特表2015-501235(P2015-501235A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-501235複合的な圧力容器を製造する方法及び複合的な圧力容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-501235(P2015-501235A)
(43)【公表日】2015年1月15日
(54)【発明の名称】複合的な圧力容器を製造する方法及び複合的な圧力容器
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/20 20060101AFI20141212BHJP
   B29C 33/12 20060101ALI20141212BHJP
   B29D 22/00 20060101ALI20141212BHJP
   F16J 12/00 20060101ALI20141212BHJP
【FI】
   B29C49/20
   B29C33/12
   B29D22/00
   F16J12/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-536128(P2014-536128)
(86)(22)【出願日】2012年9月28日
(85)【翻訳文提出日】2014年6月20日
(86)【国際出願番号】EP2012004104
(87)【国際公開番号】WO2013056785
(87)【国際公開日】20130425
(31)【優先権主張番号】102011116553.7
(32)【優先日】2011年10月21日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】598001467
【氏名又は名称】カウテックス テクストロン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ライムント ヘルミヒ
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ カーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト レーマン
【テーマコード(参考)】
3J046
4F202
4F208
4F213
【Fターム(参考)】
3J046AA14
3J046BA02
3J046BD06
3J046BD20
3J046CA03
3J046EA01
4F202AA03
4F202AD03
4F202AD05
4F202AD08
4F202AD18
4F202AD36
4F202AG03
4F202AG07
4F202AH55
4F202CA15
4F202CB12
4F202CQ03
4F202CQ05
4F208AA03
4F208AD03
4F208AD05
4F208AD08
4F208AD18
4F208AD36
4F208AG03
4F208AG07
4F208AH55
4F208LA01
4F208LA09
4F208LB12
4F208LB20
4F208LJ05
4F208LN05
4F208LN07
4F208LW41
4F213AD03
4F213AD05
4F213AD18
4F213AG03
4F213AG07
4F213AH55
4F213WA04
4F213WA07
4F213WA15
4F213WA38
4F213WA53
4F213WA60
4F213WA83
4F213WB01
(57)【要約】
サーモプラスチック材料から形成された内部容器4を有する複合的な圧力容器1であって、ネック領域2に設けられた少なくとも1つの端部片6と、内部容器4を強化しかつ繊維材料から形成されたラッピング5を有する複合的な圧力容器1を製造する方法であって、該方法は、押出ブロー成形による内部容器4の製造を含み、端部片6は、内部容器が成形されている間に、内部容器上に形成され、端部片が少なくとも部分的に前記内部容器によって包囲されるようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーモプラスチック材料から形成された内部容器を有する複合的な圧力容器であって、ネック領域に設けられた少なくとも1つの端部片と、前記内部容器を強化しかつ繊維材料から形成されたラッピングを有する複合的な圧力容器を製造する方法であって、該方法は、押出ブロー成形による内部容器の製造を含む、方法において、
前記端部片は、前記内部容器が成形されている間に、前記端部片が少なくとも部分的に前記内部容器によって包囲されるように前記内部容器に配置されることを特徴とする、複合的な圧力容器を製造する方法。
【請求項2】
前記端部片を、ブロー金型の開放した部品の間において、マンドレル状又はロッド状の支持エレメント上に配置し、管状の溶融したパリソン又は複数のウェブ状の溶融したパリソンによって包囲し、前記パリソンとともに、閉鎖する前記ブロー金型の前記部品の間でプレスする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
