(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
走行システム(1)は、所定の軌道(5)上を走行する走行台車(100)と、走行台車(100)と無線通信する複数の第1のAP(200)、及び、第1のAP(200)とは異なる通信スロットで走行台車(100)と無線通信する複数の第2のAP(300)を含む複数のアクセスポイントと、複数のアクセスポイントのいずれかを介して、走行台車(100)から走行台車(100)の現在位置を示す位置情報(50)を受信し、且つ、走行台車(100)の走行を制御するための走行指示を走行台車(100)に送信するコントローラ(400)と、を備える。走行台車(100)は、第1のAP(200)と無線通信し、且つ、第1のAP(200)と無線通信できない場合に第2のAP(300)と無線通信するIF(170)を備える。
前記走行台車は、さらに、前記無線インターフェースを介した無線通信ができない場合に、前記無線インターフェースに、現在設定されている通信スロットとは異なる通信スロットを設定する設定部を備える、
請求項1に記載の走行システム。
前記走行台車は、さらに、前記無線インターフェースを介して、前記走行台車の現在位置を示す位置情報を前記コントローラに送信し、且つ、前記コントローラから、前記現在位置において前記第2のアクセスポイントと通信するための通信スロットを示す通信情報を取得する取得部を備え、
前記設定部は、前記無線インターフェースを介した前記第1のアクセスポイントとの無線通信ができない場合に、前記無線インターフェースに現在設定されている通信スロットを、前記取得部によって取得された前記通信情報が示す通信スロットに変更する、
請求項2に記載の走行システム。
前記走行台車は、さらに、前記走行台車の現在位置と、当該現在位置において前記複数のアクセスポイントのうちのいずれかと通信可能な通信スロットと、の対応関係を示す対応情報を記憶する記憶部を備え、
前記取得部は、前記無線インターフェースが前記第1のアクセスポイントと無線通信できなくなる前に、前記コントローラから前記通信情報を取得できなかった場合に、前記対応情報に基づいて、前記走行台車の現在位置において前記第2のアクセスポイントと通信可能な通信スロットを取得する、
請求項3に記載の走行システム。
前記無線インターフェースは、前記第1のアクセスポイントと無線通信する第1の無線インターフェースと、前記第2のアクセスポイントと無線通信する第2の無線インターフェースと、を含む、
請求項1に記載の走行システム。
前記走行台車は、さらに、前記第1の無線インターフェース及び前記第2の無線インターフェースのうちの少なくとも1つを介した無線通信ができない場合に、前記第1の無線インターフェース及び前記第2の無線インターフェースのうちの少なくとも1つに、現在設定されている通信スロットとは異なる通信スロットを設定する設定部を備える、
請求項5に記載の走行システム。
前記走行台車は、さらに、前記第1の無線インターフェース及び前記第2の無線インターフェースの少なくとも一方を介して、前記走行台車の現在位置を示す位置情報を前記コントローラに送信し、且つ、前記コントローラから、前記現在位置において前記複数のアクセスポイントのうちのいずれかと通信するための通信スロットを示す通信情報を取得する取得部を備え、
前記設定部は、少なくとも前記第1の無線インターフェースを介した無線通信ができない場合に、前記第1の無線インターフェースに現在設定されている通信スロットを、前記取得部によって取得された前記通信情報が示す通信スロットに変更する、
請求項6に記載の走行システム。
前記取得部は、前記第1の無線インターフェースを介した無線通信ができない場合に、前記第2の無線インターフェースを介して、前記位置情報を前記コントローラに送信し、前記コントローラから前記通信情報を取得する、
請求項7に記載の走行システム。
前記取得部は、前記第1の無線インターフェース及び前記第2の無線インターフェースが無線通信できなくなる前に、前記第1の無線インターフェース及び前記第2の無線インターフェースの少なくとも一方を介して、前記位置情報を前記コントローラに送信し、且つ、前記コントローラから前記通信情報を取得し、
前記設定部は、前記第1の無線インターフェース及び前記第2の無線インターフェースが無線通信できなくなった後に、前記第1の無線インターフェースに現在設定されている通信スロットを、前記通信情報が示す通信スロットに変更する、
請求項7又は8に記載の走行システム。
前記走行台車は、さらに、前記走行台車の現在位置と、当該現在位置において前記複数のアクセスポイントのうちのいずれかと通信可能な通信スロットと、の対応関係を示す対応情報を記憶する記憶部を備え、
前記取得部は、前記第1の無線インターフェース及び前記第2の無線インターフェースが無線通信できなくなる前に、前記コントローラから前記通信情報を取得できなかった場合に、前記対応情報に基づいて、前記走行台車の現在の位置において前記複数のアクセスポイントのうちのいずれかと通信可能な通信スロットを取得する、
請求項9に記載の走行システム。
前記取得部は、前記コントローラから、前記現在位置において通信可能な前記第1のアクセスポイントに設定されている通信スロットと前記第2のアクセスポイントに設定されている通信スロットとを前記通信情報として取得し、
前記設定部は、前記取得部によって取得された前記通信情報に基づいて、前記第1の無線インターフェース及び前記第2の無線インターフェースに設定されている通信スロットをそれぞれ変更する、
請求項9に記載の走行システム。
前記設定部は、前記第1の無線インターフェースを介した無線通信ができない場合に、前記第1の無線インターフェースに設定されている通信スロットを、前記第2の無線インターフェースに設定されている通信スロットに変更する、
請求項6〜11のいずれか1項に記載の走行システム。
前記設定部は、前記第1の無線インターフェースを介した無線通信ができない場合に、前記第2の無線インターフェースが、前記第2の無線インターフェースに現在設定されている通信スロットと、前記第1の無線インターフェースに現在設定されている通信スロットとで通信できるように設定する、
請求項6〜12のいずれか1項に記載の走行システム。
前記設定部は、前記第1の無線インターフェースと前記第1のアクセスポイントとが無線通信できず、且つ、前記第2の無線インターフェースと前記第2のアクセスポイントとが無線通信できない場合に、前記第2の無線インターフェースに現在設定されている通信スロットを、前記第1の無線インターフェースに設定されている通信スロットに変更する、
請求項6〜13のいずれか1項に記載の走行システム。
前記複数の第1のアクセスポイントのそれぞれは、前記複数の第2のアクセスポイントのいずれかと、通信エリアの少なくとも一部が重なり、且つ、他の一部が重ならないように配置され、
前記複数の第2のアクセスポイントのそれぞれは、前記複数の第1のアクセスポイントのいずれかと、通信エリアの少なくとも一部が重なり、且つ、他の一部が重ならないように配置される、
請求項1〜14のいずれか1項に記載の走行システム。
複数の第1のアクセスポイントのそれぞれが、隣り合う第1のアクセスポイントと通信エリアの一部が重なるように配置され、複数の第2のアクセスポイントのそれぞれが、隣り合う第2のアクセスポイントと通信エリアの一部が重なるように配置され、且つ、前記複数の第1のアクセスポイントのそれぞれは、前記複数の第2のアクセスポイントのいずれかと、通信エリアの少なくとも一部が重なるように配置され、前記第1のアクセスポイント及び前記第2のアクセスポイントの少なくとも一方と無線通信する無線インターフェースを有する走行台車を備える走行システムの制御方法であって、
前記走行台車と無線通信する前記複数の第1のアクセスポイント、及び、前記第1のアクセスポイントとは異なる通信スロットで前記走行台車と無線通信する前記複数の第2のアクセスポイントを含む複数のアクセスポイントに前記走行台車と無線通信させる通信ステップと、
前記複数のアクセスポイントのいずれかを介して、前記走行台車から前記走行台車の位置を示す位置情報を受信し、且つ、前記走行台車の走行を制御するための走行指示を前記走行台車にコントローラが送信する制御ステップと、
前記走行指示に基づいて所定の軌道上を前記走行台車に走行させる走行ステップと、を含み、
前記通信ステップでは、前記走行台車は、
前記無線インターフェースを介して前記第1のアクセスポイントと無線通信し、
前記第1のアクセスポイントとの無線通信ができない場合に、前記無線インターフェースを介して前記第2のアクセスポイントと無線通信する、
走行システムの制御方法。
さらに、前記走行台車が前記無線インターフェースを介した無線通信ができない場合に、前記無線インターフェースに、現在設定されている通信スロットとは異なる通信スロットを設定する設定ステップを含む、
請求項16に記載の走行システムの制御方法。
さらに、前記走行台車が前記無線インターフェースを介して、前記走行台車の現在位置を示す位置情報を前記コントローラに送信し、且つ、前記コントローラから、前記現在位置において前記第2のアクセスポイントと通信するための通信スロットを示す通信情報を取得する取得ステップを含み、
前記設定ステップでは、前記無線インターフェースを介した無線通信ができない場合に、前記無線インターフェースに現在設定されている通信スロットを、前記取得ステップで取得した前記通信情報が示す通信スロットに変更する、
請求項17に記載の走行システムの制御方法。
さらに、前記走行台車が、前記走行台車の現在位置と、当該現在位置において前記複数のアクセスポイントのうちのいずれかと通信可能な通信スロットと、の対応関係を示す対応情報を記憶する記憶ステップを含み、
前記取得ステップでは、前記無線インターフェースが前記第1のアクセスポイントと無線通信できなくなる前に、前記コントローラから前記通信情報を取得できなかった場合に、前記対応情報に基づいて、前記走行台車の現在位置において前記第2のアクセスポイントと通信可能な通信スロットを取得する、
請求項18に記載の走行システムの制御方法。
前記無線インターフェースは、前記第1のアクセスポイントと無線通信する第1の無線インターフェースと、前記第2のアクセスポイントと無線通信する第2の無線インターフェースと、を含む、
請求項16に記載の走行システムの制御方法。
さらに、前記走行台車が前記第1の無線インターフェース及び前記第2の無線インターフェースのうちの少なくとも1つを介した無線通信ができない場合に、前記第1の無線インターフェース及び前記第2の無線インターフェースのうちの少なくとも1つに、現在設定されている通信スロットとは異なる通信スロットを設定する設定ステップを含む、
請求項20に記載の走行システムの制御方法。
さらに、前記走行台車が前記第1の無線インターフェース及び前記第2の無線インターフェースの少なくとも一方を介して、前記走行台車の現在位置を示す位置情報を前記コントローラに送信し、且つ、前記コントローラから、前記現在位置において前記複数のアクセスポイントのうちのいずれかと通信するための通信スロットを示す通信情報を取得する取得ステップを含み、
前記設定ステップでは、少なくとも前記第1の無線インターフェースを介した無線通信ができない場合に、前記第1の無線インターフェースに現在設定されている通信スロットを、前記取得ステップで取得した前記通信情報が示す通信スロットに変更する、
請求項21に記載の走行システムの制御方法。
前記取得ステップでは、前記第1の無線インターフェースを介した無線通信ができない場合に、前記第2の無線インターフェースを介して、前記位置情報を前記コントローラに送信し、前記コントローラから前記通信情報を取得する、
請求項22に記載の走行システムの制御方法。
前記取得ステップでは、前記第1の無線インターフェース及び前記第2の無線インターフェースが無線通信できなくなる前に、前記第1の無線インターフェース及び前記第2の無線インターフェースの少なくとも一方を介して、前記位置情報を前記コントローラに送信し、且つ、前記コントローラから前記通信情報を取得し、
