特表-20213046IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2020-213046エチレン−ビニルアルコール共重合体及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年10月22日
【発行日】2021年5月6日
(54)【発明の名称】エチレン−ビニルアルコール共重合体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/48 20060101AFI20210409BHJP
   C08F 8/12 20060101ALI20210409BHJP
   C08F 216/06 20060101ALI20210409BHJP
   C08F 4/04 20060101ALI20210409BHJP
【FI】
   C08F8/48
   C08F8/12
   C08F216/06
   C08F4/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
【出願番号】特願2019-542230(P2019-542230)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年4月15日
(11)【特許番号】特許第6733059号(P6733059)
(45)【特許公報発行日】2020年7月29日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(74)【代理人】
【識別番号】110002206
【氏名又は名称】特許業務法人せとうち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】片山 真佐子
【テーマコード(参考)】
4J015
4J100
【Fターム(参考)】
4J015AA05
4J100AA02Q
4J100AD02P
4J100AG04P
4J100BA03H
4J100BA11H
4J100BC53H
4J100CA04
4J100CA27
4J100CA31
4J100DA32
4J100FA03
4J100FA19
4J100HA09
4J100HA17
4J100HA35
4J100HB39
4J100HC09
4J100HE05
4J100JA58
(57)【要約】
エチレン単位含有量が15〜60モル%、けん化度が85モル%以上であるエチレン−ビニルアルコール共重合体であって、前記共重合体が末端に下記の構造(I)を含有する分子及び構造(II)を含有する分子を含み、全単量体単位量に対する、構造(I)及び構造(II)の合計含有量が0.002〜0.020モル%であり、かつ構造(I)及び構造(II)の合計に対する、構造(I)のモル比R[I/(I+II)]が下記式(1)を満たす、エチレン−ビニルアルコール共重合体とする。当該エチレン−ビニルアルコール共重合体は、溶融開始初期の粘度安定性に優れ、溶融成形工程を安定化できるうえに、高温(例えば80℃)、アルカリ条件下での着色耐性にも優れる。

[式(I)中、Yは水素原子又はメチル基である。]

[式(II)中、Zは水素原子又はメチル基である。]
0.8<R+Et/100 (1)
[式(1)中、Etは前記エチレン単位含有量(モル%)である。]
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン単位含有量が15〜60モル%、けん化度が85モル%以上であるエチレン−ビニルアルコール共重合体であって、
前記共重合体が末端に下記の構造(I)を含有する分子及び構造(II)を含有する分子を含み、全単量体単位に対する、構造(I)及び構造(II)の合計含有量が0.002〜0.020モル%であり、かつ
構造(I)及び構造(II)の合計に対する、構造(I)のモル比R[I/(I+II)]が下記式(1)を満たす、エチレン−ビニルアルコール共重合体。
【化1】
[式(I)中、Yは水素原子又はメチル基である。]
【化2】
[式(II)中、Zは水素原子又はメチル基である。]
0.8<R+Et/100 (1)
[式(1)中、Etは前記エチレン単位含有量(モル%)である。]
【請求項2】
下記式(2)を満たす、請求項1に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体。
0.9<R+Et/100 (2)
[式(2)中、R及びEtは式(1)と同じである。]
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体及び金属イオン100〜400ppmを含有する、樹脂組成物。
【請求項4】
カルボン酸50〜400ppmを含有する、請求項3に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む成形体。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の樹脂組成物を含む成形体。
【請求項7】
アルコキシ基を含有するアゾニトリル系化合物を重合開始剤として用いて、溶液中でエチレンとビニルエステルとを共重合してエチレン−ビニルエステル共重合体溶液を得る共重合工程と、前記溶液中のエチレン−ビニルエステル共重合体をアルカリ触媒下でけん化してエチレン−ビニルアルコール共重合体を得るけん化工程とを含み、
前記けん化工程において、エチレン−ビニルエステル共重合体に含まれるビニルエステル成分1モルに対してアルカリ触媒を1.2モル以上使用するとともに、超音波又はマイクロ波を前記溶液に照射する、請求項1又は2に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン−ビニルアルコール共重合体、及びそれを含む樹脂組成物及び成形体、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」と略記することがある。)は、優れたガスバリア性及び溶融成形性を有することから、各種の溶融成形法により、フィルム、シート、パイプ、チューブ、ボトル等に成形され、ガスバリア性の要求される食品分野及び産業分野で包装材料等として広く使用されている。ガスバリア性や機械物性、外観性といった性能や品質が均一な包装材料を安定的に製造するためには、EVOHの溶融粘度の経時変化が小さいことが好ましい。しかしながら、分子末端や分子鎖中に活性な反応性基を多数有するEVOHでは、多様な架橋反応や分解反応が競争的に起こるため、溶融粘度の経時変化挙動は複雑である。このような溶融粘度の経時変化が引き金となって、溶融成形時の樹脂圧力や樹脂温度、さらには成形体の厚み分布にも変動が発生し、溶融成形の工程や、得られる成形体の性能に問題が生じることがある。
【0003】
