特表2015-503507(P2015-503507A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2015-503507RalGTPアーゼを標的とする抗がん化合物及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-503507(P2015-503507A)
(43)【公表日】2015年2月2日
(54)【発明の名称】RalGTPアーゼを標的とする抗がん化合物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20150106BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20150106BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20150106BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150106BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20150106BHJP
   A61K 31/4162 20060101ALI20150106BHJP
   A61K 31/5513 20060101ALI20150106BHJP
   A61K 31/505 20060101ALI20150106BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20150106BHJP
   A61K 31/366 20060101ALI20150106BHJP
【FI】
   A61K45/00
   A61P35/00
   A61P35/04
   A61P43/00 111
   A61P37/04
   A61K31/4162
   A61K31/5513
   A61K31/505
   A61K31/437
   A61K31/366
   A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】78
(21)【出願番号】特願2014-548963(P2014-548963)
(86)(22)【出願日】2012年12月21日
(85)【翻訳文提出日】2014年8月8日
(86)【国際出願番号】US2012071341
(87)【国際公開番号】WO2013096820
(87)【国際公開日】20130627
(31)【優先権主張番号】61/578,869
(32)【優先日】2011年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】509001010
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニヴァーシティ オブ コロラド,ア ボディ コーポレイト
(71)【出願人】
【識別番号】514156301
【氏名又は名称】ユニヴァーシティー オブ ヴァージニア パテント ファンデーション
(71)【出願人】
【識別番号】505407553
【氏名又は名称】インディアナ ユニヴァーシティ リサーチ アンド テクノロジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セオドレスク ダン
(72)【発明者】
【氏名】ウェンペ マイケル フィッツパトリック
(72)【発明者】
【氏名】ロス デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】マーロウ サミー
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ マーティン エー.
(72)【発明者】
【氏名】リーガン フィリップ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084MA16
4C084MA22
4C084MA23
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA41
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB092
4C084ZB261
4C084ZC201
4C084ZC202
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA07
4C086BC42
4C086BC56
4C086CB05
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は哺乳動物においてRal GTPアーゼを阻害することによって哺乳動物におけるがんの成長又は転移を阻害する方法を提供する。本発明は、本発明の方法に有用なRal GTPアーゼの小分子阻害剤と、治療に効果的な本発明の化合物を含有する医薬組成物と、それを使用する方法とを更に提供する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体においてがんを防止、治療、改善する、又はがんの転移を防止する方法であって、Ral GTPアーゼを阻害する化合物を治療に効果的な量、それを必要とする個体に投与することを含む方法。
【請求項2】
前記化合物がRalA又はRalBの少なくとも一方を阻害する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物がRalGDPに結合し、RalGTPには結合しない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物が、
【化1】
(6−アミノ−4−(2,5−ジメトキシフェニル)−3−(ナフタレン−2−イル)−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル);
【化2】
(11−(2−クロロフェニル)−10−ペンタノイル−2,3,4,5,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン−1−オン);
【化3】
(6−アミノ−4−(3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル);
【化4】
(2−(6−(4−エチルフェニル)−2−p−トリル−2,3,4,5−テトラヒドロピリミジン−4−イル)フェノール);及び
【化5】
(2−(2−(2−メトキシフェニル)−6−(4−メトキシフェニル)−2,3,4,5−テトラヒドロピリミジン−4−イル)フェノール);
からなる群から選択される少なくとも1つの化合物、並びにその薬学的に許容可能なエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体及び塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物が、
【化6】
からなる群から選択される少なくとも1つの化合物、並びにその薬学的に許容可能なエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体及び塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物が、下記構造:
【化7】
を有する化合物、並びにその薬学的に許容可能なエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体及び塩であり、
式中、
nは0〜5であり、
X、Y、Y’、Z及びZ’は個々に、C、N又はN−オキシドから選択され、
〜Rは独立して(X、Y又はZがCである場合を含む)、水素、ハロゲン、−OH、−O−R10、C〜C24アルキル、C〜C24アルケニル、C〜C24ジエニル、C〜C24トリエニル、C〜C24テトラエニル、C〜C18アリール、置換C〜C18アリール、C〜C14アルコキシ、カルボキシ、シアノ、C〜C14アルカノイルオキシ、C〜C14アルキルチオ、C〜C14アルキルスルホニル、C〜C14アルコキシカルボニル、C〜C14アルカノイルアミノ、S−R10、−SO−R10、−NHSO10及び−NHCO10から選択され、
10は、C〜Cアルキル、C〜C10アリール、C〜Cアルコキシ、ハロゲン及びC〜C20ヒドロキシヘテロアリールから選択される1つ〜3つの基で任意に置換された、フェニル又はナフチルであり、ここでヘテロ原子は硫黄、窒素及び酸素からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が、下記構造:
【化8】
を有する化合物、並びにその薬学的に許容可能なエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体及び塩であり、
式中、
nは0〜5であり、
A、B、M及びDは個々に、C、N又はN−オキシドから選択され、
、R、R、R、R11、R12、R13は独立して(B、M又はDが炭素である場合を含む)、水素、ハロゲン、−OH、−O−R14、C〜C24アルキル、C〜C24アルケニル、C〜C24ジエニル、C〜C24トリエニル、C〜C24テトラエニル、C〜C18アリール、置換C〜C18アリール、C〜C14アルコキシ、カルボキシ、シアノ、C〜C14アルカノイルオキシ、C〜C14アルキルチオ、C〜C14アルキルスルホニル、C〜C14アルコキシカルボニル、C〜C14アルカノイルアミノ、S−R14、−SO−R12、−NHSO14及び−NHCO14から選択され、
14は、C〜Cアルキル、C〜C10アリール、C〜Cアルコキシ及びハロゲン、並びにC〜C20ヒドロキシヘテロアリールから選択される1つ〜3つの基で置換された、フェニル又はナフチルであり、ここでヘテロ原子は硫黄、窒素及び酸素からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記化合物が医薬組成物内において哺乳動物に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記医薬組成物が、治療に効果的な量の前記化合物と、薬学的に許容可能な担体とから本質的になる、非経口投与又は経口投与に適した単相医薬組成物である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が、1つ若しくは複数のI型ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ(GGTアーゼ−I)阻害剤、外科手術、化学療法、放射線療法、免疫療法、又はそれらの組合せと併せて投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
下記構造:
【化9】
を有する化合物、並びにその薬学的に許容可能なエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体及び塩であり、
式中、
nは0〜5であり、
X、Y、Y’、Z及びZ’は個々に、C、N又はN−オキシドから選択され、
〜Rは独立して(X、Y又はZがCである場合を含む)、水素、ハロゲン、−OH、−O−R10、C〜C24アルキル、C〜C24アルケニル、C〜C24ジエニル、C〜C24トリエニル、C〜C24テトラエニル、C〜C18アリール、置換C〜C18アリール、C〜C14アルコキシ、カルボキシ、シアノ、C〜C14アルカノイルオキシ、C〜C14アルキルチオ、C〜C14アルキルスルホニル、C〜C14アルコキシカルボニル、C〜C14アルカノイルアミノ、S−R10、−SO−R10、−NHSO10及び−NHCO10から選択され、
10は、C〜Cアルキル、C〜C10アリール、C〜Cアルコキシ、ハロゲン及びC〜C20ヒドロキシヘテロアリールから選択される1つ〜3つの基で任意に置換された、フェニル又はナフチルであり、ここでヘテロ原子は硫黄、窒素及び酸素からなる群から選択される、化合物。
【請求項12】
下記構造:
【化10】
を有する化合物、並びにその薬学的に許容可能なエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体及び塩であり、
式中、
nは0〜5であり、
A、B、M及びDは個々に、C、N又はN−オキシドから選択され、
、R、R、R、R11、R12、R13は独立して(B、M又はDが炭素である場合を含む)、水素、ハロゲン、−OH、−O−R14、C〜C24アルキル、C〜C24アルケニル、C〜C24ジエニル、C〜C24トリエニル、C〜C24テトラエニル、C〜C18アリール、置換C〜C18アリール、C〜C14アルコキシ、カルボキシ、シアノ、C〜C14アルカノイルオキシ、C〜C14アルキルチオ、C〜C14アルキルスルホニル、C〜C14アルコキシカルボニル、C〜C14アルカノイルアミノ、S−R14、−SO−R12、−NHSO14及び−NHCO14から選択され、
14は、C〜Cアルキル、C〜C10アリール、C〜Cアルコキシ及びハロゲン、並びにC〜C20ヒドロキシヘテロアリールから選択される1つ〜3つの基で置換された、フェニル又はナフチルであり、ここでヘテロ原子は硫黄、窒素及び酸素からなる群から選択される、化合物。
【請求項13】
少なくとも1つの請求項4〜7及び10〜12のいずれか一項に記載の化合物と、少なくとも1つの医薬賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の医薬組成物を含む医薬パッケージ。
【請求項15】
請求項13に記載の医薬組成物と、該組成物についての処方情報と、容器とを備える、医薬キット。
【請求項16】
Ral−GTPアーゼタンパク質結合活性を阻害する方法であって、Ralタンパク質を、GTP結合に続いて起こるRalタンパク質の立体構造の変化を防ぐ化合物に接触させることを含む、方法。
【請求項17】
前記化合物が請求項4〜7及び10〜12のいずれか一項に記載の化合物である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が、exo84、sec5及びRalBP1から選択される少なくとも1つのRal関連タンパク質とのRalタンパク質結合を妨げる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が、filamin A、PLD1及びZONABから選択される少なくとも1つの更なるRal関連タンパク質とのRalタンパク質結合を妨げる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
被験体においてがんを治療する方法であって、該被験体においてexo84、sec5、RalBP1、filamin A、PLD1及びZONABから選択されるRalタンパク質の結合を阻害することを含む、方法。
【請求項21】
個体における前記タンパク質の結合が、請求項4〜7及び10〜12のいずれか一項に記載の化合物の存在下において阻害される、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[技術分野]
本発明は、治療用化合物と、該治療用化合物を含有する医薬組成物と、がんの防止又は治療における該治療用化合物の使用とに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は2011年12月21日に出願された米国仮出願第61/578,869号の利益を主張するものであり、該仮出願はその全体が援用により本明細書の一部をなす。
【0003】
[政府利益]
本発明は、米国立衛生研究所により付与された認可番号CA075115、CA104106及びCA143971の下で政府による支援を受けている。米国政府は本発明に対して一定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
Rasは、がんにおいて任意の他のがん遺伝子よりも高頻度で突然変異している。このことから、合理的に設計された抗がん薬の開発の上でRasが注目されているが、これまでのところ開発には成功していない。1989年に、いくつかのグループがRasタンパク質のファルネシル脂質による翻訳後修飾がRas膜結合及び形質転換に必須であることを示した。続いてファルネシルトランスフェラーゼ(FTアーゼ)が精製され、特性決定されてその後間もなく、Rasをゲラニルゲラニル脂質で修飾する第2のプレニルトランスフェラーゼであるI型ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ(GGTアーゼ−I)が発見された。GGTアーゼ−I阻害剤(GGTI)が研究され、少なくとも1つのかかる阻害剤であるGGTI−2417は、MiaPaCa2膵臓がん細胞株のin vitro成長及び生存を阻害することが分かっている。しかしながら、これらの阻害効果はあまり大きくなく、GGTIによる臨床試験は行われていない。
【0005】
RalA及びRalBは、およそ85%のアミノ酸同一性を有し、エンドサイトーシス、エキソサイトーシス、アクチン細胞骨格の動態、及び転写を調節する働きがあるRasモノマーGタンパク質のファミリー内のパラログである。Rasと同様に、Ralタンパク質も腫瘍発生及び転移に関与している。Ral GTPアーゼは、RalGDSを含むいくつかのグアニジンヌクレオチド交換因子を介してRas依存的に活性化し得る。Ral経路の活性化がヒト細胞の形質転換に必要であることが分かっており(非特許文献1、非特許文献2)、Ras媒介性形質転換はRalAの活性化に依存する(非特許文献3)。RalA及びRalBは膀胱がん及び他のがんにおける転移関連遺伝子であるCD24を転写調節する働きもある(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Rangarajan A, Hong SJ, Gifford A, Weinberg RA. Species- and cell type-specific requirements for cellular transformation. Cancer Cell 2004;6:171-83
【非特許文献2】Hamad NM, Elconin JH, Karnoub AE, et al. Distinct requirements for Ras oncogenesis in human versus mouse cells. Genes Dev 2002;16:2045-57
【非特許文献3】Lim KH, Baines AT, Fiordalisi JJ, et al. Activation of RalA is critical for Ras-induced tumorigenesis of human cells. Cancer Cell 2005;7:533-45
【非特許文献4】Smith SC, Oxford G, Wu Z, et al. The metastasis associated gene CD24 is regulated by Ral GTPase and is a mediator of cell proliferation and survival in human cancer. Cancer Res 2006;66:1917-22
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、Ral GTPアーゼは固形腫瘍及びこれらのがんの転移の防止及び治療の強力な(compelling)治療標的であり、がんの治療及び防止に効果的なRal GTPアーゼ阻害方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はRal GTPアーゼを阻害することができる分子と、哺乳動物におけるがんの成長及び転移を抑える又は遅らせるためのこれらの分子の治療的使用とを提供する。
【0009】
本発明者らは、新規のコンピューターアルゴリズムを用いて、RalAタンパク質結晶構造においてヌクレオチド結合部位とは離れて位置し、タンパク質のGDP(不活性)立体構造には存在するが、GTP(活性)立体構造には存在しないポケットを特定している。RalAの3Dモデルに基づきRalBのスレッデッド(threaded)3Dモデル(RalBは結晶化していない)を用いて、このポケットがRalAパラログ及びRalBパラログの両方に共通するものであり、そのためこのアロステリック部位への小分子結合がRalA又はRalBを不活性立体構造に閉じ込めることを示した。500000種の化学物質のコンピュータースクリーニングによって、このポケットにドッキングする88種の高ストリンジェントな候補物質が特定された。
【0010】
92167メンバーコードビーズ系コンビナトリアルライブラリを用いたGDP負荷RalBタンパク質による不偏スクリーニングによって、不活性RalBに結合する11種の化合物が特定された。これらの化合物の推定ドッキング部位のコンピューターによる決定によって、RalA構造を用いたコンピュータースクリーニングにより見出されたポケットと同一の両Ralパラログに存在する単一部位が得られた。
【0011】
したがって、本発明者らによって用いられたこれら2つの相補的なアプローチによって、これらのタンパク質においてヌクレオチド結合ポケットとは異なる、両パラログに存在する類似の標的部位が特定された。これらの分析から、Ral関連タンパク質exo84、sec5及びRalBP1とのRalタンパク質の結合を妨げるRal GTPアーゼ阻害剤が特定された。特定されたRal GTPアーゼ阻害剤は、GTP結合に伴って起こるRalAの立体構造の変化を防ぐのに使用することができ、このようにしてエフェクターの関与(engagement)及び下流のシグナル伝達を抑える。これらの阻害剤は酵素の活性部位に位置するヌクレオチド結合空洞(binding cavity)とは離れて位置するRalタンパク質ポケット内で結合する。加えて、filamin A、PLD1及びZONAB等のタンパク質を含む、Ralタンパク質上の他の結合部位によってRalと結合する他のRal結合タンパク質は、特定された本発明の阻害剤化合物の存在下においてRalに結合するのが抑えられ得る。
【0012】
化合物を、ヒトがん細胞、特に膀胱、膵臓、前立腺、結腸、皮膚及び肺のがんの成長を阻害する効能についてin vitroで評価し、それにより本発明の治療法に至った。
【0013】
このため、本発明はRal GTPアーゼを阻害することができる化合物を提供する。本発明はこれらの化合物を含有する医薬組成物も提供する。本発明は更に、がんを治療又は防止するのにこれらの化合物及び医薬組成物を使用する方法を提供する。
【0014】
一実施の形態は、Ral GTPアーゼ阻害活性を有するとともに、下記化学構造(式1):
【化1】
【0015】
を有する本発明の化合物、並びにその薬学的に許容可能なエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体及び塩であり、
式中、
nは0〜5であり、
X、Y、Y’、Z及びZ’は個々に、C、N又はN−オキシドから選択され、
〜Rは独立して(X、Y又はZがCである場合を含む)、水素、ハロゲン、−OH、−O−R10、C〜C24アルキル、C〜C24アルケニル、C〜C24ジエニル、C〜C24トリエニル、C〜C24テトラエニル、C〜C18アリール、置換C〜C18アリール、C〜C14アルコキシ、カルボキシ、シアノ、C〜C14アルカノイルオキシ、C〜C14アルキルチオ、C〜C14アルキルスルホニル、C〜C14アルコキシカルボニル、C〜C14アルカノイルアミノ、S−R10、−SO−R10、−NHSO10及び−NHCO10から選択され、