前記設定ステップでは、前記第1の無線インターフェース及び前記第2の無線インターフェースが無線通信できなくなった後に、前記第1の無線インターフェースに現在設定されている通信スロットを、前記通信情報が示す通信スロットに変更する、
請求項22又は23に記載の走行システムの制御方法。
さらに、前記走行台車が、前記走行台車の現在位置と、当該現在位置において前記複数のアクセスポイントのうちのいずれかと通信可能な通信スロットと、の対応関係を示す対応情報を記憶する記憶ステップを含み、
前記取得ステップでは、前記第1の無線インターフェース及び前記第2の無線インターフェースが無線通信できなくなる前に、前記コントローラから前記通信情報を取得できなかった場合に、前記対応情報に基づいて、前記走行台車の現在の位置において前記複数のアクセスポイントのうちのいずれかと通信可能な通信スロットを取得する、
請求項22に記載の走行システムの制御方法。
前記取得ステップでは、前記コントローラから、前記現在位置において通信可能な前記第1のアクセスポイントに設定されている通信スロットと前記第2のアクセスポイントに設定されている通信スロットとを前記通信情報として取得し、
前記設定ステップでは、前記取得ステップで取得された前記通信情報に基づいて、前記第1の無線インターフェース及び前記第2の無線インターフェースに設定されている通信スロットをそれぞれ変更する、
請求項22に記載の走行システムの制御方法。
前記設定ステップでは、前記第1の無線インターフェースを介した無線通信ができない場合に、前記第1の無線インターフェースに設定されている通信スロットを、前記第2の無線インターフェースに設定されている通信スロットに変更する、
請求項21〜26のいずれか1項に記載の走行システムの制御方法。
前記設定ステップでは、前記第1の無線インターフェースを介した無線通信ができない場合に、前記第2の無線インターフェースが、前記第2の無線インターフェースに現在設定されている通信スロットと、前記第1の無線インターフェースに現在設定されている通信スロットとで通信できるように設定する、
請求項21〜27のいずれか1項に記載の走行システムの制御方法。
前記設定ステップでは、前記第1の無線インターフェースと前記第1のアクセスポイントとが無線通信できず、且つ、前記第2の無線インターフェースと前記第2のアクセスポイントとが無線通信できない場合に、前記第2の無線インターフェースに現在設定されている通信スロットを、前記第1の無線インターフェースに設定されている通信スロットに変更する、
請求項21〜26のいずれか1項に記載の走行システムの制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、各実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0043】
以下で説明する各実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0044】
(実施の形態1)
[概要]
以下、実施の形態1に係る走行システムについて説明する。
【0045】
なお、以下で説明する走行台車は、例えば、施設内をカバーするように複数配置されたアクセスポイント(AP)を順次に利用した無線通信により、コントローラと通信する走行台車として実現され得る。
【0046】
図1は、実施の形態1に係る走行台車100を含む走行システム1のネットワーク構成を示す模式図である。
図1は、走行システム1が配備された施設を上面視した図と、ネットワーク構成図とを合わせて示すものである。
【0047】
走行システム1は、施設内の天井又は床面等に予め設けられた走行経路である軌道5に、コントローラ400によるコンピュータ制御によって走行台車100を走行させる、有軌道式の走行システムである。走行台車100は、コントローラ400による制御に従って、指示された地点に移動したり、物品の搬送を行ったりする。
【0048】
なお、走行システム1は、有軌道式の走行システムである場合を例として説明するが、以下の説明は、無軌道式の走行システムにも同様に適用されてもよい。また、
図1には、走行台車100を1台のみ図示しているが、走行システム1は、複数の走行台車100を備えてもよい。
【0049】
図1に示すように、走行システム1は、走行台車100と、複数の第1のアクセスポイント(第1のAP)200、210、220、及び、230と、複数の第2のアクセスポイント(第2のAP)300、310、320、及び、330と、コントローラ400と、を備える。
【0050】
走行台車100は、人が乗車することなく所定の軌道5上を走行し、また、コントローラ400による制御に基づいて走行する無人走行車である。
【0051】
走行台車100は、コントローラ400による制御に基づいて軌道5上を自在に走行し、物品の搬送などを行う。また、走行台車100は、第1の無線インターフェース(第1のIF)110(
図3参照)及び第2の無線インターフェース(第2のIF)120(
図3参照)を有し、複数のアクセスポイントと無線通信リンク(以降、単に通信リンクともいう)を確立し、この通信リンクを用いた無線通信によりコントローラ400と通信する。
【0052】
また、走行台車100は、通信リンクを確立する相手となるアクセスポイントの切り替え(つまり、ローミング)を行う。
【0053】
走行システム1において、走行台車100が走行し得る領域、つまり、軌道5上の位置は、複数のブロックに区切られている。走行台車100は、自装置が属しているブロックに応じて適切な第1のAP(例えば、第1のAP200、210、220、及び、230のいずれか)及び第2のAP(例えば、第2のAP300、310、320、及び、330のいずれか)との通信リンクを確立する。つまり、走行台車100は、自装置の位置に基づいて、通信リンクを確立するAPを自律的に選択する。例えば、走行台車100は、第1のAP200と無線通信し、且つ、第1のAP200との無線通信ができない場合に、第2のAP300と無線通信する。
【0054】
例えば、
図1において、走行台車100は、第1のAP200及び第2のAP300と通信リンクを確立している。軌道5上の位置は、複数のブロックに区切られており、このブロックを利用して走行台車100の位置が特定される。なお、上記ブロックは、
図1において破線で示されており、紙面上の上段のブロックを左から右へブロックR1、S1、T1、U1とし、紙面上の下段のブロックを左から右へブロックR2、S2、T2、U2とする。なお、
図1における各ブロックは矩形に区切られているが、これに限られず、任意の形状に区切られていてよい。また、ブロックR2、S2、T2、U2には、ブロックR1、S1、T1、U1と同様に、第1のAP及び第2のAPがそれぞれ配置されているが、
図1においては図示を省略している。また、
図1においては、例えば、ブロックR1及びブロックS1等、隣り合うブロックの通信エリアを仕切るように簡略して図示しているが、隣り合うブロック間の通信エリアは、走行台車100がブロック間を移動する際に複数のAPと通信が途切れないようにするために、一部が重なり合っているとよい。
【0055】
第1のAP200、210、220、及び、230(以降、第1のAP200等ともいう)は、それぞれ、走行台車100と通信リンクを確立して無線通信を行うアクセスポイント装置である。
【0056】
第2のAP300、310、320、及び、330(以降、第2のAP300等ともいう)は、それぞれ、走行台車100と通信リンクを確立して無線通信を行うアクセスポイント装置である。また、第1のAP200等と第2のAP300等とは、互いに異なる無線通信スロットを用いて走行台車100と通信する。
【0057】
このように、走行システム1が備える複数のAP(第1のAP200及び第2のAP300等)は、走行台車100と無線通信する複数の第1のAP200等、及び、第1のAPとは異なる通信スロットで走行台車100と無線通信する複数の第2のAP300等を含む。
【0058】
なお、通信スロットとは、チャネル(言い換えると、周波数スロット)及びタイムスロットの少なくとも一方を含むことを意味する。例えば、「通信スロットが異なる」とは、通信に用いるチャネル、つまり、周波数が異なることを意味するのはもちろん、同一の周波数であって通信するタイミングが異なる場合、つまり、タイムスロットが異なる場合も意味する。例えば、第1のAP200が第1のタイミングにおいてチャネル1で走行台車100と無線通信し、第1のAP210が第1のタイミングとは異なる第2のタイミングにおいてチャネル1で走行台車100と無線通信する場合である。以下の説明においては、第1のAP200等及び第2のAP300等が互いにチャネルが異なる場合を例示して説明する。
【0059】
図2は、実施の形態1に係る第1のAP200等及び第2のAP300等の通信エリアを説明するための図である。なお、
図2には、一例として、第1のAP200及び210と、第2のAP300及び310とのそれぞれの通信エリアを模式的に示している。
図2に示す実線の丸は第1のAP200及び210通信エリアを模式的に示すものであり、
図2に示す破線の丸は第2のAP300及び310通信エリアを模式的に示すものである。
【0060】
第1のAP200等及び第2のAP300等は、例えば、IEEE802.11a、b、g、n規格等に適合する無線LAN(Local Area Network)等の通信インターフェースにより無線通信を行う。第1のAP200等及び第2のAP300等のそれぞれは、無線通信エリアによって軌道5をカバーする位置に配置される。
【0061】
複数の第1のAP200等のそれぞれは、隣り合う第1のAP(例えば、第1のAP200及び第1のAP210)と通信エリアの一部が重なるように配置されている。また、複数の第2のAP300等のそれぞれは、隣り合う第2のAP(例えば、第2のAP300及び第2のAP310)と通信エリアの一部が重なるように配置されている。また、複数の第1のAP200等のそれぞれは、複数の第2のAP300等のいずれかと、通信エリアの少なくとも一部が重なるように配置されている。
【0062】
また、
図2に示すように、例えば、第1のAPと第2のAPとの通信エリアは、完全に重なるのではなく、少しずれているとよい。つまり、複数の第1のAP200等のそれぞれは、複数の第2のAP300等のいずれかと、通信エリアの少なくとも一部が重なり、且つ、他の一部が重ならないように配置されるとよい。また、複数の第2のAP300等のそれぞれは、複数の第1のAP200等のいずれかと、通信エリアの少なくとも一部が重なり、且つ、他の一部が重ならないように配置されるとよい。
【0063】
このような構成によれば、走行台車100は、第1のAP200等及び第2のAP300等の少なくとも一方との無線通信を続けつつ、且つ、複数の第1のAP200等間での無線通信先の切り替え、及び、複数の第2のAP300等間での無線通信先の切り替えを行うことができる。そのため、走行システム1の通信の確実性は、より向上される。
【0064】
また、第1のAP200等及び第2のAP300等が無線通信に利用する通信スロットは予め定められているとする。例えば、第1のAP200等は、2.4GHz帯のチャネル(例えば、チャネル1、6、及び、11)を利用し、第2のAP300等は、5.2GHz帯のチャネル(例えば、チャネル36、40、44、及び、48)を利用する。なお、これらは1例であり、第1のAP200等は、5.2GHz帯のチャンネル(例えば、チャネル36、40、44、及び、48)を利用し、第2のAP300等は、5.3GHz帯のチャネル(例えば、チャネル52、56、60、及び、64)を利用してもよく、異なった周波数帯のチャンネルを利用すればよい。
【0065】
