特表2015-505320(P2015-505320A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グラクソスミスクライン、インテレクチュアル、プロパティー、ナンバー2、リミテッドの特許一覧

特表2015-505320糖尿病及び/又は肥満の治療のための組成物及び方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-505320(P2015-505320A)
(43)【公表日】2015年2月19日
(54)【発明の名称】糖尿病及び/又は肥満の治療のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/732 20060101AFI20150123BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20150123BHJP
   A61K 31/702 20060101ALI20150123BHJP
   A61K 31/20 20060101ALI20150123BHJP
   A61K 31/201 20060101ALI20150123BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20150123BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20150123BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20150123BHJP
   A61K 31/155 20060101ALI20150123BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20150123BHJP
【FI】
   A61K31/732
   A61K31/7048
   A61K31/702
   A61K31/20
   A61K31/201
   A61P3/10
   A61P3/04
   A61K45/00
   A61K31/155
   A61K37/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2014-552362(P2014-552362)
(86)(22)【出願日】2013年1月14日
(85)【翻訳文提出日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】US2013021368
(87)【国際公開番号】WO2013109488
(87)【国際公開日】20130725
(31)【優先権主張番号】61/586,929
(32)【優先日】2012年1月16日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】513110104
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン、インテレクチュアル、プロパティー、ナンバー2、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE INTELLECTUAL PROPERTY NO.2 LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(74)【代理人】
【識別番号】100168893
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 正路
(72)【発明者】
【氏名】パウリク,マーク アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ホッジ,レベッカ ジェーン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA22
4C084BA41
4C084BA44
4C084DC29
4C084DC50
4C084NA05
4C084ZA701
4C084ZC351
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA01
4C086EA11
4C086EA25
4C086GA17
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA70
4C086ZC35
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA04
4C206HA31
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZA70
4C206ZC35
4C206ZC75
(57)【要約】
次の1つ以上を含む組成物が開示されている:アントシアニン、オリゴ糖、ペクチン又は長鎖脂肪酸。そのような組成物は、糖尿病又は肥満を治療するために有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペクチンと、アントシアニンとを含む組成物。
【請求項2】
オリゴ糖をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ペクチンと、長鎖脂肪酸とを含む組成物。
【請求項4】
アントシアニンをさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
オリゴ糖をさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
アントシアニンと、オリゴ糖とを含む組成物。
【請求項7】
長鎖脂肪酸をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
ペクチンをさらに含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記アントシアニンが、クロフサスグリに由来する、請求項1、2、4、6、7又は8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記オリゴ糖が、オリゴフルクトースである、請求項2、5、6、7又は8のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記ペクチンが、リンゴに由来する、請求項1から5又は8のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記長鎖脂肪酸が、オレイン酸である、請求項3、4、5、7又は8のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
単胃の哺乳類における糖尿病又は肥満の治療方法であって、ペクチン、アントシアニン、オリゴ糖及び長鎖脂肪酸を投与することを含む方法。
【請求項14】
GLP-1、GLP-1模倣化合物又はGLP-1血漿濃度の増大という結果をもたらす薬を投与することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
単胃の哺乳類における糖尿病又は肥満の治療方法であって、
GLP-1、GLP-1模倣化合物又はGLP-1血漿濃度の増大という結果をもたらす薬と、
ペクチンと
を投与することを含む方法。
【請求項16】
アントシアニンを投与することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
オリゴ糖を投与することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
長鎖脂肪酸を投与することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
アントシアニンを投与することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
オリゴ糖を投与することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
単胃の哺乳類における糖尿病又は肥満の治療方法であって、
GLP-1、GLP-1模倣化合物又はGLP-1血漿濃度の増大という結果をもたらす薬と、
アントシアニンと
オリゴ糖と
を投与することを含む方法。
【請求項22】
長鎖脂肪酸を投与することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記アントシアニンが、クロフサスグリに由来する、請求項13、14、16、17、19、21又は22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記オリゴ糖が、オリゴフルクトースである、請求項13、14、17、20、21又は22のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記ペクチンが、リンゴに由来する、請求項13から20のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記長鎖脂肪酸が、オレイン酸である、請求項13、14、18から20又は22のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記GLP-1模倣化合物が、エキセンディン-4 AlbudAbである、請求項14から26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記GLP-1血漿濃度の増大という結果をもたらす薬が、メトホルミン又はDPP-IV阻害剤である、請求項14から26のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
最少量で存在する特許請求された成分が、最大量で存在する特許請求された成分の少なくとも10重量%で存在する、請求項1から12のいずれかに記載の組成物。
【請求項30】
最少量で存在する特許請求された成分が、最大量で存在する特許請求された成分の少なくとも20重量%で存在する、請求項1から12のいずれかに記載の組成物。
【請求項31】
前記アントシアニンがBCEであり、前記オリゴ糖がオリゴフルクトースであり、前記ペクチンがリンゴペクチンであり、及び前記長鎖脂肪酸がオレイン酸である、請求項8に記載の組成物。
【請求項32】
組成物中のオリゴフルクトースの量が、組成物中のリンゴペクチン量の80重量%〜120重量%であり、組成物中のBCEの量が、組成物中のリンゴペクチン量の20重量%〜60重量%であり、組成物中のオレイン酸の量が、組成物中のリンゴペクチン量の40重量%〜80重量%である、請求項31に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病又は肥満の治療のための組成物及び方法に関する。特に、本発明は、次の1つ以上を含有する組成物に関する:アントシアニン、オリゴ糖、ペクチン又は長鎖脂肪酸。
【背景技術】
【0002】
アントシアニンは、水溶性で、一般的に赤、紫又は青に着色したフラボノイドクラスの中の分子である。アントシアニンは、ほとんどの植物の葉、茎、根、花、及び果実に見いだされ、特に、ブルーベリー、ツルコケモモ、ラズベリー、クロフサスグリ(カシス)、クロイチゴ、コケモモ、紫トウモロコシ、及びアマゾンのパームベリー(アサイー)などの植物に高い濃度で見いだされる。アントシアニンは、in vitroで強力な酸化防止剤であるが、いったん摂食されると僅かな抗酸化作用しか持たないか又は直接的な抗酸化作用を持たないといういくつかの証拠がある(Lotito SB, Frei B, Consumption of flavonoid-rich foods and increased plasma antioxidant capacity in humans: Cause, consequence, or epiphenomenon?, Free Radical Biology & Medicine 41 2006 1727-1746)。C3G(シアニジン-3-O-グルコシド)などの果実抽出物又は特定のアントシアニンを用いた研究によって、様々な代謝的効果が証明されている。マウスにおいて、C3G及びC3Gに富んだ紫トウモロコシの色は、高脂肪及び糖尿病のモデルにおけるインスリン感受性を改善し空腹時血糖値を低下させ、さらには炎症性サイトカインのレベルを改善し肝臓のトリグリセリド含有量及び脂肪肝を減少させることが明らかになった。例えば、Guo H., et al, Cyanidin 3-glucoside attenuates obesity-associated insulin resistance and hepatic steatosis in high-fat diet-fed and db/db mice via the transcription factor FoxO1, Journal of Nutritional Biochemistry, in press, available on line 2-May-2011;Sasaki R., et al, Cyanidin 3-glucoside ameliorates hyperglycemia and insulin sensitivity due to downregulation of retinol binding protein 4 expression in diabetic mice, Biochemical Pharmacology, 2007 74:1619-27; and Tsuda T., Horio F., Uchida K., Aoki H., Osawa T., Dietary Cyanidin-3-O- -D-Glucoside-Rich Purple Corn Color Prevents Obesity and Ameliorates Hyperglycemia in Mice, J.Nutr. 2003 133:2125-2130を参照されたい。アントシアニンは、効果的な抗肥満剤であり(Tsuda 2008)、さらには抗がん剤としての可能性がある(Wang L., Stoner G.D., Athocyanins and their role in cancer prevention, Cancer Lett. 2008 October 8;269(2):281-290)ことが提起されている。in vitro及びin vivoの研究によって、アントシアニンは脂肪細胞におけるAMPキナーゼを活性化しかつPPARγ非依存性機構によってアディポネクチン遺伝子発現を誘導する能力を有することが明らかになったが(Tsuda T., Regulation of Adipocyte Function by Anthocyanins; Possibility of Preventing the Metabolic Syndrome, J. Agric. Food Chem. 2008, 56, 642-646)、それはアントシアニン及び/アントシアニンの代謝産物が、脂肪代謝に直接的な効果を有する可能性があることを含意している。
【0003】
