(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-506764(P2015-506764A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(54)【発明の名称】止血創傷被覆材
(51)【国際特許分類】
A61L 15/16 20060101AFI20150206BHJP
A61K 38/36 20060101ALI20150206BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20150206BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20150206BHJP
A61K 47/34 20060101ALI20150206BHJP
A61K 47/42 20060101ALI20150206BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20150206BHJP
A61L 15/58 20060101ALI20150206BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20150206BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20150206BHJP
C07K 5/113 20060101ALI20150206BHJP
C07K 7/02 20060101ALI20150206BHJP
C07K 14/00 20060101ALI20150206BHJP
C07K 14/765 20060101ALI20150206BHJP
【FI】
A61L15/01
A61K37/46
A61P7/04
A61K9/70 401
A61K47/34
A61K47/42
A61K47/38
A61L15/06
A61P17/02
A61K9/16
C07K5/113ZNA
C07K7/02
C07K14/00
C07K14/765
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-555315(P2014-555315)
(86)(22)【出願日】2013年2月1日
(85)【翻訳文提出日】2014年8月1日
(86)【国際出願番号】GB2013050237
(87)【国際公開番号】WO2013114132
(87)【国際公開日】20130808
(31)【優先権主張番号】1201751.3
(32)【優先日】2012年2月1日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】514196949
【氏名又は名称】ハエモスタティクス リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ ウォーカー
(72)【発明者】
【氏名】サラ マーガレット ミドルトン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA72
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4H045FA20
4H045FA71
(57)【要約】
止血創傷被覆材が説明される。本被覆材は、非コロイド多孔性被覆材料およびその非コロイド多孔性被覆材料に固定化される複数のフィブリノーゲン結合ペプチドを含み、各フィブリノーゲン結合ペプチドは、このペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−Pro−Arg−Xaa(配列番号1)(式中、Xaaは、Val以外の任意のアミノ酸、好ましくはPro、Sar、またはLeuである)、または、このペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−His−Arg−Xaa(配列番号2)(式中、Xaaは、Pro以外の任意のアミノ酸である)を含む。本被覆材は、酵素活性を必要とすることなく、止血を速めることができる。特に、本被覆材は、外因性トロンビンの活性に依存せず、溶液中で、室温で長期間保管され得る。本被覆材を作製する方法および出血を制御するための本被覆材の使用もまた説明される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
止血創傷被覆材であって、非コロイド多孔性被覆材料および前記非コロイド多孔性被覆材料に固定化される複数のフィブリノーゲン結合ペプチドを含み、各フィブリノーゲン結合ペプチドが、
前記ペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−Pro−Arg−Xaa(配列番号1)(式中、Xaaは、Val以外の任意のアミノ酸、好ましくはPro、Sar、またはLeuである)、または、
前記ペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−His−Arg−Xaa(配列番号2)(式中、Xaaは、Pro以外の任意のアミノ酸である)を含む、止血創傷被覆材。
【請求項2】
前記複数のフィブリノーゲン結合ペプチドが、前記非コロイド多孔性被覆材料に非共有結合的に固定化される、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項3】
複数の担体が、前記非コロイド多孔性被覆材料に固定化され、複数のフィブリノーゲン結合ペプチドが、各担体に固定化される、請求項1または2に記載の創傷被覆材。
【請求項4】
前記複数のフィブリノーゲン結合ペプチドが、各担体に共有結合的に固定化される、請求項3に記載の創傷被覆材。
【請求項5】
各フィブリノーゲン結合ペプチドが、非ペプチドスペーサーによって前記担体に共有結合的に固定化される、請求項4に記載の創傷被覆材。
【請求項6】
前記非ペプチドスペーサーが、親水性ポリマーを含む、請求項5に記載の創傷被覆材。
【請求項7】
前記親水性ポリマーが、ポリエチレングリコールを含む、請求項6に記載の創傷被覆材。
【請求項8】
前記担体が、可溶性担体である、請求項3〜7のいずれかに記載の創傷被覆材。
【請求項9】
前記複数のフィブリノーゲン結合ペプチドが、前記非コロイド多孔性被覆材料に共有結合的に固定化される、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項10】
各フィブリノーゲン結合ペプチドが、非ペプチドスペーサーによって前記非コロイド多孔性被覆材料に共有結合的に固定化される、請求項9に記載の創傷被覆材。
【請求項11】
前記非ペプチドスペーサーが、親水性ポリマーを含む、請求項10に記載の創傷被覆材。
【請求項12】
前記親水性ポリマーが、ポリエチレングリコールを含む、請求項11に記載の創傷被覆材。
