(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2021年2月4日
【発行日】2021年9月13日
(54)【発明の名称】緩衝器及び鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
F16F 9/44 20060101AFI20210816BHJP
F16F 9/32 20060101ALI20210816BHJP
【FI】
F16F9/44
F16F9/32 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
【出願番号】特願2019-553988(P2019-553988)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年7月31日
(11)【特許番号】特許第6661846号(P6661846)
(45)【特許公報発行日】2020年3月11日
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000146010
【氏名又は名称】株式会社ショーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】池田 大輔
【テーマコード(参考)】
3J069
【Fターム(参考)】
3J069AA46
3J069CC05
3J069CC15
3J069CC16
3J069DD47
3J069EE35
(57)【要約】
緩衝器は、鞍乗型車両の車体に軸方向の第1端部が固定されたシリンダ151と、シリンダ151内を摺動するピストン83を第1端部側の端部に保持するとともにこれと反対側の第2端部が前輪側に固定されたロッド部材81と、シリンダ151内の第1端部側の端部に固定されたサブバルブ装置と、ピストン83の軸方向を貫通する第1流路83cと、第1流路83cにおける第2端部側の開口部を開閉する第1バルブ86と、第1バルブ86が開くのに必要な力をロッド部材81の外から調整可能にする調整ユニット90と、を有し、シリンダ151内を軸方向に移動可能に配置されたメインバルブ装置60と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗型車両の車体に軸方向の第1端部が固定されたシリンダと、
前記シリンダ内を摺動するピストンを前記第1端部側の端部に保持するとともに、前記第1端部側の端部とは反対側の第2端部が前輪側に固定されたロッドと、
前記シリンダ内の前記第1端部側の端部に固定された第1減衰力発生部と、
前記シリンダ内を前記軸方向に移動可能に配置された第2減衰力発生部と、を備え、
前記第2減衰力発生部は、前記ピストンの前記軸方向を貫通する流路と、前記流路における前記第2端部側の開口部を開閉するバルブと、前記バルブが開くのに必要な力を前記ロッドの外から調整可能にする調整ユニットと、を有する緩衝器。
【請求項2】
前記調整ユニットは、前記バルブに対して閉じる方向の力を付与する第1バネと、前記第1バネの前記第2端部側の端部を支持するバネ受けと、前記バネ受けの位置を調整する調整部と、を有する
請求項1に記載の緩衝器。
【請求項3】
前記調整ユニットは、前記第1バネの前記第1端部側の端部と前記バルブとの間に配置されて前記第1バネの力を前記バルブに伝達する第1伝達部材をさらに有する
請求項2に記載の緩衝器。
【請求項4】
前記第2減衰力発生部は、前記第1伝達部材の内側に配置されて、前記バルブにおける前記第2端部側の面を支持する第1支持部材と、前記第1端部側が前記第1支持部材に支持されて前記バルブに対して閉じる方向の力を付与する第2バネと、を有する
請求項3に記載の緩衝器。
【請求項5】
前記調整部は、前記ロッドの内部に配置されているとともに前記第1端部側の端部が前記バネ受けに力を伝える第2伝達部材に接触する接触部材と、回転操作することで前記接触部材の位置を変更可能な操作部と、を有する
請求項2から4のいずれか1項に記載の緩衝器。
【請求項6】
前記流路は、第1流路と、前記第1流路よりも前記ピストンの径方向外側に設けられた第2流路と、を有し、
前記バルブは、前記第1流路における前記第2端部側の開口部を開閉する第1バルブと、前記第2流路における前記第2端部側の開口部を開閉する第2バルブと、を有し、
前記調整ユニットは、前記第2バルブが開くのに必要な力を調整する
請求項1又は2に記載の緩衝器。
【請求項7】
前記調整ユニットは、前記第2バルブに対して閉じる方向の力を付与する第1バネの前記第1端部側の端部と前記第2バルブとの間に配置されて前記第1バネの力を前記第2バルブに伝達する第1伝達部材をさらに有する
請求項6に記載の緩衝器。
【請求項8】
前記第2減衰力発生部は、前記第1伝達部材の内側に配置されて、前記第1バルブにおける前記第2端部側の面を支持する第1支持部材と、前記第1端部側が前記第1支持部材に支持されて前記第1バルブに対して閉じる方向の力を付与する第2バネと、を有する
請求項7に記載の緩衝器。
【請求項9】
前記調整ユニットは、前記ロッドの内部に配置されているとともに前記第1バネの前記第2端部側の端部を支持するバネ受けに力を伝える第2伝達部材に接触する接触部材と、回転操作することで前記接触部材の位置を変更可能な操作部と、を有する
請求項7又は8に記載の緩衝器。
【請求項10】
車体と、前記車体の進行方向の前方に配設された前輪と、前記進行方向の後方に配設された後輪と、前記車体と前記前輪との間に配設された第1緩衝器と、前記車体と前記後輪との間に配設された第2緩衝器と、を備え、
少なくとも前記第1緩衝器が、請求項1から9のいずれか1項に記載された緩衝器である、鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝器及び鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されたフロントフォークは、管状に形成され車体側に位置するアウターチューブ部と、管状に形成されて車輪側に位置すると共にアウターチューブ部に接続し、アウターチューブ部の軸方向においてアウターチューブ部に対して相対的に移動するインナーチューブ部と、を備える。また、フロントフォークは、アウターチューブ部及びインナーチューブ部の内側に設けられ、軸方向において、外周側に脆弱部を有する筒状のシリンダと、アウターチューブ部及びインナーチューブ部の内側に位置し、アウターチューブ部とインナーチューブ部との移動に伴ってシリンダの軸方向に相対的に移動するロッド部材と、を備える。また、フロントフォークは、ロッド部材の端部に固定されると共にシリンダの軸方向に移動可能にシリンダに接触して設けられ、シリンダ内の空間を区画し、アウターチューブ部とインナーチューブ部とが相対的に移動することで生ずる振動を減衰させる減衰機構を有するピストン(第1の区画部材)を備える。また、フロントフォークは、ピストン(第1の区画部材)に対し軸方向においてシリンダが配される側に配され、シリンダ内の空間を区画し、減衰機構を有するピストン(第2の区画部材)と、ピストン(第2の区画部材)に対し軸方向においてシリンダが配される側に配され、シリンダ内の空間を区画するとともに、ロッド部材の移動に伴ってシリンダ内を軸方向に移動するフリーピストン(第3の区画部材)と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−172739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたフロントフォーク(緩衝器)のダンパ部は、ピストンが低速度で移動する低速域において減衰力を発生する。そして、特許文献1に記載されたフロントフォークは、ダンパ部が発生する減衰力を調整する機能を有している。しかしながら、特許文献1に記載されたフロントフォークでは、ピストンが低速度よりも速い中速度で移動する中速域や、中速度よりも速い高速度で移動する高速域の減衰力を調整するという点で、さらなる改善の余地があった。
本発明は、ピストンの幅広い移動速度領域に亘って減衰力を調整することが可能な緩衝器等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、本開示について説明する。以下の説明では、本開示の理解を容易にするために添付図面中の参照符号を括弧書きで付記するが、それによって本開示が図示の形態に限定されるものではない。
本開示の1つの態様は、鞍乗型車両の車体に軸方向の第1端部が固定されたシリンダ(151)と、前記シリンダ内を摺動するピストン(83、383)を前記第1端部側の端部に保持するとともに、前記第1端部側の端部とは反対側の第2端部が前輪側に固定されたロッド(81)と、前記シリンダ内の前記第1端部側の端部に固定された第1減衰力発生部(190)と、前記シリンダ内を前記軸方向に移動可能に配置された第2減衰力発生部(60、260、360、460、560、660)と、を備え、前記第2減衰力発生部は、前記ピストンの前記軸方向を貫通する流路(83c、383c)と、前記流路における前記第2端部側の開口部を開閉するバルブ(86、286、386、486、686)と、前記バルブが開くのに必要な力を前記ロッドの外から調整可能にする調整ユニット(90)と、を有する緩衝器(1、2、3、4、5、6)である。
ここで、前記調整ユニット(90)は、前記バルブ(86、286、386、486、686)に対して閉じる方向の力を付与する第1バネ(91)と、前記第1バネの前記第2端部側の端部を支持するバネ受け(92)と、前記バネ受けの位置を調整する調整部(96)と、を有しても良い。
また、前記調整ユニット(90)は、前記第1バネ(91)の前記第1端部側の端部と前記バルブ(86、286、386、486)との間に配置されて前記第1バネの力を前記バルブに伝達する第1伝達部材(95)をさらに有しても良い。
また、前記第2減衰力発生部(460、560、660)は、前記第1伝達部材(95)の内側に配置されて、前記バルブ(86、286、486、686)における前記第2端部側の面を支持する第1支持部材(288、488)と、前記第1端部側が前記第1支持部材に支持されて前記バルブに対して閉じる方向の力を付与する第2バネ(463)と、を有しても良い。
