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再表2021-132350Ni基合金、耐熱・耐食部品、熱処理炉用部品
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  • 再表WO2021132350-Ni基合金、耐熱・耐食部品、熱処理炉用部品 図000009
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2021年7月1日
【発行日】2021年12月23日
(54)【発明の名称】Ni基合金、耐熱・耐食部品、熱処理炉用部品
(51)【国際特許分類】
   C22C 19/03 20060101AFI20211126BHJP
   F27B 7/22 20060101ALI20211126BHJP
   F27D 1/00 20060101ALI20211126BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20211126BHJP
   C22F 1/10 20060101ALN20211126BHJP
【FI】
   C22C19/03 P
   F27B7/22
   F27D1/00 N
   C22F1/00 611
   C22F1/00 614
   C22F1/00 630A
   C22F1/00 630C
   C22F1/00 631B
   C22F1/00 640A
   C22F1/00 640B
   C22F1/00 640Z
   C22F1/00 650A
   C22F1/00 651Z
   C22F1/00 682
   C22F1/00 691B
   C22F1/10 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
【出願番号】特願2021-534366(P2021-534366)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2020年12月23日
(31)【優先権主張番号】特願2019-239016(P2019-239016)
(32)【優先日】2019年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2020-182292(P2020-182292)
(32)【優先日】2020年10月30日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,IT,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上辻 彩乃
(72)【発明者】
【氏名】浅野 壮一
(72)【発明者】
【氏名】遠城 暢平
(72)【発明者】
【氏名】橋本 国秀
【テーマコード(参考)】
4K051
4K061
【Fターム(参考)】
4K051AA04
4K051AB03
4K051BE03
4K061AA08
4K061BA09
4K061CA02
4K061CA11
(57)【要約】
本発明は、高温における耐食性や機械強度にすぐれたNi基合金、耐熱・耐食部品、熱処理炉用部品を提供する。
本発明のNi基合金は、質量%にて、Al:5.0%を超えて26.0%以下、Zr:0%を超えて5.0%以下、残部Ni及び不可避的不純物からなる。上記Ni基合金は、Bを含み、質量%にて、Zr及びBを合計量で0%を超えて5.0%以下であることが望ましい。また、Ni基合金は、P値=−18.95+0.1956×Ni%+0.1977×Al%+0.2886×Zr%+12.45×B%と、前記表面に析出するNiAlの面積率を割合で示したQ値は、Q値≧0.89×P値−0.53を満たすことが望ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%にて、
Al:5.0%を超えて26.0%以下、
Zr:0%を超えて5.0%以下、
残部Ni及び不可避的不純物からなる、
Ni基合金。
【請求項2】
Bを含み、質量%にて、Zr及びBを合計量で0%を超えて5.0%以下である、
請求項1に記載のNi基合金。
【請求項3】
質量%にて、B:0.001%以上含む、
請求項2に記載のNi基合金。
【請求項4】
表面にNiAlが析出している、
請求項1又は請求項3の何れかに記載のNi基合金。
【請求項5】
P値=−18.95+0.1956×Ni%+0.1977×Al%+0.2886×Zr%+12.45×B%と、
前記表面に析出するNiAlの面積率を割合で示したQ値は、
Q値≧0.89×P値−0.53
を満たす、
請求項4に記載のNi基合金。
【請求項6】
P値=5.91−0.0512×Ni%−0.0612×Al%と、
