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再表2021-131003架橋高分子化合物及びその製造方法、吸収性物品、紙おむつ、生理用品、処理容器、並びに処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2021年7月1日
【発行日】2021年12月23日
(54)【発明の名称】架橋高分子化合物及びその製造方法、吸収性物品、紙おむつ、生理用品、処理容器、並びに処理方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/04 20060101AFI20211126BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20211126BHJP
   A61L 15/22 20060101ALI20211126BHJP
   A61F 13/539 20060101ALI20211126BHJP
【FI】
   C08F220/04
   A61F13/53 300
   A61L15/22 200
   A61F13/539
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】特願2020-568824(P2020-568824)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年12月26日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】木原 伸浩
【テーマコード(参考)】
3B200
4J100
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA17
3B200BB17
3B200DA12
3B200DB01
3B200DB02
4J100AJ02P
4J100AM23Q
4J100CA04
4J100CA23
4J100CA31
4J100DA37
4J100FA03
4J100FA19
4J100GC26
4J100HA09
4J100HA31
4J100HB39
4J100HE08
4J100HE12
4J100JA60
(57)【要約】
高い吸水性を有し、且つ使用後に排出される廃棄物の量を削減し得る紙おむつや生理用品などの吸収性物品、それに用いた架橋高分子化合物及びその製造方法、並びに紙おむつや生理用品などを処理するための処理容器及び処理方法を提供すること。
本発明に係る架橋高分子化合物は、下記式(1)に示す骨格単位と、下記式(2)に示す骨格単位とを含むものである。
式(1):

(ここで、Rは水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上であり、Xは−COO、−SO及び−P(=O)(Oから選択される1種以上であり、YはLi、Na、Kから選択される1種以上である。)
式(2):

(ここで、2つのRはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上である。)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)に示す骨格単位と、下記式(2)に示す骨格単位とを含む
架橋高分子化合物。
式(1):
【化1】
(ここで、Rは水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上であり、Xは−COO、−SO及び−P(=O)(Oから選択される1種以上であり、YはLi、Na、Kから選択される1種以上である。)
式(2):
【化2】
(ここで、2つのRはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、及びこれらを置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上である。)
【請求項2】
式(1)に示す骨格単位と、式(2)に示す骨格単位とのみからなり、
式(1)に示す骨格単位と、式(2)に示す骨格単位との割合(式(1)に示す骨格単位:式(2)に示す骨格単位)が、モル比で90:10〜99.9999:0.0001である
請求項1に記載の架橋高分子化合物。
【請求項3】
式(1)における部位R及び2つのRがHであり、部位Xが−COOであり、部位YがNaである
請求項1又は2に記載の架橋高分子化合物。
【請求項4】
ランダム共重合体である
請求項1〜3のいずれか1項に記載の架橋高分子化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋高分子化合物を、吸水材として用いた
吸収性物品。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋高分子化合物を、吸水材として用いた
紙おむつ。
【請求項7】
表面材と、前記表面材を閉じる糸と、吸水材とを含み、
前記吸水材が前記表面材の間の前記糸によって閉じられた空間内に配置される紙おむつであって、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋高分子化合物を、吸水材として用い、
生分解性又は酸化分解性の化合物を、前記糸として用いた