【請求項13】
前記非コロイド多孔性被覆材料が、シート、パッド、スポンジ、発泡材、フィルム、ガーゼ、メッシュ、または顆粒、もしくはビーズを含む、請求項1〜12のいずれかに記載の創傷被覆材。
【請求項14】
前記非コロイド多孔性被覆材料が、顆粒を含み、前記顆粒の大半が、6μmを超える最大寸法を有する、請求項13に記載の創傷被覆材。
【請求項15】
前記非コロイド多孔性被覆材料が、ゼラチン、綿、レーヨン、ポリエステル、コラーゲン、アルギン酸塩、または酸化セルロースを含む、請求項1〜14のいずれかに記載の創傷被覆材。
【請求項16】
乾燥形態である、請求項1〜15のいずれかに記載の創傷被覆材。
【請求項17】
凍結乾燥形態である、請求項1〜16のいずれかに記載の創傷被覆材。
【請求項18】
前記フィブリノーゲン結合ペプチドが、それぞれ4〜60アミノ酸残基長である、請求項1〜17のいずれかに記載の創傷被覆材。
【請求項19】
前記創傷被覆材を創傷に適用するための説明書とともにパッケージ化された、請求項1〜18のいずれかに記載の創傷被覆材。
【請求項20】
出血を制御するための、請求項1〜18のいずれかに記載の創傷被覆材。
【請求項21】
止血創傷被覆材の形成用キットであって、非コロイド多孔性被覆材料と、別々に、複数の担体および各担体に固定化される複数のフィブリノーゲン結合ペプチドを含む止血剤と、を含み、各フィブリノーゲン結合ペプチドが、前記ペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−Pro−Arg−Xaa(配列番号1)(式中、Xaaは、Val以外の任意のアミノ酸、好ましくはPro、Sar、またはLeuである)、または、前記ペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−His−Arg−Xaa(配列番号2)(式中、Xaaは、Pro以外の任意のアミノ酸である)を含む、止血創傷被覆材の形成用キット。
【請求項22】
前記被覆材料を創傷に適用する前に、前記薬剤を前記非コロイド多孔性被覆材料に適用するための説明書をさらに含む、請求項21に記載のキット。
【請求項23】
前記止血創傷被覆材を創傷に適用するための説明書をさらに含む、請求項21または22に記載のキット。
【請求項24】
止血剤であって、複数の担体および各担体に固定化される複数のフィブリノーゲン結合ペプチドを含む止血剤であって、各フィブリノーゲン結合ペプチドが、
前記ペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−Pro−Arg−Xaa(配列番号1)(式中、Xaaは、Val以外の任意のアミノ酸、好ましくはPro、Sar、またはLeuである)、または、
前記ペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−His−Arg−Xaa(配列番号2)(式中、Xaaは、Pro以外の任意のアミノ酸である)を含み、
前記薬剤が、前記被覆材料を創傷に適用する前に、前記薬剤を非コロイド多孔性被覆材料に適用するための説明書とともにパッケージ化される、止血剤。
【請求項25】
請求項1〜18のいずれかに記載の止血創傷被覆材を創傷に投与することを含む、出血を制御する方法。
【請求項26】
止血創傷被覆材を作製する方法であって、複数のフィブリノーゲン結合ペプチドを非コロイド多孔性被覆材料に固定化することを含み、各フィブリノーゲン結合ペプチドが、
前記ペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−Pro−Arg−Xaa(配列番号1)(式中、Xaaは、Val以外の任意のアミノ酸、好ましくはPro、Sar、またはLeuである)、または、
前記ペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−His−Arg−Xaa(配列番号2)(式中、Xaaは、Pro以外の任意のアミノ酸である)を含む、方法。
【請求項27】
複数の担体を前記非コロイド多孔性被覆材料に固定化することによって、前記複数のフィブリノーゲン結合ペプチドが前記非コロイド多孔性被覆材料に固定化され、複数のフィブリノーゲン結合ペプチドが、各担体に固定化される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
止血創傷被覆材を作製する方法であって、止血剤を非コロイド多孔性被覆材料に適用することを含み、前記止血剤が、複数の担体および各担体に固定化される複数のフィブリノーゲン結合ペプチドを含み、各フィブリノーゲン結合ペプチドが、前記ペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−Pro−Arg−Xaa(配列番号1)(式中、Xaaは、Val以外の任意のアミノ酸、好ましくはPro、Sar、またはLeuである)、または、前記ペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−His−Arg−Xaa(配列番号2)(式中、Xaaは、Pro以外の任意のアミノ酸である)を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止血創傷被覆材、止血創傷被覆材を形成するためのキットおよび止血剤、被覆材を作製するための方法、ならびに出血、特に、外科的治療において生じ得るもの等の重度の出血を制御するための被覆材の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
外科手技の間に使用するためのいくつかの局所的止血剤が現在利用可能である。Gelfoam等の吸収性ゼラチンスポンジは、ブタゼラチンから作製される。Gelfoamは、血液中で自己重量の40倍超を吸収することができ、その最初の体積のおよそ二百パーセントまで膨張することができる。このスポンジの表面は、凝血カスケードの接触活性化経路を介して血小板活性化を引き起こす。代替的なゼラチン系の製品であるFlosealは、Gelfoamと同程度近くまで膨潤しないように、架橋結合したゼラチン顆粒を含む。
【0003】
Surgicel等の酸化セルロースシートは、αセルロースから生成され、凝血カスケードの接触活性化経路中のGelfoamと同じ点で作用する。血液で飽和されると、このシートはゼラチン質の塊に急速に膨潤する。Avitene等のミクロフィブリルコラーゲンは、ウシの皮膚から生成されるコラーゲンを使用する。これは粉またはシートの形態である。それは血液表面と密接に結合し、最小の膨潤をもたらす。これは接触活性化を生じるが、血小板を直接活性化もする。
【0004】