また、前記調整部(96)は、前記ロッド(81)の内部に配置されているとともに前記第1端部側の端部が前記バネ受け(92)に力を伝える第2伝達部材(97)に接触する接触部材(99)と、回転操作することで前記接触部材の位置を変更可能な操作部(185)と、を有しても良い。
また、前記流路(83c、383c)は、第1流路(83c)と、前記第1流路よりも前記ピストン(83、383)の径方向外側に設けられた第2流路(383c)と、を有し、前記バルブ(86、386、686)は、前記第1流路における前記第2端部側の開口部を開閉する第1バルブ(86、686)と、前記第2流路における前記第2端部側の開口部を開閉する第2バルブ(386)と、を有し、前記調整ユニット(90)は、前記第2バルブが開くのに必要な力を調整しても良い。
また、前記調整ユニット(90)は、前記第2バルブ(386)に対して閉じる方向の力を付与する第1バネ(91)の前記第1端部側の端部と前記第2バルブ(386)との間に配置されて前記第1バネ(91)の力を前記第2バルブに伝達する第1伝達部材(95)をさらに有しても良い。
また、前記第2減衰力発生部(660)は、前記第1伝達部材(95)の内側に配置されて、前記第1バルブ(686)における前記第2端部側の面を支持する第1支持部材(488)と、前記第1端部側が前記第1支持部材に支持されて前記第1バルブに対して閉じる方向の力を付与する第2バネ(463)と、を有しても良い。
また、前記調整ユニット(90)は、前記ロッド(81)の内部に配置されているとともに前記第1バネ(91)の前記第2端部側の端部を支持するバネ受けに力を伝える第2伝達部材(97)に接触する接触部材(99)と、回転操作することで前記接触部材の位置を変更可能な操作部(185)と、を有しても良い。
また、本開示の他の態様は、車体(104)と、前記車体の進行方向の前方に配設された前輪(105)と、前記進行方向の後方に配設された後輪(106)と、前記車体と前記前輪との間に配設された第1緩衝器(1、2、3、4、5、6)と、前記車体と前記後輪との間に配設された第2緩衝器(8)と、を備え、少なくとも前記第1緩衝器が、上記何れかの緩衝器(1、2、3、4、5、6)である、鞍乗型車両(10)である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ピストンの幅広い移動速度領域に亘って減衰力を調整することが可能な緩衝器等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】鞍乗型車両10の概略構成の一例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る緩衝器1の概略構成の一例を示す断面図である。
【
図6】第1伝達部材95の一例を示す斜視図である。
【
図7】ピストン83の速度Vpと圧側行程時の減衰力との関係を示す図である。
【
図8】第2の実施形態に係る緩衝器2の概略構成の一例を示す断面図である。
【
図9】第3の実施形態に係る緩衝器3の概略構成の一例を示す断面図である。
【
図10】第4の実施形態に係る緩衝器4の概略構成の一例を示す断面図である。
【
図11】第5の実施形態に係る緩衝器5の概略構成の一例を示す断面図である。
【
図12】第6の実施形態に係る緩衝器6の概略構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、実施の形態例について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す形態に限定されない。
<第1の実施形態>
図1は、鞍乗型車両10の概略構成の一例を示す図である。
鞍乗型車両10は、車体104と、車体104の進行方向の前方に配設された前輪105と、進行方向の後方に配設された後輪106と、を備える。車体104は、鞍乗型車両10の骨格をなす車体フレーム104aと、ハンドル104bと、シート104cと、を有する。
また、鞍乗型車両10は、車体104と前輪105との間に配設された第1緩衝器1と、車体104と後輪106との間に配設された第2緩衝器8と、を備える。以下の説明では、第1緩衝器1を、単に「緩衝器1」と称することがある。
【0009】
図2は、第1の実施形態に係る緩衝器1の概略構成の一例を示す断面図である。
図3は、
図2のIII部の拡大図である。
図4は、
図2のIV部の拡大図である。
図5は、
図2のV部の拡大図である。
図6は、第1伝達部材95の一例を示す斜視図である。
第1の実施形態に係る緩衝器1は、例えば自動二輪車等の鞍乗型車両の車体に設けられたハンドルと、前輪との間に設けられた倒立型フロントフォークであり、前輪から入力される衝撃や振動を緩衝するとともにハンドルの操舵を前輪に伝達する装置である。
【0010】
緩衝器1は、外筒部20Aと、車軸ブラケット部40Aと、を備えている。外筒部20A、車軸ブラケット部40Aは、それぞれ、特許文献1に記載された、外筒部20A、車軸ブラケット部40Aと同一であることを例示することができる。緩衝器1は、さらに、前輪から入力された衝撃を吸収するコイルスプリング30と、特許文献1に記載された第1フロントフォークが備えるダンパ部に相当するダンパ部100を備えている。
以下に、ダンパ部100について詳述する。以下の説明において、緩衝器1と、特許文献1に記載された第1フロントフォークとで、同じ形状、機能を有する部材及び部位については同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0011】
(外筒部20A)
外筒部20Aは、アウターチューブ部110と、インナーチューブ部120と、フォークボルト部130とを備えている。
アウターチューブ部110は、アウターチューブ111と、ブッシュ112と、シール部材113とを有する。
インナーチューブ部120は、インナーチューブ121と、ボトムピース122とを有する。
アウターチューブ111は、車体側に位置し、インナーチューブ121は、前輪側に位置する。また、アウターチューブ111は、インナーチューブ121と同軸的に、かつ、インナーチューブ121の半径方向外側に配置されている。
なお、以下の説明において、アウターチューブ111の中心線方向を「軸方向」と称する場合がある。また、軸方向に関して、上端に相当する第1端部側である
図2の上側を一方側、下端に相当する第2端部側である
図2の下側を他方側と称する場合がある。また、アウターチューブ111の中心線から、半径方向内側を「内側」、半径方向外側を「外側」と称する場合がある。
【0012】
ボトムピース122は、円筒状の第1部122aと、第1部122aよりも他方側に設けられた円筒状の第2部122bと、を有する。第1部122aの外径はコイルスプリング30の内径よりも小さい。第1部122aはコイルスプリング30の内側に配置されてコイルスプリング30の伸縮をガイドする。第2部122bは、軸方向において、車軸ブラケット部40Aの後述するブラケット140とインナーチューブ121との間に挟み込まれている。第2部122bにおける一方側の端部は、ワッシャを介して、コイルスプリング30の他方側の端部を支持する。
フォークボルト部130は、フォークボルト131と、シリンダ保持部132とを有する。フォークボルト131は、シリンダ保持部132の一方の端部側を閉塞する。シリンダ保持部132は、円筒形状をなし、アウターチューブ111の内周に挿入されている。シリンダ保持部132には、内外を半径方向に貫通する貫通孔132Kが形成されている。
【0013】
(車軸ブラケット部40A)
車軸ブラケット部40Aは、チューブ保持部141と、車軸連結部142と、ロッド保持部143と、を有するブラケット140を備えている。
チューブ保持部141は、ブラケット140に形成されるとともにインナーチューブ121の他方側の端部が挿入される軸方向の凹部141aにて構成される。凹部141aには、インナーチューブ121の他方側の端部に形成された雄ネジが締め付けられる雌ネジが形成されている。
車軸連結部142は、ブラケット140に形成されるとともに前輪の車軸が挿入される軸方向に直交する方向の車軸孔142Hを含んで構成される。車軸連結部142は、車軸孔142Hに挿入された前輪の車軸をボルトにて締め付けることで、車軸を保持する。
【0014】
ロッド保持部143は、ブラケット140に形成された、凹部141aの内部とロッド保持部143の外部とを連通する軸方向の貫通孔143aの内部に、後述するロッド部材81を保持する保持ナット144と、ロックナット145と、を有する。
保持ナット144は、それぞれ内径が異なる3つの円筒状の部位である、第1部144a、第2部144b、及び、第3部144cを、一方側から他方側にかけて順に有している。第1部144aの内周面には、ロッド部材81の他方側の端部に形成された雄ネジと噛み合う雌ネジが形成されている。ロッド部材81は、第1部144aに締め付けられた後にロックナット145にて保持ナット144に固定される。また、第2部144bの内径は第1部144aの内径よりも小さく、第2部144bにおける一方側の端面がロッド部材81の他方側への移動を抑制する。第3部144c内には、後述する第1アジャストナット181、第2アジャストナット186等が収容されている。
【0015】
また、車軸ブラケット部40Aは、保持ナット144の第3部144cの他方側の開口部を塞ぐ塞ぎ部材146を有している。塞ぎ部材146は、円筒状の第1部146aと、第1部146aよりも他方側に設けられた円盤状の第2部146bと、を有する。第1部146aにおける一方側の端部には、ブラケット140に形成された雌ネジと噛み合う雄ネジが形成されている。第1部146aは、外周面から凹んだ溝に嵌め込まれたシールリングを有しており、このシールリングが、第1部146aとブラケット140の内周面との間の隙間をシールする。第2部146bには、第1アジャスタ182を通すための軸方向の貫通孔146cと、第2アジャスタ187を通すための軸方向の貫通孔146dと、が形成されている。
