再表2020-31753IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年2月13日
【発行日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】冷却器、半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20201120BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
   H01L23/46 Z
   H05K7/20 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
【出願番号】特願2020-536471(P2020-536471)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年7月26日
(31)【優先権主張番号】特願2018-150206(P2018-150206)
(32)【優先日】2018年8月9日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 遼一
(72)【発明者】
【氏名】郷原 広道
(72)【発明者】
【氏名】池田 良成
(72)【発明者】
【氏名】宮下 朋之
(72)【発明者】
【氏名】立石 義博
(72)【発明者】
【氏名】沼田 俊介
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA05
5E322DA00
5F136BB04
5F136CB07
5F136DA27
(57)【要約】
流体の冷却効率が高く、圧力損失が低い冷却器を提供する。冷却器7は、少なくとも板状フィン7d1(天板)と、板状フィン7d6(底板)とからなる流路部7d’を有し、天板と底板との間に流体が流れる連続的な溝状の流路が形成され、半導体素子1a,1bを冷却する。流路は、流路部7d’を天板と平行でかつ流路に対して交差する方向から見たとき、流路の天板側の面及び底板側の面が天板側及び底板側に同期して屈曲する波型形状をなしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも天板と、底板とからなる流路部を有し、前記天板と前記底板との間に流体が流れる連続的な溝状の流路が形成された、半導体素子を冷却する冷却器において、
前記流路は、前記天板と平行でかつ前記流路に対して交差する方向から見たとき、前記流路の前記天板側の面及び前記底板側の面が、前記天板側及び前記底板側に同期して屈曲する波型形状をなしていることを特徴とする冷却器。
【請求項2】
前記流路部は、前記天板と前記底板との間に配置された少なくとも1枚の板状フィンを有し、前記天板と前記底板との間に前記板状フィンで仕切られた複数の流路が形成され、
前記複数の流路は、前記天板と平行でかつ前記複数の流路に対して交差する方向から見たとき、前記複数の流路の前記天板側の面及び前記底板側の面が、前記天板側及び前記底板側に同期して屈曲する波型形状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の冷却器。
【請求項3】
前記流路は、前記天板に対して垂直方向から見たとき、前記流路の両側面が同期して屈曲する波型形状をなしていることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却器。
【請求項4】
前記天板に対して垂直方向から見たときの前記流路の山と谷の間の間隔y1と、前記天板に対して平行でかつ前記流路に対して交差する方向から見たときの前記流路の山と谷の間の間隔y2とが等しいことを特徴とする請求項3に記載の冷却器。
【請求項5】
前記天板に対して垂直な方向から見たときの前記流路の波型形状と、前記天板に対して平行でかつ前記流路に対して交差する方向から見たときの前記流路の波型形状との位相差φが、0°+90°n≦φ≦30°+90°n、又は60°+90°n≦φ≦90°+90°n(n=0,1,2,3)の関係にあることを特徴とする請求項3又は4に記載の冷却器。
【請求項6】
前記天板に対して垂直な方向から見たときの前記流路の振幅をx1、前記天板に対して平行でかつ前記流路に対して交差する方向から見たときの前記流路の振幅をz1としたとき、z1≦x1≦3z1の関係にあることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の冷却器。
