(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-502730(P2015-502730A)
(43)【公表日】2015年1月22日
(54)【発明の名称】向上した効率で熱エネルギを電気エネルギに変換するためのシステム
(51)【国際特許分類】
H02N 2/18 20060101AFI20141219BHJP
F03G 7/06 20060101ALI20141219BHJP
【FI】
H02N2/00 A
F03G7/06 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-540465(P2014-540465)
(86)(22)【出願日】2012年11月8日
(85)【翻訳文提出日】2014年6月3日
(86)【国際出願番号】EP2012072160
(87)【国際公開番号】WO2013068477
(87)【国際公開日】20130516
(31)【優先権主張番号】1160209
(32)【優先日】2011年11月9日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】506423291
【氏名又は名称】コミサリア ア レネルジィ アトミーク エ オ ゼネ ルジイ アルテアナティーフ
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
(71)【出願人】
【識別番号】398048925
【氏名又は名称】エスティマイクロエレクトロニクス エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】モンフレイ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】サベリ,ギオーム
(72)【発明者】
【氏名】スコットニッキ,トマ
(72)【発明者】
【氏名】コロネル,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ゲラール,フレデリック
(57)【要約】
熱源(SC)と冷熱源(SF)との間に配置されるように意図された、熱エネルギを電気エネルギに変換するためのシステム(S1)であって、熱エネルギを機械的エネルギに変換するための手段(6)と圧電材料を備え、熱エネルギを機械的エネルギに変換するための手段(6)は、それらの長手方向端部によって機械的に一緒になるように結合され、基板(12)の上に吊るされた少なくとも3つのバイメタル板(9,11,13)のグループ(G1,G2)を備え、各バイメタル板(9,11,13)は、それが、2つの安定状態の各々において湾曲部を有する2つの安定状態を備え、直接的に隣接する2つのバイメタル板(9,11,13)は、一定の温度で反対向きになる湾曲部を有し、バイメタル板(9,11,13)の一方の安定状態から他方への切り替えは、圧電材料の変形を引き起こすシステム。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源(SC)と冷熱源(SF)との間に配置されるように意図された、熱エネルギを電気エネルギに変換するためのシステム(S1,S2)であって、
基板と、
熱エネルギを機械的エネルギに変換するための手段(6)と、
機械的エネルギを電気エネルギに変換するための手段(8)とを備え、
前記熱エネルギを機械的エネルギに変換するための手段(6)が、機械的に一緒になるように結合され、前記基板(12)の上に、少なくとも部分的に吊るされた少なくとも2つのバイメタル板(9,11,13)の少なくとも1つのグループ(G1,G2)を備え、
各バイメタル板(9,11,13)は、それらが、2つの安定状態の各々において湾曲部を有する前記2つの安定状態を備え、
直接的に隣接するバイメタル板(9,11,13)は、反対向きの湾曲部を有し、
前記バイメタル板(9,11,13)の一方の安定状態から他方への切り替えが、前記機械的エネルギを電気エネルギに変換するための手段の励起と、電気の生成とを引き起こすように適応されるシステム。
【請求項2】
前記バイメタル板は、バンドを形成するように、それらの長手方向端部によって機械的に一緒になるように結合される、請求項1に記載の変換するためのシステム。
【請求項3】
前記バイメタル板は、それらの横方向端部によって機械的に一緒になるように結合される、請求項1に記載の変換するためのシステム。
【請求項4】
前記バイメタル板は、バイメタル板のブランケットを形成するように、それらの長手方向端部によってバイメタル板に接続され、それらの横方向端部によってバイメタル板に接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記バイメタル板(9,11,13)は一体形成される、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の変換するためのシステム。
