(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
本発明は、胚葉(内胚葉、中胚葉、外胚葉、神経冠)のそれぞれに由来する癌を治療または予防するための試薬、方法およびキットを提供する。前記試薬は、インターフェロン-ガンマ(INF-γ)応答性の癌細胞を包含し、前記細胞は自己貪食性かつ非アポトーシス性の癌細胞であり、前記細胞はMHCクラスIIを発現する。
癌が、内皮起源、中胚葉起源または外胚葉起源の1つまたは複数の組織に由来し、前記癌が、神経冠起源のメラノーマ、内胚葉起源の大腸癌、中胚葉起源の腎臓癌、外胚葉起源のグリア芽細胞腫または混合中胚葉プラス胚体外起源の卵巣癌である、請求項1記載の樹状細胞の集団。
インビトロにおいてINF-γまたはINF-γ模倣体で処理されていない癌細胞の80%より多くが自己貪食性かつ非アポトーシス性である、請求項1記載の樹状細胞の集団。
INF-γまたはINF-γ模倣体で処理されていない癌細胞の少なくとも80%は、核酸架橋剤で処理されており、細胞分裂ができない、請求項1記載の樹状細胞の集団。
S-100、HMB-45、Mel-2、Melan-A、Mel-5、MAGE-1、MART-1またはチロシナーゼであるメラノーマ特異的な抗原に由来する1つまたは複数のペプチドを含み、かつ癌がメラノーマである、請求項1記載の樹状細胞の集団。
少なくとも1つの癌細胞が癌特異的ペプチドを含み、前記癌特異的ペプチドが実質的にAPCに含まれず、前記癌特異的ペプチドが実質的にAPCによってプロセシングされていない、請求項22記載の組成物。
癌細胞がメラノーマ特異的ペプチドを含み、癌特異的ペプチドがAPCに実質的に含まれ、癌特異的ペプチドがAPCにおいて部分的にまたは実質的にプロセシングされる、請求項22記載の組成物。
細胞が、試薬である7-アミノアクチノマイシンD(7-ADD)および試薬であるアネキシンの少なくとも1つを使用して非アポトーシス性であることが示される、請求項22記載の組成物。
請求項22記載の組成物の免疫学有効量を投与することを含む、癌を有し癌細胞を含む対象における免疫応答を刺激する方法であって、前記対象が第1の対象と同じである、前記方法。
癌細胞の少なくとも90%がインビトロにおいてINF-γで処理されておらず、前記癌細胞の10%未満がインビトロにおいてINF-γで処理されている、請求項22記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0006】
添付の特許請求の範囲を含む、本明細書に使用される「ある(a)」、「ある(an)」および「該」などの語の単数形は、前後関係から別途あきらかに指示しない限り、これらの対応する複数の言及を含む。本明細書において引用される全ての引用文献は、それぞれの個々の刊行物、特許、公開された特許出願および配列表、並びに前記刊行物および特許文献における図および図が参照により援用されることを具体的かつ個々に示したのと同じ範囲で参照により援用される。
【0007】
開示
本開示は、哺乳動物樹状細胞の集団を開示する。前記哺乳動物樹状細胞の集団は、癌を有する対象から採取した癌細胞からの癌特異的ペプチドを含み;前記癌特異的ペプチドは、前記癌細胞からの樹状細胞によってインビトロにおいて得られ;前記癌細胞は、インビトロにおいてインターフェロンγ(INF-γ)で、またはINF-γ模倣物で処理されておらず;前記癌細胞の大多数は、インビトロにおいてインターフェロンγ(INF-γ)で、またはINF-γ模倣物で処理されておらず;前記癌細胞の約40パーセント未満は、インビトロにおいてインターフェロンγ(INF-γ)で、またはINF-γ模倣物で処理され;前記癌細胞の約30パーセント未満は、インターフェロンγ(INF-γ)で、またはINF-γ模倣物で処理されており;前記癌細胞の約20パーセント未満は、インターフェロンγ(INF-γ)で、またはINF-γ模倣物で処理され;前記癌細胞の約10パーセント未満は、インターフェロンγ(INF-γ)で、またはINF-γ模倣物で処理され;前記癌細胞の約5パーセント未満は、インターフェロンγ(INF-γ)で、またはINF-γ模倣物で処理され;前記癌細胞の約1%のパーセント未満は、インターフェロンγ(INF-γ)で、またはINF-γ模倣物で処理され;インビトロにおいてINF-γまたはINF-γ模倣物で処理されていない前記癌細胞の60パーセント(%)より多くは、自己貪食性および非アポトーシス性であり、および樹状細胞および癌細胞は、同じ対象に由来し;インビトロにおいてINF-γまたはINF-γ模倣物で処理されていない前記癌細胞の70パーセント(%)より多くが自己貪食性および非アポトーシス性であり、および前記樹状細胞および前記癌細胞は同じ対象に由来し;インビトロにおいてINF-γまたはINF-γ模倣物で処理されていない前記癌細胞の80パーセント(%)より多くが自己貪食性および非アポトーシス性であり、および前記樹状細胞および前記癌細胞は同じ対象に由来し;インビトロにおいてINF-γまたはINF-γ模倣物で処理されていない前記癌細胞の90パーセント(%)より多くが自己貪食性および非アポトーシス性であり、および前記樹状細胞および前記癌細胞は同じ対象に由来する。
【0008】
INF-γが添加されないことが必要とされるいくつかの態様において、本開示では、有意なまたは実質的な量に言及する。要求されるのは、種々の様式で明示されるが、癌細胞の少なくとも60%がINF-γ処理(または曝露)されていないことである。いくつかの例において、癌細胞の少なくとも70%がINF-γ処理(または曝露)されていない。いくつかの例において、癌細胞の少なくとも80%がINF-γ処理(または曝露)されていない。いくつかの例において、癌細胞の少なくとも90%がINF-γ処理(または曝露)されていない。いくつかの例において、細胞癌の少なくとも95%がINF-γ処理され(または曝露)されていない。いくつかの例において、癌細胞の少なくとも98%がINF-γ処理(または曝露)されていない。いくつかの例において、癌細胞の少なくとも99%がINF-γ処理(または曝露)されていない。いくつかの例において、癌細胞の少なくとも100%がINF-γ処理(または曝露)されていない。上記の状況において、「処理される」、および「曝露される」とは、外因的に添加されたINF-γまたはINF-γ模倣物をいう。したがって、癌細胞の少なくとも60%が処理されてないことを指示書またはプロトコルが命じる場合、そのプロトコルに従い、細胞の30%のみをINF-γで処理する使用者は、首尾よくプロトコルの要求に応じることになる。しかし、プロトコルに従う使用者が誤りをおかし、細胞の62%をINF-γで処理した場合、その使用者はプロトコルの要求を満たしていないこととなろう。本開示は、いずれの添加されたINF-γまたはINF-γ模倣物の特定の濃度、または処理された若しくは処理されていない癌細胞の量についても記載しない。本開示は、添加されたINF-γまたはINF-γ模倣体を癌細胞に接触させる場合、いずれの特定の曝露の時間枠も記載しない。本開示は、添加されたINF-γまたはINF-γ模倣物の有効性について、何らの要求にも言及しない。
本開示は哺乳動物樹状細胞の集団を提供する。前記哺乳動物樹状細胞の集団は、癌を有する対象から採取した癌細胞からの癌特異的ペプチドを含み;前記癌特異的ペプチドは、前記癌細胞からの樹状細胞によってインビトロにおいて得られ;前記癌細胞は、インビトロにおいてインターフェロンγ(INF-γ)でまたはINF-γ模倣物で処理されておらず;インビトロにおいてINF-γまたはINF-γ模倣物で処理されていない前記癌細胞の60パーセント(%)より多くまたは70%より多くまたは80%より多くまたは90%より多くまたは95%より多くまたは98%より多くまたは99%より多くが自己貪食性および非アポトーシス性であり、前記樹状細胞および前記癌細胞は同じ対象に由来する。
【0009】
対象からの樹状細胞の集団などのINF-γが添加されることが必要とされる例において、前記樹状細胞の集団は、癌を有する対象から採取した癌細胞からの癌特異的ペプチドを含み、前記癌特異的ペプチドは、インビトロにおいてINF-γまたはINF-γ模倣物で処理された前記癌細胞からの樹状細胞によってインビトロにおいて得られ、インビトロにおいてINF-γまたはINF-γ模倣物で処理された前記癌細胞の60パーセント(%)より多くが自己貪食性および非アポトーシス性であり、および前記樹状細胞および前記癌細胞は、同じ対象に由来する。その他の態様において、必要とされ得ることは、癌細胞の65%より多く、70%より多く、75%、80%より多く、90%より多く、95%より多く、98%より多く、99%より多くまたは100%が自己貪食性および非アポトーシス性である。上記の例示的なプロトコル(INF-γが添加されることが必要とされる)は、INF-γまたはINF-γ模倣物で処理された総癌細胞の割合についてのいずれの要求も記載しないが、INF-γまたはINF-γ模倣物の濃度についていずれの要求も記載せず、添加したINF-γまたはINF-γ模倣物が癌細胞に対して任意の特定のレベルの有効性を有することの要求を記載しない。しかし、代替の例示的な(INF-γが添加されることが必要とされる)態様において、必要とされ得ることは、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の癌細胞が、外因的に添加されたINF-γまたはINF-γ模倣物に曝露される(または接触される)ということである。「集団」は、フラスコ、ビーカー、バイオリアクター、タイタープレートのウェル、所与のタイタープレートの全てのウェル、瓶、ロット番号、癌細胞が由来する特定の腫瘍生検、癌細胞の特定のバッチが維持培養に、または成長培養に、および同様のものに最初に供された日付および時間の存在に関して定義することができる。除外される態様において、本開示は、所望のフラスコ、ビーカー、バイオリアクター、特異的腫瘍生検、維持培養バッチ、成長培養バッチおよび同様のものに由来しない腫瘍抗原で処理された細胞、癌細胞、樹状細胞または樹状細胞を除外することができる。
【0010】
また、癌が内皮起源、中胚葉起源または外胚葉起源の1つまたは複数の組織に由来する、上記の樹状細胞の集団が提供される。また、癌が神経冠起源の組織由来であり、前記神経冠が外胚葉起源である上記の樹状細胞の集団が提供される。また、癌が内皮起源、中胚葉起源または外胚葉起源の1つまたは複数の組織由来であり、および癌が神経冠起源、内胚葉起源の大腸癌、中胚葉起源の腎臓癌、外胚葉起源のグリア芽細胞腫または混合中胚葉プラス胚体外起源の卵巣癌のメラノーマである上記の樹状細胞の集団が提供される。
また、インビトロにおいてINF-γまたはINF-γ模倣物で処理されていない前記癌細胞の80%より多くが自己貪食性および非アポトーシス性である、上記の樹状細胞の集団が提供される。また、上記の樹状細胞の集団を含む、上記の対象のためのワクチンが提供される。また、INF-γまたはINF-γ模倣物で処理されていない癌細胞の本質的に全てが細胞分裂ができない、上記の樹状細胞の集団が提供される。また、INF-γまたはINF-γ模倣物で処理されていない癌細胞の本質的に全てが照射を受けており、かつ細胞分裂ができない、上記の樹状細胞の集団が提供される。また、INF-γまたはINF-γ模倣物で処理されていない癌細胞の少なくとも80%が照射を受けており、かつ細胞分裂ができない、上記の樹状細胞の集団が提供される。また、INF-γまたはINF-γ模倣物で処理されていない癌細胞の少なくとも80%が核酸架橋剤で処理されており、かつ細胞分裂ができない、上記の樹状細胞の集団が提供される。
【0011】
また、S-100、HMB-45、Mel-2、Melan-A、Mel-5、MAGE-1、MART-1またはチロシナーゼであるメラノーマ特異的な抗原に由来する1つまたは複数のペプチドを含み、および癌がメラノーマである、請求項1記載の上記の樹状細胞の集団が提供される。また、所与の対象がヒト患者である、上記の樹状細胞の集団が提供される。また、所与の対象がヒトでない哺乳動物である、上記の樹状細胞の集団が提供される。ワクチンの態様において、癌を有する対象からの少なくとも1つの成熟した樹状細胞を含み;前記少なくとも1つの成熟した樹状細胞は同じ対象からの前記少なくとも1つの癌腫瘍細胞に接触したことがあり、前記少なくとも1つの成熟した樹状細胞と接触した前記少なくとも癌腫瘍細胞は、非分裂性、自己貪食性および非アポトーシス性である、癌ワクチンが提供される。また、対象に上記の樹状細胞の集団の免疫刺激性量を投与することを含む、癌特異的抗原に対する免疫応答を刺激するための方法が提供される。
また、刺激される免疫応答がCD4
+ T細胞応答、CD8
+ T細胞応答およびB細胞応答の1つまたは複数を含む、上記の方法が提供される。また、CD4
+ T細胞応答、CD8
+ T細胞応答またはB細胞応答は、ELISPOTアッセイによって、細胞内サイトカイン染色アッセイによって、四量体アッセイによって、または抗原特異的な抗体産生を検出することによって測定することができる、上記の方法が提供される。また、前記免疫応答が2年の全体生存率(OS)を含む生存時間を含み、および2年の全体生存率が少なくとも60%である、上記の方法が提供される。また、投与がワクチンの皮下注射を含む、上記の方法が提供される。また、投与が、3月間毎週、および次いで5月間毎月処方されるワクチンの注射を含む、上記の方法が提供される。また、同じ対象からの癌細胞および樹状細胞を含む樹状細胞ワクチンを調製するための方法であって:1つまたは複数の癌細胞を細胞分裂を防止する薬剤で処理すること;自己貪食性および非アポトーシス性である癌細胞を選択すること;非自己貪食性およびアポトーシスである癌細胞を排除すること;を含み、前記1つまたは複数の癌細胞はインビトロにおいてインターフェロンγ(INF-γ)またはINF-γ模倣物で処理されておらず、自己貪食性および非アポトーシス性である前記癌細胞が1つまたは複数の自己の樹状細胞に提供されるか、または自己貪食性および非アポトーシス性である前記癌細胞に由来するペプチドが1つまたは複数の自己の樹状細胞に提供される、前記方法が提供される。
【0012】
以下は組成物態様を提供する。第1の対象からのインターフェロンγ(INF-γ)で処理されていない少なくとも1つの癌細胞および同じ第1の対象からの少なくとも1つの抗原提示細胞(APC)を含む組成物であって、前記癌細胞は自己貪食性および非アポトーシス性である癌細胞を含む、前記組成物が提供される。また、癌細胞がMHCクラスIIを発現する、上記の組成物が提供される。また、APCが、樹状細胞、マクロファージまたはB細胞である、上記の組成物が提供される。また、少なくとも1つの癌細胞が癌特異的ペプチドを含み、前記癌特異的ペプチドは実質的に前記APCに含まれず、前記癌特異的ペプチドが実質的に前記APCによってプロセシングされない、上記の組成物が提供される。また、癌細胞がメラノーマ特異的ペプチドを含み、前記癌特異的ペプチドが前記APCに実質的に含まれ、および前記癌特異的ペプチドが前記APCにおいて部分的にまたは実質的にプロセシングされる、上記の組成物が提供される。
また、癌細胞がAPCに取り込まれた、上記の組成物が提供される。また、癌細胞がAPCに取り込まれていない、上記の組成物が提供される。また、自己貪食が微小管関連タンパク質軽鎖3(LC3)をアッセイする試験によって示される、上記の組成物が提供される。また、細胞が、試薬、7-アミノアクチノマイシンD(7-ADD)または試薬、アネキシンの少なくとも1つを使用して非アポトーシス性であることが示される、上記の組成物が提供される。癌を有する、および癌細胞を含む対象における免疫応答を刺激する方法であって、対象は、第1の対象と同じ対象であり、上記組成物の免疫学有効量を投与することを含む、前記方法が提供される。また、癌細胞の少なくとも90%がインビトロにおいてINF-γで処理されておらず、癌細胞の10%未満がインビトロにおいてINF-γで処理される、上記の組成物が提供される。
