(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-501931(P2015-501931A)
(43)【公表日】2015年1月19日
(54)【発明の名称】互いに嵌合されたアレイおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/327 20060101AFI20141216BHJP
G01N 27/30 20060101ALI20141216BHJP
【FI】
G01N27/30 351
G01N27/30 A
G01N27/30 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-543518(P2014-543518)
(86)(22)【出願日】2012年11月19日
(85)【翻訳文提出日】2014年6月10日
(86)【国際出願番号】US2012065834
(87)【国際公開番号】WO2013078127
(87)【国際公開日】20130530
(31)【優先権主張番号】61/562,645
(32)【優先日】2011年11月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/577,933
(32)【優先日】2011年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】507269175
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー エイ. サンプローニ
(57)【要約】
自動供給製造製品が提供される。自動供給製造製品は、複数のカード・ゾーンを有するフレキシブル基板を具え、カード・ゾーンは、検出領域を定めており、検出領域内に、センサユニットが形成されている。センサユニットは、第1の指を有する第1の電極および第2の指を有する第2の電極を有しており、第1の指は、第2の指と交互に配置されており、第1の指は、第2の指から間隔をおいて配置されている。センサユニットは、生体分子受容体を、ウェブ上の第1の電極と第2の電極との間に具えており、第2の電極に対する第1の電極の物性は、生体分子に結合している生体分子受容体の1つ以上に応じて影響される。自動供給製造製品は、連続ウェブとして形成されることもできるし、または、個別のシートを供給および加工する給紙装置を用いて形成される個別のシートとすることもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカード・ゾーンを有するフレキシブル基板を具えた自動供給製造製品であって、
前記カード・ゾーンは、検出領域を定めており、
前記検出領域内に、センサユニットが形成されており、
前記センサユニットは、第1の指を有する第1の電極および第2の指を有する第2の電極を有しており、
前記第1の指は、前記第2の指と交互に配置されており、
前記第1の指は、前記第2の指から間隔をおいて配置されており、
前記センサユニットは、さらに、生体分子受容体を、ウェブ上の前記第1の電極と前記第2の電極との間に具えており、
前記第2の電極に対する前記第1の電極の物性は、生体分子に結合している前記生体分子受容体の1つ以上に応じて影響される、
自動供給製造製品。
【請求項2】
前記第1の電極および前記第2の電極は、導電性インクで堆積された粒子から形成される、
請求項1記載の自動供給製造製品。
【請求項3】
前記導電性インクは、キャリアおよび導電材料を具え、
前記導電材料は、ナノ粒子アルミニウム、ナノ粒子金、ナノ粒子銀、ナノ粒子銅、カーボンナノチューブ、ナノ粒子グラフェンおよびナノ粒子プラチナからなる群から選択される、
請求項2記載の自動供給製造製品。
【請求項4】
前記第1の指は、前記第2の指から、1μm以上20μm以下の間隔をおいて配置されている、
請求項1記載の自動供給製造製品。
【請求項5】
前記第1の指および前記第2の指は、20nm以上750nm以下の厚みを有している、
請求項4記載の自動供給製造製品。
【請求項6】
前記フレキシブルウェブは、紙と、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレン・テレフタル酸エステル、ポリエステルおよびそれらの組み合わせを含むプラスチックと、からなる群から選択される材料から構成されている、
請求項1記載の自動供給製造製品。
【請求項7】
