(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-504146(P2015-504146A)
(43)【公表日】2015年2月5日
(54)【発明の名称】原動機付き車両のオートマチックトランスミッションの切換装置の双方向に作用する切換シリンダの制御のための装置
(51)【国際特許分類】
F16H 63/00 20060101AFI20150109BHJP
F16H 61/682 20060101ALI20150109BHJP
F16H 61/00 20060101ALI20150109BHJP
【FI】
F16H63/00
F16H61/682
F16H61/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-552520(P2014-552520)
(86)(22)【出願日】2012年11月28日
(85)【翻訳文提出日】2014年7月11日
(86)【国際出願番号】EP2012004894
(87)【国際公開番号】WO2013110302
(87)【国際公開日】20130801
(31)【優先権主張番号】102012001100.8
(32)【優先日】2012年1月23日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】596055475
【氏名又は名称】ヴアブコ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】WABCO GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100062317
【弁理士】
【氏名又は名称】中平 治
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】クラフト・ハンスイェルク
(72)【発明者】
【氏名】クリューゲナー・ライナー
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー・インゴ
【テーマコード(参考)】
3J067
3J552
【Fターム(参考)】
3J067AC02
3J067AC56
3J067DB04
3J067DB05
3J067DB14
3J067DB27
3J067EA31
3J067FB83
3J067FB85
3J067GA01
3J552MA04
3J552NA01
3J552NB01
3J552PA61
3J552PA68
3J552QA06B
3J552QA41B
3J552QA42C
3J552SA27
3J552SA30
(57)【要約】
【課題】
圧力制限機能が全ての動作条件下で保証されるよう、オートマチックトランスミッションの切換装置の双方向に作用する切換シリンダの制御のための装置を改良すること。
【解決手段】
油圧油タンク33と、油圧ポンプ35と、油圧ポンプ35の圧力供給配管36及び油圧油タンク33への還流配管39に接続された2つの切換弁37,38とを備え、切換シリンダ32が動作室40,41を有し、該動作室が切換弁37;38に接続されており、切換弁37,38が切換シリンダ32の動作室40;41を油圧ポンプ35の圧力供給配管36又は油圧油タンク33への還流配管39へ接続し、過剰圧力が存在する際に圧力供給配管36を還流配管39へ接続する圧力制限弁が当該装置31に設けられている装置において、切換弁37,38が、それぞれ統合された圧力制限弁を有する3ポート2位置型の切換弁47,48として形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機付き車両のオートマチックトランスミッション(19)の切換装置(18)の双方向に作用する切換シリンダ(32)の制御のための装置(31)であって、油圧油タンク(33)と、モータで駆動される油圧ポンプ(35)と、それぞれ該油圧ポンプ(35)の圧力供給配管(36)及び前記油圧油タンク(33)への還流配管(39)に接続された2つの切換弁(37,38)とを備え、前記切換シリンダ(32)が2つの動作室(40,41)を有し、該動作室がそれぞれ1つの前記切換弁(37;38)に接続されており、前記切換弁(37,38)がそれぞれ前記切換シリンダ(32)の1つの前記動作室(40;41)を前記油圧ポンプ(35)の前記圧力供給配管(36)又は前記油圧油タンク(33)への前記還流配管(39)へ接続し、油圧的な過剰圧力が存在する際に前記圧力供給配管(36)を前記還流配管(39)へ接続する少なくとも1つの圧力制限弁が当該装置(31)に設けられている前記装置において、
