再表2021-19888IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2021年2月4日
【発行日】2021年11月25日
(54)【発明の名称】炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/329 20060101AFI20211029BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20211029BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20211029BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20211029BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20211029BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20211029BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20211029BHJP
【FI】
   H01L29/86 301P
   H01L29/86 301D
   H01L29/91 K
   H01L29/86 301F
   H01L29/86 301E
   H01L29/06 301G
   H01L29/06 301V
   H01L29/86 301Z
   H01L29/86 301M
   H01L29/91 A
   H01L29/91 F
   H01L21/28 301B
   H01L21/28 301R
   H01L21/265 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】38
【出願番号】特願2021-536629(P2021-536629)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2020年5月26日
(31)【優先権主張番号】特願2019-139221(P2019-139221)
(32)【優先日】2019年7月29日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】大瀬 直之
(72)【発明者】
【氏名】小島 貴仁
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104AA03
4M104BB14
4M104CC01
4M104CC03
4M104DD33
4M104DD92
4M104FF04
4M104FF35
4M104GG03
(57)【要約】
層間絶縁膜(17)の開口部(17a’)にJBS構造を構成するp型領域(13)を露出させ、層間絶縁膜(17)の開口部(17a’)においてp型領域(13)に接して材料膜となる金属積層膜(52)として、アルミニウム膜とニッケル膜とを順に積層する。そして、熱処理により、アルミニウム膜中のアルミニウム原子を熱拡散させてp型領域(13)の表面領域にp+型コンタクト領域(14)を自己整合的に形成する。その後、金属積層膜(52)を除去した後、層間絶縁膜(17)に形成したコンタクトホールにおいてn-型ドリフト領域(12)にショットキー接合し、p+型コンタクト領域(14)にオーミック接合するチタン膜(31)を形成する。これによって、ショットキー接合とpn接合とを混在させたJBS構造の炭化珪素ダイオードにおいて、SBD構造による低い順方向電圧を維持し、かつサージ電流耐量を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素からなる半導体基板の内部に、前記半導体基板の第1主面をなす第1導電型領域を形成する第1工程と、
前記半導体基板の第1主面側において前記第1導電型領域の表面領域に、第2導電型領域を選択的に形成する第2工程と、
前記半導体基板の第1主面に、前記第1導電型領域および前記第2導電型領域を覆う層間絶縁膜を形成する第3工程と、
前記層間絶縁膜を選択的に除去して、前記第2導電型領域を露出する開口部を形成する第4工程と、
前記層間絶縁膜の前記開口部に、前記半導体基板の第1主面に接するアルミニウム膜、および前記アルミニウム膜を覆うキャップ膜を順に積層した金属積層膜を形成する第5工程と、
第1熱処理により、前記アルミニウム膜と前記半導体基板との接触箇所から前記アルミニウム膜中のアルミニウム原子を前記第2導電型領域へ熱拡散させて、前記第2導電型領域の表面領域に、前記第2導電型領域よりも不純物濃度の高い第2導電型高濃度領域を形成する第6工程と、
前記第6工程の後、前記金属積層膜を除去する第7工程と、
前記第7工程の後、前記層間絶縁膜を選択的に除去してコンタクトホールを形成する第8工程と、
前記第1導電型領域に接触して前記第1導電型領域とショットキー接合し、かつ前記第2導電型高濃度領域に接触して前記第2導電型高濃度領域とオーミック接合するチタン膜と、アルミニウムを含む金属膜と、を前記コンタクトホールの内部において前記半導体基板の第1主面上に順に積層して第1電極を形成する第9工程と、
前記半導体基板の第2主面に第2電極を形成する第10工程と、
を含むことを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第4工程では、ドライエッチングにより前記層間絶縁膜を選択的に除去して、前記開口部を形成することを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第5工程では、前記アルミニウム膜の厚さを50nm以上150nm以下とすることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第5工程では、前記アルミニウム膜の厚さを80nm以上120nm以下とすることを特徴とする請求項3に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2工程では、前記第2導電型領域の不純物濃度を1×1018/cm3以上2×1019/cm3以下とし、
前記第6工程では、前記第2導電型高濃度領域の不純物濃度を3×1020/cm3以上とすることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記キャップ膜が、ニッケル、チタンおよびモリブデンのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第6工程では、前記キャップ膜を構成する元素が前記第2導電型高濃度領域に含まれないように、前記第2導電型高濃度領域を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項8】
炭化珪素からなる半導体基板と、
前記半導体基板の内部に設けられ、前記半導体基板の第1主面に露出された第1導電型領域と、
前記半導体基板の第1主面と前記第1導電型領域との間に、前記第1導電型領域に接して選択的に設けられた第2導電型領域と、
前記半導体基板の第1主面と前記第2導電型領域との間に、前記第2導電型領域に接して設けられた、前記第2導電型領域よりも不純物濃度の高い第2導電型高濃度領域と、
前記半導体基板の第1主面に設けられ、底面に前記第2導電型高濃度領域を露出する凹部と、
前記第1導電型領域に接触して前記第1導電型領域とショットキー接合し、かつ前記凹部の底面で前記第2導電型高濃度領域に接触して前記第2導電型高濃度領域とオーミック接合するチタン膜と、アルミニウムを含む金属膜と、を前記半導体基板の第1主面上に順に積層してなる第1電極と、
前記半導体基板の第2主面に設けられた第2電極と、
を備えることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項9】
前記第2導電型高濃度領域の不純物はアルミニウムであることを特徴とする請求項8に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項10】
前記第2導電型高濃度領域は、前記第2導電型領域と同じ幅を有することを特徴とする請求項8に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項11】
前記第2導電型領域の不純物濃度は、1×1018/cm3以上2×1019/cm3以下であり、
前記第2導電型高濃度領域の不純物濃度は、3×1020/cm3以上であることを特徴とする請求項8に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項12】
前記第1電極と前記半導体基板との間および前記第1電極の内部にシリサイドを含まないことを特徴とする請求項8に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項13】
前記第2導電型高濃度領域は、前記第1電極とワイヤーとの接合部の直下において前記チタン膜との接合面積が最も大きく、前記接合部から離れた位置に配置されるほど前記チタン膜との接合面積が小さくなっていることを特徴とする請求項8〜12のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法
【背景技術】
【0002】
炭化珪素(SiC)半導体は、近年、シリコン(Si)半導体を用いた半導体装置の限界を超える半導体装置(以下、炭化珪素半導体装置とする)を作製(製造)可能な半導体材料として注目されている。特に、炭化珪素半導体は、シリコン半導体と比べて、絶縁破壊電界強度が大きい、熱伝導率が高いという特長を活かして高耐圧(例えば1700V以上)半導体装置への応用が期待されている。
【0003】
炭化珪素半導体装置がダイオード(以下、炭化珪素ダイオードとする)である場合、n-型ドリフト領域を構成するn-型エピタキシャル層の設計仕様を薄い厚さおよび高い不純物濃度に設定可能であることから、耐圧3300Vクラス程度までの炭化珪素ダイオードはショットキーバリアダイオード(SBD:Schottky Barrier Diode)構造とすることが一般的である。
【0004】
従来のSBD構造の炭化珪素ダイオードの構造について説明する。図31は、従来の炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見た状態を示す平面図である。図31に示す従来の炭化珪素半導体装置140は、活性領域110において、炭化珪素からなる半導体基板130のおもて面の全面に、半導体基板130のおもて面に沿ってショットキー接合が形成されたSBD構造の炭化珪素ダイオードである。
【0005】
従来の炭化珪素半導体装置140のショットキー接合は、半導体基板130のおもて面に露出されたn-型ドリフト領域112と、半導体基板130のおもて面上に設けられた金属層で構成されるおもて面電極(不図示)と、で形成されている。符号120,121は、それぞれ、エッジ終端領域およびフィールドリミッティングリング(FLR:Field Limiting Ring)である。
【0006】
通常、SBD構造では、半導体基板130とおもて面電極との接合面での電界強度が高く、逆方向電圧印加時にショットキー障壁を電子がトンネリングすることに起因する逆方向リーク電流増大、または炭化珪素固有の表面欠陥に起因する逆方向リーク電流増大という問題がある。このため、半導体基板130のおもて面側にショットキー接合とpn接合とを混在させたJunction Barrier Schottky(JBS)構造を採用した炭化珪素ダイオードが提案されている。
【0007】
