再表2021-49351IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2021年3月18日
【発行日】2021年12月23日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20211126BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20211126BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20211126BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20211126BHJP
【FI】
   H01L29/78 652J
   H01L29/78 653A
   H01L29/78 655A
   H01L29/78 652T
   H01L29/06 301D
   H01L29/06 301V
   H01L29/78 655G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
【出願番号】特願2021-545226(P2021-545226)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2020年8月31日
(31)【優先権主張番号】特願2019-167090(P2019-167090)
(32)【優先日】2019年9月13日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,IT,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】桜井 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】小野澤 勇一
(57)【要約】
半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のベース領域と、ベース領域とドリフト領域との間に設けられ、ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型の蓄積領域と、ベース領域と蓄積領域との間に設けられ、蓄積領域のドーピング濃度のピークよりもドーピング濃度の低い電界緩和領域とを備え、電界緩和領域と蓄積領域との境界は、蓄積領域のピークの半値位置であり、電界緩和領域の積分濃度が5E14cm−2以上、5E15cm−2以下である半導体装置を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のベース領域と、
前記ベース領域と前記ドリフト領域との間に設けられ、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型の蓄積領域と、
前記ベース領域と前記蓄積領域との間に設けられ、前記蓄積領域のドーピング濃度のピークよりもドーピング濃度の低い電界緩和領域と
を備え、
前記電界緩和領域と前記蓄積領域との境界は、前記蓄積領域の前記ピークの半値位置であり、
前記電界緩和領域の積分濃度が5E14cm−2以上、5E15cm−2以下である
半導体装置。
【請求項2】
前記電界緩和領域の膜厚は、0.4μm以上、3.0μm以下である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記電界緩和領域の膜厚は、1.0μm以上、1.8μm以下である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電界緩和領域の膜厚は、1.5μm以上、2.0μm以下である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記電界緩和領域の膜厚は、前記蓄積領域の膜厚以上である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記電界緩和領域は、前記ドリフト領域と同一のドーピング濃度の領域を含む
請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記電界緩和領域は、前記蓄積領域の前記ピークの半値よりも小さいピークを有する
請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記蓄積領域のドーピング濃度は、前記ベース領域のドーピング濃度のピークよりも低い
請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記蓄積領域のドーピング濃度は、1E16cm−3以上、4E16cm−3以下である
請求項1から8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記蓄積領域の膜厚は、0.5μm以上、1.5μm以下である。
請求項1から9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置
