(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年9月3日
【発行日】2021年12月23日
(54)【発明の名称】シール装置及び複合ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/08 20060101AFI20211126BHJP
F04D 29/10 20060101ALI20211126BHJP
F04D 7/02 20060101ALI20211126BHJP
F16J 15/447 20060101ALI20211126BHJP
F16J 15/18 20060101ALI20211126BHJP
F16J 15/40 20060101ALI20211126BHJP
【FI】
F04D29/08 C
F04D29/10 Z
F04D7/02 A
F16J15/447
F16J15/18 C
F16J15/40 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
【出願番号】特願2021-501530(P2021-501530)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年8月2日
(31)【優先権主張番号】特願2019-31403(P2019-31403)
(32)【優先日】2019年2月25日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】陸 亨
(72)【発明者】
【氏名】石川 康弘
【テーマコード(参考)】
3H130
3J042
3J043
【Fターム(参考)】
3H130AA02
3H130AA06
3H130AB22
3H130AB42
3H130AB62
3H130AB65
3H130AB70
3H130AC00
3H130BA53D
3H130BA53F
3H130DA02Z
3H130DC01X
3H130DC11X
3H130DC14X
3H130DD09X
3H130EA07F
3J042AA04
3J042AA11
3J042BA03
3J042CA10
3J042CA15
3J042DA08
3J042DA20
3J043AA16
3J043CA02
3J043HA03
3J043HA04
(57)【要約】
このシール装置は、被シール軸(1)に沿って設けられた複数の非接触シール(7A〜7C,9A,9B)と、前記複数の非接触シールの両側の少なくとも一方に設けられた接触シール(8,10)と、前記被シール軸の軸方向に並ぶ、前記複数の非接触シール及び前記接触シール間の空間のうち、第1空間(Sc,Sb)にパージガスを噴射する噴射部(11)と、前記複数の非接触シール及び接触シール間の空間のうちの、前記第1空間の前記軸方向の隣に位置する第2空間(Sl,Sr,Sa)から前記パージガスを回収する回収部(12A,12B)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被シール軸に沿って設けられた複数の非接触シールと、
前記複数の非接触シールの両側の少なくとも一方に設けられた接触シールと、
前記被シール軸の軸方向に並ぶ、前記複数の非接触シール及び前記接触シール間の空間のうちの、第1空間にパージガスを噴射する噴射部と、
前記複数の非接触シール及び前記接触シール間の空間のうちの、前記第1空間の前記軸方向の隣に位置する第2空間から前記パージガスを回収する回収部と
を備えるシール装置。
【請求項2】
前記回収部は、前記第1空間の両側にそれぞれ位置する前記第2空間から前記パージガスを回収するように構成されている請求項1記載のシール装置。
【請求項3】
前記被シール軸は、ターボポンプの回転軸である請求項1または2記載のシール装置。
【請求項4】
前記回転軸には、酸化剤を送り出す酸化剤インペラと、燃料を送り出す燃料インペラと、外部から流入する駆動ガスによって回転動力を発生するタービンとが装着されている請求項3に記載のシール装置。
【請求項5】
回転軸と、
前記回転軸に装着された、酸化剤インペラまたは燃料インペラと、タービンと、
