(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-502986(P2015-502986A)
(43)【公表日】2015年1月29日
(54)【発明の名称】太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物およびこれを用いた太陽光モジュール
(51)【国際特許分類】
C08G 64/02 20060101AFI20141226BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20141226BHJP
C08L 69/00 20060101ALI20141226BHJP
C08K 9/06 20060101ALI20141226BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20141226BHJP
H01L 31/048 20140101ALI20141226BHJP
C07F 15/06 20060101ALN20141226BHJP
【FI】
C08G64/02
C08J5/18CEZ
C08L69/00
C08K9/06
C09K3/10 Z
C09K3/10 R
H01L31/04 560
C07F15/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-536979(P2014-536979)
(86)(22)【出願日】2012年10月17日
(85)【翻訳文提出日】2014年4月14日
(86)【国際出願番号】KR2012008449
(87)【国際公開番号】WO2013058525
(87)【国際公開日】20130425
(31)【優先権主張番号】10-2011-0106235
(32)【優先日】2011年10月18日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN
(71)【出願人】
【識別番号】507268341
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】511061589
【氏名又は名称】エスケー グローバル ケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK GLOBAL CHEMICAL CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ホン スン グェオン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ミン ホ
(72)【発明者】
【氏名】チュン クヮン ジン
(72)【発明者】
【氏名】チュン キ ナム
(72)【発明者】
【氏名】オク ミュン アン
(72)【発明者】
【氏名】ソン イン フン
【テーマコード(参考)】
4F071
4H017
4H050
4J002
4J029
5F151
【Fターム(参考)】
4F071AA50
4F071AB18
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4F071AF30
4F071AH12
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4H050WB21
4J002CG011
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4J029KE03
4J029KE08
4J029KH08
5F151BA11
5F151JA03
5F151JA04
(57)【要約】
本発明は、太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物およびこれを用いた太陽光モジュールに関し、より詳細には、透湿度が低く、熱圧着による接着性に非常に優れた太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物およびこれを用いた太陽光モジュールに関する。本発明による太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物は、太陽光モジュールのフロントシート、バックシート、またはフロントシートおよびバックシートに用いられる場合、透明性に非常に優れ、紫外線に対する耐久性に優れるだけでなく、ガラスに対する接着力が高くて、接着剤無しで使用することができ、相溶性に優れるという効果がある。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物であって、
二酸化炭素と、ハロゲンまたはアルコキシで置換されているか若しくは無置換の(C2−C10)アルキレンオキシド;ハロゲンまたはアルコキシで置換されているか若しくは無置換の(C4−C20)シクロアルキレンオキシド;およびハロゲン、アルコキシ、アルキルまたはアリールで置換されているか若しくは無置換の(C8−C20)スチレンオキシド;からなる群から選択される1種または互いに異なる2種以上のエポキシド化合物とを反応させた脂肪族ポリカーボネートを含む、太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物。