従来のJBS構造の炭化珪素ダイオードの構造について説明する。図32は、従来の炭化珪素半導体装置の別の一例を半導体基板のおもて面側から見た状態を示す平面図である。図32に示す従来の炭化珪素半導体装置140’が図31に示す従来の炭化珪素半導体装置140と異なる点は、活性領域110において半導体基板130のおもて面側に、n-型ドリフト領域112とおもて面電極(不図示)とのショットキー接合によるSBD構造と、p型領域113とn-型ドリフト領域112とのpn接合によるJBS構造と、を混在させた点である。
【0008】
p型領域113は、活性領域110において半導体基板130のおもて面の表面領域に選択的に設けられている。隣り合うp型領域113間において半導体基板130のおもて面には、n-型ドリフト領域112が露出されている。p型領域113とn-型ドリフト領域112とで半導体基板130のおもて面にpn接合が形成されている。隣り合うp型領域113間のn-型ドリフト領域112は、半導体基板130のおもて面上に設けられたおもて面電極とのショットキー接合を形成する。
【0009】
このように半導体基板130とおもて面電極との接合面にショットキー接合とpn接合とを混在させたJBS構造とすることで、半導体基板130とおもて面電極との接合面での電界強度を低くすることができるため、シリコン半導体を用いたFWD(Free Wheeling Diode:還流ダイオード)並みの逆方向リーク電流に抑制可能となる。図32には、半導体基板130のおもて面に平行な方向に延在するストライプ状のp型領域113をハッチングで示す。
【0010】
また、図31に示す従来の炭化珪素半導体装置140では、サージ電圧印加時に順方向に流れるサージ電流が半導体基板130内からおもて面電極へ引き抜かれる電流量(以下、引き抜き量とする)が小さい。その理由は、SBD構造のダイオードが少数キャリアを電気伝導に使用しないユニポーラデバイスであることで、ダイオードに高い順方向電流が流れる高電流域では、半導体基板とおもて面電極とのコンタクト(電気的接触)が高抵抗となるからである。
【0011】
半導体基板130とおもて面電極とのコンタクトが高抵抗となる場合、半導体基板内に順方向に高いサージ電流が流れたときに、半導体基板130とおもて面電極との界面での発熱によって局所的にサージ電流が集中する。このサージ電流集中により、ショットキー接合面およびショットキー接合面直下のn-型エピタキシャル層(n-型ドリフト領域112)で破壊が生じるため、半導体基板130内からおもて面電極へのサージ電流の引き抜き量が小さくなる。
【0012】
このサージ電流の引き抜き量は、シリコン半導体を用いたJBS構造のダイオードでは大きくなることが確認されている。このため、図32に示す従来の炭化珪素半導体装置140’においても、シリコン半導体を用いたJBS構造のダイオードと同様にp型領域113とn-型ドリフト領域112とで半導体基板130のおもて面に形成されるpn接合のバイポーラ動作によるサージ電流の立ち上がり現象により、サージ電流の引き抜き量が大きくなると想定されたが、その効果は顕著にあらわれなかった。
【0013】
図32に示す従来の炭化珪素半導体装置140’でのサージ電流の引き抜き量が小さい要因の一つに、JBS構造のpn接合部を構成するp型領域113と、おもて面電極と、の十分に低抵抗なオーミックコンタクトが得られないことが挙げられる。そこで、p型領域113とおもて面電極との間に、p型領域113にオーミック接合する金属電極(以下、オーミック電極とする)を形成し、JBS構造のpn接合部に局所的にサージ電流を流して、サージ電流耐量を向上させることが想定される。
【0014】
従来のJBS構造の炭化珪素ダイオードの製造方法として、n-型ドリフト領域の、半導体基板のおもて面に露出する部分上にのみ、n-型ドリフト領域にショットキー接合する金属電極(以下、ショットキー電極とする)を形成した後、半導体基板のおもて面上に、ショットキー電極を覆うように、JBS構造のpn接合部を構成するp型領域にオーミック接合するオーミック電極を形成する方法が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0015】
下記特許文献1では、オーミック電極の材料としてアルミニウム(Al)またはニッケル(Ni)を用い、ショットキー電極の材料としてモリブデン(Mo)を用いることが開示されている。また、下記特許文献1では、JBS構造のpn接合部を構成するp型領域の内部に、当該p型領域よりも不純物濃度の高いp+型コンタクト領域を選択的に形成して、当該p型領域とオーミック電極とのオーミック性を向上させた炭化珪素ダイオードについて開示されている。
【0016】
従来のJBS構造の炭化珪素ダイオードの別の製造方法として、JBS構造のpn接合部を構成するp型領域上にのみオーミック電極を形成した後、半導体基板のおもて面上に、オーミック電極を覆うように、n-型ドリフト領域にショットキー接合するショットキー電極を形成する方法が提案されている(例えば、下記特許文献2参照。)。下記特許文献2では、ショットキー電極の材料として、モリブデン(Mo)を用いることが開示されている。
【0017】
p型領域上にオーミック電極を形成する方法として、炭化珪素からなる半導体基板上に、p型領域を覆うようにアルミニウム膜およびニッケル膜を順に積層した後、1000℃でのアニール(熱処理)により、半導体基板中のシリコン原子とニッケル膜中のニッケル原子とを反応させて、p型領域にオーミック接合するオーミック電極となるニッケルシリサイド(NiSi)膜を形成する方法が提案されている(例えば、下記非特許文献1参照。)。
【0018】
p型領域上にオーミック電極を形成する別の方法として、炭化珪素からなる半導体基板上に、p型領域を覆うようにニッケル膜およびアルミニウム膜を順に積層した後、これらの金属膜と半導体基板とを熱処理により反応させて、ニッケル、アルミニウム、シリコンおよび炭素の合金からなるp型オーミック電極を形成する方法が提案されている(例えば、下記特許文献3参照。)。下記特許文献3では、ニッケル膜の厚さを50nm以上150nm以下とし、アルミニウム膜の厚さを10nm以上50nm以下としている。
【0019】
微細パターンのオーミック電極を形成する方法として、層間絶縁膜にコンタクトホールを形成した後、スパッタリング等により半導体基板のおもて面の全面にニッケル膜を成膜し、熱処理によりニッケル膜の半導体基板との接触箇所にオーミック電極としてニッケルシリサイドを形成した後、ニッケル膜の半導体基板と反応していない未反応部分をエッチングにより除去することで、コンタクトホール内に自己整合的にオーミック電極を残す方法が提案されている(例えば、下記特許文献4参照。)。
【0020】
炭化珪素からなる半導体基板の内部にp型領域を形成する方法として、アルミニウムを含むガス雰囲気内の半導体基板にレーザー照射により当該ガス雰囲気中のアルミニウムを注入するレーザードーピング技術を用いて、n-型ドリフト領域内にp型領域を形成する方法が提案されている(例えば、下記特許文献5参照。)。下記特許文献5では、レーザードーピング技術により形成するp型領域が、電界緩和領域、JBS構造を構成するp型領域、FLRおよびチャネルストッパー領域を含むことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特許第5546759号公報
【特許文献2】特開2008−282972号公報
【特許文献3】特許第4291875号公報
【特許文献4】特開2005−276978号公報
【特許文献5】特開2016−207881号公報
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】エヌ・キリタニ(N.Kiritani)、外7名、シングル マテリアル オーミック コンタクツ サイマルテイニアスリー フォームトゥ オン ザ ソース/Pウェル/ゲート オブ 4H−SiC バーティカル MOSFETs(Single Material Ohmic Contacts Simultaneously Formed on the Source/P−well/Gate of 4H−SiC Vertical MOSFETs)、マテリアルス サイエンス フォーラム (Materials Science Forum)、スイス(Swizerland)、トランステック パブリケーションズ(Trans Tech Publications)、2003年、第433巻−第436巻、pp.669−672
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
上述した従来の炭化珪素半導体装置140’(JBS構造の炭化珪素ダイオード:図32参照)を作製するにあたって、活性領域110を同じ表面積とする場合、サージ電流耐量を向上させるためにp型領域113とオーミック電極(不図示)との接合面積を大きくするほど、n-型ドリフト領域112とショットキー電極(不図示)との接合面積が小さくなる。このため、順方向バイアス時にn-型ドリフト領域112からショットキー電極へ向かう電子電流量が少なくなり、低順方向電圧(Vf)化されにくい。
【0024】
p型領域113とオーミック電極との接合面積を所定のサージ電流耐量を得るために必要な接合面積として、n-型ドリフト領域112とショットキー電極との接合面積を可能な限り大きくするには、p型領域113上にのみオーミック電極を形成し、隣り合うp型領域113間においてn-型ドリフト領域112の全面にショットキー電極とのショットキー接合を形成すればよい。しかしながら、炭化珪素からなる半導体基板130のおもて面上にオーミック電極を形成するにあたって、次の問題がある。
【0025】
半導体基板130のおもて面上にオーミック電極としてニッケルシリサイド膜131を形成した場合を例に、従来の炭化珪素半導体装置140’に生じる問題について説明する。図29,30は、炭化珪素からなる半導体基板上のオーミック電極を模式的に示す説明図である。図29は、半導体基板130のおもて面上のニッケルシリサイド膜131の一部を拡大して示す断面図である。図30は、ニッケルシリサイド膜131の表面(最表面のチタン膜132との界面)の状態を示す断面図である。
【0026】
通常、炭化珪素からなる半導体基板130上にオーミック電極を形成するには、半導体基板130の表面領域に、イオン注入により高不純物濃度にp+型領域(不図示)を形成する。そして、当該p+型領域上に形成した例えばニッケルなどの金属種からなる金属膜(以下、ニッケル膜とする)中のニッケル原子と、半導体基板130中のシリコン原子と、を熱処理により反応させて、ニッケル膜の、p+型領域との接触箇所をシリサイド化させることでオーミック電極となるニッケルシリサイド膜131を形成する。
【0027】
ニッケル膜のシリサイド化によりニッケルシリサイド膜131を形成すると、半導体基板130の炭化珪素を構成するシリコン原子および炭素原子のうち、シリサイド化に用いられずに余った余剰の炭素(ハッチング部分)131aがニッケルシリサイド膜131中に析出する(図29)。この余剰の炭素131aが層状になった場合、ニッケルシリサイド膜131と半導体基板130との密着性が低下し、ニッケルシリサイド膜131が余剰の炭素131aの層ごと半導体基板130から剥離してしまう。
【0028】
また、ニッケルシリサイド膜131の生成自体が悪い場合には、ニッケルシリサイド膜131の内部に空洞131bが生じたり、ニッケルシリサイド膜131のステップカバレッジ(表面被覆性)が悪くなったりする。このため、ニッケルシリサイド膜131の表面に凹凸が生じたり、ニッケルシリサイド膜131と、ニッケルシリサイド膜131上に形成されるチタン膜132と、の間に空洞が生じたりすることによって、チタン膜132の表面に凹凸が生じてしまう(図30)。
【0029】
