(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年2月13日
【発行日】2021年8月26日
(54)【発明の名称】位置測定装置及び搬送車
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20210730BHJP
G01S 7/497 20060101ALI20210730BHJP
G01S 17/93 20200101ALI20210730BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
G01S7/497
G01S17/93
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
【出願番号】特願2020-536359(P2020-536359)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年6月14日
(31)【優先権主張番号】特願2018-150334(P2018-150334)
(32)【優先日】2018年8月9日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000107147
【氏名又は名称】日本電産シンポ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118496
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 耕三
(72)【発明者】
【氏名】吉田 瞳
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA04
5J084AA05
5J084AC02
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA20
5J084BA36
5J084BA49
5J084EA16
5J084EA20
5J084EA22
(57)【要約】
位置測定装置16は、移動体100に設置されて、物体BJの位置を測定する。位置測定装置16は、検知部169と、通過部160と、流体送出部164とを備える。検知部169は、物体BJから到来する光又は音を検知する。通過部160では、光又は音が検知部169に検知される前に、光又は音が通過する。流体送出部164は、光又は音の経路PS1、PS2に向けて流体Bを送り出す。経路PS1、PS2は、通過部160の外面160aよりも外側にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設置されて、物体の位置を測定する位置測定装置であって、
物体から到来する光又は音を検知する検知部と、
前記光又は前記音が前記検知部に検知される前に、前記光又は前記音が通過する通過部と、
前記光又は前記音の経路に向けて流体を送り出す流体送出部と
を備え、
前記経路は、前記通過部の外面よりも外側にある、位置測定装置。
【請求項2】
前記流体は、気体であり、
前記流体送出部は、前記経路に向けて風を送り出す、請求項1に記載の位置測定装置。
【請求項3】
前記風を前記経路に向けて案内する送風ガイドをさらに備える、請求項2に記載の位置測定装置。
【請求項4】
前記流体送出部は、前記通過部の下方に配置される、請求項2又は請求項3に記載の位置測定装置。
【請求項5】
前記流体は、液体である、請求項1に記載の位置測定装置。
【請求項6】
走行する搬送車であって、
車体と、
前記車体に設置されて、前記搬送車の外部に位置する物体の位置を測定する位置測定装置と
を備え、
前記位置測定装置は、
前記物体から到来する光又は音を検知する検知部と、
前記光又は前記音が前記検知部に検知される前に、前記光又は前記音が通過する通過部と、
前記光又は前記音の経路に向けて流体を送り出す流体送出部と
を備え、
前記経路は、前記通過部の外面よりも外側にある、搬送車。
【請求項7】
前記位置測定装置を制御する制御部をさらに備え、
前記車体は、車輪を備え、
前記制御部は、
前記車輪の回転開始に応じて前記流体送出部を駆動し、