請求項1から4のいずれか一項に記載のシール装置と、を備え、
前記回転軸が、前記シール装置の前記被シール軸として機能する、複合ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
シール装置及び複合ポンプに関する。
本願は、2019年2月25日に日本に出願された特願2019−031403号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、シャフトに沿って所定間隔を空けて4つの非接触シールを配置し、かつ、当該4つの非接触シール間の空間のうちの中央の空間に、外周(径方向外側)に設けられたパージ流路からヘリウムガスを吐出し、当該シャフトに沿って中央の空間の両側の空間に各々設けられた排気流路からヘリウムガスを回収するシール装置が開示されている。このようなシール装置は、4つの非接触シールによる機械的シール性能とヘリウムガスに基づく気体的シール性能とを併せ持っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7544039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の技術では、ヘリウムガスの供給が停止した場合に気体的シール性能が失われ、機械的シール性能のみとなるので、所望のシール性能が得られなくなる。すなわち、従来技術は、シール性能の堅牢性という面で改善の余地がある。
【0005】
上述した事情に鑑みてなされたものであり、従来よりも堅牢性が高いシール装置及びポンプの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
目的を達成するために、本開示の第1の態様のシール装置は、被シール軸に沿って設けられた複数の非接触シールと、前記複数の非接触シールの両側の少なくとも一方に設けられた接触シールと、前記被シール軸の軸方向に並ぶ、前記複数の非接触シール及び前記接触シール間の空間のうちの、第1空間にパージガスを噴射する噴射部と、前記複数の非接触シール及び接触シール間の空間のうちの、前記第1空間の前記軸方向の隣に位置する第2空間から前記パージガスを回収する回収部とを備える。
【0007】
本開示の第2の態様は、第1の態様のシール装置において、前記回収部は、前記第1空間の両側にそれぞれ位置する前記第2空間から前記パージガスを回収するように構成されている。
【0008】
本開示の第3の態様は、第1または第2の態様のシール装置において、前記被シール軸は、ターボポンプの回転軸である。
【0009】
本開示の第4の態様は、第3の態様のシール装置において、前記回転軸には、酸化剤を送り出す酸化剤インペラと、燃料を送り出す燃料インペラと、外部から流入する駆動ガスによって回転動力を発生するタービンとが装着されている。
【0010】
また、本開示の第5の態様の複合ポンプは、回転軸と、前記回転軸に装着された、酸化剤インペラまたは燃料インペラと、タービンと、前記第1の態様から第4の態様のいずれか1つの態様に記載のシール装置と、を備え、前記回転軸が、前記シール装置の前記被シール軸として機能する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、従来よりも堅牢性が高いシール装置及び複合ポンプを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の一シール装置及び複合ポンプの構成を示す模式図である。
【図2】本開示の一実施形態の変形例に係るシール装置及び複合ポンプの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本開示の一実施形態について説明する。
図1に示すように、本複合ポンプP1は、ロケットエンジンに酸化剤と燃料とを供給するターボポンプ(遠心ポンプ;非容積型ポンプ)である。酸化剤は例えば液体酸素であり、また燃料は例えばLNG(液化天然ガス)である。
【0014】