【請求項7】
前記天板に対して垂直な方向から見たときの隣り合う前記流路の間隔をx2、前記流路の幅をx3としたとき、2x3≦x2の関係にあることを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の冷却器。
【請求項8】
半導体素子と、
前記半導体素子を搭載し、絶縁基板の上面及び下面を導電性板で挟んだ積層基板と、
前記積層基板の前記半導体素子を搭載していない側と接合し、前記半導体素子を冷却する流体が流れる冷却器と、を備え、
前記冷却器は、請求項1から7のいずれか1項に記載の冷却器であることを特徴とする半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を流体によって冷却する冷却器、及び本冷却器を有する半導体モジュール
【背景技術】
【0002】
従来、電力変換用のスイッチングデバイス等として用いられるパワー半導体モジュールでは、回路から発生する熱による悪影響を抑制するため、放熱部材として冷却フィンが用いられている。例えば、次のような液冷式冷却装置が知られている。
【0003】
隣り合う2つのフィンのうちの一方(左側のフィンにおける隣り合う2つの波頂部)、および両波頂部間に位置する波底部を連結する2つの傾斜部の他方(右側のフィンを向いた右側面)と、水平面とからなる2つの交線が交わる点P1は、前後方向にのびる第1直線L1により結ばれている。また、右側のフィンにおける隣り合う2つの波底部、および両波底部間に位置する波頂部を連結する2つの傾斜部の左側のフィンを向いた左側面と水平面とからなる2つの交線が交わる点P2は、前後方向にのびる第2直線L2により結ばれている。そして、第1直線L1が第2直線L2よりも右側に位置し、点P1と点P2とが水平面上において前後方向(冷却液の流れ方向)にのびる1つの直線よりも隣り合う反対のフィン側に位置している。したがって、冷却液は、冷却液流路において、隣り合う2つのフィン間の流路部分を蛇行状に流れる(日本国特開2013−165298号公報参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
文献のフィン構造は、従来のストレートフィンと比較して冷却液が発熱体に接触する時間が長く、放熱性能が高い。しかしながら、放熱性能と冷却液の圧力損失が低いことを兼ね揃えたフィン構造が理想であり、さらに改良を重ねる必要があった。
【0005】
このような問題に鑑み、本発明の目的は、冷却効率が高く、さらに圧力損失が低い冷却器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
目的を達成するため、第1発明は、少なくとも天板と、底板とからなる流路部を有し、前記天板と前記底板との間に流体が流れる連続的な溝状の流路が形成された、半導体素子を冷却する冷却器において、前記流路は、前記天板と平行でかつ前記流路に対して交差する方向から見たとき、前記流路の前記天板側の面及び前記底板側の面が、前記天板側及び前記底板側に同期して屈曲する波型形状をなしていることを特徴とする。
【0007】
本発明の冷却器は、流路部が少なくとも天板と底板とからなり、天板と底板との間の流路を流れる流体(例えば、水)により半導体素子を冷却することができる。この流路は、天板と平行でかつ流路に対して交差する方向から見たとき、流路の天板側の面及び底板側の面が、天板側及び底板側に同期して屈曲する波型形状をなしているので、流体が天板側及び底板側に揺動しながら進行する。これにより、流体の流路内壁に対する接触面積を大きくとれるとともに、渦流等による圧力損失を低く保った状態で流体が流れることになるため、冷却効率が高く、圧力損失が低い冷却器を実現することができる。
【0008】
第1発明の冷却器において、前記流路部は、前記天板と前記底板との間に配置された少なくとも1枚の板状フィンを有し、前記天板と前記底板との間に前記板状フィンで仕切られた複数の流路が形成され、前記複数の流路は、前記天板と平行でかつ前記複数の流路に対して交差する方向から見たとき、前記複数の流路の前記天板側の面及び前記底板側の面が、前記天板側及び前記底板側に同期して屈曲する波型形状をなしていることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、冷却器の天板と底板との間に少なくとも1枚の板状フィンを配置して、天板と底板との間に板状フィンで仕切られた複数の流路を形成し、これらの流路が天板側及び底板側に同期して屈曲する波型形状をなしている。天板と底板との間に重なり合って形成された複数の流路を流れる流体が天板側及び底板側に同期して揺動しながら進行することになるため、圧力損失を低く抑えつつ、冷却効率をさらに高めることができる。
