特表-20213051IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧
再表2020-213051金属造形用シールドガスノズル、及びレーザ金属造形装置
<>
  • 再表WO2020213051-金属造形用シールドガスノズル、及びレーザ金属造形装置 図000003
  • 再表WO2020213051-金属造形用シールドガスノズル、及びレーザ金属造形装置 図000004
  • 再表WO2020213051-金属造形用シールドガスノズル、及びレーザ金属造形装置 図000005
  • 再表WO2020213051-金属造形用シールドガスノズル、及びレーザ金属造形装置 図000006
  • 再表WO2020213051-金属造形用シールドガスノズル、及びレーザ金属造形装置 図000007
  • 再表WO2020213051-金属造形用シールドガスノズル、及びレーザ金属造形装置 図000008
  • 再表WO2020213051-金属造形用シールドガスノズル、及びレーザ金属造形装置 図000009
  • 再表WO2020213051-金属造形用シールドガスノズル、及びレーザ金属造形装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年10月22日
【発行日】2021年5月6日
(54)【発明の名称】金属造形用シールドガスノズル、及びレーザ金属造形装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/34 20140101AFI20210409BHJP
   B23K 26/12 20140101ALI20210409BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20210409BHJP
【FI】
   B23K26/34
   B23K26/12
   B23K26/21 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
【出願番号】特願2019-551478(P2019-551478)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年4月16日
(11)【特許番号】特許第6631767号(P6631767)
(45)【特許公報発行日】2020年1月15日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108431
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 加奈子
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】中野 善和
(72)【発明者】
【氏名】加藤木 英隆
(72)【発明者】
【氏名】澤井 章能
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168BA35
4E168BA37
4E168BA81
4E168FB01
(57)【要約】
金属造形用シールドガスノズル(70)は、母材面に対して傾斜角θの角度でワイヤ(2)を送給する経路であるワイヤ送給ライン(72)と、傾斜角θ以下の角度でシールドガスを噴出する第1のガス噴出孔(75)と、第1のガス噴出孔(75)の噴出方向とは異なる方向からシールドガスを噴出する第2のガス噴出孔(76)と、を備える。ワイヤ送給方向(81)、第1のガス噴出孔(75)の中心軸方向(82)、及び第2のガス噴出孔(76)の中心軸方向(83)が交差する交差点(P)を有し、第1のガス噴出孔(75)は、母材面に対して垂直方向から見た場合のワイヤ送給方向(81)に対する角度の絶対値が90度より小さい角度の方向から、交差点(P)に向けて噴出し、第2のガス噴出孔(76)は、母材面に対して垂直方向から見た場合のワイヤ送給方向(81)に対する角度の絶対値が90度より大きい角度の方向から交差点(P)に向けて噴出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材面に対して傾斜角θの角度でワイヤを送給する経路であるワイヤ送給ラインと、
前記母材面に対して前記傾斜角θ以下の角度でビードの酸化を防止するシールドガスを噴出する第1のガス噴出孔と、
前記第1のガス噴出孔の噴出方向とは異なる方向から前記シールドガスを噴出する第2のガス噴出孔と、
を備え、
前記第1のガス噴出孔、及び前記第2のガス噴出孔よりも低い位置に、前記ワイヤを送給する方向であるワイヤ送給方向、前記第1のガス噴出孔の中心軸方向、及び前記第2のガス噴出孔の中心軸方向が交差する交差点を有し、