前記車輪の回転停止に応じて前記流体送出部を停止する、請求項6に記載の搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置測定装置及び搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無人搬送車は、ベース部と、本体部と、フロント部と、格子型バンパーと、レーザレンジファインダとを備えている。レーザレンジファインダは、レーザ光を出射して障害物から反射した光に基づいて障害物の存在を検知するセンサであり、無人搬送車において障害物センサとして用いられる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−185130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の無人搬送車では、無人搬送車の走行によって、レーザレンジファインダ(位置測定装置)に粉塵が付着し得る。レーザレンジファインダに粉塵が付着すると、レーザレンジファインダの検知結果の信頼性が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、粉塵の付着を予防できる位置測定装置及び搬送車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な位置測定装置は、移動体に設置されて、物体の位置を測定する。位置測定装置は、検知部と、通過部と、流体送出部とを備える。検知部は、物体から到来する光又は音を検知する。通過部では、前記光又は前記音が前記検知部に検知される前に、前記光又は前記音が通過する。流体送出部は、前記光又は前記音の経路に向けて流体を送り出す。前記経路は、前記通過部の外面よりも外側にある。
【0007】
本発明の例示的な搬送車は、走行する。搬送車は、車体と、位置測定装置とを備える。位置測定装置は、前記車体に設置されて、前記搬送車の外部に位置する物体の位置を測定する。位置測定装置は、検知部と、通過部と、流体送出部とを備える。検知部は、前記物体から到来する光又は音を検知する。通過部では、前記光又は前記音が前記検知部に検知される前に、前記光又は前記音が通過する。流体送出部は、前記光又は前記音の経路に向けて流体を送り出す。前記経路は、前記通過部の外面よりも外側にある。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本発明によれば、粉塵の付着を予防できる位置測定装置及び搬送車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、本発明の実施形態に係る搬送車を示す斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、本実施形態に係る搬送車を示す側面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る搬送車の天板を取り外した状態を示す平面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る搬送車の位置測定装置を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る搬送車の位置測定装置を示す別の斜視図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る搬送車の位置測定装置を示す側面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る搬送車の位置測定装置の測定範囲を示す模式的平面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る搬送車を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明による位置測定装置及び搬送車の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載することがある。X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0012】
図1Aは搬送車100を示す斜視図である。
図1Bは搬送車100を示す側面図である。
図1A及び
図1Bに示すように、搬送車100は、車体1と、天板3とを備える。搬送車100は、床面を走行する。本実施形態では、搬送車100は無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)である。「搬送車100」は「移動体」の一例に相当する。
【0013】
本明細書において、床面は、搬送車100が走行可能な面であれば、特に限定されない。床面は、例えば、屋内の床面であってもよいし、屋外の路面又は地面であってもよい。また、床面は、人工的に整備された床面であってもよいし、人工的に整備されていない床面であってもよい。人工的に整備された床面は、例えば、床材を使用して形成された床面、舗装された面に塗料を塗布した床面、舗装された路面、又は、舗装された地面である。人工的に整備されていない床面は、例えば、建設現場等における未舗装の路面又は地面である。例えば、搬送車100は床面を自由に走行する。
【0014】