前記表面に析出するNiAlの面積率を割合で示したQ値は、
Q値≧1.75×P値−1.1
を満たす、
請求項4又は請求項5に記載のNi基合金。
【請求項7】
質量%にて、Al:8.0%以上である、
請求項1乃至請求項6の何れかに記載のNi基合金。
【請求項8】
質量%にて、Y:0.001%〜4.0%をさらに含む、
請求項1乃至請求項7の何れかに記載のNi基合金。
【請求項9】
質量%にて、Ta:0.001%〜4.0%をさらに含む、
請求項1乃至請求項8の何れかに記載のNi基合金。
【請求項10】
質量%にて、
W:0.001%〜5.0%をさらに含む、
請求項1乃至請求項9の何れかに記載のNi基合金。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10の何れかに記載のNi基合金からなる、
耐熱・耐食部品。
【請求項12】
請求項1乃至請求項10の何れかに記載のNi基合金からなる、
熱処理炉用部品。
【請求項13】
熱処理炉用部品は、正極材料の焼成に用いられるレトルトであって、
前記正極材料と接触する内面と、加熱手段により加熱を受ける外面とを有し、
前記外面は、前記内面よりも高硬度である、
請求項12に記載の熱処理炉用部品。
【請求項14】
質量%にて、Al:5.0%を超えて26.0%以下、
残部Ni及び不可避的不純物のNi基合金からなる、
熱処理炉用部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Ni基合金に関するものであり、より具体的には、耐熱性、耐食性にすぐれるNi基合金に関するものである。
【背景技術】
【0002】
焼成炉等の熱処理炉では、熱や腐食雰囲気に曝される部品に、耐熱性はもちろん、耐食性や機械的強度が要求される。このような部品に用いられる合金として、特許文献1では、Al:2.0〜5.0重量%、Cr:0.8%〜4.0%、その他Si、Mn、B、Zrを含み、残部Ni及び不可避不純物としたNi基合金が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−80675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電動車両用等に用いられるリチウムイオン電池や固体電池などの電池市場が急速に拡大している。これら電池の正極材料は、ローラーハースキルンやロータリーキルンなどの焼成炉を用いて製造される。とくに、正極材料を製造する焼成炉は、熱処理炉の中でも高いアルカリ腐食環境下での操業となるから、これらに用いられる熱処理炉用部品には、さらなる耐アルカリ腐食性、機械強度等が要求される。
【0005】
本発明の目的は、高温における耐食性や機械強度にすぐれたNi基合金、耐熱・耐食部品、熱処理炉用部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のNi基合金は、
質量%にて、
Al:5.0%を超えて26.0%以下、
Zr:0%を超えて5.0%以下、
残部Ni及び不可避的不純物からなる。
【0007】
上記Ni基合金は、Bを含み、質量%にて、Zr及びBを合計量で0%を超えて5.0%以下であることが望ましい。
【0008】
上記Ni基合金は、質量%にて、B:0.001%以上含むことができる。
【0009】
上記Ni基合金は、表面にNiAlが析出した構成とすることができる。
【0010】
上記Ni基合金は、
P値=−18.95+0.1956×Ni%+0.1977×Al%+0.2886×Zr%+12.45×B%と、
前記表面に析出するNiAlの面積率を割合で示したQ値は、
Q値≧0.89×P値−0.53
を満たすことが望ましい。
【0011】
上記Ni基合金は、
P値=5.91−0.0512×Ni%−0.0612×Al%と、
前記表面に析出するNiAlの面積率を割合で示したQ値は、
Q値≧1.75×P値−1.1
を満たすことが望ましい。
【0012】
上記Ni基合金は、質量%にて、Al:8.0%以上であることが望ましい。
【0013】
上記Ni基合金は、質量%にて、Y:0.001%〜4.0%をさらに含むことができる。
【0014】
上記Ni基合金は、質量%にて、Ta:0.001%〜4.0%をさらに含むことができる。
【0015】
上記Ni基合金は、質量%にて、W:0.001%〜5.0%をさらに含むことができる。
【0016】
本発明の耐熱・耐食部品は、上記記載のNi基合金からなる。
【0017】
本発明の熱処理炉用部品は、上記記載のNi基合金からなる。
【0018】
熱処理炉用部品は、正極材料の焼成に用いられるレトルトであって、
前記正極材料と接触する内面と、加熱手段により加熱を受ける外面とを有し、
前記外面は、前記内面よりも高硬度である。
【0019】
また、本発明の熱処理炉用部品は、
