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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年5月7日
【発行日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】放電加工機の電源装置
(51)【国際特許分類】
   B23H 1/02 20060101AFI20210806BHJP
【FI】
   B23H1/02 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】特願2020-554699(P2020-554699)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年10月31日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000154990
【氏名又は名称】株式会社牧野フライス製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅人
(72)【発明者】
【氏名】横山 直人
【テーマコード(参考)】
3C059
【Fターム(参考)】
3C059AA01
3C059AB01
3C059BA03
3C059BA06
3C059BA10
3C059CC02
(57)【要約】
放電加工機の電源装置(1)は、極間(4)に並列に接続した直流電源(6)と、極間(4)と直流電源(6)の間に配置した互いに並列な複数のスイッチング素子(7a,7b,7c,7d)と、電流の値を取得する電流値取得部(10a)と、電流の値が予め決定された値に到達してから立下がりを開始するまでの間に、複数のスイッチング素子(7a,7b,7c,7d)をオフからオンに切り替える周期を、同一の周期に設定し、360°を複数のスイッチング素子(7a,7b,7c,7d)の個数で除した90°の位相のタイミングごとに予め決定された順番でオフからオンに切り替え、それぞれスイッチング素子のオン期間を、電流の値と予め決定された値の差に基づいて設定し、周期、タイミング及びオン期間に基づいて複数のスイッチング素子(7a,7b,7c,7d)のオンオフ制御を行うオンオフ制御部(10b)と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを放電加工するために、予め決定された間隙を設けて互いに対向するワーク及び電極から構成される極間にパルス状の電流を供給する放電加工機の電源装置であって、
前記電流を生成するための電圧を極間に印加するために極間に並列に接続した直流電源と、
極間と前記直流電源の間に配置した互いに並列な複数のスイッチング素子と、
前記電流の値を取得する電流値取得部と、
前記電流の値が予め決定された値に到達してから立下がりを開始するまでの間に、前記複数のスイッチング素子をオフからオンに切り替える周期を、同一の周期に設定し、前記複数のスイッチング素子を、予め決定された位相のタイミングごとに予め決定された順番でオフからオンに切り替え、前記複数のスイッチング素子のそれぞれのオン期間を、前記電流の値と前記予め決定された値の差に基づいて設定し、前記周期、前記タイミング及び前記オン期間に基づいて前記複数のスイッチング素子のオンオフ制御を行うオンオフ制御部と、
を備える放電加工機の電源装置。
【請求項2】
前記予め決定された位相のタイミングは、360°を前記複数のスイッチング素子の個数で除した値の均等な位相のタイミングである請求項1に記載の放電加工機の電源装置。
【請求項3】
前記オンオフ制御部は、前記電流の値が前記予め決定された値より大きい第1のしきい値より大きくなったときに前記オン期間を減少させ、前記電流の値が前記予め決定された値より小さい第2のしきい値より小さくなったときに前記オン期間を増大させる請求項1又は2に記載の放電加工機の電源装置。
【請求項4】
前記電流を回生させる電流回生部を、極間と前記複数のスイッチング素子の一つの間の第1の接続点と極間と前記直流電源の間の第2の接続点の間に配置した請求項1〜3のいずれか一項に記載の放電加工機の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電加工機の電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを放電加工(例えば、形彫放電加工)する放電加工機において、予め決定された間隙を設けて互いに対向するワーク及び電極から構成される極間にパルス状の電流を供給する電源装置が用いられる。このような放電加工機の電源装置は、電流を生成するための電圧を極間に印加するために極間に並列に接続した直流電源と、極間と直流電源の間に配置したスイッチング素子と、を備え、極間とスイッチング素子の間にケーブルが介在する。
【0003】
従来、電極を消耗させる電流のリップルを低減する放電加工機の電源装置が提案されている(例えば、特許文献1)。スイッチング素子のスイッチング周波数を増大することによって又はインダクタ値の高い平滑用インダクタ(例えば、コイル)をケーブルに配置することによって、電流のリップルを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−9255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電流のリップルを低減するためにスイッチング素子のスイッチング周波数を増大した場合、スイッチング周波数が増大するに従ってスイッチング素子のスイッチング損失が増大することによってスイッチング素子の発熱量が増大するので、発熱による悪影響が及ぼされるという不都合がある。