オリゴ糖は、単糖の鎖であり、通例2個から10個までの単糖単位から成っている。多糖は、一般的に、より多くの数の単糖を含有する。このカテゴリーにおける分子は、それらの分子が近位の哺乳類の腸では消化できないが、代わりに部分的又は完全に内因性腸内細菌によって発酵するということによって特徴付けられる。このカテゴリーは、それに限定されないが、次の例を含む。末端α1-2結合d-グルコースによるβ2-1結合によって結合したd-フルクトース分子の鎖から成る非消化性、発酵性、可溶性多糖繊維であるイヌリン。イヌリンの鎖長は、大きなばらつきがあり、10個から60個のフルクトース分子の範囲にわたることができる(10から60の「重合度」、すなわちDP)。イヌリンは、広い範囲にわたる植物に見いだされ、そのような植物としてエルサレムアーチチョーク、チコリ、タマネギ、ニンニク及びアスパラガスが挙げられる。オリゴフルクトース(OFS)は、さらに加水分解されて中鎖及び短鎖分子の混合物を生じるイヌリンである。いくつかの例では、より小さい糖分子から酵素的に合成されて短鎖又は中鎖を形成する分子もまたOFSと呼ばれる。フラクトオリゴ糖(FOS)は、さらに短いフルクトース鎖の分子のことを一般的に指す用語であるが、OFSと区別無く用いられることもしばしばある。これらのより短いFOS分子は、植物の中に天然に見いだされることができ、又はより小さな糖から酵素的に合成することができる。合成されたFOS分子には、β2-1以外の結合が、変動する数で存在することができる。FOSの例として、それに限定されないが、次のものが挙げられる:2個のd-フルクトース分子を有し、d-グルコース分子で終わる三糖ポリマーであるケストース(GF2);3個のd-フルクトース分子を有し、d-グルコース分子で終わる四糖ポリマーであるニストース(GF3);4個のd-フルクトース分子からなり、d-グルコース分子で終わるポリマーであるフルクトシルニストース(GF4);末端フルクトースがフラノシルの形態である4-フルクトースポリマーである1β-フラノシルニストース;1&6-ケストテトラオースであるビフルコース (GF3);並びにイヌロビオース(F2)、イヌロトリオース(F3)及びイヌロテテトラオース(F4)。ガラクトオリゴ糖(GOS)(別名オリゴガラクトシルラクトース、オリゴガラクトース、オリゴラクトース又はトランスガラクトオリゴサッカリデン(TOS)は、末端グルコースを有する、ガラクトース単位の鎖からなる繊維である。ガラクトオリゴ糖は、一般的にラクトースの酵素転換によって形成され、DPは2から約8の範囲である。スタキオース - 多くの野菜の中に見いだされ通常ダイズから抽出されるオリゴ糖。スタキオースは、2つのアルファ-d-ガラクトース単位、1つのアルファ-d-グルコース単位、及び1つのベータ-d-フルクトース単位からなる四糖類である。ラフィノース - ガラクトース、フルクトース及びグルコースからなる三糖類。ベルバスコース - β-D-フルクトフラノシル O-α-D-ガラクトピラノシル-(1→6)-[O-α-D-ガラクトピラノシル-(1→6)]2-α-D-グルコピラノシド。ラクツロース - フルクトースの1分子とガラクトースの1分子からなる合成二糖類。ラクトスクロース - 4G-ベータ-D-ガラクトシルスクロース。マルトオリゴ糖 - アルファ-1-4グルコシド結合だけを含むオリゴ糖。イソマルトオリゴ糖、すなわち分岐オリゴ糖 - アルファ-1-4及びアルファ-1-6グルコシド結合の混合を含有する。キシロオリゴ糖、アガロオリゴ糖、マンノオリゴ糖、キチン/キトサンオリゴ糖 --- それぞれ、キシラン、寒天、マンナン、キチン及びキトサンに由来するオリゴ糖。ゲンチオオリゴ糖 - ベータ1-6結合によって結合されているグルコース単位からなるグルコースポリマーであり、一般的に、長さ2〜5単位である。シクロデキストリン - 6から12のグルコース単位を含有する、環式アルファ-1,4結合マルトオリゴ糖。
【0004】
オリゴ糖及びイヌリンは、プレバイオティクス、すなわち腸の中の有益な細菌の増殖を促進する物質と考えられ、特にビフィドバクテリア(Bifidobacteria)種及び乳酸杆菌属(Lactobacillus)種などである。例えば、Delzenne N.M., Oligosaccharides: State of the Art, Proceeding of the Nutrition Society 2003, 62, 177-182; Ramirez-Farias C., et al, Effect of inulin on the human gut microbiota: stimulation of Bifidobacterium adolescentis and Faecalibacterium prausnitzii, British Journal of Nutrition(2009), 101, 541-550;及びNiness K.R., Inulin and oligofructose: What are they?, J. Nutr. 1999 129:1402S-1406Sを参照されたい。プレバイオティクスは、唾液及び消化酵素による消化に抵抗性を持つため、比較的無庇なまま遠位回腸及び結腸の中に入り、そこで内因性細菌によって消化される。例えば、Bouhnik, Y., Raskine, L., Simoneau, G., Vicaut, E., Neut, C., Flourie, B., Brouns, F., Bornet, F.R., The capacity of nondigestible carbohydrates to stimulate fecal bifidobacteria in healthy humans: a double-blind, randomized, placebo-controlled, parallel-group, dose-response relation study, Am. J. Clin. Nutr. 2004 80:1658-64を参照されたい。ビフィドバクテリア及び乳酸杆菌属細菌といった細菌は、細胞内でそれらの食物を消化し、それゆえに短い及び中程度の長さの線維に依存している。より長鎖の繊維は、腸内のより遠位にまで通過し、細胞外消化ができるようになるための酵素を排出する細菌によって消化される可能性がある。このことは、これらの繊維を、短鎖の形態対長鎖の形態で投与した場合に見られる異なる効果を説明する助けになる。
【0005】
有益な細菌を有利にするために腸管内菌叢を変える効果は、数多い。短鎖脂肪酸産生は増加し、腸内のL細胞の数は増加し(Cani P.D., Hoste S., Guiot Y., Delzenne N.M., Dietary non-digestible carbohydrates promote L-cell differentiation in the proximal colon of rats, British Journal of Nutrition (2007), 98, 32-37)、そして、その結果、GLP-1、GLP-2(グルカゴン様ペプチド1及び2)並びにPYY(ペプチドチロシンチロシン)を含むいくつかの腸ペプチドの放出が増加する(Delzenne N.M., Cani P.D., Daubioul C., Neyrinck A.M., Impact of inulin and oligofructose on gastrointestinal peptides, British Journal of Nutrition (2005), 93, Suppl. 1, S157-S161)。他の確認された健康を促進する利点として、免疫機能の刺激、マグネシウム及びカルシウムなどの栄養素の吸収の改善(Van den Heuvel, E. GHM, Muys T., van Dokkum W., Schaafsma G., Oligofructose stimulates calcium absorbtion in adolescents, Am. J. Clin. Nutr. 1999;69:544-8)が挙げられ、骨密度の改善及び有害な細菌の増殖の抑制という結果を伴う。OFSによって刺激されたGLPは、動物モデルにおいて全身炎症を減少させること、特に肝臓の炎症を減少させることが明らかになっている(Cani P.D., et al., Changes in gut microbiota control inflammation in obese mice through a mechanism involving GLP-2-driven improvement of gut permeability, Gut 2009;58:1091-1103)。OFS強化イヌリンを生涯にわたって食餌されたラットは、健康一般及び寿命の改善を明らかにした(Rozan P. et al., Effects of lifelong intervention with an oligofructose-enriched inulin in rats on general health and lifespan, British Journal of Nutrition (2008), 100, 1192-1199)。
【0006】
これらの繊維の効果は人において広く研究され(Loo J.V. et al, Functional Food Properties of Non-Digestible Oligosaccharides: A Consensus Report from the ENDO project (DGXII AIRIICT94-1095), British Journal of Nutrition 1999, 81, 121-132)、広い範囲にわたる効用として、それに限定されないが、以下が挙げられる。過敏性腸疾患(IBS)、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎及びクローン病に対する潜在的可能性がある療法として(例えば、Hedin, C., Whelan K., Lindsay J.O., Evidence for the use of Probiotics and Prebiotics in Inflammatory Bowel Disease: A Review of Clinical Trials, Proceedings of the Nutrition Society 2007, 66, 307-315;及びLeenen C.H., Dielman L.A., Inulin and oligofructose in chronic inflammatory bowel disease, J. Nutr. 2007 137:2572S-2575Sを参照されたい)、特に乳児及び高齢者において、免疫機能を強化するそれらの特性に対して(例えば、Vulevic J., Drakoularakou A., Yaqoob P., Tzortzis G. and Gibson G. R.; Modulation of the fecal microflora profile and immune function by a novel trans-galactooligosaccharide mixture (B-GOS) in healthy elderly volunteers, Am. J. of Cl. Nutr. 2008 88; 1438-1446; Gibson, G.R., McCartney, A.L., Rastall, R.A., Prebiotics and resistance to gastrointestinal infections, Br. J. of Nutr. 2005 93, Suppl. 1, pp.31-34;及びLomax, A.R., Calder, P.C., Prebiotics, immune function, infection and inflammation: a review of the evidence, British Journal of Nutrition 2009, 101, 633-658を参照されたい)、体重減少への支援として(例えば、Cani P.D., Joly E., Horsmans Y., Delzenne N.M., Oligofructose promotes satiety in healthy human: a pilot study, European Journal of Clinical Nutrition 2006 60, 567-572;及びParnell J.A., Reimer R.A., Weight loss during oligofructose supplementation is associated with decreased ghrelin and increased peptide YY in overweight and obese adults, Am. J. Clin. Nutr. 2009;89:1751-9を参照されたい)、及び糖尿病患者における血糖値の調節因子としてである(例えば、Luo J., Yperselle M.V., Rizkalla S.W., Rossi F., Bornet F.R.J., Slama G., Chronic consumption of short-chain fructooligosaccharides does not affect basal hepatic glucose production of insulin resistance in type 2 diabetics, J. Nutr. 2000 130:1572-1577を参照されたい)。研究結果は、幾分混同されているが、これらの繊維を使用することへの関心は依然として強い。それらの有益な効果の結果、このタイプの繊維は、現在、多種多様な繊維質に富む食品、人工栄養乳及びペットフードを補充するのに用いられており、腸の健康を改善するためにプロバイオティクスと組み合わされている。
【0007】
他の非齧歯動物種において僅かな研究しかなされていないが、しかし、一般的に、効果は他の単胃の哺乳類(イヌとネコを含む)に良く移行されているように見える。例えば、Massimino S.P. et al, Fermentable dietary fiber increases GLP-1 secretion and improves glucose homeostasis despite increased intestinal glucose transport capacity in healthy dogs, J. Nutr. 1998 128:1786-1793; Bosch G. et al., The effects of dietary fibre type on satiety-related hormones and voluntary food intake in dogs , British Journal of Nutrition 2009, 102, 318-325; Respondek F. et al., Short-chain fructooligosaccharides influence insulin sensitivity and gene expression of fat tissue in obese dogs, J. Nutr. 2008 138:1712-1718;及びVerbrugghe A. et al., Oligofructose and inulin modulate glucose and amino acid metabolism through propionate production in normal-weight and obese cats, British Journal of Nutrition (2009), 102, 694-702を参照されたい。