それぞれが前記内部容器のネック領域を形成する2つの端部片を、前記支持エレメント上に互いに間隔を置いて配置する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
提供された前記支持エレメントは、少なくとも部分的に雄ねじ山が設けられたロッドである、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記支持エレメントを、ブロー成形マンドレルとして使用し、該ブロー成形マンドレルを介して前記パリソンを前記ブロー金型内で拡張させる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記端部片を、ブロー成形の間に、形状によるはめあいの形式で前記内部容器に結合する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記内部容器の完成後に、前記端部片を外側から固定エレメントによって前記内部容器の壁部に対して固定する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記内部容器の完成後に、前記支持エレメントを前記内部容器に残す、請求項2から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記支持エレメントを使用して、好適には壁部セグメントの形式の強化エレメントを前記内部容器に導入する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
サーモプラスチック材料から形成された内部容器(4)を有する複合的な圧力容器(1)であって、少なくとも1つのネック領域(2)と、前記内部容器の前記ネック領域(2)においてセンタリングされた少なくとも1つの端部片(6)とを有し、前記内部容器(4)を強化する繊維ラッピング(5)を有する、複合的な圧力容器(1)において、
前記端部片(6)は、少なくとも部分的に前記内部容器(4)内に配置されており、該内部容器(4)に対して回転方向で固定された状態で前記内部容器(4)に固定されていることを特徴とする、複合的な圧力容器。
【請求項11】
前記端部片(6)は、2つの部分として設計されており、前記内部容器(4)の外側に配置された端部キャップ(7)を有し、前記内部容器(4)の壁部は、前記ネック領域(2)において、前記端部片(6)と前記端部キャップ(7)との間で締め付けられている、請求項10記載の複合的な圧力容器。
【請求項12】
前記端部片(6)は、前記内部容器(4)の前記ネック領域(2)を貫通したねじ山付スタブ(10)を有し、該ねじ山付スタブ(10)に前記端部キャップ(7)が固定されている、請求項10又は11記載の複合的な圧力容器。
【請求項13】
前記端部キャップ(7)は、固定エレメント(8)によって固定されている、請求項11又は12記載の複合的な圧力容器。
【請求項14】
前記内部容器(4)は、該内部容器を貫通しかつ端部片(6)をそれぞれの端部において保持する支持エレメント(15)を有する、請求項10から13までのいずれか1項記載の複合的な圧力容器。
【請求項15】
前記内部容器は、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法によって製造されている、請求項10から14までのいずれか1項記載の複合的な圧力容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーモプラスチック材料から形成された内部容器を有する複合的な圧力容器であって、ネック領域に設けられた少なくとも1つの端部片を有し、内部容器を強化しかつ繊維材料から形成されたラッピングを有する複合的な圧力容器を製造する方法に関し、この方法は、押出ブロー成形による内側容器の製造を含む。
【0002】
本発明は、サーモプラスチック材料から形成された内部容器を有する複合的な圧力容器であって、少なくとも1つのネック領域と、容器のネック領域においてセンタリングされた少なくとも1つの端部片とを有し、内部容器を強化する繊維ラッピングを有する、複合的な圧力容器に関する。
【0003】
プラスチック材料から形成されたライナを有する、圧力下の気体媒体を貯蔵するための複合的な圧力容器は、例えば独国特許第19631546号明細書から公知である。独国特許第19631546号明細書による複合的な圧力容器は、プラスチック材料から形成されたライナと、ネック領域に配置された2つのネック片と、ライナを強化し、繊維複合材料から形成されたラッピングとを有し、少なくとも1つのネック片は、ねじ込みバルブを収容するように設計されている。ライナ若しくは内部容器は、回転プロセス、熱プロセス、又は押出ブロー成形によって製造されてきた。ネック片は、形状によるはめあいの形式で、ライナに係止させられる。ネック片には、環状溝が設けられており、この環状溝に、ライナ材料が、形状によるはめあいの形式で係合する。十分な封止を提供するためにライナのネック領域がネック片に十分に適応させられることを保証するため、ライナの端部領域にクランピングリングが押し付けられる。
