特表-21125274IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2021年6月24日
【発行日】2021年12月23日
(54)【発明の名称】逆入力遮断クラッチ
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/10 20060101AFI20211126BHJP
【FI】
   F16D41/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】36
【出願番号】特願2021-518018(P2021-518018)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2020年12月17日
(11)【特許番号】特許第6927462号(P6927462)
(45)【特許公報発行日】2021年9月1日
(31)【優先権主張番号】特願2019-230081(P2019-230081)
(32)【優先日】2019年12月20日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,IT,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】特許業務法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土肥 永生
(72)【発明者】
【氏名】大黒 優也
(57)【要約】
【課題】回転駆動源の制御性を低下させずに、かつ、入力部材への回転トルクの入力時に、ロック状態から非ロック状態への切り換えを円滑に行うことができる、逆入力遮断クラッチを実現する。
【解決手段】被押圧面20を有する被押圧部材と、被押圧面20の径方向内側に配置された入力側係合部8を有する入力部材と、入力側係合部8よりも径方向内側に配置された出力側係合部を有する出力部材と、被押圧面20に対する遠近方向である第1方向の移動を可能に配置され、係合子本体30、および、揺動支持軸33に揺動可能に連結された第1の端部と、入力側係合部8に揺動可能に連結された第2の端部とを有するリンク部材31からなる係合子5と、係合子本体30とリンク部材31との間に配置され、リンク部材31に対し、第1方向に関して被押圧面20に近づく方向の弾性力を付与する弾性体56と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に被押圧面を有する、被押圧部材と、
前記被押圧面の径方向内側に配置された入力側係合部を有し、前記被押圧面と同軸に配置された、入力部材と、
前記被押圧面の径方向内側において前記入力側係合部よりも径方向内側に配置された出力側係合部を有し、前記被押圧面と同軸に配置された、出力部材と、
係合子本体とリンク部材とを有し、前記被押圧面の径方向内側に、前記被押圧面に対する遠近方向である第1方向の移動を可能に配置された、係合子と、
前記係合子本体と前記リンク部材との間に配置され、前記リンク部材に対し、前記第1方向に関して前記被押圧面に近づく方向の弾性力を付与する、弾性体と、
を備え、
前記係合子本体は、前記被押圧面に対向する押圧面と、前記第1方向に関して前記入力側係合部よりも前記被押圧面に近い側に位置する揺動支持部と、前記出力側係合部と係合する出力側被係合部とを有しており、
前記リンク部材は、前記揺動支持部に揺動可能に連結された第1の端部と、前記入力側係合部に揺動可能に連結された第2の端部とを有しており、
前記第2の端部は、前記入力側係合部を緩く挿入可能な入力側被係合部を有し、前記入力側被係合部の内面は、前記入力部材および前記出力部材のそれぞれに回転トルクが入力されていない中立状態において、前記弾性体の弾性力により、前記入力側係合部の外面に押し付けられており、
前記係合子は、前記入力部材に回転トルクが入力されると、前記入力側係合部によって、前記リンク部材を介して前記揺動支持部が引っ張られることにより、前記被押圧面から遠ざかるように変位するとともに、前記出力側被係合部を前記出力側係合部に係合させることにより、前記入力部材に入力された回転トルクを前記出力部材に伝達し、前記出力部材に回転トルクが逆入力されると、前記出力側係合部と前記出力側被係合部との係合に基づいて、前記押圧面を前記被押圧面に押し付けることで、前記押圧面を前記被押圧面に摩擦係合させる、
逆入力遮断クラッチ。
【請求項2】
前記弾性体は、前記リンク部材と前記係合子本体とのいずれにも固定されずに、前記リンク部材と前記係合子本体とに弾性的に挟持されている、請求項1に記載した逆入力遮断クラッチ。
【請求項3】
前記リンク部材と前記係合子本体との少なくとも一方は、前記弾性体が接触する部分に、前記弾性体の接触位置を安定させるための座面を有する、請求項1または2に記載した逆入力遮断クラッチ。
【請求項4】
前記弾性体は、1対の弾性体により構成され、前記1対の弾性体は、前記第1方向と前記被押圧面の軸方向とのそれぞれに直交する第2方向に関して、前記リンク部材の両側に配置されている、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載した逆入力遮断クラッチ。
【請求項5】
前記1対の弾性体のそれぞれの弾性体から前記リンク部材に対して付与される弾性力は、前記第1方向に関して前記被押圧面に近づく方向の成分と、前記第2方向に関して前記入力側係合部に近づく方向の成分とを有する、請求項4に記載した逆入力遮断クラッチ。
【請求項6】
前記1対の弾性体のそれぞれの弾性体から前記リンク部材に対して付与される弾性力のうち、前記第2方向に関して前記入力側係合部に近づく方向の成分は、互いに打ち消し合う、請求項5に記載した逆入力遮断クラッチ。
【請求項7】
前記係合子本体は、前記被押圧面の軸方向に重畳して配置され、かつ、互いに結合された1対の本体プレートと、前記1対の本体プレートに軸方向両側部を支持された揺動支持軸とを備えており、
前記1対の本体プレートは、前記押圧面および前記出力側被係合部を有しており、
前記揺動支持部は、前記揺動支持軸により構成されており、
前記リンク部材は、前記1対の本体プレート同士の間に配置され、前記第1の端部に、前記揺動支持軸を緩く挿入可能な支持孔を有しており、
前記入力部材および前記出力部材のそれぞれに回転トルクが入力されていない中立状態において、前記支持孔の内面と前記揺動支持軸との間に、全周にわたり隙間を有する、
請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載した逆入力遮断クラッチ。
【請求項8】
前記係合子本体は、前記1対の本体プレート同士の間に挟持された1対の中間プレートをさらに有し、
前記1対の中間プレートは、前記1対の本体プレート同士の間部分のうち、前記第1方向と前記被押圧面の軸方向とのそれぞれに直交する第2方向に関する両側部に配置されており、
前記揺動支持軸は、前記第2方向に関して前記1対の本体プレートの中間部に支持されており、
前記リンク部材は、前記1対の本体プレート同士の間部分のうち、前記第2方向に関する中間部に、揺動可能に配置されている、
請求項7に記載した逆入力遮断クラッチ。
【請求項9】
前記弾性体は、前記1対の本体プレート同士の間部分で、かつ、前記リンク部材と前記中間プレートとの間に配置されている、請求項8に記載した逆入力遮断クラッチ。
【請求項10】
前記入力側係合部は1対の入力側係合部により構成され、前記係合子は1対の係合子により構成され、前記1対の入力側係合部および前記1対の係合子は、前記出力側係合部を径方向両側から挟むように配置されている、請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載した逆入力遮断クラッチ。
【請求項11】
前記第1方向と前記被押圧面の軸方向とのそれぞれに直交する第2方向に関して、前記出力側係合部から外れた位置に配置され、前記1対の係合子同士の間で弾性的に突っ張る、付勢部材をさらに備える、請求項10に記載した逆入力遮断クラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力部材に入力される回転トルクを出力部材に伝達するのに対して、出力部材に逆入力される回転トルクを完全に遮断して入力部材に伝達しない、または、その一部のみを入力部材に伝達して残部を遮断する、逆入力遮断クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
逆入力遮断クラッチは、駆動源などの入力側機構に接続される入力部材と、減速機構などの出力側機構に接続される出力部材とを備えており、入力部材に入力される回転トルクを出力部材に伝達するのに対して、出力部材に逆入力される回転トルクを完全に遮断して入力部材に伝達しない、または、その一部のみを入力部材に伝達して残部を遮断する機能を有する。
【0003】
図23図29は、国際公開2019/026794号に記載された、逆入力遮断クラッチの従来構造の1例を示している。
【0004】
逆入力遮断クラッチ101は、入力部材102と、出力部材103と、被押圧部材104と、1対の係合子105とを備える。
【0005】
入力部材102は、電動モータなどの入力側機構に接続され、回転トルクが入力される。入力部材102は、図25に示すように、入力軸部106と、1対の入力側係合部107とを有する。入力軸部106の基端部は、前記入力側機構の出力部に接続される。1対の入力側係合部107は、入力軸部106の先端面の直径方向反対側2箇所位置から軸方向に伸長した凸部により構成されている。
【0006】