【請求項2】
前記脂肪族ポリカーボネートは、下記化学式1で表される、請求項1に記載の太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物。
【化1】
(式中、wは、2〜10の整数であり、xは、5〜100の整数であり、yは、0〜100の整数であり、nは、1〜3の整数であり、Rは、水素、(C1〜C4)アルキルまたは−CH
2−O−R’(R’は、(C1〜C8)アルキル)である。)
【請求項3】
前記樹脂組成物は、180℃で溶融粘度が0.5〜9Pa−secである、請求項1に記載の太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物。
【請求項4】
前記脂肪族ポリカーボネートは、下記化学式2で表される錯化合物を触媒として用いてなる、請求項1に記載の太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物。
【化2】
[式中、Mは、3価のコバルトまたは3価のクロムであり、
Aは、酸素または硫黄原子であり、
Qは、(C6〜C30)アリーレン、(C1〜C20)アルキレン、(C2〜C20)アルケニレン、(C2〜C20)アルキニレンまたは(C3〜C20)シクロアルキレンであり、
R
1およびR
2は、それぞれ独立して、第一級(C1−C20)アルキルであり、
R
3〜R
10は、それぞれ独立して、水素;ハロゲン;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;(C1−C20)アルコキシ;(C6−C30)アリールオキシ;ホルミル;(C1−C20)アルキルカルボニル;(C6−C20)アリールカルボニル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、
前記R
1〜R
10のうち二つが互いに連結されて環を形成していてもよく、
前記R
3〜R
10のうち少なくとも三つ以上は、下記化学式a、化学式bおよび化学式cからなる群から選択されるプロトン基であり、
【化3】
Zは、窒素またはリンであり、
R
11、R
12、R
13、R
21、R
22、R
23、R
24およびR
25は、それぞれ独立して、(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R
11、R
12およびR
13のうち二つまたはR
21、R
22、R
23、R
24およびR
25のうち二つが互いに連結されて環を形成していてもよく、
R
31、R
32およびR
33は、それぞれ独立して、水素;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R
31、R
32およびR
33のうち二つは互いに連結されて環を形成していてもよく、
X’は、酸素、硫黄またはN−R(ここで、Rは、(C1−C20)アルキル)であり、
aは、R
3〜R
10が含むプロトン基の数+1であり、
bは、1以上の整数であり、
硝酸または酢酸アニオンは、Mに配位していてもよい。]
【請求項5】
前記化学式2で表される錯化合物において、Mは、3価のコバルトであり、
Aは、酸素であり、
Qは、トランス−1,2−シクロヘキシレン、フェニレンまたはエチレンであり、
R1およびR2は、それぞれ独立して、メチルまたはエチルであり、
R3〜R10は、それぞれ独立して、水素または−[YR413−m{(CR42R43)nN+R44R45R46}m]であり、
Yは、CまたはSiであり、
R41、R42、R43、R44、R45およびR46は、それぞれ独立して、水素;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R44、R45およびR46のうち二つは、互いに連結されて環を形成していてもよく、
mは、1〜3の整数であり、nは、1〜20の整数であり、
ただし、mが1の場合、R3〜R10のうち少なくとも三つ以上は、−[YR413−m{(CR42R43)nN+R44R45R46}a]であり、mが2の場合、R3〜R10のうち少なくとも二つ以上は、−[YR413−m{(CR42R43)nN+R44R45R46}m]であり、mが3の場合、R3〜R10のうち一つ以上は、−[YR413−m{(CR42R43)nN+R44R45R46}m]である、請求項4に記載の太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物を用いている、太陽光モジュール封止フィルム。
【請求項7】
前記太陽光モジュール封止フィルムは、フロントシートまたはバックシートである、請求項6に記載の太陽光モジュール封止フィルム。
【請求項8】