前記第1のガス噴出孔は、
前記母材面に対して垂直方向から見た場合の前記ワイヤ送給方向に対する角度の絶対値が90度より小さい角度の方向から前記交差点に向けて前記シールドガスを噴出し、
前記第2のガス噴出孔は、
前記母材面に対して垂直方向から見た場合の前記ワイヤ送給方向に対する角度の絶対値が90度より大きい角度の方向から前記交差点に向けて前記シールドガスを噴出することを特徴とする金属造形用シールドガスノズル。
【請求項2】
前記第1のガス噴出孔、及び前記第2のガス噴出孔よりも高い位置から前記交差点の上空を通過するように前記シールドガスを噴出する第3のガス噴出孔と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の金属造形用シールドガスノズル。
【請求項3】
前記第3のガス噴出孔から噴出された前記シールドガスを取り込むガス取り込み口と、
前記ガス取り込み口が取り込んだ前記シールドガスの方向を変更し前記第2のガス噴出孔へ前記シールドガスを供給する経路であるガス方向変更ラインと、
を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の金属造形用シールドガスノズル。
【請求項4】
前記シールドガスを分流して複数方向から前記交差点へ噴出するガス分流部と、
前記ガス分流部へ前記シールドガスを供給する経路である第1のガス供給ラインと、
を備え、
前記ガス分流部は、
前記第1のガス噴出孔、及び前記第2のガス噴出孔と、
前記第1のガス噴出孔、及び前記第2のガス噴出孔へ前記シールドガスを分流して供給する経路である分流ガス供給ラインと、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の金属造形用シールドガスノズル。
【請求項5】
前記ガス分流部は、
前記母材面に対して垂直方向から見た時に、前記交差点を中心とするリング状であることを特徴とする請求項4に記載の金属造形用シールドガスノズル。
【請求項6】
前記第1のガス噴出孔、及び前記第2のガス噴出孔は、
前記第1のガス噴出孔、及び前記第2のガス噴出孔の出口に向かって末広がりの形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の金属造形用シールドガスノズル。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の金属造形用シールドガスノズルを備え、レーザ光で前記ワイヤを加熱溶融して前記ビードを積層するレーザ金属造形装置であって、
前記交差点の位置が、前記ワイヤを加熱溶融して新たに前記ビードが積層される領域である加工領域の位置と重なるように前記金属造形用シールドガスノズルの位置を制御し、前記交差点に向けてレーザ光を照射する
ことを特徴とするレーザ金属造形装置。
【請求項8】
請求項2〜3のいずれか一項に記載の金属造形用シールドガスノズルを備え、レーザ光で前記ワイヤを加熱溶融して前記ビードを積層するレーザ金属造形装置であって、
前記第3のガス噴出孔から噴出される前記シールドガスが層流になるように前記シールドガスの流速を制御することを特徴とするレーザ金属造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーザ金属造形に使用する金属造形用シールドガスノズル、及びレーザ金属造形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ金属造形は、エネルギ密度の高いレーザ光を熱源として金属の造形材料を溶融させ、加工領域に溶融した造形材料からなるビードを形成する技術で、ワイヤ状の造形材料(以下、単に「ワイヤ」と言う)を使用してレーザ金属造形を行う装置がある。加工領域とは、ワイヤを加熱溶融して新たにビードが積層される領域で、母材面、又は既に積層されたビード上に加工領域を形成する。大気雰囲気中で造形材料を加熱溶融して加工領域にビードを形成すると、加熱溶融したときの熱と大気に含まれる酸素によってビードや母材が酸化してしまうため、加工領域やその近傍に、酸化を防止するシールドガスを供給する。シールドガスとしては、例えば、アルゴン(Ar)や窒素(N)といった不活性ガスをガスノズルから噴出させることによって、ビードや母材を冷却するとともに加工領域やその近傍の大気を遮蔽しながら、金属造形を行うのが一般的である。こうすることによって、ビードや母材を酸化防止することができる。