車体1は、略直方体状の筐体10と、複数の駆動車輪12と、複数の車輪14とを備える。本実施形態では、車体1は、一対の駆動車輪12と、4個の車輪14とを備える。一対の駆動車輪12はY軸方向に対向する。4個の車輪14のうち、一対の車輪14はY軸方向に対向し、他の一対の車輪14はY軸方向に対向する。駆動車輪12は駆動されて回転する。車輪14は、床面を介して駆動車輪12の回転駆動力を受けて回転する。「駆動車輪12」は「車輪」の一例に相当する。
【0015】
天板3は車体1の上部に設置される。天板3は、略矩形状かつ略平板状である。
【0016】
搬送車100は単数又は複数の位置測定装置16をさらに備える。本実施形態では、搬送車100は2個の位置測定装置16を備えている。位置測定装置16の各々は、搬送車100に設置されて、搬送車100の外部に位置する物体の位置を測定する。位置測定装置16の各々は、例えば、レーザレンジファインダである。物体は、例えば、搬送車100に対する障害物である。
【0017】
次に、
図2〜
図5を参照して位置測定装置16を説明する。
図2は、搬送車100の天板3を取り外した状態を示す平面図である。
図2に示すように、2個の位置測定装置16は車体1に設置される。2個の位置測定装置16は、平面視において、筐体10の対角線上で互いに対向する。2個の位置測定装置16は、それぞれ、車体1の2つの角部に設置される。
【0018】
図3及び
図4は、位置測定装置16を示す斜視図である。
図5は、位置測定装置16を示す側面図である。
図3〜
図5に示すように、位置測定装置16は、通過部160と、台部161と、支持部162と、流体送出部164と、フィルタ166と、送風ガイド168と、検知部169とを備える。
【0019】
通過部160は光を通過させる。つまり、光は通過部160を通過する。通過部160は、例えば、合成樹脂製である。通過部160は、例えば、特定波長の光だけを通過させるフィルタとして機能する。通過部160は略円筒形状を有する。本実施形態では、通過部160は略有蓋円筒形状を有する。通過部160は、例えば、検知部169を覆うカバーとして機能する。通過部160は鉛直方向に沿って延びている。
【0020】
台部161には、通過部160が固定される。本実施形態では、台部161は略直方体状である。台部161は鉛直方向に沿って延びている。
【0021】
送風ガイド168は台部161を囲む。送風ガイド168と台部161との間には隙間が存在する。送風ガイド168は鉛直方向に沿って延びている。本実施形態では、送風ガイド168は略四角筒状である。具体的には、送風ガイド168は、ガイド部168aと、ガイド部168bと、ガイド部168cと、ガイド部168dとを備える。ガイド部168a〜ガイド部168dの各々は、略平板状であり、略矩形状である。
【0022】
支持部162は台部161及び送風ガイド168を支持する。具体的には、支持部162は、ベース162aと、複数の支柱162bとを備える。ベース162aは略平板状である。複数の支柱162bの各々は、ベース162aの上面から鉛直上方向に延びている。そして、複数の支柱162bは台部161を支持する。また、ベース162aには送風ガイド168が取り付けられる。そして、送風ガイド168は、ベース162aの上面から鉛直上方向に延びている。
【0023】
流体送出部164は、流体Bを鉛直上方向に送り出す。流体送出部164は支持部162に取り付けられる。具体的には、流体送出部164は、ベース162aの下面に取り付けられる。送風ガイド168は、流体送出部164が送り出す流体Bを鉛直上方向に案内する。その結果、流体Bは、通過部160の外周面160aに沿って鉛直上方向に流れる。
【0024】
フィルタ166は、流体送出部164の下部に取り付けられる。そして、流体送出部164は、フィルタ166を介して流体Bを吸い込み、吸い込んだ流体Bを鉛直上方向に送り出す。従って、フィルタ166は、流体Bが流体送出部164に吸い込まれる際に、流体Bに含まれる粉塵を除去する。
【0025】
本実施形態では、「流体B」は「気体Ba」である。具体的には、「流体B」は「空気Bb」である。従って、流体送出部164は、空気Bbをフィルタ166を介して吸い込んで、空気Bbを風Bcとして鉛直上方向に送り出す。送風ガイド168は、流体送出部164が送り出す風Bcを鉛直上方向に案内する。フィルタ166は、空気Bbが流体送出部164に吸い込まれる際に、空気Bbに含まれる粉塵を除去する。
【0026】
引き続き
図5を参照して位置測定装置16の動作を説明する。
図5に示すように、検知部169は物体BJを検知する。そして、位置測定装置16は、検知部169の検知結果に基づいて物体BJの位置を測定する。
【0027】