【0008】
ペクチンは、ほとんど全ての陸生植物の細胞壁に見いだされる複合多糖類である。その正確な構造は特定の植物、植物の部分及びその成長の段階によって変化し、ペクチンの成分もまた用いられる抽出プロセスによって変化する。ペクチンは、近位消化管で不十分にしか消化されず、かつ遠位腸で腸細菌によって部分的に発酵する可溶性食物線維である。市販のペクチンは多くの供給源から入手可能である。しかし主な生の原料は柑橘類の果皮又はリンゴ絞り滓である傾向がある。ペクチンは、主に食品(例えばジャム、ゼリー及びマーマレード)において、ゲル化剤及び増粘剤として使われる。ペクチンは便粘度を増加させるのに用いられてきた。従来、カオペクテイト(Kaopectate)の鍵となる原料であった。ペクチンは胃内容排出を著しく遅らせ、満腹を改善させることが明らかになっている。ペクチンは、従って、肥満防止薬として提案されてきた。例えば、DiLorenzo C., Williams C.M., Hajnal F., Valenzuela J.E., Pectin delays Gastric Emptying and Increases Satiety in Obese Subjects, Gastroenterology 1988 Vol. 95, No. 5, pp.1211-1215;Sanaka M. et al., Effects of agar and pectin on gastric emptying and post-prandial glycaemic profiles in healthy human volunteers, Clinical and Experimental Pharmacology and Physiology 2007 34, 1151-1155; Schwartz S.E. et al, Sustained pectin ingestion: effect on gastric emptying and glucose tolerance in non-insulin-dependent diabetic patients, Am. J. Clin. Nutr. 1988;48:1413-7;及びTiwary C.M., Ward J.A., Jackson B.A., Effect of Pectin on Satiety in Healthy US Army Adults, Journal of the American College of Nutrition, 1997 Vol. 16, No. 5, 423-428を参照されたい。しかしながら、発表されたデータは混同されていて、いくつかの研究は、体重に対する有益な効果を明らかにしていない。例えば、Howarth N.C. et al., Fermentable and Non-fermentable Fiber Supplements Did Not Alter Hunger, Satiety or Body Weight in a Pilot Study of Men and Women Consuming Self-Selected Diets , J. Nutr. 2003 133:3141-3144を参照されたい。健康な志願者において、ペクチンは、血糖値を有意に低下させることが明らかになった(Holt S., Heading R.C., Carter D.C., Prescott L.F., Tothill P., Effect of gel fibre on gastric emptying and absorption of glucose and paracetamol, The Lancet, March 24, 1979, 636-639)。しかし、2型糖尿病の対象におけるいくつかの研究ではグルコース効果(シュワルツなど)は明らかにされなかった。
【0009】
長鎖脂肪酸は、12〜22個の炭素原子を含むカルボン酸であり、それらのカルボン酸はいろいろな飽和度を有する。このカテゴリーには、それに限定されないが、以下のものが挙げられる。オレイン酸 - 様々な植物性及び動物性製品に存在する、1つのシス二重結合を有する単不飽和の18-炭素カルボン酸;リノール酸 - 2つのシス二重結合を有する多価不飽和18-炭素カルボン酸;エイコサペンタエン酸(EPA、イコサペンタエン酸、ティムノドン酸) - 藻類及び魚類製品に見いだされる、20個の炭素原子と3つのシス二重結合を有するオメガ-3脂肪酸;及びドコサヘキサエン酸(DHA、セルボン酸) - 藻類及び魚類製品に見いだされる22個の炭素原子及び6つのシス二重結合を有するオメガ-3脂肪酸。オレイン酸は、動物及び人において、GLP-1、PYY、GIP及びオキシントモジュリンを含む複数の腸ペプチドの放出を直接刺激することが明らかになった。また、オリーブ油の主要な成分として、地中海料理で見られる、血圧の減少を含む、いくつかの好ましい効果を有すると信じられている。例えば、Anini Y. et al., Comparison of the postprandial release of peptide YY and proglucagon-derived peptides in the rat, Eur. J. Physiol. 1999 438: 299-306; Carr R.D. et al., Incretin and islet hormonal responses to fat and protein ingestion in healthy men, Am., J. Physiol. Endocrinol Metab 2008 295:E779-E784;及びTeres S., et al., Oleic acid content is responsible for the reduction in blood pressure induced by olive oil, PNAS 2008 105(37) 13811-13816を参照されたい。リノール酸もまた、GLP-1の放出を刺激することが明らかになった(Adachi T. et al., Free fatty acids administered into the colon promote the secretion of glucagon-like peptide-1 and insulin, Biochemical and Biophysical Research Communications 2006 340 332-337)。マウスにおいて、共役リノール酸を補給することにより体脂肪が減少することが明らかになったが、しかし、今日までのヒトにおける研究によって、一貫した効果は明らかにならなかった(Terpstra AHM, Effect of conjugated linoleic acid on body composition and plasma lipids in humans: an overview of the literature, Am. J. Clin. Nutr. 2004;79:352-61)。
【0010】
GLP-1は、食物の摂取に反応して腸のL細胞によって分泌されるインクレチンである。GLP-1は、30アミノ酸ホルモン(GLP-17-36、「活性な」GLP-1)として分泌され、それから酵素ジペプチジルペプチダーゼIV (DPP-IV)によって、その「不活性な」形態であるGLP-19-36へと切断される。活性なペプチドは、インスリンのグルコース依存性分泌を刺激することによって、食後の血糖値の調節において重要な役割を果たし、組織中でのグルコースの処理が増加するという結果をもたらす。GLP-1は、またグルカゴンの分泌を抑制し、肝臓のグルコース排出量が減少するという結果を導く。加えて、GLP-1は胃内容排出時間を遅らせかつ小腸運動性を遅くし、食物の吸収を遅らせる。エキセンディン(exendin)-4(39-アミノ酸ペプチド)は、アメリカドクトカゲ、ドクトカゲ属ススペクツムの唾液中で、最初に確認された。エキセンディン-4は、強力なGLP-1模倣化合物として作用する(Neary M.T., Batterham R.I., Gut Hormones: Implications for the Treatment of Obesity, Pharmacology & Therapeutics 124 44-56 2009)。
【0011】
2つのGLP-1模倣化合物が、現在2型糖尿病頬炎(melitis)の治療のために承認されている。エキセナチド(exenatide)(エキセンディン-4、BYETTA、BYDUREON)及びリラグルチド(liraglutide)(VICTOZA)である。両方の薬剤は、糖尿病患者において体重減少をもたらし、そして、リラグルチドは、また肥満した糖尿病にかかっていない患者における体重減少のための薬剤としても可能性を探られている。例えば、Astrup A. et al., Effects of Liraglutide in the Treatment of Obesity: A Randomised, Double-Blind, Placebo-Controlled Study, Lancet 374:1606-16, 2009を参照されたい。このクラスにおける多くの他の化合物が、開発中であり、それらの化合物として、アルビグルチド、リキシセナチド、LY2189265(デュラグルチド)、PF-4856883、ZYD-1、HM11260C(LAPS エキセンディン)及びその他が挙げられる。加えて、GLP-1受容体並びに他の受容体部位で活性を有するいくつかの薬剤が開発中であって、それらの薬剤として、MAR-701(GLP-1及びGIPアゴニスト)、OAP-189、ZP2929、DualAG(GLP-1及びグルカゴンアゴニスト)並びにZP3022(GLP-1及びガストリンアゴニスト)が挙げられる。
【0012】
多くの薬は、市場に出されているもの及び開発中のものの双方で、GLP-1血漿濃度の増大という結果をもたらす機序を有する。これらのタイプの薬のいくつかの例として、次のものが挙げられる。メトホルミンは市場に出されている抗糖尿病性薬剤であり、この薬剤は、GLP-1の循環レベルを増加させることが明らかになった。例えば、Maida A., Lamont B.J., CaoX, Drucker D.J., Metformin regulates the incretin receptor axis via a pathway dependent on peroxisome proliferator-activated receptor-α in mice, Diabetologia 2011 54(2) 339-349及びManucci E. et al., Effect of Meltformin on Glucagon-Like Peptide 1 (GLP-1) and Leptin Levels in Obese Nondiabetic Subjects, Diabetes Care 2001 24:489-494を参照されたい。DPP-IV阻害剤は、現在市場に出されている薬剤としてシタグリプチン及びサキサグリプチンを含む薬のクラスであり、数多くの他の分子が開発中である。DPP-IVクラスの分子は、DPP-IV酵素の作用を阻害し、それによって活性なGLP-1の循環レベルを増加させる。胆汁酸金属イオン封鎖剤は、腸管からの胆汁酸の再吸収を妨げ、GLP-1レベルを上昇させることが明らかになった薬のクラスである。例えば、Shang Q., Saumoy M., Holst J.J., Salen G., Xu G.R., Colesevelam improves insulin resistance in a diet-induced obesity (F-DIO) rat model by increasing the release of GLP-1, American Journal of Physiology-Gastrointestinal and Liver Physiology 2010-298(3): G419-424を参照されたい。市場に出されている胆汁酸金属イオン封鎖剤として、コレスチポール、コレスチラミン(cholestryramine)及びコレセベラムが挙げられる。回腸胆汁酸移動(iBAT)阻害剤は、胆汁酸を腸壁にわたって移動させる能動輸送系に干渉することによって、胆汁酸の再吸収を妨げる薬である。現在開発中のIBAT化合物として、ALBI-3309、AZD-7806、S-8921及びSAR-58304が挙げられる。SGLT-1阻害剤は、SGLT-1酵素を阻害する薬であり、そのことにより腸管内腔の中から外へグルコースを輸送する。吸収されていないグルコースが遠位の腸の中へ移動するにつれて、それはGLP-1のさらなる放出を刺激する。現在開発中のSGLT-1化合物として、DSP-3235(GSK1614235)及びLX-4211が挙げられる。TGR5、GPR39又はGPR40受容体のアゴニズム(agonism)は、GLP-1の増加を引き起こすことがありえる。ムスカリン性アゴニストは、GLP-1の放出を直接刺激する。例えば、Anini Y.及びBrubaker P.L., Muscarinic receptors control glucagon-like peptide 1 secretion by human endocrine L cells, Endocrinology 2003 Jul.;144(7):3244-50を参照されたい。ムスカリン性アンタゴニストもまた、GLP-1レベルを上昇させることが明らかになった。
【0013】
腸の微生物叢の脂質代謝に対する役割に関する議論、Fava F. et al. The Gut Microbiota and Lipid Metabolism: Implications for Human Health and Coronary Heart Disease, Current Medicinal Chemistry, 2006, 13, 3005-3021において、OFSの投与によって見られる心血管利益、並びに食事の中のフラボノイドの潜在的利益が検討されている。併用投与を記載している実験研究は、記載されていない。著者らは、次のように言って部分的に要約している。「これらの微生物活動を理解することは、CHD(冠状動脈性心疾患)及びII型糖尿病の典型である損なわれた脂質代謝及び血管機能障害を妨ぐか又はそれらに有益に影響を与える際の、異なる食事成分の役割を決定することにとって中核をなしている。このアプローチは、健康促進食品の合理的な選択、合理的な目標によって主導された機能性食品の構想のための基礎を置き、これまで見逃されてきた、どのように「健康的である」と認められた食品がヒトのメタボノームに影響を与えるのかということに関する私たち理解に対してダイナミックな本質的事項を提供する。」