出力部材103は、減速機構などの出力側機構に接続され、回転トルクを出力する。出力部材103は、入力部材102と同軸に配置されており、図26に示すように、出力軸部108と、出力側係合部109とを有する。出力軸部108の基端部は、前記出力側機構の入力部に接続される。出力側係合部109は、略長円柱状で、出力軸部108の先端面の中央部から軸方向に伸長している。出力側係合部109は、1対の入力側係合部107の間部分に配置される。
【0007】
被押圧部材104は、図24に示すように、円環状に構成されており、ハウジングなどの図示しない他の部材に固定されて、その回転が拘束されている。被押圧部材104は、入力部材102および出力部材103と同軸に、かつ、1対の入力側係合部107および出力側係合部109の径方向外側に配置されている。被押圧部材104は、その内周面に円筒状の凹面である被押圧面110を有する。
【0008】
1対の係合子105のそれぞれの係合子105は、略半円形板状に構成されており、被押圧部材104の径方向内側に配置されている。係合子105は、被押圧面110に対向する径方向外側面に、部分円筒状の凸面である押圧面111を有し、互いに対向する径方向内側面に、後述する出力側被係合部114が形成された部分以外が平坦面である底面112を有する。押圧面111の曲率半径は、被押圧面110の曲率半径以下である。なお、係合子105に関して径方向とは、図23に矢印Aで示した底面112に対して直角な方向をいい、図23に矢印Bで示した底面112に対して平行な方向を、係合子105に関して幅方向という。
【0009】
1対の係合子105を被押圧部材104の径方向内側に配置した状態で、被押圧面110と押圧面111との間部分、および、底面112同士の間部分の少なくとも一方に隙間が存在するように、被押圧部材104の内径寸法および係合子105の径方向寸法が規制されている。
【0010】
係合子105は、入力側被係合部113と、出力側被係合部114とを有する。入力側被係合部113は、係合子105の径方向中間部を軸方向に貫通する孔により構成されている。入力側被係合部113は、入力側係合部107を緩く挿入できる大きさを有する。このため、入力側係合部107は、係合子105の入力側被係合部113に対し、入力部材102の回転方向に関する変位が可能であり、係合子105の入力側被係合部113は、入力側係合部107に対し、係合子105の径方向の変位が可能である。出力側被係合部114は、係合子105の底面112の幅方向中央部から径方向外方に向けて凹んだ略矩形状の凹部により構成されている。出力側被係合部114は、その内側に出力側係合部109の短軸方向の先半部を配置できる大きさを有する。
【0011】
逆入力遮断クラッチ101は、その組立状態で、軸方向一方側に配置した入力部材102の1対の入力側係合部107を、1対の係合子105の入力側被係合部113に軸方向に挿入し、かつ、軸方向他方側に配置した出力部材103の出力側係合部109を、1対の出力側被係合部114同士の間に軸方向に挿入している。すなわち、1対の係合子105は、出力側被係合部114により、出力側係合部109を径方向外側から挟むように配置されている。
【0012】
入力部材102に入力側機構から回転トルクが入力されると、図27に示すように、入力側被係合部113の内側で、入力側係合部107が入力部材102の回転方向(図27の例では時計方向)に回転する。すると、入力側係合部107の径方向内側面が入力側被係合部113の内面を径方向内方に向けて押圧し、1対の係合子105を、被押圧面110から遠ざかる方向に移動させる。この結果、1対の出力側被係合部114が出力部材103の出力側係合部109を径方向両側から挟持し、出力側係合部109と1対の出力側被係合部114とが、がたつきなく係合する。これにより、入力部材102に入力された回転トルクが、1対の係合子105を介して、出力部材103に伝達され、出力部材103から出力される。
【0013】
一方、出力部材103に出力側機構から回転トルクが逆入力されると、図28に示すように、出力側係合部109が、1対の出力側被係合部114同士の内側で、出力部材103の回転方向(図28の例では時計方向)に回転する。すると、出力側係合部109の角部が出力側被係合部114の底面を径方向外方に向けて押圧し、1対の係合子105を、被押圧面110に近づく方向にそれぞれ移動させる。この結果、1対の係合子105の押圧面111が、被押圧部材104の被押圧面110に対して押し付けられる。これにより、出力部材103に逆入力された回転トルクが、図示しない他の部材に固定された被押圧部材104に伝わることで完全に遮断されて入力部材102に伝達されない、または、出力部材103に逆入力された回転トルクの一部のみが入力部材102に伝達され残部が遮断される。
【0014】
出力部材103に逆入力された回転トルクを完全に遮断して入力部材102に伝達されないようにするには、押圧面111が被押圧面110に対して摺動(相対回転)しないように、1対の係合子105を出力側係合部109と被押圧部材104との間で突っ張らせ、出力部材103をロックする。これに対し、出力部材103に逆入力された回転トルクのうちの一部のみが入力部材102に伝達され残部が遮断されるようにするには、押圧面111が被押圧面110に対して摺動するように、1対の係合子105を出力側係合部109と被押圧部材104との間で突っ張らせ、出力部材103を半ロックする。出力部材103が半ロックした状態で、さらに出力部材103に回転トルクが逆入力されると、1対の係合子105が、出力側係合部109と出力側被係合部114との係合に基づいて、押圧面111を被押圧面110に対して摺動させつつ、出力部材103の回転中心を中心として回転する。1対の係合子105が回転すると、入力側被係合部113の内面が入力側係合部107の径方向内側面を周方向(回転方向)に押圧して、入力部材102に回転トルクの一部が伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開2019/026794号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述した従来の逆入力遮断クラッチ101は、入力部材102への回転トルクの入力に伴って、図28に示したロックまたは半ロック状態から、図27に示した非ロック状態への切り換えを円滑に行う面から改良の余地がある。
【0017】
従来構造では、図28に示したロックまたは半ロック状態から、入力部材102に回転トルクTが入力されることで、図29に示すように、入力部材102の入力側係合部107が、係合子105の入力側被係合部113に当接すると、入力側係合部107と入力側被係合部113との当接部Xには、回転トルクTに基づく並進荷重Ft(T=Ft・R(Rは、入力部材102の回転中心Oから当接部Xまでの距離))が作用する。この並進荷重Ftの方向、すなわち、入力部材102から係合子105に作用する荷重の方向は、ロックまたは半ロック状態から非ロック状態への切り換え時に係合子105が移動すべき方向である、係合子105の径方向(被押圧面110に対する係合子105の遠近方向)に対して大きく傾いている。ロックまたは半ロック状態から非ロック状態への切り換えを円滑に行う面からは、入力部材102から係合子105に作用する荷重の方向を、係合子105の径方向とほぼ平行にすることが好ましい。
【0018】
また、逆入力遮断クラッチは、各種機械装置に組み込まれて使用されるが、例えば工作機械のテーブルの位置調整装置などに組み込まれる場合には、入力部材に、回転駆動源である電動モータなどの入力側機構が接続される。このような場合、入力側機構を制御(例えば回転制御やトルク制御)することにより、逆入力遮断クラッチが組み込まれた装置の動作を制御することが行われる。このため、逆入力遮断クラッチが組み込まれる装置の用途によっては、逆入力遮断クラッチとして、入力側機構の制御が複雑になることを防止し、入力側機構の制御性を低下させないようにすることが求められる。
【0019】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、入力部材を回転駆動する入力側機構の制御性を低下させることなく、かつ、入力部材への回転トルクの入力時に、ロックまたは半ロック状態から非ロック状態への切り換えを円滑に行うことができる、逆入力遮断クラッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一態様にかかる逆入力遮断クラッチは、被押圧部材と、入力部材と、出力部材と、係合子と、弾性体とを備える。
【0021】
前記被押圧部材は、内周面に被押圧面を有する。
【0022】
前記入力部材は、前記被押圧面と同軸に配置されており、前記被押圧面の径方向内側に配置された入力側係合部を有する。
【0023】
前記出力部材は、前記被押圧面と同軸に配置されており、前記被押圧面の径方向内側において前記入力側係合部よりも径方向内側に配置された出力側係合部を有する。
【0024】
前記係合子は、係合子本体とリンク部材とを有し、前記被押圧面の径方向内側に、前記被押圧面に対する遠近方向である第1方向の移動を可能に配置されている。
【0025】
前記弾性体は、前記係合子本体と前記リンク部材との間に配置され、前記リンク部材に対し、前記第1方向に関して前記被押圧面に近づく方向の弾性力を付与する。
【0026】
前記係合子本体は、前記被押圧面に対向する押圧面と、前記第1方向に関して前記入力側係合部よりも前記被押圧面に近い側に位置する揺動支持部と、前記出力側係合部と係合する出力側被係合部とを有する。
【0027】
前記リンク部材は、前記揺動支持部に揺動可能に連結された第1の端部と、前記入力側係合部に揺動可能に連結された第2の端部とを有する。
【0028】
前記第2の端部は、前記入力側係合部を緩く挿入可能な入力側被係合部を有し、前記入力側被係合部の内面は、前記入力部材および前記出力部材のそれぞれに回転トルクが入力されていない中立状態において、前記弾性体の弾性力により、前記入力側係合部の外面に押し付けられている。