10は、C〜Cアルキル、C〜C10アリール、C〜Cアルコキシ、ハロゲン及びC〜C20ヒドロキシヘテロアリールから選択される1つ〜3つの基で任意に置換された、フェニル又はナフチルであり、ここでヘテロ原子は硫黄、窒素及び酸素からなる群から選択される。
【0016】
別の実施の形態は、Ral GTPアーゼ阻害活性を有するとともに、下記構造:
【化2】
【0017】
を有する本発明の化合物、並びにその薬学的に許容可能なエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体及び塩であり、
式中、
nは0〜5であり、
A、B、M及びDは個々に、C、N又はN−オキシドから選択され、
、R、R、R、R11、R12、R13は独立して(B、M又はDが炭素である場合を含む)、水素、ハロゲン、−OH、−O−R14、C〜C24アルキル、C〜C24アルケニル、C〜C24ジエニル、C〜C24トリエニル、C〜C24テトラエニル、C〜C18アリール、置換C〜C18アリール、C〜C14アルコキシ、カルボキシ、シアノ、C〜C14アルカノイルオキシ、C〜C14アルキルチオ、C〜C14アルキルスルホニル、C〜C14アルコキシカルボニル、C〜C14アルカノイルアミノ、S−R14、−SO−R12、−NHSO14及び−NHCO14から選択され、
14は、C〜Cアルキル、C〜C10アリール、C〜Cアルコキシ及びハロゲン、並びにC〜C20ヒドロキシヘテロアリールから選択される1つ〜3つの基で置換された、フェニル又はナフチルであり、ここでヘテロ原子は硫黄、窒素及び酸素からなる群から選択される。
【0018】
別の実施の形態は、Ral GTPアーゼ阻害活性を有するとともに、
【化3】
【0019】
及び
から選択される構造を有する本発明の化合物、並びにその薬学的に許容可能なエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体及び塩である。
【0020】
本発明の一実施の形態は、がんの治療を必要とする哺乳動物に、Ral GTPアーゼ酵素活性を阻害する化合物を治療に効果的な量投与することによってがんを治療する方法である。この実施の形態の一態様では、該化合物がRal GTPアーゼの少なくとも一方のパラログ(RalA又はRalBのいずれか)を阻害し、それによりがんの成長又は転移が阻害される。この実施の形態の好ましい態様では、該化合物はRalAパラログ及びRalBパラログの両方を阻害する。この実施の形態の別の態様では、該化合物は、化学構造:
【0021】
【化4】
【0022】
RBC8(6−アミノ−4−(2,5−ジメトキシフェニル)−3−(ナフタレン−2−イル)−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル);
【0023】
【化5】
【0024】
RBC10(11−(2−クロロフェニル)−10−ペンタノイル−2,3,4,5,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン−1−オン);
【0025】
【化6】
【0026】
RBC6(6−アミノ−4−(3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル);
【0027】
【化7】
【0028】
RBC84(2−(6−(4−エチルフェニル)−2−p−トリル−2,3,4,5−テトラヒドロピリミジン−4−イル)フェノール);及び、
【0029】
【化8】
【0030】
RBC83(2−(2−(2−メトキシフェニル)−6−(4−メトキシフェニル)−2,3,4,5−テトラヒドロピリミジン−4−イル)フェノール);
のいずれか1つを更に含む少なくとも1つの本発明の化合物、並びにその薬学的に許容可能なエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体及び塩である。
【0031】
哺乳動物においてがんを治療又は防止するこれらの方法の特定の実施の形態において、上記化合物は本発明の医薬組成物内において哺乳動物に投与される。
【0032】
そのため本発明の別の態様は、1つ又は複数の本発明の化合物を、少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体とともに含有する医薬組成物である。
【0033】
本発明の別の実施の形態は、転移性がんの治療を必要とする又はがん若しくはがんの転移の疑いがある哺乳動物に、治療に効果的な量の少なくとも1つの本発明の化合物を投与することによって、転移性がん、特に転移性の膵臓がん、前立腺がん、肺がん、膀胱がん、皮膚がん及び/又は結腸がんを防止又は治療する方法である。
【0034】
本発明の別の実施の形態は、本発明の化合物の少なくとも1つと、1つ又は複数の他の既知の抗がん治療又は抗炎症治療との治療的に効果的な組合せを施すことによってがんを治療する方法である。例えば、他の抗がん治療には、I型ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ(GGTアーゼ−I)阻害剤を含むプレニルトランスフェラーゼ阻害剤、外科手術、化学療法、放射線療法、免疫療法又はそれらの組合せが含まれ得る。
【0035】
哺乳動物においてがんを防止、治療又は予防する方法であって、本発明の医薬組成物のいずれかを治療に効果的な量、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む方法も本明細書において提供される。
【0036】
哺乳動物においてがんの転移を防止する方法であって、例えば少なくとも1つの本発明の化合物を含有する医薬組成物を含む少なくとも1つの化合物を治療に効果的な量、哺乳動物に投与することを含む方法も本明細書において提供される。
【0037】
少なくとも1つの本発明の化合物を医薬組成物内に治療に効果的な量含む医薬パッケージも本明細書において提供される。医薬組成物は哺乳動物においてがんの防止、治療又は改善に使用される他の化合物又は治療薬と別々に、同時に又は連続して投与することができる。これらのパッケージには、処方情報及び/又は容器も含まれ得る。存在する場合、処方情報は、単独での又は哺乳動物におけるがんの防止、治療若しくは改善に使用される他の治療薬と組み合わせたこれらの医薬組成物の投与及び/又は使用を説明するものであり得る。
【0038】
本発明の別の実施の形態は、哺乳動物における成長阻害又はがん細胞数若しくは腫瘍体積の低減を示すRal GTPアーゼ活性の推定阻害剤の投与に対する哺乳動物の応答を試験することによって、Ral GTPアーゼ活性の推定阻害剤による治療に対する肺がんを患う哺乳動物の感受性を試験する方法である。
【0039】
本発明の他の態様は、下記の実施形態の付随する記載において説明されるとともに、その記載から明らかとなり、又は本発明の実施によって認識することができる。しかしながら、下記の実施形態の記載は例示的に与えられているにすぎず、そのため本発明の趣旨及び範囲内での様々な変更及び修正が当業者にとって明らかとなり、本発明の範囲内に包含されることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】ヒト肺がん細胞株の成長に対する2つの本発明の化合物、RBC8及びRBC10の用量阻害活性を示す図である。
図2】本発明の推定Ral GTPアーゼ阻害剤のElisaによるスクリーニングの結果を示す図である。
図3】8つの本発明のRal GTPアーゼ阻害剤についてのRal活性化プルダウンアッセイの結果を示す図である。
図4】50μMの本発明のRal GTPアーゼ阻害化合物の存在下におけるRalBP1−RalA結合阻害のALPHAによるスクリーニングの結果を示す図である。
図5】マイクロモル投与量範囲に亘る8つの本発明のRal GTPアーゼ阻害化合物のRalBP1−RalA結合阻害のALPHAによるスクリーニングの結果を示す図である。
図6】1μM濃度の本発明のRal−GTPアーゼ阻害化合物のin vitroでのがん細胞成長阻害効果を示す図である。
図7A】KRAS野生型がん細胞株における本発明のRal−GTPアーゼ阻害化合物の濃度範囲に応じたin vitroでの成長阻害効果を示す図である。
図7B】KRAS突然変異型がん細胞株における本発明のRal−GTPアーゼ阻害化合物の濃度範囲に応じたin vitroでの成長阻害効果を示す図である。
図8】H2122細胞における本発明のRal−GTPアーゼ阻害化合物のin vitroでの細胞取込みを示す図である。
図9】IP投与後のH2122異種移植片における本発明のRal−GTPアーゼ阻害化合物の組織濃度を示す図である。
図10】本発明のRal−GTPアーゼ阻害化合物の連日投与後のH2122マウス異種移植片における腫瘍体積を示す図である。
図11】RalA枯渇siRNA及びRalB枯渇siRNAによる細胞の処理後のH2122マウス異種移植片における腫瘍体積を示す図である。
図12】本発明の化合物によるH2122マウス異種移植片におけるin vivoでのRalA及びRalB GTPアーゼ活性の阻害を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
腫瘍の樹立及び転移におけるその強力な臨床的重要性に基づき、本発明者らは、分子標的としてRal GTPアーゼを特定し使用している。全てのGTPアーゼと同様に、Ralの活性は不活性(GDP結合)立体構造と活性(GTP結合)立体構造との循環に応じたものである。活性Ralタンパク質は、Ral結合タンパク質1(RalBP1、RLIP76又はRIP1(37))、Sec5/Exo85、filamin及びホスホリパーゼD1を含む自身のエフェクター群を介して下流のプロセスを媒介する。そのため、Ral−GDPに結合し、Ral−GTPとは結合しない化合物を用いて、エフェクター結合を立体的に阻害し、及び/又はGTP結合状態に伴って起こる立体構造の変化を防ぎ、それによりシグナル伝送を遮断し、結果としてRal依存性がん細胞の成長の低減及びアポトーシスをもたらすことができる。これらの化合物は、コンビナトリアル化学ライブラリの仮想スクリーニングと物理的スクリーニングとの併用によって特定された。
【0042】
エフェクタータンパク質とのRalAタンパク質の相互作用を選択的に阻害するのに用いることができる潜在部位を特定するために、本発明者らによって開発されたコンピューターによるアプローチを用いて、RalAの三次元構造を分析した。これらの分析には、RalA−GDP、並びにexo84及びsec5と複合体を形成するRalA−GTPの使用が含まれていた。潜在タンパク質結合部位は、GTP結合に伴って起こるRalAの立体構造の変化を防ぐのに使用することができる分子を調整するのに十分な大きさである、Ral−GDPには存在するがRal−GTPには存在しないクレバス及び窪みを特徴とし、これによってエフェクターの関与及び下流のシグナル伝達が抑えられる。これらのポケットは酵素の活性部位に位置するヌクレオチド結合空洞とは離れて位置している。
【0043】
市販の化合物ライブラリのコンピューターによるスクリーニングを用いて、これらのアロステリックタンパク質ポケットにおいてドッキングする小分子を特定した。そうすることで、RalA−GDPをドッキング用に構築し、pH7でのChemDivライブラリ(v2006.5、500000種の化合物が含まれているが、反応基、既知のADME/毒性、又は「薬らしさ(drug-likeness)」パラメータを外れた物理化学的特性を備えるものは排除される(Lipinski's rule of 5及びVeber's Rule of 2))をZINCデータベースからダウンロードし(Irwin JJ, Shoichet BK. ZINC - A free database of commercially available compounds for virtual screening. J Chem Inf Model 2005;45:177-82)、特定されたアロステリック部位にドッキングさせた。AutoDockToolで提供されたリガンド調製モジュールによって、リガンド分子にガスタイガー電荷及び極性水素原子が割り当てられた。AutoDock4を使用して、ラマルク遺伝的アルゴリズムを用いて立体構造探索域に亘るリガンド結合エネルギーを評価した。自由結合エネルギーの正確な予測のために開発された方法を用いてランク付けされた上位88種の化合物を評価のために選択した。
【0044】
RalBの結晶構造が特定されていないことから、本発明者らは92167メンバーコードビーズ系ライブラリに対してGDP負荷RalBタンパク質をスクリーニングした。スクリーニングは500nMのFLAG−RalBとビーズのプールとの直接結合アッセイとして行った。各プールには、コードされた固定化化合物の複数のコピーが含まれていた。マウス抗FLAG、ヤギ抗マウスアルカリホスファターゼ複合体、及び析出基質BCIPを用いたELISAによって、FLAG−RalB結合時に可視青色を呈した。青色ビーズを物理的に分離して、質量分析によって解読した。この探索によって更なる評価のための11種の化合物が特定された。
【0045】
本発明者らは、既知のRalA結晶構造によるスレッディング(threading)アルゴリズムを用いてRalBの3D構造を構築した(Nicely NI, Kosak J, de Serrano V, Mattos C. Crystal structures of Ral-GppNHp and Ral-GDP reveal two binding sites that are also present in Ras and Rap. Structure (Camb) 2004;12:2025-36)。特定された理論的低エネルギー結合ポケットの「コンピューター内での(In silico)」分子モデリングを用いて、擬似RalBの表面上でコンビナトリアルヒットを特定した。驚くべきことに、このアプローチを用いて特定されたヒットはコンピューターによるモデリングアプローチによって特定されたRalA上の同じ相同ポケットに結合した。このようにして、RalAパラログ及びRalBパラログをモデリングする2つの異なるアプローチによって、ヌクレオチド(GDP)結合部位とは離れた、両タンパク質に存在する同一の分子標的部位が特定された。
【0046】
このコンピューター内でのモデリングに基づき、推定Ral阻害剤を設計し、必要に応じて購入又は合成した。次いで機能的特性評価を用いて、生細胞において推定GTPアーゼ阻害剤を評価した。分子標的部位に結合すると思われる99種の化合物の内、どれがRal活性を妨げるかを判断するのに2つの相補性スクリーニングを開発した。両アッセイは、任意の観察される機能的効果に生細胞への薬物浸透を必要とした細胞ベースのものであった。
【0047】
生化学的二次スクリーニングは、RalA又はRalBのいずれかの活性化(GTP結合)形態とRalBP1との結合の正準原理に基づくELISAであった。ELISAアッセイは広く用いられるRal活性化プルダウンアッセイから適合させたものであった(Oxford G, Owens CR, Titus BJ, et al. RalA and RalB: antagonistic relatives in cancer cell migration. Cancer Res 2005;65:7111-20)。GST親和性により細菌から精製した後、His6タグを介して金属−キレート誘導体化96ウェルマイクロプレート上に直接吸着させた組換えGST−His6−RalBP1融合タンパク質を、FLAG−RalA又はFLAG−RalBのいずれかを発現する安定してトランスフェクトしたUMUC3細胞株とともに使用した。異所性タンパク質はRal活性化のレポーターとしての機能があり、FLAGタグによって、タンパク質の高感度及び高特異性の検出が可能となる。RalA又はRalBのいずれかに対する市販の抗体はELISAフォーマットにおける検出試薬としては適しておらず、そのため本発明者らはUMUC3におけるFLAG−Ralの安定発現を利用した。ロバストなシグナル対ノイズ比(100:1を超える)は、抗FLAG一次抗体及びHRP結合抗マウス二次抗体を用いて可能であった。シグナルは0.3mcgから最大10mcgまでの総細胞溶解物で投入タンパク質に比例する。これにより、96ウェルマイクロプレートにおいて培養された細胞溶解物の使用が可能となり、そこで十分な総細胞タンパク質を分析用に回収することができる。
【0048】
機能的二次スクリーニングは細胞が再プレーティングされる場合のRalAによる脂質ラフトの行来(trafficking)の媒介に基づくものであった。このため、RalAのブロッキング(siRNA枯渇又はドミナントネガティブ)によって、フィブロネクチン被覆カバーガラス上での正常な付着依存性ネズミ胚線維芽細胞(MEF)の拡散が阻害される。重要なことに、Cav1−/− MEFSはRalA枯渇に耐性があり、そのためこれらの細胞及びその野生型対応株を用いて、コンピューター内で特定された推定Ral GTPアーゼ阻害剤をスクリーニングした。
【0049】
コンピューターによるスクリーニング及びコンビナトリアルスクリーニング、並びにELISA及び細胞拡散アッセイにおいて活性を示した化合物を、用量応答評価のために選択した。良好な候補化合物は、ELISA及び細胞拡散アッセイにおいて1μM〜2μM範囲のIC50を有することが見出され、RalBへの結合に成功した。良好な化合物を、ヒトがん細胞株を用いてin vitroにおいて更に評価して、それらの薬物動態を、マウスモデルを用いてin vivoで評価した。
【0050】
したがって本発明は、Ral GTPアーゼ阻害化合物を提供する。これらの化合物はRal関連タンパク質exo84、sec5及びRalBP1とのRalタンパク質の結合を防ぐことができる。特定されたRal GTPアーゼ阻害剤を用いて、GTP結合に伴って起こるRalタンパク質の立体構造の変化を防ぐことができ、これによってエフェクターの関与及び下流のシグナル伝達が抑えられる。これらの阻害剤は、filamin A、PLD1及びZONAB等のタンパク質を含む、Ralタンパク質上の他の結合部位によってRalと結合するタンパク質とのRalタンパク質の結合も妨げることができる。
【0051】
したがって本発明は、哺乳動物においてRal GTPアーゼを阻害することにより哺乳動物におけるがんの成長及び/又は転移を阻害する方法も提供する。好ましい実施形態では、Ral GTPアーゼは、RalAパラログ及びRalBパラログの内の少なくとも一方である。
【0052】
別の態様において、本発明は少なくとも1つの本発明の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を哺乳動物に投与することにより、哺乳動物においてがんの成長及び/又は転移を阻害する方法である。
【0053】
「パラログ」という用語は、同じゲノムの異なる位置を占有するような重複が起こっている生物における遺伝子を示すのに使用される。
【0054】
本明細書で使用される場合、「化合物」という用語は、単純な若しくは複雑な有機分子、ペプチド、タンパク質又はオリゴヌクレオチド等の化学分子又は生体分子を意味する。
【0055】
「薬学的に許容可能な」という語句は本明細書において、正しい医学的判断の範囲内において過度な毒性、炎症、アレルギー反応、又は合理的なベネフィット/リスク比に応じた他の問題若しくは合併症を伴わず、ヒト及び動物の組織に接触させて使用するのに適したそれらの化合物、材料、組成物及び/又は剤形を表すのに用いられる。
【0056】
「薬学的に許容可能な塩」は、親化合物がその酸塩又は塩基塩を生成することによって修飾されている開示される化合物の誘導体を指す。薬学的に許容可能な塩の例としては、アミン等の塩基性残基の無機塩若しくは有機酸塩、又はカルボン酸等の酸性残基のアルカリ塩若しくは有機塩が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容可能な塩としては、例えば非毒性の無機酸又は有機酸から生成される親化合物の従来の非毒性塩又は第四級アンモニウム塩が挙げられる。かかる従来の非毒性塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸に由来する塩と、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸等の有機酸から調製される塩とが挙げられる。薬学的に許容可能な塩は、過度な毒性、炎症、アレルギー反応、又は合理的なベネフィット/リスク比に応じた他の問題若しくは合併症を伴わず、ヒト及び動物の組織に接触させて使用するのに適した化合物の形態である。
【0057】
本明細書において提供される化合物の薬学的に許容可能な塩形態は、従来の化学的方法によって塩基性部分又は酸性部分を含有する本発明の化合物から合成される。一般的には、かかる塩は例えば、水若しくは有機溶媒、又はそれら2つの組合せ(一般的にはエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい)において、これらの化合物の遊離酸形態又は遊離塩基形態を化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させることによって生成される。好適な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985の1418頁に見られる。
【0058】
「治療に効果的な量」又は「治療量」の本発明の化合物という用語は、がんを患う哺乳動物に投与した後にがんの形成又は進行を阻害するのに効果的な量を意味する。
【0059】
「溶媒和物」という用語は、溶媒と化合物との相互作用によって形成される化合物を指す。好適な溶媒和物は、一水和物及び半水和物を含む水和物等の薬学的に許容可能な溶媒和物である。
【0060】
キラル中心を有する本発明の化合物は、光学活性体及びラセミ体の形で存在し、単離することができることが当業者に理解されている。本発明の化合物は本明細書に記載の治療的に有用な特性を備える、任意のラセミ体、光学活性体、位置異性体若しくは立体異性体、又はそれらの混合物を包含することが理解される。本発明の化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する場合、本発明の化合物はエナンチオマーとして存在し得る。本発明の化合物が2つ以上のキラル中心を有する場合、本発明の化合物は更にジアステレオマーとして存在し得る。本発明による化合物を調製する方法によって、立体異性体の混合物が得られる場合、これらの異性体を分取クロマトグラフィ等の従来法によって分離することができる。本発明の化合物を、立体特異的合成又は分割によってラセミ体で又は個々のエナンチオマー若しくはジアステレオマーとして調製することができる。本発明の化合物を例えば、光学活性酸、例えば(−)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸及び/又は(+)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸との塩形成による立体異性体対の形成、その後の分別晶出及び遊離塩基の再生等の標準法によってそれらの構成要素であるエナンチオマー又はジアステレオマーへと分割することができる。本発明の化合物を、立体異性体のエステル又はアミドの形成、その後のキラル補助基(chiral auxiliary)のクロマトグラフィ分離及び除去によっても分割することができる。代替的には本発明の化合物を、キラルHPLCカラムを用いて分割することができる。その全ての立体異性体、ラセミ混合物、ジアステレオマー及びエナンチオマーが本発明の範囲内に包含されることが理解される。