【0016】
(ダンパ部100)
ダンパ部100は、シリンダ151と、シリンダ151における一方側の端部に装着されたサブバルブ装置190と、シリンダ151内を軸方向に移動可能に配置されたメインバルブ装置60と、を有する。
シリンダ151は、円筒状の部材であり、アウターチューブ111及びインナーチューブ121の内側に配置される。シリンダ151は、シリンダ保持部132の内周に挿入されるとともに、シリンダ保持部132に形成された雌ネジに締め付けられることでシリンダ保持部132に保持される。
アウターチューブ111及びインナーチューブ121と、シリンダ151との間は、空気が充填される気体室T1と油が充填される油室T2とが設けられる。気体室T1内の空気と油室T2内の油とは、自由界面を介して接触している。
シリンダ151は、外側に、コイルスプリング30の一方側の端部を支持する支持部材151aを有している。
【0017】
[サブバルブ装置190]
サブバルブ装置190は、ロッド部材191と、ロッド部材191における他方側の端部に装着されたサブボルト195と、サブボルト195における他方側の端部に装着されたピストン192と、を備える。また、サブバルブ装置190は、加圧スプリング193と、フリーピストン194と、ナット196と、を備える。
ロッド部材191は、軸方向に沿って伸びる円筒状の部材である。ロッド部材191は、一方側の端部においてフォークボルト131の内周に挿入された状態で締め付けられている。
サブボルト195は、それぞれ内径及び外径が異なる3つの円筒状の部位である、第1部195a、第2部195b、及び、第3部195cを、一方側から他方側にかけて順に有している。
第1部195aの内周面には、ロッド部材191における他方側の端部に形成された雄ネジと噛み合う雌ネジが形成されている。
第2部195bの内径は、第1部195aの内径よりも小さく、ロッド部材191の他方側への移動を抑制する。第2部195bには、半径方向に貫通する貫通孔195dが、周方向に複数形成されている。
第3部195cの内径は、第2部195bの内径よりも小さい。第3部195cの他方側の端部には、ナット196に形成された雌ネジと噛み合う雄ネジが形成されている。
【0018】
ピストン192は、ロッド部材191の他方側の端部に保持されており、ピストン192は、油室T4と油室T5とを区画する。
また、ピストン192は、油室T4と油室T5とを連通可能とする、流路192PRと、流路192NRとを有している。また、ピストン192は、流路192PRを開閉するバルブ192PBと、流路192NRを開閉するバルブ192NBとを有している。
そして、ピストン192は、サブボルト195の他方側の端部に形成された雄ネジに、ナット196が締め付けられることで、第2部195bとナット196との間に挟み込まれている。貫通孔195dの内部、第2部195bの内部、第3部195cの内部にて、油室T4と油室T5との間で油を流通させる内部流路195rが形成される。
【0019】
加圧スプリング193は、フリーピストン194に対して、ピストン192の方に向けてバネ力を付加するコイルバネである。
フリーピストン194は、底部194Aと、筒部194Bと、外周スカート部194Cと、を有している。フリーピストン194は、シリンダ151の内径部を液密に摺動する。これによりフリーピストン194は、ピストン192の側で油室T4に連通している油室T5と、フリーピストン194の背後の気体室(体積補償室)T6とを区画する。
【0020】
また、サブバルブ装置190は、内部流路195rの流路面積を調整する調整部材197と、調整部材197の位置を調整するために操作するアジャスタ198と、を有する。
調整部材197は、他方側の端部に設けられた円錐状の先端部197aと、先端部197aよりも一方側に設けられた円柱状の柱状部197bと、を有する。調整部材197は、柱状部197bが中空状のロッド部材191の内部に配置され、先端部197aにおける他方側の端部がロッド部材191の他方側の端面から露出するように配置される。調整部材197は、柱状部197bの外周面から凹んだ溝に嵌め込まれたシールリングを有しており、このシールリングが、柱状部197bの外周面とロッド部材191の内周面との間の隙間をシールする。先端部197aにおける他方側の端部は、第2部195bの内側に挿入されており、先端部197aの外周面と第3部195cの内周面との間の隙間が、内部流路195rにおける絞りとなる。
【0021】
アジャスタ198は、フォークボルト131内に挿入され、他方側の端部に形成された雄ネジが、柱状部197bの一方側の端部に形成された雌ネジに締め付けられている。そして、フォークボルト131の外から、アジャスタ198が回転操作されると、調整部材197が軸方向に移動する。例えば、アジャスタ198と調整部材197の噛み合いネジが左ネジである場合には、アジャスタ198が右回りに回転操作されると、調整部材197は、他方側へ移動する。すると、調整部材197の先端部197aが他方側へ移動し、先端部197aの外周面と第3部195cの内周面との間の隙間が狭くなり、内部流路195rにおける絞りが大きくなる。他方、アジャスタ198が左回りに回転操作されると、調整部材197は、一方側へ移動する。すると、先端部197aが一方側へ移動し、内部流路195rにおける絞りが小さくなる。
【0022】
[メインバルブ装置60]
メインバルブ装置60は、下シリンダ部170と、ロッド部80とを備えている。
下シリンダ部170は、特許文献1に記載された下シリンダ部170と同一であり、
図2に示すように、ロッドガイド171と、オイルロックカラー172と、ブッシュ173と、リバウンドスプリング174と、ばね受け175と、を有する。
ロッドガイド171は、シリンダ151の他方側の端部に位置し、シリンダ151の端部に固定される。また、ロッドガイド171は、貫通孔176に後述するロッド部材81が貫通して設けられ、軸方向にスライド可能に支持する。
ロッドガイド171は、油室T2と油室T3とを区画する。
【0023】
以下に、ロッド部80について詳述する。
ロッド部80は、ロッド部材81と、ロッド部材81における一方側の端部に装着されたメインボルト82と、メインボルト82における一方側の端部に装着されたピストン83と、メインボルト82に締め付けられるナット84と、を有している。また、ロッド部80は、伸側の減衰力を発生させるバルブ85と、圧側の減衰力を発生させる第1バルブ86と、バルブ85における一方側の端面を支持する支持部材87と、第1バルブ86における他方側の端面を支持する支持部材88と、を有している。また、ロッド部80は、メインボルト82内に形成された後述する内部流路82rにおける流路面積を調整する第1調整ユニット70と、第1バルブ86が開くのに必要な力を調整する第2調整ユニット90と、を有する。
【0024】
ロッド部材81は、車軸ブラケット部40Aに固定され、軸方向に沿って伸びる円筒状の部材である。ロッド部材81における他方側の端部に、車軸ブラケット部40Aの保持ナット144及びロックナット145に形成された雌ネジと噛み合う雄ネジが形成されている。ロッド部材81には、ロッド部材81の内側と外側とを連通する半径方向の連通孔81aが、周方向に180度毎に形成されている。
メインボルト82は、それぞれ内径及び外径が異なる4つの円筒状の部位である、第1部82a、第2部82b、第3部82c、及び、第4部82dを、一方側から他方側にかけて順に有する。
第1部82aにおける一方側の端部には、ナット84に形成された雌ネジと噛み合う雄ネジが形成されている。
第2部82bの内径は、第1部82aの内径と同じで、第2部82bの外径は、第1部82aの外径よりも大きい。
第3部82cの内径は、第2部82bの内径よりも大きく、第2部82bの外径よりも小さい。また、第3部82cの外径は、第2部82bの外径よりも大きい。第3部82cには、半径方向に貫通する貫通孔82eが、周方向に複数形成されている。
第4部82dの内径は、第3部82cの内径よりも大きく、第3部82cの外径よりも小さい。また、第4部82dの外径は、第3部82cの外径よりも小さい。第4部82dの内周面には、ロッド部材81における一方側の端部に形成された雄ネジが噛み合う雌ネジが形成されている。
メインボルト82は、ロッド部材81における一方側の端部にワッシャ82fを介して締め付けられることでロッド部材81に装着される。そして、メインボルト82は、第1部82aの内部、第2部82bの内部、及び、第3部82cの貫通孔82eにて、油室T3と油室T4とを連通可能にする内部流路82rを有している。
【0025】
ピストン83には、中央部に形成されてメインボルト82の第1部82aを通す中央孔83aが形成されている。ピストン83は、中央孔83aよりも外側の位置に、軸方向に貫通する貫通孔、及び、その貫通孔における他方側の端部から半径方向に貫通する貫通孔にて構成される流路83bを有している。また、ピストン83は、中央孔83aよりも外側の位置に、軸方向に貫通する貫通孔、及び、その貫通孔における一方側の端部から半径方向に貫通する貫通孔にて構成される第1流路83cを有している。
【0026】
バルブ85は、複数枚のディスクバルブが積層されることで構成されており、ピストン83における一方側の端面に配置され、流路83bの一方側の開口部を塞ぐ。
第1バルブ86は、複数枚のディスクバルブが積層されることで構成されており、ピストン83における他方側の端面に配置され、第1流路83cの他方側の開口部を塞ぐ。個々のディスクバルブの外径は以下のように設定されている。つまり、最も一方側に配置されたディスクバルブの外径が最も大きく、積層方向中央部に配置されたディスクバルブの外径が最も小さく、一方側から積層方向中央部へ向かうにつれて徐々に外径が小さくなっている。また、ディスクバルブの外径は、積層方向中央部から他方側へ向かうにつれて徐々に大きくなっている。
