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再表2021-6218バッグ本体、保護対象物収納バッグ及び精密機器収納バッグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2021年1月14日
【発行日】2021年9月13日
(54)【発明の名称】バッグ本体、保護対象物収納バッグ及び精密機器収納バッグ
(51)【国際特許分類】
   A45C 11/00 20060101AFI20210816BHJP
   A45C 11/38 20060101ALI20210816BHJP
【FI】
   A45C11/00 E
   A45C11/38 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
【出願番号】特願2021-500308(P2021-500308)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2020年7月3日
(31)【優先権主張番号】特願2019-126251(P2019-126251)
(32)【優先日】2019年7月5日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,IT,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519246227
【氏名又は名称】アールズビジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日比 憲治
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA41
3B045BA22
3B045CB01
3B045CB05
3B045DA21
3B045EA02
3B045EB11
3B045FA02
3B045FC02
3B045FC04
3B045FC08
3B045KA04
3B045KB02
(57)【要約】
保護対象物収納バッグであるカメラ収納バッグ(10)は、バッグ本体(30)と、クッション材(60)とを備えている。バッグ本体(30)は、柔軟性素材を用いて折り曲げ可能に形成された略直方体の形状を有している。また、クッション材(60)は、バッグ本体30の略直方体の底壁A、側壁B、C、D、E及び上壁Fに着脱可能に取り付けられている。具体的には、クッション材(60)は、バッグ本体(30)を裏返した状態で、各壁の二重構造の内部に挿入される。その後、バッグ本体を裏返すことで、カメラを収納可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護対象物が収納される空間を全面的に囲むバッグ本体であって、
前記空間を囲む各壁に形成された二重構造と、前記二重構造における収納面側に設けられた開口部と、を有するクッション取付部を備え、
前記クッション取付部には、クッション材が前記開口部を通じて前記二重構造の内部に着脱可能に取り付けられる、ことを特徴とするバッグ本体。
【請求項2】
請求項1に記載のバッグ本体において、
当該バッグ本体は略直方体に形成され、前記略直方体の5壁により形成された収納部と、残る1壁によって形成された蓋部とを有し、
前記収納部を形成する各壁における前記開口部は、前記収納部を形成する他の壁との境界に境界付近に設けられている、ことを特徴とするバッグ本体。
【請求項3】
(旧請求項1の特徴)
請求項1に記載のバッグ本体であって、
前記各壁は、柔軟性素材を用いて折り曲げ可能に形成されており、
当該バッグ本体は、前記クッション取付部に前記クッション材を取り付けた状態で、裏返し可能に形成されている、ことを特徴とするバッグ本体。
【請求項4】
請求項1に記載のバッグ本体と、
前記クッション取付部に着脱可能に取り付けられた前記クッション材と、
を備えることを特徴とする保護対象物収納バッグ。
【請求項5】
請求項4に記載の保護対象物収納バッグにおいて、
前記バッグ本体は略直方体に形成され、
前記略直方体の各壁のうち面積最大の2壁には、それぞれ、他の2壁または他の4壁に取り付けられる前記クッション材と同サイズの前記クッション材が複数個取り付けられる、ことを特徴とする保護対象物収納バッグ。
【請求項6】
請求項4に記載の保護対象物収納バッグにおいて、
前記バッグ本体は略直方体に形成され、
前記略直方体の各壁のうち面積最小の2壁または面積中間の2壁で用いられる前記クッション材と同サイズのクッション材が、前記バッグ本体の前記略直方体内における仕切壁として用いられることを特徴とする保護対象物収納バッグ。
【請求項7】
請求項4に記載の保護対象物収納バッグにおいて、
前記バッグ本体は略円柱体に形成されていることを特徴とする保護対象物収納バッグ。
【請求項8】
請求項4に記載の保護対象物収納バッグにおいて、
前記クッション材は、中空の内部と、当該中空の内部を囲む弾性素材で形成された弾性壁とを有する短辺方向に延びる独立した小クッションが長辺方向に複数個並べられ、前記小クッション間において切断可能に形成されている、ことを特徴とする保護対象物収納バッグ。
【請求項9】
請求項1に記載の保護対象物収納バッグであって、
前記保護対象物は精密機器であることを特徴とする精密機器収納バッグ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッグ本体、保護対象物収納バッグ及び精密機器収納バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ、レンズ、PC(パーソナルコンピュータ)などの精密機器、または、陶磁器、ガラス製品などのような損傷しやすい物、または、貴重な物を持ち運ぶ際には、落下、衝突などによって物が損傷しないように保護することが望ましい場合がある。
【0003】
下記特許文献1には、カメラを持ち運ぶためのバッグについて記載されている。このバッグは、ある程度の硬さをもったケースの壁の内部に、発泡ウレタンが埋め込まれて、カメラを保護している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−209628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されたバッグは、ある程度の硬さをもつため、精密機器の非収納時においても折り畳むことなどができず、収納時と同程度の体積を有することになる。
【0006】
また、多くの保護バッグでは、収納物を保護するクッション材が固定的に設置されているため、クッション材の交換が困難となる場合がある。
【0007】