【0006】
電流のリップルを低減するためにインダクタ値の高い平滑用インダクタをケーブルに配置した場合、電流を立ち上げてピーク電流に到達するまでの時間が長くなることによってワークの加工速度が低下するおそれがある。
【0007】
また、電流のリップルを低減するためにインダクタ値の高い平滑用インダクタをケーブルに配置した場合、スイッチング素子をオンからオフに切り替えた直後に放電加工機の電源装置に蓄積されるエネルギーが増大するので、電流の立下げの開始時から電流の値が零になるまでの時間が長くなり、異常アーク放電が生じるおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、発熱量による悪影響、ワークの加工速度の低下及び異常アーク放電がなく電流のリップルを低減させることができる放電加工機の電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による放電加工機の電源装置は、ワークを放電加工するために、予め決定された間隙を設けて互いに対向するワーク及び電極から構成される極間にパルス状の電流を供給する放電加工機の電源装置であって、電流を生成するための電圧を極間に印加するために極間に並列に接続した直流電源と、極間と直流電源の間に配置した互いに並列な複数のスイッチング素子と、電流の値を取得する電流値取得部と、電流の値が予め決定された値に到達してから立下がりを開始するまでの間に、複数のスイッチング素子をオフからオンに切り替える周期を、同一の周期に設定し、複数のスイッチング素子を、予め決定された位相のタイミングごとに予め決定された順番でオフからオンに切り替え、複数のスイッチング素子のそれぞれのオン期間を、電流の値と予め決定された値の差に基づいて設定し、周期、タイミング及びオン期間に基づいて複数のスイッチング素子のオンオフ制御を行うオンオフ制御部と、を備える。
【0010】
本発明によれば、電流の値が予め決定された値に到達してから立下がりを開始するまでの間に、複数のスイッチング素子をオフからオンに切り替える周期を、同一の周期に設定する。また、電流の値が予め決定された値に到達してから立下がりを開始するまでの間に、複数のスイッチング素子を、予め決定された位相のタイミングごとに予め決定された順番でオフからオンに切り替える。また、電流の値が予め決定された値に到達してから立下がりを開始するまでの間に、複数のスイッチング素子のそれぞれのオン期間を、電流の値と予め決定された値の差に基づいて設定する。そして、電流の値が予め決定された値に到達してから立下がりを開始するまでの間に、周期、タイミング及びオン期間に基づいて複数のスイッチング素子のオンオフ制御を行う。このように予め決定された位相のタイミングごとに予め決定された順番で複数のスイッチング素子をオフからオンに切り替える場合のスイッチング周波数は、単一のスイッチング素子のスイッチング周波数に複数のスイッチング素子の個数をかけた数値に相当するスイッチング周波数となる。電流のリップルはスイッチング周波数に反比例して小さくなるので、本発明による放電加工機の電源装置により極間に生じる電流のリップルの大きさは、単一のスイッチング素子をオンオフする場合に極間に生じる電流のリップルの大きさを複数のスイッチング素子の個数で除した値にほぼ相当する大きさとなる。したがって、電流のリップルを低減させることができる。
【0011】
また、本発明によれば、スイッチング素子のスイッチング損失によって生じる発熱が複数のスイッチング素子に分散されるので、発熱による影響がなくなり、複数のスイッチング素子のそれぞれの能力を向上させることができる。
【0012】
さらに、本発明によれば、電流のリップルを低減するためにインダクタ値の高い平滑用インダクタを配置する必要がないので、インダクタ値の高い平滑用インダクタを配置したときに生じるワークの加工速度の低下及び異常アーク放電がない。
【0013】
好適には、予め決定された位相のタイミングは、360°を複数のスイッチング素子の個数で除した値の均等な位相のタイミングである。これによって、電流のリップルのそれぞれの大きさのばらつきを少なくすることができる。
【0014】
好適には、オンオフ制御部は、電流の値が予め決定された値より大きい第1のしきい値より大きくなったときにオン期間を減少させ、電流の値が予め決定された値より小さい第2のしきい値より小さくなったときにオン期間を増大させる。これによって、電流の値を、目標電流であるピーク電流に対応する予め決定された値から大幅にずれないようにすることができる。
【0015】
好適には、電流を回生させる電流回生部を、極間と複数のスイッチング素子の一つの間の第1の接続点と極間と直流電源の間の第2の接続点の間に配置する。これによって、スイッチング素子をオンからオフに切り替えた直後に放電加工機の電源装置に蓄積されるエネルギーを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態による放電加工機の電源装置の回路を示す図である。
図2図1の放電加工機の電源装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図3図1の放電加工機の電源装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図4図3のタイミングチャートの部分Aの拡大図である。
