(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年4月2日
【発行日】2021年11月25日
(54)【発明の名称】セルロースナノファイバー(CNF)およびそれを含む複合材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
D21H 11/18 20060101AFI20211029BHJP
D21C 3/20 20060101ALI20211029BHJP
C08B 15/02 20060101ALI20211029BHJP
C08J 5/00 20060101ALI20211029BHJP
【FI】
D21H11/18
D21C3/20
C08B15/02
C08J5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
【出願番号】特願2020-548318(P2020-548318)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年9月5日
(31)【優先権主張番号】特願2018-180813(P2018-180813)
(32)【優先日】2018年9月26日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518215105
【氏名又は名称】森 良平
(71)【出願人】
【識別番号】311007545
【氏名又は名称】GSアライアンス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591075467
【氏名又は名称】冨士色素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】森 良平
【テーマコード(参考)】
4C090
4F071
4L055
【Fターム(参考)】
4C090AA04
4C090BA34
4C090BC08
4C090BD11
4C090BD50
4C090CA34
4C090DA10
4F071AA09
4F071AA15
4F071AA20
4F071AA44
4F071AA45
4F071AA73
4F071AD01
4F071AF15Y
4F071BA01
4L055AA01
4L055AA02
4L055AA03
4L055AB14
4L055AF09
4L055AF46
4L055AG07
4L055AG35
4L055AG59
4L055FA13
4L055GA50
(57)【要約】
物理的特性に優れた複合材料を製造する方法を提供する。詳細には、木片または木材チップをソルボサーマル処理または水熱処理に付す工程、ソルボサーマル処理または水熱処理した木材チップを粉砕する工程、および粉砕した木材チップを化学処理に付してセルロースナノファイバー(CNF)を得る工程をこの順序で含むCNFの製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木片または木材チップをソルボサーマル処理または水熱処理に付す工程、ソルボサーマル処理した木材チップを粉砕する工程、および粉砕した木材チップを化学処理に付してセルロースナノファイバー(CNF)を得る工程をこの順序で含むCNFの製造方法。
【請求項2】
ソルボサーマル処理または水熱処理を臨界または亜臨界条件下で行う、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
木片または木材チップが針葉樹または広葉樹の木片または木材チップである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
化学処理が酸化処理である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
さらに、ソルボサーマル処理または水熱処理工程の前に木片または木材チップにリグニンを添加する工程を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の製造方法で製造したCNFを樹脂と混合することを含むCNF樹脂複合材料の製造方法。
【請求項7】
樹脂が熱可塑性樹脂または熱可塑性生分解性樹脂である、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
樹脂が再生プラスチックまたは再生ペレットである請求項6に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースナノファイバー(CNF)の製造方法、ならびにこのCNFを樹脂に混合することを含む複合材料の製造方法の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の機能性添加剤や構造材としてCNFが注目されている。
CNFは高弾性、軽量、低い伸縮率、高いガスバリア性などの優れた物理特性を有している。また、自然界に大量に存在するバイオマスであるセルロースを原料として製造されるCNFは、いわゆるカーボンニュートラルな材料であり、たとえ燃焼させても地球上の二酸化炭素を増加させることはなく、生産・廃棄における環境負荷が小さい。
【0003】
このように優れた特性を有するCNFを製造する方法としては、一般的に、木材チップを酸化剤などにより化学処理してセルロース繊維にした後、ホモミキサーなどの機械的処理により微細化する方法が知られている(特許文献1および特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−1728号公報
