(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年3月26日
【発行日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】サーフボード用の治具
(51)【国際特許分類】
B63B 32/66 20200101AFI20210802BHJP
【FI】
B63B32/66
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】11
【出願番号】特願2020-547906(P2020-547906)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年1月9日
(31)【優先権主張番号】実願2018-3931(U2018-3931)
(32)【優先日】2018年9月21日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】507225023
【氏名又は名称】細田 統吾
(72)【発明者】
【氏名】細田 統吾
(57)【要約】
【課題】 サーフボード用の着脱可能なフィンを安全かつ容易に取り扱うことができる治具を提供すること。
【解決手段】 本発明のサーフボード用の治具は、サーフボード100のフィン200が挿入される、開口部を伴う空洞部11と、使用者によって把持され、フィン200の着脱時に当該フィンと一体的に変位する把持部12とを備える。また、把持部12は、フィン200の先端から、サーフボード100と反対方向に突出していることを特徴とする。さらにまた、把持部12は、複数の凹凸を備えることを特徴とする。さらにまた、空洞部11は、フィン200の形状に対応した形状であることを特徴とする。さらにまた、開口部は、凹部を具備して構成されることを特徴とする。さらにまた、把持部は、屈曲部を有し、先端に向かって窄んでいることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーフボードのフィンが挿入される、開口部を伴う空洞部と、
使用者によって把持され、前記フィンの着脱時に当該フィンと一体的に変位する把持部と
を備える、サーフボード用の治具。
【請求項2】
前記把持部は、前記フィンの先端から、前記サーフボードと反対方向に突出していることを特徴とする、請求項1に記載の治具。
【請求項3】
前記把持部は、複数の凹凸を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の治具。
【請求項4】
前記空洞部は、前記フィンの形状に対応した形状であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の治具。
【請求項5】
前記開口部は、凹部を具備して構成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の治具。
【請求項6】
前記把持部は、屈曲部を有し、先端に向かって窄んでいることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーフボード用の治具に関する。
【背景技術】
【0002】
サーフィンに用いられるサーフボードには、底面に1または2以上のフィンが備えられている。一般的なフィンは鋭い突起形状をしており、また、断面がエッジを有する形状であることから、サーフボードを運搬する際には、周囲への安全性を配慮する必要がある。
【0003】
サーフボードを安全に運搬するために、実開平03−100594号公報(特許文献1)には、扁平袋状カバー後部のカバー内部に空隙を設けたことを特徴とするサーフボード用カバーが開示されている。しかしながら、特許文献1のサーフボードカバーでは、サーフボード全体を覆うことから、カバーの付け外しに要する使用者の手間が大きい。
【0004】
ところでサーフボードのフィンは、通常は付け替え可能に構成されており、使用者の技量や好みに応じて種々の特性のフィンを取り付けることができる。一方で、フィンを付け替える場合にあっては、フィンのエッジによって作業者の手が傷付けられる場合があった。
【0005】
この点につき、サーフボードのフィンにのみカバーを被せることで、サーフボードを安全に運搬でき、かつ、手を痛めることなくフィンの着脱が可能なカバーが知られている(http://www.cap-j.com/item_detail/itemId,168/(非特許文献1)、平成31年1月7日閲覧)。
【0006】
しかしながら、非特許文献1において開示されるカバーは、薄い素材の袋状のカバーであり、充分な厚みを持つカバーではない。したがって、着脱時にフィンが握りにくく、手の痛みの軽減や、フィンの取り扱いという観点からは不充分であった。そのため、使用者にとっての利便性をさらに改善したサーフボード用の治具が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、サーフボード用の着脱可能なフィンを安全かつ容易に取り扱うことができる治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明によれば、サーフボードのフィンが挿入される、開口部を伴う空洞部と、
使用者によって把持され、前記フィンの着脱時に当該フィンと一体的に変位する把持部と
を備える、サーフボード用の治具が提供される。
【発明の効果】
【0009】
上述したように、本発明によれば、サーフボード用の着脱可能なフィンを安全かつ容易に取り扱うことができる治具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】本実施形態においてフィンに装着されたフィンカバーを説明する図。