また、p型領域113の幅(p型領域113がストライプ状に延在する方向と直交する方向の幅)w101(図32参照)は数μm以下と狭いため、エッチングレートの異なる2種類の金属(アルミニウムおよびニッケル)の積層膜を微細パターンに加工することは難しく、この積層膜からなるオーミック電極の幅はp型領域113の幅w101よりも広くなる。特許文献4では、微細パターンのオーミック電極を自己整合的に形成しているが、p型領域とオーミック電極とのコンタクト抵抗が十分に低くならないことが本発明者らにより確認された。
【0030】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、ショットキー接合とpn接合とを混在させたJBS構造の炭化珪素ダイオードであって、SBD構造による低い順方向電圧を維持するとともに、サージ電流耐量を向上させることができる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。炭化珪素からなる半導体基板の内部に、前記半導体基板の第1主面をなす第1導電型領域を形成する第1工程を行う。前記半導体基板の第1主面側において前記第1導電型領域の表面領域に、第2導電型領域を選択的に形成する第2工程を行う。前記半導体基板の第1主面に、前記第1導電型領域および前記第2導電型領域を覆う層間絶縁膜を形成する第3工程を行う。前記層間絶縁膜を選択的に除去して、前記第2導電型領域を露出する開口部を形成する第4工程を行う。
【0032】
前記層間絶縁膜の前記開口部に、前記半導体基板の第1主面に接するアルミニウム膜、および前記アルミニウム膜を覆うキャップ膜を順に積層した金属積層膜を形成する第5工程を行う。第1熱処理により、前記アルミニウム膜と前記半導体基板との接触箇所から前記アルミニウム膜中のアルミニウム原子を前記第2導電型領域へ熱拡散させて、前記第2導電型領域の表面領域に、前記第2導電型領域よりも不純物濃度の高い第2導電型高濃度領域を形成する第6工程を行う。前記第6工程の後、前記金属積層膜を除去する第7工程を行う。
【0033】
前記第7工程の後、前記層間絶縁膜を選択的に除去してコンタクトホールを形成する第8工程を行う。前記第1導電型領域に接触して前記第1導電型領域とショットキー接合し、かつ前記第2導電型高濃度領域に接触して前記第2導電型高濃度領域とオーミック接合するチタン膜と、アルミニウムを含む金属膜と、を前記コンタクトホールの内部において前記半導体基板の第1主面上に順に積層して第1電極を形成する第9工程を行う。前記半導体基板の第2主面に第2電極を形成する第10工程を行う。
【0034】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4工程では、ドライエッチングにより前記層間絶縁膜を選択的に除去して、前記開口部を形成することを特徴とする。
【0035】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第5工程では、前記アルミニウム膜の厚さを50nm以上150nm以下とすることを特徴とする。
【0036】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第5工程では、前記アルミニウム膜の厚さを80nm以上120nm以下とすることを特徴とする。
【0037】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第2工程では、前記第2導電型領域の不純物濃度を1×1018/cm3以上2×1019/cm3以下とする。前記第6工程では、前記第2導電型高濃度領域の不純物濃度を3×1020/cm3以上とすることを特徴とする。
【0038】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記キャップ膜が、ニッケル、チタンおよびモリブデンのいずれかであることを特徴とする。
【0039】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第6工程では、前記キャップ膜を構成する元素が前記第2導電型高濃度領域に含まれないように、前記第2導電型高濃度領域を形成することを特徴とする。
【0040】
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、次の特徴を有する。炭化珪素からなる半導体基板内部に、前記半導体基板の第1主面に露出された第1導電型領域が設けられている。前記半導体基板の第1主面と前記第1導電型領域との間に、前記第1導電型領域に接して第2導電型領域が選択的に設けられている。前記半導体基板の第1主面と前記第2導電型領域との間に、前記第2導電型領域に接して、前記第2導電型領域よりも不純物濃度の高い第2導電型高濃度領域が設けられている。
【0041】
前記半導体基板の第1主面に、底面に前記第2導電型高濃度領域を露出する凹部が設けられている。第1電極は、チタン膜と、アルミニウムを含む金属膜と、を前記半導体基板の第1主面上に順に積層してなる。前記チタン膜は、前記第1導電型領域に接触して前記第1導電型領域とショットキー接合し、かつ前記凹部の底面で前記第2導電型高濃度領域に接触して前記第2導電型高濃度領域とオーミック接合する。第2電極は、前記半導体基板の第2主面に設けられている。
【0042】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第2導電型高濃度領域の不純物はアルミニウムであることを特徴とする。
【0043】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第2導電型高濃度領域は、前記第2導電型領域と同じ幅を有することを特徴とする。
【0044】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第2導電型領域の不純物濃度は、1×1018/cm3以上2×1019/cm3以下である。前記第2導電型高濃度領域の不純物濃度は、3×1020/cm3以上であることを特徴とする。
【0045】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第1電極と前記半導体基板との間および前記第1電極の内部にシリサイドを含まないことを特徴とする。
【0046】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第2導電型高濃度領域は、前記第1電極とワイヤーとの接合部の直下において前記チタン膜との接合面積が最も大きく、前記接合部から離れた位置に配置されるほど前記チタン膜との接合面積が小さくなっていることを特徴とする。
【0047】
上述した発明によれば、JBS構造を構成する第2導電型領域の表面領域のみに自己整合的に第2導電型高濃度領域を形成することができ、JBS構造を構成する隣り合うp型領域間における第1導電型領域の全面にチタン膜とのショットキー接合を形成することができる。また、JBS構造を構成する第2導電型領域の表面領域のp+型コンタクト領域により、チタン膜とJBS構造を構成する第2導電型領域とのオーミック性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、ショットキー接合とpn接合とを混在させたJBS構造の炭化珪素ダイオードであって、SBD構造による低い順方向電圧を維持するとともに、サージ電流耐量を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。
【図2】図2は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。
【図3】図3は、図2の切断線A−A’における断面構造を示す断面図である。
【図4】図4は、図3の一部を拡大して示す断面図である。
【図5】図5は、図4の切断線B−B’における不純物濃度分布を示す特性図である。
【図6】図6は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。
【図7】図7は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図8】図8は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図9】図9は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図10】図10は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図11】図11は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図12】図12は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図13】図13は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図14】図14は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図15】図15は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図16】図16は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図17】図17は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【図18】図18は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のおもて面電極の製造途中の状態を模式的に示す断面図である。
【図19】図19は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のおもて面電極の製造途中の状態を模式的に示す断面図である。
【図20】図20は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のおもて面電極の製造途中の状態を模式的に示す断面図である。
【図21】図21は、参照例の炭化珪素半導体装置のおもて面電極の製造途中の状態を模式的に示す断面図である。
【図22】図22は、参照例の炭化珪素半導体装置のおもて面電極の製造途中の状態を模式的に示す断面図である。
【図23】図23は、参照例の炭化珪素半導体装置のおもて面電極の製造途中の状態を模式的に示す断面図である。
【図24】図24は、実施例のコンタクト抵抗特性を示す特性図である。
【図25】図25は、実施例のコンタクト抵抗とサージ電流耐量との関係を示す特性図である。
【図26】図26は、実施例のオーミック接合付近を観察した状態を模式的に示す断面図である。
【図27】図27は、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトの一例を示す平面図である。
【図28】図28は、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトの一例を示す平面図である。
【図29】図29は、炭化珪素からなる半導体基板上のオーミック電極を模式的に示す説明図である。
【図30】図30は、炭化珪素からなる半導体基板上のオーミック電極を模式的に示す説明図である。
【図31】図31は、従来の炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見た状態を示す平面図である。
【図32】図32は、従来の炭化珪素半導体装置の別の一例を半導体基板のおもて面側から見た状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、ミラー指数の表記において、“−”はその直後の指数につくバーを意味しており、指数の前に“−”を付けることで負の指数を表している。
【0051】