図5図3のタイミングチャートの部分Bの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による放電加工機の電源装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による放電加工機の電源装置の回路を示す図である。図1において、放電加工機の電源装置1は、加工槽の中の放電加工液(いずれも図示せず)に浸漬されたワーク2を放電加工するために、予め決定された間隙を設けて互いに対向するワーク2及び電極か3ら構成される極間4にケーブル5を介してパルス状の電流を供給する。
【0018】
放電加工機の電源装置1は、直流電源6と、NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dと、ダイオード8a,8b,8c,8d,9a,9b,9c,9dと、制御ユニット10と、を備える。
【0019】
直流電源6は、電流を生成するための電圧を極間4に印加するために極間4に並列に接続される。極間4に印加されるパルス状の電圧は、例えば、75〜160Vであり、1KHz前後から数十KHzの周波数を有する。本実施の形態では、直流電源6のプラス側は、電極3に接続され、直流電源6のマイナス側は、シャント抵抗11を介してワーク2に接続される。
【0020】
NMOSトランジスタ7aは、ケーブル5と直流電源6のプラス側の間に配置される。NMOSトランジスタ7bは、NMOSトランジスタ7aに並列に接続され、電極3と直流電源6のプラス側の間に配置される。本実施の形態では、NMOSトランジスタ7bの一端は、直流電源6のプラス側とNMOSトランジスタ7aの間の接続点21に接続点21とNMOSトランジスタ7bの一端の間の接続点22を介して接続され、NMOSトランジスタ7bの他端は、ケーブル5と直流電源6のプラス側の間の接続点23に接続される。
【0021】
NMOSトランジスタ7cは、NMOSトランジスタ7a,7bに並列に接続され、電極3と直流電源6のプラス側の間に配置される。本実施の形態では、NMOSトランジスタ7cの一端は、接続点22とNMOSトランジスタ7cの一端の間の接続点24に接続され、NMOSトランジスタ7cの他端は、ケーブル5と接続点23の間の接続点25に接続される。
【0022】
NMOSトランジスタ7dは、NMOSトランジスタ7a,7b,7cに並列に接続され、電極3と直流電源6のプラス側の間に配置される。本実施の形態では、NMOSトランジスタ7dの一端は、接続点24に接続され、NMOSトランジスタ7dの他端は、ケーブル5と接続点25の間の接続点26に接続される。
【0023】
したがって、NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dは、互いに並列であり、電極3と直流電源6のプラス側の間に配置される。NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dは、複数のスイッチング素子の例である。
【0024】
ダイオード8aは、逆流防止のために設けられ、接続点23に接続したアノード及びNMOSトランジスタ7aに接続したカソードを有する。ダイオード8bは、逆流防止のために設けられ、接続点23に接続したアノード及びNMOSトランジスタ7bに接続したカソードを有する。ダイオード8cは、逆流防止のために設けられ、接続点25に接続したアノード及びNMOSトランジスタ7cに接続したカソードを有する。ダイオード8dは、逆流防止のために設けられ、接続点26に接続したアノード及びNMOSトランジスタ7dに接続したカソードを有する。
【0025】
ダイオード9aは、NMOSトランジスタ7aがオンからオフに切り替えられた直後に電流を回生させるために設けられ、NMOSトランジスタ7aとダイオード8aのカソードの間の接続点27と極間4と直流電源6のマイナス側の間の接続点28の間に配置される。接続点27は、第1の接続点の例であり、接続点28は、第2の接続点の例である。
【0026】
ダイオード9bは、NMOSトランジスタ7bがオンからオフに切り替えられた直後に電流を回生させるために設けられ、NMOSトランジスタ7bとダイオード8bのカソードの間の接続点29と極間4と接続点28の間の接続点30の間に配置される。接続点29は、第1の接続点の例であり、接続点30は、第2の接続点の例である。
【0027】
ダイオード9cは、NMOSトランジスタ7cがオンからオフに切り替えられた直後に電流を回生させるために設けられ、NMOSトランジスタ7cとダイオード8cのカソードの間の接続点31と極間4と接続点30の間の接続点32の間に配置される。接続点31は、第1の接続点の例であり、接続点32は、第2の接続点の例である。
【0028】
ダイオード9dは、NMOSトランジスタ7dがオンからオフに切り替えられた直後に電流を回生させるために設けられ、NMOSトランジスタ7dとダイオード8dのカソードの間の接続点33と極間4と接続点32の間の接続点34の間に配置される。接続点33は、第1の接続点の例であり、接続点34は、第2の接続点の例である。
【0029】
ダイオード9a,9b,9c,9dは、電流回生部の例である。
【0030】