支持部材87は、中央部に中央孔87aが形成された環状の部材である。中央孔87aは、メインボルト82の第1部82aの外径よりも大きい。支持部材87は、バルブ85の一方側においてメインボルト82の周りを囲むように配置されている。
【0027】
支持部材88は、中央部に形成された中央孔88aと、環状の基部88bと、円筒状の筒部88cと、を有する。中央孔88aは、メインボルト82の第1部82aの外径よりも大きく、第2部82bの外径よりも小さい。基部88bの外径は、第1バルブ86における他方側の端面の外径以下である。筒部88cの外径は、メインボルト82の第2部82bの外径以上であり、基部88bの外径よりも小さい。そして、支持部材88は、第1バルブ86の他方側においてメインボルト82の周りを囲むように配置されている。
支持部材87、バルブ85、ピストン83、第1バルブ86、及び、支持部材88は、互いに隣接する部材と接触した状態で、メインボルト82の第2部82bとナット84との間に挟み込まれている。
【0028】
[第1調整ユニット70]
第1調整ユニット70は、メインボルト82の内部流路82rの流路面積を調整する調整部材71と、調整部材71に対して他方側へ移動する方向の力を付与するコイルバネであるバネ72と、調整部材71の位置を調整する調整部73と、を有する。
調整部材71は、一方側の端部に設けられた円錐状の先端部71aと、先端部71aよりも他方側に設けられた円柱状の柱状部71bと、を有する。柱状部71bにおける軸方向の中央部には、外周面から全周に亘って突出するとともにバネ72における他方側の端部を支持する突出部71cが設けられている。調整部材71は、先端部71aにおける一方側の端部が、メインボルト82の第2部82bの内側に挿入されている。先端部71aの外周面と第2部82bの内周面との間の隙間が、内部流路82rにおける絞りとなる。
バネ72は、半径方向には、ロッド部材81の内側であって調整部材71の柱状部71bの周りを囲むように配置され、軸方向には、調整部材71の突出部71cとワッシャ82fとの間に配置されている。
【0029】
調整部73は、調整部材71に対して一方側へ移動する方向の力を付与する付与部材74と、回転操作することで調整部材71の位置を変更可能な第1操作部180とを有する。
付与部材74は、円柱状の部材であり、外周面から全周に亘って突出した突出部74aが設けられている。そして、付与部材74は、突出部74aの外周面から凹んだ溝に嵌め込まれたシールリング74bを有している。
【0030】
[第2調整ユニット90]
第2調整ユニット90は、第1バルブ86に対して閉じる方向の力を付与するコイルバネである第1バネ91と、第1バネ91の他方側の端部を支持するバネ受け92と、を有する。また、第2調整ユニット90は、第1バネ91の一方側の端部を支持して第1バネ91のバネ力を第1バルブ86に伝達する第1伝達部材95と、バネ受け92の位置を調整する第2調整部96と、を有する。
【0031】
バネ受け92は、中央部に中央孔92aが形成された部材である。中央孔92aの径は、ロッド部材81の外径よりも大きく、バネ受け92は、ロッド部材81の周りを囲むように配置されている。
バネ受け92は、第1バネ91の他方側の端部を支持する支持部92bと、後述する第2伝達部材97を介して伝えられる力を受ける受け部92cと、支持部92bと受け部92cとを接続する接続部92dとを有している。
支持部92bは、環状の部位である。支持部92bにおける一方側の面の形状は、内径が第1バネ91の内径よりも小さく、外径が第1バネ91の外径よりも大きい。支持部92bにおける一方側の面が第1バネ91に接触する。
受け部92cは、支持部92bよりも内側かつ一方側に設けられた、環状の部位である。
接続部92dは、内径及び外径が一方側から他方側に行くに従って徐々に大きくなっている筒状の部位である。接続部92dは、その周りを囲むように配置された第1バネ91の半径方向の移動を抑制するとともに、内側に配置された第2伝達部材97の半径方向の移動を抑制する。
【0032】
第1伝達部材95は、円筒状の第1部95aと、第1部95aよりも内側かつ他方側に設けられた円筒状の第2部95bと、第1部95aと第2部95bとを接続する接続部95cと、を有する。
第1部95aにおける一方側の端部は、第1バルブ86における最外径部と接触し、第1バネ91のバネ力を第1バルブ86に付与する。第1部95aには、半径方向の貫通孔が周方向に複数形成されている。第1部95aの内径は、支持部材88の基部88bの外径よりも大きく、支持部材88の周りを囲むように配置されている。
第2部95bの内径は、メインボルト82の第4部82dの外径以上であり、第3部82cの外径よりも小さい。第2部95bの外径は、第1バネ91の内径よりも小さい。そして、第2部95bは、軸方向には、メインボルト82の第3部82cよりも他方側に配置され、半径方向には、メインボルト82の第4部82dの外側であって、第1バネ91の内側に配置されている。
接続部95cは、
図6に示すように、周方向に複数設けられている。接続部95cは、軸方向に直交する直交面95dを有している。直交面95dは、第1バネ91の一方側の端部を支持する。
【0033】
第2調整部96は、バネ受け92へ力を伝える第2伝達部材97と、第2伝達部材97とバネ受け92との間に配置されるワッシャ98と、を有する。また、第2調整部96は、第2伝達部材97に接触する接触部材99と、回転操作することでバネ受け92の位置を変更可能な第2操作部185とを有する。
【0034】
第2伝達部材97は、中央部に中央孔97aが形成された環状の部材である。第2伝達部材97の外径は、付与部材74の外径よりも大きい。第2伝達部材97は、ロッド部材81の2つの連通孔81aに通されている。
ワッシャ98は、中央部に中央孔98aが形成された環状の部材である。中央孔98aの径は、ロッド部材81の外径よりも大きく、ワッシャ98は、ロッド部材81の周りを囲むように配置されている。ワッシャ98は、接続部92dの内側に配置されている。
【0035】
接触部材99は、それぞれ内径及び外径が異なる3つの円筒状の部位である、第1部99a、第2部99b、及び、第3部99cを、一方側から他方側にかけて順に有している。第1部99a、第2部99b、及び、第3部99cの内径は、付与部材74の外径よりも大きく、接触部材99は、ロッド部材81の内側で、付与部材74の周りを囲むように配置されている。
第2部99bの内径は、付与部材74の突出部74aの外径よりも大きく、第2部99b内に、突出部74aが挿入されている。そして、突出部74aの外周面から凹んだ溝に嵌め込まれたシールリング74bが、接触部材99と付与部材74との間の隙間をシールする。
第3部99cの内径は、付与部材74の突出部74aの外径よりも小さく、突出部74aが他方側へ移動することを抑制する。
【0036】
〔第1操作部180、第2操作部185〕
第1操作部180は、付与部材74に対して一方側の方向への力を加える第1アジャストナット181と、第1アジャストナット181に形成された雌ネジに噛み合い、この第1アジャストナット181を軸方向に移動させる第1アジャスタ182と、第1アジャスタ182と塞ぎ部材146との間をシールするシールリング183と、を備えている。
第2操作部185は、接触部材99に対して一方側への方向の力を加える第2アジャストナット186と、第2アジャストナット186に形成された雌ネジに噛み合い、この第2アジャストナット186を軸方向に移動させる第2アジャスタ187と、第2アジャスタ187と塞ぎ部材146との間をシールするシールリング188と、を備えている。
【0037】
第1アジャストナット181には、第1アジャスタ182の雄ネジが噛み合う雌ネジと、第2アジャスタ187を通すための貫通孔が形成されている。そして、第1アジャストナット181における一方側の端面は、付与部材74における他方側の端面と接触し、付与部材74に対して一方側の方向の力を加える。
第1アジャスタ182は、軸方向に並んだ、外径が互いに異なる複数の円柱状の部位を有する。より、具体的には、第1アジャスタ182は、他方側の端部に設けられた第1部182aと、第1部182aの一方側に設けられて第1部182aの外径よりも大きな外径の第2部182bと、を有する。また、第1アジャスタ182は、第2部182bの一方側に設けられて第2部182bの外径よりも小さな外径の第3部182cと、第3部182cの一方側に設けられて第3部182cの外径よりも小さな外径の第4部182dと、を有する。
第1部182aは、外周面から凹んだ溝に、シールリング183が嵌め込まれている。第1部182aにおける他方側の端面には、この端面から一方側に凹んだ凹部182eが形成されている。
第2部182bの外径は、第1アジャストナット181に形成された雌ネジの孔径よりも大きい。
第3部182cの外周面には、第1アジャストナット181に形成された雌ネジに噛み合う雄ネジが形成されている。
第4部182dは、第2アジャストナット186に形成された貫通孔に通されている。
【0038】
第2アジャストナット186には、第2アジャスタ187の雄ネジが噛み合う雌ネジと、第1アジャスタ182を通すための貫通孔とが形成されている。そして、第2アジャストナット186における一方側の端面は、接触部材99における他方側の端面と接触し、接触部材99に対して一方側の方向の力を加える。
第2アジャスタ187は、軸方向に並んだ、外径が互いに異なる複数の円柱状の部位を有する。より、具体的には、第2アジャスタ187は、他方側の端部に設けられた第1部187aと、第1部187aの一方側に設けられて第1部187aの外径よりも大きな外径の第2部187bと、を有する。また、第2アジャスタ187は、第2部187bの一方側に設けられて第2部187bの外径よりも小さな外径の第3部187cと、第3部187cの一方側に設けられて第3部187cの外径よりも小さな外径の第4部187dと、を有する。
第1部187aは、外周面から凹んだ溝に、シールリング188が嵌め込まれている。第1部187aにおける他方側の端面には、この端面から一方側に凹んだ凹部187eが形成されている。
