいて実行されるスマートコントラクトによりなされてもよい。
【0080】
以降において、各種トランザクションデータについて説明する。
【0081】
図3は、本実施の形態におけるデポジット発行トランザクションデータの第一例を模式的に示す説明図である。
図3に示されるデポジット発行トランザクションデータは、デポジットの発行の際にサーバ10A等により生成される。
【0082】
図3に示されるデポジット発行トランザクションデータは、デポジットIDと、提供先IDと、デポジット額と、発行日時と、残使用回数と、署名とを含む。
【0083】
デポジットIDは、当該デポジット発行トランザクションデータにより発行されるデポジットを一意に特定し得る識別子である。
【0084】
提供先IDは、当該デポジット発行トランザクションデータにより発行されるデポジットの提供先であるユーザを一意に特定し得る識別子である。
【0085】
デポジット額は、当該デポジット発行トランザクションデータにより発行されるデポジットの額(またはデポジットの量)を示す情報である。
【0086】
発行日時は、当該デポジット発行トランザクションデータによりデポジットが発行される日時を示す情報である。
【0087】
残使用回数は、当該デポジット発行トランザクションデータにより発行されるデポジットが使用され得る回数を示す情報である。ここでの「使用」とは、例えばデポジットの提供を意味しており、その場合、残使用回数は、当該デポジットが提供され得る回数を示している。なお、残使用回数は、発行又は提供されるデポジットに付される条件を示す制限情報の一例である。制限情報には、残使用回数の他に、例えば、当該デポジット提供トランザクションデータにより提供されたデポジットのうち、さらに提供されるデポジットの割合を示す情報が含まれ得る。
【0088】
署名は、当該デポジット発行トランザクションデータを生成した装置又は人が付した電子署名である。
【0089】
図3に示されるデポジット発行トランザクションデータは、デポジットIDが「67g4」であるデポジットを、ユーザapaに発行するためのトランザクションデータである。発行されるデポジットは、デポジットの額が「1」であり、発行日時が「2018.10.05 10:00:30」であり、残使用回数が「3回」である。署名は、サーバ10A等の電子署名である。なお、ユーザIDが「A」であるユーザを「ユーザA」と表記した。以降でも同様とする。
【0090】
なお、
図3に示されるデポジット発行トランザクションデータは、分散台帳を保有している複数のサーバを備えるサービス管理システムにおいて用いられるデータ構造であって、サービスについて予め定められた仮のトークンであるデポジットを一意に特定し得る識別情報と、デポジットが提供される提供先を一意に特定し得る識別情報と、デポジットの量を示す情報と、デポジットの発行者の電子署名とを含むデータ構造であるともいえる。
【0091】
また、
図3に示されるデポジット発行トランザクションデータは、分散台帳を保有している複数のサーバを備えるサービス管理システムにおいて、分散台帳に記録されるデータ構造であって、サービスについて予め定められた期限までの間のみ有効であって、サービスの申込者に対して付与される仮のトークンであるデポジットを示す第1IDと、デポジットの額と、デポジットの使用条件と、申込者を示す第2IDと、を含み、分散台帳に記録された後に、申込者に対してデポジットを付与する処理に用いられるデータ構造であるともいえる。
【0092】
図4は、本実施の形態におけるデポジット提供トランザクションデータを模式的に示す説明図である。
図4に示されるデポジット提供トランザクションデータは、デポジットの提供の際にサーバ10A等により生成される。
【0093】
図4に示されるデポジット提供トランザクションデータは、デポジットIDと、提供元IDと、提供先IDと、デポジット額と、提供日時と、残使用回数と、署名とを含む。
【0094】
デポジットIDは、当該デポジット提供トランザクションデータにより提供されるデポジットを一意に特定し得る識別子である。
【0095】
提供元IDは、当該デポジット提供トランザクションデータにより提供されるデポジットの提供元であるユーザを一意に特定し得る識別子である。
【0096】
提供先IDは、当該デポジット提供トランザクションデータにより提供されるデポジットの提供先であるユーザを一意に特定し得る識別子である。
【0097】
デポジット額は、当該デポジット提供トランザクションデータにより提供されるデポジットの額(またはデポジットの量)を示す情報である。