制御ユニット10は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)によって構成され、電流値取得部10aと、オンオフ制御部10bと、を有する。
【0031】
電流値取得部10aは、接続点34とシャント抵抗11の一端の間の接続点35及びシャント抵抗11の他端とワーク2の間の接続点36に接続され、極間4に流れる電流の値に対応するシャント抵抗11の両端の電圧を増幅して出力する電流センスアンプ(図示せず)を有する。
【0032】
また、電流値取得部10aは、制御ユニット10の記憶部(図示せず)に格納された電圧及び電流の関係を表すテーブルに基づいて電流センスアンプから出力された電圧の値を電流の値に変換することによって、極間4を流れる電流の値を取得する。そして、電流値取得部10aは、取得した電流の値Idのデータをオンオフ制御部10bに供給する。
【0033】
制御ユニット10の記憶部は、電圧及び電流の関係を表すテーブルの他に、後に説明する目標電流It、目標上限及び目標下限のデータ並びに制御コンピュータプログラムを格納する。
【0034】
オンオフ制御部10bは、自動的に又はオペレータによりNC装置12で設定されるワーク2の加工条件設定に対応するパルス発生条件に基づいてパルス発生回路13によって発生するパルス信号Pが入力される。ワーク2の加工条件設定は、ワーク2の材質、電極3の材質、ワーク2の加工形状等に関連して決定される。パルス発生条件は、パルス列のパルスオンオフ時間、パルス列のパルス数、パルス休止時間等を含む。
【0035】
そして、オンオフ制御部10bは、電流の値Idのデータ及びパルス信号Pに基づいて、NMOSトランジスタ7aをオンオフするためのパルス信号S1、NMOSトランジスタ7bをオンオフするためのパルス信号S2、NMOSトランジスタ7cをオンオフするためのパルス信号S3及びNMOSトランジスタ7dをオンオフするためのパルス信号S4を生成する。
【0036】
本実施の形態では、オンオフ制御部10bは、電流の値Idがピーク電流に対応する目標電流Itに到達してから立下がりを開始するまでの間に、NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dをオフからオンに切り替えるスイッチング周期を、同一の周期Tに設定する。目標電流Itは、予め決定された値の一例である。
【0037】
また、オンオフ制御部10bは、電流の値Idが目標電流Itに到達してから立下がりを開始するまでの間に、スイッチング周期の1/4に対応する90°の位相のタイミングごとにNMOSトランジスタ7a、NMOSトランジスタ7b、NMOSトランジスタ7c及び7dの順番でオフからオンに切り替える。すなわち、オンオフ制御部10bは、電流の値Idが目標電流Itに到達してから立下がりを開始するまでの間に、90°の位相のタイミングごとにNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dを順番にオフからオンに切り替える。
【0038】
90°の位相のタイミングは、360°を複数のスイッチング素子の個数で除した値の位相のタイミングの例である。位相のタイミングは、このように均等である必要はなく、予め決定されたおり、一周で360°になればよく、例えば、80°100°、80°、100°であってもよい。また、オンオフ制御部10bは、NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのそれぞれのスイッチング周期及びNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのそれぞれのスイッチング周期が立ち上がるタイミングは、制御ユニット10のクロック(図示せず)に基づいて決定する。NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのそれぞれのスイッチング周期が立ち上がるタイミングは、NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dをそれぞれオフからオンに切り替えるタイミングに対応する。
【0039】
また、オンオフ制御部10bは、電流の値Idが目標電流Itに到達してから立下がりを開始するまでの間に、NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのそれぞれのオン期間を、電流の値Idと目標電流Itの差に基づいて設定する。
【0040】
本実施の形態では、オンオフ制御部10bは、電流の値Idが目標電流Itより大きい目標上限より大きくなったときにNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのうちのオフからオンに切り替えられるNMOSトランジスタのオン期間を減少させる。目標上限は、第1のしきい値の一例である。
【0041】
また、本実施の形態では、オンオフ制御部10bは、電流の値Idが目標電流Itより小さい目標下限より小さくなったときにNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのうちのオフからオンに切り替えられるNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのオン期間を増大させる。目標下限は、第2のしきい値の一例である。
【0042】