また、隣り合う第1のAP同士、及び、隣り合う第2のAP同士が無線信号に利用する通信スロットは、互いに異なっている。例えば、第1のAP200が2.4GHz帯のチャネル1を通信スロットとして利用する場合、第1のAP210は、2.4GHz帯のチャネル6を通信スロットとして利用する。また、この場合、第1のAP220は、2.4GHz帯のチャネル6以外を通信スロットとして利用すればよく、2.4GHz帯のチャネル1を通信スロットとして利用してもよいし、2.4GHz帯のチャネル11を通信スロットとして利用してもよい。もちろん、第1のAP200が2.4GHz帯のチャネル1を第1のタイミングで通信スロットとして利用する場合、第1のAP210は、2.4GHz帯のチャネル1を利用し、且つ、第1のAP200が通信する第1のタイミングとは異なる第2のタイミングを利用するタイムスロットを通信スロットとして利用してもよい。隣り合う第2のAP同士が利用する通信スロットの関係についても、隣り合う第1のAP同士が利用する通信スロットの関係と同様である。なお、隣り合うAPとは、例えば、通信エリアの少なくとも一部が重なり合うAPを意味する。
【0066】
再び
図1を参照し、コントローラ400は、走行台車100の動作をコンピュータにより制御する制御装置である。コントローラ400は、具体的には、走行台車100に対して、走行台車100を所定の位置に移動させる移動指令、及び、走行台車100に物品の搬送をさせる搬送指令等を含む制御信号である走行指示を送信する。より具体的には、コントローラ400は、複数のAPのいずれかを介して、走行台車100から走行台車100の現在位置を示す位置情報を受信し、且つ、走行台車100の走行を制御するための走行指示を走行台車100に送信する。つまり、コントローラ400は、複数のAPのいずれかを介して走行台車100から走行台車100の現在位置を示す位置情報を受信する。また、コントローラ400は、複数のAPのいずれかを介して走行台車100の走行を制御するための走行指示を走行台車100に送信する。
【0067】
[構成]
続いて、走行システム1の具体的な構成について説明する。
【0068】
図3は、実施の形態1に係る走行システム1の機能構成を示すブロック図である。
【0069】
<走行台車>
走行台車100は、第1のIF110と、第2のIF120と、設定部130と、取得部140と、制御部150と、記憶部160と、を備える。
【0070】
第1のIF110及び第2のIF120のそれぞれは、例えば、IEEE802.11a、b、g、n規格等に適合する無線LAN等の通信インターフェースである。第1のIF110及び第2のIF120は、それぞれが制御部150による制御を受けて、データの送受信、通信リンクの確立、切断等を行う。
【0071】
第1のIF110は、第1のAP200等と無線通信する通信インターフェースである。例えば、第1のIF110は、2.4GHz帯の通信帯域で、第1のAP200等と無線通信する。
【0072】
第2のIF120は、第2のAP300等と無線通信する通信インターフェースである。例えば、第2のIF120は、5GHz帯の通信帯域で、第2のAP300等と無線通信する。
【0073】
このように、実施の形態1に係る走行台車100は、2つの無線インターフェースを備える。走行台車100は、以下第2例で説明するように、例えば、第1のIF110を介して第1のAP200等との無線通信ができない場合に、第1のIF110を介して第2のAP300等と無線通信することも可能である。また、走行台車100は、例えば、同じく第2のIF120を介して第2のAP300等との無線通信ができない場合に、第2のIF120を介して第1のAP200と無線通信することも可能である。
【0074】
第1のIF110及び第2のIF120のそれぞれは、設定部130が設定した通信スロットを用いて無線通信を行う。例えば、第1のIF110が無線通信に利用する通信スロットとして2.4GHz帯のチャネル1が設定部130に設定され、且つ、第2のIF120が無線通信に利用する通信スロットとして5GHz帯のチャネル36が設定部130に設定された場合、第1のIF110により2.4GHz帯のチャネル1で第1のAP200に接続するとともに、第2のIF120により5GHz帯のチャネル36で第2のAP300と接続する。なお、本実施の形態では、走行台車100は、第1のIF110で第1のAP200等と無線通信し、第2のIF120で第2のAP300等と無線通信するように予め定められているとして説明するが、第1のIF110及び第2のIF120が、第1のAP200等及び第2のAP300等のいずれと接続するかは任意である。
【0075】
設定部130は、第1のIF110及び第2のIF120のうちの少なくとも1つを介した無線通信ができない場合に、第1のIF110及び第2のIF120のうちの少なくとも1つに、現在設定されている通信スロットとは異なる通信スロットを設定する処理部である。設定部130は、例えば、第1のIF110を用いて第1のAP200と無線通信が遮断した場合に、第1のIF110に用いている通信スロットを、チャネル1からチャネル6へと変更する。また、例えば、設定部130は、例えば、第1のIF110を用いて第1のAP200と無線通信が遮断した場合に、第1のIF110に用いているチャネルを、2.4GHz帯のチャネルから第2のIF120に用いられているチャネルの周波数帯である5GHz帯のチャネルへと変更する。
【0076】
設定部130は、例えば、マイクロコントローラ等で実現される。具体的には、設定部130は、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサ等で実現される。設定部130は、各動作を実行する専用の電子回路で実現されてもよい。
【0077】
取得部140は、第1のIF110及び第2のIF120の少なくとも一方を介して、走行台車100の現在位置を示す位置情報50をコントローラ400に送信し、且つ、コントローラ400から、走行台車100の現在位置において複数のAPのうちのいずれかと通信するための通信スロットを示す通信情報60を取得する。取得部140は、例えば、位置情報50の送信及び通信情報60の受信を、第1のIF110及び第2のIF120の一方を制御して実行する処理部である。
【0078】
取得部140は、例えば、マイクロコントローラ等で実現される。具体的には、取得部140は、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサ等で実現される。取得部140は、各動作を実行する専用の電子回路で実現されてもよい。
【0079】
また、設定部130及び取得部140は、例えば、1つのCPUで実現されてもよいし、それぞれ異なるCPUで実現されてもよい。
【0080】
設定部130は、少なくとも第1のIF110を介した無線通信ができない場合に、第1のIF110に現在設定されている通信スロットを、取得部140によって取得された通信情報60が示す通信スロットに変更する。
【0081】
なお、位置情報50は、ブロックの位置を一意に示す情報である。位置情報50には、例えば、軌道5上に設定されるブロックR1、S1等と、当該ブロックに含まれる軌道5上の走行台車100の位置等とを対応付ける情報が含まれる。位置情報50は、軌道5上に定められた位置等と、当該位置が属するブロックとを対応付ける情報であるとも言える。
【0082】
なお、位置情報50は、上記の形態だけに限定されない。位置情報50は、例えば、無軌道式の走行システムでは、軌道を基準とするのではなく、施設における位置を基準とした方法を採用してもよい。
【0083】
図4は、実施の形態1に係る通信情報60を示す説明図である。
【0084】
通信情報60は、位置情報50に示される各ブロックと、当該ブロックの内部で利用可能な通信スロットとを対応付けた情報である。
【0085】
図4に示される通信情報60の各エントリ(各行)は、ブロックと、当該ブロックの内部で利用可能な通信スロットとを含む。例えば、通信情報60の最上段のエントリは、ブロックR1の内部で2.4GHz帯のチャネル1及び5GHz帯のチャネル36が利用可能であることを示している。また、通信情報60の上から2番目のエントリは、ブロックS1の内部で2.4GHz帯のチャネル6及び5GHz帯のチャネル40が利用可能であることを示している。
【0086】
なお、走行台車100は、例えば、自装置の現在位置を取得するために、電波又は光等を検知するセンサを備える。取得部140は、例えば、軌道5に沿って配置された複数の光送信器から受光する光によって、走行台車100の現在位置を取得し、取得した現在位置を示す位置情報50をコントローラ400に送信する。
【0087】
なお、
図4には、記憶部160に位置情報50を記憶している例を示しているが、取得部140は、取得した自装置の現在位置を示す位置情報50を記憶部160に記憶させずに、コントローラ400へ送信してもよい。
【0088】
また、現在位置の取得方法は光送受信器による方法に限定されない。例えば、現在位置の取得方法は、軌道5の近傍に取り付けられたバーコード等のマーキング情報を光学的に読み取り変換することで取得する方法でもよいし、IMES(Indoor MEssaging System)(いわゆる屋内GPS(Global Position System)により取得する方法でもよい。或いは、現在位置の取得方法は、走行輪に搭載されている駆動モータからのフィードバック情報(モータ回転数)を管理している走行制御部からの情報、又は、走行台車100に備わる加速度センサ又は方位センサ等からの情報に基づいて取得する方法でもよく、さらに、上記の取得方法の組み合わせでもよい。
【0089】
再び
図3を参照し、制御部150は、走行台車100の走行等を制御する処理部である。制御部150は、例えば、第1のIF110及び第2のIF120を制御することで、コントローラ400から移動指令等の走行指示を受信し、受信した走行指示に基づいて走行台車100の走行を制御する。
【0090】
制御部150は、例えば、マイクロコントローラ等で実現される。具体的には、制御部150は、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサ等で実現される。制御部150は、各動作を実行する専用の電子回路で実現されてもよい。
【0091】
また、制御部150は、設定部130及び取得部140と1つのCPUで実現されてもよいし、それぞれとは異なるCPUで実現されてもよい。
【0092】
記憶部160は、コントローラ400から受信したデータを記憶するHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、eMMC(embedded Multi Media Card)等のストレージである。記憶部160は、例えば、設定部130、取得部140、及び、制御部150がそれぞれ実行する制御プログラムを格納する。
【0093】
また、例えば、記憶部160は、走行台車100の現在位置と、当該現在位置において複数のAPのうちのいずれかと通信可能な通信スロットと、の対応関係を示す対応情報70を記憶する。上述したように、取得部140が第1のIF110及び第2のIF120の少なくとも一方を用いて、コントローラ400から通信情報60を取得できれば、設定部130は、取得部140が取得した通信情報60に基づいて第1のIF110及び第2のIF120の少なくとも一方の通信スロットを変更できる。ここで、走行台車100は、例えば、第1のAP200及び第2のIF120の故障により、第1のAP200及び第2のAP300の両方と通信できなくなる場合がある。この場合、取得部140は、第1のIF110及び第2のIF120が無線通信できなくなる前に、コントローラ400から通信情報60を取得できなかった場合に、対応情報70に基づいて、走行台車100の現在の位置において複数のAPのうちのいずれかと通信可能な通信スロットを取得する。
【0094】
なお、走行システム1の具体的な制御方法は、後述する。