この複合ポンプP1は、図1に示すように回転軸1(被シール軸)、第1、第2軸受2A,2B、第1インペラ3、第2インペラ4、タービン5、第1、第2壁部6A,6B、第1〜第3非接触シール7A〜7C、第1接触シール8、第4、第5非接触シール9A、9B、第2接触シール10、噴射部11及び第1、第2回収部12A,12Bを備えている。
【0015】
これら構成要素のうち、第1〜第3非接触シール7A〜7C、第1接触シール8、噴射部11及び第1、第2回収部12A,12Bは、本第1のシール装置A1を構成している。また、第4、第5非接触シール9A、9B、第2接触シール10、噴射部11及び第1、第2回収部12A,12Bは、本第2のシール装置A2を構成している。また第1のシール装置A1及び第2のシール装置A2は、回転軸1(軸部材)を備えていてもよい。以下の説明において、第1インペラ3が設けられている側を左側、タービン5が設けられている側を右側と称する場合がある。
【0016】
回転軸1は、所定径かつ所定長さを有する円柱状部材であり、本実施形態における被シール軸である。第1、第2軸受2A,2Bは、この回転軸1を回転可能に支持するラジアル軸受であり、回転軸1の長さ方向(軸方向)に所定の間隔を空けて設けられている。これら第1、第2軸受2A,2Bのうち、第1軸受2Aは、図1に示すように回転軸1の長さ方向において第1インペラ3の近傍(第1インペラ3の右隣)に設けられ、第2軸受2Bは、回転軸1の長さ方向において第2インペラ4の近傍(第2インペラ4の右隣)に設けられている。
【0017】
なお、この図1では、回転軸1を回転可能に支持する支持部材として、第1、第2軸受2A,2B(ラジアル軸受)のみが描かれているが、これは便宜的な記載であり必要に応じてスラスト軸受が付加的に設けられてもよい。
【0018】
第1インペラ3は、複数の羽根が中心軸周りに略放射状に形成された羽根車であり、図示しないケーシング(第1ポンプケーシング)内に収容されている。この第1インペラ3は、回転軸1の左端(一端)近傍部位に同軸状に装着されている。すなわち、この第1インペラ3は、回転軸1を回転中心として回転する回転翼であり、軸方向から酸化剤を吸引して半径方向に送り出す酸化剤インペラである。
【0019】
第2インペラ4は、複数の羽根が中心軸周りに略放射状に形成された羽根車であり、図示しないケーシング(第2ポンプケーシング)内に収容されている。この第2インペラ4は、回転軸1の中間近傍部位に同軸状に装着されており、上述した第1インペラ3と同様に回転軸1を回転中心として回転する回転翼である。このような第2インペラ4は、軸方向から燃料を吸引して半径方向に送り出す燃料インペラである。
【0020】
タービン5(タービン翼)は、複数の羽根が中心軸周りに略放射状に形成された羽根車であり、図示しないケーシング(タービンケーシング)内に収容されている。このタービン5は、回転軸1の右端(他端)近傍部位に同軸状に装着されており、上述した第1インペラ3及び第2インペラ4と同様に回転軸1を回転中心として回転する回転翼である。このようなタービン5は、外部から供給される駆動ガスによって回転動力を発生させる動力源であり、回転軸1を介して連結する第1インペラ3及び第2インペラ4を回転駆動する。
【0021】
第1壁部6Aは、第1インペラ3を収容する第1ポンプケーシング(図示略)の一部、つまり第1インペラ3の背面に対向する部位であり、回転軸1が挿通する第1貫通孔6aが形成されている。第1ポンプケーシングは、第1インペラ3を収容すると共に酸化剤の三次元流路を形成する金属容器である。このような第1ポンプケーシングでは、図1の破線矢印で示すように第1壁部6Aの第1貫通孔6aが酸化剤の漏れ流路の一部となっている。
【0022】
第2壁部6Bは、第2インペラ4を収容する第2ポンプケーシング(図示略)の一部、つまり第2インペラ4の背面に対向する部位であり、回転軸1が挿通する第2貫通孔6bが形成されている。第2ポンプケーシングは、第1ポンプケーシングに隣接して設けられており、第2インペラ4を収容すると共に燃料の三次元流路を形成する金属容器である。
【0023】