【0029】
前記係合子は、前記入力部材に回転トルクが入力されると、前記入力側係合部によって、前記リンク部材を介して前記揺動支持部が引っ張られることにより、前記被押圧面から遠ざかるように変位するとともに、前記出力側被係合部を前記出力側係合部に係合させることにより、前記入力部材に入力された回転トルクを前記出力部材に伝達し、前記出力部材に回転トルクが逆入力されると、前記出力側係合部と前記出力側被係合部との係合に基づいて、前記押圧面を前記被押圧面に押し付けることで、前記押圧面を前記被押圧面に摩擦係合させる。
【0030】
本発明の一態様では、前記入力側被係合部の内面のうち、前記1方向に関して前記被押圧面から遠い側に位置する部分を、前記中立状態において、前記弾性体の弾性力により、前記入力側係合部の外面のうち、前記1方向に関して前記被押圧面から遠い側に位置する部分に押し付けることができる。
【0031】
本発明の一態様では、前記弾性体を、前記リンク部材と前記係合子本体とのいずれにも固定せずに、前記リンク部材と前記係合子本体とに弾性的に挟持することができる。
【0032】
あるいは、本発明の一態様では、前記弾性体を、前記リンク部材と前記係合子本体との少なくとも一方に固定することもできる。
【0033】
本発明の一態様では、前記リンク部材と前記係合子本体との少なくとも一方を、前記弾性体が接触する部分に、前記弾性体の接触位置を安定させるための座面を有するものとすることができる。
【0034】
本発明の一態様では、前記弾性体を、1対の弾性体により構成することができる。この場合、該1対の弾性体を、前記第1方向と前記被押圧面の軸方向とのそれぞれに直交する第2方向に関して、前記リンク部材の両側に配置することができる。なお、前記係合子を、1対の係合子、あるいは、3個以上の係合子により構成することができるが、これらの場合には、それぞれの係合子ごとに、前記弾性体を1対の弾性体により構成することができる。
【0035】
本発明の一態様では、前記1対の弾性体のそれぞれの弾性体から前記リンク部材に対して付与される弾性力を、前記第1方向に関して前記被押圧面に近づく方向の成分と、前記第2方向に関して前記入力側係合部に近づく方向の成分とを有するものとすることができる。
【0036】
この場合、前記1対の弾性体のそれぞれの弾性体から前記リンク部材に対して付与される弾性力のうち、前記第2方向に関して前記入力側係合部に近づく方向の成分を、互いに打ち消し合わせることができる。
【0037】
本発明の一態様では、前記係合子本体を、前記被押圧面の軸方向に重畳して配置され、かつ、互いに結合された1対の本体プレートと、前記1対の本体プレートに軸方向両側部を支持された揺動支持軸とを備えるものとすることができる。
【0038】
この場合、前記1対の本体プレートを、前記押圧面および前記出力側被係合部を有するものとし、前記揺動支持部を、前記揺動支持軸により構成し、前記リンク部材を、前記1対の本体プレート同士の間に配置し、前記第1の端部に、前記揺動支持軸を緩く挿入可能な支持孔を有するものとすることができる。そして、前記入力部材および前記出力部材のそれぞれに回転トルクが入力されていない中立状態において、前記支持孔の内面と前記揺動支持軸との間に、全周にわたり隙間を有するようにすることができる。
【0039】
本発明の一態様では、前記係合子本体を、前記1対の本体プレート同士の間に挟持された、1対の中間プレートをさらに有するものとすることができる。
【0040】
前記1対の中間プレートを、前記1対の本体プレート同士の間部分のうち、前記第1方向と前記被押圧面の軸方向とのそれぞれに直交する第2方向に関する両側部に配置することができる。
【0041】
前記揺動支持軸を、前記第2方向に関する前記1対の本体プレートの中間部に支持することができ、前記リンク部材を、前記1対の本体プレート同士の間部分のうち、前記第2方向に関する中間部に、揺動可能に配置することができる。
【0042】
本発明の一態様では、前記入力側係合部を1対の入力側係合部により構成し、前記係合子を1対の係合子により構成し、前記1対の入力側係合部および前記1対の係合子を、前記出力側係合部を径方向両側から挟むように配置することができる。
【0043】
この場合、前記第1方向と前記被押圧面の軸方向とのそれぞれに直交する第2方向に関して、前記出力側係合部から外れた位置に配置され、前記1対の係合子同士の間で弾性的に突っ張る、付勢部材をさらに備えることができる。
【0044】
本発明の一態様では、前記弾性体を、コイルばね、板ばね、皿ばねなどのばねから構成することができる。
【0045】
あるいは、本発明の一態様では、前記弾性体を、ゴム(例えばシリコンゴム)により構成することもできる。
【発明の効果】
【0046】
本発明の一態様の逆入力遮断クラッチによれば、入力部材を駆動するための入力側機構の制御性を低下させることなく、かつ、入力部材への回転トルクの入力時に、ロックまたは半ロック状態から非ロック状態への切り換えを円滑に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、本発明の実施の形態の第1例の逆入力遮断クラッチの斜視図である。
図2図2は、第1例の逆入力遮断クラッチを、軸方向に関して図1の右方から見た図である。
図3図3は、図2のA−A断面図である。
図4図4は、第1例の逆入力遮断クラッチの分解斜視図である。
図5図5は、図3に示した逆入力遮断クラッチから、入力部材、入力側ハウジング素子、および入力側軸受を取り除き、かつ、出力部材に回転トルクが逆入力されていない中立状態で、図3の右方から見た図である。
図6図6は、入力部材に回転トルクが入力された状態で示す、図5と同様の図である。
図7図7は、出力部材に回転トルクが逆入力された状態で示す、図5と同様の図である。
図8図8は、図3に示した逆入力遮断クラッチから、出力部材、出力側ハウジング素子の左側端部、出力側軸受、左側の本体プレート、ボルトおよびナットを取り除いて、図3の左方から見た図である。
図9図9は、図8のB−B断面図である。
図10図10は、1対の弾性体を組み付ける以前の状態における、図8の上半部の左右方向中央部の拡大図である。
図11図11は、1対の弾性体を組み付けた状態における、図10に相当する図である。
図12図12(A)および図12(B)は、入力部材に回転トルクが入力される前後における、入力側係合部とリンク部材と揺動支持軸との関係を示す図であり、図12(A)は、入力部材に回転トルクが入力される前の状態を示し、図12(B)は、入力部材に回転トルクが入力された後の状態を示す。
図13図13は、第1例の逆入力遮断クラッチを構成する、1対の係合子および付勢部材の斜視図である。
図14図14は、第1例の逆入力遮断クラッチを構成する、1対の係合子および付勢部材を、軸方向に関して出力部材側から見た図である。
図15図15は、図14のC1−C2断面図である。
図16図16は、図14のC1−O−C3断面図である。
図17図17は、第1例の逆入力遮断クラッチを構成する、1対の係合子の分解斜視図である。
図18図18は、第1例の逆入力遮断クラッチを構成する、1対の係合子を構成する中間プレートと付勢部材の斜視図である。
図19図19(A)(a)は、第1例の構造に関して、入力部材に回転トルクが入力される前の状態で示す、係合子と入力側係合部との係合部を示す図であり、図19(A)(b)は、図19(A)(a)に示した状態から入力部材に回転トルクが入力された後の状態を示す図であり、図19(B)(a)は、従来構造に相当する比較例の構造に関して、入力部材に回転トルクが入力される前の状態で示す、係合子と入力側係合部との係合部を示す図であり、図19(B)(b)は、図19(B)(a)に示した状態から入力部材に回転トルクが入力された後の状態を示す図である。
図20図20(A)および図20(B)は、第1例の逆入力遮断クラッチに関して、出力側係合部と出力側被係合部とが係合する前後の状態を示す図である。
図21図21は、本発明の実施の形態の第2例を示す、図8に相当する図である。
図22図22は、本発明の実施の形態の第3例を示す、図8に相当する図である。
図23図23は、従来の逆入力遮断クラッチを示す図である。
図24図24は、従来の逆入力遮断クラッチの斜視図である。
図25図25は、従来の逆入力遮断クラッチを構成する入力部材の一部を示す斜視図である。
図26図26は、従来の逆入力遮断クラッチを構成する出力部材の一部を示す斜視図である。
図27図27は、従来の逆入力遮断クラッチに関して、入力部材に回転トルクが入力された状態を示す図である。
図28図28は、従来の逆入力遮断クラッチに関して、出力部材に回転トルクが逆入力された状態を示す図である。
図29図29は、図27の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
[第1例]
実施の形態の第1例について、図1図20を用いて説明する。以下の説明において、軸方向、径方向、および周方向とは、特に断らない限り、逆入力遮断クラッチ1の軸方向、径方向、および周方向をいう。本例において、逆入力遮断クラッチ1の軸方向、径方向、および周方向は、入力部材2の軸方向、径方向、および周方向と一致し、かつ、出力部材3の軸方向、径方向、および周方向と一致する。逆入力遮断クラッチ1に関して、軸方向一方側は、図1図3図4図9図13図15図18の右側であり、軸方向他方側は、図1図3図4図9図13図15図18の左側である。
【0049】
〔逆入力遮断クラッチの構造の説明〕
本例の逆入力遮断クラッチ1は、入力部材2と、出力部材3と、被押圧部材であるハウジング4と、係合子5と、弾性体56と、付勢部材61とを備える。逆入力遮断クラッチ1は、入力部材2に入力される回転トルクを出力部材3に伝達するのに対し、出力部材3に逆入力される回転トルクは完全に遮断して入力部材2に伝達しない、または、その一部のみを入力部材2に伝達して残部を遮断する、逆入力遮断機能を有する。