具体的には、検知部169は光A1を出射する。光A1は通過部160を通過する。物体BJに光A1が照射されると、物体BJは光A1を反射する。物体BJが反射した光A1(以下、「光A2」と記載する。)は、検知部169に向かって進む。従って、検知部169は、物体BJから到来する光A2を検知する。具体的には、光A2は通過部160を通過する。そして、検知部169は、通過部160を通過した光A2を検知する。換言すれば、光A2が検知部169に検知される前に、光A2が通過部160を通過する。
【0028】
流体送出部164は、搬送車100の走行中に駆動される。そして、流体送出部164は、通過部160の側に向かって流体Bを送り出す。具体的には、流体送出部164は、通過部160と物体BJとの間の光A1の経路PS1及び光A2の経路PS2に向けて流体Bを送り出す。つまり、流体送出部164は、検知部169に基づく光A1の経路PS1及び光A2の経路PS2に向けて流体Bを送り出す。経路PS1及び経路PS2は、通過部160の外周面160aよりも外側にある。なお、「外周面160aよりも外側の経路」は、「外周面160aよりも内側の経路でないこと」、つまり、「位置測定装置16の内部の経路でないこと」を示す。「外周面160a」は、通過部160の「外面」の一例に相当する。
【0029】
本実施形態によれば、経路PS1及び経路PS2に向けて流体Bを送り出すため、経路PS1及び経路PS2中の粉塵が吹き飛ばされる。特に、経路PS1及び経路PS2中の粉塵が搬送車100の走行中に吹き飛ばされることによって、粉塵が通過部160に付着することを予防できる。又は、流体Bによって流体カーテンが形成されることによって、搬送車100の走行中に粉塵が通過部160に付着することを予防できる。具体的には、通過部160の外周面160aへの粉塵の付着を予防できる。なお、流体カーテンとは、流体Bの流れによって形成される疑似的な幕のことである。また、粉塵は、虫等の小さな生物を含んでいてもよい。
【0030】
通過部160への粉塵の付着を予防できると、粉塵による光A1及び光A2の散乱、屈折、及び遮断を予防できる。従って、粉塵が通過部160に付着している場合と比較して、検知部169による物体BJの検知精度を向上できる。その結果、位置測定装置16による物体BJの位置の測定結果の信頼性が低下することを抑制できる。
【0031】
特に、本実施形態では、流体Bは気体Baである。従って、流体送出部164は、経路PS1及び経路PS2に向けて気体Baを送り出す。具体的には、流体送出部164は、経路PS1及び経路PS2に向けて空気Bbを送り出す。換言すれば、流体送出部164は、経路PS1及び経路PS2に向けて風Bcを送り出す。従って、例えばファンのような簡素な構成の流体送出部164によって、搬送車100の走行中に粉塵が通過部160に付着することを予防できる。なお、風Bcは、通過部160の外周面160aに接触してもよいし、接触しなくてもよい。
【0032】
また、本実施形態では、送風ガイド168が、風Bcを経路PS1及び経路PS2に向けて案内する。従って、経路PS1及び経路PS2に効果的に風Bcを送り出すことができる。その結果、経路PS1及び経路PS2中の粉塵を更に効果的に吹き飛ばすことができて、搬送車100の走行中に粉塵が通過部160に付着することを更に効果的に予防できる。
【0033】
さらに、本実施形態では、流体送出部164は、通過部160の下方に配置される。従って、流体送出部164は鉛直上方向に風Bcを送り出すため、風Bcによって粉塵が巻き上がることを抑制できる。その結果、通過部160に粉塵が付着することを更に効果的に予防できる。
【0034】
さらに、本実施形態では、天板3が位置測定装置16の上部を覆う。つまり、通過部160の上方には、天板3が位置する。従って、流体送出部164が送り出す風Bcは、天板3に当たって再び経路PS1及び経路PS2に向かう。その結果、搬送車100の走行中に通過部160に粉塵が付着することを更に効果的に予防できる。
【0035】
次に、
図5及び
図6を参照して検知部169を説明する。
図5に示すように、検知部169は、投光部200と、受光部202とを備える。投光部200は光A1を出射する。投光部200は、例えば、赤外光を出射するレーザダイオードを備える。受光部202は光A2を受光する。受光部202は、例えば、フォトダイオードを備える。
【0036】
図6は、検知部169の検知範囲DAaを示す模式的平面図である。
図5及び
図6に示すように、検知部169は、回転軸線AXを中心にして回転する。検知部169は、回転軸線AXを中心にして回転しながら、光A1を出射しつつ、光A2を受光する。例えば、検知部169の検知範囲DAaは、平面視において、0度から270度までの範囲を示す。検知部169は、検知範囲DAaにおいて水平方向の走査を実行する。検知部169による物体BJの検知範囲DAaは、位置測定装置16による物体BJの測定範囲DAbに相当する。
【0037】