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図1,2は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。図1には、JBS構造を構成するp型領域(第2導電型領域)13のレイアウトの一例を示す。図2には、炭化珪素(SiC)からなる半導体基板(半導体チップ)30のおもて面上の各部のうち、ボンディングパッド41のレイアウトの一例を図示する。図1,2では、p+型コンタクト領域(第2導電型高濃度領域)14を図示省略する。
【0052】
図1,2に示す実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置40は、活性領域10において半導体基板30のおもて面側に、おもて面電極(第1電極)16(図3参照)とn-型ドリフト領域(第1導電型領域)12とのショットキー接合で構成されたSBD構造と、p型領域13とn-型ドリフト領域12とのpn接合で構成されたJBS構造と、を混在させた炭化珪素ダイオードである。p型領域13とおもて面電極16との間に、おもて面電極16にオーミック接合するp+型コンタクト領域14(図3参照)が配置されている。
【0053】
n-型ドリフト領域12、p型領域13およびp+型コンタクト領域14は、半導体基板30のおもて面の表面領域において、例えば半導体基板30のおもて面に平行な同一方向に延在するストライプ状に配置されている。n-型ドリフト領域12とp型領域13とは、ストライプ状に延在する長手方向と直交する短手方向に交互に繰り返し配置され、互いに接している。n-型ドリフト領域12は、隣り合うp型領域13間において半導体基板30のおもて面に露出されている。
【0054】
活性領域10は、炭化珪素ダイオードがオン状態のときに電流が流れる領域である。活性領域10は、例えば略矩形状の平面形状を有し、半導体基板30の略中央に配置されている。エッジ終端領域20は、活性領域10と半導体基板30の端部との間の領域であり、活性領域10の周囲を囲む。エッジ終端領域20は、n-型ドリフト領域12の、半導体基板30のおもて面側の電界を緩和し耐圧を保持する領域である。耐圧とは、素子が誤動作や破壊を起こさない限界の電圧である。
【0055】
エッジ終端領域20には、接合終端拡張(JTE:Junction Termination Extension)構造などの耐圧構造が配置される(図3参照)。JTE構造は、内側(半導体基板30の中央側)から外側(半導体基板30の端部側)へ離れるにしたがって不純物濃度の低いp型領域が配置されるように、不純物濃度の異なる複数のp型領域(図3の符号22,23)を活性領域10の周囲を囲む略矩形状の平面形状で、活性領域10の中央を基準とした同心円状に配置した耐圧構造である。
【0056】
活性領域10とエッジ終端領域20との境界には、フィールドリミッティングリング(FLR:Field Limiting Ring)21が配置されている。FLR21は、活性領域10とJTE構造を構成する後述するp-型領域22(図3参照)との間に、p-型領域22に接して配置され、活性領域10の周囲を略矩形状に囲むp+型領域である。FLR21は、p型領域13がストライプ状に延在する長手方向において、p型領域13およびp+型コンタクト領域14に接していてもよい。
【0057】
おもて面電極16は、活性領域10において半導体基板30のおもて面上に設けられている。おもて面電極16は、n-型ドリフト領域12およびp+型コンタクト領域14に接して、n-型ドリフト領域12およびp+型コンタクト領域14に電気的に接続されている。半導体基板30のおもて面上には、パッシベーション膜18(図3参照)が設けられている。パッシベーション膜18は、半導体基板30のおもて面側の素子構造およびおもて面電極16を保護する保護膜として機能する。
【0058】
パッシベーション膜18には、おもて面電極16の一部を露出する開口部18aが設けられている。おもて面電極16の、パッシベーション膜18の開口部18aに露出された部分は、ボンディングパッド41として機能する。ボンディングパッド41は、例えば半導体基板30の中央に配置されている。ボンディングパッド41には、ボンディングパッド41へ電流を供給する場合に最も一般的な配線接続である図示省略するアルミニウム(Al)ワイヤーがボンディング(接合)されている。
【0059】
図2には、ボンディングパッド41とアルミニウムワイヤー(不図示)との接合部42を円形の平面形状で示す。ボンディングパッド41とアルミニウムワイヤーとの接合部42は、例えば、直径500μmのアルミニウムワイヤーをボンディングパッド41に接合する場合に約1mm四方程度の表面積を想定する必要がある。その理由は、炭化珪素ダイオードの耐圧クラスにより、半導体基板30の面内でサージ電圧印加時に順方向に流れるサージ電流の流れ方が異なるからである。
【0060】
次に、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置40の断面構造について説明する。図3は、図2の切断線A−A’における断面構造を示す断面図である。図4は、図3の一部を拡大して示す断面図である。図4には、JBS構造を構成するp型領域13付近を拡大して示す。図5は、図4の切断線B−B’における不純物濃度分布を示す特性図である。図5には、JBS構造を構成するp型領域13およびp+型コンタクト領域14の各不純物濃度分布13a,14aを示す。
【0061】
上述したように、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置40は、炭化珪素からなる半導体基板30の活性領域10に炭化珪素ダイオードのSBD構造およびJBS構造を備え、エッジ終端領域20に耐圧構造としてJTE構造を備える。半導体基板30は、炭化珪素からなるn+型出発基板11のおもて面上に、n-型ドリフト領域12となるn-型エピタキシャル層を積層したエピタキシャル基板である。n+型出発基板11は、n+型カソード領域である。
【0062】
半導体基板30は、n-型ドリフト領域12側の主面(n-型ドリフト領域12となるn-型エピタキシャル層の表面)をおもて面とし、n+型出発基板11側の主面(n+型出発基板11の裏面)を裏面とする。活性領域10において、半導体基板30のおもて面側の表面領域には、JBS構造を構成する1つ以上のp型領域13が選択的に設けられている。p型領域13は、半導体基板30のおもて面とn-型ドリフト領域12との間に、n-型ドリフト領域12に接して設けられている。
【0063】
p型領域13は、後述するように第1イオン注入されたp型不純物が放射状に拡散されてなる拡散領域である。p型領域13は、半導体基板30のおもて面から深さ方向に不純物濃度が一様なボックスプロファイルの不純物濃度分布13aを有する(図5)。不純物濃度が一様とは、プロセスのばらつきによって許容される誤差を含む範囲で略同じ不純物濃度であることを意味する。p型領域13の不純物濃度は、例えば1×1018/cm3以上2×1019/cm3以下程度である。
【0064】
図5には、第1イオン注入を異なる加速エネルギーで複数段(ここでは5段)に分けて行ってp型領域13を形成した場合のp型領域13の不純物濃度分布13aを示す。図5には、5段に分けて行った第1イオン注入の各不純物濃度分布をそれぞれ破線で示している。p型領域13の不純物濃度分布13aは、この5段に分けて行った第1イオン注入のすべての不純物濃度分布を積分したものである。p型領域13の、半導体基板30のおもて面からの深さd1は、例えば500nm程度であってもよい。
【0065】
半導体基板30のおもて面とp型領域13との間に、p型領域13に接してp+型コンタクト領域14が設けられている。p+型コンタクト領域14は、後述するように半導体基板30のおもて面上に堆積されたアルミニウム膜53から熱拡散されたアルミニウム原子によってp型領域13の表面領域に形成された拡散領域である(図18〜20参照)。炭化珪素内にはいずれの方向にも不純物が熱拡散されにくいため、p+型コンタクト領域14には、アルミニウム膜53から熱拡散されたアルミニウム原子が高不純物濃度に導入されている。
【0066】
p+型コンタクト領域14の不純物濃度がピーク値(最大値:以下、ピーク濃度とする)は、p型領域13の不純物濃度よりも高い。p+型コンタクト領域14は、半導体基板30のおもて面(アルミニウム膜53との接触面)でピーク濃度を示し、半導体基板30のおもて面から深さ方向に離れる(深くなる)にしたがって不純物濃度が低くなる不純物濃度分布14aを有する(図5)。p+型コンタクト領域14は、後述する凹部15の底面から、p+型コンタクト領域14の不純物濃度分布14aとp型領域13の不純物濃度分布13aとの交点の深さ(後述する深さd2の深さ位置)までの領域である。
【0067】
p+型コンタクト領域14のピーク濃度は、後述するチタン膜31とp+型コンタクト領域14とを確実にオーミック接合とすることができる例えば3×1020/cm3以上程度である。好ましくは、p+型コンタクト領域14のピーク濃度は、例えば、3×1021/cm3以上程度であることがよい。p+型コンタクト領域14のピーク濃度を3×1021/cm3以上とすることで、チタン膜31とp+型コンタクト領域14とを確実に十分に低抵抗なオーミック接合とすることができる。
【0068】
p+型コンタクト領域14の、半導体基板30のおもて面からの深さd2は、p型領域13の、半導体基板30のおもて面からの深さd1よりも浅い。具体的には、p+型コンタクト領域14の、半導体基板30のおもて面からの深さd2は、例えば10nm以上50nm以下程度である。p+型コンタクト領域14は、半導体基板30のおもて面に形成された凹部15の内壁に露出され、凹部15の内壁(内壁のうちのほぼ底面)において後述するチタン膜31にオーミック接合されている(図4)。
【0069】
p+型コンタクト領域14の幅w2は、p型領域13の幅w1と略同じであることが好ましい。p+型コンタクト領域14の幅w2をp型領域13の幅w1と同じとすることで、半導体基板30のおもて面や凹部15の内壁にp型領域13が露出されない。これによって、p型領域13とチタン膜31との高抵抗なショットキー接合が形成されないため、半導体基板30のおもて面や凹部15の内壁にp型領域13が露出されている場合と比べて、炭化珪素ダイオードの低順方向電圧(Vf)化を図ることができる。
【0070】
p+型コンタクト領域14の幅w2は、p型領域13の幅w1よりも狭くてもよい。p+型コンタクト領域14の幅w2をp型領域13の幅w1よりも狭くすることで、p+型コンタクト領域14を形成する際に用いるマスク(後述する層間絶縁膜17の残部:図13参照)の位置合わせ精度を向上させるための設計マージンを取ることができる。これによって、p+型コンタクト領域14を、半導体基板30のおもて面とp型領域13との間に位置精度よく配置することができる。
【0071】
p+型コンタクト領域14の幅w2は、上述したようにp型領域13の幅w1以下であることがよいが、p型領域13の幅w1よりも広くてもよい。その理由は、p+型コンタクト領域14の幅w2がp型領域13の幅w1よりも広くても、p+型コンタクト領域14とチタン膜31との接触により、炭化珪素からなる半導体基板130とニッケルシリサイド(NiSi)膜131とのオーミックコンタクトが形成された従来構造(図29,30参照)と同程度の低抵抗なオーミックコンタクトを形成することができるからである。
【0072】
一方、p+型コンタクト領域14の幅w2がp型領域13の幅w1よりも広い場合、p+型コンタクト領域14とn-型ドリフト領域12とのpn接合が形成される。p+型コンタクト領域14とn-型ドリフト領域12とが接触していない場合と比べて、逆方向バイアス時にリーク電流が増えてしまうが、後述するように半導体基板30とおもて面電極16との間にシリサイド膜が存在しないことで、ニッケルシリサイド膜131を有する従来構造と比べて、逆方向バイアス時のリーク電流を抑制することができる。