特許文献1に同様の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−172941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シールドガスを供給する軸方向であるシールドガス供給軸とワイヤを送給する軸方向であるワイヤ送給軸とが非同軸の場合、シールドガスの供給方向から見てワイヤの陰になる位置の加工領域(以下、「陰領域」という)には、ワイヤによってシールドガスが遮られシールドガスの供給が妨げられるので、酸化防止が困難となるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ワイヤを使用してレーザ金属造形を行う際に、ビードや母材の酸化を防止することを可能とする金属造形用シールドガスノズルを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の金属造形用シールドガスノズルは、母材面に対して傾斜角θの角度でワイヤを送給する経路であるワイヤ送給ラインと、母材面に対して前記傾斜角θ以下の角度でビードの酸化を防止するシールドガスを噴出する第1のガス噴出孔と、第1のガス噴出孔の噴出方向とは異なる方向からシールドガスを噴出する第2のガス噴出孔と、を備える。金属造形用シールドガスノズルは、第1のガス噴出孔、及び第2のガス噴出孔よりも低い位置に、ワイヤを送給する方向であるワイヤ送給方向、第1のガス噴出孔の中心軸方向、及び第2のガス噴出孔の中心軸方向が交差する交差点を有する。第1のガス噴出孔は、母材面に対して垂直方向から見た場合のワイヤ送給方向に対する角度の絶対値が90度より小さい角度の方向から交差点に向けてシールドガスを噴出し、第2のガス噴出孔は、母材面に対して垂直方向から見た場合のワイヤ送給方向に対する角度の絶対値が90度より大きい角度の方向から交差点に向けてシールドガスを噴出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる金属造形用シールドガスノズルは、ワイヤを使用してレーザ金属造形を行う際に、大気遮蔽性を確保できるため、ビードや母材の酸化を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1にかかるレーザ金属造形装置の構成を示す模式図
図2】実施の形態1にかかる金属造形用シールドガスノズルの模式図
図3】実施の形態1にかかる加工領域と交差点との位置関係を説明する模式図
図4】実施の形態1にかかる金属造形用シールドガスノズルのガス噴出孔の位置関係を説明する模式図
図5】実施の形態1にかかる金属造形用シールドガスノズルに、第1のガス噴出孔、第2のガス噴出孔、及び第4のガス噴出孔を備える構成を示す模式図
図6】実施の形態1にかかるレーザ金属造形装置が有する制御装置のハードウェア構成図
図7】実施の形態2にかかる金属造形用シールドガスノズルの模式図
図8】実施の形態3にかかる金属造形用シールドガスノズルの模式図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態にかかる金属造形用シールドガスノズル、及びレーザ金属造形装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施形態1におけるレーザ金属造形装置100の構成を模式的に示す図である。レーザ金属造形装置100は、レーザ光1でワイヤ2を加熱溶融してビード3を母材面上の加工領域Aに積層する。母材4は、ステージ5に載置される。レーザ金属造形装置100は、レーザ発振器10と、制御装置20と、加工ヘッド30と、ワイヤ供給装置40と、シールドガス供給装置50と、駆動装置60と、ステージ5とを備える。加工ヘッド30は、加工ヘッド本体31に金属造形用シールドガスノズル70と、レーザヘッド6を備える。ワイヤ供給装置40は、金属造形用シールドガスノズル70にワイヤ2を供給する。シールドガス供給装置50は、金属造形用シールドガスノズル70にシールドガスを供給する。金属造形用シールドガスノズル70は、ワイヤ供給装置40から供給されたワイヤ2を加工領域Aへ送給し、シールドガスを加工領域Aへ噴出する。レーザ発振器10は、光伝達経路7を介してレーザヘッド6へレーザ光1を出力する。レーザヘッド6は、光伝達経路7を介して出力されたレーザ光1を加工領域Aへ向けて照射する。駆動装置60は、鉛直方向であるZ軸方向に加工ヘッド30を移動させるZ軸駆動装置63と、Z軸方向に垂直なX軸方向に加工ヘッド30を移動させるX軸駆動装置61と、Z軸方向とX軸方向に垂直なY軸方向に加工ヘッド30を移動させるY軸駆動装置62とを備え、加工ヘッド30を指定された位置へ移動させる。制御装置20は、所望する加工領域Aにビード3を積層するように、レーザ発振器10と、ワイヤ供給装置40と、シールドガス供給装置50と、駆動装置60とを制御する。