【請求項6】
少なくとも2つのバイメタル板(9,11,13)のいくつかのグループ(G1,G2,G3)を備え、前記グループは一体形成される、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の変換するためのシステム。
【請求項7】
バイメタル板のグループ(G1,G2,G3)は、奇数枚のバイメタル板(9,11,13)を備える、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の変換するためのシステム。
【請求項8】
前記機械的エネルギを電気エネルギに変換するための手段(8)は、圧電材料を備える、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記圧電材料は、少なくとも1つのバイメタル板の上に直接配置され、
前記システムは、前記圧電材料で生成された電気を回収するために、前記圧電材料上に電気接点を備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
各バイメタル板は、圧電材料で形成されたトランスデューサによって覆われる、請求項8または請求項9に記載の変換するためのシステム。
【請求項11】
前記機械的エネルギを電気エネルギに変換するための手段は磁気材料を備える、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の変換するためのシステム。
【請求項12】
前記磁気材料(16)は、少なくとも1つのバイメタル板上に配置され、
前記システムは、前記バイメタル板で生成された電気を回収するために、前記バイメタル板上に電気接点(18)を備える、請求項11に記載の変換するためのシステム。
【請求項13】
前記機械的エネルギを電気エネルギに変換するための手段は容量性タイプである、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の変換するためのシステム。
【請求項14】
前記グループのうちの少なくとも1つのバイメタル板は、その安定状態のうちの1つにおいて、前記基板に接触する、請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の変換するためのシステム。
【請求項15】
熱エネルギを電気エネルギに変換するためのアセンブリであって、
互いに対向して配設された熱源(SC)および冷熱源(SF)と、
請求項1乃至請求項14のいずれかに記載の変換するためのシステムとを備え、
前記変換するためのシステムが、前記熱源と前記冷熱源との間に配置される変換するためのアセンブリ。
【請求項16】
前記熱源(SC)は、電子システムによって熱的に供給される、請求項15に記載の変換するためのアセンブリ。
【請求項17】
請求項1乃至請求項14のいずれかに記載の変換するためのシステムを製造するための方法であって、
a)酸化ケイ素の層(104)を、シリコンで形成された基板(102)上に堆積させるステップと、
b)Si3N4またはSiNで形成された部分(106)を、酸化物の層(104)上で実現するステップと、
c)Si3N4で形成された部分(106)間の前記酸化物の熱成長のステップと、
d)金属または半導体の第1の層(110)と、金属の第2の層(112)を堆積させることによって、バイメタル板を実現するステップであって、前記2つの金属が、異なる膨張係数を有するステップと、
e)機械的エネルギを電気エネルギに変換するための手段を実現するステップと、
f)前記基板と、前記金属の層との間にキャビティ(118)を形成するような方法で、離散的ゾーン内の前記酸化物を除去するステップと、
を備える方法。
【請求項18】
ステップe)は、金属の層(110,112)上への、圧電材料の層(114)の堆積を備える、請求項17に記載の実現するための方法。
【請求項19】
ステップc)は、前記シリコンの局所酸化によって実現される、請求項17または請求項18に記載の実現するための方法。
【請求項20】
ステップd)の間、金属の第1の層(110)は多結晶シリコンであり、金属の第2の層(112)はアルミニウムである、請求項17乃至請求項19のいずれかに記載の実現するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱エネルギを電気エネルギに変換するためのシステムを提供する。
【背景技術】
【0002】