紙おむつ。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋高分子化合物を、吸水材として用いた
生理用品。
【請求項9】
表面材と、吸水材と、前記表面材を閉じる糸とを含み、
前記吸水材が前記表面材の間の前記糸によって閉じられた空間内に配置される生理用品であって、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋高分子化合物を、吸水材として用い、
生分解性又は酸化分解性の化合物を、前記糸として用いた
生理用品。
【請求項10】
酸素以外の酸化剤と、請求項6若しくは7に記載の紙おむつ又は請求項8若しくは9に記載の生理用品とを収容可能な
処理容器。
【請求項11】
酸素の酸化剤が収容された請求項10に記載の処理容器内に、
請求項6若しくは7に記載の紙おむつ又は請求項8又は9に記載の生理用品を投入する
処理方法。
【請求項12】
下記式(3)に示す単量体と、下記式(4)に示す単量体とを、共重合する工程を含む
架橋高分子化合物の製造方法。
式(3):
【化3】
(ここで、Rは水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上であり、Xはそれぞれ独立して−COO、−SO及び−P(=O)(Oから選択される1種以上である。)
式(4):
【化4】
(ここで、2つのRはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋高分子化合物及びその製造方法、吸収性物品、紙おむつ、生理用品、処理容器、並びに処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリル酸ナトリウムとジビニル架橋剤の共重合体は、アクリル酸ナトリウムの高い親水性に由来して、最大で自重の数百倍から千倍程の水を吸収することができることから、紙おむつや生理用品の吸水材として用いられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところで、保育園、病院、介護施設等では、紙おむつや生理用品が大量に消費される。使用後の紙おむつや生理用品は、通常集められて廃棄されるが、水分を吸収した紙おむつや生理用品は重いため、保育園、病院、介護施設等の職員等の負担になりやすい。
【0004】
また、大量に廃棄された紙おむつや生理用品は、廃棄物として嵩が大きく、また、排泄物などを含むことから、保管や処分のためのコストが大きい。
【0005】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−315147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上で述べたように、使用後の紙おむつや生理用品の廃棄は、大きな社会問題となっており、使用後の紙おむつや生理用品から廃棄される廃棄物を削減し得る手法が求められている。
【0008】
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、高い吸水性を有し、且つ使用後に排出される廃棄物の量を削減し得る紙おむつや生理用品などの吸収性物品、それに用いた架橋高分子化合物及びその製造方法、並びに紙おむつや生理用品などを処理するための処理容器及び処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、アクリル酸等、ポリアクリル酸ナトリウム等の主鎖が、ジアシルヒドラジンにより架橋された架橋高分子化合物は、酸素以外の酸化剤で処理することにより容易に分解して水へ溶解させて容易に処分することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
[1]下記式(1)に示す骨格単位と、下記式(2)に示す骨格単位とを含む
架橋高分子化合物。
式(1):
【化1】
(ここで、Rは水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上であり、Xは−COO、−SO及び−P(=O)(Oから選択される1種以上であり、YはLi、Na、Kから選択される1種以上である。)
式(2):
【化2】
(ここで、2つのRはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上である。)
【0011】
[2]式(1)に示す骨格単位と、式(2)に示す骨格単位とのみからなり、式(1)に示す骨格単位と、式(2)に示す骨格単位との割合(式(1)に示す骨格単位:式(2)に示す骨格単位)が、モル比で90:10〜99.9999:0.0001である、[1]に記載の架橋高分子化合物。
【0012】
[3]式(1)における部位R、及び2つのRいずれもがHであり、部位Xが−COOであり、部位YがNaである、[1]又は[2]に記載の架橋高分子化合物。
【0013】
[4]ランダム共重合体である、[1]〜[3]のいずれかに記載の架橋高分子化合物。
【0014】
[5][1]〜[4]のいずれか1項に記載の架橋高分子化合物を、吸水材として用いた、吸収性物品。
【0015】
[6][1]〜[4]のいずれか1項に記載の架橋高分子化合物を、吸水材として用いた、紙おむつ。
【0016】
[7]表面材と、前記表面材を閉じる糸と、吸水材とを含み、
