(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
本発明は、咳、特に特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳およびウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、ならびに胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスおよび感染(例えば百日咳)などの障害に伴う咳の治療において使用するための、化合物またはその製薬上許容される塩に関する。
前記化合物が、遊離塩基としての2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドである、請求項2に記載の使用するための化合物。
咳が、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染に伴う咳である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用するための化合物。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
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【発明を実施するための形態】
【0013】
1つの実施形態において、本発明は、咳の治療において使用するための、式(I)
【化2】
【0014】
(式中、
Xは-CH-であり且つYは4-ピリダジニルであり;または
Xは-N-であり且つYは4-モルホリニルである)
で表される化合物またはその製薬上許容される塩を提供する。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド:
【化3】
【0016】
である化合物またはその製薬上許容される塩を提供する。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド:
【化4】
【0019】
別の実施形態において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド:
【化5】
【0020】
である化合物またはその製薬上許容される塩を提供する。
【0021】
他の実施形態において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド:
【化6】
【0023】
本発明の範囲には、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩の全ての溶媒和物(水和物を含む)、複合体、多形体、プロドラッグおよび放射線標識誘導体の使用が含まれる。
【0024】
式(I)の化合物は、製薬上許容される塩として投与することができる。本明細書中で使用される用語「製薬上許容される塩」は、本化合物の所望の生物学的活性を保持し、最小限の望ましくない毒性作用を示す塩を指す。化合物の製薬上許容される塩は、分子により大きな安定性または溶解性を与えることによって剤形への製剤化を容易にするために使用することができる。これらの製薬上許容される塩は、本化合物の最終単離および精製中にin situで調製してもよく、または精製された本化合物、もしくはその製薬上許容されない塩を、好適な塩基もしくは酸と別々に反応させることによって調製してもよい。好適な塩の概説として、Bergeら, J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19を参照されたい。1つの実施形態において、本発明は、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドの製薬上許容される塩の使用を提供する。他の実施形態において、本発明は、遊離塩基としての、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドの使用を提供する。
【0025】
化合物の調製
本発明により使用するための化合物は、標準的な化学を含む様々な方法によって作製することができる。例えば、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドは、WO 2008/144463に記載されるとおりに調製することが可能であり、また2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-モルホリニル)-6-キナゾリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドは、WO 2008/157191に記載されるとおりに調製することができる。
【0026】
使用方法
本発明の治療方法は、安全かつ有効な量の式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む。
【0027】
疾患に関して本明細書中で使用される「治療する」とは、(1) 疾患または該疾患の1つ以上の生物学的徴候を改善すること、(2)(a) 疾患につながる、または疾患に関与する生物学的カスケード中の1つ以上のポイントを妨げるか、または(b) 疾患の1つ以上の生物学的徴候を妨げること、(3) 疾患に伴う1つ以上の症状または作用を軽減すること、または(4) 疾患または該疾患の1つ以上の生物学的徴候の進行を遅らせることを意味する。
【0028】
式(I)の化合物もしくはその製薬上許容される塩、または他の製薬上活性な剤に関して本明細書中で使用される「安全かつ有効な量」とは、健全な医学的判断の範囲内で、(合理的な利益/リスク比で)患者の症状を治療するのには十分であるが、重篤な副作用を回避するためには十分に低い本化合物の量を意味する。化合物の安全かつ有効な量は、選択される特定の化合物(例えば、本化合物の効力、有効性、および半減期を考慮して)、選択される投与経路;治療対象の疾患、治療対象の疾患の重篤度、治療対象の患者の年齢、大きさ、体重および健康状態;治療対象の患者の病歴;治療期間;併用療法の性質;所望の治療効果;および同様の要因によって異なるであろうが、それでもなお、当業者が日常的に決定することができる。
【0029】
本明細書中で使用される「患者」は、ヒト(成人および子供を含む)または他の動物を指す。1つの実施形態において、「患者」はヒトを指す。
【0030】
本化合物またはその製薬上許容される塩は、任意の好適な投与経路、特に経口投与で投与することができる。
【0031】
本発明の化合物は、投与レジメンに従って投与されてよく、ここで投与回数は、所定の期間、様々な時間間隔で投与される。例えば、1日1回、2回、3または4回用量が投与されてもよい。1つの実施形態において、1回用量は、1日に2回投与される(BID)。
【0032】
所望の治療効果が達成されるまで、または所望の治療効果を維持するまで無制限に用量は投与されてもよい。適切な投与レジメン(かかるレジメンが投与される期間を含む)は、治療対象の疾患の重篤度、治療対象の患者の年齢および健康状態;治療対象の患者の病歴;併用療法の性質;所望の治療効果;および当業者の知識および見解の範囲内の同様の要因に依存し得る。このような当業者であれば、適切な投与レジメンが、個々の患者が変更を必要とする場合、その投与レジメンまたは時間経過に対する個々の患者の反応を考慮して調整を必要とし得ることを理解するだろう。
【0033】
経口投与のための典型的な日常用量は、約0.1mg〜約20mg、例えば約0.1mg〜約10mg(例えば0.4mg〜約7mgなど)の範囲であってよい。例えば、患者1人当たり約0.1mg〜約5mg、例えば約0.2mg〜約3.5mg(例えば約0.25mg〜約3mg)の用量を、1日2回(BID)投与することができる。1つの実施形態において、患者1人当たり約0.25mg〜約2.5mgの用量を、1日2回(BID)投与することができる。
【0034】