本発明の目的は、保護対象物を保護可能な新しい構造を備えたバッグを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるバッグ本体は、保護対象物が収納される空間を全面的に囲むバッグ本体であって、前記空間を囲む各壁に形成された二重構造と、前記二重構造における収納面側に設けられた開口部と、を有するクッション取付部を備え、前記クッション取付部には、クッション材が前記開口部を通じて前記二重構造の内部に着脱可能に取り付けられる。
【0009】
本発明の一態様においては、当該バッグ本体は略直方体に形成され、前記略直方体の5壁により形成された収納部と、残る1壁によって形成された蓋部とを有し、前記収納部を形成する各壁における前記開口部は、前記収納部を形成する他の壁との境界に境界付近に設けられている。
【0010】
本発明の一態様においては、前記各壁は、柔軟性素材を用いて折り曲げ可能に形成されており、当該バッグ本体は、前記クッション取付部に前記クッション材を取り付けた状態で、裏返し可能に形成されている。
【0011】
本発明にかかる保護対象物収納バッグは、前記バッグ本体と、前記クッション取付部に着脱可能に取り付けられた前記クッション材と、を備える。
【0012】
本発明の一態様においては、前記バッグ本体は略直方体に形成され、前記略直方体の各壁のうち面積最大の2壁には、それぞれ、他の2壁または他の4壁に取り付けられる前記クッション材と同サイズの前記クッション材が複数個取り付けられる。
【0013】
本発明の一態様においては、前記バッグ本体は略直方体に形成され、前記略直方体の各壁のうち面積最小の2壁または面積中間の2壁で用いられる前記クッション材と同サイズのクッション材が、前記バッグ本体の前記略直方体内における仕切壁として用いられる。
【0014】
本発明の一態様においては、前記バッグ本体は略円柱体に形成されている。
【0015】
本発明の一態様においては、前記クッション材は、中空の内部と、当該中空の内部を囲む弾性素材で形成された弾性壁とを有する短辺方向に延びる独立した小クッションが長辺方向に複数個並べられ、前記小クッション間において切断可能に形成されている。
【0016】
本発明にかかる精密機器収納バッグは、前記保護対象物収納バッグにおいて、前記保護対象物は精密機器である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、保護対象物を着脱可能なクッションによって保護可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態にかかるカメラ収納バッグの斜視図である。
図2】カメラ収納バッグの分解図である。
図3】仕切壁の分解図である。
図4】仕切壁の斜視図である。
図5】仕切壁を設置したカメラ収納バッグの斜視図である。
図6】エアクッションの斜視図である。
図7図6におけるXX面での断面図である。
図8】別の実施形態にかかるカメラ収納バッグの斜視図である。
図9】仕切壁の斜視図である。
図10】別の実施形態にかかるエアクッションの斜視図である。
図11】レンズ収納バッグの斜視図である。
図12】キャスター付バッグの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照しながら、実施形態について説明する。説明においては、理解を容易にするため、具体的な態様について示すが、これらは実施形態を例示するものであり、他にも様々な実施形態をとることが可能である。
【0020】
図1は、実施形態にかかる精密機器収納バッグの一例であるカメラ収納バッグ10の斜視図である。カメラ収納バッグ10は、カメラ等を収納し、持ち運ぶための容器である。バッグという名称に代えて、例えば、カバン、梱包ケースなどと呼んでもよい。ただし、カメラ収納バッグ10は、他の精密機器を収納するバッグとしても利用できるし、精密機器以外の保護対象物も収納可能な保護対象物収納バッグとしても利用できる。
【0021】
カメラ収納バッグ10は、6枚の長方形状の壁を組み合わせた略直方体に形成されている。「略直方体」とは、数学的に厳密な意味ではなく、社会通念的な意味で、直方体に近いと感じられる形状をいう。直方体には立方体も含まれる。カメラ収納バッグ10は、具体的には、底壁Aと、底壁Aの周囲を囲む側壁B、C、D、Eの5枚の壁と、側壁Eの上端に接続された上壁Fを備える。図1では、底壁Aの内側の面である面Ainと、側壁B、Cの外側の面である面Bout、Coutと、側壁D、Eの内側の面である面Din、Einと、上壁Fの内側の面であるFinが図示されている。底壁Aと上壁Fは、面積が最大の壁である。また、側壁B、Dは面積が最小の壁である。側壁C、Eは、側壁B、Dよりも面積が大きく、底壁A及び上壁Fよりも面積が小さい。
【0022】
底壁Aと側壁B、C、D、Eの5枚の壁は、内側(すなわち、面Ain、Bin、Cin、Din、Einで囲まれる空間)にカメラ等の収納部12を形成している。そして、上壁Fは、収納部12に対する蓋部となっている。側壁B、C、Dの上端かつ外側には、一方の線ファスナ14aが設けられており、これと向きあう上壁Fの下端かつ外側には、他方の線ファスナ14bが設けられている。蓋部である上壁Fを閉じて一対の線ファスナ14a、14bを係合させることにより、収納部12の内部に収納されたカメラ等が飛び出すことを防止できる。なお、「線ファスナ」とは、線的に開閉されるファスナであり、チャック、ジッパーなどとも呼ばれる。
【0023】
底壁Aの面Ainには、短辺の中央付近に(すなわち側壁Cと側壁Eの中間位置付近に)、長辺に沿って(すなわち、側壁Bと側壁Dを結ぶ方向に)一方の面ファスナ16aが設けられている。また、側壁D、Eの面Din、Einの中央付近には、それぞれ、下端から上端にかけて、一方の面ファスナ18a、20aが設けられている。図示されていない側壁B、Cの面Bin、Cinにも同じく一方の面ファスナが設けられている。一方の面ファスナ16a、18a、20aは、仕切壁に設けられる対となる他方の面ファスナと係合して、仕切壁を固定する。なお、「面ファスナ」とは、一対のものが面的に着脱されるファスナであり、ベルクロ(登録商標)、マジックテープ(登録商標)などとも呼ばれる。
【0024】
図2は、カメラ収納バッグ10の組み立てを説明する分解図である。カメラ収納バッグ10は、バッグ本体30に、クッション材であるエアクッション60を取り付けて形成されている。
【0025】
