特表-20174846IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年9月3日
【発行日】2021年12月23日
(54)【発明の名称】移載装置及び天井搬送車
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20211126BHJP
【FI】
   B65G1/04 551A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
【出願番号】特願2021-501631(P2021-501631)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年12月20日
(31)【優先権主張番号】特願2019-33197(P2019-33197)
(32)【優先日】2019年2月26日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠
(72)【発明者】
【氏名】摺木 啓一郎
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA08
3F022CC02
3F022EE05
3F022FF01
3F022JJ08
3F022MM00
3F022NN01
(57)【要約】
移載装置(7)は、FOUP(10)を前端(E1)側に移動させるときの最大加速度(a1)を、後端E2側に移動させるときの最大加速度(a2)よりも小さくする第一制御、FOUP(10)を前端(E1)側に移動させるときの最大減速度(a3)を、後端(E2)側に移動させるときの最大減速度(a4)よりも大きくする第二制御、FOUP(10)を前端(E1)側に移動させるときの最大減速度(a3)の絶対値を、最大加速度(a1)の絶対値よりも大きくする第三制御、FOUP(10)を後端(E2)側に移動させるときの最大加速度(a2)の絶対値を、最大減速度(a4)の絶対値よりも大きくする第四制御の少なくとも一つの制御を実行するコントローラ(50)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に沿って物品を移動させる移載装置であり、重心位置が前記一方向における第一端部と第二端部との中心位置から前記第一端部側にずれている前記物品を下方から支持する前記移載装置であって、
前記物品を前記第一端部側に移動させるときの最大加速度を、前記第二端部側に移動させるときの最大加速度よりも小さくする第一制御、前記物品を前記第一端部側に移動させるときの最大減速度を、前記第二端部側に移動させるときの最大減速度よりも大きくする第二制御、前記物品を前記第一端部側に移動させるときの最大減速度の絶対値を、最大加速度の絶対値よりも大きくする第三制御、及び前記物品を前記第二端部側に移動させるときの最大加速度の絶対値を、最大減速度の絶対値よりも大きくする第四制御の少なくとも一つの制御を実行するコントローラを備える、移載装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記第一制御及び前記第二制御の両方を実行する、請求項1記載の移載装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第三制御及び前記第四制御の両方を実行する、請求項1記載の移載装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第一制御、前記第二制御、前記第三制御、及び前記第四制御の全ての制御を実行する、請求項1記載の移載装置。
【請求項5】
前記物品は、第一端部側に向けて開口している本体部と、前記開口を覆う蓋部と、前記本体部の上部に設けられたフランジ部とを有する容器であり、
前記フランジ部を下方から支持した状態で保持する保持部を更に有する請求項1〜4の何れか一項記載の移載装置と、
天井に支持された軌道を走行する走行部と、を備えている、天井搬送車。
【請求項6】
前記フランジ部の上面を付勢する付勢部材を更に備える、請求項5記載の天井搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、移載装置及び天井搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を一時的に載置するためのバッファ及び各種処理装置に対して物品の受渡を行うための受渡ポート等の載置部に物品を移載する移載装置を備えた天井搬送車が知られている。例えば、特許文献1には、FOUPのフランジを下方から支持することによってFOUPを保持する移載装置を備えた天井搬送車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−145134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、搬送する物品が多様化しており、物品の移載方向における重心位置が物品の中心位置からずれているような物品が多くある。