質量%にて、Al:5.0%を超えて26.0%以下、
残部Ni及び不可避的不純物のNi基合金からなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のNi基合金は、高温下での耐食性にすぐれ、引張強度や0.2%耐力等の機械強度にもすぐれる。また、これらNi基合金から作製される耐熱・耐食部品もすぐれた高温下における耐食性を具備し、機械的強度を有する。従って、熱処理炉用部品としての用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、4元素系により算出されるP値と、NiAlから得られるQ値との関係を示すグラフである。
図2図2は、2元素系により算出されるP値と、NiAlから得られるQ値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明者等は、Alの含有量の調整によりNi基合金内に金属間化合物NiAlを析出させることができ、高温下での耐食性にすぐれ、高強度のNi基合金が得られることを発見した。また、Alを含有するNi基合金に適量のZr、Bを添加して粒界に分布させることで、高温下での耐食性をさらに向上できることを発見した。
【0023】
本発明のNi基合金は、所望の製品形態に応じて、たとえば鋳造合金として様々な構造部材の製造に使用でき、とくに耐熱・耐食性の要求される用途への適用に好適である。また、本発明のNi基合金は、800〜1000℃の高酸素雰囲気や、高いアルカリ腐食環境においても特性変化がなく、また、使用される材料との反応も抑えられるから、ロータリーキルンの炉心管の材料などの熱処理炉用の部品にとくに好適である。炉心管は、遠心鋳造、熱間鍛造、肉盛、溶射などの様々な製法によって作製できる。さらに、この例示に限定されず、これまでセラミックが適用されてきた焼成装置(たとえば焼成トレイ、焼成ローラー)などに用いられる様々な耐熱・耐食部品やアルミ溶湯部品にも適用できる。なお、これらの例示は、本発明のNi基合金の適用を限定するものではない。
【0024】
<成分限定理由>
本発明のNi基合金は、以下の組成を含有する。なお、特に明示しない限り、「%」は質量%である。
【0025】
Al:5.0%を超えて26.0%以下
Alは、材料表面に酸化被膜を生成することにより耐酸化性を向上させる。また、Alは、Ni基合金に含まれるNiと金属間化合物であるNiAlを生成させて、高温における耐食性の向上に寄与するため添加する。これら機能を発揮するために、Alは、5.0%を超えた量を含有させる。Alの下限は、5.2%、より好適には8.0%とする。一方で、Alの含有量が26.0%を超えると、NiAlの生成が減少又は生成されなくなるため、Alの上限は、26.0%以下とする。
【0026】
Alを含有するNi基合金では、金属間化合物であるNiAlは、Ni−Al二元系状態図によれば、Al:8.0%〜17.7%であれば鋳造のままの状態でNiAl相を析出できる。鋳造の場合、鋳造後大気放冷でもほぼ急冷に近い状態となるためである。一方、Al:8.0%未満、又は、17.7%を超えると、鋳造後にNiAl相を析出させるためには、低温熱処理が必要になる。従って、鋳造後に熱処理を必要とすることなくNiAl相が析出したNi基合金を得るには、Al:8.0%以上とし、上限を17.7%とすることが望ましい。鋳造後に低温熱処理を施す場合には、Alは、5.0%以上とし、上限を8.0%未満、又は、下限17.7%超、上限26.0%であってもよい。Alは、より好ましくは9.5%以上、11.0%以上とすることがより望ましい。
【0027】
Ni:残部
Niは、高い高温延性を具備するNi基合金の基本元素である。Niは、Alと結合して金属間化合物NiAlを生成させて、高温における耐食性の向上に寄与する。
【0028】
Zr:0%を超えて5.0%以下
Zrは、Ni基合金の溶接割れ感受性を改善するため、選択的に0%を超えて5.0%以下含有することが好適である。Zrは、Ni基合金の粒界に分布するため、結晶粒界における割れ感受性を低下させることができる。また、Zrは、Niとの複合添加により、耐食性を高め、また、高温強度や延性を向上させる。一方で、Zrの含有量を過度に多くしても、溶接割れ感受性の改善効果は飽和するため、上限を5.0%とする。Zrの上限は4.0%とすることが望ましく、さらに2.5%、1.0%とすることが望ましい。
【0029】
B:0.001%以上又はZr合計量で0%を超えて5.0%以下
Bは、粒界に分布して、延性を高めると共に、高温でのクリープ破断強度を向上させるため、選択的に含有させる。これらの効果は、Bが微量であっても得られるが、含有させる場合0.001%以上、より好適には0.008%以上、望ましくは0.01%以上とする。より望ましくは、上記したZrとBを合計量で0%を超えて5.0%以下とする。但し、過度の含有は、溶接割れ感受性を高め、溶接性を低下させるため、その上限は2.5%、より好ましくは1.0%とすることが望ましい。