バッグ本体30は、折り曲げが容易な柔軟性素材である複数のシート部材を結合させて形成されており、カメラ収納バッグ10の基本的な形状を作っている。シート部材としては、例えば、化学繊維(ナイロン、ポリエステルなど)あるいは天然繊維(綿、麻など)を織り上げた布、化学素材により面的に形成されたシート(ビニルシートなど)が挙げられる。シート部材は、複数種類のシートを重ねたものであってもよい。例えば、収納部12に面した面Ain、Bin、Cin、Din、Ein、Finはカメラ等を傷つけにくい素材で形成し、その外側に強度の高い部材を張り合わせる態様を挙げることができる。バッグ本体30は、柔軟性のある素材で形成されているため、不使用時には様々な形状へと折り畳みにより、あるいは、ロール状に丸めることにより、小サイズ化することが可能である。
【0026】
図2は、図1のカメラ収納バッグ10を裏返した状態で示した分解図である。バッグ本体30は、図1で収納部12に面していた面Ain、Bin、Cin、Din、Einが外を向くように変形されている。このため、図2では、底壁Aと側壁B、Cにおける本来は内側の面である面Ain、Bin、Cinが外向きに図示されている。また、図2では、上壁Fの本来は外向きの面である面Foutも図示されている。
【0027】
バッグ本体30の6枚の壁である底壁A、側壁B、C、D、E、上壁Fは、全て二重構造に作られている。具体的には、図2における底壁Aは、2枚のシート32、34によって形成されている。シート32は、面Ainを構成するシートであり、シート34は面Aoutを構成するシートである。シート32、34は、側壁B方向の端において、側壁B側の接合部36、中央の接合部38、側壁E側の接合部40で接着剤あるいは糸を用いて接合されている。しかし、他の部位では開口された状態にあり、側壁B方向の端においては、シート32、34との間に、2つの開口部42、44が形成されている。接合部36、38、40は、長辺に沿って連続している。すなわち、シート32、34は、側壁Cの側の端と、中央と、側壁Eの側の端とにおいて、実質的に全て接合されて閉じられた状態にある。したがって、シート32、34は、開口部42、44を入口とする筒形状に形成されている。図示を省略したが、実施形態では、シート32、34は、側壁Dの側の端においても、実質的に全て閉じられた状態にある。すなわち、シート32、34は、開口部42、44のみを入口とする袋形状に形成されている。ただし、シート32、34は、側壁Dの側の端においては、開口された状態であってもよい。
【0028】
同様にして、側壁Bには、側壁C側の端に開口部46を設けた筒形状からなる二重構造が形成されている。側壁Cには、側壁B側の端に開口部48を設けた筒形状からなる二重構造が形成されている。側壁Eには、側壁B側の端に開口部50を設けた筒形状からなる二重構造が形成されている。これら側壁B、C、Eに設けられた筒形状は、底壁Aとは異なり、それぞれ一つの開口部46、48、50のみを有する。そして、側壁C、Eの開口部48、50のサイズ及びその奥にある筒形状のサイズは、底壁Aの開口部42、44のサイズ及びその奥にある筒形状のサイズとほぼ同じである。なお、図示を省略したが、側壁Dにも、側壁C側の端に開口部を設けた筒形状からなる二重構造が形成されている。側壁Dの開口部のサイズ及びその奥にある筒形状のサイズは、側壁Bの開口部46のサイズ及びその奥にある筒形状のサイズとほぼ同じである。
【0029】
上壁Fには、底壁Aと同様にして、側壁Bの側の端に二つの開口部52、54を設けた筒形状からなる二重構造が形成されている。上壁Fの開口部52、54のサイズ及びその奥にある筒形状のサイズは、底壁Aの開口部42、44のサイズ及びその奥にある筒形状のサイズとほぼ同じである。
【0030】
エアクッション60は、カメラ収納バッグ10における底壁A、側壁B、C、D、E及び上壁Fの二重構造の内部に挿入され、これらの壁の厚みを構成する部材である。エアクッション60は、空気の圧縮性を利用したクッションであり、空気が入った中空の内部を有している。
【0031】
エアクッション60としては、2つのサイズが用いられている。一つは、奥行きの短いエアクッション62a、62b(これらをエアクッション62という場合がある。)である。エアクッション62aは側壁Bに挿入され、エアクッション62bは側壁Dに挿入される。もう一つは、奥行きの長いエアクッション64a、64b、64c、64d、64e、64f(これらをエアクッション64という場合がある)である。エアクッション64aは側壁Cに挿入され、エアクッション64b、64cは底壁Aに挿入され、エアクッション64dは側壁Eに挿入され、エアクッション64e、64fは上壁Fに挿入される。2つのサイズのエアクッション62、64のみを用いることで、多様なサイズを用意する必要がないという利点が得られている。
【0032】
エアクッション60が挿入された後、バッグ本体30を裏返しにすることで、図1に示したカメラ収納バッグ10が得られる。裏返しにする段階では、エアクッション60が大きく変形されるため、バッグ本体30にはエアクッション60からの大きな反力が作用する。そこで、バッグ本体30は、この反力にも十分に耐えられる強度に作られる。
【0033】
裏返した結果として、図1に示したカメラ収納バッグ10では、エアクッション60にアクセスができない状態となる。すなわち、底壁Aの開口部42、44は、収納部12内において、底壁Aと側壁Bとの境界付近に埋もれた状態となる。側壁Bの開口部46は、収納部12内において、側壁Cとの境界付近に埋もれた状態となる。側壁Cの開口部48は、収納部12内において、側壁Bとの境界付近に埋もれた状態となる。側壁Eの開口部50は、収納部12内において、側壁Bとの境界付近に埋もれた状態となる。また、上壁Fの開口部52、54は、図1に示すように、上壁Fの外側の面であるFoutから垂らされる一方の線ファスナ14aに覆われる。このため、一方の線ファスナ14aを線ファスナの他方の線ファスナ14bと係合した状態では、開口部52、54は、外部からアクセスできない状態となる。
【0034】
なお、図2に示したバッグ本体30の形状には任意性がある。たとえば、図2においては、壁における二重構造は、2枚のほぼ同じ大きさのシートによって、作られることを想定した。具体的には、図2における底壁Aのシート32と34はほぼ同じ大きさであり、開口部42、44においては、接合部36、38、40を結ぶ直線に対して、シート32とシート34は、同程度に上方向及び下方向にそれぞれ拡がっている。このため、エアクッション64b、64cは、開口部42、44から挿入された場合に、シート32とシート34の中間付近に保持されることになる。これに対し、例えば、シート34は、小さく設定して、開口部42、44においては接合部36、38、40を結ぶ直線上に配置する。また、シート32は、大きく設定して、開口部42、44においては接合部36、38、40を結ぶ直線上から大きく上方向に広がるように設定する態様も考えられる。この態様では、裏返しをして、図1のカメラ収納バッグ10を形成した場合に、エアクッション64b、64cは、底壁Aの面Ainの側(すなわち収納部12の側)へ大きく突出し、面Aoutの側への突出は小さくなると考えられる。側壁B、C、D、E及び上壁Fにおいても同様である。
