(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
本発明は、官能基に結合したリガンドを含む、リガンド-標的指向分子およびリガンド薬物結合体(LDC)に関するものであり、この官能基はリンカーに結合し、このリンカーは更に薬物に結合している。本発明のLDCは同様に、白金がモノカルボキシレートおよびO→Pt配位結合を介してリンカーに結合している、白金配位錯体を含む。本発明は同様に、これらのリガンド薬物結合体を調製するための方法に関する。本発明はさらに、本発明のリガンド薬物結合体を用いた腫瘍の処置のための方法に関する。
リンカーが炭化水素、ポリエチレングリコール(PEG)、アミノ酸、ペプチド、またはその組み合わせであり、該炭化水素またはPEGが置換型または非置換型である、請求項1に記載のリガンド-標的指向分子。
抗がん剤が、メイタンシノイド(DM1およびDM4); CC-1065; アドゼレシン(DC1); DC4; カリケアマイシン; ドラスタチン; オーリスタチンEおよびF; メアマイシン(Meamycin); ドキソルビシン; パクリタキセル; ドセタキセル; ラウリマリド; エポチロンAおよびB; ディスコデルモライド; エリュテロビン; ペロルシドA; シクロホスファミド、クロラムブシル、ウラムスチン、イフォスファミド、メルファラン、およびベンダムスチン; カルムスチン、ロムスチン、セムスチン; ブスルファン; チオテパ; ダカルバジン; メトトレキセート; 6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、ペントスタチン、フルダラビン; 5-フルオロウラシル、シタラビン、ロイコボリン; ダクチノマイシン; ブレオマイシン; ダウノルビシン; マイトマイシン; イダルビシン; プリカマイシン; ビンクリスチン; ビンブラスチン; ビノレルビン; エトポシド; テニポシド; アスパラギナーゼ; マイトトキシン; イリノテカン(CPT-11); フマギリン; フマガロン; フマラノール; O-(クロロアセチルカルバモイル)-フマギロール(AGM-1470、TNP-470); 27-ヒドロキシブラタシン、それらの誘導体および類似体、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項22に記載の結合体。
白金(II)化合物が、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、パラプラチン、サトラプラチン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項24に記載の結合体。
抗体が、C242抗体(CanAg)、リツキシマブ、トラスツズマブ(Her2)、セツキシマブ、ベバシズマブ(VEGF)、パニツムマブ、アレムツズマブ、オファツムマブ、ゲムツズマブ(CD33)、イノツズマブ(CD22)、ロルボツズマブ(CD56)、ブレンツキシマブ(CD30)、グレムバツムマブ(GPNMB)、それらのエピトープ結合断片およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項28に記載の結合体。
リンカーが炭化水素、ポリエチレングリコール(PEG)、アミノ酸、ペプチド、またはその組み合わせであり、該炭化水素またはPEGが置換型または非置換型である、請求項21に記載の結合体。
抗がん剤が、メイタンシノイド(DM1およびDM4); CC-1065; アドゼレシン(DC1); DC4; カリケアマイシン; ドラスタチン; オーリスタチンEおよびF; メアマイシン(Meamycin); ドキソルビシン; パクリタキセル; ドセタキセル; ラウリマリド; エポチロンAおよびB; ディスコデルモライド; エリュテロビン; ペロルシドA; シクロホスファミド、クロラムブシル、ウラムスチン、イフォスファミド、メルファラン、およびベンダムスチン; カルムスチン、ロムスチン、セムスチン; ブスルファン; チオテパ; ダカルバジン; メトトレキセート; 6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、ペントスタチン、フルダラビン; 5-フルオロウラシル、シタラビン、ロイコボリン; ダクチノマイシン; ブレオマイシン; ダウノルビシン; マイトマイシン; イダルビシン; プリカマイシン; ビンクリスチン; ビンブラスチン; ビノレルビン; エトポシド; テニポシド; アスパラギナーゼ; マイトトキシン; イリノテカン(CPT-11); フマギリン; フマガロン; フマラノール; O-(クロロアセチルカルバモイル)-フマギロール(AGM-1470、TNP-470); 27-ヒドロキシブラタシン、それらの誘導体および類似体、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項47に記載の結合体。
抗体が、C242抗体(CanAg)、リツキシマブ、トラスツズマブ(Her2)、セツキシマブ、ベバシズマブ(VEGF)、パニツムマブ、アレムツズマブ、オファツムマブ、ゲムツズマブ(CD33)、イノツズマブ(CD22)、ロルボツズマブ(CD56)、ブレンツキシマブ(CD30)、グレムバツムマブ(GPNMB)、それらのエピトープ結合断片およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項51に記載の結合体。
第1または第2のリンカーが炭化水素、ポリエチレングリコール(PEG)、アミノ酸、ペプチド、またはその組み合わせであり、該炭化水素またはPEGが置換型または非置換型である、請求項39に記載の結合体。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
本発明は、リガンド薬物結合体と、リガンド-標的指向治療用剤としてのその応用とを対象にする。本発明のリガンド-標的指向分子(LTM)を強力な細胞毒性薬に結合させて、活性な形態で関心対象の作用部位に選択的に送達されかつその後開裂して活性な薬物を放出しうる、リガンド薬物結合体(LDC)を形成する。
【0015】
本発明は、式1:
の構造を有する、細胞毒性のあるリガンド-薬物結合体を提供する。
【0016】
上記式は、それ自体が薬物としての、または別の細胞毒性剤/薬をリガンドに連結させる開裂可能なリンカーとしての、白金の使用を表す。
【0017】
いくつかの態様において、薬物は、Pt-配位錯体を形成することによってリンカーに結合したPt(II)剤である。
【0018】
本発明の別の態様では同様に、リンカーが白金配位錯体を含み、かつ薬物、例えば、細胞毒性薬が白金を介してリンカーに結合されている、新規のリガンド-薬物結合体を提供する。白金-配位錯体は、リンカーへのジカルボニル結合を介して、またはモノカルボニル結合およびO→Pt配位結合を介して細胞毒性薬と結合される。限定するものではないが、本明細書において記述されるLDCは、細胞への内部移行によって錯体から薬物を放出することができる。これらの化合物において、白金錯体は、薬物としてではなく脱離基として作用することができる。それは、容易に開裂されうる、したがってPt部分に結合している細胞毒性剤/薬を放出するように開裂するLDCを与えうる、リンカーとして働く。
【0019】
新規LDCの別の態様において、リンカー配位錯体は、細胞毒性剤を結合させるためにFe、Siのような他の金属を有しうる。
【0020】
1つの局面において、本開示は、リンカーを介して相互に結合された、標的指向部分と白金化合物である薬物とを含むリガンド-薬物結合体を提供する。この局面のいくつかの態様において、リガンド-薬物結合体は式A-B-Cのものであり、式中でAはリガンド(例えば、標的指向部分)であり; Bはリンカーであり; かつCは白金化合物である。
【0021】
別の局面において、本開示は、白金化合物/錯体を含むリンカーを介して相互に結合された、標的指向部分と薬物とを含むリガンド-薬物結合体を提供する。この局面のいくつかの態様において、リガンド-薬物結合体は式A-B-C-B'-Dのものであり、式中でAはリガンド(例えば、標的指向部分)であり; BおよびB'は独立してリンカーであり; Cは配位金属錯体(例えば、白金錯体)であり; かつDは治療剤または治療薬である。この局面の態様において、薬物は第2の白金化合物または別の細胞毒性剤/薬でありうる。
【0022】
本開示は同様に、式F-B-Cの結合体を提供し、式中でFは官能基であり、Bはリンカーであり、かつCは白金化合物である。
【0023】
本開示は同様に、式F-B-C-B'-Dの結合体を提供し、式中F-B-C-B'-Dで、Fは官能基であり; BおよびB'は独立してリンカーであり; Cは配位金属錯体(例えば、白金錯体)であり; かつDは薬物である。官能基は、リンカーBを標的指向部分またはリガンドと連結させるために用いられうる。
【0024】
いくつかの態様において、白金化合物は、リンカーに存在するジカルボニル単量体を介してリンカーに連結される。
【0025】
いくつかの態様において、白金化合物は少なくとも1つの配位結合を介してリンカーに解離可能に連結される。理論によって束縛されることを望むわけではないが、配位結合は、白金化合物が配位結合を用いずにリンカーに連結される場合と比べて、より不安定であり、したがって、より容易に白金化合物を放出する。いくつかの態様において、リンカーへの白金化合物の連結にはさらに、カルボキシレート結合が含まれる。したがって、いくつかの態様において、白金化合物は、配位結合およびカルボキシレート結合を介してリンカーに連結される。
【0026】
いくつかの態様において、配位結合は、白金化合物の白金原子とリンカーのジカルボニル単量体の酸素との間である。好ましくは、配位結合は白金とカルボニル酸素との間である。いくつかの態様において、配位結合は、白金化合物の白金原子とリンカーのアミド酸素との間である。いくつかの態様において、配位結合は、白金化合物の白金原子とリンカーのエステルカルボニル酸素との間である。
【0027】
いくつかの態様において、少なくとも1個の(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれより多くの)白金化合物がリンカーに連結される。限定するものではないが、任意の白金化合物を、本明細書において記述される結合体において用いることができる。いくつかの態様において、白金化合物は白金(II)または白金(IV)化合物である。いくつかの態様において、白金(II)化合物は、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、パラプラチン、サトラプラチン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0028】
いくつかの態様において、白金(II)化合物は、Pt(NH
3)
2、Pt(NH
3)(2-メチルピリジン)、および
からなる群より選択され、式中でpは0、1、2、または3である。1つの態様において、白金(II)化合物はPt(NH
3)
2である。
【0029】
いくつかの態様において、白金(II)化合物は、少なくとも2個の窒素原子を含み、ここで該窒素原子は白金に直接連結される。さらなる態様において、2個の窒素原子は、置換されてもよいリンカー、例えば非環状または環状リンカーを介して相互に連結される。環状リンカーは、少なくとも1つの環構造を含む連結部分を意味する。環状リンカーはアリール、ヘテロアリール、シクリルまたはヘテロシクリルでありうる。
【0030】
いくつかの態様において、白金に連結される少なくとも1個の窒素は、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの環原子である。1つの態様において、ヘテロアリールは、置換されてもよいピリジン、例えば、2-メチルピリジンである。
【0031】
いくつかの態様において、白金化合物は
であり、式中でpは2である。
【0032】
非限定的に、任意の薬物(例えば、治療剤)が、本明細書において記述される標的指向リガンド薬物結合体において結合されうる。本明細書において用いられる場合、「治療剤」という用語は、疾患の診断、処置、または予防において用いられる物質をいう。疾患の診断、処置または予防において有益であるものと当業者に知られた任意の治療剤が、本発明との関連における治療剤として企図される。治療剤には、薬学的に活性な化合物、ホルモン、成長因子、酵素、DNA、プラスミドDNA、RNA、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、リボザイム、ウイルス、タンパク質、脂質、炎症誘発性分子、抗体、抗生物質、抗炎症剤、アンチセンスヌクレオチドおよび形質転換核酸またはそれらの組み合わせが含まれる。そのような組み合わせが生体適合性である限りにおいて、任意の治療剤を組み合わせることができる。
【0033】
例示的な治療剤には、Harrison's Principles of Internal Medicine, 13
th Edition, Eds. T.R. Harrison et al., McGraw-Hill N.Y., NY; Physicians Desk Reference, 50
th Edition, 1997, Oradell New Jersey, Medical Economics Co.; Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th Edition, GoodmanおよびGilman, 1990; United States Pharmacopeia, The National Formulary, USP XII NF XVII,1990; GoodmanおよびOilmanのThe Pharmacological Basis of Therapeuticsの現行版; ならびにThe Merck Indexの現行版に見出されるものが含まれるが、これらに限定されることはなく、これらの全ての全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
【0034】
使用できる治療剤の例としては、麻薬性鎮痛薬; 金塩; コルチコステロイド; ホルモン; 抗マラリア薬; インドール誘導体; 関節炎処置のための医用薬剤; テトラサイクリン、ペニシリン、ストレプトマイシンおよびオーレオマイシンを含む、抗生物質; 例えばフェノチアジンのような家畜および大型のウシに適用される駆虫薬およびイヌジステンパー薬; スルフイソキサゾールのような硫黄に基づく薬物; 抗腫瘍薬; アルコール中毒を制御する薬剤およびタバコ中毒を制御する薬剤のような、中毒を管理する医用薬剤; メサドンのような薬物中毒のアンタゴニスト; 体重制御薬; 甲状腺制御薬; 鎮痛薬; 受精制御薬または避妊ホルモン; アンフェタミン; 抗高血圧薬; 抗炎症剤; 鎮咳薬; 鎮静薬; 神経筋弛緩薬; 抗てんかん薬; 抗うつ薬; 抗不整脈薬; 血管拡張薬; 降圧利尿薬; 抗糖尿病剤; 抗凝固薬; 抗結核剤; 抗精神病剤; ホルモンならびにペプチドが挙げられるが、これらに限定されることはない。上記の一覧は、最大限のものではなく、組成物に含まれうる治療剤の幅広い多様性を単に表しているにすぎないことを理解されたい。いくつかの態様において、治療剤はミトキサントロン、タンパク質(例えばVEGF)またはプラスミドDNAである。