【0011】
図2は、本発明の実施形態1における金属造形用シールドガスノズル70の模式図である。図2(a)は、母材面に対して垂直方向(図1のZ軸方向)から見た図で、図2(b)は、母材面に対して水平方向(図1のX軸方向)から見た図である。ノズル71には、ビード3を形成する母材面に対して傾斜角θでワイヤ2を加工領域Aへ送給する経路であるワイヤ送給ライン72と、シールドガスを分流して複数方向から加工領域Aへ噴出するガス分流部73へシールドガスを供給する経路である第1のガス供給ライン74を備えている。ノズル71の先端は、加工領域Aに対してシールドガスを噴出する第1のガス噴出孔75、及び第2のガス噴出孔76を備えたリング状のガス分流部73と接続している。ガス分流部73内には第1のガス噴出孔75、及び第2のガス噴出孔76へシールドガスを分流して供給する経路である分流ガス供給ライン77を備え、分流ガス供給ライン77はノズル71内の第1のガス供給ライン74と分流点78を経由して接続されている。尚、図2では第1のガス供給ライン74が2つの経路となっているが、これは、第1のガス供給ライン74の出口側の延長上に第1のガス噴出孔75があると第1のガス供給ライン74から供給されるシールドガスが直接第1のガス噴出孔75に流れてしまい、第2のガス噴出孔76から噴出されるシールドガスとの流量差が生じやすくなるため、第1のガス供給ライン74の延長線と第1のガス噴出孔75の延長線とが重ならないようにしているだけであって、必ずしも複数なくとも良い。
【0012】
本発明の実施形態1では、第1のガス噴出孔75、及び第2のガス噴出孔76よりも低い位置に、ワイヤ2を送給する方向であるワイヤ送給方向81、第1のガス噴出孔75の中心軸方向82、及び第2のガス噴出孔76の中心軸方向83が交差する交差点Pを有するように、ワイヤ送給ライン72、第1のガス噴出孔75、及び第2のガス噴出孔76が形成されている。第1のガス噴出孔75の中心軸方向82、及び第2のガス噴出孔76の中心軸方向83とは、それぞれのガス噴出孔から噴出されるシールドガスの噴出方向の中心軸方向である。また、レーザ光1の照射方向も交差点Pに向かうようにレーザヘッド6が配置されている。図3は、加工領域Aと交差点Pとの位置関係を説明する模式図である。図3(a)は、母材面に対して垂直方向(図1のZ軸方向)から見た時の加工領域Aと交差点Pの位置関係を示し、図3(b)は、母材面に対して水平方向(図1のX軸方向)から見た時の加工領域Aと交差点Pの位置関係を示している。交差点Pの位置は、第1のガス噴出孔75の中心軸方向、及び第2のガス噴出孔76の中心軸方向の両方向から吹き付けられるシールドガスの圧力が交差点Pにおいて均等になる位置に形成されるのが好ましいが、これに限定されない。本発明の実施形態1では、母材面に対して垂直方向から見た時に、リング状のガス分流部73の中心付近が交差点Pになるようにワイヤ送給ライン72、第1のガス噴出孔75、及び第2のガス噴出孔76が形成されている。すなわち、ガス分流部73は、母材面に対して垂直方向から見た時に、交差点Pを中心とするリング状である。レーザ金属造形を行う際は、この交差点Pの位置が加工領域Aと重なるように金属造形用シールドガスノズル70の位置を制御し、交差点Pに向けてレーザ光1を照射することによって、所望する加工領域Aにワイヤ2を送給してビード3を積層するとともに、積層したビード3に対してシールドガスを複数の方向から供給することが可能となる。以降の説明では、金属造形用シールドガスノズル70の位置を制御して、交差点Pの位置が加工領域Aと重なった状態を想定しているので、第1のガス噴出孔、及び第2のガス噴出孔からシールドガスを交差点に向けて噴出することを、加工領域Aに向けて噴出すると説明する場合がある。
【0013】
また、第1のガス噴出孔75、及び第2のガス噴出孔76のうち、少なくとも第1のガス噴出孔75の出口は、ワイヤ送給ライン72の出口の位置よりも母材面に近い位置に形成され、母材面に対して傾斜角θ以下の角度で交差点にシールドガスを噴出するように形成されている。この第1のガス噴出孔75、及び第2のガス噴出孔76の形状は、加工領域Aに形成されるビード3とその近傍がシールドガスで覆われるようにガス噴出孔の出口に向かって末広がりの形状となっていることが好ましい。実施の形態1では第1のガス噴出孔75が母材面に対して垂直方向から見て、ワイヤ送給ライン72の直下に形成され、第2のガス噴出孔76が加工領域Aを挟んで第1のガス噴出孔75の180度反対側に形成されているが、一例であって、この位置関係に限定されない。