(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-506908(P2015-506908A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(54)【発明の名称】ホルムアルデヒドの水含有供給源の脱水、およびエチレン性不飽和カルボン酸エステルを生成するための方法
(51)【国際特許分類】
C07C 45/79 20060101AFI20150206BHJP
C07C 47/04 20060101ALI20150206BHJP
C07C 69/54 20060101ALI20150206BHJP
C07C 67/327 20060101ALI20150206BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20150206BHJP
【FI】
C07C45/79
C07C47/04
C07C69/54 Z
C07C67/327
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2014-540247(P2014-540247)
(86)(22)【出願日】2013年2月18日
(85)【翻訳文提出日】2014年9月10日
(86)【国際出願番号】JP2013054639
(87)【国際公開番号】WO2013122268
(87)【国際公開日】20130822
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2012/054498
(32)【優先日】2012年2月17日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】500460209
【氏名又は名称】ルーサイト インターナショナル ユーケー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】姫野 嘉之
(72)【発明者】
【氏名】大谷内 健
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正英
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC13
4H006AC48
4H006AD19
4H006BA02
4H006BA55
4H006BC10
4H006BC11
4H006BD84
4H006KA31
4H006KC14
4H039CA10
4H039CF90
(57)【要約】
本発明は、優れた脱水性能を有するホルムアルデヒドの水含有供給源の脱水のための方法、およびホルムアルデヒドの脱水された供給源を用いて(メタ)アクリル酸アルキルエステルを生成するための方法を提供する。本発明は、ホルムアルデヒドの水含有供給源の脱水のための方法であって、水が、ゼオライト膜を用いて、ホルムアルデヒドおよび水を含有するホルムアルデヒドの水含有供給源から分離され、ホルムアルデヒドの水含有供給源が、2.5〜20の静的比誘電率を有する分離促進剤を含み、ホルムアルデヒドの水含有供給源が、メタノールをさらに含む方法を提供する。本発明は、脱水によって得られるホルムアルデヒドの脱水された供給源を用いたカルボン酸エステルとの反応によって、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを生成するための方法であって、水が、ゼオライト膜を用いて、ホルムアルデヒドおよび水を含有するホルムアルデヒドの水含有供給源から分離される方法まで及ぶ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法であって、
ホルムアルデヒドの前記供給源から水の少なくとも一部を分離するのに有効な方法で、ホルムアルデヒドの前記供給源をゼオライト膜と接触させる工程を含み、前記ホルムアルデヒドの水含有供給源が、20℃および大気圧で、2.5〜20の静的比誘電率を有する分離促進剤を含み、前記ホルムアルデヒドの水含有供給源が、メタノールをさらに含む、方法。
【請求項2】
前記有効な方法が、ゼオライト膜パーベーパレーションまたはゼオライト膜蒸気透過からなる群から選択される、請求項1に記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法。
【請求項3】
水が、ゼオライト膜蒸気透過によって、前記ホルムアルデヒドの水含有供給源から分離される、請求項2に記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法。
【請求項4】
前記分離された水が透過物であり、ホルムアルデヒドの脱水された供給源が非透過物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法。
【請求項5】
前記分離促進剤がカルボン酸エステルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法。
【請求項6】
前記カルボン酸エステルが、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、プロパン酸メチル、エタン酸エチルまたはエタン酸メチルから選択される、請求項5に記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法。
【請求項7】
前記カルボン酸エステルがプロパン酸メチルである、請求項6に記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法。