前記フレキシブル基板は、フレキシブルウェブである、
請求項1記載の自動供給製造製品。
【請求項8】
センサ・カードの製造方法であって、前記方法は、
第1の幅を有する第1の導電要素および第2の幅を有する第2の導電要素を形成するために、第1の導電性インクを基板に第1のパターンで塗布するステップと、
第2の指と交互に配置された第1の指を形成するために、第2の導電性インクを前記基板にエアロゾル噴射装置によって第2のパターンで塗布するステップと、
を含み、
前記第1および第2の指は、前記第1および第2の導電要素の前記第1および第2の幅より小さい第3および第4の幅を有しており、
前記第1の指は、前記第2の指から、10nm以上1mm以下の間隔をおいて配置されており、
前記第1の導電要素および前記第1の指は、電気的に接続され、センサユニットの第1の電極を形成しており、
前記第2の導電要素は、前記第2の指に電気的に接続され、前記センサユニットの第2の電極を形成している、
方法。
【請求項9】
前記第1の導電性インクを前記基板に塗布する前記ステップの後、前記基板を、第1の硬化ステーションを通過させるステップをさらに含む、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記第2の導電性インクを前記基板に塗布する前記ステップの後、前記基板を、第2の硬化ステーションを通過させるステップをさらに含む、
請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記基板は、ウェブガイドシステムによってガイドされるフレキシブルウェブである、
請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記フレキシブルウェブは、紙、ポリアミド、プラスチックおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から構成されている、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記第1の導電性インクを前記基板に塗布する前記ステップは、スクリーン印刷装置、ステンシル印刷装置、電着装置、スパッタリング装置、噴射装置、レーザーアブレーション装置およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるノンエアロゾル噴射装置を利用して、前記第1の導電性インクを前記基板に塗布するステップとしてさらに定められる、
請求項8記載の方法。
【請求項14】
前記第1の導電性インクは、前記第2の導電性インクと同一である、
請求項8記載の方法。
【請求項15】
前記第1の導電性インクは、前記第2の導電性インクと異なる、
請求項8記載の方法。
【請求項16】
前記第2の導電性インクを前記基板に塗布する前記ステップは、前記第2の電極の前記第2の指と交互に配置された、前記第1の電極の前記第1の指を有する所定パターンの第1層を形成するために、前記第2の導電性インクを前記基板に塗布するステップとしてさらに定められ、
前記方法は、第3の導電性インクを前記基板に塗布するステップをさらに含み、
前記第2の電極の前記第2の指と交互に配置された、前記第1の電極の前記第1の指を有する前記所定パターンの前記第1層をカバーする所定パターンの第2層を形成する、
請求項8記載の方法。
【請求項17】
前記第2の導電性インクは、前記第3の導電性インクと異なる、
請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記第2の導電性インクは、前記第3の導電性インクと同一である、
請求項16記載の方法。
【請求項19】
センサ固定の生体分子受容体を、前記基板上の前記第1の電極と前記第2の電極との間に適用するステップをさらに含み、
前記生体分子受容体の1つ以上が生体分子と結合すると、前記第1の電極は、前記第2の電極に電気的に接続される、
請求項8記載の方法。
【請求項20】
センサ・カードであって、
第1表面を有する基板と、
前記第1表面に形成される1つ以上のセンサユニットと、
を具え、
前記1つ以上のセンサユニットは、第1の指を有する第1の電極および第2の指を有する第2の電極を有し、
前記第1の指は、前記第2の指と交互に配置されており、
前記第1の指は、前記第2の指から間隔をおいて配置されており、
前記1つ以上のセンサユニットは、さらに、生体分子受容体を、前記基板上の前記第1の電極と前記第2の電極との間に具えており、
