特表2015-501419(P2015-501419A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-501419(P2015-501419A)
(43)【公表日】2015年1月15日
(54)【発明の名称】放射線防護装置
(51)【国際特許分類】
   G21F 3/02 20060101AFI20141212BHJP
   G21F 3/03 20060101ALI20141212BHJP
   G21F 1/10 20060101ALI20141212BHJP
   G21F 1/12 20060101ALI20141212BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20141212BHJP
【FI】
   G21F3/02 B
   G21F3/03
   G21F1/10
   G21F1/12
   A61N5/10 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-534029(P2014-534029)
(86)(22)【出願日】2012年10月4日
(85)【翻訳文提出日】2014年4月3日
(86)【国際出願番号】IB2012055339
(87)【国際公開番号】WO2013050965
(87)【国際公開日】20130411
(31)【優先権主張番号】61/626,831
(32)【優先日】2011年10月4日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】514084370
【氏名又は名称】スリカット グループ
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100101063
【弁理士】
【氏名又は名称】松丸 秀和
(72)【発明者】
【氏名】サン マーティン カンシノ,ミギュエル エンリク
(72)【発明者】
【氏名】ジョハンソン フエンザリダ,マックス ラウル
(72)【発明者】
【氏名】バスタマンテ グラント,ジョルゲ アンドレス
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AR01
(57)【要約】
本発明は、有害な放射線からの患者及び関係者の保護に関する。具体的には、本発明は、放射線に最も敏感な体の領域に装着される小型で軽量の装置を提供する。包括的に言えば、本発明の装置は、層構造に形成され、放射線源の方向を向いた外側面と、その反対の方向を向いた着用側面とを有する一連の層を備える。本発明の層構造は、放射線減衰材料(RAM)を収納するように形成された内表面を有する剛性外側層と、外側層の内表面及び放射線減衰材料の両方に取り付けられる第1の側と、外側層の剥離可能面に取り付けられた第2の側とを有する中間層とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
層構造の形式の放射線防護装置であって、
放射線源の方向を向いた外側面と、その反対の方向を向いた着用側面とを有する一連の層を備え、
前記一連の層は、放射線減衰材料を収容するように形成された内表面を有する剛性外側層と、
前記外側層の内表面及び放射線減衰材料の両方に取り付けられる第1の側と、別の外側層の剥離可能面に取り付けられる第2の側とを有する中間層とを含む放射線防護装置。
【請求項2】
前記放射線減衰材料は、鉛、ビスマス、バリウム、銅、カルシウム、タングステン又は銀の硫酸塩、酸塩又は硝酸塩である請求項1記載の放射線保護装置。
【請求項3】
前記剛性外側層は、PVC、PET、PP、PE又はPLA又は他の適切な材料から形成される請求項1記載の放射線保護装置。
【請求項4】
前記放射線減衰材料は、その化学的組成及び環境と相互作用する能力によって、分解する能力を有し、前記放射線減衰材料は、分解によって、短期間(0〜5年)、中期間(5〜10年)又は長期間(10〜100年)で減少又は消滅する請求項1記載の放射線保護装置。
【請求項5】
放射線防護材料及び限られた回数又は限られた時間だけ使用されるように設計された材料からなる他の層及び部分を備える放射線防護装置。
【請求項6】
前記放射線減衰材料は、前記放射線減衰材料を通過する電離放射線及び電磁放射線を部分的又は完全に減衰し、低減し、遮蔽する能力を有する請求項1記載の放射線保護装置。
【請求項7】
前記放射線減衰材料は、生来的に非晶状態にあり、後の製造プロセスにおいて特定の形状に成形又は形成され、固体状態になる能力を有する請求項1記載の放射線保護装置。
【請求項8】
前記放射線減衰材料は、同じ製品内で1つ以上の異なる厚さを有することができる特定の特性を有し、減衰材料は、材料を通過する放射線を変化可能に減衰させ、同じ遮蔽体内で減衰率をより大きく又は小さく変化させる能力を有する請求項1記載の放射線保護装置。
【請求項9】