前記フロントシート、バックシート、または前記フロントシートおよびバックシートは、有機シランでコーティングされた二酸化チタンをさらに含む、請求項7に記載の太陽光モジュール封止フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物およびこれを用いた太陽光モジュールに関し、より詳細には、透湿度が低く、熱圧着による接着性に非常に優れた太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物およびこれを用いた太陽光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽エネルギーは、クリーン且つ再生可能な無限のエネルギー源である。太陽光技術は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するシステム技術である。エネルギー変換過程には機械的、化学的作用がないため、システムの構造が単純でメンテナンスがほとんど不要であり、寿命が長く、安全で環境にやさしい。また、発電規模を、住宅用から大規模発電用まで多様化することができる。
【0003】
太陽光システムは、光を受けて電気を生成する太陽光モジュールと、生成された電気を貯蔵するバッテリーと、電気を直流から交流に変換してこれを電力系統に連結するなどの機能を果たすインバータPCS(power conditioning system)と、からなる。
【0004】
前記太陽光モジュールは、複数の太陽電池素子を組み合わせ、その太陽電池素子の両面に、充填接着樹脂を用いて封止フィルムを取り付け、その封止フィルムの内部に太陽電池素子を収納、封止した構造を有することが一般的(通常、太陽光の入射側(表面)に取り付けられる前記封止フィルムを「フロントシート」とし、太陽光の非入射側(裏面)に取り付けられる前記封止フィルムを「バックシート」とする)である。
【0005】
また、太陽光モジュールは、20〜30年経っても出力が低下しない長寿命化が要求される。
【0006】
前記長寿命化のためには、太陽電池素子に悪い影響を与える水分や酸素を遮断することや、太陽光モジュール封止フィルム(以下、封止フィルムとする)の加水分解または紫外線による劣化を防止することが重要視されている。また、低コスト化も強く要請されているため、前記封止フィルムなどのコストダウンは言うまでもなく、太陽光の反射機能を前記封止フィルムに持たせることも行われている。
【0007】
また、封止フィルム層に高い透明度を持たせることで太陽光の入射率を高めて、転換効率(光から電気への転換率)を向上させる研究も活発に行われている。
【0008】
従来の太陽光モジュールは、上層部の安全強化および封止(encapsulation)機能のためにEVAフィルムが貼り付けられた安全ガラス層と太陽光の反射および封止のためのEVAバックシートとの間に太陽電池セルが位置する構造を有する。この際、バックシートは、太陽電池セルの寿命につながる封止の機能と、太陽光の損失を低減するために太陽電池層を通過した光をまた反射する機能を果たす。かかる目的を達成するために、前記太陽光モジュールのフロントシートとバックシートは、上部のガラスとの接着力に優れ、熱圧着による接着性が高く、且つ透湿度が低い必要があるが、依然として前記要件がいずれも満たされていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するためのものであり、太陽光モジュールの上部強化ガラス層に対する接着力が高く、光透過性が高くて、光の損失がほとんどない太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物およびこれを用いた太陽光モジュールを提供することを目的とする。
【0010】
より具体的に、本発明は、同一材質のフロントシートとバックシートを有することで接着力に非常に優れ、封止の性能が大幅に向上した太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物およびこれを用いた太陽光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記目的を達成するために導き出されたものであり、脂肪族ポリカーボネートを含む太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物を提供する。
【0012】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0013】
ここで、本発明で用いられる技術用語は、他の定義がない限り、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が通常理解している意味を有しており、下記の説明で本発明の要旨を不明にしうる公知の機能および構成に関する説明は省略する。
【0014】
本発明は、太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物およびこれを用いた太陽光モジュールに関し、太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物であって、二酸化炭素と、ハロゲンまたはアルコキシで置換されているか若しくは無置換の(C2−C10)アルキレンオキシド;ハロゲンまたはアルコキシで置換されているか若しくは無置換の(C4−C20)シクロアルキレンオキシド;およびハロゲン、アルコキシ、アルキルまたはアリールで置換されているか若しくは無置換の(C8−C20)スチレンオキシド;からなる群から選択される1種または互いに異なる2種以上のエポキシド化合物とを反応させた脂肪族ポリカーボネートを含む太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物およびこれを用いた太陽光モジュールを提供する。