【0035】
いくつかの態様において、治療剤、例えば、薬物は抗がん剤である。本明細書において用いられる場合、「抗がん剤」という用語は、がんを処置するために用いられうる任意の化合物(その類似体、誘導体、プロドラッグおよび薬学的塩を含む)または組成物をいう。本発明で用いるための抗がん化合物には、トポイソメラーゼIおよびIIの阻害剤、アルキル化剤、微小管阻害剤(例えば、タキソール)、ならびに血管形成阻害剤が含まれるが、これらに限定されることはない。例示的な抗がん化合物には、パクリタキセル(タキソール); ドセタキセル; ゲムシタビン; アルデスロイキン; アレムツズマブ; アリトレチノイン; アロプリノール; アルトレタミン; アミフォスチン; アナストロゾール; 三酸化砒素; アスパラギナーゼ; 生BCG; ベクサロテンカプセル; ベクサロテンゲル; ブレオマイシン; 静脈内ブスルファン; 経口ブスルファン; カルステロン; カペシタビン; カルボプラチン; カルムスチン; ポリフェプロサンカルムスチンインプラント; セレコキシブ; クロラムブシル; シスプラチン; クラドリビン; シクロホスファミド; シタラビン; シタラビンリポソーム; ダカルバジン; ダクチノマイシン; アクチノマイシンD; ダルベポエチンα; ダウノルビシンリポソーム; ダウノルビシン; ダウノマイシン; デニロイキンジフチトクス、デクスラゾキサン; ドセタキセル; ドキソルビシン; ドキソルビシンリポソーム; プロピオン酸ドロモスタノロン; エリオットB液; エピルビシン; エポエチンαエストラムスチン; リン酸エトポシド; エトポシド(VP-16); エキセメスタン; フィルグラスチム; フロクスウリジン(動脈内); フルダラビン; フルオロウラシル(5-FU); フルベストラント; ゲムツズマブオゾガマイシン; 酢酸ゴセレリン; ヒドロキシウレア; イブリツモマブチウキセタン; イダルビシン; イフォスファミド; メシル酸イマチニブ; インターフェロンα-2a; インターフェロンα-2b; イリノテカン; レトロゾール; ロイコボリン; レバミソール; ロムスチン(CCNU); メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード); 酢酸メゲストロール; メルファラン(L-PAM); メルカプトプリン(6-MP); メスナ; メトトレキセート; メトキサレン; マイトマイシンC; ミトタン; ミトキサントロン; フェニル酢酸ナンドロロン; ノフェツモマブ; LOddC; オプレルベキン; オキサリプラチン; パミドロネート; ペガデマス; ペガスパルガーゼ; ペグフィルグラスチム; ペントスタチン; ピポブロマン; プリカマイシン; ミトラマイシン; ポルフィマーナトリウム; プロカルバジン; キナクリン; ラスブリカーゼ; リツキシマブ; サルグラモスチム; ストレプトゾシン; テルビブジン(LDT); タルク; タモキシフェン; テモゾロミド; テニポシド(VM-26); テストラクトン; チオグアニン(6-TG); チオテパ; トポテカン; トレミフェン; トシツモマブ; トラスツズマブ; トレチノイン(ATRA); ウラシルマスタード; バルルビシン; バルトルシタビン(モノバールLDC); ビンブラスチン; ビノレルビン; ゾレドロネート; およびそれらの任意の混合物が含まれるが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、抗がん剤は、米国特許第6,218,367号に記述されているように、パクリタキセル-糖質結合体、例えば、パクリタキセル-グルコース結合体であり、該特許の内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0036】
いくつかの態様において、薬物は、表1に示される薬物の群より選択される。
【0037】
(表1)標的指向リガンドと結合させるためのいくつかの例示的な薬物
【0038】
いくつかの態様において、薬物は、エポチロン、オーリスタチン、メイタンシン、ドラスタチン、ラウリマリド、メアヤマイシン、27-ヒドロキシブラタシン、カリケアマイシン、または前記のいずれかの誘導体である。
【0039】
本明細書において用いられる場合、「リンカー」という用語は、化合物の2つの部分をつなぐ有機部分を意味する。リンカーは典型的には、直接結合、または酸素もしくは硫黄のような原子、NH、C(O)、C(O)NH、SO、SO
2、SO
2NHのようなユニット、あるいは置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘテロアリールのような原子鎖を含み、ここで1つまたは複数のメチレンがO、S、S(O)、SO
2、NH、C(O)によって割り込まれていても、または終結されていてもよい。リンカーおよびスペーサーという用語は、本明細書において互換的に用いられる。
【0040】
いくつかの態様において、リンカーは、白金化合物をリンカーと連結させるための少なくとも1個の(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれより多い)単量体を含む。
【0041】
いくつかの態様において、白金化合物をリンカーと連結させるための単量体は、ジカルボニル化合物である。いくつかの態様において、ジカルボニル単量体は
であり、式中でqは0、1、2、3、4、または5である。いくつかの態様において、qは2である。
【0042】
いくつかの態様において、ジカルボニル単量体はアスパラギン酸であり、ここでアスパラギン酸がアスパラギン酸のアミノ基を介してリンカーと連結されており、すなわち、ジカルボニル化合物は
である。
【0043】
いくつかの態様において、ジカルボニル単量体は-C(O)-R-CO
2Hであり、式中でRは結合、置換されてもよいC
1〜C
6アルキレンであり、ここでアルキレンは1つまたは複数の二重結合または三重結合を含んでもよい。いくつかの態様において、Rは-CH
2-、-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-、または-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2-である。
【0044】
いくつかの態様において、ジカルボニル単量体はスクシネート単量体であり、ここでコハク酸がカルボン酸基の1つを介してリンカーに連結されており、すなわち、ジカルボニル単量体は
である。
【0045】
いくつかの態様において、白金化合物をリンカーと連結させるため、リンカーは式
の単量体を含み、式中でsは0、1、2、3、4、または5である。これらの単量体は、本明細書においてアミノ-チオール単量体ともいわれる。
【0046】
いくつかの態様において、白金化合物をリンカーと連結させるため、リンカーは式
の単量体を含み、式中でtは0、1、2、3、4、または5である。これらの単量体は、本明細書においてアミノ-チオール-カルボニル単量体ともいわれる。
【0047】
いくつかの態様において、白金化合物をリンカーと連結させるため、リンカーは式
の単量体を含み、式中でrは0、1、2、3、4、または5である。
【0048】
いくつかの態様において、白金化合物をリンカーと連結させるため、リンカーは式
の単量体を含み、式中でR
Lは、置換されてもよいリンカー、例えば非環状または環状リンカーである。これらの単量体は、本明細書においてジアミノ単量体ともいわれる。環状リンカーは、少なくとも1つの環構造を含む連結部分を意味する。環状リンカーはアリール、ヘテロアリール、シクリルまたはヘテロシクリルでありうる。このいくつかのさらなる態様において、式
の単量体は
である。このいくつかのさらなる態様において、式
の単量体は
である。
【0049】
いくつかの態様において、リンカーは、少なくとも1つの開裂可能な連結基を含む。開裂可能な連結基は、細胞外では十分に安定であるが、しかし標的細胞への移行により開裂されて、リンカーが結合している2つの部分を放出するものである。好ましい態様において、開裂可能な連結基は、標的細胞中で、または第1の基準(例えば、細胞内条件を模倣もしくは代表するように選択されうる)条件の下で、対象の血液中または血清中でよりも、あるいは第2の基準(例えば、血液中もしくは血清中で見出される条件を模倣もしくは代表するように選択されうる)条件の下で、少なくとも10倍以上、好ましくは少なくとも100倍速く開裂される。
【0050】
開裂可能な連結基は、開裂因子、例えば、pH、酸化還元電位または分解分子の存在の影響を受けやすい。一般に、開裂因子は、血清中または血液中よりも細胞内に高いレベルまたは活性で広く行き渡っているか、または多く見出される。そのような分解因子の例としては、例えば、酸化還元開裂可能な連結基を還元によって分解しうる、細胞中に存在する、メルカプタンのような還元剤または酸化酵素もしくは還元酵素を含めて、特定の基質のために選択されるまたは基質特異性を持たない酸化還元剤; エステラーゼ; アミダーゼ; エンドソームまたは酸性環境を作製しうる作用物質、例えば、5以下のpHをもたらすもの; 一般的な酸として作用することにより、酸開裂可能な連結基を加水分解または分解しうる酵素、ペプチダーゼ(基質特異的でありうる)およびプロテアーゼ、ならびにホスファターゼが挙げられる。
【0051】
リンカーは、特定の酵素によって開裂されうる開裂可能な連結基を含むことができる。リンカーに組み入れられる開裂可能な連結基のタイプは、標的化される細胞に依存しうる。いくつかの態様において、開裂可能な連結基は、血液もしくは血清と比べて(または細胞外条件を模倣するように選択されたインビトロの条件の下で)、細胞中で(または細胞内条件を模倣するように選択されたインビトロの条件の下で)少なくとも1.25、1.5、1.75、2、3、4、5、10、25、50、または100倍速く開裂される。いくつかの態様において、開裂可能な連結基は、細胞中と比べて(または細胞内条件を模倣するように選択されたインビトロの条件の下で)、血液中で(または細胞外条件を模倣するように選択されたインビトロの条件で)90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、または1%未満開裂される。
【0052】
例示的な開裂可能な連結基としては、酸化還元開裂可能な連結基(例えば、-S-S-および-C(R)
2-S-S-、式中でRはHまたはC
1〜C
6アルキルであり、少なくとも1つのRはCH
3またはCH
2CH
3のようなC
1〜C
6アルキルである); ホスフェートに基づく開裂可能な連結基(例えば、-O-P(O)(OR)-O-、-O-P(S)(OR)-O-、-O-P(S)(SR)-O-、-S-P(O)(OR)-O-、-O-P(O)(OR)-S-、-S-P(O)(OR)-S-、-O-P(S)(ORk)-S-、-S-P(S)(OR)-O-、-O-P(O)(R)-O-、-O-P(S)(R)-O-、-S-P(O)(R)-O-、-S-P(S)(R)-O-、-S-P(O)(R)-S-、-O-P(S)(R)-S-、-O-P(O)(OH)-O-、-O-P(S)(OH)-O-、-O-P(S)(SH)-O-、-S-P(O)(OH)-O-、-O-P(O)(OH)-S-、-S-P(O)(OH)-S-、-O-P(S)(OH)-S-、-S-P(S)(OH)-O-、-O-P(O)(H)-O-、-O-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-O-、-S-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-S-、および-O-P(S)(H)-S-、式中でRは置換されてもよい直鎖または分枝C
1〜C
10アルキルである; 酸開裂可能な連結基(例えば、ヒドラゾン、エステル、ならびにアミノ酸のエステル、-C=NN-および-OC(O)-); エステルに基づく開裂可能な連結基(例えば、-C(O)O-); ペプチドに基づく開裂可能な連結基(例えば、細胞中のペプチダーゼおよびプロテアーゼのような酵素によって開裂される連結基、例えば、-NHCHR
AC(O)NHCHR
BC(O)-、ここでR
AおよびR
Bは、2つの隣接アミノ酸のR基である)が挙げられるが、これらに限定されることはない。ペプチドに基づく開裂可能な連結基は、2個以上のアミノ酸を含む。いくつかの態様において、ペプチドに基づく開裂性結合(cleavage linkage)は、細胞中に見出されるペプチダーゼまたはプロテアーゼに対する基質であるアミノ酸配列を含む。
【0053】
いくつかの態様において、酸開裂可能な連結基は、約6.5以下の(例えば、約6.-、5.5、5.0、もしくはそれを下回る)pHを有する酸性環境中で、または一般的な酸として作用しうる酵素のような作用物質によって開裂されうる。
【0054】
いくつかの態様において、リンカーは酸不安定性基、例えば、ヒドラジドまたはアセチルフェノキシ-ブタン酸を含む/である。いくつかの態様において、リンカーは酵素不安定性基、例えば、マレイミドカプロイル-バリル-シトルリニル-p-アミノベンジルカルバメートを含む。
【0055】
いくつかの態様において、リンカーは非開裂性基、例えば、チオ-エーテル結合を含む。
【0056】
いくつかの態様において、リンカーはペプチド、例えば、ジペプチドまたはトリペプチドを含む。
【0057】
いくつかの態様において、リンカーはジスルフィド結合を含む。
【0058】
いくつかの態様において、リンカーは自壊性ジスルフィド結合を含む。
【0059】
いくつかの態様において、リンカーは結合体である。
【0060】
リンカーは、標的指向部分と連結させるための官能基を含むように改変されうるものと理解されるべきである。したがって、いくつかの態様において、リンカーは、標的指向部分とリンカーを連結させるためにリンカーの一方の端(末端)に官能基を含む。リンカーが官能基を含む場合、リンカーをF-Bと見なすことができ、式中でFは官能基であり、かつBは官能基なしのリンカーである。したがって、本開示では、標的指向部分が存在しない、例えば、リンカーを標的指向部分と連結する結合が水素に置き換えられた、本明細書において記述される標的指向部分(またはリガンド)薬物結合体も提供する。
【0061】
本明細書において用いられる場合、官能基は、一方が標的指向部分またはリガンドに結合するための、および他方がリンカーに結合するための、少なくとも2つの反応性部分を含む。いくつかの態様において、官能基はチオール反応性、アミン反応性またはアジド反応性である。官能基の例は、チオール反応部分およびアミン反応部分を含む基である。官能基の他の例としては、ヒドラジド結合を形成するアルデヒドまたはケトンが挙げられる。いくつかの態様において、官能基はマレイミド基である。
【0062】
いくつかの態様において、リンカーは炭化水素、ポリエチレングリコール(PEG)、アミノ酸、ペプチド、またはその組み合わせである。炭化水素またはPEGは置換型または非置換型であってよい。