前記吸水材が前記表面材の間の前記糸によって閉じられた空間内に配置される紙おむつであって、[1]〜[4]のいずれかに記載の架橋高分子化合物を、吸水材として用い、生分解性又は酸化分解性の化合物を、前記糸として用いた、紙おむつ。
【0017】
[8][1]〜[4]のいずれかに記載の架橋高分子化合物を、吸水材として用いた、生理用品。
【0018】
[9]表面材と、吸水材と、前記表面材を閉じる糸とを含み、前記吸水材が前記表面材の間の前記糸によって閉じられた空間内に配置される生理用品であって、[1]〜[4]のいずれかに記載の架橋高分子化合物を、吸水材として用い、生分解性又は酸化分解性の化合物を、前記糸として用いた、生理用品。
【0019】
[10]酸素以外の酸化剤と、[6]若しくは[7]に記載の紙おむつ又は[8]若しくは[9]に記載の生理用品とを収容可能な、処理容器。
【0020】
[11]酸素以外の酸化剤が収容された[10]に記載の処理容器内に、[6]若しくは[7]に記載の紙おむつ又は[8]又は[9]に記載の生理用品を投入する、処理方法。
【0021】
[12]下記式(3)に示す単量体と、下記式(4)に示す単量体とを、共重合する工程を含む、架橋高分子化合物の製造方法。
式(3):
【化3】
(ここで、Rは水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上であり、Xは−COO、−SO及び−P(=O)(Oから選択される1種以上である。)
式(4):
【化4】
(ここで、2つのRはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上である。)
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、アクリル酸等、ポリアクリル酸ナトリウム等の主鎖が、ジアシルヒドラジンにより架橋された架橋高分子化合物は、酸素以外の酸化剤で処理することにより容易に分解して水へ溶解させて処分することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態について何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0024】
≪架橋高分子化合物≫
本実施形態に係る架橋高分子化合物は、下記式(1)に示す骨格単位と、下記式(2)に示す骨格単位とを含むものである。
式(1):
【化5】
(ここで、Rは水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上であり、Xは−COO、−SO及び−P(=O)(Oから選択される1種以上であり、YはLi、Na、Kから選択される1種以上である。)
式(2):
【化6】
(ここで、2つのRはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上である。)
【0025】
このような架橋高分子化合物は、以下の式(5)のようにも表される。
式(5):
【化7】
(ここで、R及び2つのRはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上であり、Xはそれぞれ独立して−COO、−SO及び−P(=O)(Oから選択される1種以上であり、Yはそれぞれ独立してLi、Na及びKから選択される1種以上である。)
【0026】
式(5)で表されるとおり、本実施形態に係る架橋高分子化合物の重合鎖は、ジアシルヒドラジン(一般式:R−CONHNHCO−R、R及びRは、それぞれ独立に任意の重合鎖)によって架橋された構造を有していると捉えることができる。以下の式(6)に表されるとおり、ジアシルヒドラジンは、酸素以外の酸化剤と反応して分解し、カルボン酸と窒素とを生成する。この反応により、重合鎖を架橋しているジアシルヒドラジン鎖が切断され重合鎖が遊離の状態となり、水に溶解する。重合鎖は、例えばポリアクリル酸等であり、これらは生体や環境に対して極めて低毒性であるから、分解して遊離の状態になった重合鎖を含む排水は、特に処理を要せず下水に排出することができる。
式(6):
【化8】
(ここで、R及び2つのRはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上であり、Xはそれぞれ独立して−COO、−SO及び−P(=O)(Oから選択される1種以上であり、Yはそれぞれ独立してLi、Na及びKから選択される1種以上である。)
【0027】
また、本実施形態に係る架橋高分子化合物は、式(1)に示す骨格単位の強い親水性に起因して、優れた吸水能を有している。
【0028】
本実施形態に係る架橋高分子化合物は、式(1)に示す骨格単位と、式(2)に示す骨格単位とのみからなってもよいし、(1)に示す骨格単位と、式(2)に示す骨格単位以外に、他の骨格単位を、架橋高分子化合物に含まれる全ての骨格単位に対して50モル%以下含んでいてもよい。
【0029】
架橋高分子化合物が、式(1)に示す骨格単位と、式(2)に示す骨格単位とのみからなる場合、式(1)に示す骨格単位と、式(2)に示す骨格単位との割合(式(1)に示す骨格単位:式(2)に示す骨格単位)としては特に限定されないが、モル比で90:10〜99.9999:0.0001であることが好ましく、93:7〜99.99:0.01であることがより好ましく、94:8〜99.9:0.1であることがさらに好ましく、97:3〜99.5:0.5であることが特に好ましい。なお、本明細書において、「A:B〜C:D」の表記は、式(1)に示す骨格単位の割合がA以上C以下のとき、式(2)に示す骨格単位の割合がB以下D以上の範囲であり、且つ式(1)に示す骨格単位の割合と式(2)に示す骨格単位の割合との和が100であることを意味している。以上の範囲であることにより、−COONa基による高い親水性(吸水性)を有しながら、適切に架橋構造を維持できる。
