特表2015-505961(P2015-505961A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-505961(P2015-505961A)
(43)【公表日】2015年2月26日
(54)【発明の名称】時計のための耐衝撃性軸受
(51)【国際特許分類】
   G04B 31/02 20060101AFI20150130BHJP
   G04B 31/06 20060101ALI20150130BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20150130BHJP
   F16C 33/14 20060101ALI20150130BHJP
   F16C 33/12 20060101ALI20150130BHJP
【FI】
   G04B31/02
   G04B31/06
   F16C17/02 Z
   F16C33/14 Z
   F16C33/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-545136(P2014-545136)
(86)(22)【出願日】2012年12月7日
(85)【翻訳文提出日】2014年6月5日
(86)【国際出願番号】EP2012005050
(87)【国際公開番号】WO2013087173
(87)【国際公開日】20130620
(31)【優先権主張番号】11193058.2
(32)【優先日】2011年12月12日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘスレ,エム・ティエリー
【テーマコード(参考)】
3J011
【Fターム(参考)】
3J011DA01
3J011DA02
3J011KA02
3J011SE10
(57)【要約】
弾性構造(10)と、上記弾性構造によって支持される中心部分(14)とを含む耐衝撃性軸受であって、上記中心部分は、時計の回転ホイールセットのホゾを受承するための非貫通孔(16A)を有する耐衝撃性軸受。弾性構造及び中心部分は、単結晶石英で形成された単一ピース部品(6)で形成され、上記非貫通孔は少なくとも部分的に切頂又は非切頂三角錐の形状を有し、この切頂又は非切頂三角錐に対してホゾの端部が当接する。本発明はまた、このタイプの耐衝撃性軸受を製造する方法にも関し、ここで単一ピースウェハは単結晶石英用の異方性エッチング浴中で機械加工される。2つのマスク(20、26)をウェハの2つの側部に配設し、ウェハを両側から同時にエッチングする。
【選択図】図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性構造(10)及び前記弾性構造によって支持される中心部分(14)を含む耐衝撃性軸受を製造するための方法であって、
前記中心部分は、時計の回転ホイールセットのホゾを受承するための非貫通孔(16;16A;16B)を有し、
前記弾性構造及び前記中心部分は単一ピース部品(6)によって形成される方法において、
前記方法は以下のステップ:
A)2つの主面(それぞれ第1の面及び第2の面)が、単結晶石英の結晶構造の光学軸(Z)に略垂直に配向される単結晶石英ウェハ(6A)を製作するステップ;
B)前記弾性構造の外形及び前記非貫通孔の外形が前記第1の面上に画定されるようにフォトリソグラフィによって構成される第1のマスク(20)を前記単結晶石英ウェハの前記第1の面上に形成するステップ;
C)前記光学軸に沿ったエッチングを大幅に促進する単結晶石英の異方性エッチングに適した化学的エッチング浴(前記第1のマスクは前記エッチング浴のエッチングに耐性を有するよう選択される)中に、前記ウェハを配置することにより、前記弾性構造及び前記単結晶石英ウェハの前記非貫通孔を機械加工するステップ
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
弾性構造(10)及び前記弾性構造によって支持される中心部分(14)を含む耐衝撃性軸受を製造するための方法であって、
前記中心部分は、時計の回転ホイールセットのホゾを受承するための非貫通孔(16;16A;16B)を有し、
前記弾性構造及び前記中心部分は単一ピース部品(36)によって形成される、方法において、
前記方法は以下のステップ:
A)2つの主面(それぞれ第1の面及び第2の面)が、単結晶石英の結晶構造の光学軸(Z)に略垂直に配向される、単結晶石英ウェハを製作するステップ;
B)前記第1の面上に前記弾性構造の外形が形成され、前記回転ホイールセットの前記ホゾを受承するための前記非貫通孔の外形は画定されないように、フォトリソグラフィによって構成される第1の初期マスク(21A)を前記単結晶石英ウェハの前記第1の面上に形成するステップ;
C)前記光学軸に沿ったエッチングを大幅に促進する単結晶石英の異方性エッチングに適合された化学的エッチング浴(前記第1のマスクは前記エッチング浴のエッチングに耐性を有するよう選択される)中に、前記ウェハを配置することにより、前記単結晶石英ウェハの、前記第1の初期マスクによって画定された前記弾性構造を部分的に機械加工するステップ;
D)前記非貫通孔の外形を形成して第1の最終マスク(21)を得るために前記第1の初期マスクを構成するステップ;
E)前記弾性構造を最終機械加工し、またこれと同時に、前記ウェハを前記化学的エッチング浴中に再び配置することにより、前記単結晶石英ウェハの前記非貫通孔を機械加工するステップ
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項3】
前記ステップB)と前記ステップC)との間に、前記感光性層に前記非貫通孔に対応する孔(25A)を後に形成するために、前記第1の初期マスク上に蒸着され前記第1の初期マスクを構成するために使用される感光性層(23)を照明することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップC)の前に、前記単結晶石英ウェハ(6A;36A)の前記第2の面上に第2のマスク(26;27)を形成し、
前記第2のマスクは、前記第2の面上の前記弾性構造の外形を形成するように、フォトリソグラフィによって構成される
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記機械加工された弾性構造は、湾曲したスロット及び/又は少なくとも部分的に湾曲した線を形成する開口部を設けることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記非貫通孔は、切頂又は非切頂三角錐を共に形成する3つの傾斜した小面(40A;40B;40C)を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
弾性構造(10)及び前記弾性構造によって支持される中心部分(14)を有する時計のための耐衝撃性軸受であって、
前記中心部分は、時計の回転ホイールセットのホゾを受承するための非貫通孔(16;16A;16B)を有し、
前記弾性構造及び前記中心部分は単一ピース部品(6;36)によって形成される耐衝撃性軸受において、
前記単一ピース部品は単結晶水晶で形成されること、及び
前記非貫通孔は、切頂又は非切頂三角錐を共に形成する3つの傾斜した小面(40A;40B;40C)を有すること
を特徴とする、耐衝撃性軸受。
【請求項8】
前記3つの小面はそれぞれ、前記非貫通孔の中心軸と共に約40度(40°)の角度を形成することを特徴とする、請求項7に記載の耐衝撃性軸受。
【請求項9】
前記3つの小面は、前記非貫通孔が開いている前記単一ピース部品の外面まで延伸することはないこと、及び
前記外面と前記3つの小面との間の前記非貫通孔の側表面は、前記3つの小面の勾配よりも急な1つ又は複数の勾配を有すること
を特徴とする、請求項7又は8に記載の耐衝撃性軸受。
【請求項10】
前記非貫通孔の前記側表面によって形成される前記1つ又は複数の勾配は、前記非貫通孔の中心軸に対して20度(20°)未満であることを特徴とする、請求項9に記載の耐衝撃性軸受。
【請求項11】
前記単一ピース部品は穿孔されたウェハであり、
前記ウェハの2つの主面に対して垂直な前記ウェハの軸(Z)は、前記単結晶石英の光学軸とほぼ等しいことを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載の耐衝撃性軸受。
【請求項12】