局所的止血剤はしばしば、フィブリノーゲンからフィブリンを生成し、血小板活性化を促進するトロンビンと併せて使用され、それによって血液凝固を速める。精製されたウシまたはヒトトロンビン、または組換えヒトトロンビンが使用される。しかしながら、ウシトロンビンには、ウシ抗原、特にウシ第V因子が混入する。この抗原に対して生成された抗体は、ヒト第V因子と交差反応し得、生命に関わる出血、ならびに一部の状況では、アナフィラキシーおよび死をもたらし得る。ヒトトロンビンはこれらの危険性を最小化する試みにおいて、ドナーのプール血漿から単離されたが、血液媒介性病原体、特にウィルスを伝達する可能性を有する。近年、組換えヒトトロンビンが開発され、FDAによってその使用が承認された。それは、最小の抗原性であるという利点を有し、ウィルス伝染の危険性をもたらさない。しかしながら、それは遺伝子改変されたチャイニーズハムスター卵巣細胞株を使用して作製されるため、比較的提供費用が高い。
【0005】
精製ウシおよび組換えヒトトロンビン製剤は、使用前に生理食塩水で溶液に戻される粉末として室温で保管される。FDA認可の精製ヒトトロンビンは溶液としてパッケージ化されるが、これは室温で最大24時間のみ保管できるものであり、長期間の保管には凍結が必要である(Lew and Weaver,Biologics:Targets&Therapy 2008:2(4)593−599)。
【0006】
トロンビンを使用することのさらなる不利益は、酵素がフィブリノーゲンをフィブリンに変換するために時間がかかることであり、そのため血液凝固が加速されるまでに若干の遅れがある。
【0007】
したがって、重度の出血を即座におよび効果的に止めることができ、トロンビンを使用することによる上述の不利益のうちの1つ以上を克服する、局所的止血剤を提供する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明に従って、非コロイド多孔性被覆材料およびその非コロイド多孔性被覆材料に固定化される複数のフィブリノーゲン結合ペプチドを含み、各フィブリノーゲン結合ペプチドが、このペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−Pro−Arg−Xaa(配列番号1)(式中、Xaaは、Val以外の任意のアミノ酸、好ましくはPro、Sar、またはLeuである)、または、このペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−His−Arg−Xaa(配列番号2)(式中、Xaaは、Pro以外の任意のアミノ酸である)を含む、止血創傷被覆材が提供される。
【0009】
フィブリノーゲンは、2つの末端ドメイン(D−ドメイン)を含み、そのそれぞれは、フィブリノーゲン結合ペプチドと結合し得る。フィブリノーゲンが、例えば血漿または血液中でペプチドと接触するとき、フィブリン血餅の特徴を有するフィブリノーゲン結合ペプチドおよびフィブリノーゲンを含むコポリマーが形成される。このため、本発明の止血創傷被覆材におけるフィブリノーゲン結合ペプチドの存在は、止血を速める。
【0010】
本発明の止血創傷被覆材は、驚くべきことに、トロンビン中に浸された従来のゼラチンパッドよりも著しく優れた止血特性を有することが発見された。
【0011】
本発明の止血創傷被覆材は、外因性トロンビンの作用に依存しない。フィブリノーゲン結合ペプチドは合成的に作製されることができ、そのため最小の抗原性であり、ウィルス伝染の危険性を保有せず、哺乳動物細胞株中で発現する組換えタンパク質よりもより安価に作製され、溶液中で、室温で長期間保管され得る。
【0012】
本発明の止血創傷被覆材は、止血を速めるために酵素活性を必要とせず、そのためフィブリノーゲンと接触し次第すぐに止血を速める。
【0013】
本発明の実施形態は、添付図面を参照してほんの一例として、ここに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、担体に共有結合的に固定化されるフィブリノーゲン結合ペプチドの好ましい例の構造を示す(本発明の好ましい実施形態に従って、複数のそのようなフィブリノーゲン結合ペプチドは、担体に共有結合的に固定化される(担体に固定化される単一のフィブリノーゲン結合ペプチドのみが、本図面において示される))。
【
図2】
図2aは、Adamset al,J Thromb Thrombolysis,2009,28(1):1−5に従って、出血スコアの割当のためのスキームを示す。
図2bは、本発明の好ましい実施形態に従って、止血創傷被覆材の止血活性の割当の結果を示すグラフである。
【
図3】
図3は、凍結乾燥された、および凍結乾燥されていない本発明の止血創傷被覆材から戻された、固定化されたフィブリノーゲン結合ペプチドを有する担体の凝血活性の比較の結果を示す。
【
図4】
図4は、本発明のさらに好ましい実施形態に従って、止血創傷被覆材の止血活性の割当の結果を示す。
【
図5】
図5は、37℃で最大6カ月間保管された、溶液中でHSA担体に固定化されたフィブリノーゲン結合ペプチドの安定性試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
「非コロイド多孔性被覆材料」という用語が本明細書において使用され、創傷を覆う、被覆する、または保護するために局所的に適用され得る任意の非コロイド多孔性材料を指す。そのような材料の例には、シート、パッド、スポンジ、発泡材、フィルム、ガーゼ、メッシュ、顆粒、およびビーズが挙げられる。非コロイド多孔性被覆材料は、創傷への局所的適用に好適であるが、体内への注入には不適な材料を含む。特に、顆粒またはビーズは、肺毛細血管床を通るには大き過ぎる。少なくとも顆粒またはビーズの大半は、6μmを超える最大寸法を有する。非コロイド多孔性被覆材料は、任意の好適な化学物質を含み得る。例には、ゼラチン、綿、レーヨン、ポリエステル、コラーゲン、アルギン酸塩、および酸化セルロースが挙げられる。ゼラチンが好ましい。
【0016】
トロンビンは、フィブリノーゲンのαおよびβ鎖のアミノ末端からペプチド(放出性フィブリノペプチドAおよびB)を切断し、それぞれ配列NH
2−GPRV−(配列番号3)およびNH
2−GHRP−(配列番号4)に曝露する。本発明の止血創傷被覆材のフィブリノーゲン結合ペプチドは、したがって、フィブリノーゲン上のトロンビンの作用によって曝露される配列からの配列が異なる。好ましくは、フィブリノーゲン結合ペプチドのうちの少なくともいくつか(より好ましくはすべて)は、アミノ末端に配列NH
2−GPRP−(配列番号5)を含む。
【0017】
好ましくは、フィブリノーゲン結合ペプチドは、それぞれ4〜60、好ましくは4〜30、より好ましくは4〜10の長さのアミノ酸残基である。
【0018】
各フィブリノーゲン結合ペプチドのアミノ末端は、フィブリノーゲン分子中の「孔」と結合することができる(Weisel,Fibrinogen and Fibrin,Advances in Protein Chemistry,2005,Vol.70,pp.247−299)。このため、各ペプチドのアミノ末端で4アミノ酸残基カルボキシ末端側であるフィブリノーゲン結合ペプチドの任意の配列は、この配列がペプチドのアミノ末端とフィブリノーゲンとの結合を阻害しない限り、重大ではない。