【0098】
提供日時は、当該デポジット提供トランザクションデータによりデポジットが提供される日時を示す情報である。
【0099】
残使用回数は、当該デポジット提供トランザクションデータにより提供されるデポジットが使用され得る回数を示す情報である。残使用回数は、提供されるデポジットに付される条件を示す制限情報の一例である。制限情報には、例えば、当該デポジット提供トランザクションデータにより提供された後に、さらに提供され得る割合を示す情報が含まれ得る。
【0100】
署名は、当該デポジット提供トランザクションデータを生成した装置又は人が付した電子署名である。
【0101】
図4に示されるデポジット提供トランザクションデータは、デポジットIDが「67g4」であるデポジットを、ユーザapaからユーザapbに提供するためのトランザクションデータである。提供されるデポジットは、デポジットの額が「1」であり、提供日時が「2018.10.14 15:00:00」であり、残使用回数が「2回」である。署名は、提供元「apa」の電子署名である。
【0102】
図5は、本実施の形態におけるデポジット無効化トランザクションデータを模式的に示す説明図である。
図5に示されるデポジット無効化トランザクションデータは、デポジットの無効化の際にサーバ10A等により生成される。
【0103】
図5に示されるデポジット無効化トランザクションデータは、デポジットIDと、無効化日時と、署名とを含む。
【0104】
デポジットIDは、当該デポジット無効化トランザクションデータにより無効化されるデポジットを一意に特定し得る識別子である。
【0105】
無効化日時は、当該デポジット無効化トランザクションデータによりデポジットが無効化される日時を示す情報である。
【0106】
署名は、当該デポジット無効化トランザクションデータを生成した装置又は人が付した電子署名である。
【0107】
図5に示されるデポジット無効化トランザクションデータは、デポジットIDが「67g4」であるデポジットを無効化するためのトランザクションデータである。デポジットが無効化される日時は「2018.10.30 05:00:00」である。署名は、サーバ10A等の電子署名である。
【0108】
図6は、本実施の形態におけるトークン提供トランザクションデータを模式的に示す説明図である。
図6に示されるトークン提供トランザクションデータは、トークンの提供の際にサーバ10A等により生成される。
【0109】
図6に示されるトークン提供トランザクションデータは、トークンIDと、提供元IDと、提供先IDと、トークン額と、提供日時と、署名とを含む。
【0110】
トークンIDは、当該トークン提供トランザクションデータにより提供されるトークンを一意に特定し得る識別子である。
【0111】
提供元IDは、当該トークン提供トランザクションデータにより提供されるトークンの提供元であるユーザを一意に特定し得る識別子である。
【0112】
提供先IDは、当該トークン提供トランザクションデータにより提供されるトークンの提供先であるユーザを一意に特定し得る識別子である。
【0113】
トークン額は、当該トークン提供トランザクションデータにより提供されるトークンの額(またはトークンの量)を示す情報である。
【0114】
提供日時は、当該トークン提供トランザクションデータによりトークンが提供される日時を示す情報である。
【0115】
署名は、当該トークン提供トランザクションデータを生成した装置又は人が付した電子署名である。
【0116】
図6に示されるトークン提供トランザクションデータは、トークンIDが「10067g4」であるトークンを、ユーザapaからユーザusxに提供するためのトランザクションデータである。提供されるトークンは、トークン額が「1」であり、提供日時が「2018.10.30 05:00:00」である。署名は、サーバ10A等の電子署名である。
【0117】
以上のように構成されたシステム1およびサーバ10A等の処理を説明する。
【0118】
図7は、本実施の形態におけるサーバ10A等の処理の第一例を示すフロー図である。
図7に示されるフロー図の開始の時点で、制御部13は、既に目標条件を管理者U1の端末40から取得済みであるとする。
【0119】
図7に示されるように、ステップS101において、処理部11は、申込者U2の端末50から申込トランザクションデータを受信したか否かを判定する。申込トランザクションデータを受信した場合(ステップS101でYes)には、ステップS102に進み、そうでない場合(ステップS101でNo)には、ステップS103に進む。