【0035】
また、図2においては、壁と壁との境界領域において、二重構造をもたない部位(すなわち、筒形状になっていない部位)をあまり大きくとらなかった。二重構造をもたない部位が小さい場合には、図1のカメラ収納バッグ10を形成した場合に、隣接するエアクッション60の干渉が起きて、壁の境界が2つのエアクッション60で圧迫されている状態となる。このため、壁の境界付近には、エアクッション60の隙間ができず、衝撃吸収特性を維持することが可能となる。その一方で、二重構造をもたない部位が小さい場合には、図1のカメラ収納バッグ10を形成するために裏返す際に、バッグ本体30はエアクッション60から大きな反力を受けるため、裏返しが困難化する。
【0036】
この問題に対しては、筒形状をエアクッション60よりも十分に大きく作ることで解決できる余地がある。すなわち、筒形状を大きくして、エアクッション60が筒形状の中で大きく動けるようにすることで、裏返しを容易化する。ただし、エアクッション60の位置によっては、図1のカメラ収納バッグ10の形状が必ずしも安定しない可能性も考えられる。さらに、上述の例のように、各壁におけるエアクッション60を収納部12の側へ大きく突出させようとした場合には、隣接するエアクッション60の干渉が非常に大きくなり、筒形状のサイズだけで対応できない状況も考えられる。そこで、例えば、図2における底壁Aと側壁Cとの間では、接合部36の幅を広くとって、開口部42と開口部48との距離を拡げる態様が考えられる。他の壁間の境界においても同様である。
【0037】
また、図2の例では、底壁Aにおける二つの開口部42、44は、接合部38において点状に接合された(底壁Aの長辺方向も考えれば、線状に接合された)。この場合には、底壁Aにおいて、エアクッション64b、64cの距離が比較的離れることになる。エアクッション64b、64cには厚みがあるため、底壁Aにおける衝撃吸収特性が、接合部38において著しく低下することはない。しかし、接合部38において、開口部42側と開口部44側を面的に接合させる(例えば、開口部42側のシート32と開口部44側のシートとを幅をもって接合させる状態をいう。)ことで、開口部42と開口部44との距離が狭まる。これにより、エアクッション64b、64cの密着度が向上し、接合部38における衝撃吸収特性の低下を抑制または防止することが可能となる。上壁Fにおいても同様である。
【0038】
バッグ本体30の裏返しを容易にするために、図2に示したバッグ本体30の形状を変更するようにしてもよい。例えば、底壁A、側壁B、D、Eの4枚を一体的な立体形状に形成し、側壁Cは上壁Fと一体化することを考える。この場合には、底壁A、側壁B、D、Eにエアクッション60を挿入したのちに裏返す作業が容易化される。なお、裏返しを行って、カメラ収納バッグ10を形成した段階で、エアクッション60にアクセスしにくい状態にするためには、各壁の開口部は一体化している壁との境界に設ければよい。例えば、側壁Bにおける開口部は、一体化している底壁Aまたは側壁Eとの境界に設ければよい。また、側壁Cにおける開口部は、一体化している上壁Fとの境界に設ければよい。
【0039】
バッグ本体30の形状は、さらに様々な態様をとることも可能である。例えば、バッグ本体30を平面に展開できるようにしてもよい。一例としては図1のカメラ収納バッグ10の形状において、側壁B、Cの境界、側壁C、Dの境界、側壁D、Eの境界、側壁Eと底壁Aの境界を切断した形状とする態様が挙げられる。この場合、切断した境界には、線ファスナ等を設けることで、容易に図1のカメラ収納バッグ10の形状が得られる。
【0040】
バッグ本体30を平面展開できる形状とした場合には、線ファスナ等を固定する手間は必要になるが、裏返すことなくエアクッション60を装着できる利点が生じる。また、バッグ本体30を平面展開できる形状とした場合には、例えば、各壁に比較的固い板状部材を、着脱不可能にあるいは着脱可能に取り付けるようにして衝撃吸収特性を強化しても、組み立てを阻害せず、また、不使用時の折り曲げを阻害することも少ない。ただし、板状部材を設けなくても、一般的には、エアクッション60によって、十分な衝撃吸収特性を得ることが可能である。
【0041】
なお、図2に示したエアクッションの大きさ及び枚数は一例であり、様々に設定可能である。具体的には、図2では、エアクッション60は、同じ大きさをもつ底壁Aと上壁Fでは、ともに同じ大きさのものを2枚用いることとした。しかし、例えば、底壁Aでは、図2に示したエアクッション64b、64cを2枚用いる一方で、上壁Fでは半分のサイズのものを4枚用いるという構成も可能である。すなわち、同じ大きさの壁であっても、形状または大きさが異なるエアクッションを同じまたは異なる枚数用いるようにしてもよい。
【0042】
続いて、図3〜5を参照して、カメラ収納バッグ10に設ける仕切壁について説明する。図3は仕切壁の組み立てを説明する分解図であり、図4は組み立てられた仕切壁90の斜視図であり、図5は仕切壁90等を図1のカメラ収納バッグ10に取り付けた状態を示す図である。
【0043】
図3に示したエアクッション62cは、図2に示したエアクッション60のうち、小さなサイズに形成されたエアクッション62と同サイズのものである。エアクッション62cは、仕切壁用に作られた布製の袋70に挿入される。
【0044】
袋70は、バッグ本体30と同じ部材を用いて作成することができる。しかし、袋70は、バッグ本体30よりも必要強度が小さいこと、また、カメラ等に直接触れる部材であること、仕切壁として想定されたコンパクトなサイズに収まることが必要である。そこで、図3では、バッグ本体30に比べて柔らかく、薄い素材を用いることを想定している。
【0045】
袋70は、エアクッション62cとほぼ同サイズの大きさに形成されている。袋70の短辺側の端には開口部72が設けられており、開口部72は蓋74が設けられている。蓋74は、一対の面ファスナ76a、76bによって閉じ状態を維持される。
【0046】
図4に示すように仕切壁90では、袋70の開口部72とは反対側の短辺端付近に、上端から下端にかけて面ファスナ20b1が設けられている。また、開口部72の側の短辺端付近にも、同様にして面ファスナ20b2が設けられている(これは、図3に示した蓋74の裏側に設けられていた)。面ファスナ20b1、20b2は、図1に示した面ファスナ20aと対になっている。図5に示すように、仕切壁90は、面ファスナ20b1、20b2を、側壁Eの面Einに設けられた面ファスナ20a及び側壁Cの面Cinに設けられた面ファスナと係合されることで、収納部12を仕切ることができる。
【0047】