【背景技術】
【0002】
従来、トレンチ部の間のメサ部に蓄積領域を備える半導体装置が知られている(例えば、特許文献1−3参照)。
特許文献1 特開2005−347289号公報
特許文献2 特開2008−205015号公報
特許文献3 特開2007−311627号公報
【解決しようとする課題】
【0003】
半導体装置の漏れ電流を抑制することが望ましい。
【一般的開示】
【0004】
本発明の第1の態様においては、半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のベース領域と、ベース領域とドリフト領域との間に設けられ、ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型の蓄積領域と、ベース領域と蓄積領域との間に設けられ、蓄積領域のドーピング濃度のピークよりもドーピング濃度の低い電界緩和領域とを備え、電界緩和領域と蓄積領域との境界は、蓄積領域のピークの半値位置であり、電界緩和領域の積分濃度が5E14cm−2以上、5E15cm−2以下である半導体装置を提供する。
【0005】
電界緩和領域の膜厚は、0.4μm以上、3.0μm以下であってよい。
【0006】
電界緩和領域の膜厚は、1.0μm以上、1.8μm以下であってよい。
【0007】
電界緩和領域の膜厚は、1.5μm以上、2.0μm以下であってよい。
【0008】
電界緩和領域の膜厚は、蓄積領域の膜厚以上であってよい。
【0009】
電界緩和領域は、ドリフト領域と同一のドーピング濃度の領域を含んでよい。
【0010】
電界緩和領域は、蓄積領域のピークの半値よりも小さいピークを有してよい。
【0011】
蓄積領域のドーピング濃度は、ベース領域のドーピング濃度のピークよりも低くてよい。
【0012】
蓄積領域のドーピング濃度は、1E16cm−3以上、4E16cm−3以下であってよい。
【0013】
蓄積領域の膜厚は、0.5μm以上、1.5μm以下であってよい。
【0014】
なお、の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】実施例に係る半導体装置100の断面の一例を示す。
【図1B】実施例に係る半導体装置100の上面図の一例を示す。
【図1C】実施例に係る半導体装置100の深さ方向におけるドーピング濃度分布の一例を示す。
【図2A】比較例に係る半導体装置500の断面の一例を示す。
【図2B】比較例に係る半導体装置500の深さ方向におけるドーピング濃度分布の一例を示す。
【図2C】比較例に係る半導体装置500の電流Icesの実測波形を示す。
【図2D】比較例に係る半導体装置500の電流Icesのシミュレーション波形を示す。
【図3A】電界緩和領域17のドーピング濃度分布の一例を示す。
【図3B】電界緩和領域17の膜厚Wに応じた電流Icesの変化を示す。
【図4A】蓄積領域16のピーク濃度と電界緩和領域17の膜厚Wの関係を示す。
【図4B】蓄積領域16のピーク濃度と電界緩和領域17の積分濃度の関係を示す。
【図4C】蓄積領域16のピーク濃度、電界緩和領域17の膜厚W、および電界緩和領域17の積分濃度の関係を示す。
【図5】実施例に係る半導体装置100の断面図の拡大図の一例を示す。
【図6】実施例に係る半導体装置100のドーピング濃度分布の他の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
本明細書においては半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。また、基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は重力方向に限定されない。
【0018】
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。本明細書では、半導体基板の上面と平行な面をXY面とし、半導体基板の深さ方向をZ軸とする。
【0019】
各実施例においては、第1導電型をN型、第2導電型をP型とした例を示しているが、第1導電型をP型、第2導電型をN型としてもよい。この場合、各実施例における基板、層、領域等の導電型は、それぞれ逆の極性となる。
【0020】
本明細書においてドーピング濃度とは、ドナーまたはアクセプタ化した不純物の濃度を指す。本明細書においてドナーおよびアクセプタの濃度差をドーピング濃度とする場合がある。また、ドーピング領域におけるドーピング濃度分布のピーク値を、当該ドーピング領域におけるドーピング濃度とする場合がある。
【0021】
本明細書では、NまたはPを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、NやPに付す+および−は、それぞれ、それが付されていない層や領域よりも高ドーピング濃度および低ドーピング濃度であることを意味する。
【0022】