前記弾性構造は、湾曲したスロット及び/又は少なくとも部分的に湾曲した線を形成する開口部を有することを特徴とする、請求項11に記載の軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計のための耐衝撃性軸受(緩衝器デバイスを有する軸受)の分野及び時計のための耐衝撃性軸受を製造する方法に関する。本発明は、特に機械式腕時計ムーブメントの天真のホゾを受承するための耐衝撃性軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、単結晶シリコンで形成される耐衝撃性軸受を記載しており、この耐衝撃性軸受は、中心部分及びこの中心部分を周縁環状部分に接続する径方向弾性アームを有する。中心部分は、四角錐形状を有するフレア状孔を有する。まず、四角錐形の孔の底部はホゾを支持するのに最適ではない点に留意されたい。このタイプの孔の製作に関して、上記特許は異方性ウェットエッチングを提案している。これを達成するためには、四角錐形状孔の機械加工を可能とするためにシリコン基材を適切に配向しなければならないことが言及されている。次に、単一ピースのシリコン部品の残りの部分、特に弾性アームを機械加工するために、上記特許は別の機械加工技術、即ち深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)を使用することを提案している。DRIEには、異方性ウェットエッチングとは異なる複雑で高コストな設備が必要となる。よって、上記特許の教示による耐衝撃性軸受の製造コストは比較的高い。シリコン部品を機械加工するために2つの異なる技術を異なる設備で使用することは、特許文献1の創作者がシリコン耐衝撃性軸受を製造する方法を不必要に複雑化する傾向があったために生じたものではない点に留意されたい。むしろこれは単結晶シリコンの性質により生じた要件である。実際、フレア状四角錐形状孔を得るために要求されるシリコン基材の配向では、略垂直な側壁又は周縁環状部分を有するアームを備えた弾性構造を提供することができない。
【0003】
一般にシリコンは、略垂直壁を有する構造の機械加工が不可能であり、酸浴を用いたエッチングにより湾曲を持たせることができないことを、本発明者は見出した。更に、垂直壁を有する単結晶シリコンウェハにおいて開口部を得るには、特定のシリコン結晶配向しかウェハに利用できない(四角錐形状孔を得るための配向とは両立できない)。このような垂直壁のために利用可能な方向は限られており、垂直壁は平面によってのみ形成される。
【0004】
特許文献2は、単一ピースシリコン部品及びそれと連携する穿孔された石を含む耐衝撃性軸受を記載している。単一ピース部品は弾性構造及び受石を構成する。これは公知の技術であるフォトリソグラフィ及びエッチングを用いてシリコンウェハに形成される。この特許文献は、単一ピース部品をシリコンで、又はフォトリソグラフィ及び化学的エッチング技術によって容易に機械加工できる別の好ましい単結晶材料で製作できることを述べている。シリコン以外の例は挙げられていない。シリコンに関しては上述したように、スロット又は垂直壁を有する開口部を得ることはできるものの、設計が限られている。特に、シリコン結晶ウェハの化学的エッチングによって、上記特許文献の図面に示されている全ての設計を得ることはできない。単結晶材料製の耐衝撃性軸受を製造する方法に関する上記特許による教示は、依然として不明瞭である。シリコンの例のみが明示的に述べられている。シリコン結晶の実施形態の制限及び欠点は、特許文献1の議論において詳述されている。更に、ここで化学的エッチングに与えられた意義が明確でない。いずれの場合も、図面に示された構造のような弾性構造は、酸浴においてではなく、特許文献1の場合と同様に深掘り反応性イオンエッチングによって製作されていると結論付けることができる。
【0005】
特許文献2の出願人はまた、特許文献3(優先日同じ)を出願している。この特許文献3は、単結晶材料のディスクで形成された耐衝撃性軸受を開示している。上記ディスクは弾性構造及びテンプのホゾを受承するための非貫通孔を有する中心部分を形成している。変形例では、弾性構造は3つの交互らせん構造を画定する。非貫通孔は、図面に示されるように、平底の円筒形状である。なお、孔はホゾが導入される部分よりも大きく、これによってホゾが移動して円筒形部分に当たって擦れてしまうため、平底の円筒形状は最適ではない。主要な実施形態によると、この特許文献は、公知の技術であるフォトリソグラフィ(化学的プロセスとも呼ばれる)を用いて機械加工される単結晶シリコンディスク又はウェハを使用することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】スイス特許第700496号