【請求項8】
前記ゼオライト膜が、Linde A型または菱沸石型ゼオライト膜である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法。
【請求項9】
前記ゼオライト膜が、Linde 4A型または菱沸石型ゼオライト膜である、請求項8に記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法。
【請求項10】
前記ホルムアルデヒドの水含有供給源中の水の濃度が、前記ホルムアルデヒドの水含有供給源の100質量%を基準にして少なくとも0.5質量%である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法。
【請求項11】
エチレン性不飽和カルボン酸エステルを生成するための方法であって、
触媒の存在下で、ホルムアルデヒドの脱水された供給源をカルボン酸エステルと接触させる工程を含み、
前記ホルムアルデヒドの脱水された供給源が、ホルムアルデヒドの水含有供給源から水の少なくとも一部を分離するのに有効な方法で、前記ホルムアルデヒドの水含有供給源をゼオライト膜と接触させて、前記ホルムアルデヒドの脱水された供給源を生成することによって得られる方法。
【請求項12】
前記ホルムアルデヒドの水含有供給源が、20℃および大気圧で、2.5〜20の静的比誘電率を有する分離促進剤をさらに含む、請求項11に記載のエチレン性不飽和カルボン酸エステルを生成するための方法。
【請求項13】
前記分離促進剤の水含有供給源を、前記ホルムアルデヒドの水含有供給源と組み合わせて、組み合わされた供給源を生成する工程と、
請求項11に記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法にしたがって、前記組み合わされた供給源を脱水して、前記分離促進剤を含有するホルムアルデヒドの脱水された供給源を得る工程と
を含む、請求項12に記載のエチレン性不飽和カルボン酸エステルを生成するための方法。
【請求項14】
前記分離促進剤がカルボン酸エステルである、請求項12または13に記載のエチレン性不飽和カルボン酸エステルを生成するための方法。
【請求項15】
前記ホルムアルデヒドの水含有供給源が、メタノールをさらに含む、請求項11〜14のいずれか一項に記載のエチレン性不飽和カルボン酸エステルを生成するための方法。
【請求項16】
前記分離促進剤の水含有供給源が、分離促進剤に加えて、メタノールをさらに含有する、請求項13〜15のいずれか一項に記載のエチレン性不飽和カルボン酸エステルを生成するための方法。
【請求項17】
前記エチレン性不飽和酸エステルが、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸メチルからなる群から選択される、請求項11〜16のいずれか一項に記載のエチレン性不飽和カルボン酸エステルを生成するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホルムアルデヒドの水含有供給源の脱水のための方法、および(メタ)アクリル酸アルキルエステルを生成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、触媒の存在下でカルボン酸エステルをホルムアルデヒドと反応させること(気相凝縮反応)によって、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを生成するための方法が、開発されている。例えば、プロパン酸メチルが、カルボン酸エステルとして使用される場合、メタクリル酸メチルが、下式(I)に示されるように得られる。
CH
3−CH
2−COOCH
3+HCHO→CH
3−CH(CH
2OH)−COOCH
3→CH
3−C(CH
2)−COOCH
3+H
2O・・・(I)
【0003】
ホルムアルデヒドが、多くの場合、ホルマリンの形態で使用される。ホルマリンは、ホルムアルデヒドを含有する水溶液であり、一般に、安定剤としてメタノールを含有する。したがって、ホルマリンが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの原料として使用される場合、水が、反応系中に導入される。水が、反応系中に存在する場合、反応の進行の阻害および触媒の劣化が、起こる可能性が高い。
【0004】
アセタールとのさらなる反応が、下式(II)に示される。
R
3−CH
2−COOR
4+R’OCH
2OR”→R
3−C(:CH
2)−COOR
4+R’OH+R”OH・・・(II)
【0005】
ジメトキシメタンを用いた式(II)の理論的な例が、下式(III)に示される。
CH
3−CH
2−COOR
4+CH
3OCH
2OCH
3→CH
3−C(:CH
2)−COOR
4+2CH
3OH・・・(III)
【0006】
したがって、ジメトキシメタンの使用は、後の水の分離および/または後の生成物の加水分解の困難さを避ける無水系を理論的に提供する。さらに、ジメトキシメタンの使用は、遊離ホルムアルデヒドの使用を回避するが、それにもかかわらず、一般的に、ホルムアルデヒドの供給源として働く。水および遊離ホルムアルデヒドがなければ、生成物流からのメタクリル酸メチルの分離が大幅に簡単になり得る。
【0007】
しかしながら、実際には、式(III)は、メタノールが脱水して、ジメチルエーテルおよび水になるため、問題がある。さらに、ジメトキシメタンが、触媒条件下で、ジメチルエーテルおよびホルムアルデヒドへと分解する。これらの反応において形成される水は、エステル原料または生成物をその対応する酸へと加水分解することがあり、これは望ましくないであろう。