【0013】
以下は、製造する方法態様を提供する。上記のワクチンまたは上記の組成物を製造するための方法であって、少なくとも1つの癌腫瘍細胞を少なくとも1つの抗原提示細胞(APC)と接触させることを含み、少なくとも1つの癌腫瘍細胞は、第1のヒト被験者由来であり、および少なくとも1つのAPCが同じ第1のヒト被験者由来である、前記方法が提供される。樹状細胞ワクチンを調製するための方法であって:細胞分裂を防止する薬剤で第1の対象から得た癌細胞を処理すること;自己貪食性および非アポトーシス性である癌細胞を選択すること;および選択された癌細胞を同じ第1の対象からの自己の樹状細胞と接触させること、を含み、前記癌細胞がインビトロにおいてINF-γまたはINF-γ模倣物で処理されていない、前記方法が提供される。また、上記の方法によって調製された、樹状細胞ワクチンを含む組成物が提供される。また、癌特異的抗原に対する免疫応答を刺激するための方法であって、癌を有する対象に上記の組成物を投与することを含む前記方法が提供される。
メラノーマを有し、およびメラノーマ細胞を含む所与の対象からのメラノーマ特異的なペプチドを含む哺乳動物樹状細胞の集団であって、前記メラノーマ特異的なペプチドがインビトロにおいてINF-γまたはINF-γ模倣物で処理されていない前記メラノーマ細胞からの樹状細胞によってインビトロにおいて得られ、インビトロにおいてINF-γまたはINF-γ模倣物で処理されていない前記メラノーマ細胞の60パーセント(%)より多くが自己貪食性および非アポトーシス性であり、および樹状細胞およびメラノーマ細胞が同じ対象に由来する哺乳動物樹状細胞の集団が開示される。
【0014】
また、前記メラノーマ細胞の80%より多くが自己貪食性および非アポトーシス性である、上記の哺乳動物樹状細胞の集団が開示される。
INF-γまたはINF-γ模倣物で処理されていないメラノーマ細胞の本質的に全てが細胞分裂ができない上記の樹状細胞;並びにINF-γまたはINF-γ模倣物で処理されていないメラノーマ細胞の本質的に全てが照射を受けており、かつ細胞分裂ができない上記の樹状細胞;並びにINF-γまたはINF-γ模倣物で処理されていないメラノーマ細胞の少なくとも80%が照射を受けており、かつ細胞分裂ができない上記の樹状細胞;並びにINF-γまたはINF-γ模倣物はで処理されていないメラノーマ細胞の少なくとも80%が核酸架橋剤で処理されており、かつ細胞分裂ができない上記の樹状細胞が開示される。
また、上記の哺乳動物樹状細胞の上記の集団を含むワクチンが開示される。
また、メラノーマ特異的なペプチドの本質的に全てが、細胞分裂ができないメラノーマ細胞由来である、上記の樹状細胞が開示される。
さらにまた、メラノーマ細胞が照射を受けるので、メラノーマ特異的なペプチドの本質的に全てが、細胞分裂ができないメラノーマ細胞由来である、上記の樹状細胞が開示される。
【0015】
メラノーマ細胞の染色体が核酸架橋薬剤によって架橋されているので、メラノーマ特異的なペプチドの本質的に全てが、細胞分裂ができないメラノーマ細胞由来である、上記の樹状細胞が開示される。
また、放射線で処理されたメラノーマ細胞由来であるメラノーマ特異的なペプチドを含む、上記の樹状細胞が開示される。
メラノーマ特異的なペプチドを含み、前記ペプチドの全てが放射線で処理されたメラノーマ細胞由来である、上記の樹状細胞が開示される。
また、S-100、HMB-45、Mel-2、Melan-A、Mel-5、MAGE-1、MART-1またはチロシナーゼであるメラノーマ特異的な抗原に由来した1つまたは複数のペプチドを含む上記の樹状細胞が開示する。
メラノーマ特異的なペプチドの本質的に全てが、インビトロにおいて処理されて細胞分裂ができないメラノーマ細胞由来である、上記の樹状細胞が開示される。
また、所与の対象がヒトである、上記の樹状細胞が開示される。
所与の対象がヒトでない哺乳動物である、上記の樹状細胞が開示される。
メラノーマを有する対象からの少なくとも1つの成熟した樹状細胞を含み、前記少なくとも1つの成熟した樹状細胞は、同じ対象からの少なくとも1つのメラノーマ腫瘍細胞と接触したことがあり、少なくとも1つの成熟した樹状細胞と接触した前記少なくとも1つのメラノーマ腫瘍細胞が非分裂性、自己貪食性および非アポトーシス性である、メラノーマワクチンが開示される。
【0016】
また、対象に請求項1記載の樹状細胞の免疫刺激性量を投与することを含む、メラノーマ特異的な抗原に対する免疫応答を刺激するための方法が開示される。
対象がメラノーマを有し、およびメラノーマ細胞を含む方法が開示される。
刺激される免疫応答が、CD4
+ T細胞応答、CD8
+ T細胞応答およびB細胞応答の1つまたは複数を含む、上記の方法が開示される。
CD4
+ T細胞応答、CD8
+ T細胞応答またはB細胞応答が、ELISPOTアッセイによって、細胞内サイトカイン染色アッセイによって、四量体アッセイ法によって、または抗原特異的の抗体産生を検出することによって測定することができる、上記の方法が開示される。
また、免疫応答が2年の全体生存率(OS)を含む生存時間を含み、および前記2年の全体生存率が少なくとも60%である、上記の方法が開示される
投与がワクチンの皮下注射を含む、上記の方法が開示される。
投与が3月間毎週、および次いで5月間毎月施されるワクチンの注射を含む、上記の方法が開示される。
【0017】
また、同じ対象からのメラノーマ細胞および樹状細胞を含む樹状細胞ワクチンを調製するための上記方法であって:1つまたは複数のメラノーマ細胞が、細胞分裂を防止する薬剤で処理されること;自己貪食性かつ非アポトーシス性であるメラノーマ細胞を選択すること;非自己貪食性およびアポトーシス性癌細胞を排除すること、を含み、前記1つまたは複数のメラノーマ細胞が、インビトロにおいてインターフェロンγ(INF-γ)またはINF-γ模倣物で処理されておらず、自己貪食性および非アポトーシス性である前記メラノーマ細胞が1つまたは複数の自己の樹状細胞に提供されるか、または自己貪食性および非アポトーシス性である前記メラノーマ細胞に由来するペプチドが、1つまたは複数の自己の樹状細胞に提供される、前記方法が提供される。
第1の対象からのインターフェロンγ(INF-γ)で処理されていない少なくとも1つのメラノーマ細胞および同じ第1の対象からの少なくとも1つの抗原提示細胞(APC)を含む組成物であって、メラノーマ細胞が自己貪食性および非アポトーシス性である、前記組成物が開示される。
また、メラノーマ細胞がMHCクラスIIを発現する、上記の組成物が開示される。
また、APCは、樹状細胞、マクロファージまたはB細胞である、上記の組成物が開示される。
少なくとも1つの癌細胞が癌特異的ペプチドを含み、前記癌特異的ペプチドは実質的にAPCに含まれず、前記癌特異的ペプチドは実質的に前記APCによってプロセシングされない、上記の組成物が開示される。
【0018】
また、メラノーマ細胞がメラノーマ特異的なペプチドを含み、前記メラノーマ特異的ペプチドがAPCに実質的に含まれ、前記メラノーマ特異的ペプチドが前記APCにおいて部分的にまたは実質的にプロセシングされる、上記の組成物が開示される。また、メラノーマ細胞がAPCに取り込まれる、上記の組成物が開示される。メラノーマ細胞がAPCに取り込まれない、上記の組成物が開示される。
自己貪食は、微小管関連タンパク質軽鎖3(LC3)をアッセイする試験によって示される、上記の組成物が開示される。
細胞は、試薬、7-アミノアクチノマイシンD(7-ADD)または試薬(アネキシン)の少なくとも1つを使用して非アポトーシス性であることが示される、上記の組成物が開示される。
メラノーマを有し、メラノーマ細胞を含む対象における免疫応答を刺激する方法であって、前記対象が第1の対象と同じ対象であり、上記の組成物の免疫学有効量を投与することを含む、前記方法が開示される。
メラノーマ細胞の少なくとも90%は、INF-γでインビトロにおいて処理されておらず、およびメラノーマ細胞の10%未満は、INF-γでインビトロにおいて処理される、上記の組成物が開示される。
上記のワクチンまたは上記の組成物を製造するための方法であって、少なくとも1つのメラノーマ腫瘍細胞を少なくとも1つの抗原提示細胞(APC)と接触させることを含み、前記少なくとも1つのメラノーマ腫瘍細胞は第1のヒト被験者由来であり、前記少なくとも1つのAPCが同じ第1のヒト被験者由来である、前記方法が開示される。
【0019】
樹状細胞ワクチンを調製するための方法であって、細胞分裂を防止する薬剤で第1の対象から得られる処理メラノーマ細胞を処理すること;;自己貪食性および非アポトーシス性であるメラノーマ細胞を選択すること;および選択されたメラノーマ細胞を同じ第1の対象から自己の樹状細胞と接触させること、を含み、前記メラノーマ細胞がインビトロにおいてINF-γまたはINF-γ模倣物で処理されていない、前記方法が開示される。
上記の方法によって製造された、樹状細胞ワクチンを含む組成物が開示される。
メラノーマ特異的な抗原に対する免疫応答を刺激するための方法であって、メラノーマを有する対象に上記の組成物を投与することを含む方法が開示される。
第1の対象からの少なくとも1つのメラノーマ細胞および同じ第1の対象からの少なくとも1つの抗原提示細胞(APC)を含む組成物であって、メラノーマ細胞は:自己貪食性;非アポトーシス性;およびMHCクラスIIを発現する、組成物が開示される。本開示において、INF-γ処理されたメラノーマ細胞はAPCに取り込まれず、INF-γ処理されたメラノーマ細胞はAPCに負荷されない。もう一つの側面において、包含されるものは、メラノーマ細胞が段階I、段階II、段階IIIまたは段階IVメラノーマで対象に由来する上記の組成物である。加えて、想定されるものは、APCは、少なくとも1つの樹状細胞を含む、上記の組成物、関連したキットおよび関連した方法である。
【0020】
一つの側面において、本開示の医薬組成物、試薬および関連した方法は、7-AAD ネガティブ、およびアネキシンV陰性である癌細胞の調製のために使用する。この集団は、たとえば、約99%の7-AAD 陰性および約99%のアネキシンV陰性または少なくとも95%の7-AAD 陰性および少なくとも95%のアネキシンV陰性または少なくとも90%の7-AAD 陰性および少なくとも90%のアネキシンV陰性であることができ、非限定的な実施例を提供する。
さらにまた、包含されるものは、自己貪食は、微小管関連タンパク質軽鎖3(LC3)をアッセイする試験によって示される、上記の組成物;および細胞は、試薬、7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD )または試薬(アネキシン)の少なくとも1つを使用して非アポトーシス性であることが示される、上記の組成物である。
方法の側面において、第1の対象からの少なくとも1つのメラノーマ細胞を除去すること、第1の対象からの少なくとも1つのAPCを除去すること、およびメラノーマ細胞をAPCに接触させることを含む、上で開示した組成物を製造する方法;並びに対象に上記の組成物を投与することを含む、対象または患者におけるメラノーマに対する免疫応答を刺激するための方法が提供される。
キットの側面において、本開示は、対象における腫瘍抗原に対する免疫応答を試験するためのキットであって、対象は上記の方法の1つまたは複数によって処理され、かつキットは、体液免疫応答、細胞性免疫応答または生得的免疫応答を検出する試薬を含む、キットを提供する。
【0021】
定義
免疫刺激性量は、限定されないが、測定可能な量によるELISPOTアッセイ結果を増加させる、測定可能な量によるICSアッセイ結果を増加させる、測定可能な量による四量体アッセイ結果を増加させる、測定可能な量による抗原特異的のCD4
+ T細胞の血液集団を増加させる、測定可能な量による抗原特異的のCD8
+ T細胞の血液集団を増加させる、または適切な対照と比較したときに、増大が少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、1.5倍、2.0倍、3.0倍および同様のものまでである量であることができる。適切な対照は、樹状細胞がメラノーマ細胞が負荷されていないか、またはメラノーマ細胞に由来するペプチドが装荷されていない対照ワクチンでありえる。
特定の文が繰り返し「癌」をいう場合、特に明記しない限り、癌は、癌の同じタイプであることが仮定されるだろう。たとえば、それが「癌を有する対象から採取した癌細胞からの癌特異的ペプチド」を説明する場合、それは以下を意味する。癌である対象がメラノーマを有する場合、ペプチドは、メラノーマ特異的なペプチドであり、およびそれは、癌細胞がメラノーマ細胞である。
「メラノーマ特異的な抗原」という用語は、メラノーマの非限定的な例を提供するために、その他の癌と関連することとは対照的に、メラノーマと頻繁に関連し、および抗原がメラノーマに独特であると考えられる抗原を包含し、および加えて、「メラノーマ特異的な抗原」という用語は、メラノーマと頻繁に関連し、および抗原が乳癌、結腸直腸癌および同様のものなどの癌のその他のタイプとも関連する抗原を包含する。
「照射する」は、本開示のためのメラノーマ細胞を照射する状況において、好ましくはガンマ-照射によるが、しかし、X線、電子、中性子、プロトン、電磁気照射、可視光、紫外線およびその他による照射も包含する。一つの側面において、照射は、メラノーマ細胞の細胞分裂を防止するように機能する。もう一つの側面において、照射は、細胞分裂を防止するが、また細胞のタンパク質を変性させる。照射に代わるものとして、本開示は、物理的破壊、たとえば超音波処理、キャビテーション、脱水、イオン枯渇の方法により、または1つもしくは複数の塩に対する曝露による毒性により、メラノーマ細胞の細胞分裂を防止する。
【0022】
「パーセント」という用語は、「メラノーマ特異的なペプチドの60%より多い」に関し、ペプチド分子の数をいい、異なる抗原的に異なるペプチドの数のことではない。「パーセント」という用語は、「メラノーマ特異的なペプチドの80%より多い」に関し、ペプチド分子の数をいい、異なる抗原的に異なるペプチドの数のことではない。「パーセント」という用語は、「メラノーマ特異的なペプチドの40%未満」に関し、ペプチド分子の数をいい、異なる抗原的に異なるペプチドの数のことではない。「パーセント」という用語は、「メラノーマ特異的なペプチドの20%未満」に関し、ペプチド分子の数をいい、異なる抗原的に異なるペプチドの数のことではない。
「ペプチド」という用語は、「メラノーマ特異的なペプチドの60%より多い」に関し、ペプチド分子、オリゴペプチド分子およびポリペプチド分子の数の合計をいう。「ペプチド」という用語は、「メラノーマ特異的なペプチドの80%より多い」に関し、ペプチド分子、オリゴペプチド分子およびポリペプチド分子の数の合計をいう。「ペプチド」という用語は、「メラノーマ特異的なペプチドの40%未満」に関し、ペプチド分子、オリゴペプチド分子およびポリペプチド分子の数の合計をいう。「ペプチド」という用語は、「メラノーマ特異的なペプチドの20%未満」に関し、ペプチド分子、オリゴペプチド分子およびポリペプチド分子の数の合計をいう。
「由来する」は、1つまたは複数の癌細胞に由来するペプチドの状況において、以下を包含する。癌細胞は、たとえばホモジナイザーによって、または浸透圧に爆発することによって破壊して、粗製抽出物を生じることができる。天然抽出物のペプチド、オリゴペプチドおよびポリペプチドを樹状細胞に曝露して、続いて樹状細胞によるペプチドのプロセシングをすることができる。また、由来するは、無処置の癌細胞と共に樹状細胞を提供することを包含し、癌細胞は、生存しているか、または癌細胞は、照射で処理されているが、なおも代謝的に活性であるか、または癌細胞は、核酸架橋薬剤で処理されているが、なおも代謝的に活性である。「由来する」は、癌細胞細片、遊離癌細胞タンパク質および照射した癌細胞の混合物を含み、これらは樹状細胞によって取り込まれ、およびしたがって、癌細胞に由来する。