【0030】
Y:0.001%〜4.0%
Yは、Ni基合金の耐酸化性を向上させるため選択的に含有させる。但し、過度の含有は、熱間加工性を低下させる。従って、Yを含む場合、その含有量は、上限を4.0%とし、好ましくは2.8%、より好ましくは1.0%とする。
【0031】
Ta:0.001%〜4.0%
Taは、Ni基合金中に含まれる不可避的不純物のCと炭化物を形成し、Ni基合金内の結晶粒を微細化させることによりNi基合金の高温強度を向上させ、また、耐食性を向上させるために選択的に含有させる。但し、過度の含有は、Ni基合金の加工性の阻害、強度低下などを招くことがある。従って、Taを含む場合、その含有量は、上限を4.0%とし、好ましくは2.8%、より好ましくは1.0%とする。
【0032】
W:0.001%〜5.0%
Wは、Ni基合金に固溶して、高温でのクリープ破断強度を向上させ、また、Niとの複合添加効果によって耐酸化性を向上に寄与するため添加するため選択的に含有させる。但し、過度の含有は、引張強度の低下を招き、高温でのクリープ破断強度を逆に低下させる。従って、Wを含む場合、その含有量は、上限を5.0%とし、好ましくは2.4%、より好ましくは1.0%とする。
【0033】
不可避的不純物
不可避的不純物として、通常の溶製技術上不可避的に混入する元素として、Si、Mn、Fe、S、Mg、Cu、Zn,O、P、N、Hを例示できる。これらの元素は、夫々最大0.8%以下であれば、その含有が許容される。
【0034】
その他、以下の元素を選択的に添加することができる。
【0035】
Cr:0%を超えて1.0%以下
Crは、Niとの複合添加によって耐酸化性の向上させることのできる元素であるため選択的に含有させる。一方で、環境的事情により過度の含有は望まれない。従って、Crを含む場合、その含有量は1.0%以下、望ましくは0.01%未満とする。
【0036】
上記Ni基合金は、個々の元素の成分範囲の他、以下の条件を満足することが望ましい。
【0037】
P値=−18.95+0.1956×Ni%+0.1977×Al%+0.2886×Zr%+12.45×B%、Ni基合金の表面に析出するNiAlの面積率を割合で示した値をQ値としたときに、Q値≧0.89×P値−0.53である。なお、P値として上記に表示した元素が含まれない場合には、当該元素の値はゼロとして取り扱う。
【0038】
上記したP値は、Ni基合金の表面に、高温下での耐食性にすぐれ、高温強度を有する金属間化合物NiAlを好適に析出させるための各元素の含有量を規定したものである。P値及びP値とQ値の関係式は、これら成分の含有量を種々変えて作製したNi基合金に対して、金属間化合物NiAlの析出の有無、耐食性、及び、高温強度のデータを得、Ni、Al、Zr及びBが金属間化合物NiAlの面積率に与える影響を分析することで求めたものである。すなわち、P値中のNi、Al、Zr及びBの各係数は、P値とQ値との関係式中の係数は、各元素が金属間化合物NiAlの析出に与える影響度により決定した。
【0039】
P値が、Q値≧0.89×P値−0.53を満たすことで、Ni基合金は、その表面だけでなく基地内部にまで好適に金属間化合物NiAlが形成され、耐食性や高温強度を具備できる。
【0040】
なお、P値は、NiとAlの2元系とすることもできる。この場合、P値=5.91−0.0512×Ni%−0.0612×Al%となり、Ni基合金の表面に析出するNiAlの面積率を割合で示したQ値は、Q値≧1.75×P値−1.1を満たせばよい。
【0041】
耐熱・耐食部品や熱処理炉用部品は、上記組成範囲となるように成分元素を配合し、静置鋳造等により作製することができる。もちろん、製造方法は、遠心鋳造、熱間鍛造、肉盛、溶射などの様々な製法を採用できる。
【0042】
たとえば、本発明のNi基合金からなる熱処理炉用部品は、耐アルカリ腐食性にすぐれるから、筒状やトレイ状の形態として、リチウム二次電池用正極材料を焼成するレトルトに採用できる。レトルトは、粉状の正極材料と接触する内面に対し、加熱手段から加熱を受ける外面を有する。焼成の過程で、正極材料はレトルトの内面に堆積する。このため、レトルトの外面をハンマーの如き打撃工具によりノッキングし、付着した粉体を打撃による衝撃で剥離して落とす必要がある。このため、レトルトの如き熱処理炉用部品には、耐ノッキング性が要求される。すなわち、打撃を受ける外面には、高硬度が求められる。
【0043】