EVOHの長時間にわたる溶融粘度の安定性(以下、「ロングラン性」と略記することがある。)を改善し、上記の性能・品質が均一な包装材料を安定的に製造するために、様々なEVOH含有樹脂組成物が提案されている。例えば、特許文献1には、EVOH、ホウ素化合物、酢酸ナトリウム及び酢酸マグネシウムを含有する樹脂組成物が記載されている。そして、当該樹脂組成物によれば、溶融成形時のロングラン性が改善されると記載されている。特許文献2には、EVOH及び共役ポリエン化合物を含有する樹脂組成物が記載されている。そして、当該樹脂組成物によれば、溶融成形によるゲルやブツの発生が抑制されると記載されている。特許文献3には、EVOH、特定のカルボン酸金属塩及びヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有する樹脂組成物が記載されている。そして、当該樹脂組成物は熱安定性に優れ、高温における酸化性ゲルの形成が抑制されると記載されている。特許文献4には、EVOH及び特定の不飽和アルデヒドを含有する樹脂組成物が記載されている。そして、当該樹脂組成物によれば、溶融成形によるフィッシュアイやゲル等の欠陥の発生が抑制され、溶融成形時のロングラン性が改善されると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−60874号公報
【特許文献2】特開平9−71620号公報
【特許文献3】特開平4−227744号公報
【特許文献4】国際公開第2013/146961号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のEVOH含有樹脂組成物は、押出機内に長時間滞留した樹脂のゲル形成抑制や溶融粘度制御には一定の効果を有するものの、溶融開始初期の粘度安定性が不十分であることが判明した。そのため、樹脂温度や圧力が一定せず、溶融成形時の樹脂吐出量にムラが生じる等、溶融成形工程が依然として不安定となり、得られる成形体のガスバリア性や機械物性などの各種性能にバラツキが生じる場合があった。また、高温(例えば80℃)、アルカリ条件下において、着色する場合があった。したがって、本発明の目的は、溶融開始初期の粘度安定性に優れ、溶融成形工程を安定化できるうえに、高温(例えば80℃)、アルカリ条件下での着色耐性にも優れるEVOHを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討した結果、従来のEVOH含有樹脂組成物を溶融成形した場合、溶融開始初期(溶融開始から5〜20分後)に急激な粘度増加が起こり、その後数十分間緩やかに粘度が減少した後に、再度粘度が増加する現象が広く観察され、このような複雑な粘度変化が、溶融成形工程の不安定化の原因となることを見出した。また、このような粘度挙動、特に溶融開始初期の急激な粘度増加が、EVOHを構成する分子の重合開始剤由来の末端構造に大きく関係していることを見出した。そして、特定の末端構造を有する分子を含有する本発明のEVOHを完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、下記のとおりである。
[1]エチレン単位含有量が15〜60モル%、けん化度が85モル%以上であるEVOHであって、前記共重合体が末端に下記の構造(I)を含有する分子及び構造(II)を含有する分子を含み、全単量体単位に対する、構造(I)及び構造(II)の合計含有量が0.002〜0.020モル%であり、かつ構造(I)及び構造(II)の合計に対する、構造(I)のモル比R[I/(I+II)]が下記式(1)を満たす、EVOH;
【0008】
【化1】
【0009】
[式(I)中、Yは水素原子又はメチル基である。]
【0010】
【化2】
【0011】
[式(II)中、Zは水素原子又はメチル基である。]
0.8<R+Et/100 (1)
[式(1)中、Etは前記エチレン単位含有量(モル%)である。]
[2]下記式(2)を満たす、[1]のEVOH;
0.9<R+Et/100 (2)
[式(2)中、R及びEtは式(1)と同じである。]
[3][1]又は[2]のEVOH及び金属イオン100〜400ppmを含有する、樹脂組成物;
[4]カルボン酸50〜400ppmを含有する、[3]の樹脂組成物;
[5][1]又は[2]のEVOHを含む成形体;
[6][3]又は[4]の樹脂組成物を含む成形体;
[7]アルコキシ基を含有するアゾニトリル系化合物を重合開始剤として用いて、溶液中でエチレンとビニルエステルとを共重合してエチレン−ビニルエステル共重合体溶液を得る共重合工程と、前記溶液中のエチレン−ビニルエステル共重合体をアルカリ触媒下でけん化してEVOHを得るけん化工程とを含み、前記けん化工程において、エチレン−ビニルエステル共重合体に含まれるビニルエステル成分1モルに対してアルカリ触媒を1.2モル以上使用するとともに、超音波又はマイクロ波を前記溶液に照射する、[1]又は[2]のEVOHの製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のEVOHは、溶融開始初期の粘度安定性に優れ、溶融成形工程を安定化できるうえに、高温(例えば80℃)、アルカリ条件下での着色耐性にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<エチレン−ビニルアルコール共重合体>
本発明のEVOHは、エチレン単位含有量が15〜60モル%、けん化度が85モル%以上であるものであって、前記共重合体が末端に下記の構造(I)を含有する分子及び構造(II)を含有する分子を含み、全単量体単位に対する、構造(I)及び構造(II)の合計含有量が0.002〜0.020モル%であり、かつ構造(I)及び構造(II)の合計に対する、構造(I)のモル比R[I/(I+II)]が下記式(1)を満たすものである。
【0014】
【化1】
[式(I)中、Yは水素原子又はメチル基である。]
【0015】
【化2】
[式(II)中、Zは水素原子又はメチル基である。]
0.8<R+Et/100 (1)
[式(1)中、Etは前記エチレン単位含有量(モル%)である。]
【0016】
本発明のEVOHは、主構造単位としてエチレン単位及びビニルアルコール単位を有する。また、前記EVOHは任意成分としてビニルエステル単位を含有する。そして、本発明のEVOHは、末端に構造(I)を含有する分子、及び末端に構造(II)を含有する分子を含む。前記EVOHにおける全単量体単位に対する、構造(I)及び構造(II)の合計含有量は0.002〜0.020モル%である。これにより、前記EVOHの溶融開始初期の粘度安定性が向上する。一方、前記合計含有量が0.020モル%より大きい場合は、得られる成形体がアルカリ条件下で着色したり、高温での溶融成形時に発泡等の外観異常が発生したりする場合がある。前記合計含有量は、好ましくは0.012モル%以下である。一方、前記合計含有量を0.002モル%より小さくするためには、重合速度を極めて小さくする必要があり、経済的な観点からは現実的でない。なお、本明細書において、エチレン−ビニルアルコール共重合体における単量体単位とは、エチレン単位、ビニルアルコール単位、ビニルエステル単位、その他必要に応じて共重合される単量体単位を意味し、全単量体単位とは、各々の単量体単位のモル数の合計量を意味する。このとき、構造(I)又は構造(II)で示される末端構造を含む単位も単量体単位に含めて計算する。
【0017】
本発明のEVOHにおいて、構造(I)及び構造(II)の合計に対する、構造(I)のモル比R[I/(I+II)]が下記式(1)を満たす必要があり、下記式(2)を満たすことが好ましい。
0.8<R+Et/100 (1)
0.9<R+Et/100 (2)
[式(1)及び式(2)中、Etは前記エチレン単位含有量(モル%)である。]
【0018】
ここで、式(1)及び式(2)の右辺はいずれも、前記EVOH中の構造(I)及び構造(II)の合計に対する、構造(I)のモル比R[I/(I+II)]と、前記EVOH中の全単量体単位に対する、エチレン単位のモル比(エチレン単位/全単量体単位)の和である。