【0061】
光学活性体をどのように(例えば再結晶法、光学活性出発材料からの合成、キラル合成、又はキラル固定相を用いたクロマトグラフィ分離によるラセミ体の分割によって)調製するかは当該技術分野において既知である。また本発明の範囲には、存在し得る各種異性体だけでなく、形成され得る異性体の各種混合物も包含されることが理解される。本発明の化合物、それらの出発材料及び/又は中間体の分割は、例えばfour volume compendium Optical Resolution Procedures for Chemical Compounds: Optical Resolution Information Center, Manhattan College, Riverdale, N.Y.、及びEnantiomers, Racemates and Resolutions, Jean Jacques, Andre Collet and Samuel H. Wilen; John Wiley & Sons, Inc., New York, 1981(これは援用によりその全体が本明細書の一部をなす)に記載されるような既知の手法によって行うことができる。要するに、化合物の分割は鏡像異性的に純粋な部分の化学的又は酵素的な結合によるジアステレオマーの物理特性の差異に基づいており、これにより分別晶出、蒸留又はクロマトグラフィにより分離可能な形態が得られる。
【0062】
本発明の医薬組成物を作製するのに使用される化合物は市販品を購入することができる。これらの化合物の塩を含む本発明の化合物は、有機合成分野の当業者にとって既知の方法で調製することもできる。本発明の化合物は、用いられる試薬及び材料に適切であり、形質転換をもたらすのに好適な溶媒中で行われる反応を用いて調製することができる。分子の様々な箇所に存在する官能基が提唱される試薬及び反応に適合可能でなければならないことが有機合成分野の当業者に理解されている。反応条件に適合可能であるという置換基に対するこのような制限は、当業者にとって容易に明らかとなり、代替方法を使用しなければならない。
【0063】
本発明の医薬組成物は、1つ又は複数の本発明の化合物と、動物、特に哺乳動物への生物学的活性剤の送達に関して当該技術分野において一般的に許容される媒体である薬学的に許容可能な担体とを含有する。薬学的に許容可能な担体は、決定及び調整する上で十分当業者の範囲内にある多くの因子に従って配合される。これらとしては、配合される活性剤の種類及び性質;活性剤を含有する組成物を投与する被験体;組成物の目的とする投与経路;並びに標的となる治療指標が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容可能な担体には、水性液体媒体及び非水性液体媒体と、多様な固体剤形及び半固体剤形とが含まれる。このような担体は、活性剤に加えて多くの様々な成分及び添加剤を含むことができ、かかる付加的な成分は、当業者に既知の様々な理由、例えば活性剤の安定化のために配合物中に含まれる。好適な薬学的に許容可能な担体、及びその選択に関わる因子の記述は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985等の容易に入手可能な各種出典に見られる。
【0064】
本発明は更に、がんに冒された哺乳動物を治療する又は哺乳動物におけるかかるがんの転移を防止する方法であって、哺乳動物に本明細書で提供される医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。かかる組成物は概して、治療に効果的な量の本発明の化合物を、がんを防止、改善、軽減又は阻害するのに効果的な量で含む。かかる量は典型的に、組成物が投与される哺乳動物の体重1キログラム当たり約0.1mg〜約100mgの化合物を含む。治療に効果的な量の組成物は当業者にとって良好な任意の投与計画に従って投与することができる。
【0065】
投与は例えば、様々な非経口手段によって行うことができる。非経口投与に適した医薬組成物としては、水性デキストロース及び生理食塩水溶液等の様々な水性媒体が挙げられる。グリコール溶液も有用な担体であり、活性成分の水溶性塩と、好適な安定剤と、必要に応じて緩衝剤とを含有するのが好ましい。重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム又はアスコルビン酸等の抗酸化剤は単独で又は組み合わせて、好適な安定剤であり、クエン酸及びその塩並びにEDTAも使用される。加えて、非経口溶液は塩化ベンザルコニウム、メチルパラベン又はプロピルパラベン及びクロロブタノール等の防腐剤を含有していてもよい。
【0066】
代替的に、組成物はカプセル、錠剤及び粉末等の固体剤形、又はエリキシル、シロップ及び/又は懸濁剤等の液体形態で経口投与することができる。ゼラチンカプセルを、活性成分と、限定するものではないが、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はセルロース誘導体等の好適な担体とを含有させるのに使用することができる。同様の希釈剤を、圧縮錠を作製するのに使用することができる。錠剤及びカプセルはともに、経時的な薬剤の連続的放出をもたらす持続放出性製剤として製造することができる。圧縮錠は不快な風味をマスキングするために糖衣錠又はフィルムコート錠とすることができ、又は活性成分を環境から保護するのに使用することができ、又は胃腸管内で錠剤を選択的に崩壊させることができる。
【0067】
好ましい本発明の配合物は、治療に効果的な量の本発明の化合物と、薬学的に許容可能な担体とから本質的になる、がんを防止、治療又は予防するための非経口投与又は経口投与に適した単相医薬組成物である。
【0068】
本発明の医薬組成物に用いることができる好適な水性担体及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、及びそれらの好適な混合物、オリーブ油等の植物油、並びにオレイン酸エチル等の注射用有機エステルが挙げられる。適切な流動性は例えば、レシチン等のコーティング材料の使用によって、分散液の場合は所望の粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0069】
これらの組成物は湿潤剤、乳化剤及び分散剤等のアジュバントを含有することもできる。組成物に糖、塩化ナトリウム等の等張剤を含めることも望まれ得る。加えて、注射用医薬形態の持続的吸収はモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン等の吸収を遅らせる作用物質の包含によってもたらされ得る。
【0070】
場合によっては、薬物の効果を延ばすために、皮下注射又は筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは水溶性が低い結晶質又は非晶質の液体懸濁液の使用によって達成することができる。薬物の吸収速度はその溶解速度に依存するものであり、溶解速度は結晶サイズ及び結晶形に依存するものであり得る。代替的には、非経口投与薬物の遅延吸収は薬物を油性ビヒクルに溶解又は懸濁することによって達成される。
【0071】
注射用デポー剤形は、ポリラクチド−ポリグリコリド等の生分解性ポリマー中に薬物のマイクロカプセル化マトリクスを形成することによって作製される。薬物とポリマーとの比及び用いられる特定のポリマーの性質に応じて、薬物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としてはポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が挙げられる。注射用デポー配合物は、薬物を、体組織に適合するリポソーム又はマイクロエマルションに封入することによっても調製される。注射用材料は、例えば細菌保持フィルターによる濾過によって滅菌することができる。
【0072】
錠剤等の固体組成物を調製するために、主活性成分を医薬賦形剤と混合して、本発明の化合物の一様混合物を含有する固体予備配合組成物を形成する。これらの予備配合組成物を一様であると称する場合、これは組成物を錠剤、丸薬及びカプセル等の等しく効果的な単位剤形へと容易に細分することができるように活性成分が組成物全体に均等に分散されていることを意味する。次いでこの固体予備配合物を、例えば0.1mg〜約500mgの本発明の治療用化合物を含有する上記のタイプの単位剤形へと細分する。
【0073】
経口投与に適した本発明の配合物は、それぞれが活性成分として所定量の本発明の化合物(単数又は複数)を含有する、カプセル、カシェ剤、丸薬、錠剤、粉末、細粒、又は水性若しくは非水性の液体の溶液若しくは懸濁液、又は水中油型若しくは油中水型の液体エマルション、又はエリキシル若しくはシロップ、又はトローチ(ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシア等の不活性基剤を使用する)等の形態であり得る。本発明の化合物(単数又は複数)を巨丸剤、舐剤又はペーストとしても投与することができる。
【0074】
経口投与用の本発明の固体剤形(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉末、細粒等)では、活性成分を1つ若しくは複数の薬学的に許容可能な担体、例えばクエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウム、及び/又は下記のいずれかと混合する:(1)充填剤若しくは増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及び/又はケイ酸;(2)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/又はアカシア等;(3)保湿剤、例えばグリセロール;(4)崩壊剤、例えば寒天(agar-agar)、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、或る特定のケイ酸塩及び炭酸ナトリウム;(5)溶解遅延剤、例えばパラフィン;(6)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物;(7)湿潤剤、例えばセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロール等;(8)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイト粘土;(9)潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール固体、ラウリル硫酸ナトリウム及びそれらの混合物;並びに(10)着色剤。カプセル、錠剤及び丸薬の場合、医薬組成物は緩衝剤を含んでいてもよい。類似のタイプの固体組成物は、ラクトース又は乳糖のような賦形剤と高分子量ポリエチレングリコール等とを用いて、軟ゼラチンカプセル及び硬ゼラチンカプセル内の充填剤として用いることができる。
【0075】
錠剤は任意に1つ又は複数の補助成分を用いて圧縮又は成形によって作製することができる。圧縮錠は、結合剤(例えばゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えばデンプングリコール酸ナトリウム又は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤又は分散剤を用いて調製することができる。成形錠は好適な機械において不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状の化合物の混合物を成形することによって作製することができる。
【0076】
本発明の医薬組成物の錠剤、並びに糖衣錠、カプセル、丸薬及び細粒等の他の固体剤形は、任意に割線を入れるか(scored)又は腸溶コーティング及び医薬配合分野で既知の他のコーティング等のコーティング及びシェルを用いて調製することができる。それらは、例えば所望の放出プロファイルをもたらすのに様々な割合でヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、リポソーム及び/又はミクロスフェアを用いて、その中の活性成分の徐放又は制御放出が起こるように配合することもできる。それらは、例えば細菌保持フィルターによる濾過によって滅菌することができる。これらの組成物は任意に不透明剤を含有していてもよく、活性成分のみを、又は任意に遅延して胃腸管の或る特定の部分に優先的に放出する組成を有してもよい。使用することのできる包埋組成物の例としては高分子物質及びワックスが挙げられる。活性成分はマイクロカプセル化形態であってもよい。
【0077】
本発明の錠剤又は丸薬を、持続作用の利点をもたらす剤形が得られるようにコーティング又はそれ以外の方法で調合することができる。例えば、錠剤又は丸薬は内側剤形構成要素と外側剤形構成要素とを備えていてもよく、外側剤形構成要素は内側剤形構成要素の上にエンベロープの形態で存在する。2つの構成要素は胃での崩壊を抑える働きがある腸溶層によって隔てられ、内側構成要素が無傷で十二指腸に入るか又は放出を遅延させることができる。多様な材料をこのような腸溶層又はコーティングに使用することができ、かかる材料としては、多くのポリマー酸、並びにポリマー酸とシェラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような材料との混合物が挙げられる。
【0078】
本発明の化合物の経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容可能なエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルが挙げられる。活性成分に加えて、液体剤形は当該技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤、例えば水又は他の溶媒等、可溶化剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物を含有することができる。
【0079】
不活性希釈剤の他にも、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着色剤、芳香剤及び防腐剤等のアジュバントも含むことができる。
【0080】
懸濁液は、活性化合物に加えて、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天及びトラガカント、並びにそれらの混合物等の懸濁化剤を含有することができる。
【0081】
直腸投与又は膣内投与用の本発明の医薬組成物の配合物は坐剤として与えることができる。坐剤は1つ又は複数の本発明の化合物を、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤用ワックス又はサリチル酸塩を含む1つ又は複数の好適な非刺激性賦形剤又は担体と混合することによって調製することができ、室温では固体であるが、体温では液体であり、そのため直腸又は膣腔内で溶解して活性化合物を放出する。膣内投与に適した本発明の配合物には、当該技術分野において適切であることが知られているような担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、泡状物質又は噴霧配合物も含まれる。
【0082】
本発明の化合物の局所投与又は経皮投与用の剤形としては、粉末、噴霧剤、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、溶液、パッチ、滴剤及び吸入剤が挙げられる。活性成分は滅菌条件下において薬学的に許容可能な担体、及び要求され得る任意の緩衝液又は高圧ガスと混合することができる。
【0083】
軟膏、ペースト、クリーム及びジェルは、活性成分に加えて、賦形剤、例えば動物性脂肪及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛、又はそれらの混合物を含有することができる。
【0084】
粉末及び噴霧剤は、活性成分に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末等の賦形剤、又はこれらの物質の混合物を含有することができる。噴霧剤はフロン(chlorofluorohydrocarbons)等の慣用の高圧ガス、並びに揮発性非置換炭化水素、例えばブタン及びプロパンを更に含有することができる。
【0085】
経皮パッチには本発明の化合物の身体への制御送達をもたらすという追加利点がある。かかる剤形は、1つ又は複数の本発明の化合物を適切な媒体、例えば弾性マトリクス材料に溶解、分散又はそれ以外の方法で組み込むことによって作製することができる。皮膚を介した化合物の流れを増大させるのに吸収促進剤を使用することもできる。このような流れの速度を、速度制御膜を設ける又は化合物をポリマーマトリクス若しくはゲルに分散させることによって制御することができる。
【0086】
医薬配合物は、吸入若しくは送気による投与又は鼻腔投与若しくは眼内投与に適したものを含む。吸入による上気道(鼻腔)又は下気道への投与のために、本発明の化合物は送気器(insufflator)、ネブライザ若しくは加圧パック、又はエアロゾル噴霧剤を送達する他の簡便な手段から簡便に送達される。加圧パックには、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の好適なガス等の好適な高圧ガスが含まれ得る。加圧エアロゾルの場合、投与単位は決まった量(metered amount)を送達するバルブを設けることによって決定することができる。
【0087】
代替的には、吸入又は送気による投与のために、組成物は乾燥粉末、例えば1つ又は複数の本発明の抗がん化合物と好適な粉末基剤、例えばラクトース又はデンプンとの粉末混合物の形態をとることができる。粉末組成物は単位剤形、例えばカプセル若しくはカートリッジ、又は例えば吸入器、送気器若しくは定量吸入具を用いて粉末を投与することができるゼラチン若しくはブリスターパックで与えられ得る。
【0088】
鼻内投与のために、本発明の化合物は点鼻薬又は液体噴霧剤を用いて、例えばプラスチックボトル噴霧器又は定量吸入具を用いて投与することができる。噴霧器のタイプはMistometer(Wintrop)及びMedihaler(Riker)である。
【0089】
滴剤、例えば点眼薬又は点鼻薬を、1つ又は複数の分散剤、可溶化剤又は懸濁化剤を更に含む、水性又は非水性基剤を用いて配合することができる。液体噴霧剤は加圧パックから簡便に送達される。滴剤は単純な点眼器である蓋の閉まったボトルを用いて又は特別な形状のクロージャ(closure)によって液体内容物を液滴として送達させるように適合されたプラスチックボトルを用いて送達することができる。
【0090】
配合物は単回用量又は複数回用量の封止容器、例えばアンプル及びバイアル内に与えられ、使用の直前に滅菌液体担体、例えば注射用水を添加するだけでよい凍結乾燥条件で保管することができる。即時注射溶液及び懸濁液を上記のタイプの滅菌粉末、細粒及び錠剤から調製することができる。
【0091】
本発明によって提供される投与配合物は、本発明の治療用化合物を、単独で又は他の治療的に活性な成分及び薬学的に許容可能な不活性賦形剤と組み合わせて含有することができる。「薬学的に許容可能な不活性賦形剤」という用語は、希釈剤、結合剤、潤滑剤/滑剤、着色剤及び放出調節ポリマーの内の少なくとも1つを含む。
【0092】
好適な抗酸化剤は当該技術分野において知られる1つ又は複数の薬学的に許容可能な抗酸化剤の中から選択され得る。薬学的に許容可能な抗酸化剤の例としては、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、亜硫酸ナトリウム、クエン酸、リンゴ酸及びアスコルビン酸が挙げられる。抗酸化剤は投与配合物の約0.001重量%〜約5重量%の濃度で本発明の投与配合物に存在し得る。
【0093】
好適なキレート剤は当該技術分野において知られる1つ又は複数のキレート剤の中から選択され得る。好適なキレート剤の例としては、エデト酸二ナトリウム(EDTA)、エデト酸、クエン酸及びそれらの組合せが挙げられる。キレート剤は投与配合物の約0.001重量%〜約5重量%の濃度で存在し得る。
【0094】
剤形は、典型的に約20重量%〜約80重量%の範囲内の量で1つ又は複数の希釈剤、例えばラクトース、糖、コーンスターチ、加工コーンスターチ、マンニトール、ソルビトール、及び/又は木材セルロース及び微結晶性セルロース等のセルロース誘導体を含むことができる。
【0095】
剤形は最大約60%(w/w)の量で1つ又は複数の結合剤を含むことができる。好適な結合剤の例としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、オイドラギット、エチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、プルラン、カルボマー、アルファ化デンプン、寒天、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、微結晶性セルロース等が挙げられる。
【0096】
好適な崩壊剤の例としては、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。濃度は剤形の0.1重量%〜15重量%と様々であり得る。
【0097】
潤滑剤/滑剤の例としては、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、硬化ヒマシ油、脂肪酸のスクロースエステル、微結晶性ワックス、黄蝋、白蝋等が挙げられる。濃度は剤形の0.1重量%〜15重量%と様々であり得る。
【0098】
放出調節ポリマーは、本発明の治療用化合物を含有する長期放出配合物を形成するのに使用することができる。放出調節ポリマーは水溶性ポリマー又は水不溶性ポリマーであってもよい。水溶性ポリマーの例としては、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸ビニルコポリマー、ポリエチレンオキシド、多糖類(例えばアルギン酸塩、キサンタンガム等)、メチルセルロース、及びそれらの混合物が挙げられる。水不溶性ポリマーの例としては、メタクリレート、アクリル酸コポリマー等のアクリレート;エチルセルロース又は酢酸セルロース等のセルロース誘導体;ポリエチレン、及び高分子量ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0099】
Ral GTPアーゼを阻害することによって肺がんの転移を防止、治療又は阻害することができる潜在的な治療剤をスクリーニングする方法であって、(a)Ral GTPアーゼと潜在的な治療用化合物とを相互作用する条件下において組み合わせることと、(b)Ral GTPアーゼの酵素活性をモニタリングすることとを含み、潜在的な治療用化合物が添加されていない対照サンプルと比較して酵素活性が阻害されている場合、潜在的な治療用化合物を更なる研究のために選択する、方法も本発明に包含される。一実施形態では、潜在的な治療用化合物は、医薬品、サイトカイン、小分子薬、細胞透過性小分子薬、ホルモン、インターロイキンの組合せ、レクチン、二重特異性抗体、及びペプチド模倣薬からなる群から選択される。