第2部187bの外径は、第1アジャストナット181に形成された貫通孔の孔径よりも大きい。
第3部187cは、第1アジャストナット181に形成された貫通孔に通されている。
第4部187dは、第2アジャストナット186に形成された雌ネジに噛み合う雄ネジが形成されている。
【0039】
[第1調整ユニット70の機能]
第1調整ユニット70においては、ブラケット140の外側から第1操作部180の第1アジャスタ182を回転操作する。すると、この第1アジャスタ182が噛み合っている第1アジャストナット181は、この第1アジャストナット181の貫通孔と第2アジャスタ187の第3部187cとが嵌合されているため回転が抑制されて、軸方向に移動する。それに従って、付与部材74が軸方向に移動する。例えば、第1アジャスタ182と第1アジャストナット181の噛み合いネジが左ネジである場合には、第1アジャスタ182が右回りに回転操作されると、付与部材74は、一方側へ移動する。すると、調整部材71の先端部71aが一方側へ移動し、先端部71aの外周面とメインボルト82の第2部82bの内周面との間の隙間が狭くなる。その結果、内部流路82rにおける絞りが大きくなる。他方、第1アジャスタ182が左回りに回転操作されると、付与部材74は、他方側へ移動する。すると、調整部材71の先端部71aが他方側へ移動し、内部流路82rにおける絞りが小さくなる。
【0040】
[第2調整ユニット90の機能]
第2調整ユニット90においては、ブラケット140の外側から第2操作部185の第2アジャスタ187を回転操作する。すると、この第2アジャスタ187が噛み合っている第2アジャストナット186は、この第2アジャストナット186の貫通孔と第1アジャスタ182の第4部182dとが嵌合されているため回転が抑制されて、軸方向に移動する。それに従って、接触部材99が軸方向に移動する。例えば、第2アジャスタ187と第2アジャストナット186の噛み合いネジが左ネジである場合には、第2アジャスタ187が右回りに回転操作されると、接触部材99は、一方側へ移動する。そして、接触部材99が一方側へ移動するのに伴って、第2伝達部材97が一方側へ移動し、バネ受け92が一方側へ移動する。その結果、第1バネ91の長さが短くなり、第1バネ91のプリセット荷重であるプリセット荷重F2が大きくなる。他方、第2アジャスタ187が左回りに回転操作されると、接触部材99及び第2伝達部材97が他方側へ移動し、バネ受け92が他方側へ移動する。その結果、第1バネ91の長さが長くなり、プリセット荷重F2が小さくなる。
【0041】
以上説明したように構成されたダンパ部100においては、プリセット荷重F2が最小値であっても、第1バルブ86が開く圧力が、バルブ192PBが開く圧力よりも高くなるように設定されている。例えば、プリセット荷重F2が最小値である場合には、バルブ192PBは、油室T4の圧力Psが、バルブ192PBの曲げ剛性に応じて定まる第1圧力P1以上になった場合に流路192PRを開く。また、第1バルブ86は、圧力Psが、プリセット荷重F2に応じて定まる第2圧力P2(>第1圧力P1)以上になった場合に第1流路83cを開く。
【0042】
[緩衝器1の機能]
〈伸側行程〉
前輪の上下動によってピストン83がシリンダ151内で前輪側に移動する伸側行程においては、アウターチューブ111とインナーチューブ121とが軸方向において相対的に遠ざかる方向に移動する。このときピストン83と下シリンダ部170とは、軸方向に相対的に近づく方向に移動する。またピストン83とピストン192とは、軸方向に相対的に遠ざかる方向に移動する。
ピストン83と下シリンダ部170とが近づくことで、油室T3の容積が狭まる。一方、ピストン83とピストン192とが遠ざかることで油室T4の容積が広がる。これにより油室T3の油は、流路83bを通り、バルブ85を開いて油室T4に移動する。バルブ85を押し開いて油が通ることで、減衰力が発生する。
また、このとき、ロッド部材81が、油室T3から退出する。そのためロッド部材81が油室T3から退出した容積分の油が、油室T5から油室T4へ移動する。この場合、油室T5の油は、バルブ192NBを開き、流路192NRを通り、油室T4に移動する。バルブ192NBを押し開いて油が通ることで、減衰力が発生する。
そして、油室T4に油が移動すると、フリーピストン194が軸方向の他方側に移動する。その結果、気体室T6の容積が広がる。この容積分の気体は、貫通孔132Kを通り、気体室T1から気体室T6へ移動する。
【0043】
(圧側行程)
ピストン83がシリンダ151内で車体側に移動する圧側行程においては、アウターチューブ111とインナーチューブ121とが軸方向において相対的に近づく方向に移動する。このときピストン83と下シリンダ部170とは、軸方向に相対的に遠ざかる方向に移動する。またピストン83とピストン192とは、軸方向に相対的に近づく方向に移動する。
ピストン83と下シリンダ部170とが遠ざかることで、油室T3の容積が広がる。一方、ピストン83とピストン192とが近づくことで油室T4の容積が狭まる。これにより、油室T4の油は、メインボルト82の内部流路82rを通り、油室T3に移動する。油が、内部流路82rの絞りである、調整部材71の先端部71aの外周面と第2部82bの内周面との間の隙間を通ることで、減衰力が発生する。なお、このとき発生する減衰力は、第1アジャスタ182を操作することで調整可能である。
また、このとき、ロッド部材81が、油室T3に侵入する。そのためロッド部材81が油室T3に侵入した容積分の油が、油室T4から油室T5へ移動する。この場合、油室T4の油は、サブボルト195の内部流路195rを通り、油室T5に移動する。油が、内部流路195rの絞りである、調整部材197の先端部197aの外周面と第3部195cの内周面との間の隙間を通ることで、減衰力が発生する。なお、このとき発生する減衰力は、アジャスタ198を操作することで調整可能である。
そして、油室T5に油が移動すると、フリーピストン194が軸方向の一方側に移動する。その結果、気体室T6の容積が狭まる。この容積分の気体は、貫通孔132Kを通り、気体室T6から気体室T1へ移動する。
【0044】
油室T4内の圧力Psが第1圧力P1以上になった場合には、油室T4の油は、バルブ192PBを開き、流路192PRを通って、油室T5に移動する。バルブ192PBを押し開いて油が通ることで、減衰力が発生する。
また、油室T4内の圧力Psが第2圧力P2以上になった場合には、油室T4内の油は、第1バルブ86を開き、第1流路83cを通って、油室T3に移動する。第1バルブ86を押し開いて油が通ることで、減衰力が発生する。
【0045】
図7は、ピストン83の速度Vpと圧側行程時の減衰力との関係を示す図である。
図7においては、第1の実施形態に係る緩衝器1の減衰力Dを実線で示している。また、緩衝器1に対して、第1バルブ86が開かない構成(以下、「第1比較構成」と称する場合がある。)の減衰力D1を破線で示している。また、緩衝器1に対して、バルブ192PB及び第1バルブ86が開かない構成(以下、「第2比較構成」と称する場合がある。)の減衰力D2を二点鎖線で示している。
【0046】
第2比較構成においては、内部流路82r及び内部流路195rの絞りで、速度Vpに応じた減衰力が生じる。ゆえに、第2比較構成では、速度Vpが大きくなるのに応じて減衰力D2が大きくなる。
緩衝器1及び第1比較構成においては、バルブ192PBが開くので、圧力Psが、バルブ192PBが開く圧力となる速度Vp以上で、減衰力D及び減衰力D1が、減衰力D2よりも小さくなる。
また、緩衝器1においては、第1バルブ86が開くので、圧力Psが、第1バルブ86が開く圧力となる速度Vp以上で、減衰力Dが、減衰力D1及び減衰力D2よりも小さくなる。
【0047】
したがって、緩衝器1によれば、速度Vpが速く、第1バルブ86が開く高速域での乗り心地を、第1比較構成及び第2比較構成よりも良くすることができる。また、緩衝器1によれば、速度Vpが速く、第1バルブ86は開かないがバルブ192PBが開く中速域での乗り心地を、第2比較構成よりも良くすることができる。
【0048】
そして、緩衝器1は第2調整ユニット90を有するので、高速域での減衰力Dを調整することができる。
例えば、第2比較構成においては、低速域、中速域の乗り心地は良く、高速域の乗り心地が悪い場合、内部流路82rや内部流路195rの絞りの大きさを変更することで対応しなければならない。このようにして、内部流路82rや内部流路195rの絞りの大きさの変更を行うと、高速域のみならず、低速域、中速域の減衰特性が変化してしまう。
また、第1比較構成においては、低速域、中速域の乗り心地は良く、高速域の乗り心地が悪い場合、内部流路82rや内部流路195rの絞りの大きさや、バルブ192PBの仕様を変更することで対応しなければならない。このようにして、内部流路82rや内部流路195rの絞りの大きさや、バルブ192PBの仕様の変更を行うと、高速域のみならず、低速域、中速域の減衰特性が変化してしまう。
これに対して、緩衝器1においては、メインバルブ装置60を備えているので、高速域での減衰力Dを、内部流路82rや内部流路195rの絞りに応じて発生する低速域での減衰力の調整、及び、バルブ192PBの仕様に応じて発生する中速域での減衰力の調整とは別に、独立して調整することができる。したがって、緩衝器1によれば、第1比較構成及び第2比較構成よりも、ピストンの幅広い移動速度領域に亘って減衰力を調整することができる。
【0049】
<第2の実施形態>
図8は、第2の実施形態に係る緩衝器2の概略構成の一例を示す断面図である。
第2の実施形態に係る緩衝器2は、第1の実施形態に係る緩衝器1に対して、メインバルブ装置60に相当するメインバルブ装置260が異なる。
以下、メインバルブ装置260について、メインバルブ装置60と異なる点について説明する。メインバルブ装置260とメインバルブ装置60とで、同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0050】