【0010】
また、第1発明の冷却器において、前記流路は、前記天板に対して垂直方向から見たとき、前記流路の両側面が同期して屈曲する波型形状をなしていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、板状フィンの流路は、天板に対して垂直方向から見たとき、流路の両側面が同期して屈曲する波型形状をなしているので、流体は、天板側及び底板側の揺動に加えて、天板の面に沿った左右方向にも揺動しながら進行する。これにより、冷却された流体と流路内面との接触面積がさらに増大するとともに、渦流の発生が抑制されつつ流体が停滞することなく流れるようになるため、冷却効率を高めることができる。
【0012】
また、第1発明の冷却器において、前記天板に対して垂直方向から見たときの前記流路の山と谷の間の間隔y1と、前記天板に対して平行でかつ前記流路に対して交差する方向から見たときの前記流路の山と谷の間の間隔y2とが等しいことが好ましい。
【0013】
天板に対して垂直方向から見たときの間隔y1は、この方向から見た波形の半波長であり、天板に対して平行でかつ流路に対して交差する方向から見たときの間隔y2は、この方向から見た波形の半波長である。間隔y1と間隔y2とを等しくすることで、それ以外のパラメータを変更して圧力損失等の流路特性を調べれば良いので、設計が容易になる。
【0014】
また、第1発明の冷却器において、前記天板に対して垂直な方向から見たときの前記流路の波型形状と、前記天板に対して平行でかつ前記流路に対して交差する方向から見たときの前記流路の波型形状との位相差φが、0°+90°n≦φ≦30°+90°n、又は60°+90°n≦φ≦90°+90°n(n=0,1,2,3)の関係にあることが好ましい。
【0015】
それぞれの方向から見た2つの波型形状の位相差φを変更すると、冷却器の性能を決定する温度と圧力損失がそれぞれ変化する。位相差φは、90°≦φ≦120°又は150°≦φ≦180°(n=1の場合)のときに冷却効率及び圧力損失がいずれも適切な値となり、冷却器としての機能を発揮させることができる。
【0016】
また、第1発明の冷却器において、前記天板に対して垂直な方向から見たときの前記流路の振幅をx1、前記天板に対して平行でかつ前記流路に対して交差する方向から見たときの前記流路の振幅をz1としたとき、z1≦x1≦3z1の関係にあることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、天板に対して垂直な方向から見たときの流路の振幅x1を、天板に対して平行でかつ流路に対して交差する方向から見たときの流路の振幅z1の1〜3倍の範囲で変更することができる。例えば、振幅x1を流路の全長を考慮して、範囲内である程度大きく設定することで、流体が半導体素子に接触する面積が増大するため、冷却効率を高めることができる。
【0018】
また、第1発明の冷却器において、前記天板に対して垂直な方向から見たときの隣り合う前記流路の間隔をx2、前記流路の幅をx3としたとき、2x3≦x2の関係にあることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、天板に対して垂直な方向から見たときの隣り合う流路の間隔x2を、流路の幅x3の2倍以上とすることで、ある程度の数の流路を形成することができる。これによっても、流体が半導体素子に接触する面積が増大するため、冷却効率を高めることができる。
【0020】
第2発明の半導体モジュールは、半導体素子と、前記半導体素子を搭載し、絶縁基板の上面及び下面を導電性板で挟んだ積層基板と、前記積層基板の前記半導体素子を搭載していない側と接合し、前記半導体素子を冷却する流体が流れる冷却器と、を備え、前記冷却器は、第1発明、その従属発明のいずれかに記載の冷却器であることを特徴とする。
【0021】
本発明の半導体モジュールは、半導体素子が積層基板に搭載され、積層基板の半導体素子を搭載していない側と冷却器とが接合している。この冷却器には半導体素子を冷却する流体(例えば、水)が流れており、積層基板を熱伝導性が高い材料で構成することで、半導体素子を効果的に冷却することができる。