仕切壁90の両側面(面積最大の面)における長辺の中央付近には、面ファスナ80aが設けられている。面ファスナ80aは、側壁Dの面Dinに設けられた面ファスナ18aあるいは側壁Bの面Binに設けられた面ファスナと対になって、小さな仕切壁を固定するためのものである。図5には、小さな仕切壁92が、面Dinの面ファスナ18a及び仕切壁90の面ファスナ18aに係合された状態を示している。
【0048】
仕切壁90の底には、面ファスナ16bが設けられている。面ファスナ16bは、図1に示した底壁Aの面Ainに設けられた面ファスナ16aと係合するものである。このため、仕切壁90は、面ファスナ20aが存在しない箇所でも、面ファスナ16aと係合して固定される。
【0049】
図5では、カメラ収納バッグ10の収納部12は、仕切壁90、92によって仕切られている。これにより、収納部12には、複数の小さな収納物を収納することが可能となっている。
【0050】
上述の通り、仕切壁90は、底の面ファスナ16bを、底壁Aの面ファスナ16aと固定して設置可能である。したがって、1枚だけでなく、複数枚の仕切壁90を設置することも可能である。仕切壁90に用いられたエアクッション62cは、側壁B及び側壁Dに用いられているエアクッション62と同サイズであるため、交換用のスペアを共有することができる。袋70を用意することで、何枚でも仕切壁90を作成することができる。
【0051】
図5に示した仕切壁92は、仕切壁90と側壁Bまたは側壁Dとの間に、あるいは、2枚の仕切壁90の間に設置するものである。仕切壁92は、小さなサイズであるため、使用されるエアクッション60は、底壁A、側壁B、C、D、E及び上壁Fで用いられるエアクッション62、64よりも小さなサイズである。このため、別途仕切壁92用のエアクッション60を用意することになる。
【0052】
なお、カメラ収納バッグ10では、例えば、エアクッション64と同サイズの仕切壁を作ることも可能である。また、仕切壁は、側壁B、Dあるいは側壁C、Eに平行とせずに、斜めに設けるようにしてもよい。
【0053】
続いて、図6及び図7を参照して、エアクッション60について説明する。図6は、エアクッション60の斜視図であり、図7図6におけるX−X線に沿ったエアクッション60の断面図である。
【0054】
図6及び図7の例では、エアクッション60は、7個の小クッション100を連結壁102で連結して形成されている。小クッション100は、それぞれが独立(他の小クッション100と連通していないことをいう)した中空の内部104を備え、その周囲を弾性壁106で囲われている。小クッション100は、円筒の両端を半球で塞いだ細長の形状に形成されている。そして、小クッション100の一方の端における半球の先端には、中空の内部104と外部とをつなぐ小さな貫通孔108が設けられている。貫通孔108は、小クッション100の並びに沿って、順次反対側の半球に設けられるように設定されている。
【0055】
小クッション100は、円筒の側面を連結壁102で連結されている。これにより、エアクッション60は、短編方向に延びる小クッション100が、長辺方向に複数個並べられた状態に形成されている。
【0056】
小クッション100の中空の内部104は、通常、貫通孔108を通じて空気が出入りすることで、外気と同じ気圧に保たれる。このため、例えば、飛行機の機中や、高山などの低気圧の場所においても、中空の内部104が高圧化することはなく、小クッション100の破裂は起こらない。
【0057】
小クッション100を形成する弾性壁106は、例えば、弾性素材(例えば合成ゴム、天然ゴムなど、一般的な素材に比べて弾性変形可能な変位幅が広い素材をいう)によって作られる。小クッション100に衝撃荷重が加わった場合には、弾性壁106が変形するとともに、中空の内部104の空気が圧縮され高圧化する。このとき、小クッション100は、円筒及び半球の組み合わせ形状であるため、特定の箇所に応力集中が起こることはなく、大きな圧力に耐えることができる。また、短時間では、貫通孔108から漏れ出す空気は少ないため、中空の内部104は、高圧状態を維持する。そして、高圧化した空気が膨張しようとする力と、弾性変形した弾性壁106が元の形状に戻ろうとする復元力によって、衝撃荷重に対する反力が生み出される。これにより、小クッション100は、衝撃吸収部材としての役割を果たす。弾性素材で作られた弾性壁106は、変位の大きな弾性変形を受けても元の形状に戻ることができるため、複数回の衝撃に対してもクッション性を失わない。
【0058】
小クッション間を連結する連結壁102の素材は特に限定されない。ただし、エアクッション60は、金型等を利用した成型によって安価に作ることが可能である。この場合、連結壁102は、弾性壁106と同じ素材を用いて作られる。連結壁102は、ハサミあるいはカッターによって容易に切断できる程度の強度に作られている。また、切断した断面は、弾性素材を用いたような場合には、通常、それほど鋭利なものとはならず、ユーザも、バッグ本体30も傷つけにくい。このため、ユーザは、大きなエアクッション60から、分割して、小さなサイズにすることができる。すなわち、大きなエアクッション60を分割して、図2に示した2つのサイズのエアクッション62、64を作ることも可能となる。また、図5に示した小さな仕切壁92のためのクッションを作ることも可能となる。エアクッション60の大きさは、小クッション100の大きさ及び小クッション100の連結数を調整することで、自由に設定可能となる。
【0059】
ここに示したエアクッション60の形状は、一例にすぎず、さまざまに変更可能である。図6及び図7では、小クッション100は、円筒形の両端に半球を取り付けた形状としていたが、例えば、角筒(例えば断面が四角形の四角筒、六角形の六角筒など)の両端に半球を取り付けたような形状とすることができる。この態様では、小クッション100に衝撃荷重が加わって中空の内部104の圧力が高まった場合に、大きな応力が集中する可能性がある両端を半球状として応力の分散を図っている。そして、比較的応力が集中しにくいと考えられる中間部を各筒とすることで、小クッション間の隙間を減らして、収納部12を保護する効果を高めている。ただし、肉厚を厚くするなどして両端の強度を確保できるのであれば、両端は半球状ではなく、平板状とすることも可能である。この場合、小クッション100は、両端が板状の円筒あるいは角筒に形成される。
【0060】
さらに、エアクッション60では、小クッション100の連結壁102を設けずに、隣接する小クッション100が直接連結された形状としてもよい。小クッション100を連結する必要性が低い場合には、連結壁102を設けないことにより、小クッション100間の隙間を低減し、収納部12を保護する効果を高めることが有効となる。
【0061】