このような物品の一部を下方から支持した状態で加減速すると物品にモーメントが作用し、物品の移載方向における後端又は前端に浮き上がりが発生することがある。浮き上がりによる物品の傾き又は揺れは、物品の落下、又は、天井搬送車各部への物品の衝突につながるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の一側面の目的は、物品の一部を下方から支持した状態で物品を移載するときの浮き上がりを抑制することができる移載装置及び天井搬送車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る移載装置は、一方向に沿って物品を移動させる移載装置であり、重心位置が一方向における第一端部と第二端部との中心位置から第一端部側にずれている物品を下方から支持する。移載装置は、下記に示す第一制御から第四制御の少なくとも一つを実行するコントローラを備えている。
第一制御:物品を第一端部側に移動させるときの最大加速度を、第二端部側に移動させるときの最大加速度よりも小さくする制御
第二制御:物品を第一端部側に移動させるときの最大減速度を、第二端部側に移動させるときの最大減速度よりも大きくする制御
第三制御:物品を第一端部側に移動させるときの最大減速度の絶対値を、最大加速度の絶対値よりも大きくする制御
第四制御:物品を第二端部側に移動させるときの最大加速度の絶対値を、最大減速度の絶対値よりも大きくする制御
【0007】
本願発明者らは、重心が偏った物品の一部を下方から支持した状態で水平方向に移動させる場合の物品の状態を見出した。
(1)重心が偏った方向(以下、「偏心方向」とも称する。)と移動方向が一致する場合
この場合、移動方向に加速すると、重力が第一端部側を下方に傾かせようとする力を、加速による慣性力が増長させようとする。このため、第一端部側が沈み、第二端部側が浮き上がり易い状態(以下、単に「浮き上がり」と称する。)となる(第一状態)。また、移動方向に減速すると、重力が第一端部側を下方に傾かせようとする力を、減速による慣性力が打ち消そうとする。このため、第一状態と比べると浮き上がりは発生し難い状態となる(第二状態)。
【0008】
(2)偏心方向と移動方向が逆方向となる場合
この場合、移動方向に減速すると、重力によって第一端部側に傾こうとする力を、減速による慣性力が増長させようとする。このため、浮き上がりが発生し易い状態となる(第三状態)。他方、移動方向に加速すると、重力によって第一端部側に傾こうとする力を、加速による慣性力が打ち消そうとする。このため、第三状態に比べると浮き上がりが発生し難い状態となる(第四状態)。
【0009】
この移載装置の構成では、上記第一制御及び上記第三制御を実行することによって、上記第一状態のような浮き上がりを発生し難くできる。また、上記第二制御及び上記第四制御を実行することによって、上記第三状態のような浮き上がりを発生し難くできる。本発明の一側面の構成では、上記の制御の少なくとも一つが実行されるので、物品の一部を下方から支持した状態で物品を移載するときの浮き上がりを抑制することができる。
【0010】
本発明の一側面に係る移載装置では、コントローラは、第一制御及び第二制御の両方を実行してもよい。この構成では、上記第一制御を実行することによって、上記第一状態のような浮き上がりが発生し難くできる。また、上記第二制御を実行することによって、上記第三状態のような浮き上がりが発生し難くできる。これにより、物品の一部を下方から支持した状態で物品を移載するときの浮き上がりを抑制することができる。
【0011】
本発明の一側面に係る移載装置では、コントローラは、第三制御及び第四制御の両方を実行してもよい。この構成では、上記第三制御を実行することによって、上記第一状態のような浮き上がりが発生し難くできる。また、上記第四制御を実行することによって、上記第三状態のような浮き上がりが発生し難くできる。これにより、物品の一部を下方から支持した状態で物品を移載するときの浮き上がりを抑制することができる。
【0012】
本発明の一側面に係る移載装置では、コントローラは、第一制御、第二制御、第三制御、及び第四制御の全ての制御を実行してもよい。この構成では、上記第一制御及び上記第三制御を実行することによって、上記第一状態のような浮き上がりを発生し難くできる。また、上記第二制御及び上記第四制御を実行することによって、上記第三状態のような浮き上がりを発生し難くできる。本発明の一側面の構成では、上記の制御の全てが実行されるので、物品の一部を下方から支持した状態で物品を移載するときの浮き上がりを、より効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、物品は、第一端部側に向けて開口している本体部と、開口を覆う蓋部と、本体部の上部に設けられたフランジ部とを有する容器であり、フランジ部を下方から支持した状態で保持する保持部を更に有する上記の移載装置と、天井に支持された軌道を走行する走行部と、を備えていてもよい。本発明の一側面の構成では、物品の一部を下方から支持した状態で物品を移載するときの浮き上がりを抑制することができる。