【0022】
また、冷却器(請求項1)の流路部の流路は、天板と平行でかつ流路に対して交差する方向から見たとき、天板側の面及び底板側の面が天板側及び底板側に同期して屈曲する波型形状をなしているので、流体が天板側及び底板側に揺動しながら進行する。これにより、流体の流路内壁に対する接触面積を大きくとれるとともに、渦流等による圧力損失を低く保った状態で流体が流れるようになるため、半導体素子の冷却効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の半導体モジュールの断面図。
【図2】冷却器を構成する流路部の斜視図。
【図3A】冷却器を構成する流路部の斜視図(板状フィン2枚)。
【図3B】図3Aの冷却器の流路部を側面側から見た図。
【図4A】図1の冷却器を天板の上方側から見た図(天板無し)。
【図4B】図3Aの領域R1の拡大図。
【図5A】図1の冷却器を側面側から見た図(側面枠無し)。
【図5B】図4Aの領域R2の拡大図。
【図6】冷却器を天板の上方側から見た流路と、側面側から見た流路の位相差を説明する図。
【図7A】温度と圧力損失の測定時のパラメータ一覧を示す図。
【図7B】位相差を変化させて温度と圧力損失を測定した測定結果を示す図。
【図8】本発明の実施の形態2の流路と、左右方向のみ周期的に屈曲する波型形状を有する流路との温度の比較結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の半導体モジュールの実施形態を説明する。
【0025】
図1は、本発明の半導体モジュール100の断面図を示している。半導体モジュール100は、主に2つの半導体素子1a,1b、配線基板3、積層基板5、冷却器7、ケース9等で構成されている。図示するように、半導体素子1a,1b、配線基板3及び積層基板5はケース9内に収められ、樹脂8でモールドされている。また、ケース9の下面に半導体素子1a,1bを冷却する冷却器7が配設されている。
【0026】
半導体素子1a,1bは、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。また、これらのトランジスタを1つの半導体素子の中で縦方向に形成したRB−IGBT(Reverse Blocking-IGBT)やRC−IGBT(Reverse Conducting-IGBT)であってもよい。
【0027】
配線基板3は、半導体素子1a,1bの上面側に配設されている。配線基板3は、絶縁基板の両面を金属箔で覆った構造であり、下面側の金属箔は半導体素子1a,1bに対向するように形成されている。絶縁基板は誘電率が低く、熱伝導率の高い材料が好ましく、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂を含む樹脂絶縁材やSi3N4、AlN、Al2O3等のセラミックを使用することができる。また、金属箔は電気抵抗が低く、熱伝導率の高い材料が好ましく、例えば、Cuを使用することができる。
【0028】
ピン4は、その一端が金属接合部材2aによって半導体素子1a,1bの上面側に接合され、他端は配線基板3との接続に用いられる。ピン4は電気抵抗が低く、熱伝導率の高い金属、例えば、Cuを使用することができる。なお、金属接合部材2aは、はんだや銀等の金属微粒子を有する部材であってもよい。
【0029】
図示するように、ピン4は、それぞれの半導体素子1a,1bに対して複数配置されていることが好ましい。このような構造にすることにより、電気抵抗を低減するとともに、熱伝導性能を向上させることができる。
【0030】
積層基板5は、絶縁基板52と、その上面側に形成される第1導電性板51と、その下面側に形成される第2導電性板53とで構成される。絶縁基板52は、電気絶縁性、熱伝導性に優れた材料を用いることができる。絶縁基板52の材料としては、例えば、Al2O3、AlN、Si3N4が挙げられる。特に、高耐圧用途では、電気絶縁性と熱伝導性をともに備えた材料が好ましく、AlN、Si3N4を用いることができるが、これらに限定されない。
【0031】