【特許文献2】国際公開第2009/060074号
【特許文献3】欧州特許第2015147号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、単一ピース単結晶部品の複雑かつ高コストな機械加工の問題を解決すること、並びに弾性構造及び中心部分を構成する単一ピース部品で形成される耐衝撃性軸受を提供することであり、上記中心部分は、回転ホイールセットのホゾを受承するための機械加工された孔を有し、上記耐衝撃性軸受は高品質であるにもかかわらず比較的低コストで工業的に機械加工できる。
【0008】
本発明の別の目的は、非貫通孔を有する上述のタイプの耐衝撃性軸受を提供することであり、この非貫通孔の形状は、この非貫通孔において枢動する回転ホイールセットの軸を適切にセンタリングするために、及び摩擦を最小化するために有利である。
【0009】
本発明の別の目的は、魅力的であり、特定のはっきりと分かる外観を有する耐衝撃性軸受を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、弾性構造及びこの弾性構造によって支持される中心部分を含む時計のための耐衝撃性軸受に関し、この中心部分は、時計の回転ホイールセットのホゾを受承するための非貫通孔を有する。この弾性構造及び中心部分は、単結晶石英で形成される単一ピース部品によって形成され、非貫通孔は切頂又は非切頂三角錐を共に形成する3つの傾斜した小面を有する。
【0011】
好ましい変形例では、単一ピース部品は穿孔されたウェハであり、その主面に対して垂直なウェハの軸は単結晶石英の光学軸と略平行である。
【0012】
本発明はまた、耐衝撃性軸受を製造するための方法の2つの主要な実装形態にも関し、ここでは弾性構造及び弾性構造によって支持されかつ非貫通孔を有する中心部分は、単結晶石英製である。
【0013】
本発明による製造方法により、化学浴での機械加工しか必要としない比較的安価な方法によって高品質な透明耐衝撃性軸受を得ることができる。更に、この方法により、底部が少なくとも部分的に三角錐によって形成される軸受のための非貫通孔を機械加工することが可能となり、上記三角錐の面に対して回転ホイールセットのホゾが当接する。この非貫通孔は、回転ホイールセットの軸の改善されたセンタリングを保証し、摩擦も最小化する。透明軸受は、孔内の油の存在の確認が容易になるという点においても有利である。
【0014】
本発明の他の特定の特徴及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」において詳述する。
【0015】
本発明を、非限定的な例として挙げられる添付した図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明による耐衝撃性軸受の一実施形態を示す断面図である。
図2図2は、図1の耐衝撃性軸受を形成する穿孔された単結晶石英の上面図である。
図3図3は、単結晶石英の結晶の斜視図であり、この中には図2の穿孔されたディスクの製造に使用するために切り込まれるウェハが存在する。
図4A図4Aは、石英ウェハの断面図であり、ウェハの2つの主面は、石英のエッチング浴に耐性を有するよう選択されたマスクでコーティングされている。
図4B図4Bは、石英の異方性エッチングのために設けられた化学浴での機械加工後の図4Aのウェハの概略断面図である。
図5図5は、本発明の方法に従って機械加工された石英ウェハにおいて得られた非貫通孔を示す平面図である。
図6図6は、本発明の方法に従って機械加工された石英ウェハにおいて得られた非貫通孔を示す第2の変形例の平面図である。
図7図7は、図6のVII‐VIIに沿った断面図であり、図6とは、非貫通孔の入口部分が垂直壁を有さず急な斜面を有している点においてのみ異なる。
図8A図8Aは、図4Aに対応する断面図であり、ここではより分厚い石英ウェハと、図6、7に示す非貫通孔と同様の形状を有するより大きな直径の非貫通孔とを有する。