【0019】
式(1)及び式(2)は、この和が一定の数値よりも大きい必要があること、及びEtが小さい場合は、モル比率Rが大きな値である必要があることを示している。後述するように、構造(I)及び構造(II)はいずれも重合工程に用いる重合開始剤に由来する構造である。そのうち構造(I)は、重合開始剤由来のニトリル基と同一分子内のヒドロキシル基との反応により形成される環状エステル構造を含み、構造(II)はこのような反応が生じる前のものである。したがって、式(1)及び式(2)の右辺の値が大きいことは、重合開始剤由来のニトリル基が上記環状エステル構造に転換されたものの割合が高いことを意味し、式(2)は、その割合がさらに高いことを意味する。式(1)を満たすことで、本発明のEVOHの溶融開始初期の粘度安定性が向上するため、溶融開始初期(溶融開始から5〜20分後)の急激な粘度増加を抑制でき、式(2)を満たせば、このような粘度増加がさらに抑制される。
【0020】
このような特性を示す理由は定かではないが、以下のようなことが推定される。構造(II)が存在すると溶融状態において分子間の架橋反応が起こりやすいと推定される。一方、構造(I)は同一分子内の環化がすでに起きている構造であるため、構造(I)が存在してもこのような架橋反応は起こりにくいと考えられる。このようなことから、溶融開始初期の粘度増加を抑制できるものと推定される。構造(I)及び構造(II)の含有量やモル比R[I/(I+II)]は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
【0021】
溶融開始初期の粘度安定性がさらに向上する観点から、本発明のEVOHにおいて、構造(I)及び構造(II)の合計に対する、構造(I)のモル比R[I/(I+II)]が0.5以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましい。一方、モル比R[I/(I+II)]は0.99以下が好ましい。
【0022】
本発明のEVOHのエチレン単位含有量(すなわち、EVOH中の全単量体単位の総モル数に対するエチレン単位のモル数の割合)は15〜60モル%の範囲である。EVOHのエチレン単位含有量の下限は20モル%が好ましく、23モル%がより好ましい。一方、EVOHのエチレン単位含有量の上限は55モル%が好ましく、50モル%がより好ましい。EVOHのエチレン単位含有量が15モル%より小さいと、高湿度下のガスバリア性が低下し、溶融成形性も悪化することがある。逆に、EVOHのエチレン単位含有量が60モル%を超えると充分なガスバリア性が得られないことがある。EVOHのエチレン単位含有量及びけん化度は、核磁気共鳴(NMR)法により求められる。
【0023】
EVOHのけん化度(すなわち、EVOH中のビニルアルコール単位及びビニルエステル単位の総モル数に対するビニルアルコール単位のモル数の割合)は85モル%以上である。EVOHのけん化度の下限は95モル%が好ましく、99モル%がより好ましい。一方、EVOHのけん化度の上限は100モル%が好ましく、99.99モル%がより好ましい。EVOHのけん化度が85モル%より小さいと充分なガスバリア性が得られないことがあり、さらに熱安定性が不十分となるおそれもある。
【0024】
EVOHのJIS K 7210:2014に準拠したメルトフローレート(温度210℃、荷重2160g。以下、「MFR」と略記することがある)の下限は通常0.1g/10分であり、上限は通常50g/10分である。
【0025】
EVOHは、本発明の効果を阻害しない範囲で、エチレン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステル単位以外の単量体単位を共重合単位として含有できる。単量体としては、例えばプロピレン、1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、その塩、その部分又は完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸又はその塩;不飽和チオール類;ビニルピロリドン類が挙げられる。EVOH中のエチレン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステル単位以外の単量体単位の含有量は、通常5モル%以下であり、2モル%以下が好ましく、1モル%以下がより好ましい。
【0026】
前記EVOHを含有する樹脂組成物が本発明の好適な実施態様である。当該樹脂組成物中におけるEVOHの含有量は、通常70質量%以上であり、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。EVOHの含有量をこの範囲とすると、本発明の樹脂組成物の溶融成形性が向上し、得られる成形体のガスバリア性や耐油性も優れたものとなる。本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物中に含まれる樹脂が実質的にEVOHのみから構成されていてもよく、EVOHのみから構成されていてもよい。
【0027】
<金属イオン>
本発明の樹脂組成物が金属イオンをさらに含有することが好ましい。本発明の樹脂組成物が金属イオンを含有すると、多層の成形体、すなわち多層構造体とした時の層間接着性が優れたものとなる。層間接着性が向上する理由は定かでないが、前記樹脂組成物からなる層と隣接する層中に、EVOHのヒドロキシ基と反応し得る官能基を有する分子が含まれる場合には、金属イオンによって両者の結合生成反応が加速されると考えられる。また、金属イオンと後述するカルボン酸との含有比率を制御すると、本発明の樹脂組成物の溶融成形性や着色耐性も改善できる。
【0028】
本発明の樹脂組成物が金属イオンを含有する場合、その含有量の下限は100ppmが好ましく、150ppmがより好ましい。一方、金属イオンの含有量の上限は400ppmが好ましく、350ppmがより好ましい。金属イオンの含有量が100ppmより小さいと、得られる多層構造体の層間接着性が不十分となる場合がある。一方、金属イオンの含有量が400ppmより大きいと、着色耐性が不十分となる場合がある。
【0029】
金属イオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、その他遷移金属イオンが挙げられ、これらは1種又は複数種からなっていてもよい。中でもアルカリ金属イオンが好ましい。前記樹脂組成物を簡便に製造できる点や、多層構造体の層間接着性をさらに向上できる点からは、金属イオンがアルカリ金属イオンのみからなることが好ましい。
【0030】
アルカリ金属イオンとしては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムのイオンが挙げられ、工業的な入手容易性の点からはナトリウム又はカリウムのイオンが好ましい。また、アルカリ金属イオンを与えるアルカリ金属塩としては、例えば脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、炭酸塩、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、金属錯体が挙げられる。中でも、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムが、入手容易である点からより好ましい。