第1導電性板51、第2導電性板53は、導電性及び加工性が優れているCu、Al等の金属材料(金属箔)を用いることができる。なお、本明細書において、Cuからなる第2導電性板53を、裏面銅箔と指称することもある。防錆等の目的で、Niめっき等の処理を行ったCu、Alであってもよい。絶縁基板52の面上に導電性板51,53を配設する方法としては、直接接合法(Direct Copper Bonding法)、若しくは、ろう材接合法(Active Metal Brazing法)等が挙げられる。
【0032】
また、積層基板5は、半導体素子1a,1bの下面側に配設されている。積層基板5は、絶縁基板52の両面をCu等の金属箔で覆った構造であり、絶縁基板52の絶縁性により、金属箔とは電気的に分離されている。絶縁基板52の周縁は、導電性板51,53の周縁よりも外側に突出していることが好ましい。なお、上述の例は、絶縁基板52が裏面銅箔のような第2導電性板53を有する場合であったが、絶縁基板と冷却器とが熱伝導性の優れた接合部材で熱的に(熱が効率よく伝導する態様で)接合されていてもよい。
【0033】
半導体素子は、積層基板に実装される。具体的には、半導体素子1a,1bの下面側と積層基板5の上面側の第1導電性板51とは、金属接合部材2bによって電気的及び熱的に接合されている。積層基板5の上面側、下面側の金属箔は電気的に分離されているが、この間の熱伝導は良好である。また、積層基板5の下面側の第2導電性板53と冷却器7の外壁(天板7a)とは、金属接合部材2cによって接合されている。つまり、冷却器7の天板7aの上部に半導体素子1a,1bが配置されている。金属接合部材2b,2cは、熱伝導性及び導電性に優れたはんだや銀等の金属微粒子を有する部材であってもよい。なお、積層基板と冷却器とは、熱伝導性の優れた接合部材で熱的に接合される。したがって、接合部材は、導電性の金属接合部材でもよいし、主として基油とセラミック充填剤から構成されるサーマルコンパウンドでもよい。そして、上述の接合部材の熱伝導率は1W/m・K以上が好ましく、10W/m・K以上であることがより好ましい。
【0034】
冷却器7は、天板7a、底板7b、側面枠7c及び流路部7dで構成されている。詳細は後述するが、流路部7dは、例えば、複数の板状フィンをZ軸方向に重ねた構造となっている。また、流路を構成する天板7a、底板7b及び流路部7dの材料は、Al、Cu等の熱伝導率の高い金属が用いられている。
【0035】
(実施の形態1)
次に、図2〜図3Bを参照して、本発明の実施の形態1に係る冷却器の詳細を説明する。なお、後述する冷却器の形状パラメータは、熱流体解析ソフトにより本発明の流路部の形状パラメータ等を変化させて、温度及び圧力損失を評価し、さらに、流路部を試作して検証することにより求めた。
【0036】
図2は、冷却器7から流路部7dを取り出し、一部分解したときの斜視図である。図示するように、流路部7dは、6枚の板状フィン7d1〜7d6で構成されている。最も上方に配置される板状フィン7d1は、その下面側にのみ流体が流れる連続的な溝状の流路が形成されている。この場合、最も上方に配置される板状フィン7d1が天板を兼ねていてもよい。また、最も下方に配置される板状フィン7d6は、その上面側にのみ流路が形成されている。この場合、最も下方に配置される板状フィン7d6が底板を兼ねていてもよい。
【0037】
なお、板状フィンの枚数は6枚に限られず、例えば、板状フィン7d1(天板)と板状フィン7d6(底板)の2枚で構成してもよい。この場合、図3Aに示すように、流路部7d’の流路は1段である。
【0038】
また、図3Bは、図3Aの流路部7d’を側面側から見た様子を示している。冷却器7の流入口7eからY軸方向に流入した流体は、流路部7d’の流路を通過して、流出口7fから外部に流出する。図示するように、流路部7d’の流路は、板状フィン7d1と板状フィン7d6により1段で構成され、上下方向(Z軸方向)に屈曲する波型形状をなしている。
【0039】
なお、本実施形態において、本発明における天板と垂直な方向とは、図2、図3AにおけるZ軸方向(上下方向)を意味する。また、本発明における天板と平行でかつ流路に対して交差する方向とは、図2、図3AにおけるX軸方向(流路部7d’を側面側から見た方向)を意味する。また、本発明における流路の方向とは、図2、図3A,3BにおけるY軸方向を意味する。
【0040】
図2に戻り、板状フィン7d1と板状フィン7d6との間に配置される板状フィン7d2〜7d5は全て同じ構造を有し、その両面側に流路が形成されていてもよい。そして、隣接する板状フィンをZ軸方向に重ねたとき、一定の高さを有する流路が構成される。この各流路は、一定の高さを保持しつつ、上下方向に屈曲するように周期的な変位を有する。