1つの態様において、本発明は、咳の治療において使用するための、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を提供する。
【0035】
本発明により治療される咳は、感作に伴う慢性咳であってよい。特に、咳は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または、胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)などの障害に伴う咳であってよい。1つの実施形態において、咳は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、または慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)などの障害に伴う咳であってよい。別の実施形態において、咳は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、または間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))などの障害に伴う咳であってよい。別の実施形態において、咳は、特発性慢性咳、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、または慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))もしくはサルコイドーシスなどの障害に伴う咳であってよい。別の実施形態において、咳は、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、または間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))に伴う咳であってよい。他の実施形態において、咳は、特発性肺線維症(IPF)に伴う咳であってよい。
【0036】
1つの実施形態において、本発明は、咳の治療において使用するための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩の使用を提供する。
【0037】
他の実施形態において、本発明は、安全かつ有効な量の式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、咳を治療する方法を提供する。
【0038】
別の態様において、本発明は、咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドである化合物またはその製薬上許容される塩を提供する。
【0039】
1つの実施形態において、本発明は、咳の治療において使用するための医薬の製造における、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドである化合物またはその製薬上許容される塩の使用を提供する。
【0040】
他の実施形態において、本発明は、安全かつ有効な量の2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその製薬上許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、咳を治療する方法を提供する。
【0041】
別の態様において、本発明は、咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドである化合物を提供する。
【0042】
1つの実施形態において、本発明は、咳の治療において使用するための医薬の製造における、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドである化合物の使用を提供する。
【0043】
他の実施形態において、本発明は、安全かつ有効な量の2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドを、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、咳を治療する方法を提供する。
【0044】
別の態様において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を提供する。
【0045】
1つの実施形態において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩の使用を提供する。
【0046】
他の実施形態において、本発明は、安全かつ有効な量の式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳を治療する方法を提供する。
【0047】
別の態様において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドである化合物またはその製薬上許容される塩を提供する。
【0048】
1つの実施形態において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための医薬の製造における、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドである化合物またはその製薬上許容される塩の使用を提供する。
【0049】
他の実施形態において、本発明は、安全かつ有効な量の2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその製薬上許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳を治療する方法を提供する。
【0050】
他の態様において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドである化合物を提供する。
【0051】
1つの実施形態において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための医薬の製造における、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドである化合物の使用を提供する。
【0052】
他の実施形態において、本発明は、安全かつ有効な量の2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドを、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳を治療する方法を提供する。
【0053】
組成物
式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩は、患者への投与の前に医薬組成物に製剤化することができる。
【0054】
従って、1態様において、本発明は、咳の治療において使用するための、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩と、1種以上の製薬上許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0055】
1つの実施形態において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩と、1種以上の製薬上許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0056】
別の実施形態において、本発明は、咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその製薬上許容される塩と、1種以上の製薬上許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0057】
別の実施形態において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその製薬上許容される塩と、1種以上の製薬上許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0058】