エアクッション60は、衝撃吸収性のみならず、外気圧適応性に優れた点に特徴がある。このため、カメラ収納バッグ10の一部として使用することはもちろん、他のさまざまな用途にも使用することができる。例えば、精密機器、食品等を含む各種の梱包資材として使用することが可能である。また、例えば、人が使用するマット、クッション、枕などに使用することが可能である。用途に応じて、小クッション100の大きさ、形状、素材、肉厚などを変更すること、貫通孔108の大きさ、数、位置などを変更すること、連結壁102の有無、大きさ、形状などを変更することが可能である。用途によっては、例えば、小クッション100が連結されずに一つだけで構成されたものを用いることも可能であるし、図5に示したエアクッション60を厚み方向に複数枚重ねて、全体の厚みを作り出すことも可能である。
【0062】
さらに、エアクッション60としては、図6及び図7に示した以外の構造のものを用いることも可能である。例えば、ビニルなどの合成樹脂で作られた袋の中に、空気等のガスを密閉したエアクッション60を用いることが考えられる。空気等を密閉した場合には、低圧環境下においてエアクッション60が破裂するおそれがある。しかし、圧力と袋強度を適切に設定することで、現実的な環境においえてエアクッション60を破裂させないことが可能である。
【0063】
また、エアクッション60としては、空気の注入口を備えたものとすることができる。ユーザは、例えば、口を使って、あるいは携帯ポンプなどを使って、注入口からエアクッション60内に空気を送り込み、注入口に封をして使用する。低圧条件下では、あらかじめ注入口から空気の一部を抜いておくことで、破裂を防ぐことが可能となる。注入口を備えたエアクッション60では、不使用時には、空気を抜いて、小サイズ化することが可能となる。
【0064】
さらには、エアクッション60に代えて、ウレタン等の弾性樹脂部材をクッション材として用いるようにしてもよい。この場合には、エアクッション60に比べて重量が増大することが考えられるが、安定した衝撃吸収性能を確保することが期待できる。
【0065】
以上に説明した態様以外にも、さまざまな実施形態をとることが可能である。例えば、以上の説明では、エアクッション60は、各壁の2重構造の中に開口部から挿入されるものとした。しかし、エアクッション60は、着脱可能に各壁に取り付けられればよく、例えば、面ファスナによって、各壁の表面あるいは内部に固定されるようにしてもよい。
【0066】
また、カメラ等を収納するカメラ収納バッグ10を例に挙げて説明した。カメラ収納バッグ10は、少なくともカメラが収納され、必要に応じて、カメラに装着するレンズ、ストロボなど、カメラとともに使用される備品も収納可能となるように設計されたバッグをいう。カメラとは、静止画または動画を撮影することが可能な装置であり、デジタル方式、フィルム方式等の別は問わず、また、通信機能などが備わっているか否かの別なども問わない。ただし、例えば、スマートフォンに付属的に装着されたカメラよりも、撮影を主目的とした機器としてのカメラ、特に、いわゆる一眼レフカメラのような高級カメラにおいては、カメラ収納バッグ10を必要とする可能性が高まる。
【0067】
カメラ収納バッグ10は、しかしながら、カメラ以外の収納用途に用いることも可能である。例えば、カメラではなく、カメラ用のレンズを主に収納するカメラ用レンズ収納バッグとして使われてもよい。あるいは、パソコン、タブレットなどのコンピュータを収納するコンピュータ収納バッグとして使われてもよい。カメラ収納バッグ10は、その他さまざまな精密機器の収納をする精密機器収納バッグとして使用することができる。また、カメラ収納バッグ10は、例えば、陶磁器あるいはガラス製品のように壊れやすい物、あるいは貴重な物を収納して持ち運ぶ用途にも利用可能である。
【0068】
以上の実施形態においては、カメラ収納バッグ10には、把手、ストラップの持ち運びのための部位を設けなかった。これは、カメラ収納バッグ10を、他のバッグ(スーツケースのようなハードな素材からできたものを含む)の中に入れて持ち運ぶいわゆるインナバッグとして使われることを想定したためである。逆に言えば、把手及びストラップを備えないバッグをインナバッグと呼ぶことができる。インナバッグとして使われる場合、カメラ収納バッグ10は、必ずしも防水性、防塵性などが十分でなくてもよい。
【0069】
しかし、カメラ収納バッグ10は、それ自体を直接持ち運ぶバッグ(インナバッグに対してアウタバッグと呼んでもよい)として使用することも可能である。アウタバッグとして使用する場合には、把手またはストラップの少なくとも一つを、着脱不可能にあるいは着脱可能に取り付ける。また、アウタバッグとしての機能向上を図るために、防水性あるいは防塵性を高めた素材を使用するようにしてもよいし、面ファスナ部位を内側からあるいは外側から保護する部材を設けて防塵性及び防水性を高めるようにしてもよい。
【0070】
続いて、図8を参照して、カメラ収納バッグ10の変形態様について説明する。図8は、変形態様にかかるカメラ収納バッグ210の斜視図である。カメラ収納バッグ210は、図1に示したカメラ収納バッグ10と基本的な構成は同じである。すなわち、カメラ収納バッグ210は、底壁Aと、底壁Aの周囲を囲む側壁B、C、D、Eの5枚の壁と、側壁Eの上端に接続された上壁Fを備える。
【0071】
ただし、カメラ収納バッグ210においては、底壁Aの面Ainには、面ファスナ16aが設けられていない。また、側壁D、Eの面Din、Einの中央付近には、面ファスナ18a、20aは設けられていない。代わりに、側壁Dの面Dinには、底壁Aの面Ainと平行に2本の面ファスナ218a、218bが設けられている。また、側壁Eの面Einには、底壁Aの面Ainと平行に2本の面ファスナ220a、220bが設けられている。同様にして、側壁Bの面Binと側壁Cの面Cinとにも、2本の面ファスナが設けられている。カメラ収納バッグ210は、図9に示す仕切壁290とともに用いられる。
【0072】
図9は、仕切壁290の斜視図である。仕切壁290は、エアクッションを袋270に挿入して形成されている。袋270には、短辺側の端に、面ファスナ220ab1、220ab2が設けられている。面ファスナ220ab1は、カメラ収納バッグ210の面ファスナ220a、220bと係合される。カメラ収納バッグ210の面ファスナ218a,218b、220a、220bは、面Dinと面Einに沿って横方向(面Ainに平行な方向)に延びているため、仕切壁290は、横方向の所望の位置に係合することが可能となる。
【0073】
また、仕切壁290の袋270の側面には、横方向に延びる2つの面ファスナ280a、280bが取り付けられている。このため、仕切壁290にさらに別の仕切壁を係合させる場合においても、横方向の所望の位置に係合することが可能となる。