【0073】
半導体基板30のおもて面には、深さ方向に各p+型コンタクト領域14に対向する位置にそれぞれ凹部15が形成されている。この凹部15は、後述するようにp+型コンタクト領域14を形成する際にマスクとして用いる層間絶縁膜17(図13参照)を開口するためのドライエッチング時に、半導体基板30のおもて面の表面領域の一部が除去されることで形成される。凹部15は、半導体基板30のおもて面からp型領域13よりも浅い深さd3、かつp+型コンタクト領域14の幅w2と略同じ幅を有する。
【0074】
活性領域10とエッジ終端領域20との境界において、半導体基板30のおもて面とn-型ドリフト領域12との間には、n-型ドリフト領域12に接してFLR21が選択的に設けられている。FLR21は、活性領域10からエッジ終端領域20に跨って設けられている。FLR21は、例えばp型領域13と同時に形成され、p型領域13と同じ深さおよびボックスプロファイルを有する。FLR21は、例えば、半導体基板30のおもて面に平行な長手方向に延在するp型領域13およびp+型コンタクト領域14の端部に接していてもよい。
【0075】
エッジ終端領域20において、半導体基板30のおもて面とn-型ドリフト領域12との間には、n-型ドリフト領域12に接して、JTE構造を構成する例えば1×1017/cm3以下程度の異なる不純物濃度の1つ以上のp型領域(ここでは2つ:p-型領域22およびp--型領域23)と、n+型チャネルストッパー領域24と、がそれぞれ選択的に設けられている。p-型領域22は、FLR21の外側に、FLR21に隣接して配置されている。p--型領域23は、p-型領域22の外側に、p-型領域22に隣接して配置されている。
【0076】
n+型チャネルストッパー領域24は、p--型領域23よりも外側に、p--型領域23と離れて配置されている。n+型チャネルストッパー領域24は、半導体基板30の端部(チップ端部)に露出されている。図示省略するが、n+型チャネルストッパー領域24は、JTE構造の周囲を囲むように、半導体基板30の外周に沿った略矩形状に配置されている。p-型領域22、p--型領域23およびn+型チャネルストッパー領域24の深さは、例えばp型領域13の深さと同じであってもよい。
【0077】
半導体基板30のおもて面を覆う層間絶縁膜17には、活性領域10における半導体基板30のおもて面のほぼ全面を露出するコンタクトホール17aと、n+型チャネルストッパー領域24を露出するコンタクトホールと、が設けられている。層間絶縁膜17のコンタクトホール17aには、活性領域10におけるn-型ドリフト領域12およびp+型コンタクト領域14(p+型コンタクト領域14の幅w2がp型領域13の幅w1未満である場合は、さらにp型領域13)と、FLR21の内側の部分と、が露出されている。
【0078】
コンタクトホール17aの内部において半導体基板30のおもて面上に、おもて面電極16が設けられている。おもて面電極16は、チタン膜31およびアルミニウム合金膜(アルミニウムを含む金属膜)32を順に積層してなる積層構造を有する。チタン膜31は、コンタクトホール17aの内部において半導体基板30のおもて面の全面に設けられ、n-型ドリフト領域12、p+型コンタクト領域14およびFLR21(p+型コンタクト領域14の幅w2がp型領域13の幅w1未満である場合は、さらにp型領域13)に接する。
【0079】
チタン膜31の、n-型ドリフト領域12との接合箇所は、n-型ドリフト領域12とのショットキー接合を形成するショットキー電極である。チタン膜31の、p+型コンタクト領域14との接合箇所は、p+型コンタクト領域14とのオーミック接合を形成するオーミック電極である。チタン膜31と半導体基板30との間にシリサイド膜は存在しない。チタン膜31は、層間絶縁膜17上を外側へ延在し、例えば深さ方向にFLR21に対向する位置で終端している。FLR21を含み、FLR21よりも内側が活性領域10である。
【0080】
アルミニウム合金膜32は、チタン膜31の全面を覆い、チタン膜31を介してn-型ドリフト領域12、p型領域13、p+型コンタクト領域14およびFLR21に電気的に接続されている。アルミニウム合金膜32は、層間絶縁膜17上をチタン膜31よりも外側へ延在して、例えば深さ方向にp-型領域22に対向する位置で終端している。アルミニウム合金膜32は、例えばアルミニウムシリコン(AlSi)膜である。アルミニウム合金膜32に代えて、アルミニウム膜が設けられていてもよい。
【0081】
チャネルストッパー電極25は、層間絶縁膜17のコンタクトホールを介してn+型チャネルストッパー領域24に接して電気的に接続されている。チャネルストッパー電極25は、例えばアルミニウム合金膜32と同時に形成されたアルミニウム合金膜であってもよい。半導体基板30のおもて面は、おもて面電極16およびチャネルストッパー電極25と接する部分以外の部分は層間絶縁膜17で覆われている。半導体基板30のおもて面の最表面には、ポリイミドからなるパッシベーション膜18が設けられている。
【0082】
パッシベーション膜18は、おもて面電極16、層間絶縁膜17およびチャネルストッパー電極25を保護する保護膜である。パッシベーション膜18には、活性領域10に、アルミニウム合金膜32の一部を露出する開口部18aが設けられている。おもて面電極16の、パッシベーション膜18の開口部18aに露出された部分は、ボンディングパッド41として機能する。半導体基板30の裏面(n+型出発基板11の裏面)の全面に裏面電極(第2電極)19が設けられ、n+型出発基板11に電気的に接続されている。
【0083】
次に、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置40の製造方法について説明する。図6は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。図7〜17は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。図18〜20は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のおもて面電極の製造途中の状態を模式的に示す断面図である。図21〜23は、参照例の炭化珪素半導体装置のおもて面電極の製造途中の状態を模式的に示す断面図である。
【0084】
まず、図7に示すように、n+型出発基板(半導体ウエハ)11として、例えば1×1016/cm3程度の窒素(N)がドーピングされた炭化珪素の四層周期六方晶(4H−SiC)基板を用意する。n+型出発基板11のおもて面は、例えば(0001)面に対して4°程度のオフ角を有していてもよい。次に、n+型出発基板11のおもて面上に、n-型ドリフト領域12となる例えば1×1016/cm3程度の窒素がドーピングされたn-型エピタキシャル層を成長させる(第1工程)。
【0085】
n+型カソード領域となるn+型出発基板11の厚さは、例えば350μm程度であってもよい。n-型ドリフト領域12となるn-型エピタキシャル層の厚さは、例えば6μm程度であってもよい。ここまでの工程により、n+型出発基板11のおもて面上にn-型ドリフト領域12となるn-型エピタキシャル層を積層した半導体基板(半導体ウエハ)30が作製される。上述したように、半導体基板30は、n-型ドリフト領域12側の主面をおもて面とし、n+型出発基板11側の主面を裏面とする。
【0086】
次に、図8に示すように、フォトリソグラフィおよびアルミニウム等のp型不純物の第1イオン注入により、活性領域10(図1,3参照)において半導体基板30のおもて面の表面領域に、JBS構造を構成する1つ以上のp型領域13と、FLR21と、をそれぞれ選択的に形成する(ステップS1(その1):第2工程)。図8では、簡略化して、図1よりも少ない個数(ここでは3つ)でp型領域13を図示している。複数のp型領域13は、例えば2μm程度の間隔で、半導体基板30のおもて面に平行な方向に等間隔に配置される。
【0087】
このとき、例えば500℃程度の温度で半導体基板30を加熱しながら、半導体基板30のおもて面からn-型エピタキシャル層(n-型ドリフト領域12)に第1イオン注入を行う。この第1イオン注入においては、例えば半導体基板30のおもて面から500nmまでの深さd1までの不純物濃度分布13a(図5参照)が上述したp型領域13の不純物濃度範囲内のボックスプロファイルとなるように、30keV以上350keV以下程度の範囲の異なる加速エネルギーで複数段に分けてp型不純物をイオン注入する。
【0088】
次に、図9に示すように、フォトリソグラフィおよび不純物の第2イオン注入を1組とする工程を異なる条件で繰り返し行い、エッジ終端領域20(図3参照)において半導体基板30のおもて面の表面領域に、JTE構造を構成するp型領域(p-型領域22およびp--型領域23)と、n+型チャネルストッパー領域24と、をそれぞれ選択的に形成する(ステップS1(その2))。この第2イオン注入は、例えば、第1イオン注入と同様に、不純物濃度分布がボックスプロファイルとなるように複数段に分けて行う。
【0089】
次に、図10に示すように、半導体基板30のおもて面の全面を例えばカーボン(C)保護膜51で覆って保護した後、熱処理により第1,2イオン注入した不純物を活性化させる(ステップS2)。ステップS2の処理においては、例えば、熱処理装置の処理炉内に半導体基板30を挿入し、処理炉内の雰囲気を1×10-2Pa以下程度の圧力になるまで吸引(真空引き)した後、処理炉内にアルゴン(Ar)ガスを導入し、1×105Pa程度の圧力の雰囲気において1700℃程度の温度の熱処理を5分間程度行う。
【0090】
次に、図11に示すように、例えば灰化処理(アッシング)装置を用いて、アッシングによりカーボン保護膜51を除去する。例えば、アッシング装置として反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)装置を用いる。RIE装置の処理炉内を6Pa程度の圧力の酸素(O2)ガス雰囲気下とした後、500W程度の高周波(RF:Radio Frequency)電力を印加してプラズマ化した酸素ガス雰囲気での5分間程度のアッシングによりカーボン保護膜51を除去する。
【0091】
次に、図12に示すように、例えば熱酸化法および化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法を順に行って、半導体基板30のおもて面の全面に、例えば500nm程度の厚さの層間絶縁膜17を形成する(ステップS3:第3工程)。次に、図13に示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングにより層間絶縁膜17を選択的に除去して複数の開口部17a’を形成し、層間絶縁膜17の各開口部17a’にそれぞれp型領域13を露出させる(ステップS4:第4工程)。このステップS4の処理は、ドライエッチングで行うことが好ましい。
【0092】
ステップS4の処理をドライエッチングで行うことで、層間絶縁膜17の開口部17a’の幅の寸法精度を高くすることができ、各p型領域13をそれぞれ寸法精度よく露出させることができる。ステップS4の処理をドライエッチングで行うことでオーバーエッチングとなるため、層間絶縁膜17の開口部17a’内において半導体基板30のおもて面も若干除去される。これにより、層間絶縁膜17の開口部17a’内における半導体基板30のおもて面に、層間絶縁膜17の開口部17a’と略同じ幅の凹部15が例えば30nm程度の深さd3で形成される(図14)。
【0093】