【0031】
金属イオンとしてアルカリ土類金属イオンを含むことが好ましい場合もある。金属イオンがアルカリ土類金属イオンを含むと、例えばトリムを回収して再利用した際のEVOHの熱劣化が抑制され、得られる成形体のゲル及びブツの発生が抑制される場合がある。アルカリ土類金属イオンとしては、例えばベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムのイオンが挙げられるが、工業的な入手容易性の点からはマグネシウム又はカルシウムのイオンが好ましい。また、アルカリ土類金属イオンを与えるアルカリ土類金属塩としては、例えば脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、炭酸塩、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、金属錯体が挙げられる。
【0032】
<カルボン酸>
本発明の樹脂組成物はカルボン酸をさらに含有することが好ましい。本発明の樹脂組成物がカルボン酸を含有すると、本発明の樹脂組成物の溶融成形性や高温下での着色耐性を改善できる。特に、得られる樹脂組成物のpH緩衝能力が高まり、酸性物質や塩基性物質に対する着色耐性を改善できる場合がある点から、カルボン酸のpKaが3.5〜5.5の範囲にあることがより好ましい。
【0033】
本発明の樹脂組成物がカルボン酸を含有する場合、その含有量の下限は50ppmが好ましく、100ppmがより好ましい。一方、カルボン酸の含有量の上限は400ppmが好ましく、350ppmがより好ましい。カルボン酸の含有量が50ppmより小さいと、高温による着色耐性が不十分となる場合がある。一方、カルボン酸の含有量が400ppmより大きいと、溶融成形性が不十分となったり、臭気が問題になったりする場合がある。樹脂組成物中のカルボン酸の含有量は、樹脂組成物10gを純水50mlで95℃にて8時間抽出して得られる抽出液を滴定することで算出する。ここで、樹脂組成物中のカルボン酸の含有量として、上記抽出液中に存在するカルボン酸塩の含有量は考慮しない。
【0034】
カルボン酸としては、1価カルボン酸、及び多価カルボン酸が挙げられ、これらは1種又は複数種からなっていてもよい。カルボン酸として1価カルボン酸と多価カルボン酸の両方を含む場合、得られる樹脂組成物の溶融成形性や高温下での着色耐性をより改善できる場合がある。また、多価カルボン酸は、3個以上のカルボキシル基を有してもよい。この場合、本発明の樹脂組成物の着色耐性をさらに向上できる場合がある。
【0035】
1価カルボン酸とは、分子内に1つのカルボキシル基を有する化合物である。1価のカルボン酸のpKaが3.5〜5.5の範囲にあることが好ましい。このような1価カルボン酸としては、例えばギ酸(pKa=3.77)、酢酸(pKa=4.76)、プロピオン酸(pKa=4.85)、酪酸(pKa=4.82)、カプロン酸(pKa=4.88)、カプリン酸(pKa=4.90)、乳酸(pKa=3.86)、アクリル酸(pKa=4.25)、メタクリル酸(pKa=4.65)、安息香酸(pKa=4.20)、2−ナフトエ酸(pKa=4.17)が挙げられる。これらのカルボン酸は、pKaが3.5〜5.5の範囲にある限り、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子といった置換基を有してもよい。中でも、安全性が高く、取扱いが容易であることから酢酸が好ましい。
【0036】
多価カルボン酸とは、分子内に2つ以上のカルボキシル基を有する化合物である。この場合、少なくとも1つのカルボキシル基のpKaが3.5〜5.5の範囲にあることが好ましい。このような多価カルボン酸として、例えばシュウ酸(pKa=4.27)、コハク酸(pKa=4.20)、フマル酸(pKa=4.44)、リンゴ酸(pKa=5.13)、グルタル酸(pKa=4.30、pKa=5.40)、アジピン酸(pKa=4.43、pKa=5.41)、ピメリン酸(pKa=4.71)、フタル酸(pKa=5.41)、イソフタル酸(pKa=4.46)、テレフタル酸(pKa=3.51、pKa=4.82)、クエン酸(pKa=4.75)、酒石酸(pKa=4.40)、グルタミン酸(pKa=4.07)、アスパラギン酸(pKa=3.90)が挙げられる。
【0037】
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲でその他の成分をさらに含有していてもよい。その他の成分としては、例えばリン酸化合物、ホウ素化合物、EVOH以外の熱可塑性樹脂、架橋剤、乾燥剤、酸化促進剤、酸化防止剤、酸素吸収剤、可塑剤、滑剤、熱安定剤(溶融安定剤)、加工助剤、界面活性剤、脱臭剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、防曇剤、難燃剤、顔料、染料、フィラー、充填剤、各種繊維等の補強剤が挙げられる。
【0038】
本発明の樹脂組成物がリン酸化合物を含有する場合、その含有量の下限は通常リン酸根換算で1ppmである。一方、前記含有量の上限は通常リン酸根換算で200ppmである。この範囲でリン酸化合物を含有すると、本発明の樹脂組成物の熱安定性を改善できる場合がある。特に、長時間に亘って溶融成形を行う際のゲル状ブツの発生や着色を抑制できる場合がある。リン酸化合物としては、例えばリン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩等を用いることができる。リン酸塩は第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれの形であってもよい。リン酸塩のカチオン種として、アルカリ金属、アルカリ土類金属が挙げられる。リン酸化合物として、具体的には、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウムの形でリン酸化合物が挙げられる。
【0039】
本発明の樹脂組成物がホウ素化合物を含有する場合、その含有量の下限は通常ホウ素元素換算で5ppmである。一方、含有量の上限は通常ホウ素元素換算で1000ppmである。この範囲でホウ素化合物を含有すると、本発明の樹脂組成物の溶融成形時の熱安定性を向上でき、ゲル状ブツの発生を抑制できる場合がある。また、得られる成形体の機械物性を向上できる場合もある。これらの効果は、EVOHとホウ素化合物との間にキレート相互作用が発生することに起因すると推測される。ホウ素化合物としては、例えばホウ酸、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素が挙げられる。具体的には、ホウ酸としては、例えばオルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸、四ホウ酸が挙げられ、ホウ酸エステルとしては、例えばホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチルが挙げられ、ホウ酸塩としては、例えば前記ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂が挙げられる。
【0040】