【0015】
前記アルコキシは、具体的に、アルキルオキシ、アリールオキシ、アラルキル(aralkyl)オキシなどから選択されてもよく、これに限定されるものではなく、前記アリールオキシは、フェノキシ、ビフェニルオキシ、ナフチルオキシなどから選択されてもよい。
【0016】
また、前記アルコキシ、アルキルおよびアリールは、ハロゲン元素またはアルコキシ基でさらに置換されていてもよい。
【0017】
より具体的に、前記脂肪族ポリカーボネートは、下記化学式1で表されることを特徴とする。
【化1】
(式中、wは、2〜10の整数であり、xは、5〜100の整数であり、yは、0〜100の整数であり、nは、1〜3の整数であり、Rは、水素、(C1〜C4)アルキルまたは−CH
2−O−R’(R’は、(C1〜C8)アルキル)である。)
【0018】
本発明において、前記エポキシド化合物の具体例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、ペンテンオキシド、ヘキセンオキシド、オクテンオキシド、デセンオキシド、ドデセンオキシド、テトラデセンオキシド、ヘキサデセンオキシド、オクタデセンオキシド、ブタジエンモノキシド、1,2−エポキシド−7−オクテン、エピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、シクロオクテンオキシド、シクロドデセンオキシド、α−ピネンオキシド、2,3−エポキシドノルボルネン、リモネンオキシド、ジエルドリン、2,3−エポキシドプロピルベンゼン、スチレンオキシド、フェニルプロピレンオキシド、スチルベンオキシド、クロロスチルベンオキシド、ジクロロスチルベンオキシド、1,2−エポキシ−3−フェノキシプロパン、ベンジルオキシメチルオキシラン、グリシジル−メチルフェニルエーテル、クロロフェニル−2,3−エポキシドプロピルエーテル、エポキシプロピルメトキシフェニルエーテルビフェニルグリシジルエーテル、グリシジルナフチルエーテルなどから選択されてもよく、これに限定されるものではない。
【0019】
前記太陽光モジュール封止用樹脂組成物は、180℃で溶融粘度が0.5〜9Pa−secである脂肪族ポリカーボネートを含むことを特徴とする。前記粘度は、脂肪族ポリカーボネート重合体の重合度に比例する。前記粘度が0.50Pa−sec未満の場合には、耐加水分解性、耐光性、耐熱性を与えることが困難で、封止フィルムの耐水性が低下する傾向があるため好ましくない。一方、前記固有粘度が10Pa−secを超える場合には、溶融押出成形が困難で、フィルムの製膜性および接着力が低下する傾向があるため好ましくない。
【0020】
前記化学式1の脂肪族ポリカーボネートを重合する方法としては、溶液重合またはバルク重合が可能であり、より具体的には、有機溶媒を反応媒質として用いて、1種または互いに異なる2種以上のエポキシド化合物と、触媒存在下で二酸化炭素を投入して重合する。前記溶媒としては、ペンタン、オクタン、デカンおよびシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、およびキシレンなどの芳香族炭化水素、クロロメタン、メチレンクロライド、クロロホルム、カーボンテトラクロライド、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロエタン、エチルクロライド、トリクロロエタン、1−クロロプロパン、2−クロロプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、クロロベンゼンおよびブロモベンゼンなどのハロゲン化炭化水素の単独または二つ以上を組み合わせて用いてもよい。二酸化炭素の圧力は、常圧〜100気圧まで可能であり、好ましくは、5気圧〜30気圧が好適である。前記共重合反応の際に重合温度は、20〜120℃が可能であり、好ましくは、50〜90℃が好適である。より好ましくは、単量体自体を溶媒として用いるバルク重合が可能である。
【0021】
以下、本発明において、前記太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物の製造方法についてより具体的に説明する。
【0022】
本発明の太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物は、180℃で溶融粘度が0.5〜9Pa−secであるポリプロピレンカーボネートを用いることができる。これを押出成形してフィルムに製造したものを用いることができる。若しくは、ポリエチレンカーボネートとポリプロピレンカーボネートランダム重合体を用いることができる。このために二酸化炭素とアルキレンオキシドの共重合の際に、アルキレンオキシドに対してプロピレンオキシドとエチレンオキシドを所定割合で混合して三元共重合体(terpolymer)を製造する。エチレンオキシドの含量が高くなるほど水分遮断性は高くなるが、ガラス転移温度が低くなってフィルムの強度が低くなるため、原料中のエチレンオキシドの含量を50重量%以下とする。
【0023】