別の実施形態において、本発明は、咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドと、1種以上の製薬上許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0059】
他の実施形態において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドと、1種以上の製薬上許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0060】
別の態様において、本発明は、咳の治療において使用するための、0.1mg〜約5mgの式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩と、約0.1g〜約2gの1種以上の製薬上許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0061】
1つの実施形態において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための、0.1mg〜約5mgの式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩と、約0.1g〜約2gの1種以上の製薬上許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0062】
別の実施形態において、本発明は、咳の治療において使用するための、0.1mg〜約5mgの2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその製薬上許容される塩と、約0.1g〜約2gの1種以上の製薬上許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0063】
別の実施形態において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための、0.1mg〜約5mgの2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその製薬上許容される塩と、約0.1g〜約2gの1種以上の製薬上許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0064】
別の実施形態において、本発明は、咳の治療において使用するための、0.1mg〜約5mgの2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドと、約0.1g〜約2gの1種以上の製薬上許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0065】
他の実施形態において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための、0.1mg〜約5mgの2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドと約0.1g〜約2gの1種以上の製薬上許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0066】
他の態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を含む、咳の治療のための医薬組成物に関する。
【0067】
1つの実施形態において、本発明は、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその製薬上許容される塩を含む、咳の治療のための医薬組成物に関する。
【0068】
別の実施形態において、本発明は、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドを含む、咳の治療のための医薬組成物に関する。
【0069】
別の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を含む、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療のための医薬組成物に関する。
【0070】
別の実施形態において、本発明は、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその製薬上許容される塩を含む、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療のための医薬組成物に関する。
【0071】
他の実施形態において、本発明は、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドを含む、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療のための医薬組成物に関する。
【0072】
本発明により使用するための医薬組成物は、バルク形態で調製してパッケージングされてもよく、安全かつ有効な量の式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を抽出し、次いで粉末またはシロップなどと共に患者に与えることができる。別法として、本発明により使用するための医薬組成物は、単位剤形で調製してパッケージングしてもよく、各々の物理的不連続単位は、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を含有する。単位剤形で調製される場合、本発明により使用するための医薬組成物は、典型的には、例えば、約0.1mg〜約5mg、例えば約0.2mg〜約3.5mg(例えば約0.25mg〜約3mg)の式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を含み得る。1つの実施形態において、本発明により使用するための医薬組成物は、典型的には、約0.25mgの式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を含み得る。他の実施形態において、本発明により使用するための医薬組成物は、典型的には、約0.5mgの式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を含有する。
【0073】
本明細書中で使用される「製薬上許容される賦形剤」は、医薬組成物に形態または粘度を与えることに関与する製薬上許容される材料、組成物またはビヒクルを意味する。各賦形剤は、患者に投与されたときに式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩の有効性を実質的に減少させるような相互作用、および製薬上許容されない医薬組成物をもたらすような相互作用が回避されるように、混合したときに医薬組成物の他の成分と適合性でなくてはならない。さらに、各賦形剤は当然ながら、例えば、十分に高純度の製薬上許容されるものでなければならない。
【0074】
式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩、および製薬上許容される賦形剤または賦形剤(1種または複数種)は典型的には、所望の投与経路によって患者に投与するために適合された剤形に製剤化される。例えば、剤形としては、経口投与のために適合されたもの(錠剤、カプセル剤、カプレット剤、丸剤、トローチ剤、散剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、溶液剤、乳剤、サシェ剤、およびカシェ剤など)またはエアロゾル、溶液剤及び乾燥粉末等の吸入のために適合されたものが挙げられる。
【0075】