【0120】
ステップS102において、処理部11は、ステップS101で受信した申込トランザクションデータを台帳管理部12に提供することで、分散台帳に格納する。また、処理部11は、上記申込トランザクションデータを他のサーバ10B等に送信し、すべてのサーバ10A等の分散台帳に格納させる。
【0121】
ステップS103において、制御部13は、デポジット発行条件が満たされたか否かを判定する。デポジット発行条件が満たされたと判定した場合(ステップS103でYes)には、ステップS104に進み、そうでない場合(ステップS103でNo)には、ステップS106に進む。
【0122】
ステップS104において、制御部13は、デポジットを発行するデポジット提供トランザクションデータを生成する。
【0123】
ステップS105において、制御部13は、ステップS104で生成したデポジット提供トランザクションデータを台帳管理部12に提供することで、分散台帳に格納する。また、制御部13は、上記デポジット提供トランザクションデータを他のサーバ10B等に送信し、すべてのサーバ10A等の分散台帳に格納させる。このあと、提供されたデポジットは、他のユーザに提供されることができる。デポジットが他のユーザに提供される処理は後述する。
【0124】
ステップS106において、制御部13は、募集期間が終了したか否かを判定する。募集期間が終了したか否かは、予め定められている募集期限が到来しているか否かにより判定される。募集期間が終了したと判定した場合(ステップS106でYes)には、ステップS107に進み、そうでない場合(ステップS106でNo)には、ステップS101に進む。
【0125】
ステップS107において、制御部13は、募集期間が終了したことを申込者U3等つまり端末50等に通知する。なお、ステップS107は、実行されなくてもよい。
【0126】
ステップS108において、制御部13は、クラウドファンディングのプロジェクトの目標条件が満たされたか否かを判定する。目標条件が満たされたと判定された場合(ステップS108でYes)には、ステップS109に進み、そうでない場合(ステップS108でNo)には、ステップS121に進む。
【0127】
ステップS109において、制御部13は、目標条件が達成したことを申込者U3等つまり端末50等に通知する。なお、ステップS109は、実行されなくてもよい。
【0128】
ステップS110において、制御部13は、デポジットを無効化する無効化トランザクションデータを生成する。
【0129】
ステップS111において、制御部13は、ステップS110で生成した無効化トランザクションデータを台帳管理部12に提供することで、分散台帳に格納する。また、制御部13は、上記無効化トランザクションデータを他のサーバ10B等に送信し、すべてのサーバ10A等の分散台帳に格納させる。
【0130】
ステップS112において、制御部13は、管理者からデポジットの保有者へトークンを提供するトークン提供トランザクションデータを生成する。生成されるトークン提供トランザクションデータにおいて、提供されるトークンの額は、保有者が保有しているデポジットの額に相当する額である。
【0131】
ステップS113において、制御部13は、ステップS112で生成したトークン提供トランザクションデータを台帳管理部12に提供することで、分散台帳に格納する。また、制御部13は、上記トークン提供トランザクションデータを他のサーバ10B等に送信し、すべてのサーバ10A等の分散台帳に格納させる。
【0132】
ステップS121において、制御部13は、目標条件が達成されなかったことを申込者U3等つまり端末50等に通知する。なお、ステップS121は、実行されなくてもよい。
【0133】
ステップS122において、制御部13は、デポジットを無効化する無効化トランザクションデータを生成する。
【0134】
ステップS123において、制御部13は、ステップS122で生成した無効化トランザクションデータを台帳管理部12に提供することで、分散台帳に格納する。また、制御部13は、上記無効化トランザクションデータを他のサーバ10B等に送信し、すべてのサーバ10A等の分散台帳に格納させる。
【0135】
ステップS124において、制御部13は、申込者から被提供者へトークンを提供するトークン提供トランザクションデータを生成する。生成されるトークン提供トランザクションデータにおいて、提供されるトークンの額は、被提供者が保有しているデポジットの額に相当する額である。