EVOH以外の熱可塑性樹脂としては、例えば各種ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、又はこれらを不飽和カルボン酸もしくはその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィン等)、各種ポリアミド(ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6/66共重合体、ナイロン11、ナイロン12、ポリメタキシリレンアジパミド等)、各種ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアクリレート及び変性ポリビニルアルコール樹脂が挙げられる。前記樹脂組成物中の前記熱可塑性樹脂の含有量は通常30質量%未満であり、20質量%未満であることが好ましく、10質量%未満であることがより好ましい。
【0041】
<成形体>
本発明のEVOHを含む成形体が本発明の好適な実施態様である。このとき、前記EVOHとして、前記樹脂組成物を用いることがより好適である。前記EVOHは、単層構造の成形体とすることもできるし、他の各種基材と共に2種以上の多層構造の成形体、すなわち多層構造体とすることもできる。成形方法としては、例えば押出成形、熱成形、異形成形、中空成形、回転成形、射出成形が挙げられる。本発明の成形体の用途は多岐に亘り、例えばフィルム、シート、容器、ボトル、タンク、パイプ、ホース等が挙げられる。
【0042】
具体的な成形方法として、例えばフィルム、シート、パイプ、ホースは押出成形により、容器形状は射出成形により、ボトルやタンク等の中空容器は中空成形や回転成形により成形できる。中空成形としては、押出成形によりパリソンを成形し、これをブローして成形を行う押出中空成形と、射出成形によりプリフォームを成形し、これをブローして成形を行う射出中空成形が挙げられる。フレキシブル包装材や容器の製造には、押出成形によって多層フィルム等の包装材を成形する方法、押出成形によって成形した多層シートを熱成形して容器状の包装材にする方法が好適に用いられる。
【0043】
<多層構造体>
前記成形体が本発明の樹脂組成物からなる層を含む多層構造体であることが好ましい。当該多層構造体は、本発明の樹脂組成物からなる層と他の層とを積層して得られる。当該多層構造体の層構成としては、本発明の樹脂組成物以外の樹脂からなる層をx層、本発明の樹脂組成物層をy層、接着性樹脂層をz層とすると、例えばx/y、x/y/x、x/z/y、x/z/y/z/x、x/y/x/y/x、x/z/y/z/x/z/y/z/x等が挙げられる。複数のx層、y層、z層を設ける場合は、その種類は同じでも異なってもよい。また、成形時に発生するトリム等のスクラップからなる回収樹脂を用いた層を別途設けてよいし、回収樹脂を他の樹脂からなる層に混合してもよい。多層構造体の各層の厚さ構成は、成形性及びコスト等の観点から、全層厚さに対するy層の厚さ比が通常2〜20%である。
【0044】
前記x層に使用される樹脂としては、加工性等の観点から熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば各種ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、又はこれらを不飽和カルボン酸もしくはその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィン等)、各種ポリアミド(ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6/66共重合体、ナイロン11、ナイロン12、ポリメタキシリレンアジパミド等)、各種ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアクリレート及び変性ポリビニルアルコール樹脂が挙げられる。かかる熱可塑性樹脂層は無延伸のものであってもよく、一軸又は二軸に延伸又は圧延されていてもよい。中でも、ポリオレフィンは耐湿性、機械的特性、経済性、ヒートシール性の点で、また、ポリアミドやポリエステルは機械的特性、耐熱性の点で好ましい。
【0045】
一方、z層に使用される接着性樹脂は各層間を接着できればよく、例えばポリウレタン系又はポリエステル系の一液型又は二液型硬化性接着剤、カルボン酸変性ポリオレフィンが好適である。ここで、カルボン酸変性ポリオレフィンとは、不飽和カルボン酸又はその無水物(無水マレイン酸等)を共重合成分として含むポリオレフィン系共重合体;又は不飽和カルボン酸又はその無水物をポリオレフィンにグラフトさせて得られるグラフト共重合体を意味する。
【0046】
多層構造体を得る方法としては、例えば共押出成形、共押出中空成形、共射出成形、押出ラミネート、共押出ラミネート、ドライラミネート、溶液コート等が挙げられる。なお、このような方法で得られた多層構造体に対して、さらに真空圧空深絞成形、ブロー成形、プレス成形等の方法により、EVOHの融点以下の範囲で再加熱後に二次加工成形を行い、目的とする成形体構造にしてよい。また、多層構造体に対して、ロール延伸法、パンタグラフ延伸法、インフレーション延伸法等の方法により、EVOHの融点以下の範囲で再加熱後に一軸又は二軸延伸して、延伸された多層構造体を得ることもできる。
【0047】
<EVOHの製造方法>
本発明のEVOHの製造方法は、(i)エチレンとビニルエステルとを共重合してエチレン−ビニルエステル共重合体を得る共重合工程、及び(ii)前記エチレン−ビニルエステル共重合体をアルカリ触媒下でけん化してエチレン−ビニルアルコール共重合体を得るけん化工程を含む。とりわけ、前記EVOHを簡便に製造する観点からは、アルコキシ基を含有するアゾニトリル系化合物を重合開始剤として用いて、溶液中でエチレンとビニルエステルとを共重合してエチレン−ビニルエステル共重合体溶液を得る共重合工程と、前記溶液中のエチレン−ビニルエステル共重合体をアルカリ触媒下でけん化してエチレン−ビニルアルコール共重合体を得るけん化工程とを含み、前記けん化工程において、エチレン−ビニルエステル共重合体に含まれるビニルエステル成分1モルに対してアルカリ触媒を1.2モル以上使用するとともに、超音波又はマイクロ波を前記溶液に照射する、前記EVOHの製造方法が極めて好ましい。
【0048】
本発明のEVOHの製造に際して、(i)エチレンとビニルエステルとを共重合してエチレン−ビニルエステル共重合体を得る共重合工程、及び(ii)エチレン−ビニルエステル共重合体をアルカリ触媒下でけん化するけん化工程に加えて、(iii)造粒操作により含水ペレットを得る造粒工程、及び(iv)含水ペレットを乾燥してEVOHを得る乾燥工程を含むことも好ましい。以下、各工程について説明する。
【0049】
<(i)共重合工程>
共重合工程は、エチレンとビニルエステルとを共重合させる工程に加え、必要に応じて重合禁止剤を添加し、それに続いて未反応エチレン、未反応ビニルエステルを除去してエチレン−ビニルエステル共重合体溶液を得る工程をも含む。エチレンとビニルエステルとの共重合方法としては、例えば溶液重合、懸濁重合、乳化重合、バルク重合などの公知の方法が挙げられ、溶液重合方法が好適である。ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びピバリン酸ビニル等の脂肪族ビニルエステルが好ましく、酢酸ビニルがより好ましい。なお、エチレン及びビニルエステルと共重合し得る他の単量体を、本発明の効果を損なわない範囲で少量共重合してもよい。重合温度は20〜90℃が好ましく、40〜70℃がより好ましい。重合時間は、通常2〜15時間である。重合率は仕込みのビニルエステルに対して10〜90%が好ましく、30〜80%がより好ましい。重合後の反応液中の樹脂含有量は、通常5〜85質量%である。