【0095】
<コントローラ>
コントローラ400は、通信インターフェース(通信IF)410と、制御部420と、記憶部430と、を備える。
【0096】
通信IF410は、第1のAP200等及び第2のAP300等と通信する通信インターフェースである。
【0097】
制御部420は、通信IF410等を制御して、走行台車100に、通信情報60、及び、走行台車100の走行を制御するための移動指令等の制御信号である走行指示を送信したり、走行台車100から走行台車100の現在位置を示す位置情報50を受信して記憶部430に記憶させたりする処理部である。
【0098】
制御部420は、例えば、マイクロコントローラ等で実現される。具体的には、制御部420は、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサ等で実現される。制御部420は、各動作を実行する専用の電子回路で実現されてもよい。
【0099】
記憶部430は、通信情報60等の情報を記憶するHDD、SSD等のストレージである。記憶部160は、例えば、制御部420が実行する制御プログラムを格納する。
【0100】
[処理手順]
続いて、
図3、及び、
図5〜
図14を参照しながら、実施の形態1に係る走行台車100の走行手順について説明する。なお、
図5、
図7、
図9、
図11、及び、
図13においては、走行台車100の構成要素、コントローラ400等の走行システム1の構成要素の一部の図示を省略している。また、
図5、
図7、
図9、
図11、及び、
図13においては、第1のIF110は、第1のAP200と予め無線通信し、第2のIF120は、第2のAP300と予め無線通信している場合について示している。
【0101】
<第1例>
図5は、実施の形態1に係る走行システム1の制御方法の第1例を示す説明図である。
図6は、実施の形態1に係る走行システム1の処理手順の第1例を示すフローチャートである。
【0102】
まず、走行台車100は、第1のIF110を用いて第1のAP200と通信し、且つ、第2のIF120を用いて第2のAP300と通信しているとする(ステップS101)。このように通信することで、制御部150は、コントローラ400から走行指令等の走行指示を第1のIF110又は第2のIF120を介して受信して、受信した走行指示に基づく制御(例えば、走行台車100の走行制御)を実行する。
【0103】
次に、走行台車100は、ブロック間を移動する際に、第1のAP200又は第2のAP300と通信が遮断されたか、つまり、無線通信ができないか否かを判定する(ステップS102)。例えば、ステップS102において、
図5の(a)に示すように、走行台車100は、ブロックR1からブロックS1へ移動するとする。
【0104】
走行台車100(例えば、制御部150)は、走行台車100がブロック間を移動する際に、第1のAP200又は第2のAP300と通信が遮断されないと判定した場合(ステップS102でNo)、処理をステップS101に戻す。
【0105】
一方、走行台車100は、走行台車100がブロック間を移動する際に、第1のAP200又は第2のAP300と通信が遮断されたと判定した場合(ステップS102でYes)、位置情報50をコントローラ400に送信する(ステップS103)。具体的には、ステップS103では、取得部140は、上記した方法によって取得した走行台車100の現在位置を示す位置情報50を第1のIF110又は第2のIF120を介してコントローラ400へ送信する。より具体的には、ステップS103では、取得部140は、上記した方法によって取得した走行台車100の現在位置を示す位置情報50を、第1のIF110及び第2のIF120のうち、通信可能なIFを介してコントローラ400へ送信する。なお、取得部140は、第1のIF110及び第2のIF120のいずれもが通信可能である場合、いずれのIFを介してコントローラ400へ位置情報50を送信してもよい。
【0106】
次に、取得部140は、コントローラ400から次のブロック(ここでは、ブロックS1)のAP(ここでは、例えば、第1のAP210)と通信するための通信情報60を取得する(ステップS104)。
【0107】
次に、設定部130は、取得部140が取得した通信情報60に基づいて、第1のIF110及び第2のIF120の少なくとも一方のIF、具体的には、APと通信できないIF、つまり、APとの通信が途切れたIF(ここでは、例えば、第1のIF110)が用いる通信スロットを、通信情報60が示す通信スロットに変更する(ステップS105)。例えば、設定部130は、ステップS105では、第1のIF110が用いるチャネルを、第1のAP200と通信可能な2.4GHz帯のチャネル1から第1のAP210と通信可能な2.4GHz帯のチャネル6に変更する。
【0108】
次に、例えば、
図5の(b)及び
図6に示すように、制御部150は、設定部130が変更した通信スロットを用いて、第1のIF110及び第1のAP210を介して、コントローラ400と通信する(ステップS106)。
【0109】
ステップS104及びステップS105と同様の処理を実行して、
図5の(c)及び
図5の(d)に示すように、設定部130は、第2のIF120に設定されている通信スロットを通信情報60に基づいて通信情報60が示す通信スロットに変更することで、第2のIF120と第2のAP310とを通信できるようにする。
【0110】
以上のように、実施の形態1に係る走行システム1は、所定の軌道5上を走行する走行台車100と、走行台車100と無線通信する複数の第1のAP200等、及び、第1のAP200等とは異なる通信スロットで走行台車100と無線通信する複数の第2のAP300等を含む複数のAPと、複数のAPのいずれかを介して、走行台車100から走行台車100の現在位置を示す位置情報50を受信し、且つ、走行台車100の走行を制御するための走行指示を走行台車100に送信するコントローラ400と、を備える。複数の第1のAP200等は、隣り合う第1のAPと通信エリアの一部が重なるように配置される。また、複数の第2のAP300等は、隣り合う第2のAPと通信エリアの一部が重なるように配置される。また、複数の第1のAP200等のそれぞれは、複数の第2のAP300等のいずれかと、通信エリアの少なくとも一部が重なるように配置される。また、走行台車100は、第1のAP200等と無線通信するIFであって、且つ、第1のAP200等との無線通信ができない場合に、第2のAP300等と無線通信するIFを備える。実施の形態1に係る走行台車100は、第1のAP200等と無線通信する第1のIF110と、第2のAP300等と無線通信する第2のIF120と、を無線インターフェースとして備える。
【0111】
また、実施の形態1に係る走行システム1の制御方法は、複数の第1のAP200等が、隣り合う第1のAPと通信エリアの一部が重なるように配置され、複数の第2のAP300等が、隣り合う第2のAPと通信エリアの一部が重なるように配置され、且つ、複数の第1のAP200等のそれぞれは、複数の第2のAP300等のいずれかと、通信エリアの少なくとも一部が重なるように配置され、第1のAP200等及び第2のAP300等の少なくとも一方と無線通信する無線インターフェースを有する走行台車100を備える走行システム1の制御方法である。走行システム1の制御方法は、走行台車100と無線通信する複数の第1のAP200等、及び、第1のAP200等とは異なる通信スロットで走行台車100と無線通信する複数の第2のAP300等を含む複数のAPに走行台車100と無線通信させる通信ステップと、複数のAPのいずれかを介して、走行台車100から走行台車100の現在位置を示す位置情報50を受信し、且つ、走行台車100の走行を制御するための走行指示を走行台車100にコントローラ400が送信する制御ステップと、走行指示に基づいて所定の軌道5上を走行台車100に走行させる走行ステップと、を含む。
【0112】
これによれば、走行台車100は、第1のIF110及び第2のIF120を介して通信スロットの異なる2つのAP(第1のAP200等及び第2のAP300等)と同時に無線通信することができる。そのため、例えば、一方のAPが故障した場合においても、走行台車100は、他方のAPと無線通信することができるため、コントローラ400と通信し続けることができる。これにより、走行システム1によれば、従来より通信の確実性が向上される。また、走行台車100は、2つ以上のIFにより2つ以上の異なる通信規格を併用して無線通信を行うことができる。一般に、通信規格が異なると、外来ノイズにより受ける影響の有無又は大小が異なる。よって、たとえ一方の通信規格による通信が外来ノイズなどの影響で通信できない状態になっても、他方の通信規格による通信が可能である可能性が高くなり、走行システム1の通信の確実性をより向上させることができる。
【0113】
また、例えば、設定部130は、第1のIF110及び第2のIF120のうちの少なくとも1つを介した無線通信ができない場合に、第1のIF110及び第2のIF120のうちの少なくとも1つに、現在設定されている通信スロットとは異なる通信スロットを設定する。
【0114】
また、例えば、実施の形態1に係る走行システム1の制御方法は、さらに、走行台車100が第1のIF110及び第2のIF120のうちの少なくとも1つを介した無線通信ができない場合に、第1のIF110及び第2のIF120のうちの少なくとも1つに、現在設定されている通信スロットとは異なる通信スロットを設定する設定ステップを含む。
【0115】
これによれば、走行台車100は、設定部130によって走行台車100が利用できる無線通信の通信スロットの数を減らないようにすることができる。そのため、走行システム1の通信の確実性は、より向上される。
【0116】
また、例えば、取得部140は、第1のIF110及び第2のIF120の少なくとも一方を介して、走行台車100の現在位置を示す位置情報50をコントローラ400に送信し、且つ、コントローラ400から、走行台車100の現在位置において複数のAPのうちのいずれかと通信するための通信スロットを示す通信情報60を取得する。この場合、例えば、設定部130は、少なくとも第1のIF110を介した無線通信ができない場合に、第1のIF110に現在設定されている通信スロットを、取得部140によって取得された通信情報60が示す通信スロットに変更する。
【0117】
また、例えば、実施の形態1に係る走行システム1の制御方法は、さらに、走行台車100が第1のIF110及び第2のIF120の少なくとも一方を介して、走行台車100の現在位置を示す位置情報50をコントローラ400に送信し、且つ、コントローラ400から、現在位置において複数のAPのうちのいずれかと通信するための通信スロットを示す通信情報60を取得する取得ステップを含み、設定ステップでは、少なくとも第1のIF110を介した無線通信ができない場合に、第1のIF110に現在設定されている通信スロットを、取得ステップで取得した通信情報60が示す通信スロットに変更する。
【0118】
これによれば、設定部130は、走行台車100の位置に基づいて、第1のIF110が用いる通信スロットとして適切な通信スロットを設定することができる。そのため、走行システム1の通信の確実性は、より向上される。
【0119】
また、第1例では、取得部140は、第1のIF110を介した無線通信ができない場合に、第2のIF120を介して、位置情報50をコントローラ400に送信し、コントローラ400から通信情報60を取得する。
【0120】
また、第1例における、実施の形態1に係る走行システム1の制御方法の取得ステップ(具体的には、
図6に示すステップS103及びステップS104)では、第1のIF110を介した無線通信ができない場合に、第2のIF120を介して、位置情報50をコントローラ400に送信し、コントローラ400から通信情報60を取得する。
【0121】