また、本発明は、脂肪族ポリカーボネート製造の際に下記化学式2で表される錯化合物を触媒として用いることを特徴とする。
【化2】
[式中、Mは、3価のコバルトまたは3価のクロムであり、Aは、酸素または硫黄原子であり、Qは、(C6〜C30)アリーレン、(C1〜C20)アルキレン、(C2〜C20)アルケニレン、(C2〜C20)アルキニレンまたは(C3〜C20)シクロアルキレンであり、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、第一級(C1−C20)アルキルであり、R
3〜R
10は、それぞれ独立して、水素;ハロゲン;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;(C1−C20)アルコキシ;(C6−C30)アリールオキシ;ホルミル;(C1−C20)アルキルカルボニル;(C6−C20)アリールカルボニル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、前記R
1〜R
10のうち二つが互いに連結されて環を形成していてもよく、前記R
3〜R
10のうち少なくとも三つ以上は、下記化学式a、化学式bおよび化学式cからなる群から選択されるプロトン基であり、
【化3】
Zは、窒素またはリンであり、R
11、R
12、R
13、R
21、R
22、R
23、R
24およびR
25は、それぞれ独立して、(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R
11、R
12およびR
13のうち二つまたはR
21、R
22、R
23、R
24およびR
25のうち二つが互いに連結されて環を形成していてもよく、R
31、R
32およびR
33は、それぞれ独立して、水素;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R
31、R
32およびR
33のうち二つは互いに連結されて環を形成していてもよく、X’は、酸素、硫黄またはN−R(ここで、Rは、(C1−C20)アルキル)であり、aは、R
3〜R
10が含むプロトン基の数+1であり、bは、1以上の整数であり、硝酸または酢酸アニオンは、Mに配位していてもよい。]
【0024】
また、前記化学式2で表される錯化合物において、Mは、3価のコバルトであり、Aは、酸素であり、Qは、トランス−1,2−シクロヘキシレン、フェニレンまたはエチレンであり、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、メチルまたはエチルであり、R
3〜R
10は、それぞれ独立して、水素または−[YR
413−m{(CR
42R
43)
nN
+R
44R
45R
46}
m]であり、Yは、CまたはSiであり、R
41、R
42、R
43、R
44、R
45およびR
46は、それぞれ独立して、水素;(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル;(C2−C20)アルケニル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C2−C20)アルケニル;(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C1−C20)アルキル(C6−C20)アリール;(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;ハロゲン、窒素、酸素、珪素、硫黄およびリンのいずれか一つ以上を含む(C6−C20)アリール(C1−C20)アルキル;またはヒドロカルビルで置換された14族金属のメタロイドラジカルであり、R
44、R
45およびR
46のうち二つは、互いに連結されて環を形成していてもよく、mは、1〜3の整数であり、nは、1〜20の整数であり、ただし、mが1の場合、R
3〜R
10のうち少なくとも三つ以上は、−[YR
413−m{(CR
42R
43)
nN
+R
44R
45R
46}
a]であり、mが2の場合、R
3〜R
10のうち少なくとも二つ以上は、−[YR
413−m{(CR
42R
43)
nN
+R
44R
45R
46}
m]であり、mが3の場合、R
3〜R
10のうち一つ以上は、−[YR
413−m{(CR
42R
43)
nN
+R
44R
45R
46}
m]である。
【0025】
本発明は、前記太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物を用いた太陽光モジュール封止フィルムを提供する。
【0026】
前記封止フィルムは、フロントシートまたはバックシートであることを特徴とし、太陽光モジュールは、強化ガラス;前記強化ガラスの下部に付着するフロントシート;前記フロントシートの下部に付着する太陽電池セル;および前記太陽電池セルの下部に付着するバックシート;が積層されたものを意味する。
【0027】
本発明による太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物からなるフロントシート、バックシートまたはフロントシートおよびバックシートは、透明性に非常に優れ、紫外線に対する耐久性に優れるだけでなく、ガラスに対する接着力が高くて接着剤無しで用いることができ、より強い接着力のために接着剤を用いる場合、フィルム表面の濡れ性に優れ、極性が高くて様々な接着剤との相溶性に優れる。