また、この第2ポンプケーシングでは、回転軸1が第2インペラ4を貫通して第1ポンプケーシングに延伸しているために、第2インペラ4の左側にも第3貫通孔(図示略)が形成されている。このような第2ポンプケーシングでは、図1の一点鎖線矢印で示すように第2壁部6Bの第2貫通孔6b及び第3貫通孔(図示略)が燃料の漏れ流路の一部となっている。
【0024】
第1のシール装置A1は、全体として第1インペラ3と第2インペラ4との間に設けられ、第1インペラ3が吐出する酸化剤と第2インペラ4が吐出する燃料との接触を防止あるいは抑制するための装置である。より正確には、第1のシール装置A1は、第1壁部6Aと第2インペラ4との間に設けられている。
【0025】
第1〜第3非接触シール7A〜7Cは、回転軸1に沿って所定間隔を空けて配列される非接触タイプのシール部材である。すなわち、第1〜第3非接触シール7A〜7Cは、回転軸1と接触することなく、当該回転軸1の表面(周面)を伝わって流体が流れることを抑制する。このような第1〜第3非接触シール7A〜7Cは、形式を特に限定するものではないが、例えばラビリンスシールあるいはゴム材からなるリングシールである。
【0026】
これら第1〜第3非接触シール7A〜7Cのうち、第1非接触シール7Aは、図示するように第1壁部6Aの右側に位置し、第1壁部6Aに最も近い非接触タイプのシール部材である。第2非接触シール7Bは、第1非接触シール7Aの右側に位置し、つまり第1〜第3非接触シール7A〜7Cの中央に位置する非接触タイプのシール部材である。第3非接触シール7Cは、第2非接触シール7Bの右側に位置し、つまり第1接触シール8に最も近い非接触タイプのシール部材である。
【0027】
第1接触シール8は、第3非接触シール7Cと所定間隔を空けた状態で第3非接触シール7Cと第2インペラ4との間に設けられた接触タイプのシール部材である。すなわち、この第1接触シール8は、第1〜第3非接触シール7A〜7Cの、回転軸1の軸方向の両側のうちの一方(右側)に設けられており、回転軸1と接触することにより当該回転軸1の表面(周面)を伝わって流体が流れることを抑制する。このような第1接触シール8は、形式を特に限定するものではないが、例えばリップシール、メカニカルシールあるいは気密性に加え耐久性にも優れたセグメントシールである。第1〜第3非接触シール7A〜7C及び第1接触シール8は、複合ポンプP1の左側から右側に向けてこの順に配置されている。
【0028】
ここで、第1〜第3非接触シール7A〜7C及び第1接触シール8は、回転軸1に沿って所定間隔を空けて配列されるので、回転軸1の外周面に沿って(軸方向に)並ぶと共に、相互間に所定幅を有する複数の空間が形成されている。すなわち、各空間は回転軸1の軸方向に隣り合うシール間に設けられている。本実施形態では、第2非接触シール7Bと第3非接触シール7Cとの間の空間を中央空間Sc、第1非接触シール7Aと第2非接触シール7Bとの間の空間を第1左空間Sl、また第3非接触シール7Cと第1接触シール8との間の空間を第1右空間Srと言う。
【0029】
このような中央空間Sc、第1左空間Sl及び第1右空間Srのうち、中央空間Scは、第1〜第3非接触シール7A〜7C及び第1接触シール8によって形成される複数の空間において、配列方向の内側に位置する空間、つまり本実施形態における第1空間である。また、第1左空間Sl及び第1右空間Srは、第1〜第3非接触シール7A〜7C及び第1接触シール8によって形成される複数の空間において、配列方向の外側に位置する第2空間である。
すなわち、第1〜第3非接触シール7A〜7C及び第1接触シール8の間の空間のうちの、中央空間Sc(第1空間)に噴射部11からパージガスが噴射される。また第1〜第3非接触シール7A〜7C及び第1接触シール8の間の空間のうちの、第1左空間Sl及び第1右空間Sr(第2空間)は、回転軸1の軸方向において中央空間Scの隣に位置する。
【0030】
第2のシール装置A2は、全体として第2インペラ4とタービン5との間に設けられ、第2インペラ4が吐出する燃料とタービン5に流入する駆動ガスの漏れガスとの接触を防止あるいは抑制するための装置である。より正確には、第2のシール装置A2は、第2壁部6Bとタービン5との間に設けられている。
