(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-502133(P2015-502133A)
(43)【公表日】2015年1月19日
(54)【発明の名称】ステータの、巻装されかつ互いに結線された磁極ティースを製造する方法および装置
(51)【国際特許分類】
H02K 15/095 20060101AFI20141216BHJP
【FI】
H02K15/095
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-547919(P2014-547919)
(86)(22)【出願日】2012年12月18日
(85)【翻訳文提出日】2014年8月15日
(86)【国際出願番号】EP2012075929
(87)【国際公開番号】WO2013092572
(87)【国際公開日】20130627
(31)【優先権主張番号】102011089238.9
(32)【優先日】2011年12月20日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ シャイン
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB02
5H615BB05
5H615BB14
5H615BB16
5H615PP13
5H615QQ02
5H615QQ19
5H615QQ26
5H615SS10
(57)【要約】
ステータの、巻装されかつ互いに結線された磁極ティースを製造する方法および装置が提供される。個々の磁極ティースを結線するために1つまたは複数の巻付け線材が敷設される際に、提供されている敷設スペースを一時的に狭めて、敷設スペース内での前記巻付け線材の自動的な軸方向での積重ねを生ぜしめて、線材交差を回避する。相応する装置は、敷設スペースを一時的に狭める多数の画定スライダを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータの、巻装されかつ互いに結線された磁極ティースを製造する方法であって、
−巻装したい磁極ティースを列の形に配置するステップと、
−前記列の1つの磁極ティースまたは複数の磁極ティースに巻付け線材を巻装するステップと、
−前記磁極ティースの巻付けスペースから前記磁極ティースの外側へ、片側で前記磁極ティースの絶縁体によって画定された敷設スペース内へ1つまたは複数の巻付け線材を導出するステップと、
−個々の磁極ティースを互いに結線するために、前記敷設スペース内に前記巻付け線材を敷設するステップと、
より成る方法において、
前記1つまたは複数の巻付け線材の敷設時に前記敷設スペースを一時的に狭めて、前記敷設スペース内での前記巻付け線材の自動的な軸方向の積重ねを生ぜしめて、線材交差を回避することを特徴とする、ステータの、巻装されかつ互いに結線された磁極ティースを製造する方法。
【請求項2】
前記敷設スペースを他方の側で画定する画定スライダの運動によって、前記敷設スペースを狭めることを実現する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記画定スライダを、互いに別個に独立して可変に前進・後退運動させる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記列の複数の磁極ティースを、複数のニードルによって同時に巻装し、かつ同時に敷設する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ステータの、巻装されかつ互いに結線された磁極ティースを製造する装置であって、巻装したい磁極ティースを列の形で支持するための収容装置と、磁極ティースに巻付け線材を巻装しかつ巻付け線材を磁極ティースの間で敷設スペース内に敷設するためのニードル装置とを備えた、磁極ティースを製造する装置において、当該装置が、前記巻付け線材(7)の敷設スペース(10)を一時的に狭めるための装置を有することを特徴とする、ステータの、巻装されかつ互いに結線された磁極ティースを製造する装置。
【請求項6】
敷設スペース(10)を一時的に狭めるための装置が、多数の画定スライダ(8)を有する、請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記列の各磁極ティース(2)に1つの画定スライダ(8)が対応している、請求項5または6記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータの、巻装されかつ互いに結線された磁極ティースを製造する方法であって、
−巻装したい磁極ティースを列の形に配置するステップと、
−前記列の1つの磁極ティースまたは複数の磁極ティースに巻付け線材を巻装するステップと、