【0074】
続いて、図10を参照して、変形例にかかるエアクッション360について説明する。図10は、エアクッション360の斜視図である。
【0075】
図10に示したエアクッション360は、7個の小クッション400が、連結壁402によって連結されている。小クッション400は、図6に示したエアクッション60の小クッション100と同様に、それぞれが独立しており、空気などの適当な気体が挿入された中空の内部を弾性壁で覆って形成されている。ただし、小クッション400には、貫通孔は設けられていない。小クッション400は、弾性壁が十分な強度をもつため、飛行機の機中や、高山などの低気圧の場所においても、破裂することはない。また、小クッション400を連結する連結壁402は、小クッション400の周囲にまで拡がっており、小クッション400の強度を補強する役割も果たしている。
【0076】
なお、図10に示したエアクッション360では、短編方向に延びる一つの小クッション400が、長辺方向に連なる形態としているが、短編方向にも複数の小クッションが並ぶようにしてもよい。この場合には、長辺方向のみならず、短編方向の連結箇所でも、エアクッション360を分割することも可能となる。
【0077】
次に、図11及び図12を参照して、形状が異なるバッグについて説明する。図11は、精密機器収納バッグの一例であるレンズ収納バッグ500の斜視図である。また、図12は、精密機器収納バッグの一例であるキャスター付バッグ600の斜視図である。
【0078】
図11に示したレンズ収納バッグ500は、略円柱形状に形成されている。具体的には、円形の底壁502と円筒形の側壁504とからなる収納部と、円形の蓋壁506からなる蓋部とが結合されている。側壁504の上部と、蓋壁506の下部には、それぞれ線ファスナ508が取り付けられている。線ファスナ508を開くことで、レンズ収納バッグ500には、カメラのレンズなどを挿入可能となり、線ファスナ508を閉じることで、レンズなどが飛び出ないように保護することが可能となる。
【0079】
底壁502、側壁504、及び蓋壁506は、いずれも柔軟性のある素材が二重に設けられた二重構造となっている。底壁502の外周付近には、収納面側(レンズが入る側)に開口部510が設けられており、クッション材が着脱可能に挿入できる。側壁504には、収納面側に、軸方向(底壁502から蓋壁506に向かう方向)に延びる開口部512が設けられており、クッション材が着脱可能に挿入できる。蓋壁506の外周付近には、収納面側に開口部514が設けられており、クッション材が着脱可能に挿入できる。
【0080】
レンズ収納バッグ500においても、裏返した状態(収納面側が外を向く状態)でクッション材が挿入される。そして、裏返した状態をもとに戻した上で使用される。なお、レンズ収納バッグ500が軸方向に長い形状である場合、裏返しに必要となる力が増大し、裏返しが困難になることも考えられる。そこで、例えば、側壁504の一部をファスナで開閉可能に形成することで、裏返しを容易化することも可能である。また、側壁504と蓋壁506を常に結合した状態に形成した上で、蓋壁506と側壁504(さらには底壁502)を連続的に切断した開口を設けて、線ファスナで開閉可能にすることも考えられる。
【0081】
図12に示したキャスター付バッグ600は、バッグ本体602と、キャスター604、及び、引き出し可能なアーム606を備える。バッグ本体602は、略直方体に形成されており、上壁610、2つの狭側壁612、614、広側壁616、及び底壁618からなる収納部と、蓋部をなす広側壁620によって形成されている。蓋部である広側壁620は、線ファスナによって収納部と係合される。
【0082】
キャスター604及びアーム606は略L字型のフレームに取り付けられている。そして、このフレームはバッグ本体602の底壁618及び広側壁616と結合されている。このため、バッグ本体602は、裏返すことができない。ただし、フレームに取り付けられている部分を除けば、基本的にバッグ本体は柔軟な素材によって形成されている。このため、例えば、収納部に保護対象物を収納しない場合には、バッグ本体602を変形して、小型化することができる。
【0083】
バッグ本体602の6つの壁は、いずれも二重構造に形成されている。二重構造の収納面側の部位には開口部が設けられており、開口部からクッション材が着脱可能に挿入される。例えば、狭側壁614の上部には開口部630が設けられており、狭側壁614に取り付けられるクッション材が挿入される。同様に、狭側壁612の上部には開口部632が設けられており、狭側壁612に取り付けられるクッション材が挿入される。上壁610に取り付けられるクッション材は、上壁610に設けられた開口部から挿入されてもよいし、狭側壁614の上部の開口部630または狭側壁612の上部の開口部632から挿入されてもよい。
【0084】
広側壁616の上部には、二つの開口部634、636が設けられており、広側壁616に取り付けられるクッション材が挿入される。底壁618にも、開口部を設けて、クッション材を挿入することができる。あるいは、底壁618に取り付けるクッション材として、狭側壁612に設けられるクッション材と一つながりに形成されたものを用いることとし、狭側壁612の上部の開口部632から挿入することも可能である。
【0085】
また、蓋部をなす広側壁620にも、二つの開口部638、640が設けられており、広側壁620に取り付けられるクッション材が挿入される。
【0086】
キャスター付バッグ600では、バッグ本体602を裏返すことができないため、クッション材は実際にキャスター付バッグ600を使用する状態で各壁に取り付けられる。一般に、キャスター付バッグ600は、サイズが一般のバッグに比べて大きく、開口部、及びクッション材のサイズも大きく形成されるため、バッグ本体602を裏返えさなくても、クッション材を取り付けることが可能である。
【0087】
なお、本実施形態には、次の態様も含まれる。
【0088】
(1) 柔軟性素材を用いて折り曲げ可能に形成された略直方体のバッグ本体と、前記バッグ本体の前記略直方体の各壁に着脱可能に取り付けられたクッション材と、を備えることを特徴とする精密機器収納バッグ。
【0089】
(2) 上記(1)に記載の精密機器収納バッグにおいて、前記略直方体の各壁は、二重構造を有し、壁の一辺が開口され当該一辺に隣接する二辺が閉じられた筒形状に形成され、前記クッション材は、前記二重構造の内部に挿入されることにより、前記略直方体の各壁に着脱可能に取り付けられることを特徴とする精密機器収納バッグ。
【0090】