【0050】
(入力部材)
入力部材2は、電動モータなどの入力側機構に接続され、回転トルクが入力される。入力部材2は、図3および図4に示すように、入力軸部6と、入力腕部7と、入力側係合部8とを有する。入力軸部6は、円柱状に構成されており、その軸方向一方側の端部が前記入力側機構の出力部に接続される。本例の逆入力遮断クラッチ1では、入力腕部7は1対の入力腕部7により構成されている。1対の入力腕部7は、入力軸部6の軸方向他方側の端部から、互いに径方向反対側に向けて伸長しており、かつ、それぞれの径方向中間部に、軸方向の貫通孔である嵌合孔9を有する。入力側係合部8は、1対の入力側係合部8により構成されている。それぞれの入力側係合部8は、円柱状のピンにより構成されており、その軸方向一方側の端部が、1対の入力腕部7の対応する嵌合孔9に圧入により内嵌固定されている。この状態で、1対の入力側係合部8は、1対の入力腕部7から軸方向一方側に伸長している。なお、入力部材は、全体を一体に(1部品として)構成することもできる。なお、本例では、後述する係合子5の数(1対の係合子を構成する2個の係合子)に応じて、入力腕部7および入力側係合部8は、1対の入力腕部7および1対の入力側係合部8により構成されている。ただし、本発明を実施する場合に、入力腕部および入力側係合部の数は2個に限られず、係合子の数に応じて、入力腕部および入力側係合部の数を1個とする、あるいは、3個以上とすることも可能である。
【0051】
(出力部材)
出力部材3は、減速機構などの出力側機構に接続され、回転トルクを出力する。出力部材3は、入力部材2と同軸に配置されており、図3および図4に示すように、出力軸部10と、出力側係合部11とを有する。出力軸部10は、円柱状に構成されている。出力軸部10の軸方向他方側の端部は、前記出力側機構の入力部に接続される。出力側係合部11は、略長円柱状に構成されており、出力軸部10の軸方向一方側の端面の中央部から軸方向一方側に伸長している。出力側係合部11の外周面は、図5図6図20(A)、および図20(B)に示すように、短軸方向(図5図6図20(A)、および図20(B)の上下方向)の両側の側面12と、長軸方向(図5図6図20(A)、および図20(B)の左右方向)の両側の側面である1対のガイド面13とを有する。
【0052】
1対の側面12のそれぞれは、出力側係合部11の短軸方向に対して直交する平坦面により構成されている。1対のガイド面13のそれぞれのガイド面13は、凸曲面により構成されている。具体的には、それぞれのガイド面13は、出力側係合部11の中心軸(出力部材3の中心軸)を中心とする部分円筒状の凸面により構成されている。したがって、出力部材3に関しては、例えば丸棒素材の外周面を、1対のガイド面13として利用することができ、その分、加工コストを抑えられる。ただし、本発明を実施する場合には、1対のガイド面である凸曲面は、出力部材3の中心軸と平行な軸を中心とする部分円筒状の凸面としたり、あるいは、部分楕円筒状の凸面などの非円筒状の凸面としたりすることもできる。また、本例では、出力軸部10と出力側係合部11とが一体に造られているが、本発明を実施する場合には、互いに別体に造られた出力軸部と出力側係合部とを互いに結合固定することもできる。出力側係合部11は、1対の入力側係合部8よりも径方向内側に配置されており、具体的には、1対の入力側係合部8同士の間部分に配置される。
【0053】
(ハウジング)
ハウジング4は、図1図4に示すように、中空の円盤状に構成されており、図示しない他の部材に固定されて、その回転が拘束されている。ハウジング4は、入力部材2および出力部材3と同軸に配置され、かつ、その内側に、入力側係合部8、出力側係合部11、係合子5、および付勢部材61などを収容している。ハウジング4は、軸方向他方側に配置された出力側ハウジング素子(ハウジング本体)14と、軸方向一方側に配置された入力側ハウジング素子(ハウジング蓋体)15とを、複数本のボルト16により結合することで構成されている。
【0054】
出力側ハウジング素子14は、外径側筒部17と、内径側筒部18と、側板部19とを備える。外径側筒部17は、円筒状に構成されている。内径側筒部18は、円筒状に構成されており、外径側筒部17の軸方向他方側に、外径側筒部17と同軸に配置されている。側板部19は、円輪板状に構成されており、その径方向外側の端部が外径側筒部17の軸方向他方側の端部に結合され、かつ、その径方向内側の端部が内径側筒部18の軸方向一方側の端部に結合されている。
【0055】
外径側筒部17は、内周面に被押圧面20を有する。被押圧面20は、出力側ハウジング素子14の中心軸を中心とする円筒面により構成されている。外径側筒部17は、軸方向一方側の端部の外周面に、軸方向他方側に隣接する部分の外周面よりも外径寸法が大きい、出力側インロー嵌合面21を有する。出力側インロー嵌合面21は、出力側ハウジング素子14の中心軸を中心とする円筒面により構成されている。外径側筒部17は、軸方向一方側の端部の円周方向等間隔となる複数箇所(図示の例では8箇所)に、軸方向一方側の側面に開口するねじ孔22を有する。内径側筒部18は、内周面の軸方向一方側の端部から中間部にかけての部分に、出力側軸受嵌合面23を有する。出力側軸受嵌合面23は、出力側ハウジング素子14の中心軸を中心とする円筒面により構成されている。すなわち、被押圧面20と出力側インロー嵌合面21と出力側軸受嵌合面23とは、互いに同軸に配置されている。
【0056】
入力側ハウジング素子15は、外径側筒部24と、内径側筒部25と、側板部26とを備える。外径側筒部24は、円筒状に構成されている。内径側筒部25は、円筒状に構成されており、外径側筒部24の軸方向一方側に、外径側筒部24と同軸に配置されている。側板部26は、円輪板状に構成されており、その径方向外側の端部が外径側筒部24の軸方向一方側の端部に結合され、かつ、その径方向内側の端部が内径側筒部25の軸方向他方側の端部に結合されている。
【0057】
外径側筒部24は、内周面に入力側インロー嵌合面27を有する。入力側インロー嵌合面27は、入力側ハウジング素子15の中心軸を中心とする円筒面により構成されている。入力側インロー嵌合面27は、出力側ハウジング素子14の出力側インロー嵌合面21に対して、がたつきなく嵌合することが可能な内径寸法を有する。側板部26は、出力側ハウジング素子14のねじ孔22と整合する、径方向外側の端部の円周方向等間隔となる複数箇所に、通孔28を有する。内径側筒部25は、内周面の軸方向他方側の端部から中間部にかけての部分に、入力側軸受嵌合面29を有する。入力側軸受嵌合面29は、入力側ハウジング素子15の中心軸を中心とする円筒面により構成されている。すなわち、入力側インロー嵌合面27と入力側軸受嵌合面29とは、互いに同軸に配置されている。
【0058】
ハウジング4は、出力側ハウジング素子14の出力側インロー嵌合面21に対して、入力側ハウジング素子15の入力側インロー嵌合面27をがたつきなく嵌合させ、かつ、入力側ハウジング素子15の各通孔28に挿通したボルト16を、出力側ハウジング素子14の各ねじ孔22に螺合し、さらに締め付けることにより、出力側ハウジング素子14と入力側ハウジング素子15とを結合固定することによって組み立てられる。本例では、出力側ハウジング素子14の出力側インロー嵌合面21と出力側軸受嵌合面23とが互いに同軸に配置され、かつ、入力側ハウジング素子15の入力側インロー嵌合面27と入力側軸受嵌合面29とが互いに同軸に配置されている。このため、出力側インロー嵌合面21と入力側インロー嵌合面27とをがたつきなく嵌合させた、ハウジング4の組立状態で、入力側軸受嵌合面29と出力側軸受嵌合面23とは、互いに同軸に配置される。
【0059】
ハウジング4を組み立てた状態で、入力部材2の入力軸部6は、入力側ハウジング素子15の入力側軸受嵌合面29に対し、入力側軸受57により回転可能に支持される。また、出力部材3の出力軸部10は、出力側ハウジング素子14の出力側軸受嵌合面23に対し、出力側軸受58により回転可能に支持される。これにより、入力部材2と出力部材3とが、互いに同軸に配置されるとともに、ハウジング4の被押圧面20に対して同軸に配置される。さらに、この状態で、1対の入力側係合部8および出力側係合部11は、ハウジング4の被押圧面20の径方向内側に配置される。なお、逆入力遮断クラッチ1に関して、後述するロックまたは半ロック状態を非ロック状態に切り換える性能(ロック解除性能)などを高いレベルにしたい場合は、入力部材2と出力部材3との同軸および傾きを厳密に管理する必要がある。その場合は、入力側軸受57と出力側軸受58とのそれぞれを、図示のような単列の転がり軸受から複列の転がり軸受に変更するなどの、一般的な軸受利用方法を適用することもできる。
【0060】
(係合子)
本例の逆入力遮断クラッチ1では、係合子5は1対の係合子5(2個の係合子5)により構成されている。1対の係合子5は、被押圧面20の径方向内側に配置されている。それぞれの係合子5は、係合子本体30と、係合子本体30に対して揺動可能に連結されたリンク部材31とを含む、複数の部品から構成されている。ただし、本発明を実施する場合に、係合子の数は2個に限られず、たとえば、前記係合子を、1対の係合子を構成する2個の係合子の片方を省略して、1個の係合子により構成することもできる。あるいは、前記係合子を、3個以上の係合子により構成することも可能である。
【0061】
《係合子本体》
係合子本体30は、図13図18に示すように、複数の部品を組み合わせることにより構成されている。以下、組立後の係合子本体30の構造について説明した後、係合子本体30を構成する各部品の構造について説明する。