本発明のNi基合金は、厚さ方向に硬度の勾配(硬度差)を設けることができる。具体的には、遠心鋳造や静置鋳造により本発明のNi基合金から熱処理炉用部品を製造することで、冷却速度の速い金型に近い側は、組織を緻密化して、高硬度化を図ることができる。従って、硬度の高い金型側を、ノッキングを受ける外面とすることで、耐ノッキング性を高めることができるから、レトルトの如き熱処理炉用部品に好適に使用できる。
【実施例1】
【0044】
以下の製造方法により表1に掲げる合金組成のNi基合金のテストピースを作製し、Ni系金属間化合物などの析出相の同定、鋳造品質の確認を行なった後、アルカリ腐食試験、高温引張試験を実施した。供試例は、発明例1〜11と比較例1〜5である。
【0045】
<テストピースの製造方法>
まず、各々の成分元素が後述する表1に掲げる含有量となるように、各々の成分元素の原材料を配合した。配合された原材料をアルミナ製るつぼ(内径185mm×高さ330mm)に入れ、高周波溶解炉にてアルゴンシールを行なった状態で溶解した。溶解温度は、たとえば1600〜1720℃とした。次に、Ni基合金の溶湯を取鍋に移し、大気雰囲気下で鋳造し、Ni基合金のインゴットを作製した。発明例10は、鋳造後200℃熱処理によりNiAl相を析出させた。得られたインゴットから各種試験用のテストピースを作製した。
【0046】
【表1】
【0047】
なお、表1中、各成分は「質量%」で示しており、不可避的不純物は記載を省略している。
【0048】
インゴットとテストピースについて、鋳造品質を確認した後、Ni系金属間化合物などの析出相を同定し、アルカリ腐食試験、高温引張試験を実施した。
【0049】
<鋳造品質の確認>
鋳造品質の確認では、各々のインゴットの切断面に浸透探傷検査(PT:liquid Penetrant Testing)を実施し、インゴット内部での引け巣及びクラックなどの有無を確認した。PTの指示模様が目視で確認されない場合、鋳造品質を「〇(Good)」とした。一方、PTの指示模様が目視で確認される場合、鋳造品質を「×(Bad)」とした。
【0050】
<析出相の同定>
Ni系金属間化合物などの析出相は、X線回折装置(XRD:株式会社リガク製、SmartLab)に同定した。詳細には、各々のテストピースの中央部を切断し、切断面を鏡面研磨してシュウ酸浴中で電解することによりエッチングした。エッチングした切断面をエタノールで脱脂して乾燥させた後、該切断面をXRDにより走査して、各々のテストピースの析出相を同定した。結果を表2中、「析出の有無」に示す。
【0051】
<アルカリ腐食試験>
アルカリ腐食試験は、鋳造品質が「○(Good)」に対して実施した。アルカリ腐食試験は、各々のテストピースから、縦幅10mm×横幅40mm×厚さ10mmの板状の観察試験片を2個ずつ作製し、試験面を#40の研磨紙で研磨した。そして、アルカリ金属塩などのアルカリ腐食試験用粉末を試験面に載せた各々のテストピースを90%以上の酸素雰囲気下、900℃で5時間焼成した。試験面に新たなアルカリ腐食性の粉末を毎回載せ替えて、この焼成を10回繰り返した。すべての焼成終了後、各々の観察試験片の中央部を切断して、切断面を鏡面研磨し、シュウ酸浴中で電解することによりエッチングした。エッチングした切断面は、エタノールで脱脂して乾燥させた。その後、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製)で切断面を観察し、試験面から厚さ方向に伸びるアルカリ腐食跡として減肉量及び粒界腐食長さの合計を浸食深さとして測定した。アルカリ腐食跡の程度が著しくて浸食深さの測定が不可能である場合、又は、浸食深さが1.5mm以上である場合は、アルカリ腐食試験の結果は「×(Bad)」とした。浸食深さの測定が可能であれば、アルカリ腐食試験の結果は、浸食深さが1.0mm以上且つ1.5mm未満である場合を「△(Good)」とし、浸食深さが1.0mm未満である場合を「○(Excellent)」とした。
【0052】
<高温引張試験>
高温引張試験は、鋳造品質が「○(Good)」に対して実施した。JIS G 0567に準じて実施し、900℃における引張強度、0.2%耐力、伸びを測定した。ただし、比較例1には0.2%耐力は実施していない。
【0053】
発明例及び比較例のテストピースに対する試験の結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
<鋳造品質の確認結果>
表2を参照すると、まず、鋳造品質について、すべての発明例と、比較例1、2及び5は良好であり、引け巣やクラックの発生はなかった。一方で、比較例3、4については鋳造品質が十分でなく、引け巣やクラックの発生が見られた。比較例3、4が鋳造品質に劣るのは、融点が高いため、十分な鋳込み温度が確保できなかったためである。
【0056】
<析出相の同定結果>