【0028】
このように透明性および接着性を高めることで、フィルムの厚さを厚くしても透光度の損失が少なくてガラスの安全性を高めることができ、接着剤無しで用いることができてラミネーション工程を簡単にする利点がある。
【0029】
また、前記フロントシート、バックシート、または前記フロントシートおよびバックシートは、有機シランでコーティングされて、紫外線や可視光線に対する反応性を低減した二酸化チタンを顔料としてさらに含んでもよい。前記顔料をさらに含むことで、ガラスとの接着力をさらに強化することができ、耐候性、光反射度などの基本的な物性以外にも接着性を強化して封止効果を高めた太陽光モジュールを提供することができる。
【0030】
前記フロントシートは、透湿度が65g/m
2−day以下であり、透気度が5cc/100in
2−24h−atm−mil以下であることを特徴とし、バックシートは、同様な水分および気体遮断性を有し、可視光線の反射度が97%以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明による太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物は、太陽光モジュールのフロントシート、バックシート、またはフロントシートおよびバックシートに適用されて、透明性に非常に優れ、紫外線に対する耐久性に優れるだけでなく、ガラスに対する接着力が高くて接着剤無しで用いることができ、より強い接着力のために接着剤を用いる場合、フィルム表面の濡れ性に優れ、極性が高くて様々な接着剤との相溶性に優れる。
【0032】
また、前記フロントシート、バックシート、または前記フロントシートおよびバックシートは、有機シランでコーティングされた二酸化チタンを顔料としてさらに含むことで、ガラスとの接着力をさらに強化することができ、耐候性、光反射度などの物性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明は、下記の実施例を参照してより容易に理解することができ、下記の実施例は、本発明における例示のためのものであって、本発明の保護範囲を制限するためのものではない。
【0034】
[試験例]
ポリプロピレンカーボネートシート(50μm)を押出機を用いて作製する。透湿度は、ISO 15106に準じて測定し、剥離(Peel)強度は、GB/T2790に準じて測定した。引張強度は、GB/T1040に準じて測定した。
【0035】
[製造例1]3−メチル−5−[{BF
4−Bu
3N
+(CH
2)
3}
2CH}]−サリチルアルデヒド化合物の合成
下記構造のリガンドを加水分解して、標記の化合物を製造した。化合物は、既に公知の方法(Angew. Chem. Int. Ed., 2008,47,7306−7309)にしたがって合成した。
【0036】
【化4】
構造式1の化合物(0.500g、0.279mmol)をメチレンクロライド(4mL)に溶かした後、HI水溶液(2N、2.5mL)を加えて、3時間70℃で攪拌した。水層を除去し、メチレンクロライド層を水で洗浄した後、無数塩化マグネシウムで水分を除去した後、溶媒を減圧下で除去した。メチレンクロライド/エタノール(10:1)混合溶液を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、0.462gの3−メチル−5−[{I
−Bu
3N
+(CH
2)
3}
2CH}]−サリチルアルデヒドを得た(収率、95%)。この化合物をエタノール(6mL)に溶かし、これにAgBF
4(0.225g、1.16mmol)を加えた。1.5時間常温で攪拌した後、ろ過した。溶媒を減圧して除去し、メチレンクロライド/エタノール(10:1)混合溶液を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、0.410gの3−メチル−5−[{BF
4−Bu
3N
+(CH
2)
3}
2CH}]−サリチルアルデヒド化合物を得た(100%)。
【0037】
1H NMR(CDCl
3): δ 11.19(s, 1H, OH), 9.89(s, 1H, CHO), 7.48(s, 1H, m−H), 7.29(s, 1H, m−H), 3.32−3.26(m, 4H, −NCH
2), 3.10−3.06(m, 12H, −NCH
2), 2.77(septet, J = 6.8 Hz, 1H, −CH−), 2.24(s, 3H, −CH
3), 1.76−1.64(m, 8H, −CH
2), 1.58−1.44(m, 16H, −CH
2), 1.34−1.29(m, 8H, −CH
2), 0.90(t, J = 7.6 Hz, 18H, CH
3)ppm.
13C {
1H} NMR(CDCl
3): δ 197.29, 158.40, 136.63, 133.48, 130.51, 127.12, 119.74, 58.23, 40.91, 32.51, 23.58, 19.48, 18.82, 15.10, 13.45 ppm.