【0136】
ステップS125において、制御部13は、ステップS124で生成したトークン提供トランザクションデータを台帳管理部12に提供することで、分散台帳に格納する。また、制御部13は、上記トークン提供トランザクションデータを他のサーバ10B等に送信し、すべてのサーバ10A等の分散台帳に格納させる。
【0137】
ステップS113又はS125のあと、
図7に示される一連の処理を終了する。
【0138】
図8は、本実施の形態におけるサーバ10Aの処理の第二例を示すフロー図である。
【0139】
図8に示される処理は、デポジットが発行された(
図7のステップS105)後、そのデポジットが無効化される(
図7のステップS111又はS123)までの期間に、
図7に示される処理と並行して実行される処理である。
【0140】
ステップS201において、処理部11は、申込者U2の端末50等からデポジット提供トランザクションデータを受信したか否かを判定する。デポジット提供トランザクションデータを受信した場合(ステップS201でYes)には、ステップS202に進み、そうでない場合(ステップS201でNo)には、ステップS201を再び実行する。つまり処理部11は、デポジット提供トランザクションデータを受信するまでステップS201で待機する。
【0141】
ステップS202において、制御部13は、ステップS201で受信したデポジット提供トランザクションデータに含まれる残使用回数を参照し、残使用回数が1以上であるか否かを判定する。残使用回数が1以上であると判定した場合(ステップS202でYes)には、ステップS203に進み、そうでない場合(ステップS202でNo)には、ステップS211に進む。
【0142】
ステップS203において、処理部11は、ステップS201で受信したデポジット提供トランザクションデータを台帳管理部12に提供することで、分散台帳に格納する。また、処理部11は、上記デポジット提供トランザクションデータを他のサーバ10B等に送信し、すべてのサーバ10A等の分散台帳に格納させる。
【0143】
ステップS204において、制御部13は、ステップS201で受信したデポジット提供トランザクションデータにかかるデポジットの残使用回数を1減算する。ステップS204の処理を終えたらステップS201に進む。
【0144】
ステップS211において、制御部13は、使用回数が制限を超えたことを提供元に通知する。なお、このとき、使用回数が制限を超えたという事実を分散台帳に格納してもよい。ステップS211の処理を終えたらステップS201に進む。
【0145】
なお、デポジットの回数の制限を管理しない場合には、ステップS202、ステップS204およびステップS211を実行する必要はない。
【0146】
次に、システム1の全体の処理を説明する。
【0147】
図9は、
図7に対応するシステム1全体の処理を示すシーケンス図である。
図9には、目標条件が満たされた場合のシステム1全体の処理が示されている。なお、
図7のフロー図と同じ処理を示すものは、
図7と同じ符号を付し詳細な説明を省略する。
【0148】
まず、あらかじめ、管理者U1の端末40は、目標条件を生成し、サーバ10A等に送信している(ステップS301)。目標条件は、募集期限、目標額などの情報を含む。サーバ10Aは、送信された目標条件を受信し、サーバ10A等の間で共有する(ステップS100)。
【0149】
ステップS311において、端末50は、申込トランザクションデータを生成してサーバ10A等に送信する。このとき、端末51は、生成した申込トランザクションデータをサーバ10A等のうちの1つのサーバに送信してもよいし、複数のサーバに送信してもよい。
【0150】
サーバ10A等は、送信された申込トランザクションデータを受信し、分散台帳に格納する(ステップS101及びS102)。また、サーバ10A等は、デポジット発行条件が満たされたと判定した場合に、申込トランザクションデータの送信元である端末51に係る申込者U3にデポジットを発行するデポジット提供トランザクションデータを生成し、分散台帳に格納する(ステップS103〜105)。また、募集期間が終了した場合には、募集期間が終了したことの通知を送信する(ステップS106及びS107)。
【0151】
そして、サーバ10A等は、目標条件が満たされた場合には、すでに発行したデポジットを無効化する無効化トランザクションデータを生成し、分散台帳に格納する(ステップS110〜S111)。