メインバルブ装置260は、メインバルブ装置60の支持部材88に相当する第1支持部材288を有するとともに、第2調整ユニット90の第1伝達部材95における一方側の端部が第1支持部材288と接触し、第1バネ91のバネ力を第1支持部材288に伝達する点が異なる。また、メインバルブ装置260は、メインバルブ装置60の第1バルブ86に相当する第1バルブ286及び第1支持部材288の内側において、ピストン83とメインボルト82の第2部82bとの間に挟み込まれた円筒状のカラー289を有している点が異なる。第1バルブ286は、内側にカラー289を配置可能なように、第1バルブ86よりも内径が大きい。
【0051】
第1支持部材288は、中央部に形成された中央孔288aと、環状の基部288bと、円筒状の筒部288cと、を有する。中央孔288aは、カラー289の外径よりも大きく、メインボルト82の第2部82bの外径よりも小さい。基部288bの外径は、第1伝達部材95の第1部95aの外径よりも大きく、基部288bにおける他方側の端面に第1伝達部材95における一方側の端部が接触している。筒部288cの外径は、メインボルト82の第2部82bの外径以上であり、第1伝達部材95の内径より小さい。第1支持部材288における軸方向の大きさは、カラー289の大きさよりも小さい。
【0052】
以上のように構成されたメインバルブ装置260においては、油室T4の圧力Psに応じて、第1バルブ286及び第1支持部材288がカラー289に対して摺動する。より具体的には、圧力Psが、第1バルブ286の曲げ剛性に応じて定まる第3圧力P3以上になった場合に、第1バルブ286の複数のディスクバルブの内、軸方向の中央部よりも一方側に配置されたディスクバルブが開く。さらに、圧力Psが、プリセット荷重F2に応じて定まる第4圧力P4(>第3圧力P3)以上になった場合に、第1バネ91のバネ力に抗して、第1バルブ286及び第1支持部材288が他方側へ移動する。
したがって、緩衝器2によれば、第1バルブ286を構成する複数のディスクバルブの仕様を変更することで、第1バルブ286が開き始める第3圧力P3を変えることができる。それゆえ、緩衝器2によれば、第1比較構成及び第2比較構成よりも、ピストンの幅広い移動速度領域に亘って減衰力を調整することができる。
【0053】
<第3の実施形態>
図9は、第3の実施形態に係る緩衝器3の概略構成の一例を示す断面図である。
第3の実施形態に係る緩衝器3は、第1の実施形態に係る緩衝器1に対して、メインバルブ装置60に相当するメインバルブ装置360が異なる。
以下、メインバルブ装置360について、メインバルブ装置60と異なる点について説明する。メインバルブ装置360とメインバルブ装置60とで、同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0054】
メインバルブ装置360は、メインバルブ装置60に対して、メインバルブ装置60のピストン83に相当するピストン383が異なる。ピストン383は、第1流路83cに加えて、第1流路83cとは異なる位置においてピストン383の軸方向を貫通する第2流路383cを有している。第2流路383cは、第1流路83cよりも外側に形成されている。また、ピストン383は、第2流路383cよりも外側であって、他方側の端部には、他方側に突出した外壁383eを有する。外壁383eには、半径方向に貫通する貫通孔383fが形成されている。
さらに、メインバルブ装置360は、メインバルブ装置60に対して、第2流路383cを開閉する第2バルブ386を有する点が異なる。第2バルブ386は、例えば1枚のディスクバルブである。第2バルブ386の内径は、第1バルブ86の外径よりも大きく、第2バルブ386は、第1バルブ86の周りを囲むように配置されている。第2バルブ386は、ピストン383の外壁383eにより、半径方向への移動が抑制される。
そして、メインバルブ装置360においては、第2調整ユニット90の第1伝達部材95における一方側の端部が第2バルブ386と接触し、第1バネ91のバネ力が第2バルブ386に伝達される。
【0055】
以上のように構成されたメインバルブ装置360においては、油室T4の圧力Psに応じて、第1バルブ86及び第2バルブ386が開く。より具体的には、圧力Psが、第1バルブ86の曲げ剛性に応じて定まる第5圧力P5以上になった場合に、第1バルブ86の複数のディスクバルブの内、軸方向の中央部よりも一方側に配置されたディスクバルブが開く。さらに、圧力Psが、プリセット荷重F2に応じて定まる第6圧力P6(>第5圧力P5)以上になった場合に、第1バネ91のバネ力に抗して、第2バルブ386が開く。第2バルブ386を押し開いて油が通ることで、減衰力が発生する。そして、第1バネ91のプリセット荷重F2を変更することで、第2バルブ386が開き始める第6圧力P6を変更することができ、減衰力を調整することができる。
したがって、緩衝器3によれば、第1バルブ86を構成する複数のディスクバルブの仕様を変更することで、第1バルブ86が開き始める第5圧力P5を変えることができる。加えて、緩衝器3によれば、プリセット荷重F2を変えることで、第2バルブ386が開き始める第6圧力P6を変えることができる。それゆえ、緩衝器3によれば、第1比較構成及び第2比較構成よりも、ピストンの幅広い移動速度領域に亘って減衰力を調整することができる。
【0056】
<第4の実施形態>
図10は、第4の実施形態に係る緩衝器4の概略構成の一例を示す断面図である。
第4の実施形態に係る緩衝器4は、第1の実施形態に係る緩衝器1に対して、メインバルブ装置60に相当するメインバルブ装置460が異なる。
以下、メインバルブ装置460について、メインバルブ装置60と異なる点について説明する。メインバルブ装置460とメインバルブ装置60とで、同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0057】
メインバルブ装置460は、メインバルブ装置60の第1バルブ86、支持部材88にそれぞれ相当する第1バルブ486、第1支持部材488と、を有する。また、メインバルブ装置460は、第1支持部材488に対して、第1バルブ486が閉じる方向の力を付与するコイルバネである第2バネ463と、第2バネ463の内側に配置され第2バネ463の径方向への移動を抑制するガイド464と、を有する。また、メインバルブ装置460は、第1バルブ486及び第1支持部材488の内側において、ピストン83とガイド464との間に挟み込まれた円筒状のカラー489を有している。つまり、支持部材87、バルブ85、ピストン83、カラー489、及び、ガイド464は、互いに隣接する部材と接触した状態で、メインボルト82の第2部82bとナット84との間に挟み込まれている。第1バルブ486は、内側にカラー489を配置可能なように、第1バルブ86に対して内径が大きい。
【0058】
第1支持部材488は、中央部に形成された中央孔488aと、環状の基部488bと、円筒状の筒部488cと、を有する。中央孔488aの径は、カラー489の外径よりも大きく、基部488bの外径は、第1伝達部材95の第1部95aの内径よりも小さい。また、筒部488cの外径は、第2バネ463の内径より小さく、第1支持部材488の軸方向の長さは、カラー489の軸方向の長さよりも小さい。
第2バネ463は、一方側の端部がワッシャを介して第1支持部材488の基部488bに支持され、他方側の端部がメインボルト82の第3部82cに支持されている。
ガイド464は、円筒状の第1部464aと、第1部464aよりも他方側に設けられた第2部464bと、を有する。第1部464aの内径は、メインボルト82の第1部82aの外径よりも大きく、カラー489の外径よりも小さい。第2部464bの内径は、メインボルト82の第2部82bの外径よりも大きく、第2バネ463の内径よりも小さい。ガイド464は、メインボルト82の周りを囲むように配置されて、第2バネ463の伸縮をガイドする。
【0059】
以上のように構成されたメインバルブ装置460においては、油室T4の圧力Psに応じて、第1バルブ486が開くとともに、第1バルブ486及び第1支持部材488がカラー489に対して摺動する。より具体的には、圧力Psが、第1バネ91のプリセット荷重F2及び第1バルブ486の曲げ剛性に応じて定まる第7圧力P7以上になった場合に、第1バルブ486の複数のディスクバルブの内、軸方向の中央部よりも一方側に配置されたディスクバルブが、第1バネ91のバネ力に抗して開く。さらに、圧力Psが、第2バネ463のプリセット荷重であるプリセット荷重F3に応じて定まる第8圧力P8(>第7圧力P7)以上になった場合に、第2バネ463のバネ力に抗して、第1バルブ486及び第1支持部材488が他方側へ移動する。
したがって、緩衝器4によれば、第1バルブ486を構成する複数のディスクバルブの仕様やプリセット荷重F2を変更することで、第1バルブ486が開き始める第7圧力P7を変えることができる。また、緩衝器4によれば、第2バネ463の仕様(プリセット荷重F3)を変更することで、第1バルブ486及び第1支持部材488が他方側へ移動開始する第8圧力P8を変えることができる。それゆえ、緩衝器4によれば、第1比較構成及び第2比較構成よりも、ピストンの幅広い移動速度領域に亘って減衰力を調整することができる。
【0060】
<第5の実施形態>
図11は、第5の実施形態に係る緩衝器5の概略構成の一例を示す断面図である。
第5の実施形態に係る緩衝器5は、第2の実施形態に係る緩衝器2に対して、メインバルブ装置260に相当するメインバルブ装置560が異なる。
以下、メインバルブ装置560について、メインバルブ装置260と異なる点について説明する。メインバルブ装置560とメインバルブ装置260とで、同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0061】