【0038】
[製造例2]錯化合物1の合成
前記製造例1の3−メチル−5−[{BF
4−Bu
3N
+(CH
2)
3}
2CH}]−サリチルアルデヒド化合物から下記化学式13の錯化合物1を合成した。
【0040】
エチレンジアミンジヒドロクロライド(10mg、0.074mmol)、ナトリウムt−ブトキシド(14mg)、および製造例1で製造された3−メチル−5−[{BF
4−Bu
3N
+(CH
2)
3}
2CH}]−サリチルアルデヒド化合物(115mg)をドライボックス内でバイアルに質量を測って入れ、これにエタノール(2mL)を加えた後、常温で一晩中攪拌した。反応混合物をろ過してろ液を取り、エタノールを減圧下で除去した。メチレンクロライドにまた溶かし、再度ろ過を行った。溶媒を減圧下で除去した後、Co(OAc)
2(13mg、0.074mmol)とエタノール(2mL)を加えた。反応混合物を常温で3時間攪拌した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた化合物をジエチルエーテル(2mL)で二回洗浄して、固形の化合物を得た。この固形の化合物をメチレンクロライド(2mL)にまた溶かし、2,4−ジニトロフェノール(14mg、0.074mmol)を加えた後、酸素存在下で3時間攪拌した。反応混合物にナトリウム2,4−ジニトロフェノレート(92mg、0.44mmol)を加えて一晩中攪拌した。セライトを用いてろ過し、溶媒を除去して濃褐色の固体化合物を得た(149mg、100%)。
【0041】
1H NMR(dmso−d
6,
40℃): δ 8.84(br, 2H,(NO
2)
2C
6H
3O), 8.09(br, 2H,(NO
2)
2C
6H
3O), 8.04(s, 1H, CH=N), 7.12(s, 2H, m−H), 6.66(br, 2H,(NO
2)
2C
6H
3O), 4.21(br, 2H, ethylene−CH
2), 3.35−2.90(br, 16H, NCH
2), 2.62(s, 3H, CH
3), 1.91(s, 1H, CH), 1.68−1.42(br, 20H, CH
2), 1.19(br, 12H, CH
2), 0.83(br, 18H, CH
3)ppm.
1H NMR(THF−d
8,
20℃): δ 8.59(br, 1H,(NO
2)
2C
6H
3O), 8.10(br, 1H,(NO
2)
2C
6H
3O), 7.93(s, 1H, CH=N), 7.88(br, 1H,(NO
2)
2C
6H
3O), 7.05(s, 1H, m−H), 6.90(s, 1H, m−H), 4.51(s, 2H, ethylene−CH
2), 3.20−2.90(br, 16H, NCH
2), 2.69(s, 3H, CH
3), 1.73(s, 1H, CH), 1.68−1.38(br, 20H, CH
2), 1.21(m, 12H, CH
2), 0.84(t, J = 6.8 Hz, 18H, CH
3)ppm.
1H NMR(CD
2Cl
2, 20℃): δ 8.43(br, 1H,(NO
2)
2C
6H
3O), 8.15(br, 1H,(NO
2)
2C
6H
3O), 7.92(br, 1H,(NO
2)
2C
6H
3O), 7.79(s, 1H, CH=N), 6.87(s, 1H, m−H), 6.86(s, 1H, m−H), 4.45(s, 2H, ethylene−CH
2), 3.26(br, 2H, NCH
2), 3.0−2.86(br, 14H, NCH
2), 2.65(s, 3H, CH
3), 2.49(br, 1H, CH), 1.61−1.32(br, 20H, CH
2), 1.31−1.18(m, 12H, CH
2), 0.86(t, J = 6.8 Hz, 18H, CH
3)ppm.
13C{
1H} NMR(dmso−d
6, 40℃): δ 170.33, 165.12, 160.61, 132.12(br), 129.70, 128.97, 127.68(br), 124.51(br), 116.18(br), 56.46, 40.85, 31.76, 21.92, 18.04, 16.16, 12.22 ppm.
15N{
1H} NMR(dmso−d
6, 20℃): δ −156.32, −159.21 ppm.
15N{
1H} NMR(THF−d
8,
20℃): δ −154.19 ppm.
19F{
1H} NMR(dmso−d
6, 20℃): δ −50.63, −50.69 ppm.