流体送出部164は、平面視において、通過部160を囲む領域のうち、少なくとも検知範囲DAaに対応する領域において、鉛直上方向に風Bcを送り出す。従って、通過部160の外周面160aのうち検知範囲DAaに対応する部分の近傍の粉塵は、風Bcによって吹き飛ばされる。その結果、搬送車100の走行中において、通過部160の外周面160aのうち検知範囲DAaに対応する部分に粉塵が付着することを予防できる。又は、搬送車100の走行中において、風Bcによって形成されるエアカーテンによって、通過部160の外周面160aのうち検知範囲DAaに対応する部分に粉塵が付着することを予防できる。なお、エアカーテンとは、風Bcによって形成される疑似的な幕のことである。
【0038】
次に、
図7を参照して搬送車100の制御を説明する。
図7は、搬送車100を示すブロック図である。
図7に示すように、搬送車100は、複数の駆動部20と、制御部22と、記憶部24とをさらに備える。
【0039】
複数の駆動部20は、それぞれ、駆動車輪12を駆動する。複数の駆動部20の各々は、例えば、モータを備える。制御部22は、複数の駆動部20の各々を制御して、複数の駆動車輪12の各々の回転と回転停止とを制御する。
【0040】
制御部22は位置測定装置16を制御する。位置測定装置16は、駆動部170と、処理部172とをさらに備える。
図7に示される駆動部170は、
図5に示されるように回転軸線AXを中心にして検知部169を回転駆動する。駆動部170は、例えば、モータを備える。処理部172は、検知部169の検知結果に基づいて、検知部169と物体BJとの間の距離を算出する。例えば、処理部172は、投光部200からの光A1の出射タイミングから、受光部202による物体BJからの光A2の検出タイミングまでの遅延時間に基づいて、検知部169から物体BJまでの距離を算出する。換言すれば、位置測定装置16は、位置測定装置16から物体BJまでの距離を測定する。更に換言すれば、位置測定装置16は、位置測定装置16に対する物体BJの位置を測定する。
【0041】
制御部22は、駆動車輪12の回転開始に応じて流体送出部164を駆動する。つまり、制御部22は、駆動車輪12の回転開始に応じて流体Bが経路PS1及び経路PS2に向けて送り出されるように、流体送出部164を制御する。従って、粉塵が通過部160に付着し易い搬送車100の走行中に、流体Bが経路PS1及び経路PS2に向けて送り出される。その結果、通過部160に粉塵が付着することを効果的に予防できる。一方、制御部22は、駆動車輪12の回転停止に応じて流体送出部164を停止する。その結果、位置測定装置16の消費電力を抑制できる。
【0042】
制御部22は、位置測定装置16による物体BJの位置の測定結果に基づいてマップデータを作成する。そして、制御部22は、マップデータを記憶部24に記憶させる。マップデータは、搬送車100の周辺環境を示すデータである。マップデータは、搬送車100の周辺及び床面に位置する各種物体BJの位置を示す情報を含む。さらに、制御部22は、特定のアルゴリズムに従って搬送車100の移動距離及び移動方向を算出する。そして、制御部22は、搬送車100の移動距離及び移動方向と、マップデータとに基づいて、自己位置を推定する。
【0043】
ここで、本実施形態では、流体送出部164が送出する流体Bによって位置測定装置16の通過部160に粉塵が付着することを予防できるため、位置測定装置16の測定結果の信頼性を向上できる。従って、制御部22は、信頼性の高いマップデータを作成できる。そして、制御部22は、信頼性の高いマップデータに基づいて、信頼性の高い自己位置の推定を行うことができる。
【0044】
制御部22は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを備える。記憶部24は、記憶装置を備え、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。具体的には、記憶部24は、半導体メモリーのような主記憶装置と、半導体メモリー及び/又はハードディスクドライブのような補助記憶装置とを備える。制御部22のプロセッサーは、記憶部24の記憶装置が記憶しているコンピュータープログラムを実行して、位置測定装置16、複数の駆動部20、及び記憶部24を制御する。
【0045】
以上、
図1A、
図1B、及び
図2〜
図7を参照して説明したように、本実施形態によれば、流体送出部164が経路PS1及び経路PS2に流体Bを送り出すため、搬送車100の走行中に通過部160に粉塵が付着することを予防できる。なお、経路PS1及び経路PS2に流体Bを送り出すことができる限りにおいては、流体送出部164の配置は特に限定されない。例えば、流体送出部164が、通過部160の上方に配置されてもよい。
【0046】
また、本実施形態において、検知部169は、物体BJを検知できる限りにおいては特に限定されず、例えば、カメラのような撮像装置であってもよい。