【0031】
第4、第5非接触シール9A、9Bは、回転軸1に沿って所定間隔を空けて配列される非接触タイプのシール部材である。すなわち、第4、第5非接触シール9A、9Bは、回転軸1と接触することなく、当該回転軸1の表面(周面)を伝わって流体が流れることを抑制する。このような第4、第5非接触シール9A、9Bは、形式を特に限定するものではないが、例えばラビリンスシールあるいはゴム材からなるリングシールである。
【0032】
第4、第5非接触シール9A、9Bのうち、第4非接触シール9Aは、図1に示すように第2壁部6Bの右側に位置し、第2壁部6Bに最も近い非接触タイプのシール部材である。第5非接触シール9Bは、第4非接触シール9Aの右側に位置し、つまり第2接触シール10に最も近い非接触タイプのシール部材である。
【0033】
第2接触シール10は、第5非接触シール9Bと所定間隔を空けた状態で第5非接触シール9Bとタービン5との間に設けられた接触タイプのシール部材である。すなわち、この第2接触シール10は、回転軸1と接触することにより当該回転軸1の表面(周面)を伝わって流体が流れることを抑制する。このような第2接触シール10は、形式を特に限定するものではないが、例えばリップシール、メカニカルシールあるいは気密性に加え耐久性にも優れたセグメントシールである。第4、第5非接触シール9A、9B及び第2接触シール10は、複合ポンプP1の左側から右側に向けてこの順に配置されている。
【0034】
ここで、第4、第5非接触シール9A、9B及び第2接触シール10は、回転軸1に沿って所定間隔を空けて配列されるので、回転軸1の軸方向に並ぶと共に、相互間に所定幅を有する複数の空間が形成されている。すなわち、各空間は回転軸1の軸方向に隣り合うシール間に設けられている。本実施形態では、第4非接触シール9Aと第5非接触シール9Bとの間の空間を第2左空間Sa、また第5非接触シール9Bと第2接触シール10との間の空間を第2右空間Sbと言う。
【0035】
噴射部11は、中央空間Sc及び第2右空間Sbにパージガスを噴射するガス噴射部である。すなわち、この噴射部11は、比較的高圧なパージガスを中央空間Sc及び第2右空間Sbに噴射する。パージガスは、酸化剤、燃料及び駆動ガスに対して不活性なガス(不活性ガス)であり、例えば窒素ガスあるいはヘリウムガスである。
【0036】
第1、第2回収部12A,12Bのうち、第1回収部12Aは、第1左空間Slから流体を回収する回収部である。この第1回収部12Aは、各種流体のうち、第2非接触シール7Bを通過したパージガス及び第1壁部6Aから漏れた酸化剤を回収する。一方、第2回収部12Bは、第1右空間Sr及び第2左空間Saから流体を回収する回収部である。この第2回収部12Bは、各種流体のうち、第3非接触シール7C及び第5非接触シール9Bを通過したパージガス及び第2壁部6Bから漏れた燃料を回収する。すなわち、本実施形態では、少なくとも酸化剤と燃料とを個別に回収する。
【0037】
次に、本複合ポンプP1の動作及びシール装置A1,A2の作用・効果について詳しく説明する。
【0038】
本複合ポンプP1では、タービン5に駆動ガスが供給されることによりタービン5周りの回転動力が発生し、当該回転動力によって回転軸1、第1インペラ3及び第2インペラ4が回転する。そして、第1インペラ3の回転数に応じた流量の酸化剤がエンジン(図示せず)の燃焼器に供給されると共に第2インペラ4の回転数に応じた流量の燃料が同じく燃焼器に供給される。そして、エンジンは、酸化剤及び燃料の流量に応じた推力を発生させる。
【0039】
このような複合ポンプP1の作動において、本シール装置A1,A2は、以下のように作用する。すなわち、噴射部11は、複合ポンプP1の作動時に第1のシール装置A1の中央空間Sc及び第2のシール装置A2の右空間Sbにパージガスを常時供給し続ける。
【0040】
第1のシール装置A1では、第1〜第3非接触シール7A〜7Cのシール性能によって回転軸1の表面(周面)を介した流体の流れ(漏れ)は殆ど抑制されるが、この漏れを完全に無くすことはできない。