【0152】
また、デポジットを保有している保有者にトークンを提供するトークン提供トランザクションデータを生成し、分散台帳に格納する(ステップS112〜S113)。
【0153】
(各実施の形態の変形例1)
本変形例において、上記各実施の形態のサービス管理システムの別の構成について説明する。
【0154】
図10は、本変形例におけるシステム2の構成を模式的に示すブロック図である。
【0155】
図10に示されるように、システム2は、サーバ10A、10B及び10Cと、端末40、50および51とを備える。システム2が備える各装置は、ネットワークNによって互いに通信可能に接続されている。ネットワークNは、どのような通信回線又はネットワークから構成されてもよく、例えば、インターネット、携帯電話のキャリアネットワークなどを含む。
【0156】
特に、システム2では、サーバ10A、10B及び10Cが互いにネットワークNを介して接続されている。また、サーバ10Aに端末51が接続されており、サーバ10Bに端末50が接続されており、サーバ10Cに端末40が接続されている。
【0157】
このような構成は、例えば、複数の団体がシステム2を運営する場合において、各団体が管理するサーバをネットワークNを介して接続する場合に利用され得る。例えば、団体Aにサーバ10Aと端末51とが所属しており、団体Bにサーバ10Bと端末50とが所属しており、団体Cにサーバ10Cと端末40とが所属している。
【0158】
サーバ10A等及び端末40等の動作は、上記各実施の形態における場合と同様であるので説明を省略する。
【0159】
(各実施の形態の変形例2)
本変形例において、上記各実施の形態のサービス管理システムの別の構成について説明する。
【0160】
図11は、本変形例におけるシステム3の構成を模式的に示すブロック図である。
【0161】
図11に示されるように、システム3は、サーバ10Dと、端末40、50および51とを備える。システム3が備える各装置は、ネットワークNによって互いに通信可能に接続されている。ネットワークNは、どのような通信回線又はネットワークから構成されてもよく、例えば、インターネット、携帯電話のキャリアネットワークなどを含む。
【0162】
特に、システム3では、サーバ10D、並びに、端末50および51が互いにネットワークNを介して接続されている。また、サーバ10Dに端末40が接続されている。この場合、端末50および51それぞれが、上記各実施の形態におけるサーバ10A等の動作をする。
【0163】
このような構成は、例えば、1以上の団体と1以上の個人とがシステム3を運営する場合において、各団体又は各個人が管理するサーバ又は端末をネットワークNを介して接続する場合に利用され得る。例えば、団体Dにサーバ10Dと端末40とが所属しており、団体Dと、個人である申込者U2およびU3とがシステム3を運営している。
【0164】
サーバ10A等及び端末40等の動作は、上記各実施の形態における場合と同様であるので説明を省略する。
【0165】
(各実施の形態の変形例3)
図12は、本変形例におけるサーバの処理を示すフロー図である。
図12に示されるフロー図は、分散台帳を保有している複数のサーバを備えるサービス管理システムにおいて、当該複数のサーバのうちの一のサーバが実行する制御方法である。
【0166】
サーバは、サービスの申し込みに関するトランザクションデータである第一トランザクションデータを受信し、受信した第一トランザクションデータを複数のサーバそれぞれが備える分散台帳に格納する(ステップS401)。ここで、上記サービスは、サービスについて予め定められた目標条件が満たされた場合に、当該サービスに申し込みをしたユーザである申込者に対してトークンを提供するサービスである。
【0167】
サーバは、目標条件が満たされたと判定した場合(ステップS403でYes)には、サービスについて予め定められたトークンをユーザに提供することを示すトランザクションデータである第二トランザクションデータを分散台帳に格納する(ステップS404)。
【0168】
サーバは、第一トランザクションデータを分散台帳に格納してから、目標条件が満たされたか否かを判定するまでの期間に含まれる所定のタイミングにおいて、サービスについて予め定められた仮のトークンであるデポジットをユーザに提供することを示すトランザクションデータである第三トランザクションデータを分散台帳に格納する(ステップS402)。
【0169】