前記放射線減衰材料は、接着面又は減衰面に対して1つ以上の角度を形成し、前記角度は、材料の同じボリューム内の厚さに直接的に関連する請求項1記載の放射線保護装置。
【請求項10】
前記放射線減衰材料は、使い捨て、又は単一ユーザ専用の放射線遮蔽体において使用され、衛生レベルを向上し、遮蔽体ユーザの間の相互汚染を回避する請求項1記載の放射線保護装置。
【請求項11】
前記放射線減衰材料は、間にある更なる層に直接的又は間接的に接触する主接着面を有する請求項1記載の放射線保護装置。
【請求項12】
前記放射線減衰材料は、減衰率が最も高い前記材料の最も厚い部分に関係し、放射線ビームに面する主減衰面を有する請求項1記載の放射線保護装置。
【請求項13】
前記放射線減衰材料は、パッケージから材料を取り外しやすくする追加的な剥離システム又は剥離剤を備える請求項1記載の放射線保護装置。
【請求項14】
放射線防護材料を液相状態で成型し、ブリスタパッケージに注入し、ブリスタパッケージを型として用いる放射線防護材料の製造方法。
【請求項15】
前記放射線保護装置を接着剤又は面ファスナ取り付けシステムによって、着用者の衣服又は体の一部に取り付ける請求項1記載の放射線保護装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害な放射線からの医療従事者及び患者の防護に関する。具体的には、本発明は、放射線に対して最も敏感な体の領域に装着される装置を提供する。これらの領域には、例えば、骨盤領域、生殖器及び生殖腺領域、乳腺を放射線から守る胸部領域、甲状腺を保護する首及び喉、水晶体を保護する眼領域等が含まれる。また、本発明の装置は、例えば、早産児、直接的又は間接的な放射線ビームに曝される患者、胎児、及び上皮又は柔組織等の組織といった、より広く、包括的な領域の保護にも有用である。
【背景技術】
【0002】
電離放射線は、工業及び医療産業において広く用いられているが、患者及び医療従事者にとってかなりの危険を伴う。放射線は、生体の組織を傷つけ、火傷の原因となり、更に、高放射線被曝によって、癌腫瘍の発生率が高まり、遺伝子に損傷が生じ、又は生体組織に有害な変化が生じることがある。
【0003】
通常、放射線被曝は、被曝時間、放射源からの距離、放射線源の周囲に配置された吸収材料からなる遮蔽体の使用といった因子を制御することによって管理される。更に、放射線は、メリットがデメリットを上回る場合にのみ使用され、被曝量は、通常、合理的な低さに抑えられる。
【0004】
遮蔽は、放射線を低減する有効な手法であり、使用される材料の密度及びその厚さに依存する。例えば、水の1立方センチメートルあたり1.0gの密度に比べて、最も効果的な遮蔽材料である鉛は、1立方センチメートルあたり11.3gの密度を有する。放射線を50%減少させるために必要な鉛の厚さは0.4インチであり、水の場合は、7.2インチである。
【0005】
治療及び診断に関わる医師、技師及び患者は、装置が良好に遮蔽されている場合であっても、迷放射線(stray radiation)に曝される。迷放射線から自身を保護するために、関係者は、通常、防護鉛エプロンを着用する。これらの重い鉛エプロンは、不便であるだけではなく、疲労感や苦痛も大きく、時間の経過と共に鉛材料に亀裂が生じ、最終的には、気付かれない状態で、ユーザに放射線を透過してしまう。更に、遮蔽体は、使用毎に殺菌されないことがあり、したがって、患者と医療従事者との間で相互汚染を引き起こす場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、軽量で、適切な大きさで、衛生的で、安全で、使用又は適用が容易な遮蔽、遮断又は保護デバイスが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、有害な放射線からの患者及び関係者の保護に関する。具体的には、本発明は、放射線に最も敏感な体の領域に装着される小型で軽量の装置を提供する。これらの領域には、例えば、骨盤領域、生殖器及び生殖腺領域、乳腺を放射線から守る胸部領域、甲状腺を保護する首及び喉、水晶体を保護する眼領域等が含まれる。また、本発明のデバイスは、例えば、早産児、直接的又は間接的な放射線ビームに曝される患者、胎児、及び上皮又は柔組織等の組織といった、より広く、包括的な領域の保護にも有用である。
【0008】
他の実施形態として、本発明は、例えば、近接照射療法における放射線照射源の近傍に隣接する器官を保護するために有用な装置を提供する。他の実施形態として、本発明のデバイスを体内に配置し、放射線治療又は診断の何れにも関係しない体の部位への放射を遮蔽し、減衰させてもよい。
【0009】
放射線遮蔽又は減衰要素の他の応用例では、微視的レベルにおいて、粒子のクラスタ内にバリア要素を形成でき、これによって、生体組織、細胞集塊、細胞の全部又は一部に入射する放射線を防護又は減衰させることができ又は要素の一部のみを放射させることができる。
【0010】