例えば、電流の値Idが目標上限と目標下限の間にあるときのNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのオン期間をTaとし、電流の値Idが目標下限より小さくなったときのNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのオン期間をTbとし、電流の値Idが目標上限より大きくなったときのNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのオン期間をTcとし、補正係数をKbとした場合、オン期間Tbは、
【0043】
【数1】
【0044】
の式に基づいて決定され、オン期間Tcは、
【0045】
【数2】
【0046】
の式に基づいて決定される。例えば、オン期間Taは、スイッチング周期の1/8であり、オン期間Tbは、スイッチング周期の1/4であり、オン期間Tcは、スイッチング周期の1/16である。
【0047】
そして、オンオフ制御部10bは、電流の値Idがピーク電流に対応する目標電流Itに到達してから立下がりを開始するまでの間に、スイッチング周期、90°の位相のタイミング及びNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのそれぞれのオン期間に基づいてNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのオンオフ制御を行う。
【0048】
図2は、図1の放電加工機の電源装置の動作を説明するためのフローチャートである。このフローは、制御ユニット10の記憶部に記憶されている制御コンピュータプログラムに基づいて、主に制御ユニット10の各要素によってパルス信号Pがオフからオンに切り替わる度に実行される。
【0049】
先ず、オンオフ制御部10bは、全てのNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dをオンにするためのパルス信号S1,S2,S3,S4をNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dにそれぞれ出力する(ステップS1)。
【0050】
次に、電流値制御部10bは、電流の値Idを取得する(ステップS2)。次に、オンオフ制御部10bは、電流の値Idが目標電流Itに到達したか否かを判定する(ステップS3)。電流の値Idが目標電流Itに到達しない場合、処理はステップS3に戻る(ステップS3のNo)。それに対し、電流の値Idが目標電流Itに到達した場合(ステップS3のYes)、オンオフ制御部10bは、全てのNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dをオフにするためのパルス信号S1,S2,S3,S4をNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dにそれぞれ出力する(ステップS4)。
【0051】
次に、オンオフ制御部10bは、NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのいずれかのスイッチング周期が開始する(ステップS5)。
【0052】
オンオフ制御部10bは、スイッチング周期が開始したNMOSトランジスタ(例えば、NMOSトランジスタ7a)に対応する周期カウンタ(図示せず)のカウントを開始させる(ステップS6)。また、ステップS6において、電流値取得部10aは、電流の値Idを取得する。
【0053】
次に、オンオフ制御部10bは、電流の値Idが目標上限より大きいか否かを判定する(ステップS7)。電流の値Idが目標上限より大きい場合(ステップS7のYes)、オンオフ制御部10bは、スイッチング周期が開始したNMOSトランジスタのオン期間をTcに設定し、対応するパルス信号を当該NMOSトランジスタに出力する(ステップS8)。
【0054】
それに対し、電流の値Idが目標上限より大きくない場合(ステップS7のNo)、オンオフ制御部10bは、電流の値Idが目標下限より小さいか否かを判定する(ステップS9)。電流の値Idが目標下限より小さい場合(ステップS9のYes)、オンオフ制御部10bは、スイッチング周期が開始したNMOSトランジスタのオン期間をTbに設定し、対応するパルス信号を当該NMOSトランジスタに出力する(ステップS10)。
【0055】
それに対し、電流の値Idが目標下限より小さくない場合(ステップS9のNo)、オンオフ制御部10bは、スイッチング周期が開始したNMOSトランジスタのオン期間をTaに設定し、対応するパルス信号を当該NMOSトランジスタに出力する(ステップS11)。
【0056】
ステップS8、ステップS10又はステップS11の後に、オンオフ制御部10bは、パルス信号Pが立下がったか否かを判定する(ステップS12)。パルス信号Pが立下がった場合(ステップS12のYes)、制御ユニット10は、処理を終了する。それに対し、パルス信号Pが立下がっていない場合(ステップS12のNo)、オンオフ制御部10bは、スイッチング周期が開始したNMOSトランジスタに対応する周期カウンタのカウントを1/4周期カウントアップし(ステップS13)、ステップS6に戻る。
【0057】
ここで、NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのオン期間Tbは、電流の値Idが目標下限より小さくなった後に目標電流Itに到達するまでのオン期間であり、オン期間Tcは、電流の値Idが目標上限より大きくなった後に目標電流Itに到達するまでのオン期間であると言える。