【0050】
共重合工程では、アルコキシ基を含有するアゾニトリル系化合物を重合開始剤として用いる。本発明において好適に用いられるアルコキシ基を含有するアゾニトリル系化合物としては、例えば2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−エトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などが挙げられ、中でも2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)が好ましい。これらのアルコキシ基を含有するアゾニトリル系化合物は、金属との接触による異常分解を起こしにくいうえに、低温で高い分解速度を有する。したがって、前記アゾニトリル系化合物を用いることにより、安全で効率的かつ経済的にエチレンとビニルエステルを共重合できる。具体的には、前記共重合工程において、アルコキシ基を含有するアゾニトリル系化合物を重合開始剤として用いて、溶液中でエチレンとビニルエステルとを共重合してエチレン−ビニルエステル共重合体溶液を得ることが好ましい。
【0051】
<(ii)けん化工程>
次に、エチレン−ビニルエステル共重合体溶液にアルカリ触媒を添加し、溶液中のエチレン−ビニルエステル共重合体をけん化することによりエチレン−ビニルアルコール共重合体を得る。けん化工程は連続式、回分式のいずれの方式でも行うことができる。アルカリ触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属アルコラートが挙げられる。式(1)を満たすようモル比R[I/(I+II)]を制御するには、けん化工程において、エチレン−ビニルエステル共重合体に含まれるビニルエステル成分1モルに対してアルカリ触媒を1.2モル以上使用するとともに、超音波又はマイクロ波を前記溶液に照射することが極めて好ましい。
【0052】
ここで、アルカリ触媒を、ビニルエステル成分1モルに対して2モル以上使用することがより好ましい。けん化反応の際に、アルカリ触媒が添加された前記エチレン−ビニルエステル共重合体溶液(反応液)に対して超音波及びマイクロ波の1種以上を照射することが可能であれば、照射方法、用いる照射装置、照射場所について特に制限されない。照射する超音波又はマイクロ波の波長及び強度にも特に制限はない。照射時間も特に制限はなく、けん化反応中の少なくとも一部の時間に超音波又はマイクロ波を照射すればよい。例えば実施例で詳述するように、超音波洗浄器(US CLEANER USK−2R)を用いて、出力80W、周波数40kHzで、けん化反応の最後の15〜60分間反応液に超音波を照射する方法や、アルカリ触媒が添加された前記エチレン−ビニルエステル共重合体溶液(反応液)を昇温した後、マイクロ波照射装置(Anton Paar社製、Multiwave3000型)を用いて出力を800Wとし、周波数2450MHz(2.45GHz)で2時間前記反応液にマイクロ波を照射する方法等が採用される。なお、けん化工程の後に、酢酸等の酸を添加して残存するアルカリ触媒を中和することも一般に行われる。
【0053】
<(iii)造粒工程>
造粒工程は、例えば、(1)けん化工程で得られた反応液を低温の貧溶媒中に押出して共重合体を析出又は凝固させ、その直後に又はさらに冷却固化させた後に切断して含水ペレットを得る方法、(2)けん化工程で得られた反応液を水蒸気と接触させて予め含水樹脂組成物としてから切断して含水ペレットを得る方法、(3)けん化工程で得られた反応液に水を加えて共重合体を析出させた後に当該共重合体を砕いて含水ペレットを得る方法により行うことができる。含水ペレットの含水量は、通常EVOH100質量部に対して、50〜200質量部である。
【0054】
<(iv)乾燥工程>
造粒工程で得られた含水ペレットは、乾燥工程に付してEVOHの乾燥ペレットとすることが好ましい。乾燥ペレット中の含水率は、成形加工時のボイドの発生を防ぐ目的から、EVOH100質量部に対して、1.0質量部以下が好ましく、0.5質量部以下がより好ましく、0.3質量部以下がさらに好ましい。乾燥方法としては、例えば静置乾燥や流動乾燥が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。乾燥工程は連続式、バッチ式いずれの方法で行ってもよく、複数の乾燥方法を組み合わせて行う場合は、各乾燥方法について連続式、バッチ式を自由に選択できる。なお、乾燥工程を低酸素濃度或いは無酸素状態で行うと、乾燥中における酸素によるEVOHの劣化を低減できる点で好ましい。
【0055】
構造(I)及び構造(II)の含有量は、共重合工程において、重合開始剤の使用量、重合開始剤の添加までの温度及び時間、重合温度、重合時間、重合率、重合溶媒の種類及び量を調整することや、けん化工程において、アルカリ触媒の量を調整したり、超音波やマイクロ波を照射したりすることにより制御できる。また、造粒工程や乾燥工程においても構造(I)及び構造(II)の含有量が変化することがある。
【0056】
なお、本発明のEVOHに金属イオンやカルボン酸等の各成分を含有させることにより樹脂組成物を製造する方法としては、例えば上記ペレットを各成分と共に混合して溶融混練する方法、上記ペレットを調製する際に各成分を混合する方法、上記ペレットを各成分が含まれる溶液に浸漬させる方法等が挙げられる。ペレットとしては含水ペレット、乾燥ペレットをともに使用できる。
【0057】
こうして得られる本発明のEVOHは、溶融開始初期の粘度安定性に優れるため、ペレット、フィルム、シート、容器等の成形体を安定的に製造できる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例等により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等によって何ら限定されない。なお、本実施例等における各分析及び評価は以下の方法で行った。
【0059】
(1)EVOHのエチレン単位含有量及びけん化度
内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)、添加剤としてトリフルオロ酢酸(TFA)を含む重ジメチルスルホキシド(DMSO−d)に、各実施例及び比較例で得られた乾燥ペレットを溶解し、500MHzのH−NMR(日本電子株式会社製:「GX−500」)を用いて80℃で測定し、エチレン単位、ビニルアルコール単位、ビニルエステル単位のピーク強度比よりエチレン単位含有量及びけん化度を求めた。
【0060】
(2)構造(I)及び構造(II)の含有量
内部標準物質としてTMSを含むDMSO−dに各実施例及び比較例で得られた乾燥ペレットを溶解し、500MHzのH−NMR(日本電子株式会社製:「GX−500」)を用いて45℃で測定し、エチレン単位、ビニルアルコール単位、ビニルエステル単位のピーク強度と構造(I)及び構造(II)が有するメトキシ基のメチル水素又はエトキシ基のメチレン水素のピーク強度比より構造(I)及び構造(II)の含有量を求めた。なお、構造(I)及び構造(II)が有するメトキシ基のメチル水素のピークは、それぞれ3.07ppm、3.09ppm付近に検出された。