電子回路は、作動しているときに発熱する。この熱は使用されず、この回路が劣化するのを避けるために除去されなければならない。私たちの環境においては、例えば、その放出された熱が使われない導管、排気、産業機械の壁等の他の熱源も存在する。
【0003】
この熱を電気エネルギに変換するために、この熱を回収することが検討されている。
【0004】
例えば、バイメタル板(bimetallic strips)を用いることが検討され、例えば、異なる膨張係数を有し、柔軟性があり、縦方向に互いに溶接または接着された、異なる金属、材料または合金の2つのストリップ(strip)で形成されている。2つのストリップの異なる膨張係数により、このバイメタル板は、加熱された場合、および冷却された場合に、大きく変形する。それが加熱された場合、実質的に平らな形状から、ある程度の湾曲部を有する形状に切り替わる。湾曲部の方向は、それがさらされる温度と、該材料の初期特性(厚さ、熱膨張係数等)に依存する。この変形は、トランスデューサ、例えば、バイメタル板が湾曲したときに変形し、または衝撃を受ける圧電材料によって電気エネルギに変換される。圧電材料に伝達されたエネルギと、その結果回収されたこのエネルギは、最適ではない。
【0005】
また、さらされる温度によって第1および第2の安定状態を有するバイメタル板が予備成形される。安定状態の各々において、それらは、湾曲部または変形部を有し、2つの安定状態の湾曲部または変形部は、ほとんどの場合に反対向きになっている。また、それらのバイメタル板は、「ブリスタリングバイメタル板(blistering bimetallic strip)」としてデザインされている。このようなバイメタル板が加熱されて、第1の安定状態から第2の安定状態に切り替わった場合、これは「ブリスタリング(blistering)」と呼ばれ、およびバイメタル板が冷却されて、第2の安定状態から第1の安定状態に切り替わった場合、これはアンブリスタリング(unblistering)と呼ばれる。ブリスタリングおよびアンブリスタリングの間において、大量のエネルギが放出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、向上した効率で熱エネルギを電気エネルギに変換するためのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的は、熱エネルギを電気エネルギに変換するためのシステムであって、機械的エネルギを電気エネルギに変換するトランスデューサと、熱エネルギを機械的エネルギに変換する少なくとも1つの変換器とを備えるシステムによって達成され、変換器は、連続して機械的に結合され、および、反対向きであって制御された湾曲部を有する少なくとも2つの予備成形されたバイメタル板を備えている。バイメタル板は、一体形成で製造することができる。
【0008】
換言すれば、予備成形されたバイメタル板は、一方のブリスタリングが、他方のアンブリスタリングに関与するような方法で対向して結合され、それによって、バイメタル板の各々のブリスタリングまたはアンブリスタリングに必要なエネルギが低減され、それによって、このようなバイメタル板の各々の切り替え頻度が増加する。
【0009】
このようなバイメタル板は、協働して機能し、そのことが、回収される電気エネルギを増加させることを可能にする。
【0010】
その結果、本発明の要旨は、熱源と冷熱源との間に配置されるように意図された、熱エネルギを電気エネルギに変換するためのシステムであって、基板と、熱エネルギを機械的エネルギに変換するための手段と、機械的エネルギを電気エネルギに変換するための手段とを備え、前記熱エネルギを機械的エネルギに変換するための手段が、機械的に一緒になるように結合され、前記基板の上に、少なくとも部分的に吊るされた少なくとも2つのバイメタル板の少なくとも1つのグループを備え、各バイメタル板は、それらが、2つの安定状態の各々において湾曲部を有する前記2つの安定状態を備え、直接的に隣接するバイメタル板は、反対向きの湾曲部を有し、前記バイメタル板の一方の安定状態から他方への切り替えが、前記機械的エネルギを電気エネルギに変換するための手段の励起と、電気の生成とを引き起こすように適応されるシステムである。
【0011】
実施形態において、前記バイメタル板は、それらの長手方向端部により、バンドを形成するような方法で、機械的に一緒になるように結合される。
【0012】
別の実施形態においては、前記バイメタル板は、それらの横方向端部により、機械的に一緒になるように結合される。
【0013】
別の実施形態において、前記バイメタル板は、バイメタル板のブランケットを形成するような方法で、それらの長手方向端部によってバイメタル板に接続され、それらの横方向端部によってバイメタル板に接続される。
【0014】