【0023】
「投与」は、それがヒト、哺乳動物、哺乳動物対象、動物、獣医学的対象、偽薬対象、研究対象、実験対象、細胞、組織、器官または生物学的液体に適用されるときに、限定されないが、対象、細胞、組織、器官または生物学的液体に対する外来性リガンド、試薬、偽薬、小分子、医薬品、治療薬、診断薬または組成物、およびその他同様のものの接触をいう。「投与」は、たとえば治療的、薬物動態学的、診断的、研究、偽薬および実験的方法をいうことができる。細胞の処理は、細胞に対する試薬の接触、並びに液体に対する試薬の接触を包含し、液体が細胞と接触される。また、「投与」は、たとえば試薬、診断の、結合する組成物による、またはもう一つの細胞による、細胞のインビトロおよびエキソビボでの処理も包含する。
「アゴニスト」は、それがリガンドおよび受容体に関するとき、受容体を刺激する分子、分子の組み合わせ、複合体または試薬の組み合わせを含む。たとえば、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)のアゴニストは、GM-CSF、GM-CSFの突然変異タンパク質または誘導体、GM-CSFのペプチド擬態、GM-CSFの生物学的機能を模倣する小分子またはGM-CSF受容体を刺激する抗体を包含することができる。アンタゴニストは、それがリガンドおよび受容体に関するとき、受容体を阻害する、反対に作用する、ダウンレギュレートする、および/または脱感作する分子、分子の組み合わせまたは複合体を含む。「アンタゴニスト」は、受容体の構成的活性を阻害する任意の試薬を包含する。構成的活性は、リガンド/受容体相互作用の非存在したにおいて顕在化されるものである。また、「アンタゴニスト」は、受容体の刺激された(または調節された)活性を阻害する、または予防する任意の試薬を包含する。たとえば、GM-CSF受容体のアンタゴニストは、いずれの限定も意味しないが、リガンド(GM-CSF)に結合し、およびそれが受容体に結合するのを防止する抗体または受容体に結合し、およびリガンドが受容体に結合するのを防止する、または抗体が不活性コンフォメーションにおいて受容体をロックする抗体を含む。
明示的に別段に定めたか、または状況によって別途指示されない限り、「発現」という用語は、以下を包含する。発現は、mRNAの生合成、ポリペプチド生合成、たとえば翻訳後修飾によるポリペプチド活性化または細胞内の位置を変化することによる、もしくはクロマチンへの動員による発現の活性化を包含する。言い換えると、「発現の増加」は、生合成の増加またはリン酸化によって生じる活性の増加またはサイトゾルから核への遊走によって生じる活性の増加を包含する。
【0024】
抗原提示細胞(APC)は、T細胞に抗原を提示するために使用される免疫系の細胞である。APCは、樹状細胞、単球、マクロファージ、周辺帯クッパー細胞、小膠細胞、ランゲルハンス細胞、T細胞およびB細胞を含む(たとえば、Rodriguez-Pinto and Moreno (2005) Eur. J. Immunol. 35:1097-1105を参照されたい)。樹状細胞は、少なくとも2つの系統で生じる。第1の系統は、プレ−DC1、骨髄性DC1および成熟DC1を包含する。第2の系統は、前CD34
++CD45RA-初期前駆細胞、CD34
++CD45RA4
+細胞、CD34
++CD45RA4
++ CD4
+ IL-3Rアルファ
++ プロ-DC2細胞、CD4
+CD11 c
-形質細胞様プレDC2細胞、リンパ様ヒトDC2 形質細胞由来DC2sおよび成熟DC2sを包含する(たとえば、Gilliet and Liu (2002) J. Exp. Med. 195:695-704; Bauerら(2001) J. Immunol. 166:5000-5007; Arpinatiら(2000) Blood 95:2484-2490; Kadowakiら(2001) J. Exp. Med. 194:863-869; Liu (2002) Human Immunology 63:1067-1071; McKennaら(2005) J. Virol. 79:17-27; O'Neillら(2004) Blood 104:2235-2246; Rossi and Young (2005) J. Immunol. 175:1373-1381; Banchereau and Palucka (2005) Nat. Rev. Immunol. 5:296-306を参照されたい)。
「有効量」は、限定されないが、医学的状態もしくは障害の症候もしくは徴候を寛解させること、逆転させること、緩和すること、予防すること、または診断することができる量を包含する。別途指示され、明確にされ、または状況によらない限り、「有効量」は、状態を寛解させるために十分な最小量に限定されない。疾患または障害の重症度、並びに疾患もしくは障害を予防する、治療する、または緩和するための処理の能力は、いずれの限定も意味しないが、生物マーカーによって、または臨床的パラメーターによって測定することができる。生物マーカーは、血球算定、血清、尿または脳脊髄液における代謝産物レベル、腫瘍細胞数、癌幹細胞数、腫瘍レベルを含む。腫瘍レベルは、RECIST基準によって決定することができる(Eisenhauerら(2009) Eur. J. Cancer. 45:228-247)。発現マーカーは、mRNAの遺伝的な発現または遺伝子増幅、抗原の発現およびポリペプチドの発現を包含する。臨床的パラメーターは、いずれの限定も意味しないが、無進行生存(PFS)、6ヵ月PFS、無症候生存(DFS)、進行の時間(TTP)、遠隔転移の時間(TDM)および全体生存率を含む。
「標識された」組成物は、直接または間接的に、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、同位体的または化学的方法によって検出可能である。有用な標識は、たとえば、酵素結合免疫アッセイまたはフルオレッツ(fluorettes)に使用されるような、
32P、
33P、
35S、
14C、
3H、
125l、安定同位元素、エピトープタグ蛍光色素、高電子密度試薬、基体または酵素を含む(たとえば、Rozinov and Nolan (1998) Chem. Biol. 5:713-728を参照されたい)。
【0025】
免疫系を調節する薬剤
以下は、一般にtoll様の受容体(TLR)アゴニスト、調節性T細胞(Tregs)を枯渇させる薬剤、CD8
+ T細胞またはCD4
+ T細胞の活性を増強することができる薬剤および免疫系を調節するその他の薬剤に関する。本開示は、以下試薬の、1つまたは複数を使用する、試薬、投与の方法、診断の方法および腫瘍抗原に対する免疫応答を刺激するための方法、並びにこれらの組み合わせを提供する。
本開示は、樹状細胞ワクチンで使用するための免疫アジュバントおよびその他の免疫系を調節する薬剤を提供する。提供されるものは、以下などのtoll様受容体(TLR)アゴニストである。イミキモドおよびレシキモド(resiquimod)などのイミダゾキノリンは、TLR7またはTLR8アゴニストである。形質細胞様樹状細胞のTLR7の刺激は、IFN-アルファの発現を生じる。骨髄性樹状細胞のTLR7の刺激は、インターロイキン-12の発現およびそれに伴うTh1-タイプ免疫応答を生じる。CpGオリゴヌクレオチド(CpG ODN)は、TLR9アゴニストである。CpG ODNは、3つのクラス、CpG-A、CpG-BおよびCpG-C出存在する。CpG-Aは、形質細胞様樹DCsに対するそのIFN-アルファ産生効果により、NK細胞を刺激する。CpG-Bは、IFN-アルファを誘導し、およびpDCsおよびB細胞上の同時刺激マーカーをアップレギュレートする。TLR3アゴニストは、ウイルスの二重鎖RNA(dsRNA)の類似体である形質細胞様ポリリボシチジル酸酸(ポリl:C)を含む。TLR4アゴニストは、一リン酸化リピドA(MPL)を含み、これはサルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)リポ多糖体の誘導体であり、およびこれはヒト乳頭腫ウイルスに対するワクチンの一部として使用される。減弱細菌は、抗癌療法に使用される。ウシ結核菌(Mycobacterium bovis)は、TLR2およびTLR4、並びにTLR9を刺激する。リステリア菌(Listeria monocytogenes)は、種々のTLRsを刺激する(DubenskyらのUS 2007/0207171、その全体が参照により本明細書に援用される)。また、Galluzziら(2012) Oncolmmunology. 1:699-716; Adams (2009) Immunotherapy. 1:949-964を参照されたい。
【0026】
また、アルファ-ガラクトシルセラミド(アルファ-GalCer)が提供される(Schwaab and Ernstoff (2011) Therapy. 4:369-377)。アルファ-GalCerは、一定のT細胞受容体を発現するNKT細胞の活性化を引き起こす(Lopez-Sagasetaら(2012) PLoS Biol. 10:e1001412(11ページ))。また、NOD受容体のアゴニストが提供される。NOD受容体は、NOD1およびNOD2を含む。NODアゴニストは、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(ムラミルジペプチド(MDP))を含むみ、これはNOD2に結合する。NODアゴニストは、ガンマ-D-グルタミル-メゾ-ジアミノピメリン酸(iE-DAP)を含み、これはNOD1に結合する。NODアゴニストは、デスムラミルペプチド(DMP)を含み、これはNOD1に結合する。たとえば、Ueharaら(2006) J. Immunol. 177:1796-1804を参照されたい)。NODアゴニストは、ペプチドグリカンの断片に由来する。
また、調節性T細胞(Tregs)を阻害する薬剤が提供される。これらの薬剤は、シクロホスファミド、ゲムシタビンおよびTregsを枯渇させる抗体を含む(たとえば、Le and Jaffee (2012) Cancer Res. 72:3439-3444; Klagesら(2010) Cancer Res. 70:7788-7799を参照されたい)。ゲムシタビンは、骨髄由来抑制因子細胞(MDSCs)の免疫抑制活性を減少させる(Leら(2009) Int. Immunopharmacol. 9:900-909)。抗CD25抗体は、Tregsを枯渇させることができ、癌の治療に使用されてきた(Klagesら(2010) Cancer Res. 70:7788-7799)。ダクリズマブは、抗CD25抗体であり、これはCD25に対するインターロイキン-2(IL-2)の結合を遮断し、これにより、Treg維持のために必要なシグナルを遮断する。いくつかのTregsは、高レベルのCTLA4(CD45RA
+ Tregs)を発現する。イピリムマブなどの抗CTLA4抗体は、CTLA4を標的とする。イピリムマブは、メラノーマを治療するために使用される(Rechら(2012) Immunotherapy. 4:1103-1105)。
【0027】
抗LAG-3抗体または可溶性LAG-3(たとえば、LAG-3 Ig)などのリンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)遮断薬は、癌または感染症に対する免疫応答を増強することができる。抗LAG-3抗体は、Tregsの活性を減少させる(たとえば、Huangら(2004) Immunity 21:503-513; Triebel (2003) Trends Immunol. 24:619-622を参照されたい)。
CD8
+ T細胞またはCD4
+ T細胞を直接標的とする抗体を利用できる。これらの抗体は、同時刺激受容体(4-1のBB、OX40およびGITR)または同時阻害受容体の遮断(CTLA-4、PD-1およびPD-L1)を標的とするものを含む。GITRは、糖質コルチコイドで誘導されるTNFR関連タンパク質である。たとえば、Schaerら(2010) Curr. Opin. Investig. Drugs. 11 : 1378-1386を参照されたい)。抗GITRは、Tregsの抑制機能を止めることができ、したがって抗癌療法における抗GITRの有効性を説明する(Coeら(2010) Cancer Immunol. Immunother. 59:1367-1377)。DTA-1は、抗GITR抗体である。
【0028】
免疫応答を評価するための方法
また、本開示は、免疫応答を特徴づけるために、ELISPOTアッセイ、細胞内サイトカイン染色(ICS)および四量体アッセイを提供する(たとえば、PardollのUS 2007/0190029; Chattopadhyay (2008) Cytometry A. 2008 73:1001-1009; Vollers (2008) Immunology. 123:305-313; Lalvaniら(1997) J. Exp. Med. 186:859-865; Waldrop (1997) J. Clin. Invest. 99:1739-1750; Hudgens (2004) J. Immunol. Methods 288:19-34; Goulder (2001) J. Virol. 75:1339-1347; Goulder (2000) J. Exp. Med. 192:1819-1831; Anthony (2003) Methods 29:260-269; Badovinac and Harty (2000) J. Immunol. Methods 238:107-117を参照されたい)。患者における免疫応答は、客観的応答(RECIST基準)、全体生存率、無進行生存(PFS)、無症候生存、遠隔転移の時間、6ヵ月PFS、12カ月PFSおよびその他を含む腫瘍学臨床試験に使用される指標によって評価することができる。
【0029】
抗原
グリア芽細胞腫特異的抗原は、PTPRZ1;EGFR;SEC61G;TNC;HER2;TRP-2;gp100;MAGE-1;IL13Rアルファ2;AIM-2を含む(Phuphanichら(2013) Cancer Immunol. Immunother. 62:125-135; Neidertら(2012) J. Neurooncol.)。結腸直腸癌特異的抗原は、SPARC、CEA、Cep55/c10orf3を含む(Inoueら(2010) Int. J. Cancer. 127:1393-1403, Parkhurstら(2011) Mol. Ther. 19:620-626; Inodaら(2011) Exp. Mol. Pathol. 90:55-60)。腎臓癌特異的抗原は、脱炭酸酵素IX(CA-IX)、MUC-1およびNYESO-1、並びに5T4を含む(Tykodiら(2012) J. Immunother. 35:523-533)。卵巣癌特異的抗原は、WT1、mesothelin、NY-ESO-1、p53、特異的突然変異を有するp53、HER-2/neu、葉酸受容体-アルファ、IGFBP;MUC1、MUC4、MUC16、EpCAM;CTAを含む(Dohiら(2011) Anticancer Res. 31 :2441-2445; Vermeijら(2012) Curr. Pharm. Des. 18:3804-3811; Prestonら(2011) Immunother. 3:539-556)。特異性は抗原のアミノ酸配列から、腫瘍細胞によるその抗原の発現の程度から、抗原の翻訳後修飾および同様のものから生じ得る。一定のタイプの癌細胞に対する特異性は、また複数の腫瘍抗原の特定のフィンガープリントから生じることができる。特異性は、また特定の抗原が、広い多様な腫瘍細胞によって発現されると共に、小数の腫瘍タイプに対する免疫療法において特定の用途を有するという事実から生じ得る。また、特異性は、MHCクラスIを提示可能な、およびMHCクラスIIを提示可能なエピトープの特定のコレクションが特定のポリペプチドまたはポリペプチド断片上に存在するという事実から生じ得る。また、投与される抗原における特異性は、免疫寛容を引き起こすことができる1つまたは複数のペプチドを取り除くことによって生じ得る。当業者は、たとえば、ncbi.nlm.nihにて米国政府のウェブサイト上で、容易に関連した核酸およびポリペプチド配列の位置を決めることができる。