放射線防護の要素は、放射線を減衰又は遮蔽する機能的な領域と、ターゲットデバイスを張り付け又は固定して保持することを意図する他の機能的な領域と、デバイスを正しく位置決めし、配置するために方向付け又は配向する他の機能的な領域とを考慮して構成される。
【0011】
包括的に言えば、本発明の装置は、層構造(layered construction)に形成され、放射線源の方向を向いた外側面と、その反対の方向を向いた着用側面とを有する一連の層を備える。本発明の層構造は、放射線減衰材料(radiation attenuating material:RAM)を収納するように形成された内表面を有する剛性外側層と、外側層の内表面及び放射線減衰材料の両方に取り付けられる第1の側と、外側層の剥離可能面に取り付けられた第2の側とを有する中間層とを含む。
【0012】
RAMコンポーネントは、鉛、ビスマス、バリウム、銅、カルシウム、タングステン又は銀の塩の少なくとも1つを含み、オプションとして、積層された形式を有していてもよい。RAMは、有効成分を固めて柔軟性又は剛性を制御するといった他の所望の特性を得ることができる賦形剤、例えば、人工又は天然のポリマと混合してもよい。賦形剤は、柔軟性、色、香り、分解、使用のインジケータ、生物分解、酸化、消滅、破壊、結晶化、脱水及び他の特徴を抑制又は促進するものであってもよい。
【0013】
本発明の装置の構成において、放射線遮蔽又は減衰材料(RAM)は、1つ以上の異なる状態(例えば、粉末、液体、固体、積層形式等)の1つ以上の有効要素と、剛性外側層又は収容体とを結合、接合又は混合することによって形成することができ、剛性外側層又は収容体は、放射線減衰材料が様々な粘性の液体として存在する場合、これを整形又は成形する機能し、この場合、収容体が一種の型(ダイ又はモールド)としての役割を果たす。この収容体は、以下に限定されるものではないがPVC、PET、PP、PE、PLAを含む硬質プラスチックからなる所定の形状のブリスタとして形成される。放射線遮蔽材料は、液体又は準液体の形式で注入され、固形化され、この後、例えば、不織布又は他の薄層状のファブリックが固形化した材料上に積層又は配置されて放射線遮蔽材料と直接接触する。ファブリックは、このようにしてRAMに接着され、ここで、オプションとして、接着剤を使用してもよい。
【0014】
放射線遮蔽又は減衰材料の包括的情報
装置は、以下のような一般的特性を有する放射線不透過材料(radio opaque material:RAM)を備える。
【0015】
1.材料を通過する電離放射線及び電磁放射線を部分的又は完全に減衰し、低減し、遮蔽する能力。
【0016】
2.分解及び/又は短期間(0〜5年)、中期間(5〜10年)又は長期間(10〜100年)で部分的に又は全体的に減少又は消滅する能力。これは、物理的及び機械的な性質の劣化、及び分解プロセスの結果として材料の部分的又は全体的な減少又は消滅を含む。
【0017】
材料の部分的又は全体的な分解又は消滅は、以下に示すような内部及び/又は外部の異なる作用物(agents)の直接的又は間接的な作用によって生じることができる。
【0018】
i.ガス、化学物質、有機又は非有機作用物
ii.単細胞又は多細胞微生物(バクテリア、ウイルス、カビ等及び昆虫や、動物、植物、菌類等の他の有機体)
iii.温度
iv.大気圧又は周囲圧力
v.溶媒(例えば、水又は湿気)の不足又は過剰
vi.直接的又は間接的な機械的疲労、人工的要因又は自然要因による分裂又は破壊
vii.150m〜0,0001nmの波長を含む全ての波長スペクトルにおける人工的又は自然の放射線の直接的又は間接的な存在
分解プロセスは、生物分解、酸化、酸化生物分解、光分解、光酸化、熱分解、熱酸化、触媒作用、脱水、鎖状分子の分子鎖切断等を含む。また、上述した作用物及びプロセスは、あるプロセス及び作用物の速度又は作用を促進又は抑制する、例えば、酸化防止剤及び酸化促進剤等の添加剤を含む。
【0019】
3.生来的に非晶状態にあり、後の製造プロセスにおいて、同じ製品及び減衰材料内で1つ以上の異なる厚さを有し、放射線を減衰できる特定の形状に成形又は形成される能力
4.あるバージョンでは、材料は、粘着性のコンポーネントを有していてもよく、若しくは自らの化学的構造によって、又は存在する物質の状態の変更によって接着又は接合の機能を実現してもよい。
【0020】
放射線遮蔽又は減衰材料の詳細情報
デバイスの放射線減衰材料に含まれるコンポーネントのタイプのリストを以下に示す。この材料は、以下に列挙する項目の1つ以上から形成することができるが、同様の機能及び特性を有する他のタイプの材料を排除するものではない。
【0021】
a)放射線を有効に減衰又は遮蔽する能力を有する有効成分又は物質
b)分解能力を有する又は有さない構造化化合物(structuring compound)
c)保存添加剤
d)脱泡剤又は消泡剤
e)潤滑剤又は剥離剤
f)可塑性又は流動性を高める可塑剤又は分散剤
g)色
h)香り
i)味
j)ユーザ/使用インジケータ
k)存在又は一のインジケータ