−前記磁極ティースの巻付けスペースから前記磁極ティースの外側へ、前記磁極ティースの絶縁体によって片側で画定された敷設スペース内へ1つまたは複数の巻付け線材を導出するステップと、
−個々の磁極ティースを互いに結線するために、前記敷設スペース内に前記巻付け線材を敷設するステップと、
を有する方法に関する。
【0002】
ステータを製造する場合、ステータの個々の磁極ティースは巻装され、かつ巻装後に、個々の磁極ティースの巻付け線材を接続することによって互いに結線されなければならない。この場合、個々の磁極ティースを一列に配置し、そして磁極ティースの、絶縁体によって画定された巻付けスペースに線材を巻装することが知られている。この場合、好ましくはマルチニードル技術が使用される。マルチニードル技術では、複数の磁極ティースが、それぞれ1つのニードルによって同時に巻装される。個々の磁極ティースの巻装後に、すなわち磁極ティースの絶縁体の間の相応する成層鉄心の巻装後に、線材は磁極ティースの巻付けスペースから導出されて、この巻付けスペースの外部に敷設され、これにより相応する磁極ティースが互いに結線される。たとえば、この場合、前記列の第1の磁極ティースと第3の磁極ティースとが結線され、第2の磁極ティースと第4の磁極ティースとが結線される。
【0003】
このときに重要となるのは、磁極ティース列の外径の増大を回避するために、個々の敷設線材の交差なしに平行な線材延在パターンを達成することである。しかし、これまでは、このような直径増大が甘受されていた。従来では、巻き体における線材進入位置および線材進出位置の軸方向高さの変動に基づき、交差なしの平行な線材延在パターンの達成は、巻き体における、著しく構成スペースを要求する付加ジオメトリなしには不可能であることを前提としていた。
【0004】
本発明の根底を成す課題は、冒頭で述べた方法を改良して、ステータの磁極ティースが特に確実にかつ構成スペース節約的に巻装されかつ結線され得るような方法を提供することである。
【0005】
この課題は、本発明によれば、上で述べた方法において、1つまたは複数の巻付け線材の敷設時に前記敷設スペースを一時的に狭めて、前記敷設スペース内での前記巻付け線材の自動的な軸方向の積重ね(スタッキング)を生ぜしめて、線材交差を回避することにより解決される。
【0006】
本発明は、個々の磁極ティースを結線するために1つまたは複数の巻付け線材を外側に敷設する際に、前記巻付け線材のために提供されている敷設スペースを狭め、これにより線材の軸方向での積重ねを生ぜしめて、線材交差を阻止するという基本思想を前提としている。線材の敷設時に敷設スペースを一時的に狭めることにより、線材は自動的に所定の敷設位置へ強制的に移動させられ、この場合、複数の線材が互いに平行に軸方向位置で積み重ねられるか、もしくは上下に配置される。「軸方向」とはこの場合、敷設スペースを狭めることにより線材がステータもしくは磁極ティースの長手方向軸線の方向で上下に配置されることを意味する。
【0007】
したがって、本発明によれば、線材は巻付けプロセスにおいて個別磁極の間での結線時に、規定された位置に強制的にもたらされ、この場合、線材交差は阻止され、個々の敷設線材の積重ねが行われる。こうして、構成スペースの減少が達成される。なぜならば、敷設線材もしくは結線線材が上下に(積み重ねられて)配置されるからである。
【0008】
もちろん、本発明による方法では、敷設スペースが線材の敷設時に一時的にのみ狭められるので、磁極ティースの巻付けスペースからの線材の導出および/または巻付けスペース内への線材の導入が、敷設スペースを狭めることによって妨げられることはない。たとえば1つの磁極ティースの巻装が完了すると、線材は絶縁体を通じて外側に向かって敷設スペース内へ案内される。次いで、敷設スペースが一時的に狭められるので、軸方向での線材の積重ねが得られる。積重ねが行われた後に、敷設スペースは再び拡張され、これにより、引き続き行われる別の方法ステップが妨げられることはない。敷設スペースを狭めることは、線材の敷設(個々の磁極間での結線)が行われる個所で実施される。
【0009】
本発明による方法では、敷設スペースを狭めることが、敷設スペースを他方の側で画定する複数の画定スライダの運動によって実現されることが好ましい。既に述べたように、敷設スペースは片側、つまり一方の側では、前記列の磁極ティースの絶縁体によって画定されている。敷設スペースの、これらの絶縁体とは反対の側は、本発明によれば、画定スライダによって可変に保持されるので、こうして、場所的および時間的に画定されたスペース狭化が実施され得る。この場合、画定スライダは互いに独立して別個に可変に前進・後退運動させられる。好ましくは、前記列の各磁極ティースにそれぞれ1つの画定スライダが対応しているので、各磁極ティースの敷設スペースを変化させる、つまり狭めるか、または拡げることができる。
【0010】