【0014】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、フランジ部の上部を付勢する付勢部材を更に備えてもよい。この構成では、移動時に物品へ振動が伝わることを低減するように設けられている付勢部材の機能を損なうことなく、すなわち、フランジ部を強く押さえることなく、上記の浮き上がりを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一側面によれば、物品の一部を下方から支持した状態で物品を移載するときの浮き上がりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実施形態に係る移載装置を備える天井搬送車を示す側面図である。
図2図2は、図1の移載装置がFOUPを保持した状態を示す正面図である。
図3図3は、図1の天井搬送車の機能構成を示すブロック図である。
図4図4は、天井搬送車の両側に配置される載置部を、天井搬送車の走行方向における後側から見た図である。
図5図5(a)は、移載装置が左側の載置部にFOUPを載置するときの動作の一例を示す図であり、図5(b)は、移載装置が左側の載置部からFOUPを移動させるときの動作を示す図である。
図6図6(a)は、移載装置が右側の載置部にFOUPを載置するときの動作の一例を示す図であり、図5(b)は、移載装置が右側の載置部からFOUPを移動させるときの動作を示す図である。
図7図7(a)は、移載装置がFOUPを前端側に移動させるときのv−tグラフであり、図7(b)は、移載装置がFOUPを後端側に移動させるときのv−tグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の一側面の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1に示されるように、一実施形態の天井搬送車6は、軌道4に沿って移動可能な天井搬送車であって、FOUP(Front Opening Unified Pod)(物品)10を載置部9(図4参照)間で搬送するためのシステムに用いられる。天井搬送車6は、FOUP10に代えて、例えば、複数のガラス基板を格納する容器、レチクルポッド等のような容器、並びに一般部品等を搬送してもよい。ここでは、例えば、工場の天井等に敷設された一方通行の軌道4に沿って天井搬送車6が走行する天井搬送車システム1に用いられる天井搬送車6を例に挙げて説明する。図1に示されるように、天井搬送車システム1は、軌道4、複数の載置部9、及び複数の天井搬送車6を備える。
【0019】
天井搬送車6によって搬送されるFOUP10について説明する。図2に示されるように、FOUP10は、開口部が前端(第一端部)E1側に形成された本体部10Aと、本体部10Aの開口部である前端に装着される蓋部10Bと、を備えている。本体部10Aの上面(上部)の略中央部には、FOUP10を保持するためのフランジ部10Cが上方に突出するように設けられている。本体部10Aの内側には図示しない複数の半導体ウェハ保持手段が設けられており、FOUP10内に複数枚の半導体ウェハを収容できるようになっている。また、開口部に蓋部10Bが装着されることで、FOUP10内が気密に保持されるようになっている。
【0020】
本実施形態におけるFOUP10の蓋部10Bには、図示しないロック機構等の部品が固定されているため、質量が比較的大きい。そのため、本体部10Aに蓋部10Bが装着されている状態では、FOUP10の左右方向(一方向:蓋部10Bに直交する方向)における重心位置Gは、左右方向においてフランジ部10Cの中心位置Cと比べて左側(蓋部10B側)、すなわち、FOUP10の前端E1側にずれている。フランジ部10Cの上面の中心部には、後段にて詳述するセンターコーン(付勢部材)30Bが係合する(嵌まり込む)凹部10Dが形成されている。
【0021】
軌道4は、例えば、作業者の頭上スペースである天井付近に敷設されている。軌道4は、例えば天井から吊り下げられている。軌道4は、天井搬送車6を走行させるための予め定められた走行路である。
【0022】
図4に示されるように、載置部9は、軌道4に沿って配置され、天井搬送車6との間でFOUP10の受け渡し可能な位置に設けられている。載置部9には、バッファ及び受渡ポートが含まれる。バッファは、FOUP10が一時的に載置される載置部である。バッファは、例えば、目的とする受渡ポートに他のFOUP10が載置されている等の理由により、天井搬送車6が搬送しているFOUP10をその受渡ポートに移載できない場合に、FOUP10が仮置きされる載置部である。受渡ポートは、例えば洗浄装置、成膜装置、リソグラフィ装置、エッチング装置、熱処理装置、平坦化装置をはじめとする半導体の処理装置(図示せず)に対してFOUP10の受渡を行うための載置部である。なお、処理装置は、特に限定されず、種々の装置であってもよい。