l)固定システム、付着/接着システム
m)湿潤剤
n)耐熱剤
o)耐凍結剤
a.放射線を減衰又は遮蔽する能力を有する有効成分又は物質
放射線は、理論的には、十分な厚さのあらゆる既存の材料によって減衰することができ、この材料には水も含まれる。現在、放射線減衰材料を使用する際は、放射線を減衰させることができ、放射線防護目的のための実用性を有する材料又は化合物が用いられており、これは、多くの場合、化合物又は元素の原子量及び価電子数に関係する。
【0022】
これらの放射線減衰化合物は、金属であっても非金属であってもよく、例えば、固体、液体、粉末形式等の如何なる形式であってもよく、異なる割合で混合又は化合してもよい。
【0023】
これらは、例えば鉛、ビスマス、バリウム、銅、カルシウム、タングステン、銀等の化合物又は元素又は他の化合物及び元素の硫化物、酸化物、硝酸塩等の塩であってもよい。
【0024】
b.構造化化合物(structuring compounds)、安定剤、結合材、増粘剤、乳化剤又はゲル化化合物(gel-forming compounds)
分解可能な能力を有する以下の化合物
1.植物又は動物由来(コラーゲン)のゲル又はゼラチン等の天然ポリマ、ヒドロゲル、有機ゲル及びキセロゲル、エーロゲル、セルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース及びエチルメチルセルロース、並びに同様の特性を有する他の化合物。
【0025】
2.バイオマス源に由来するバイオプラスチック及び有機プラスチック。これらのなかには、以下をベースとする又は以下に由来するプラスチックがある。
【0026】
・多糖類、例えば、デンプン(コーン、エンドウ、穀類、米、小麦、トウモロコシ、根菜類、ジャガイモ、キャッサバ、タピオカ又は他の緑色植物に由来)、グリコーゲン、セルロース、キチン、アラビノキシラン、ペクチン、酸性多糖類、細菌性多糖類、細菌性莢膜多糖類等
・セルロース酢酸塩、例えばセルロースエステル及びその誘導体
・脂肪族ポリエステル、例えば、ポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate:PHA)、ポリ−3ヒドロキシ酪酸エステル(poly-3-hydroxybutyrate:PHB)、ある細菌によってグルコース及びデンプンを処理することによって生成されるポリエステル、ポリヒドロキシバレレート(polyhydroxyvalerate:PHV)又はポリヒドロキシヘキサノエート(polyhydroxyhexanoate:PHH)等
・熱可塑性ポリエステル、例えば、糖類又は他の形式のポリラクチド、例えば、ポリLラクチド(poly-L-lactide:PLLA)、ポリDラクチド(poly-D-lactide:PDLA)等の様々のソースから生成されるポリ乳酸(polylactic acid:PLA)
・天然油に由来するPA11やPA12等のポリアミド
・再生可能な又はサトウキビ、コーンの発酵によって生成されるエチレンモノマを提供するポリエチレンバイオ誘導体
・遺伝子組換によって生成された動物及び植物から生成されるあらゆるタイプのポリマ
3.例えば、シリコーン、石油系ポリマ(熱可塑性物質を含む。)、有機ポリマ等の他のタイプのポリマは、植物ベースのデンプンを異なる割合で加えることによって分解可能である場合がある。
【0027】
c.防腐剤及び抗微生物剤
何れも天然又は人工のソースからの防腐剤及び/又は抗微生物剤を使用して、異なるタイプの微生物(バクテリア、イースト及びカビ)の存在によって引き起こされる物質の損傷又は望ましくない変化を防止又は最小化する。これらが存在すると、購入及び使用の前後の腐敗、摂取された場合の健康上の問題、製品の外観への影響及び他の問題を引き起こす場合がある。これらの防腐剤又は抗微生物剤は、単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
【0028】
抗菌性防腐剤には、以下のようなものがある。
【0029】
1.プロピルパラベン
2.メチルパラベン
3.亜硫酸ソーダ
4.ソルビン酸
5.亜硫酸水素ナトリウム
6.ソルビン酸ナトリウム
7.ソルビン酸カリウム
8.安息香酸ナトリウム
9.プロピレングリコール
10.国際番号付与体系(International Numbering System:INS)のINS200〜INS299に含まれる他のあらゆる化合物
11.メチルパラベン及びプロピルパラベンの溶媒及び増強剤として機能するプロピレングリコールの場合のように防腐効果を高めるために用いることができる他の化合物
12.天然の抗菌性防腐剤又は抗微生物剤には、以下からの精油が含まれる。
【0030】
・桂皮
・レモングラス
・タイム(ワイルド)
・タイム(レッド)
・タイム(ゲラニオール)
・ミント
・ティーツリー(茶の木)
・コリアンダー
・ラベンダー(スパイク)
・ラベンダー(真性)
・ローズマリー
・ユーカリ(ラジアータ)
・レモン
・オレガノ