図8B図8Bは、図4Bに対応する断面図であり、ここではより分厚い石英ウェハと、図6、7に示す非貫通孔と同様の形状を有するより大きな直径の非貫通孔とを有する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による耐衝撃性軸受2を、図1、2、3、5を参照して以下に説明する。この耐衝撃性軸受は、時計の受け又は地板4に設けられ、またこの耐衝撃性軸受は単結晶石英ウェハ6(ウェハはディスク又は円形プレートを画定する)及びウェハ6のためのハウジングを有する基部8からなる。このウェハは、ウェハに機械加工された略円形のスロット12で形成される弾性構造10及び時計ムーブメントの回転ホイールセット(図示せず)のホゾを受承するための非貫通孔16を有するこの弾性構造によって支持される中心部分14を有する。実質的に円弧形状に成形されたスロット12は、スロットの間に、中心部分をウェハ6の周縁領域に接続する弾性らせん状アームを形成する。よってこの弾性構造及び中心部分は、単結晶石英で形成される単一ピース部品によって形成される。
【0018】
中心部分14の周縁に弾性構造を設けることにより、この中心部分14は、ウェハ6の平面内を移動でき、ある程度垂直にも移動できる。この目的のために、スロットは好ましくは弾性構造10と基部8のハウジングの底部との間に設けられる。軸受2は、懸架式耐衝撃性軸受を構成する。なお、基部8は、回転ホイールセットのアーバが通過するための開口部を含み、また、激しい軸方向の及び/又は垂直方向の衝撃を受けた場合に停止部材として作用する。なお、停止部材は様々な様式で設けてもよく、変形例では、ウェハ6は中間要素を用いることなく受け又は地板4に直接設けられている。
【0019】
弾性構造10は、ウェハ6の平面において多数の設計の変形例を有することができる。中心部分14に関しては、基部8の周縁部分に弾性的に接続するだけで十分である。しかしながら、図2に示すタイプの交互らせん状アームの配置は、弾性アームの長さが径方向アームを有する構成に対して増大するため有利である。これを達成するために、石英ウェハの選択は、以下で説明する浴でのエッチングプロセスによってこのタイプの設計を得ることができるため重要である。
【0020】
本発明によると、中心部分14の底面に機械加工された非貫通孔16は、3つの傾斜した小面40A、40B、40Cを有し、これらの小面40A、40B、40Cは共に少なくとも部分的に三角錐を形成する(図5を参照)。変形例によると、3つの小面はそれぞれ非貫通孔の中心軸Zと共に約40°の角度を形成する。即ちこれらの小面それぞれの中央直線42は、非貫通孔の中心軸と共に約40°の角度を形成する。非貫通孔の底部は、特に孔の直径が大きくなる場合には他の小面を有してもよい(図6を参照)。これらの異なる小面は、以下に説明する本発明による製造方法によって提供される石英のエッチングから生じたものである。
【0021】
好ましい変形例では、非貫通孔はまた、非貫通孔の入口部分に、略垂直な側壁を有する(図7を参照)。よって上記3つの小面は、非貫通孔が開いている単一ピース部品の外面まで延伸することはなく、外面と3つの小面との間の非貫通孔の側表面は3つの小面の勾配よりも急な1つ又は複数の勾配を有する。特定の変形例によると、非貫通孔の側表面によって形成される1つ又は複数の勾配は、非貫通孔の中心軸に対して20度(20°)未満である。
【0022】
好ましい実施形態によると、単結晶石英ウェハ6は、単結晶石英ウェハ6の2つの主面に垂直な軸Zが単結晶石英の光学軸とほぼ等しくなるように選択される。図3は、石英結晶18と、プレートを製造するために上記石英結晶に切り込まれるスライス6Aを概略的に示し、このプレートにおいて後に本発明によるウェハ6が機械加工される。
【0023】
弾性構造と、弾性構造によって支持されかつ時計の回転ホイールセットのホゾを受承するための非貫通孔を有する中央部分とを有するこのタイプの耐衝撃性軸受を製造する方法の第1の代替形態又は第1の実装形態によると、上記弾性構造及び上記中心部分は1つの単一ピース部品で形成され、以下のステップが提供される:
A)2つの主面(それぞれ第1の面及び第2の面)が、単結晶石英の結晶構造の光学軸に略垂直に配向される、単結晶石英ウェハを作製するステップ;
B)弾性構造の外形及び上記ウェハに設けられる非貫通孔の外形が上記第1の面上に画定されるようにフォトリソグラフィによって構成される第1のマスクを、単結晶石英ウェハの第1の面上に形成するステップ;
C)光学軸に沿ったエッチングを大幅に促進する単結晶石英の異方性エッチングに適した化学的エッチング浴(第1のマスクはこのエッチング浴のエッチングに耐性を有するよう選択される)に、上記ウェハを挿入することにより、弾性構造及び単結晶石英ウェハの非貫通孔を機械加工するステップ。
【0024】