Campbell J.M.らは、Campbell J.M. et al., An Enteral Formula Containing Fish Oil, Indigestible Oligosaccharides, Gum Arabic and Antioxidants Affects Plasma and Colonic Phospholipid Fatty Acid and Prostaglandin Profiles in Pigs, J. Nutr. 1997 127:137-145で、ブタに魚油、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、アラビアゴムと酸化防止剤の混合物を与えて、多価不飽和脂肪酸レベルの増加、及び炎症誘発性のプロスタグランジン合成の減少を報告した。治療を受けた動物と治療を受けない動物との間の体重の差は、報告されなかった。
【0014】
Rodriguez-Cabezas M.E.らは、The combination of fructooligosaccharides and resistant starch shows prebiotic additive effects in rats, Clinical Nutrition 2010:29 832-839で、相加的なプレバイオティクスの効果を証明するために、ラットでフルクトオリゴ糖と難消化性デンプンの組合せを用いた。著者らは、「2つの異なる食物線維の組合せに基づく機能性食品は、大腸に沿った異なる発酵性の率によって、相乗効果という結果をもたらす場合があり、このようにして、宿主により大きな健康上の利点を授けるより明白なプレバイオティクス効果をもたらす可能性がある」と、結論する。
【0015】
Cicek B., Arslan P., Kelestimur F.は、The Effects of Oligofructose and Polydextrose on Metabolic control Parameters in Type-2 Diabetes, Pak J. Med. Sci., 2009 25(4) 573-578で、2型糖尿病患者において、オリゴフルクトースとポリデキストロース(FibreCal)の組合せを用いて、グルコース、脂質及び血圧の改善を証明した。個々の成分の効果に対して、比較はなされなかった。
【0016】
Pyra, K.A.は、Prebiotic Fibre Supplementation in Combination With Metformin Modifies Appetite, Energy Metabolism, And Gut Satiety Hormones In Obese Rats, Master's Thesis, University of Calgary, 2010, MR69600, 1-114で、DIOに8週間の研究を行い、その研究は、オリゴフルクトースを単独で補充したもの、メトホルミン単独及びその2つを組み合わせたものを比較した。測定には、体重、摂食、グルコース、インスリン、GLP-1、PYY及び他のホルモンが含まれ、絶食及び経口グルコース負荷試験及び種々の遺伝子発現試験に続いて測定した。いずれかの単一薬剤と比較した場合の併用治療に対する統計的有意性は、(1)GIP(減少した)、(2)肝臓のAMPK-アルファ-2及びSREBP-2発現(両方とも増加した)に対してのみ見いだされた。組み合わせは、体重及びインスリンAUCに関して、メトホルミン単独に類似の効果を示し、グルコースAUCに関して、OFS単独に類似の効果を示した。
【0017】
Hazan A., Madar Z.は、Preparation of a dietary fiber mixture derived from different sources and its metabolic effects in rats, J. Am. Coll. Nutr. 1993 Dec;12(6):661-8で、ラットに、リンゴペクチン、オレンジペクチン、ローカストビーンガム及びトウモロコシの穂軸線維の混合物を用いて、血糖反応、空腹時のコレステロール及びトリグリセリド濃度の減少を証明した。単一薬剤への比較は、なされなかった。
【0018】
Hosobuchiらは、Efficacy of Acacia, Pectin and Guar Gum-Based Fiber Supplementation in the Control of Hypercholesterolemia, Nutrition Research, 1999, Vol.19, No.5, pp.643-619で、アカシア、ペクチン及びグアーガムからなる市販されている製品を、成人に、4週間用いて、治療を受けた対象における、総コレステロール及びLDLコレステロールの改善を報告した。個々の成分の効果に対する比較はなされなかった。
【0019】
Jensen, C.D., Haskell W., Whittam J.H.は、Long-Term Effects of Water-Soluble Dietary Fiber in the Management of Hypercholesterolemia in Healthy Men and Women, Am. J. Cardiol 1997;79;34-37で、中等度に高コレステロール血症の男性と女性に、6ヵ月の間、オオバコ、ペクチン、グアーガム及びローカストビーンガムの混合物を用いて、総コレステロール及びLDLコレステロールレベルの減少を証明した。
【0020】
Hunninhakeらは、中等度の高コレステロール血症の対象に、51週の間、グアーガム、ペクチン、大豆、エンドウとトウモロコシ糠の混合物を用いて、総コレステロール、LDL及びLDL/HDL比率の減少を証明した。
【0021】
Henningsson A.M., Bjorck I.M., Nyman E.M.G.L.は、Combinations of Indigestible Carbohydrates Affect Short-Chain Fatty Acid Formation in the Hindgut of Rats, J. Nutr. 2002 132:3098-3104で、ラットに、グアーガム及びペクチンを、別々に及び混合物として与えて、後腸に生じた短鎖脂肪酸の産生を測定した。彼らは、ペクチンを与えられたラットは盲腸に高い割合の酢酸を有するのに対して、グアーガムを与えられたラットは最も高い割合のプロピオン酸を有することを確認した。組合せて与えられた場合、生じる酪酸の量は、個別の成分を与えられた場合に見られる量の二倍も高かった。著者は、その「消化できない炭水化物の特定の混合物は、酪酸産生細菌を刺激して、結腸の上皮のために潜在的利点を有する」及び「これらの効果がまたヒトにも有効であるかどうか並びにヒトの結腸の上皮に対する生理学的な含意を持つかどうかは、解明されていない」と結論する。
【0022】
欧州特許出願第86103234.0号は、抗コリン作動性薬物と組み合わせてペクチン又はグアーガムを用いて行われた仕事を引用している。多様な製剤が、不定の期間の間、個々の対象に対して投与された。一般的に、体重減少及び胃内容排出の遅延が、これらの対象において観察された。
【0023】
Yarnell J.W.G., Evans A.E.は論説The Mediterranean diet revisited-towards resolving the (French) paradox, Q. J. Med. 2000;93: 783-785で、地中海料理の有益な効果がオリーブ油(オレイン酸が高い)と他の栄養成分の組合せに依っている可能性があると提唱している。彼らは、可能性がある寄与因子として、ワインの中のアントシアニンを特定している。
【0024】
行動修正(すなわち食餌療法と運動)による適度の体重減少(4-10%)により、高血糖、脂質異常血症及び血圧の著しい減少を伴いながら、2型糖尿病が際立って改善され、適度の体重減少が、肝臓及び末梢組織のインスリン抵抗性の著しい改善と関連していたことが、数多くの臨床試験で明らかになった。さらに、研究によって、2型糖尿病を発症するリスクが高いと考えられた患者において、体重減少が、糖尿病の発症を妨げる最も重要な要因であったことが明らかになった。このようにして、GRAS(Generally Recognized As Safe(一般に安全であると承認されている))の組み合わせによって誘発される体重減少は、抗糖尿病活性を促進する可能性がある。例えば、Kelley D.E., Kuller L.H., McKonalis T.M., Harper P., Mancino J., Kalhan S., Effects of Moderate Weight Loss and Orlistat on Insulin Resistance, Regional Adiposity, and Fatty acids in Type 2 Diabetes, Diabetes Care 2004, 27:33-40; Knowler W.C., Barrett-Connor E., Fowler S.E., Hamman R.F., Lachin J.M., Walker E.A., et al., Reduction in the incidence of type 2 diabetes with lifestyle intervention or metformin, N. Engl. J. Med. 2002; 346(6):393-403; Sjostrom C.D., Peltonen M., Wedel H., Sjostrom L., Differentiated long-term effects of intentional weight loss on diabetes and hypertension, Hypertension 36:20-25, 2000; Goldstein D.,Beneficial health effects of modest weight loss, Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord 16:397-415, 1992; Wing R.R., Koeske R., Epstein L.H., Nowalk M.P., Gooding W., Becker D., Long-term effects of modest weight loss in type II diabetic patients, Arch. Intern. Med. 147:1749-1753, 1987;及びAmerican Diabetes Association: Evidence-based nutrition principles and recommendations for the treatment and prevention of diabetes and related complications (Position Statement), Diabetes Care 25 (Suppl. 1):S50-S60, 2002を参照されたい。
【0025】
異常な摂食を含む様々な状態が、腸ペプチドの特定のパターンと関連しており、従って、腸ペプチドレベルを調整する療法から恩恵を受ける可能性があるという証拠は、増加している。これらの状態には、神経性過食症が含まれ、神経性過食性は、グレリンの食後の抑制が減少すること、及びPYYのレベルが減少することと関連しているとして特徴づけられている。このことは、Kojima et al., Altered ghrelin and PYY responses to meals in bulimia nervosa, Clinical Endocrinology, 2005:62:74-78において詳細に述べられている。Mistra M. et al., Elevated peptide YY levels in adolescent girls with anorexia nervosa, J. Clin. Endocrinol Metab 2006;91:1027-33によって特徴づけられているように、神経性食思不振症は、グレリン及びPYYのレベルが増加することと関連している。大食障害を持つ及び持たない肥満した個体は、グレリン及びPYYのレベルが減少していること及び食後のPYY反応が減少していることが、明らかになった。このことは、Monteleone et al., Circulating ghrelin is decreased in non-obese and obese women with binge eating disorder as well as in obese non-binge eating women, but not in patients with bulimia nervosa, Psychoneuroendocrinology 2005;30:243-50及びStock et al., Ghrelin, peptide YY, glucose-dependent insulinotropic polypeptide, and hunger responses to a mixed meal in anorexic, obese, and control female adolescents, J. Clin. Endocrinol Metab. 2005;90:2161-8の文書で裏付けられている。Betterhamらは、Gut hormone PYY3-36 physiologically inhibits food intake, Nature, 2002;418:650-654で、PYYの注入によって、ヒトにおいて摂食が減少し、そのことが、腸ペプチドの調整が、抑制されない食物渇望及び食物嗜癖の治療に役に立つ可能性があることの証拠になることを証明した。GLP-1は、文書で十分に裏付けられた効果を、摂食に対して持っている(Gutzwiller et al., Glucagon-like peptide 1: a potent regulator of food intake in humans, Gut 1999;44:81-86)。オキシントモジュリンもまた有益な効果を証明した(Cohen et al., Oxyntomodulin Suppresses Appetite and Reduces Food Intake in Humans, J. Clin. Endocrinol Metab. 2003;88:4696-4701)。
【0026】