【0062】
係合子本体30は、略半円形板形状を有しており、被押圧面20に対向する1対の押圧面32と、揺動支持部である揺動支持軸33と、出力側係合部11と係合する出力側被係合部34とを備える。
【0063】
本例では、係合子本体30の外周面は、係合子本体30の弧に相当する凸円弧状の径方向外側面と、係合子本体30の弦に相当するクランク状の径方向内側面から構成されている。なお、係合子本体30に関して径方向とは、係合子本体30の弦に直交する、図5に矢印Aで示す方向をいう。また、係合子本体30に関して幅方向とは、係合子本体30の弦に対して平行な、図5に矢印Bで示す方向をいう。なお、本例では、係合子本体30に関する径方向が、係合子5を構成する係合子本体30の被押圧面20に対する遠近動方向であって、第1方向に相当する。また、本例では、係合子本体30の幅方向が、第1方向と被押圧面20の軸方向とのそれぞれに直交する第2方向に相当する。
【0064】
本例では、1対の係合子5は、それぞれの係合子本体30の径方向外側面を反対側に向け、それぞれの係合子本体30の径方向内側面を対向させた状態で、被押圧面20の径方向内側に配置されている。このように1対の係合子5が被押圧面20の径方向内側に配置された状態で、被押圧面20と係合子本体30の径方向外側面との間部分、および、係合子本体30の径方向内側面同士の間部分のうちの少なくとも一方に、係合子本体30が径方向に移動することを許容する隙間が存在するように、被押圧面20の内径寸法および係合子本体30の径方向寸法が規制されている。
【0065】
係合子本体30は、径方向外側面に、1対の押圧面32を有する。1対の押圧面32は、出力部材3のロック状態または半ロック状態で、被押圧面20に対して押し付けられる部分であり、係合子本体30の径方向外側面の周方向両側部に、周方向に離隔して配置されている。1対の押圧面32のそれぞれは、係合子本体30の径方向外側面のうち、周方向に関して押圧面32から外れた部分よりも、被押圧面20に向けて突出している。1対の押圧面32のそれぞれは、被押圧面20の曲率半径よりも小さな曲率半径を有する部分円筒状の凸面である。係合子本体30の径方向外側面のうち、1対の押圧面32から周方向に外れた部分(周方向に関して1対の押圧面32同士の間に位置する部分)は、被押圧面20に対して接触することのない、非接触面である。
【0066】
係合子本体30は、幅方向中央部の厚さ方向(軸方向)中央部に、内部空間35を有する。内部空間35の径方向両側の端部は、係合子本体30の径方向外側面と径方向内側面とにそれぞれ開口している。係合子本体30は、軸方向に配置された揺動支持軸33を有し、揺動支持軸33の軸方向中間部は、内部空間35の幅方向中央部の径方向外側部に配置されている。揺動支持軸33は、円柱状のピンにより構成されている。揺動支持軸33の軸方向両側の端部が、係合子本体30のうち、内部空間35を軸方向両側から挟む部分に支持されている。
【0067】
係合子本体30は、径方向内側面の幅方向中央部に、出力側被係合部34を有する。出力側被係合部34は、係合子本体30の径方向内側面(被押圧面20に対して遠い側の側面)の幅方向中央部から径方向外方に向けて凹んだ、略矩形状の凹部により構成されている。
【0068】
出力側被係合部34は、図5図6図20(A)、および図20(B)に示すように、その内側に出力側係合部11の短軸方向の先半部を配置できる大きさを有する。特に、本例では、出力側被係合部34は、図6および図20(B)に示すように、出力側係合部11の短軸方向の先半部の外周面に合致する内面形状を有する。
【0069】
出力側被係合部34の内面は、底面36と、1対の被ガイド面37とを有する。底面36は、係合子本体30の径方向に対して直交する平坦面により構成されている。1対の被ガイド面37は、出力側被係合部34の内面のうち、係合子本体30の幅方向に関して両側の端部に位置し、かつ、該幅方向に関して互いに対向している。1対の被ガイド面37は、係合子本体30の径方向内側に向かうほど、すなわち、係合子本体30の径方向に関して被押圧面20から遠ざかる方向に向かうほど、互いの間隔が拡がる方向に傾斜した1対の凹曲面により構成されている。
【0070】
1対の被ガイド面37は、出力側係合部11の1対のガイド面13に接触可能であり、それぞれの被ガイド面37は、それぞれのガイド面13と同じ曲率半径を有する、または、それぞれのガイド面13よりも僅かに大きい曲率半径を有する、部分円筒状の凹面により構成されている。つまり、本例では、出力側被係合部34は、図6および図20(B)に示すように、出力側係合部11の短軸方向の先半部の外周面に合致する内面形状を有する。このため、出力側被係合部34の底面36を、出力側係合部11の側面12に面接触させるとともに、出力側被係合部34の1対の被ガイド面37を、出力側係合部11の1対のガイド面13のうち短軸方向に関する先半部に面接触させることが可能である。なお、本発明を実施する場合には、それぞれの被ガイド面を、部分楕円筒状の凹面などの非円筒状の凹面により構成することもできる。
【0071】
係合子本体30は、幅方向中央部の径方向内側部に、挿通孔38を有する。挿通孔38は、係合子本体30の幅方向中央部の径方向内側部を軸方向に貫通し、かつ、円周方向に伸長する円弧形の長孔により構成されている。挿通孔38は、入力側係合部8を緩く挿入できる大きさを有する。具体的には、挿通孔38の内側に入力側係合部8を挿入した際に、入力側係合部8と挿通孔38の内面との間に、円周方向に関する隙間および係合子本体30の径方向に関する隙間が存在する。このため、入力側係合部8は、前記円周方向に関する隙間の存在に基づいて、係合子本体30の挿通孔38に対し、入力部材2の回転方向に関する変位が可能であり、係合子本体30の挿通孔38は、係合子本体30の径方向に関する隙間の存在に基づいて、入力側係合部8に対し、係合子本体30の径方向の変位が可能である。換言すれば、後述する逆入力遮断クラッチ1の動作時に、挿通孔38の内周縁と入力側係合部8とが干渉して該動作が阻害されることがないように、挿通孔38の大きさが規制されている。
【0072】
係合子本体30は、複数の部品を組み合わせることにより構成されている。具体的には、係合子本体30は、1対の本体プレート40と、1対の中間プレート41と、揺動支持軸33と、結合部材である複数ずつのボルト42およびナット43とからなる。
【0073】
1対の本体プレート40は、係合子本体30の厚さ方向の両側部を構成する部品であり、軸方向に重畳して配置されている。1対の本体プレート40のそれぞれの本体プレート40は、鋼板などの金属板にプレス加工による打ち抜き加工を施して造られたプレス成形品であり、略半円形板形状を有する。本体プレート40は、径方向外側面のうち、周方向に離隔した2箇所位置に、係合子本体30を組み立てた状態で押圧面32を構成する凸面44を有する。本体プレート40は、径方向外側部の幅方向中央部に、円形の取付孔45を有する。本体プレート40は、径方向内側面の幅方向中央部に、係合子本体30を組み立てた状態で出力側被係合部34を構成する、凹部46を有する。このため、本例では、軸方向に離隔して配置された1対の凹部46が、出力側被係合部34を構成する。本体プレート40は、径方向内側部の幅方向中央部に、係合子本体30を組み立てた状態で挿通孔38を構成する、貫通孔47を有する。係合子本体30は、幅方向両側部のそれぞれに、複数(図示の例では3個)の通孔48を有する。係合子本体30は、幅方向両側部のそれぞれにおいて、複数の通孔48から外れた箇所に、位置決め孔49を有する。
【0074】
1対の中間プレート41は、係合子本体30の厚さ方向の中間部を構成する部材である。1対の中間プレート41のそれぞれの中間プレート41は、鋼板などの金属板にプレス加工による打ち抜き加工を施して造られたプレス成形品であり、略扇板形状を有する。1対の中間プレート41は、1対の本体プレート40の幅方向両側部同士の間に挟持されている。中間プレート41の径方向外側面は、1対の本体プレート40の径方向外側面よりも径方向内側に位置しており、被押圧面20と接触することはない。中間プレート41は、径方向内側面の幅方向中間部に凸部39を有する。凸部39は、1対の本体プレート40の径方向内側面よりも径方向内側に突出している。中間プレート41のうち、凸部39以外の部分は、1対の本体プレート40同士の間に配置されている。中間プレート41は、リンク部材31に対向する幅方向中央側の側面の径方向内側部に、幅方向に突出した張り出し部59を有する。中間プレート41は、1対の本体プレート40のそれぞれの通孔48と整合する複数箇所に、通孔50を有する。中間プレート41は、1対の本体プレート40のそれぞれの位置決め孔49と整合する箇所に、位置決め孔51を有する。
【0075】
1対の本体プレート40および1対の中間プレート41は、互いに整合する1対の本体プレート40の通孔48と1対の中間プレート41の通孔50とを挿通した複数のボルト42の先端部に、ナット43を螺合し、さらに締め付けることによって、互いに結合固定されている。なお、本例の構造では、このような結合固定の作業を行う際に、互いに整合する1対の本体プレート40の位置決め孔49と1対の中間プレート41の位置決め孔51とに、作業用の位置決めロッドを挿通することによって、1対の本体プレート40の通孔48と1対の中間プレート41の通孔50とを整合させる作業を容易に行うことができる。本例の構造では、上述のように1対の本体プレート40と1対の中間プレート41とを結合固定した状態で、1対の本体プレート40同士の間で、かつ、幅方向に関して1対の中間プレート41同士の間に、内部空間35が形成される。
【0076】