【0004】
システムの確実な封止は、上述の種類の複合的な圧力容器の最も重要なファクタである。容器の設計は、容器の単純化された製造能力を、制限された程度にしか許容しない。
【0005】
したがって、本発明の課題は、第1の例において、導入部において言及された種類の複合的な圧力容器を製造するための、封止、特に内部容器におけるネック片の固定を考慮しながらこのような容器の単純化された製造を許容する方法を提供することである。
【0006】
この課題は、サーモプラスチック材料から形成された内部容器を有する複合的な圧力容器であって、ネック領域に設けられた少なくとも1つの端部片を有し、内部容器を強化しかつ繊維材料から形成されたラッピングを有する、複合的な圧力容器を製造する方法であって、押出ブロー成形による内部容器の製造を含む方法において、内部容器がブロー金型において成形されている間に、端部片が、内部容器によって少なくとも部分的に包囲されるように内部容器に形成されることを特徴とする方法によって達成される。これは、端部片が内部容器に導入され、同時に、形状によるはめあいの形式で内部容器に結合されることを特に直接的な形式で可能にする。端部片は、好適には、実質的に内部容器の内部に配置される。
【0007】
本発明による方法の好適な態様において、端部片は、ブロー金型の開放した部品の間において、マンドレル状又はロッド状の支持エレメント上に配置され、管状の溶融したパリソン又は複数のウェブ状の溶融したパリソンによって包囲され、パリソンとともに、閉鎖するブロー金型の部品の間でプレスされる。
【0008】
金型は、この目的のために、それぞれ中央の開口が設けられていてよい。金型の半部がマンドレル状又はロッド状の支持エレメントの周囲に閉鎖されると、1つ又は複数のパリソンの材料は、閉鎖しかつ突き合わされる金型半部によって、支持エレメントに押し付けられ、支持エレメントの周囲で変形させられる。
【0009】
方法の好適な態様の場合、例えば、それぞれが容器のネック領域を形成した2つの端部片が、支持エレメントにおいて互いに間隔を置いて配置されることが可能である。
【0010】
支持エレメントは、例えば、少なくとも部分的に雄ねじ山が設けられたロッドとして設計されていてよい。
【0011】
端部片は、雄ねじ山の領域において、支持エレメントの各端部に配置されていてよい。端部片は、それぞれ、例えば端部片それぞれに、支持エレメントの雄ねじ山に係合する雌ねじ山が設けられるように、支持エレメントに対して回転可能であってよい。
【0012】
支持エレメントがブロー成形マンドレルとして使用され、このブロー成形マンドレルを介してパリソンがブロー金型内で拡張させられると特に有利である。この目的のために、支持エレメントは例えば中空の設計のものであり、空気を吹き付けるための半径方向出口開口を有することができる。
【0013】
端部片は、有利には、ブロー成形の間、形状によるはめあいの形式で内部容器に結合される。この目的のために、例えば、端部片には凹所及び/又は切欠を設けることができ、この凹所及び/又は切欠に、ブロー成形中にパリソンの溶融した材料が入り込む。これらの凹所は、例えば、アンダカットであってもよい。
【0014】
端部片が、内部容器の完成後に、固定エレメントによって外側から容器の壁部に対して支持及び/又は固定されると特に有利である。端部片は、例えば、内部容器に残っている開口を通過し,この開口から突出する、雄ねじ山付のネックを有してよい。1つ又は複数の端部片の周囲においてブロー成形が行われると、支持エレメントを内部容器から取り出すことができ、次いで、適切に設計された固定エレメントを外側から端部片のネックにねじ込むことができ、ネック領域における容器壁部は、場合によっては1つ又は2つ以上の別の部材を介在させながら、端部片と固定エレメントとの間に締め付けられる。例えば、外側から内部容器の周囲に係合し、固定エレメントによって固定される端部キャップを提供することができる。
【0015】
これに代えて、支持エレメントは、容器の完成後に、容器に残され、したがって支持エレメントがいわば“ロスト”支持エレメントして設計されていてもよい。
【0016】
支持エレメントは、好適には支持エレメントから半径方向に延びた壁セグメントの形式の強化エレメントを容器内へ導入するために使用することもできる。これにより、内部容器が成形されている間に、これらの強化エレメントは容器の内壁に溶接されるか、又は金型の外側輪郭に応じて、形状によるはめあいの形式で内部容器の壁部に結合される。
【0017】
本発明の基礎となる課題は、サーモプラスチック材料から形成された内部容器を有する複合的な圧力容器であって、少なくとも1つのネック領域と、内部容器のネック領域においてセンタリングされた少なくとも1つの端部片とを有し、内部容器を強化する繊維ラッピングを有し、複合的な圧力容器は、端部片が、少なくとも部分的に内部容器内に配置されており、内部容器に対して回転方向で固定された状態で内部容器に固定されていることを特徴とする、複合的な圧力容器によっても達成される。