【0100】
本発明の一実施形態は、哺乳動物におけるがん又はがんの転移の治療又は防止に使用される本発明の化合物に関する。本発明の関連の実施形態は、哺乳動物におけるがん又はがんの転移の治療又は防止に使用される本発明の組成物に関する。
【0101】
本発明の別の実施形態は、哺乳動物におけるがんの成長又は転移を阻害する薬剤の調製への本発明の化合物又は組成物のいずれかの使用に関する。
【0102】
本明細書に言及される刊行物又は特許はそれぞれその全体が援用により本明細書の一部をなす。
【実施例】
【0103】
下記実施例は本開示の或る特定の態様、実施形態及び構成を説明するために与えられており、添付の特許請求の範囲に記載されるような本開示を限定するものとは解釈されない。
【0104】
実施例1−推定Ral GTPアーゼ阻害剤のスクリーニング
RalBの結晶構造が特定されていないことから、本発明者らは92167メンバーコードビーズ系ライブラリに対してGDP負荷RalBタンパク質をスクリーニングした。スクリーニングは500nMのFLAG−RalBとビーズのプールとの直接結合アッセイとして行った。各プールには、コードされた固定化化合物の複数のコピーが含まれていた。マウス抗FLAG、ヤギ抗マウスアルカリホスファターゼ複合体、及び析出基質BCIPを用いたELISAによって、FLAG−RalB結合時に可視青色を呈した。青色ビーズを物理的に分離して、質量分析によって解読した。この探索によって更なる評価のための11種の化合物が特定された。
【0105】
本発明者らは、既知のRalA結晶構造によるスレッディングアルゴリズムを用いてRalBの3D構造を構築した(Nicely NI, Kosak J, de Serrano V, Mattos C. Crystal structures of Ral-GppNHp and Ral-GDP reveal two binding sites that are also present in Ras and Rap. Structure (Camb) 2004;12:2025-36)。特定された理論的低エネルギー結合ポケットの「コンピューター内での」分子モデリングを用いて、擬似RalBの表面上でコンビナトリアルヒットを特定した。驚くべきことに、このアプローチを用いて特定されたヒットはコンピューターによるモデリングアプローチによって特定されたRalA上の同じ相同ポケットに結合した。このようにして、RalAパラログ及びRalBパラログをモデリングする2つの異なるアプローチによって、ヌクレオチド(GDP)結合部位とは離れた、両タンパク質に存在する同一の分子標的部位が特定された。
【0106】
コンピューター内でのモデリングに基づき、推定Ral阻害剤が設計され、必要に応じて購入又は合成した。次いで機能的特性評価を用いて、生細胞において推定GTPアーゼ阻害剤を評価した。分子標的部位に結合すると思われる99種の化合物の内、どれがRal活性を妨げるかを判断するのに2つの相補性スクリーニングを開発した。両アッセイは、任意の観察される機能的効果に生細胞への薬物浸透を必要とした細胞ベースのものであった。例えば、図1にヒト肺がん細胞株の成長に対する2つの本発明の化合物、RBC8及びRBC10の用量阻害活性を示す。Calu−6:ヒト肺腺がん。H157:扁平上皮細胞癌。H358:気管支肺胞癌。Calu−3:漿液腺由来のヒト気道上皮細胞株。スクリーニングした88種の化合物を表1に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
実施例2−推定Ral GTPアーゼ阻害剤の合成
本発明の或る特定の実施形態が下記合成スキームによって説明される。
【0123】
【化9】
【0124】
【化10】
【0125】
化学合成例:
一般手順A;3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン UC−E1: アセト酢酸エチル(9.02mL、71.2mmol、1.1当量)のエタノール溶液(130mL)を0℃においてフェニル−ヒドラジン(7.00g、64.7mmol、1.0当量)で処理した。混合物を常温へとゆっくりと加温した後、60℃に加熱した(3時間)。溶媒を真空除去して、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(column chromatography on silica gel)(酢酸エチル:ヘキサン;1:1)によって精製して、明黄色粉末として3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(7.60g、43.6mmol、67%)を得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.87〜7.85(d,2H)、7.41〜7.37(t,2H)、7.19〜7.16(t,1H)、3.42(s,2H)、2.19(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:170.5、156.2、138.0、128.8、125.0、118.8、43.0、17.0;LC/MS−MS:175.0→77.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=56、CE=25、CXP=4、t=3.52分。
【0126】
1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン UC−E2: 「一般手順A」に従って、エタノール(200mL)中のアセト酢酸エチル(15.1mL、119mmol、1.1当量)を0℃においてメチルヒドラジン(5.00g、109mmol、1.0当量)で処理して、結晶化(DCM及びn−ヘキサン)による精製後に1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(8.02g、71.5mmol、66%)をオフホワイト色の固体として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:3.25(s,3H)、3.16(s,2H)、2.08(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:172.2、155.4、138.0、41.3、31.0、16.8。
【0127】
1−メチル−3−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン UC−E3: 一般手順Aに従って、エタノール(180mL)中のベンゾイル酢酸エチル(18.4mL、95.5mmol、1.1当量)を0℃においてメチルヒドラジン(4.57mL、86.8mmol、1.0当量)で処理して、結晶化(エタノール)による精製後に1−メチル−3−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(11.0g、63.1mmol、73%)を明黄色の固体として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.67〜7.65(m,2H)、7.42〜7.41(m,3H)、3.60(s,2H)、3.41(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:171.8、154.2、131.0、130.3、128.8、125.6、37.9、31.4。LC/MS−MS:175.0→77.2m/z;GS1及びGS2 30、DP=66、CE=43、CXP=4、t=3.45分。
【0128】
1,3−ジフェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン UC−E4: 一般手順Aに従って、エタノール(130mL)中のベンゾイル酢酸エチル(12.2mL、71.2mmol、1.1当量)を0℃においてフェニルヒドラジン(7.00g、71.2mmol、1.0当量)で処理して、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル;4:1)及び結晶化(エタノール)による精製後に1,3−ジフェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(6.75g、28.6mmol、44%)をオフホワイト色の固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:11.84(s,1H)、7.84〜7.82(d,4H)、7.50〜7.40(m,4H)、7.34〜7.27(m,2H)、6.02(s,1H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:154.2、150.0、139.3、133.8、129.3、129.0、128.2、126.1、125.5、121.5、85.5;LC/MS−MS:237.0→77.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=81、CE=68、CXP=4、t=4.15分。
【0129】
1−ベンジル−3−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン UC−E5: ベンゾイル酢酸エチル(4.80mL、28.2mmol、1.1当量)のエタノール溶液(60mL)を0℃においてベンジルヒドラジン(5.00g、25.6mmol、1.0当量)で処理した。混合物を常温へとゆっくりと加温して、60℃に加熱した(16時間)。反応混合物を濃縮して、エタノール(100mL)で希釈した後、3.0gのナトリウムエトキシドを添加し撹拌した(40時間)。固体を濾別して、溶媒を真空除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(4:1 n−ヘキサン:酢酸エチル→100%酢酸エチル)によって精製して、1−ベンジル−3−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(0.255g、1.02mmol、4%)を明橙色の固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:11.17(s,1H)、7.71〜7.70(d,2H)、7.37〜7.31(m,4H)、7.27〜7.20(m,4H)、5.85(s,1H)、5.13(s,2H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:153.6、148.6、138.3、134.4、128.8、128.8、127.6、127.6、125.1、83.7、50.0;LC/MS−MS:251.1→91.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=2、CE=33、CXP=14、t=4.01分。
【0130】
3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン UC−E6: 一般手順Aを用いて、エタノール(60mL)中の3,4−ジメトキシベンゾイル酢酸エチル(5.00g、19.8mmol、1.1当量)を0℃においてメチルヒドラジン(0.95mL、19.8mmol、1.0当量)で処理して、シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル;4:1→1:1)による精製後に3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(1.86g、7.94mmol、44%)を明黄色の粉末として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.35〜7.35(d,1H)、7.06〜7.04(dd,1H)、6.87〜6.85(d,1H)、3.94(s,3H)、3.92(s,3H)、3.57(s,2H)、3.39(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:171.6、154.1、151.1、149.4、124.1、119.6、110.7、107.3、55.9、55.9、38.0、31.3;LC/MS−MS:235.1→219.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=66、CE=33、CXP=14、t=3.26分。
【0131】
3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン UC−E7: 一般手順Aを用いて、エタノール(60mL)中の3,4−ジメトキシベンゾイル酢酸エチル(3.00g、11.9mmol、1.1当量)を0℃においてフェニルヒドラジン(1.17mL、10.8mmol、1.0当量)で処理して、結晶化(エタノール)による精製後に3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(920mg、2.32mmol、22%)を黄色の粉末として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:8.00〜7.97(d,1H)、7.48〜7.42(m,3H)、7.25〜7.21(t,1H)、7.17〜7.14(dd,1H)、6.91〜6.89(d,1H)、3.98(s,3H)、3.95(s,3H)、3.83(s,2H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:170.1、154.4、151.4、149.4、138.1、128.8、125.2、123.8、120.1、119.1、110.7、107.6、56.0、56.0、39.7;LC/MS−MS:297.0→218.2m/z;GS1及びGS2 30、DP=96、CE=37、CXP=18、t=3.98分。
【0132】
3−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン UC−E8: 一般手順Aを用いて、エタノール(100mL)中の4−メトキシベンゾイル酢酸エチル(7.00g、27.8mmol、1.1当量)を0℃においてフェニルヒドラジン(2.50mL、25.3mmol、1.0当量)で処理して、結晶化(エタノール)による精製後に3−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(5.21g、19.6mmol、78%)を明黄色の粉末として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.99〜7.97(d,1H)、7.66〜7.64(d,2H)、7.44〜7.40(t,2H)、7.22〜7.18(t,1H)、6.94〜6.92(d,2H)、3.82(s,3H)、3.68(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:170.1、161.5、154.4、138.2、128.8、127.5、125.0、123.5、118.8、114.2、55.3、39.6;LC/MS−MS:267.0→77.2m/z;GS1及びGS2 30、DP=81、CE=65、CXP=4、t=4.15分。
【0133】
3−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン UC−E9: 一般手順Aを用いて、エタノール(100mL)中の4−メトキシベンゾイル酢酸エチル(7.00g、27.8mmol、1.1当量)を0℃においてメチルヒドラジン(1.30mL、25.2mmol、1.0当量)で処理して、エタノールからの結晶化による精製後に3−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(3.00g、14.7mmol、58%)を明黄色の粉末として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:10.94(s,1H)、7.63〜7.60(d,2H)、6.92〜6.90(d,2H)、5.70(s,1H)、3.76(s,3H)、3.54(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:161.1、153.4、147.9、126.3、114.6、114.4、83.1、59.7、31.3;LC/MS−MS:205.0→190.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=51、CE=29、CXP=12、t=3.44分。
【0134】
6−アミノ−3−メチル−1,4−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E10: ベンズアルデヒド(290μL、2.87mmol)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol)及び3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(500mg、2.87mmol)の無水DCM撹拌溶液(60mL)に、無水NaSO(407mg、2.87mmol)及びエチルヒドロクプレイン塩酸塩(46mg、0.122mmol)を添加した。反応混合物を室温で撹拌した(25時間)。濾過及びDCMによる洗浄後、溶媒を減圧除去した。粗混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル;1:1)に供して、6−アミノ−3−メチル−1,4−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(270mg、0.822mmol、29%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.69〜7.66(d,2H)、7.50〜7.46(t,2H)、7.39〜7.26(m,6H)、4.68(s,1H)、4.67(s,2H)、1.91(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:158.1、146.4、143.8、141.9、137.5、129.2、128.8、127.8、127.5、126.7、121.2、119.0、98.3、64.0、37.4、12.8;LC/MS−MS:329.1→263.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=56、CE=31、CXP=18、t=4.18分。
【0135】
6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチル−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E11: エタノール(10mL)中の4−フルオロベンズアルデヒド(356mg、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(500mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を濃縮して、析出物を濾過しエタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチル−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(85.0mg、0.245mmol、9%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.68〜7.66(d,2H)、7.50〜7.46(t,2H)、7.34〜7.32(t,1H)、7.28〜7.22(m,2H)、7.08〜7.04(t,2H)、4.68(s,3H)、1.91(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:158.0、146.2、143.7、137.8、137.5、129.4、129.2、126.8、121.2、118.8、115.8、115.6、98.1、63.8、36.7、12.8;LC/MS−MS:347.1→281.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=11、CE=31、CXP=18、t=4.16分。
【0136】
6−アミノ−1,3−ジメチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E12: エタノール(10mL)中のベンズアルデヒド(290μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(322mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を19時間後に濃縮して、エタノール及びヘキサンで洗浄した。粗物質をSiOカラムクロマトグラフィ(n−ヘキサン中、25%酢酸エチル→100%酢酸エチル)によって精製した後、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−1,3−ジメチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(263mg、0.988mmol、34%)を黄色粉末として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.34〜7.32(m,2H)、7.25〜7.23(t,1H)、7.19〜7.17(d,2H)、7.05(s,2H)、4.57(s,1H)、3.60(s,3H)、1.66(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:159.9、144.6、144.4、142.9、128.8、128.0、127.3、120.6、96.5、58.7、37.5、33.8、12.8;LC/MS−MS:267.0→201.3m/z;GS1及びGS2 30、DP=61、CE=29、CXP=12、t=3.74分。
【0137】
6−アミノ−1−メチル−3,4−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E13: エタノール(10mL)中のベンズアルデヒド(290μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)からなる混合物を1分間撹拌し、その後1−メチル−3−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(500mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を21時間後に濃縮して、エタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、ヘキサン及びエタノールで洗浄し、6−アミノ−1−メチル−3,4−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(282mg、8.58mmol、30%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.41〜7.38(m,2H)、7.28〜7.24(m,2H)、7.21〜7.18(m,6H)、4.88(s,1H)、4.77(s,2H)、3.83(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:158.1、146.0、144.8、144.6、133.2、128.7、128.5、127.9、127.8、127.1、126.4、120.5、95.7、59.9、38.2、34.5;LC/MS−MS:329.1→263.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=71、CE=31、CXP=18、t=4.00分。