第1のガス噴出孔75は、母材面に対して垂直方向から見て、ワイヤ送給方向81に対する角度の絶対値が90度より小さい角度の方向から交差点Pに向けてシールドガスを噴出するようにガス分流部73に配置され、第2のガス噴出孔76は、母材面に対して垂直方向から見て、ワイヤ送給方向81に対する角度の絶対値が90度より大きい角度の方向から交差点Pに向けてシールドガスを噴出するようにガス分流部73に配置されていれば良い。この関係を図4を用いて説明する。図4は、第1のガス噴出孔75が母材面に対して垂直方向から見て、ワイヤ送給ライン72の直下に形成されていない場合のガス分流部73を模式的に示した図であり、母材面に対して垂直方向(図1のZ軸方向)からガス分流部73を見た図である。母材面に対して垂直方向から見たときのワイヤ送給方向81と、第1のガス噴出孔75の中心軸方向82とが成す角度αの絶対値が90度より小さい角度であり、且つ母材面に対して垂直方向から見たときのワイヤ送給方向81と、第2のガス噴出孔76の中心軸方向83とが成す角度βの絶対値が90度より大きい角度の場合、第2のガス噴出孔76から交差点Pに向けてシールドガスを噴出すると、ワイヤ2によってシールドガスの供給が妨げられ、陰領域Bが生じるが、第1のガス噴出孔75から交差点Pに向けてシールドガスを噴出すると、陰領域Bへはワイヤ2によってシールドガスの供給が妨げられない為、加工領域A全体にシールドガスを供給することが可能となる。
【0014】
このような構成により、一方のガス噴出孔から噴出されるシールドガスがワイヤ2によって遮られて陰領域Bが加工領域Aに生じたとしても、他方のガス噴出孔から噴出されるシールドガスによって、陰領域Bにシールドガスが供給されるので、ビード3やその近傍をシールドガス雰囲気で満たすことができ、ビード3や母材4を酸化防止することが可能となる。
【0015】
本発明の実施形態1では、第1のガス噴出孔75、及び第2のガス噴出孔76を備えたリング状のガス分流部73を用いて説明しているが、一例であって、第1のガス噴出孔75、及び第2のガス噴出孔76を含め、少なくとも2つ以上のガス噴出孔を備えていればよく、例えば、図5のように、交差点Pに向けてシールドガスを噴出する、第1のガス噴出孔75、第2のガス噴出孔76、及び第4のガス噴出孔84をガス分流部73に備える構成でも良い。また、ガス分流部73の形状もリング状に限定されなく、レーザ光1の加工領域Aへの照射を妨げず、複数の方向から加工領域Aに向けてシールドガスを噴出するようにガス噴出孔を備え、各ガス噴出孔へシールドガスを分流して供給できる形状であればよい。
【0016】
なお、本実施の形態では、ワイヤ送給ライン72と第1のガス供給ライン74とが一体となった構造を一例として説明したが、ワイヤ送給ライン72と第1のガス供給ライン74とが一体となった構造に限定されず、ワイヤ送給ライン72と第1のガス供給ライン74とが分離している構造でも良い。
【0017】
図6は、レーザ金属造形装置100が有する制御装置20のハードウェア構成図である。制御装置20の制御機能は、メモリ102に格納されるプログラムを実行するプロセッサにより実現される。プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又はDSP(Digital Signal Processor)である。制御装置20の機能は、プロセッサ101と、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ102に格納される。メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリ等の内蔵メモリである。ディスプレイ103は、レーザ金属造形装置100の制御に関する表示画面を表示する。
【0018】
実施の形態2.
実施の形態2では、ビード周辺への大気混入を抑制し、更に高い酸化防止効果のある金属造形用シールドガスノズルについて説明する。実施の形態1と同じ部分については説明を省略し、実施の形態1と異なる部分について説明する。
【0019】
図7は、実施の形態2にかかる金属造形用シールドガスノズル70aの模式図である。
図7(a)は、母材面に対して垂直方向(図1のZ軸方向)から見た図で、図7(b)は、母材面に対して水平方向(図1のX軸方向)から見た図で、図7(c)は、母材面に対して水平方向(図1のY軸方向)から見た図である。
【0020】
実施の形態2の金属造形用シールドガスノズル70aのノズル71aは、実施の形態1の金属造形用シールドガスノズル70のノズル71内に更に、第1のガス噴出孔75、及び第2のガス噴出孔76よりも高い位置から交差点Pの上空を通過するようにシールドガスを噴出する第3のガス噴出孔85と、第3のガス噴出孔85へシールドガスを供給する経路である第2のガス供給ライン86を備えた構成となっている。第3のガス噴出孔85は、母材面に対し、第1のガス噴出孔75、及び第2のガス噴出孔76よりも高い位置でノズル71aに形成されている。第3のガス噴出孔85は、この位置から母材面に対して水平方向にシールドガスを噴出することによって、交差点Pの上空にガス流の幕を作る。