次に、図13,18に示すように、例えばスパッタ法により、層間絶縁膜17の開口部17a’内の凹部15の内壁に沿って、層間絶縁膜17上にアルミニウム膜53およびニッケル膜54を順に積層する(ステップS5:第5工程)。図13には、アルミニウム膜53およびニッケル膜54をまとめて1層の金属積層膜52として図示する。図18には、p型領域13、凹部15および層間絶縁膜17を図示省略し、金属積層膜52の、層間絶縁膜17の開口部17a’内で半導体基板30に接触する部分のみを示す(図19,20においても同様)。
【0094】
アルミニウム膜53は、後述するステップS6の熱処理においてアルミニウム原子の熱拡散によりp+型コンタクト領域14を形成するための材料膜となる。アルミニウム膜は、珪素などの不純物を含んでいても構わない。ニッケル膜54は、ステップS6の熱処理時にアルミニウム膜53の溶融を防止するキャップ膜であり、例えば50nm程度の厚さを有する。キャップ膜を使用するのは、ステップS6の熱処理でアルミニウム膜53が溶融した場合、アルミニウム膜53が粒状になって部分的に半導体基板30に接した状態となるため、p+型コンタクト領域14を凹部15の底面の全面にわたって均一に形成することができないからである。キャップ膜は、ウェットエッチング可能な高融点金属が好ましい。このような材料としては、ニッケル以外にも、チタンやモリブデン等が挙げられる。
【0095】
アルミニウム膜53の厚さt1は、ステップS6の熱処理温度にも依るが、例えば50nm以上150nm以下程度であることがよく、好ましくは80nm以上120nm以下程度であることがよい。アルミニウム膜53の厚さt1が50nm未満である場合、ニッケル膜54のニッケルと半導体基板30のシリコンとが反応してニッケルシリサイドが形成され、従来構造(図29,30参照)と同様に、余剰の炭素(C)が析出されて、後述するチタン膜31のステップカバレッジ不良を引き起こす虞があるからである。
【0096】
アルミニウム膜53の厚さt1の上限値は、例えば、ステップS5,S7の処理時間に応じて決定することがよい。その理由は、次の通りである。アルミニウム膜53の厚さt1が厚くなるほど、ステップS5の処理時間が長くなる。それに加えて、アルミニウム膜53の厚さt1が厚くなるほど、アルミニウム膜53の、ステップS6の熱処理で半導体基板30およびニッケル膜54と反応しない部分(図20参照)として厚く残るため、後述するステップS7の処理時間も長くなるからである。
【0097】
次に、熱処理により、金属積層膜52をシンタリング(焼結)する(ステップS6:第6工程)。ステップS6の熱処理により、図19に示すように、半導体基板30中のシリコン原子がアルミニウム膜53内へ熱拡散61される。図19に示すように、アルミニウム膜53中のアルミニウム原子が半導体基板30内およびニッケル膜54内へそれぞれ熱拡散62,63される。これにより、図20に示すように、半導体基板30中のシリコン原子がアルミニウム膜53内の空孔へ熱拡散61されることで、アルミニウム膜53の、半導体基板30との接触箇所にアルミニウムシリコン(AlSi)化合物55が生成される。
【0098】
また、図15,20に示すように、アルミニウム膜53中のアルミニウム原子が半導体基板30内へ熱拡散62されることで、アルミニウム膜53との接触箇所において半導体基板30のおもて面の表面領域にp+型コンタクト領域14が自己整合的に形成される。炭化珪素からなる半導体基板30内にはいずれの方向にもアルミニウム原子が熱拡散されにくいため、p型領域13の表面領域に浅い深さd3で、アルミニウム膜53から熱拡散62されたアルミニウム原子が高不純物濃度に導入されてなるp+型コンタクト領域14が形成される。また、p+型コンタクト領域14に、キャップ膜を構成する元素であるニッケルは含まれていない。
【0099】
また、図20に示すように、アルミニウム膜53中のアルミニウム原子がニッケル膜54内へ熱拡散63されることによって、ニッケル膜54の、アルミニウム膜53との接触箇所にニッケルアルミニウム(NiAl)化合物56が生成される。これらステップS6の熱処理で生成される化合物55,56と、これらの化合物55,56間に残るアルミニウム膜53と、は所定溶液を用いて除去可能であるため、後の工程において除去されてもよいし、製品として炭化珪素半導体装置40内に残っていてもよい。
【0100】
また、図19に示すように、ニッケル膜54中のニッケル原子もアルミニウム膜53内へ熱拡散64されるが、アルミニウム膜53の厚さt1を範囲で厚い状態とすることで、ニッケル膜54から熱拡散64されたニッケル原子と、半導体基板30から熱拡散61されたシリコン原子と、が反応しない程度に、半導体基板30とニッケル膜54とを離すことができる。すなわち、ステップS6の処理において、ニッケル膜54中のニッケル原子と半導体基板30中のシリコン原子との化合物は形成されない。
【0101】
一方、アルミニウム膜53の厚さt1が範囲未満の薄い状態である場合、ステップS6の熱処理においてp+型コンタクト領域14を形成することができない。その理由は、次の通りである。図21に示すように、参照例では、ステップS6の熱処理においてp+型コンタクト領域14を形成するための材料膜として半導体基板30のおもて面上に堆積したアルミニウム膜53’の厚さt1’が本実施の形態1のアルミニウム膜53の厚さt1の範囲の下限値未満となる薄い状態である。
【0102】
参照例においても、ステップS6の熱処理において、半導体基板30、アルミニウム膜53’およびニッケル膜54’間での各熱拡散61’〜64’が実施の形態1と同様に生じる。すなわち、図22に示すように、半導体基板30中のシリコン原子がアルミニウム膜53’内へ熱拡散61’される。アルミニウム膜53’中のアルミニウム原子が半導体基板30内およびニッケル膜54’内へそれぞれ熱拡散62’,63’される。ニッケル膜54’中のニッケル原子がアルミニウム膜53’内へ熱拡散64’される。
【0103】
これらアルミニウム膜53’内へのシリコン原子およびニッケル原子の熱拡散61’,64’により、図23に示すように、半導体基板30のおもて面上に、アルミニウム−ニッケル−シリコン(Al−Ni−Si)化合物55’が生成され、半導体基板30中の余剰の炭素(図23には析出Cと記載)が析出する。アルミニウム−ニッケル−シリコン化合物55’内には、後述するステップS8の高温熱処理でニッケルシリサイドが形成され、半導体基板30との低抵抗なオーミック結合が形成される。
【0104】
このように、参照例では、ニッケル膜54’中のニッケル原子と半導体基板30中のシリコン原子とでアルミニウム−ニッケル−シリコン化合物55’が生成されるため、p+型コンタクト領域14が形成されない。また、アルミニウム−ニッケル−シリコン化合物55’は半導体基板30の内部に食い込むように生成されるため、その後のステップS7の処理で除去することができない。符号56’は、ステップS6の熱処理で生成されるニッケルアルミニウム化合物であり、実施の形態1のニッケルアルミニウム化合物56と同様に除去可能である。
【0105】
ステップS6の熱処理温度は、例えば600℃以上700℃以下程度であることが好ましい。その理由は、次の通りである。ステップS6の熱処理温度が700℃を超える場合、ニッケルアルミニウム化合物56と、シリコン酸化(SiO2)膜である層間絶縁膜17と、が反応して、ニッケル、シリコン、酸素およびアルミニウムからなる化合物が生成される。このニッケル、シリコン、酸素およびアルミニウムからなる化合物は、逆方向バイアス時にリーク不良の原因となるからである。
【0106】
ステップS6の熱処理温度が600℃未満である場合、アルミニウム膜53中のアルミニウム原子が半導体基板30内へ熱拡散62されない。金属積層膜52は所定溶液を用いて除去可能であり、後述するステップS7の処理においてすべて除去される。このため、ステップS6以降の処理において、ステップS6の熱処理温度以上の熱処理が行われたとしてもp+型コンタクト領域14が形成されず、チタン膜31とのオーミック接合が得られないからである。
【0107】
次に、図16に示すように、層間絶縁膜17上、および層間絶縁膜17の開口部17a’内に残る余剰の金属膜を除去する(ステップS7:第7工程)。余剰の金属膜とは、アルミニウムシリコン化合物55、ニッケルアルミニウム化合物56、および、ステップS6の熱処理後に残るアルミニウム膜53である。ステップS7の処理においては、例えば燐硝酢酸を用いたウェットエッチングであってもよい。半導体基板30のおもて面上にアルミニウムシリコン化合物55が残ってもよい。
【0108】
次に、例えば1000℃程度の熱処理により半導体基板30をアニールする(ステップS8)。ステップS8の熱処理により、ステップS6の熱処理時に半導体基板30内に熱拡散62させたアルミニウム原子が活性化される。次に、図17に示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングにより層間絶縁膜17を深さ方向に貫通するコンタクトホール17aおよびコンタクトホール17b(図3参照)を形成し、エッジ終端領域20における半導体基板30のおもて面のみを覆うように層間絶縁膜17を残す(ステップS9:第8工程)。
【0109】
ステップS9の処理において、層間絶縁膜17の、活性領域10とエッジ終端領域20との境界付近から内側の部分をすべて除去してコンタクトホール17aを形成し、当該コンタクトホール17aに、活性領域10における半導体基板30のおもて面のほぼ全面を露出させる。層間絶縁膜17の、活性領域10とエッジ終端領域20との境界から内側の部分は、p+型コンタクト領域14の形成時に、p型領域13以外の部分を覆うマスクとして用いた部分である。
【0110】
コンタクトホール17aには、すべてのp+型コンタクト領域14と、隣り合うp+型コンタクト領域14間におけるn-型ドリフト領域12と、FLR21の一部と、が露出される。p+型コンタクト領域14の幅w2がp型領域13の幅w1未満である場合、コンタクトホール17aには、さらに、p型領域13の、p+型コンタクト領域14とn-型ドリフト領域12とに挟まれた部分が露出される。コンタクトホール17bには、n+型チャネルストッパー領域24を露出させる。
【0111】
次に、図17に示すように、例えばスパッタリング等の物理気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)により、層間絶縁膜17の表面から、コンタクトホール17a内における半導体基板30のおもて面までの全面にチタン膜31を形成する。次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、チタン膜31をコンタクトホール17a内にのみ残す(ステップS10:第9工程)。チタン膜31は、コンタクトホール17a内から層間絶縁膜17上に延在していてもよい。
【0112】
次に、例えば500℃程度の温度で10分間程度の熱処理によりチタン膜31をシンタリングする(ステップS11)。ステップS11の熱処理により、チタン膜31とn-型ドリフト領域12とのショットキー接合が形成され、チタン膜31とp+型コンタクト領域14とのオーミック接合が形成される。すなわち、チタン膜31は、n-型ドリフト領域12にショットキー接合するショットキー電極と、p+型コンタクト領域14にオーミック接合するオーミック電極と、を兼ねる。
【0113】
上述したステップS7の処理でコンタクトホール17a内における半導体基板30のおもて面上にアルミニウムシリコン化合物55が残っている場合、アルミニウムシリコン化合物55上にチタン膜31が形成される。この場合、ステップS11の熱処理によってチタン膜31中からアルミニウムシリコン化合物55内に熱拡散されたチタン原子とアルミニウムシリコン化合物55との反応により生成された化合物と、p+型コンタクト領域14と、のオーミック接合が形成される。