【0030】
ワクチン
本開示のワクチンは、純粋に予防的であることができ、これは既存の癌またはプレ新生物形成障害を治療するために使用することができ、またはこれは以前に治療された癌の再発を予防するために使用することができる。本開示の樹状細胞ワクチンは、皮内、結節内、粘膜または皮下経路または上記のものの任意の組み合わせによって投与することができる。各用量は、約10×10
3樹状細胞、20×10
3細胞、50×10
3細胞、100×10
3細胞、200×10
3細胞、500×10
3細胞、1×10
6細胞、2×10
6細胞、20×10
6の細胞、50×10
6細胞、100×10
6細胞、200×10
6、500×10
6、1×10
9細胞、2×10
9細胞、5×10
9細胞、10×10
9細胞および同様のものを含むことができる。投与頻度は、たとえば、1週毎に1回、1週毎に2回、2週毎に1回、3週毎に1回、4週毎に1回、1ヵ月毎に1回、2月毎に1回、3月毎に1回、4月毎に1回、5月毎に1回、6月毎に1回およびその他であることができる。投与を行う日の合計数は、1日、2日または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20日およびその他であることができる。任意の所与の投与は、同じ日に2回以上の注射を含み得るものと理解される。一つの側面において、本開示は、充填樹状細胞を腫瘍細胞全体で負荷することを含み、樹状細胞に負荷されるメラノーマ細胞由来タンパク質の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%は、腫瘍細胞全体にある。非限定的な態様において、樹状細胞ワクチンは、フラスコにおいて、バイアルにおいて、瓶において、注射器において、カテーテルにおいて、カニューレにおいて、およびその他において保持される。投与のためには、投与される樹状細胞の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも99%、少なくとも95%が成熟した樹状細胞である。
【0031】
ワクチンの均一性
いくつかの態様において、本開示は、インビトロ負荷に由来するメラノーマペプチドを含む樹状細胞を含むワクチンを提供し、本ワクチンは、樹状細胞(メラノーマペプチドを含むDCsおよびメラノーマペプチドを含んでいないDCsの合計)を樹状細胞/メラノーマ細胞の比として少なくとも5/95、10/90、20/80、30/70、40/60、50/50、60/40、70/30、80/20、90/10、95/5、98/2、99/1等の比にて含む。また、インビトロ負荷に由来するメラノーマペプチドを含む樹状細胞を含むワクチンであり、ワクチンは、樹状細胞(DCsを含むメラノーマペプチドおよびメラノーマペプチドを含んでいないDCsの合計)を少なくとも5/95、10/90、20/80、30/70、40/60、50/50、60/40、70/30、80/20、90/10、95/5、98/2、99/1および同様のものの[樹状細胞]/[DCsでもメラノーマでもない細胞]の比にて含む。本開示は、区画に分けられた容器であって、第一区分室は、メラノーマ細胞を含み、および第二区分室は、樹状細胞を含む容器を提供する。2つの区画は、膜、フィルタ、弁、導管、カプラによって分離することができ、これは、メラノーマ細胞が樹状細胞に接触するのを防止するが、マニュアル移動、または弁の膜もしくは開口部の除去により、メラノーマ細胞を樹状細胞に接触させることができ、樹状細胞にメラノーマ細胞、メラノーマ細胞断片および/またはメラノーマペプチドを添加することができる。
【0032】
インターフェロン-ガンマ模倣物
本開示は、ペプチド模倣物95-132などの模倣物(たとえば、インターフェロン-ガンマ模倣物)を包含する(Ahmed (2007) J. Immunol. 178:4576-4583; Fulcher (2008) FEBS Lett. 582:1569-1574)。IFN-擬晶は、たとえばインターフェロン-ガンマの同じアゴニスト活性を有する抗体を包含する。
【0033】
メラノーマ細胞の不活性化
本開示は、癌細胞がたとえば放射線によって、または核酸架橋剤の方法によって不活性化される組成物および方法を提供する。例示的な架橋剤は、DNAを架橋結合する能力を有するが、タンパク質を修飾されていないままである。核酸アルキル剤は、ベータアラニン、N-(アクリジン-9-イル)、2-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]エチルエステルであることができる。いくつかの態様において、核酸を標的とする化合物は、UVA照射によって活性化されるソラレン化合物である。たとえば、核酸を標的とする化合物は、4'-(4-アミノ-2-オキサ)ブチル-4,5',8-トリメチルプソラレンであることができる(また、本明細書において、「S-59」と称される)。細胞は、150マイクロモル濃度のソラレンS-59および3J/cm
2のUVA光(FX 1019照射装置、Baxter Fenwal, Round Lake, IL)でで不活性化することができる。S-59での不活性化は、光化学的処理ともいわれ、および完全な細胞の不活性化を生じる。種々の濃度の核酸架橋薬剤を、細胞を不活性化する歳の有効性について、たとえば細胞分裂を防止する際の有効性について試験することができる。S-59は、核酸を架橋結合するが、タンパク質を無傷の未改変のまま残すという、その能力によって区別される。細胞は、0、1、10、100および1000nMのソラレンS-59を含む5mLの生理食塩水に懸濁することができる。各試料は、以下の通りに照射を受けることができる。S-59は、100nMの濃度にて添加することができる。試料は、およそ2J/cm
2の用量にて照射されるUVAであることができる。(FX1019照射装置、Baxter Fenwal, Round Lake, III)。次いで、各試料を15mLチューブへ移し、遠心分離して、上清を取り除いて、次いで5mLの生理食塩水で洗浄し、遠心分離して、上清を取り除いて、最終ペレットを0.5mLの生理食塩水に懸濁することができる(Dubenskyの米国特許第7,833,775号およびDubenskyの第7,691,393号)。
【0034】
非アポトーシス性である癌細胞を濃縮すること
メラノーマ細胞の集団は、たとえば非アポトーシス性および自己貪食性細胞を分離する技術の使用によって、非自己貪食性およびアポトーシスである細胞から非アポトーシス性であるメラノーマ細胞から濃縮することができ、分離は、自己貪食性および非アポトーシス性の細胞の表面への接着、および、その他の細胞が浮遊していることによって行われる。また、非アポトーシス性のメラノーマ細胞に富む集団は、ホスファチジルセリンに対して特異的な抗体によりアポトーシス細胞を取り除くことによって獲得することができる。固定化抗体により細胞を取り除くための技術を利用することができる(Onodera (1998) Ther. Apher. 2:37-42)。ホスファチジルセリンに対して特異的な抗体を利用することができる(たとえば、EMD Millipore, Billerca, MA)。また、メラノーマ細胞のバルク集団を、蛍光抗ホスファチジルセリン抗体で標識することができ、タグが付けられたアポトーシス性のメラノーマ細胞は、フローサイトメトリー、アフィニティークロマトグラフィー、免疫磁気分離によって取り除かれる(たとえば、Hoeppener (2012) Recent Results Cancer Res. 195:43-58; Dainiak (2007) Adv. Biochem. Eng. Biotechnol. 106:1-18を参照されたい)。この技術は、一般にメラノーマ細胞である癌細胞に濃縮するために、およびメラノーマ細胞でない癌細胞についても適用できる。
【0035】
アポトーシスの阻害剤
たとえば、Z-VAD(Z-VAD-fmk)、アポトーシスの阻害剤は、Enzo Life Sciences (Exeter, UK)、R & D Systems (Minneapolis, MN)、Tocris Biosciences (Bristol, UK), BioMol (Plymouth Meeting, PA)およびEMD Chemicals (Gibbstown, NJ)から獲得することができる。Z-VAD-fmkは、合成ペプチド(Z-Val-Ala-Asp(OMe)-CH
2F)である。カスパーゼは、プロテアーゼファミリーのシステイン-アスパラギン酸特異的メンバーである。カスパーゼは、デスレセプター、たとえばTRAIL、FASのライゲーションによって、DNA損傷、ストレス、血清飢餓であり、およびいくつかの細胞タイプにおいて、インターフェロンによって活性化される。カスパーゼは、細胞質統合性の核断片化、クロマチン凝縮および喪失を含むアポトーシスの高度に調節されたプロセスにおいて重要な役割を果たす。パンカスパーゼ阻害剤、z-VAD-fmk(カルボベンゾキシ-ビニル-アラニル-アスパラチル-[O-メチル]-フルオロメチルケトン)は、カスパーゼプロテアーゼの触媒部位に不可逆的に結合して、アポトーシスを誘導におけるこれらの機能を阻害する。細胞がINF-γに応答してアポトーシスを受ける能力の阻害は、浮遊するアポトーシス細胞を除去するために洗浄することによる選択の工程なしで非アポトーシス性であるが自己貪食性である細胞を生成する手段であり得る。
本開示は、医薬品、試薬、診断キットを含むキットを提供し、医薬品、試薬およびキットは、樹状細胞、抗体または抗原を含む。また、少なくとも1つの樹状細胞および少なくとも1つの抗原を含む組成物を投与するための方法、抗体形成を刺激するための方法、ADCCを刺激するための方法、補体依存細胞毒性を刺激するための方法、並びに患者の適合性を決定するための、臨床治験または通常の医学的処置の状況において患者の方眼/除外基準を決定するための、および医薬品または試薬に対する応答を予測するための方法およびキットが提供される。補体依存細胞毒性は、記述されている(たとえば、Goodmanら(1990) J. Clin. Oncol. 8:1083-1092; Cheson (2010) J. Clin. Oncol. 28:3525-3530を参照されたい)。本開示の医薬組成物、試薬および関連した方法は、CD83陽性樹状細胞を包含し、CD83は、INF-γを処理された癌細胞による負荷によって誘導される。本開示のCD83側面において、CD83は、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、6%、7%、8%、9%、10%および同様のものまで誘導される。
【0036】
図1は、INF-γ(左)で処理前およびINF-γでの処理の72時間後(右)の培養腫瘍細胞の図を示す。処理後、培養腫瘍細胞は、浮遊している非自己貪食性およびアポトーシス性であるか、または接着性で自己貪食性および非アポトーシス性であるかのいずれかである。浮遊細胞はアポトーシスのマーカー(ホスファチジルセリン)を発現することが示される。浮遊細胞は、相対的にわずかに発現されたMHCクラスIIが示され、その一方で、接着性細胞は過剰発現されたMHCクラスIIが示される。
図2A-Dは、樹状細胞に負荷するために使用したINF-γ処理した自家腫瘍細胞の特性付けを示す。自家メラノーマ腫瘍細胞は、RPMI中の15%のFBS/ECSにおいて72時間、1000lU/mL IFNガンマの有無において処理し、収集して、100Gyで照射して低温保存した。次いで、細胞をAIMVにおいて解凍し、試料をDCsの抗原負荷より前にフローサイトメトリーのために、および免疫ブロットのための細胞可溶化液の調製のために採取した。4つの別々の自家メラノーマ細胞株の例を示してある(
図2A、
図2Bおよび
図2C)。自家腫瘍細胞のINF-γ処理による主要組織適合性複合体を誘導(
図2D)。腫瘍細胞を72時間1000lU/mL IFNガンマの有無において処理後に収集し、次いでMHCクラスIおよびクラスIIについてアッセイした。対照アイソタイプ抗体を、陽性集団を同定するために使用した。暗いデータポイントは、中央平均蛍光プラス/マイナス95%の信頼区間を示す。N = 65。照射後、メラノーマ細胞を、任意の細胞分裂がないことを確認するために、アッセイによってチェックする。
一つの側面において、本開示は、樹状細胞に負荷するための非自家腫瘍細胞を除外し、および樹状細胞に負荷するための非自家腫瘍細胞を使用する方法を除外する。
図3Aおよび3Bは、インターフェロンγの有無において処理した自家メラノーマ細胞株を負荷した樹状細胞の表現型を記述する。4つの自家メラノーマ細胞株のセットを、72時間INF-γの1000lU/mLの有無において処理して、照射し、および低温保存した。次いで、細胞をAIMVにおいて解凍して、およそ24時間自家樹状細胞と合わせた後、収穫してCD80、CD83、CD86およびMHCクラスIIの発現についてフローサイトメトリーによってアッセイした(
図3A)。データを
図3Bに要約してある。平均±SDを示してある(n = 4)。
図4Aおよび4Bは、用量調製のために使用した樹状細胞の表現型を示す。INF-γ処理して、照射した自家腫瘍細胞を負荷前(プレATC負荷DC、N = 53)および負荷後(ポストATC負荷DC、N = 65)のDCの試料を、CD80、CD83、CD86およびMHCクラスIIの発現についてフローサイトメトリーによってアクセスした。FACS Caliber(登録商標)ビーズ最初のフロー・サイトメーター機器設定をセットするために使用し、次いでこれをデータの資料の全体にわたって一定の状態に保った(
図4A)。パーセント発現および平均蛍光強度(MFI)±SDの値を、プレ-ATCおよびポスト-ATC負荷について
図4Bにおいて比較してある。*p = 0.019および** p = 0.0009。
【0037】
図5A〜5Cは、インターフェロン-ガンマ処理したメラノーマ細胞は自己貪食を受けることを示す。選択した市販のメラノーマ細胞株を、5%FBS/RMPI中で72時間、1000lU/mL IFNガンマと共にインキュベートした。SK-5-Mel細胞培養の位相差顕微鏡写真を、インキュベーション期間の最後に撮り、オートファゴソームの液胞のようなものを伴う拡大細胞を示す(
図5A)。オートファゴソームの形成の確認は、INF-γで処理の前に、GFP-LC3B構築物のトランスフェクションによって証明した(
図5B)。INF-γ処理した後の自己貪食誘導を、自己貪食性血管形成と関連することが示されているLC3のより迅速な遊走を同定するLC3Bに対する抗体を使用するウエスタンブロッティングによって確認した(
図5C)。
図6Aおよび6Bは、インターフェロン-ガンマに応答して誘導されるアポトーシスおよび自己貪食を示す。SK-5-Mel細胞を72時間1000lU/mLのINF-γと共にインキュベートして、その後、非接着性および接着性集団を収集して、7-AAD およびアネキシン-Vを使用するフローサイトメトリーによってアポトーシスおよび自己貪食についてアッセイした(
図6A)。Enzo Cyto-ID Autophagy Detection Dyeを使用して、製造業者によって提供される色素の平均強度ピークシフトを測定することによって、フローサイトメトリーによって自己貪食を測定した(