メインバルブ装置560は、メインバルブ装置260の構成に対して、第4の実施形態に係るメインバルブ装置460が有する第2バネ463、ガイド464及びカラー489を適用した構成である。支持部材87、バルブ85、ピストン83、カラー489、及び、ガイド464は、互いに隣接する部材と接触した状態で、メインボルト82の第2部82bとナット84との間に挟み込まれている。
以上のように構成されたメインバルブ装置560においては、油室T4の圧力Psに応じて、第1バルブ286が開くとともに、第1バルブ286及び第1支持部材288がカラー489に対して摺動する。より具体的には、圧力Psが、第1バルブ286の剛性に応じて定まる第9圧力P9以上になった場合に、第1バルブ286の複数のディスクバルブの内、軸方向の中央部よりも一方側に配置されたディスクバルブが開く。さらに、圧力Psが、第1バネ91のプリセット荷重F2及び第2バネ463のプリセット荷重F3に応じて定まる第10圧力P10(>第9圧力P9)以上になった場合に、第1バネ91及び第2バネ463のバネ力に抗して、第1バルブ286及び第1支持部材288が他方側へ移動する。
したがって、緩衝器5によれば、第1バルブ286を構成する複数のディスクバルブの曲げ剛性を変更することで、第1バルブ286が開き始める第9圧力P9を変えることができる。また、緩衝器5によれば、さらに、第2バネ463の仕様(プリセット荷重F3)及びプリセット荷重F2を変更することで、第1バルブ286及び第1支持部材288が他方側へ移動開始する第10圧力P10を変えることができる。それゆえ、緩衝器5によれば、第1比較構成及び第2比較構成よりも、ピストンの幅広い移動速度領域に亘って減衰力を調整することができる。
【0062】
<第6の実施形態>
図12は、第6の実施形態に係る緩衝器6の概略構成の一例を示す断面図である。
第6の実施形態に係る緩衝器6は、第3の実施形態に係る緩衝器3に対して、メインバルブ装置360に相当するメインバルブ装置660が異なる。
以下、メインバルブ装置660について、メインバルブ装置360と異なる点について説明する。メインバルブ装置660とメインバルブ装置360とで、同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0063】
メインバルブ装置660は、メインバルブ装置360の構成に対して、第4の実施形態に係るメインバルブ装置460が有する第2バネ463、ガイド464、第1支持部材488及びカラー489を適用した構成である。また、メインバルブ装置360の第1バルブ86に相当する第1バルブ686は、内側にカラー489を配置可能なように、第1バルブ86に対して内径が大きい。また、支持部材87、バルブ85、ピストン383、カラー489、及び、ガイド464は、互いに隣接する部材と接触した状態で、メインボルト82の第2部82bとナット84との間に挟み込まれている。
【0064】
以上のように構成されたメインバルブ装置660においては、油室T4の圧力Psに応じて、第1バルブ686及び第2バルブ386が開くとともに、第1バルブ686及び第1支持部材488がカラー489に対して摺動する。より具体的には、圧力Psが、第1バルブ686の剛性に応じて定まる第11圧力P11以上になった場合に、第1バルブ686の複数のディスクバルブの内、軸方向の中央部よりも一方側に配置されたディスクバルブが開く。さらに、圧力Psが、第2バネ463のプリセット荷重F3に応じて定まる第12圧力P12(>第11圧力P11)以上になった場合に、第2バネ463のバネ力に抗して、第1バルブ686及び第1支持部材488が他方側へ移動する。さらに、圧力Psが、第1バネ91のプリセット荷重F2に応じて定まる第13圧力P13(>第12圧力P12)以上になった場合に、第1バネ91のバネ力に抗して、第2バルブ386が他方側へ移動する。
したがって、緩衝器6によれば、第1バルブ686を構成する複数のディスクバルブの仕様を変更することで、第1バルブ686が開き始める第11圧力P11を変えることができる。また、緩衝器6によれば、さらに、第2バネ463の仕様(プリセット荷重F3)を変更することで、第1バルブ686及び第1支持部材488が他方側へ移動開始する第12圧力P12を変えることができる。さらに、プリセット荷重F2を変更することで、第2バルブ386が他方側へ移動開始する第13圧力P13を変えることができる。それゆえ、緩衝器6によれば、第1比較構成及び第2比較構成よりも、ピストンの幅広い移動速度領域に亘って減衰力を調整することができる。なお、第2バネ463のバネ力に抗して、第1バルブ686及び第1支持部材488が他方側へ移動開始する圧力Psよりも、第1バネ91のバネ力に抗して、第2バルブ386が他方側へ移動開始する圧力Psの方が小さくなるように、第1バネ91及び第2バネ463の仕様を設定しても良い。
【0065】
なお、上述した第1、第3、第4、第6の実施形態においては、第1バルブ86、第1バルブ486、第1バルブ686、又は、第2バルブ386に対して、第1伝達部材95を介して、第1バネ91のバネ力を付与しているが、特にかかる態様に限定されない。第1バルブ86、第1バルブ486、第1バルブ686、又は、第2バルブ386に、第1バネ91の一方側の端部を接触させることにより、第1バネ91のバネ力を、第1バルブ86、第1バルブ486、第1バルブ686、又は、第2バルブ386に付与しても良い。また、上述した第2、第5の実施形態においては、第1支持部材288に対して、第1伝達部材95を介して、第1バネ91のバネ力を付与しているが、特にかかる態様に限定されない。第1支持部材288に第1バネ91の一方側の端部を接触させることにより、第1バネ91のバネ力を、第1支持部材288に付与しても良い。
【符号の説明】
【0066】
1,2,3,4,5,6…緩衝器、60,260,360,460,560,660…メインバルブ装置、81…ロッド部材、83,383…ピストン、83c…第1流路、86,286,486,686…第1バルブ、88…支持部材、90…第2調整ユニット、91…第1バネ、92…バネ受け、95…第1伝達部材、96…第2調整部、97…第2伝達部材、99…接触部材、151…シリンダ、185…第2操作部、190…サブバルブ装置、288,488…第1支持部材、383c…第2流路、386…第2バルブ、463…第2バネ
【手続補正書】
【提出日】2020年2月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗型車両の車体に軸方向の第1端部が固定されたシリンダと、
前記シリンダ内を摺動するピストンを前記第1端部側の端部に保持するとともに、前記第1端部側の端部とは反対側の第2端部が前輪側に固定されたロッドと、
前記シリンダ内の前記第1端部側の端部に固定された第1減衰力発生部と、
前記シリンダ内を前記軸方向に移動可能に配置された第2減衰力発生部と、を備え、
前記第2減衰力発生部は、前記ピストンの前記軸方向を貫通する流路と、前記流路における前記第2端部側の開口部を開閉するバルブと、前記バルブが開くのに必要な力を前記ロッドの外から調整可能にする調整ユニットと、を有し、
前記流路は、第1流路と、前記第1流路よりも前記ピストンの径方向外側に設けられた第2流路と、を有し、
前記バルブは、前記第1流路における前記第2端部側の開口部を開閉する第1バルブと、前記第2流路における前記第2端部側の開口部を開閉する第2バルブと、を有し、
前記調整ユニットは、前記第2バルブが開くのに必要な力を調整する
緩衝器。
【請求項2】
前記調整ユニットは、前記バルブに対して閉じる方向の力を付与する第1バネと、前記第1バネの前記第2端部側の端部を支持するバネ受けと、前記バネ受けの位置を調整する調整部と、を有する
請求項1に記載の緩衝器。
【請求項3】
前記調整ユニットは、前記第2バルブに対して閉じる方向の力を付与する第1バネの前記第1端部側の端部と前記第2バルブとの間に配置されて前記第1バネの力を前記第2バルブに伝達する第1伝達部材をさらに有する
請求項1又は2に記載の緩衝器。
【請求項4】
前記第2減衰力発生部は、前記第1伝達部材の内側に配置されて、前記第1バルブにおける前記第2端部側の面を支持する第1支持部材と、前記第1端部側が前記第1支持部材に支持されて前記第1バルブに対して閉じる方向の力を付与する第2バネと、を有する
請求項3に記載の緩衝器。
【請求項5】
前記調整ユニットは、前記ロッドの内部に配置されているとともに前記第1バネの前記第2端部側の端部を支持するバネ受けに力を伝える第2伝達部材に接触する接触部材と、回転操作することで前記接触部材の位置を変更可能な操作部と、を有する
請求項3又は4に記載の緩衝器。
【請求項6】
鞍乗型車両の車体に軸方向の第1端部が固定されたシリンダと、
前記シリンダ内を摺動するピストンを前記第1端部側の端部に保持するとともに、前記第1端部側の端部とは反対側の第2端部が前輪側に固定されたロッドと、
前記シリンダ内の前記第1端部側の端部に固定された第1減衰力発生部と、
前記シリンダ内を前記軸方向に移動可能に配置された第2減衰力発生部と、を備え、
前記第2減衰力発生部は、前記ピストンの前記軸方向を貫通する流路と、前記流路における前記第2端部側の開口部を開閉するバルブと、前記バルブが開くのに必要な力を前記ロッドの外から調整可能にする調整ユニットと、を有し、
前記調整ユニットは、前記バルブに対して閉じる方向の力を付与する第1バネと、前記第1バネの前記第2端部側の端部を支持するバネ受けと、前記バネ受けの位置を調整する調整部と、を有し、
前記調整ユニットは、前記第1バネの前記第1端部側の端部と前記バルブとの間に配置されて前記第1バネの力を前記バルブに伝達する第1伝達部材をさらに有し、
前記第2減衰力発生部は、前記第1伝達部材の内側に配置されて、前記バルブにおける前記第2端部側の面を支持する第1支持部材と、前記第1端部側が前記第1支持部材に支持されて前記バルブに対して閉じる方向の力を付与する第2バネと、を有する
緩衝器。
【請求項7】
前記調整部は、前記ロッドの内部に配置されているとともに前記第1端部側の端部が前記バネ受けに力を伝える第2伝達部材に接触する接触部材と、回転操作することで前記接触部材の位置を変更可能な操作部と、を有する
請求項6に記載の緩衝器。