揺動支持軸33は、円柱状のピンにより構成されている。揺動支持軸33の軸方向両側の端部は、1対の本体プレート40の取付孔45に圧入により内嵌固定されている。揺動支持軸33の軸方向中間部は、内部空間35に配置されている。
【0077】
《リンク部材》
リンク部材31は、図17に示すように、鋼板などの金属板にプレス加工による打ち抜き加工を施して造られたプレス成形品であって、長手方向の中間部がくびれた、略矩形板形状または略長円板形状を有しており、係合子本体30の内部空間35(1対の本体プレート40同士の間で、かつ、1対の中間プレート41同士の間)に配置されている。
【0078】
リンク部材31の厚さ寸法は、内部空間35の軸方向幅寸法(=1対の本体プレート40の互いに対向する側面同士の間隔=中間プレート41の厚さ寸法)よりも小さい。リンク部材31は、その長手方向の一方側の端部である第1の端部52に、軸方向に貫通した円孔である支持孔53を有し、かつ、その長手方向の他方側の端部である第2の端部54に、軸方向に貫通した円孔である入力側被係合部55を有する。
【0079】
支持孔53には、揺動支持軸33が緩く挿通している。これにより、第1の端部52は、揺動支持軸33に揺動可能に連結されている。入力側被係合部55には、入力側係合部8が緩く挿通している。これにより、第2の端部54は、入力側係合部8に揺動可能に連結されている。
【0080】
リンク部材31は、1対の中間プレート41にそれぞれ対向する幅方向側面の径方向中間部に、1対のくびれ部60を有する。1対のくびれ部60のそれぞれは、凹曲面により構成されている。
【0081】
支持孔53は、その内側に揺動支持軸33を緩く挿通するために、揺動支持軸33の外径寸法よりも大きい内径寸法を有する。また、入力側被係合部55は、その内側に入力側係合部8を緩く挿通するために、入力側係合部8の外径寸法よりも大きい内径寸法を有する。さらに、後述する1対の弾性体56を組み付ける以前の状態においては、係合子5の1対の押圧面32が被押圧面20に接触し、かつ、入力側係合部8が係合子本体30の幅方向中央部に位置する状態で、図10に示すように、揺動支持軸33と入力側係合部8との互いに遠い側の端縁同士の間隔Waが、支持孔53と入力側被係合部55との互いに遠い側の端縁同士の間隔Wb以下になるように設定されている(Wa≦Wb)。
【0082】
間隔Waと間隔Wbとの差Wb−Waは、逆入力遮断クラッチ1の組み立てを容易にする観点からは、極力大きいことが望ましい。ただし、入力部材2に回転トルクが入力された際に、直ちに係合子5を径方向内側に移動させて非ロック状態を実現できるようにする観点からは、極力小さいことが望ましい。また、間隔Waと間隔Wbとに差Wb−Waが存在する場合には、入力側係合部8の外周面と入力側被係合部55の内周面との間に、全周にわたり隙間が存在するため、何らかの対策を施さなければ、入力部材2にがたつきを生じる。
【0083】
本例の逆入力遮断クラッチ1を、工作機械のテーブルの位置調整装置などに組み込んで使用する場合、入力部材2には、回転駆動源である電動モータなどの入力側機構が接続される。このような場合、入力側機構を制御(例えば回転制御やトルク制御)することにより、逆入力遮断クラッチ1が組み込まれた装置の動作を制御することが行われるが、入力部材2にがたつきが存在すると、逆入力遮断クラッチ1をロック状態または半ロック状態から非ロック状態に切り換える際の制御などが複雑になり、入力側機構の制御性を低下させる可能性がある。そこで、本例では、逆入力遮断クラッチ1の組み立て作業性を確保しつつ、入力部材2のがたつきを抑えるために、弾性体56を利用している。
【0084】
《弾性体》
本例の逆入力遮断クラッチ1では、1対の係合子5を構成するそれぞれの係合子について、弾性体56は1対の弾性体56により構成されている。したがって、本例では、合計4個の弾性体が備えられている。1対の弾性体56は、図8に示すように、係合子本体30とリンク部材31との間に配置されており、リンク部材31に対して、第1方向に関して被押圧面20に近づく方向である、係合子本体30の径方向外側に向いた弾性力Fyを付与する。
【0085】
本例では、それぞれの弾性体56は、コイルばねにより構成されており、同じばね特性を有する同一部品からなる。弾性体56の外径寸法(コイル部の直径寸法)は、内部空間35の軸方向幅寸法(=中間プレート41の厚さ寸法)よりも小さい。1対の弾性体56は、内部空間35の内側で、かつ、第2方向に相当する係合子本体30(係合子5)の幅方向に関して、リンク部材31の両側に配置されている。それぞれの弾性体56は、リンク部材31に備えられたくびれ部60と、中間プレート41に備えられた張り出し部59との間に弾性的に挟持されている。この状態で、弾性体56の一部は、くびれ部60の内側に進入している。本例では、弾性体56は、中間プレート41とリンク部材31とのいずれにも固定されずに、中間プレート41とリンク部材31との間に弾性的に挟持されている。ただし、本発明を実施する場合には、弾性体を、中間プレートおよびリンク部材のいずれか、あるいはその両方に対して固定しても良い。弾性体を固定する場合には、ねじ止め、かしめ、接着などの、従来から知られた各種の固定手段を採用することができる。
【0086】
1対の弾性体56のそれぞれの弾性体56の中心軸は、入力部材2の中心軸に直交する仮想平面上に配置されており、図11に示すように、第1方向である係合子本体30の径方向に対して、互いに同じ角度θだけ傾斜している。このため、1対の弾性体56のそれぞれからリンク部材31に付与される弾性力F、Fは、第1方向に関して被押圧面20に近づく方向である径方向外側を向いた第1成分F1y、F2yと、第2方向に関して入力側係合部8に近づく方向である幅方向中央側を向いた第2成分F1x、F2xと、を有する。
【0087】
片方の弾性体56からリンク部材31に付与される弾性力Fの第1成分F1yと、他方の弾性体56からリンク部材31に付与される弾性力Fの第1成分F2yとは、互いに同じ大きさを有し、かつ、力の作用方向が同じになる。このため、リンク部材31には、係合子本体30の径方向外側を向いた、第1成分F1yと第1成分F2yとを足し合わせた大きさの力Fy(F1y+F2y)が作用する。
【0088】
これに対し、片方の弾性体56からリンク部材31に付与される弾性力Fの第2成分F1xと、他方の弾性体56からリンク部材31に付与される弾性力Fの第2成分F2xとは、互いに同じ大きさを有し、かつ、力の作用方向が反対向きになる。このため、弾性力Fの第2成分F1xと弾性力Fの第2成分F2xとは、リンク部材31が、揺動していない中立位置にて、互いに打ち消し合う。
【0089】
本例では、図11に示すように、1対の弾性体56からリンク部材31に付与される弾性力(Fy)により、入力部材2および出力部材3に回転トルクが入力されていない中立状態において、入力側被係合部55の内周面のうち、第1方向に関して被押圧面20から遠い側である径方向内側の端部が、入力側係合部8の外面のうち、第1方向に関して被押圧面20から遠い側である径方向内側の端部に、弾性的に押し付けられる。換言すれば、入力側被係合部55と入力側係合部8との間には、円環状の隙間ではなく、略三日月形状を有する隙間が、入力側係合部8の径方向外側に画成される。一方、支持孔53と揺動支持軸33との間には、全周にわたり隙間が画成される。
【0090】
《付勢部材》
本例の逆入力遮断クラッチ1では、付勢部材61は1対の付勢部材61により構成されている。1対の付勢部材61は、図13および図14に示すように、1対の係合子5を構成する、1対の係合子本体30の径方向内側面の幅方向両側部同士の間に配置されている。つまり、1対の付勢部材61は、第2方向に相当する係合子本体30の幅方向に関して出力側係合部11から外れた位置に配置されている。1対の付勢部材61は、1対の係合子5を径方向外側に向かう方向、すなわち、1対の係合子5を被押圧面20に近づける方向に弾性的に付勢している。これにより、入力部材2および出力部材3のそれぞれにトルクが加わっていない中立状態において、1対の係合子5のそれぞれの係合子5の押圧面32が被押圧面20に接触した状態となるようにしている。
【0091】
本例では、付勢部材61は、コイルばねにより構成されており、付勢部材61の軸方向両側部の内側に、1対の係合子5の凸部39を挿入することによって、付勢部材61が1対の係合子本体30の径方向内側面同士の間から脱落することを防止している。
【0092】
本例では、付勢部材61の外径寸法は、係合子本体30の軸方向の厚さ寸法よりも小さい。このため、付勢部材61は、図15および図16に示すように、係合子本体30の軸方向両側の側面よりも軸方向両側(外側)に突出しない。
【0093】
上述のように中立状態において1対の係合子5のそれぞれの係合子5の押圧面32が被押圧面20に接触した状態となるようにしておく理由は、後述するように出力部材3に回転トルクが逆入力された際に、直ちにロック状態が実現されるようにするためである。
【0094】
本例の逆入力遮断クラッチ1は、その組立状態で、軸方向一方側に配置した入力部材2の1対の入力側係合部8を、1対の係合子5のそれぞれの係合子5の挿通孔38(本体プレート40の貫通孔47)およびリンク部材31の入力側被係合部55に軸方向に挿入し、かつ、軸方向他方側に配置した出力部材3の出力側係合部11を、1対の係合子5の出力側被係合部34同士の間に軸方向に挿入している。すなわち、1対の係合子5は、それぞれの係合子5の出力側被係合部34により、出力側係合部11を径方向外側から挟むように配置されている。
【0095】
[逆入力遮断クラッチの動作説明]