図6B)。5%のFBS/RPMIとの比較におけるピークシフトの変化倍数を、自己貪食の誘導についての正の対照としての無血清と共に
図6Cに示してある。
図7は、カスパーゼ活性を遮断後お自己貪食誘導がメラノーマ細胞においてINF-γに応答する自己貪食の誘導に影響を及ぼさなかったことを開示する。SK-5-Mel細胞を、パンカスパーゼ阻害剤z-VADまたはその対照化合物、z-FAの20μMの存在下において72時間1000lU/mLのINF-γで処理した。細胞を収集して、
図6Cと同様にフローサイトメトリーによって自己貪食についてアッセイした。
【0038】
図8は、72時間10μMの自己貪食阻害剤3-メチルアデニン(3-MA)の存在において1000lU/mLのINF-γと共にインキュベートしたSK-5-Mel細胞を示す。次いで、細胞を収集してフローサイトメトリーによってアポトーシスおよびMHCクラスII(HLA-DR)発現についてアッセイした。
図9は、患者腫瘍検体(N = 36)から生成した腫瘍株価細胞からのIFNガンマ処理した細胞をMHCクラスIIまたはアポトーシスにおける変化についてアッセイしたことを示す。示したデータは、平均蛍光強度(MFI)±SEの平均である。
図10は、患者特異的なワクチンの免疫療法(N = 54)のために樹状細胞負荷のために使用した試料からのフローサイトメトリーによってMHCクラスIIまたはアポトーシスについてアッセイしたIFNガンマ処理した細胞を示す。MHCクラスII平均蛍光強度(MFI)およびパーセントアポトーシス細胞(陽性アネキシン-V)における変化倍数を示してある。
図11および12は、MHCクラスIIの誘導とアポトーシスの非存在(インターフェロン-ガンマ耐性)との間の相関が自己貪食性、非アポトーシス性のインターフェロン-ガンマ処理した腫瘍細胞を負荷した樹状細胞を受けた患者におけるより優れた無進行生存(
図11)および全体生存率(
図12)と関連することを示す。
図13は、3件の治験からの生存曲線を示す。プロット線(Kaplan-Meierプロット線)は、臨床治験の間に生存する研究対象のパーセントを示す段階的曲線である。郡は、DC-54(黒円);TC-74(黒正方形);TC-24(黒三角形);およびDC-18(線)を示す。最も乏しい生存は、TC-24で生じた。次の最も乏しい生存は、TC-74であった。TC-24は、24人の対象を含む研究における腫瘍細胞のワクチンをさす。
図14は、3件の治験からの生存曲線を示す。治験は、後期の時点から得られたさらなるデータで以外、
図13において開示したものと同じ臨床治験である。
【0039】
さらなる開示
自家樹状細胞生成
樹状細胞は、それぞれ1,000IU/mlのIL-4(CellGenix, Freisberg, Germany)およびGM-CSF(Berlex, Seattle, WA)(DC培地)を補った抗生物質のないAIM-V培地(Invitrogen、Grand Island, NY)において、フィコールされる除去製品のプラスチック付着法によって生成した(Choiら(1998) Clin. Cancer Res. 4:2709-2716; Luftら(1998) Exp. Hematol. 26:489-500;Cornforthら(2011) Cancer Immunol. Immunother. 60:123-131)。次いで、INF-γ処理して、照射した自家腫瘍細胞による負荷の前に、フラスコを6日感培養した。
【0040】
INF-γ自家腫瘍細胞株生成および医薬品の調製
純粋な腫瘍細胞は、Cornforthら(Cornforthら(2011) Cancer Immunol. Immunother. 60:123-131; Dillmanら(1993) J. Immunother. Emphasis Tumor Immunol. 14:65-69; Dillmanら(2000) Cancer Biother. Radiopharm. 15:161-168)にしたがって生成した。次いで、腫瘍細胞を72時間1,000U/mlのインターフェロン-ガンマ(InterMune、Brisbane、CA)と共にインキュベートして、セシウム供与源から100Gyで照射して、低温保存した(Selvan、et al.(2007)Int. J. Cancer 122:1374-1383;Selvan、et al.(2010)Melanoma Res. 20:280-292)。INF-γ処理して、照射した腫瘍細胞を凍結保存から回復させ、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、次いで、培養した樹状細胞(DCs)に添加して、次いで約24時間インキュベートした。抗原を装荷したDCsをラバーポリスマンで穏やかに掻爬することによって収集して、低温保存した。INF-γ処理した、または未処理の腫瘍細胞および負荷したDCsの一定分量をフローサイトメトリー評価およびトリパンブルー除外アッセイのために得た。
【0041】
皮膚メラノーマの病期分類
本開示の医薬品または試薬は、メラノーマ患者に投与することができ、メラノーマは、段階I、段階II、段階IIIまたは段階IVと診断される(Mohr,ら(2009) Ann. Oncology (Suppl. 6) vi14-vi21)。段階Iは、たとえば局所または遠隔転移の証拠のない原発性メラノーマである患者をいう。段階IIは、リンパ疾患または遠隔転移の証拠のない患者を含み、患者は、たとえば、被さっている上皮の潰瘍と共に1mmより大きい、および2mm以下の厚さの病変によって、または上皮潰瘍と共に2mmより大きい、および4mm以下の厚さの病変によってさらに特徴づけられる。段階IIIメラノーマは、病理学的に証明された所属リンパ節の関与または移動中またはサテライト転移を伴う病変を含い、患者は、たとえば、1、2、3もしくは4つまたはそれ以上の冒されたリンパ節を有し得る。段階IVメラノーマは、遠隔転移の存在によって定義され、転移は、遠隔皮膚、皮下組織またはリンパ節においてのみ位置し、転移は、肺転移を含み、または転移は、全てのその他の内臓部位を含む。
本開示は、予防的である投与のために、すなわち、いまだまたは決してメラノーマと診断されていない対象での使用のための方法を包含する。対象がメラノーマであると以前に診断されており、かつ黒腫を根絶するために以前に首尾よく治療されており(または自発的な完全な緩解を経験しており)、根絶の後に、投与が予防的に使用される投与のための方法が包含される。
【0042】
腫瘍抗原
いずれの限定も意味しないが、本開示のメラノーマ細胞は、1つまたは複数のMage、Mart-1、Mel-5、HMB45、S100またはチロシナーゼを発言する(Dillmanら(2011) Cancer Biotherapy Radiopharmaceuticals 26:407-415)。一つの側面において、腫瘍抗原の検出は、INF-γに曝露されていない細胞を使用し、一方で、もう一つの側面において、腫瘍抗原の検出は、INF-γで処理された細胞に対して行われる(たとえば、Cornforthら(2011) Cancer Biotherapy Radiopharmaceuticals 26:345-351を参照されたい)。包含されることは、DubenskyらのUS2007/0207171によって開示されているように、1つまたは複数のメラノーマ抗原を発現するメラノーマ細胞または1つまたは複数の単離されたメラノーマ抗原を含む組成物であり、これはその全体が参照により本明細書に援用される。
アポトーシスを測定すること
アポトーシスは、多数の試薬、たとえば蛍光色素標識されたアネキシンで、ヨウ化プロピジウムおよび7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)などの色素での染色によって、ミトコンドリア内膜電位の喪失を決定することによって、カスパーゼの活性化または切断を測定することによって検出すること、または測定することができる。たとえば、Georgeら、(2004) Cytometry Part A. 59A:237-245を参照されたい。アポトーシスにおける初期のイベントは、血漿膜の外部表面上のホスファチジルセリンの曝露であり、これは、蛍光色素標識されたアネキシンによって検出することができる。利用できる方法では、生存細胞、壊死細胞、初期アポトーシス細胞および後期アポトーシス細胞の間を区別することができる。本開示は、7-ADDアッセイによってアポトーシス性でない、アネキシンVアッセイによってアポトーシス性でない、INF-γ処理後アポトーシスについてのアッセイによってアポトーシス性でない(Dillmanら(2011) Cancer Biotherapy Radiopharmaceuticals 26:407-415)、または生物マーカーBcl-2、カスパーゼ-3、P53またはサバイビンの1つまたは複数によってアポトーシス性でない(Karamら(2007) Lancet Oncol. 8:128-136)、メラノーマ細胞を使用する。本開示の医薬組成物、試薬および関連した方法は、アポトーシス性であるINF-γ処理したメノーマ細胞を排除し、アポトーシスは、たとえば、Herlynらに対して発行された米国特許第7,544,465号;Thorpeらに対して発行された米国特許第7,714,109号に従って決定され、これらは、参照により本明細書に援用される。
【0043】
自己貪食測定
自己貪食は、多くのタンパク質およびいくつかの細胞小器官の分解のために使用される天然に存在するプロセスである。自己貪食は、タンパク質および細胞小器官代謝回転、飢餓応答、細胞分化、細胞死およびその他を媒介する。微小管関連タンパク質軽鎖3(LC3)は、自己貪食をモニター用である。1つのアプローチにおいて、自己貪食は、LC3の変換を測定することによって検出することができ、これはLC3-IのLC3-IIへの変換を含む。LC3-IIの量は自己ファゴソームの数と相関する。詳細には、LC3は、細胞質性で可溶性であり、一方、LC3-IIは膜上に存在する。LC3-IIは、それが脂質と抱合されるので、より大きな分子重量を有する。LC3プロセシングは、たとえば、ウエスタンブロットによって測定することができ、一方で、自己貪食、自己貪食小嚢および自己ファゴソームは、顕微鏡検査によって測定することができる。自己貪食は、たとえば、プロセスされたLC3-IIを検出することによって、初期と後期の自己貪食区画のものの間の比によって、または自己貪食量によって定量化することができる。(Mizushima and Yoshimori (2007) Autophagy 3:542-546:634-641; Tanidaら(2008) Methods Mol. Biol. 445:77-88; Engら(2010) Autophagy 6:634-641)を参照されたい。一つの側面において、本開示は、適切な自己貪食癌細胞を選択するために、スクリーニングツールとして自己貪食を使用し、細胞を1つまたは複数の特定の段階における自己貪食の発生に従って選択することができる。これらの自己貪食段階は:(1)自己ファゴソームによるサイトゾル区画の隔離、(2)オートリソソームを形成するリソソームとの自己ファゴソームの融合、および(3)リソソーム内のプロテアーゼによる自己ファゴソーム内容物の分解を含む。もう一つの側面において、本開示は、主に第1の段階、主に第2の段階、主に第3の段階、主に第1および第2の段階、主に第2および第3の段階を示す細胞または主に全て3つの段階を示す細胞を含む。さらにもう一つの側面において、本開示は、第1の段階、第2の段階、第3の段階、1および2番目、第2および第3の段階を示す細胞または全ての3つの段階を表示する細胞を含む。
【0044】
インターフェロン-ガンマ(INF-γ)シグナリング
INF-γ(タイプIIインターフェロン)シグナリングは、多数の遺伝子(たとえば、INF-γ受容体、STAT1、STAT2、STAT1ホモダイマー、STAT1/STAT2ヘテロ二量体、IRF-1、GASおよびIRF-E)の発現に依存する。研究では、INF-γシグナリングがINF-γ受容体(IFNGR1鎖;IFNGR2鎖)に依存的であることを示した。細胞表面上のIFNGRの低発現により、INF-γシグナリングのいくつかの側面を遮断することができる(Schroderら(2004) J. Leukocyte boil. 75:163-189)。一つの側面において、本開示は、IFNGRの低い表面発現を示す癌細胞を使用して除外する。もう一つの側面において、本開示は、STAT1ホモダイマーを発現するものについて癌細胞をスクリーニングし、これらの細胞を使用し、および実質的にSTAT1ホモダイマーを発現しない細胞を除外する。さらにもう一つの側面において、本開示は、STAT1リン酸化(セリン-727)をもつものについて細胞をスクリーニングすることを想定する。また、想定されるものは、STAT1遺伝子における機能突然変異の喪失を有する患者からの癌細胞を除外することである(たとえば、Dupuisら(2001) Science 293:300-303; Schroderら(2004) J. Leukoc. Biol. 75:163-189を参照されたい)。以下は、IRF遺伝子ファミリーに関する。IRF-1、IRF-2およびIRF-9は、すべてINF-γシグナリングに関与する。本開示は、これらのIRF遺伝子ファミリー遺伝子の1つまたは複数を発現する癌細胞を使用する、またはこれらの遺伝子の1つまたは複数を発現しない癌細胞を除外することを包含する。
【0045】
INF-γ応答性の遺伝子
本開示は、INF-γに応答するメラノーマ細胞またはプレ新生物形成メラノーマ細胞を使用することを必要とする生物学的材料、組成物、試薬および方法を包含する。メラノーマ細胞は、1つまたは複数のINF-γ応答性の遺伝子の発現についてのアッセイによって同定すること、区別することき、選択することができる。多数のINF-γ応答性の遺伝子が同定されてきた(たとえば、Halonenら(2006) J. Neuroimmunol. 175:19-30; MacMicking (2004) 11 :601-609; Boehmら(1997) 15:749-795を参照された)。前記アッセイは、患者から1つまたは複数のメラノーマ細胞を取り除くこと、添加されたINF-γの存在および非存在下において細胞を培養すること、INF-γに対する応答性を決定することを含むことができる。アッセイにおいて、INF-γで誘導される遺伝子発現は、INF-γで誘導される遺伝子のプロモーターに対する転写因子の結合に、INF-γで誘導される遺伝子からのmRNAの発現に、発現されたポリペプチドに、および同様のものに感受性のアッセイによって検出することができる。INF-γ応答遺伝子は、たとえば転写因子、輸送タンパク質、アポトーシス遺伝子、細胞成長または維持のために使用される遺伝子、脂質代謝のために使用される遺伝子、エンドサイトーシスまたはエキソサイトーシスを媒介する遺伝子、細胞内シグナリング遺伝子、グルコース代謝遺伝子、細胞接着遺伝子、並びに確立された機能をもたない遺伝子をコードする免疫応答のために使される遺伝子を含むことができる。
一つの側面において、本開示は、INF-γ処理で、MHCクラスIIの発現の減少を示す、MHCクラスIIの発現の検出可能な変化を示さない、10%以下のMHCクラスII発現の増大を示す、15%以下のMHCクラスII発現の増大を示す、20%以下、25%以下、30%以下、40%以下、50%以下および同様のMHCクラスII発現の増大を示すメラノーマ細胞を排除する。一つの側面において、パーセンテージについての値は、所与の対象または患者からの、生検または生検の部分に帰する、メラノーマ細胞の集団についての平均発現値をいう。
【0046】
INF-γ応答性の癌細胞のためのスクリーニングにおける使用のためのINF-γ誘導性遺伝子の非限定的なリスト