【
図4】本実施形態のフィンカバーの変形例を示す図。
【
図5】本実施形態のフィンカバーの変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜その説明を省略するものとする。また、以下の説明においては、本発明の実施形態に係る治具を「フィンカバー」として参照するが、これ以外にも「フィンツール」などとして参照される場合もある。
【0012】
図1は、典型的なサーフボード100の構造を示す図である。
図1(a)は、サーフボード100の底面を、
図1(b)は、サーフボード100の側面を、それぞれ示している。また、
図1(c)は、フィン200の構造の例を示す側面図である。
【0013】
サーフボード100は、底面に1または2以上のフィン200を具備する。フィン200は、使用者の技量、好み、体形や、サーフィンを行う環境、条件などに応じた種々の特性を有する。そのため、サーフボード100は、一般的にはフィン200が交換可能な構成となっており、使用者はフィン200の取り付け数や形状を選択し、交換することで、多様な滑走を楽しむことができる。
【0014】
次に、フィン200の形状について説明する。フィン200の側面図の例を
図1(c)に示す。フィン200の形状は、特性によって幅、高さ、厚さ、角度などに差異があるものの、概ね以下のような形状である。すなわち、一般的なフィン200は、側面から見ると2つの湾曲した稜線を有する突起形状であって、断面にエッジを有する形状である。また、フィン200は、サーフボード100に取り付けるための取付部201を有し、取付部201をフィンボックスに嵌め込む構造となっている。
【0015】
着脱式のフィン200は、規格によってその形状が定められている。着脱式フィンの規格の一例としては、FCS(Fin Control System)2などが挙げられる。FCS2においては、フィン200の取付部201とサーフボード100のフィンボックス(不図示)が嵌合することで、フィン200がサーフボード100に固定される。サーフボード100とフィン200とはネジなどで固定されないため、工具が不要で、手作業によるフィン交換が可能である。
【0016】
ところで、手作業によるフィン200の交換では、フィン200とサーフボード100との嵌合を外すために、フィン200を握る必要がある。フィン200は、波面上を滑走するという用途から、鋭いエッジ状の断面形状を有するものがある。このような形状のフィン200の場合には、握った際に手を傷付けやすく、また、力を加えにくいため、交換作業の効率が低下する。
【0017】
そこで、本実施形態のフィンカバー10は、フィン200を安全かつ容易に取り扱うことができる形状としている。
図2は、本実施形態のフィンカバー10の構造を示す図であり、
図2(a)は、フィンカバー10の斜視図を示している。サーフボード100を安全に取り扱う観点から、本実施形態のフィンカバー10の端部は、曲線で構成される丸みを有する形状とすることが好ましい。
【0018】
図2(b)は、
図2(a)中の矢線イに対して垂直な面で切断したフィンカバー10を矢線イの方向から見た断面図を示している。
図2(c)は、
図2(a)中の矢線ロの方向から見たフィンカバー10の平面図をそれぞれ示している。なお、
図2(b)、(c)における色の薄い領域は、空洞であることを示している。
【0019】
図2(b)、(c)に示すように、本実施形態のフィンカバー10は、内部が空洞となっており、フィン200が空洞部11に挿入される構造となっている。空洞部11は、サーフボード100側に開口した開口部11aを具備して構成される。空洞部11の形状は、特に限定されないが、
図1(c)に示したような一般的なフィン200の形状に対応し、当該フィンを収納することができる形状とすることができる。特に、フィン200を収納した際に空洞部11とフィン200とが当接する形状とすることで、フィン200の着脱作業時に、フィンカバー10とフィン200とを一体的に変位させることができる。
【0020】
また、本実施形態のフィンカバー10は、フィン200の着脱作業を行う使用者が把持するための把持部12を備える。把持部12の形状は特に限定されないが、一例として
図2に示すように、使用者の指が掛かりやすい複数の凹凸で構成される形状とすることができる。また、把持部12における指や手の平が当接する部分の断面形状は、丸みを帯びた形状とすることが好ましい。このような形状とすることで、フィン200の着脱時に握りやすくでき、また手の痛みを軽減することができる。
【0021】
本実施形態のフィンカバー10の素材は、特に限定されないが、ゴム、合成樹脂(プラスチック)、シリコーンなどの柔軟性のある材料を用いることが好ましい。また、これらの素材に充分な厚みを持たせて把持部12を構成することで、フィン200の着脱時に力を入れやすくでき、さらにフィン200のエッジによる手の痛みを軽減することができる。
【0022】
図3は、本実施形態においてフィン200に装着されたフィンカバー10を説明する図である。
図3(a)は、本実施形態のフィンカバー10がフィン200に装着された状態の側面図である。
図3(a)では、フィン200の取付部201がサーフボード100のフィンボックスに挿入され、嵌合されている。また、フィンカバー10は、フィン200が開口部11aから挿入され、空洞部11に収納されることで、フィン200に装着される。このようにしてフィンカバー10がフィン200に装着されることで、フィン200のエッジや突端部が外部に露出せず、サーフボード100を安全に取り扱うことができる。
【0023】