【0063】
いくつかの態様において、リンカーは約200 Da〜約50 kDaの分子量のポリエチレングリコールである。
【0064】
いくつかの態様において、リンカーは、任意で改変されてもよいPEGおよび少なくとも1個のアミノ酸(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれより多いアミノ酸)である/を含む。
【0065】
いくつかの態様において、リンカーは、任意で改変されてもよいPEGおよび2個のアミノ酸、例えば、ジペプチドである/を含む。
【0066】
いくつかの態様において、リンカーは、任意で改変されてもよいPEGおよび3個のアミノ酸、例えば、トリペプチドである/を含む。
【0067】
いくつかの態様において、リンカーは、少なくとも1個のリジン残基を含む。
【0068】
いくつかの態様において、リンカーは、
であり、式中で各R
1は独立してH、アルキル(例えば、C
1〜C
6アルキル)、またはアリールであり; X
1はNH、O、またはSであり; X
2はポリエチレングリコールであり; かつX
3は、アミノ酸または2個〜10個のアミノ酸を含むペプチドである。非限定的に、X
3は天然および/または非天然アミノ酸を含むことができる。
【0069】
いくつかの態様において、X
1はNHである。
【0070】
いくつかの態様において、X
2は-(CH
2CH
2O)
a-であり、式中でaは3〜100である。
【0071】
いくつかの態様において、X
3はアミノ酸、ジペプチド、またはトリペプチドである。いくつかの態様において、X
3は-Lys-Z-、-Lys-Lys-Z-、-Lys-Lys-Lys-Z-、-Lys-Ala-Lys-Z-であり、式中でZはコハク酸、アスパラギン酸、セリン、トレオニン、本明細書において記述されるジカルボニル単量体、本明細書において記述されるアミノ-チオール単量体、本明細書において記述されるアミノ-チオール-カルボニル単量体、または本明細書において記述されるジアミノ単量体である。
【0072】
いくつかの態様において、リンカーは
であり、式中で各R
1は独立してH、アルキル(例えば、C
1〜C
6アルキル)、またはアリールであり; R
2はモノカルボン酸もしくはジカルボン酸、本明細書において記述されるジカルボニル単量体、本明細書において記述されるアミノ-チオール単量体、本明細書において記述されるアミノ-チオール-カルボニル単量体、または本明細書において記述されるジアミノ単量体であり; R
3はH、アルキル、またはアリールであり; nは0、1、2、3、4、または5であり; X
4はポリエチレングリコールであり; pは1、2、または3であり; かつmは2〜100である。
【0073】
いくつかの態様において、R
1はHである。
【0074】
いくつかの態様において、R
2はコハク酸、アスパラギン酸、セリン、またはトレオニンである。
【0075】
いくつかの態様において、R
2は
; Rが結合、置換されてもよいC
1〜C
6アルキレンであり、ここでアルキレンが1つもしくは複数の二重結合もしくは三重結合を含んでもよい-C(O)-R-CO
2H; sが0、1、2、3、4、もしくは5である
; tが0、1、2、3、4、もしくは5である
; rが0、1、2、3、4、もしくは5である
; またはR
Lが、置換されてもよいリンカー、例えば非環状もしくは環状リンカーである
である。環状リンカーは、少なくとも1つの環構造を含む連結部分を意味する。環状リンカーはアリール、ヘテロアリール、シクリルまたはヘテロシクリルでありうる。このいくつかのさらなる態様において、式
の単量体は
である。このいくつかのさらなる態様において、式
の単量体は
である。
【0076】
いくつかの態様において、R
2は
である。
【0077】
いくつかの態様において、R
3はHまたはメチルである。
【0078】
いくつかの態様において、nは2である。
【0079】
いくつかの態様において、pは1である。
【0080】
いくつかの態様において、リンカーは
であり、式中で変数は上記に定義された通りである。
【0081】
いくつかの態様において、リンカーは
であり、式中でpは1、2、または3であり; かつmは2〜100である。
【0082】
上に示された構造において、部分
をマレイミド
基により置き換えて、一端に官能基を有するリンカー、例えば、式F-B、F-B-C、またはF-B-C-B'-Dの結合体を形成させることができ、式中でFは官能基であり、Bはリンカーであり、Cは白金化合物であり、かつDは薬物である。
【0083】
いくつかの態様において、リンカーは配位金属錯体を含み、例えば、リンカーは-B-C-B'-であり、式中でBおよびB'は独立してリンカーであり、かつCは配位金属錯体である。配位金属錯体は、リンカー骨格の一部を形成してもよく、またはリンカー骨格に対する側鎖として存在してもよい。例示的な配位金属錯体としては、Pt、Fe、Siなどの錯体が挙げられる。例えば、配位錯体は硫酸テトラアンミン銅(II)、鉄、またはケイ素を含むことができる。したがって、本明細書において用いられる場合、リンカーは、薬物または細胞毒性剤に共有結合されうるPt(II)配位錯体を含むこともできる。薬物はアミド、エステル、アミン、エーテル、ヒドラジド、ジスルフィドまたはイミン結合を介して白金配位錯体に付着させることができる。
【0084】
いくつかの態様において、配位金属錯体は白金錯体である。いくつかの態様において、錯体は少なくとも1つの配位結合を含む。
【0085】
いくつかの態様において、白金錯体は
であり、式中でbは0、1、2、3、4、または5であり、かつR
5は、2つのアミノ基をリンカーの残部につなぎ合わせる環状または非環状リンカーである。いくつかの態様において、bは1である。
【0086】
いくつかの態様において、R
5は
である。
【0087】
いくつかの態様において、R
5は、アリール、ヘテロアリール、シクリルまたはヘテロシクリルから選択される環状リンカーである。いくつかの態様において、白金錯体は
である。1つの態様において、白金錯体は
である。1つの態様において、白金錯体は
である。
【0088】
いくつかの態様において、白金錯体は
であり、式中でcは0、1、2、3、4、または5であり、かつR
6は、2つのアミノ基をリンカーの残部につなぎ合わせる環状または非環状リンカーである。いくつかの態様において、cは1である。
【0089】
いくつかの態様において、R
6は
である。
【0090】
いくつかの態様において、R
6は、アリール、ヘテロアリール、シクリルまたはヘテロシクリルから選択される環状リンカーである。いくつかの態様において、白金錯体は
である。1つの態様において、白金錯体は
である。
【0091】
いくつかの態様において、白金錯体は
であり、式中でdは0、1、2、3、4、または5である。いくつかの態様において、dは1である。
【0092】
いくつかの態様において、白金錯体は
であり、式中でeは0、1、2、3、4、または5である。いくつかの態様において、eは1である。
【0093】
いくつかの態様において、白金錯体は
であり、式中でfは0、1、2、3、4、または5であり、かつR
7は、2つのアミノ基をリンカーの残部につなぎ合わせる環状または非環状リンカーである。
【0095】
いくつかの態様において、R
7は
である。いくつかの態様において、R
7は、アリール、ヘテロアリール、シクリルまたはヘテロシクリルから選択される環状リンカーである。
【0096】
いくつかの態様において、白金錯体は
である。
【0097】
いくつかの態様において、白金錯体は
であり、式中でgは0、1、2、3、4、または5であり、かつR
8は、2つのアミノ基をリンカーの残部につなぎ合わせる環状または非環状リンカーである。1つの態様において、gは1である。
【0098】
いくつかの態様において、R
8は
である。いくつかの態様において、R
8は、アリール、ヘテロアリール、シクリルまたはヘテロシクリルから選択される環状リンカーである。
【0099】
いくつかの態様において、白金錯体は
である。
【0100】
いくつかの態様において、白金錯体は
であり、式中でR
9は、2つのアミノ基をリンカーの残部につなぎ合わせる環状または非環状リンカーである。いくつかの態様において、R
9は
である。いくつかの態様において、R
9は、アリール、ヘテロアリール、シクリルまたはヘテロシクリルから選択される環状リンカーである。1つの態様において、白金錯体は
である。
【0101】
本明細書において用いられる場合、「標的指向部分」または「標的指向リガンド」という用語は、選択された標的、例えば、細胞、細胞種、組織、臓器、身体の領域、または区画、例えば、細胞区画、組織区画もしくは臓器区画に対する親和性の増強を提供する任意の分子をいう。標的指向部分またはリガンドは、多種多様の実体を含むことができる。そのようなリガンドは、天然に存在する分子、または組み換え分子もしくは合成分子を含むことができる。
【0102】
例示的な標的指向リガンドとしては、抗体、抗体の断片、抗原、フォレート、受容体リガンド、糖質、アプタマー、インテグリン受容体リガンド、ケモカイン受容体リガンド、トランスフェリン、ビオチン、セロトニン受容体リガンド、PSMA、エンドセリン、GCPII、ソマトスタチン、LDLおよびHDLリガンドが挙げられるが、これらに限定されることはない。さらなる例示的なリガンドとしては、ポリリジン(PLL)、ポリL-アスパラギン酸、ポリL-グルタミン酸、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)共重合体、ジビニルエーテル-無水マレイン酸共重合体、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド共重合体(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG、例えば、PEG-2K、PEG-5K、PEG-10K、PEG-12K、PEG-15K、PEG-20K、PEG-40K)、MPEG、[MPEG]
2、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2-エチルアクリル酸)、N-イソプロピルアクリルアミド重合体、ポリホスファジン、ポリエチレンイミン、陽イオン基、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、偽ペプチド-ポリアミン、ペプチドミメティックポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、陽イオン性脂質、陽イオン性ポルフィリン、ポリアミンの第4級塩、チロトロピン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、サーファクタントタンパク質A、ムチン、グリコシル化ポリアミノ酸、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタメート、ポリアスパルテート、アプタマー、アシアロフェツイン、ヒアルロナン、プロコラーゲン、免疫グロブリン(例えば、抗体)、インスリン、トランスフェリン、アルブミン、糖-アルブミン結合体、インターカレート剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えばソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(例えば、TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、親油性分子(例えば、ステロイド、胆汁酸、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジン)、ペプチド(例えば、αヘリックスペプチド、両親媒性ペプチド、RGDペプチド、細胞透過性ペプチド、エンドソーム融解性/膜融合性ペプチド)、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射性標識マーカー、酵素、ハプテン(例えばビオチン)、輸送/吸収促進因子(例えば、ナプロキセン、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスタ、アクリジン-イミダゾール結合体、テトラアザマクロサイクルのEu3+錯体)、ジニトロフェニル、HRP、AP、抗体、ホルモンおよびホルモン受容体、レクチン、糖質、多価糖質、ビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB、例えば、葉酸、B12、リボフラビン、ビオチンおよびピリドキサル)、ビタミン補因子、リポ多糖類、p38 MAPキナーゼの活性化因子、NF-κBの活性化因子、タキソン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャプラキノリド、ラトランクリンA、ファロイジン、スウィンホライドA、インダノシン、ミオセルビン、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン-1β、γインターフェロン、天然または組み換え低密度リポタンパク質(LDL)、天然または組み換え高密度リポタンパク質(HDL)、ならびに細胞透過性薬剤(例えば、aヘリックス細胞透過性薬剤)が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0103】
ペプチドおよびペプチド模倣体のリガンドには、天然もしくは改変ペプチド、例えばDもしくはLペプチドを有するもの; α、β、もしくはγペプチド; N-メチルペプチド; アザペプチド; 1つもしくは複数のアミドを有するペプチド、すなわち、結合が1つもしくは複数の尿素、チオ尿素、カルバメート、もしくはスルホニル尿素結合と置き換えられた、ペプチド; または環状ペプチドが含まれる。ペプチド模倣体(本明細書においてオリゴペプチド模倣体ともいわれる)は、天然ペプチドに類似した定義済みの三次元構造に折り畳み可能な分子である。ペプチドまたはペプチド模倣体のリガンドは、約5〜50アミノ酸長、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50アミノ酸長でありうる。
【0104】
糖質に基づく標的指向リガンドには、D-ガラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-D-ガラクトース(GalNAc)、多価GalNAc、例えばGalNAc2およびGalNAc3; D-マンノース、多価マンノース、多価ラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸ならびにレクチンが含まれるが、これらに限定されることはない。多価という用語は、2つ以上の単糖ユニットが存在することを示す。そのような単糖サブユニットは、グリコシド結合を介して相互に連結されてもよく、または足場分子に連結されてもよい。
【0105】