【0018】
内部容器は、例えばHDPE(高密度ポリエチレン)ベースのサーモプラスチック材料の1つ又は2つ以上の層から形成された押出物から成ってよい。繊維ラッピングは、例えば、カーボン、アラミド、ガラス、Al23繊維又はそれらの混合物から成ってよい。繊維は、好適には、サーモプラスチック又はデュロプラスチックマトリックスに埋め込まれている。繊維は、エポキシ又はフェノール樹脂から形成されたマトリックス、又は、例えば、ポリプロピレン/ポリアミド又はポリエチレン/ポリアミドマトリックスに埋め込まれている。
【0019】
接線方向及び軸方向に適用することができるこのような繊維強化又は繊維ラッピングを適用するという操作は、従来技術からそれ自体公知である。
【0020】
端部片は、金属及び/又はプラスチック材料から成ってよい。
【0021】
複合的な圧力容器の有利な構成の場合、端部片は、内部容器のネックを通過するねじ山付スタブを有し、このねじ山付スタブに端部キャップが固定されており、内部容器の壁部は、ネック領域において、端部片と端部キャップとの間に締め付けられている。端部片のねじ山付スタブは、1つの部分を形成するように形成されていてよい。しかしながら、原理的に、端部片が複数の部分に設計されることも可能である。端部キャップは、好適には、固定エレメントによって固定されている。
【0022】
内部容器には、好適には、少なくとも1つの支持エレメントが設けられており、この支持エレメントは、内部容器を貫通し、端部片をそれぞれの端部において保持又は受容している。
【0023】
複合的な圧力容器の好適な態様は、容器の2つのネック領域にそれぞれ、関連するネック領域に関してそれぞれセンタリングされた状態で配置された端部片が設けられていることを特徴とする。
【0024】
複合的な圧力容器は、回転対称の部材として設計されていてもよい。
【0025】
以下に、図面に例示された典型的な実施の形態を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】複合的な圧力容器の内部容器の成形の作業中におけるブロー金型の断面図である。
図2】複合的な圧力容器の内部容器の成形の作業中におけるブロー金型の断面図である。
図3】端部片が挿入された内部容器の長手方向断面図である。
図4】複合的な圧力容器の端部片の平面図である。
図5】内部容器を強化するラッピングを有さない複合的な圧力容器の長手方向断面図である。
図6】本発明による複合的な圧力容器の概略的な外側の図である。
【0027】
本発明による複合的な圧力容器1は、好適には、高圧下の気体媒体を貯蔵するための圧力容器として設計されている。本願の文脈における“高圧”とは、30bar〜700barの作動圧力と理解されるべきである。
【0028】
複合的な圧力容器1は、円形断面のほぼ円筒形の容器として設計されており、回転対称である。
【0029】
容器には、両方のマークされた端部において、ネック領域2と、ネック領域を貫通した開口3とが設けられている。各図面は、複合的な圧力容器1の一方の端部のみを示している。発明は、原理的に、複合的な圧力容器が1つ又は2つのネック領域2を有してよいと理解されるべきである。後者の場合が通常の場合である。
【0030】
複合的な圧力容器1の開口3にはシャットオフフィッティング(図示せず)が封止作用を伴って挿入されている。
【0031】
複合的な圧力容器1は、内部容器4(図5及び図6参照)と、内部容器4に取り付けられた強化繊維ラッピング5と、各端部における端部片6と、端部片6と協働する端部キャップ7と、固定エレメント8とを含む。端部片6、端部キャップ7及び固定エレメント8の配置は、それぞれ、本発明による複合的な圧力容器1のネック領域2を形成している。
【0032】
好適には金属から成る端部片6は、内側容器4の内部に配置されたベース9と、1つの部分を形成するように形成されたねじ山付スタブ10とを含む。ねじ山付スタブ10には、雌ねじ山11と、雄ねじ山11’との両方が設けられている。雌ねじ山11は、主として、複合的な圧力容器1に挿入することができるフィッティングを収容するためのものであり、雄ねじ山11’は、端部キャップ7及び固定エレメント8の対応するねじ山と協働する。端部片6及び端部キャップ7は、それらの間に内部容器4を締め付け、固定エレメント8は、端部キャップ7及び端部片6を互いに対して固定する。端部片6のベース9と、端部キャップ7とは、ほぼディスク状の形状であり、この配置は、同様に、端部キャップ7に支持された、外部に取り付けられた繊維ラッピング5によって保持されている。既に上述したように、繊維ラッピング5は、例えば、アラミド繊維ラッピング又は炭素繊維ラッピングの形態で提供されてよく、内部容器4に軸方向及び半径方向で、例えば交差して又は積層されて提供されており、繊維は、サーモプラスチック又はデュロプラスチックマトリクスに埋め込まれている。
【0033】
内部容器4は、例えば、水素のためのバリア層(EVOH)を備えたHDPE(高密度ポリエチレン)ベースの多層押出物から成る。もちろん、内部容器4は1つの層だけから形成されることもできる。