図3(b)は、本実施形態のフィンカバー10を用いて、フィン200をサーフボード100から取り外す例を示している。フィン200の着脱を行う作業者たるフィンカバー10の使用者は、フィンカバー10の把持部12を握り、
図3(b)の矢印の方向に引く。空洞部11は、フィン200の形状に対応していることから、フィン200にフィンカバー10を装着すると、フィン200と空洞部11とは当接する。したがって、使用者は、把持部12を変位させることで、フィン200を把持部12と一体的に変位させることができる。これによって、取付部201とフィンボックスとの嵌合を外すことができる。
【0024】
また、フィン200をサーフボード100に取り付ける際にも、使用者は把持部12を握りながら、フィンカバー10とフィン200とを一体的に変位させることで、フィン200を取り付けることができる。
【0025】
本実施形態のフィンカバー10によれば、使用者は、フィン200のエッジに触れずにフィン200の着脱作業を行うことができる。また、フィン200の着脱時以外であっても、本実施形態のフィンカバー10を装着することで、サーフボード100を安全に運搬したり保管したりできる。
【0026】
これまで、本実施形態に係るフィンカバー10について説明した。しかしながら、本実施形態のフィンカバー10は、上述した実施形態に限定されない。以下では、ここまでに説明したフィンカバー10を変形した例について説明する。
図4および
図5は、本実施形態のフィンカバー10の変形例を示す図である。
【0027】
(変形例1)
図4(a)は、本実施形態のフィンカバー10の第1の変形例を示している。第1の変形例では、フィンカバー10の孔13を開けることで、フィンカバー10を軽量化している。特に、フィンカバー10の側面に孔13を開けることによって、把持性や着脱容易性などの機能を損なうことなく、フィンカバー10を軽量化することができる。
【0028】
また、フィンカバー10の側面に孔13を設けることで、例えばフィンカバー10を金型成形する場合において、成形したフィンカバー10を金型から抜きやすくすることができる。なお、フィンカバー10を作製する方法は、金型成形以外の方法であってもよく、特に限定されない。
【0029】
(変形例2)
図4(b)は、本実施形態のフィンカバー10の第2の変形例を示している。第2の変形例では、フィンカバー10の全長を延ばし、フィンカバー10の先端部付近に把持部12を設けている。このように、把持部12を、フィン200の先端からサーフボード100と反対方向に突出させることで、てこの原理を利用することができる。したがって、把持性の向上に加えて、着脱に要する力を軽減できることから、さらに容易にフィン200の着脱を行うことができる。
【0030】
なお、第2の変形例においても、第1の変形例と同様に、フィンカバー10の側面に孔13を設けてもよい。
【0031】
(変形例3)
図5は、本実施形態のフィンカバー10の第3の変形例を示している。第3の変形例では、フィンカバー10は、側面から見て開口部11aを空洞部11側に窪ませた凹部11bを有する開口部11aを備える構成としている。フィンカバー10は、
図5に示すように、凹部11bを備えることで、フィン200を着脱する際に、凹部11bの両端をてこの支点とすることができる。これによって、フィンカバー10とフィン200との当接を安定させることができ、より容易にフィン200の着脱を行うことができる。また、フィンカバー10は、凹部11bを備えることによって、使用する材料を節約でき、フィンカバー10を軽量化することができる。
【0032】
さらに、
図5では、第2の変形例と同様に、把持部12が突出した構成となっているが、第3の実施例では、把持部12の手の平側の稜線に屈曲部12aを設ける構成としてもよい。
図5に示すように屈曲部12aを設けることで、把持部12の幅を端部に向かって窄ませることができる。このように、フィン200の先端から延出した部分の把持部12の幅を細めることで、使用者が把持部12を把持した際に、指と手の平とを近接して握りやすくできるので、着脱の際に力を加えやすくできる。
【0033】
なお、
図5では、把持部12の手の平側に屈曲部12aを設けた構造を例示しているが、特に限定するものではない。したがって、把持部12の指側に屈曲部12aを設けた構造としてもよいし、手の平側と指側の両方に屈曲部12aを設けた構造としてもよい。
【0034】
また、第2の変形例においても、第1の変形例と同様に、フィンカバー10の側面に孔13を設けてもよい。
【0035】
ここまでに説明したフィンカバー10は、把持しやすく、力をかけやすくできるので、フィン200の着脱を簡便に行うことができる。また、フィン200の着脱時以外、例えばサーフボード100の保管時や運搬時などにおいても本実施形態のフィンカバー10を装着することで、フィン200の接触による怪我や事故などを防止することができる。
【0036】
以上、説明した本発明の実施形態によれば、サーフボード用の着脱可能なフィンを安全かつ容易に取り扱うことができる治具を提供することができる。
【0037】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0038】
10…フィンカバー、
11…空洞部、
11a…開口部、
11b…凹部、
12…把持部、
12a…屈曲部
13…孔、
100…サーフボード、
200…フィン、
201…取付部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】実開平03−100594号公報
【非特許文献】
【0040】
【非特許文献1】http://www.cap-j.com/item_detail/itemId,168/
【国際調査報告】