【0021】
第3のガス噴出孔85から噴出されるシールドガスは加工領域Aに直接供給されないが、ガス流の幕を作り、外気の侵入を防ぐガスカーテンの役目を果たし、加工領域Aの直上からの大気侵入を防止することができ、ビード3やその近傍をシールドガスで安定的に確保することが可能となる。第3のガス噴出孔85から噴出されるシールドガスのガス流は、滑らかで安定した流れが特徴である層流とすることがのぞましい。第3のガス噴出孔85から噴出されるガス流が層流になるか、乱流になるかは、以下の式で表されるレイノルズ数の大きさで決まる。
Re=ρ×L×U/μ ・・・(1)
【0022】
ここで、Reはレイノルズ数、ρはガスの密度[kg/m]、Lは代表長さ[m]、Uは流速[m/s]、μはガスの粘性係数[Pa・s]である。例えば、第3のガス噴出孔85の出口形状が短辺側87の長さ1.0×10−3[m]と長辺側88の長さ30.0×10−3[m]の矩形形状の場合、のアスペクト比が1:30と十分大きなアスペクト比なので、代表長さとしては短辺側87の長さになり、L=1.0×10−3[m]となる。Re=1000が層流を示す数値であるとすると、シールドガスにアルゴン(Ar)を使用し、気温25℃の場合、ガスの密度ρは1.076[kg/m]、ガスの粘性係数μは0.0227×10−3[Pa・s]となり、式(1)からUは約21[m/s]と求まる。すなわち、第3のガス噴出孔85からシールドガスを約21[m/s]の流速で噴出すると、層流にすることが可能である。すなわち、制御装置20は第3のガス噴出孔85から噴出されるシールドガスが層流になるようにシールドガスの流速を制御する。また、第3のガス噴出孔85の出口形状は、式(1)を使ってレイノルズ数を求めた時に層流を示す数値になる形状であれば良く、図7に示す形状に限定されない。
【0023】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第3のガス噴出孔85から母材面に対して水平方向にシールドガスを噴出することによって、交差点Pの上空にガス流の幕を作ることによって、加工領域やその近傍への大気遮蔽性を高めて、ビードや母材の酸化を防止することができる。
【0024】
実施の形態3.
実施の形態2で、ビード周辺への大気混入を抑制し、更に高い酸化防止効果のあるシールドガスノズルについて説明したが、実施の形態3では実施の形態2の変形例について説明する。実施の形態1、及び実施の形態2と同じ部分については説明を省略し、実施の形態1、及び実施の形態2と異なる部分について説明する。
【0025】
図8は実施の形態3にかかる代表的な金属造形用シールドガスノズル70bの模式図である。
図8(a)は、母材面に対して垂直方向(図1のZ軸方向)から見た図で、図8(b)は、母材面に対して水平方向(図1のX軸方向)から見た図で、図8(c)は、母材面に対して水平方向(図1のY軸方向)から見た図である。
【0026】
ノズル71bの内部にはビード3を形成する母材面に対して傾斜角θでワイヤ2を加工領域Aへ送給する経路であるワイヤ送給ライン72と、加工領域Aに対してシールドガスを噴出する第1のガス噴出孔75aと、第1のガス噴出孔75aへシールドガスを供給する経路である第1のガス供給ライン74aと、第1のガス噴出孔75a、及び第2のガス噴出孔76aよりも高い位置から交差点Pの上空を通過するようにシールドガスを噴出する第3のガス噴出孔85と、第3のガス噴出孔85へシールドガスを供給する経路である第2のガス供給ライン86とを備えている。第3のガス噴出孔85は、母材面に対し、第1のガス噴出孔75a、及び第2のガス噴出孔76aよりも高い位置でノズル71bに形成されている。第3のガス噴出孔85は、この位置から母材面に対して水平方向にシールドガスを噴出することによって、交差点Pの上空にガス流の幕を作る。
【0027】
また、第1のガス噴出孔75aの出口は、ワイヤ送給ライン72の出口の位置よりも母材面に近い位置に形成され、母材面に対して傾斜角θ以下の角度で交差点Pにシールドガスを噴出するように形成されている。この第1のガス噴出孔75aの形状は、加工領域Aに形成されるビード3とその近傍がシールドガスで覆われるようにガス噴出孔の出口に向かって末広がりの形状となっていることが好ましい。
【0028】