入力部材2に入力側機構から回転トルクが入力されると、図6に示すように、係合子本体30の挿通孔38の内側で、入力側係合部8が入力部材2の回転方向(図6の例では時計方向)に回転する。すると、図5から図6、および、図12(A)から図12(B)に示すように、入力側係合部8は、入力側被係合部55との係合に基づき、リンク部材31を径方向内側に移動させつつ揺動させる。これにより、1対の弾性体56のうち、入力部材2の回転方向に関してリンク部材31の前方側(図12の右側)に存在する弾性体56を、リンク部材31と中間プレート41との間で縮めながら、支持孔53と揺動支持軸33との間の隙間を減少させる。支持孔53の内周面のうちの径方向外側部と揺動支持軸33の外周面のうちの径方向外側部とが接触すると、入力側係合部8は、リンク部材31を介して、揺動支持軸33を径方向内側に向けて引っ張る。これにより、図6に示すように、1対の係合子5が、被押圧面20から遠ざかる方向(径方向内側)にそれぞれ移動する。1対の係合子5のそれぞれの係合子5の押圧面32が被押圧面20から離れるとともに、1対の出力側被係合部34が出力部材3の出力側係合部11を径方向両側から挟持し、出力側係合部11と1対の出力側被係合部34とが、がたつきなく係合する。この結果、入力部材2に入力された回転トルクが、1対の係合子5を介して、出力部材3に伝達され、出力部材3から出力される。
【0096】
特に、本例の構造では、上述のように係合子5が被押圧面20から遠ざかる方向(径方向内側)に移動する際に、図5から図6、および、図20(A)から図20(B)に示すように、出力側係合部11に備えられた1対のガイド面13により、出力側被係合部34に備えられた1対の被ガイド面37が案内されることで、係合子5が幅方向に移動することを規制される。そして、図6および図20(B)に示すように、出力側被係合部34の底面36が、出力側係合部11の側面12に面接触するとともに、出力側被係合部34の1対の被ガイド面37が、出力側係合部11の1対のガイド面13に面接触する。このため、本例の構造では、ロックまたはアンロック状態の解除後に、係合子5が幅方向にずれ動いて被押圧面20に接触することを有効に防止できる。本例の構造では、上述したような係合子5の径方向内側への移動の案内を、出力側係合部11を用いて行えるため、該案内を行うためだけに用いられる別部品を組み込む構造に比べて、部品点数を少なくできる。
【0097】
また、本例の構造では、出力側被係合部34の1対の被ガイド面37のそれぞれの被ガイド面37が、径方向内側に向かうほど互いの間隔が拡がる方向に傾斜した1対の凹曲面により構成され、かつ、出力側係合部11の1対のガイド面13のそれぞれのガイド面13が、前記1対の凹曲面に合致する1対の凸曲面により構成されている。このため、図20(A)に示すように、係合子5が出力側係合部11から径方向外側に離れた状態では、1対の被ガイド面37と1対のガイド面13との間に隙間が形成され、かつ、該隙間の大きさ(幅方向寸法)は、径方向外側に向かうほど大きくなる。このため、本例の構造では、係合子5が出力側係合部11から径方向外側に離れた状態において、幅方向や回転方向に関する係合子5の動きを適度に許容することができ、係合子5に無理な力が加わることを有効に防止できる。
【0098】
一方、出力部材3に出力側機構から回転トルクが逆入力されると、図7に示すように、出力側係合部11が、1対の出力側被係合部34同士の内側で、出力部材3の回転方向(図7の例では時計方向)に回転する。すると、出力側係合部11の側面12とガイド面13との接続部である角部が、出力側被係合部34の底面36を径方向外方に向けて押圧し、1対の係合子5を、被押圧面20に近づく方向(径方向外側)に移動させる。これにより、1対の係合子5のそれぞれの係合子5の押圧面32が、被押圧面20に対して押し付けられ、それぞれの押圧面32が被押圧面20に摩擦係合する。この結果、出力部材3に逆入力された回転トルクが、他の部材に固定されて回転しないハウジング4に伝わることで完全に遮断されて入力部材2に伝達されない、または、出力部材3に逆入力された回転トルクの一部のみが入力部材2に伝達され残部が遮断される。
【0099】
出力部材3に逆入力された回転トルクを完全に遮断して入力部材2に伝達されないようにするには、押圧面32が被押圧面20に対して摺動(相対回転)しないように、1対の係合子5を出力側係合部11と被押圧面20との間で突っ張らせ、出力部材3をロックする。これに対し、出力部材3に逆入力された回転トルクのうちの一部のみが入力部材2に伝達され残部が遮断されるようにするには、押圧面32が被押圧面20に対して摺動するように、1対の係合子5を出力側係合部11と被押圧面20との間で突っ張らせ、出力部材3を半ロックする。出力部材3が半ロックした状態で、さらに出力部材3に回転トルクが逆入力されると、1対の係合子5が、出力側係合部11と出力側被係合部34との係合に基づいて、押圧面32を被押圧面20に対して摺動させつつ、出力部材3の回転中心を中心として回転する。1対の係合子5が回転すると、入力側係合部8がリンク部材31を介して揺動支持軸33に引っ張られ、入力部材2に回転トルクの一部が伝達される。
【0100】
本例では、1対の係合子5のそれぞれの係合子5が、係合子本体30の径方向外側面の周方向に離隔した2箇所に押圧面32を有しているため、出力部材3に回転トルクが逆入力された際に、くさび効果によって、被押圧面20と押圧面32との摩擦係合力を大きくすることができる。ただし、本発明を実施する場合には、係合子本体の径方向外側面の周方向1箇所にのみ押圧面を有する構造を採用することもできる。
【0101】
本例の逆入力遮断クラッチ1によれば、入力部材2を駆動するための入力側機構の制御性を低下させずに済む。
【0102】
すなわち、本例では、図8および図11に示すように、入力部材2および出力部材3に回転トルクが入力されていない中立状態において、1対の弾性体56の弾性力により、リンク部材31に備えられた入力側被係合部55の内周面のうち、第1方向に関して被押圧面20から遠い側である径方向内側の端部を、入力側係合部8の外周面のうち、第1方向に関して被押圧面20から遠い側である径方向内側の端部に、弾性的に押し付けることができる。このため、前記中立状態において、入力部材2を回転させるには、リンク部材31を介して、1対の弾性体56のうち、入力部材2の回転方向に関してリンク部材31の前方側に存在する弾性体56を縮める必要がある。したがって、本例のように、逆入力遮断クラッチ1の組み立て作業性を考慮して、図10に示すように、揺動支持軸33と入力側係合部8との互いに遠い側の端縁同士の間隔Waを、支持孔53と入力側被係合部55との互いに遠い側の端縁同士の間隔Wb以下になるように設定した場合にも、入力側係合部8が軽い力で回転してしまうことを防止でき、入力部材2のがたつきを抑えることができる。
【0103】
したがって、入力部材2に、回転駆動源である電動モータなどの入力側機構を接続し、本例の逆入力遮断クラッチ1を、例えば工作機械のテーブルの位置調整装置などに組み込んで使用する場合にも、逆入力遮断クラッチ1をロック状態または半ロック状態から非ロック状態に切り換える際の制御などが複雑になることを防止でき、入力側機構の制御性が低下することを防止できる。
【0104】
また、本例の逆入力遮断クラッチ1によれば、入力部材2への回転トルクの入力時に、ロックまたは半ロック状態から非ロック状態への切り換えを円滑に行うことができる。この点について、図19(A)および図19(B)を参照しつつ説明する。
【0105】
図19(A)(a)および図19(A)(b)は、本例の構造に関して、入力部材2の一部と係合子5の一部との相互の位置関係を示している。より具体的には、図19(A)(a)は、図7に示したロックまたは半ロック状態における、位置関係を示している。図19(A)(b)は、図19(A)(a)に示した状態から、入力部材2に回転トルクTが入力されることにより、入力側係合部8が入力部材2の回転方向(図示の例では時計方向)に回転し、1対の弾性体56のうち、入力部材2の回転方向に関してリンク部材31の前方側(図19(A)(a)および図19(A)(b)の右側)に存在する弾性体56を縮めるとともに、支持孔53と揺動支持軸33との間の隙間を減少させて、入力側係合部8から揺動支持軸33にリンク部材31を介して並進荷重Fが作用し始めた状態での、前記位置関係を示している。
【0106】
一方、図19(B)(a)および図19(B)(b)は、比較例の構造、すなわち、入力部材102zの入力側係合部107zの形状が円柱状である点を除き、前述した従来構造と同様の構成を有する構造に関して、入力部材102zの一部と係合子105の一部との相互の位置関係を示している。より具体的には、図19(B)(a)は、ロックまたは半ロック状態において、入力側係合部107zが係合子105の幅方向中央部に位置する状態での、前記位置関係を示している。図19(B)(b)は、図19(B)(a)に示した状態から、入力部材102zに回転トルクTが入力されることにより、入力側係合部107zが入力部材102zの回転方向(図示の例では時計方向)に回転して、入力側係合部107zが係合子105の入力側被係合部113に当接し、入力側係合部107zと入力側被係合部113との当接部Xに、回転トルクTに基づく並進荷重Ftが作用し始めた状態での、前記位置関係を示している。
【0107】
比較例の構造では、図19(B)(b)に示したように、並進荷重Ftの方向、すなわち、入力部材102zから係合子105に作用する荷重の方向は、ロックまたは半ロック状態から非ロック状態への切り換え時に係合子105が移動すべき方向である、係合子105の径方向(被押圧面に対する係合子105の遠近方向)に対して大きく傾いている。
【0108】