【0041】
このような第1〜第3非接触シール7A〜7Cに対して、パージガスの一部は、図1の実線矢印で示すように、第2非接触シール7Bと回転軸1の表面(周面)との僅かな隙間を通過して左空間Slに進入し、また第3非接触シール7Cと回転軸1の表面(周面)との僅かな隙間を通過して右空間Srに進入する。
【0042】
また、第1のシール装置A1では、図1の破線矢印で示すように、第1壁部6Aを経由して回転軸1の表面(周面)に酸化剤(漏れ酸化剤)が進入し、この漏れ酸化剤の一部が第1のシール装置A1の第1非接触シール7Aと回転軸1の表面(周面)との僅かな隙間を通過して左空間Slに進入する。そして、左空間Slに進入したパージガス及び漏れ酸化剤、右空間Srに進入したパージガスは、第1回収部12Aによって連続的に回収される。
【0043】
さらに、第1のシール装置A1では、図1の一点鎖線矢印で示すように、燃料の一部(漏れ燃料)が回転軸1の表面(周面)を介して第2インペラ4側(右側)から第1接触シール8に進入して来る。この漏れ燃料は、第1接触シール8が回転軸1の表面(周面)に接触しているので、第1接触シール8を殆ど通過することができない。
【0044】
すなわち、第1のシール装置A1では、第1〜第3非接触シール7A〜7C及び第1接触シール8による機械的なシール性能に加えて、噴射部11のパージガスによる流体的なシール性能が発揮されることによって、堅牢性の高いシール性能が実現されている。
【0045】
ここで、噴射部11から中央空間Scへのパージガスの供給が何らかの不具合により停止した場合、漏れ酸化剤が回転軸1の表面(周面)との間の僅かな隙間を介して中央空間Scに進入する可能性がある。また、この場合において、従来のように第1接触シール8に代えて非接触シールが採用されていた場合には、漏れ燃料が回転軸1の表面(周面)との間の僅かな隙間を介して中央空間Scに進入する可能性がある。
【0046】
すなわち、このような場合には、中央空間Scにおいて漏れ酸化剤と漏れ燃料とが接触する可能性がある。しかしながら、本実施形態における第1のシール装置A1では、漏れ燃料の進入側である右空間Srの右側(第2インペラ4側)に第1接触シール8が設けられているので、漏れ燃料の右空間Srへの進入、さらに中央空間Scへの進入をより確実に抑制している。したがって、本実施形態によれば、従来よりも堅牢性が高いシール装置及び複合ポンプを提供することが可能である。
【0047】
一方、第2のシール装置A2では、パージガスの一部は、第5非接触シール9Bと回転軸1の表面(周面)との隙間を通過して左空間Saに進入する。また、この複合ポンプP1では、図1の一点鎖線矢印で示すように、第2壁部6Bを経由して回転軸1の表面(周面)に燃料(漏れ燃料)が進入し、この漏れ燃料の一部が第2のシール装置A2の第4非接触シール9Aと回転軸1の表面(周面)との隙間を通過して左空間Saに進入してくる。そして、左空間Saに進入したパージガス及び漏れ燃料は、第2回収部12Bによって連続的に回収される。
【0048】
さらに、この複合ポンプP1では、図1の二点鎖線矢印で示すように、駆動ガスの一部(漏れ駆動ガス)が回転軸1の表面(周面)を介してタービン5(右側)から第2接触シール10に進入して来る。この漏れ駆動ガスは、第2接触シール10が回転軸1の表面(周面)に接触しているので、第2接触シール10を殆ど通過することができない。
【0049】
すなわち、第2のシール装置A2では、第4、第5非接触シール9A、9B及び第2接触シール10による機械的なシール性能に加えて、噴射部11のパージガスによる流体的なシール性能が発揮されることによって、堅牢性の高いシール性能が実現されている。
【0050】
ここで、噴射部11から右空間Sbへのパージガスの供給が何らかの不具合により停止した場合、漏れ燃料が回転軸1の表面(周面)との間の僅かな隙間を介して右空間Sbに進入する可能性がある。また、この場合において、第2接触シール10に代えて非接触シールが採用されていた場合には、漏れ駆動ガスが回転軸1の表面(周面)との間の僅かな隙間を介して右空間Sbに進入する可能性がある。