有利には、前記バイメタル板は、一体形成で形成される。より有利には、このシステムが、少なくとも2つのバイメタル板のいくつかのグループを備える場合に、前記グループは、一体形成によって形成される。
【0015】
より好ましくは、前記バイメタル板のグループは、奇数枚のバイメタル板を備える。
【0016】
実施形態において、前記機械的エネルギを電気エネルギに変換するための手段は、圧電材料を備える。そして、前記圧電材料は、より好ましくは、少なくとも1つのバイメタル板の上に直接配置される。
【0017】
別の実施形態において、前記機械的エネルギを電気エネルギに変換するための手段は、磁気材料を備える。そして、前記磁気材料は、少なくとも1つのバイメタル板上に配置することができ、前記システムは、前記バイメタル板で生成された電気を回収するために、前記バイメタル板上に電気接点を備える。
【0018】
有利には、各バイメタル板は、圧電材料、または、磁気材料で形成されたトランスデューサによって覆われる。
【0019】
別の実施形態においては、前記機械的エネルギを電気エネルギに変換するための手段は、容量性タイプである。
【0020】
有利には、前記グループの少なくとも1つのバイメタル板は、その安定状態の一方において、前記基板に接触しており、熱的接触を改善している。
【0021】
本発明の別の要旨は、熱エネルギを電気エネルギに変換するためのアセンブリであって、互いに対向して配設された熱源および冷熱源と、本発明による変換するためのシステムとを備えるアセンブリであり、前記変換するためのシステムは、前記熱源と前記冷熱源との間に配置されている。前記熱源は、例えば、電子システムによって熱的に供給される。
【0022】
本発明の別の要旨は、本発明による変換するためのシステムを実行する方法であって、
a)酸化ケイ素の層を、シリコンで形成された基板上に堆積させるステップと、
b)Si
3N
4またはSiNで形成された部分を、酸化物の前記層上で実現するステップと、
c)Si
3N
4で形成された部分間の前記酸化物の熱成長のステップと、
d)金属または半導体の第1の層と、金属の第2の層を堆積させることによってバイメタル板を実現するステップであって、前記2つの金属が、異なる膨張係数を有するステップと、
e)機械的エネルギを電気エネルギに変換するための手段を実現するステップと、
f)前記基板と、前記金属の層との間にキャビティを形成するような方法で、離散的ゾーン内の前記酸化物を除去するステップと、
を備える方法である。
【0023】
ステップe)は、例えば、PZTである金属の前記層上への圧電材料の堆積を備えることができる。
【0024】
ステップc)は、例えば、シリコンの局所酸化に存する。
【0025】
ステップd)の間、前記金属の第1の層は、多結晶シリコンとすることができ、および前記金属の第2の層は、アルミニウムとすることができる。
【0026】
この発明は、以下の説明および図面を用いてより良好に理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】2つの状態における、本発明による変換するためのシステムの実施形態の側面図である。
【
図1B】2つの状態における、本発明による変換するためのシステムの実施形態の側面図である。
【
図2】磁気タイプの機械的エネルギを電気エネルギに変換するための変換実施手段のためのシステムの別の実施形態の側面図である。
【
図3A】は、実現する方法の実施形態による
図1Aおよび
図1Bのシステムを実現するステップの概略図である。
【
図3B】は、実現する方法の実施形態による
図1Aおよび
図1Bのシステムを実現するステップの概略図である。
【
図3C】は、実現する方法の実施形態による
図1Aおよび
図1Bのシステムを実現するステップの概略図である。
【
図3D】は、実現する方法の実施形態による
図1Aおよび
図1Bのシステムを実現するステップの概略図である。
【
図3E】は、実現する方法の実施形態による
図1Aおよび
図1Bのシステムを実現するステップの概略図である。
【
図3F】は、実現する方法の実施形態による
図1Aおよび
図1Bのシステムを実現するステップの概略図である。
【
図4A】バイメタル板が、それらの安定状態のうちの1つにおいて基板に接触している、変換するためのシステムの代替的な実施形態の側面図である。
【
図4B】
図4Aのシステムを実行するステップを概略化した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1Aおよび
図1Bには、本発明による、熱エネルギを電気エネルギに変換するためのシステムが図示されている。後の説明において、熱エネルギを電気エネルギに変換するためのシステムS1は、分かりやすくするために「システムS1」と表すものとする。
【0029】