【0008】
さらに、反応混合物中の水の存在は、触媒の劣化を増大させるため、水の存在は、エチレン性不飽和カルボン酸の生成の際にも望ましくないであろう。
【0009】
したがって、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが生成される場合、反応系に導入される水の量を減少させる必要があり、例えば、ホルムアルデヒドの水溶液の蒸留による脱水の方法が提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−265123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に開示されている方法は、不十分な脱水性能を有していた。
【0012】
本発明が、これらの課題の観点から作製され、本発明は、優れた脱水性能を有するホルムアルデヒドの水含有供給源の脱水のための方法、およびホルムアルデヒドの水含有供給源の脱水によって得られるホルムアルデヒドの脱水された供給源を用いて(メタ)アクリル酸アルキルエステルを生成するための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、ホルムアルデヒドの水含有供給源の脱水のための方法であって、ホルムアルデヒドの供給源から水の少なくとも一部を分離するのに有効な方法で、ホルムアルデヒドの供給源をゼオライト膜と接触させる工程を含み、ホルムアルデヒドの水含有供給源が、20℃および大気圧で、2.5〜20の静的比誘電率を有する分離促進剤を含み、ホルムアルデヒドの水含有供給源が、メタノールをさらに含む方法が提供される。
【0014】
好ましくは、水は、ゼオライト膜パーベーパレーションまたはゼオライト膜蒸気透過によって、ホルムアルデヒドの前記水含有供給源から分離され、より好ましくは、水は、蒸気透過によって分離される。
【0015】
典型的に、本発明の方法において、水に富んだ流体が透過物であり、ホルムアルデヒドの脱水された供給源が非透過物である。しかしながら、ホルムアルデヒドの脱水された供給源が透過物であり、水に富んだ流体が非透過物であることが可能である。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、触媒の存在下で、ホルムアルデヒドの供給源をカルボン酸エステルと接触させることによって、エチレン性不飽和カルボン酸エステル、好ましくは、α,βエチレン性不飽和カルボン酸エステルを生成するための方法であって、ホルムアルデヒドの脱水された供給源が、ホルムアルデヒドの水含有供給源から水の少なくとも一部を分離するのに有効な方法で、ホルムアルデヒドの水含有供給源をゼオライト膜と接触させて、ホルムアルデヒドの前記脱水された供給源を生成することによって得られ、ホルムアルデヒドの脱水された供給源が、前記方法のためのホルムアルデヒドの前記供給源として使用される方法が提供される。
【0017】
本発明のさらなる態様の特定の好ましい特徴は、ホルムアルデヒドの水含有供給源が、2.5〜20の静的比誘電率を有する分離促進剤を含有することであり、より好ましくはおよび本発明の第1のまたはさらなる態様によれば、静的比誘電率は、20℃および大気圧で、3〜15、最も好ましくは、4〜10、特に、4〜8である。
【0018】
本明細書における「大気圧」とは、101.325kPaを意味する。
【0019】
「静的比誘電率」とは、0の周波数での、所与の媒質中の電界強度に対する、真空中の電界強度の比率を意味し、これは、誘電率として一般的に知られている。
【0020】
分離促進剤カルボン酸エステルが特に有効であることが分かっている。カルボン酸エステルは、好ましくは、プロパン酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、エタン酸エチルまたはエタン酸メチルであり、より好ましくは、カルボン酸エステルは、プロパン酸メチルまたはエタン酸メチルであり、最も好ましくは、カルボン酸エステルは、プロパン酸メチルである。
【0021】
本発明のさらなる態様の好ましい特徴は、分離促進剤の水含有供給源が、ホルムアルデヒドの水含有供給源と組み合わされて、組み合わされた供給源が生成されることであり、ここで、組み合わされた供給源は、本発明の第1のまたはさらなる態様にしたがって脱水されて、分離促進剤を含有する、ホルムアルデヒドの前記脱水された供給源が得られる。ホルムアルデヒドの水含有供給源が組み合わされるか否かにかかわらず、それは、バッチプロセス、循環バッチプロセス(すなわち、同じバッチの繰返しの曝露)または連続プロセスにおいて、ゼオライト膜と接触され得る。連続プロセスでは、連続した2つ以上の膜による一連のゼオライト処理も考えられる。
【0022】
好ましい実施形態において、ホルムアルデヒドの水含有供給源および任意選択的に、分離促進剤の水含有供給源は、メタノールを含有する。
【0023】
分離促進剤がメタノールでないことが、上記から理解されるであろう。典型的に、分離促進剤は、C1〜C5アルキルアルコールではなく、より典型的に、分離促進剤は、アルキルアルコールではなく、最も典型的に、分離促進剤は、アルコールではない。
【0024】
典型的に、エチレン性不飽和エステルは、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸メチルからなるリストから選択される。
【0025】