また、析出相については、すべての発明例と、比較例1、4及び5についてテストピースの表面に金属間化合物が観察された。比較例2及び3には金属間化合物の析出は見られなかった。比較例2及び3に析出相がなかったのは、これら比較例のAl量が5.0%以下であり、Niと金属間化合物を構成するAl量が十分でなかったためである。また、析出した実施例について、その析出相の同定を行なったところ、すべての発明例と比較例1及び5は何れもNiAlを主体とする金属間化合物、比較例4はNiAlを主体とする金属間化合物であった。比較例4は、NiAlを主体とする金属間化合物が析出しているため、Ni基合金の加工性が十分ではない。
【0057】
<アルカリ腐食試験結果>
アルカリ腐食試験は、上記のとおり、鋳造品質が「○(Good)」の発明例と比較例について実施した。ただし、比較例1はCrを含有するため環境事情によりアルカリ腐食試験は実施していない。結果、アルカリ腐食試験を実施した発明例と比較例5は、何れも「△(Good)」又は「○(Excellent)」であった。これは、表面に金属間化合物の析出のない比較例2と比較し、金属間化合物として析出したNiAlが、Ni基合金の高温での耐アルカリ腐食性の向上に非常に有効であることを意味する。
【0058】
<高温引張試験>
高温引張試験の結果を参照すると、発明例は何れも比較例2、5よりもすぐれた引張強度、0.2%耐力を具備していることがわかる。比較例2はAl量が低く、Ni量が多いため、伸びは著しく高い結果となっている。また、比較例1は引張強度と伸びしか測定していないが、発明例は比較例1とほぼ同等の高温強度を具備しており、上記したアルカリ腐食試験における環境事情もないことから、比較例1のNi基合金に代わるNi基合金として有用であると言える。
【0059】
<発明例どうしの比較>
アルカリ腐食試験結果について、発明例どうしを比較すると、発明例3、4、7〜9は結果が何れも「○(Excellent)」であるのに対し、発明例1、2、5、6、10及び11は結果が「△(Good)」であり、若干劣る。また、引張強度や0.2%耐力についても、発明例1、2、5、6、10及び11は、発明例3、4、7〜9に比べて若干劣る。発明例3、4、7〜9が発明例1、2に比べて耐食性が向上し、高温強度も向上したのは、含有するZr、BがNi基合金の粒界に分布することで、高温での耐アルカリ腐食性を向上させる効果があると考えられる。また、発明例5の耐食性と高温強度が若干劣るのは、発明例5はAl量が多かったためNiAl相が多く析出したことによる。発明例6、10、11の耐食性と高温強度が若干劣るのは、Zr又はBの一方のみしか含有していないことによって、Zr、Bの両方を加えた場合に比べて粒界強化の働きが弱かったためである。また、発明例10は、Alの含有量が6.4%であり、他の発明例に比べて若干低いことも耐食性と高温強度が低い一因であると考えられる。故に、Alは8.0%以上とすることが望ましい。
【実施例2】
【0060】
実施例1の発明例及び比較例について、夫々テストピースの表面に形成された金属間化合物NiAlの面積率を測定した。そして、析出したNiAlの面積率を割合で示した値をQ値とした。表3にQ値の実測値を示す。一方、Ni、Al、Zr及びBの4元素、NiとAlの2元素について、これら元素が金属間化合物NiAlの面積率に与える影響を回帰分析することで求めた。
【0061】
【表3】
【0062】
結果、Ni、Al、Zr及びBの4元素について、P値=−18.95+0.1956×Ni%+0.1977×Al%+0.2886×Zr%+12.45×B%としたときに、Q値≧0.89×P値−0.53を満たすことで、Ni基合金に好適に金属間化合物NiAlを析出できることがわかった。発明例と比較例のP値及びQ値の式(=0.89×P値−0.53)を析出した金属間化合物NiAlの面積率(割合で示す)と共に図1に示している。なお、図1中、「○、△、×、−」は、実施例1のアルカリ腐食試験結果の表記に合わせている。高温下での耐食性、高強度を図るためには、Q値が0.3以上、好適には0.38以上、望ましくは0.6以上となるように金属間化合物NiAlを析出させることが有効である。たとえば、金属間化合物NiAlの面積率を60%(割合で0.6)以上とする場合には、Q値≧0.89×P値−0.53且つQ値≧0.6となるようにNi、Al、Zr及びBを調整すればよい。
【0063】
また、NiとAlの2元素について、P値=5.91−0.0512×Ni%−0.0612×Al%としたときに、Q値≧1.75×P値−1.1を満たすことで、Ni基合金に好適に金属間化合物NiAlを析出できることがわかった。発明例と比較例のP値及びQ値の式(=1.75×P値−1.1)を析出した金属間化合物NiAlの面積率(割合で示す)と共に図2に示している。なお、図2中、「○、△、×、−」は、実施例1のアルカリ腐食試験結果の表記に合わせている。高温下での耐食性、高強度を図るためには、Q値が0.38以上、望ましくは0.6以上となるように金属間化合物NiAlを析出させることが有効である。たとえば、金属間化合物NiAlの面積率を60%(割合で0.6)以上とする場合には、Q値≧1.75×P値−1.1且つQ値≧0.6となるようにNi、Al、Zr及びBを調整すればよい。