図1Aは、実施例に係る半導体装置100の断面の一例を示す。図1Aに示す各部材は、図面の紙面と垂直な方向に延伸して形成されている。半導体装置100は、伝導度変調によりオン抵抗およびオン電圧を低減する。半導体装置100は、一例としてIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を有する半導体チップである。本例の半導体装置100は、当該断面において半導体基板10、層間絶縁膜26、エミッタ電極52およびコレクタ電極24を有する。
【0023】
層間絶縁膜26は、半導体基板10のおもて面21に設けられる。層間絶縁膜26は、例えばリンが添加されたシリケートガラス膜(PSG膜)、または、リンおよびボロンが添加されたシリケートガラス膜(BPSG膜)である。
【0024】
コンタクトホール54は、層間絶縁膜26に設けられた開口である。コンタクトホール54は、半導体基板10のおもて面21を露出させ、エミッタ電極52とおもて面21とを接続するために設けられる。本例のコンタクトホール54は、メサ部60の中央に設けられているが、これに限定されない。
【0025】
エミッタ電極52は、半導体基板10のおもて面21の上方に設けられる。本例のエミッタ電極52は、層間絶縁膜26の上面に形成される。エミッタ電極52は、半導体基板10のおもて面21の一部の領域と接触してよい。エミッタ電極52は、コンタクトホール54内にも形成され、エミッタ領域12と接触する。また、層間絶縁膜26は、エミッタ電極52とゲート導電部44との間を絶縁する。
【0026】
コレクタ電極24は、半導体基板10の裏面23に設けられる。エミッタ電極52およびコレクタ電極24は、金属等の導電材料で形成される。例えばエミッタ電極52およびコレクタ電極24は、アルミニウムを含む導電材料で形成されてよい。また、エミッタ電極52およびコレクタ電極24において、絶縁膜の開口内等の微細な領域に形成される部分は、タングステンを含む導電材料で形成されてもよい。
【0027】
半導体基板10は、シリコン基板または化合物半導体基板であってよい。半導体基板10は、炭化シリコン基板であっても、窒化ガリウム等の窒化物半導体基板等であってもよい。本例の半導体基板10は、シリコン基板である。
【0028】
ドリフト領域18は、半導体基板10に設けられた第1導電型の領域である。本例のドリフト領域18は、一例としてN−型である。ドリフト領域18は、半導体基板10において他のドーピング領域が形成されずに残存した領域であってよい。即ち、ドリフト領域18のドーピング濃度は半導体基板10のドーピング濃度であってよい。
【0029】
エミッタ領域12は、半導体基板10のおもて面21側に設けられた第1導電型の領域である。エミッタ領域12は、一例としてN+型である。エミッタ領域12は、ダミートレンチ部30またはゲートトレンチ部40と接して設けられる。エミッタ領域12は、隣接するトレンチ部の間のメサ部60において、一方のトレンチ部から他方のトレンチ部まで延伸して設けられる。
【0030】
ベース領域14は、半導体基板10のおもて面21側に設けられた第2導電型の領域である。ベース領域14は、一例としてP−型である。ベース領域14は、エミッタ領域12の下方に設けられる。また、ベース領域14は、ドリフト領域18の上方に設けられる。
【0031】
蓄積領域16は、ベース領域14とドリフト領域18との間に設けられた第1導電型の領域である。本例の蓄積領域16は、一例としてN型である。蓄積領域16は、ダミートレンチ部30またはゲートトレンチ部40に接して設けられる。蓄積領域16のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。蓄積領域16は、半導体基板10の裏面23側からドリフト領域18に注入された正孔が、半導体基板10のおもて面21側に抜けることを抑制して、ドリフト領域18の上面側におけるキャリア密度を高める。このように、蓄積領域16は、キャリア注入促進効果(IE効果)により、半導体装置100を伝導度変調させる。これにより、半導体装置100の導通抵抗が下がり、オン電圧を低減できる。
【0032】
電界緩和領域17は、ベース領域14と蓄積領域16との間に設けられる。電界緩和領域17の上端は、ベース領域14と電界緩和領域17との間のジャンクション位置である。電界緩和領域17の下端は、蓄積領域16のドーピング濃度のピークに対する半値位置である。電界緩和領域17は、一例としてN−型である。
【0033】
電界緩和領域17のドーピング濃度は、蓄積領域16のドーピング濃度のピークよりも低い。電界緩和領域17のドーピング濃度は、ベース領域14のドーピング濃度のピークよりも低くてよい。電界緩和領域17では、空乏層が伸びやすくなり、電界の集中を緩和することができる。
【0034】
一例において、電界緩和領域17は、ドリフト領域18と同一のドーピング濃度の領域を有する。電界緩和領域17は、ドリフト領域18と同一のドーピング濃度の領域を予め定められた膜厚で有する。例えば、電界緩和領域17は、ドリフト領域18と同一のドーピング濃度の領域を膜厚0.5μm以上有する。
【0035】