適切な製薬上許容される賦形剤は、選択される特定の剤形によって異なるだろう。さらに、適切な製薬上許容される賦形剤は、それらが組成物中で果たし得る特定の機能で選択してもよい。例えば、特定の製薬上許容される賦形剤は、均一な剤形の生成を容易にするそれらの能力で選択してもよい。特定の製薬上許容される賦形剤は、安定な剤形の製造を容易にするそれらの能力で選択してもよい。特定の製薬上許容される賦形剤は、患者に投与されると、一つの臓器または体の部分から、別の臓器または体の部分への、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩の運搬または輸送を容易にするそれらの能力で選択してもよい。特定の製薬上許容される賦形剤は、患者の薬剤服用順守を高めるそれらの能力で選択してもよい。
【0076】
適切な製薬上許容される賦形剤としては、下記の種類の賦形剤(希釈剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、造粒剤、コーティング剤、湿潤剤、溶剤、共溶剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、香味剤、香味マスキング剤、着色剤、固化防止剤、保湿剤、キレート剤、可塑剤、粘度増加剤、抗酸化剤、保存剤、安定剤、界面活性剤、および緩衝剤)が挙げられる。当業者であれば、特定の製薬上許容される賦形剤が、複数の機能を果たすことがあり、どのくらいの賦形剤が製剤中に存在し、他のどのような賦形剤が製剤中に存在するかによって代替機能を果たすことがあることを理解するであろう。
【0077】
当業者は、本発明において使用するための適切な量の好適な製薬上許容される賦形剤を選択することを可能とする当技術分野の知識および技術を有する。さらに、製薬上許容される賦形剤について記載されており、好適な製薬上許容される賦形剤を選択する上で有用であり得る、当業者が利用可能な多数のリソースがある。例としては、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)、The Handbook of Pharmaceutical Additives(Gower Publishing Limited)、およびThe Handbook of Pharmaceutical Excipients(the American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press)が挙げられる。
【0078】
本発明により使用するための医薬組成物は、当業者に公知の技術および方法を使用して調製される。当技術分野で一般に使用されるこれらの方法のいくつかは、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)に記載されている。
【0079】
式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を含む医薬組成物は、例えば、周囲温度および大気圧で混合することによって調製し得る。
【0080】
1つの実施形態において、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩は、経口投与のために製剤化される。他の実施形態において、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩は、吸入投与のために製剤化される。
【0081】
1つの態様において、例えば、本発明により使用するための組成物は、安全かつ有効な量の式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩および希釈剤または充填剤を含む固体経口剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)である。好適な希釈剤および充填剤としては、ラクトース、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、およびアルファ化デンプン)、セルロースおよびその誘導体(例えば、微結晶性セルロース)、硫酸カルシウム、ならびにリン酸水素カルシウムが挙げられる。経口固体剤形は、結合剤をさらに含み得る。好適な結合剤としては、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、およびアルファ化デンプン)、ゼラチン、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、トラガカント、グアーガム、ポビドン、ならびにセルロースおよびその誘導体(例えば、微結晶性セルロース)が挙げられる。経口固体剤形は、崩壊剤をさらに含み得る。好適な崩壊剤としては、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース、アルギン酸、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。経口固体剤形は、滑沢剤をさらに含み得る。好適な滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびタルクが挙げられる。
【0082】
適切な場合には、経口投与用の投与単位製剤は、マイクロカプセル化することができる。組成物はまた、例えば、コーティングにより、またはポリマー、ワックスもしくは同様のものの中に粒子状物質を埋め込むことによって調製して、放出を長引かせまたは持続させることもできる。
【0083】
式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩はまた、標的化可能な薬物担体として可溶性ポリマーとカップリングさせてもよい。このようなポリマーとして、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンが挙げられる。さらに、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩は、薬物の制御放出を達成することにおいて有用な生分解性ポリマーのクラス、例えば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーとカップリングさせてもよい。
【0084】
別の態様において、本発明により使用するための組成物は、液体経口剤形である。溶液剤、シロップ剤およびエリキシル剤などの経口液剤は、所与の量が所定量の式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を含有するように、投与単位形態で調製することができる。シロップ剤は、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を適切に香味付けされた水溶液に溶解することによって調製することができ、一方エリキシル剤は、無毒性アルコール性ビヒクルの使用を通じて調製される。懸濁剤は、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を無毒性ビヒクルに分散させることによって製剤化することができる。可溶化剤および乳化剤(エトキシル化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなど)、保存剤、香味添加物(例えば、ハッカ油もしくは天然甘味剤またはサッカリンもしくは他の人工甘味剤)などを加えることもできる。
【0085】
別の態様では、本発明は、吸入による患者への投与に適した投与剤形、例えば、乾燥粉末剤、エアロゾル剤、懸濁剤または溶液組成物としての投与剤形に関する。1つの実施形態において、本発明は、乾燥粉末剤としての、吸入による患者への投与に適した剤形に関する。他の実施形態において、本発明は、噴霧器を介した、吸入による患者への投与に適した剤形に関する。
【0086】