【実施例3】
【0064】
遠心鋳造により、本発明の2種のNi基合金から円筒状のレトルト(発明例12、13)を作製した。何れも遠心鋳造の外周の重力倍数Gno.は80G〜250Gである。発明例12、発明例13のレトルトは、鋳造時外径100mm、厚さ15mmとし、鋳造後に内面を削って厚さ10mm、内径80mmに加工した。レトルトは、外面が加熱手段より加熱を受ける面、加工後内面が正極材料と接触する面(内面)となる。発明例12、13の組成と内面のQ値、4元系P値、2元系P値を夫々表4に示す。
【0065】
【表4】
【0066】
発明例12、13のレトルトは、4元系のP値が、Q値≧0.89×P値−0.53を満たし、2元系のP値もQ値≧1.75×P値−1.1を満たす。
【0067】
また、得られた発明例12は、溶湯投入側となるA側と、その逆端のB側について、外面から0.5mm、鋳造時の肉厚中央(外面から7.5mm)、加工後内面(測定は加工後内面から0.5mm)の各位置のビッカース硬さを測定した。また、外面と加工後内面のNiAl相、Ni相の面積率を測定した。結果を表5に示す。
【0068】
【表5】
【0069】
表5を参照すると、A側、B側共、ビッカース硬さは、外面が鋳造時肉厚中央や加工後内面よりも約1.3〜1.4倍大きくなっている。これは、鋳造時に金型側から急冷を受ける外面の冷却速度を、鋳造時に露出しない加工後内面よりも速くできたためであり、外面の組織を緻密化できたことによる。加えて、外面は、高硬度のNiAl相面積率が加工後内面に比べて増加し、Ni相面積率は加工後内面に比べて減少したためである。
【0070】
すなわち、発明例12を参照すると、本発明のNi基合金を鋳造して、熱処理炉用部品(レトルト)を作製することで、加工後内面よりも外面の硬度を高めることができる。実施例1、2等に示すように、本発明のNi基合金は、耐アルカリ腐食性にすぐれる。故に、本発明のNi基合金により作製される熱処理炉用部品は、正極材料と接触する加工後内面にすぐれた耐アルカリ腐食性を具備し、ノッキングにより衝撃を受ける外面にすぐれた硬さを具備できるから、レトルトに好適に使用可能である。
【0071】
なお、表5を参照し、鋳造時のA側、B側を比較すると、A側はB側に比べて高硬度であることがわかる。正極材料の堆積は、レトルトの下流側で発生し易いから、高硬度の鋳造時のA側がレトルトの下流側となるように炉内に配置することで、レトルトの耐ノッキング性を高めることができる。
【0072】
発明例13について、外面から0.5mmと、加工後内面(測定は加工後内面から0.5mm)の各位置のビッカース硬さを測定した。また、外面と鋳造時外面のNiAl相、NiAl相の面積率を測定した。結果を表6に示す。
【0073】
【表6】
【0074】
表6を参照すると、ビッカース硬さは、外面が加工後内面よりも約1.25倍大きくなっている。これは、発明例12と同様、鋳造時に金型側から急冷を受ける外面の冷却速度を、鋳造時に露出しない加工後内面よりも速くできたためであり、外面の組織を緻密化できたことによる。一方で、NiAl相面積率とNiAl相面積率については有意な差は見られなかった。
【0075】
発明例13を参照して得られる、本発明のNi基合金の熱処理炉用部品(レトルト)の有用性については、発明例12と同様である。
【0076】
上記実施例3では、遠心鋳造により円筒状のレトルトを作製しているが、製造方法は遠心鋳造に代えて静置鋳造としてもよい。また、レトルトは円筒状に限らず、トレイ状としてもよい。トレイ状の場合、金型と対向する側を外面とし、加工後内面が正極材料との接触面となるように加工すればよい。
【0077】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0078】
たとえば、上記したNi基合金は、上記に開示した元素の組合せが好適であるが、以下の元素を選択的に含有、或いは、特定の元素と置換して含有しても構わない。
【0079】
Zrに代えて、或いは、Zrと共に、周期表でZrと同じ4族元素に含まれるTi、Hfを含有できる。この場合、これら元素の含有量は、1.0%を上限とする。
【0080】
Bに代えて、或いは、Bと共に、周期表でBと同じ13族元素に含まれる元素のうち、Alを除くGa、In、Tlを含有させることもできる。この場合、これら元素の含有量は、1.0%を上限とする。
【0081】