これにより、サービス管理システムは、システムの電力消費効率を改善することができる。
【0170】
図13は、本変形例におけるサーバの構成を模式的に示すブロック図である。
【0171】
図13に示されるように、分散台帳を保有している複数のサーバを備えるサービス管理システムにおいて、当該複数のサーバのうちの一のサーバ60Aは、処理部61と、制御部63とを備える。
【0172】
処理部61は、サービスの申し込みに関するトランザクションデータである第一トランザクションデータを受信し、受信した前記第一トランザクションデータを前記複数のサーバそれぞれが備える前記分散台帳に格納する。ここで、サービスは、サービスについて予め定められた目標条件が満たされた場合に、当該サービスに申し込みをしたユーザである申込者に対してトークンを提供するサービスである。
【0173】
制御部63は、目標条件が満たされたと判定した場合には、サービスについて予め定められたトークンをユーザに提供することを示すトランザクションデータである第二トランザクションデータを分散台帳に格納する。
【0174】
また、制御部63は、第一トランザクションデータを分散台帳に格納してから、目標条件が満たされたか否かを判定するまでの期間に含まれる所定のタイミングにおいて、サービスについて予め定められた仮のトークンであるデポジットをユーザに提供することを示すトランザクションデータである第三トランザクションデータを分散台帳に格納する。
【0175】
これにより、サービス管理システムは、システムの電力消費効率を改善することができる。
【0176】
(補足)
上記各実施の形態、又は、変形例におけるブロックチェーンについて補足的に説明する。
【0177】
図14は、ブロックチェーンのデータ構造を示す説明図である。
【0178】
ブロックチェーンは、その記録単位であるブロックがチェーン(鎖)状に接続されたものである。それぞれのブロックは、複数のトランザクションデータと、直前のブロックのハッシュ値とを有している。具体的には、ブロックB2には、その前のブロックB1のハッシュ値が含まれている。そして、ブロックB2に含まれる複数のトランザクションデータと、ブロックB1のハッシュ値とから演算されたハッシュ値が、ブロックB2のハッシュ値として、ブロックB3に含められる。このように、前のブロックの内容をハッシュ値として含めながら、ブロックをチェーン状に接続することで、記録されたトランザクションデータの改ざんを有効に防止する。
【0179】
仮に過去のトランザクションデータが変更されると、ブロックのハッシュ値が変更前と異なる値になり、改ざんしたブロックを正しいものとみせかけるには、それ以降のブロックすべてを作り直さなければならず、この作業は現実的には非常に困難である。この性質を使用して、ブロックチェーンに改ざん困難性が担保されている。
【0180】
図15は、トランザクションデータのデータ構造を示す説明図である。
【0181】
図15に示されるトランザクションデータは、トランザクション本体P1と、電子署名P2とを含む。トランザクション本体P1は、当該トランザクションデータに含まれるデータ本体である。電子署名P2は、トランザクション本体P1のハッシュ値に対して、当該トランザクションデータの作成者の署名鍵で署名する、より具体的には、作成者の秘密鍵で暗号化することで生成されたものである。
【0182】
トランザクションデータは、電子署名P2を有するので、改ざんが実質的に不可能である。これにより、トランザクション本体の改ざんが防止される。
【0183】
以上のように、上記の実施の形態のシステムは、目標条件が達成されるまでの期間に、将来に提供する価値情報であるトークンに相当する仮のトークンであるデポジットをユーザに提供する。デポジットは、トークンと同じように、または、トークンに準ずるように使用されるように分散台帳によって管理され得る。よって、システムは、目標条件が達成されるまでの期間にユーザに価値情報を与える処理をすることで電力消費効率が改善し得る。よって、本発明に係る制御方法は、システムの電力消費効率を改善し得る。
【0184】
また、分散台帳に格納されたトランザクションデータの改ざんが実質的に不可能であることから、システムにより管理されているデポジットの提供に関する管理情報が適切に管理される。仮に、上記管理情報が改ざんされると、デポジットおよびトークンといった価値情報の流通が不適切になる。本発明の一態様に係る制御方法によれば、管理情報が分散台帳に格納され、改ざんが実質的に不可能となるので、デポジットおよびトークンといった価値情報の流通を適切に管理できる効果もある。