【0019】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、各フィブリノーゲン結合ペプチドは、ペプチドがフィブリノーゲンのその結合部位と高い結合性で会合するのに十分長いことを確実にするように、少なくとも5アミノ酸残基長である。このため、各フィブリノーゲン結合ペプチドは、5〜60、5〜30、または5〜10の長さのアミノ酸残基であることが特に好ましい。各そのようなフィブリノーゲン結合ペプチドのアミノ末端から5番目のアミノ酸残基は、グリシン残基であることが好ましい。他の実施形態において、各フィブリノーゲン結合ペプチドは、少なくとも6、7、8、9、10、または11の長さのアミノ酸残基であり得る。各フィブリノーゲン結合ペプチドが、60を超えない長さのアミノ酸残基、より好ましくは30を超えない長さのアミノ酸残基であることが好ましい。
【0020】
好ましくは、各フィブリノーゲン結合ペプチドは、合成ペプチドである。
【0021】
好ましくは、フィブリノーゲン結合ペプチドは、10
-9〜10
-6Mの間、例えば、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、200、250、300、350、400nM、またはそれ以上の解離定数を持つフィブリノーゲンと結合する。約100nMの解離定数が好ましい。
【0022】
フィブリノーゲン結合ペプチドはそれぞれ、好ましくはアミノ末端で配列番号1の配列を含む、同じ配列を有し得る。代替的に、フィブリノーゲン結合ペプチドは、各ペプチドがそのアミノ末端に配列番号1または配列番号2の配列を含む、長さの異なる配列のペプチドを含み得る。
【0023】
複数のフィブリノーゲン結合ペプチドは、非コロイド多孔性被覆材料に共有結合的または非共有結合的に固定化され得る。
【0024】
本発明の好ましい実施形態に従って、複数の担体は非コロイド多孔性被覆材料に非共有結合的に固定化され、複数のフィブリノーゲン結合ペプチドは各担体に固定化され、好ましくは共有結合的に固定化される。
【0025】
フィブリノーゲンは、例えば血漿または血液中で担体に固定化されるフィブリノーゲン結合ペプチドと接触するとき、ペプチドと結合する。各フィブリノーゲン分子が2つのペプチドと結合できるため、フィブリノーゲン分子は、担体を介して非共有結合的に架橋結合となり、フィブリン血餅の特徴を有する担体およびフィブリノーゲンを含むコポリマーが形成される。
【0026】
担体は、可溶性または不溶性の担体であり得るが、血小板ではない。担体は、出血創傷部位への局所的投与に適しているべきである。担体は、可溶性または不溶性ポリマー、例えば、タンパク質、ポリサッカライド、もしくはポリエチレングリコール等の合成生体適合性ポリマー、またはそれらのうちの任意の組み合わせを含み得る。アルブミンは、好ましいタンパク質担体である。
【0027】
不溶性担体は、微小粒子であり得る(中実、中空、または多孔質の微小粒子、好ましくは、実質的に球状の微小粒子を含む)。微小粒子は、任意の好適な物質、例えば架橋結合タンパク質から形成され得る。好適なタンパク質は、アルブミンである(血清由来または組換え、配列においてヒトまたは非ヒト)。本発明において不溶性担体としての使用に適した微小粒子は、例えば、第WO 92/18164号における、よく知られた噴霧乾燥技術を使用して、ヒト血清アルブミン(HSA)を噴霧乾燥することによって形成され得る。担体としての微小粒子の使用の代替としては、リポソーム、合成ポリマー粒子(ポリ乳酸、ポリグリコール酸、およびポリ(乳/グリコール)酸等)、または細胞膜断片が挙げられる。
【0028】
少なくとも大半の担体は好ましくは、6μm未満の最大寸法を有する。
【0029】
理論上、担体分子あたりのフィブリノーゲン結合ペプチドの数には上限がない。最適な数は、担体の性質、およびフィブリノーゲン結合ペプチドに付着する各担体上の反応基の数等の多くの要因に左右される可能性がある。しかしながら、平均して、担体分子あたり最大100個のフィブリノーゲン結合ペプチドがあることが好ましい。好ましくは、平均して、担体分子あたり少なくとも3個、好ましくは少なくとも5個のフィブリノーゲン結合ペプチドがある。好ましい範囲は、担体分子あたり10〜20個のフィブリノーゲン結合ペプチドである。
【0030】
好ましくは、フィブリノーゲン結合ペプチドは、担体に共有結合的に固定化される。
【0031】
担体は、フィブリノーゲン結合ペプチドの付着を許容する反応基を含み得る。例えば、担体は、それらの表面上にチオール部分またはアミン部分を含み得る。担体がタンパク質性である場合、チオールまたはアミン部分は、アミノ酸、例えばシステインまたはリジンの側鎖によって提供され得る。代替的に、反応基は、担体に付加され得る。担体がHSA等のタンパク質から形成される場合、これは特に有利である。例えば、担体は、担体上で第一級アミン基と反応することができる2−イミノチオラン(2−IT)等の試薬を使用して、チオール化され得る。代替的に、シスタミンは、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の存在下で、担体上でカルボキシ基と結合され得、その後導入されたジスルフィド結合を還元開裂し得る。
【0032】
好ましい実施形態において、フィブリノーゲン結合ペプチドは、スペーサーを介して担体に共有結合的に固定化される。好ましいスペーサーは、例えばポリエチレングリコール(PEG)等の親水性ポリマーを含む、非ペプチドスペーサーである。好ましい実施形態において、それぞれがPEGスペーサーによってチオール反応基(例えば、マレイミド基)と連結するフィブリノーゲン結合ペプチドを含む複数のペプチド結合体を、チオール化された担体(例えば、上述の2−ITまたはシスタミンを用いて調製される)と反応させる。
【0033】
担体は、担体の水溶液もしくは懸濁液を、担体が被覆材料に固定化されるように十分に長い被覆材料と接触させることによって、非コロイド多孔性被覆材料に非共有結合的に固定化され得る。好ましい方法において、担体は、被覆材料上に浸される。
【0034】
他の実施形態において、各フィブリノーゲン結合ペプチドは、任意にスペーサーを介して、直接非コロイド多孔性被覆材料に共有結合的に固定化される。好ましいスペーサーは、非ペプチドスペーサーであり、好ましくは、PEG等の親水性ポリマーを含む。
【0035】
そのような実施形態において、非コロイド多孔性被覆材料は、好ましくは顆粒またはビーズを含む。特に好ましい実施形態において、顆粒またはビーズは、高分子物質、例えばゼラチン等のタンパク質を含む。
【0036】