【0061】
(3)金属イオンの含有量
各実施例及び比較例で得られた乾燥ペレット0.5gを、テフロン(登録商標)製圧力容器に入れ、濃硝酸5mLを加えて室温で30分間静置し、次いで蓋をして150℃で10分間、次いで180℃で5分間加熱することで湿式分解を行い、その後室温まで冷却した。得られた処理液を50mLのメスフラスコに移し純水でメスアップした溶液を用いて、ICP発光分光分析装置により各金属イオンの含有量を定量した。なお、リン酸化合物、ホウ素化合物の含有量も同様の方法で定量できる。
【0062】
(4)カルボン酸の含有量
各実施例及び比較例で得られた乾燥ペレット10gと純水50mLを共栓付き100mL三角フラスコに入れ、還流冷却器を取り付けて95℃で8時間加熱した後、20℃まで冷却した。得られた抽出液をフェノールフタレインを指示薬として、0.02モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、カルボン酸を定量した。
【0063】
(5)粘度安定性の評価
各実施例及び比較例で得られた乾燥ペレット60gを、ラボプラストミル(二軸異方向)を用いて100rpm、230℃で混練したときのトルク変化を測定した。混練開始から1〜5分後までの間のトルクの平均値TIと、混練開始から5〜20分後までの間でのトルクの最大値TMとの比率(TM/TI)を下記のA〜Dの基準で評価し(数字が小さい方が粘度安定性に優れる)、粘度安定性の指標とした。
A :1.10未満
B :1.10以上1.25未満
C :1.25以上1.40未満
D :1.40以上
【0064】
(6)アルカリ条件下での着色耐性の評価
各実施例及び比較例で得られた乾燥ペレット10gを、加熱圧縮プレス装置で220℃、6分間加熱溶融させて、厚み3mmの円盤状試験片を複数作製した。得られた試験片を0.1モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液100gに浸漬し、試験片が入った容器の蓋をして80℃で1週間静置した。試験片を取り出し、その着色度合いを別途80℃で純水に1週間浸漬した別の試験片と目視で比較して下記のA〜Dの基準で評価し、アルカリ条件下における着色耐性の指標とした。
A:目視ではほとんど区別できない
B:わずかに着色している
C:やや着色(淡黄色)している
D:かなり着色(黄色)している
【0065】
[合成例1]
容量250Lの加圧反応槽を用いて、以下の原料及び条件で重合を行うことにより、エチレン−酢酸ビニル共重合体を得た。
・酢酸ビニル:83.0kg
・メタノール:26.6kg
・重合開始剤:2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(2.5g/Lメタノール溶液)初期供給量:362mL、連続供給量:1120mL/hr
・重合温度:60℃
・重合槽のエチレン圧力:3.6MPa
【0066】
酢酸ビニルの重合率が約40%となったところでソルビン酸を添加し、冷却して重合を停止した。次いで、反応槽を大気圧に開放してエチレンを反応系から除去した後に、反応液を追出塔に供給し、塔下部からメタノール蒸気を導入することにより未反応の酢酸ビニルを塔頂より除去し、エチレン単位含有量32モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液を得た。
【0067】
[合成例2]
重合条件を下記に変更した以外は合成例1と同様の操作により、エチレン単位含有量24モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液を得た。
・酢酸ビニル:102.0kg
・メタノール:17.7kg
・重合開始剤:2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(2.5g/Lメタノール溶液)初期供給量:280mL、連続供給量:850mL/hr
・重合槽のエチレン圧力:2.9MPa
【0068】
[合成例3]
重合条件を下記に変更した以外は合成例1と同様の操作により、エチレン単位含有量27モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液を得た。
・酢酸ビニル:85.2kg
・メタノール:32.3kg
・重合開始剤:2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(2.5g/Lメタノール溶液)初期供給量:310mL、連続供給量:950mL/hr
・重合槽のエチレン圧力:2.9MPa
【0069】
[合成例4]
重合条件を下記に変更した以外は合成例1と同様の操作により、エチレン単位含有量44モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液を得た。
・酢酸ビニル:76.7kg
・メタノール:11.0kg
・重合開始剤:2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(2.5g/Lメタノール溶液)初期供給量:510mL、連続供給量:1570mL/hr
・重合槽のエチレン圧力:5.5MPa
【0070】
[合成例5]
重合条件を下記に変更した以外は合成例1と同様の操作により、エチレン単位含有量32モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液を得た。
・酢酸ビニル:83.0kg
・メタノール:20.8kg
・重合開始剤:2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(2.5g/Lメタノール溶液)初期供給量:1450mL、連続供給量:4360mL/hr
・重合槽のエチレン圧力:3.8MPa
【0071】
[実施例1]
合成例1で得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液をケン化反応器に仕込み、水酸化ナトリウム(NaOH)の2モル/Lメタノール溶液を、共重合体中のビニルエステル成分に対する水酸化ナトリウムのモル比(NaOH/ビニルエステル単位)が3となるように添加し、さらにメタノールを加えて共重合体濃度が5質量%になるように調整した。この溶液を60℃に昇温し、攪拌しながら3時間けん化反応を行った。この際、最後の1時間は超音波洗浄器「US CLEANER USK−2R」を用いて、出力80W、周波数40kHzで、超音波を反応器を介して反応液に照射しながら反応を行った。その後、酢酸と水を添加してけん化反応を停止させるとともに、EVOHを析出させた。析出したEVOHを回収し、細かく砕いて含水ペレットを得た後、酢酸水溶液及びイオン交換水を用いて洗浄し、さらに酢酸ナトリウム及び酢酸を含む水溶液で浸漬処理を行った。この水溶液と含水ペレットを分離して脱液した後、熱風乾燥機に入れて80℃で3時間、次いで110℃で35時間乾燥を行って、本発明の樹脂組成物を乾燥ペレットとして得た。得られた乾燥ペレットを用いて、上記した分析及び評価を行った。なお、浸漬処理において、水溶液の酢酸ナトリウム及び酢酸の濃度を調節することで、ナトリウム及び酢酸の含有量がそれぞれ180ppm、300ppmの樹脂組成物を得た。
【0072】
[実施例2]