【0114】
次に、例えばスパッタリング等の物理気相成長法により、チタン膜31の表面から、層間絶縁膜17の表面および、コンタクトホール17b内における半導体基板30のおもて面までの全面に、例えば5μm程度の厚さのアルミニウム合金膜を形成する(第9工程)。次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより当該アルミニウム合金膜を選択的に除去して、おもて面電極16となるアルミニウム合金膜32としてチタン膜31の表面に残し、かつチャネルストッパー電極25としてコンタクトホール17b内に残す。
【0115】
次に、半導体基板30を裏面側から研削していき、炭化珪素半導体装置40として用いる製品厚さの位置まで研削する。次に、例えばスパッタリング等の物理気相成長法により、半導体基板30の裏面(n+型出発基板11の裏面)の全面に裏面電極19を形成する(第10工程)。その後、半導体ウエハをダイシング(切断)して個々のチップ状に個片化することで、図1,3,4に示す炭化珪素半導体装置40が完成する。
【0116】
次に、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置40のコンタクト抵抗について検証した。図24は、実施例のコンタクト抵抗特性を示す特性図である。上述した実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置40の製造方法にしたがい、ショットキー電極として機能するチタン膜31にオーミック接合するp+型コンタクト領域14を有する炭化珪素ダイオードを作製した(以下、実施例とする)。この実施例のコンタクト抵抗を測定した結果を図24に示す。
【0117】
また、図24には、比較例1,2のコンタクト抵抗の測定結果も示す。比較例1が実施例と異なる点は、上述した実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置40の製造方法のうちのステップS4〜S8の処理を行っていない点である。図24中の比較例1の括弧内に記載されたチタン(Ti)とは、比較例1のショットキー電極の材料である。比較例2が実施例と異なる点は、上述した実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置40の製造方法のステップS5の処理においてニッケル膜54のみを堆積した点である。
【0118】
図24に示す結果より、実施例は、ステップS4〜S8の熱処理を行わない比較例1、および、ステップS6の熱処理でアルミニウム膜53を材料として用いない比較例2と比べて、コンタクト抵抗が低いことが確認された。実施例おいては、ステップS6の処理においてアルミニウム膜53からのアルミニウム原子の熱拡散で形成されたp+型コンタクト領域14と、ショットキー電極として機能するチタン膜31と、のオーミック接合が形成されることで、低コンタクト抵抗化を図ることができると推測される。
【0119】
次に、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置40のコンタクト抵抗とサージ電流(IFSM)耐量との関係について検証した。図25は、実施例のコンタクト抵抗とサージ電流耐量との関係を示す特性図である。上述した実施例のコンタクト抵抗とサージ電流耐量との関係を示す測定点群Cを図25に示す。
【0120】
実施例の測定点群Cのサージ電流耐量は、従来例の測定点群Dのサージ電流耐量を1とした比率で示している。従来例の測定点群Dは、オーミック電極となるニッケルシリサイド膜131を有する従来構造の炭化珪素ダイオードの測定点である(図29,30参照)。従来例の測定点群Eは、オーミック電極となるニッケルシリサイド膜を有していない従来構造の炭化珪素ダイオード(不図示)の測定点である。図25には、従来例のコンタクト抵抗とサージ電流耐量との関係を示す測定点群D,Eも示す。
【0121】
図25に示す結果より、実施例においては、半導体基板30にオーミック接合するニッケルシリサイド膜を有していなくても、ニッケルシリサイド膜131を有する従来例と比べて低コンタクト抵抗で、かつ高いサージ電流耐量が得られることが確認された。その理由は、実施例においては、ステップS6の処理においてアルミニウム膜53からのアルミニウム原子の熱拡散で形成されたp+型コンタクト領域14がチタン膜31にオーミック接合しているからであると推測される。
【0122】
図26は、実施例のオーミック接合付近を観察した状態を模式的に示す断面図である。図26には、実施例のチタン膜31とp+型コンタクト領域14との界面付近を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により観察した状態を模式的に示す。
【0123】
図26に示す結果から、実施例には、チタン膜31と半導体基板30との間にニッケルシリサイド膜が存在しないことが確認された。したがって、実施例においては、従来構造でニッケルシリサイド膜131を形成する際に析出する余剰の炭素131aに起因する問題が生じないことがわかる。
【0124】
以上、説明したように、実施の形態1によれば、半導体基板のおもて面の全面を覆うように形成した層間絶縁膜に複数の開口部を形成し、層間絶縁膜の各開口部にそれぞれJBS構造を構成するp型領域を露出させる。そして、層間絶縁膜の各開口部においてそれぞれ半導体基板のおもて面に接するようにアルミニウム膜およびニッケル膜を順に積層した後、熱処理によりアルミニウム膜中のアルミニウム原子を半導体基板内へ熱拡散させる。これにより、JBS構造を構成するp型領域の表面領域のみに自己整合的にp+型コンタクト領域を形成することができる。
【0125】
このp+型コンタクト領域により、ショットキー電極として機能するチタン膜との十分に低抵抗なオーミック接合を形成することができるため、チタン膜とJBS構造を構成するp型領域とのオーミック性を向上させることができ、サージ電流耐量を向上させることができる。また、実施の形態1によれば、p+型コンタクト領域の形成時、シリサイドが生成されないため、余剰の炭素も析出されない。さらに、p+型コンタクト領域の形成に材料として用いた金属積層膜は、おもて面電極形成前に除去される。したがって、半導体基板のおもて面におもて面電極をステップカバレッジよく形成することができる。
【0126】
また、実施の形態1によれば、JBS構造を構成するp型領域の表面領域のみに自己整合的にp+型コンタクト領域を形成することができるため、JBS構造を構成する隣り合うp型領域間におけるn-型ドリフト領域の全面にチタン膜とのショットキー接合を形成することができる。これによって、半導体チップ面内においてn-型ドリフト領域とチタン膜との全接合面積で実現可能な低順方向電圧を実現することができる。したがって、SBD構造による低い順方向電圧を維持するとともに、JBS構造を構成するp型領域の表面領域のp+型コンタクト領域によりサージ電流耐量を向上させることができる。
【0127】
また、実施の形態1によれば、アルミニウム膜からのアルミニウム原子の熱拡散によりp+型コンタクト領域を形成するため、当該p+型コンタクト領域をイオン注入により形成する場合と比べて製造時間を大幅に短縮することができ、炭化珪素半導体装置の量産に有用である。また、当該p+型コンタクト領域をイオン注入で形成しないため、半導体基板のおもて面にイオン注入による表面荒れが生じない。表面荒れとは、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)による平均表面粗さ(Ra)
の測定で0.2nm以上の凹凸が生じている状態である。
【0128】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図27,28は、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトの一例を示す平面図である。図27,28では、それぞれp型領域72,74をハッチングで示す。
【0129】
実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置70,70’は、JBS構造を構成するp型領域72,74を半導体基板(半導体チップ)30のおもて面側から見たレイアウトが実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置40と異なる。p型領域72,74とおもて面電極(不図示:図3の符号16に相当)との間に、実施の形態1と同様に、おもて面電極の最下層であるチタン膜(不図示:図3の符号31に相当)にオーミック接合するp+型コンタクト領域(不図示:図3の符号14に相当)が配置されている。
【0130】
したがって、図示省略するが、おもて面電極の最下層であるチタン膜にオーミック接合するp+型コンタクト領域のレイアウトはp型領域72,73と同様である。実施の形態2において、おもて面電極の最下層であるチタン膜にオーミック接合するp+型コンタクト領域は、おもて面電極とワイヤー(不図示:図2の符号42に相当)との接合部の直下においてチタン膜との接合面積が最も大きく、おもて面電極とワイヤーとの接合部から離れた位置に配置されるほどチタン膜との接合面積が小さくなっている。
【0131】
具体的には、図27に示す実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置70においては、例えば、おもて面電極とワイヤーとの接合部(活性領域10の中央)の直下に、略矩形状の平面形状でp型領域71が配置されている。JBS構造を構成するp型領域72は、p型領域71を囲む略矩形状の平面形状で、活性領域10の中央を基準とした同心円状に複数配置されている。すべてのp型領域72は、例えば、半導体基板30のおもて面に平行な方向にp型領域71からFLR21に達する略直線状に延在するp型領域73によって電気的に接続されている。
【0132】
p型領域71〜73と半導体基板30のおもて面との間に、これらp型領域71〜73に接して、p型領域71〜73と同じ平面形状および同じレイアウトでp+型コンタクト領域が配置されている。このp+型コンタクト領域は、実施の形態1と同様に、おもて面電極の最下層のチタン膜とのオーミック接合を形成する。また、当該p+型コンタクト領域間におけるn-型ドリフト領域12は、実施の形態1と同様に、おもて面電極の最下層のチタン膜とのショットキー接合を形成する。
【0133】
図28に示す実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置70’においては、n-型ドリフト領域12は、活性領域10において、例えば互いに離れた略矩形状に半導体基板30のおもて面に露出されている。n-型ドリフト領域12の、半導体基板30のおもて面に露出された部分(以下、n-型ドリフト領域12の露出部とする)は、ボンディングパッドとアルミニウムワイヤーとの接合部の直下には配置されていない。n-型ドリフト領域12の露出部は、ボンディングパッドとアルミニウムワイヤーとの接合部から離れるほど密に配置されている。n-型ドリフト領域12の露出部は、実施の形態1と同様に、おもて面電極の最下層のチタン膜とのショットキー接合を形成する。
【0134】
JBS構造を構成するp型領域74は、n-型ドリフト領域12の露出部の周囲を囲むように、活性領域10における半導体基板30のおもて面の全面に配置されている。p型領域74の外周はFLR21に接していてもよい。図示省略するが、JBS構造を構成するp型領域74と半導体基板30のおもて面との間に、実施の形態1と同様に、p型領域74に接して、かつp型領域74と同じ平面形状および同じレイアウトでp+型コンタクト領域(不図示:図3の符号14に相当)が配置されている。このp+型コンタクト領域は、実施の形態1と同様に、おもて面電極を構成するチタン膜とのオーミック接合を形成する。