【0047】
さらに、本実施形態において、流体送出部164は、圧縮空気を経路PS1及び経路PS2に送り出してもよい。この場合は、流体送出部164は、圧縮機及びノズルを備える。圧縮機は、空気を圧縮して、圧縮空気を生成する。そして、ノズルは、圧縮空気を噴出する。
【0048】
(第1変形例)
図5〜
図7を参照して、本発明の実施形態の第1変形例に係る位置測定装置16を説明する。第1変形例に係る位置測定装置16が音を出力及び検知する点で、第1変形例は
図1A、
図1B、及び
図2〜
図7を参照して説明した本実施形態と主に異なる。以下、第1変形例が本実施形態と異なる点を主に説明する。
【0049】
図5〜
図7を参照して、第1変形例に係る位置測定装置16の検知部169は、音を出力する。光A1と同様に、音は通過部160を通過する。物体BJに音が照射されると、物体BJは音を反射する。物体BJが反射した音は、光A2と同様に、検知部169に向って進む。従って、検知部169は、物体BJから到来する音を検知する。具体的には、前記音は通過部160を通過する。そして、検知部169は、通過部160を通過した音を検知する。換言すれば、音が検知部169に検知される前に、音が通過部160を通過する。本実施形態では、音は超音波である。検知部169は、投光部200及び受光部202に代えて、例えば、超音波発生器及び超音波受信器を備える。
【0050】
流体送出部164は、検知部169に基づく音の経路PS1及び音の経路PS2に向けて流体Bを送り出す。従って、第1変形例によれば、
図1A、
図1B、及び
図2〜
図7を参照して説明した本実施形態と同様に、搬送車100の走行中に粉塵が通過部160に付着することを予防できる。
【0051】
(第2変形例)
図5〜
図7を参照して、本発明の実施形態の第2変形例に係る位置測定装置16を説明する。第2変形例に係る位置測定装置16が経路PS1及び経路PS2に液体を送り出す点で、第2変形例は
図1A、
図1B、及び
図2〜
図7を参照して説明した本実施形態と主に異なる。以下、第2変形例が本実施形態と異なる点を主に説明する。
【0052】
図5〜
図7を参照して、第2変形例に係る位置測定装置16の流体送出部164が送り出す流体Bは、「液体」である。つまり、流体送出部164は、検知部169に基づく光A1の経路PS1及び光A2の経路PS2に向けて液体を送り出す。従って、第2変形例によれば、
図1A、
図1B、及び
図2〜
図7を参照して説明した本実施形態と同様に、搬送車100の走行中に粉塵が通過部160に付着することを予防できる。「液体」は、例えば、水又は油である。
【0053】
第2変形例に係る流体送出部164は、ポンプ(不図示)と、吐出部(不図示)と、管(不図示)と、回収部(不図示)とを備える。ポンプは、通過部160の下方に配置される。具体的には、台部161の下方に配置される。吐出部は、通過部160の上方に配置される。回収部は、吐出部に対向して、吐出部の下方に配置される。管は、吐出部と回収部とを連通する。
【0054】
回収部に収容された液体は、ポンプによって管を介して吐出部に供給される。そして、吐出部は、液体が経路PS1及び経路PS2を通過するように、液体を回収部に向けて吐出する。従って、液体が通過部160の上方から下方に向けて落下し、通過部160の外周面160aに対して所定間隔をあけて液体カーテンが形成される。その結果、搬送車100の走行中に粉塵が通過部160に付着することを予防できる。
【0055】
なお、回収部は、吐出部が吐出した液体を回収する。液体カーテンとは、液体の流れによって形成される疑似的な幕のことである。また、光A1及び光A2を遮らないように、検知部169の回転動作に応じて、吐出部による液体の吐出位置が制御される。なお、流体送出部164は、上述した第1変形例においては、検知部169に基づく音の経路PS1及び音の経路PS2に向けて液体を送り出してもよい。
【0056】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0057】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、例えば、位置測定装置及び搬送車に好適に利用できる。
【0059】
本願は、2018年8月9日に出願された日本出願である特願2018−150334号に基づく優先権を主張し、当該日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【符号の説明】
【0060】
1 車体
12 駆動車輪(車輪)
16 位置測定装置
22 制御部
100 搬送車(移動体)
160 通過部
160a 外周面(外面)
164 流体送出部
168 送風ガイド
169 検知部
【国際調査報告】