非コロイド被覆材料は、フィブリノーゲン結合ペプチドの付着を許容する反応基を含み得る。例えば、被覆材料は、その表面上にチオール部分またはアミン部分を含み得る。被覆材料がタンパク質性である場合、チオールまたはアミン部分は、アミノ酸、例えばシステインまたはリジンの側鎖によって提供され得る。代替的に、反応基は、被覆材料に付加され得る。被覆材料がゼラチン等のタンパク質から形成される場合、これは特に有利である。例えば、被覆材料は、被覆材料上で第一級アミン基と反応することができる2−イミノチオラン(2−IT)等の試薬を使用して、チオール化され得る。代替的に、シスタミンは、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の存在下で、被覆材料上でカルボキシ基と結合され得、その後導入されたジスルフィド結合を還元開裂し得る。
【0037】
好ましい実施形態において、フィブリノーゲン結合ペプチドは、スペーサーを介して、非コロイド被覆材料に共有結合的に固定化される。好ましいスペーサーは、例えばポリエチレングリコール(PEG)等の親水性ポリマーを含む、非ペプチドスペーサーである。好ましい実施形態において、それぞれがPEGスペーサーによってチオール反応基(例えば、マレイミド基)と連結するフィブリノーゲン結合ペプチドを含む複数のペプチド結合体を、チオール化された被覆材料(例えば、上述の2−ITまたはシスタミンを用いて調製される)と反応させる。
【0038】
本発明の止血創傷被覆材は乾燥形態、好ましくは凍結乾燥形態であり得る。以下の実施例5は、本発明の止血創傷被覆材が、凍結乾燥後の再水和の後で、フィブリノーゲンを共重合させる能力を保持することを示す。
【0039】
好ましくは、創傷被覆材は、無菌である。本発明の止血創傷被覆材は、創傷への投与準備済みの無菌創傷被覆材として提供され得る。
【0040】
本発明に従って、創傷への創傷被覆材の適用に関する説明書とともにパッケージ化される本発明の止血創傷被覆材がさらに提供される。
【0041】
本発明に従って、非コロイド多孔性被覆材料と、別々に、複数の担体および各担体に固定化される複数のフィブリノーゲン結合ペプチドを含む止血剤とを含み、各フィブリノーゲン結合ペプチドが、このペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−Pro−Arg−Xaa(配列番号1)(式中、Xaaは、Val以外の任意のアミノ酸、好ましくはPro、Sar、またはLeuである)、もしくは、このペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−His−Arg−Xaa(配列番号2)(式中、Xaaは、Pro以外の任意のアミノ酸である)を含む、止血創傷被覆材の形成用キットがまた提供される。
【0042】
キットは、被覆材料を創傷に適用する前に、薬剤を非コロイド多孔性被覆材料に適用するための説明書および/または止血創傷被覆材を創傷に適用するための説明書をさらに含み得る。
【0043】
本発明に従って、複数の担体および各担体に固定化される複数のフィブリノーゲン結合ペプチドを含み、各フィブリノーゲン結合ペプチドが、このペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−Pro−Arg−Xaa(配列番号1)(式中、Xaaは、Val以外の任意のアミノ酸、好ましくはPro、Sar、またはLeuである)、または、このペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−His−Arg−Xaa(配列番号2)(式中、Xaaは、Pro以外の任意のアミノ酸である)を含み、薬剤が、被覆材料を創傷に適用する前に、薬剤を非コロイド多孔性被覆材料に適用するための説明書とともにパッケージ化される、止血剤がまた提供される。
【0044】
有利に、止血剤は、溶液、懸濁液、または乾燥形態、例えば凍結乾燥形態であってもよい。以下の実施例3は、本発明の止血剤が、本発明の凍結乾燥された止血創傷被覆材から溶液への抽出後、フィブリノーゲンを共重合させる能力を保持することを示す。実施例6は、本発明の止血剤が、溶液中において少なくとも6カ月間37℃で安定していることを示す。このため、所望に応じて、本発明の止血剤は溶液中で保管されることができ、それによって、使用前に溶液へ再調製する必要性を回避する。
【0045】
本発明は、創傷への本発明の止血創傷被覆材の投与を含む、出血、特に重度の出血を制御する方法をさらに提供する。
【0046】
「重度の出血」という用語が本明細書で使用され、事象を停止もしくは制御するために処置(外科的もしくは内視鏡的)または閉鎖された空間の除圧を必要とする出血、血行動態の悪化(血液、補液、心筋収縮亢進の補助、もしくは外科的処置を必要とする)を生じる出血、または指圧、焼灼、もしくは縫合等の従来の処置では制御できない出血を含む。
【0047】
本発明に従って、複数のフィブリノーゲン結合ペプチドを非コロイド多孔性被覆材料に固定化することを含み、各フィブリノーゲン結合ペプチドは、このペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−Pro−Arg−Xaa(配列番号1)(式中、Xaaは、Val以外の任意のアミノ酸、好ましくはPro、Sar、またはLeuである)、または、このペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−His−Arg−Xaa(配列番号2)(式中、Xaaは、Pro以外の任意のアミノ酸である)を含む、止血創傷被覆材を作製する方法がまた提供される。
【0048】
複数のフィブリノーゲン結合ペプチドは、非コロイド多孔性被覆材料に共有結合的または非共有結合的に固定化され得る。
【0049】
好ましくは、複数のフィブリノーゲン結合ペプチドは、複数の担体を非コロイド多孔性被覆材料に固定化することによって非コロイド多孔性被覆材料に固定化され、複数のフィブリノーゲン結合ペプチドは、各担体に固定化される。
【0050】
そのような方法は、複数のフィブリノーゲン結合ペプチドを各担体に固定化することをさらに含み得る。
【0051】
好ましくは、複数の担体は、非コロイド多孔性被覆材料に非共有結合的に固定化され、複数のフィブリノーゲン結合ペプチドは、好ましくは共有結合的に各担体に固定化される。
【0052】
任意にスペーサー(好ましくは、例えばPEG等の親水性ポリマーを含む非ペプチドスペーサー)を介する、フィブリノーゲン結合ペプチドを担体に共有結合的に固定化するための好適な方法が上に説明される。
【0053】
担体を非コロイド多孔性被覆材料に非共有結合的に固定化するための好適な方法が上に説明される。
【0054】
任意にスペーサー(好ましくは、例えばPEG等の親水性ポリマーを含む非ペプチドスペーサー)を介する、フィブリノーゲン結合ペプチドを直接非コロイド多孔性被覆材料に共有結合的に固定化するための好適な方法が上に説明される。
【0055】