前記第2の電極に対する前記第1の電極の物性は、生体分子に結合している前記生体分子受容体の1つ以上に応じて影響され、
前記第1の指および前記第2の指は、少なくとも1つの硬化導電性インクから形成される、
センサ・カード
【請求項21】
前記第1の指は、前記第2の指から、10nm以上1mm以下の間隔をおいて配置されている、
請求項20記載のセンサ・カード。
【請求項22】
前記基板は、紙と、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレン・テレフタル酸エステルおよびそれらの組み合わせを含むプラスチックと、からなる群から選択される材料から構成されている、
請求項20記載のセンサ・カード。
【請求項23】
センサ・カードおよび読み出し装置を具えるバイオセンサ・キットであって、
前記センサ・カードは、
第1表面を有する基板と、
前記第1表面に形成される1つ以上のセンサユニットと、
を具え、
前記1つ以上のセンサユニットは、第1の指を有する第1の電極および第2の指を有する第2の電極を有し、
前記第1の指は、前記第2の指と交互に配置されており、
前記第1の指は、前記第2の指から間隔をおいて配置されており、
前記1つ以上のセンサユニットは、さらに、生体分子受容体を、前記基板上の前記第1の電極と前記第2の電極との間に具えており、
前記第2の電極に対する前記第1の電極の物性は、生体分子に結合している前記生体分子受容体の1つ以上に応じて影響され、
前記第1の指および前記第2の指は、少なくとも1つの硬化導電性インクから形成されており、
前記読み出し装置は、
前記基板上の前記1つ以上センサユニットを読み出すように構成されたトランスデューサと、
前記1つ以上センサユニットの前記読み出しの結果を、ユーザ知覚できるフォーマットで提供する回路と、
を有する、
バイオセンサ・キット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての相互参照
本願は、2011年11月22日に出願された米国の出願番号61/562645および2011年12月20日に出願された米国の出願番号61/577933の米国特許法119(e)に基づく利点を主張する。上述した出願の全内容は、明示的に本願明細書に引用されたものとする。
【背景技術】
【0002】
センサ(別名検出器)は、物理量を測定し、観察者または機器によって読み出し可能な信号に変換するデバイスである。例えば、水銀温度計は、測定温度を、目盛り付きのガラス管上で読み出し可能な液体の伸縮に変換する。熱電対は、温度を、電圧計によって読み出し可能な出力電圧に変換する。大部分のセンサは、精度のために、既知の基準に対して較正される。
【0003】
生物医学および生物工学において、生物学的要素(例えば、セル、タンパク質または核酸)を有する分析物を検出するセンサは、バイオセンサと呼ばれている。バイオセンサは、生体外および生体内の両方の用途に使用可能である。
【0004】
概して、バイオセンサは、生物試料(例えば、血液または尿)に接触し、生物試料内の所定の分析物を検出するのに用いられる。それゆえ、バイオセンサは、検知媒体(光、電気、圧電物質、電気化学的物質等)を用いた生理化学的な方法で作用することができるトランスデューサまたは検出器素子に接続されうる。いずれの場合も、トランスデューサまたは検出器素子は、バイオセンサからの信号を、測定がより容易で定量化可能な他の信号に変換する。トランスデューサまたは検出器素子によって生じる信号は、関連する電子機器を有する読み出し装置、信号処理部および/または結果をユーザに読取り可能なフォーマットで提供するディスプレイに提供されうる。例えば、結果は、グラフ表示で提供可能である。
【0005】
いずれの場合も、互いに嵌合されたセンサアレイ(interdigitated sensor array)を含む、従来用いられた1種類のバイオセンサは、センサ信号の増幅を達成する技術に基づいている。互いに嵌合されたセンサアレイは、少なくとも2つの微小電極を備えており、その両方は、間隔をおかれ、互いに嵌合された方法で交互に配置された指を有する。微小電極の各々は、比較的微細な複数のトレースに接続された比較的大きいトレースを備えている。例示的な互いに嵌合されたセンサアレイは、様々な記事に記載されており、例えば、電気化学的検出用の大面積で互いに嵌合したアレイ微小電極、センサおよびアクチュエータ(アダム・E・コーエンおよびロデリック・Rカンズ著、2000、p.23―29)、微小電極アレイの可逆レドックス対の測定された電気化学的反応のデジタル・シミュレーション、近接した超微小電極から生じた結果(アラン・J・バード等、Analytical Chemistry、1986、58、2321―2331)、2008年2月27日出願の米国特許出願第2009/0084686号、2005年12月25日出願の米国特許出願第2007/0145356号である。