【0138】
6−アミノ−1,3,4−トリフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E14: エタノール(10mL)中のベンズアルデヒド(290μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後1,3−ジフェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(678mg、2.87mmol、1当量)を添加した。析出物を瀘別して、エタノール及びヘキサンで洗浄しエタノールから再結晶化して、6−アミノ−1,3,4−トリフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(330mg、0.845mmol、29%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.82〜7.80(d,2H)、7.55〜7.50(m,4H)、7.41〜7.37(t,1H)、7.32〜7.22(m,8H)、4.96(s,1H)、4.68(s,2H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:157.5、147.7、144.9、142.6、137.5、132.2、129.3、128.8、128.2、128.2、127.5、127.4、127.1、126.9、121.6、118.9、97.5、64.8、38.2;LC/MS−MS:391.1→325.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=91、CE=33、CXP=22、t=4.33分。
【0139】
6−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)−1,4−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E15: エタノール(10mL)中のベンズアルデヒド(290μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(764mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を19時間後に濃縮して、エタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、ヘキサン及びエタノールで洗浄し、6−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)−1,4−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(695mg、1.65mmol、58%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.94〜7.92(d,2H)、7.58〜7.53(m,2H)、7.41〜7.37(t,1H)、7.27〜7.16(m,7H)、6.83〜6.81(d,2H)、5.04(s,1H)、3.71(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:159.5、159.0、146.6、145.6、144.5、137.9、129.8、128.9、128.3、128.0、127.3、127.1、125.1、121.1、120.3、114.1、97.5、59.8、55.5、37.9;LC/MS−MS:421.2→355.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=71、CE=33、CXP=24、t=4.28分。
【0140】
6−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E16: エタノール(10mL)中のベンズアルデヒド(290μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(583mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を24時間後に濃縮した。粗物質をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中、25%酢酸エチル→100%酢酸エチル)によって精製した後、エタノールから再結晶化して、ヘキサン及びエタノールで洗浄し、6−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(80.9mg、8%、0.226mmol)を黄色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.42〜7.40(d,2H)、7.23〜7.21(m,2H)、7.15〜7.13(d,3H)、7.06(s,1H)、6.77〜6.75(d,2H)、4.93(s,1H)、3.76(s,3H)、3.69(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:159.1、159.0、145.9、144.8、144.5、128.8、127.8、127.7、127.1、125.8、120.5、113.9、95.0、59.9、55.4、38.2、34.4;LC/MS−MS:359.1→293.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=76、CE=31、CXP=20、t=3.96分。
【0141】
6−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E17: エタノール(5.0mL)中のベンズアルデヒド(145μL、1.44mmol、1.0当量)、マロノニトリル(90.0mg、1.44mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(200μL、1.44mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(336mg、1.44mmol、1当量)を添加した。反応混合物を24時間後に濃縮した。粗物質をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中、25%酢酸エチル→100%酢酸エチル)によって精製した後、エタノールから再結晶化して、ヘキサン及びエタノールで洗浄し、6−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(48.5mg、9%、0.124mmol)を黄色固体として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.29〜7.28(d,2H)、7.23〜7.21(d,2H)、7.00〜6.98(d,1H)、6.88(s,1H)、6.72〜6.70(d,2H)、4.84(s,1H)、4.75(s,2H)、3.82(s,6H)、3.60(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:157.6、148.7、148.6、146.1、145.7、143.1、128.9、127.5、127.4、125.6、119.3、119.3、110.9、109.7、94.7、64.4、55.7、55.6、38.3、34.1;LC/MS−MS:389.1→323.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=66、CE=31、CXP=22、t=3.82分。
【0142】
6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E18: エタノール(8.0mL)中の4−フルオロベンズアルデヒド(300μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400mL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(322mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を24時間後に濃縮して、エタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(335mg、41%、1.17mmol)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.23〜7.20(m,2H)、7.16〜7.12(m,2H)、7.07(s,2H)、4.61(s,1H)、3.60(s,3H)、1.67(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:162.7、159.9、144.6、142.9、140.7、129.9、120.6、115.6、115.4、96.3、59.6、56.4、36.7、33.8、12.8;LC/MS−MS:285.1→219.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=61、CE=27、CXP=14、t=3.80分。
【0143】
6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−3−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E19: エタノール(10mL)中の4−フルオロベンズアルデヒド(300μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後1−メチル−3−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(500mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を20時間後に真空濃縮して、エタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−3−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(182mg、0.525mmol、18%)を明黄色の固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.50〜7.48(d,2H)、7.22〜7.18(m,5H)、7.11(s,2H)、7.05〜6.98(t,2H)、5.04(s,1H)、3.78(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:162.5、159.1、146.0、144.6、140.9、133.1、129.8、128.5、127.9、126.5、120.4、115.5、115.3、95.5、59.7、37.4、34.5;LC/MS−MS:347.1→281.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=66、CE=31、CXP=14、t=4.00分。
【0144】
6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E20: エタノール(10mL)中の4−フルオロベンズアルデヒド(300μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後1,3−ジフェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(678mg、2.87mmol、1当量)を添加した。形成された析出物を瀘別して、エタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(240mg、0.588mmol、20%)を白色粉末として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.94〜7.92(d,2H)、7.61〜7.55(m,4H)、7.42〜7.38(t,1H)、7.28〜7.24(m,7H)、7.06〜7.02(t,2H)、5.15(s,1H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:162.6、159.0、146.8、145.6、140.6、137.8、132.5、130.0、129.9、129.8、128.6、128.6、127.3、127.0、121.3、120.2、115.6、115.4、97.9、59.6、37.0;LC/MS−MS:410.4→242.2m/z;GS1及びGS2 30、DP=21、CE=47、CXP=16、t=4.63分。
【0145】
6−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E21: エタノール(10mL)中の4−フルオロベンズアルデヒド(300μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(672mg、2.87mmol、1当量)を添加した。形成された析出物を瀘別して、エタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(782mg、1.93mmol、67%)を白色粉末として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.20〜7.18(m,2H)、7.09〜7.03(m,5H)、6.96〜6.95(d,1H)、6.80〜6.78(d,2H)、5.02(s,1H)、3.77(s,3H)、3.69(s,3H)、3.62(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:162.6、159.0、148.7、146.0、144.6、141.0、141.0、129.8、129.7、125.9、120.4、119.0、115.7、115.4、111.8、109.8、94.7、55.8、55.7、37.3、34.4;LC/MS−MS:407.1→341.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=71、CE=33、CXP=22、t=3.86分。
【0146】
6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E22: エタノール(10mL)中の4−フルオロベンズアルデヒド(300μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(764mg、2.87mmol、1当量)を添加した。形成された析出物を瀘別して、エタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(800mg、1.83mmol、64%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.93〜7.91(d,2H)、7.55〜7.53(m,4H)、7.41〜7.37(t,1H)、7.26〜7.23(m,4H)、7.07〜7.05(t,2H)、6.84〜6.82(d,2H)、5.11(s,1H)、3.72(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:162.6、159.6、159.0、146.6、145.5、140.7、140.6、137.9、130.0、129.9、129.8、128.3、127.1、125.0、121.1、120.2、115.6、115.4、114.1、97.3、59.6、55.5、37.0;LC/MS−MS:439.2→373.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=61、CE=35、CXP=24、t=4.28分。
【0147】
6−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−(4−フルオロフェニル)−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E23: エタノール(3.0mL)中の4−フルオロベンズアルデヒド(70.0μL、0.675mmol、1.0当量)、マロノニトリル(45.0mg、0.675mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(90.0μL、0.675mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(200mg、0.675mmol、1当量)を添加した。反応混合物を19時間後に濃縮して、粗物質をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中、25%酢酸エチル→100%酢酸エチル)によって精製した。黄色固体をエタノールからの再結晶化によって更に精製して、6−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−(4−フルオロフェニル)−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(164mg、0.350mmol、12%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.80〜7.78(d,2H)、7.52〜7.48(t,2H)、7.38〜7.35(t,1H)、7.25〜7.21(m,2H)、7.05〜6.95(m,4H)、6.75〜6.73(d,1H)、4.91(s,1H)、4.84(s,1H)、3.84(s,3H)、3.71(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:163.2、157.8、149.2、148.7、147.5、144.9、138.6、137.4、129.3、129.1、129.0、127.1、125.0、121.5、119.8、119.0、115.9、115.7、110.8、109.9、96.6、64.0、55.8、55.7、37.5;LC/MS−MS:469.3→403.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=6、CE=35、CXP=26、t=4.16分。
【0148】
6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E24: エタノール(10mL)中の4−フルオロベンズアルデヒド(300μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(586mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を19時間後に濃縮して、得られた析出物をエタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、ヘキサン及びエタノールで洗浄し、6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(350mg、0.930mmol、32%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.43〜7.40(d,2H)、7.20〜7.16(m,2H)、7.10(s,2H)、7.06〜7.02(t,2H)、6.78〜6.76(d,2H)、4.99(s,1H)、3.75(s,3H)、3.69(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:162.5、159.1、145.8、144.6、141.0、141.0、129.8、129.7、127.8、125.7、120.5、115.6、115.4、113.9、94.9、59.7、55.4、37.4、34.4;LC/MS−MS:377.1→311.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=66、CE=33、CXP=20、t=3.98分。
【0149】
6−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E25: エタノール(10mL)中のアニスアルデヒド(350μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後6−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(500mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を24時間後に濃縮して、析出物をエタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(800mg、78%、2.23mmol)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.80〜7.78(d,2H)、7.51〜7.47(t,2H)、7.32〜7.28(t,1H)、7.18〜7.16(m,4H)、6.91〜6.89(d,2H)、4.62(s,1H)、3.74(s,3H)、1.79(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:159.7、158.6、145.7、144.2、138.0、136.0、129.7、129.2、126.5、120.5、120.3、114.3、99.3、59.0、55.4、36.4、13.0;LC/MS−MS:359.2→293.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=71、CE=29、CXP=20、t=4.14分。
【0150】
6−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)−1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E26: エタノール(10mL)中のアニスアルデヒド(350μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(321mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を24時間後に濃縮して、粗物質をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中、25%酢酸エチル→100%酢酸エチル)によって精製した。黄色固体をエタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)−1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(370mg、1.25mmol、44%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.12〜7.10(d,2H)、6.85〜6.83(d,2H)、4.61(s,2H)、4.55(s,1H)、3.79(s,3H)、3.69(s,3H)、1.80(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:158.8、157.9、144.5、144.4、134.5、128.8、119.3、114.0、96.4、64.2、55.2、36.7、33.7、12.7;LC/MS−MS:297.0→231.2m/z;GS1及びGS2 30、DP=61、CE=27、CXP=16、t=3.71分。