これによれば、走行台車100は、確実に通信情報60を取得することができる。そのため、走行システム1の通信の確実性は、より向上される。
【0122】
<第2例>
図7は、実施の形態1に係る走行システム1の制御方法の第2例を示す説明図である。
図8は、実施の形態1に係る走行システム1の処理手順の第2例を示すフローチャートである。
【0123】
まず、走行台車100は、第1のIF110を用いて第1のAP200と通信し、且つ、第2のIF120を用いて第2のAP300と通信しているとする(ステップS201)。このように通信することで、制御部150は、コントローラ400から受信した走行指示に基づく制御を実行する。
【0124】
次に、走行台車100(例えば、制御部150又は設定部130)は、第1のAP200又は第2のAP300が故障したか、つまり、走行台車100と通信できないか否かを判定する(ステップS202)。例えば、走行台車100は、第1のAP200等及び第2のAP300等のそれぞれとの間で、所定の周期で互いに通信が可能か否かを確認するための制御信号を送受信しあう。これにより、走行台車100は、第1のAP200等及び第2のAP300等が故障しているか否か、つまり、通信できない状態であるか否かを判定する。
【0125】
走行台車100が第1のAP200又は第2のAP300が故障していないと判定した場合(ステップS202でNo)、走行台車100は、ステップS201の処理を続ける。
【0126】
一方、走行台車100が第1のAP200又は第2のAP300が故障していると判定した場合(ステップS202でYes)、走行台車100は、故障したAPと通信していたIFを、故障していないAPと通信できる通信スロットに変更する(ステップS203)。
【0127】
例えば、ステップS202において、
図7の(a)に示すように、第1のAP200が故障したとする。ここで、第1のIF110は、第1のAP200と通信できなくなったとする。
【0128】
この場合、設定部130は、
図7の(b)に示すように、第1のIF110の通信スロットを、第2のAP300と通信できる通信スロットに変更する。具体的に例えば、設定部130は、第1のIF110が用いていた2.4GHz帯のチャネルを、第2のAP300と通信できる5GHz帯のチャネルに変更する。こうすることで、設定部130は、第1のIF110もまた、第2のIF120と同様に、第2のAP300と通信できるように通信スロットの設定を変更して、第2のIF120のバックアップとして、第1のIF110を待機させる。
【0129】
なお、ステップS202では、走行台車100が第1のAP200又は第2のAP300が故障されたか、つまり、走行台車100と通信できないか否かを判定したが、コントローラ400がこの判定を行ってもよい。例えば、コントローラ400は、第1のAP200等及び第2のAP300等のそれぞれとの間で、所定の周期で互いに通信が可能か否かを確認するための制御信号を送受信しあう。これにより、コントローラ400は、第1のAP200等及び第2のAP300等が故障しているか否か、つまり、通信できない状態であるか否かを判定する。この場合、コントローラ400は、例えば、第1のAP200又は第2のAP300が故障されていると判定した場合、判定結果を走行台車100に送信する。設定部130は、コントローラ400から受信した判定結果に基づいて、第1のIF110又は第2のIF120の通信スロットを変更する。
【0130】
以上のように、第2例では、設定部130は、第1のIF110を介した無線通信ができない場合に、第1のIF110に設定されている通信スロットを、第2のIF120に設定されている通信スロットに変更する。もちろん、設定部130は、第2のIF120を介した無線通信ができない場合に、第2のIF120に設定されている通信スロットを、第1のIF110に設定されている通信スロットに変更してもよい。
【0131】
また、第2例における、実施の形態1に係る走行システム1の制御方法の設定ステップでは、第1のIF110を介した無線通信ができない場合に、第1のIF110に設定されている通信スロットを、第2のIF120に設定されている通信スロットに変更する。
【0132】
これによれば、第2のIF120が用いている通信スロットで、第1のIF110もまた、通信することができる。これにより、例えば、第2のIF120が故障した場合においても、走行台車100は、第1のIF110で通信を続けることができる。そのため、走行システム1の通信の確実性は、より向上される。
【0133】
<第3例>
図9は、実施の形態1に係る走行システム1の制御方法の第3例を示す説明図である。
図10は、実施の形態1に係る走行システムの処理手順の第3例を示すフローチャートである。
【0134】
まず、走行台車100は、第1のIF110を用いて第1のAP200と通信し、且つ、第2のIF120を用いて第2のAP300と通信しているとする(ステップS301)。このように通信することで、制御部150は、コントローラ400から受信した走行指示に基づく制御を実行する。
【0135】
次に、走行台車100(例えば、制御部150又は設定部130)は、第1のIF110又は第2のIF120が故障されたか、つまり、走行台車100と通信できないか否かを判定する(ステップS302)。
【0136】
走行台車100は、第1のIF110又は第2のIF120が故障されていないと判定した場合(ステップS302でNo)、ステップS301の処理を続ける。
【0137】
一方、走行台車100は、第1のIF110又は第2のIF120が故障されていると判定した場合(ステップS302でYes)、故障していないIFを用いて、現在通信しているAPとの通信の隙間時間に、故障して通信できないIFが通信していたAPと通信する(ステップS303)。
【0138】
例えば、ステップS302において、
図9の(a)に示すように、第1のIF110が故障したとする。ここで、第1のIF110は、第1のAP200と通信できなくなったとする。この場合、設定部130は、
図9の(b)に示すように、第2のIF120の通信スロットを、第1のAP200とも通信できるように、繰り返し通信スロットを変更する。具体的に例えば、制御部150は、第2のIF120を用いて、現在通信している第2のAP300との通信の隙間時間に、第1のAP200と通信する。例えば、第1のIF110及び第1のAP200と、第2のIF120及び第2のAP300とは、所定の時間間隔で信号の送受信を行っている。そこで、設定部130は、第2のIF120を用いて、現在通信している第2のAP300との通信の隙間時間に、第1のAP200と通信することで、第2のIF120の通信スロットを、第1のAP200と通信可能な通信スロットの状態にしておく。
【0139】
なお、ステップS302で実行された第1のIF110及び第2のIF120の故障の判定は、走行台車100ではなく、コントローラ400が実行してもよい。
【0140】
例えば、コントローラ400は、第1のAP200等及び第2のAP300等のそれぞれとの間で、所定の周期で互いに通信が可能か否かを確認するための制御信号を送受信しあう。この場合、コントローラ400は、例えば、第1のAP200等及び第2のAP300等と通信可能な状態ではあるが、制御信号に対する走行台車100からの返信があるか否かを判定する。これにより、コントローラ400は、第1のIF110等及び第2のIF120等が故障しているか否か、つまり、通信できない状態であるか否かを判定する。この場合、コントローラ400は、例えば、第1のIF110又は第2のIF120が故障されていると判定した場合、判定結果を走行台車100に送信する。設定部130は、コントローラ400から受信した判定結果に基づいて、第1のIF110又は第2のIF120の通信スロットを変更する。
【0141】
以上のように、第3例では、設定部130は、第1のIF110を介した無線通信ができない場合に、第2のIF120が、第2のIF120に現在設定されている通信スロットと、第1のIF110に現在設定されている通信スロットとで通信できるように設定する。もちろん、設定部130は、第2のIF120を介した無線通信ができない場合に、第1のIF110が、第1のIF110に現在設定されている通信スロットと、第2のIF120に現在設定されている通信スロットとで通信できるように設定する。
【0142】
また、第3例における、実施の形態1に係る走行システム1の制御方法の設定ステップ(具体的には、
図10に示すステップS303)では、第1のIF110を介した無線通信ができない場合に、第2のIF120が、第2のIF120に現在設定されている通信スロットと、第1のIF110に現在設定されている通信スロットとで通信できるように設定する。
【0143】
これによれば、第2のIF120によって、第1のAP200等及び第2のAP300等の両方と通信することができる。そのため、走行システム1の通信の確実性は、より向上される。
【0144】
<第4例>
図11は、実施の形態1に係る走行システム1の制御方法の第4例を示す説明図である。
図12は、実施の形態1に係る走行システム1の処理手順の第4例を示すフローチャートである。
【0145】
まず、走行台車100は、第1のIF110を用いて第1のAP200と通信し、且つ、第2のIF120を用いて第2のAP300と通信しているとする。取得部140は、コントローラ400から通信情報60を取得する(ステップS401)。取得部140は、例えば、ステップS401では、走行台車100の位置情報50を送信する。コントローラ400は、位置情報50を受信した場合に、走行台車100が次に移動するブロックの第1のAP及び第2のAPと通信するための通信スロットを示す通信情報60を走行台車100へ送信する。
【0146】
例えば、
図11の(a)に示すように、走行台車100は、ブロックR1からブロックS1へ移動するとする。この場合、ステップS401では、取得部140は、コントローラ400からブロックS1における通信情報60を取得する。具体的には、取得部140は、走行台車100の位置情報50を送信する。コントローラ400は、位置情報50を受信した場合に、走行台車100が次に移動するブロックS1の第1のAP210及び第2のAP310と通信するための通信スロットを示す通信情報60を走行台車100へ送信する。
【0147】
次に、取得部140は、ステップS401で取得した通信情報60を記憶部160に記憶させる(ステップS402)。
【0148】
次に、制御部150は、第1のIF110を用いて第1のAP200と通信し、且つ、第2のIF120を用いて第2のAP300と通信することで、コントローラ400から制御信号を受信して、受信した制御信号に基づいた制御を行う(ステップS403)。
【0149】
次に、走行台車100は、ブロック間を移動する際に、第1のAP200及び第2のAP300の両方と通信が遮断されたか、つまり、通信ができないか否かを判定する(ステップS404)。
【0150】
走行台車100(例えば、制御部150)は、走行台車100がブロック間を移動する際に、第1のAP200及び第2のAP300と通信が遮断されないと判定した場合(ステップS404でNo)、処理をステップS401に戻す。
【0151】
一方、走行台車100がブロック間を移動する際に、第1のAP200及び第2のAP300の両方と通信が遮断されたと判定した場合(ステップS404でYes)、設定部130は、ステップS402で取得部140が記憶部160に記憶させた通信情報60に基づいて、第1のIF110及び第2のIF120が用いる通信スロットを通信情報60が示す通信スロットにそれぞれ変更する(ステップS405)。例えば、設定部130は、ステップS405では、第1のIF110が用いるチャネルを、第1のAP210と通信可能な2.4GHz帯のチャネル6に変更し、且つ、第2のIF120が用いるチャネルを、第2のAP310と通信可能な5GHz帯のチャネル40に変更する。