前記切換弁(37,38)が、それぞれ統合された前記圧力制限弁を有する3ポート2位置型の切換弁(47,48)として形成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記3ポート2位置型の切換弁(47,48)において、それぞれ前記圧力供給配管(36)のために通常は閉鎖されている位置(49)と前記切換弁(37,38)の切換時に前記圧力供給配管(36)のために開放される位置(50)の間に中間位置(51)が設けられており、該中間位置では、前記圧力供給配管(36)が前記還流配管(39)へ接続され、前記各3ポート2位置型の切換弁(47,48)が前記切換シリンダ(32)の各動作室(40;41)へ接続されていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記切換シリンダ(32)が、同一の作用面を有する複動シリンダ(42)として形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記切換弁(37;38)がそれぞれ内部に配置された弁ピストン(72)を有する弁本体(70)を備えており、前記弁ピストンを、切換磁石(74)によって、前記切換弁(37;38)の通常動作において通常は閉鎖された下側の位置(49)から上側の閉鎖された位置(50)へ切換可能であり、前記弁本体(70)に下側の弁座(75)及び上側の弁座(76)が設けられており、これら弁座により、前記還流配管(39)と、前記圧力供給配管(36)と、前記切換シリンダ(32;42)の動作室(40;41)へ延びる穴(66)とを互いに接続可能であるかあるいは互いに分離可能であり、切り換えられていない状態(49)及び通常の圧力状態において前記弁ピストン(72)を前記下側の弁座(75)に対して押圧する圧縮バネ(79)が前記弁ピストン(72)に作用することを特徴とする請求項2又は3記載の装置。
【請求項5】
過剰圧力への到達時に前記弁ピストン(72)が、前記還流配管(39)と、前記圧力供給配管(36)と、前記切換シリンダ(32;42)の動作室(40;41)へ延びる前記穴(66)とを互いに接続するよう前記下側の弁座(75)から持ち上がるように、前記圧縮バネ(79)が設定されていることを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記切換弁(37,38)が、それぞれ構造ユニット(60;60a)の支持部(61)の複数の穴へ螺着された弁カートリッジ(62,63)として形成されており、該弁カートリッジ(62,63)が、それぞれ前記還流配管(39)と、前記圧力供給配管(36)と、それぞれ前記切換シリンダ(32;42)の動作室(40;41)へ延びる穴(66;67)と接続されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記還流配管(39)及び前記圧力供給配管(36)が、それぞれ前記支持部(61)に穿設された通路(64,65)として形成されていることを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項8】
穴(68)が前記弁カートリッジ(62,63)に対して平行に前記支持部(61)へはめ込まれており、前記通路(64,65)が前記穴(68)へ開口し、該穴(68)がボルト(69)によって取外し可能に閉鎖されていることを特徴とする請求項7記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分の特徴を有する、原動機付き車両のオートマチックトランスミッションの切換装置の双方向に作用する切換シリンダの制御のための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原動機付き車両、特に商用車両のオートマチックトランスミッションは、通常、いくつかの操作可能な構造ユニットから成る、原動機付き車両のオートマチックトランスミッションの切換装置の少なくとも1つの双方向に作用する切換シリンダの制御のための装置を備えている。このような装置は、例えば特許文献1及び特許文献2から公知である。これら装置は少なくとも2つの切換弁を備えており、これら切換弁によって、双方向に作用する切換シリンダが空圧的又は油圧的な圧力の作用を受け得るようになっている。切換シリンダのピストンのピストンロッドは通常切換ドグ、シフトフィンガ又はこれに類する動作部材に結合されており、これらによって、必要な場合にトランスミッションのゲートを切り換えることが可能である。切換弁の交互の制御は、切換シリンダの1つの圧力室が油圧による圧力によって負荷を受ける一方、切換シリンダの他の圧力室が抜気されることに寄与するものである。すなわち、各圧力室から空圧的又は油圧的な圧力が低減され、油圧的なシステムの場合には、油圧油が還流配管を介して油圧油タンクへ戻される。
【0003】