【0151】
6−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−3−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E27: エタノール(10mL)中のアニスアルデヒド(350μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後1−メチル−3−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(500mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を24時間後に濃縮して、析出物をエタノール及びヘキサンで洗浄し、生成物をエタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−3−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(210mg、20%、0.586mmol)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.50〜7.48(d,2H)、7.21〜7.17(m,3H)、7.05〜7.02(m,4H)、6.76〜6.74(d,2H)、4.91(s,1H)、3.76(s,3H)、3.64(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:158.9、158.3、146.0、144.6、136.9、133.2、128.9、128.5、127.8、126.4、120.6、114.1、95.9、60.3、55.3、37.5、34.5;LC/MS−MS:359.2→293.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=66、CE=29、CXP=20、t=3.98分。
【0152】
6−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−3−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E28: エタノール(10mL)中のアニスアルデヒド(350μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後1,3−ジフェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(678mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を24時間後に濃縮して、析出物をエタノール及びヘキサンで洗浄した。生成物をエタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−3−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(1.05g、87%、2.50mmol)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.94〜7.92(d,2H)、7.63〜7.61(d,2H)、7.57〜7.53(t,2H)、7.40〜7.36(t,1H)、7.29〜7.23(m,3H)、7.15(s,2H)、7.13〜7.11(d,2H)、6.78〜6.76(d,2H)、5.02(s,1H)、3.65(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:158.9、158.4、146.7、145.6、137.9、136.5、132.6、129.8、129.0、128.7、128.5、127.2、127.0、121.2、120.3、114.2、98.3、60.2、55.3、37.1;LC/MS−MS:421.2→355.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=81、CE=35、CXP=24、t=4.32分。
【0153】
6−アミノ−3,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E29: エタノール(10mL)中のアニスアルデヒド(350μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(764mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を24時間後に濃縮して、析出物をエタノール及びヘキサンで洗浄した後、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−3,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(1.06g、2.35mmol、82%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.93〜7.91(d,2H)、7.56〜7.52(m,4H)、7.38〜7.35(t,1H)、7.15〜7.11(m,4H)、6.83〜6.78(m,4H)、4.98(s,1H)、3.70(s,3H)、3.66(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:159.5、158.9、158.4、146.6、145.5、137.9、136.6、129.8、129.0、128.3、127.0、125.2、121.0、120.4、114.2、114.1、97.7、60.3、55.5、55.3、37.1;LC/MS−MS:452.3→89.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=36、CE=39、CXP=4、t=3.47分。
【0154】
6−アミノ−3,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル UC−E30: エタノール(10mL)中のアニスアルデヒド(350μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(689mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を24時間後に濃縮して、析出物をエタノール及びヘキサンで洗浄した後、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−3,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(690mg、1.78mmol、62%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.42〜7.40(d,2H)、7.05〜7.03(d,2H)、7.00(s,2H)、6.78〜6.75(dd,4H)、4.86(s,1H)、3.73(s,3H)、3.68(s,3H)、3.66(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:159.0、158.9、158.3、145.9、144.5、136.9、128.9、127.7、125.9、120.6、114.1、113.9、95.3、60.3、55.4、55.3、37.5、34.3;LC/MS−MS:389.2→323.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=66、CE=29、CXP=22、t=3.94分。
【0155】
【化11】
【0156】
一般手順A;3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン: アセト酢酸エチル(9.02mL、71.2mmol、1.1当量)のエタノール溶液(130mL)を0℃においてフェニル−ヒドラジン(7.00g、64.7mmol、1.0当量)で処理した。混合物を常温へとゆっくりと加温して、60℃に加熱した(3時間)。溶媒を真空除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(酢酸エチル:ヘキサン;1:1)によって精製して、3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(7.60g、43.6mmol、67%)を明黄色粉末として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.87〜7.85(d,2H)、7.41〜7.37(t,2H)、7.19〜7.16(t,1H)、3.42(s,2H)、2.19(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:170.5、156.2、138.0、128.8、125.0、118.8、43.0、17.0;LC/MS−MS:175.0→77.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=56、CE=25、CXP=4、t=3.52分。
【0157】
【化12】
【0158】
1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン: 「一般手順A」に従って、エタノール(200mL)中のアセト酢酸エチル(15.1mL、119mmol、1.1当量)を0℃においてメチルヒドラジン(5.00g、109mmol、1.0当量)で処理して、結晶化(DCM及びn−ヘキサン)による精製後に1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(8.02g、71.5mmol、66%)をオフホワイト色の固体として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:3.25(s,3H)、3.16(s,2H)、2.08(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:172.2、155.4、138.0、41.3、31.0、16.8。
【0159】
【化13】
【0160】
1−メチル−3−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン: 一般手順Aに従って、エタノール(180mL)中のベンゾイル酢酸エチル(18.4mL、95.5mmol、1.1当量)を0℃においてメチルヒドラジン(4.57mL、86.8mmol、1.0当量)で処理して、結晶化(エタノール)による精製後に1−メチル−3−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(11.0g、63.1mmol、73%)を明黄色の固体として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.67〜7.65(m、2H)、7.42〜7.41(m,3H)、3.60(s,2H)、3.41(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:171.8、154.2、131.0、130.3、128.8、125.6、37.9、31.4。LC/MS−MS:175.0→77.2m/z;GS1及びGS2 30、DP=66、CE=43、CXP=4、t=3.45分。
【0161】
【化14】
【0162】
1,3−ジフェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン: 一般手順Aに従って、エタノール(130mL)中のベンゾイル酢酸エチル(12.2mL、71.2mmol、1.1当量)を0℃においてフェニルヒドラジン(7.00g、71.2mmol、1.0当量)で処理して、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル;4:1)及び結晶化(エタノール)による精製後に1,3−ジフェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(6.75g、28.6mmol、44%)をオフホワイト色の固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:11.84(s,1H)、7.84〜7.82(d,4H)、7.50〜7.40(m,4H)、7.34〜7.27(m,2H)、6.02(s,1H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:154.2、150.0、139.3、133.8、129.3、129.0、128.2、126.1、125.5、121.5、85.5;LC/MS−MS:237.0→77.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=81、CE=68、CXP=4、t=4.15分。
【0163】
【化15】
【0164】
1−ベンジル−3−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン: ベンゾイル酢酸エチル(4.80mL、28.2mmol、1.1当量)のエタノール溶液(60mL)を0℃においてベンジルヒドラジン(5.00g、25.6mmol、1.0当量)で処理した。混合物を常温へとゆっくりと加温して、60℃に加熱した(16時間)。反応混合物を濃縮して、エタノール(100mL)で希釈した後、3.0gのナトリウムエトキシドを添加し撹拌した(40時間)。固体を瀘別し溶媒を真空除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(4:1 n−ヘキサン:酢酸エチル→100%酢酸エチル)によって精製して、1−ベンジル−3−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(0.255g、1.02mmol、4%)を明橙色の固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:11.17(s,1H)、7.71〜7.70(d,2H)、7.37〜7.31(m,4H)、7.27〜7.20(m,4H)、5.85(s,1H)、5.13(s,2H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:153.6、148.6、138.3、134.4、128.8、128.8、127.6、127.6、125.1、83.7、50.0;LC/MS−MS:251.1→91.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=2、CE=33、CXP=14、t=4.01分。
【0165】
【化16】
【0166】
3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン: 一般手順Aを用いて、エタノール(60mL)中の3,4−ジメトキシベンゾイル酢酸エチル(5.00g、19.8mmol、1.1当量)を0℃においてメチルヒドラジン(0.95mL、19.8mmol、1.0当量)で処理して、シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル;4:1→1:1)による精製後に3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(1.86g、7.94mmol、44%)を明黄色粉末として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.35〜7.35(d,1H)、7.06〜7.04(dd,1H)、6.87〜6.85(d,1H)、3.94(s,3H)、3.92(s,3H)、3.57(s,2H)、3.39(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:171.6、154.1、151.1、149.4、124.1、119.6、110.7、107.3、55.9、55.9、38.0、31.3;LC/MS−MS:235.1→219.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=66、CE=33、CXP=14、t=3.26分。
【0167】
【化17】
【0168】
3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン: 一般手順Aを用いて、エタノール(60mL)中の3,4−ジメトキシベンゾイル酢酸エチル(3.00g、11.9mmol、1.1当量)を0℃においてフェニルヒドラジン(1.17mL、10.8mmol、1.0当量)で処理して、結晶化(エタノール)による精製後に3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(920mg、2.32mmol、22%)を黄色粉末として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:8.00〜7.97(d,1H)、7.48〜7.42(m,3H)、7.25〜7.21(t,1H)、7.17〜7.14(dd,1H)、6.91〜6.89(d,1H)、3.98(s,3H)、3.95(s,3H)、3.83(s,2H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:170.1、154.4、151.4、149.4、138.1、128.8、125.2、123.8、120.1、119.1、110.7、107.6、56.0、56.0、39.7;LC/MS−MS:297.0→218.2m/z;GS1及びGS2 30、DP=96、CE=37、CXP=18、t=3.98分。
【0169】
【化18】
【0170】
3−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン: 一般手順Aを用いて、エタノール(100mL)中の4−メトキシベンゾイル酢酸エチル(7.00g、27.8mmol、1.1当量)を0℃においてフェニルヒドラジン(2.50mL、25.3mmol、1.0当量)で処理して、結晶化(エタノール)後に3−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(5.21g、19.6mmol、78%)を明黄色の固体として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.99〜7.97(d,1H)、7.66〜7.64(d,2H)、7.44〜7.40(t,2H)、7.22〜7.18(t,1H)、6.94〜6.92(d,2H)、3.82(s,3H)、3.68(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:170.1、161.5、154.4、138.2、128.8、127.5、125.0、123.5、118.8、114.2、55.3、39.6;LC/MS−MS:267.0→77.2m/z;GS1及びGS2 30、DP=81、CE=65、CXP=4、t=4.15分。
【0171】
【化19】
【0172】
3−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン: 一般手順Aを用いて、エタノール(100mL)中の4−メトキシベンゾイル酢酸エチル(7.00g、27.8mmol、1.1当量)を0℃においてメチルヒドラジン(1.30mL、25.2mmol、1.0当量)で処理して、エタノールからの結晶化後に3−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(3.00g、14.7mmol、58%)を明黄色の固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:10.94(s,1H)、7.63〜7.60(d,2H)、6.92〜6.90(d,2H)、5.70(s,1H)、3.76(s,3H)、3.54(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:161.1、153.4、147.9、126.3、114.6、114.4、83.1、59.7、31.3;LC/MS−MS:205.0→190.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=51、CE=29、CXP=12、t=3.44分。
【0173】
【化20】
【0174】
6−アミノ−3−メチル−1,4−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: ベンズアルデヒド(290μL、2.87mmol)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol)及び3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(500mg、2.87mmol)の無水DCM撹拌溶液(60mL)に、無水NaSO(407mg、2.87mmol)及びエチルヒドロクプレイン塩酸塩(46mg、0.122mmol)を添加した。反応混合物を室温で撹拌した(25時間)。濾過及びDCMによる洗浄後、溶媒を減圧除去した。粗混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル;1:1)に供して、6−アミノ−3−メチル−1,4−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(270mg、0.822mmol、29%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.69〜7.66(d,2H)、7.50〜7.46(t,2H)、7.39〜7.26(m,6H)、4.68(s,1H)、4.67(s,2H)、1.91(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:158.1、146.4、143.8、141.9、137.5、129.2、128.8、127.8、127.5、126.7、121.2、119.0、98.3、64.0、37.4、12.8;LC/MS−MS:329.1→263.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=56、CE=31、CXP=18、t=4.18分。