・クローブ
・パプリカ
d.消泡剤又は脱泡剤
製造工程における気泡の形成を防止又は低減する以下の化学添加物。
【0031】
1.油ベースの消泡剤
2.粉末消泡剤
3.水ベースの消泡剤
4.シリコーンベースの消泡剤
5.EO/POベースの消泡剤
6.アルキルポリアクリレート
7.他の同様の作用物及び化合物
e.剥離剤又は潤滑剤
剥離剤又は潤滑剤は、滑り効果を得るための及び/又は2つの面の間の摩擦力及び接着力を低減するための化合物、作用物又は化学物質である。これによって、離型、ダイカスト離型、プラスチック剥離並びにタイヤ及びウェブの剥離の工程におけるソリューションを提供できる。これらの作用物又は潤滑剤は、表面の材料に加えてもよく、使用される又は関連する2つの表面の間に加えてもよい。周知の作用物には以下のようなものがある。
【0032】
1.デンプン
2.チョーク
3.黒鉛粉末等のミネラル剤
4.水ベースの作用物
5.油ベースの作用物
6.他の同様の作用物及び化合物
f.添加された材料の可塑性又は流動性を高める添加剤である可塑剤又は分散剤。周知の可塑剤には、以下のようなものがある。
【0033】
1.グリセリン
2.ソルビトール
3.プロピレングリコール
4.ゼラチン
5.デンプン
6.他の同様の化合物
g.着色化合物
使用される着色化合物の具体例を以下に示す。
【0034】
1.国際食品規格委員会(Codex Alimentarius Commission)の国際番号付与体系(INS)のINS100〜INS199に含まれ、特に、INS130〜INS140の間の着色料
2.FDAが承認した以下のような食品着色料添加剤
a.青色1号ブリリアントブルーFCF
b.青色2号インジコカルミン
c.緑色3号ファストグリーンFCF
d.赤色40号アルラレッドAC
e.赤色3号エリスロシン
f.黄色4号タートラジン
g.黄色5号サンセットイエロー
3.化粧品のための他の着色化合物
4.医療デバイスのための他の着色化合物
5.工業製品のための他の着色化合物
6.他の適切な着色化合物
h.芳香及び香り
i.風味(Flavorants)
これは、口で感じる物質の知覚的印象であり、主に味及び臭いの化学感覚によって判定される。肯定的な知覚的印象は、物質に含まれる他の作用物からの否定的印象を最小化することに役立ち、ユーザが否定的印象なしで物質を経口使用することに役立つ。放射線防護材料を経口使用する場合、これらの化合物又は作用物の使用によって、肯定的な知覚的印象を得ることができる。
【0035】
j.使用インジケータ
使用インジケータは、製品の直接的又は間接的な使用又は開封を示す意図で内部又は外部の構造又は製品の外観を変更する化合物、化学物質又は作用物である。使用インジケータは、以下の意図のために望ましい反応を引き起こす反応剤である。
【0036】
1.使用期間中の製品の機能を保証する。
【0037】
2.ユーザの安全性を保証する。
【0038】
3.製品が制御された数のユーザ例えば、1人のユーザ(使い捨て)に使用されていることを保証する。
【0039】
4.その他
直接使用インジケータは、ユーザとの直接接触に反応する製品内の化合物又は作用物であってもよく、例えば、ユーザの皮膚に反応して、製品の影響領域又は接触領域の色を変えるpHセンサであってもよい。他の周知の直接使用インジケータの具体例としては、例えば、プールの誤用を検出するための着色作用を有する水中の尿インジケータがある。
【0040】
間接使用インジケータは、環境に反応する製品内の化合物又は作用物であってもよく、これは、開封された製品が使用中の製品と同じになることを意味する。間接使用インジケータは、環境及び空気に対して敏感なものであってもよく、以下の存在又は不在を示すものであってもよい。
【0041】
1.気体(例えば、酸素、二酸化炭素、水素)
2.温度
3.湿気
4.放射線(例えば、UV光又は宇宙放射線)
5.懸濁液内の粒子(例えば、タール、炭素、ホルムアルデヒド、アンモニア、砒素、DDT、カドミウム、ラドン、アセトン等)
6.微生物(例えば、生物分解)
7.気圧
間接使用インジケータは、製品又はその一部の化学的及び/又は物理的な構成を変化させることを意図する。これらのインジケータは、異なるタイプの劣化等、形態的な変更プロセスをトリガ又は活性化することができる。劣化とは、製品と環境との間の相互作用であり、例えば、酸化、脱水、蒸発、生物分解、熱分解、光分解、分子分解等である。周知の酸化インジケータの具体例としては、異なるタイプのビタミン、例えば、空気中の酸素と反応して、プロセスによって色が変化するビタミンCがある。
【0042】
他のプロセスは、溶媒の脱水又は蒸発を含み、例えば、材料内の水の存在によって材料の可撓性及び柔軟性が高まり、水含量(溶媒)の脱水及び還元によって、材料が硬化し、脆くなり、使用が困難になる。これらのプロセスの機能は、デバイスの使用のインジケータとして役立ち、劣化プロセスは、製品の再使用を防止するものとして機能する。
【0043】