【0135】
実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置70,70’の製造方法は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置40の製造方法(図6〜20参照)と同様である。このため、おもて面電極を構成するチタン膜とのオーミック接合を形成するp+型コンタクト領域が半導体基板30に微細パターンで配置される場合であっても、実施の形態1と同様に、ドライエッチングにより層間絶縁膜に形成した開口部に自己整合的に当該p+型コンタクト領域を形成することができる。
【0136】
以上、説明したように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、一般的に、ボンディングパッドとアルミニウムワイヤーとの接合部の直下で最も電流密度が大きくなり、発熱が多くなる傾向にある。実施の形態2によれば、ボンディングパッドとアルミニウムワイヤーとの接合部の直下にp+型コンタクト領域が配置されていることで、ボンディングパッドとアルミニウムワイヤーとの接合部の直下で、おもて面電極とp+型コンタクト領域とのオーミック接合面積が大きくなっている。これによって、最も電流密度が大きい箇所でのサージ電流耐量を大きくすることができ、半導体チップ全体のサージ電流耐量を向上させることができる。
【0137】
また、実施の形態2によれば、半導体基板の外周側へ向かうほど、おもて面電極とp+型コンタクト領域とのオーミック接合の接合面積が小さくなっている。このため、ボンディングパッドとアルミニウムワイヤーとの接合部の直下でのオーミック接合面積を大きくしてサージ電流耐量を向上させたとしても、半導体チップ全体でのショットキー接合面積を維持することができ、半導体チップ全体の順方向電圧を維持することができる。したがって、半導体基板130のおもて面側にショットキー接合とpn接合とを混在させたJBS構造の炭化珪素ダイオードであって、所定の低順方向電圧を維持するとともに、サージ電流耐量を向上させることができる。
【0138】
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0139】
以上のように、本発明にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用されるパワー半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0140】
10 活性領域
11 n+型出発基板
12 n-型ドリフト領域
13 JBS構造を構成するp型領域
13a JBS構造を構成するp型領域の不純物濃度分布
14 p+型コンタクト領域
14a p+型コンタクト領域の不純物濃度分布
15 半導体基板のおもて面の凹部
16 おもて面電極
17 層間絶縁膜
17a,17b コンタクトホール
17a’ 層間絶縁膜の開口部
18 パッシベーション膜
18a パッシベーション膜の開口部
19 裏面電極
20 エッジ終端領域
21 フィールドリミッティングリング
22 JTE構造を構成するp-型領域
23 JTE構造を構成するp--型領域
24 n+型チャネルストッパー領域
25 チャネルストッパー電極
30 半導体基板
31 チタン膜
32 アルミニウム合金膜
40 炭化珪素半導体装置
41 ボンディングパッド
42 ボンディングパッドとアルミニウムワイヤーとの接合部
51 カーボン保護膜
52 金属積層膜
53 アルミニウム膜
54 ニッケル膜
55 アルミニウムシリコン化合物
56 ニッケルアルミニウム化合物
61〜64 熱拡散
70,70’ 炭化珪素半導体装置
71〜74 p型領域
d1 JBS構造を構成するp型領域の、半導体基板のおもて面からの深さ
d2 p+型コンタクト領域の、半導体基板のおもて面からの深さ
d3 半導体基板のおもて面の凹部の深さ
w1 JBS構造を構成するp型領域の幅
w2 p+型コンタクト領域の幅
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】

【手続補正書】
【提出日】2020年11月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素からなる半導体基板の内部に、前記半導体基板の第1主面をなす第1導電型領域を形成する第1工程と、
前記半導体基板の第1主面側において前記第1導電型領域の表面領域に、第2導電型領域を選択的に形成する第2工程と、
前記半導体基板の第1主面に、前記第1導電型領域および前記第2導電型領域を覆う層間絶縁膜を形成する第3工程と、
前記層間絶縁膜を選択的に除去して、前記第2導電型領域を露出する開口部を形成する第4工程と、
前記層間絶縁膜の前記開口部に、前記半導体基板の第1主面に接するアルミニウム膜、および前記アルミニウム膜を覆うキャップ膜を順に積層した金属積層膜を形成する第5工程と、
第1熱処理により、前記アルミニウム膜と前記半導体基板との接触箇所から前記アルミニウム膜中のアルミニウム原子を前記第2導電型領域へ熱拡散させて、前記第2導電型領域の表面領域に、前記第2導電型領域よりも不純物濃度の高い第2導電型高濃度領域を形成する第6工程と、
前記第6工程の後、前記金属積層膜を除去する第7工程と、
前記第7工程の後、前記層間絶縁膜を選択的に除去してコンタクトホールを形成する第8工程と、
前記第1導電型領域に接触して前記第1導電型領域とショットキー接合し、かつ前記第2導電型高濃度領域に接触して前記第2導電型高濃度領域とオーミック接合するチタン膜と、アルミニウムを含む金属膜と、を前記コンタクトホールの内部において前記半導体基板の第1主面上に順に積層して第1電極を形成する第9工程と、
前記半導体基板の第2主面に第2電極を形成する第10工程と、
を含むことを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第4工程では、ドライエッチングにより前記層間絶縁膜を選択的に除去して、前記開口部を形成することを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第5工程では、前記アルミニウム膜の厚さを50nm以上150nm以下とすることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第5工程では、前記アルミニウム膜の厚さを80nm以上120nm以下とすることを特徴とする請求項3に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2工程では、前記第2導電型領域の不純物濃度を1×1018/cm3以上2×1019/cm3以下とし、
前記第6工程では、前記第2導電型高濃度領域の不純物濃度を3×1020/cm3以上とすることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記キャップ膜が、ニッケル、チタンおよびモリブデンのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第6工程では、前記キャップ膜を構成する元素が前記第2導電型高濃度領域に含まれないように、前記第2導電型高濃度領域を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項8】
炭化珪素からなる半導体基板と、
前記半導体基板の内部に設けられ、前記半導体基板の第1主面に露出された第1導電型領域と、
前記半導体基板の第1主面と前記第1導電型領域との間に、前記第1導電型領域に接して選択的に設けられた第2導電型領域と、
前記半導体基板の第1主面と前記第2導電型領域との間に、前記第2導電型領域に接して設けられた、前記第2導電型領域よりも不純物濃度の高い第2導電型高濃度領域と、
前記半導体基板の第1主面に設けられ、底面に前記第2導電型高濃度領域を露出する凹部と、
前記第1導電型領域に接触して前記第1導電型領域とショットキー接合し、かつ前記凹部の底面で前記第2導電型高濃度領域に接触して前記第2導電型高濃度領域とオーミック接合するチタン膜と、アルミニウムを含む金属膜と、を前記半導体基板の第1主面上に順に積層してなる第1電極と、
前記半導体基板の第2主面に設けられた第2電極と、
を備え、
前記第2導電型高濃度領域は、前記凹部の底面でピーク濃度を示し、前記凹部の底面から深さ方向に離れるにしたがって不純物濃度が低くなる不純物濃度分布を有することを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項9】
前記第2導電型高濃度領域の不純物はアルミニウムであることを特徴とする請求項8に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項10】
前記第2導電型高濃度領域は、前記第2導電型領域と同じ幅を有することを特徴とする請求項8に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項11】
前記第2導電型領域の不純物濃度は、1×1018/cm3以上2×1019/cm3以下であり、
前記第2導電型高濃度領域の不純物濃度は、3×1020/cm3以上であることを特徴とする請求項8に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項12】
前記第1電極と前記半導体基板との間および前記第1電極の内部にシリサイドを含まないことを特徴とする請求項8に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項13】
前記第2導電型高濃度領域は、前記第1電極とワイヤーとの接合部の直下において前記チタン膜との接合面積が最も大きく、前記接合部から離れた位置に配置されるほど前記チタン膜との接合面積が小さくなっていることを特徴とする請求項8〜12のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。

【手続補正書】
【提出日】2021年6月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0098
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0098】
また、図19,20に示すように、アルミニウム膜53中のアルミニウム原子が半導体基板30内へ熱拡散62されることで、アルミニウム膜53との接触箇所において半導体基板30のおもて面の表面領域にp+型コンタクト領域14が自己整合的に形成される。炭化珪素からなる半導体基板30内にはいずれの方向にもアルミニウム原子が熱拡散されにくいため、p型領域13の表面領域に浅い深さd3で、アルミニウム膜53から熱拡散62されたアルミニウム原子が高不純物濃度に導入されてなるp+型コンタクト領域14が形成される。また、p+型コンタクト領域14に、キャップ膜を構成する元素であるニッケルは含まれていない。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0103】
これらアルミニウム膜53’内へのシリコン原子およびニッケル原子の熱拡散61’,64’により、図23に示すように、半導体基板30のおもて面上に、アルミニウム−ニッケル−シリコン(Al−Ni−Si)化合物55’が生成され、半導体基板30中の余剰の炭素(図23には析出Cと記載)が析出する。アルミニウム−ニッケル−シリコン化合物55’内には、後述するステップS8の高温熱処理でニッケルシリサイドが形成され、半導体基板30との低抵抗なオーミック接合が形成される。
【国際調査報告】

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