【0030】
架橋高分子化合物が、(1)に示す骨格単位と、式(2)に示す骨格単位以外に、他の骨格単位を含む場合、他の骨格単位を構成する単量体としては、特に限定されないが、例えば、(無水)マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、ビニルスルホン酸、アリルトルエンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート等のアニオン性不飽和単量体およびその塩;メルカプタン基含有不飽和単量体;フェノール性水酸基含有不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体等が挙げられる。
【0031】
架橋高分子化合物は、式(1)に示す骨格単位と、式(2)に示す骨格単位以外に、他の骨格単位を含む場合、式(2)に示す骨格単位以外の骨格単位と、式(2)に示す骨格単位との割合(式(2)に示す骨格単位以外の骨格単位:式(2)に示す骨格単位)としては特に限定されないが、モル比で90:10〜99.9999:0.0001であることが好ましく、93:7〜99.99:0.01であることがより好ましく、94:8〜99.9:0.1であることがさらに好ましく、97:3〜99.5:0.5であることが特に好ましい。
【0032】
架橋高分子化合物が他の骨格単位を含む場合、他の骨格単位の含有量は、50モル%以下であれば特に限定されないが、架橋高分子化合物に含まれる全ての骨格単位に対して45モル%以下、40モル%以下、35モル%以下、30モル%以下、27モル%以下、25モル%以下、22モル%以下、20モル%以下、15モル%以下、12モル%以下、10モル%以下、9モル%以下、8モル%以下、7モル%以下、6モル%以下、5モル%以下、4モル%以下、3モル%以下、2モル%以下、1モル%以下、0.5モル%以下、0.1モル%以下、0.05モル%以下、0.01モル%以下、0.005モル%以下、0.001モル%以下、0.0005モル%以下、0.0001であってよい。他の骨格単位の含有量は、0モル%超であってよい。
【0033】
式(1)におけるRとしては、上述したとおり、水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上であれば特に限定されないが、吸水性の高さ及び単量体のコスト等の観点から、水素(H)であることが好ましい。
【0034】
また、Rがアルキル鎖である場合、アルキル鎖の炭素数としては、特に限定されないが、2以下であることがより好ましく、1であることがより好ましい。
【0035】
式(1)におけるXとしては、上述したとおり、−COO基、−SO基及び−P(=O)(O基のうちいずれか1種以上であれば特に限定されないが、吸水性の高さ及び単量体のコスト等の観点から、−COO基であることが好ましい。
【0036】
式(1)におけるYとしては、上述したとおり、Li、Na及びKのうちいずれか1種以上であれば特に限定されないが、吸水性の高さ及び単量体のコスト等の観点から、Na基であることが好ましい。
【0037】
式(2)における2つのRとしては、上述したとおり、それぞれ独立して、水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、及びこれらを置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上であれば特に限定されないが、吸水性の高さ及び単量体のコスト等の観点から、いずれも水素(H)であることが好ましい。
【0038】
また、Rがアルキル鎖である場合、アルキル鎖の炭素数としては、特に限定されないが、それぞれ独立して、2以下であることが好ましく、1であることがより好ましい。
【0039】
なお、2つのRは、いずれも水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択されるものであれば、同一のものであっても、異なるものであってもよい。
【0040】
また、重合された状態(式(5)で表される状態)において、R及びRは水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択されるものであれば、必ずしもRが1種、Rが1種又は2種である必要はなく、それらを超える複数種であってもよい。すなわち、そのような複数種を有する架橋高分子化合物は、下記式(3)に示す単量体として、Rがそれぞれ異なる複数種のモノマー及び/又は下記式(4)に示す単量体として、Rがそれぞれ異なる複数種のモノマーを用いることにより得られるものである。
【0041】
本実施形態に係る架橋高分子化合物としては、上記式(1)に示す骨格単位と、上記式(2)に示す骨格単位との関係において、ブロック共重合体であっても、ランダム共重合体であってもよいが、ジアシルヒドラジンの架橋によるゲル化等の効果を有効に得る観点から、重合鎖全体で均一に架橋されるランダム共重合であることが好ましい。
【0042】
≪架橋高分子化合物の製造方法≫