【0034】
以下でより詳細に説明する本発明による製造方法の結果、内部容器4は、端部片6の形状に密接に適応させられ、端部片6のねじ山付スタブ10における封止作用で完了する。
【0035】
端部片6は、概して、従来技術では“ネック片”又は“ボス”と呼ばれる。内部容器4は、従来技術では“ライナ”とも呼ばれる。
【0036】
ここで、本発明による製造方法を明示した図1及び図2を参照する。
【0037】
内部容器4は、押出ヘッド(図示せず)から押し出された管状のパリソンの押出ブロー成形によって得られる。パリソン12は、ブロー金型の開放した半部13a,13bの間に配置される。ブロー金型半部13a,13bには、仕上げられた内部容器4の輪郭をそれぞれ形成したキャビティ14が設けられており、ブロー金型が閉鎖されると、完全な金型キャビティを形成する。ブロー金型若しくはブロー金型半部13a,13bのすぐ上方でパリソン12を押し出すことができ、その場合、パリソンは、開放したブロー金型半部13a,13bの間において重力の方向で所定長さに切断される。これに代えて、パリソン12は、グリッパアーム又はロボットアームによってブロー金型へ搬入することができる。
【0038】
説明された方法の場合、管状のパリソン12が押し出されるが、本発明は、管状のパリソンの代わりに複数のウェブ状のパリソンが使用されることも可能であることが理解されるべきものである。
【0039】
しかしながら、本発明による複合的な圧力容器1における高圧の適用は、内部容器4の実質的に継目のない構造を望ましいものにし、その場合、管状のパリソン12の押出が好ましい。
【0040】
図1は、開放したブロー金型半部13a,13bを示しており、これらのブロー金型半部は、互いに向かって閉鎖移動を、また、互いから離れるように開放移動を行うことができる。
【0041】
2つの端部片6が配置された支持エレメント15が、まだ塑性状態にある、溶融したプラスチック材料から形成された押し出されたパリソン12内へ下方から導入され、パリソンは、支持空気によって下方から、予備的に広げられる及び/又は安定化されることができる。端部片6は、それぞれ支持エレメント15のねじ山付部分16と協働する雌ねじ山11を有する。
【0042】
ウェブの状態で押し出された2つのパリソンから内部容器4が製造される場合、支持エレメント15を金型とパリソンとの間に横方向に配置することができる。
【0043】
ブロー金型半部13a,13bにはそれぞれリードスルー17が設けられており、このリードスルー17は、支持エレメント15の輪郭にそれぞれ適応させられたカッティングエッジを有する。
【0044】
端部片6は支持エレメント15において互いに間隔を置いて配置されており、図2に示したように、ブロー金型半部13a,13bが閉鎖されて互いに突き合わされると、ベース9の輪郭は、キャビティ14の対応する輪郭に適合する。ここで、端部片6のねじ山付スタブ10は、ブロー金型のリードスルー17内へ延びており、ブロー金型のピンチオフエッジは、パリソン12を端部片6のねじ山付スタブ10に押し付けて挟み切る。
【0045】
方法は、順に、パリソン12が押し出され、端部片6を備えた支持エレメント15が、安定化された管状のパリソン12内へ下方から導入される、という作業を含む。ブロー金型半部13a,13bは、次いで、閉鎖され、パリソン12は、完全な金型キャビティ内で、内部容器4の輪郭に合わせて拡張させられる。ここでのプロセスにおいて、パリソン12は、製造される内部容器4のネック領域2において、端部片6のねじ山付スタブ10に押し付けられて挟み切られる。
【0046】
端部片6が、できるだけ圧着して、回転方向で固定された、形状によるはめあいの形式で、内部容器4の内壁と係合させられるという状況を達成するために、端部片6は、図3及び図4から見て取れるように、内部容器4に面した側に凹凸が設けられている。例えば、端部片6の上側には、セグメント状の、周方向に延びた凹所18が設けられており、パリソン12の溶融した材料がこれらの凹所18に入り込み、これにより、内部容器4に対する端部片6の回転方向で固定された係合を生じる。
【0047】
内部容器4のブロー成形が完了した後、支持エレメント15を内部容器4から取り出すことができる。次いで、端部キャップ7は、外側から螺合され、それぞれ、端部キャップ7及び端部片6はそれらの間に内部容器4を締め付ける。この配置は、固定エレメント8によって固定される。次いで、繊維ラッピング5が取り付けられ、繊維ラッピングは端部キャップ7の外側に支持される。
【符号の説明】
【0048】
1 複合的な圧力容器
2 ネック領域
3 開口
4 内部容器
5 繊維ラッピング
6 端部片
7 端部キャップ
8 固定エレメント
9 ベース
10 ねじ山付スタブ
11 雌ねじ山
11’ 雄ねじ山
12 パリソン
13a,13b ブロー金型半部
14 キャビティ
15 支持エレメント
16 ねじ山付部分
17 リードスルー
18 凹所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】