他の種類の劣化プロセスとしては、以下のようなものがある。
【0044】
・色の存在又は不在
・臭い又は香りの存在又は不在
・サイズ又は体積の増加又は減少
・表面組織の変化
・形状及び/又は比率の変化
・その他
k.存在及び/又は位置のインジケータ
l.固定システム又は接着
付着、接着又は固定システムは、以下の設定によってデバイスに含ませることができる。
【0045】
・機械的な固定システム
接着剤は、例えば、面ファスナ、クリップ、縫製等の相互固定と共に、表面の空隙又は細孔を埋めて表面を保持する。
【0046】
・化学的固定システム又は接着によって形成される接続は、可溶性であっても、不溶性であってもよい。市販されている接着剤は、有機接着剤又は無機接着剤があり、基体表面の一方又は両方に塗布される。具体例には、石油由来のポリマベースの合成接着剤(例えば、ポリ酢酸ビニル系、エチレン接着剤、ポリウレタン接着剤、合成ゴム、シアノアクリレート及び嫌気性接着剤)ジャガイモデンプン、コーン(でんぷん糊、デキストリン、天然ゴム)に由来する植物ベースの接着剤、動物の皮(キューゼラチン)又は乳製品(カゼイン接着剤)に由来する接着剤の使用が含まれる。
【0047】
・分散固定システム
物理吸着とも呼ばれる分散接着(dispersive adhesion)では、それぞれが僅かな正及び負の電荷の領域を有する2つの分子間に働くファンデルワールス力によって2つの材料が結合される。
【0048】
・静電固定システム
幾つかの導電材料は、電子を渡し、接合部で電位差を形成する。この結果、コンデンサと同様の構造が形成され、材料間で引き合う静電力が生成される。
【0049】
・拡散固定システム
幾つかの材料は、接合部で拡散して混じり合う。これは、両方の材料の分子が移動し、互いに溶解することで生じる。これは、重合体では物質の分子鎖が分散しあうことで、特に効果的に現れる。また焼結のプロセスでもこの機構が働いている。金属やセラミックの粉末を圧縮して加熱すると、粒子から粒子へと原子が拡散する。これによって粒子が1つに結合される。
【0050】
m.湿潤剤又は保湿剤
材料の湿気を保持し、材料の柔軟性及び可塑性を維持することに貢献できる添加剤。また、静電防止塗装のコンポーネントとしても使用することができる。
【0051】
周知のコンポーネントとしては、以下のようなものがある。
【0052】
1.プロピレングリコール
2.水
3.グリセリン
4.ソルビトール
5.尿素及びα−ヒドロキシ酸(alpha-hydroxy acid:AHA)
6.へキシレン及びブチレングリコール
7.MPジオール(MP Diol)
8.脂肪酸
9.セラミド
10.タンパク質
11.他の同様のコンポーネント
n.耐熱性
1.チョーク
2.ゼラチン:ブルーム値が高いほど耐熱性が良好である。
【0053】
o.耐凍結性
1.グリセリン
2.グリコール
p.一般溶媒
q.タイプc成分のための溶媒
1.プロピレングリコール
2.水
本発明の全てのコンポーネント及び接着システムは、天然由来のものであっても、人工のものであってもよく、時間の経過に伴って、異なるプロセスを介して分解するものであってもよい。分解プロセスは、機械的作用、例えば、圧縮又は分割によって活性化されてもよく、化学的作用、例えば、触媒によって活性化されてもよく、又は環境要因、例えば、気体、温度、湿度、放射線等によって活性化されてもよい。
【0054】
材料及びブリスタとして機能する収容体/型は、同じ遮蔽体内で様々な保護を提供するために、1つ以上のレベル、厚さ、高さ、仰角又は隆起を有することができる。
【0055】
減衰材料は、以下の物理的特性に関連する機能的な領域を含む。
【0056】
・主接着面:Kに直接接触する面又は間にある更なる層を挟んでKに間接的に接触する面
・主減衰面:減衰が最も大きい、材料の最も厚い部分に対応していてもよい。これは、放射線ビームに対向する面である。
【0057】
・パッケージAから材料を良好に剥離するための更なる剥離システム又は作用物(B)を含んでいてもよい。
【0058】
・高さH:材料は、材料の同じボリューム内で1つ以上の異なる高さ又は厚さを有していてもよい。
【0059】
・角度α:材料は、接着面又は減衰面に関して1つ以上の角度を有していてもよい。これらの角度は、材料の同じボリューム内の厚さの差分に直接的に関連する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
本発明及び上述した以外の目的は、以下の詳細な説明によって明らかとなる。このような説明は、添付の図面を参照して行われる。
図1】A.保護層:パッケージの一部であってもよく、放射線減衰材料(C)を形成するマトリクスの一部又は全部であってもよい。
【0061】
B.剥離剤:如何なる形式(例えば、固体、粉末、液体等)であってもよく、物理的及び/又は機械的及び/又は化学的に作用して放射線減衰材料(C)を型から取り出す(unmold)ことを可能にする。この作用物は、例えば、(A)、(C)、(E)、(J)等の隣接コンポーネントの面を部分的又は完全に覆ってもよい。