【0058】
図3は、図1の放電加工機の電源装置の動作を説明するためのタイミングチャートであり、図4は、図3のタイミングチャートの部分Aの拡大図であり、図5は、図3のタイミングチャートの部分Bの拡大図である。
【0059】
図3のタイミングチャートにおいて、ワーク2を加工するためにオンオフ制御部10bに供給されるパルス信号Pの複数回の立上り及び立下りのサイクルのうちの一つのサイクルについて説明する。
【0060】
また、図3のタイミングチャートにおいて、部分Aで示す期間中に電流の値Idが目標下限より小さくなるとともに部分Bで示す期間中に電流の値Idが目標上限より大きくなる場合について説明する。
【0061】
図3において、(a)は、パルス信号Pを表し、(b)は、極間4の電圧を表し、(c)は、電流の値Idを表す。また、図3において、(d)、(e)及び(f)はそれぞれ、NMOSトランジスタ7aを流れる電流、NMOSトランジスタ7aのスイッチング周期及びパルス信号S1をそれぞれ表す。また、図3において、(g)、(h)及び(i)はそれぞれ、NMOSトランジスタ7bを流れる電流、NMOSトランジスタ7bのスイッチング周期及びパルス信号S2をそれぞれ表す。また、図3において、(j)、(k)及び(l)はそれぞれ、NMOSトランジスタ7cを流れる電流、NMOSトランジスタ7cのスイッチング周期及びパルス信号S3をそれぞれ表す。また、図3において、(m)、(n)及び(o)はそれぞれ、NMOSトランジスタ7dを流れる電流、NMOSトランジスタ7dのスイッチング周期及びパルス信号S4をそれぞれ表す。
【0062】
図3のタイミングチャートにおいて、NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのいずれかのスイッチング周期の立上りを検出する度に電流値取得部10aが電流の値Idを取得する。
【0063】
時刻t1においてパルス信号Pが立ち上がると、NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dの全てがオフからオンに切り替えられ、直流電源6によって電圧Vs1が極間4に印加される。時刻t1でNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dの全てがオフからオンに切り替えられる動作は、図2のステップS1の処理に対応する。
【0064】
時刻t2で極間4に絶縁破壊が生じ、絶縁破壊によって生じた電流の値Idが時刻t3で目標電流に到達すると、NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dの全てがオンからオフに切り替えられる。時刻t2でNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dの全てがオンからオフに切り替えられる動作は、図2のステップS3の処理に対応する。また、NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのいずれかのスイッチング周期の立上りを検出する度に電流値取得部10aが電流の値Idを取得する動作は、図2のステップS2の処理に対応する。
【0065】
NMOSトランジスタ7dのスイッチング周期の波形が立ち上がる時刻t4において電流の値Idが目標下限より大きい場合、NMOSトランジスタ7dのオン時間はTsとなる。NMOSトランジスタ7aのスイッチング周期の波形が立ち上がる時刻t5において電流の値Idが目標下限より小さくなる場合、NMOSトランジスタ7bのオン時間はTbとなる。時刻t5でNMOSトランジスタ7bのオン期間をTbに設定する動作は、ステップS7のYesの処理及びステップS8の処理に対応する。
【0066】
NMOSトランジスタ7dのスイッチング周期の波形が立ち上がる時刻t6において電流の値Idが目標上限より大きくなる場合、NMOSトランジスタ7cのオン時間はTcとなる。時刻t6でNMOSトランジスタ7cのオン期間をTcに設定する動作は、ステップS9のYesの処理及びステップS10の処理に対応する。NMOSトランジスタ7aのスイッチング周期の波形が立ち上がる時刻t7において電流の値Idが目標上限より小さくなって目標上限と目標電流Itの間になる場合、NMOSトランジスタ7aのオン時間はTaとなる。
【0067】
時刻t8においてパルス信号Pが立ち下がると、電流の値Idが低下し、時刻t9でゼロになる。この処理は、ステップS12のYesの処理に対応する。また、時刻t3から時刻t4までの期間、時刻t5+T/4から時刻t6までの期間及び時刻t7+T/4から時刻t8までの期間においてNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのいずれかのスイッチング周期の波形が立ち上がる度にNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのいずれかのオン時間はTaに設定される。これの処理は、ステップS7のNoの処理、ステップS9のNoの処理及びステップS11の処理に対応する。
【0068】