【0023】
例えば、載置部9は、軌道4の側方(走行方向から見て左右の側方)に配置されている。この場合、天井搬送車6は、横送り部24で昇降駆動部28等を左方向方又は右方向に横送りし、昇降台30を僅かに昇降させることにより、載置部9との間でFOUP10を受け渡しする。なお、図示はしないが載置部9は、軌道4の直下に配置されてもよい。この場合、天井搬送車6は、昇降台30を昇降させることにより、載置部9との間でFOUP10を受け渡しする。なお、移載装置7によるFOUP10の載置部9への移載動作については、後段にて詳述する。
【0024】
天井搬送車6は、軌道4に沿って走行し、FOUP10を搬送する。天井搬送車6は、天井走行式無人搬送車である。天井搬送車システム1が備える天井搬送車6の台数は、特に限定されず、複数である。図1及び図2に示されるように、天井搬送車6は、走行部18と、移載装置7と、コントローラ50と、を有する。
【0025】
走行部18は、モータ等を含んで構成され、天井搬送車6を軌道4に沿って走行させる。移載装置7は、本体フレーム22と、横送り部24と、θドライブ26と、昇降駆動部28と、昇降台30と、前後フレーム33,33と、を有する。
【0026】
本体フレーム22は、横送り部24、θドライブ26、昇降駆動部28及び昇降台30を支持する。横送り部24は、θドライブ26、昇降駆動部28及び昇降台30を一括して、軌道4の走行方向と直角な方向に横送りする。θドライブ26は、昇降駆動部28及び昇降台30の少なくとも何れかを水平面内で所定の角度範囲内で回動させる。昇降駆動部28は、ワイヤ、ロープ及びベルト等の吊持材28Aの巻取りないし繰出しによって昇降台30を昇降させる。
【0027】
昇降台30には、チャック(保持部)30Aとセンターコーン(付勢部材)30Bとが設けられている。チャック30Aは、FOUP10のフランジ部10Cを下方から支持した状態で保持する。チャック30Aは、FOUP10の保持又は解放が自在とされている。センターコーン30Bは、フランジ部10Cの凹部10Dに嵌まり込むことによって、フランジ部10Cに対して昇降台30を位置決めする。また、センターコーン30Bは、FOUP10のフランジ部10Cを上方から付勢するように構成されており、センターコーン30Bを介して移動時にFOUP10へ振動が伝わることを低減するように構成されている。前後フレーム33,33は、図示しない爪等を出没させて、搬送中にFOUP10が落下することを防止する。前後フレーム33,33は、天井搬送車6の走行方向の前後に設けられている。
【0028】
コントローラ50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる電子制御ユニットである。コントローラ50は、天井搬送車6(すなわち、走行部18及び移載装置7)における各種動作を制御する。具体的には、図3に示されるように、コントローラ50は、走行部18と、横送り部24と、θドライブ26と、昇降駆動部28と、昇降台30と、を制御する。コントローラ50は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されるソフトウェアとして構成することができる。コントローラ50は、電子回路等によるハードウェアとして構成されてもよい。コントローラ50では、CPU、RAM及びROM等のハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとが協働することによって、例えば、下記に示す第一制御から第四制御までの少なくとも一つの制御を実行する。
【0029】
次に、コントローラ50により実施される第一制御から第四制御のそれぞれについて、図7(a)及び図7(b)を参照しながら説明する。図7(a)は、移載装置7がFOUP10を前端E1側に移動させるときのv−tグラフであり、図7(b)は、移載装置7がFOUP10を後端E2(第二端部)側に移動させるときのv−tグラフである。
【0030】
(1)第一制御
第一制御は、FOUP10を前端E1側に移動させるときの最大加速度を、後端E2側に移動させるときの最大加速度よりも小さくする制御である。具体的には、コントローラ50は、横送り部24の前端E1側方向への移動開始時における最大加速度a1が、後端E2側方向への移動開始時における最大加速度a2よりも小さくなるように横送り部24を制御する。ここでいう移動開始時とは、初速が0のときから等速度v1で送り出されるまでの間をいう。すなわち、図7(a)に示されるv−tグラフにおけるt10〜t11の間又は図7(b)に示されるt20〜t21の間をいう。
【0031】