システムS1は、熱源SC、例えば、電子部品または他の何らかの熱源の表面と、冷熱源SF、例えば、フィン形放熱器または直接的な周囲空気との間に配置されるように意図されている。
【0030】
システムS1は、平面Pに一致して実質的に拡がっており、および熱源SCに対向または接触している第1の面と、冷熱源SFに対向または接触している第2の面4とを備え、面2,4は、平面Pの両側に配置されている。そして、システムS1は、その面2,4に実質的に垂直な矢印Fによって象徴されている温度勾配にさらされている。
【0031】
このシステムは、トランスデューサと呼ばれる、熱エネルギを機械的エネルギに変換するための手段6と、機械的エネルギを電気エネルギに変換するための手段8とを備えている。
【0032】
トランスデューサ8は、例えば、圧電材料により、容量性タイプ(capacitive type)の手段、または、磁気的手段によって形成することができる。
【0033】
図示された実施例において、熱エネルギを機械的エネルギに変換するための手段6は、並んで配置され、および機械的に結合された、3つの予備形成されたブリスタリングバイメタル板9,11,13のグループG1,G2を備え、直接的に隣接するバイメタル板の場合、
図1Aおよび
図1Bを見て分かるように、その湾曲部は反対向きになっている。各バイメタル板9,11,13は、2つの長手方向端部9.1,9.2,11.1,11.2,13.1,13.2を備えている。バイメタル板は、バイメタル板のバンドを形成するように、それらの長手方向端部により、機械的に一緒になるように結合されている。図示されている実施例において、バイメタル板は、それらの長手方向端部によって、直接的に接触している。グループG1,G2,G3は、それらの端部により、基板12の上に吊るされたバンドを形成し、バイメタル板は、温度の影響下で、自由に変形することが可能である。
【0034】
基板12は、中空部14を備え、その上にバンドが吊るされている。
【0035】
有利には、3つのバイメタル板9,11,13は、一体形成される。より有利には、全てのグループは一体形成され、そのことは、システムの製造を容易にし、およびシステムの堅牢性が向上させる。
【0036】
他の方法として、特に、大きなサイズのシステムの場合に、バイメタル板を別々に実現して、それらを溶接によって一体化することを検討することができる。
【0037】
上述したように、バイメタル板は、異なる膨張係数を有する異なる金属または合金の2つのストリップで形成され、2つのストリップは、圧延、溶接、接着で、または、堆積により直接的に、例えば、後の説明において詳細に説明するように、第1の材料上への第2の材料の直接吹き付けによって、モノリシック体(monolithic element)を形成するように、一体に形成される。したがって、ストリップの一方が膨張した場合、バイメタル板は、湾曲することになる。バイメタル板が加熱された場合は、バイメタル板は、第1の形態から第2の形態に切り替わり、この変化は、「ブリスタリング(blistering)」と呼ばれ、それが冷却されると、それは、その第1の形態に戻り、この変化は、「アンブリスタリング(unblistering)」と呼ばれる。より好ましくは、各バンドは、奇数枚のバイメタル板を備え、バンドは対称面を有し、そのことが、以下において示されているように、その製造を容易にする。
【0038】
熱エネルギを機械的エネルギに変換するための手段は、この発明の範囲を逸脱することなく、2つのバイメタル板、または、3つ以上のバイメタル板のグループを備えることができる。バンド当たりのバイメタル板の数は、このバンドが、その自重で湾曲しないように選択される。さらに、このシステムは、より好ましくは、ある平面内に拡がり、および複数のラインに沿って、およびいくつかの平行線に一致した面の全域に分散する複数のバンドを備えている。
【0039】
さらに、上記の変換するための手段は、任意の数nのバイメタル板のグループを備えることができ、nは、1以上の整数である。このグループの数は、システムのサイズに従って選択することができる。微小サイズのシステムの場合には、大量のグループを実現することができる。
【0040】
図1Aおよび
図1Bの実施例において、このシステムは、バイメタル板のブリスタリングおよびアンブリスタリングによって変形するように配置された圧電材料によって形成されたトランスデューサを備えている。
【0041】
図示の実施例において、この圧電材料は、バイメタル板上に直接堆積された圧電材料の層の部分によって形成されている。また、図示の実施例において、この圧電材料は、全てのバイメタル板上に堆積されてはいない。より好ましくは、このような材料は、回収されるエネルギの量を増やすために、各バイメタル板上に堆積される。また、圧電材料は、電気エネルギの生成を最大化するために、バイメタル板の両面に配置することができる。より好ましくは、各バイメタル板は、それ自体のトランスデューサを備えている。