リガンドとして本発明に従順ないくつかのフォレートおよびフォレート類似体は、米国特許第2,816,110号; 同第5,552,545号; 同第6,335,434号および同第7,128,893号に記述されており、それらの全ての内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0106】
いくつかの態様において、標的指向リガンドは、がん細胞の表面に発現されたタンパク質、受容体、またはマーカーに結合する。
【0107】
いくつかの態様において、標的指向リガンドは、EGFRに結合する。
【0108】
いくつかの態様において、標的指向リガンドは、ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体またはエピトープ結合活性を保持しているそれらの断片または抗体に基づく結合部分である。
【0109】
いくつかの態様において、標的指向リガンドは、がん細胞の表面に発現されたタンパク質受容体に結合できる、ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体、抗体断片、ペプチド、または分子である。
【0110】
本明細書において用いられる場合、「抗体に基づく結合部分」または「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な決定基、例えば、融合タンパク質に特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を含むことができる。「抗体に基づく結合部分」という用語は、例えば、アイソタイプ(IgG、IgA、IgM、IgEなど)の、抗体全体を含むよう意図され、また、融合タンパク質またはその断片と特異的に結合するその断片を含む。抗体は従来の技法を用いて断片化することができる。したがって、この用語は、ある種のタンパク質と選択的に反応できる抗体分子の、タンパク質分解により開裂されたセグメントまたは組み換えにより調製された部分を含む。そのようなタンパク質分解断片および/または組み換え断片の非限定的な例としては、Fab、F(ab')2、Fab'、Fv、dAbならびにペプチドリンカーによってつなぎ合わされたVLおよびVHドメインを含む一本鎖抗体(scFv)が挙げられる。scFvは、共有結合的または非共有結合的に連結されて、2つまたはそれ以上の結合部位を有する抗体を形成することができる。したがって、「抗体に基づく結合部分」には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、または他の精製された抗体調製物および組み換え抗体が含まれる。「抗体に基づく結合部分」という用語は、抗体分子に由来する少なくとも1つの抗原結合決定基を有する、ヒト化抗体、二重特異性抗体、およびキメラ抗体を含むようさらに意図される。
【0111】
いくつかの態様において、標的指向リガンドは、C242抗体(CanAg)、リツキシマブ、トラスツズマブ(Her2)、セツキシマブ、ベバシズマブ(VEGF)、パニツムマブ、アレムツズマブ、オファツムマブ、ゲムツズマブ(CD33)、イノツズマブ(CD22)、ロルボツズマブ(CD56)、ブレンツキシマブ(CD30)、グレムバツムマブ(GPNMB)、それらのエピトープ結合断片およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される抗体である。
【0112】
いくつかの態様において、リガンド薬物結合体は、抗体-薬物結合体(ADC)であり、ここでリガンドは、腫瘍関連抗原(TAA)に対する特異性を有する抗体であり、かつ薬物はPt(II)化学療法剤である。リンカーは、内部移行により細胞内部で開裂されうる。ADCによる処置は、腫瘍成長の阻害をもたらす。本発明は同様に、化学療法剤およびマーカーを安定化させるのに有用な基に関する。例えば、PEGのような安定化基は、血液または非標的組織中に存在しうる酵素による化学療法剤またはマーカーの排除および代謝を制限する。安定化基は、化学療法剤またはマーカーの分解を遮断するように働くことがあり、薬剤またはマーカーの他の物理的特徴を提供することもあり、例えば、リガンド薬物結合体の溶解性を増大させることもあり、またはリガンド薬物結合体の凝集特性を低下させることもある。安定化基は、製剤化形態または非製剤化形態での貯蔵中の化学療法剤またはマーカーの安定性を改善させることもある。
【0113】
薬物がPt配位錯体を介して連結されたLDCの例は、
図1A〜1Cに示されている。
【0114】
本発明の1つの態様において、官能基は、チオエーテル結合を介してリガンドと結合され、かつマレイミド基の窒素原子を介してリンカーに結合されているマレイミド基である。この態様を式2:
に示す。
式中で:
(CHR
1)n-C(O)-X-Pはリンカーを表し、XはNまたはOであり、Pは天然または非天然アミノ酸(Y)のPEG含有ペプチドであり、ここでPEGは直鎖または分枝PEG (n=2〜100)であってよい。リンカーの一端は、チオールまたはアミンと結合できる官能基を含むが、他端は、薬物と共有結合を形成できる反応性カルボン酸またはアミンである。
Dは、エステル、アミド、ジスルフィド、ヒドラジドまたはチオエーテル結合を介してリンカーにカップリングされている薬物を表す。
Yは、リジンまたは他の天然もしくは非天然アミノ酸の単一のアミノ酸、ジペプチドまたはトリペプチドであってよく、これらは化合物1:
に示されるように白金に対するキレート基(R2)と結合しうる。
【0115】
別の態様において、R2は、アスパラギン酸または任意の他のジカルボン酸のようなジカルボキシル基を有する実体である(化合物2):
。
【0116】
別の態様において、化合物1に描かれているR2は化合物3:
に示されるように、アミド基およびコハク酸、またはその任意の組み合わせのような、モノカルボニル基を有する実体でもありうる。
【0117】
さらなる態様において、白金(II)薬物を、化合物4:
に示されるように2個の酸素原子を介してジカルボキシル基にカップリングさせることができる。
【0118】
さらに、リガンド-標的指向分子は、スクシネートによりモノカルボキシルおよびO→Pt配位結合を介して白金と錯体化される。下記、化合物5:
に示されるように、結合体中のPt(Il)-薬剤は、二官能性リジンリンカーに共有結合され、二官能性リジンの数は、p(p=1〜3)である。
【0119】
別の態様において、抗体工学および他の結合技術においてなされた大幅な進歩を活用し、かつ毒性および放出動態の改善を伴う新しい白金類似体(PNAS 2010; 107: 12435-12440)を合成して、所望の細胞毒性およびインビボ安定性が得られるように、モノクローナル抗体または他の標的指向リガンドに化学的に連結可能である、抗体-薬物結合体のような、Pt(II)類似体のリガンド-標的指向結合体を産生することが本発明の目的である。
【0120】
別の態様において、リンカー-薬物結合体は、チオエーテルまたは他の共有結合を介してリガンドと錯体化される。本開示の別の態様において、リジン-Pt(II)錯体は、1〜3個のPt(II)類似体を結合し、標的指向リガンドあたり3〜12倍の薬物負荷の増加をもたらしうる。Ptはさらに、ジアミノシクロヘキサンまたはジアミン部分、すなわち、アクア化後の活性化型のオキサリプラチンまたはカルボプラチンおよびシスプラチンと錯体化される。
【0121】
本発明はさらに、
図2に示されるリガンド薬物結合体(LDC)を提供する。
図2に示されるように、これらのLDCは、リガンドに結合した少なくとも2つのリンカーを含み、各リンカーが薬物または細胞毒性剤にさらに結合している。
【0122】
いくつかの態様において、
図2のLDCは、
図3に示されるシスプラチン/オキサリプラチンに基づく抗体-薬物結合体(ADC)であり、図中でリンカーのリジンがα-アミンでPEGに結合され; m=1〜3; およびn=2〜100である。
【0123】
いくつかの態様において、
図2のLDCは、
図4に示されるシスプラチン/オキサリプラチンに基づく抗体-薬物結合体(ADC)であり、図中でリンカーのリジンがε-アミンでPEGに結合され; m=1〜3; およびn=2〜100である。
【0124】
本発明は同様に、
図5に示されるリガンド薬物結合体(LDC)を提供する。これらのLDCは、リンカーに結合した少なくとも2つの薬物または細胞毒素を含む。
【0125】
図5の例示的なLDCは、
図6〜9に示されている。
図6は、オキサリプラチンに基づくLDCの一般構造を描いており、ここではリンカーが非極性スペーサーおよび複数のPt(II)薬に結合されている。
図7は、上皮成長因子受容体(EGFR)を標的とするモノクローナル抗体とオキサリプラチンを連結するモノリジンリンカーに基づくADCの特異的構造を示す。リジンのε-NH
2基を介してリンカーに連結されたスクシネートPt(II)錯体; n= 2〜100。
図8は、上皮成長因子受容体(EGFR)を標的とするモノクローナル抗体とオキサリプラチンを連結するモノリジンリンカーに基づくADCの特異的構造を示す。リジンのα-NH
2基を介してリンカーに連結されたスクシネートPt(II)錯体; n= 2〜100。
図9は、上皮成長因子受容体(EGFR)を標的とするモノクローナル抗体とオキサリプラチンを連結するトリリジンリンカーに基づく抗体-薬物結合体(ADC)の特異的構造を示す。リジンのε-NH
2基を介してリンカーに連結されたスクシネートPt(II)錯体; n= 2〜100。
【0126】
本発明は同様に、Pt(II)がリンカーの一部であり、かつ細胞毒性薬が配位金属錯体に結合されている、リガンド-薬物結合体(LDC)を提供する。白金金属は脱離基として作用し、作用部位で薬物を放出する。以下の構造は、前節において論じられている
図1Aおよび1Bのリガンド-薬物結合体のいくつかの例を描いている。
【0127】
したがって、いくつかの態様において、式A-B-C-B'-Dのリガンド薬物結合体は、
図10および11に示される化合物から選択される。
図10は、エステル結合を介して細胞毒性薬である27-ヒドロキシブラタシンに結合された、抗体-標的指向Pt(II)配位錯体の構造を示す。Pt(II)リンカー錯体には、片側に非極性スペーサーが隣接し、かつ反対側にPEGスペーサーが隣接している。
図11は、エステル結合を介して細胞毒性薬であるメアヤマイシンに結合された、抗体-標的指向Pt(II)配位錯体の構造を示す。Pt(II)リンカー錯体には、両側にPEGスペーサーが隣接している。
【0128】
本発明の別の局面は、がんまたは転移を処置する方法を対象にする。この方法は、それを必要としている対象に、本明細書において記述される結合体、化合物、または組成物のいずれかの有効量を投与する段階を含む。
【0129】
対象への投与の場合、本明細書において記述される結合体は、薬学的に許容される組成物として提供することができる。これらの薬学的に許容される組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体(添加物)および/または希釈剤とともに製剤化される、本明細書において記述される結合体の1つまたは複数の治療的有効量を含む。以下で詳述されるように、本発明の薬学的組成物は、以下に適応されたものを含めて、固体または液体の形態で投与のために特別に製剤化されうる: (1) 経口投与、例えば、飲薬(水性もしくは非水性の溶液もしくは懸濁液)、トローチ剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、錠剤(例えば、頬側、舌下、および全身吸収を目的としたもの)、巨丸剤、粉末、顆粒、舌への投与のためのペースト剤; (2) 非経口投与、例えば、滅菌溶液もしくは滅菌懸濁液、または徐放性製剤として皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射または硬膜外注射による; (3) 局所投与、例えば、皮膚に適用されるクリーム、軟膏、徐放性パッチもしくはスプレイとして; (4) 膣内もしくは直腸内に、例えば、腟坐薬、クリームもしくは気泡として; (5) 舌下に; (6) 眼に; (7) 経皮に; (8) 経粘膜に; あるいは(9) 経鼻に。さらに、化合物は、患者へ移植されても、または薬物送達系を用いて注射されてもよい。例えば、Urquhart, et al., Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 24: 199-236 (1984); Lewis, ed. 「Controlled Release of Pesticides and Pharmaceuticals」 (Plenum Press, New York, 1981); 米国特許第3,773,919号; および米国特許第35 3,270,960号を参照されたい。
【0130】
本明細書で用いられる場合、「薬学的に許容される」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に見合う、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに、ヒトおよび動物の組織と接触させて用いるのに適した、化合物、材料、組成物、および/または剤形をいう。
【0131】
本明細書で用いられる場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、対象の化合物を1つの臓器もしくは体の部分から別の臓器もしくは体の部分へ運搬または輸送するのに関与する、液体または固体の増量剤、希釈剤、賦形剤、製造支援物質(例えば、滑沢剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムもしくはステアリン酸亜鉛、またはステアリン酸)、または溶媒を封入する材料のような、薬学的に許容される材料、組成物または媒体を意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性があり、患者にとって有害ではない、という意味で「許容され」なければならない。薬学的に許容される担体として機能しうる材料のいくつかの例としては、(1) 糖、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース; (2) デンプン、例えばトウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン; (3) セルロースおよびその誘導体、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロースおよび酢酸セルロース; (4) 粉末トラガカント; (5) 麦芽; (6) ゼラチン; (7) 滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルク; (8) 賦形剤、例えばカカオ脂および坐薬ろう; (9) 油、例えばラッカセイ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油; (10) グリコール、例えばプロピレングリコール; (11) ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール(PEG); (12) エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル; (13) 寒天; (14) 緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム; (15) アルギン酸; (16) 発熱性物質を伴わない水; (17) 等張性生理食塩水; (18) リンゲル液; (19) エチルアルコール; (20) pH緩衝液; (21) ポリエステル、ポリカーボネート、および/またはポリ無水物; (22) 膨張性薬剤、例えばポリペプチドおよびアミノ酸; (23) 血清成分、例えば血清アルブミン、HDLおよびLDL; (22) C