切換シリンダは、通常、差動シリンダの形態の双方向に作用するシリンダとして形成されているとともに、対応してそれぞれ2つの異なる大きさの作用面を有するそれぞれ1つのピストンを備えている。なぜなら、ピストンの1つの作用面のみがピストンロッドに結合されているためである。
【0004】
油圧式の装置の場合には、規則的に圧力制限弁が設けられ、この圧力制限弁は、過剰圧力時に圧力供給配管を還流配管へ接続することに寄与するものであり、その結果、生じ得る有害な過剰圧力がシステムから除去される。そのほかの場合には、油圧配管の破裂又は切換弁あるいは切換シリンダの破損に至ることがあり得る。このような危険な過剰圧力状況は、油圧ポンプのモータの機械的な又は電子的な欠陥によって継続して通電され、その結果油圧油が定常的に圧力供給配管へ圧送される場合に生じ得る。
【0005】
そのため、圧力制限弁を対応する装置に取り付けることが一般的である。このことは、例えば特許文献3及び特許文献4から公知である。
【0006】
特許文献5からは、その
図1に基づく装置が公知であり、この装置においては、圧力制限弁が設けられていない。このような装置は、油圧的な過剰圧力に対する保護を提供するものではない。
【0007】
圧力制限弁が使用される上述の装置は、実際に十分実証されている。しかしながら、これに設けられる過剰圧力弁も極端な場合には欠陥の原因となりかねない。過剰圧力弁は、通常動作において機能しないように、及び極端な例外の場合にのみ切り換えられ、緊急の場合に機能が達成されるよう規則的に設計されている。システムが不自然に高い油圧にさらされるこのような極端な場合は、幸いにもごくまれである。しかし、適当な過剰圧力弁は、通常の場合には長年にわたって動作しないので、極端なケースが生じた場合に、圧力制限弁がもはや機能せず、これは、弁部材が腐食又はその他の影響によりもはや動かないことによるものである。これは、対応して、システムにおける甘受できない破損につながってしまうことがあり、この破損は、例えば、油圧配管の破裂又は特に高い過剰圧力の存在における切換シリンダが作動し、これにより不意にギヤが入るか、又はギヤが外され、トランスミッション及び車両において大きな損傷を伴うことで現れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第102005015481号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19950443号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第19931973号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102006031380号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102006058913号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の課題は、圧力制限機能が全ての動作条件下で保証されるよう、原動機付き車両のオートマチックトランスミッションの切換装置の双方向に作用する切換シリンダの制御のための装置を改良することにある。本発明の別の課題は、上述の種類の装置を簡易化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、請求項1の特徴を備えた装置によって驚くほど容易に解決される。
【0011】
本発明は、切換弁がそれぞれ統合された圧力制限弁を有する3ポート2位置型の切換弁として形成されていることによって、上記課題が解決されるという驚くべき認識に基づいている。これら切換弁は、規則的に単純に構成された2ポート2位置型の切換弁が使用される従来技術とは異なり、3ポート2位置型の切換弁として形成されている。したがって、過剰圧力の低減は、通常はシステムにおいてギヤ段あるいはゲートを切り換える3ポート2位置型の切換弁として形成された切換弁によってなされる。したがって、この切換弁により、システムが直接破裂に対して保護される。3ポート2位置型の切換弁の構造及びシステムにおけるその配置により、許容できないほどの高い圧力が動作シリンダにおいて生じることなく、弁によって圧力配管と還流配管の間の通路を開放することが可能となる。これにより、動作シリンダが移動し、これに伴い容認できない切換が実行されることが防止される。
【0012】
本発明により過剰圧力弁の機能を担う切換弁が定常的に切り換えられることで、バルブ本体が固着してしまうことが実際に回避される。
【0013】
また、第2の課題は、本発明による形成により解決される。なぜなら、圧力制限弁が削減され得ることにより、対応する構造ユニットが安価に製造され得るのみならず、コンパクトに形成され、これは特によりわずかとなっていく取付空間に関して特に有利であるためである。
【0014】