【0041】
板状フィン7d2〜7d5の厚みは3.0mmであり、片面側に形成された流路はZ軸方向に深い部分、浅い部分を有する。また、板状フィン7d2〜7d5の流路はX軸方向に等間隔で形成され、表面側の流路の深い部分は、裏面側では流路の浅い部分に対応している。そして、2枚の板状フィンをZ軸方向に重ねたとき、高さが一定で、流路の上面と下面とが同期して上下方向に屈曲する波型形状の流路が構成される。なお、本実施の形態において、本発明における流路の天板側の面とは上面を意味し、流路の底板側の面とは下面を意味する。
【0042】
以上により、流路部7d(流路部7d’)の流路を通過する流体は、上下方向(Z軸方向)に揺動しながら進行する。流路をこのような形状とすることで、流入口7eから流路部7dに流入した冷却された流体は、流路内で渦流を生じたり、停滞したりすることなく進行するとともに、上下方向での流体の入れ替えが生じる。したがって、冷却器7の流路内壁に冷却された流体が効果的に接触するため、熱交換により冷却効果を高めることができる。つまり、冷却器7の天板7aの上部に配置された半導体素子1a,1bにより生じる熱を効果的に冷却器7の底板7bの方向(下方向)に伝搬させることができる。なお、後述する具体的な形状パラメータ(図5B参照)である間隔y2、振幅z1、流路間隔z2、流路幅z3等は、以下の実施の形態2で記すものと同様である。
【0043】
(実施の形態2)
次に、図4A〜図6を参照して、本発明の実施の形態2に係る冷却器の詳細を説明する。
【0044】
冷却器の流路は、上述の通り上面と下面とが同期して上下方向に屈曲する波型形状であることに加えて、流路の両側面が同期して左右方向に屈曲する波型形状をなしていることが好ましい。
【0045】
図4Aは、図1の冷却器7を天板7aの上方側(天板7aに対して垂直な方向)から見た様子(天板7a無し)を示している。実際には、最上面の板状フィン7d1があって流路を視認することはできないが、説明のため示している。また、以下では、図示するXY平面上の流路を流路αと称する。
【0046】
流路αはX軸方向に等間隔で多数配置され、流路αの両側面が同期して左右方向(X軸方向)に屈曲する波型形状を有している。側面枠7cの形状は八角形に限られないが、流体(水等の冷却液)の進行方向であるY軸方向に流体の流入口7e、流出口7fを有する。
【0047】
図4Bは、図4Aの領域R1の拡大図である。まず、振幅x1は、流路αの振幅に相当する。振幅x1は、0.2から1.5mmの範囲であることが好ましい。また、流路間隔x2は流路α同士の最短間隔であり、流路間隔x2は、0.8から2.0mmの範囲であることが好ましい。
【0048】
また、流路幅x3は流路αの幅であり、本実施形態では、流路幅x3は0.9mmである。流路幅x3は、0.8から1.5mmの範囲であることが好ましい。なお、流路幅x3が余りに狭すぎると、冷媒中のパーティクルが詰ったり、圧力損失が増大したりするため好ましくない。
【0049】
さらに、流路間隔x2と流路幅x3との間には、2x3≦x2の関係があることが好ましい。この条件を満たすとき、流体が半導体素子1a,1bに接触する面積が増大するため、熱交換により冷却効率を高めることができる。
【0050】
流路は、周期的に左右方向に屈曲する波型形状が好ましく、その周期性を示す形状パラメータの1つとして間隔y1がある。間隔y1は、流路αの屈曲部の間隔、すなわち、波型形状の山と谷の間の距離(半波長)である。間隔y1は、4.5から7.5mmの範囲であることが好ましい。
【0051】
次に、流路の上下方向に屈曲する波型形状について説明する。図5Aは、図1の冷却器7を側面側から見た様子(側面枠7c無し)を示している。この場合も、実際には、流路部7dの側方から流路を視認することはできないが、説明のため示している。また、以下では、図示するYZ平面上の流路を流路βと称する。
【0052】
冷却器7の流入口7eから流入した流体は、流路部7dの各流路を通過して、流出口7fから外部に流出する。流路βはZ軸方向に等間隔で5本配置され、流路βの両側面が同期して上下方向(Z軸方向)に屈曲する波型形状を有している。なお、流路部7dを構成する板状フィンの数により、流路の数を変更することができる。
【0053】