2〜C
12アルコール、例えばエタノール; ならびに(23) 薬学的製剤において利用される他の無毒適合性の物質が挙げられる。湿潤剤、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、保存料および抗酸化物質も製剤に存在することができる。「賦形剤」、「担体」、「薬学的に許容される担体」などのような用語は、本明細書において互換的に用いられる。
【0132】
本明細書において用いられる「治療的有効量」という語句は、任意の医学的処置に適用できる合理的な利益/リスク比で動物における細胞の少なくとも亜集団においていくらかの望ましい治療効果をもたらすために効果的な本発明の化合物を含む、化合物、材料、または組成物のその量を意味する。例えば、対象に投与される化合物の量であって、がんまたは転移の少なくとも1つの症状の統計的に有意な、測定できる変化をもたらすのに十分な量である。
【0133】
治療的有効量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。一般に、治療的有効量は、対象の病歴、年齢、状態、性別だけでなく、対象の医学的状態の重症度およびタイプ、ならびに他の薬学的に活性な薬剤の投与によって変化しうる。
【0134】
本明細書において用いられる場合、「投与する」という用語は、所望の効果がもたらされるように所望の部位での組成物の少なくとも部分的な局在化を引き起こす方法または経路による対象中への組成物の留置をいう。本明細書において記述される化合物または組成物は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、経皮投与、気道投与(エアロゾル)、経肺投与、経鼻投与、直腸投与、ならびに(頬側投与および舌下投与を含む)局所投与を含めて、経口または非経口経路を含むが、これらに限定されない、当技術分野において公知の任意の適切な経路によって投与することができる。
【0135】
例示的な投与方法としては、注射、注入、点滴注入、吸入、または経口摂取が挙げられるが、これらに限定されることはない。「注射」は、非限定的に、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、脳室内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、骨髄内、脳脊髄内、および胸骨内への注射および注入を含む。好ましい態様において、組成物は静脈内注入または注射によって投与される。
【0136】
疾患または障害の「処置」、「予防」または「緩和」とは、そのような疾患または障害の発症を遅延させることまたは予防すること、そのような疾患または障害に関連する状態の進行、悪化もしくは増悪、または進行もしくは重症度を逆転させること、緩和すること、改善すること、阻止すること、緩徐化させること、または停止させることを意味する。1つの態様において、疾患または障害の少なくとも1つの症状は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%緩和される。
【0137】
本明細書において用いられる場合、「対象」はヒトまたは動物を意味する。通常、動物は霊長類、げっ歯類、家畜または狩猟動物のような脊椎動物である。霊長類にはチンパンジー、カニクイザル、クモザル、およびマカクザル、例えばアカゲザルが含まれる。げっ歯類には、マウス、ラット、ウッドチャック、フェレット、ウサギおよびハムスターが含まれる。家畜および狩猟動物には、雌ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、バッファロー、ネコ科の種、例えば、イエネコ、イヌ科の種、例えば、イヌ、キツネ、オオカミ、鳥類、例えば、ニワトリ、エミュー、ダチョウ、ならびに魚、例えば、マス、ナマズおよびサケが含まれる。患者または対象には、上記の任意の部分集合、例えば、ヒト、霊長類またはげっ歯類のような1つまたは複数の群または種を除外した、上記の全てが含まれる。ある種の態様において、対象は哺乳類、例えば霊長類、例えばヒトである。「患者」および「対象」という用語は、本明細書において互換的に用いられる。「患者」および「対象」という用語は、本明細書において互換的に用いられる。
【0138】
好ましくは、対象は哺乳類である。哺乳類は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、または雌ウシであってよいが、これらの例に限定されない。ヒト以外の哺乳類は、有利には、炎症に関連する障害の動物モデルに相当する対象として用いることができる。
【0139】
さらに、本明細書において記述される方法は、家畜および/またはペットを処置するために用いることができる。対象は雄性または雌性であってよい。対象は、障害、がんまたは転移を患っているかまたは有していると過去に診断または特定されているが、必ずしも処置を既に受けていないものであってよい。
【0140】
本発明の結合体は、放射線療法を含む、公知の抗がん処置との組み合わせでも有用である。本発明の方法は、細胞周期の異なる段階で作用する第2の薬物を投与する段階を伴う抗がん処置との組み合わせでとりわけ有用である。
【0141】
いくつかの選択された定義
便宜上、本明細書、実施例および添付の特許請求の範囲において利用されるある種の用語を本明細書においてまとめる。特に指定のない限り、または文脈から暗示されない限り、以下の用語および語句は、以下に示される意味を含む。明示的に別段の定めをした場合を除き、または文脈から明らかな場合を除き、以下の用語および語句は、その用語または語句が、関連する技術分野において獲得している意味を除外するものではない。定義は、特定の態様を記述する際に役立つように提供されており、発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定されるので、主張する発明を限定することは意図されない。さらに、文脈によって必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含む。
【0142】
他に定義されない限り、本明細書において用いられる全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者にとって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本発明の実践または試験において任意の公知の方法、装置、および材料が用いられてもよいが、この関連において方法、装置、および材料を本明細書において記述する。
【0143】
実施例または特に指定される場合を除き、本明細書において用いられた成分または反応条件の量を表現する全ての数値は、全ての例において「約」という用語によって修飾されると理解すべきである。「約」という用語は、百分率に関して、本発明を記述するために用いられる場合、±1%、±1.5%、±2%、±2.5%、±3%、±3.5%、±4%、±4.5%、または±5%を意味する。「約」という用語は、百分率に関して用いられる場合、言及されている値の±1%、±1.5%、±2%、±2.5%、±3%、±3.5%、±4%、±4.5%、または±5%を意味しうる。
【0144】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈上特記される場合を除き、複数の参照を含む。同様に、「または」という単語は、文脈上特記される場合を除き、「および」を含むよう意図される。
【0145】
本明細書において用いられる「含む(comprising)」または「含む(comprises)」という用語は、「含む(including)」または「含む(includes)」を意味し、本発明に有用であるものの、有用であるか否かによらず、明記されていない要素を含める余地のある、組成物、方法、システム、およびその各成分に関して用いられる。
【0146】
本明細書において用いられる「から本質的になる」という用語は、所与の態様にとって必要な要素をいう。この用語は、本発明のその態様の基本的および新規または機能的な特徴に著しい影響を及ぼさない追加の要素の存在を許容する。
【0147】
「からなる」という用語は、態様のその記述において引用されていないいかなる要素も除外する、本明細書において記述される組成物、方法、システム、およびその各成分をいう。
【0148】
「e.g.」という略語は、ラテン語のexempli gratiaに由来し、非限定的な例を示すために本明細書において用いられる。したがって、「e.g.」という略語は、「例えば」という用語と同義語である。
【0149】
「減少する」、「低減した」、「低減」、「減少する」または「阻害する」という用語は全て、一般には統計的に有意な量だけの減少を意味するように本明細書において用いられる。しかしながら、誤解を避けるために、「低減した」、「低減」または「減少する」もしくは「阻害する」は、基準レベルと比べて少なくとも10%だけの減少、例えば基準レベルと比べて少なくとも約20%、もしくは少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%、もしくは少なくとも約50%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%だけの減少、または100%までのおよび100%を含む減少(例えば、基準試料と比べて存在のないレベル)、または10〜100%間の任意の減少を意味する。
【0150】
「増加した」、「増加する」または「増強する」もしくは「活性化する」という用語は全て、一般には統計的に有意な量だけの増加を意味するように本明細書において用いられる; 何らかの誤解を避けるために、「増加した」、「増加する」または「増強する」もしくは「活性化する」という用語は、基準レベルと比べて少なくとも10%の増加、例えば基準レベルと比べて少なくとも約20%、もしくは少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%、もしくは少なくとも約50%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%の増加、または100%までのおよび100%を含む増加もしくは10〜100%間の任意の増加、あるいは基準レベルと比べて少なくとも約2倍、もしくは少なくとも約3倍、もしくは少なくとも約4倍、もしくは少なくとも約5倍、もしくは少なくとも約10倍増加、または2倍〜10倍間の任意の増加もしくはそれ以上の増加を意味する。
【0151】
「統計的に有意な」または「有意に」という用語は、統計的有意性をいい、基準レベルから少なくとも2標準偏差(2SD)離れていることを一般的に意味する。この用語は、差があるという統計的証拠をいう。これは、帰無仮説が実際に真実である場合、帰無仮説を棄却する決定を行う確率と定義される。
【0152】
本明細書において用いられる「誘導体」という用語は、「親」化合物ということができる、別の、すなわち「オリジナルの」物質に構造的に関連した化学物質をいう。「誘導体」は、構造的に関連した親化合物から、1つまたは複数の段階で作製することができる。いくつかの態様において、誘導体の一般的な物理化学特性は、親化合物と類似していても、または異なっていてもよい。
【0153】
「アルキル」という用語は、直鎖または分枝鎖であってよい飽和非芳香族炭化水素鎖であって、N、O、またはSが任意で挿入されていてもよい、表示された数の炭素原子を含む鎖(これらは、非限定的に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、2-メチル-エチル、t-ブチル、アリル、またはプロパルギルを含む)をいう。例えば、C
1〜C
6は、基がその中に1〜6個(1個と6個を含めて)の炭素原子を有しうることを示す。
【0154】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合を含むアルキルをいう。例示的なアルケニル基としては、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イルなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0155】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合を含むアルキルをいう。
【0156】
「アリール」という用語は、単環式、二環式、または三環式芳香族環系であって、各環の0、1、2、3、または4個の原子が置換基によって置換されてもよい系をいう。例示的なアリール基としては、ベンジル、フェニル、ナフチル、アントラセニル、アズレニル、フルオレニル、インダニル、インデニル、ナフチル、フェニル、テトラヒドロナフチルなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0157】
「シクリル」または「シクロアルキル」という用語は、3〜12個の炭素、例えば、3〜8個の炭素、および、例えば3〜6個の炭素を有する飽和および部分不飽和環状炭化水素基をいい、ここでシクロアルキル基はさらに、置換されてもよい。例示的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0158】
「ヘテロアリール」という用語は、単環式なら1〜3個のヘテロ原子、二環式なら1〜6個のヘテロ原子、または三環式なら1〜9個のへテロ原子を有する芳香族の5〜8員単環式、8〜12員二環式、または11〜14員三環式環系をいい、該ヘテロ原子はO、N、またはSから選択され(例えば、単環式、二環式、または三環式なら、それぞれ、炭素原子と1〜3個、1〜6個、または1〜9個のN、O、またはSのヘテロ原子)、ここで各環の0、1、2、3、または4個の原子が置換基によって置換されてもよい。例示的なヘテロアリール基としては、ピリジル、フリルもしくはフラニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニルもしくはチエニル、ピリダジニル、ピラジニル、キノリニル、インドリル、チアゾリル、ナフチリジニルなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0159】