【0042】
生成された電流を集めるために、圧電材料上に接点(図示せず)があり、この接点は、負荷に直接、または、生成された電気を蓄電するための装置に接続されている。トランスデューサは、並列に接続されている。全てのバイメタル板が、圧電材料の単一の層によって被覆されているシステムは、この発明の範囲を逸脱していない。
【0043】
バイメタル板は、例えば、0.5μm〜200μmの厚さを有している。「バイメタル板のバンド」の長さは、電子部品に対する用途の場合、10μm〜数mmになる可能性がある。実施されるシステム当たりのバイメタル板の数は、数十〜数百になる可能性がある。
【0044】
次に、変換するためのシステムS1の動作を説明する。
【0045】
例えば、最初に、このシステムは、
図1Aに示す状態にある。バイメタル板9,13は、熱源の側に湾曲し、一方、バイメタル板11は、冷熱源SFの側に湾曲されている。
【0046】
熱源SCによって発せられた熱の影響下で、バイメタル板9,13の各々のストリップのうちの1つが膨張する。それらが十分に膨張すると、バイメタル板9,13は膨れを生じ(blister)、それらの湾曲が反対向きになり、および
図1Bの形態を有する。同時に、冷熱源SF側にあるバイメタル板11は、反対の形態に変形される傾向がある。2つのバイメタル板9,13に膨れが生じると、バイメタル板11は、バイメタル板9,13のブリスタリングにより押し込まれる。したがって、バイメタル板11は、所要のエネルギを蓄積する前に膨れを生じない可能性があり、そのアンブリスタリングが促進される。
【0047】
このバイメタル板のこの形態の変化は、効果があるように、圧電材料を直接変形させなければならず、そのことは、該材料内での電荷の出現を引き起こし、それに伴って、電流の生成を引き起こす。
【0048】
したがって、機械的に接続されたバイメタル板は互いに補助し、そのため、形態の変化に必要なエネルギが低減され、そのことは、効果があるように、バイメタル板の切り替え頻度を増加させ、それに伴い、圧電材料の変形の回数を増加させなければならず、その結果、集められる電気エネルギが増加する。
【0049】
当然、バイメタル板9および13の前に、バイメタル板11にブリスタするかまたはアンブリスタする可能性があることが理解される。
【0050】
同じバンドの、または同じシステムのバイメタル板は、異なる構成を有する可能性があり、および/または異なる材料で形成することができ、したがって、異なる温度に対して反応する可能性があり、そのことは、熱源の構造および冷熱源の構造により関連する可能性がある。
【0051】
有利には、バイメタル板は、より具体的には、バイメタル板のストリップの材料は、バイメタル板が、より高いブリスタリング/アンブリスタリング周波数を有するして、圧電要素を高い周波数で振動させるように、バイメタル板のブリスタリングおよびアンブリスタリングを引き起こす2つの遷移温度が接近しているように選択される。
【0052】
また、バイメタル板を覆う圧電材料の部分は、異なる圧電材料で形成することができる。
【0053】
トランスデューサが容量性タイプである場合、各バイメタル板は、固定プレートに対向するプレートを有し、2つのプレートが、誘電体媒質によって隔てられているとみなすことができる。その場合、2つのプレートは、可変コンデンサを構成する。各バイメタル板の形態の変化は、コンデンサの容量の変動を引き起こす。バイメタル板は、コンデンサのプレートのうちの1つを直接的に形成しているとみなすことができる。
【0054】
図2は、磁気トランスデューサを実施するシステムS2の実施形態を示す。バイメタル板は、一定の磁場を生成する磁気材料16で覆われている。電気接点18は、導電体を形成するバイメタル板のバンドの端部に直接形成されている。バイメタル板の形態の変化、およびそれに伴う電気接点の変形は、ローレンツ力の法則により、電流の生成を引き起こす。
【0055】
図4Aは、代替的な実施形態を示し、この場合、バイメタル板9および13は、安定状態において、基板に直接接触しており、また、バイメタル板11は、他の安定状態において、基板に熱的に接触しており、それにより、システムの反応性およびその出力が向上する。
【0056】
図4Bは、
図4Aのシステムの方法のステップを概略的に示す。このステップは、基板に接触するまで、バイメタル板のバンドの位置の低下を引き起こすように、バイメタル板9および13の長手方向端部9.1,13.2が吊るされている状態で、酸化物の層104を、ゾーンIおよびIIにおいて、より大きな厚さでエッチングすることにある。
【0057】