図5Bは、図5Aの領域R2の拡大図である。流路は、周期的に上下方向に屈曲する波型形状であることが好ましく、その周期性を示す形状パラメータの1つとして間隔y2がある。間隔y2は、流路βの屈曲部の間隔、すなわち、波型形状の山と谷の間の距離(半波長)である。間隔y2は4.5から7.5mmの範囲であり、上述の間隔y1と同じ長さであることが好ましい。間隔y1と間隔y2を等しくすることで、それ以外のパラメータ(特に、後述する位相差)を変更して、圧力損失等の流路特性を調べれば良いので、設計が容易になる。
【0054】
また、振幅z1は、流路βの振幅に相当する。振幅z1は0.2から1.5mmの範囲であり、振幅z1と上述の振幅x1との間には、z1≦x1≦3z1の関係があることが好ましい。この条件を満たすとき、流体が半導体素子1a,1bに接触する面積が増大するため、熱交換により冷却効率を高めることができる。本実施形態では、流路βの流路幅z3は0.9mmであり、流路をY軸方向から見た断面は正方形である(図1参照)。流路幅z3は0.8から1.5mmの範囲であることが好ましい。
【0055】
また、流路間隔z2は流路β同士の間隔であり、流路を隔てる板厚でもある。流路間隔z2は0.3から2.0mmの範囲であることが好ましい。流路間隔z2が0.3mm以上であれば、フィンの変形などがおきず、冷却器としての強度を満たすことができる。また、流路間隔z2が2.0mmより厚くなると冷却効率が低下するため、2.0mm以下が好ましい。
【0056】
次に、図6を参照して、XY平面から見た流路αと、YZ平面から見た流路βの位相差について説明する。ここでは、説明の都合上、両流路を同じ平面上に示している。
【0057】
流路αの波型形状のピークと流路βの波型形状のピークは角度φのずれがあり、このずれが両波形の位相差である。詳細は後述するが、位相差φは冷却効率(半導体素子1a,1bの温度)や圧力損失に影響する冷却器7の重要な形状パラメータである。
【0058】
なお、図示するように、本実施形態では、冷却効率の点から、流路αの間隔y1と流路βの間隔y2とは等しいことが好ましい。また、流路αの流路幅x3と流路βの流路幅z3を等しくしてもよい(振幅は異なる)。
【0059】
次に、図7A、図7Bを参照して、熱流体解析ソフトにより本発明の流路部7dの形状パラメータを変化させて、温度及び圧力損失を測定したシミュレーション結果を説明する。なお、実際に試作した試作物の結果もシミュレーション結果と同じであった。
【0060】
流路部7dの温度T(℃)及び圧力損失PL(kPa)に影響を及ぼす形状パラメータとしては、上述の振幅x1、流路間隔x2、流路幅x3、間隔y1、間隔y2、振幅z1、流路幅z3、位相差φ等がある。
【0061】
冷却器7全体の大きさは、Z軸方向の長さが10.0mm、X軸方向の長さが53.0mm、Y軸方向の長さが50.0mmである。そして、板状フィン7d1〜7d6の振幅x1、流路間隔x2、流路幅x3,z3、間隔y1,y2、振幅z1を図7Aに示す値に設定し、位相差φのみを変更して温度T及び圧力損失PLを測定した。以下では、その結果について説明する。
【0062】
ここで、温度Tは、ヒータを含む断熱装置(図示省略)を用いて、冷却器7の中心付近の温度を測定した。特に、ヒータの出力を1,110(W)とし、冷却液として純水を用い、流入口7eからの流入量を4.0(L/min)とした。圧力損失PLは、同じ流入量の条件において、冷却器7の流入口7eの圧力と、流出口7fの圧力との差として評価した。
【0063】
図7Bは、位相差φを変化させて温度Tと圧力損失PLを測定した測定結果である。位相差φが0度、すなわち、流路αと流路βの位相が揃っている状態においては、温度Tが最も低い66.93(℃)、圧力損失PLが2.81(kPa)という結果が得られた。なお、温度Tは低い方が放熱性が高く、冷却効率が高い。また、圧力損失PLは小さい方が流体を送出するポンプの出力が小さくて済み、流路内で流体が損失なく進行する。
【0064】
位相差φを大きくしていった場合、温度Tは徐々に上昇し、位相差φが約45度のとき、温度Tが最も高くなった(67.07℃)。一方、圧力損失PLは徐々に降下し、位相差φが約45度のとき、圧力損失PLが最も低くなった(2.78kPa)。
【0065】
その後、さらに位相差φを大きくしていくと、温度Tは徐々に降下し、位相差φが90度のとき、温度Tが66.99(℃)という結果が得られた。一方、圧力損失PLは徐々に上昇し、位相差φが90度のとき、圧力損失PLが最も高い2.91(kPa)という結果が得られた。