ab000677、JAB/SOCS1;m63961、INF-γ誘導性タンパク質(mag-1);m35590、マクロファージ炎症性タンパク質1-β;m19681、MCP-1(JE);y07711、ザイキシン;M34815、INF-γによって誘導されるモノカイン(MIG);m33266、インターフェロン誘導性タンパク質10(IP-10);U44731、プリンヌクレオチド結合タンパク質;U88328、サイトカインシグナリング-3(SOCS-3)のSup.;M21065、インターフェロン調節性因子1;M63630、GTP結合蛋白質(IRG-47);U19119、Gタンパク質様LRG-47;L27990、Roタンパク質;M31419、204インターフェロン活性化可能タンパク質;af022371、インターフェロン誘導性タンパク質203;U28404、MIP-1アルファ受容体;U43085、グルココルチコイド減弱応答39;x56123、タリン;m31419、204インターフェロン活性化可能タンパク質;U53219、GTPase IGTP;I38444、T細胞特異的タンパク質;M31418、202インターフェロン活性化可能なタンパク質;d38417、アリール炭化水素受容体;m26071、組織因子(mtf);D13759、Cotプロトオンコジーン;M18194、フィブロネクチン;u59463、ICH-3;13945、pim-1プロトオンコジーン;L20450、DNA結合性タンパク質(Gil、et al.(2001)Proc. Natl. Acad. Sci 98:6680-6685を参照されたい)。本開示は、INF-γで誘導される遺伝子(CIITA)を使用する能力を包含する(たとえば、Chanら(2010) J. Leukocyte Biol. 88:303-311 ; Kwon,ら(2007) Mol. Immunol. 44:2841-2849を参照されたい)。
【0047】
本開示は、医薬品を投与するための患者を認定する、または選択するためのスクリーニング法として、以下のINF-γ誘導性遺伝子の1つまたは複数の発現を測定することを包含する。前記遺伝子は、以下を含む:(遺伝子1)FCGR1A、(遺伝子2)IL6R、(遺伝子3)CXCL9、(遺伝子4)CLCSF14、(遺伝子5)UBD、(遺伝子6)C/EBPアルファおよび(遺伝子7)MHC2TA(CIITA)(Waddell, et al.(2010)PLoS ONE 5:e9753を参照されたい)。また、認定する手順において、以下などのこれらの遺伝子の特定のクラスターを使用する能力が包含される:1および2、2および3、3および4、4および5、5および6、6および7、1および3、1および4、1および5、1および6、1および7、2および4、2および5、2および6、2および7、3および5、3および6、3および7、4および6、4および7、5、および7、および同様に3つの遺伝子の組み合わせ、たとえば1、2、3;または3、4、5;または4、5、6;または5、6、7;または1、3、4;または1、3、5、または1、3、6、または1、3、7;または1、2、4;または1、2、5;または1、2、6;または1、2、7;および同様のもの。(これらの遺伝子番号は、任意である。)
除外されるものは、90%未満が自己貪食である、80%未満が自己貪食である、70%未満が自己貪食である、60%未満が自己貪食である、50%未満が自己貪食である、40%未満が自己貪食である、等のメラノーマ細胞の集団である。
除外されるものは、90%未満が非アポトーシス性である、80%未満が非アポトーシス性である、70%未満が非アポトーシス性である、60%未満が非アポトーシス性である、50%未満が非アポトーシス性である、40%未満が非アポトーシス性である、等のメラノーマ細胞の集団である。
除外されるものは、90%非接着である、80%非接着である、70%未満が非接着である、60%非接着である、50%非接着である、40%非接着である、等のメラノーマ細胞の集団である。
【0048】
MHCクラスIIの発現の測定
MHCクラスIIの発現は、たとえばMHCクラスII遺伝子産物に対して特異的である抗体または核酸プローブを使用して測定することができる。これらのMHCクラスII遺伝子産物は、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1並びにHLA-DMおよびHLA-DO、(たとえば、Apostolopoulosら(2008) Human Vaccines 4:400-409を参照されたい)を含む。
たとえば、本開示は、メラノーマ細胞がSTAT1およびSTAT2を発現すること、活性なSTAT1-シグナリング経路を有すること、活性なSTAT2-シグナリング経路を有すること、または活性なSTAT1およびSTAT2-シグナリング経路を有することを必要とする、試薬、治療の方法および診断方法を包含する。
本開示は、1.0未満の危険率(HR)、0.9未満のHR、0.8未満のHR、0.7未満のHR、0.6未満のHR、0.5未満のHR、0.4未満のHR、0.3未満のHRおよび同様で生存データを生じる投与の方法および治療の方法に関連した医薬組成物または医薬品試薬を提供する。本開示は、全体生存率データ、無進行生存データ、時間対進行データおよびその他を生じる。また、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%およびその他の6ヵ月PFSであるものが提供される。その上、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%およびその他の6ヵ月全体生存率であるものが提供される。
加えて、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%およびその他の1-年(または2年)PFSであるものが提供される。その上、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%およびその他の1-年(または2年)の全体生存率であるものが提供される(たとえば、U.S. Dept. of Health and Human Services. Food and Drug Administration. Guidance for Industry. Clinical trial endpoints for the approval of cancer drugs and biologies (April 2005)を参照されたい)。
【0049】
INF-γおよび自己貪食の誘導
主要組織適合クラスII複合体の発現の増大によって測定される、INF-γ処理後の自己貪食の誘導は、全身性INF-γ処理に対する応答を決定するために使用することができる。生検が行われたメラノーマ腫瘍細胞が、培養においてINF-γに対して曝露したときにアポトーシスでなく自己貪食を受ける場合、これらの患者が有利に全身性INF-γ処理に応答するだろうことを示す。加えて、良好な細胞株が生検から樹立される場合、その患者は、また自己貪食であるが非アポトーシス性の接着性集団に由来するINF-γ処理された精製された腫瘍細胞株から調製される細胞-療法産物からの利益を得るだろう。
本開示は、インターフェロン-ガンマで処理された腫瘍細胞株から収集される自己貪食性非アポトーシス性の細胞から単離された主要組織適合性複合体を単離し、および特徴づけることを包含する。主要組織適合性複合体は、CD4
+ T細胞に対して特異的な抗原を含み、抗体を媒介した免疫応答と関連していた。抗原の大きなレパートリーを提示し得る複合体は、自己貪食細胞において誘導されるリソソームを媒介した抗原プロセシングの作用により、非自己貪食細胞に存在しないであろう。
IFNガンマ処理した細胞株から生成される非アポトーシス性の、自己貪食性の腫瘍細胞は、自己貪食腫瘍細胞の表面上の主要組織適合性複合体が高レベルのため、樹状細胞と融合して抗原提示を増強することができる。このプロセスは、2つの細胞型の融合により生成される新規細胞産物を生じるだろう。
INF-γに応答した自己貪食の誘導のプロセスは、アポトーシスを生じない様式で誘導され得る。カスパーゼ阻害剤およびインターフェロン-ガンマと腫瘍細胞の処理を組み合わせることにより、自己貪食の誘導または主要組織適合性クラスII複合体の増大を阻害することなく、細胞死(および最終的に寛容原性アポトーシス細胞の形成)のプロセスを遮断することができる。
【0050】
アポトーシス細胞を除去し、一方で生存可能な自己貪食細胞を保持する手順
メラノーマの研究では、アポトーシス細胞の存在と臨床治験における乏しい生存の間の相関を証明した(Cornforthら(2011) Cancer Immunol. Immunother. 60:123-131; Dillmanら(2011) Cancer Biother. Radiopharmaceuticals 26:407-415)。以下の研究は、インビトロにおけるメラノーマ腫瘍細胞のINF-γ処理後の、自己貪食、アポトーシスおよびMHCクラスII分子の誘導を調査した。
研究の方法論は、以下の通りであった。自家およびモデルメラノーマ腫瘍細胞株を、自己貪食、アポトーシスおよびMHCクラスII発現についてアッセイする前に、72時間1000lU/mLのINF-γと共にインキュベートした。自己貪食を、LC3IIに対する抗体でのイムノブロッティングおよびEnzoのCytolD(登録商標)自己貪食検出キットでのフローサイトメトリーによって検出した。アポトーシスおよびMHCクラスII誘導は、それぞれ、7-AAD およびアネキシン-V染色およびMHCクラスIIに対する抗体を使用してフローサイトメトリーによってアッセイした。7-AAD はdsDNAにインタカレートする。7-AAD は、生存可能な細胞によって除外され、したがって、死細胞を検出するために使用することができる。
研究からの結果は、INF-γがメラノーマ細胞株における自己貪食性およびアポトーシス性の細胞集団を誘導することを示した。アポトーシス性集団は非接着集団において主に見いだされ、一方自己貪食細胞はフラスコに接着性のままであった。阻害剤3-メチルアデニン(3-MA)での自己貪食の遮断は、INF-γに応答してMHCクラスII陽性細胞の誘導を阻害する(39.4%のINF-γ対10.0%のINF-γ+3-MA)。パンカスパーゼ阻害剤Z-VADでのカスパーゼ活性の阻害はアポトーシスを防止するが、IFNガンマ処理した細胞における自己貪食を乱さない(2.75±0.15のINF-γ対3.04±0.27のINF-γ+Z-VAD、変化倍数)。結論として、アポトーシスの誘導は自己貪食のレベルの減少およびMHCクラスII誘導と関連する。本開示は、アポトーシス細胞を除去し、一方でINF-γ処理後の生存可能な自己貪食細胞を保持してこの種の細胞に基づいた免疫療法の有効性を増強することができる方法または手順を提供する。
【0051】
INF-γは、腫瘍に対する免疫応答の抑制と関連していた(たとえば、Hallermalm (2008) J. Immunol. 180:3766-3774; Romieu-Mourez (2010) Cancer Res. 70:7742-7747; Lee (2005) Clinical Cancer Res. 11:107-112を参照されたい)。
腫瘍は、多少分化された細胞の不均一な集団であることができる。腫瘍のメラノーマ細胞のINF-γ処理は、アポトーシスに対してより感受性であるより分化された細胞のいくつかに対して作用し得る。抗原供与源からこれらの細胞を除去することにより、結果は、腫瘍サイズのゆっくりまたは見かけ上の後退がないことによって解釈される、ワクチン接種後の腫瘍の大半に対していくらかの効果の喪失であることができる。研究は、アポトーシス細胞が樹状細胞を活性化しないことを示している(Sauter (2000) J. Exp. Med. 191:423-434)。
INF-γはDCsからマクロファージへの単球分化を歪めるように作用し得る。調製におけるINF-γの量は、あまり専門化していないマクロファージに表現型を歪めることにより、DCsの不完全な分化に影響を及ぼし得る。
INF-γは、MHCクラスII分子を増強するために使用してもよく、およびT細胞に直接提示をしてもよい。しかし、MHCクラスII分子とliタンパク質(カルプロテクチン)の同時誘導は、MHCクラスII分子からの内因性の腫瘍抗原の提示を妨げる。
【実施例】
【0052】
第1の研究からの材料および方法
自家樹状細胞生成
樹状細胞は、文献記載のようにプラスチック付着法によって生成した(Choi (1998) Clin. Cancer Res. 4:2709-2716; Luft (1998) Exp. Hematol. 26:489-500)。簡潔には、自己除去療法製品をフィコール-ハイパーク(hypaque)(GE Healthcare、Buckinghamshire, United Kingdom)密度勾配分離に供した。生じる末梢血液単核細胞を、細胞培養フラスコ(Corning-Costar、Corning、NY)において、1,000 lU/mLのIL-4(CellGenix、Freisberg、Germany)およびGM-CSF(Berlex、Seattle、WA)(DC培地)のそれぞれを補った抗生物質のないAIM-V培地(Invitrogen, Grand Island, NY)中に、15×10
6細胞/mLにて置いた。1時間のインキュベーション後、非接着集団を捨てて、新鮮なDC培地をフラスコに添加した。翌朝、非接着細胞を捨て、フラスコを外界温度PBSで一度洗浄して、新鮮なDC培地を添加した。次いで、フラスコを6日間培養し、このときに、フローサイトメトリー評価を行って、このアプローチ(事前に負荷したDC)によって生成されるDCの割合および表現型を決定した。
【0053】
自家腫瘍細胞株生成
以前に報告されたように生成し、および特徴づけた純粋な腫瘍細胞を200,000,000細胞まで増殖させ、次いで文献に記載されたようにセシウム供与源から100Gyで照射を受けさせ、かつ低温保存したRPMI(完全培地)中の15%FBS/ECSにおいて72時間の間1000lU/mLのINF-γ(InterMune、Brisbane、CA)と共にインキュベートした(Choi (1998) Clin. Cancer Res. 4:2709-2716; Luft (1998) Exp. Hematol. 26:489-500; DiIIman (1993) J. Immunother. Emphasis Tumor Immunol. 14:65-69)。INF-γ処理し、かつ照射した腫瘍細胞を凍結保存から回復させ、PBSで3回洗浄して、次いでインビトロで培養したDCに添加し、および〜24時間の間インキュベートした。抗原装荷したDCをラバーポリスマンで穏やかに掻爬することによって収集して、同量にて9-11の一定分量に低温保存した。細胞の一定分量を、負荷後のDC細胞を表すフローサイトメトリー評価のために得た。
【0054】
フローサイトメトリー
樹状細胞集団の表現型特性付けは、BD Pharmingen、San Diego、CAから得られる表面マーカーに対するモノクローナル抗体:PerCpに抱合した抗MHCクラスII、APCに抱合した抗CD11c、抗CD80、抗CD83、PEに抱合した抗CD86を使用して行った。アイソタイプ対照を、陽性細胞率を決定するために使用した。BD PharmingenのFITC抱合MHCクラスIおよびII、アネキシン-V-PEおよび7-アミノ-アクチノマイシンD(7-AAD)に対する抗体を使用して、腫瘍細胞のフローサイトメトリーを行った。CaliBRITEフローサイトメトリーキャリブレーション(BD Pharmingen)を各々の実施前に使用し、同じ機器設定をフローサイトメトリーデータ収集の全体にわたって使用した。
【0055】
イムノブロットアッセイ