【0062】
C.放射線減衰材料:この材料は、型(ダイ又はモールド)として機能する保護層(A)によって成形される。
【0063】
D.接着剤又は接合剤又はシステム:減衰材料(C)を支持材料(E)に一時的又は恒久的に接着することができ、また、放射線減衰材料(C)及び外部の面(K)を固定又は溶合することができる如何なる形式(例えば、固体、粉末、ゲル、液体等)であってもよい。これらの全ての組合せは、部分的であっても又は全体的なものであってもよい。あるバージョンでは、接着剤又は接合剤(D)は、放射線減衰材料(C)に含まれ、この一部であってもよい。
【0064】
E.以下の機能を有する下地材料、支持材料又はファブリック
I.放射線不透過材料と皮膚との間のバリア
II.放射線防護材料(C)の間接的な取り扱いを可能にする把持面
III.パッケージングシステムの内部の放射線防護材料(C)を保護するための保護層
IV.製品又は接着領域を変形又は解梱するために掴まれる他の機能的な領域を含む領域
V.パッケージ又は保護層(A)からの放射線防護材料(C)の取り外しを容易にする機能を有していてもよい
VI.分離層及び/又は減衰材料(C)をデバイス内の他の作用物又はコンポーネントから部分的又は完全に隔離する層
VII.減衰材料(C)が液体又は準液体の形式で、型(ダイ又はモールド)又はマトリクスに注入される場合、保護層として機能して、製造工程を容易にする保護層
VIII.接着又は接合システム(G)、(D)及び(F)のための支持層
F.保護層(A)を支持材料(E)に及び支持材料(E)をユーザ((E)(E))に、及び支持材料(E)を密封要素(J)に接着、接合又は付着する接着剤又は接合システム
G.下地又は支持材料(E)及び面(K)への接着、接合又は付着、また、保護要素(H)を接着剤(G)に接合する補助となる接着又は接合システム
H.1つ以上の接着システム(D)、(G)及び/又は(F)を部分的又は全体的に保護するセパレータ(H):異なる部分の接着面、又はデバイスの内側又は外側の面、例えば、(A)、(C)、(E)、(J)、(K)等を分離し、又はこれらの接着を部分的又は全体的に防止又は弱める。これらの面の幾つかは、例えば、印刷された製品情報、技術的情報、使用方法等の情報を提供してもよい。このセパレータは、例えば、接着面上の印刷が施された剥離紙としてデバイスに導入してもよい。
【0065】
I.面(J)及び保護層(A)との優先的であるが排他的ではない一体化を実現する接着、接合又は接続システム
J.システムを分離及び/又は密閉する機能を有する保護要素又は層:幾つかの面に情報を表示してもよく、例えば、製品又は使用情報を面に印刷してもよい。
【0066】
K.デバイスの一部及びパッケージ材料の外部の面:この面は、接着又は接合システム、例えば、接着システム(G)によって、デバイス又はその一部に取り付けられる。この外部の面とは、例えば、以下の一部又は全部を指す。
【0067】
・人間、動物又は植物由来の全ての有機組織
・全ての種類の自然な及び人工の面であり、自然なままの状態であってもよく、変更又は修正されたもの、例えば、製造工程で修正されたものであってもよく、製造工程においては、追加的なコンポーネントを加えてもよく、加えなくてもよい。
図2】同じ製品内にあり、1つ以上の異なるレベルの減衰を有する1つ以上の異なる厚さ又は勾配の存在を示す放射線減衰材料(C)を示す図である。
図3】甲状腺の遮蔽体を示している。
【0068】
aは、PVC透明ブリスタである。
【0069】
cは、図1及び図2に示す減衰材料である。
【0070】
eは、低アレルゲン性接着剤が塗布され、他の層にEVA泡を有する2mmの厚さの不織布である。
【0071】
g.付着可能な面ファスナリボンである。
【0072】
jは、システムを分離及び/又は密閉する機能を有する保護要素又は層である。
図4】甲状腺の遮蔽体を示している。
【0073】
aは、PVC透明ブリスタである。
【0074】
cは、図1及び図2に示す減衰材料である。
【0075】
eは、低アレルゲン性接着剤が塗布され、他の層にEVA泡を有する2mmの厚さの不織布である。
【0076】
g.付着可能な面ファスナリボンである。
【0077】
jは、システムを分離及び/又は密閉する機能を有する保護要素又は層である
図5】CTスキャン画像であり、図5は、眼球(眼の上)に取り付けられたプロテクタを示し、図6は、プロテクタを眼から遠ざけるための部品を用いて眼から遠ざけられたプロテクタを示している。何れの画像も、脳の領域を明瞭且つ良好に表している。上述したスペーサを任意に使用することによって、画質を向上させることができ、副鼻腔や視神経等の表在領域の診断が可能になる。