本実施の形態のように90°の位相のタイミングごとに予め決定された順番でNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dをオフからオンに切り替える場合のスイッチング周波数は、単一のNMOSトランジスタのスイッチング周波数の4倍のスイッチング周波数となる。電流のリップルはスイッチング周波数に反比例して小さくなるので、極間4に生じる電流のリップルの大きさは、単一のNMOSトランジスタをオンオフする場合に極間4に生じる電流のリップルの大きさの1/4に相当する大きさとなる。したがって、電流のリップルを低減させることができる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのスイッチング損失によって生じる発熱がNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dに分散されるので、発熱による影響がなくなり、複数のスイッチング素子のそれぞれの能力を向上させることができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、電流のリップルを低減するためにインダクタ値の高い平滑用インダクタを配置する必要がないので、インダクタ値の高い平滑用インダクタを配置したときに生じるワーク2の加工速度の低下及び異常アーク放電がない。
【0071】
また、本実施の形態によれば、電流の値Idが目標下限より小さくなったときにNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのオン時間を長くするとともに電流の値Idが目標上限より大きくなったときにNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのオン時間を短くしているので、電流の値Idを、目標電流から大幅にずれないようにすることができる。
【0072】
さらに、本実施の形態によれば、電流を回生させるためのダイオード9a,9b,9c,9dを配置することによって、NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dをオンからオフに切り替えた直後に放電加工機の電源装置1に蓄積されるエネルギーを低減させることができる。
【0073】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。例えば、NMOSトランジスタの個数を二つ、三つ、五つ又はそれ以上にしてもよく、NMOSトランジスタの個数を二つにする場合には、180°の位相のタイミングごとに予め決定された順番で二つのNMOSトランジスタ7をオフからオンに切り替える。また、ダイオード8a,8b,8d,8d,9a,9b,9c,9dのうちの少なくとも一つを省略してもよい。さらに、スイッチング素子としてPMOSトランジスタ等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 放電加工機の電源装置
2 ワーク
3 電極
4 極間
5 ケーブル
6 直流電源
7a,7b,7c,7d NMOSトランジスタ
8a,8b,8c,8d,9a,9b,9c,9d ダイオード
10 制御ユニット
10a 電流値取得部
10b オンオフ制御部
11 シャント抵抗
12 NC装置
13 パルス発生回路
21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36 接続点
図1
図2
図3
図4
図5

【手続補正書】
【提出日】2021年4月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
ダイオード8aは、逆流防止のために設けられ、接続点23に接続したカソード及びNMOSトランジスタ7aに接続したアノードを有する。ダイオード8bは、逆流防止のために設けられ、接続点23に接続したカソード及びNMOSトランジスタ7bに接続したアノードを有する。ダイオード8cは、逆流防止のために設けられ、接続点25に接続したカソード及びNMOSトランジスタ7cに接続したアノードを有する。ダイオード8dは、逆流防止のために設けられ、接続点26に接続したカソード及びNMOSトランジスタ7dに接続したアノードを有する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
ダイオード9aは、NMOSトランジスタ7aがオンからオフに切り替えられた直後に電流を回生させるために設けられ、NMOSトランジスタ7aとダイオード8aのアノードの間の接続点27と極間4と直流電源6のマイナス側の間の接続点28の間に配置される。接続点27は、第1の接続点の例であり、接続点28は、第2の接続点の例である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
ダイオード9bは、NMOSトランジスタ7bがオンからオフに切り替えられた直後に電流を回生させるために設けられ、NMOSトランジスタ7bとダイオード8bのアノードの間の接続点29と極間4と接続点28の間の接続点30の間に配置される。接続点29は、第1の接続点の例であり、接続点30は、第2の接続点の例である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
ダイオード9cは、NMOSトランジスタ7cがオンからオフに切り替えられた直後に電流を回生させるために設けられ、NMOSトランジスタ7cとダイオード8cのアノードの間の接続点31と極間4と接続点30の間の接続点32の間に配置される。接続点31は、第1の接続点の例であり、接続点32は、第2の接続点の例である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