電界緩和領域17の膜厚Wは、高電圧印加時にC−E間の漏れ電流を抑制できるように設定される。C−E間の漏れ電流とは、コレクタ電極24とエミッタ電極52との間を流れる電流Icesの漏れ電流を指す。一例において、電界緩和領域17の膜厚Wは、蓄積領域16とベース領域14との間の電界を緩和して、漏れ電流が抑制されるように設定される。
【0036】
例えば、電界緩和領域17の膜厚Wは、蓄積領域16の膜厚以上である。電界緩和領域17の膜厚を厚くすることによって、漏れ電流を抑制しやすくなる。また、電界緩和領域17の膜厚Wは、蓄積領域16の膜厚以下であってよい。電界緩和領域17の膜厚Wは0.4μm以上、3.0μm以下であってよい。電界緩和領域17の膜厚Wは1.0μm以上、1.8μm以下であってよい。電界緩和領域17の膜厚Wは1.5μm以上、2.0μm以下であってよい。
【0037】
バッファ領域20は、ドリフト領域18の下方に設けられた第1導電型の領域である。本例のバッファ領域20は、一例としてN+型である。バッファ領域20のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。バッファ領域20は、ベース領域14の下面側から広がる空乏層が、第2導電型のコレクタ領域22および第1導電型のカソード領域に到達することを防ぐフィールドストップ層として機能してよい。
【0038】
ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40は、予め定められた配列方向(本例ではX軸方向)に沿って予め定められた間隔で配列される。ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40は、半導体基板10のおもて面21に平行であって配列方向と垂直な延伸方向(本例ではY軸方向)に沿って延伸する。ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40は、半導体基板10のおもて面21側から、エミッタ領域12、ベース領域14、電界緩和領域17および蓄積領域16を貫通して、ドリフト領域18まで延伸する。
【0039】
ゲートトレンチ部40は、ゲート電位に設定されている。ゲートトレンチ部40は、おもて面21に形成されたゲートトレンチ、ゲート絶縁膜42およびゲート導電部44を有する。
【0040】
ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁を覆って形成される。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁の半導体を酸化または窒化して形成してよい。ゲート絶縁膜42は、ゲート導電部44と半導体基板10とを絶縁する。
【0041】
ゲート導電部44は、ゲートトレンチの内部においてゲート絶縁膜42よりも内側に形成される。ゲート導電部44は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。ゲート導電部44は、おもて面21において層間絶縁膜26により覆われる。ゲート導電部44は、少なくとも隣接するベース領域14と対向する領域を含む。ゲート導電部44に予め定められた電圧が印加されると、ベース領域14のうちゲートトレンチ部40に接する界面の表層にチャネルが形成される。本例のゲート導電部44は、蓄積領域16の下面よりも、半導体基板10の裏面23側に突出する部分を有する。
【0042】
ダミートレンチ部30は、エミッタ電位に設定されている。ダミートレンチ部30は、おもて面21側に形成されたダミートレンチ、ダミー絶縁膜32およびダミー導電部34を有する。
【0043】
ダミー絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁を覆って形成される。ダミー絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁の半導体を酸化または窒化して形成してよい。ダミー絶縁膜32は、ダミー導電部34と半導体基板10とを絶縁する。
【0044】
ダミー導電部34は、ダミートレンチの内部に形成され、且つ、ダミー絶縁膜32よりも内側に形成される。ダミー導電部34は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。ダミー導電部34は、おもて面21において層間絶縁膜26により覆われる。
【0045】
本例の半導体装置100は、1つのゲートトレンチ部40と、2つのダミートレンチ部30とが、この順で繰り返し配列された構造を備える。トレンチ部の配列構造は本例に限られない。複数のゲートトレンチ部40が連続して配置されてもよい。1つのダミートレンチ部30が2つのゲートトレンチ部40に挟まれて配置されてもよい。半導体装置100は、トレンチ部としてゲートトレンチ部40のみを備えてもよい。
【0046】
メサ部60は、2つのトレンチ部に挟まれた半導体基板10の領域である。メサ部60には、エミッタ領域12、ベース領域14、電界緩和領域17および蓄積領域16が設けられている。
【0047】
図1Bは、実施例に係る半導体装置100の上面図の一例を示す。図1BのB−B'断面が図1Aで示した断面図に相当する。