Yに代えて、或いは、Yと共に、周期表でYと同じ3族元素に含まれる希土類元素、Scを含有させることもできる。この場合、これら元素の含有量は、上記したYの範囲と同じである。なお、希土類元素は、周期表のLaからLuに至る15種類のランタン系列の元素である。
【0082】
Taに代えて、或いは、Taと共に、周期表でTaと同じ5族元素に含まれるV、Nbを含有させることもできる。この場合、これら元素の含有量は、2.0%を上限とする。
【0083】
Wに代えて、或いは、Wと共に、周期表でWと同じ6族元素に含まれるMoを含有させることもできる。この場合、これら元素の含有量は、2.0%を上限とする。
【0084】
14族元素(C、Si、Ge、Snなど):0%を超えて1.0%以下
周期表で14族元素に含まれるC、Si、Ge、Snなどは、高温でのNi基合金の延性を向上させ、Ni基合金の耐酸化性を向上させる。従って、本発明のNi基合金の特性に影響を与えない範囲で、これら元素を選択的に含有させてもよい。これら元素を含む場合、その含有量は、合計量で1.0%以下とする。
【0085】
上記した3族〜6族元素、Al以外の13族元素、及び14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素をNi基合金に含有させる場合、その含有量は、合計が0%を超え且つ2.5%以下とすることが好適である。
【0086】
本発明のNi基合金からなる熱処理炉用部品は、たとえば、リチウム二次電池用正極活物質の製造工程の焼成手段に採用することができる。具体的実施形態として、熱処理炉用部品は、複合金属化合物とたとえば5.0質量%以下のリチウム化合物との混合物や、複合金属化合物とリチウム化合物との反応物を含む原料を焼成する工程の焼成手段に用いられる。焼成手段の原料と接する部分の材質は、ニッケル含有量が95.0質量%以下であり、クロム含有率が1.0質量%未満であり、その他の金属としてFe、Al、Ti、W、Mo、Cu、Y、Zr、Co、Si、Mn、Bのうち少なくとも1つを含んでいてもよい。本発明のNi基合金からなる熱処理炉用部品は、焼成手段の内壁を形成する形態とすることができる。
図1
図2

【手続補正書】
【提出日】2021年6月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%にて、
Al:5.0%を超えて26.0%以下、
Zr:0%を超えて5.0%以下、
残部Ni及び不可避的不純物からなる、
Ni基合金。
【請求項2】
Bを含み、質量%にて、Zr及びBを合計量で0%を超えて5.0%以下である、
請求項1に記載のNi基合金。
【請求項3】
質量%にて、B:0.001%以上含む、
請求項2に記載のNi基合金。
【請求項4】
表面にNiAlが析出している、
請求項1又は請求項3の何れかに記載のNi基合金。
【請求項5】
P値=−18.95+0.1956×Ni%+0.1977×Al%+0.2886×Zr%+12.45×B%と、
前記表面に析出するNiAlの面積率を割合で示したQ値は、
Q値≧0.89×P値−0.53
を満たす、
請求項4に記載のNi基合金。
【請求項6】
P値=5.91−0.0512×Ni%−0.0612×Al%と、
前記表面に析出するNiAlの面積率を割合で示したQ値は、
Q値≧1.75×P値−1.1
を満たす、
請求項4又は請求項5に記載のNi基合金。
【請求項7】
質量%にて、Al:8.0%以上である、
請求項1乃至請求項6の何れかに記載のNi基合金。
【請求項8】
質量%にて、Y:0.001%〜4.0%をさらに含む、
請求項1乃至請求項7の何れかに記載のNi基合金。
【請求項9】
質量%にて、Ta:0.001%〜4.0%をさらに含む、
請求項1乃至請求項8の何れかに記載のNi基合金。
【請求項10】
質量%にて、
W:0.001%〜5.0%をさらに含む、
請求項1乃至請求項9の何れかに記載のNi基合金。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10の何れかに記載のNi基合金からなる、
耐熱・耐食部品。
【請求項12】
厚さ方向に硬度差を有する、
請求項11に記載の耐熱・耐食部品。
【請求項13】
請求項1乃至請求項10の何れかに記載のNi基合金からなる、
熱処理炉用部品。
【請求項14】
厚さ方向に硬度差を有する、
請求項13に記載の熱処理炉用部品。
【請求項15】
熱処理炉用部品は、正極材料の焼成に用いられるレトルトであって、
前記正極材料と接触する内面と、加熱手段により加熱を受ける外面とを有し、
前記外面は、前記内面よりも高硬度である、
請求項13又は請求項14に記載の熱処理炉用部品。
【請求項16】
質量%にて、Al:5.0%を超えて26.0%以下、
残部Ni及び不可避的不純物のNi基合金からなる、
熱処理炉用部品。
【国際調査報告】