【0006】
トレース寸法(互いに嵌合された指の幅)および空間寸法(互いに嵌合された指のエッジ間距離)の制限は、互いに嵌合されたセンサアレイを製造するための標準的なスクリーン印刷、電着およびレーザーアブレーション法の使用によって生ずる。これらの理由により、従来、互いに嵌合されたセンサアレイは、半導体製造の使用に適した基板を用いたフォトリソグラフィを含む半導体タイプの製造技術を使用して製造されていた。従来技術の基板の例は、二酸化ケイ素、ガラス、セラミック、半導体材料またはフレキシブル材料である。例えば、米国特許出願第2007/0145356号の段落0023を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、出願人の知る限り、互いに嵌合されたセンサアレイを有するバイオセンサであって、生物試料(例えば血液および尿)をテストするための使い捨てのセンサとして大量生産され汎用されたバイオセンサを製造する費用効果的な方法は存在していなかった。本発明の目的は、バイオセンサを費用効果的に製造する方法および装置を提供することにある。
【0008】
本願明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本願明細書に記載されている1つ以上の実施態様を例示し、これらの実施態様を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に従って、検出領域内に形成されるセンサユニットを有する検出領域を定めている複数のカード・ゾーンを有するウェブ製品の部分的な平面図である。
【
図2】本発明に従って構成される例示的なセンサ・カードの平面図である。
【
図3】本発明に従って構成される例示的なセンサユニットの平面図である。
【
図4】本発明に従ってセンサユニットを製造する方法を例示する。
【
図5】本発明に従ってセンサユニットを製造する他の方法を例示する。
【
図6】本発明に従ってウェブ製品を製造する方法を例示するフロー図である。
【
図7】本発明に従って構成されるバイオセンサ・キットのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、添付図面を参照する。複数の図面における同一の参照符号は、同一類似の要素を識別する。
【0011】
本願明細書において、「具える」「具えている」「含む」「含んでいる」「有する」「有している」等の用語は、非排他的な包含を意図している。例えば、複数の要素を具えるプロセス、方法、物または装置は、必ずしもこれらの要素のみに制限されるというわけではなく、この種のプロセス、方法、物または装置に明示的に列挙されない他の要素を含むことができる。さらに、明示的に逆のことが述べられない限り、「または」との用語は、包括的ORを意味し、排他的ORを意味しない。例えば、「条件AまたはB」とは、Aが真(有)かつBが偽(無)、Aが偽(無)かつBが真(有)、および、AおよびBの両方が真(有)のいずれか1つによって満足する。
【0012】
さらに、本願明細書において、実施形態の複数の要素およびコンポーネントを記載するために、単数形が用いられる。これは、単に便宜のために、および、発明の一般概念を与えるためである。説明において、「1つ以上」および単数形の記載は、他の意味が明確に説明されていない限り、複数を含むように解釈すべきである。
【0013】
さらにに、「複数」という用語は、明示的に逆のことが述べられない限り、「1より多い」を意味する。
【0014】
最後に、本願明細書における「一実施形態」という用語は、その実施形態に関連して記載されている特定要素、特徴、構造または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本願明細書における「一実施形態では」というフレーズは、必ずしも全てが、同一の実施形態を参照しているわけではない。
【0015】