本発明に従って、止血剤を非コロイド多孔性被覆材料に適用することを含み、その止血剤が複数の担体および各担体に固定化される複数のフィブリノーゲン結合ペプチドを含み、各フィブリノーゲン結合ペプチドが、このペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−Pro−Arg−Xaa(配列番号1)(式中、Xaaは、Val以外の任意のアミノ酸、好ましくはPro、Sar、またはLeuである)、または、このペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−His−Arg−Xaa(配列番号2)(式中、Xaaは、Pro以外の任意のアミノ酸である)を含む、止血創傷被覆材を作製する方法がまた提供される。
【0056】
止血剤は、例えば、止血剤の水溶液もしくは懸濁液を、止血剤がその被覆材料に固定化されるのに十分に長い被覆材料に接触することによって、非コロイド多孔性被覆材料に非共有結合的に適用され得る。好ましい方法において、止血剤は、被覆材料上に浸される。
【0057】
本発明の特に好ましい止血創傷被覆材は、複数の可溶性担体(好ましくは、アルブミン担体等の可溶性タンパク質の担体)を含み、そこに複数のフィブリノーゲン結合ペプチド(好ましくは、このペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−Pro−Arg−Pro−Gly−(配列番号6)を含む各ペプチド)が、非ペプチドスペーサー(好適には、ポリエチレングリコール等の親水性ポリマー)を介して各担体に共有結合的に固定化される。担体は、非コロイド多孔性被覆材料(好ましくは、ゼラチンパッド等のゼラチンを含むか、またはレーヨンもしくはポリエステルを含む)に非共有結合的に固定化される。そのような止血創傷被覆材の例が、以下の実施例2、3、および4において説明される。
【0058】
本発明のさらに特に好ましい止血創傷被覆材は、非ペプチドスペーサー(好適には、ポリエチレングリコール等の親水性ポリマー)を介して、直接非コロイド多孔性被覆材料(好ましくは、ゼラチン顆粒等のゼラチンを含む)に共有結合的に固定化される複数のフィブリノーゲン結合ペプチド(好ましくは、このペプチドのアミノ末端にアミノ酸配列Gly−Pro−Arg−Pro−Gly−を含む各ペプチド)を含む。そのような止血創傷被覆材の例が、以下の実施例5において説明される。
【0059】
本発明の止血創傷被覆材および止血剤に関する「血餅形成」および「凝血活性」への言及は、フィブリン血餅の特徴を有する、被覆材または薬剤のフィブリノーゲン結合ペプチドおよびフィブリノーゲンを含むコポリマーの形成への言及である。
【実施例】
【0060】
実施例1
フィブリノーゲン結合ペプチドのアルブミン担体への結合
本実施例は、ポリエチレングリコール(PEG)リンカーによってマレイミド基(Mal)に連結する配列GPRPGのフィブリノーゲン結合ペプチドのアルブミン担体への結合を説明する。結果として得られる生成物は、「PeproStat」と称される。
【0061】
ヒト血清アルブミンを反応緩衝液(50mM リン酸ナトリウム、150mM 塩化ナトリウム、100mM エチレンジアミン四酢酸[EDTA]、pH8.0±0.2)中で50mg/mLに希釈し、6倍モル過剰の2−イミノチオラン塩酸塩の添加によってチオール化する。室温で1時間のインキュベーション後、チオール化したアルブミンを20mM リン酸ナトリウム、150mM 塩化ナトリウム、1mM EDTA、pH7.2±0.2(濾過緩衝液)を使用して接線流ダイアフィルトレーションによって未反応2−イミノチオラン塩酸塩から分離する。
【0062】
濾過緩衝液中50mg/mLの濃度でペプチド(GPRPG−PEG12−マレイミド)を溶解し、1mgのアルブミンあたり0.95mgのペプチドの割合でチオール化されたアルブミンに添加することによって、ペプチド結合を実施する。室温で1時間のインキュベーションに続いて、緩衝液の1回の交換を伴う、4℃で少なくとも16時間の10〜14KDの分画分子量の透析膜を使用する60倍過剰のトリス−緩衝生理食塩水(TBS;20mMトリス、150mM塩化ナトリウム、pH7.2±0.2)に対する透析によって、過剰ペプチドを取り除く。戻されたPeproStatをTBS中で5mg/mLに希釈し、0.2μmフィルターを通して無菌濾過し、分注し、4℃で保管する。
【0063】
最終生成物のタンパク質含有量は、E(280、1%)=5.3で280nmの吸収度を測定することで推定される。
【0064】
Sigma Amelung KC4凝固計を用いて最終生成物の活性度を調査する。簡単に、0.5mg/mlの30μL試験試料を3mg/mlの100μL精製ヒトフィブリノーゲンに添加すると、KC4は6秒未満での血餅形成を記載する。
【0065】
未染色のタンパク質ラダーのバンドプロファイルと比較して、Coomassieで染色した4〜15%トリス−グリシンプレキャストゲルを用いる還元された試料のSDS−PAGEによって、最終生成物の分子量を推定する。
生成物プロファイル
【0066】
【表1】
【0067】
実施例2
ゼラチンパッド上で予浸されたPeproStatの止血活性試験
ヘパリン処置されたウサギモデルを使用してPeproStatの止血活性を判定した。しかしながら、このモデルを使用する前に、生成物がウサギにおいて有効であること、および特に、PeproStat(GPRP−)のフィブリノーゲン結合配列がウサギフィブリノーゲンに結合することを判定することが重要であった。これはGPRPGペプチドをアルブミン微小粒子に結合することによって行われ、次いで、これをFITC標識化ウサギフィブリノーゲンとともにインキュベートした。次いで、粒子への蛍光フィブリノーゲン結合がFlow Cytometerを使用して測定され得る。この方法により、PeproStatのウサギフィブリノーゲンへの結合がヒトフィブリノーゲンのものに匹敵したことが示された。これは、トロンビンがフィブリノペプチドAをフィブリノーゲンから切断するときに曝露される関連するウサギおよびヒトフィブリノーゲン結合配列が同じであることを示す公開データを確証する。
【0068】
PeproStat中のフィブリノーゲン結合配列(GPRP)は、トロンビンの作用によってフィブリノペプチドAがフィブリノーゲンから切断されるときに曝露される配列GPRから得られる。配列中4番目のアミノ酸(プロリン)は、同じ位置にバリン残基を有するヒトフィブリノーゲンの天然の切断配列よりも、フィブリノーゲンに高い結合性を与える(Laudano and Doolittle Biochemistry 1980,19: 1013−1019)。LaudanoおよびDoolittleは、すべての種が末端GPR配列を共有する一方、フィブリノーゲンの結合性に影響することが知られている4位のアミノ酸には変動があることを示した。本願発明者が発見したように、配列データはウサギフィブリノーゲンもまた4位にバリン残基を有し、それによってウサギおよびヒトフィブリノーゲンが、GPRPに対する同等の結合性を有することが予想され得ることを示す。