【特許文献2】特開2010−235679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これら従来の方法により製造したCNFでは、樹脂等に添加して得られる複合材料の強度が十分でないという問題があった。
本発明者は、このCNFの製造方法に着目して鋭意検討した結果、木材チップなどの大きさの木材を化学処理を経ることなしにそのままで、ソルボサーマル処理して得られるCNFが、樹脂材料との複合材料の特性を向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、第1の態様において、本発明は、木材チップをソルボサーマル処理に付す工程、ソルボサーマル処理した木材チップを粉砕する工程、および粉砕した木材チップを化学処理に付す工程を含むCNFの製造方法を提供するものである。
また、第2の態様において、本発明は、上記の製造方法によって得られたCNFを樹脂と混合して複合材料を得ることを含む複合材料の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、樹脂複合材料の物理的特性を向上することができるCNFの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
第1の態様において、本発明は、木材チップをソルボサーマル処理に付す工程、ソルボサーマル処理した木材チップを粉砕する工程、および粉砕した木材チップを化学処理に付してCNFを得る工程をこの順序で含むCNFの製造方法を提供する。
本明細書中で用いるソルボサーマル処理とは、木材チップ等の原料を溶媒に浸漬し、高温高圧条件下で亜臨界から超臨界状態に一定時間付する処理をいい、特に溶媒として水を用いる場合を水熱処理という場合がある。
【0009】
本発明の製造方法の原料となる木材チップは、天然セルロースを取り出せる原料であればいずれのものであってもよく、例えば、広葉樹または針葉樹などの木材のチップのほか草本類を原料としてもよい。また、本発明における木材チップには木片など好ましくは0.5×0.5cm〜2.0×2.0cm、より好ましくは0.7×0.7cm〜1.5×1.5cm、最も好ましくは0.8×0.8cm〜1.2×1.2cmの大きさを有するものが含まれる。
【0010】
本発明の製造方法のソルボサーマル処理工程は、原料としての木材のチップや草本類をそのまま溶媒に浸漬し、高温、高圧条件の亜臨界から超臨界状態に付す。ここで用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、N−メチルピロリドンのようなピロリドン系溶剤、酢酸ブチルのようなアセテート系溶剤、ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル系溶剤、メチルエチルケトンのようなケトン系溶剤、トルエン、キシレンのような芳香族溶剤、パラフィンなどの炭化水素系溶剤などの溶媒を挙げることができる。溶媒に浸漬したチップ等は、1〜300気圧下、〜400℃の、好ましくは2〜250気圧下、5〜200℃の、より好ましくは25〜100気圧下、100〜380℃の、最も好ましくは25〜100気圧下、150〜250℃であって亜臨界から超臨界状態となる範囲内に60〜180分間付して処理する。これらのソルボサーマル処理により、チップ等は柔らかい膨潤した状態になる。本発明の製造方法は、木材チップ等をそのままソルボサーマル処理工程に付することを特徴とする。従来のCNFの製造方法では木材チップ等を最初に化学処理していたが、本発明の製造方法では木材チップなどある程度の大きさを有するセルロース原料を化学処理を経ずにまずソルボサーマル処理に付するところに特徴がある。この製造方法により製造したCNFは樹脂と混合した場合に、複合材料の物性を高める。
【0011】
つぎに、ソルボサーマル処理した木材は粉砕工程に付して木材等のパルプをさらに微細化する。この粉砕工程には、ボールミル、ディスクミル、湿式カッターミル、圧力式ホモジナイザーなどを用いることができる。この粉砕工程により木材は0.05〜0.5mmのより小さな木材粉砕物となる。
【0012】
最後に、粉砕した木材粉砕物を化学処理する。化学処理としては、例えば、酸化処理、加水分解処理、塩基処理、またはこれらの組み合わせが挙げられる。酸化処理には、オゾン、次亜塩素酸、塩酸、酢酸、硫酸、リン酸またはそれらの塩、過硫酸またはその塩、過有機酸またはその塩などの酸化剤を用いることができる。この酸化処理には、N−オキシル化合物などの酸化触媒を併用してもよい。また、加水分解処理には、セルラーゼ系酵素、ヘミセルラーゼ系酵素などの加水分解酵素を用いることができる。塩基処理には苛性ソーダ、KOHなどを用いることができる。
【0013】
また、本発明のもう1つの局面において、ソルボサーマル処理に付す前に、木材チップなどにリグニンを加えることもできる。リグニンを加えることにより、生成されるCNFの表面が疎水化される(疎水化CNF)。疎水化CNFと樹脂とを混合して生成する複合材料では、リグニンを加えない非疎水化CNFの複合材料と比べて引張強度が高くなるのでより好ましい。木材とリグニンの混合比は木材/リグニン(重量比)=0.5〜2、好ましくは0.7〜1.5、より好ましくは0.8〜1.2ぐらいが好ましい。
【0014】
第2の態様において、本発明は、CNFと樹脂とを混合することを含む樹脂複合材料の製造方法を提供する。