既に述べたように、本発明による方法は特にマルチニードル技術(Mehrnadeltechnik)の使用時に使用される。このマルチニードル技術においては、1つの列の複数の磁極ティースが同時に複数のニードルによって巻装され、かつ同時に敷設もしくは結線される。他ならぬこのような方法においてこそ、線材交差が生ぜしめられないように敷設線材もしくは結線線材を上下に貯えるか、もしくは積み重ねることが重要となる。
【0011】
本発明はさらに、ステータの、巻装されかつ互いに結線された磁極ティースを製造する装置であって、巻装したい磁極ティースを列の形で支持するための収容装置と、磁極ティースに巻付け線材を巻装しかつ巻付け線材を磁極ティースの間で敷設スペース内に敷設するためのニードル装置とを備えた、磁極ティースを製造する装置に関する。
【0012】
この装置は、本発明によれば、当該装置が、前記巻付け線材の敷設スペースを一時的に狭めるための装置を有することにより特徴付けられている。
【0013】
これにより、敷設スペース内での巻付け線材の自動的な軸方向での積重ねが達成され、線材交差は回避される。
【0014】
敷設スペースを一時的に狭めるための装置は、好ましくは多数の画定スライダを有する。この場合、特に前記列の各磁極ティースにそれぞれ1つの画定スライダが対応している。画定スライダはこの場合、互いに独立して別個に可変に前進・後退運動可能であるので、時間的および場所的に画定された形で、各磁極ティースの敷設スペースの幅を変えることができる。画定スライダを、所属の磁極ティースの絶縁体に接近する方向に移動させることにより、線材のための敷設スペースは狭められ、そしてこのスペース内に位置する複数の敷設線材は上下に配置されるか、もしくは積み重ねられる。
【0015】
以下に、本発明の実施形態を図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】ステータの、巻装されかつ互いに結線された磁極ティースを製造する装置を平面図と正面図とで示す2つの概略図である。
【0017】
図示の装置は磁極ティース収容部1を有する。この磁極ティース収容部1内には、4つの磁極ティース2が、巻装および結線のために一列になって配置されている。磁極ティース2は、それぞれ2つの絶縁体4,5と、両絶縁体4,5の間に配置された巻付けスペース3とを有する。
図1には、左側の2つの磁極ティース2が、巻装された状態で図示されており、右側の2つの磁極ティース2は、まだ巻装されていない。
【0018】
磁極ティース2の巻装は、マルチニードル技術によって実施される。マルチニードル技術では、この場合、それぞれ1つのニードルもしくは巻付けノズル6を用いて2つの磁極ティースが同時に巻装される。
【0019】
図1の左側の2つの図には、左側の2つの磁極ティースの巻付け過程の終了後に、両巻付け線材7が絶縁体4を通じて各磁極ティース2の巻付けスペース3から敷設スペースへ導出された状態で前記装置が図示されている。各巻付け線材端部はこのときに、個々の磁極ティース2の間で結線され、この場合、巻付け線材7は敷設スペース内に敷設されて、再び絶縁体4を通じて次の磁極ティース2の巻付けスペース3内に導入される。この場合、左側から見て第1の磁極ティースは、左側から見て第3の磁極ティースに結線され、左側から見て第2の磁極ティースは、左側から見て第4の磁極ティースに結線される。
【0020】
図1の右側の図面には、敷設時もしくは結線時の状態が示されている。提供されている敷設スペース10は、一方の側では磁極ティース2の各絶縁体4によって画定され、反対の他方の側では画定スライダ8によって画定される。これらの画定スライダ8については、それぞれ1つの画定スライダ8が1つの磁極ティース2に対応している。これらの画定スライダ8は、巻付け線材7の敷設時に一時的に絶縁体4の方向へ運動させられるので、敷設スペース10はこの範囲において狭められる。これにより、敷設線材は上下に配置され(積み重ねられ)るので、敷設線材の交差は生ぜしめられない。
図1の右側の図では、左側の3つの画定スライダ8がすべて、磁極ティース2の絶縁体4の方向に運動させられているので、狭められた敷設スペース10が生ぜしめられ、それに対して右側の画定スライダ8はその初期位置に留まった状態で図示されており、この初期位置では敷設スペース10は狭められていない。この位置では、たとえば巻付け線材を再び絶縁体4に通して巻付けスペース3内に導入することができる。左側から見て第3の画定スライダ8は、巻付け線材7がちょうど敷設スペース10内に導入されていて、敷設スペース10を狭めることが開始される位置に位置している。
【0021】
図2には、前記装置が、拡大された側面図で示されている。図面からは、2つの絶縁体4,5を備えた1つの磁極ティース2が判る。巻付け線材7を外側に敷設するための敷設スペース10が、画定スライダ8により狭められた状態で図示されているので、結線目的で敷設された相応する巻付け線材7は上下に配置されていて、こうして交差した敷設線材は生ぜしめられなくなる。
【国際調査報告】