(2)第二制御
第二制御は、FOUP10を前端E1側に移動させるときの最大減速度を、後端E2側に移動させるときの最大減速度よりも大きくする制御である。具体的には、コントローラ50は、横送り部24の前端E1側方向への移動終了時における最大減速度a3が、後端E2側方向への移動終了時における最大減速度a4よりも大きくなるように横送り部24を制御する。ここでいう移動終了時とは、等速度v1から移動速度が0になるまでの間をいう。すなわち、図7(a)に示されるv−tグラフにおけるt12〜t13の間又は図7(b)に示されるt22〜t23の間をいう。
【0032】
(3)第三制御
第三制御は、FOUP10を前端E1側に移動させるときの最大減速度の絶対値を、最大加速度の絶対値よりも大きくする制御である。具体的には、コントローラ50は、FOUP10を前端E1側に移動させるとき、図7(a)に示されるように、横送り部24の前端E1側方向への移動終了時における最大減速度a3の絶対値が、移動開始時における最大加速度a1の絶対値よりも大きくなるように横送り部24を制御する。
【0033】
(4)第四制御
第四制御は、FOUP10を後端E2側に移動させるときの最大加速度の絶対値を、最大減速度の絶対値よりも大きくする制御である。具体的には、コントローラ50は、FOUP10を後端E2側に移動させるとき、図7(b)に示されるように、横送り部24の後端E2側方向への移動開始時における最大加速度a2の絶対値が、移動終了時における最大減速度a4の絶対値よりも大きくなるように横送り部24を制御する。
【0034】
次に、移載装置7の動作について説明する。(A)移載装置7がFOUP10を左側の載置部9に載置する動作
図5(a)及び図7(a)を主に参照しながら、移載装置7がFOUP10を左側の載置部9に載置する動作について説明する。ここで説明する動作は、FOUP10を前端E1側に移動させる動作である。横送り部24は、左方向への移動を開始する(t10〜t11)。このとき、コントローラ50は、徐々に加速度を大きくし、最大加速度a1になったところで暫く継続し、その後は徐々に加速度を小さくするように、横送り部24の横送りを制御する。次に、横送り部24は、一定の速度で暫く移動する(t11〜t12)。コントローラ50は、このときの加速度を0に維持するように制御する。その後、横送り部24は、移動を終了する(t12〜t13)。このとき、コントローラ50は、徐々に減速度を大きくし、最大減速度a3になったところで暫く継続し、その後は徐々に減速度を小さくするように、横送り部24の横送りを制御する。コントローラ50は、最大減速度a3の絶対値が最大加速度a1の絶対値よりも大きくなるように、横送り部24を制御する。すなわち、本実施形態では、移動開始時(t10〜t11)に要する時間は、移動終了時(t12〜t13)に要する時間よりも長くなる。
【0035】
(B)移載装置7が左側の載置部9からFOUP10を移動させる動作
次に、図5(b)及び図7(b)を主に参照しながら、移載装置7が左側の載置部9からFOUP10を移動させる動作について説明する。ここで説明する動作は、FOUP10を後端E2側に移動させる動作である。横送り部24は、移動を開始する(t20〜t21)。このとき、コントローラ50は、徐々に加速度を大きくし、最大加速度a2になったところで暫く継続し、その後は徐々に加速度を小さくするように、横送り部24の横送りを制御する。次に、横送り部24は、一定の速度で暫く移動する(t21〜t22)。コントローラ50は、このときの加速度を0に維持するように制御する。その後、横送り部24は、移動を終了する(t22〜t23)。このとき、コントローラ50は、徐々に減速度を大きくし、最大減速度a4になったところで暫く継続し、その後は徐々に減速度を小さくするように、横送り部24の横送りを制御する。コントローラ50は、最大加速度a2の絶対値が最大減速度a4の絶対値よりも大きくなるように、横送り部24を制御する。すなわち、本実施形態では、移動開始時(t20〜t21)に要する時間は、移動終了時(t22〜t23)に要する時間よりも短くなる。
【0036】
(C)移載装置7が右側の載置部9にFOUP10を載置するときの動作
図6(a)に示される移載装置7が右側の載置部9にFOUP10を載置するときの動作は、上述した(B)移載装置7が左側の載置部9からFOUP10を移動させる動作と同じであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0037】
(D)移載装置7が右側の載置部9からFOUPを移動させるときの動作
図6(b)に示される移載装置7が右側の載置部9からFOUPを移動させるときの動作は、上述した(A)移載装置7がFOUP10を左側の載置部9に載置する動作と同じであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0038】