ここで用いるCNFは第1の態様の製造方法により製造したCNFまたは疎水化CNFである。
また、樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル系ポリマー、ポリエステル、ポリアミドなどの縮合系ポリマーなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。また複合体樹脂に生分解性を持たせるためにポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート・テレフタレート、デンプン系樹脂、ポリヒドロキシアルカノエートなどの微生物により合成される樹脂、ポリカプロラクトンなどの熱可塑性生分解性樹脂を用いることができる。また、熱可塑性樹脂や熱可塑性生分解性樹脂の例として、廃棄プラスチックや再生ペレットなどを用いることもできる。
【0015】
第2の態様の複合材料の製造方法では、上記のCNFまたは疎水化CNFを加熱した樹脂に混合する。混合時の樹脂の温度は樹脂により異なるが、CNFまたは疎水化CNFが均一に混合する樹脂粘度となる温度である。CNFまたは疎水化CNFと樹脂は、樹脂100重量部に対して、CNFまたは疎水化CNFを通常5〜40重量部、好ましくは7〜37重量部、より好ましくは10〜35重量部の割合で混合する。
【実施例1】
【0016】
ソルボサーマル処理/化学処理CNF配合複合材料の力学的特性
木材チップ(1.0x1.0cm)1kgとN−メチルピロリドン 10Lとを混合してオートクレーブ(200℃、25気圧)中で2時間ソルボサーマル処理した。得られた木材を次亜塩素酸10%の水溶液中で90℃で1時間熱処理を施してCNF(ソルボサーマル処理/化学処理CNF)を得た。得られたCNF30gをポリエチレン樹脂100gと130℃にて混合し、冷却してポリエチレン樹脂複合材料を製造した。得られたポリエチレン樹脂複合材料の引張強度を島津製作所の精密万能試験機 オートグラフAG−X plusによって測定した。また、対照として、従来法による化学処理につづいてソルボサーマル処理を行って製造したCNF(化学処理/ソルボサーマル処理CNF)のポリエチレン樹脂複合材料の引張強度を測定した。その結果を表1に示す。
【表1】
従来の方法により製造したCNFと比較して本発明の方法により製造したソルボサーマル処理/化学処理CNFを用いて製造したポリエチレン樹脂複合材料では、引張強度が高められることが示された。
【実施例2】
【0017】
ソルボサーマル処理/化学処理CNF配合複合材料の力学的特性
製造したソルボサーマル処理/化学処理CNFを、ポリエチレン樹脂の代わりにポリプロピレン樹脂と混合すること以外は実施例1と同様にして、ポリプロピレン樹脂複合材料を製造した。得られたポリプロピレン樹脂複合材料の引張強度を実施例1と同様にして測定した。その結果を表2に示す。
【表2】
従来の方法により製造したCNFと比較して本発明の方法により製造したソルボサーマル処理/化学処理CNFを用いて製造したポリプロピレン樹脂複合材料では、引張強度が高められることが示された。
【実施例3】
【0018】
ソルボサーマル処理/化学処理CNF配合複合材料の力学的特性
木材チップ(1.0x1.0cm)1kgと最終濃度5%のリグニンとを混合した後、N−メチルピロリドン 10Lと混合してオートクレーブ(200℃、25気圧)中で2時間処理した。得られた木材粉砕物を次亜塩素酸10%の水溶液中で90℃で1時間熱処理を施してCNF(ソルボサーマル処理/次亜塩素酸処理CNF)を得た。得られたCNF30gをポリエチレン樹脂100gと130℃にて混合し、冷却してポリエチレン樹脂複合材料を製造した。得られたポリエチレン樹脂複合材料の引張強度を実施例1と同様にして測定した。また、対照として、木材チップとリグニンとを混合した後、従来法による化学処理につづいてソルボサーマル処理を行って製造したCNF(次亜塩素酸処理/ソルボサーマル処理CNF)のポリエチレン樹脂複合材料の引張強度を測定した。その結果を表3に示す。
【表3】
従来の方法により製造したCNFと比較して本発明の方法により製造したソルボサーマル処理/次亜塩素酸処理CNFを用いて製造したポリプロピレン樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。また、リグニンを混合して製造したソルボサーマル処理/次亜塩素酸処理CNFを用いたポリエチレン樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。
【実施例4】
【0019】
ソルボサーマル処理/化学処理CNF配合複合材料の力学的特性
次亜塩素酸10%水溶液の代わりに10%希塩酸を用いて化学処理を行い、かつ、製造したソルボサーマル処理/塩酸処理CNFをポリエチレン樹脂の代わりにポリブチレンサクシネート樹脂と混合すること以外は実施例1と同様にして、ポリブチレンサクシネート樹脂複合材料を製造した。得られたポリブチレンサクシネート樹脂複合材料の引張強度を実施例1と同様にして測定した。その結果を表4に示す。
【表4】
従来の方法により製造したCNFと比較して本発明の方法により製造したソルボサーマル処理/塩酸処理CNFを用いて製造したポリブチレンサクシネート樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。また、リグニンを混合して製造したソルボサーマル処理/塩酸処理CNFを用いたポリブチレンサクシネート樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。