そのほか、3ポート2位置型の切換弁において、それぞれ圧力供給配管のために通常は閉鎖されている位置と切換弁の切換時に圧力供給配管のために開放される位置の間に中間位置が設けられており、該中間位置では、圧力供給配管が還流配管へ接続され、各3ポート2位置型の切換弁が切換シリンダの各動作室へ接続されているように構成することも可能である。
【0015】
別の実際の発展形成においては、切換シリンダが、同一の作用面を有する複動シリンダとして形成されているように構成することが可能である。
【0016】
本発明の別の形態は、切換弁がそれぞれ内部に配置された弁ピストンを有する弁本体を備えており、ピストンを、切換磁石によって、切換弁の通常動作において通常は閉鎖された下側の位置から上側の閉鎖された位置へ切換可能であり、弁本体に下側の弁座及び上側の弁座が設けられており、これら弁座により、還流配管と、圧力供給配管と、切換シリンダの動作室へ延びる穴とを互いに接続可能であるかあるいは互いに分離可能であり、切り換えられていない状態及び通常の圧力状態において下側の弁座へ弁ピストンを押圧する圧縮バネが弁ピストンに作用するように構成されている。
【0017】
この構成は、過剰圧力への到達時に弁ピストンが、還流配管と、圧力供給配管と、切換シリンダの動作室へ延びる穴とを互いに接続するよう下側の弁座から持ち上がるように、圧縮バネ(79)が設定されていることによって補足される。
【0018】
実際の補足によれば、切換弁が、それぞれ構造ユニットの支持部の複数の穴へ螺着された弁カートリッジとして形成されており、該弁カートリッジが、それぞれ還流配管と、圧力供給配管と、それぞれ切換シリンダの動作室へ延びる穴と接続されているように構成することも可能である。
【0019】
この形態は、更に、還流配管及び圧力供給配管が、それぞれ支持部に穿設された通路として形成されていることによって補足され得る。
【0020】
最後に、特に有利には、本発明の形態は、穴が弁カートリッジに対して平行に支持部へはめ込まれており、通路が穴へ開口し、該穴がボルトによって取外し可能に閉鎖されていることを特徴としている。
【0021】
以下に、本発明を好ましい実施例によって詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1b】従来技術による装置の構造ユニットを示す図である。
【
図2】本発明による装置の構造ユニットの第1の実施例を示す長手断面図である。
【
図3】本発明による装置の構造ユニットの第2の実施例を示す長手断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本来の本発明について説明する前に、本発明の基礎となる従来技術について簡単に説明する。
【0024】
図1aには、原動機付き車両の
図1aでは不図示のオートマチックトランスミッションの双方向に作用する切換シリンダ2の制御のための通常の装置1が示されている。この装置1は、油圧油タンク3と、電動モータ4によって駆動される油圧ポンプ5とを備えている。この油圧ポンプ5には圧力供給配管6が接続されており、この圧力供給配管6は、それぞれ2ポート2位置型バルブとして形成された切換弁7,8に接続されている。これら切換弁7,8にはそれぞれ還流配管9が接続されており、この還流配管は、油圧油タンク3へ戻るように延びている。切換弁7,8は、それぞれ切換シリンダ2に接続されている。電磁弁として形成された切換弁7,8は、動作中は交互に切り換えられ、そのため、それぞれ1つの動作室10,11が油圧によって負荷を受ける一方、他の作動室11,10から油圧油が還流配管9を介して油圧油タンク3へ戻されることにより、それぞれ他の動作室11,10が無圧とされる。従来技術による切換シリンダ2は、差動シリンダ12として形成されている。これに対応して、この差動シリンダは、そのピストン面14,15のいずれかの側にのみピストンロッド16を有するピストン13を備えている。ピストンロット16は、切換ドグのような不図示のアクチュエータに結合されている。
【0025】
還流配管9と圧力供給配管6の間には圧力制限弁17が配置されており、この圧力制限弁は、システムが異常な過剰圧力を検知する場合にのみ通電されるようになっている。この場合、すなわち異常な過剰圧力の存在する場合には、圧力供給配管と還流配管が互いに接続される。
【0026】
図1bには、
図1aに基づく装置1の通常の構造ユニット20が示されている。この構造ユニット20は切換弁7,8及び圧力制限弁17のみを支持しており、油圧ポンプ、電子部品ケーシングカバーを有する切換弁7,8の制御のための、支持部21上に載置された電子部品ユニットなどのような、構造ユニット20の、本発明には重要ではない他の構成部材は、
図1bには図示されていない。
【0027】