「ヘテロシクリル」という用語は、単環式なら1〜3個のヘテロ原子、二環式なら1〜6個のヘテロ原子、または三環式なら1〜9個のへテロ原子を有する非芳香族の5〜8員単環式、8〜12員二環式、または11〜14員三環式環系をいい、該ヘテロ原子はO、N、またはSから選択され(例えば、単環式、二環式、または三環式なら、それぞれ、炭素原子と1〜3個、1〜6個、または1〜9個のN、O、またはSのヘテロ原子)、ここで各環の0、1、2または3個の原子が置換基によって置換されてもよい。例示的なヘテロシクリル基としては、ピペラジニル、ピロリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニルなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0160】
「置換されてもよい」という用語は、アルキル基、アルケニル基などのような、特定の基または部分が無置換であるか、あるいは下記の「置換基」の定義において列挙された置換基の群から独立して選択される1つもしくは複数の置換基(典型的には1〜4個の置換基)または他に定められた置換基で置換されることを意味する。
【0161】
「置換基」という用語は、置換された実体上の、その実体の任意の原子の位置で「置換された」基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基)をいう。適当な置換基は、非限定的に、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリール、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキルカルバノイル、アリールカルバノイル、アミノアルキル、アルコキシカルボニル、カルボキシ、ヒドロキシアルキル、アルカンスルホニル、アレンスルホニル、アルカンスルホンアミド、アレンスルホンアミド、アラルキルスルホンアミド、アルキルカルボニル、アシルオキシ、シアノまたはウレイドを含む。場合によっては、2つの置換基は、それらが結合している炭素とともに環を形成することができる。
【0162】
いくつかの態様において、置換基は、アルキル、エステル、アミド、モノカルボニル、ジカルボニル、ケトン、アルデヒドなどから選択される。
【0163】
本明細書において用いられる場合、「エピトープ」という用語は、特定の抗体によって認識されるタンパク質のその部分を意味する。したがって、「エピトープ」という用語は、抗体によって認識される特異的なアミノ酸配列、改変されたアミノ酸配列、またはタンパク質の二次もしくは三次構造を指定する。
【0164】
本明細書において用いられる場合、「抗がん活性」または「抗がん特性」という用語は、無秩序な細胞成長の阻止(部分的もしくは全体的)または抑止、および/あるいは本明細書において定義されるがんの阻止(部分的もしくは全体的)または抑止をいう。抗がん活性には、例えば、遺伝子損傷を低減、抑止もしくは修復する能力、望ましくない細胞増殖を調節する能力、細胞死の誤制御を調節する能力、または転移の機構(例えば、移動能)を調節する能力を調節する能力が含まれる。
【0165】
本明細書において用いられる場合、「がん」という用語は、体の臓器および系の正常な機能を妨害しうる無制御な細胞成長をいう。がんの原発位置から移動し、生命維持に必要な臓器に播種されるがんは、最終的には、罹患臓器の機能悪化を経て対象の死を引き起こしうる。転移がんは、原発腫瘍由来のがん細胞の、他の身体部分への播種から生じる、原発腫瘍の位置とは異なった、がん細胞またはがん細胞群である。原発腫瘍塊の診断の時点で、対象は移動中の転移がん、例えば、播種の過程にあるがん細胞の存在についてモニターされうる。本明細書において用いられる場合、がんという用語には、以下のタイプのがん、乳がん、胆道がん、膀胱がん、グリア芽腫および髄芽腫を含む脳腫瘍; 子宮頸がん; 絨毛腫; 結腸がん; 子宮内膜がん; 食道がん、胃がん; 急性リンパ性白血病および骨髄性白血病を含む血液学的新生物; T細胞急性リンパ芽球性白血病/リンパ腫; 毛様細胞白血病; 慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫; AIDS関連白血病および成人T細胞白血病リンパ腫; ボーエン病およびパジェット病を含む上皮内新生物; 肝臓がん; 肺がん; ホジキン病およびリンパ球性リンパ腫を含むリンパ腫; 神経芽細胞腫; 扁平上皮細胞がんを含む口腔がん; 上皮細胞、間質細胞、生殖細胞および間葉細胞から生じるものを含む卵巣がん; 膵臓がん; 前立腺がん; 直腸がん; 平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫および骨肉腫を含む肉腫; 黒色腫、メルケル細胞がん、カポジ肉腫、基底細胞がんおよび扁平上皮細胞がんを含む皮膚がん; 精上皮腫、非精上皮腫(奇形腫、絨毛腫)、間質腫瘍、および生殖細胞腫瘍のような胚腫瘍を含む精巣がん; 甲状腺がんおよび髄様がんを含む甲状腺がん; ならびに腺がん、ウィルムス腫瘍を含む腎臓がんが含まれるが、これらに限定されることはない。がんの例としては、腺がん、リンパ腫、芽細胞腫、黒色腫、肉腫および白血病を含む、がん腫が挙げられるが、これらに限定されることはない。そのようながんの、より具体的な例としては、扁平上皮細胞がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、消化管がん、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、膵臓がん、グリア芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん腫および肝がんのような肝臓がん、膀胱がん、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、唾液腺がん、腎細胞がんおよびウィルムス腫瘍のような腎臓がん、基底細胞がん、黒色腫、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、精巣がん、食道がん、ならびにさまざまなタイプの頭頸部がんが挙げられる。他のがんが当業者に公知であろう。
【0166】
本明細書において用いられる場合、「がん」という用語は、固形腫瘍および血液由来の腫瘍を含むが、これらに限定されることはない。がんという用語は、皮膚、組織、臓器、骨、軟骨、血液および血管の疾患をいう。「がん」という用語はさらに、原発性および転移性のがんを包含する。本発明の化合物で処置できるがんの例としては、膀胱がん、乳がん、結腸がん、腎臓がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、胃がん、子宮頸がん、甲状腺がん、および扁平上皮細胞がんを含む皮膚がんを含むがん腫; 白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫、およびバーキットリンパ腫を含むが、これらに限定されない、リンパ系の造血器腫瘍; 急性および慢性骨髄性白血病ならびに前骨髄球性白血病を含むが、これらに限定されない、骨髄細胞系の造血器腫瘍; 線維肉腫、横紋筋肉腫、および骨肉腫を含むが、これらに限定されない、間葉系由来の腫瘍; 黒色腫、精上皮腫、奇形がん腫、神経芽細胞腫、およびグリア芽腫を含む他の腫瘍; 星状細胞腫、神経芽細胞腫、グリア芽腫、およびシュワン細胞腫を含むが、これらに限定されない、中枢および抹消神経系の腫瘍; ならびに乾皮症、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、甲状腺濾胞がん、および奇形がん腫を含むが、これらに限定されない、他の腫瘍が挙げられるが、これらに限定されることはない。本発明の化合物は、過去にがんの処置を受けている患者の他に、過去にがんの処置を受けていない患者を処置するのに有用である。まさに、本発明の方法および組成物は、がんの一次および二次処置において用いることができる。
【0167】
いくつかの態様において、がんまたは転移がんは、乳房腫瘍、頭頸部腫瘍、卵巣腫瘍、精巣腫瘍、膵臓腫瘍、口腔-食道腫瘍、消化管腫瘍、肝臓腫瘍、胆嚢腫瘍、肺腫瘍、黒色腫、皮膚がん、肉腫、血液がん、グリア芽腫を含む脳腫瘍、および神経外胚葉起源の腫瘍を含む白金感受性または耐性腫瘍からなる群より選択される。
【0168】
本明細書において用いられる場合、「前がん状態」という用語は、その通常の意味、すなわち、転移なしの無秩序な成長という意味を有し、さまざまな形態の過形成および良性肥大を含む。したがって、「前がん状態」は、処置しないまま放置されると、がんにつながりうる疾患、症候群、または所見である。それは、がんのリスクの顕著な増加と関連した一般化状態である。前悪性病変は形態的に変化した組織であり、この組織では、見掛け上正常なその対応物よりもがんが発生する可能性が高い。前悪性状態の例としては、口腔白板症、光線性角化症(日光性角化症)、バレット食道、萎縮性胃炎、良性前立腺過形成、結腸または直腸の前がん状態のポリープ、胃上皮異形成、腺腫様過形成、遺伝性非ポリポーシス結腸がん症候群(HNPCC)、バレット食道、膀胱形成異常、前がん子宮頸部状態、および子宮頸部形成異常が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0169】
本明細書において用いられる場合、アミノ酸は天然または非天然アミノ酸を含む。したがって、本明細書において用いられる場合、「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸の構造から逸脱するが、しかし実質的にアミノ酸の構造を有し、活性、例えば、生物学的活性を保持するペプチド内で置換されうるような化合物を含む。したがって、例えば、いくつかの態様において、アミノ酸は、側鎖の改変または置換を有するアミノ酸を含んでもよく、関連した有機酸、アミドなどを含んでもよい。非限定的に、アミノ酸はタンパク新生または非タンパク新生のアミノ酸でありうる。本明細書において用いられる場合、「タンパク新生の」という用語は、周知の代謝経路を通じて細胞内のタンパク質へアミノ酸を組み入れられることを示す。本発明に従う例示的なアミノ酸としては、アラニン; アルギニン; アスパラギン; アスパラギン酸; システイン; グルタミン酸; グルタミン; グリシン; ヒスチジン; イソロイシン; ロイシン; リジン; メチオニン; フェニルアラニン; プロリン; セリン; トレオニン; トリプトファン; チロシン; バリン; ホモシステイン; ホスホセリン; ホスホトレオニン; ホスホチロシン; ヒドロキシプロリン; γ-カルボキシグルタメート; 馬尿酸; オクタヒドロインドール-2-カルボン酸; スタチン; 1,2,3,4,-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸; ペニシラミン(3-メルカプト-D-バリン); オルニチン(Orn); シトルリン; α-メチル-アラニン; パラ-ベンゾイルフェニルアラニン; パラ-アミノフェニルアラニン; p-フルオロフェニルアラニン; フェニルグリシン; プロパルギルグリシン; N-メチルグリシン(サルコシン, Sar); およびtert-ブチルグリシン; ジアミノ酪酸; 7-ヒドロキシ-テトラヒドロイソキノリンカルボン酸; ナフチルアラニン; ビフェニルアラニン; シクロヘキシルアラニン; アミノ-イソ酪酸(Aib); ノルバリン; ノルロイシン(Nle); tert-ロイシン; テトラヒドロイソキノリンカルボン酸; ピペコリン酸; フェニルグリシン; ホモフェニルアラニン; シクロヘキシルグリシン; デヒドロロイシン; 2,2-ジエチルグリシン; 1-アミノ-1-シクロペンタンカルボン酸; 1-アミノ-1-シクロヘキサンカルボン酸; アミノ安息香酸; アミノナフトエ酸; γ-アミノ酪酸; ジフルオロフェニルアラニン; ニペコチン酸; N-α-イミダゾール酢酸(IMA); チエニル-アラニン; t-ブチルグリシン; デスアミノ-Tyr; アミノ吉草酸(Ava); ピログルタミニン酸(<Glu); α-アミノイソ酪酸(αAib); γ-アミノ酪酸(γAbu); α-アミノ酪酸(αAbu); αγ-アミノ酪酸(αγAbu); 3-ピリジルアラニン(Pal); イソプロピル-α-N
ε-リジン(ILys); ナフチルアラニン(Nal); α-ナフチルアラニン(α-Nal); β-ナフチルアラニン(β-Nal); アセチル-β-ナフチルアラニン(Ac-β-ナフチルアラニン); ナフチルアラニン; N
ε-ピコロイル-リジン(Pic-Lys); 4-ハロ-フェニル; 4-ピロリジルアラニン; イソニペコチンカルボン酸(inip); β-アミノ酸; ならびにそれらの異性体、類似体および誘導体が挙げられるが、これらに限定されることはない。当業者は、この定義がD-アミノ酸およびL-アミノ酸、α-アミノ酸およびβ-アミノ酸、化学的に改変されたアミノ酸、天然に存在する非タンパク新生アミノ酸、希アミノ酸、ならびにアミノ酸に特有であることが当技術分野において公知の特性を有する化学的に合成された化合物を含むことを承知しているであろう。
【0170】
ペプチド改変は、当技術分野において周知である。したがって、本明細書において記述されるペプチド、例えば、リンカーペプチドは、当技術分野において公知の1つまたは複数のペプチド改変を含むことができる。本明細書において記述される融合タンパク質を改変するための例示的なペプチド改変としては、Dアミノ酸、αアミノ酸、βアミノ酸、非アミドまたは改変アミド結合、化学的に改変されたアミノ酸、天然に存在する非タンパク新生アミノ酸、希アミノ酸、アミノ酸に特有であることが当技術分野において公知の特性を有する化学的に合成された化合物などが挙げられるが、これらに限定されることはない。したがって、本明細書において用いられる場合、ペプチドは、天然もしくは非天然アミノ酸、またはその組み合わせを含む。
【0171】
本明細書において用いられる場合、「PEG」という用語は、約20〜約2000000個の連結された単量体、典型的には約50〜1000個の連結された単量体、通常は約100〜300個の連結された単量体を含有するエチレングリコール重合体を意味する。ポリエチレングリコールは、さまざまな数の連結された単量体を含有するPEG、例えば、PEG20、PEG30、PEG40、PEG60、PEG80、PEG100、PEG115、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG2000、PEG3350、PEG4000、PEG4600、PEG5000、PEG6000、PEG8000、PEG11000、PEG12000、PEG2000000およびそれらの任意の混合物を含む。
【0172】
本明細書において記述されるさまざまな局面の態様は、以下の項のいずれか1つによって記述することもできる。
1. (i) 官能部分;
(ii) 該官能部分に結合したリンカー;
(iii) 該リンカーに結合したジカルボニル部分; および
(iv) 該ジカルボニル部分に結合した薬物;
を含み、
該薬物が白金化学療法剤である、リガンド-標的指向分子。
2. 白金化学療法剤がPt(II)化学療法剤である、項1に記載のリガンド-標的指向分子。
3. 白金化学療法剤がシスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチンまたは他のPt(II)剤である、項1〜2のいずれかに記載のリガンド-標的指向分子。