図6】CTスキャン画像であり、図5は、眼球(眼の上)に取り付けられたプロテクタを示し、図6は、プロテクタを眼から遠ざけるための部品を用いて眼から遠ざけられたプロテクタを示している。何れの画像も、脳の領域を明瞭且つ良好に表している。上述したスペーサを任意に使用することによって、画質を向上させることができ、副鼻腔や視神経等の表在領域の診断が可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0078】
減衰材料は、上述した1つ、幾つか又は全てのタイプの成分によって構成できる。以下の表は、適用される成分表を一般的な数量範囲と共に示している。各タイプのコンポーネントは、上述した同様のコンポーネントによって置き換えることができる。
【表1】
【0079】
以下の表は、同じ成分表を127.07g又は1.2707g/mlの密度の100mlとなる特定の数量で示しており、含有される化合物による及びそれらの比率又は数量パーセンテージによって、密度が変化し又は異なることが予想される。
【表2】
【表3】
【表4】
【0080】
放射線防護材料を用いることによって、エックス線処置及びCTスキャンの両方において、患者及び医療従事者を保護することができる。CTスキャンでは、患者の画像を撮影するために放射線が必要であるため、出射された全ての放射線を減衰させてしまわない必要がある。このため、CTスキャン放射線遮蔽体は、画質を劣化させることなく、及びアーチファクトを引き起こすことなく保護を実現する必要があり、これらのアーチファクトは、コンピュータ断層撮影(computed tomographic:CT)画像の画質を深刻に劣化させ、診断目的での使用が不可能になることもある。
【0081】
CT処理における放射線減衰材料の使用を例として、頭部スキャンに関連して水晶体を保護又は遮蔽することがある。以下に説明する図では、厚さ8mmの材料を用いて、眼球遮蔽体(eye shields)を作成している。図5では、眼球遮蔽体が患者の眼の前に直接的に配置された頭部スキャンの画像であり、表面(眼に隣接するゾーンの明るい領域)にアーチファクトが生じている。図6は、同じ眼球遮蔽体を用いているが、遮蔽体と眼の間に10mmの発泡体を設けた場合の同じ患者の画像を示している。これにより、知覚されるアーチファクトが劇的に低減され、殆どなくなる。これによって、副鼻腔や視神経等の表在領域の診断が可能になる。
【0082】
製造工程
放射線減衰材料
材料の放射減衰効率のためには、「タイプa」コンポーネント(有効成分)の一様性レベルが重要である。混合物が一様であるほど、材料の放射線防護が一様になる。
【0083】
最適な混合及び一様性を達成するために、概ねASTM#12メッシュ(直径2mm)、好ましくは、より一様性を高めるために、より大きなASTM番号、例えば、ASTM#60ASTMメッシュを介して、硫酸バリウムをスクリーニングすることが推奨される。
【0084】
結果として得られる材料がより高い気温に耐性を有することを確実にするために、材料が5%〜40%の水(又は溶媒)を失うように材料を脱水することが推奨される。この工程によって、材料は、30°Cより高い温度に対する耐性を有するようになる。
【0085】
材料を製造するための手法又は手順は幾つもあるが、ここでは、2つの具体例のみを説明する。
【0086】
手順A:
1.成分「タイプa」、「タイプb」、「タイプe」、例えば、硫酸バリウム及びコーンスターチ(トウモロコシデンプン)を冷水内で懸濁させ、高速攪拌によって混合する。
【0087】
2.懸濁液を60℃で加熱する。
【0088】
3.成分「タイプb」、例えば、ゼラチンを加え、一定の低速攪拌を行う。
【0089】
4.適切な別の容器において、成分「タイプq」例えば、プロピレングリコールを60℃加熱する。
【0090】
5.成分「タイプc」例えば、メチルパラベン及びプロピルパラベンを、加熱された「タイプq」、例えば、加熱されたプロピレングリコール(ステップ4)内で溶解する。
【0091】
6.ステップ5の溶液にステップ3の溶液を加える。
【0092】
7.混合物内の全ての成分が完全に一様になるように混合する。
【0093】
手順B:
1.反応器内で成分「タイプp」、例えば水(又は溶媒)を60°Cに加熱し、低速攪拌する。
【0094】
2.一定の低速攪拌を行いながら、成分「タイプb」、例えば、ゼラチンを加える。
【0095】
3.適切な容量の容器内で成分「タイプq」を加熱する。
【0096】
4.成分「タイプc」をステップ3の溶液に加える。
【0097】
5.ステップ4の混合物をステップ1の反応器に加える。
【0098】
6.ASTM#12メッシュ、好ましくは、より細かい、例えば、ASTM#60を介して、成分「タイプa」、「タイプb」及び「タイプe」、例えば、硫酸バリウム及びコーンスターチ(トウモロコシデンプン)をスクリーニングする。
【0099】
7.ステップ6のスクリーニングされた成分をステップ1の反応器内のゼラチン溶液に加える。
【0100】
8.ステップ1の反応器内の成分を色又は濃度が完全に一様になるまで、低速攪拌によって混合する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】