本実施形態に係る架橋高分子化合物の製造方法は、上述した架橋高分子化合物を合成することができる製造方法である。この架橋高分子化合物の製造方法は、下記式(3)に示す単量体と、下記式(4)に示す単量体とを、共重合する工程を含む。
式(3):
【化9】
(ここで、Rは水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上であり、Xは−COO、−SO及び−P(=O)(Oから選択される1種以上である。)
式(4):
【化10】
(ここで、2つのRはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上である。)
【0043】
この重合反応の反応式は、以下の式(7)で表される。
式(7):
【化11】
(ここで、R及び2つのRはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上であり、Xはそれぞれ独立して−COO、−SO及び−P(=O)(Oから選択される1種以上であり、Yはそれぞれ独立してLi、Na及びKから選択される1種以上である。)
【0044】
なお、式(3)に示される単量体及び式(4)に示される単量体は、それぞれ1種を用いても複数種を用いても、一方が1種、他方が複数種を用いてもよい。
【0045】
重合方法は、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成に用いられるいずれの重合方法も用いることができる。具体的に、重合方法としては、水溶液重合、逆相懸濁重合、噴霧重合、液滴重合、バルク重合、沈澱重合等が挙げられる。重合の制御の容易性や吸水剤の吸水性能の観点から、重合方法としては、水溶液重合又は逆相懸濁重合を用いることが好ましく、水溶液重合を用いることがより好ましい。
【0046】
重合開始剤としては、特に限定されないが、熱分解型重合開始剤、光分解型重合開始剤又はこれら重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用したレドックス系重合開始剤を用いることができる。重合開始剤として、具体的に、重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩や、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等のラジカル重合開始剤を用いることができる。また、重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等のアゾアミジン化合物、2,2’−アゾビス〔2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕等の環状アゾアミジン化合物、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕等のアゾアミド化合物、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾシアノ化合物等のアゾ系ラジカル重合開始剤を用いることもできる。重合開始剤としては、これらのうち、重合形態等を考慮して少なくとも1種又は2種以上の重合開始剤を選択することができる。なお、酸化性ラジカル重合開始剤を用いる場合、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸等の還元剤を併用することもできる。
【0047】
重合開始剤の使用量としては、特に限定されないが、単量体の総量に対して、0.01モル%以上であることが好ましく、0.1モル%以上であることがより好ましく、0.5モル%以上であることがさらに好ましい。また、重合開始剤の使用量としては、単量体の総量に対して、10モル%以下であることが好ましく、8モル%以下であることがより好ましく、7モル%以下であることがさらに好ましい。
【0048】
重合反応は、放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線の照射によって開始させてもよい。また、重合反応は、活性エネルギー線の照射と上述した重合開始剤とを併用してもよい。
【0049】
≪吸収性物品≫
本実施形態に係る吸収性物品は、架橋高分子化合物を、吸水材として用いたものである。
【0050】
吸収性物品は、紙おむつ、生理用品(生理用ナプキン)、成人向け失禁用品(失禁パッド)、ペット用シート等の衛生材料(衛生用品)、農園芸用の土壌保水剤、工業用の止水剤等、吸水を目的とするあらゆる用途の吸水材に用いることができる。従来公知の吸収性物品の吸水材の代替として、上述した架橋高分子化合物を用いることができる。
【0051】
例えば、吸収性物品として、紙おむつや生理用品を構成する場合、この紙おむつ及び生理用品は、表面材と、その表面材を閉じる糸と、吸水材とを含み、吸水材が表面材の間の糸によって閉じられた空間内に配置されるものであり、上述した架橋高分子化合物を、吸水材として用い、生分解性又は酸化分解性の化合物を、糸として用いたことを特徴とするものである。
【0052】
紙おむつや生理用品において、吸水材が表面材の間の糸によって閉じられた空間内に配置されることにより、紙おむつや生理用品の使用中は、吸水材が空間の外部へ出ることがない。一方、紙おむつや生理用品の使用後に、例えば後述する処理容器等に収容すると、表面材を留める生分解性又は酸化分解性の化合物から構成される糸が分解されて、表面材が閉じた空間を形成しなくなり、吸水材が空間の外部へ出る。このようにして外部へ出た吸水材は、処理容器内の酸化剤と反応して遊離の重合鎖まで分解されて、排出することができる。