本願明細書で用いられる回路は、アナログおよび/またはデジタルコンポーネント、1つ以上の最適にプログラムされたマイクロプロセッサ、関連したハードウェアおよびソフトウェア、または、配線論理回路とすることができる。また、「コンポーネント」は、1つ以上の機能を実行することができる。「コンポーネント」という用語は、プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)のようなハードウェア、または、ハードウェアおよびソフトウェアの組合せを含むことができる。ソフトウェアは、1つ以上のコンポーネントによって実行されたとき、コンポーネントに指定された機能を実行させる1つ以上のコンピュータ実行可能命令を含む。本願明細書において記載されているアルゴリズムが、1つ以上の非一時的なメモリに格納されることを理解されたい。非一時的なメモリの例は、ランダム・アクセス・メモリ、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ等である。この種の非一時的なメモリは、電気的または光学的なものとすることができる。
【0016】
添付図面、特に
図1は、本発明に従って製造される例示的な自動供給製造製品10を示す。自動供給製造製品10は、連続ウェブとして形成されることもできるし、または、後述するように、個別のシートを供給および加工する1つ以上の給紙装置を用いて形成される個別のシートとすることもできる。例えば、自動供給製造製品10は、少なくとも1つのフレキシブルウェブ12から形成されるウェブ製品として説明される。一般に、少なくとも1つのフレキシブルウェブ12は、透明、半透明または不透明な材料の連続シートであり、通常、フレキシブルウェブ12の縦軸に沿った移動方向16に移動する。フレキシブルウェブ12は、ローラー、センサおよびウェブ・ガイド・コントローラを含む適切なウェブ・ガイド装置によってガイドされる。ウェブ・ガイド装置は従来技術において周知であるので、本願明細書において、ウェブ・ガイド装置の製造および使用方法の詳細な説明は、自動供給製造製品10の製造および使用方法を当業者に教えるのに必要ないであろう。例えば、適切なウェブ・ガイド装置は米国特許6635895、6289729または6175419に記載されており、これらの全内容は本願明細書に引用されるものとする。
【0017】
図1において、フレキシブルウェブ12は、参照符号20a、20bおよび20cで示される複数のカード・ゾーン20を有する。カード・ゾーン20a、20bおよび20cは、検出領域22a、22bおよび22cを定める。フレキシブルウェブ12が様々な装置を通過すると、センサユニット24a、24bおよび24cは、検出領域22a、22bおよび22c内に形成される。例えば、
図6に示すように、フレキシブルウェブ12は、第1の印刷ステーション30、第1の硬化ステーション32、第2の印刷ステーション34、第2の硬化ステーション36、および、処理および包装装置38を通過することができる。処理および包装装置38は、様々なタイプの分析物を検出するためのセンサユニット24a、24bおよび24cに、生体分子受容体(biomolecule receptor)(図示せず)を適用するものであり、また、センサ・カード44をフレキシブルウェブ12から形成するための切断装置を含むこともできる。生体分子受容体は、センサ固定(sensor immobilized)または非センサ固定(non-sensor immobilized)とすることができる。
【0018】
図2に、例示的なセンサ・カード44を示す。センサ・カード44は、フレキシブルウェブ12の一部とすることができる基板46を含む。基板46は、センサユニット24a、24bおよび24cの1つ以上が形成される第1の表面48を有する。基板46は、ガイド可能な材料から構成可能であり、さらに、口腔粘膜検体採取、血液、プラズマ、尿等の収縮のない生物試料に接触可能な材料から構成可能である。例えば、基板46は、紙と、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレン・テレフタル酸エステル、ポリエステルおよびこれらの組み合わせを含むプラスチックと、からなる群から選択可能である。
【0019】
図3を参照すると、1つ以上のセンサユニット24は、第1の電極50および第2の電極56を有し、第1の電極50は、第1の指52a〜52nおよび第1の導電要素54を有し、第2の電極56は、第2の指58a〜58nおよび第2の導電要素60を有する。第1の指52a〜52nは、第2の指58a〜58nと交互に配置され、第1の指52a〜52nは、第2の指58a〜58nから間隔をおいて配置されている。第1の指52a〜52n、第1の導電要素54、第2の指58a〜58nおよび第2の導電要素60は、1つ以上の電気伝導性材料、例えば、1層以上の硬化導電性インクから構成されている。