【0051】
しかしながら、本実施形態における第2のシール装置A2では、漏れ駆動ガスの進入側である右空間Sbの右側(タービン5側)に第2接触シール10が設けられているので、漏れ駆動ガスの右空間Sbへの進入、さらに左空間Saへの進入をより確実に抑制している。したがって、本実施形態によれば、第2のシール装置A2においても、従来よりも堅牢性が高いシール装置及び複合ポンプを提供することが可能である。
【0052】
なお、本開示は実施形態に限定されず、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)実施形態では、図1に示すように第1インペラ3と第2インペラ4とが同一の回転軸1に装着された複合ポンプP1について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、図2に示すように第1インペラ3と第2インペラ4とが個別の回転軸1A、1Bにそれぞれ装着された複合ポンプP2も考えられる。
【0053】
すなわち、図2に示す複合ポンプP2は、第1インペラ3及びタービン5が第1の回転軸1Aに装着されると共に第2インペラ4が第2の回転軸1Bに装着され、また第1の回転軸1Aと第2の回転軸1Bとが連結機13を介して軸結合している。このような複合ポンプP2では、タービン5に発生する回転動力に基づいて第1の回転軸1A及び第1インペラ3がタービン5と同一回転数で回転する。また、第2の回転軸1B及び第2インペラ4は、タービン5の回転数と連結機13のギヤ比とに基づく回転数で回転する。
【0054】
また、この複合ポンプP2では、上述した第1のシール装置A1が第1の回転軸1Aにおける第1壁部6Aと連結機13との間に設けられ、第1のシール装置A1と同様な構成を備える第3のシール装置A3が第2の回転軸1Bにおける第2壁部6Bと連結機13との間に設けられる。第3のシール装置A3は、上述した第2のシール装置A2の第5非接触シール9Bと第2接触シール10との間に第6非接触シール9Cを付加した装置である。また、第1のシール装置A1は回転軸1Aを、第3のシール装置A3は回転軸1Bを備えていてもよい。
【0055】
さらに、この複合ポンプP2では、第1のシール装置A1と第3のシール装置A3とに個別にシールガスが供給される。すなわち、第1のシール装置A1には第1噴射部11Aからパージガスが供給され、第3のシール装置A3には第2噴射部11Bからパージガスが供給される。
【0056】
このような変形例に係る複合ポンプP2及びシール装置A1,A3によれば、酸化剤と駆動ガスとの接触が第1のシール装置A1によって抑制され、また燃料と駆動ガスとの接触が第3のシール装置A3によって抑制される。また、第1のシール装置A1及び第3のシール装置A3にパージガスが供給されないような不具合が発生した場合であっても、第1接触シール8及び第2接触シール10によって駆動ガスの通過が遮断されるので、従来よりも堅牢性が高いシール装置及び複合ポンプを提供することが可能である。
なお、このような変形例では第1インペラ3及びタービン5が第1の回転軸1Aに装着されているが、これに代えて、第2インペラ4及びタービン5が1つの回転軸に装着されていてもよい。
【0057】
(2)実施形態及び変形例における第1のシール装置A1及び第3のシール装置A3は、3つの非接触シールと1つの接触シールとを備えるが、本開示はこれに限定されない。非接触シールの個数は3以上でも良く、また接触シールの個数は2以上であってもよい。すなわち、複数の非接触シールの、回転軸1の軸方向の両側に接触シールがそれぞれ設けられてもよい。例えば第1接触シール8あるいは/及び第2接触シール10に隣接して非接触シールあるいは接触シールを追加することにより、燃料あるいは/及び駆動ガスの通過をより確実に抑制してもよい。
【0058】
(3)実施形態では、ロケットエンジンに酸化剤と燃料とを供給するターボポンプについて説明したが、本開示はこれに限定されない。2つ以上の流体を扱う回転機械であれば、ターボポンプ以外の様々な装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