【0048】
コンタクト領域15は、ベース領域14よりもドーピング濃度の高い第2導電型の領域である。本例のコンタクト領域15は、一例としてP+型である。本例のコンタクト領域15は、メサ部60のおもて面21に設けられる。本例のコンタクト領域15は、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40と接している。
【0049】
メサ部60において、エミッタ領域12およびコンタクト領域15が、半導体基板10のおもて面21に設けられる。エミッタ領域12およびコンタクト領域15は、メサ部60と隣り合う2つのトレンチ部にそれぞれ接して設けられている。エミッタ領域12およびコンタクト領域15は、延伸方向において交互に設けられている。エミッタ領域12およびコンタクト領域15は、延伸方向において同一の間隔で設けられている。但し、エミッタ領域12の幅は、延伸方向において、コンタクト領域15の幅よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0050】
コンタクトホール54は、延伸方向に延伸して設けられる。コンタクトホール54は、エミッタ領域12およびコンタクト領域15の各領域の上方に形成される。なお、コンタクトホール54および層間絶縁膜26は、図面を簡潔にするために省略されている。
【0051】
図1Cは、実施例に係る半導体装置100の深さ方向におけるドーピング濃度分布の一例を示す。縦軸はドーピング濃度(cm−3)を対数で示し、横軸は半導体基板10のおもて面21からの深さ(μm)を示す。
【0052】
本例のドーピング濃度分布は、図1AのA−A'断面のドーピング濃度分布を示す。つまり、図1AのA−A'断面に対応して、エミッタ領域12、ベース領域14、電界緩和領域17、蓄積領域16およびドリフト領域18におけるドーピング濃度分布を示している。深さD1〜深さD4は、半導体基板10のおもて面21からの深さを示す。
【0053】
深さD1は、半導体基板10のおもて面21を基準とした、エミッタ領域12の下端の深さを示す。即ち、深さD1は、エミッタ領域12とベース領域14との境界位置に対応する。深さD1は、N型のエミッタ領域12とP型のベース領域14との間におけるドーピング濃度分布のジャンクションの深さである。例えば、深さD1は、半導体基板10のおもて面21から0.3μm以上、0.8μm以下の範囲内に設定される。
【0054】
エミッタ領域12のドーピング濃度は、半導体基板10のおもて面21近傍(すなわち、深さ0μm近傍)で最大の値を示す。エミッタ領域12のドーピング濃度の最大値は、1E20cm−3以上であってよい。なお、Eは10のべき乗を意味し、例えば1E20cm−3は1×1020cm−3を意味する。
【0055】
深さD2は、半導体基板10のおもて面21を基準とした、ベース領域14の下端の深さを示す。深さD2は、ベース領域14と電界緩和領域17との境界位置に対応する。深さD2は、P型のベース領域14とN型の電界緩和領域17との間におけるドーピング濃度分布のジャンクションの深さである。例えば、深さD2は、半導体基板10のおもて面21から1.5μm以上、2.5μm以下の範囲内に設定される。
【0056】
ベース領域14のドーピング濃度のピークP1は、5E16cm−3以上、5E17cm−3以下である。本実施例において、ベース領域14のドーピング濃度のピークP1は、半導体基板10のおもて面21から0.8μm以上、1.8μm以下の範囲内に設けられている。
【0057】
深さD3は、半導体基板10のおもて面21を基準とした、電界緩和領域17の下端の深さを示す。深さD3は、電界緩和領域17と蓄積領域16との境界位置に対応する。本例の深さD3は、ドーピング濃度分布において、蓄積領域16のピークP2の半値Phとなる位置を蓄積領域16と電界緩和領域17との境界位置として決定されている。
【0058】
ここで、電界緩和領域17のドーピング濃度は、ベース領域14のドーピング濃度のピークP1よりも低い。また、電界緩和領域17のドーピング濃度は、蓄積領域16のドーピング濃度のピークP2よりも低い。電界緩和領域17は、ドリフト領域18と同一のドーピング濃度の領域を有してよい。この場合、電界緩和領域17は、ドリフト領域18が残存した領域とすることができるので、電界緩和領域17のために追加でイオン注入する必要がない。よって、半導体装置100の製造コストが低減される。
【0059】
深さD4は、半導体基板10のおもて面21を基準とした、蓄積領域16の下端の深さを示す。深さD4は、ドリフト領域18の濃度と同一となる深さに対応する。例えば、深さD4は、半導体基板10のおもて面21から2.5μm以上、5.0μm以下の範囲内に配置されている。本実施例においてドリフト領域18は概ね一定のドーピング濃度を有する。本実施例においてドリフト領域18のドーピング濃度は、5E13cm−3以上、5E14cm−3以下である。
【0060】