【0175】
【化21】
【0176】
6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチル−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(10mL)中の4−フルオロベンズアルデヒド(356mg、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(500mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を濃縮して、析出物を濾過し、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−3−メチル−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(85.0mg、0.245mmol、9%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.68〜7.66(d,2H)、7.50〜7.46(t,2H)、7.34〜7.32(t,1H)、7.28〜7.22(m,2H)7.08〜7.04(t,2H)、4.68(s,3H)、1.91(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:158.0、146.2、143.7、137.8、137.5、129.4、129.2、126.8、121.2、118.8、115.8、115.6、98.1、63.8、36.7、12.8;LC/MS−MS:347.1→281.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=11、CE=31、CXP=18、t=4.16分。
【0177】
【化22】
【0178】
6−アミノ−1,3−ジメチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(10mL)中のベンズアルデヒド(290μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(322mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を19時間後に濃縮して、エタノール及びヘキサンで洗浄した。粗物質をSiOカラムクロマトグラフィ(n−ヘキサン中、25%酢酸エチル→100%酢酸エチル)によって精製した後、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−1,3−ジメチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(263mg、0.988mmol、34%)を黄色粉末として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.34〜7.32(m,2H)、7.25〜7.23(t,1H)、7.19〜7.17(d,2H)、7.05(s,2H)、4.57(s,1H)、3.60(s,3H)、1.66(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:159.9、144.6、144.4、142.9、128.8、128.0、127.3、120.6、96.5、58.7、37.5、33.8、12.8;LC/MS−MS:267.0→201.3m/z;GS1及びGS2 30、DP=61、CE=29、CXP=12、t=3.74分。
【0179】
【化23】
【0180】
6−アミノ−1−メチル−3,4−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(10mL)中のベンズアルデヒド(290μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)からなる混合物を1分間撹拌し、その後1−メチル−3−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(500mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を21時間後に濃縮して、エタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、ヘキサン及びエタノールで洗浄し、6−アミノ−1−メチル−3,4−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(282mg、8.58mmol、30%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.41〜7.38(m,2H)、7.28〜7.24(m,2H)、7.21〜7.18(m,6H)、4.88(s,1H)、4.77(s,2H)、3.83(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:158.1、146.0、144.8、144.6、133.2、128.7、128.5、127.9、127.8、127.1、126.4、120.5、95.7、59.9、38.2、34.5;LC/MS−MS:329.1→263.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=71、CE=31、CXP=18、t=4.00分。
【0181】
【化24】
【0182】
6−アミノ−1,3,4−トリフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(10mL)中のベンズアルデヒド(290μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後1,3−ジフェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(678mg、2.87mmol、1当量)を添加した。析出物を瀘別して、エタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−1,3,4−トリフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(330mg、0.845mmol、29%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.82〜7.80(d,2H)、7.55〜7.50(m,4H)、7.41〜7.37(t,1H)、7.32〜7.22(m,8H)、4.96(s,1H)、4.68(s,2H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:157.5、147.7、144.9、142.6、137.5、132.2、129.3、128.8、128.2、128.2、127.5、127.4、127.1、126.9、121.6、118.9、97.5、64.8、38.2;LC/MS−MS:391.1→325.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=91、CE=33、CXP=22、t=4.33分。
【0183】
【化25】
【0184】
6−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)−1,4−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(10mL)中のベンズアルデヒド(290μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(764mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を19時間後に濃縮して、エタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、ヘキサン及びエタノールで洗浄し、6−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)−1,4−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(695mg、1.65mmol、58%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.94〜7.92(d,2H)、7.58〜7.53(m,2H)、7.41〜7.37(t,1H)、7.27〜7.16(m,7H)、6.83〜6.81(d,2H)、5.04(s,1H)、3.71(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:159.5、159.0、146.6、145.6、144.5、137.9、129.8、128.9、128.3、128.0、127.3、127.1、125.1、121.1、120.3、114.1、97.5、59.8、55.5、37.9;LC/MS−MS:421.2→355.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=71、CE=33、CXP=24、t=4.28分。
【0185】
【化26】
【0186】
6−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(10mL)中のベンズアルデヒド(290μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(583mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を24時間後に濃縮した。粗物質をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中、25%酢酸エチル→100%酢酸エチル)によって精製した後、エタノールから再結晶化して、ヘキサン及びエタノールで洗浄し、6−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(80.9mg、8%、0.226mmol)を黄色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.42〜7.40(d,2H)、7.23〜7.21(m,2H)、7.15〜7.13(d,3H)、7.06(s,1H)、6.77〜6.75(d,2H)、4.93(s,1H)、3.76(s,3H)、3.69(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:159.1、159.0、145.9、144.8、144.5、128.8、127.8、127.7、127.1、125.8、120.5、113.9、95.0、59.9、55.4、38.2、34.4;LC/MS−MS:359.1→293.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=76、CE=31、CXP=20、t=3.96分。
【0187】
【化27】
【0188】
6−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(5.0mL)中のベンズアルデヒド(145μL、1.44mmol、1.0当量)、マロノニトリル(90.0mg、1.44mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(200μL、1.44mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(336mg、1.44mmol、1当量)を添加した。反応混合物を24時間後に濃縮した。粗物質をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中、25%酢酸エチル→100%酢酸エチル)によって精製した後、エタノールから再結晶化して、ヘキサン及びエタノールで洗浄し、6−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(48.5mg、9%、0.124mmol)を黄色固体として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.29〜7.28(d,2H)、7.23〜7.21(d,2H)、7.00〜6.98(d,1H)、6.88(s,1H)、6.72〜6.70(d,2H)、4.84(s,1H)、4.75(s,2H)、3.82(s,6H)、3.60(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:157.6、148.7、148.6、146.1、145.7、143.1、128.9、127.5、127.4、125.6、119.3、119.3、110.9、109.7、94.7、64.4、55.7、55.6、38.3、34.1;LC/MS−MS:389.1→323.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=66、CE=31、CXP=22、t=3.82分。
【0189】
【化28】
【0190】
6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(8.0mL)中の4−フルオロベンズアルデヒド(300μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400mL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(322mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を24時間後に濃縮して、エタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(335mg、41%、1.17mmol)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.23〜7.20(m,2H)、7.16〜7.12(m,2H)、7.07(s,2H)、4.61(s,1H)、3.60(s,3H)、1.67(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:162.7、159.9、144.6、142.9、140.7、129.9、120.6、115.6、115.4、96.3、59.6、56.4、36.7、33.8、12.8;LC/MS−MS:285.1→219.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=61、CE=27、CXP=14、t=3.80分。
【0191】
【化29】
【0192】
6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−3−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(10mL)中の4−フルオロベンズアルデヒド(300μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後1−メチル−3−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(500mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を20時間後に真空濃縮して、エタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−3−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(182mg、0.525mmol、18%)を明黄色の固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.50〜7.48(d,2H)、7.22〜7.18(m,5H)、7.11(s,2H)、7.05〜6.98(t,2H)、5.04(s,1H)、3.78(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:162.5、159.1、146.0、144.6、140.9、133.1、129.8、128.5、127.9、126.5、120.4、115.5、115.3、95.5、59.7、37.4、34.5;LC/MS−MS:347.1→281.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=66、CE=31、CXP=14、t=4.00分。
【0193】
【化30】
【0194】
6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(10mL)中の4−フルオロベンズアルデヒド(300μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後1,3−ジフェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(678mg、2.87mmol、1当量)を添加した。形成された析出物を瀘別して、エタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(240mg、0.588mmol、20%)を白色粉末として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.94〜7.92(d,2H)、7.61〜7.55(m,4H)、7.42〜7.38(t,1H)、7.28〜7.24(m,7H)、7.06〜7.02(t,2H)、5.15(s,1H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:162.6、159.0、146.8、145.6、140.6、137.8、132.5、130.0、129.9、129.8、128.6、128.6、127.3、127.0、121.3、120.2、115.6、115.4、97.9、59.6、37.0;LC/MS−MS:410.4→242.2m/z;GS1及びGS2 30、DP=21、CE=47、CXP=16、t=4.63分。
【0195】
【化31】
【0196】
6−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(10mL)中の4−フルオロベンズアルデヒド(300μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(672mg、2.87mmol、1当量)を添加した。形成された析出物を瀘別して、エタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(782mg、1.93mmol、67%)を白色粉末として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.20〜7.18(m,2H)、7.09〜7.03(m,5H)、6.96〜6.95(d,1H)、6.80〜6.78(d,2H)、5.02(s,1H)、3.77(s,3H)、3.69(s,3H)、3.62(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:162.6、159.0、148.7、146.0、144.6、141.0、141.0、129.8、129.7、125.9、120.4、119.0、115.7、115.4、111.8、109.8、94.7、55.8、55.7、37.3、34.4;LC/MS−MS:407.1→341.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=71、CE=33、CXP=22、t=3.86分。
【0197】
【化32】
【0198】
6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(10mL)中の4−フルオロベンズアルデヒド(300μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(764mg、2.87mmol、1当量)を添加した。形成された析出物を瀘別して、エタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(800mg、1.83mmol、64%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.93〜7.91(d,2H)、7.55〜7.53(m,4H)、7.41〜7.37(t,1H)、7.26〜7.23(m,4H)、7.07〜7.05(t,2H)、6.84〜6.82(d,2H)、5.11(s,1H)、3.72(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:162.6、159.6、159.0、146.6、145.5、140.7、140.6、137.9、130.0、129.9、129.8、128.3、127.1、125.0、121.1、120.2、115.6、115.4、114.1、97.3、59.6、55.5、37.0;LC/MS−MS:439.2→373.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=61、CE=35、CXP=24、t=4.28分。
【0199】
【化33】
【0200】
6−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−(4−フルオロフェニル)−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(3.0mL)中の4−フルオロベンズアルデヒド(70.0μL、0.675mmol、1.0当量)、マロノニトリル(45.0mg、0.675mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(90.0μL、0.675mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(200mg、0.675mmol、1当量)を添加した。反応混合物を19時間後に濃縮して、粗物質をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中、25%酢酸エチル→100%酢酸エチル)によって精製した。黄色固体をエタノールからの再結晶化によって更に精製して、6−アミノ−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−(4−フルオロフェニル)−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(164mg、0.350mmol、12%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.80〜7.78(d,2H)、7.52〜7.48(t,2H)、7.38〜7.35(t,1H)、7.25〜7.21(m,2H)、7.05〜6.95(m,4H)、6.75〜6.73(d,1H)、4.91(s,1H)、4.84(s,1H)、3.84(s,3H)、3.71(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:163.2、157.8、149.2、148.7、147.5、144.9、138.6、137.4、129.3、129.1、129.0、127.1、125.0、121.5、119.8、119.0、115.9、115.7、110.8、109.9、96.6、64.0、55.8、55.7、37.5;LC/MS−MS:469.3→403.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=6、CE=35、CXP=26、t=4.16分。