複数種類の流体の接触を防止あるいは抑制するシール装置及び当該シール装置を備える複合ポンプに利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
P1,P2 複合ポンプ
A1 第1のシール装置
A2 第2のシール装置
A3 第3のシール装置
1 回転軸(被シール軸)
1A 第1の回転軸
1B 第2の回転軸
2A,2B 第1、第2軸受
3 第1インペラ(酸化剤インペラ)
4 第2インペラ(燃料インペラ)
5 タービン
6A,6B 第1、第2壁部
7A〜7C 第1〜第3非接触シール
8 第1接触シール
9A、9B 第4、第5非接触シール
10 第2接触シール
11 噴射部
11A,11B 第1、第2噴射部
12A,12B 第1、第2回収部
13 連結機
Sc,Sc’ 中央空間(第1空間)
Sa,Sl,Sl’ 左空間(第2空間)
Sb 右空間(第1空間)
Sr,Sr’ 右空間(第2空間)
【手続補正書】
【提出日】2020年6月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被シール軸に沿って設けられた複数の非接触シールと、
前記複数の非接触シールの両側の少なくとも一方に設けられた接触シールと、
前記被シール軸の軸方向に並ぶ、前記複数の非接触シール及び前記接触シール間の空間のうちの、第1空間にパージガスを噴射する噴射部と、
前記複数の非接触シール及び前記接触シール間の空間のうちの、前記第1空間の前記軸方向の隣に位置する第2空間から前記パージガスを回収する回収部と
を備えるシール装置。
【請求項2】
前記回収部は、前記第1空間の両側にそれぞれ位置する前記第2空間から前記パージガスを回収するように構成されている請求項1記載のシール装置。
【請求項3】
前記被シール軸は、ターボポンプの回転軸である請求項1または2記載のシール装置。
【請求項4】
前記回転軸には、酸化剤を送り出す酸化剤インペラと、燃料を送り出す燃料インペラと、外部から流入する駆動ガスによって回転動力を発生するタービンとが装着されている請求項3に記載のシール装置。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
前記接触シールは、前記被シール軸と接触することにより、当該被シール軸の周面を伝わって流体が流れることを抑制する、請求項1に記載のシール装置。
【請求項7】
前記接触シールは、リップシール、メカニカルシールまたはセグメントシールである、請求項6に記載のシール装置。
【請求項8】
回転軸と、
前記回転軸に装着された、酸化剤インペラまたは燃料インペラと、タービンと、
請求項1から4、6及び7のいずれか一項に記載のシール装置と、を備え、
前記回転軸が、前記シール装置の前記被シール軸として機能する、複合ポンプ。
【請求項9】
前記回転軸を回転可能に支持する軸受を備え、
前記酸化剤インペラまたは前記燃料インペラと、前記軸受と、前記複数の非接触シールと、前記接触シールとが、前記軸方向においてこの順に並んでいる、請求項8に記載の複合ポンプ。
【請求項10】
回転軸と、
前記回転軸に、前記軸方向に順に並んで装着された、酸化剤インペラ、燃料インペラ及びタービンと、
前記酸化剤インペラと前記燃料インペラとの間で、前記回転軸を回転可能に支持する第1軸受と、
前記燃料インペラと前記タービンとの間で、前記回転軸を回転可能に支持する第2軸受と、
請求項1から4、6及び7のいずれか一項に記載のシール装置と、を備え、
前記回転軸が、前記シール装置の前記被シール軸として機能し、
前記シール装置は、前記第1軸受と前記燃料インペラとの間に配置された第1シール装置と、前記第2軸受と前記タービンとの間に配置された第2シール装置と、を有し、
前記第1軸受と、前記第1シール装置の前記複数の非接触シールと、前記第1シール装置の前記接触シールとが、この順に配置され、
前記第2軸受と、前記第2シール装置の前記複数の非接触シールと、前記第2シール装置の前記接触シールとが、この順に配置されている、複合ポンプ。
【国際調査報告】