吸入により肺へ送達するための乾燥粉末組成物は、典型的には、微細粉末としての式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を、微細粉末としての1種以上の製薬上許容可能な賦形剤と共に含む。乾燥粉末剤での使用に特に適している製薬上許容可能な賦形剤は当業者に公知であり、ラクトース、デンプン、マンニトール、ならびに単糖類、二糖類および多糖類が挙げられる。微細粉末は、例えば、微粒子化および製粉によって調製することができる。一般に、サイズを小さくした(例えば、微粒子化した)化合物は、(例えばレーザー回折を用いて測定した場合に)D
50値を約1ミクロン〜約10ミクロンと定義することができる。
【0087】
乾燥粉末は、複数回投与量(未定量)の薬剤を乾燥粉末剤形で保管するのに適したリザーバーを有するリザーバー付き乾燥粉末吸入器(RDPI)を介して患者に投与することができる。RDPIは、典型的には、リザーバーから送達位置への各薬剤投与量を定量するための手段を含む。例えば、定量手段は定量カップを含んでいてもよく、それは、カップがリザーバーからの薬剤で充填される第1の位置から、定量された薬剤投与量が吸入のため患者に利用され得る第2の位置へ動かすことができる。
【0088】
別法では、乾燥粉末は、カプセル(例えば、ゼラチンまたはプラスチック)、カートリッジ、または複数回投与用乾燥粉末吸入器(MDPI)で使用するブリスターパックで提供することができる。MDPIは、薬剤が、複数の所定の投与量(またはその一部)の薬剤を含有する(あるいは運ぶ)複数回投与用パック内に含まれている吸入器である。乾燥粉末剤がブリスターパックとして提供される場合、それは、乾燥粉末剤形の薬剤を封入するための複数のブリスターを含んでいる。ブリスターは、典型的には、そこから薬剤が容易に放出されるように、規則正しく配列されている。例えば、ブリスターは、ディスク形態のブリスターパック上に通常は環状に配列されていてよく、または、ブリスターは、例えば、ストリップまたはテープを含む形態で細長くてもよい。各カプセル、カートリッジまたはブリスターは、例えば、20μg〜10mgの式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を含有することができる。
【0089】
エアロゾル剤は、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を液化噴射剤中に懸濁または溶解することによって形成することができる。好適な噴射剤としては、ハロカーボン、炭化水素および他の液化ガスが挙げられる。代表的な噴射剤としては次のものが挙げられる:トリクロロフルオロメタン(噴射剤11)、ジクロロフルオロメタン(噴射剤12)、ジクロロテトラフルオロエタン(噴射剤114)、テトラフルオロエタン(HFA-134a)、1,1-ジフルオロエタン(HFA-152a)、ジフルオロメタン(HFA-32)、ペンタフルオロエタン(HFA-12)、ヘプタフルオロプロパン(HFA-227a)、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、ペルフルオロペンタン、ブタン、イソブタンおよびペンタン。式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を含むエアロゾル剤は、典型的には、定量吸入器(MDI)を介して患者に投与される。かかる器具は、当業者には公知である。
【0090】
エアロゾル剤は、典型的にはMDIと共に使用される付加的な製薬上許容可能な賦形剤、例えば、界面活性剤、滑沢剤、共溶媒、および製剤の物理的安定性を改善するため、バルブ性能を改善するため、溶解性を改善するため、または風味を改善するための他の賦形剤を含有することができる。
【0091】
従って、本発明のさらなる態様として、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩と噴射剤としてのフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンとを、場合により界面活性剤および/または共溶媒ととともに含む医薬用エアロゾル剤を提供する。
【0092】
本発明の別の態様によれば、噴射剤が1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパンおよびそれらの混合物から選択される、医薬用エアロゾル剤を提供する。
【0093】
本発明の製剤は、好適な緩衝剤を添加することにより緩衝化することができる。
【0094】
吸入器または吹入器(insufflators)で使用するための(例えばゼラチン製の)カプセルおよびカートリッジは、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩とラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤とよりなる吸入用粉末混合物を含有させて製剤化することができる。各カプセルまたはカートリッジは、一般に、20μgから10mgの式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を含有し得る。あるいは、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を、ラクトースなどの賦形剤を含まずに提供することができる。
【0095】
本発明による局所用組成物中の式(I)で表される活性化合物またはその製薬上許容される塩の割合は、調製される製剤の正確な種類によって決まるが、一般には0.001〜10重量%の範囲内であろう。一般に、大半の種類の製剤について、その使用される割合は0.005〜1%、例えば0.01〜0.5%の範囲内であろう。しかし、吸入または吹入用の粉末では、通常、用いられる割合は0.1〜5%の範囲内であろう。
【0096】
エアロゾル製剤は、エアロゾルの各定量または「パフ(puff)」が20μg〜10mg、好ましくは20μg〜2000μg、さらに好ましくは約20μg〜500μgの式(I)の化合物を含有するように調整されているのが好ましい。投与は、例えば1回当たり1、2、または3用量で、1日1回または1日数回、例えば、2、3、4、または8回行うことができる。エアロゾルを用いた時の総日用量は、100μg〜10mg、好ましくは200μg〜2000μgの範囲内であろう。吸入器内または吹入器内のカプセルおよびカートリッジにより送達される総日用量および定量用量は、一般的には、エアロゾル製剤で送達されるときの2倍であろう。
【0097】
懸濁エアロゾル剤の場合には、粒状(例えば、微粒子化された)薬剤の粒径は、エアロゾル剤を投与した際に、実質的に全ての薬剤が肺の中への吸入され得るような粒径とすべきである。したがって、100ミクロン未満、望ましくは20ミクロン未満、特に1〜10ミクロン(例えば1〜5ミクロン)、さらに好ましくは2〜3ミクロンの範囲内であろう。
【0098】
本発明の製剤は、例えば超音波処理または高剪断ミキサーを用いて、適切な容器内の選択した噴射剤中で薬剤および式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を分散または溶解させることによって調製することができる。この方法は、制御された湿度条件下で行なわれるのが望ましい。
【0099】
本発明によるエアロゾル剤の化学的および物理的安定性ならびに製薬許容性は、当業者に周知の技術により測定することができる。したがって、例えば、成分の化学的安定性は、例えばその製品を長期間保管した後にHPLCアッセイで測定することができる。物理的安定性データは、他の従来の分析技術から、例えば、漏れ試験、バルブ送達アッセイ(1作動当たりの平均ショット重量)、用量再現性アッセイ(1作動当たりの活性成分)および噴霧分布分析などにより得ることができる。
【0100】