【0201】
【化34】
【0202】
6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(10mL)中の4−フルオロベンズアルデヒド(300μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(586mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を19時間後に濃縮して、形成された析出物をエタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、ヘキサン及びエタノールで洗浄し、6−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(350mg、0.930mmol、32%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.43〜7.40(d,2H)、7.20〜7.16(m,2H)、7.10(s,2H)、7.06〜7.02(t,2H)、6.78〜6.76(d,2H)、4.99(s,1H)、3.75(s,3H)、3.69(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:162.5、159.1、145.8、144.6、141.0、141.0、129.8、129.7、127.8、125.7、120.5、115.6、115.4、113.9、94.9、59.7、55.4、37.4、34.4;LC/MS−MS:377.1→311.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=66、CE=33、CXP=20、t=3.98分。
【0203】
【化35】
【0204】
6−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(10mL)中のアニスアルデヒド(350μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後6−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(500mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を24時間後に濃縮して、析出物をエタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)−3−メチル−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(800mg、78%、2.23mmol)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.80〜7.78(d,2H)、7.51〜7.47(t,2H)、7.32〜7.28(t,1H)、7.18〜7.16(m,4H)、6.91〜6.89(d,2H)、4.62(s,1H)、3.74(s,3H)、1.79(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:159.7、158.6、145.7、144.2、138.0、136.0、129.7、129.2、126.5、120.5、120.3、114.3、99.3、59.0、55.4、36.4、13.0;LC/MS−MS:359.2→293.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=71、CE=29、CXP=20、t=4.14分。
【0205】
【化36】
【0206】
6−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)−1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(10mL)中のアニスアルデヒド(350μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(321mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を24時間後に濃縮して、粗物質をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中、25%酢酸エチル→100%酢酸エチル)によって精製した。黄色固体をエタノール及びヘキサンで洗浄し、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)−1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(370mg、1.25mmol、44%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)CDCl:7.12〜7.10(d,2H)、6.85〜6.83(d,2H)、4.61(s,2H)、4.55(s,1H)、3.79(s,3H)、3.69(s,3H)、1.80(s,3H)、13C−NMR(100MHz)CDCl:158.8、157.9、144.5、144.4、134.5、128.8、119.3、114.0、96.4、64.2、55.2、36.7、33.7、12.7;LC/MS−MS:297.0→231.2m/z;GS1及びGS2 30、DP=61、CE=27、CXP=16、t=3.71分。
【0207】
【化37】
【0208】
6−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−3−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(10mL)中のアニスアルデヒド(350μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後1−メチル−3−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(500mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を24時間後に濃縮して、析出物をエタノール及びヘキサンで洗浄し、生成物をエタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−3−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(210mg、20%、0.586mmol)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.50〜7.48(d,2H)、7.21〜7.17(m,3H)、7.05〜7.02(m,4H)、6.76〜6.74(d,2H)、4.91(s,1H)、3.76(s,3H)、3.64(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:158.9、158.3、146.0、144.6、136.9、133.2、128.9、128.5、127.8、126.4、120.6、114.1、95.9、60.3、55.3、37.5、34.5;LC/MS−MS:359.2→293.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=66、CE=29、CXP=20、t=3.98分。
【0209】
【化38】
【0210】
6−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−3−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(10mL)中のアニスアルデヒド(350μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後1,3−ジフェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(678mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を24時間後に濃縮して、析出物をエタノール及びヘキサンで洗浄した。生成物をエタノールから再結晶化して、6−アミノ−4−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−3−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(1.05g、87%、2.50mmol)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.94〜7.92(d,2H)、7.63〜7.61(d,2H)、7.57〜7.53(t,2H)、7.40〜7.36(t,1H)、7.29〜7.23(m,3H)、7.15(s,2H)、7.13〜7.11(d,2H)、6.78〜6.76(d,2H)、5.02(s,1H)、3.65(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:158.9、158.4、146.7、145.6、137.9、136.5、132.6、129.8、129.0、128.7、128.5、127.2、127.0、121.2、120.3、114.2、98.3、60.2、55.3、37.1;LC/MS−MS:421.2→355.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=81、CE=35、CXP=24、t=4.32分。
【0211】
【化39】
【0212】
6−アミノ−3,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(10mL)中のアニスアルデヒド(350μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(764mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を24時間後に濃縮して、析出物をエタノール及びヘキサンで洗浄した後、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−3,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(1.06g、2.35mmol、82%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.93〜7.91(d,2H)、7.56〜7.52(m,4H)、7.38〜7.35(t,1H)、7.15〜7.11(m,4H)、6.83〜6.78(m,4H)、4.98(s,1H)、3.70(s,3H)、3.66(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:159.5、158.9、158.4、146.6、145.5、137.9、136.6、129.8、129.0、128.3、127.0、125.2、121.0、120.4、114.2、114.1、97.7、60.3、55.5、55.3、37.1;LC/MS−MS:452.3→89.1m/z;GS1及びGS2 30、DP=36、CE=39、CXP=4、t=3.47分。
【0213】
【化40】
【0214】
6−アミノ−3,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル: エタノール(10mL)中のアニスアルデヒド(350μL、2.87mmol、1.0当量)、マロノニトリル(190mg、2.87mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(400μL、2.87mmol、1.0当量)の混合物を1分間撹拌し、その後3−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン(689mg、2.87mmol、1当量)を添加した。反応混合物を24時間後に濃縮して、析出物をエタノール及びヘキサンで洗浄した後、エタノールから再結晶化して、6−アミノ−3,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1,4−ジヒドロピラノ[2,3−c]ピラゾール−5−カルボニトリル(690mg、1.78mmol、62%)を白色固体として得た。H−NMR(400MHz)DMSO:7.42〜7.40(d,2H)、7.05〜7.03(d,2H)、7.00(s,2H)、6.78〜6.75(dd,4H)、4.86(s,1H)、3.73(s,3H)、3.68(s,3H)、3.66(s,3H)、13C−NMR(100MHz)DMSO:159.0、158.9、158.3、145.9、144.5、136.9、128.9、127.7、125.9、120.6、114.1、113.9、95.3、60.3、55.4、55.3、37.5、34.3;LC/MS−MS:389.2→323.0m/z;GS1及びGS2 30、DP=66、CE=29、CXP=22、t=3.94分。
【0215】
実施例3−ELISAスクリーニング
Elisaスクリーニングは、活性化(GTP結合)タンパク質によってRalA又はRalBのいずれかとRalBP1とが複合体を形成するという正準結合原理に基づくものである。ELISAアッセイは広く用いられるRal活性化プルダウンアッセイから適合させたものであった(Cancer Res. 2005; 65: 7111-7120)。組換えGST−His6−RalBP1融合タンパク質をGST親和性により細菌から精製した後、His6タグを介して金属−キレート誘導体化96ウェルマイクロプレート上に直接吸着させた。FLAG−RalA又はFLAG−RalBのいずれかを発現する安定してトランスフェクトしたUMUC3細胞株を作製し、ここでは異所性タンパク質はRal活性化のレポーターとして機能し、FLAGタグによって、タンパク質の高感度及び高特異性の検出が可能となる。本発明者らはUMUC3におけるFLAG−Ralの安定発現を利用した。抗FLAG一次抗体及びHRP結合抗マウス二次抗体を用いたロバストなシグナル対ノイズ比(100:1を超える)(シグナルは0.3mcgから最大10mcgまでの総細胞溶解物で投入タンパク質に比例する)が、十分な総細胞タンパク質を分析用に回収することができる96ウェルマイクロプレートで培養された細胞から得られた。本発明者らは、Ral GTPアーゼ阻害活性について化合物をスクリーニングするのにこのアッセイを使用した。図2に、31種の本発明の推定Ral GTPアーゼ阻害剤についてのElisaスクリーニングデータを示す。Ral GTPアーゼ阻害剤RBC10を、膀胱がん細胞株A549、H358、H460、H2009、SW1573、CRL2169、J82、KU7、MGHU4、LULU2、UMUC3においてMEK阻害剤AZD6244とともにRal GTPアーゼ阻害剤の組合せ試験に使用したところ、相乗効果を示した。Ral GTPアーゼ阻害剤RBC10を、肺がん細胞株A549、H2009、H358、H460、SW1573においてMEK阻害剤AZD6244とともにRal GTPアーゼ阻害剤の組合せ試験に使用したところ、相乗効果を示した。その後、本発明のRal GTPアーゼ阻害剤及びRalA GTPアーゼ阻害についての用量応答曲線を求めた。さらに、これらの細胞における細胞拡散についての用量応答曲線を含む、マウス胚性線維芽細胞(MEF)における本発明のRal GTPアーゼ阻害剤による処理後の細胞拡散アッセイを行った。in vitroにおいて4種の本発明のRal GTPアーゼ阻害剤で処理した、結腸がん細胞WiDr、HT29、HCT116、HCT15、DLD1及びCaco−2の細胞生存率の試験から、ビヒクル対照に対する処理細胞における細胞成長の顕著な低減が示された。同様に、in vitroにおいて7種の本発明のRal GTPアーゼ阻害剤で処理した、膵臓がん細胞BXPC3、HPAC及びMiaPACA2の細胞生存率の試験から、ビヒクル対照に対する処理細胞における細胞成長の顕著な低減が示された。図3に、8種の本発明のRal GTPアーゼ阻害剤についてのRal活性化プルダウンアッセイの結果を示す。各試験薬物を標準の10% J82培地中、50umで2時間インキュベートした。DMSO対照溶解物を2つのプルダウンに使用し、それらを平均して、この平均について対照に対する%を算出した。
【0216】
実施例4−ALPHAスクリーニング:
Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay(Alpha)スクリーニングを実施し、本発明のRal GTPアーゼ阻害化合物によって引き起こされるRalタンパク質−タンパク質相互作用の破壊を測定した。ALPHAアッセイは対象となる1つの分析物(例えばHis標識BP1)に結合するアクセプタビーズと、対象となる第2の分析物(例えばBP2)に結合するドナービーズとを含むものである。励起によって、ドナービーズにおける光増感剤が周囲酸素を反応性一重項酸素へと変換させる。ドナーとアクセプタとが200nm以内にある場合、一重項酸素種はアクセプタビーズにおいてチオキセン化合物と反応して、370nmで放射される化学発光シグナルを発生させる。このエネルギーは同じアクセプタビーズに含まれるフルオロフォアへと即座に遷移し、これにより放射波長が520nm〜620nmへと効果的に移行する。ドナービーズは680nmで励起し、アクセプタビーズ付近で520nm〜620nmの範囲の光を放射する(GST標識BP2)。この化学発光反応はタンパク質のインキュベーション直後に測定することができる。化学発光はビーズ同士が極めて近接している場合にのみ観察され、そのため試験タンパク質間のタンパク質−タンパク質相互作用は損なわれない。このようにして、本発明のRal−GTPアーゼ阻害化合物によって引き起こされるRal−BP1→RalA結合の破壊を評価した。
【0217】
初期ALPHAスクリーニングを実施し、50μMの本発明のRal GTPアーゼ阻害化合物の存在下におけるRalBP1−RalA結合阻害を測定した(図4)。その後、ALPHAスクリーニングを用量応答的に実施し、マイクロモル範囲の化合物濃度に応じた或る特定の本発明のRal−GTPアーゼ阻害化合物によるタンパク質結合阻害を測定した(図5)。
【0218】
実施例5−in vivoにおける薬物動態評価:
或る特定の本発明のRal−GTPアーゼ阻害化合物の薬物動態をマウスで評価した。腹腔内注射又は経口投与の後、血液サンプルを数時間に亘って回収し、薬物濃度を飛行時間型(Time Of Flight:TOF)分光分析を伴うキャピラリー電気泳動によって評価した。3つの試験の例示的な結果を表2に示す。
【0219】
【表2】
【0220】
実施例6−ヒトがん細胞成長阻害のin vitroでの評価:
或る特定の本発明のRal−GTPアーゼ阻害化合物の成長阻害特性をin vitroにおいて評価した。組織構造及びK−Ras突然変異状態が異なるヒトがん細胞株を用いて、1μM濃度の2種の本発明のRal−GTPアーゼ阻害化合物によるin vitroでの成長阻害効果を調べた(図6)。
【0221】
実施例7−ヒトがん細胞におけるin vitroでの用量応答曲線:
K−Ras突然変異状態が異なるヒト肺がん細胞株を用いて、マイクロモル濃度範囲の本発明のRal−GTPアーゼ阻害化合物に応じたin vitroでの成長阻害効果を調べた(図7A及び図7B)。
【0222】
実施例8−細胞取込み実験:
H2122細胞を用いて、1時間に亘るRBC8及びRBC10のin vitroでの細胞取込みを測定した。RBC8化合物及びRBC10化合物を別々に三連で投与し(10μM)、細胞を様々な時点で単離した(1分、5分、15分、30分及び60分)。RBC8及びRBC10の濃度はLC/MS−MS法を用いて求めた。図8Aに1時間に亘るRBC8の細胞取込みを示す。図8Bに、1時間に亘るRBC10の細胞取込みを示す。各時点でn=3±SD。
【0223】
実施例9−in vivoでの薬物動態データ:
H2122細胞を用いて、マウスにおいて異種移植片を作製した。50mg/kgのRBC8及びRBC10をIPで送達し、組織サンプルを接種後1時間及び2時間で回収した。RBC8及びRBC10の濃度はLC/MS−MS法を用いて求めた。図9AにRBC8の組織濃度をTmaxで示す。図9BにRBC10の組織濃度をTmaxで示す(血漿データはng/mlである。組織データを適切に比較するには、血漿濃度を血漿体積で乗算する必要がある)。
【0224】
実施例10−in vivoでの効能データ:
1群当たり10匹のヌードマウスにそれぞれ、200000個のH2122ヒト肺がん細胞を1回接種した。薬物処理は接種日から開始し、50mg/kg/日、IPで週末を除き毎日送達させた。図10Aに、22日に亘るRBC8処理後の腫瘍体積を示す。図10Bに、18日に亘るRBC10処理後の腫瘍体積を示す。
【0225】
実施例11−in vivoでのRal阻害データ(siRNA):
細胞をRalA及びRalBの両方を欠いたsiRNAで処理した24時間後に、1群当たり10匹のヌードマウスにそれぞれ、200000個のH2122ヒト肺がん細胞を1回接種した。図11に、20日に亘る処理細胞及び非処理細胞の腫瘍体積を示す。
【0226】
実施例12−in vivoでのRal阻害データ(本発明の化合物):
ヒト肺がん細胞株H2122を雌のヌードマウスに皮下接種し、腫瘍の平均サイズが200mmに達するまで成長させた。マウスに50mg/Kgの単回IP用量のRBC8、RBC10又はDMSO対照を与えた。異種移植腫瘍を注射後2時間(RBC10)又は3時間(RBC8)で回収した。腫瘍におけるRalA及びRalBの活性を、RalBP1アガロースビーズを用いたプルダウンアッセイによって測定し、総タンパク質に対して正規化した。図12Aに、RBC8及びRBC10による腫瘍におけるRalAの阻害を示す。図12Bに、RBC8及びRBC10による腫瘍におけるRalBの阻害を示す。
【0227】
本発明の上記実施例は例示及び説明目的で提示されている。さらに、これらの実施例は本発明を本明細書に開示される形態に限定することを意図していない。結果として、本明細書の教示に応じた変更及び修正、並びに関連分野の技術又は知識が本発明の範囲内となる。本明細書で与えられる実施例に記載される特定の実施形態は、本発明を実施するのに知られるベストモードを説明するものであり、当業者がかかる又は他の実施形態において本発明の特定用途又は使用に要求される様々な変更を加えて本発明を利用することが可能であることを意図している。添付の特許請求の範囲は従来技術によって許容される程度に代替的な実施形態を包含するように解釈されることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】