【0152】
次に、例えば、
図11の(b)及び
図12に示すように、制御部150は、設定部130が変更した通信スロットを用いて、第1のIF110及び第1のAP210を介して、コントローラ400と通信する(ステップS406)。
【0153】
以上のように、第4例では、取得部140は、第1のIF110及び第2のIF120が無線通信できなくなる前に、第1のIF110及び第2のIF120の少なくとも一方を介して、位置情報50をコントローラ400に送信し、且つ、コントローラ400から通信情報60を取得し、設定部130は、第1のIF110及び第2のIF120ともに無線通信できなくなった後に、第1のIF110に現在設定されている通信スロットを、通信情報60が示す通信スロットに変更する。もちろん、設定部130は、第1のIF110及び第2のIF120が無線通信できなくなった後に、第2のIF120に現在設定されている通信スロットを、通信情報60が示す通信スロットに変更してもよい。
【0154】
また、第4例における、実施の形態1に係る走行システム1の制御方法の取得ステップでは、第1のIF110及び第2のIFが無線通信できなくなる前に、第1のIF110及び第2のIF120の少なくとも一方を介して、位置情報50をコントローラ400に送信し、且つ、コントローラ400から通信情報60を取得し、設定ステップでは、第1のIF110及び第2のIF120が無線通信できなくなった後に、第1のIF110に現在設定されている通信スロットを、通信情報60が示す通信スロットに変更する。
【0155】
これによれば、走行台車100は、より確実に通信情報60を取得することができる。そのため、走行システム1の通信の確実性は、より向上される。
【0156】
また、例えば、取得部140は、コントローラ400から、現在位置において通信可能な第1のAP200等に設定されている通信スロットと第2のAP300等に設定されている通信スロットとを通信情報60として取得し、設定部130は、取得部140によって取得された通信情報60に基づいて、第1のIF110及び第2のIF120に設定されている通信スロットをそれぞれ変更する。
【0157】
また、例えば、実施の形態1に係る走行システム1の制御方法の取得ステップでは、コントローラ400から、現在位置において通信可能な第1のAP200等に設定されている通信スロットと第2のAP300等に設定されている通信スロットとを通信情報60として取得し、設定ステップでは、取得ステップによって取得された通信情報60に基づいて、第1のIF110及び第2のIF120に設定されている通信スロットをそれぞれ変更する。
【0158】
これによれば、設定部130は、例えば、第1のAP200等及び第2のAP300等の両方と無線通信できない場合においても、通信情報60に基づいて、第1のIF110及び第2のIF120が用いるそれぞれの通信スロットにそれぞれ適切な通信スロットを設定することができる。そのため、走行システム1の通信の確実性は、より向上される。
【0159】
なお、取得部140は、ステップS401及びステップS402において、通信情報60を取得して取得した通信情報60を記憶部160に記憶させたが、例えば、記憶部160には、走行台車100の現在位置と、当該現在位置において複数のAPのうちのいずれかと通信可能な通信スロットと、の対応関係を示す対応情報70が記憶されていてもよい。このような構成によれば、設定部130は、第1のIF110及び第2のIF120の両方が同時に通信できなくなった場合に、記憶部160に記憶されている対応情報70に基づいて、第1のIF110及び第2のIF120のそれぞれに設定されている通信スロットを、好適に変更できる。この場合、走行台車100及びコントローラ400は、ステップS401及びステップS402を実行しなくてもよい。
【0160】
このように、例えば、走行システム1は、さらに、走行台車100の現在位置と、当該現在位置において複数のAPのうちのいずれかと通信可能な通信スロットと、の対応関係を示す対応情報70を記憶する記憶部160を備え、取得部140は、第1のIF110及び第2のIF120が無線通信できなくなる前に、コントローラ400から通信情報60を取得できなかった場合に、対応情報70に基づいて、走行台車100の現在の位置において複数のAPのうちのいずれかと通信可能な通信スロットを取得する。
【0161】
また、例えば、実施の形態1に係る走行システム1の制御方法は、さらに、走行台車100が、走行台車100の現在位置と、当該現在位置において複数のAPのうちのいずれかと通信可能な通信スロットと、の対応関係を示す対応情報70を記憶する記憶ステップを含み、取得ステップでは、第1のIF110及び第2のIF120が無線通信できなくなる前に、コントローラ400から通信情報60を取得できなかった場合に、対応情報70に基づいて、走行台車100の現在の位置において複数のAPのうちのいずれかと通信可能な通信スロットを取得する。
【0162】
これによれば、走行台車100は、例えば、第1のAP200等及び第2のAP300等の両方と無線通信できない場合においても、第1のAP200等及び第2のAP300等と通信するための第1のIF110及び第2のIF120に設定するそれぞれの通信スロットを確実に取得することができる。そのため、走行システム1の通信の確実性は、より向上される。
【0163】
<第5例>
図13は、実施の形態1に係る走行システム1の制御方法の第5例を示す説明図である。
図14は、実施の形態1に係る走行システム1の処理手順の第5例を示すフローチャートである。
【0164】
まず、制御部150は、第1のIF110を用いて第1のAP200と通信し、且つ、第2のIF120を用いて第2のAP300と通信することで、コントローラ400から制御信号を受信して、受信した走行指示に基づいた制御を行う(ステップS501)。
【0165】
次に、走行台車100(例えば、制御部150)は、第1のIF110及び第2のIF120の一方が故障している状況において、第1のAP200及び第2のAP300の両方と通信が遮断されたか、つまり、通信ができないか否かを判定する(ステップS502)。
【0166】
制御部150は、第1のIF110及び第2のIF120の一方のみが故障している状況において、第1のAP200及び第2のAP300の両方と通信が遮断されたと判定するまでステップS502を繰り返し実行する。
【0167】
一方、制御部150が第1のIF110及び第2のIF120の一方のみが故障している状況において、第1のAP200及び第2のAP300の両方と通信が遮断されたと判定した場合(ステップS502でYes)、設定部130は、第1のIF110及び第2のIF120のうち、故障していないIFが用いる通信スロットを、故障したIFが用いていた通信スロットに変更する(ステップS503)。
【0168】
次に、制御部150は、設定部130によって通信スロットが変更された故障していないIFを用いて、コントローラ400と通信する(ステップS504)。
【0169】
ステップS503で、例えば、
図13の(a)に示すように、第1のIF110及び第2のAP300が同時に故障したとする。この場合、走行台車100においては、第1のIF110が故障しているため、第1のAP200とは通信できないが、第2のIF120は故障していないため、故障していないAPとは通信することができる。そこで、第5例では、
図13の(b)に示すように、ステップS502でYesとなる条件においては、故障して通信できない第1のIF110の通信先である、故障しておらず通信可能な第1のAP200と第2のIF120とが通信する。
【0170】
以上のように、第5例では、設定部130は、第1のIF110と第1のAP200等とが無線通信できず、且つ、第2のIF120と第2のAP300等とが無線通信できない場合に、第2のIF120に現在設定されている通信スロットを、第1のIF110に設定されている通信スロットに変更する。もちろん、設定部130は、第2のIF120が故障している場合、第1のIF110に現在設定されている通信スロットを、第2のIF120に設定されている通信スロットに変更してもよい。
【0171】
また、第5例における、実施の形態1に係る走行システム1の制御方法の設定ステップでは、第1のIF110と第1のAP200等とが無線通信できず、且つ、第1のIF110と第2のIF120とが無線通信できない場合に、第2のIF120に現在設定されている通信スロットを、第1のIF110に設定されている通信スロットに変更する。
【0172】
これによれば、例えば、第1のIF110及び第2のAP300等が故障した場合においても、走行台車100は、第2のIF120及び第1のAP200等によって、コントローラ400と無線通信を続けることができる。そのため、走行システム1の通信の確実性は、より向上される。
【0173】
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2に係る走行システムについて説明する。
【0174】
なお、実施の形態2に係る走行システムの説明においては、実施の形態1に係る走行システム1と同一の構成については同一の符号を付し、説明を一部簡略化又は省略する場合がある。
【0175】
[概要]
図15は、実施の形態2に係る走行システム2の機能構成を示すブロック図である。
【0176】
走行システム2は、実施の形態1に係る走行システム1と同様に、施設内の天井又は床面等に予め設けられた走行経路である軌道5(
図1参照)に、コントローラ400によるコンピュータ制御によって走行台車101を走行させる、有軌道式の走行システムである。走行台車101は、コントローラ400による制御に従って、指示された地点に移動したり、物品の搬送を行ったりする。走行システム2は、
図1に示す走行システム1と同様に、複数の第1のアクセスポイント(第1のAP)200、210、220、及び、230と、複数の第2のアクセスポイント(第2のAP)300、310、320、及び、330と、コントローラ400と、を備える。走行システム2は、実施の形態1に係る走行システム1と、走行台車100の構成が異なる。
【0177】
走行台車101は、人が乗車することなく所定の軌道5(
図1参照)上を走行し、また、コントローラ400による制御に基づいて走行する無人走行車である。
【0178】
走行台車101は、実施の形態1に係る走行台車100とは異なり、1つの無線インターフェース(IF170)を備える。走行台車101は、複数のアクセスポイントと通信リンクを確立し、この通信リンクを用いた無線通信によりコントローラ400と通信する。
【0179】
走行システム2において、
図1に示す走行システム1と同様に、走行台車101が走行し得る領域、つまり、軌道5上の位置は、複数のブロックに区切られている。走行台車101は、自装置が属しているブロックに応じて適切な第1のAP200等及び第2のAP300等との通信リンクを確立する。つまり、走行台車101は、自装置の位置に基づいて、通信リンクを確立するAPを自律的に選択する。例えば、走行台車101は、第1のAP200等と無線通信し、且つ、第1のAP200等との無線通信ができない場合に、第2のAP300等と無線通信する。
【0180】
走行システム2は、実施の形態1に係る走行システム1と同様に、走行台車101と無線通信する複数の第1のAP200等、及び、第1のAP200等とは異なる通信スロットで走行台車101と無線通信する複数の第2のAP300を含む複数のアクセスポイントを備える。また、コントローラ400は、複数のAPのいずれかを介して、走行台車101から走行台車101の現在位置を示す位置情報50を受信し、且つ、走行台車101の走行を制御するための走行指示を走行台車101に送信する。
【0181】