蓄積領域16のドーピング濃度は、ベース領域14のドーピング濃度のピークP1よりも低い。例えば、蓄積領域16のドーピング濃度のピークP2は、1E16cm−3以上、4E16cm−3以下である。本実施例において、蓄積領域16のドーピング濃度が最大となる深さ位置は、半導体基板10のおもて面21から2.0μm以上、4.5μm以下の範囲内に配置されている。
【0061】
図2Aは、比較例に係る半導体装置500の断面の一例を示す。本例の半導体装置500は、電界緩和領域17を有さない点で実施例に係る半導体装置100と相違する。半導体装置500は、メサ部60において、エミッタ領域512、ベース領域514、蓄積領域516およびドリフト領域518を有する。半導体装置500では、ベース領域514と蓄積領域516とが隣接して設けられる。半導体装置500は、電界緩和領域17を有さないので、ベース領域514と蓄積領域516との間に電界が集中する。
【0062】
半導体装置500は、蓄積領域516によってIE効果を高め、定常時に蓄積されるキャリア量を増加させて、オン電圧を低減することができる。蓄積領域516が高濃度なほど、IE効果を高めることができるので、高濃度に設計される傾向にある。しかしながら、蓄積領域516のドーピング濃度のピークが、1E16cm−3以上のように高濃度となると瞬時的にC−E間の漏れ電流が増加する場合がある。
【0063】
図2Bは、比較例に係る半導体装置500の深さ方向におけるドーピング濃度分布の一例を示す。本例のドーピング濃度分布は、図2AのA−A'断面のドーピング濃度分布である。
【0064】
深さD1'は、半導体基板10のおもて面21を基準とした、エミッタ領域512の下端の深さを示す。深さD1'は、エミッタ領域512とベース領域514との境界位置に対応する。深さD1'は、N型のエミッタ領域512とP型のベース領域514との間におけるドーピング濃度分布のジャンクションの深さである。
【0065】
深さD2'は、半導体基板10のおもて面21を基準とした、ベース領域514の下端の深さを示す。深さD2'は、ベース領域514と蓄積領域516との境界位置に対応する。深さD2'は、P型のベース領域514とN型の蓄積領域516との間におけるドーピング濃度分布のジャンクションの深さである。
【0066】
深さD3'は、半導体基板10のおもて面21を基準とした、蓄積領域516の下端の深さを示す。深さD3'は、ドリフト領域518の濃度と同一となる深さに対応する。蓄積領域516のドーピング濃度のピークP2'は、1E16cm−3以上である。半導体装置500において、蓄積領域516のドーピング濃度のピークP2'は、ベース領域514のドーピング濃度のピークP1'よりも低い。
【0067】
このように、P型のベース領域514とN型の蓄積領域516とが直接接触する界面では、蓄積領域516によりキャリア密度が高められており、電界が集中しやすくなる。電界が集中するとC−E間の漏れ電流が生じやすくなる。
【0068】
図2Cは、比較例に係る半導体装置500の電流Icesの実測波形を示す。縦軸はC−E間の電圧Vce(V)およびC−E間の電流Ices(A)を示し、横軸は時間(sec)を示す。本例では、予め定められた掃引速度で電圧Vceを掃引した場合の電流Icesの変化を示している。
【0069】
電圧Vceは、0Vから1330Vまで、dv/dt=0.4kV/msの速さで掃引している。電圧Vceが上昇すると、予め定められた電圧にて瞬時的に電流Icesが上昇する。例えば、瞬時的なC−E間の漏れ電流の増加は蓄積領域516のピーク濃度が1E16cm−3以上の濃度であり、ベース領域514と蓄積領域516との界面に電界が集中することによって発生する。漏れ電流の増加する電圧Vceは、空乏層がバッファ領域20に到達する電圧に関係する場合がある。バッファ領域20に空乏層が到達することで、それ以上深さ方向に電界がかからなくなり、おもて面21側の電界が急激に高くなることで漏れ電流が増加する。ここで、ピーク濃度はドーピング濃度のピークの濃度を示す。
【0070】
図2Dは、比較例に係る半導体装置500の電流Icesのシミュレーション波形を示す。縦軸はC−E間の電圧Vce(V)およびC−E間の電流Ices(A)を示し、横軸は時間(sec)を示す。本例では、図2Cの掃引条件と同一の条件で電圧Vceを掃引している。図2Cの場合と同様に、電圧Vceの上昇に伴い、瞬時的に電流Icesが増加する現象が確認されている。
【0071】
一方、半導体装置100は、電界緩和領域17を設けることで、蓄積領域16を高濃度化した場合に生じるC−E間の漏れ電流増加を抑制しつつ、IE効果を高めることができる。これにより、C−E間の漏れ電流に起因する損失が低減される。但し、電界緩和領域17の膜厚Wを大きくしすぎると、IE効果が低下するので、蓄積領域16のピーク濃度に応じて適切な電界緩和領域17の膜厚Wを選択する。
【0072】
図3Aは、電界緩和領域17のドーピング濃度分布の一例を示す。本例の電界緩和領域17は、条件を変えることにより、A1〜A4の4つの異なるドーピング濃度分布に変更されている。また、比較として半導体装置500のドーピング濃度分布A0も示している。
【0073】