症候性の過度の摂食として、それに限定されないが、プラダーウィリ症候群、バルデービードル症候群が挙げられる。極度の空腹感、高いレベルの摂食、及び肥満によって、これらの症候群は特徴づけられる。Szeらによる、GLP-1模倣化合物に関する最初の仕事、Effects of a Single dose of Exenatide on Appetite, Gut Hormones, and Glucose Homeostasis in Adults with Prader-Willi Syndrome, J. Clin. Endocrinol Metab. 2011;96(8):E1314-1319によって明白に示されるように、これらの症候群は、腸ペプチドの調整から恩恵を受けることができる。
【0027】
Davidsonによって、Cardiovascular Effects of Glucagonlike peptide-1 Agonists, Am., J. Cardiol., 2011;108(supp):33B-41Bで検討されているように、GLP-1-アゴニスト療法は、脂質パラメータの改善をもたらし、総コレステロール及びLDLコレステロール、アポリポ蛋白B並びにトリグリセリドを減少させ、HLDコレステロールを増加させることがこれらの改善として挙げられる。この特許に記載されている4つのカテゴリーの薬剤各々は、脂質プロフィールを改善することが証明されている。従って、これらの薬剤の組み合わせは、脂質異常のための療法として効果があると判明する可能性がある。例として、一般的なOFS及びプレバイオティクスの効果が、Delzenne et al., Oligosaccharides: state of the art, Proceedings of the Nutrition Society, 2003, 62, 177-182,in Kok et al., Insulin, GLP-1, GIP, and IGF-1 as putative mediators of the hypolipemic effect of OFS in rats, Journal of Nutrition 1998 128:1099-1103、及びOoi et al., Cholesterol-lowering effects of probiotics and prebiotics: A review of in vivo and in vitro findings, International Journal of Molecular Sciences, 2010, 11:2499-2522に引用されている。脂質に対するアントシアニンの利点は、Tsuda et al., Regulation of Adipocyte function by anthocyanins; possibility of preventing the metabolic syndrome, J. Agric. Food Chem., 2008, 56, 642-646に引用されている。ペクチンの利点は、Veldman et al., Dietary pectin influences fibrin network structure in hypercholesterolaemic subjects, Thrombosis Research, 1997, 86(3) 183-196に記載されている。欧州食品安全機関が、これらの健康強調表示(health claims)を立証した2011年度科学的意見(EFSA Journal 2011;9(4):2043-2060)において指摘しているように、LDLコレステロール及びトリグリセリドに対する、オレイン酸の利点は良く調査されてきた。
【0028】
Poornimaらによって、Chronic Glucagon-Like Peptide-1 infusion Sustains Left Venitricular Systolic Function and Prolongs Survival in the Spontaneously Hypertensive, Heart Failure-Prone Rat, Circ. Heart Fail 2008;1:153-160で、ラットにおいて証明されたように、並びにNathansonらによって、Effects of intravenous exenatide in type 2 diabetic patients with congestive heart failure: a double-blind, randomized controlled clinical trial of efficacy and safety, Diabetologia, 2012;55(4):926-35で、鬱血性心不全を持つ2型糖尿病患者において証明されたように、GLP-1は、心不全において有益な効果を証明した。心筋梗塞に対する利点は、Lonborgらによって、Exenatide reduces reperfusion injury in patients with ST-segment elevation myocardial infarction, Eur. Heart J., 2012;33(12):1491-9で、並びにReadらによって、A pilot study to assess whether glucagon-like peptide-1 protects the heart from ischemic dysfunction and attenuates stunning after coronary balloon occlusion in humans, Circ. Cardiovasc. Interv., 2011;4(3):266-72で、明らかになった。Pennaらによって, Postconditioning with glucagon like peptide-2 reduces ischemia/reperfusion inuury in isolated rat hearts: role of survival kinases and mitochondrial KATP channels, Basic Res. Cardiol., 2012;107(4)272に記載されているように、GLP-2に関するいくつかの初期の仕事によって、このペプチドは、心臓組織に対して、直接的な有益な効果を有する可能性もあることが含意されている。Pascual-Teresaらによって、Flavanols and Anthocyanins in Cardiovascular Health: A Review of the Current Evidence, Int. J. Mol. Sci., 2010;11:1679-1703で要約されるように、フラボノール及びアントシアニンは、虚血/再灌流損傷からの防御を含む、有益な心血管効果を有することが証明された。Kris-Ethertonによって、AHA Science Advisory: Monosaturated Fatty Acids and Risk of Cardiovascular Disease, Circulation, 1999;100:1253-1258で要約されるように、多様な心疾患に対するオレイン酸の有益な効果は、文書で十分に裏付けられている。本発明の成分は、胆汁酸分泌及び腸の透過性を変える可能性があり、また循環リポ多糖類のレベルを減少させる可能性がある。これにより、血管機能及び心不全が改善される可能性がある(von Haehling et al., Ursodeoxycholic acid in patients with heart failure, J. Am. Coll. Cardiol., 2012;59(6):585-592)。
【0029】
高血圧に対する体重減少の有益な効果に加えて、本発明の成分は、また体重減少に依存しない利点も授けるという証拠がある。GLP-1アゴニストは、血圧を一貫して減少させることが明らかになっている(Okerson, The cardiovascular effects of GLP-1 receptor agonists, Cardiovascular Therapeutics, 2012;30:e146-155)。OFS及び他のプレバイオティクスは、明瞭な抗高血圧効果があることが証明された(Yeo et al., Antihypertensive Properties of Plant-Based Prebiotics, Int. J. of Mol. Sci., 2009;10:3517-3530)。アントシアニンは、血圧を低下させ、血管反応性を改善することが明らかになった(Jennings et al., Higher anthocyanin intake is associated with lower arterial stiffness and central blood pressure in women, Am. J. Clin. Nutr., 2012;96:781-8)。オレイン酸もまた有益な効果を有している(Teres et al., Oleic acid content is responsible for the reduction in blood pressure induced by olive oil, PNAS, 2008:105(37)13811-13816)。
【0030】
Dozzier et al., Glucagon-like Peptide-1 Protects Mesenteric Endothelium from Injury During Inflammation, Peptides, 2009;30(9):1735-1741で証明されたように、GLP-1は血管内皮を保護し、正常な内皮透過性を回復することができることが明らかになった。Fructus Myrtilli, World Health Organization Monographs on Selected Medicinal Plants, Volume 4, 2009:217-220-221に引用されるように、アントシアンを用いる臨床試験によって、様々な末梢循環障害が著しく改善されることが明らかになった。
【0031】
メタボリックシンドロームは、一緒に生ずる場合に、後で糖尿病、心血管疾患及び脳血管疾患にかかるリスクを増加させる医学的状態の組合せである。メタボリックシンドロームの定義は、様々であるが、一般的に、中心性肥満、脂質異常血症、高血圧、空腹時又は食後のグルコースの異常が挙げられる。これらの状態の各々は、上記に個々に扱われており、メタボリックシンドロームの予防及び治療における、治療的な利点に関する証拠を提供している。
【0032】
脂肪又は脂肪性の肝臓疾患治療の基礎となるものは、体重減少であり、体重減少効果を証明する療法はまた、これらの状態への利点を授ける可能性があることが予想される。Petersenらによって、Reversal of Nonalcoholic Hepatic Steatosis, Hepatic Insulin Resistance, and Hyperglycemia by Moderate Weight Reduction in Patients with Type 2 Diabetes, Diabetes, 2005;54(3):603-608で指摘されるように、中等度の体重減少は、非アルコール性の肝臓の脂肪症を逆進させることが明らかになった。GLP-1アゴニスト療法は、肝臓の脂肪症を逆進させることが、明らかになった(Ding et al., Exendin-4, a Glucagon-like Protein-1(GLP-1) Receptor Agonist, Reverses Hepatic Steatosis in ob/ob Mice, Hepatology, 2006;43(1):173-181)。加えて、本発明の個々の成分のいくつかは、肝臓に対して有益な効果を証明することが明らかになった。例として、OFSは、非アルコール性脂肪症のヒトにおいて、肝酵素のレベルを減少させ(Daubioul et al., Effects of oligofructose on glucose and lipid metabolism in patients with nonalcoholic steatohepatitis: results of a pilot study, Eur. J. of Clin. Nut., 2005;59:723-726)、かつラットにおいて肝臓の脂肪症のレベルを減少させる(Daubioul, Dietary oligofructose lessens hepatic steatosis, but does not prevent hypertriglyceridemia in obese Zucker rats, J. Nutr. 2000;130:1314-1319)ことが明らかになった。Guoらによって、Cyanidin 3-glucoside attenuates obesity-associated insulin resistance and hepatic steatosis in high-fat diet-fed and db/db mice via the transcription factor Fox01, J. of Nutr. Biochem. 2012;23:349-360に記載されているように、特定のアントシアニンは、肝臓の脂肪症に対して有益な効果を有することが明らかになった。また、クロフサスグリは、慢性エタノール中毒において、肝臓に対して保護効果を有することが明らかになった(Szachowicz-Petelska et al., Protective Effect of Blackcurrant on Liver Cell Membrane of Rats Intoxicated with Ethanol, J. Membrane Biol., 2012;245(4):191-200)。
【0033】