なお、孔の直径が比較的小さい場合、特に約120ミクロン(120μ)よりも小さい場合、孔の中央軸に沿って孔が形成される速度が、弾性構造の上記軸の方向における機械加工速度よりも遅くなるため、第1の面からのエッチングのみによって非貫通孔及び弾性構造を同時に得ることができる。
【0025】
好ましい変形例によると、機械加工された弾性構造は湾曲したスロット及び/又は少なくとも部分的に湾曲した線を有する開口部を有し、これは上で説明した弾性構造を最適化する。
【0026】
図4A、4Bに示す第1の実装形態の好ましい変形例では、以下のステップが提供される:
A)2つの主面(それぞれ第1の面及び第2の面)が、単結晶石英の結晶構造の光学軸Zに略垂直に配向される、単結晶石英ウェハ6Aを製作するステップ;
B)上記第1の面及び上記第2の面それぞれの上に弾性構造10の外形が形成されるようにフォトリソグラフィによって構成される第1のマスク20及び第2のマスク26を、それぞれ単結晶石英ウェハの第1の面上及び上記ウェハの第2の面上に形成し、ここで第1のマスク20はまたウェハ6に配設される非貫通孔16aの外形を形成する、ステップ;
C)光学軸Zに沿ったエッチングを大幅に促進する単結晶石英の異方性エッチングに適合された化学的エッチング浴(第1のマスクは及び第2のマスクはこのエッチング浴のエッチングに耐性を有するよう選択される)に、上記ウェハを挿入することにより、弾性構造10及び単結晶石英ウェハの非貫通孔16aを機械加工するステップ。
【0027】
よって、石英ウェハの両側を同時にエッチングして弾性構造を形成する。これによりまずエッチング浴での機械加工時間を削減でき、また側壁を有する開口部も得ることができる。この変形例は特に、非貫通孔が比較的大きな、具体的には150ミクロン(150μm)超の直径を有する場合を示している。よって、同一の化学的エッチング浴中で、弾性構造の機械加工と同時に非貫通孔を容易に製作できる。しかしながらこの変形例は、非貫通孔がより小さな直径を有する場合でさえ、弾性構造を作製するのに有利である点に留意されたい。
【0028】
特定の変形例では、石英ウェハの2つの主面に対する法線は、単結晶石英の結晶構造の光学軸(複屈折の角度)と共に約2度(2°)の角度を形成する。石英エッチング浴は、特にフッ化水素酸(HF)を含有する。変形例では、石英エッチング浴は、フッ化アンモニウム(NH4F)も含有する。
【0029】
2つのマスクを作製するために使用するフォトリソグラフィ法は標準的なものである。各感光性層22、28を、例えばクロム‐金(Cr‐Au)層である各金属層20、26上に蒸着する。続いて各感光性層を選択的に照明及び現像して、設けられたマスクに対応する開口部を得る。こうして感光性層22は、弾性構造のための開口部24A及び非貫通孔のための開口部25を有する。一方で感光性層28は、弾性構造10のための開口部24Bのみを有する。ひとたび感光性層22、28が構成されると、ウェハ6Aが金属層20、26のエッチングに適合された化学的浴中に配置され、これによって後続の局所的な石英エッチングのための2つの対応するマスクを形成できる。
【0030】
最後に、光学軸Z上でのエッチングを実質的に促進することによって単結晶石英の強異方性エッチングを実施するために選択された化学的浴の中に、2つのマスクを備えるウェハ6Aを配置する。化学的浴中で所定の時間(これは特にウェハの厚さの及び非貫通孔に必要な深さに応じて決まる)が経過すると、穿孔されたウェハ6が略垂直壁を有する円形スロット12と共に得られる。更に、上述したように底部が傾斜した小面を有する非貫通孔16Aが得られる(横断面図において、錐体の2つの小面は一般に同一の傾斜で横断されないため、図4Bの断面図における対称なV字型は概略的なものである)。図4Bに示す変形例では、孔の底部は三角錐のみで形成される。例として、ウェハ6の厚さは約200ミクロンであり、非貫通孔の直径は100又は200ミクロンである。
【0031】
上述のタイプの耐衝撃性軸受を製造する方法の第2の代替形態又は第2の実装形態によると、本方法は以下のステップを含む:
A)2つの主面(それぞれ第1の面及び第2の面)が、単結晶石英の結晶構造の光学軸に略垂直に配向される単結晶石英ウェハを製作するステップ;
B)上記第1の面上に弾性構造の外形が形成され、回転ホイールセットのホゾを受承するための非貫通孔の外形は形成されないように、フォトリソグラフィによって構成される第1の初期マスクを単結晶石英ウェハの第1の面上に形成するステップ;