【実施例5】
【0020】
ソルボサーマル処理/化学処理CNF配合複合材料の力学的特性
次亜塩素酸10%水溶液の代わりに10%酢酸水溶液を用いて化学処理を行い、かつ、製造したソルボサーマル処理/酢酸処理CNFをポリエチレン樹脂の代わりにポリブチレンサクシネート樹脂と混合すること以外は実施例1と同様にして、ポリブチレンサクシネート樹脂複合材料を製造した。得られたポリブチレンサクシネート樹脂複合材料の引張強度を実施例1と同様にして測定した。その結果を表5に示す。
【表5】
従来の方法により製造したCNFと比較して本発明の方法により製造したソルボサーマル処理/酢酸処理CNFを用いて製造したポリブチレンサクシネート樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。また、リグニンを混合して製造したソルボサーマル処理/酢酸処理CNFを用いたポリブチレンサクシネート樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。
【実施例6】
【0021】
ソルボサーマル処理/化学処理CNF配合複合材料の力学的特性
次亜塩素酸10%水溶液の代わりに10%希硫酸を用いて化学処理を行い、かつ、製造したソルボサーマル処理/硫酸処理CNFをポリエチレン樹脂の代わりにポリブチレンサクシネート樹脂と混合すること以外は実施例1と同様にして、ポリブチレンサクシネート樹脂複合材料を製造した。得られたポリブチレンサクシネート樹脂複合材料の引張強度を実施例1と同様にして測定した。その結果を表6に示す。
【表6】
従来の方法により製造したCNFと比較して本発明の方法により製造したソルボサーマル処理/硫酸処理CNFを用いて製造したポリブチレンサクシネート樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。また、リグニンを混合して製造したソルボサーマル処理/硫酸処理CNFを用いたポリブチレンサクシネート樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。
【実施例7】
【0022】
ソルボサーマル処理/化学処理CNF配合複合材料の力学的特性
次亜塩素酸10%水溶液の代わりに10%リン酸水溶液を用いて化学処理を行い、かつ、製造したソルボサーマル処理/リン酸処理CNFをポリエチレン樹脂の代わりにポリブチレンサクシネート樹脂と混合すること以外は実施例1と同様にして、ポリブチレンサクシネート樹脂複合材料を製造した。得られたポリブチレンサクシネート樹脂複合材料の引張強度を実施例1と同様にして測定した。その結果を表7に示す。
【表7】
従来の方法により製造したCNFと比較して本発明の方法により製造したソルボサーマル処理/リン酸処理CNFを用いて製造したポリブチレンサクシネート樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。また、リグニンを混合して製造したソルボサーマル処理/リン酸処理CNFを用いたポリブチレンサクシネート樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。
【実施例8】
【0023】
ソルボサーマル処理/化学処理CNF配合複合材料の力学的特性
次亜塩素酸10%水溶液の代わりに10%希塩酸を用いて化学処理を行い、かつ、製造したソルボサーマル処理/塩酸処理CNFをポリエチレン樹脂の代わりにポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂と混合すること以外は実施例1と同様にして、ポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂複合材料を製造した。得られたポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂複合材料の引張強度を実施例1と同様にして測定した。その結果を表8に示す。
【表8】
従来の方法により製造したCNFと比較して本発明の方法により製造したソルボサーマル処理/塩酸処理CNFを用いて製造したポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。また、リグニンを混合して製造したソルボサーマル処理/塩酸処理CNFを用いたポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。
【実施例9】
【0024】
ソルボサーマル処理/化学処理CNF配合複合材料の力学的特性
次亜塩素酸10%水溶液の代わりに10%酢酸水溶液を用いて化学処理を行い、かつ、製造したソルボサーマル処理/酢酸処理CNFをポリエチレン樹脂の代わりにポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂と混合すること以外は実施例1と同様にして、ポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂複合材料を製造した。得られたポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂複合材料の引張強度を実施例1と同様にして測定した。その結果を表9に示す。
【表9】