また、複数の第1のAP200等のそれぞれは、隣り合う第1のAPと通信エリアの一部が重なるように配置されている。また、複数の第2のAP300等のそれぞれは、隣り合う第2のAPと通信エリアの一部が重なるように配置されている。また、複数の第1のAP200等のそれぞれは、複数の第2のAP300等のいずれかと、通信エリアの少なくとも一部が重なるように配置されている。
【0182】
[構成]
続いて、走行システム2が備える走行台車101の具体的な構成について説明する。
【0183】
走行台車101は、IF170と、設定部131と、取得部141と、制御部151と、記憶部160と、を備える。
【0184】
IF170は、例えば、IEEE802.11a、b、g、n規格等に適合する無線LAN等の通信インターフェースである。IF170は、制御部151による制御を受けて、データの送受信、通信リンクの確立、切断等を行う。
【0185】
IF170は、第1のAP200等及び第2のAP300等と無線通信可能な通信インターフェースである。例えば、IF170は、まず、2.4GHz帯の通信帯域で、第1のAP200等と無線通信する。また、IF170は、第1のAP200等と無線通信できない場合に、5GHz帯の通信帯域で、第2のAP300等と無線通信する。
【0186】
なお、本実施の形態では、走行台車101は、まず、IF170で第1のAP200等と無線通信するように予め定められているとして説明するが、まず、第2のAP300等と無線通信するように予め定められていてもよい。
【0187】
設定部131は、IF170を介した無線通信ができない場合に、IF170に現在設定されている通信スロットとは異なる通信スロットを設定する。設定部131は、例えば、第1のAP200と無線通信が遮断した場合に、IF170に用いている通信スロットを、チャネル1からチャネル6へと変更する。
【0188】
設定部131は、例えば、マイクロコントローラ等で実現される。具体的には、設定部131は、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサ等で実現される。設定部131は、各動作を実行する専用の電子回路で実現されてもよい。
【0189】
取得部141は、IF170を介して、走行台車101の現在位置を示す位置情報50をコントローラ400に送信し、且つ、コントローラ400から、現在位置において第2のAP300等と通信するための通信スロットを示す通信情報60(
図3参照)を取得する。取得部141は、例えば、位置情報50の送信及び通信情報60の受信を、IF170を制御して実行する処理部である。
【0190】
取得部141は、例えば、マイクロコントローラ等で実現される。具体的には、取得部141は、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサ等で実現される。取得部141は、各動作を実行する専用の電子回路で実現されてもよい。
【0191】
また、設定部131及び取得部141は、例えば、1つのCPUで実現されてもよいし、それぞれ異なるCPUで実現されてもよい。
【0192】
設定部131は、例えば、IF170を介した無線通信ができない場合に、IF170に現在設定されている通信スロットを、取得部141によって取得された通信情報60が示す通信スロットに変更する。
【0193】
なお、走行台車101は、実施の形態1に係る走行台車100と同様に、例えば、自装置の現在位置を取得するために、電波又は光等を検知するセンサを備える。取得部141は、例えば、軌道5(
図1参照)に沿って配置された複数の光送信器から受光する光によって、走行台車101の現在位置を取得し、取得した現在位置を示す位置情報50をコントローラ400に送信する。
【0194】
制御部151は、走行台車100の走行等を制御する処理部である。制御部151は、例えば、IF170を制御することで、コントローラ400から移動指令等の走行指示を受信し、受信した走行指示に基づいて走行台車101の走行を制御する。
【0195】
制御部151は、例えば、マイクロコントローラ等で実現される。具体的には、制御部151は、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサ等で実現される。制御部151は、各動作を実行する専用の電子回路で実現されてもよい。
【0196】
また、制御部151は、設定部131及び取得部141と1つのCPUで実現されてもよいし、それぞれとは異なるCPUで実現されてもよい。
【0197】
記憶部161は、コントローラ400から受信したデータを記憶するHDD、SSD、eMMC等のストレージである。記憶部161は、例えば、設定部131、取得部141、及び、制御部151がそれぞれ実行する制御プログラムを格納する。
【0198】
また、例えば、記憶部161は、走行台車101の現在位置と、当該現在位置において複数のAP(具体的には第1のAP200等及び第2のAP300等)のうちのいずれかと通信可能な通信スロットと、の対応関係を示す対応情報70を記憶する。上述したように、取得部141がIF170を用いて、コントローラ400から通信情報60を取得できれば、設定部131は、取得部141が取得した通信情報60に基づいてIF170の通信スロットを変更できる。ここで、走行台車101は、例えば、第1のAP200の故障等により、第1のAP200と通信できなくなる場合がある。この場合、取得部141は、IF170が第1のAP200と無線通信できなくなる前にコントローラ400から通信情報60を取得できなかった場合に、対応情報70に基づいて、走行台車100の現在の位置において複数のAPのうちのいずれかと通信可能な通信スロットを取得する。つまり、制御部151は、IF170を介して第1のAP200と無線通信できなくなる前にコントローラ400から通信情報60を取得できなかった場合に、記憶部161に記憶されている対応情報70に基づいて、IF170に設定されている通信スロットを、第2のAP300等と通信可能な通信スロットに変更する。こうすることで、制御部151は、IF170及び第2のAP300等を介して、コントローラ400との通信を続ける。
【0199】
[処理手順]
続いて、
図16〜
図19を参照しながら、実施の形態2に係る走行台車101の走行手順について説明する。なお、
図16及び
図18においては、走行台車101の構成要素、コントローラ400等の走行システム2の構成要素の一部の図示を省略している。また、
図16〜
図19においては、IF170は、第1のAP200と予め無線通信している場合について示している。
【0200】
<第1例>
図16は、実施の形態2に係る走行システム2の制御方法の第1例を示す説明図である。
図17は、実施の形態2に係る走行システム2の処理手順の第1例を示すフローチャートである。
【0201】
まず、
図16の(a)及び
図17に示すように、走行台車101は、第1のAP200と通信しているとする(ステップS601)。このように通信することで、制御部151は、コントローラ400から走行指令等の走行指示を、IF170を介して受信して、受信した走行指示に基づく制御(例えば、走行台車101の走行制御)を実行する。
【0202】
次に、走行台車101は、自装置の現在位置を示す位置情報50をコントローラ400に送信する(ステップS602)。具体的には、ステップS602では、取得部141は、上記した方法によって取得した走行台車101の現在位置を示す位置情報50を、IF170を介してコントローラ400へ送信する。
【0203】
次に、取得部141は、コントローラ400から次のブロック(ここでは、ブロックS1)のAP(ここでは、例えば、第1のAP210又は第2のAP310)と通信するための通信情報60を取得したか否かを判定する(ステップS603)。
【0204】
取得部141は、ステップS603でコントローラ400から次のブロックのAPと通信するための通信情報60を取得したと判定した(つまり、通信情報60を取得した)場合(ステップS603でYes)、取得した通信情報60を記憶部161に記憶させる(ステップS604)。
【0205】
次に、走行台車101は、ブロック間を移動する際に、第1のAP200と通信が遮断されたか、つまり、無線通信ができないか否かを判定する(ステップS605)。例えば、ステップS605において、
図16の(a)に示すように、走行台車101は、ブロックR1からブロックS1へ移動するとする。
【0206】
走行台車101(例えば、制御部151)は、走行台車101がブロック間を移動する際に、第1のAP200と通信が遮断されていないと判定した場合(ステップS605でNo)、処理をステップS602に戻す。
【0207】
一方、
図16の(b)に示すように、走行台車101がブロック間を移動する際に、第1のAP200と通信が遮断されたと判定した場合(ステップS605でYes)、設定部131は、ステップS604で取得部141が記憶部161に記憶させた通信情報60に基づいて、ブロックS1に位置するAP(第1のAP210又は第2のAP310)と通信できるように、IF170を通信情報60が示す通信スロットに変更する(ステップS606)。例えば、設定部131は、ステップS606では、IF170が用いるチャネルを、第1のAP200と通信可能な2.4GHz帯のチャネル1から第1のAP210と通信可能な2.4GHz帯のチャネル6に変更する。
【0208】
次に、例えば、
図16の(c)及び
図6に示すように、制御部151は、設定部131が変更した通信スロットを用いて、IF170を介して、コントローラ400と通信する(ステップS607)。こうすることで、走行台車101とコントローラ400との通信は維持される。
【0209】
また、ステップS603において、取得部141がコントローラ400から次のブロックのAPと通信するための通信情報60を取得していないと判定した(つまり、通信情報60を取得していない)場合(ステップS603でNo)、走行台車101は、ブロック間を移動する際に、第1のAP200と通信が遮断されたか、つまり、無線通信ができないか否かを判定する(ステップS608)。
【0210】
走行台車101(例えば、制御部151)は、走行台車100がブロック間を移動する際に、第1のAP200と通信が遮断されていないと判定した場合(ステップS608でNo)、処理をステップS602に戻す。
【0211】
一方、通信情報60を取得していない状態で走行台車101がブロック間を移動する際に、第1のAP200と通信が遮断されたと判定した場合(ステップS608でYes)、設定部131は、予め記憶部161に記憶されている対応情報70に基づいて、ブロックS1に位置するAP(第1のAP210又は第2のAP310)と通信できるように、IF170を対応情報70が示す通信スロットに変更する(ステップS609)。
【0212】
このように、走行台車101は、コントローラ400から通信情報60を取得できた場合には、複数のAPと通信するための最新の情報である通信情報60に基づいて、IF170が用いる通信スロットに変更する。一方、走行台車101は、コントローラ400から通信情報60を取得できていない場合には、予め記憶部161に記憶されている対応情報70に基づいて、IF170が用いる通信スロットに変更する。
【0213】
なお、走行台車101は、通信情報60を取得した場合に、対応情報70を更新してもよい。
【0214】
<第2例>
図18は、実施の形態2に係る走行システム2の制御方法の第2例を示す説明図である。
図19は、実施の形態2に係る走行システム2の処理手順の第2例を示すフローチャートである。
【0215】
まず、
図18の(a)及び
図19に示すように、走行台車101は、第1のAP200と通信しているとする(ステップS601)。
【0216】
次に、走行台車101は、自装置の現在位置を示す位置情報50をコントローラ400に送信する(ステップS602)。具体的には、ステップS602では、取得部141は、上記した方法によって取得した走行台車101の現在位置を示す位置情報50を、IF170を介してコントローラ400へ送信する。