これに対して、本例の構造では、図19(A)(b)に示したように、並進荷重Fの方向、すなわち、入力部材2から係合子5に作用する荷重の方向は、ロックまたは半ロック状態から非ロック状態への切り換え時に係合子5が移動すべき方向である、係合子5の径方向(被押圧面20に対する係合子5の遠近方向)とほぼ平行な方向になっている。換言すれば、並進荷重Fの方向と係合子5が移動すべき方向とのなす角度が、比較例の構造における、並進荷重Ftの方向と係合子105が移動すべき方向とのなす角度よりも小さい。つまり、本例の構造では、入力部材2に入力された回転トルクTを、係合子5を径方向内側に移動させるための荷重に効率良く変換することができる。このため、本例の構造によれば、入力部材2への回転トルクの入力時に、ロックまたは半ロック状態から非ロック状態への切り換えを円滑に行うことができる。
【0109】
図10に示した、本例の構造における、揺動支持軸33と入力側係合部8との互いに遠い側の端縁同士の間隔Waと、支持孔53と入力側被係合部55との互いに遠い側の端縁同士の間隔Wbとの差Wb−Waは、逆入力遮断クラッチの組み立てを容易にする観点からは、極力大きいことが望ましいが、その一方で、入力部材2に回転トルクが入力された際に、直ちに係合子5を径方向内側に移動させて非ロック状態を実現できるようにする観点からは、極力小さいことが望ましい。したがって、逆入力遮断クラッチの製造においては、これらの事情を考慮して、差Wb−Waの大きさを、適度な大きさに調整する必要がある。
【0110】
なお、この点に関しては、比較例の構造における、入力側係合部107zの径方向内側面と入力側被係合部113との間に存在する隙間Gzの大きさについても、同様である。ただし、比較例の構造では、隙間Gzの大きさを調整するために、入力側被係合部113のうち、入力側係合部107zの径方向内側面と当接する部分を、切削加工で高精度に仕上げることが必要になる場合があり、この場合には、コストが嵩むと想定される。これに対して、本例の構造では、リンク部材31の支持孔53と入力側被係合部55との中心間距離を管理するだけで、差Wb−Waの大きさを調整することができ、リンク部材31は安価なプレス加工で造れるため、コストを抑えやすい。
【0111】
本例では、1対の弾性体56のそれぞれを、係合子本体30とリンク部材31とのいずれにも固定せずに、係合子本体30とリンク部材31とで弾性的に挟持している。このため、弾性体56を固定するための作業を省略できるとともに、固定するのに用いる部品を削減することができる。したがって、逆入力遮断クラッチ1の製造コストの低減を図れる。また、弾性体56の設置スペースを小さく抑えられるため、逆入力遮断クラッチ1の小型化を図れる。
【0112】
また、弾性体56を、1対の本体プレート40同士の間に配置しているため、弾性体56が、係合子本体30から軸方向に脱落することを防止できる。さらに、リンク部材31に備えられたくびれ部60の内側に、弾性体56の一部を進入させることができるため、弾性体56を備えることに起因して、逆入力遮断クラッチ1が大型化することを抑制できる。
【0113】
[第2例]
本発明の実施の形態の第2例について、図21を用いて説明する。
【0114】
本例は、第1例の変形例である。本例では、1対の弾性体56aのそれぞれの弾性体56aを、シリコンゴムなどのゴムから構成している。それぞれの弾性体56aは、環状に構成されており、その中心軸を入力部材2の中心軸と平行に配置した状態で、リンク部材31に備えられたくびれ部60と、中間プレート41の幅方向中央側の側面の中間部に備えられた凹み部62との間に弾性的に挟持されている。つまり、それぞれの弾性体56aは、くびれ部60と凹み部62とにそれぞれ接触している。
【0115】
弾性体56aをくびれ部60と凹み部62との間で弾性的に挟持した状態で、弾性体56aは、くびれ部60および凹み部62のそれぞれを構成する凹曲面に沿って弾性変形する。これにより、弾性体56aは、くびれ部60および凹み部62に対して、それぞれ面接触する。このため、くびれ部60および凹み部62のそれぞれは、弾性体56aとの接触位置(接触状態)を安定させる座面として機能する。したがって、弾性体56aを、係合子本体30(中間プレート41)とリンク部材31とのいずれにも固定しなくても、弾性体56aの姿勢を安定させることができる。
【0116】
本例では、係合子本体30とリンク部材31との間に、弾性体56aを組み込む作業を容易に行うことができる。特に、弾性体56aを、自由状態で円環状に構成した場合には、弾性体56aの取付位相に関する制約がなくなるため、組み込み作業をより容易に行うことができる。なお、環状のゴムからなる弾性体を、係合子本体に対して固定する場合には、例えば、1対の本体プレート40同士の間に軸方向にかけ渡すようにピンを配置し、該ピンを弾性体の内側に挿通する構成を採用することができる。このような構成によれば、弾性体を固定する構成を採用した場合にも、逆入力遮断クラッチが大型化することを防止できる。
【0117】
第2例のその他の構成および作用効果については、第1例と同様である。
【0118】
[第3例]
本発明の実施の形態の第3例について、図22を用いて説明する。
【0119】
本例も、第1例の変形例である。本例では、1対の弾性体56bのそれぞれの弾性体56bを、板ばねから構成している。それぞれの弾性体56bは、略U字形に構成されており、リンク部材31と中間プレート41aとの間に配置されている。
【0120】
弾性体56bの一方側の端部は、くびれ部60に沿って湾曲しており、くびれ部60に対して面接触する。このため、本例の場合にも、くびれ部60は、弾性体56bの接触位置(接触状態)を安定させる座面として機能する。
【0121】
これに対し、弾性体56bの他方側の端部は、中間プレート41aに対して固定されている。本例では、中間プレート41aのうち、幅方向に関する中央側部に備えられた、円弧状に湾曲した係止溝63に、弾性体56の他方側の端部を係止することで、弾性体56bの他方側の端部を中間プレート41aに対して固定している。
【0122】
本例では、弾性体56bを板ばねから構成しているため、弾性体56bの設置スペースを小さくすることができる。このため、弾性体56bを備えることにより、逆入力遮断クラッチ1が大型化することを抑制できる。また、弾性体56bの他方側の端部を、中間プレート41aに備えられた係止溝63に係止することで、弾性体56bを中間プレート41aに固定しているため、弾性体56bを固定するために、ねじなどの専用の部品を使用する必要がない。このため、逆入力遮断クラッチ1の重量増大を防止できるとともに、逆入力遮断クラッチ1の大型化を防止できる。
【0123】
第3例のその他の構成および作用効果については、実施の形態の第1例と同様である。
【0124】
本発明を実施する場合に、上記実施の形態の各例の構造は、矛盾を生じない範囲で、適宜組み合わせて実施することができる。
【0125】
本発明を実施する場合に、弾性体の構造および形状は、上記実施の形態の各例で説明した構造および形状に限定されず、リンク部材に対して径方向外側に向いた弾性力を付与するという機能を発揮できる限りにおいて、適宜変更することができる。また、弾性体は、リンク部材と中間プレートとの間に配置する構造に限らず、リンク部材と本体プレートとの間に配置することもできるし、リンク部材と揺動支持軸との間に配置することもできる。この場合、弾性体は、リンク部材に固定することもできるし、中間プレート、本体プレートまたは揺動支持軸に固定することもできる。また、弾性体を、リンク部材と揺動支持軸との間に組み込む場合には、例えば、リンク部材の第1の端部に備えられた支持孔の内面と揺動支持軸の外面と間に、板ばね状の弾性体を組み込む構成などを採用することができる。
【0126】
本発明を実施する場合に、リンク部材に対して、第1方向に関して被押圧面に近づく方向である、係合子本体の径方向外側に向いた弾性力Fyを付与することができる限り、係合子本体とリンク部材との間に組み込む弾性体の数は、実施の形態の各例で示したそれぞれの係合子について2個(1対の弾性体)に限られず、それぞれの係合子について1個のみ組み込むこともできるし、それぞれの係合子について3個以上組み込むこともできる。このような構成は、例えば、中間プレートの構造を変更することにより可能となる。
【符号の説明】
【0127】
1 逆入力遮断クラッチ
2 入力部材
3 出力部材
4 ハウジング
5 係合子
6 入力軸部
7 入力腕部
8 入力側係合部
9 嵌合孔
10 出力軸部
11 出力側係合部
12 側面
13 ガイド面
14 出力側ハウジング素子
15 入力側ハウジング素子
16 ボルト
17 外径側筒部
18 内径側筒部
19 側板部
20 被押圧面
21 出力側インロー嵌合面
22 ねじ孔
23 出力側軸受嵌合面
24 外径側筒部
25 内径側筒部
26 側板部
27 入力側インロー嵌合面
28 通孔
29 入力側軸受嵌合面
30 係合子本体
31 リンク部材
32 押圧面
33 揺動支持軸
34 出力側被係合部
35 内部空間
36 底面
37 被ガイド面
38 挿通孔
39 凸部
40 本体プレート
41、41a 中間プレート
42 ボルト
43 ナット
44 凸面
45 取付孔
46 凹部
47 貫通孔
48 通孔
49 位置決め孔
50 通孔
51 位置決め孔
52 第1の端部
53 支持孔
54 第2の端部
55 入力側被係合部
56、56a、56b 弾性体
57 入力側軸受
58 出力側軸受
59 張り出し部
60 くびれ部
61 付勢部材
62 凹み部
63 係止溝
101 逆入力遮断クラッチ
102、102z 入力部材
103 出力部材
104 被押圧部材
105 係合子
106 入力軸部
107、107z 入力側係合部
108 出力軸部
109 出力側係合部
110 被押圧面
111 押圧面
112 底面
113 入力側被係合部
114 出力側被係合部
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【国際調査報告】