【0053】
なお、紙おむつ及び生理用品には、上述した表面材、糸及び吸水材以外に、吸水材の酸化剤への接触を妨げない範囲内で様々な機能を発現させるための他の材を加えてもよい。
【0054】
≪処理容器≫
本実施形態に係る処理容器は、酸素以外の酸化剤と、上述した紙おむつ又は生理用品とを収容可能なものである。
【0055】
処理容器の形状としては、酸素以外の酸化剤と、上述した紙おむつ又は生理用品とを収容可能なものであれば特に限定されず、少なくとも一方の端部が閉じた円筒、角筒等であってよい。処理容器としては、両方の端部が閉じた筒状体であって、少なくとも一方の端部が蓋体によって閉じられていることが好ましい。蓋体を開くことで紙おむつ又は生理用品を処理容器の内部に投入することができ、ここで、酸化剤(必要であれば溶液)と接触して、式(6)に示される反応により分解されて、遊離の重合鎖を生成する。
【0056】
酸化剤としては、単体の酸素以外の酸化剤であれば特に限定されず、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、過臭素酸、臭素酸、亜臭素酸、次亜臭素酸、過ヨウ素酸、ヨウ素酸、亜ヨウ素酸、次亜ヨウ素酸、硝酸、亜硝酸等の酸素酸、及びそれらの任意の塩あるいは任意の誘導体、単体の塩素、単体の臭素、単体のヨウ素、単体の硫黄、及びそれらを含む任意の溶液、二酸化窒素、一酸化窒素等の窒素酸化物、超酸化物、過酸化物等の酸素化合物、遷移金属塩、遷移金属錯体等の遷移金属化合物等を単独又はこれらのうち2種以上の混合物を用いることができる。また、酸化剤としては、これらの酸化剤を単独又はこれらの酸化剤うち2種以上の混合物と、これらの酸化物以外の化合物との混合物を用いることもできる。さらに、これらの酸化剤を単独又はこれらの酸化剤うち2種以上の混合物を触媒量用いて、単体の酸素と共存させることによって、酸化剤として用いることもできる。
【0057】
処理容器の大きさとしては、特に限定されず、通常施設や家庭等で処理する量等を考慮して適切な大きさを選択することができる。
【0058】
処理容器の素材としては、酸素以外の酸化剤により劣化(腐食、割れ等)を起こさないか、起こしにくい素材であることが好ましい。
【0059】
≪処理方法≫
本実施形態に係る処理方法は、酸素以外の酸化剤が収容された上述した処理容器内に、上述した紙おむつ又は生理用品を投入する。
【0060】
このような処理方法によれば、紙おむつ又は生理用品の内部の吸水材を酸化剤で分解して架橋構造を有しない遊離の重合鎖にすることができる。遊離の重合鎖は、水溶性であるため、得られた水に溶解して排水として容易に処理する
【実施例】
【0061】
以下、実施例及び比較例を示して、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0062】
〔架橋高分子化合物の製造〕
以下の式(8)に示す反応により、〔2〕で表される単量体の割合が異なる2種の架橋高分子化合物を製造した。なお、開始剤として用いた〔4〕で表される化合物は、式(9)で表される。
式(8):
【化12】
式(9):
【化13】
【0063】
(実施例1)
式〔1〕で表される単量体(2.0195g、28.03mmol)、式〔2〕で表される単量体(0.0403g、0.288mmol)、NaOH(1.4274g、35.69mmol)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(0.3971g、1.417mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製 V−501;上記式(9)に示す。)を、15mlの水に溶解し、原料水溶液を得た。次いで、原料水溶液を凍結脱気し、アルゴン雰囲気下80℃で19時間加熱し、ゲルを得た。このゲルを水で3回デカンテーションした後、MeOHで23時間Soxhlet洗浄し固体を得た。この固体を真空乾燥し、白色固体の式〔3〕で表される架橋高分子化合物(1.7765g、収率86%)を得た。
【0064】
(実施例2)
式〔1〕で表される単量体(2.0097g、27.89mmol)、式〔2〕で表される単量体(0.2061g、1.471mmol)、NaOH(1.5363g、38.41mmol)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(0.4123g、1.471mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製 V−501)を、15mlの水に溶解し、原料水溶液を得た。次いで、原料水溶液を凍結脱気し、アルゴン雰囲気下80℃で21時間加熱し、ゲルを得た。このゲルを水で3回デカンテーションした後、MeOHで22時間Soxhlet洗浄し固体を得た。この固体を真空乾燥し、白色固体の式〔3〕で表される架橋高分子化合物(2.1536g、収率97%)を得た。
【0065】
〔架橋高分子化合物の吸水性評価〕