ドーピング濃度分布A0は、電界緩和領域17を有さない半導体装置500のドーピング濃度分布を示す。本例では、ベース領域514が蓄積領域516と接している。蓄積領域516のピーク濃度は、ベース領域514のピーク濃度よりも低い。
【0074】
ドーピング濃度分布A1〜A4は、予め定められた膜厚の電界緩和領域17を有する半導体装置100のドーピング濃度分布を示す。ドーピング濃度分布A1〜A4は、電界緩和領域17の膜厚Wを順に大きくした場合のドーピング濃度の分布を示す。電界緩和領域17の膜厚Wを大きくすることにより、蓄積領域16のピーク濃度を大きくすることができる。蓄積領域16のピーク濃度を大きくすることにより、IE効果が向上してオン電圧を低減できる。
【0075】
図3Bは、電界緩和領域17の膜厚Wに応じた電流Icesの変化を示す。本例では、電界緩和領域17の膜厚Wを、0μm、0.3μm、0.6μmまたは0.9μmに変化させている。電界緩和領域17の膜厚Wが大きくなるほど、空乏層が深さ方向に広がりやすくなり、電界緩和効果が大きくなっている。そのため、電界緩和領域17の膜厚Wが大きくなるに従い、電流Icesの上昇が抑制されている。
【0076】
図4Aは、蓄積領域16のピーク濃度と電界緩和領域17の膜厚Wの関係を示す。縦軸は電界緩和領域17の膜厚W(μm)を示し、横軸は蓄積領域16のピーク濃度(cm−3)を示す。本例では、蓄積領域16のピーク濃度に応じた、電界を緩和するために必要な電界緩和領域17の膜厚Wを示している。
【0077】
電界緩和領域17の膜厚Wは、蓄積領域16のピーク濃度に応じて、漏れ電流を抑制するために必要な大きさが異なる。電界緩和領域17では、空乏層が伸びやすくなり電界を緩和することができる。電界緩和領域17の膜厚Wが厚いほど、電界が緩和されて、漏れ電流を抑制する効果が高くなる。
【0078】
蓄積領域16のピーク濃度が高いほど、空乏層が伸びにくくなるので、電界が集中しやすくなる。蓄積領域16のドーピング濃度が低いほど、空乏層が伸びやすくなり、電界が分散されやすくなる。よって、蓄積領域16のピーク濃度が高いほど、漏れ電流を抑制するために必要な電界緩和領域17の膜厚Wが大きくなる。
【0079】
例えば、蓄積領域16のドーピング濃度は、1E16cm−3以上、4E16cm−3以下である。蓄積領域16のドーピング濃度が1E16cm−3の場合に、電界緩和領域17の膜厚Wが0.4μmとなっている。蓄積領域16のドーピング濃度が2.5E16cm−3の場合に、電界緩和領域17の膜厚Wが1.0μmとなっている。蓄積領域16のドーピング濃度が3E16cm−3の場合に、電界緩和領域17の膜厚Wが1.3μmとなっている。蓄積領域16のドーピング濃度が4E16cm−3の場合に、電界緩和領域17の膜厚Wが1.8μmとなっている。
【0080】
電界緩和領域17の膜厚Wが厚くなりすぎると、蓄積領域16がトレンチボトムの深い位置に存在して、耐圧の低下が生じる場合がある。そのため、電界緩和領域17の膜厚Wを3.0μm以下とすることにより、耐圧の低下を抑制している。なお、電界緩和領域17の膜厚Wは、本例の値よりも厚くてもよい。
【0081】
図4Bは、蓄積領域16のピーク濃度と電界緩和領域17の積分濃度の関係を示す。縦軸は電界緩和領域17の積分濃度(cm−2)を示し、横軸は蓄積領域16のピーク濃度(cm−3)を示す。電界緩和領域17の積分濃度は、電界緩和領域17の膜厚Wの範囲でドーピング濃度分布を積分して算出した値を示す。
【0082】
電界緩和領域17の積分濃度は5E14cm−2以上、5E15cm−2以下である。電界緩和領域17の積分濃度を適切に設定することにより、ベース領域14と電界緩和領域17との間の電界が緩和され、漏れ電流を抑制することができる。漏れ電流は、コレクタ電極24とエミッタ電極52との間を流れる電流Icesの漏れ電流を指す。
【0083】
図4Cは、蓄積領域16のピーク濃度、電界緩和領域17の膜厚W、および電界緩和領域17の積分濃度の関係について示す。
【0084】
電界緩和領域17の膜厚Wは、高電圧印加時にC−E間の漏れ電流を抑制できるように設定される。一例において、電界緩和領域17の膜厚Wは、蓄積領域16とベース領域14との間の電界を緩和して、漏れ電流が抑制されるように設定される。
【0085】
例えば、電界緩和領域17の膜厚Wは、蓄積領域16の膜厚以上である。電界緩和領域17の膜厚を厚くすることによって、漏れ電流を抑制しやすくなる。また、電界緩和領域17の膜厚Wは、蓄積領域16の膜厚以下であってよい。電界緩和領域17の膜厚Wは0.4μm以上、3.0μm以下であってよい。電界緩和領域17の膜厚Wは1.0μm以上、1.8μm以下であってよい。電界緩和領域17の膜厚Wは1.5μm以上、2.0μm以下であってよい。さらに、電界緩和領域17の積分濃度は5E14cm−2以上、5E15cm−2以下であってよい。
【0086】
図5は、実施例に係る半導体装置100の断面図の拡大図の一例を示す。同図は、隣接するダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40で挟まれたメサ部60の拡大図である。
【0087】