【0042】
[製造例3]二酸化炭素/プロピレンオキシドを用いた共重合体(PPC)の合成
3Lのオートクレーブ反応器(autoclave reactor)に錯化合物(0.454g、単量体/触媒比によって計算された量)が溶解されたプロピレンオキシド(1162g、20.0mol)をカニューレを介して注入した。錯化合物は、製造例2によって製造された錯化合物1を用いた。反応器に二酸化炭素を17barの圧力で注入し、予め温度を70℃に設定した循環式恒温水槽(Circulation Water Bath)で反応器の温度を上げながら攪拌を開始した。30分後、二酸化炭素の圧力が下がり始める時点の時間を測定して記録し、その時点後、反応を2時間行ってから二酸化炭素の脱ガスを行って反応を終了した。得られた粘液性の溶液にプロピレンオキシド830gをさらに投入して溶液の粘度を下げた後、シリカゲル(50g、メルク社製、0.040〜0.063mmの粒径(230〜400メッシュ)パッドを通過させて無色の溶液を得た。単量体を真空減圧して除去し、白色の固体283gを得た。得られた高分子の重量平均分子量(Mw)は290,000であり、多分散指数(PDI、Polydispersity Index)は1.30であった。得られた高分子の重量平均分子量と多分散指数は、GPCを用いて測定した。
【0043】
[製造例4]二酸化炭素/プロピレンオキシド/シクロヘキセンオキシドを用いた三元共重合体(CO
2/PO/CHO Terpolymer)の合成
3Lのオートクレーブ反応器(autoclave reactor)に錯化合物(0.406g、単量体/触媒比によって計算された量)が溶解されたプロピレンオキシド(622.5g、10.72mol)、シクロヘキセンオキシド(701.2g、7.14mol)をカニューレを介して注入した。錯化合物は、製造例2によって製造された錯化合物1を用いた。反応器に二酸化炭素を17barの圧力で注入し、予め温度を80℃に設定した循環式恒温水槽(Circulation Water Bath)で反応器の温度を上げながら攪拌を開始した。30分後、二酸化炭素の圧力が下がり始める時点の時間を測定して記録し、その時点後、反応を2時間行ってから二酸化炭素の脱ガスを行って反応を終了した。得られた粘液性の溶液にプロピレンオキシド830gをさらに投入して溶液の粘度を下げた後、シリカゲル(50g、メルク社製、0.040〜0.063mmの粒径(230〜400メッシュ)パッドを通過させて無色の溶液を得た。単量体を真空減圧して除去し、白色の固体283gを得た。
【0044】
得られた高分子の重量平均分子量(Mw)は210,000であり、多分散指数(PDI、Polydispersity Index)は1.26であり、高分子内におけるシクロヘキセンカーボネートの割合は25mol%であった。得られた高分子の重量平均分子量と多分散指数はGPCを用いて測定し、高分子内におけるシクロヘキセンカーボネートの割合は
1H NMRスペクトルを分析して計算した。
【0045】
[実施例1]
PPCペレットと、紫外線吸収剤0.3phr、酸化防止剤0.5phrを配合して押出した後、また、ルチル構造の二酸化チタンを配合して押出した後、バックシートを作製した。これらシートの物性を測定し、ガラスに熱接着した後、下記の実験を行った。
【0046】
[実施例2]
ポリプロピレンシクロヘキセンカーボネート三元共重合体(Poly(propylene−cyclohexene carbonate terpolymer;PPCC)ペレットに、紫外線吸収剤0.3phr、酸化防止剤0.5phrを混合して押出加工した後、また、同PPCC組成物にルチル構造の二酸化チタンを配合してツイン押出機で押出した後、バックシートを作製した。このシートの物性を測定し、ガラスに熱接着した後、表1の項目を評価した。
【0047】
[比較例1]
ビニルアセテートの含量が30%であるエチレンビニルアセテート(EVA)に、紫外線吸収剤0.3phr、酸化防止剤0.5phrを押出加工法で配合し、また、ルチル構造の二酸化チタンを配合して、押出加工によりバックシートを作製した。同シートをガラスに熱接着した後、下記の表1の項目を評価した。
【0049】
前記の表1を参照すると、本発明による脂肪族ポリカーボネートを含む太陽光モジュール封止フィルム用の樹脂組成物を用いた太陽光モジュールは、既存のEVAと比較して、光透過性に優れ、接着力が同等水準以上であることを確認することができた。
【国際調査報告】