哺乳類タンパク質抽出試薬(Thermo Scientific、Rockford、IL)とプロテアーゼ阻害剤混合物(Roche、Indianapolis、IN)で細胞質細胞溶解液を氷上で10,000細胞/μLに調製した。およそ25μL/レーンの細胞溶解液を12.5%のトリス-グリシンゲルので分離して、PVDF膜へ転写し、以下に対する抗体でプローブした:カルレティキュリン(MBL、Woburn、MA)、Hsp-60、Hsp-70、Hsp-90(R&D Systems, Minneapolis、MN)、HMBG-1(Cell Signaling、Danvers、MA)、ICAM-1(Santa Cruz Biotech、Santa Cruz、CA)、Mel-4、Mart-1(Signet、Emeryville、CA)、チロシナーゼ(Upstate、Lake Placid、NY)およびGADPH(Calbiochem、Darmstadt、Germany)。
【0056】
免疫組織化学
メラノーマ株によるパネル抗原の発現を、免疫細胞化学的手順を使用して決定した。細胞を、1000lU/mLのINF-γの非存在下および存在下で、8-チャンバー培養スライド(Thermo Fisher、Rochester、NY)において培養した。72時間後に、細胞を1×リン酸緩衝食塩水(PBS)で3回洗浄し、冷却アセトンで固定した。内因性のペルオキシダーゼを遮断した後に、細胞を収載された抗原に対する適切な一次抗体と共にインキュベートした。免疫組織化学を、ビオチン化された抗マウス(anitmouse)またはウサギ免疫グロブリン、超高感度酵素結合ストレプトアビジン標識および西洋ワサビペルオキシダーゼ色素原および基質キット(Biogenex、San Ramon、CA)を使用して行った。以下の抗ヒトポリクローナルまたはモノクローナル抗体の応答性をアイソタイプがマッチした対照抗体で調査した:S-100およびHMB-45(Biogenex、San Ramon、CA)、Mel-2、Mel-5、Mart-1(Signet、Dedham、MA)、チロシナーゼおよびMage-1(Thermo Scientific、Fremont、CA)Melan-A、HLAクラスIおよびHLAクラスII(Dako、Denmark)。
【0057】
統計分析
等分散2標本両側スチューデントのt検定。有意差は、p値<0.05によって決定した。
第1の研究からの結果
細胞死は、完全培地における72時間のINF-γとのインキュベーションに応答して自己メラノーマ腫瘍細胞株において示差的に誘導された。INF-γで処理された、またはされていない細胞のいずれかにおいて行ったトリパンブルー色素排除アッセイは、INF-γ処理された細胞(89.1±6.8%対84.9±9.3%、p = 0.014、N = 47)においてより低い生存度に向かう有意な傾向を示した。アポトーシス誘導のためのフローサイトメトリーによる4つの自己メラノーマ細胞株の試料の解析(
図1A)は、メラノーマ細胞がアポトーシスを誘導したINF-γの効果に対して示差的に感受性があり、いくつかの細胞でより後期のアポトーシスまたは「死んだ」集団(7-AAD+/アネキシン-V+)を示し、一方で、その他は初期のアポトーシスまたは「瀕死の」集団(7-AAD-/アネキシン-V+)の徴候を示すことを明らかにした。INF-γ処理後に生じるアポトーシス細胞の存在は、無進行および全体の生存における有意な減少と関連していた(Cornforth(2010)Cancer Immunol. Immunother.患者特異的な樹状細胞免疫療法において使用されるメラノーマ細胞におけるインターフェロンγのアポトーシス性の効果に対する耐性は、全体の生存の改善と関連する)。ログランク検定は、メラノーマ腫瘍細胞のINF-γ処理でのより低い生存度および研究中の患者における全体の生存率との有意な関連を明らかにした。
【0058】
INF-γの非存在下および存在下でインキュベートされた細胞からの溶解液を、免疫の重要なメディエーターであろう多様な分子の免疫ブロットに供した(
図1B)。INF-γで処理したメラノーマ細胞の状況において、特にhsp-70の場合において、熱ショックタンパク質は、示差的に調節されるようにみえるが、主に細胞調製において存在したままである。小胞体タンパク質、カルレティキュリンおよびハイモビリティグループボックス-1タンパク質(HMGB-1)は、INF-γでの処理により、いくつかの場合においてアップレギュレートされるようにみえる(
図1B)。対照的に、共通のメラノーマ抗原(mel-4、Mart-1およびチロシナーゼ)は、INF-γによってダウンレギュレートされるようにみえ、一方で、ICAM-1、リンパ球で媒介される細胞毒性に対する感受性と関連するリンパ球細胞接着因子(Hamai(2008)Cancer Res. 68:9854-9864)は、有意にアップレギュレートされる(
図1C)。実際に、INF-γ処理したメラノーマ腫瘍細胞は、細胞毒性Tリンパ球(CTL)活性により感受性があることが見いだされた。加えて、メラノーマに関連する抗原のパネルの免疫組織化学は、INF-γが、調べた抗原の多くにおいて抗原発現のダウンレギュレーションを生じることを明らかにした(表1)。
【0059】
INF-γの使用は、主要組織適合性抗原複合体、クラスIおよびクラスIIのアップレギュレーションを生じる(Bohn (1998) J. Immunol. 161:897-908)。
図1Dに示したように、INF-γでの自己メラノーマ細胞の処理が、2.91±1.13(95%C.I.)の中央倍率誘導でMHCクラスI(p = 2.8×10
-8)のほとんど普遍的で有意なアップレギュレーションを生じた。加えて、MHCクラスIIの平均蛍光強度(MFI)も有意に高かったが、4.23±2.66(95%C.I.)の中央誘導で、少し低かった(p = 0.039)。自己メラノーマ細胞の表面上のMHCクラスII分子のレベルはMHCクラスI分子のレベルよりも一般に低かったが、その場合の70%において、MHCクラスII発現の初期レベルが低いため、MHCクラスII分子へのINF-γ処理に対する応答において誘導は2倍を上回った。樹状細胞上の抗原の負荷の際の腫瘍細胞上のこれらの分子の存在は、抗原提示細胞上へMHC複合体を「クロスドレッシング」のための機会を提供するであろう(Dolan (2006) J. Immunol. 277:6018-6024, Dolan (2006) J. Immunol. 176:1447-1455)。
【0060】
4つの代表的な自己メラノーマ細胞株のセットをINF-γと共にインキュベートして、樹状細胞上に等量を添加し、次いでこれをCD80、CD83、CD86およびMHCクラスIIの発現についてフローサイトメトリーによってアッセイした。結果は、INF-γ処理されたメラノーマ細胞を添加することにより、CD83を発現する樹状細胞の陽性集団率の小さいが、かなりの増大が見られることを示した(
図2)。加えて、よりプロセッシングされていない腫瘍細胞がCD86点プロット線(左上四半分)において顕著であり、これによりCD86陽性集団率における識別可能な減少を生じ、INF-γ未処置の腫瘍細胞がなおも存在したことを示した。以前に報告されたように、アポトーシス細胞は、樹状細胞によって貪食される可能性がより高いので、この効果は、INF-γによるアポトーシスの誘導の可能性が最も高い。
【0061】
図3に示したように、予め負荷されたDCの試料は、これらがCD80(39.0±16.2%)、CD83(7.1±6.9%)、CD86(73.6±19.5%)を発現し、および96.2±5.0%の生存度でMHCクラスII陽性であることを示した。装荷DCは、有意に高い割合のCD83(9.4±7.1%、p = 0.019)を有し、有意に高い平均蛍光強度(MFI)(172.9±79.0、p = 0.0009)であり、照射を受け、INF-γ処理された腫瘍細胞でDCを負荷することは、いくつかの樹状細胞における成熟を誘導することを示す(
図3B)。
【0062】
第1の研究からの考察
抗腫瘍免疫の状況において、抗原負荷、成熟および投与のためのプロトコル、および樹状細胞(DC)に基づいた免疫療法上のガイダンスは、当業者によって実践される。このタイプの療法は、抗原の供与源として精製された自己腫瘍細胞の使用を包含して、腫瘍関連抗原の患者特異的なレパートリーを含む(Selvan (2010) Melanoma Res. 20:280-292; Dillman (2007) Cancer Biother. Radiopharm. 22:309-321)。いくつかの臨床的試験は、精製されていない自己のバルク腫瘍を使用する。この抗原の供与源は、混入する線維芽細胞および壊死の組織を有するであろう(O'Rourke (2007) Melanoma Res. 17:316-322)。腫瘍幹細胞関連抗原は、精製された細胞株に存在するであろう(Dillman (2006) New Engl. J. Med. 355:1179-1181)。INF-γ処理は、MHCクラスII分子の発現を増加させる。MHCクラスII分子は、樹状細胞に基づいた療法への応答にとって重要である。カルレティキュリン、HMGB-1および熱ショックタンパク質などの貪食された材料における分子は、成熟シグナルに貢献するであろうし、この貢献は、加えてサイトカイン混合物による貢献によるであろう。DCsの現在の調製は、成熟に向かう傾向を示し、これは後期段階アポトーシス細胞の貪食作用と関連し得る(Ip (2004) J. Immunol. 173:189-196)。アポトーシス細胞の使用は、リンパ球INF-γ分泌を刺激する際により有効だった樹状細胞対腫瘍細胞溶解液または壊死細胞のいずれかを負荷した樹状細胞の生成と相関し、アポトーシス細胞を負荷された樹状細胞が生体内でより強力であろうことを示唆する。INF-γのアポトーシス促進効果に対する耐性は、より優れた臨床的結果と関連するであろう(Cornforth (2010) Cancer Immunol. Immunother. 60:123-131)。成熟したDCによるインターロイキン-12(IL-12)の分泌は強い細胞毒性リンパ球(CTL;CD8
+ T細胞)活性を引き起こし得る。エキソビボ成熟が長続きする腫瘍免疫性を引き起こすかどうかの問題が取り組まれてきた。また、未成熟のDCによる、抗原特異的なCTLを抑制することができる調節性T細胞が誘導されるリスクが、サイトカインで成熟されたDCで生じることが示された。成熟を引き起こすシグナリングイベントの順序の再評価が、DC成熟プロトコルを改善するために調べられている。したがって、本明細書で提示した証拠は、DCが成熟のプロセスを開始したことを示すので、この研究において抗原供与源としての照射を受けた腫瘍細胞全体の使用は、エキソビボでのサイトカイン成熟の必要性なく、DC免疫療法のより好ましい方法であろう。注射すると、これらの「成熟する」DCsは、ライセンシング、抗原特異的な、CD40L発現CD4+T細胞を誘引するケモカインを分泌することによって成熟のプロセスを完了するであろう。アジュバントGM-CSFに対して応答して樹状細胞によって産生されるCCL17/TARCのような血清ケモカインは、より優れた無増悪生存率と関連していた。いくつかの状況において、樹状細胞によるリンパ球の活性化は、CD80およびCD86のような同時刺激性分子の発現を必要とするであろう。成熟のマーカーとして、CD83は成熟した樹状細胞上に発現して、より強力な免疫応答を誘導することができる樹状細胞に対応するであろう(Prazma (2008) Immunol. Lett. 115:1-8)。これは、医薬品調製において全ての細胞の画分を表す。成熟したDCsの数自体は、任意の1つの医薬品投与計画において、よりよい患者の応答に相関することもしないこともある。
【0063】
第1の研究からの表
表1:患者-特異的細胞に基づいた樹状細胞療法に使用されるメラノーマ細胞株におけるインターフェロンγに応答した一般的な腫瘍関連抗原の発現レベルの変化。
N =27試料。
【0064】
第2の研究のための材料および方法
メラノーマ細胞株
市販のメラノーマ細胞株A375、SK-Mel-5およびSK-Mel-28は、 アメリカンタイプカルチャーコレクション(カタログ番号:CRL-1619、HTB-70およびHTB-72)から購入した。A375、SK-Mel-5およびSK-Mel-28は、RPMI-1640(Invitrogen、カタログ番号11875-085)中の5%のウシ胎児血清において維持した。パン-カスパーゼ阻害剤、z-VAD-fmkおよびその対照化合物、z-FA-fmkは、BD Pharmingen(カタログ番号:550377および550411)から購入した。GFP-LC3のトランスフェクションは、製造業者説明書(InvivoGen、カタログ番号psetz-gfplc3およびlyec-12)に従って行い、および顕微鏡写真は、DP72デジタルカメラを使用してOlympus BX-51顕微鏡で撮影した。腫瘍細胞株は、1000U/mLのIFN-γ(InterMune、Cat #)と共にアッセイ前に72時間インキュベートした。記述されたように(Hamai (2008) Cancer Res. 68:9854-9864; Tyring (1984) J. Natl. Cancer Inst. 73:1067-1073)、患者特異的な細胞株は、外科的な腫瘍試料の酵素消化、および、ウシ胎児および濃縮された仔ウシ血清(Omega Scientific、San Diego、CA)プラス1mMピルビン酸ナトリウム、1mMグルタミンおよびHEPES緩衝液を補ったRPM I-1640組織培養培地における培養によって生成した。位相差顕微鏡写真は、Nikon DS-L1デジタル顕微鏡カメラを使用してOlympus CK-2顕微鏡で撮影した。
【0065】
自己樹状細胞生成
樹状細胞は、それぞれ1,000 lU/mLのIL-4(CellGenix、Cat#)およびGM-CSF(Berlex、Seattle、WA)(DC培地)を補った抗生物質のないAIM-V培地(Invitrogen、Cat#)においてフィコールアフェレーシス製品のプラスチック付着方法によって生成した(Selvan (2007) Int. J. Cancer. 122:1374-1383; Cornforth (2010) Cancer Immunol. 60:123-131)。次いで、フラスコをINF-γ処理され、照射を受けた自己腫瘍細胞の負荷前に6日間培養した。
【0066】
フローサイトメトリー
腫瘍細胞死およびINF-γに対して応答する主要組織適合性抗原クラスII発現の変化の解析をMHCクラスII、アネキシン-Vおよび7-アミノ-アクチノマイシンD(7-AAD)に対する抗体の使用によって行い、およびBeckton-Dickenson FACS Calibur(登録商標)フロー・サイトメーターで得られた。
【0067】
ウエスタンブロッティング
メラノーマ腫瘍細胞溶解液を10-12.5%のSDS-PAGEで分離し、ニトロセルロースへ転写して、一次抗体で一晩プローブした後、二次抗体抱合およびバンドを現像するためのNovex AP 発色基質(Invitrogen、Carlsbad、CA)による現像を行った。LC3-B抗体(Cell Signaling Technologies、Boston、MA)およびGADPH(EMD biosciences、Germany)に対する抗体を、それぞれ、1:100および1:10,000の製造業者に推奨される希釈にて使用した。
【0068】
第2の研究の説明
調査したことは、インビトロでのメラノーマ腫瘍細胞のINF-γ処理後の自己貪食、アポトーシスおよびMHCクラスII分子の誘導であった。自己貪食、アポトーシスおよびMHCクラスII発現のアッセイをする前に、自己およびモデルメラノーマ腫瘍細胞株を1000lU/mLのINF-γで72時間インキュベートした。LC3 IIに対する抗体での免疫ブロッッティングによって、およびEnzoのCytolD 自己貪食検出キットでのフローサイトメトリーによって、自己貪食を検出した。アポトーシスおよびMHCクラスII誘導は、それぞれ、7-AADおよびアネキシン-V染色およびMHCクラスIIに対する抗体を使用してフローサイトメトリーによってアッセイした。