C)光学軸に沿ったエッチングを大幅に促進する単結晶石英の異方性エッチングに適合された化学的エッチング浴(第1のマスクはこのエッチング浴のエッチングに耐性を有するよう選択される)中に、上記ウェハを配置することにより、単結晶石英ウェハの、ステップB)で得た第1の初期マスクによって画定された弾性構造を部分的に機械加工するステップ;
D)非貫通孔の外形を形成して第1の最終マスクを得るために、第1の初期マスクを構成するステップ;
E)弾性構造を最終機械加工し、またこれと同時に、上記ウェハを化学的エッチング浴中に再び配置することにより、単結晶石英ウェハの、ステップD)で構成された第1の最終マスクによって形成された非貫通孔を機械加工する、ステップ。
【0032】
本発明の方法のこの第2の実装形態の好ましい変形例を、図8A、8Bに概略的に示す。この好ましい変形例では、ステップC)の前に、単結晶石英ウェハの第2の面上に第2のマスクを形成し、上記マスクは、上記第2の面上の弾性構造の外形を形成するように、フォトリソグラフィによって構成される。この変形例により、図8Aに示すようにウェハ36Aの両側のエッチングが可能となる。図8Aは、本明細書に記載した変形例による方法のステップC)の後、初期マスク21Aに孔25(図8B)を製作して最終マスク21を得ることができるようにするために感光性層23に開口部25を得るための、上記層の照明及び現像の後に出現した、単結晶石英ウェハ36Aの概略断面図である。この最終マスクにより、弾性構造10の最終機械加工段階において非貫通孔16Bを機械加工して、図8Bに示す穿孔されたウェハ36を得ることができる。第2のマスク27は、感光性層29を用いて構成した。マスク21A、27をエッチングするために、感光性層23、29はそれぞれフォトリソグラフィによって構成され、それぞれ弾性構造10に対応する開口部24A、24Bを有する。マスク21Aにおいて開口部25をエッチングする前に、即ち本明細書で記載した方法のステップD)の前に、ウェハ36Aを第1の段階又は期間の間、異方性石英エッチング浴中に配置する。ウェハを浴から取り出した後、図8Aに示すように弾性構造を部分的に機械加工する。溝32、33がウェハ36Aの2つの側に得られる。
【0033】
好ましい変形例によると、上述のステップB)とC)との間に、第1の初期マスク21Aを部分的に構成して弾性構造を画定するために機能した感光性層23を照明して、所望の非貫通孔に対応する感光性層に孔25Aを形成する(図8A)。なお、孔25Aを得るための感光性層23の現像は、ステップC)の前又は後に行ってよい。このようにして、単結晶石英ウェハに蒸着された金属層のエッチング及び第1のマスクの形成のために選択されたエッチング浴において、第1のマスクの構成がここでは2つの段階で達成される。
【0034】
本発明による方法の第2の実装形態により、弾性構造の機械加工のための、及び単結晶石英のための異方性エッチング浴で非貫通孔を機械加工するための、2つの異なる期間を決定できるようになる。これは、弾性構造及び非貫通孔のためのエッチング時間を最適化する。よって例として、単結晶石英ウェハの厚さは300ミクロンであり、非貫通孔の直径は約200ミクロンに等しい。弾性構造の第1のエッチング段階即ち時間は例えば2時間(2h)続き、弾性構造及び非貫通孔のエッチング段階即ち時間は例えば約2時間続く。非貫通孔の深さは、例えば100〜150ミクロンである。
【0035】
図6、7に示すように、特に非貫通孔の直径が150ミクロン超である場合、小面42は非貫通孔16Bの底部の中心領域に出現し、これら小面42は、図5に記載した三角すいに対応する主要な三角錐の小面40A、40B、40Cに加えて、それぞれ垂直軸Zと共に比較的大きな角度(具体的には約60°)を形成する。つまり主要な三角錐は切頂加工されており、即ちその頂上領域は、三角錐の3つの小面の勾配よりも小さな勾配を有する小面に切断される。好ましくは、非貫通孔1Bは、その入口部分に略垂直壁を有する。非貫通孔に挿入されるホイールセットのアーバのホゾ50は好ましくは、上記ホゾが非貫通孔の底部に当接する地点が、ホゾ50の回転軸Zと共にほぼ40°の角度を形成する主要な三角錐の3つの小面の領域46に位置するように構成される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
【国際調査報告】