【0020】
一般に、導電性インクは、キャリア(例えば、堆積後蒸発する液体溶媒)および1つ以上の導電材料の粒子または基板46上に残る他の機能的な材料を含む。導電材料の粒径が、導電材料をフレキシブルウェブ12に塗布するために用いる印刷技術に適している限り、任意のタイプの導電材料を利用することができる。例えば、導電材料は、ナノ粒子アルミニウム、ナノ粒子金、ナノ粒子銀、ナノ粒子銅、カーボンナノチューブ、ナノ粒子グラフェンおよびナノ粒子プラチナからなる群から選択可能である。導電性インクは、第1の硬化ステーション32および第2の硬化ステーション36において、任意の適切な硬化プロセス、例えば熱硬化、パルス光硬化および/またはレーザー焼結を用いて硬化することができる。
【0021】
1つ以上のセンサユニット24はまた、第1の指52a〜52nと第2の指58a〜58nとの間の基板46上に生体分子受容体64a〜64nを具え、第2の指58a〜58nに対する第1の指52a〜52nの物性は、生体分子と結合している生体分子受容体64a〜64nの1つ以上に応じて影響される。第2の指58a〜58nに対する第1の指52a〜52nの物性は、導電率、抵抗および/またはキャパシタンスに関連する。このように、生体分子受容体64a〜64nに対する1つ以上の生体分子の結合は、第1の電極50および第2の電極56全体にわたって測定される導電率、抵抗および/またはキャパシタンスに影響を与える。
【0022】
第1の指52a〜52nは、第2の指58a〜58nから間隔をおいて配置されているので、生体分子は、生体分子受容体64a〜64nに結合し、第1の指52a〜52nと第2の指58a〜58nとの間の電気接続を確立することができる。本願明細書において、第1の指52a〜52nと第2の指58a〜58nとの間のエッジ間隔は、空間と称し、10nm以上1mm以下とすることができる。例えば、適切な空間は、20μmと0.2μmとの間とすることができる。互いに嵌合されたアレイ(IDA:interdigitated array)のために、空間は、信号増幅における重要な特徴である。アスペクト比(別名z高さ)もまた、信号増幅に重要な影響を与える。信号増幅において、トレースすなわち線幅の役割は小さい。さらに、例示的実施形態では、第1の指52a〜52nおよび第2の指58a〜58nは、0.01μm以上100μm以下の厚みを有する。後述するように、一実施形態において、エアロゾル噴射装置を用いて、第1の指52a〜52nおよび第2の指58a〜58nを形成し、10μm未満のエッジ間空間を達成することができる。本願で用いられる例示的なエアロゾル噴射装置はOptomec社によって製造される。例えば、例示的なエアロゾル噴射装置は、米国特許出願2006/0175431に記載されている。
【0023】
エアロゾル噴射装置は、好ましくは、基板46と直接接触せずに機能し、室温で動作することができる。
【0024】
図4a、4bおよび4cは、本発明に従ってセンサユニット24を製造する例示的方法を示す。一般に、本願明細書において開示されるセンサユニット24の製造方法は、2種類の異なる印刷技術を用いた複合型製造方法を利用する。後述するように、第1の電極50および第2の電極56の部分は、幅およびピッチを含む異なる形状を有する。
【0025】
図4aに示すように、比較的大きい幅および/またはピッチ(本願明細書において、「比較的大きい部分」と称する)を有する第1の電極50および第2の電極56の部分は、1つ以上の第1の印刷技術を使用してフレキシブルウェブ12に塗布された導電性インクを用いて形成可能である。第1の印刷技術は、スクリーン印刷装置、ステンシル印刷装置、電着装置、スパッタリング装置、レーザーアブレーション装置およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるノンエアロゾル(フロンガスを使用していない)噴射装置を用いたノンエアロゾル噴射技術とすることができる。1つ以上の第1の印刷技術を用いて形成可能な第1の電極50および第2の電極56の例示的な部分は、第1の導電要素54および第2の導電要素60を含む。