ダイオード9dは、NMOSトランジスタ7dがオンからオフに切り替えられた直後に電流を回生させるために設けられ、NMOSトランジスタ7dとダイオード8dのアノードの間の接続点33と極間4と接続点32の間の接続点34の間に配置される。接続点33は、第1の接続点の例であり、接続点34は、第2の接続点の例である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
次に、オンオフ制御部10bは、電流の値Idを取得する(ステップS2)。次に、オンオフ制御部10bは、電流の値Idが目標電流Itに到達したか否かを判定する(ステップS3)。電流の値Idが目標電流Itに到達しない場合、処理はステップSに戻る(ステップS3のNo)。それに対し、電流の値Idが目標電流Itに到達した場合(ステップS3のYes)、オンオフ制御部10bは、全てのNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dをオフにするためのパルス信号S1,S2,S3,S4をNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dにそれぞれ出力する(ステップS4)。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
次に、オンオフ制御部10bは、NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのいずれかのスイッチング周期開始する(ステップS5)。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
時刻t2で極間4に絶縁破壊が生じ、絶縁破壊によって生じた電流の値Idが時刻t3で目標電流に到達すると、NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dの全てがオンからオフに切り替えられる。時刻tでNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dの全てがオンからオフに切り替えられる動作は、図2のステップSの処理に対応する。また、NMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのいずれかのスイッチング周期の立上りを検出する度に電流値取得部10aが電流の値Idを取得する動作は、図2のステップS2の処理に対応する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
NMOSトランジスタ7dのスイッチング周期の波形が立ち上がる時刻t4において電流の値Idが目標下限より大きい場合、NMOSトランジスタ7dのオン時間はaとなる。NMOSトランジスタ7aのスイッチング周期の波形が立ち上がる時刻t5において電流の値Idが目標下限より小さくなる場合、NMOSトランジスタ7のオン時間はTbとなる。時刻t5でNMOSトランジスタ7のオン期間をTbに設定する動作は、ステップSのYesの処理及びステップS10の処理に対応する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
NMOSトランジスタ7dのスイッチング周期の波形が立ち上がる時刻t6において電流の値Idが目標上限より大きくなる場合、NMOSトランジスタ7のオン時間はTcとなる。時刻t6でNMOSトランジスタ7のオン期間をTcに設定する動作は、ステップSのYesの処理及びステップSの処理に対応する。NMOSトランジスタ7aのスイッチング周期の波形が立ち上がる時刻t7において電流の値Idが目標上限より小さくなって目標上限と目標電流Itの間になる場合、NMOSトランジスタ7aのオン時間はTaとなる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
時刻t8においてパルス信号Pが立ち下がると、電流の値が低下し、時刻t9でゼロになる。この処理は、ステップS12のYesの処理に対応する。また、時刻t3から時刻t4までの期間、時刻t5+T/4から時刻t6までの期間及び時刻t7+T/4から時刻t8までの期間においてNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのいずれかのスイッチング周期の波形が立ち上がる度にNMOSトランジスタ7a,7b,7c,7dのいずれかのオン時間はに設定される。これの処理は、ステップS7のNoの処理、ステップS9のNoの処理及びステップS11の処理に対応する。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。例えば、NMOSトランジスタの個数を二つ、三つ、五つ又はそれ以上にしてもよく、NMOSトランジスタの個数を二つにする場合には、180°の位相のタイミングごとに予め決定された順番で二つのNMOSトランジスタ7をオフからオンに切り替える。また、ダイオード8a,8b,8c,8d,9a,9b,9c,9dのうちの少なくとも一つを省略してもよい。さらに、スイッチング素子としてPMOSトランジスタ等を用いてもよい。
【手続補正13】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【手続補正14】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【国際調査報告】