本発明による懸濁エアロゾル剤の安定性は、慣用の技術により、例えば、後方光散乱(back light scattering)装置を使用して凝集粒度分布(flocculation size distribution)を測定することにより、またはカスケードインパクション(cascade impaction)もしくは「ツインインピンジャー」分析法で粒径分布を測定することにより測定することができる。本明細書において用いられる「ツインインピンジャー」アッセイとは、英国薬局方(1988, A204〜207頁, Appendix XVIIC)に定められている「装置Aを用いた加圧式吸入物における放出投与量の沈着のの測定(Determination of the deposition of the emitted dose in pressurised inhalations using apparatus A)」を意味する。かかる技術により、エアロゾル剤の「呼吸用画分(respirable fraction)」を算出することができる。この「呼吸用画分」を算出する際に用いられる1つの方法は、上記ツインインピンジャー法を利用して1作動毎に送達される活性成分の総量に対する割合として表される、1作動毎に下部インピンジメントチャンバーに回収される活性成分の量である「微細粒子画分(fine particle fraction)」を基準とする。
【0101】
「定量用量吸入器」またはMDIという用語は、缶、缶を覆う固定キャップ、およびキャップ内に位置している製剤定量弁を含むユニットを意味する。MDIシステムは、好適なチャネリングデバイスを含む。好適なチャネリングデバイスは、例えば、弁アクチュエータと、マウスピースアクチュエータなどの、薬剤を充填キャニスタから定量弁を経由して患者の鼻または口に送達することができる円筒状または円錐状の流路を含む。
【0102】
MDIキャニスタは、一般には、プラスチック瓶もしくはプラスチックコーティングされたガラス瓶、または好ましくは金属製の缶、例えば、陽極酸化され、ラッカーコーティングされ、および/もしくはプラスチックコーティングされていてもよいアルミニウム製もしくはその合金製の缶などの、使用する噴射剤の蒸気圧に耐えうる容器(例えば、内面の一部または全部が1種または複数種のフルオロカーボンポリマーで、場合により1種以上の非フルオロカーボンポリマーと組み合わせてコーティングされている容器(WO96/32099を参照することにより本明細書に組み入れるものとする))を含み、前記容器は定量弁で閉じられている。キャップは、超音波溶接、ネジ止めまたは圧着により缶上に固定されていてもよい。本明細書に教示されるMDIは、当技術分野の方法により調製することができる(例えば、Byron、上記およびWO96/32099を参照されたい)。好ましくは、前記キャニスタにはキャップ部品が付いており、薬剤定量弁が前記キャップの内部にあり、さらに前記キャップが所定位置に圧着されている。
【0103】
本発明の一実施形態では、缶の金属内面はフルオロポリマー(より好ましくは非フルオロポリマーとブレンドして)でコーティングされる。本発明の別の実施形態では、缶の金属内面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とポリエーテルスルホン(PES)のポリマーブレンドでコーティングされる。本発明のさらなる実施形態では、缶の金属内面の全体が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とポリエーテルスルホン(PES)のポリマーブレンドでコーティングされる。
【0104】
定量弁は、1作動毎に一定量の製剤を送達し、かつ前記弁を通して噴射剤が漏れるのを防ぐためにガスケットを入れるよう設計されている。ガスケットは、例えば、低密度ポリエチレン、クロロブチル、ブロモブチル、EPDM、黒色および白色ブタジエン-アクリロニトリルゴム、ブチルゴムおよびネオプレンなどの任意の好適なエラストマー材料を含んでいてもよい。好適な弁は、エアロゾル業界で周知の製造業者から、例えば、Valois, France (例えば、DF10、DF30、DF60)、Bespak plc, UK(例えば、BK300、BK357)、および3M-Neotechnic Ltd, UK(例えば、Spraymiser(商標))から市販されている。
【0105】
様々な実施形態において、MDIは、他の構造体、例えば、限定するものではないが、米国特許第6,119,853号;第6,179,118号;第6,315,112号;第6,352,152号;第6,390,291号;および第6,679,374号に記載されているものをはじめとする、MDIの保管および収納用のオーバーラップパッケージ、ならびに、限定するものではないが、米国特許第6,360,739号および第6,431,168号に記載されているような用量カウンターユニットと共に使用することもできる。
【0106】
医薬用エアロゾルの製造業者には周知の従来のバルク製造法および製造機を、充填済キャニスタを量産するための大規模バッチの調製に用いることができる。したがって、例えば、懸濁エアロゾル剤を調製するための1つのバルク製造法では、定量弁をアルミニウム缶上に圧着させることによって空のキャニスタを形成させる。粒状薬剤を装填容器(charge vessel)に加え、該装填容器を通して、液化噴射剤を任意の賦形剤と共に製造容器(manufacturing vessel)に加圧充填する。この薬剤懸濁液を混合してから充填機に再循環させ、次いで、前記薬剤懸濁液のアリコートを、定量弁を通してキャニスタに充填する。エアロゾル製剤を調製するためのバルク製造法の一例では、定量弁をアルミニウム缶上に圧着させることによって空のキャニスタを形成させる。液化噴射剤は、任意の賦形剤および溶解させた薬剤と共に、装填容器を通して製造容器に加圧充填される。
【0107】
代替法では、液化製剤のアリコートを、前記製剤が確実に気化しないほどに十分に低温な条件下で開放キャニスタに加え、次いで、定量弁を前記キャニスタ上に圧着させる。
【0108】
典型的には、医薬用途に向けに調製されたバッチでは、各充填キャニスタをチェック計量し、バッチ番号でコード付けし、保管用のトレイに詰めてから放出試験を行う。
【0109】
式(I)の化合物または製薬上許容される塩を含む懸濁剤および溶液剤は、噴霧器を介して患者に投与することもできる。噴霧に利用される溶媒または懸濁剤は、水、生理的食塩水、アルコールまたはグリコール(例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど、またはその混合物)などの任意の製薬上許容可能な液体であってよい。生理食塩水溶液は、投与後に薬理学的活性をほとんど示さないか、全く示さない塩を利用する。両有機塩、例えば、アルカリ金属の塩もしくはアンモニウムのハロゲン塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム)、または有機塩(例えば、カリウム、ナトリウムおよびアンモニウムの塩)、あるいは有機酸(例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酢酸、酒石酸など)をこの目的に使用することができる。
【0110】
他の製薬上許容可能な賦形剤を懸濁剤または溶液剤に加えてもよい。式(I)の化合物または製薬上許容される塩は、無機酸、例えば、塩酸、硝酸、硫酸および/またはリン酸;有機酸、例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酢酸、および酒石酸など、錯化剤、例えば、EDTAまたはクエン酸およびその塩;または抗酸化剤、例えば、ビタミンEまたはアスコルビン酸などの抗酸化剤を添加することによって安定化することができる。これらは、式(I)の化合物または製薬上許容される塩を安定化するために単独で使用してもよく、あるいは一緒に使用してもよい。塩化ベンザルコニウムまたは安息香酸およびその塩などの保存剤を添加してもよい。特に懸濁剤の物理的安定性を改善するために界面活性剤を添加することができる。これらの界面活性剤としては、レシチン、ジオクチルスルホコハク酸二ナトリウム、オレイン酸およびソルビタンエステルが挙げられる。
【0111】