Drucker et al., Human [Gly2]GLP-2 reduces the severity of colonic injury in a murine model of experimental colitis, Am. J. Physiol. 276(Gastro-intest Liver Physiol. 39), 1999:G79-G91及びCani et al., Changes in gut microbiota control inflammation in obese mice through a mechanism involving GLP-2 driven improvement of gut permeability, Gut, 2009:58:1091-1103で論じられているように、GLP-2は、炎症性腸疾患の症状を改善することが明らかになった。Hedin et al., Evidence for the use of probiotics and prebiotics in inflammatory bowel disease: a review of clinical trials, Proceedings of the Nutrition Society, 2007, 66, 307-315, Joossens et al., Effect of oligofructose-enriched inulin on bacterial composition and disease activity of patients with Crohn's disease: results from a double-blinded randomized controlled trial, Gut, 2012;61(6):958, Leenen et al., Inulin and OFS in Chronic IBD, Journal of Nutrition, 2007;2572S-2575S、及びLomex et al., Prebiotics, immune function, infection and inflammation: a review of the evidence, British Journal of Nutrition, 2009, 101, 633-658に文書で裏付けられているように、プレバイオティクス(OFSを含む)は、様々な炎症性腸疾患に対する効能があることが証明された。ペクチンは、下痢を減少させ、口とのどの痛みを治療し、放射線効果を最小限にし、重金属毒性を妨げ予防し、「良好な消化的健康」を促進すると信じられている(Sriamornsak, Chemistry of Pectin and Its Pharmaceutical Users: A Review, Silpakorn University International Journal 2003;3:206-228)と同時に炎症性腸疾患への有益な効果を証明している(Galvez et al., Effects of dietary fiber on inflammatory bowel disease, Mol. Nutr. Food Res., 2005;49(6):601-608及びRose et al., Influence of Dietary Fiber on Inflammatory Bowel Disease and Colon Cancer: Importance of Fermentation Pattern, Nutr. Rev. 2007;65(2):51-62)。
【0034】
Gibsonらによって、Prebiotics and resistance to gastrointestinal infections, British Journal of Nutrition, 2005;93(supp1):S31-S34で検討されているように、非消化性多糖類(OFSとイヌリンを含む)は、様々な胃腸感染症に対して、治療的及び予防的効果を有することが証明された。Rabbaniらによって、Clinical studies in persistent diarrhea: dietary management with green banana or pectin in Bangladeshi children, Gastroenterology, 2001:121(3)554-60で論じられているように、ペクチンは、長い間、下痢に対する療法として用いられてきた。オレイン酸は、胃腸通過時間を遅くすることにより下痢の治療のための治療的価値を有することが証明された(Lin et al., Slowing of Gastrointestinal Transit by Oleic Acid, Digestive Diseases and Sciences, 2001:46(2):223-229)。
【0035】
腸ペプチドは、免疫介在性障害で役割を果たし、従って、腸ペプチドの放出を増やす療法は有益である可能性があるという証拠は、増加している。加えて、本明細書で検討される4つのカテゴリーの薬剤全てが、有益な免疫系効果を有することが証明された。GLP-1療法は、乾癬の治療において、効能を証明された(Ahern et al., Glucagon-like peptide-1 analogue therapy for psoriasis patients with obesity and type 2 diabetes: a prospective cohort study, JEADV, 2012, DOI:10.1111/j.1468-3038.2012.04609.x、及びDrucker et al., Glucagon-like peptide-1 (GLP-1) receptor agonists, obesity and psoriasis: diabetes meets dermatology, Diabetologia, 2011:54:2741-2744)。GLP-1模倣化合物は、T2D (2型糖尿病)で、ERストレス及びアポトーシスを逆進させることが、明らかになった(Liang et al., Impaired MEK Signaling and SERCA Expression Promote ER Stress and Apoptosis in Insulin-Resistant Macrophages and Are Reversed by Exenatide Treatment, Diabetes, 2012;61(10)2609-20)。GLP-2は、腸の透過性の改善によって、炎症を抑えるのを助ける(Cani et al., Changes in gut microbiota control inflammation in obese mice through a mechanism involving GLP-2 driven improvement of gut permeability, Gut, 2009:58:1091-1103)。OFSは、アトピー性皮膚炎、乾癬及び喘息に対する全身的な効果、並びに食物アレルギーの減少のための可能性を探られた(Lomax et al., Prebiotics, immune function, infection and inflammation: a review of the evidence, British Journal of Nutrition, 2009, 101, 633-658)。クロフサスグリ抽出物は、幅広い酸化防止効果及び抗炎症効果を有することが証明された(Tabart et al., Antioxidant and anti-inflammatory activities of Ribes nigrum extracts, Food Chemistry, 2012;131:1116-1122)。いくつかのタイプのペクチンはまた、特定の抗炎症効果も有することが証明された(Silva et al., Pectin from Passiflora edulis Shows Anti-inflammatory Action as well as Hypoglycemic and Hypotriglyceridemic Properties in Diabetic Rats, J. Med. Food, 2011; 14(10):118-1126及びYe et al., Dietary Pectin Regulates the Levels of Inflammatory Cytokines and Immunoglobulins in Interleukin-10 Knockout Mice, J. Agric. Food Chem., 2010;58:11281-11286)、また、Carilloらによって、Role of oleic acid in immune system: mechanism of action; a review, Nutr. Hosp., 2012;27(4)978-990で要約されるように、オレイン酸の抗炎症効果は、文書で、非常に良く、十分に裏付けられている。腸の炎症過程と1型糖尿病のリスクとの間の関連は、現在活発に探究されている(Vaarala, Is the origin of type 1 diabetes in the gut?, Immunology and Cell Biology, 2012:90(3):271-6)。
【0036】
骨の恒常性を調節する際に、腸ペプチドが果たす重要な役割についての認識は増加しており、従って、腸ペプチドを調整する療法は、骨に対して有益な効果を有する可能性がある。Walshらは、Feeding and bone (Archives of Biochemistry and Biophysics 2010, 1:503(1), 11-9)で、骨の健康における腸ペプチドの役割を強調し、GIPは、骨芽細胞の数及び活性を増加させ、PTHによって誘発される破骨細胞活性化(潜在的に効果を維持するために拍動送達を必要とする)を妨げること、GLP-1は、正常なラットにおいて、骨形成を増加させること、及びGLP-2は、閉経後女性において、投与量依存的な方法で、骨吸収を、著しく及び急激に減少させることが証明されたことを指摘した。Nuche-Berenguerらは、GLP-1及びエキセンディン-4は、ラットにおいて、過脂質に関係のある骨減少を逆進させることができることを証明し(GLP-1 and exendin-4 can reverse hyperlipidic-related osteopenia, J. of Endocrinology, 2011;209:203-210)、また、臨床研究が、ヒトにおける骨に対するエキセンディン-4の効果を評価するために進行中である(Clinical Trials. gov. Identifier NCT01381926)。OFSは、とりわけ陽イオン吸収を改善することが明らかになった(Delzenne, Oligosaccharides: state of the art, Proceedings of the Nutrition Society, 2003, 62, 177-182)。また、卵巣切除されたラットにおいて、OFSは、骨粗鬆症を予防する(Scholz-Ahrens, Effect of OFS or dietary Ca on repeated Ca and P balances, bone mineralization and trabecular structure in ovariectomized rats British Journal of Nutrition, 2002, 88, 365-377)。青年において、OFSは、カルシウムの吸収を改善し、そのことは、骨石灰化を支持する(Van den Heuvel et al., Oligofructose stimulates calcium absorption in adolescents, Am. J. Clin. Nutr., 1999, 69, 544-8)。アントシアニンとフラボノイドの摂取は、女性における骨密度と明らかに関連している(Welch et al., Habitual flavonoid intakes are positively associated with bone mineral density in women, J. Bone Miner. Res., 2012:27(9):1872-8)。
【0037】
Salcedoらによって、Neuroprotective and neurotrophic actions of glucagon-like peptide-1: an emerging opportunity to treat neurodegenerative and cerebrovascular disorders, Br. J. Pharmacol., 2012;166(5):1586-99で要約されるように、GLP-1は、ニューロン細胞増殖を刺激し、シナプス可塑性及び記憶形成を強化し、神経保護をもたらし、神経運動障害を低下させることによって、神経変性疾患のモデルにおいて有益であることが、明らかになった。加えて、Vossらによって、Glucagon-like peptides 1 and 2 and vasoactive intestinal peptide are neuroprotective on cultured and mast cell co-cultured rat myenteric neurons, BMC Gastroenterology 2012:1:12-30に引用されるように、GLP-2は、神経保護の効果を有することが明らかになった。Tarozzi et al., Neuroprotective effects of anthocyanins and their in vivo metabolites in SH-SY5Y cells, Neurosci. Lett., 2007;424(1)36-40によって証明されたように、またRamassamyによって、Emerging role of polyphenolic compounds in the treatment of neurodegenerative diseases: A review of their intracellular targets, European Journal of Pharmacology, 2006;545:51-64で検討されているように、アントシアニンは、神経保護の効果を有することが明らかになった。
【0038】
Mclntyreらによって、The neuroprotective effects of GLP-1: Possible treatment for cognitive disorders, Behav. Brain Res., 2012;237C:164-171で検討されているように、その神経保護の効果のため、GLP-1は、双極性障害及び大うつ病性障害を含む様々な障害のための潜在的に有効な療法であるという主張がなされてきた。Painsippらによって、The gut-mood axis: a novel role of the gut hormone peptide YY on emotional-affective behavior in mice, BMC Pharmacology, 2009(supp. 2):A13で証明されたように、PYYは、気分に直接効果を及ぼすことが明らかになり、PYYを削除することにより、不安及び抑うつに関係のある行動が強化される。アントシアニンは、モノアミンオキシダーゼを阻害することが明らかになっており、そのことによって、アントシアニンを、うつ病、不安及び気分障害のための潜在的療法として使用することが支持される(Dreisitel et al., Berry anthocyanins and their aglycones inhibit monoamine oxidases A and B, Pharmacol. Res., 2009;59(5):306-11)。食事でのオレイン酸摂取とうつ病のリスクのと間の相反関係は、女性において確認されている(Wolfe et al., Dietary linoleic and oleic fatty acids in relation to severe depressed mood: 10 years follow-up of a national cohort, Prog Neuropsychopharmacol. Biol. Psychiatry, 2009;33(6):972-7)。
【0039】