【0066】
位相差φを45度より大きくしていくと、流路αの屈曲と流路βの屈曲が連続して現れる部分が生じて、流体の流速が速くなる。これにより、冷却された流体が半導体素子1a,1bに接触して、温度Tが低下することが考えられる。また、このとき、流体は連続した屈曲部による摩擦を受けて、圧力損失PLが上昇することが考えられる。
【0067】
温度T及び圧力損失PLの測定結果により、位相差φが0〜30度である図中の領域(1)では、温度T、圧力損失PLがともに低く、最適条件であることが分かった。また、位相差φが30〜60度である図中の領域(2)では、圧力損失PLが低い点は良いが、温度Tが高いため冷却効果が低く、採用し難い条件であった。
【0068】
また、位相差φが60〜90度である図中の領域(3)では、圧力損失PLが高くなるが、温度Tは領域(2)より低いため、採用が可能な条件であることが分かった。
【0069】
位相差φが90度以上の場合は、図7Bの結果が周期的に表れるものとして対処する。例えば、位相差φが120度の場合は、図7Bの30度の条件と同じ結果である。すなわち、図中の領域(1)は、0°+90°n≦φ≦30°+90°n(n=0,1,2,3)と一般化することができる。領域(1)の位相差φの範囲では、冷却器としての機能を最も発揮させることができる。
【0070】
同様に、図中の領域(2)は、30°+90°n<φ<60°+90°n(n=0,1,2,3)と一般化することができ、例えば、位相差φが130度のとき(n=1のときの範囲内)が挙げられる。また、図中の領域(3)は、60°+90°n≦φ≦90°+90°n(n=0,1,2,3)と一般化することができ、例えば、370度のとき(n=3のときの範囲内)が挙げられる。
【0071】
最後に、図8に、実施の形態2で説明した上下方向、左右方向に周期的に屈曲する波型形状を有する流路(実施例)に対して、左右方向のみ周期的に屈曲する波型形状を有する流路を比較例とし、実施例と比較例の流路について、図示する形状パラメータの場合に温度Tを比較した結果を示す。
【0072】
具体的には、振幅x1、流路間隔x2,z2、流路幅x3,z3、間隔y1,y2を同じ値として、上下方向の振幅がある場合(実施例)と、上下方向の振幅がない場合(比較例)との流体の温度Tを比較した。例えば、実施例1と比較例1との比較では、実施例1のみ振幅z1を0.30mmとして、実施例1の温度Tが66.65(℃)、比較例1の温度Tが69.75(℃)という結果が得られた。
【0073】
実施例2と比較例2、実施例3と比較例3との比較結果についても、上下方向にも振幅を有する実施例の流路の温度Tが低くなり、冷却効率が優れていることが分かった。これは、実施例の流路の場合に、半導体素子から発生する熱が冷却器の下面方向に伝わり易くなるためである。
【0074】
以上、複数の板状フィン7d1〜7d6で構成される冷却器7について説明したが、本発明は、これまで説明した実施形態に限られない。例えば、板状フィンの材料は、AlやCuに限られず、熱伝導率の高い他の材料を適用することができる。また、流路を流れる流体(冷却液)は、通常使用される水や他の冷媒を用いることができる。
【0075】
以上により、流路部7dの流路を通過する流体は、上下方向(Z軸方向)の揺動に加えて、左右方向(X軸方向)にも揺動しながら進行する。流路をこのような構造とすることで、流入口7eから流路部7dに流入した冷却された流体は、流路内で渦流を生じたり、停滞したりすることなく進行するとともに、Z軸方向での流体の入れ替えも生じる。したがって、冷却器7の流路内壁に冷却された流体が効果的に接触するため、熱交換により冷却効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0076】
1a,1b 半導体素子
2a〜2c 金属接合部材
3 配線基板
4 ピン
5 積層基板
7 冷却器
7a 天板
7b 底板
7c 側面枠
7d,7d’ 流路部
7d1〜7d6 板状フィン
7e 流入口
7f 流出口
8 樹脂
9 ケース
51 第1導電性板
52 絶縁基板
53 第2導電性板
100 半導体モジュール
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【国際調査報告】

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