【0185】
また、システムは、さらに、デポジットを被提供者に提供する処理により、申込者に提供した価値情報をユーザ間で流通させることができる。システムは、このように価値情報を流通させる処理をするので、電力消費効率がより一層改善し得る。よって、本発明に係る制御方法は、システムの電力消費効率をより一層改善し得る。
【0186】
また、システムは、目標条件が達成されない場合にデポジットを無効化する処理をするので、デポジットの有効性の制御を適切に行うことができる。よって、本発明に係る制御方法は、価値情報の流通をより一層適切に管理しながら、システムの電力消費効率をより一層改善し得る。
【0187】
また、システムは、目標条件が達成された場合に、デポジットに対応するトークンを提供する処理をするので、目標条件を達成した後にデポジットをトークンに置き換えるように管理することができる。よって、本発明に係る制御方法は、価値情報の流通をより一層適切に管理をしながら、システムの電力消費効率をより一層改善し得る。
【0188】
また、システムは、目標条件が達成された場合に通知をすることにより、目標条件を達成した後にデポジットをトークンに置き換える行動(つまり両替)を促すことができる。よって、本発明に係る制御方法は、価値情報の流通をより一層適切に管理しながら、システムの電力消費効率をより一層改善し得る。
【0189】
また、システムは、目標条件が達成された場合に、申込者ではない保有者が保有しているデポジットを置き換えるトークンが、申込者から提供されたように管理する。仮に、保有者が保有しているデポジットが単に消滅してしまうことになれば、価値情報の流通が不適切になる。よって、本発明に係る制御方法は、価値情報の流通をより一層適切に管理しながら、システムの電力消費効率をより一層改善し得る。
【0190】
また、システムは、デポジットが所定回数を超えて提供されないように管理することができる。デポジットは、目標条件が満たされるまでの期間に限定してトークンとして利用されるものであることに鑑み、提供できる範囲を制限するためである。よって、本発明に係る制御方法は、価値情報の流通を一層適切に管理しながら、システムの電力消費効率をより一層改善し得る。
【0191】
また、システムは、デポジットの提供の処理を、他の人又は他のシステムを介在することなく、早期かつ安全に実行される。よって、本発明に係る制御方法は、早期かつ安全な処理をしながら、システムの電力消費効率を改善し得る。
【0192】
また、システムは、コンセンサスアルゴリズムの実行を得て分散台帳を格納する。よって、本発明に係る制御方法は、コンセンサスアルゴリズムの実行を経ることによって、より容易に、システムの電力消費効率をより一層改善し得る。
【0193】
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記実施の形態のコンテンツ管理システムなどを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
【0194】
すなわち、このプログラムは、コンピュータに、分散台帳を保有している複数のサーバを備えるサービス管理システムにおいて、当該複数のサーバのうちの一のサーバが実行する制御方法であって、サービスの申し込みに関するトランザクションデータである第一トランザクションデータを受信し、受信した前記第一トランザクションデータを前記複数のサーバそれぞれが備える前記分散台帳に格納し、前記サービスは、前記サービスについて予め定められた目標条件が満たされた場合に、当該サービスに申し込みをしたユーザである申込者に対してトークンを提供するサービスであり、前記目標条件が満たされたと判定した場合には、前記サービスについて予め定められたトークンを前記ユーザに提供することを示すトランザクションデータである第二トランザクションデータを前記分散台帳に格納し、前記第一トランザクションデータを前記分散台帳に格納してから、前記目標条件が満たされたか否かを判定するまでの期間に含まれる所定のタイミングにおいて、前記サービスについて予め定められた仮のトークンであるデポジットを前記ユーザに提供することを示すトランザクションデータである第三トランザクションデータを前記分散台帳に格納する制御方法を実行させるプログラムである。
【0195】
以上、一つまたは複数の態様に係るサービス管理システムなどについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。