図3に示すセンサユニット24は、第1の導電要素54がカウンター電極であり、第2の導電要素6が作用電極である2電極設計である。
図2に示すセンサユニット24aは、4電極設計(例えば、作用電極は互いに嵌合され、2つの電極、カウンター電極および基準電極を具える)を有する。互いに嵌合された設計のために、その構成がセンサ使用と互換性を持つ場合、基準電極を省略することができる。さらに、センサユニットは、カウンター電極、作用電極および基準電極を有する3電極設計として構成することもできる。
【0026】
図4bに示すように、より微細な幅またはピッチ(本願明細書において、「比較的微細な部分」と称する)を有する第1の電極50および第2の電極56の部分は、5μm以下の粒径を有する導電性インクを用いて形成され、エアロゾル噴射のような第2の印刷技術を用いてフレキシブルウェブ12に塗布される。第2の印刷技術を用いて形成可能な第1の電極50および第2の電極56の例示的な部分は、第1の指52a〜52nおよび第2の指58a〜58nを含む。しかしながら、第1の電極50および第2の電極56の他の部分、例えば、第1の導電要素54および第2の導電要素60を、第2の印刷技術を用いて形成可能であることを理解されたい。
【0027】
図4cに示すように、センサユニット24は、上述した第1および第2の印刷技術を含む付加的な製造プロセスの組合せによって形成される複合とすることができる。言い換えると、センサユニット24を製造するために、第1の導電性インクは、第1のパターンで、フレキシブルウェブ12および/または基板46に塗布され、第1の導電要素54および第2の導電要素60を形成する。
図3に示すように、第1の導体エレメント54および第2の導体エレメント60は、第1の幅70および第2の幅72を有する。
【0028】
第2の導電性インクは、エアロゾル噴射装置を用いて、第2のパターンでフレキシブルウェブ12および/または基板46に塗布され、第2の指58a〜58nと交互に配置された第1の指52a〜52nを形成する。第1の指52a〜52nおよび第2の指58a〜58nは、第1および第2の導体エレメント54および60の第1および第2の幅70および72より小さい第3および第4の幅74および76を有する。
【0029】
幅70および72は、変化することができる。現在では、幅70および72は、第1の指52a〜52nと第2の指58a〜58nとの間のピッチと同様に、現在のエアロゾル噴射能力を用いて、1μm以上20μm以下の範囲とすることができる。しかしながら、エアロゾル噴射技術が改良されるにつれて、ミクロン以下の間隔が提供可能となる。さらに、第1の指52a〜52nおよび第2の指58a〜58nの厚みは、導電性インク内の導電性金属%の変更により、または、複数のジェット・パスによるエアロゾル噴射技術を用いて達成可能な厚みに増加される。第1の指52a〜52nおよび第2の指58a〜58nの厚みは、20nm以上750nm以下の範囲にすることができ、より好ましくは、200nm以上500nm以下の範囲である。
【0030】
第1および第2のパターンはオーバーラップし、第1の導電要素54および第1の指52a〜52nが電気的に接続され、センサユニット24の第1の電極50が形成されるとともに、第2の導電要素60は、第2の指58a〜58nに電気的に接続され、センサユニット24の第2の電極56が形成される。
【0031】
第1および第2の導電性インクは、同一でも異なっていてもよい。例えば、第1の導電性インクは5μm超の粒径を有し、第2の導電性インクは5μm以下の粒径を有してもよい。さらに、第1および第2の導電性インクの導電材料のタイプは、同一でも異なっていてもよい。あるいは、第1および第2の導電性インクは、両方とも、5μm以下の粒径を有してもよい。
【0032】
いずれの場合も、第1の導電性インクが塗布された後、フレキシブルウェブ12および/または基板46は、第1の硬化ステーション32を通過し、第2の導電性インクが塗布された後、フレキシブルウェブ12および/または基板46は、第2の硬化ステーション36を通過することができる。
【0033】
第1の電極50および第2の電極52は、単層で形成することもできるし、同一または異なるタイプの導電性インクを用いた多層で形成することもできる。例えば、第2の導電性インクは、フレキシブルウェブ12および/または基板46に塗布され、第2の電極56の第2の指58a〜58nと交互に配置される第1の電極50の第1の指52a〜52nを有する所定パターンの第1層を形成し、その後、所定パターンの第1層をカバーする、所定パターンの第2層を形成している第3の導電性インクが塗布される。