【請求項8】
車体と、前記車体の進行方向の前方に配設された前輪と、前記進行方向の後方に配設された後輪と、前記車体と前記前輪との間に配設された第1緩衝器と、前記車体と前記後輪との間に配設された第2緩衝器と、を備え、
少なくとも前記第1緩衝器が、請求項1から7のいずれか1項に記載された緩衝器である、鞍乗型車両。
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
(削除)
【手続補正書】
【提出日】2020年1月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗型車両の車体に軸方向の第1端部が固定されたシリンダと、
前記シリンダ内を摺動するピストンを前記第1端部側の端部に保持するとともに、前記第1端部側の端部とは反対側の第2端部が前輪側に固定されたロッドと、
前記シリンダ内の前記第1端部側の端部に固定された第1減衰力発生部と、
前記シリンダ内を前記軸方向に移動可能に配置された第2減衰力発生部と、を備え、
前記第2減衰力発生部は、前記ピストンの前記軸方向を貫通する流路と、前記流路における前記第2端部側の開口部を開閉するバルブと、前記バルブが開くのに必要な力を前記ロッドの外から調整可能にする調整ユニットと、を有し、
前記流路は、第1流路と、前記第1流路よりも前記ピストンの径方向外側に設けられた第2流路と、を有し、
前記バルブは、前記第1流路における前記第2端部側の開口部を開閉する第1バルブと、前記第2流路における前記第2端部側の開口部を開閉する第2バルブと、を有し、
前記調整ユニットは、前記第2バルブが開くのに必要な力を調整する
緩衝器。
【請求項2】
前記調整ユニットは、前記バルブに対して閉じる方向の力を付与する第1バネと、前記第1バネの前記第2端部側の端部を支持するバネ受けと、前記バネ受けの位置を調整する調整部と、を有する
請求項1に記載の緩衝器。
【請求項3】
前記調整ユニットは、前記第2バルブに対して閉じる方向の力を付与する第1バネの前記第1端部側の端部と前記第2バルブとの間に配置されて前記第1バネの力を前記第2バルブに伝達する第1伝達部材をさらに有する
請求項1又は2に記載の緩衝器。
【請求項4】
前記第2減衰力発生部は、前記第1伝達部材の内側に配置されて、前記第1バルブにおける前記第2端部側の面を支持する第1支持部材と、前記第1端部側が前記第1支持部材に支持されて前記第1バルブに対して閉じる方向の力を付与する第2バネと、を有する
請求項3に記載の緩衝器。
【請求項5】
前記調整ユニットは、前記ロッドの内部に配置されているとともに前記第1バネの前記第2端部側の端部を支持するバネ受けに力を伝える第2伝達部材に接触する接触部材と、回転操作することで前記接触部材の位置を変更可能な操作部と、を有する
請求項3又は4に記載の緩衝器。
【請求項6】
鞍乗型車両の車体に軸方向の第1端部が固定されたシリンダと、
前記シリンダ内を摺動するピストンを前記第1端部側の端部に保持するとともに、前記第1端部側の端部とは反対側の第2端部が前輪側に固定されたロッドと、
前記シリンダ内の前記第1端部側の端部に固定された第1減衰力発生部と、
前記シリンダ内を前記軸方向に移動可能に配置された第2減衰力発生部と、を備え、
前記第2減衰力発生部は、前記ピストンの前記軸方向を貫通する流路と、前記流路における前記第2端部側の開口部を開閉するバルブと、前記バルブが開くのに必要な力を前記ロッドの外から調整可能にする調整ユニットと、を有し、
前記調整ユニットは、前記バルブに対して閉じる方向の力を付与する第1バネと、前記第1バネの前記第2端部側の端部を支持するバネ受けと、前記バネ受けの位置を調整する調整部と、を有し、
前記調整ユニットは、前記第1バネの前記第1端部側の端部と前記バルブとの間に配置されて前記第1バネの力を前記バルブに伝達する第1伝達部材をさらに有し、
前記第2減衰力発生部は、前記第1伝達部材の内側に配置されて、前記バルブにおける前記第2端部側の面を支持する第1支持部材と、前記第1端部側が前記第1支持部材に支持されて前記バルブに対して閉じる方向の力を付与する第2バネと、を有する
緩衝器。
【請求項7】
前記調整部は、前記ロッドの内部に配置されているとともに前記第1端部側の端部が前記バネ受けに力を伝える第2伝達部材に接触する接触部材と、回転操作することで前記接触部材の位置を変更可能な操作部と、を有する
請求項6に記載の緩衝器。
【請求項8】
車体と、前記車体の進行方向の前方に配設された前輪と、前記進行方向の後方に配設された後輪と、前記車体と前記前輪との間に配設された第1緩衝器と、前記車体と前記後輪との間に配設された第2緩衝器と、を備え、
少なくとも前記第1緩衝器が、請求項1から7のいずれか1項に記載された緩衝器である、鞍乗型車両。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
以下、本開示について説明する。以下の説明では、本開示の理解を容易にするために添付図面中の参照符号を括弧書きで付記するが、それによって本開示が図示の形態に限定されるものではない。
本開示の1つの態様は、鞍乗型車両の車体に軸方向の第1端部が固定されたシリンダ(151)と、前記シリンダ内を摺動するピストン
(383)を前記第1端部側の端部に保持するとともに、前記第1端部側の端部とは反対側の第2端部が前輪側に固定されたロッド(81)と、前記シリンダ内の前記第1端部側の端部に固定された第1減衰力発生部(190)と、前記シリンダ内を前記軸方向に移動可能に配置された第2減衰力発生部
(360
、660)と、を備え、前記第2減衰力発生部は、前記ピストンの前記軸方向を貫通する流路(83c、383c)と、前記流路における前記第2端部側の開口部を開閉するバルブ(86
、386
、686)と、前記バルブが開くのに必要な力を前記ロッドの外から調整可能にする調整ユニット(90)と、を有
し、前記流路(83c、383c)は、第1流路(83c)と、前記第1流路よりも前記ピストン(83、383)の径方向外側に設けられた第2流路(383c)と、を有し、前記バルブ(86、386、686)は、前記第1流路における前記第2端部側の開口部を開閉する第1バルブ(86、686)と、前記第2流路における前記第2端部側の開口部を開閉する第2バルブ(386)と、を有し、前記調整ユニット(90)は、前記第2バルブが開くのに必要な力を調整する緩衝器
(3、6)である。
ここで、前記調整ユニット(90)は、前記バルブ(86
、386
、686)に対して閉じる方向の力を付与する第1バネ(91)と、前記第1バネの前記第2端部側の端部を支持するバネ受け(92)と、前記バネ受けの位置を調整する調整部(96)と、を有しても良い
。
また、前記調整ユニット(90)は、前記第2バルブ(386)に対して閉じる方向の力を付与する第1バネ(91)の前記第1端部側の端部と前記第2バルブ(386)との間に配置されて前記第1バネ(91)の力を前記第2バルブに伝達する第1伝達部材(95)をさらに有しても良い。
また、前記第2減衰力発生部(660)は、前記第1伝達部材(95)の内側に配置されて、前記第1バルブ(686)における前記第2端部側の面を支持する第1支持部材(488)と、前記第1端部側が前記第1支持部材に支持されて前記第1バルブに対して閉じる方向の力を付与する第2バネ(463)と、を有しても良い。
また、前記調整ユニット(90)は、前記ロッド(81)の内部に配置されているとともに前記第1バネ(91)の前記第2端部側の端部を支持するバネ受けに力を伝える第2伝達部材(97)に接触する接触部材(99)と、回転操作することで前記接触部材の位置を変更可能な操作部(185)と、を有しても良い。
また、本開示の他の態様は、鞍乗型車両の車体に軸方向の第1端部が固定されたシリンダ(151)と、前記シリンダ内を摺動するピストン(383)を前記第1端部側の端部に保持するとともに、前記第1端部側の端部とは反対側の第2端部が前輪側に固定されたロッド(81)と、前記シリンダ内の前記第1端部側の端部に固定された第1減衰力発生部(190)と、前記シリンダ内を前記軸方向に移動可能に配置された第2減衰力発生部(360、660)と、を備え、前記第2減衰力発生部は、前記ピストンの前記軸方向を貫通する流路(83c、383c)と、前記流路における前記第2端部側の開口部を開閉するバルブ(86、386、686)と、前記バルブが開くのに必要な力を前記ロッドの外から調整可能にする調整ユニット(90)と、を有し、前記調整ユニット(90)は、前記バルブ(86、386、686)に対して閉じる方向の力を付与する第1バネ(91)と、前記第1バネの前記第2端部側の端部を支持するバネ受け(92)と、前記バネ受けの位置を調整する調整部(96)と、を有し、前記調整ユニット(90)は、前記第1バネ(91)の前記第1端部側の端部と前記バルブ(286、386、486)との間に配置されて前記第1バネの力を前記バルブに伝達する第1伝達部材(95)をさらに有し、前記第2減衰力発生部(460、560、660)は、前記第1伝達部材(95)の内側に配置されて、前記バルブ(286、486、686)における前記第2端部側の面を支持する第1支持部材(288、488)と、前記第1端部側が前記第1支持部材に支持されて前記バルブに対して閉じる方向の力を付与する第2バネ(463)と、を有する緩衝器(4、5、6)である。
ここで、前記調整部(96)は、前記ロッド(81)の内部に配置されているとともに前記第1端部側の端部が前記バネ受け(92)に力を伝える第2伝達部材(97)に接触する接触部材(99)と、回転操作することで前記接触部材の位置を変更可能な操作部(185)と、を有しても良い。
また、本開示の他の態様は、車体(104)と、前記車体の進行方向の前方に配設された前輪(105)と、前記進行方向の後方に配設された後輪(106)と、前記車体と前記前輪との間に配設された第1緩衝器
(3、4、5、6)と、前記車体と前記後輪との間に配設された第2緩衝器(8)と、を備え、少なくとも前記第1緩衝器が、上記何れかの緩衝器
(3、4、5、6)である、鞍乗型車両(10)である。
【国際調査報告】