電磁弁カートリッジ22,23として形成された切換弁7,8は、支持部21の対応する穴に螺着されている。支持部21に穿設された通路24が圧力供給配管6を形成している一方、通路25は還流配管9を形成している。同様に、圧力制限弁17が対応する穴にはめ込まれており、この圧力制限弁は、異常な過剰圧力の検知時に圧力供給配管6を還流配管9に接続するものである。
【0028】
切換弁7,8の範囲ではそれぞれ圧力供給配管6あるいは還流配管9に対して横方向へ複数の穴26,27が支持部21を通って延びており、これら穴は、切換シリンダ2の動作室10,11への接続部である。切換弁7,8の対応する切換時には、油圧油が穴26,27へ圧送され、これにより、切換シリンダ2の動作室10,11が油圧油によって負荷を受けることになる。
【0029】
図1、
図2〜
図4に基づく本発明による解決手段は、上述の従来技術とは以下において異なるものである。
【0030】
図1には、商用車両の形態の
図1では不図示の原動機付き車両の単に示唆のみされたオートマチックトランスミッション19の切換装置18のここでも双方向に作用する切換シリンダ32の制御のための本発明による装置31の回路図が示されている。従来技術による切換装置と同様に、本発明による切換装置は、油圧油タンク33と、モータ34によって動作する油圧ポンプ35とを備えている。この油圧ポンプは、同様に圧力供給配管36に接続されている。また、圧力供給配管36にも同様に2つの切換弁37,38が接続されている。さらに、切換弁37,38は、還流配管39に接続されており、この還流配管を介して油圧油が油圧油タンク33へ戻ることが可能である。切換弁37,38は、それぞれ複動シリンダ52として形成された切換シリンダ43の動作室40,41に接続されている。複動シリンダ42のピストン43は2つのピストン面44,45を備えており、これらピストン面は、それぞれピストンロッド46,46aに結合されている。このとき、ピストンロッド46は、シフトフォーク29の形態の、単に示唆のみされた制御要素28に結合されており、このシフトフォークによって、同様に単に示唆のみされているトランスミッション19のゲート30を切り換えることが可能である。
【0031】
本発明による装置31は、とりわけ切換弁37,38の形態及び複動シリンダ42としての切換シリンダ32の形態により従来技術とは相違している。
【0032】
切換弁37,38は、3ポート2位置型の切換弁47,48として形成されている。このとき、切換弁37,38のそれぞれは、圧力制限弁の機能を担っている。これについての構造上の詳細は、
図4に関連して詳細に説明する。まずは、従来技術とは異なり、圧力供給配管36のために通常は閉鎖された位置49と切換弁37,38の切換時に圧力供給配管36のために開放された位置50の間に中間位置51が設けられ、この中間位置において圧力供給配管36が還流配管39に接続されていることで十分である。この状態は、通常の動作において過剰圧力時にのみ生じる。図示の状況においては、圧力供給配管36と還流配管39が互いに接続されるだけではなく、圧力が動作室40,41へも導かれる。通常は、すなわち従来技術においては、両動作室の圧力負荷時にピストンロッドが移動し得るというおそれが生じることがある。なぜなら、従来技術においては、上述のように、異なる作用面を有する差動シリンダが規則的に用いられるためである。好ましく用いられる、複動シリンダ42として形成された切換シリンダ32においては、ピストン面44,45が同様の作用面を有するという状況となる。両動作室40,41が油圧による負荷を受けると、同一の作用面により、複動シリンダ42のピストン43が中央の中立位置にとどまることになり、これにより、制御要素28がゲート30を切り換え得る位置へ移動することがない。
【0033】
構造上の観点において、本発明による装置31の2つの実施例が
図2及び
図3に示されている。
【0034】
図2には、装置31の構造ユニット60の第1の実施例が示されている。この構造ユニットは、
図1bに基づく従来技術による構造ユニット20に十分対応している。これに対応して、構造ユニット60は、支持部61を備えている。複数の穴内には、同様に電磁弁カートリッジ62,63として形成された切換弁37,38がはめ込まれている。通路64,65として形成された圧力供給配管36あるいは還流配管39及び切換弁37,38の切換シリンダ32の動作室40,41への接続を形成する横方向へ延びる穴66,67も同一である。また、同様に穴68が設けられているが、この穴には、
図1bによる従来技術のように圧力制限弁17がはめ込まれているのではなく、サービスの目的のみに必要な単純なボルト69が設けられている。トランスミッション19あるいは構造ユニット60における修理の際には、システムを無圧にすること、油圧油を交換すること、又はそれ以外の目的のために油圧穴へのアクセスを維持することが望ましい。この場合、ボルト69は、簡単に螺出され、システムが無圧となる。