本発明によれば、咳の治療において、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を、1種以上の他の治療剤と組み合わせて使用することができる。
【0112】
式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩と組み合わせて使用するための好適な治療剤としては、モルヒネ、SRモルヒネ、コデイン、ヒドロコドンおよびデキストロメトルファンなどの補助的な鎮咳薬が挙げられる。
【0113】
従って本発明は、1態様において、咳の治療において使用するための、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩と1種以上の他の治療活性剤とを含む組み合わせを提供する。
【0114】
1つの実施形態において、本発明は、安全かつ有効な量の、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩と1種以上の治療活性剤とを含む組み合わせを投与することを含んでなる、咳を治療する方法を提供する。
【0115】
他の実施形態において、本発明は、咳の治療において使用するための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩と1種以上の治療活性剤とを含む組み合わせを提供する。
【0116】
別の態様において、本発明は、咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその製薬上許容される塩と1種以上の他の治療活性剤とを含む組み合わせを提供する。
【0117】
別の実施形態において、本発明は、安全かつ有効な量の、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその製薬上許容される塩と1種以上の治療活性剤とを含む組み合わせを投与することを含んでなる、咳を治療する方法を提供する。
【0118】
他の実施形態において、本発明は、咳の治療において使用するための医薬の製造における、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその製薬上許容される塩と1種以上の治療活性剤とを含む組み合わせを提供する。
【0119】
別の態様において、本発明は、咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドと1種以上の治療活性剤とを含む組み合わせを提供する。
【0120】
1つの実施形態において、本発明は、安全かつ有効な量の、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドと1種以上の治療活性剤とを含む組み合わせを投与することを含んでなる、咳を治療する方法を提供する。
【0121】
他の実施形態において、本発明は、咳の治療において使用するための医薬の製造における、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドと1種以上の治療活性剤とを含む組み合わせを提供する。
【0122】
別の態様において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩と、1種以上の他の治療活性剤とを含む組み合わせを提供する。
【0123】
別の実施形態において、本発明は、安全かつ有効な量の、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩と1種以上の治療活性剤とを含む組み合わせを投与することを含んでなる、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳を治療する方法を提供する。
【0124】
他の実施形態において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩と1種以上の治療活性剤とを含む組み合わせを提供する。
【0125】
別の態様において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその製薬上許容される塩と、1種以上の他の治療活性剤とを含む組み合わせを提供する。
【0126】
別の実施形態において、本発明は、安全かつ有効な量の、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその製薬上許容される塩と1種以上の治療活性剤とを含む組み合わせを投与することを含んでなる、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳を治療する方法を提供する。
【0127】
他の実施形態において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための医薬の製造における、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその製薬上許容される塩と1種以上の治療活性剤とを含む組み合わせを提供する。
【0128】
他の態様において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドと1種以上の治療活性剤とを含む組み合わせを提供する。
【0129】
別の実施形態において、本発明は、安全かつ有効な量の、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドと、1種以上の治療活性剤とを含む組み合わせを投与することを含んでなる、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳を治療する方法を提供する。
【0130】
他の実施形態において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための医薬の製造における、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドと1種以上の治療活性剤とを含む組み合わせを提供する。
【0131】
本発明の1実施形態は、1種または2種の他の治療剤を含む組み合わせの使用を提供する。
【0132】
当業者には、適切な場合、治療成分の活性および/または安定性および/または物理的特性(例えば溶解性)を最適化するために、他の治療成分を、塩の形態で、例えばアルカリ金属塩もしくはアミン塩として、または酸付加塩、もしくはプロドラッグとして、またはエステル(例えば低級アルキルエステル)として、または溶媒和物(例えば水和物)として使用し得ることは明らかであろう。また、適切な場合、治療成分を光学的に純粋な形態で使用し得ることも明らかであろう。
【0133】
このような組み合せの個別の化合物は、別個のまたは複合(combined)医薬製剤として、連続的にまたは同時に投与することができる。1つの実施形態において、個別化合物は、複合医薬製剤として同時に投与されよう。既知の治療剤の適切な用量は当業者によって容易に理解されよう。
【0134】
従って本発明は、他の態様において、咳の治療において使用するための、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩と別の治療活性剤との組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
【0135】
1つの実施形態において、本発明は、咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその製薬上許容される塩と別の治療活性剤との組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
【0136】
別の実施形態において、本発明は、咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドと別の治療活性剤との組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
【0137】