【0069】
第2の研究の結果
結果は、INF-γがメラノーマ細胞株における自己貪食性およびアポトーシスの細胞集団を誘導することを証明した。アポトーシス性集団は、非接着集団において主に見いだされ、一方で、自己貪食細胞は、フラスコに接着したままである。阻害剤3-メチルアデニン(3-MA)での自己貪食の遮断は、INF-γに応答してMHCクラスII陽性細胞の誘導を阻害する(39.4%のINF-γ対10.0%のINF-γ+ 3-MA)。パンカスパーゼ阻害剤Z-VADでのカスパーゼ活性の阻害は、アポトーシスを防止するが、INF-γ処理した細胞における自己貪食を混乱させない(2.75±0.15のINF-γ対3.04±0.27のINF-γ+ Z-VAD、倍数変化)。アポトーシスの誘導は、自己貪食およびMHCクラスII発現のレベルの減少と関連する。インターフェロンγ処理された精製した腫瘍細胞株に由来する非アポトーシス性の自己貪食細胞である樹状細胞を負荷した自己腫瘍細胞を受けている患者は、無進行および全体生存率が改善された(それぞれ、p 0.003およびp 0.002)。INF-γ処理後に生存可能な自己貪食細胞を保持すると共に、アポトーシス細胞を除去する手順は、この種の細胞に基づいた免疫療法の有効性を増強するであろう。
【0070】
研究の統合解析
自己の、増殖する、自己複製腫瘍細胞(推定上の腫瘍幹細胞および/または初期の前駆細胞)は、転移性癌の新たなデポーの確立にとって重要であり、およびワクチンのための抗原の優れた供与源であろう。これらの研究は、このような細胞からの抗原での免疫による生存に対する影響に取り組んだ。
【0071】
方法
データを3連続第二相試験から統合した。試験の全ては自己腫瘍細胞の細胞培養からの抗原を利用したプロトコルで処置された、確認された転移性メラノーマを持つ患者を含んんでいた。S.C.注射は、3週間毎週、次いで5月間毎月与えた:74人の患者に照射を受けた腫瘍細胞(TC)を注射した:54人の患者に、照射を受けた自己腫瘍細胞(NCI-V01-1646)と共に培養された自己樹状細胞(DC)を注射した:ランダム化された第二相試験において、24人の患者にはTCを、および18人にはDCを注射した。
【0072】
結果
表2は、各試験における全体生存(OS)をまとめたものである。統合解析において、98人のTCおよび72人のDC患者がいた。特徴は、年齢(51、52)、男性(62%、62%)、処理の時点で疾患の証拠がなく(46%、47%)、および処理の時点でM1cの内臓疾患の存在(13%、14%)の点で類似した。OSは、DC(中央値63.1対20.2月、5年のOS 51%対26%、p=0.0002 Mantle-Coxログランク検定)で処理した患者においてより長かった。また、OSの相違は、ランダム化された試験において有意である(p=0.007)。
自己の、増殖する、自己複製腫瘍細胞からの抗原で刺激された患者特異的なDCワクチンは、有望な長期生存率と関連して、および転移性メラノーマと診断された患者の集団における患者特異的なTCワクチンより優れている。
【0073】
【0074】
患者特異的なワクチンの3件の試験からの生存曲線を
図13に示してある。自己樹状細胞と組み合わせて、または樹状細胞なしで、自己腫瘍細胞を使用して、連続した第一および第二相臨床試験を行った。皮下注射を3週間毎週、次いで5月間毎月与え、74人の患者に、INF-γ(TC)の前処理のない照射を受けた腫瘍細胞を注射した:54人の患者に、INF-γの前処理のある照射を受けた自己腫瘍細胞で共に培養された自己樹状細胞(DC)を注射した:ランダム化された第二相試験において、24人の患者には、INF-γのない前処理のないTCを、および18人にはINF-γの前処理のないDCに加えTCを注射した。
図14は、3件の試験からの生存曲線を示し、試験は、後期の時点から得られるさらなるデータがあり、2つの図における工程プロット線を比較することにより明らかであるとおり、
図13において開示したのと同じ臨床的試験である。臨床的試験におけるメラノーマ細胞、TC-24およびTC-74はINF-γを受けなかった。臨床的試験におけるメラノーマ細胞、DC-TC-18はINF-γを受けなかった。臨床的試験におけるメラノーマ細胞、DC-TC-54はINF-γを受けた。
樹状細胞ワクチンを調製するための非限定的な標準的操作手順は、以下(表3)を含む。増殖後の腫瘍細胞を収集する際に、以下を各患者の腫瘍細胞ロットについて作製してある。腫瘍細胞ワクチンロットを作製するために必要なのは約220,000,000細胞である、任意の余分の細胞はバックアップ細胞として低温保存すべきである。以下の様式(表3)で分配するために22mlの培地に220×10
6の細胞として貯蔵細胞懸濁液を作製する。
【0075】
【0076】
試験#2:DC 2000-2006(NCI-V01-1646)。照射を受けた自己腫瘍細胞からの抗原を負荷した自己樹状細胞の、患者特異的なワクチン(BB-IND 8554)としての第二相試験:樹状細胞(DC)ワクチン。この試験のためのワクチンの産生において、自己増殖する腫瘍細胞をINF-γで共にインキュベートし、低温保存して、および次いでその後、自己樹状細胞と共にインキュベートした。細胞の各一定分量を注射のために500マイクログラムのGM-CSFと共に懸濁した。
試験#3:DC対TC 2007-2011(NCT00436930):転位性メラノーマを有する患者における、アジュバントGM-CSF+増殖腫瘍細胞とGM-CSF+増殖腫瘍細胞を負荷した樹状細胞の対比からなるランダム化第二相試験:MAC VAC。 3回目の試験は、上に記載された2つのアプローチにおいて相違があったかどうか決定する、ランダム化された試験であった。INF-γは、腫瘍細胞の産生に使用しなかった。上のDC試験のように、3週間毎週および次いで5月間毎月、500マイクログラムのGM-CSFとTCまたはDC注射されたS.C.を受けるように全ての患者をランダム化した。DCアームの患者についての突出した72%の2年の生存率は、生存期間の中央値が5年であったDCの以前の54患者の試験において観察された2年の生存が71%観察されたのと同等である。
【0077】
大腸癌、卵巣癌、グリア芽細胞腫および腎癌細胞に関する情報
以下は、大腸癌細胞(内胚葉)、卵巣癌細胞(胚葉に加えて胚体外の混合)、グリア芽細胞腫細胞(外胚葉)および腎癌細胞(中胚葉)の研究からのフローサイトメトリーデータを提供する。それぞれのこれらのタイプの細胞の発生学的な起源点を括弧において示す。メラノーマ細胞は神経堤起源である。表3は腫瘍細胞型をまとめたものであり、一方、表4は細胞をインターフェロンγ(INF-γ)で処理した場合のこれらの細胞における実験からの結果をまとめたものである。
腫瘍細胞は、自己増殖および細胞のより成熟したタイプに分化する潜在性など、成体幹細胞と種々の類似性を有する。以下のデータは、自己貪食が全ての胚性層に由来する腫瘍細胞に誘導することができる現象であることを示す。神経堤に由来する細胞から生じたメラノーマに加えて、本研究は、内胚葉(結腸)、中胚葉(腎臓)、外胚葉(グリア芽細胞腫)および混合中胚葉に加えて胚体外(卵巣)に由来する組織において産生された腫瘍を含んだ。
【0078】
【0079】
表4は、以下の結果を開示する。自己貪食は、インターフェロンγ処理により接着細胞集団におけるアポトーシスの非存在下(ホスファチジルセリン曝露)におけるMHCクラスII複合体の誘導に基づいて調べた腫瘍型において誘導されることが示された。
【0080】
材料および方法
DillmanおよびCornforthら(Cornforthら(2011) Cancer Immunol. Immunother. 60:123-131; Dillmanら(1993) J. Immunother. Emphasis Tumor Immunol. 14:65-69; Dillmanら(2000) Cancer Biother. Radiopharm. 15:161-168; Dillmanら(1999) 14:443-449; Dillmanら(2000) 15:161-168)に従って、純粋な腫瘍細胞を結腸、卵巣、グリア芽細胞腫および腎細胞癌から生成した。
簡潔には、外科的試料からの腫瘍生検を酵素的処理して単個細胞懸濁液とし、差動的付着および血清飢餓によって生成される細胞株を精製した。生成された細胞株を液体窒素において低温保存し、解凍して、5%ウシ胎児血清/RPMI培地においてインターフェロンγの有無で72時間処理した。インターフェロンγへの曝露後、非接着細胞を、フローサイトメトリーによって接着細胞とは別々に解析した。調査したマーカーは、MHCクラスI、MHCクラスII、アネキシン V(アポトーシス)および7-ADD(生存度)であった。
図14は、以下を開示する。データは、接着細胞および非接着細胞に何ら分離していないバルク細胞に由来する。インターフェロンγ処理は、主要組織適合性抗原複合体の発現を増加させる:結腸(A)、卵巣(B)、グリア芽細胞腫(C)および腎細胞癌(D)。腫瘍細胞株は、1000lU/mL INF-γの有無で72時間処理後に収集し、次いでフローサイトメトリーによってMHCクラスIおよびクラスIIのアッセイをした(
図1A)。
図15は、以下を明らかにする。対照アイソタイプ抗体を使用して陽性集団を同定した。主要組織適合複合体クラスIおよびクラスIIに関する平均蛍光強度(MFI)における倍数変化を
図15にまとめた。
図16は、以下を開示する。アポトーシスは、多様な供与源からの腫瘍細胞のINF-γ処理によって誘導される。結腸(A)、卵巣(B)、グリア芽細胞腫(C)および腎細胞癌(D)。腫瘍細胞株を1000lU/mL INF-γの有無で72時間処理した後に収集し、次いでアネキシン-Vによるホスファチジルセリン曝露および7-AADによる細胞生存度についてアッセイをした。
【0081】
図17は、以下を開示する。非アポトーシス性で自己貪食性のMHCクラスII発現細胞は、細胞の接着性集団における多様な供与源からの腫瘍細胞のINF-γ処理によって誘導される(しかし、非接着性集団からは誘導されない)。大腸癌(A)、グリア芽細胞腫(C)および腎細胞癌(D)。腫瘍細胞の非接着集団をHBSSで洗浄することによって取り除いて、接着細胞を1000lU/mL INF-γの有無で72時間処理後に収集し、次いで7-AAD陰性画分におけるアネキシン-Vによるホスファチジルセリン曝露および主要組織適合性抗原複合体クラスIIについてアッセイをした(
図17)。
図18は、以下を開示する。対照アイソタイプ抗体を使用して陽性集団を同定した。主要組織適合性抗原複合体IIについての平均蛍光強度(MFI)における倍数変化を非接着細胞集団において
図18に要約してある。MHCクラスII発現は自己貪食の代用物であるので、この図の平均蛍光強度(MFI)データは、大腸癌細胞(A)、グリア芽細胞腫(C)および腎細胞癌細胞(D)についての自己貪食の増大である変化として図に示した倍数変化を示す。使用した細胞は、非アポトーシス性集団からであった。MFIにおける変化は、INF-γ処理に応答した。
図19は、以下を開示する。図は、調べた4つの腫瘍型からの接着、非アポトーシス性の細胞(アネキシン-V)における自己貪食の誘導を開示する。1000lU/mL INF-γンの有無で72時間処理後、非接着集団をHBSSで洗浄することによって取り除いて、次いで接着細胞を収集して、7-AAD陰性画分におけるアネキシン-Vによるホスファチジルセリン曝露および主要組織適合性抗原複合体クラスIIについてアッセイをした。結腸(A)、卵巣(B)、グリア芽細胞腫(C)および腎細胞癌(D)。
【0082】
結果
MHCクラスII分子は、通常、樹状細胞、単核食細胞、Bリンパ球、いくつかの内皮細胞および胸腺などの専門化した細胞においてのみ発現される。表4に示したように、MHCクラスIIの発現は、記述したインビトロでの操作の結果として全ての調査した試料によって明らかに発現されることが見いだされた。試料のいくつかは、INF-γに対してより感受性が高く、およびカスパーゼおよびbclファミリータンパク質などのアポトーシス経路タンパク質の発現と関連した特徴であろうアポトーシスの誘導を生じた。
記述したインビトロ操作後の腫瘍細胞におけるMHCクラスII分子発現はリソソームプロセシングの結果であり、したがって、その結果は、結腸、卵巣、グリア芽細胞腫および腎細胞癌腫によって本明細書で例証される全ての胚性胚葉(外胚葉、中胚葉および内胚葉)に由来する腫瘍細胞株における接着性の非アポトーシス性集団において、自己貪食の誘導が生じることを示す。インターフェロンγに対するこの応答はメラノーマ細胞で見られる応答と同一であり、および我々が癌のための細胞に基づいた免疫療法における重要な構成要素であることを示した非アポトーシス性の自己貪食細胞集団を生成する手段としてこの特徴を使用することができることを示唆する。自己貪食の結果として腫瘍細胞を提示するMHCクラスIIは、ヘルパーTリンパ球(CD4
+ T細胞)と直接相互作用することができ、免疫応答を誘導することができる。樹状細胞および自己貪食腫瘍細胞の複合体は、我々の臨床的データによって示されるように、樹状細胞単独、非操作の腫瘍細胞集団または腫瘍からの細胞溶解液に基づいているその他の免疫療法と比較して、患者においてより速い、およびより強い応答を誘導する。
【0083】
インターフェロンγ処理に応答する自己貪食のための代理マーカーとしてのMHCクラスII発現の使用は、自己貪食がMHCクラスII装荷区画への内因性タンパク質の移行に関与することが記述されていること明らかにしている、本明細書で提示した証拠および引用された研究によって十分に支持される。この効果は、自己貪食細胞の表面上のMHCクラスII複合体の発現の増大によって明らかにされる(たとえば、 Crotzer and Blum (2009) J. Immunol. 182:3335-3341を参照されたい)。本開示、または引用される優先権書類は、自己貪食阻害剤3-メチルアデニンの使用が、インターフェロンγでの処理にもかかわらずMHCクラスII発現の喪失を生じさせたことを示す。したがって、MHCクラスIIの誘導の測定は、自己貪食のための代理マーカーとして使用することができる。
したがって、例示的な実施態様および/またはその側面に適用される開示の基本的な新規特徴を示し、記述し、および指摘したが、例示的な実施態様、開示およびその側面の形態および詳細における種々の省略、再配置、並びに置換および変化が、本開示および/または特許請求の範囲の精神を逸脱しない範囲で当業者によってなされてもよいことが理解されよう。たとえば、同じ結果を達成するために実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を行うこれらの要素および/または方法の工程の全ての組み合わせが開示の範囲内であることが明白に意図される。その上、任意の開示された形態または実施態様とを組み合わせて示された、および/または記述された構造および/または要素および/または方法工程は、一般的なデザイン選択の問題として任意のその他の開示された、または記述された、または示唆された形態または実施態様に組み込まれ得ることが認識されるべきである。したがって、開示の範囲を限定しないことが意図される。全てのこのような改変は、本願明細書に添付された特許施急の範囲の範囲内であることが意図される。
【0084】
本明細書で引用された全ての刊行物、特許、特許出願、参照および配列リストは、あたかも完全に本明細書に記載されるかのように、この参照により本明細書に援用される。
読み手が迅速に技術的開示の性質および要旨を確認することができるように37CFR §1.72(b)にしたがって要約を提供する。要約は特許請求範囲の範囲または意味を解釈するまたは限定するために使用されないという理解の下に提供されるものである。