【0069】
ゼラチンパッド上に浸したPeproStat、トロンビン、または生理食塩水の止血効果の比較を評価するために、ウサギ肝臓擦過傷モデルを使用した。1000IU/kgのヘパリンを投与されたウサギにおける止血活性を判定した。
【0070】
外科用メス刃を使用してゼラチンパッドを2.0×3.0cmに切った。各処理において、試験液(PeproStat、トロンビン、または生理食塩水)の1.5mlアリコート中にパッド試料を浸漬した。それを次いで取り出し、手袋を嵌めた指で挟んで圧迫して気泡を排出し、次いで、必要とされるまで溶液に戻した。
【0071】
平面の研磨石(Dremel、部品番号85602 USA)を用いるDremelハンドドリル(モデル395タイプ5、USA、10,000〜35,000rpm)を使用して肝葉の表面を擦過することにより、表層の円形損傷(直径10.3mm、深度2〜3mm)を作った。事前に秤量した乾燥スワブで15秒間創傷の血液を収集した。収集した血液の重量を出血の重症度の尺度として使用した。スワブを取り除いた後、予浸された試験パッドを適用し、濡れたガーゼを使用して、処置された創傷に30秒間緩やかな圧力をかけた。
【0072】
各肝臓上に連続して7つの損傷を実施し、7つの部位にわたって試験パッドを無作為化した。各試験パッド上で34の試験を実施した。
【0073】
湿ったガーゼを取り除き、試験パッドがまだ適所にある状態で、1、3、6、9、および12分(1分は、試験パッドが創傷に適用されてからの時間を指す)における止血について創傷を評価した。
図3aに示されるスキームに従って、0、1、2、3、4、および5の出血スコアが外科医によって割り当てられる。
【0074】
結果
0のスコア(すなわち出血なし)は、各時点において成功した止血として判断された。成功と見なされた34の処置(n=34羽のウサギ)の割合を各時点において算出した。結果は、
図3bに示される。
【0075】
結果は、ゼラチンパッド上に浸された5mg/mlの濃度のPeproStatが、ゼラチンパッド上に浸された生理食塩水またはトロンビン(125単位/mlでの)よりも著しく優れた止血剤であることを示す。
【0076】
実施例3
ゼラチンパッド上でのPeproStatの凍結乾燥
パッドの吸収容量を判定するために、40cm
2ゼラチンパッドを10mlの脱イオン水に浸した。すべての空気を排除するようにパッドをマッサージし、再度浸すことによって吸収度を最大化した後、2mlの水が残った。それにより、40cm
2パッドの容量が8mlであったことを算出した。
【0077】
10mg/mlのPeproStatをAmicon Ultra遠心濾過機を使用して脱塩し、2.5mg/mlに希釈した。40cm
2ゼラチンパッドを2.5mg/mlで8ml PeproStatに浸し、次いで、手袋を嵌めた指でパッドを圧迫し、気泡を取り除いた。パッドを溶液中に残し、すべての溶液が吸着されることを確実にするように室温で1時間穏やかに揺動させた。
【0078】
次いで、ベンチトップ凍結乾燥機を使用してパッドを凍結乾燥した。
【0079】
凍結乾燥機の棚を−36℃で平衡化し、パッドを予め凍結した棚に配置し、270分間にわたって−20℃まで達する温度になる熱処理ステップに供した。
【0080】
一次乾燥は、20℃の温度までの同時の温度上昇を伴って、800mTorrから減圧する800分間にわたって達成された。
【0081】
凍結乾燥されたパッドをデシケーター内で保管した。
【0082】
凍結乾燥後にパッドから戻されたPeproStatの凝血活性と凍結乾燥されなかったPeproStatとの比較によって、凍結乾燥の成功を分析した。
【0083】
40mgのPeproStatを含有する40cm
2パッドは、凍結乾燥後、合計440mgの重量であることが分かった。
【0084】
25mgをパッドから切り出し、秤量ボートに配置した。パッドを1mLの10mM リン酸ナトリウム、150mM 塩化ナトリウム緩衝剤、pH7.2±0.2に完全に浸すことによって、パッドから乾燥PeproStatを抽出し、次いで、パッドから得られた溶液を搾り出した。抽出手順は4回の別々の機会に実施された。標準PeproStatの希釈から構成される較正曲線から5μm C8 Symmetry Reverse Phase HPLCを使用して、溶液中で戻されたPeproStatのタンパク質含有量を測定した。
【0085】
抽出されたタンパク質の分析は、90〜95%のタンパク質がパッドから戻されたことを示した。
【0086】
血餅を形成するのにかかる時間を測定するSigma Amelung KC−4凝固計を使用して、試料の凝血活性を測定した。溶出したPeproStatの凝血活性の分析を凍結乾燥されていないPeproStatのものと比較した。
【0087】
結果
結果は
図4に示される。
【0088】
0.5mg/mLで、KC−4凝固計で試験した際、対照の凍結乾燥されていないPeproStatと凍結乾燥されたパッドからのPeproStatとの凝血活性の間に有意な差は存在しなかった。
【0089】
実施例4
レーヨン/ポリエステル多孔性被覆材上に浸されたPeproStatの止血活性
以下の血液インピーダンス法を使用して、ポリエステル/レーヨン混合物上に浸された5mg/mLの0.5mL PeproStatの止血活性を測定した。
【0090】
二重層のポリエステル/レーヨンガーゼを2.5cmの内径を有する汎用容器に張り渡し、開管を覆うガーゼの領域をマークした。ガーゼを管から取り除き、5mg/mLの0.5mL PeproStatをマークされた円に適用し、対照として同じ様式でマークされた第2の被覆材に0.5mlの水を適用した。
【0091】
汎用容器を秤量し、浸されたガーゼを管の口に張り渡した。次いで4×0.5mLクエン酸全血を、浸されたガーゼに順次適用し、管中の血液の重量によってガーゼを通る血液輸送を測定した。
【0092】
結果
図5に示される代表的な図において例示されるように、ガーゼを通過した血液の平均重量とPeproStatの和は、対照ガーゼ(n=3)を通過した0.695g±0.721gと比較して、0.009g±0.016g(n=3)であった。
【0093】
実施例5
固定化されるフィブリノーゲン結合ペプチドを有するゼラチン担体の止血性質
この実施例は、2つの異なる本発明の好ましい止血創傷被覆材の調製およびそれらの止血特性を説明する。両方の被覆材は、PEGリンカーを介して担体に共有結合的に固定化される複数のフィブリノーゲン結合ペプチドを有する複数のゼラチン担体を含む。この実施例において、ゼラチン担体(または顆粒)は、非コロイド多孔性被覆材料を提供する。
【0094】