PYYは、膵臓がん細胞、食道がん細胞及び乳がん細胞の増殖を阻害することが、明らかになった(Vona-Davis et al.,PYY and the pancreas: inhibition of tumor growth and inflammation, Peptides, 2007;28:334-338)。イヌリン型フルクタン(OFS)は、肝臓で、がん細胞の増殖を減少させる(Bindels et al.,Gut microbiota-derived proprionate reduces cancer cell proliferation in the liver, British Journal of Cancer, 2012:1-8)。イヌリン及びOFSは、様々ながん型に対する抗がん効果を有し、標準的な化学療法剤の活性を増加させることが証明された(Taper et al.,Inulin/oligoructose and anti-cancer therapy, British Journal of Nutrition, 2002;87(Supp. 2):S283-S286)。ペクチンは、前立腺がんにおいて、有益な効果を有することが明らかになった(Jackson et al.,Pectin induces aptoptosis in human prostate cancer cells: correlation of apoptotic function with pectin structure, Glycobiology, 2007;17(8):805-819)。アントシアニンは、がんの予防に強い効果を有することが証明された(Wang et al., Anthocyanins and their role in cancer prevention Cancer Lett., 2008;269(2):281-290)。
【0040】
Diamondらによって、It takes guts to grow a brain, Bioessays 2011;33:588-591で、Kootteらによって、The therapeutic potential of manipulating gut microbiota in obesity and type 2 diabetes mellitus, Diabetes, Obesity and Metabolism, 2012:14:112-120で、Bravoらによって、Ingestion of Lactobacillus strain regulates emotional behavior and central GABA receptor expression in a mouse via the vagus nerve, PNAS, 2011:108(39)16050-16055で、及びClementeらによって、The Impact of the Gut Microbiota on Human Health: An Integrative View, Cell, 2012:148:1258-1270で検討されているように、腸の微生物叢の調整が、広範囲にわたる疾患に対して、有益な効果を有する可能性があるという証拠は、増加している。本発明の成分のいくつかは、腸管内菌叢の構成の変化をもたらし、従って、これらの状態において治療的に有益である可能性がある。
【0041】
Salcedoらによって、Neuroprotective and neurotrophic actions of glucagon-like peptide-1: an emerging opportunity to treat neurodegenerative and cerebrovascular disorders, Br. J. Pharmacol., 2012;166(5):1586-99で指摘されるように、GLP-1は、その一般的な神経保護の効果のために予期されるように、網膜変性に対して有益な効果を有することが明らかになった。Fructus Myrtilli, World Health Organization Monographs on Selected Medicinal Plants, Volume 4, 2009:217-220で要約されるように、アントシアニンは、眼の健康に、数多くの利点を授けることが明らかになり、これらの利点として、白内障、緑内障、糖尿病網膜症、近視及び夜間視力の改善に対する有益な効果が挙げられる。
【0042】
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS): PCOSはインスリン抵抗性及び高インスリン血症と関連しており、療法は、メトホルミンなどの薬剤で、インスリン抵抗性を減少させること又はインスリン感受性を増加させることを目標としてきた。Svendsen et al.(Incretin hormone secretion in women with polycystic ovary syndrome: roles of obesity, insulin sensitivity, and treatment with metformin, Metabolism, 2009:58(5):586-93)は、メトホルミンで治療されたPCOSの患者におけるGIP及びGLP-1の変化を文書で裏付けており、著者らは、この機序が、少なくとも部分的に治療反応の原因であると結論する。従って、インスリン抵抗性及びインクレチンレベルを変える療法は、有益であると判明する可能性がある。
【0043】
Fructus Myrtilli, World Health Organization Monographs on Selected Medicinal Plants, Volume 4, 2009:220に引用されるように、アントシアニンは、月経前症候及び月経困難症候に著しい改善をもたらすことが、明らかになった。
【発明の概要】
【0044】
簡潔に言えば、一態様において、本発明は、ペクチンとアントシアニンとを含む組成物を開示する。
【0045】
簡潔に言えば、別の態様において、本発明は、ペクチンと長鎖脂肪酸とを含む組成物を開示する。
【0046】
簡潔に言えば、別の態様において、本発明は、アントシアニンとオリゴ糖とを含む組成物を開示する。
【0047】
簡潔に言えば、別の態様において、本発明は、単胃の哺乳類において糖尿病又は肥満の治療方法であって、ペクチン、アントシアニン、長鎖脂肪酸及びオリゴ糖を投与することを含む方法を開示する。
【0048】
簡潔に言えば、別の態様において、本発明は、単胃の哺乳類において糖尿病又は肥満の治療方法であって、GLP-1、GLP-1模倣化合物又はGLP-1血漿濃度を増加させる薬を投与することと、ペクチンを投与することとを含む方法を開示する。
【0049】
簡潔に言えば、別の態様において、本発明は、単胃の哺乳類において糖尿病又は肥満の治療方法であって、GLP-1、GLP-1模倣化合物又はGLP-1血漿濃度を増加させる薬を投与することと、アントシアニンを投与することと、オリゴ糖を投与することとを含む方法を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0050】
上記の概要に記載された本発明の組成物は、次の成分のうちの2つを含有する:ペクチン、アントシアニン、長鎖脂肪酸又はオリゴ糖。本発明の他の実施形態は、4つの成分のうちのさらにもう一つを含む上記組成物である。例えば、本発明の他の実施形態は次のものである:
- アントシアニン、オリゴ糖及びペクチンを含む組成物。
【0051】
- アントシアニン、オリゴ糖及び長鎖脂肪酸を含む組成物。
【0052】
- アントシアニン、ペクチン及び長鎖脂肪酸を含む組成物。
【0053】
- オリゴ糖、ペクチン及び長鎖脂肪酸を含む組成物。
【0054】
本発明の組成物の別の実施形態は、ペクチン、アントシアニン、長鎖脂肪酸及びオリゴ糖を含む組成物である。
【0055】
上記の概要に記載された本発明の方法は、単胃の哺乳類において糖尿病又は肥満の治療方法であって、ペクチン、アントシアニン、長鎖脂肪酸及びオリゴ糖を投与することを含む方法である。この方法は、任意選択により、GLP-1、GLP-1模倣化合物又はGLP-1血漿濃度を増加させる薬を併用投与することを含むことができる。
【0056】
上記の概要に記載された本発明の方法は、単胃の哺乳類において糖尿病又は肥満の治療方法であって、GLP-1、GLP-1模倣化合物又はGLP-1血漿濃度を増加させる薬を投与することと、ペクチンを投与することとを含む方法である。この方法は、任意選択により、1つ以上の他の成分(アントシアニン、オリゴ糖又は長鎖脂肪酸)を投与することをさらに含むことができる。例えば、本発明の他の実施形態は、GLP-1、GLP-1模倣化合物又はGLP-1血漿濃度を増加させる薬を投与することと、ペクチンを投与することと、
- アントシアニンを投与すること、
- アントシアニンを投与することと、オリゴ糖を投与すること、
- 長鎖脂肪酸を投与すること、
- 長鎖脂肪酸を投与することとアントシアニンを投与すること、又は
- 長鎖脂肪酸を投与することとオリゴ糖を投与すること
を含む。
【0057】
上記の概要に記載された本発明の方法は、単胃の哺乳類において糖尿病又は肥満の治療方法であって、GLP-1、GLP-1模倣化合物又はGLP-1血漿濃度を増加させる薬を投与することと、アントシアニンを投与することと、オリゴ糖を投与することとを含む。この方法は、任意選択により、長鎖脂肪酸を投与することをさらに含むことができる。
【0058】
この発明の組成物及び方法において、アントシアニンの例は、クロフサスグリ抽出物(「BCE」)である。
【0059】
本発明の組成物及び方法において、オリゴ糖の例は、オリゴフルクトースである。
【0060】
本発明の組成物及び方法において、ペクチンの例は、リンゴに由来するペクチンである。
【0061】
本発明の組成物及び方法において、長鎖脂肪酸の例は、オレイン酸である。
【0062】
本発明の方法において、GLP-1模倣化合物の例は、エキセンディン-4 AlbudAbである。
【0063】
本発明の方法の一実施形態において、方法は、糖尿病の治療方法である。本発明の方法の別の実施形態において、方法は、肥満の治療方法である。
【0064】
本発明の方法において、単胃の哺乳類の例は、ヒトである。
【0065】
この発明の組成物は、経口的に投与されることが好ましい。本発明の製剤が、いくつかのタイプの担体を含有すると予期される。ヒトに対する投与量が1日当たり約10〜約40グラムであるとさらに予期される。1日あたり10〜40グラムによって、4つのタイプの成分(アントシアニン、オリゴ糖、ペクチン、長鎖脂肪酸)のいずれかの、1日当たりの総量が意味される。例えば、患者が1日当たり5グラムのOFS、1日当たり5グラムのペクチン、1日当たり3グラムのオレイン酸及び1日当たり2グラムのBCEを与えられることになっている場合、その患者のための投与量は1日当たり15グラムになる。
【0066】
この発明の組成物は、4つのタイプの成分(アントシアニン、オリゴ糖、ペクチン、長鎖脂肪酸)の2つ以上を含む。最少量で存在する成分は、最も多い成分の少なくとも10重量%で存在することが好ましく、最も多い成分の少なくとも20重量%で存在することがより好ましい。
【0067】
本発明の好ましい組成物は、BCE、OFS、リンゴペクチン及びオレイン酸を含む。この組成物において、組成物中のOFSの量は、組成物中のリンゴペクチン量の80%〜120重量%であることが好ましい。この組成物において、組成物中のBCEの量は、組成物中のペクチン量の20%〜60重量%であることが好ましい。この組成物において、組成物中のオレイン酸の量は、組成物中のペクチン量の40%〜80重量%であることが好ましい。
【0068】
2型糖尿病の治療及び/又は予防に利点をもたらすものと同じ機序により、本発明は、インスリン抵抗性症候群、妊娠糖尿病、グルコース不耐性及び空腹時血糖異常のための療法として役立つことができる。
【0069】
腸ペプチドレベルの調整のため及び/又は本発明の1つ以上の成分によって授けられる直接的な治療の利点の証拠があるため、本発明は、追加の治療的領域において利点をもたらすことができ、その幾つかが下記に列挙されている。
【0070】
- 大食、摂食障害、抑制されない食物渇望、食物嗜癖を含むが、それに限定されない、非症候性の異常な摂食;
- プラダーウィリ症候群、バルデービードル症候群を含むが、それに限定されない、症候性の過度の摂食;
- 空腹時及び食後の脂質異常血症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症を含むが、それに限定されない、脂質異常血症;
- 心不全と心筋梗塞;
- 高血圧;
- 末梢動脈血管疾患、静脈瘤、毛細管拡張症、末梢血管不全及び糖尿病誘発性末梢浮腫を含むが、それに限定されない、末梢循環障害;
- メタボリックシンドローム;
- 肝臓の脂肪症、非アルコール性脂肪肝性疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肝臓の線維症、肝不全、アルコール性肝臓疾患と肝移植後療法を含むが、それに限定されない、肝臓疾患;
- 過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、短腸症候群、便秘、炎症性腸疾患、セリアック病を含むが、それに限定されない、胃腸障害;
- 抗生物質投与後の大腸炎を含むが、それに限定されない、感染性下痢と感染後の下痢症候群;
- セリアック病、喘息、乾癬、湿疹、関節リウマチ、強直性脊椎炎、1型糖尿病及び成人の潜在性自己免疫性糖尿病を含むが、それに限定されない、免疫介在性障害;
- 骨石灰化障害、骨粗鬆症及び骨減少;
- パーキンソン症候群、アルツハイマー病、心的外傷後症候群、ハンチントン舞踏病、筋委縮性側索硬化症、脳血管障害後回復を含むが、それに限定されない、神経変性疾患;
- うつ病、統合失調症、双極性障害、気分障害、不安障害を含むが、それに限定されない、精神障害;
- がんの治療と予防;
- 肥満、2型糖尿病、1型糖尿病、免疫介在性疾患、神経発生的疾患、がん、喘息及び呼吸状態、胃腸障害、認識並びに情動行動を含むが、それに限定されない、腸管内菌叢の調整によって恩恵を受ける可能性がある疾患と状態;
- 黄斑変性、網膜変性、白内障、緑内障、糖尿病網膜症、近視、眼の炎症性疾患、老眼及び夜間視力を改善する療法を含むが、それに限定されない、眼の疾患;
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS);
- 月経前症候群及び月経困難。
【実施例】
【0071】