【0035】
図3には本発明による装置31の構造ユニット60aの第2の実施例が示されている。この装置は、ボルト69を除いて
図2に基づく構造ユニット60の全ての構成要素を備えている。そのため、これに関して、
図2について述べた事柄が当てはまる。穴68及びこれにはめ込まれたボルト69のみがこの実施例では省略されている。その結果、特にコンパクトに構成された構造ユニット60aが得られる。
【0036】
図4には、1つの切換弁37の、内側かつここでは本質的な構造が概略的に示されている。この
図4では不図示の切換弁38も対応して構成されている。
【0037】
切換弁37は本質的に円筒状の弁本体70を備えており、この弁本体は、
図4では部分的にのみ示されている。弁本体70の下端部71を通って、油圧油が圧力供給配管36の通路64から切換弁37の弁本体70へ流れる。これが矢印Pで示唆されている。ボール73の形態の弁ピストン72を、切換弁37の通常動作において、通常は閉鎖された下側の位置49から単に示唆された切換磁石74によって閉鎖された上側の位置50へ切り換えることが可能である。これに対応して、下側の弁座75及び上側の弁座76が設けられており、これら弁座によって、還流配管39と、圧力供給配管36と、複動シリンダ42の動作室40へ延びる穴66とが互いに接続され得るか、あるいは互いに切り離され得る。
【0038】
弁ピストン72はピストンロッド77を介してプレート部78に結合されており、このプレート部上には圧縮バネ79が支持されている。ここで、プレート部78の反対側に位置する圧縮バネ79の端部は、バネプレート80に対して支持されている。このとき、バネプレート80は、弁本体70に固結されている。圧縮バネ79は、特に非通電時での切換磁石74において弁ピストン72のボール73が弁座75に対して固定して押圧するとともに、これに伴って複動シリンダ42の動作室40への供給配管66が閉鎖されるようにするものである。これに対応して、切換磁石74の不図示の電磁的なコイルに通電されると、弁ピストン72が圧縮バネ79の抵抗に抗して引きつけられ、弁座76に固定される。これにより、供給配管66が複動シリンダ42の動作室40に対して開放され、還流配管39が閉鎖される。
【0039】
通常の両切換位置に合わせて、閉鎖された位置49あるいは開放された位置50が弁本体70の対応する動作室において生じる。
【0040】
ここで、切換弁37の構成要素は、約80barの通常の動作圧力に設計されている。圧縮バネ79は、この圧縮バネが通常の圧力であらかじめ設定した条件の下で動作し、切換弁37の閉鎖された位置又は開放された位置が保証されるように設定されている。しかし、圧縮バネ79は、通常の2ポート2位置側の切換弁とは異なり、約100bar以上の規模における過剰圧力において閉鎖された位置49がもはや完全に維持されないように調整されている。ボール73への対応する圧力Pにおいては、このボールが圧縮バネ79に対して弁座75からやや持ち上げられ、それにより、油圧油が弁座75及び弁座76を介してそれぞれ還流配管39へ、及び複動シリンダ42の動作室40への配管66へ流れることが可能となる。この中央の位置51が
図4に示されており、ここでは、全ての接続部36,39,66が互いに接続されている。
【符号の説明】
【0041】
1 装置
2 切換シリンダ
3 油圧油タンク
4 モータ
5 油圧ポンプ
6 圧力供給配管
7 切換弁
8 切換弁
9 還流配管
10 動作室
11 動作室
12 差動シリンダ
13 ピストン
14 ピストン面
15 ピストン面
16 ピストンロッド
17 圧力制限弁
18 切換装置
19 トランスミッション
20 構造ユニット
21 支持部
22 電磁弁カートリッジ
23 電磁弁カートリッジ
24 通路
25 通路
26 穴
27 穴
28 制御要素
29 シフトフォーク
30 ゲート
31 装置
32 切換シリンダ
33 油圧油タンク
34 モータ
35 油圧ポンプ
36 圧力供給配管
37 切換弁
38 切換弁
39 還流配管
40 動作室
41 動作室
42 複動シリンダ
43 ピストン
44 ピストン面
45 ピストン面
46 ピストンロッド
46a ピストンロッド
47 3ポート2位置型切換弁
48 3ポート2位置型切換弁
49 閉鎖された位置
50 開放された位置
51 中間の位置
60 構造ユニット
60a 構造ユニット
61 支持部
62 電磁弁カートリッジ
63 電磁弁カートリッジ
64 通路
65 通路
66 穴
67 穴
68 穴
69 ボルト
70 弁本体
71 下端部
72 弁ピストン
73 ボール
74 切換磁石
75 弁座
76 弁座
77 ピストンロッド
78 プレート部
79 圧縮バネ
80 バネプレート
P 矢印(油圧)
【国際調査報告】