【0217】
次に、取得部141は、コントローラ400から自装置が位置するブロック(ここでは、ブロックR1)における、第2のAP300と通信するための通信情報60を取得したか否かを判定する(ステップS603a)。
【0218】
取得部141は、ステップS603aでコントローラ400から自装置が位置するブロックの第2のAP300と通信するための通信情報60を取得したと判定した(つまり、通信情報60を取得した)場合(ステップS603aでYes)、取得した通信情報60を記憶部161に記憶させる(ステップS604)。
【0219】
次に、走行台車101は、ブロック間を移動しない場合に、第1のAP200の故障、又は、通信障害等によって、第1のAP200と通信が遮断されたか、つまり、無線通信ができないか否かを判定する(ステップS605a)。例えば、ステップS605aにおいて、
図18の(b)に示すように、走行台車101は、ブロックR1に位置しているとする。
【0220】
走行台車101(例えば、制御部151)は、ブロック間を移動しない場合に、第1のAP200と通信が遮断されていないと判定した場合(ステップS605aでNo)、処理をステップS601に戻す。
【0221】
一方、
図18の(b)に示すように、走行台車101がブロック間を移動しない場合に、第1のAP200と通信が遮断されたと判定した場合(ステップS605aでYes)、設定部131は、ステップS604で取得部141が記憶部161に記憶させた通信情報60に基づいて、ブロックS1に位置する第2のAP300と通信できるように、IF170を通信情報60が示す通信スロットに変更する(ステップS606)。例えば、設定部131は、ステップS606では、IF170が用いるチャネルを、第1のAP200と通信可能な2.4GHz帯のチャネルから第2のAP300と通信可能な5GHz帯のチャネルに変更する。
【0222】
次に、例えば、
図18の(c)及び
図19に示すように、制御部151は、設定部131が変更した通信スロットを用いて、IF170及び第2のAP300を介して、コントローラ400と通信する(ステップS607)。こうすることで、走行台車101とコントローラ400との通信は維持される。
【0223】
また、ステップS603aにおいて、取得部141がコントローラ400から自装置が位置するブロックの第2のAP300と通信するための通信情報60を取得していないと判定した(つまり、通信情報60を取得していない)場合(ステップS603aでNo)、走行台車101は、ブロック間を移動しない場合に、第1のAP200と通信が遮断されたか、つまり、無線通信ができないか否かを判定する(ステップS608a)。
【0224】
走行台車101(例えば、制御部151)は、ブロック間を移動しない場合に、第1のAP200と通信が遮断されないと判定した場合(ステップS608aでNo)、処理をステップS601に戻す。
【0225】
一方、通信情報60を取得していない状態で走行台車101がブロック間を移動しない場合に、第1のAP200と通信が遮断されたと判定した場合(ステップS608aでYes)、設定部131は、予め記憶部161に記憶されている対応情報70に基づいて、ブロックS1に位置する第2のAP300と通信できるように、IF170を対応情報70が示す通信スロットに変更する(ステップS609)。
【0226】
次に、制御部151は、設定部131が変更した通信スロットを用いて、IF170及び第2のAP300を介して、コントローラ400と通信する(ステップS607)。
【0227】
以上のように、実施の形態2に係る走行システム2は、所定の軌道5上を走行する走行台車101と、走行台車101と無線通信する複数の第1のAP200等、及び、第1のAP200等とは異なる通信スロットで走行台車101と無線通信する複数の第2のAP300等を含む複数のAPと、複数のAPのいずれかを介して、走行台車101から走行台車101の現在位置を示す位置情報50を受信し、且つ、走行台車101の走行を制御するための走行指示を走行台車101に送信するコントローラ400と、を備える。また、走行台車101は、第1のAP200等と無線通信するIF170であって、且つ、第1のAP200等との無線通信ができない場合に、第2のAP300等と無線通信するIF170を備える。実施の形態2に係る走行台車101は、実施の形態1に係る走行台車100と異なり、1つの無線インターフェースを備える。もちろん、走行台車101は、IF170を介して第2のAP300等と無線通信し、第2のAP300等との無線通信ができない場合に、IF170を介して第1のAP200等と無線通信してもよい。
【0228】
また、実施の形態2に係る走行システム2の制御方法は、走行台車101と無線通信する複数の第1のAP200等、及び、第1のAP200等とは異なる通信スロットで走行台車101と無線通信する複数の第2のAP300等を含む複数のAPに走行台車101と無線通信させる通信ステップと、複数のAPのいずれかを介して、走行台車101から走行台車101の現在位置を示す位置情報50を受信し、且つ、走行台車101の走行を制御するための走行指示を走行台車100にコントローラ400が送信する制御ステップと、走行指示に基づいて所定の軌道5上を走行台車100に走行させる走行ステップと、を含む。例えば、通信ステップでは、走行台車101は、IF170を介して第1のAP200等と無線通信し、第1のAP200等との無線通信ができない場合に、IF170を介して第2のAP300等と無線通信する。
【0229】
これによれば、走行台車101は、例えば、同じ通信エリアにおいて2つのアクセスポイントのうちのいずれかと、自律的に選択して無線通信することができる。そのため、例えば、一方のアクセスポイントが故障した場合においても、走行台車101は、他方のアクセスポイントと無線通信することができるため、コントローラ400と通信することができる。これにより、走行システム2によれば、従来より通信の確実性が向上される。
【0230】
また、例えば、走行台車101は、さらに、IF170を介した無線通信ができない場合に、IF170に、現在設定されている通信スロットとは異なる通信スロットを設定する設定部131を備える。
【0231】
また、例えば、実施の形態2に係る走行システム2の制御方法は、さらに、走行台車101がIF170を介した無線通信ができない場合に、IF170に、現在設定されている通信スロットとは異なる通信スロットを設定する設定ステップを含む。
【0232】
これによれば、走行台車101は、例えば、無線インターフェースを1つ備える場合においても、コントローラ400との通信を遮断しないようにすることができる。そのため、走行システム2の通信の確実性は、より向上される。
【0233】
また、例えば、走行台車101は、さらに、IF170を介して、走行台車101の現在位置を示す位置情報50をコントローラ400に送信し、且つ、コントローラ400から、自装置の現在位置において第2のAP300等と通信するための通信スロットを示す通信情報60を取得する取得部141を備える。この場合、例えば、設定部131は、IF170を介した第1のAP200等との無線通信ができない場合に、IF170に現在設定されている通信スロットを、取得部141によって取得された通信情報60が示す通信スロットに変更する。
【0234】
また、例えば、実施の形態2に係る走行システム2の制御方法は、さらに、走行台車101がIF170を介して、走行台車101の現在位置を示す位置情報50をコントローラ400に送信し、且つ、コントローラ400から、自装置の現在位置において第2のAP300等と通信するための通信スロットを示す通信情報60を取得する取得ステップを含む。この場合、例えば、設定ステップでは、IF170を介した無線通信ができない場合に、IF170に現在設定されている通信スロットを、取得ステップで取得した通信情報60が示す通信スロットに変更する。
【0235】
これによれば、設定部130は、走行台車101の位置に基づいて、IF170が用いる通信スロットに適切な通信スロットを設定することができる。そのため、走行システム2の通信の確実性は、より向上される。
【0236】
また、例えば、走行台車101は、さらに、走行台車101の現在位置と、当該現在位置において複数のAPのうちのいずれかと通信可能な通信スロットと、の対応関係を示す対応情報70を記憶する記憶部161を備える。この場合、例えば、取得部141は、IF170が第1のAP200等と無線通信できなくなる前に、コントローラ400から通信情報60を取得できなかった場合に、対応情報70に基づいて、走行台車101の現在位置において第2のAP300等と通信可能な通信スロットを取得する。
【0237】
また、例えば、実施の形態2に係る走行システム2の制御方法の取得ステップでは、さらに、走行台車101が、走行台車101の現在位置と、当該現在位置において複数のAPのうちのいずれかと通信可能な通信スロットと、の対応関係を示す対応情報70を記憶する記憶ステップを含む。この場合、取得ステップでは、IF170が第1のAP200等と無線通信できなくなる前に、コントローラ400から通信情報60を取得できなかった場合に、対応情報70に基づいて、走行台車101の現在位置において第2のAP300等と通信可能な通信スロットを取得する。
【0238】
これによれば、走行台車101は、対応情報70に基づいて、コントローラ400との通信を維持し続けることができる。そのため、走行システム2の通信の確実性は、より向上される。
【0239】
(その他の実施の形態)
以上、本発明に係る走行システム等について、各実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これら実施の形態に限定されるものではない。
【0240】
例えば、上記実施の形態では、第1のIF110が無線通信に用いる通信帯域を5GHz帯とし、第2のIF120が無線通信に用いる通信帯域を2.4GHz帯として説明した。第1のIF110及び第2のIF120が無線通信に用いる通信帯域は、互いに異なればよく、これに限定されない。
【0241】
また、例えば、上記実施の形態では、対応情報70は走行台車が走行を開始する前に予め記憶部に記憶されている、つまり、走行台車が走行を開始する前に記憶ステップが実行されているとして説明した。対応情報70が記憶部に記憶される、つまり、記憶ステップが実行されるタイミングは、例えば、走行台車が第1のAPとの通信が遮断される前であれば、任意でよい。例えば、走行台車が走行を開始する前に記憶ステップが実行されてもよいし、走行台車が走行を開始した直後にコントローラ400から送信された対応情報70を、例えば、取得部が記憶部に記憶させてもよい。
【0242】
また、例えば、上記実施の形態において、走行台車及びコントローラの制御部等の処理部の構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、或いは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0243】
また、例えば走行台車及びコントローラの制御部等の処理部の構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0244】
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
【0245】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。或いは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD若しくは半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0246】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。