別の実施形態において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための、式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩と別の治療活性剤との組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
【0138】
別の実施形態において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその製薬上許容される塩と別の治療活性剤との組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
【0139】
他の実施形態において、本発明は、特発性慢性咳、咳喘息、胸部腫瘍もしくは肺癌に伴う咳、ウイルス性の咳もしくはウイルス感染後の咳、上気道咳症候群(UACS)もしくは後鼻漏の咳、または胃食道逆流症(酸逆流および非酸逆流の両方)、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))、鬱血性心疾患、サルコイドーシスもしくは感染(例えば百日咳)に伴う咳の治療において使用するための、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドと別の治療活性剤との組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
【実施例】
【0140】
生物学的データ
唐辛子スプレー中の活性成分であるカプサイシンは、ヒトにおいてくしゃみや咳などの不快な呼吸感覚および反射を引き起こす刺激物である。カプサイシンは、体細胞侵害受容器と内臓侵害受容器の両方において高く発現している、一過性受容体電位バニロイド1(Transient Receptor Potential Vanilloid 1)(TRPV1)に結合する。吸入されたカプサイシンに対する過剰な反応は、IPFに罹患している被験者または咳過敏性症候群に罹患している被験者に見られ、試験として使用することができる。カプサイシンに対する反応性の増大は、一般的に、侵害受容器の感作のマーカーであると考えられる。マウス末梢神経節から切断された感覚神経におけるカプサイシンの影響は、in vitroで侵害受容器を同定し、感作機構を研究するためのモデルとして使用することができる。カプサイシンに対する反応は、カルシウムイメージング法を用いて、切断された感覚神経の比較的大きな集団において定量することができる。
【0141】
典型的な実験において、神経細胞を、0.02%のPluronic F-127を含有する5μMのFura-2-AM-エステルと共にロードし、37℃において30〜45分間インキュベートした。ベースライン測定のため、細胞外溶液(145mMのNaCl、1.25mMのCaCl
2、1mMのMgCl
2、5mMのKCl、10mMのD-グルコース、10mMのHEPES、pH7.3)を浴適用により添加し、蛍光顕微鏡を使用して明らかにした。カプサイシンに対する曝露は、神経細胞の一部の活性化をもたらし、侵害受容器の表現型を示した。
【0142】
この活性化のプロファイルは、炎症/損傷条件下で組織中の細胞外体液を刺激する「感作カクテル」(“sensitizing cocktail”)と共に前インキュベーションすることによって高めることができた。「感作カクテル」は、サイトカイン、栄養因子および感作因子(すなわち、10ng/mlのNGF、2ng/mlのGDNF、3μMのPGE2、10ng/mlのIL1β)の混合物からなる。「感作カクテル」に対する長時間の曝露(数分〜数時間)は、カプサイシンに対するカルシウムイメージング反応を有意に高めた。一連の実験において、この効果は、様々な用量の化合物GSK-1(添付の
図1を参照)との共インキュベーションによって用量依存的に消失した。GSK-1は、2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-モルホリニル)-6-キナゾリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドであった。
【0143】
これらの知見は、TRPV1を発現する感覚神経が刺激物であるカプサイシンに応答し、このTRPV1応答が多数の炎症メディエーターによって動的に調節され、カプサイシンに対する感覚神経の感受性の増大をもたらし得ることを示した。GSK-1ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)阻害剤によって生じる阻害は、感覚神経中での感作効果の媒介においてPI3K経路に対する重要な役割を示した。公開されている証拠によれば、PI3Kが後根神経節の感覚神経中で発現し[Zhu, 2011]、in vitroで市販のPI3K阻害剤を使用して、またin vivoで痛みを測定して示されるとおり、この経路がエフリンBの感作効果を媒介することができたことが示唆されている[Guan, 2010]。
【0144】
PI3Kの分子経路は、特発性肺線維症(IPF)などの呼吸器疾患に罹患している患者に見られる、カプサイシンに対する咳反射感受性の上昇の根底にあると考えられている。従って、その遮断は感覚神経の感作の低下および咳の発生の低下をもたらすだろう。
【0145】
感作アッセイにおける2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-モルホリニル)-6-キナゾリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド(GSK-1)の濃度依存性
図1中のグラフは、カルシウムイメージングを使用した、解離した後根神経節感覚神経における(10〜15分毎に得られた4つの連続ピークのうちの)3番目のカプサイシン誘導性ピークの典型である。
【0146】
最適曲線は、以下の式:
【数1】
【0147】
によって表される。
【0148】
各点は、陰性対照(1、感作溶液なし、GSK-1なし)および陽性対照(0、感作溶液あり、GSK-1なし)と比較した場合に、薬によってカプサイシン誘導性ピークがどの程度十分に低下したかを表す。各点は以下の式のとおりに計算される:
【数2】
【0149】
式中、C = 感作対照(感作溶液あり、GSK-1なし)のピーク3の平均相対f340/f380値。X = 計算される個別の相対f340/f380値、およびN = 陰性対照(感作溶液なし、GSK-1なし)のピーク3の平均相対f340/f380値。
【0150】
従って、スコア1は、カプサイシン応答を正常なカルシウム流に回復させることに相当し、スコア0は、本発明者らの炎症性化合物によって誘導される感作を低下させず、負のスコアは、本発明者らの炎症性化合物が、実際に感作を増大させることを意味する。
【0151】
各濃度について、Nは以下のとおりである:
【表1】
【0152】
参考文献
Zhu W, Oxford GS. Differential gene expression of neonatal and adult DRG neurons correlates with the differential sensitization of TRPV1 responses to nerve growth factor. Neuroscience Letters 2011 500:3 (192-196).
Guan X-H, Lu X-F, Zhang H-X, Wu J-R, Yuan Y, Bao Q, Ling D-Y, Cao J-L. Phosphatidylinositol 3-kinase mediates pain behaviors induced by activation of peripheral ephrinBs/EphBs signaling in mice. Pharmacology Biochemistry and Behavior 2010 95:3 (315-324)