水酸化ナトリウムの2モル/Lメタノール溶液を、共重合体中のビニルエステル成分に対する水酸化ナトリウムのモル比(NaOH/ビニルエステル単位)が1.5となるように添加したこと、及びけん化反応の最後の15分間に超音波の照射を行ったこと以外は実施例1と同様の操作により乾燥ペレットを製造して、分析及び評価を行った。
【0073】
[実施例3〜5]
表1に記載された合成例で得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液を使用した以外は実施例1と同様の操作により乾燥ペレットを製造して、分析及び評価を行った。
【0074】
[実施例6]
酢酸ナトリウムの代わりに酢酸カリウムを使用し、カリウム及び酢酸の含有量がそれぞれ300ppm、300ppmとなるように浸漬処理用水溶液の各成分の濃度を調節した以外は、実施例1と同様の操作により乾燥ペレットを製造して、分析及び評価を行った。
【0075】
[実施例7]
合成例1で得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液をポリ四フッ化エチレン樹脂製反応器に仕込み、水酸化ナトリウムの2モル/Lメタノール溶液を、共重合体中のビニルエステル成分に対する水酸化ナトリウムのモル比(NaOH/ビニルエステル単位)が3となるように添加し、さらにメタノールを加えて共重合体濃度が5%になるように調整した。得られた溶液をマイクロ波照射装置(Anton Paar社製、Multiwave3000型)内に静置して密閉し、攪拌を開始した。出力を800Wとし、温度が60℃になるまで昇温させ、その後2時間保持した。ここで反応液に照射したマイクロ波の周波数は2450MHz(2.45GHz)であった。その後、反応器をマイクロ波照射装置から取り出して、室温下で放冷後、酢酸と水を添加してけん化反応を停止させるとともに、EVOHを析出させた。析出したEVOHを回収し、細かく砕いて含水ペレットを得た後、酢酸水溶液及びイオン交換水を用いて洗浄し、さらに酢酸ナトリウム及び酢酸を含む水溶液で浸漬処理を行った。この水溶液と含水ペレットを分離して脱液した後、熱風乾燥機に入れて80℃で3時間、次いで110℃で35時間乾燥を行って、本発明の樹脂組成物を乾燥ペレットとして得た。得られた乾燥ペレットを用いて、上記した分析及び評価を行った。なお、浸漬処理において、水溶液の酢酸ナトリウム及び酢酸の濃度を調節することで、ナトリウム及び酢酸の含有量がそれぞれ180ppm、300ppmの樹脂組成物を得た。
【0076】
[比較例1]
水酸化ナトリウムの2モル/Lメタノール溶液を、共重合体中のビニルエステル成分に対する水酸化ナトリウムのモル比(NaOH/ビニルエステル単位)が0.8となるように添加したこと及び超音波の照射を行わなかったこと以外は実施例1と同様の操作により乾燥ペレットを製造して、分析及び評価を行った。
【0077】
[比較例2]
合成例5で得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液を使用した以外は実施例1と同様の操作により乾燥ペレットを製造して、分析及び評価を行った。
【0078】
[比較例3]
合成例5で得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液を使用した以外は比較例1と同様の操作により乾燥ペレットを製造して、分析及び評価を行った。
【0079】
実施例及び比較例で得られた各樹脂組成物中の構造(I)、(II)の含有量、その比率及び評価結果を表1に示す。構造(I)及び構造(II)の合計含有量が0.002〜0.020モル%であり、かつ上記式(1)を満たす本発明の樹脂組成物は、溶融開始初期の粘度安定性に優れていた。また、これらの樹脂組成物は、溶融成形後の外観特性にも優れていた。一方、比較例の各樹脂組成物は、溶融開始初期の粘度変化が大きく、溶融成形工程が不安定であった。
【0080】
【表1】

【手続補正書】
【提出日】2019年12月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン単位含有量が15〜60モル%、けん化度が85モル%以上であるエチレン−ビニルアルコール共重合体であって、
前記共重合体が末端に下記の構造(I)を含有する分子及び構造(II)を含有する分子を含み、全単量体単位に対する、構造(I)及び構造(II)の合計含有量が0.002〜0.020モル%であり、かつ
構造(I)及び構造(II)の合計に対する、構造(I)のモル比R[I/(I+II)]が下記式(1)を満たす、エチレン−ビニルアルコール共重合体。
【化1】
[式(I)中、Yは水素原子又はメチル基である。]
【化2】
[式(II)中、Zは水素原子又はメチル基である。]
0.8<R+Et/100 (1)
[式(1)中、Etは前記エチレン単位含有量(モル%)である。]
【請求項2】
下記式(2)を満たす、請求項1に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体。
0.9<R+Et/100 (2)
[式(2)中、R及びEtは式(1)と同じである。]
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体及び金属イオン100〜400ppmを含有する、樹脂組成物。
【請求項4】
カルボン酸50〜400ppmを含有する、請求項3に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む成形体。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の樹脂組成物を含む成形体。

【手続補正書】
【提出日】2020年4月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン単位含有量が15〜60モル%、けん化度が85モル%以上であるエチレン−ビニルアルコール共重合体であって、
前記共重合体が末端に下記の構造(I)を含有する分子及び構造(II)を含有する分子を含み、全単量体単位に対する、構造(I)及び構造(II)の合計含有量が0.002〜0.020モル%であり
構造(I)及び構造(II)の合計に対する、構造(I)のモル比R[I/(I+II)]が0.5以上であり、かつ
モル比R[I/(I+II)]が下記式(1)を満たす、エチレン−ビニルアルコール共重合体。
【化1】
[式(I)中、Yは水素原子又はメチル基である。]
【化2】
[式(II)中、Zは水素原子又はメチル基である。]
0.8<R+Et/100 (1)
[式(1)中、Etは前記エチレン単位含有量(モル%)である。]
【請求項2】
下記式(2)を満たす、請求項1に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体。
0.9<R+Et/100 (2)
[式(2)中、R及びEtは式(1)と同じである。]
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体及び金属イオン100〜400ppmを含有する、樹脂組成物。
【請求項4】
カルボン酸50〜400ppmを含有する、請求項3に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む成形体。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の樹脂組成物を含む成形体。
【国際調査報告】