【0034】
第1の電極50および第2の電極56が形成された後、生体分子受容体64a〜64nは適用され、フレキシブルウェブ12は切断され、センサ・カード44を形成することができる。
【0035】
図5a、5bおよび5cは、本発明に従ってセンサユニット24を製造する他の例示的な方法を示す。特に、
図5aに示すように、エアロゾル噴射装置を用いて、第1の電極50の第1の導体エレメント54および第1の指52a〜52nと、第2の電極56の第2の導体エレメント60および第2の指58a〜58nを形成することができる。例えば、第1の導体エレメント54、第2の導体エレメント60、第1の指52a〜52nおよび第2の指58a〜58nは、ナノ粒子銀を用いて、0.0004インチの幅で形成可能である。
図5bに示すように、次に、エアロゾル噴射装置を用いて、導電性インクの第2層を、第1の導体エレメント54および第2の導体エレメント60に塗布し、第1の指52a〜52nおよび第2の指58a〜58nを、異なる材料、例えば黒鉛を用いて、0.0012インチの異なる幅で形成可能である。
図5cに示すように、次に、センサユニット24の任意の残りの部分は、第1の印刷技術で形成可能である。
【0036】
図7は、本発明に従って構成される例示的なバイオセンサ・キット100を示す。一般に、バイオセンサ・キット100は、センサ・カード44の1つ以上および読み出し装置102を含む。読み出し装置102は、センサ・カード44の基板46上の1つ以上のセンサユニット24を読み出すように動作可能なトランスデューサ104と、1つ以上のセンサユニット24の読み出し結果を、ユーザ知覚できるフォーマットで供給する回路106と、を備えている。読み出し装置102は、ユーザおよび/または機械が、読み出し装置102に入力できるようにするための1つ以上の入力装置108と、1つ以上の出力装置110と、を備えることもできる。例示的な入力装置108は、ネットワーク・ポート、キーボード、タッチスクリーン等を含む。例示的な出力装置110は、ディスプレイ、プリンタ、ネットワーク・ポート等を含む。
【0037】
上述した記載は、図面および説明を提供するが、網羅的であることを意図せず、発明の概念を開示された形態のみに制限することを意図しない。修正および変更は、上記の教示を考慮して、本発明に記載された方法を実行することによって可能である。例えば、ノンエアロゾル噴射技術によりセンサユニット24の比較的大きい部分を塗布するステップの順序は、エアロゾル噴射技術によりセンサユニット24の比較的微細な部分を塗布するステップの前に行うことができ、逆もまた同様である。さらに、本願明細書では、センサ・カード44がフレキシブルウェブ12から形成されるとして記載しているが、センサ・カード44が他の方法、例えば、別々のシートを用いた連続プロセスを使用する方法や、プラスチックまたは紙の基板材料の連続ロールよりもむしろ給紙装置を使用する方法で形成可能であることを理解されたい。
【0038】
また、実施態様の特定部分は、「コンポーネント」または1つ以上の機能を実行する回路106として記載されている。「コンポーネント」または「回路」という用語は、ハードウェア、例えば、プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)もしくはフィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、または、ハードウェアおよびソフトウェアの組合せを含むことができる。
【0039】
特徴の特別な組み合わせが請求項で規定されているおよび/または明細書で開示される場合であっても、これらの組合せは開示を制限することを意図していない。事実、これらの特徴の多数は、請求項で特に規定されないおよび/または明細書で特に開示されない方法で組み合わせることができる。以下の従属請求項は、他の1つの請求項のみに直接従属することができるが、本発明は、各従属請求項が、他の全ての請求項と組み合わせた場合を含む。
【0040】
好適実施形態以外で明確に記載されない限り、本願において使用する要素、ステップまたは命令は、本発明にとって重要かつ必須なものとして解釈されてはならない。さらに、「基づく」という用語は、その他の意味を有すると明確に説明されない限り、「少なくとも部分的に基づく」ということを意味する。
【国際調査報告】