記載されている実施形態は、どのような場合であっても限定的ではなく、他のどのような構成も適切である可能性がある。マトリクス状の構成は、この発明の範囲を逸脱していない。その場合、各バイメタル板は、マトリクスの縁部に配設されたものを除いて、機械的に結合されて、その長手方向端部の各々において、およびその横方向端部の各々において、バイメタル板に結合される。
【0058】
次に、圧電材料を実装する、本発明による変換するためのシステムを実現するための方法の実施例を、
図3A〜
図3Fに関連して説明する。この方法は、マイクロエレクトロニクスで実現するタイプのものであり、電子システムによって生成された熱エネルギを変換するのに特に適しているシステムを実現することを可能にする。
【0059】
例えば、シリコンで形成された基板102上には、SiO
2の層104が堆積される。このようにして得られた要素を
図3Aに示す。他の例として、それは、TEOS(テトラエトキシシラン)とすることができる。
【0060】
次のステップの間に、酸化物の層104上に、Si
3N
4の堆積が実行される。他の例として、それは、SiNとすることができる。Si
3N
4の部分は、リソグラフィーおよびエッチングにより範囲が定められる。このようにして得られた要素を
図3Bに示す。
【0061】
図3Bの要素の熱酸化は、当業者には周知である、シリコンの局所酸化の方法(LOCOS)によって実現される。この方法は、例えば、700℃〜1300℃の高温を、酸素を豊富に含む雰囲気中に配置された要素に適用することにあり、それによって、Si
3N
4の部分によって覆われたゾーン間の酸化物の層の厚さの増加がもたらされる。
図3Cに示す、この要素の表面へのカップ108の形成がある。
【0062】
次のステップの間に、第1の金属または金属合金、例えば、多結晶シリコンの層110の堆積が実現され、その後、第2の金属または金属合金、例えば、アルミニウムの層112の堆積が実現される。2つの金属は、異なる熱膨張係数を有している。他の例として、第2の金属は、Ti,Tin,Cu,Au,FeNi,Ni,W,Pt,Ta,TaN等とすることができる。次いで、リソグラフィーおよびエッチングを酸化物上でストップして、バイメタル板9,11,13の範囲が定められる。このようにして得られた要素を
図3Dに示す。このようにして実現されたバイメタル板は、直接的に予備形成され、および屈曲部を有している。さらに、それらは、一体形成されているため、それらの長手方向端部によって直接的に機械的に結合されている。
【0063】
次のステップの間に、圧電材料、例えば、PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)、またはAln、またはZnOの層114の堆積が実現される。そして、先行するステップで実現された、バイメタル板上の圧電材料144の部分の範囲が、リソグラフィーおよびエッチングによって定められる。このようにして得られた要素を
図3Eに示す。
【0064】
次のステップの間に、バイメタル板をリリースするようにして、酸化物が部分的に除去され、その結果、バイメタル板の下にキャビティが形成される。このため、個々のキャビティの位置の範囲を定めるために、樹脂マスク116がリソグラフィーで実現され、その後、例えば、希釈されたフッ化水素酸を用いて、徐々にエッチングが実行され、その結果、個々のキャビティ118が形成される。その場合、金属層は、バイメタル板のバンドを形成する吊るされた部分を備えている。キャビティの表面は、整数枚のバイメタル板がリリースされるように範囲が定められる。このようにして得られた要素を
図3Fに示す。
【0065】
より好ましくは、バイメタル板は、奇数枚取り除かれ、バイメタル板のストリップは、上記の変換するためのシステムの製造を容易にする対称面を有している。
【0066】
最後に、マスク116が除去される。このようにして得られた要素を
図1Aに示す。
【0067】
機械的エネルギを電気エネルギに変換するための手段が磁気タイプである場合、それは、例えば、圧電材料の代わりに、磁気材料を堆積し、バイメタル板上に接点を直接実現するようにして設けられる。
【0068】
このシステムは、どのようなサイズにすることもでき、それは、ミリメータ、マイクロメータおよびナノメータ単位の寸法から、1メートル〜数メートルの大きさの寸法を有することができる。
【0069】
熱エネルギを電気エネルギに変換するためのシステムは、バイメタル板のブリスタリング/アンブリスタリングの頻度が増加した場合に、改善された出力、ならびに電気の生成を示す。
【0070】
このシステムは、例えば、プリント回路チップの表面により、自動車の排気管により、または、太陽によって、または、他の何らかの熱源により発せられた熱の利用を可能にする。
【国際調査報告】