(3) 上記(2)に記載の精密機器収納バッグにおいて、前記バッグ本体は、前記略直方体の5壁により形成された収納部と、残る1壁によって形成された蓋部とを有し、 前記収納部を形成する5壁では、前記開口は、前記収納部の内側で、かつ、当該5壁に含まれるいずれかの壁との境界に設けられ、当該収納部を裏返した状態で前記クッション材が挿入される、ことを特徴とする精密機器収納バッグ。
【0091】
(4) 上記(1)に記載の精密機器収納バッグにおいて、前記直方体の各壁のうち面積最大の2壁には、それぞれ、他の2壁または他の4壁に取り付けられる前記クッション材と同サイズの前記クッション材が複数個取り付けられる、ことを特徴とする精密機器収納バッグ。
【0092】
(5) 上記(1)に記載の精密機器収納バッグにおいて、前記直方体の各壁のうち面積最小の2壁または面積中間の2壁で用いられる前記クッション材と同サイズのクッション材が、前記バッグ本体の前記略直方体内における仕切壁として用いられることを特徴とする精密機器収納バッグ。
【0093】
(6) 上記(1)に記載の精密機器収納バッグにおいて、前記クッション材は、中空の内部と、当該中空の内部を囲む弾性素材で形成された弾性壁とを有し、前記壁には前記中空の内部に通じる貫通孔が設けられている、ことを特徴とする精密機器収納バッグ。
【0094】
(7) 上記(6)に記載の精密機器収納バッグにおいて、前記クッション材は、前記中空の内部と、前記弾性素材で形成された弾性壁とを有する短辺方向に延びる独立した小クッションが長辺方向に複数個並べられ、前記小クッション間において切断可能に形成されている、ことを特徴とする精密機器収納バッグ。
【0095】
(8) 上記(1)に記載の精密機器収納バッグであって、当該精密機器収納バッグは、他のバッグに入れて持ち運びされるインナバッグであることを特徴とする精密機器収納バッグ。
【0096】
(9) 上記(1)に記載の精密機器収納バッグであって、精密機器はカメラであることを特徴とするカメラ収納バッグ。
【符号の説明】
【0097】
10 カメラ収納バッグ、12 収納部、14a,14b 線ファスナ、16a,16b,18a,20a,20b1,20b2 面ファスナ、30 バッグ本体、32,34 シート、36,36,38 接合部、42,44,46,48,50,52,54 開口部、60,62,62a,62b,62c,64,64a,64b,64c,64d,64e,64f エアクッション、70 袋、72 開口部、74 蓋、76a,76b,80a 面ファスナ、90,92 仕切壁、100 小クッション、102 連結壁、104 中空の内部、106 弾性壁、108 貫通孔、210 カメラ収納バッグ、218a,218b,220a,220ab1,220ab2,220b 面ファスナ、270 袋、280a,280b 面ファスナ、290 仕切壁、360 エアクッション、400 小クッション、402 連結壁、500 レンズ収納バッグ、502 底壁、504 側壁、506 蓋壁、508 線ファスナ、510,512,514 開口部、600 キャスター付バッグ、602 バッグ本体、604 キャスター、606 アーム、610 上壁、612,614 狭側壁、616 広側壁、618 底壁、620 広側壁、630,632,634,636,638,640 開口部、A 底壁、B,C,D,E 側壁、F 上壁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12

【手続補正書】
【提出日】2021年1月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護対象物が収納される空間を全面的に囲むバッグ本体であって、
前記空間を囲む各壁に形成された二重構造と、前記二重構造における収納面側に設けられた開口部と、を有するクッション取付部を備え、
前記クッション取付部には、クッション材が前記開口部を通じて前記二重構造の内部に着脱可能に取り付けられ、
前記各壁は、柔軟性素材を用いて折り曲げ可能に形成されており、
当該バッグ本体は、前記クッション取付部に前記クッション材を取り付けた状態で、裏返し可能に形成されている、ことを特徴とするバッグ本体。
【請求項2】
請求項1に記載のバッグ本体において、
当該バッグ本体は略直方体に形成され、前記略直方体の5壁により形成された収納部と、残る1壁によって形成された蓋部とを有し、
前記収納部を形成する各壁における前記開口部は、前記収納部を形成する他の壁との境界に境界付近に設けられている、ことを特徴とするバッグ本体。
【請求項3】
請求項1に記載のバッグ本体と、
前記クッション取付部に着脱可能に取り付けられた前記クッション材と、
を備えることを特徴とする保護対象物収納バッグ。
【請求項4】
請求項に記載の保護対象物収納バッグにおいて、
前記バッグ本体は略直方体に形成され、
前記略直方体の各壁のうち面積最大の2壁には、それぞれ、他の2壁または他の4壁に取り付けられる前記クッション材と同サイズの前記クッション材が複数個取り付けられる、ことを特徴とする保護対象物収納バッグ。
【請求項5】
請求項に記載の保護対象物収納バッグにおいて、
前記バッグ本体は略直方体に形成され、
前記略直方体の各壁のうち面積最小の2壁または面積中間の2壁で用いられる前記クッション材と同サイズのクッション材が、前記バッグ本体の前記略直方体内における仕切壁として用いられることを特徴とする保護対象物収納バッグ。
【請求項6】
請求項に記載の保護対象物収納バッグにおいて、
前記バッグ本体は略円柱体に形成されていることを特徴とする保護対象物収納バッグ。
【請求項7】
請求項に記載の保護対象物収納バッグにおいて、
前記クッション材は、中空の内部と、当該中空の内部を囲む弾性素材で形成された弾性壁とを有する短辺方向に延びる独立した小クッションが長辺方向に複数個並べられ、前記小クッション間において切断可能に形成されている、ことを特徴とする保護対象物収納バッグ。
【請求項8】
請求項1に記載の保護対象物収納バッグであって、
前記保護対象物は精密機器であることを特徴とする精密機器収納バッグ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明にかかるバッグ本体は、保護対象物が収納される空間を全面的に囲むバッグ本体であって、前記空間を囲む各壁に形成された二重構造と、前記二重構造における収納面側に設けられた開口部と、を有するクッション取付部を備え、前記クッション取付部には、クッション材が前記開口部を通じて前記二重構造の内部に着脱可能に取り付けられ、前記各壁は、柔軟性素材を用いて折り曲げ可能に形成されており、当該バッグ本体は、前記クッション取付部に前記クッション材を取り付けた状態で、裏返し可能に形成されている
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【国際調査報告】