アントシアニン(BCE)、オリゴ糖(OFS)、ペクチン(リンゴペクチン)及び長鎖脂肪酸(オレイン酸)の一つ以上を含む種々の組成物を評価した。これらの成分の各々は、普通食中に、少量で見出され、かつ各々は、食品成分として使用されるためのGRAS(Generally Recognized As Safe(一般に安全であると承認されている))状態を有する。全ての組合せは、エキセンディン-4 AlbudAb(GLP-1模倣化合物)の併用投与を伴った場合と伴わない場合の双方で評価された。4つのタイプの成分があるため、4つのタイプの成分のうち1つ以上のものの、全部で15の組み合わせに対して、4つのシングル、6つのペア、4つのトリプレット、及び1つの4つ全てが含まれる組み合わせがある。これらの組成物のいくつかを、食事性肥満(DIO)マウス(肥満のモデル)又はdb/dbマウス(糖尿病のモデル)に、GLP-1模倣化合物(例えばエキセンディン-4 AlbudAb)などの薬と共に、一緒に投与した場合に、観察される体重減少及び/又はグルコース低下が、個々のGRAS成分で見られる効果の合計をはるかに超えることが、次の実施例で証明される。
【0072】
次の実験では、BCEは、Cyvex Nutrition、Irvine、CA(lot # 1734-018)から購入された。OFSは、Beneo Inc.、Morris Plains、NJ(lot # PCRNX9BNX9)から購入された。リンゴペクチンは、Herbstreith&Fox、Elmsford、NY(Classic AU201 USP lot 01104302)から購入された。オレイン酸は、Sigma、St. Louis、MO(lot # MKBD0534V)から購入された。また、Nutellaは、Ferrero、Somerset、NJ(lot # 34RT236B3及び37R258C3)から購入された。
【0073】
次の実験では、併用投与のために使われるGLP-1模倣化合物は、エキセンディン-4 AlbudAb(長時間作用性GLP-1模倣化合物)であった。この分子は、現在入手できる市場に出されている薬剤と比較した場合に、齧歯類の種おいて長期の半減期を有するため、GLP-1クラスの代表として用いられてきた。エキセンディン-4 AlbudAbは、抗体の軽鎖の可変ドメインに遺伝的に融合するエキセンディン-4からなる組換え型の融合タンパク質である。エキセンディン-4は、現在エキセナチドとして市場に出されている。AlbudAbは、ヒト血清アルブミンと結合する、小さい(約14kDa)ヒト抗体軽鎖可変ドメインからなるドメイン抗体である。皮下注射の後、分子のAlbudAb部分は内因性アルブミンと結合して、半減期(t1/2)の著しい増加を招く。齧歯類において、AlbudAbsは、未修飾の対応するペプチドの4〜6時間の半減期と比較して、半減期t1/2=20〜40時間を有する。AlbudAbは、会社であるグラクソスミスクライングループの商標である。エキセンディン-4-albudAbは、媒体(20mMのクエン酸ナトリウム+100mMのNaCl)に、アリコートで、pH 6.2及び-70℃で凍らせて、希釈させることによって調製した。投薬の各日に、アリコートは投薬の直前に解凍されて、氷上に保持された。
【0074】
慢性的肥満への効能研究:
雄の食事性肥満の(DIO)C57BL/6のマウス(40-50gの体重)と痩せたC57BL/6のマウス(Taconic、Hudson、NY)が、慢性的肥満の効能研究のために用いられた。DIOマウスは、グループにされて収容され、離乳の時から、売り主によって高脂肪食事(kcalで60%の脂肪)を与えられた。グラクソスミスクラインリサーチトライアングルパーク施設で受け取られるとすぐに、全てのマウスは単独で収容されて、かつ12時間の明暗周期(午前5時00分から午後5時00分まで明かりがつけられた)で、一定温度(およそ22℃)に維持された。マウスは、自由に食物(DIOマウスのためのResearch Diets D12451、45 kcal%の脂肪;痩せたマウスのためのLab Diet 5001、13.5 kcal%の脂肪)及び水を得ることができた。全ての動物実験計画は、リサーチトライアングルパーク、NCでのグラクソスミスクラインの組織の動物飼育と使用の委員会の承認を得た。
【0075】
BCE、OFS、ペクチン、オレイン酸及びNutellaを含有する固形飼料を、泡立て器が取付けられているホーバートミキサーで混合することによって調製し、用いるまで4℃で貯蔵した。固形飼料を、ワイヤメッシュカラム挿入物(Unifab Corp., Kalamazoo, Ml)を用いて、ガラスジャーでマウスに与えた。
【0076】
DIO C57BL/6のマウス及び年齢が一致した痩せた対照を、本研究の開始の前に、およそ4週の間住居に慣らした。マウスを、類似した平均体重の処置グループに無作為化に分配した。マウスをResearch Diets D12451食事固形飼料中の25%Nutella(w/w)に5日間の間順応させ、その次に、D12451固形飼料中の25%Nutella中の2%w/w BCE、5%w/w OFS、5%w/wペクチン、3%w/wオレイン酸を、単独で及び2つ、3つ及び4つの全ての組合せで、34日間の間(-7日目から始まる)与えた。その次に、全ての組合せはエキセンディン-4-albudAbの併用処置を伴って及び伴わないで評価された。多様な処置が、下記の表1に要約されている。固形飼料は、およそ毎週取り替えられた。
【表1】
【0077】
-1日目に、ストレスへの対処にマウスを順応させるために、マウスに媒体を皮下投薬した。エキセンディン-4 AlbudAb溶液を、26日の期間にわたって(0〜26日目;14回の投薬)、5ml/kgの投与量容量で、午後2時〜4時の間、1日おきに(e.o.d.)、皮下投薬した。エキセンディン-4 AlbudAbを与えられていないマウスには、媒体を投薬した。
【0078】
25%Nutella固形飼料のベースライン消費は、5日の順応期間(-12〜-7日目)の間に確立した;日々の摂食測定は、-7日目から始めて、平日に行われた。体重(BW)は、本研究の継続期間の間、-7日目に、その次には3〜4日ごとに測定された。24日目に、身体組成を、定量的磁気共鳴(QMR)を用いて測定した。27日目に、エキセンディン-4 AlbudAbの最後の投薬のおよそ19時間後に、全ての血液サンプルを、イソフルラン麻酔下のもとで、採取して、血清と血漿に加工処理した。血清を、臨床化学パラメータ(例えばグルコースなど)を評価するのに用いた。
【0079】
表2は、多様な組合せで見られる体重減少データの範囲を要約して、GLP-1併用投与で達成される変動率及び効能を強調する。
【表2】
【0080】
表2のデータは、GLP-1模倣化合物の併用投与を伴った(グループ18〜21)又は伴わない(グループ2〜5)単一薬剤の大部分が、媒体と比較して、体重に対する効果をほとんど持たないか全く持たないことを明らかにしている。GLP-1模倣化合物の併用投与を伴わない単一薬剤の間で、オレイン酸(グループ5)だけは、媒体と比較して、統計的に有意な体重減少があった。GLP-1模倣化合物の併用投与を伴った単一薬剤の間で、ペクチン(グループ19)だけが、ペクチン単独の場合及びGLP-1模倣化合物単独の場合と比較して、予想外の体重減少があった。加えて、GLP-1模倣化合物も、媒体と比較して統計的に有意な体重減少があった。GLP-1模倣化合物の場合、多様な成分が組み合わせられるか又は併用投与されるため、単独の場合にパーフォーマンスが良いいくつかの薬剤は、併用投与された場合に拮抗的であることがわかり、体重に対して正味の効果を持たないという結果をもたらした。他の薬剤は、極めて良く一緒に対になり、個々の薬剤の相加効果を有意に超えた体重減少を証明した。
【0081】
GLP-1模倣化合物の併用投与を伴った(グループ22〜27)又は伴わない(グループ6〜11)6つのペアを見ると、3つのペアだけが(その各々が、GLP-1模倣化合物の併用投与を伴っている)、それらの個々の成分単独の場合とGLP-1模倣化合物単独の場合と比較して、予想外の体重減少があった。これらの3つのペアは、BCE+ペクチン(グループ22)、BCE+オレイン酸(グループ23)及びペクチン+オレイン酸(グループ27)である。
【0082】
GLP-1模倣化合物の併用投与を伴った(グループ28〜31)又は伴わない(グループ12〜15)4つのトリプレットを見ると、GLP-1模倣化合物が併用投与されたトリプレットだけが、それらの個々の成分単独の場合とGLP-1模倣化合物単独の場合と比較して、予想外の体重減少があった。
【0083】
GLP-1模倣化合物の併用投与を伴った(グループ32)場合又は伴わない(グループ16)場合の双方における、4つの成分各々の例を含んでいる組成物は、個々の成分単独の場合とGLP-1模倣化合物単独の場合と比較して、予想外の体重減少があった。OFS、ペクチン、BCE及びオレイン酸の組み合わせ(グループ16)は、26日で-11.8%の体重減少という結果をもたらし、OFS、ペクチン、BCE及びオレイン酸が単独で投与された場合に基づいて予期されるものをはるかに上回った(それぞれ、0%、0.2%、-2.2%及び-4.3%であって、予測される相加的な体重減少は-6.3%であり、-5.5%分、体重減少>相加性という結果となった;P<0.05である)。エキセンディン-4 AlbudAbと組み合わせてOFS、ペクチン、BCE及びオレイン酸を含むグループ32(体重減少のためのED20投与量;0.03mg/kg)は、26日で-27.1%の体重減少という結果をもたらし、エキセンディン-4 AlbudAb、OFS、ペクチン、BCE及びオレイン酸が単独で投与された場合に基づいて予期されるものをはるかに上回った(それぞれ、-4.2%、0%、0.2%、-2.2%及び-4.3%であって、予測される相加的な体重減少は-10.5%であり、-16.6%分、体重減少>相加性という結果となった;P<0.05である)。
【0084】
要約すると、グループ16、19、22、23、27、28、29、30、31及び32の組成物は各々、体重減少に関して予想外の結果があった。さらにまた、グループ32の処置は、痩せた対照値への体重、身体組成及び臨床化学パラメータ(例えばグルコース、コレステロール、トリグリセリド、AST、ALT)の正常化という結果をもたらした。加えて、グループ19、22、23、27、28、29、30及び31は、また体重減少に釣り合った身体組成及び多様な臨床化学パラメータ(例えば、グルコース、コレステロール、トリグリセリド、AST及び/又はALTのいずれかのいろいろな変化)の統計的に有意な減少という結果をもたらした。
【0085】
慢性糖尿病への効能研究:
dB/dBマウス(B6.Cg-m +/+ Lepr dB/J)、(40-50gの体重)及び年齢が一致した対照は、本研究の開始の前に、およそ4週の間住居に慣らした。体重及び身体組成を測定して、マウスは、類似した平均%体脂肪及び平均体重の処置グループに無作為化に分配した。
【0086】
マウスをLab Diet固形飼料5K67食事固形飼料(16 kcal%の脂肪)中の25%Nutella(w/w)に11日間の間順応させ、その次に、25%Nutella 5K67固形飼料中の1.3%w/w BCE、3.3%w/w OFS、3.3%w/wペクチン及び2%w/wオレイン酸を与えた。-1日目に、ストレスへの対処にマウスを順応させるために、マウスに媒体を皮下投薬した。エキセンディン-4 AlbudAb融合を、15日の期間にわたって(0〜14日目;8回の投薬)、5ml/kgの投与量容量で、午後2時〜4時の間、一日おきに(e.o.d.)、皮下投薬した。エキセンディン-4 AlbudAbを与えられていないマウスには、媒体を投薬した。
【0087】
25%Nutella固形飼料のベースライン消費は、11日の順応期間(-18〜-7日目)の間に確立された;日々の摂食測定は、-7日目から始めて、平日に行われた。体重は、本研究の継続期間の間、-7日目に、その次には3〜4日ごとに測定された。14日目に、身体組成を、定量的磁気共鳴(QMR)を用いて測定した。15日目に、エキセンディン-4 AlbudAbの最後の投薬のおよそ19時間後に、全ての血液サンプルを、イソフルラン麻酔下のもとで、採取して、血清と血漿に加工処理した。%HbA1cを決定するために、全ての血液を用いた。血清を、臨床化学パラメータ(例えばグルコースなど)を評価するのに用いた。
【0088】
dB/dBマウスにおいて、OFS、ペクチン、BCE、オレイン酸及びエキセンディン-4 AlbudAb(ED20投薬)を組み合わせて、14日の投与をすることにより、媒体の対照と比べてグルコース(Δ-217mg/dL;p<0.001)及びHbA1cレベル(Δ-1.2%;p<0.001)を有意に減少した。さらに、組み合わせによる、グルコース(-217mg/dL vs. -142mg/dLの予期される相加性)及びHbA1c(-1.2% vs. -0.7%の予期される相加性)の減少は、各成分の予期される合計よりも多い。db/dbマウスにおいて、体重減少/体重増加の抑制は、OFS、ペクチン、BCE、オレイン酸及びエキセンディン-4 AlbudAbの組み合わせに関して相加したものよりも多かった(-7.4% vs. -3.8%の予期される相加性;p<0.05)。db/dbマウスにおける組合せは、トリグリセリド(媒体からΔ-53%;p<0.05)及びコレステロール(媒体からΔ-34%;p<0.05)などの脂質パラメータ並びにアラニンアミノトランスフェラーゼなどの肝酵素(媒体からΔ-48%;p<0.05)に、統計的に有意な変化という結果をもたらす。
【0089】
別のGLP-1模倣化合物(リラグルチド)を例示する慢性的肥満への効能研究:
体重を減少させ、代謝パラメータを改善する際に、別の長時間作用性GLP-1類似体(liraglutide)と組み合わせたOFS、ペクチン、BCE、オレイン酸の効能を調査するために、エキセンディン-4 albudAbについて以前に記載したのと同じように、DIO C57BL/6マウスにおいて、慢性的(20日)in vivo効能研究がなされた。リラグルチド(Victoza)は、2型糖尿病の治療のために開発された、GLP-1受容体アゴニストと分類された、ヒトGLP-1の類似体である。リラグルチドによる治療は、糖尿病の対象において、HbA1cの臨床的に関連性のある低下と共に投与量依存的体重減少という結果をもたらす。
【0090】
DIO C57BL/6マウスにおいて、固形飼料中のBCE1.7%w/w、OFS3.3%w/w、ペクチン3.3%w/w及びオレイン酸2%w/w並びにリラグルチド(0.02mg/kg、体重減少のためのED20)皮下投薬;n=8/グループ)を組み合わせて20日投与することにより、BCE、OFS、ペクチン及びオレイン酸とエキセンディン-4 AlbudAbの組み合わせによって得られる相加的な体重減少よりも予想外に多い傾向にある体重減少がもたらされた。この研究において、マウスは、最初に6日間リラグルチドで処置され、続いて15日間OFS、ペクチン、BCE、オレイン酸との組み合わせで処置された(全体で20日)。15日間OFS、ペクチン、BCE、オレイン酸で処置されたマウスは、-10.6%の体重減少になった。20日間のリラグルチドだけでの処置により、-5.4%の最終的な体重減少という結果がもたらされる一方、OFS、ペクチン、BCE、オレイン酸+リラグルチドで処置されたラットは、-20.1%減らし、-16.0%の予測される相加性を超えた。体重減少の変化の量に相関したエキセンディン-4 AlbudAbの組合せで見られたように、身体組成、血清化学及びホルモン被検体における類似の変化は、リラグルチド+OFS、ペクチン、BCE、オレイン酸の組合せで観察された。
【国際調査報告】