第1の被覆材を調製するために、2−イミノチオランを使用して、複数のフィブリノーゲン結合ペプチド−PEGリンカー結合体をゼラチン担体に共有結合的に付着させた。第2の被覆材を調製するために、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の存在下で、シスタミン部分をゼラチンのカルボキシ基に結合し、その後、フィブリノーゲン結合ペプチドの付着のための遊離チオールを生成する、導入されるジスルフィド結合の還元開裂が続く。
【0095】
2−イミノチオランを使用してGPRPG−PEG−12−Malに結合されるゼラチン顆粒の調製
アミン残基を修飾する2−イミノチオランを使用してゼラチン顆粒をチオール化した。使用された方法は、Kommareddy S,Amiji M,2005,Bioconjugate Chem16:1423−1432のものであった。
【0096】
1gのゼラチン顆粒を秤量し、室温で10分間、回転式撹拌機上で混合することによって、50mMリン酸ナトリウム、0.15M NaCl、0.1M EDTA、pH8.0±0.2を含有する40mlの緩衝液中で水和した。102gの2−イミノチオランを水和したゼラチンに添加し、回転式撹拌機上で1時間混合する。次いで、顆粒を500rpm−RCF 28で2分間回転し、上清を取り除き、その体積を20mMリン酸ナトリウム、0.15M NaCl、0.1 M EDTA、pH7.2±0.2で置き換えた。これを4回繰り返し、2−イミノチオランを除去した。
【0097】
エルマンアッセイを実施し、ゼラチン上に導入された−SH基の数を測定した。エルマン試薬5,5’ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)は、わずかなアルカリ状態下でスルフヒドリルと反応し、高発色性化合物、5−チオ−2ニトロ安息香酸(TNB)を放出する、Ellman GL.(1959)Arch Bichem.Biophys.82 70−77。
【0098】
−SH基の定量化に続いて、50mg/mlの2.5ml GPRPG−PEG−12−Malを顆粒に添加し、1時間回転撹拌した。次いで、顆粒を蒸留水で4回洗浄し、過剰ペプチドを除去した。顆粒のスラリーをプラスチック容器内に配置し、37℃で15時間インキュベートすることによって乾燥させた。
【0099】
EDC/シスタミン化学を使用してGPRPG−PEG−12−Malと結合するゼラチン顆粒の調製
2.2gのゼラチン顆粒を検量し、回転式撹拌機上で15分間、80mLの50mM MES緩衝剤、pH6.0中で水和した。625mgのシスタミン、350mgの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、および130mgのN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を検量し、水和した顆粒に添加した。この反応混合物を環境温度で2時間、回転式撹拌機上に放置し、次いで、2つの50mL管に分割した。次いで、この顆粒を洗浄し、4×40mL体積のMES緩衝剤を用いて500rpmで回転させた。200μLの1Mトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)ストックを各管に添加し、環境温度で10分間回転式撹拌機上に放置した。4体積のMESでの繰り返し洗浄に次いで、遊離−SHを判定するエルマンアッセイが続いた。
【0100】
50mg/mlで7.2mLのGPRPG−PEG−12−Malを10.45mLのN−エチル−マレイミドと混合し、次いで、8.8mLのその混合物を各管に添加した。その反応物を環境温度で1時間、回転式撹拌機上に放置した。
【0101】
反応物を洗浄し、4体積のMilli−Q水を用いて800rpmで回転させ、過剰ペプチドおよびN−エチル−マレイミドを除去した。次いで、顆粒をプラスチックの箱に注ぎ、Nescofilmで覆い、そのNescofilmを穿孔し、以下のように乾燥するため、卓上凍結乾燥機に配置した。
【0102】
結合顆粒の乾燥プロセス
凍結乾燥機の棚を−36℃で平衡化し、ゼラチン顆粒を予め凍結した棚に配置し、270分間にわたって−20℃まで達する温度になる熱処理ステップに供した。一次乾燥は、20℃の温度までの同時の温度上昇を伴って、800mTorrから減圧する800分間にわたって達成された。試験前に凍結乾燥されたパッドをデシケーター内で保管した。
【0103】
プラグ崩壊試験における乾燥ゼラチン顆粒の試験
100mgの乾燥結合ゼラチン顆粒を3mlシリンジ中に充填し、次いで、シリンジコネクターを使用して、0.5mlトリス−緩衝生理食塩水(TBS)(0.02Mトリス、0.15M NaCl、pH7.2±0.2)を添加し、顆粒を懸濁した。500u/mlの0.5mlトロンビンまたは0.5ml TBSを100mg「ブランク」(非結合ゼラチン顆粒)に添加した。シリンジコネクターを使用して、TBSを別の3mlシリンジから各形成へ通過させ、それを懸濁した。次いで、シリンジ間でおよそ40回それを通過させることによって、各懸濁液を混合した。
【0104】
ゼラチンスラリーを第3の3mlシリンジに添加し、そのシリンジプランジャーを使用して、プラグを形成した。次いで、0.2mlの血漿をプラグに注入し、静止するため3分間放置した。シリンジの下部を切り離し、0.9%生理食塩水を含有する50ml管中にプラグを押し出した。次いで、最大10分間ボルテックスミキサー上で管を混合した。次いで、以下のようにプラグを10分間にわたってスコア化した。
【0105】
0=プラグが完全に崩壊、2=小さな塊が存在(2〜5mmの大きさ)、5=大きい塊が存在(5〜8mm)、8=大きい無傷のプラグ、浸食の兆候、10=完全に無傷のプラグ。
結果
【0106】
【表2】
【0107】
この結果は、本発明の結合ゼラチン顆粒を使用して形成されたプラグの力学的耐久性が、トロンビンと混合された非結合顆粒のものと同等であることを示す。
実施例6
溶液中で担体に固定化されるフィブリノーゲン結合ペプチドの安定性
【0108】
この実施例は、37℃で、溶液中で担体に固定化されるフィブリノーゲン結合ペプチドの安定性試験の結果を説明する。
【0109】
PeproStat(配列GPRPGのそれぞれがHSA担体に固定化されるフィブリノーゲン結合ペプチドを含む)を溶液中で、6カ月間37℃で保管した。0時間、および保管期間中の種々の時間において、以下のように、保管される溶液の試料は、フィブリノーゲンを用いてコポリマーを形成する能力に関して検定された。
【0110】
フィブリノーゲンを10mM HEPES、0.15M NaCl、pH7.3+/1 0.2中で6mg/mlに希釈した。5mg/mlの25μl PeproStatを400μlの希釈されたフィブリノーゲンに添加し、PeproStatおよびフィブリノーゲンのコポリマーを含む視覚的な血餅の形成にかかる時間を記録した。
【0111】
その結果が
図5に示され、PeproStatが37℃の溶液中で少なくとも6カ月間安定していることを示す。
【国際調査報告】