次に、上記実施形態の天井搬送車6の作用効果について説明する。上記実施形態の天井搬送車6では、上記第一制御及び上記第三制御を実行することによって、上記第一状態のような浮き上がりを発生し難くできる。また、上記第二制御及び上記第四制御を実行することによって、上記第三状態のような浮き上がりを発生し難くできる。上記実施形態の天井搬送車6では、上記の第一制御から第四制御までの少なくとも一つが実行されるので、FOUP10の一部を下方から支持した状態でFOUP10を移載するときの浮き上がりを抑制することができる。
【0039】
更に、上記の第一制御から第四制御までの少なくとも一つを実行することによって、FOUP10の揺れを抑制できる。これにより、次の動作を実行するのに、FOUP10の揺れが収まるまで待機するといった対策を施す必要がなくなる。この結果、FOUP10の移載に要する時間を短縮することができ、ひいては、天井搬送車システム1の稼働率を高めることが可能となる。
【0040】
上記実施形態の天井搬送車6には、フランジ部10Cの凹部10Dに嵌まり込むことによってフランジ部10Cに対して昇降台30を位置決めするセンターコーン30Bが、移動時にFOUP10へ振動が伝わることを低減するように設けられている。このような構成では、センターコーン30Bにフランジ部10Cを強く押さえさせる(バネ定数を大きくする)ことでFOUP10の揺れを抑制することができるが、その反面、FOUP10へ振動が伝達し易くなる。上記実施形態の天井搬送車6では、コントローラ50における横送り部24の制御によってFOUP10の揺れを低減することができるため、センターコーン30Bにフランジ部10Cを強く押さえ付ける機能を持たせる必要がなく(バネ定数を大きくすることなく)、センターコーン30Bによる振動伝達を必要最小限に抑えることが可能となる。
【0041】
以上、本発明の一側面の一実施形態について説明したが、本発明の一側面は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0042】
上記実施形態では、コントローラ50が第一制御から第四制御の少なくとも一つを実行する例を挙げて説明したが、例えば、任意の二つの制御を実行してもよいし、三つの制御を実行してもよい。
【0043】
例えば、コントローラ50は、第一制御及び第二制御の両方を実行してもよい。この場合には、上記第一制御を実行することによって、上記第一状態のような浮き上がりが発生し難くできる。また、上記第二制御を実行することによって、上記第三状態のような浮き上がりが発生し難くできる。また、例えば、コントローラ50は、第三制御及び第四制御の両方を実行してもよい。この場合には、上記第三制御を実行することによって、上記第一状態のような浮き上がりが発生し難くできる。また、上記第四制御を実行することによって、上記第三状態のような浮き上がりが発生し難くできる。これらの変形例では、FOUP10の一部を下方から支持した状態でFOUP10を移載するときの浮き上がりを抑制することができる。
【0044】
また、例えば、コントローラ50は、第一制御、第二制御、第三制御、及び第四制御の全ての制御を実行してもよい。この場合には、より効果的に、FOUP10の一部を下方から支持した状態でFOUP10を移載するときの浮き上がりを抑制することができる。
【0045】
上記実施形態では、移載装置7を天井搬送車6に搭載した例を挙げて説明したが、移載装置7を地上又は架台に配設された軌道を走行する無人走行車及びスタッカークレーン等に搭載してもよい。更に、移載装置7は、上述したようなFOUP10の上方からFOUP10を吊り下げる態様に保持するのではなく、FOUP10の下方からFOUP10の下面を支持するような態様に保持してもよい。
【0046】
上記実施形態及び変形例では、天井搬送車6を制御するコントローラ50が個々の天井搬送車6に設けられている例を挙げて説明したが、天井搬送車6から分離され、有線又は無線によって通信可能な位置に配置されてもよい。このような構成とした場合、コントローラは、複数の天井搬送車6ごとに設けられるのではなく、複数の天井搬送車6を一括して制御するようなコントローラとして設けられてもよい。
【0047】
上記実施形態及び変形例では、移載装置7の動作を制御する部分が天井搬送車6全体の動作を制御するコントローラと一体的に形成された例を挙げて説明したが、それぞれの制御を実行するコントローラが別々に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…天井搬送車システム、6…天井搬送車、7…移載装置、9…載置部、10…FOUP(物品)、10A…本体部、10B…蓋部、10C…フランジ部、10D…凹部、18…走行部、30B…センターコーン(付勢部材)、50…コントローラ、E1…前端(第一端部)、E2…後端(第二端部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】