実施例1及び2の架橋高分子化合物を、恒温槽を用いて70℃で3時間乾燥させた後、内部にPを置いたデシケーターに入れ、3日間真空乾燥した。一方、ポリエステル製のティーバッグを25℃の蒸留水200mlに1時間浸し、10分間吊るしティーバッグの質量を計測した。このティーバッグに、実施例1の架橋高分子化合物(0.0141g)又は実施例2の架橋高分子化合物(0.0117g)を入れ25℃の蒸留水200mlに浸漬させた。所定の時間後(下記表1において「浸漬時間」と表記する。)に取り出し、浸漬後の実施例1又は2の架橋高分子化合物が入ったティーバッグを10分間吊るした後、質量を測定した。下記式により架橋高分子化合物の吸水率(%)を測定した。
【数1】
【0066】
【表1】
【0067】
〔架橋高分子化合物の酸化分解性評価〕
実施例1の架橋高分子化合物(0.3011g)を5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液10mLに添加して25℃で攪拌しながら目視で観察したところ、50分で均一な溶液となった。また、実施例2の架橋高分子化合物(0.3052g)を同様の方法で観察したところ、60分で均一な溶液となった。式(10)に示す反応が進行して、実施例1及び実施例2の架橋高分子化合物(〔3〕で表される架橋高分子化合物)が、〔5〕で表される高分子化合物に分解することが確認された。
【0068】
式(10):
【化14】

【手続補正書】
【提出日】2020年12月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)に示す骨格単位と、下記式(2)に示す骨格単位とを含む
架橋高分子化合物。
式(1):
【化1】
(ここで、Rは水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上であり、Xは−COO、−SO及び−P(=O)(Oから選択される1種以上であり、YはLi、Na、Kから選択される1種以上である。)
式(2):
【化2】
(ここで、2つのRはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、及びこれらを置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上である。)
【請求項2】
式(1)に示す骨格単位と、式(2)に示す骨格単位とのみからなり、
式(1)に示す骨格単位と、式(2)に示す骨格単位との割合(式(1)に示す骨格単位:式(2)に示す骨格単位)が、モル比で90:10〜99.9999:0.0001である
請求項1に記載の架橋高分子化合物。
【請求項3】
式(1)における部位R及び2つのRがHであり、部位Xが−COOであり、部位YがNaである
請求項1又は2に記載の架橋高分子化合物。
【請求項4】
ランダム共重合体である
請求項1〜3のいずれか1項に記載の架橋高分子化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋高分子化合物を、吸水材として用いた
吸収性物品。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋高分子化合物を、吸水材として用いた
紙おむつ。
【請求項7】
表面材と、前記表面材を閉じる糸と、吸水材とを含み、
前記吸水材が前記表面材の間の前記糸によって閉じられた空間内に配置される紙おむつであって、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋高分子化合物を、吸水材として用い、
生分解性又は酸化分解性の化合物を、前記糸として用いた
紙おむつ。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋高分子化合物を、吸水材として用いた
生理用品。
【請求項9】
表面材と、吸水材と、前記表面材を閉じる糸とを含み、
前記吸水材が前記表面材の間の前記糸によって閉じられた空間内に配置される生理用品であって、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋高分子化合物を、吸水材として用い、
生分解性又は酸化分解性の化合物を、前記糸として用いた
生理用品。
【請求項10】
酸素以外の酸化剤と、請求項6若しくは7に記載の紙おむつ又は請求項8若しくは9に記載の生理用品とを収容可能な
処理容器。
【請求項11】
酸素の酸化剤が収容された請求項10に記載の処理容器内に、
請求項6若しくは7に記載の紙おむつ又は請求項8又は9に記載の生理用品を投入する
処理方法。
【請求項12】
下記式(3)に示す単量体と、下記式(4)に示す単量体とを、YOH(YはLi、Na、Kから選択される1種以上である。)の存在下で共重合する工程を含む
架橋高分子化合物の製造方法。
式(3):
【化3】
(ここで、Rは水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上であり、Xはそれぞれ独立して−COO、−SO及び−P(=O)(Oから選択される1種以上である。)
式(4):
【化4】
(ここで、2つのRはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換カルボニル基、並びにヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基及び置換カルボニル基から選択される1種以上を置換基としてもつ任意のアルキル基から選択される1種以上である。)
【国際調査報告】