幅W1は、ダミートレンチ部30の中央部とゲートトレンチ部40の中央部との間隔を示す。即ち、幅W1は、トレンチ部のピッチである。幅W2は、メサ部60の幅を示す。
【0088】
長さL1は、エミッタ領域12の膜厚である。長さL1は、半導体基板10のおもて面21から深さD1までの膜厚に対応する。例えば、長さL1は、0.3μm以上、0.8μm以下である。
【0089】
長さL2は、ベース領域14の膜厚である。長さL2は、深さD1から深さD2までの膜厚に対応する。
【0090】
長さWは、電界緩和領域17の膜厚である。長さWは、深さD2から深さD3までの膜厚に対応する。例えば、長さWは、0.4μm以上、3.0μm以下である。
【0091】
長さL4は、蓄積領域16の膜厚である。長さL4は、深さD3から深さD4までの膜厚に対応する。一例において、蓄積領域16の膜厚は、0.5μm以上、1.5μm以下である。例えば、蓄積領域16の膜厚は1.0μmである。
【0092】
長さL5は、蓄積領域16の下端D4から、蓄積領域16の下面よりも下側に突出するダミートレンチ部30またはゲートトレンチ部40の下端までの距離である。蓄積領域16は、ダミートレンチ部30またはゲートトレンチ部40の下端を超えない程度の膜厚を有することが好ましい。
【0093】
ここで、トレンチ部を有する半導体装置では、伝導度変調によりコレクタから注入された正孔の密度は、エミッタに近づくにつれて低下する。この結果、キャリア密度がエミッタ側で低くなり、オン抵抗を十分に小さくすることができない。本例の半導体装置100は、ベース領域14の下方に蓄積領域16を設けることにより、エミッタ側におけるキャリア密度を向上させることができる。
【0094】
このように、蓄積領域16におけるドーピング濃度の最大値を高くすることで、半導体装置100のオン抵抗およびオン電圧を小さくすることができる。一方で、蓄積領域16における総ドーズ量を多くしすぎると、ベース領域14と蓄積領域16との間の電界が大きくなるので漏れ電流が生じる。したがって、電界緩和領域17の膜厚Wは、ベース領域14と蓄積領域16との間の電界を十分に緩和できる範囲に設定されることが好ましい。
【0095】
一例において、電界緩和領域17の膜厚Wは、蓄積領域16の膜厚である長さL4よりも短いことが好ましい。また、電界緩和領域17の膜厚Wは、エミッタ領域12およびベース領域14の長さの和L1+L2以下である。電界緩和領域17の膜厚Wは、ベース領域14の長さL2以下であってもよい。また、電界緩和領域17の膜厚Wは、ゲートトレンチ部40の突出部の長さL5以下であってよく、L5の半分以下であってもよい。
【0096】
一方、蓄積領域16を低ドーピング濃度とすることにより、空乏層が広がりやすくなり、電界の集中を緩和できる。この場合であっても、0.4μm以上の電界緩和領域17を設けてよい。
【0097】
図6は、実施例に係る半導体装置100のドーピング濃度分布の他の例を示す。本例の半導体装置100は、電界緩和領域17にピークP3を有する。
【0098】
ピークP3は、電界緩和領域17に設けられる。ピークP3は、ピークP2の半値Phよりも低い。電界緩和領域17のドーピング濃度は、蓄積領域16のピークP2の半値Phより低い値であればよい。電界緩和領域17は、複数段のピークを有してもよい。この場合も、複数段で形成される電界緩和領域17の各段の濃度は蓄積領域16のピークP2の半値Phより低い値であれば、どのような値であってもよい。例えば、電界緩和領域17のドーピング濃度は、半導体基板10の裏面23に向かって徐々に高くなってもよいし、徐々に低くなってもよい。ドーピング濃度のプロファイルは、電界緩和領域17の積分濃度が5E14cm−2以上、5E15cm−2以下であればよく、これに限定されない。
【0099】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は実施の形態に記載の範囲には限定されない。実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0100】
10・・・半導体基板、12・・・エミッタ領域、14・・・ベース領域、15・・・コンタクト領域、16・・・蓄積領域、17・・・電界緩和領域、18・・・ドリフト領域、20・・・バッファ領域、21・・・おもて面、22・・・コレクタ領域、23・・・裏面、24・・・コレクタ電極、26・・・層間絶縁膜、30・・・ダミートレンチ部、32・・・ダミー絶縁膜、34・・・ダミー導電部、40・・・ゲートトレンチ部、42・・・ゲート絶縁膜、44・・・ゲート導電部、52・・・エミッタ電極、54・・・コンタクトホール、60・・・メサ部、100・・・半導体装置、500・・・半導体装置、512・・・エミッタ領域、514・・・ベース領域、516・・・蓄積領域、518・・・ドリフト領域
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【国際調査報告】

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