4. 官能部分がチオール反応性、アミン反応性またはアジド反応性である、項1〜3のいずれかに記載のリガンド-標的指向分子。
5. 官能部分がマレイミドである、項1〜4のいずれかに記載のリガンド-標的指向分子。
6. リンカーが炭化水素、ポリエチレングリコール(PEG)、アミノ酸、ペプチド、またはその組み合わせであり、該炭化水素またはPEGが置換型または非置換型である、項1〜5のいずれかに記載のリガンド-標的指向分子。
7. リンカーが炭化水素である、項6に記載のリガンド-標的指向分子。
8. リンカーがPEGである、項6に記載のリガンド-標的指向分子。
9. PEGが約200 Da〜約50 kDaの分子量を有する、項8に記載のリガンド-標的指向分子。
10. リンカーが少なくとも1個のアミノ酸および置換型または非置換型PEGの組み合わせを含む、項1〜9のいずれかに記載のリガンド-標的指向分子。
11. アミノ酸がリジンである、項10に記載のリガンド-標的指向分子。
12. リンカーが2個のアミノ酸および置換型または非置換型PEGの組み合わせを含む、項1〜11のいずれかに記載のリガンド-標的指向分子。
13. リンカーが3個のアミノ酸および置換型または非置換型PEGの組み合わせを含む、項1〜11のいずれかに記載のリガンド-標的指向分子。
14. ジカルボニル部分がスクシネートである、項1〜13のいずれかに記載のリガンド-標的指向分子。
15. ジカルボニル部分がスクシネートである、項14に記載のリガンド-標的指向分子。
16. リガンド-標的指向分子に結合したリガンドを含むリガンド薬物結合体であって、
該リガンド-標的指向分子が官能部分と、該官能部分に結合した少なくとも1つのリンカーと、該リンカーに結合したジカルボニル部分と、該ジカルボニル部分に結合した薬物とを含み、該薬物が白金化学療法剤であり、かつ該リガンドが該官能部分に結合している、リガンド薬物結合体。
17. リガンドが抗体、抗体断片、ペプチド、アゴニスト、アンタゴニストまたはアプタマーである、項16に記載のリガンド薬物結合体。
18. リガンドが抗体である、項16〜17のいずれかに記載のリガンド薬物結合体。
19. 抗体が上皮成長因子受容体を標的とする、項18に記載のリガンド薬物結合体。
20. 抗体がチオエーテル結合を介して官能部分に結合される、項19に記載のリガンド薬物結合体。
21. リガンド-標的指向分子に結合したリガンドを含むリガンド薬物結合体であって、
該リガンド-標的指向分子が官能部分と、該官能部分に結合した少なくとも1つのリンカーと、該リンカーに結合した第1の薬物と、該リンカーに結合したジカルボニル部分と、該ジカルボニル部分に結合した第2の薬物とを含み、該第2の薬物が白金化合物であり、かつ該リガンドが該官能部分に結合している、リガンド薬物結合体。
22. 第1の薬物が抗がん剤である、項21に記載の結合体。
23. 抗がん剤が、メイタンシノイド(DM1およびDM4); CC-1065; アドゼレシン(DC1); DC4; カリケアマイシン; ドラスタチン; オーリスタチンEおよびF; メアマイシン(Meamycin); ドキソルビシン; パクリタキセル; ドセタキセル; ラウリマリド; エポチロンAおよびB; ディスコデルモライド; エリュテロビン; ペロルシドA; シクロホスファミド、クロラムブシル、ウラムスチン、イフォスファミド、メルファラン、およびベンダムスチン; カルムスチン、ロムスチン、セムスチン; ブスルファン; チオテパ; ダカルバジン; メトトレキセート; 6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、ペントスタチン、フルダラビン; 5-フルオロウラシル、シタラビン、ロイコボリン; ダクチノマイシン; ブレオマイシン; ダウノルビシン; マイトマイシン; イダルビシン; プリカマイシン; ビンクリスチン; ビンブラスチン; ビノレルビン; エトポシド; テニポシド; アスパラギナーゼ; マイトトキシン; イリノテカン(CPT-11); フマギリン; フマガロン; フマラノール; O-(クロロアセチルカルバモイル)-フマギロール(AGM-1470、TNP-470); 27-ヒドロキシブラタシン、それらの誘導体および類似体、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、項22に記載の結合体。
24. 白金化合物が白金(II)化合物である、項21〜23のいずれかに記載の結合体。
25. 白金(II)化合物が、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、パラプラチン、サトラプラチン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、項24に記載の結合体。
26. リガンドが、がん細胞の表面上のタンパク質、受容体、または細胞マーカーに結合する、項21〜25のいずれかに記載の結合体。
27. リガンドが上皮成長因子受容体に結合する、項21〜26のいずれかに記載の結合体。
28. リガンドが抗体、抗体断片、ペプチド、アゴニスト、アンタゴニストまたはアプタマーである、項21〜27のいずれかに記載の結合体。
29. 抗体が、C242抗体(CanAg)、リツキシマブ、トラスツズマブ(Her2)、セツキシマブ、ベバシズマブ(VEGF)、パニツムマブ、アレムツズマブ、オファツムマブ、ゲムツズマブ(CD33)、イノツズマブ(CD22)、ロルボツズマブ(CD56)、ブレンツキシマブ(CD30)、グレムバツムマブ(GPNMB)、それらのエピトープ結合断片およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、項28に記載の結合体。
30. リンカーが炭化水素、ポリエチレングリコール(PEG)、アミノ酸、ペプチド、またはその組み合わせであり、該炭化水素またはPEGが置換型または非置換型である、項21〜29のいずれかに記載の結合体。
31. リンカーが炭化水素である、項30に記載の結合体。
32. リンカーがPEGである、項30に記載の結合体。
33. PEGが約200 Da〜約50 kDaの分子量を有する、項32に記載の結合体。
34. リンカーが少なくとも1個のアミノ酸および置換型または非置換型PEGの組み合わせを含む、項21〜33のいずれかに記載の結合体。
35. リンカーが2個または3個のアミノ酸を含む、項34に記載の結合体。
36. アミノ酸がリジンである、項34に記載の結合体。
37. ジカルボニル部分がスクシネートである、項21〜36のいずれかに記載の結合体。
38. ジカルボニル部分がスクシネートである、項37に記載の結合体。
39. リガンド-標的指向分子に結合したリガンドを含むリガンド薬物結合体であって
該リガンド-標的指向分子が官能部分と、該官能部分に結合した少なくとも1つの第1のリンカーと、該第1のリンカーに結合した配位金属錯体と、該配位金属錯体に結合した少なくとも1つの第2のリンカーと、該第2のリンカーに結合した薬物と、該官能部分に結合した該リガンドとを含む、リガンド薬物結合体。
40. 配位金属錯体がO→金属錯体結合を含む、項39に記載の結合体。
41. O→金属錯体結合がアミドカルボニル酸素またはエステルカルボニル酸素とのものである、項39〜40のいずれかに記載の結合体。
42. 配位金属錯体が白金、鉄、またはケイ素錯体である、項39〜41のいずれかに記載の結合体。
43. 配位金属錯体が白金(II)錯体である、項39〜42のいずれかに記載の結合体。
44. 白金(II)錯体が
であり、式中でbは0、1、2、3、4、もしくは5であり、かつR
5は、2つのアミノ基を第1もしくは第2のリンカーにつなぎ合わせる環状もしくは非環状リンカーである;
であり、式中でcは0、1、2、3、4、もしくは5であり、かつR
6は、2つのアミノ基を第1もしくは第2のリンカーにつなぎ合わせる環状もしくは非環状リンカーである;
であり、式中でdは0、1、2、3、4、もしくは5であり、かつ2つのアミンは異なる第1もしくは第2のリンカーに連結される;
であり、式中でeは0、1、2、3、4、もしくは5であり、かつ2つのアミンは異なる第1もしくは第2のリンカーに連結される;
であり、式中でfは0、1、2、3、4、もしくは5であり、かつR
7は、2つのアミノ基を第1もしくは第2のリンカーにつなぎ合わせる環状もしくは非環状リンカーである;
であり、式中でgは0、1、2、3、4、もしくは5であり、かつR
8は、2つのアミノ基を第1もしくは第2のリンカーにつなぎ合わせる環状もしくは非環状リンカーである; または
であり、式中でR
9は、2つのアミノ基を第1もしくは第2のリンカーにつなぎ合わせる環状もしくは非環状リンカーである、項43に記載の結合体。
45. 白金(II)錯体が
であり、式中でbは0、1、2、3、4、もしくは5である;
であり、式中でcは0、1、2、3、4、もしくは5である;
であり、式中でfは0、1、2、3、4、もしくは5である; または
であり、式中でgは0、1、2、3、4、もしくは5である、項44に記載の結合体。
46. 白金(II)錯体が
である、項44に記載の結合体。
47. 薬物が抗がん剤である、項39〜46のいずれかに記載の結合体。
48. 抗がん剤が、メイタンシノイド(DM1およびDM4); CC-1065; アドゼレシン(DC1); DC4; カリケアマイシン; ドラスタチン; オーリスタチンEおよびF; メアマイシン(Meamycin); ドキソルビシン; パクリタキセル; ドセタキセル; ラウリマリド; エポチロンAおよびB; ディスコデルモライド; エリュテロビン; ペロルシドA; シクロホスファミド、クロラムブシル、ウラムスチン、イフォスファミド、メルファラン、およびベンダムスチン; カルムスチン、ロムスチン、セムスチン; ブスルファン; チオテパ; ダカルバジン; メトトレキセート; 6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、ペントスタチン、フルダラビン; 5-フルオロウラシル、シタラビン、ロイコボリン; ダクチノマイシン; ブレオマイシン; ダウノルビシン; マイトマイシン; イダルビシン; プリカマイシン; ビンクリスチン; ビンブラスチン; ビノレルビン; エトポシド; テニポシド; アスパラギナーゼ; マイトトキシン; イリノテカン(CPT-11); フマギリン; フマガロン; フマラノール; O-(クロロアセチルカルバモイル)-フマギロール(AGM-1470、TNP-470); 27-ヒドロキシブラタシン、それらの誘導体および類似体、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、項47に記載の結合体。
49. リガンドが、がん細胞の表面上のタンパク質、受容体、または細胞マーカーに結合する、項39〜48のいずれかに記載の結合体。
50. リガンドが上皮成長因子受容体に結合する、項39〜49のいずれかに記載の結合体。
51. リガンドが抗体、抗体断片、ペプチド、アゴニスト、アンタゴニストまたはアプタマーである、項39〜50のいずれかに記載の結合体。
52. 抗体が、C242抗体(CanAg)、リツキシマブ、トラスツズマブ(Her2)、セツキシマブ、ベバシズマブ(VEGF)、パニツムマブ、アレムツズマブ、オファツムマブ、ゲムツズマブ(CD33)、イノツズマブ(CD22)、ロルボツズマブ(CD56)、ブレンツキシマブ(CD30)、グレムバツムマブ(GPNMB)、それらのエピトープ結合断片およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、項51に記載の結合体。
53. 第1または第2のリンカーが炭化水素、ポリエチレングリコール(PEG)、アミノ酸、ペプチド、またはその組み合わせであり、該炭化水素またはPEGが置換型または非置換型である、項39〜52のいずれかに記載の結合体。
54. 第1または第2のリンカーが炭化水素である、項53に記載の結合体。
55. 第1または第2のリンカーがPEGである、項53に記載の結合体。
56. PEGが約200 Da〜約50 kDaの分子量を有する、項55に記載の結合体。
57. 第1または第2のリンカーが少なくとも1個のアミノ酸および置換型または非置換型PEGの組み合わせを含む、項39〜56のいずれかに記載の結合体。
58. 第1または第2のリンカーが2個または3個のアミノ酸を含む、項57に記載の結合体。
59. アミノ酸がリジンである、項58に記載の結合体。
60. 項1に記載の結合体および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
61. 項16に記載の結合体および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
62. 項21に記載の結合体および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
63. 項39に記載の結合体および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
64. がんの処置を必要としている対象におけるがんを処置する方法であって、項1に記載の結合体の有効量を投与する段階を含む、方法。
65. がんの処置を必要としている対象におけるがんを処置する方法であって、項16に記載の結合体の有効量を投与する段階を含む、方法。
66. がんの処置を必要としている対象におけるがんを処置する方法であって、項21に記載の結合体の有効量を投与する段階を含む、方法。
67. がんの処置を必要としている対象におけるがんを処置する方法であって、項39に記載の結合体の有効量を投与する段階を含む、方法。
【0173】
本開示は、限定するものと解釈されるべきではない以下の例によってさらに例示される。それらの例は、単なる例示にすぎず、本明細書において記述される局面のいずれかを、いかなる形においても、限定するよう意図されない。以下の例は、本発明をいかなる形においても限定しない。
【実施例】
【0174】
実施例1: 炭化水素-リンカーPt(II)結合体の合成
ブロックされたリジン中間体(2)によるマレイミド-炭化水素の合成:
窒素雰囲気下の6-マレイミドカプロン酸(1)のCH
2Cl
2 (5 mL)氷冷溶液に、EDCI (544.5 mg, 2.8407 mmol)およびHOBT (383.7 mg, 2.8407 mmol)を連続的に加え、1時間撹拌した。活性化されたこの酸溶液に、保護されたリジン(630 mg, 2.1305 mmol)を加えた。反応混合物をDIPEAで塩基性化し、室温で12時間撹拌し、TLCによって分析した。完了後、反応混合物をH
2O (10 mL)と2回の0.1 N HCl (25 mL)でクエンチし、中間体化合物2をCHCl
3 (各15 mL)で2回抽出した。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥し、減圧下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、93%の収率(602 mg)でカップリング生成物2を得た。