従来の方法により製造したCNFと比較して本発明の方法により製造したソルボサーマル処理/酢酸処理CNFを用いて製造したポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。また、リグニンを混合して製造したソルボサーマル処理/酢酸処理CNFを用いたポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。
【実施例10】
【0025】
ソルボサーマル処理/化学処理CNF配合複合材料の力学的特性
次亜塩素酸10%水溶液の代わりに10%希硫酸を用いて化学処理を行い、かつ、製造したソルボサーマル処理/硫酸処理CNFをポリエチレン樹脂の代わりにポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂と混合すること以外は実施例1と同様にして、ポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂複合材料を製造した。得られたポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂複合材料の引張強度を実施例1と同様にして測定した。その結果を表10に示す。
【表10】
従来の方法により製造したCNFと比較して本発明の方法により製造したソルボサーマル処理/硫酸処理CNFを用いて製造したポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。また、リグニンを混合して製造したソルボサーマル処理/硫酸処理CNFを用いたポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。
【実施例11】
【0026】
ソルボサーマル処理/化学処理CNF配合複合材料の力学的特性
次亜塩素酸10%水溶液の代わりに10%リン酸水溶液を用いて化学処理を行い、かつ、製造したソルボサーマル処理/リン酸処理CNFをポリエチレン樹脂の代わりにポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂と混合すること以外は実施例1と同様にして、ポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂複合材料を製造した。得られたポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂複合材料の引張強度を実施例1と同様にして測定した。その結果を表11に示す。
【表11】
従来の方法により製造したCNFと比較して本発明の方法により製造したソルボサーマル処理/リン酸処理CNFを用いて製造したポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。また、リグニンを混合して製造したソルボサーマル処理/リン酸処理CNFを用いたポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。
【実施例12】
【0027】
水熱処理/化学処理CNF配合複合材料の力学的特性
ソルボサーマル処理溶媒としてのN−メチルピロリドンの代わりに水を用い、次亜塩素酸10%水溶液の代わりに10%リン酸水溶液を用いて化学処理を行う以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂複合材料を製造した。得られたポリエチレン樹脂複合材料の引張強度を実施例1と同様にして測定した。その結果を表12に示す。
【表12】
従来の方法により製造したCNFと比較して本発明の方法により製造した水熱処理/リン酸処理CNFを用いて製造したポリエチレン樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。また、リグニンを混合して製造した水熱処理/リン酸処理CNFを用いたポリエチレン樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。
【実施例13】
【0028】
水熱処理/化学処理CNF配合複合材料の力学的特性
ソルボサーマル処理溶媒としてのN−メチルピロリドンの代わりに水を用い、次亜塩素酸10%水溶液の代わりに10%希硫酸を用いて化学処理を行う以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂複合材料を製造した。得られたポリエチレン樹脂複合材料の引張強度を実施例1と同様にして測定した。その結果を表13に示す。
【表13】
従来の方法により製造したCNFと比較して本発明の方法により製造した水熱処理/硫酸処理CNFを用いて製造したポリエチレン樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。また、リグニンを混合して製造した水熱処理/硫酸処理CNFを用いたポリエチレン樹脂複合材料では、引張強度がより高められることが示された。
【0029】
このように本発明の方法により製造したCNFを配合した樹脂複合材料では、物理的強度がさらに高められることが示された。また、ソルボサーマル処理または水熱処理前の材料にリグニンを添加して製造したCNFを配合した樹脂複合材料では、物理的強度がさらに高められることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の製造方法は、セルロースナノファイバーの技術分野、複合材料の技術分野などにおいて利用することができる。
【国際調査報告】