また、金属造形用シールドガスノズル70bは、第3のガス噴出孔85から加工領域Aの上空へ噴出されたシールドガスの方向を変更し加工領域Aへ噴出するガス方向変更部90を備えている。ガス方向変更部90は、加工領域Aに対してシールドガスを噴出する第2のガス噴出孔76aと、第3のガス噴出孔85から加工領域Aの上空へ噴出されたシールドガスを取り込むガス取り込み口91と、ガス取り込み口91が取り込んだシールドガスの方向を変更し第2のガス噴出孔76aへシールドガスを供給する経路であるガス方向変更ライン92とを備えている。第3のガス噴出孔85から加工領域Aの上空へ母材面に対して水平方向に噴出されたシールドガスを、ガス取り込み口91から取り込み易くする為に、ガス取り込み口91は、ガス方向変更部90において第3のガス噴出孔85の噴出方向の延長線上の位置に形成されている。また、第2のガス噴出孔76aの形状は、加工領域Aに形成されるビード3とその近傍がシールドガスで覆われるようにガス噴出孔の出口に向かって末広がりの形状となっていることが好ましい。
【0029】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第3のガス噴出孔85から母材面に対して水平方向にシールドガスを噴出するとともに、第3のガス噴出孔85から噴出され、交差点Pの上空を通過したシールドガスの方向を変更し第2のガス噴出孔76aからシールドガスを噴出させることによって、交差点Pの上空にガス流の幕を作りながら、陰領域にもシールドガスを供給することが可能となり、加工領域Aやその近傍への大気遮蔽性を高めて、ビード3や母材4の酸化を防止することができる。
【0030】
本発明の実施形態3では、第1のガス噴出孔75aを備えたノズル71b、及び第2のガス噴出孔76aを備えたガス方向変更部90を用いて説明しているが、一例であって、第1のガス噴出孔75a、及び第2のガス噴出孔76aを含め、少なくとも2つ以上のガス噴出孔を備えていればよく、例えば、ノズル71bに第1のガス噴出孔75aとそれ以外のガス噴出孔を備えていても良いし、ガス方向変更部90に第2のガス噴出孔76aとそれ以外のガス噴出孔を備える構成でも良い。
【0031】
本発明の実施形態3では、第1のガス噴出孔75a、及び第2のガス噴出孔76aの出口形状が矩形形状の例を示した。ガス噴出孔の出口形状を矩形形状にすると、ビードやその近傍の広い範囲をシールドガスで覆いやすくなるので、矩形形状にすることが好ましいが、ビードやその近傍をシールドガス雰囲気で満たすことができれば良く、矩形形状に限定されない。また、第3のガス噴出孔85の出口形状は、式(1)を使ってレイノルズ数を求めた時に層流を示す数値になる形状であれば良く、図8に示す形状に限定されない。また、第1のガス噴出孔75a、及び第2のガス噴出孔76aから噴出されるシールドガスの流れは層流となっていることが好ましく、実施の形態1で記載の層流を実現できる条件を満たしているとなお良い。
【0032】
なお、本実施の形態では、ワイヤ送給ライン72と第1のガス供給ライン74aとが一体となった構造を一例として説明したが、ワイヤ送給ライン72と第1のガス供給ライン74aとが一体となった構造に限定されず、ワイヤ送給ライン72と第1のガス供給ライン74aとが分離している構造でも良い。
【0033】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組合せることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 レーザ光、2 ワイヤ、3 ビード、4 母材、5 ステージ、6 レーザヘッド、7 光伝達経路、10 レーザ発振器、20 制御装置、30 加工ヘッド、31 加工ヘッド本体、40 ワイヤ供給装置、50 シールドガス供給装置、60 駆動装置、61 X軸駆動装置、62 Y軸駆動装置、63 Z軸駆動装置、70,70a,70b 金属造形用シールドガスノズル、71,71a,71b ノズル、72 ワイヤ送給ライン、73 ガス分流部、74,74a 第1のガス供給ライン、75,75a 第1のガス噴出孔、76,76a 第2のガス噴出孔、77 分流ガス供給ライン、78 分流点、81 ワイヤ送給方向、82 第1のガス噴出孔の中心軸方向、83 第2のガス噴出孔の中心軸方向、84 第4のガス噴出孔、85 第3のガス噴出孔、86 第2のガス供給ライン、87 短辺側、88 長辺側、90 ガス方向変更部、91 ガス取り込み口、92 ガス方向変更ライン、100 レーザ金属造形装置、101 プロセッサ、102 メモリ、103 ディスプレイ、A 加工領域、B 陰領域、P 交差点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】