【0175】
活性化リジン中間体(3)によるマレイミド-炭化水素の合成:
次に、中間体2 (450 mg, 0.9922 mmol)のCH
2Cl
2 (4 mL)氷冷溶液に、TFA 1 mlを加え、氷上で3時間撹拌し、TLCにより分析した。反応の完了時に、混合物を減圧下で濃縮し、定量的収量で中間体3を得た。この中間体を、さらなる精製なく次のカップリング反応に直接用いた。
【0176】
炭化水素-リジン-スクシネート中間体(4)の合成:
未精製の出発材料3を、窒素雰囲気下0℃にて、比率1:4のDMF、およびCH
2Cl
2 (1:4 mL)中で混合した。溶液をDIPEAで塩基性化し(pHをチェックし)、氷上で30分間撹拌した。無水コハク酸(250 mg, 2.5 mmol)を反応混合物に加え、12時間撹拌し、TLCによりチェックした。完了後、反応混合物をH
2O (10 mL)と2回の0.1 N HCl (各25 mL)でクエンチし、CHCl
3 (各15 mL)で2回抽出した。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥し、減圧下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、わずかな収量にて(90 mg, 収率20%)酸中間体4を得た。
【0177】
リンカー結合白金(II)錯体(リガンド-標的指向分子, 6)の合成:
中間体4 (48 mg, 0.105 mmol)をDMF 0.5 mLに入れた。これに、アクア化オキサリプラチン(5) [5 mg/mL, 1.0当量] 3.0 mLを室温でゆっくり加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物を最終的に凍結乾燥して、溶媒を完全に除去し、定量的収量および純度(80 mg, 99%)で最終生成物6を得た。
【0178】
実施例2: PEG-リンカー結合白金(II)誘導体の合成
ブロックされたリジン中間体(9)によるマレイミド-ポリ(エチレン)グリコールの合成:
窒素雰囲気下のMal-PEG-SCM (7) [100 mg, およそ0.0454 mmol; Creative PEG Works]の無水CH
2Cl
2 (3 mL)およびDMF (2 mL)氷冷溶液に、保護リジン(135 mg, 0.454 mmol)を加え、反応混合物をDIPEA (77 μl)で塩基性化し、12時間室温で撹拌し、TLCにより分析した。反応の完了後、混合物を5分間窒素でフラッシュし、微量のCH
2Cl
2を除去した。残留物をEt
2O (40 mL)で希釈し、45分間4℃で貯蔵し、その後、室温で遠心分離した。澄明な溶液を傾瀉し、固形のペレットを少量のメタノールに溶解し、Et
2O (40 mL)で希釈し、45分間4℃でインキュベートし、遠心分離して、固形の沈殿物を得た。このプロセスを2回繰り返し、良好な収量で(92 mg, 純度は不明、HPLCは行われていない)純粋なカップリング生成物9を得た。
【0179】
活性化リジン中間体(10)によるマレイミド-PEGの合成:
中間体9 (90 mg, およそ0.0367 mmol)のCH
2Cl
2 (4 mL)氷冷溶液に、TFA (0.5 mL)を加え、氷上で2.5時間撹拌し、TLCにより分析した。反応の完了後、混合物を減圧下で濃縮し、5分間窒素でフラッシュして、過剰なCH
2Cl
2およびTFAを除去し、残留生成物を、さらなる精製なく次のカップリング反応に直接用いた。
【0180】
PEG-リジン-スクシネート中間体(12)の合成:
未精製の出発材料10を窒素雰囲気下0℃の、1:4のDMFおよびCH
2Cl
2 (1:4 mL)
に入れた。溶液をDIPEAで塩基性化し、同じ温度で30分間撹拌した。無水コハク酸11 (200 mg, 2.0 mmol)、続けてひとつまみのDMAPを反応混合物に加え、12時間撹拌し、TLCによりチェックした。完了後、反応混合物を10分間にわたり窒素でフラッシュして、CH
2Cl
2を除去し、残留物をEt
2O (40 mL)で希釈し、45分間4℃でインキュベートし、その後、低温で遠心分離した。澄明な溶液を傾瀉し、固形の残留物をメタノールに溶解し、Et
2O (40 mL)で希釈し、45分間4℃でさらにインキュベートし、遠心分離して、固形の沈殿物を得た。このプロセスを2回繰り返して、未精製のカップリング生成物を得、これをHPLCによってさらに精製し、良好な収量で本発明者らの所望の生成物12を得た。
【0181】
PEG-リンカー結合白金(II)錯体(リガンド-標的指向分子, 13)の合成:
酸中間体12 (80 mg, 0.032 mmol)をH
2O 0.5 mLに溶解した。この溶液に、アクア化オキサリプラチン(5 mg/mL, 1.0当量)を室温でゆっくり加え、さらに24時間撹拌した。反応混合物を凍結乾燥して、良好な収量(80 mg)で白金付加物13を得た。
【0182】
実施例3: 抗体への薬物-リンカー分子の結合
本実施例では、標的指向剤としての抗体に本発明の薬物-リンカー分子(スペーサー、反応性官能基などのような、他の基を任意で含んでもよい)を結合させるための反応条件および方法論について記述する。利用される条件および方法論は全て、単なる例示であって、限定するものではないと意図される。当業者は分子、例えば、リンカー、薬物などを抗体に結合させるための試薬および方法を十分承知している。
【0183】
利用される結合方法は、還元剤で鎖間システインを還元することによって抗体に遊離チオール基を導入することと、それに続いて、活性マレイミド基を有する薬物-リンカー分子の反応を行うことに基づく。このような目的で、結合させたい抗体を、PBS緩衝液pH 7.4へ緩衝液交換し、8〜10 mg/mlに濃縮した。抗体へのDTTまたは2-MEAの添加によって鎖間システインを還元した。添加される還元剤の量は、予備実験において決定された。最適化実験においては、漸増量の還元剤の滴定液を抗体に加えた。37℃で1時間の抗体とのインキュベーションの後、部分的に還元された抗体を精製し、DTTまたは2-MEAの脱塩を行った(Amicon Ultra, 30K MWCO)。導入されたチオール基の数をジチオニトロ安息香酸(DTNB)との反応によって決定した。DTNBとのチオール基の反応が、ジスルフィドおよびニトロチオ安息香酸(TNB)混合生成物を生じ、これは412 nmで分光学的に検出される。サンプル中のタンパク質の濃度は、280 nmでの吸光度によって正確に決定された。
【0184】
典型的には、1抗体あたりチオール基4〜6個のチオール化レベルが結合に最適である。例えば、1つの特定の抗体を用い、5倍モル過剰のDTTを加え、その後に37℃で1時間のインキュベーションを行うことを通じてこれを達成した。結合させたい抗体を、それゆえ、所望のモル比のDTTとともにインキュベートし、その後、結合用緩衝液(PBS, pH7.4, 10 mM ETDA)へ脱塩した。チオール化された材料を氷上に維持し、その間に、導入されたチオールの数を上記のように定量化した。
【0185】
穏和に還元された抗体に、活性マレイミド基を含有する薬物-リンカー分子を1チオールあたり30倍モル過剰で加えた。薬物-リンカー結合体をPBS中10% (v/v)のDMSO (またはPBS緩衝液のみ)に溶解した。この薬物-リンカーのストック溶液を、チオール化された抗体に加えた。
【0186】
結合反応は、混合しながらPBS緩衝液中4℃で終夜行った。翌日、PBS緩衝液3 mlを反応混合物に加え、その後、これを脱塩し、15分間2000×gでの遠心分離による透析ろ過(Amicon Ultra, 30K MWCO)によって濃縮した。この段階を少なくとも4回繰り返し、最後に、結合体をUVおよび原子吸光分析によりタンパク質および白金含量について分析した。
【0187】
実施例4: 標的細胞表面受容体上でのADCの結合
mAb-PEG-リンカー-Pt結合体によるEGFR受容体の結合を試験するため、96ウェルマイクロタイターMaxisorbプレート(Nunc, PIERCE)を4℃で終夜、2 mg/LのEGFR-ECD (PBS緩衝液中) 80〜100 μlでコーティングした。ウェルをPBST (0.1% Tween-20を含有するPBS)で洗浄し、室温で1〜2時間、PBS中2%のカゼインでブロッキングした。ウェルを上記のPBSTでさらに洗浄し、連続的に希釈された抗体薬物結合体(ADC)を各ウェルに加え、室温で2時間インキュベートした。上記のPBSTでの最後の洗浄の後、ヤギ抗ヒトIgG1-HRP抗体(10000分の1希釈)を加え、室温で1時間インキュベートした。ウェルを洗浄し、ABTS試薬を加えた。各ウェルに1%SDS 100 μlを加えることによって発色を停止させた。プレートの読み取りは、マイクロプレートリーダー(BioRad)により415 nmで行った。
【0188】
実施例5: ADCのPEG含量の分析
ADC中のPEG含量をELISAおよびSDS-PAGEによって分析した。ELISAのため、Maxisorpマイクロタイタープレートをさまざまな濃度のADCでコーティングし、4℃で終夜インキュベートした。ウェルを洗浄用緩衝液(PBS, 0.1% Tween-20)で洗浄し、室温で2時間、2%カゼイン/PBSTでブロッキングした。上記のようにもう1回の洗浄の後、マウスビオチン化抗PEGモノクローナル検出抗体(500〜1000分の1希釈) 70〜100 μlをウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。ウェルをPBSTで再度洗浄し、ストレプトアビジン-HRP 100 μlを加え、30〜45分間インキュベートした。最後に、ウェルをPBSで洗浄し、ABTS試薬を加えた。各ウェルに1%SDS 100 μlを加えることによって発色を停止させ、プレートを415 nmで読み取った。
【0189】
また、還元および非還元条件の下、10% SDS-PAGEにてサンプルを泳動することによってADC上のPEGの存在を定性的に決定した。
【0190】
実施例6: ADCの細胞毒性の分析
本発明の抗体に結合された抗がん白金薬剤の細胞毒性能を、確立されたMTT細胞増殖アッセイ法を用いてアッセイした。これは、細胞生存性を定量化するのに便利な方法であり、多数の化合物に対応することができる。
【0191】
MTTアッセイ法のため、転移性乳がん細胞株MDA-MB-231および結腸直腸細胞株HT-29を、10%熱不活化ウシ胎仔血清(FCS)、2 mM L-グルタミン、50 IU/mLペニシリンおよび50 μg/mLストレプトマイシンを含有するDMEM培地中で培養した。
【0192】
セツキシマブ-PEGリンカー-Pt結合体、またはセツキシマブ-炭化水素リンカー-Pt結合体を試験するため、細胞を96ウェルマイクロタイタープレートにプレーティングした(細胞3000〜5,000個/ウェル)。白金薬(陽性対照として)または試験化合物の連続希釈液(3倍増分)を作製し、1ウェルあたり化合物100 μlを加えた。プレーティングから96時間後にMTTアッセイ法で細胞の生存プロファイルを測定した。
【0193】
実施例7: 抗体と結合したトリリジン含有リガンド-標的指向分子の合成
抗体と結合したトリリジン含有リガンド-標的指向分子は、
図12Aおよび12Bに示されている方法にしたがって合成することができる。抗EGFRモノクローナル抗体に結合されているトリリジン化Pt(II)類似体の合成の略図が示されている。試薬および条件: a) HoBT、EDCI、Dry DCM、DIPEA、12時間、室温(rt); b) H2、Pd、酢酸エチル、6時間、室温; c) HoBT、EDCI、Dry DCM、Na-Cbz-Ne-Boc-L-リジン、d) H2、Pd、酢酸エチル、6時間、室温; e) HoBT、EDCI、HOOC-PEG-Mal、Dry DCM、DIPEA、12時間、室温; f) TFA、Dry DCM、3時間、0℃; g) 無水コハク酸、ピリジン、Dry DCM、12時間、室温; h) シス-ジアミンジヒドロ白金(II)、DMF、H2O、24時間、室温; i) 抗体-SH (EGFRmAb-SH)。
【0194】
実施例8: リンカーの一部としてPt (II)を用いるリガンド-標的指向結合体の合成
Pt(II)配位リンカー-薬物結合体を用いたADC合成の一般的プロセスが
図13Aおよび13Bに示されている。段階1: リジンのアミン基を介した結合による抗体への金属キレーターのカップリングを、
図13Aに概略を示した方法を用いて行う。段階2: Pt(II)類似体を通じた抗体-キレーター錯体への細胞毒性薬の結合を、
図13Bに概略を示した方法にしたがって行う。
【0195】
実施例9: 細胞毒性薬である27ヒドロキシブラタシンを結合させるためのPt(II)-配位リンカーを用いたADCの合成
細胞毒性薬である27-ヒドロキシブラタシンを結合させるためのPt(II)-配位リンカーを用いたADCの合成は、
図14A〜14Cに概略を示した方法を用いて行うことができる。
図14A〜14Cは、Pt(II)配位リンカーを用いて細胞毒性薬である27-ヒドロキシブラタシンに結合された抗体の合成の略図を示す(段階1〜3)。段階1: 改変抗体の合成は、
図14Aに概略を示した方法にしたがう。合成の段階2および3は、それぞれ
図14Bおよび14Cに略図を示したように行うことができる。
【0196】
実施例10: 細胞毒性薬であるメアヤマイシンを結合させるためのPt(II)-配位リンカーを用いたADCの合成
細胞毒性薬であるメアヤマイシンを結合させるためのPt(II)-配位リンカーを用いたADCの合成は、
図15A〜15Cに概略を示した方法を用いて行うことができる。
図15A〜15Cは、Pt(II)配位リンカーを用いて細胞毒性薬であるメアヤマイシンに結合された抗体の合成の略図を示す(段階1〜3)。
【0197】
本明細書および実施例において特定された全ての特許および他の刊行物は、全ての目的で参照により本明細書に明示的に組み入れられる。これらの刊行物は、本出願の出願日に先立ってもっぱらその開示のために提供される。これに関して、本発明者らは先行発明の理由でまたは他のいかなる理由によっても、そのような開示に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきものは何もない。日付に関する陳述またはこれらの書面の内容に関する表現は全て、出願者が入手可能な情報に基づいており、これらの書面の内容または日付の正確さに関するいかなる承認も構成しない。
【0198】
好ましい態様を本明細書において詳細に描写し記述してきたが、さまざまな変更、追加、代用などを本発明の趣旨から逸脱することなく実施でき、それゆえ、これらは後続の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲内であると考えられることが当業者には明らかであろう。さらに、既には示されていない範囲で、本明細書において記述され例示されるさまざまな態様のいずれか1つをさらに改変して、本明細書において開示される他の態様のいずれかに示される特徴を組み入れられることが当業者によって理解されよう。