ゼオライト膜は、好ましくは、Linde A型ゼオライト膜、より好ましくは、Linde 4A型ゼオライト膜である。
【0026】
ホルムアルデヒドの水含有供給源中の水の濃度は、好ましくは、0.5質量%以上である。
【0027】
[1]ホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法であって、ホルムアルデヒドの供給源から水の少なくとも一部を分離するのに有効な方法で、ホルムアルデヒドの供給源をゼオライト膜と接触させる工程を含み、ホルムアルデヒドの水含有供給源が、20℃および大気圧で、2.5〜20の静的比誘電率を有する分離促進剤を含み、ホルムアルデヒドの水含有供給源が、メタノールをさらに含む方法。
【0028】
[2]有効な方法が、ゼオライト膜パーベーパレーションまたはゼオライト膜蒸気透過からなる群から選択される、[1]に記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法。
【0029】
[3]水が、ゼオライト膜蒸気透過によって、ホルムアルデヒドの水含有供給源から分離される、[2]に記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法。
【0030】
[4]分離された水が透過物であり、ホルムアルデヒドの脱水された供給源が非透過物である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法。
【0031】
[5]分離促進剤がカルボン酸エステルである、[1]〜[4]のいずれか1つに記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法。
【0032】
[6]カルボン酸エステルが、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、プロパン酸メチル、エタン酸エチルまたはエタン酸メチルから選択される、請求項5に記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法。
【0033】
[7]カルボン酸エステルがプロパン酸メチルである、請求項6に記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法。
【0034】
[8]ゼオライト膜が、Linde A型または菱沸石型ゼオライト膜である、[1]〜[7]のいずれか1つに記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法。
【0035】
[9]ゼオライト膜が、Linde 4A型ゼオライト膜である、[8]に記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法。
【0036】
[10]ホルムアルデヒドの水含有供給源中の水の濃度が、ホルムアルデヒドの水含有供給源の100質量%を基準にして少なくとも0.5質量%である、[1]〜[9]のいずれか1つに記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法。
【0037】
[11]エチレン性不飽和カルボン酸エステル、好ましくは、α,βエチレン性不飽和カルボン酸エステルを生成するための方法であって、触媒の存在下で、ホルムアルデヒドの脱水された供給源をカルボン酸エステルと接触させる工程を含み、
ホルムアルデヒドの脱水された供給源が、ホルムアルデヒドの水含有供給源から水の少なくとも一部を分離するのに有効な方法で、ホルムアルデヒドの水含有供給源をゼオライト膜と接触させて、ホルムアルデヒドの前記脱水された供給源を生成することによって得られる方法。
【0038】
[12]ホルムアルデヒドの水含有供給源が、20℃および大気圧で、2.5〜20の静的比誘電率を有する分離促進剤をさらに含む、[11]に記載のエチレン性不飽和カルボン酸エステルを生成するための方法。
【0039】
[13]分離促進剤の水含有供給源を、ホルムアルデヒドの水含有供給源と組み合わせて、組み合わされた供給源を生成する工程と、[11]に記載のホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するための方法にしたがって、組み合わされた供給源を脱水して、分離促進剤を含有する、ホルムアルデヒドの脱水された供給源を得る工程とを含む、[12]に記載のエチレン性不飽和カルボン酸エステルを生成するための方法。
【0040】
[14]分離促進剤がカルボン酸エステルである、[12]〜[13]のいずれか1つに記載のエチレン性不飽和カルボン酸エステルを生成するための方法。
【0041】
[15]ホルムアルデヒドの水含有供給源が、メタノールをさらに含む、[11]〜[14]のいずれか1つに記載のエチレン性不飽和カルボン酸エステルを生成するための方法。
【0042】
[16]分離促進剤の水含有供給源が、分離促進剤に加えて、メタノールをさらに含有する、[13]〜[15]のいずれか1つに記載のエチレン性不飽和カルボン酸エステルを生成するための方法。
【0043】
[17]エチレン性不飽和酸エステルが、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸メチルからなる群から選択される、[11]〜[16]のいずれか1つに記載のエチレン性不飽和カルボン酸エステルを生成するための方法。
【発明の効果】
【0044】
本発明は、優れた脱水性能を有するホルムアルデヒドの水含有供給源の脱水のための方法およびこのような脱水によって得られるホルムアルデヒドの脱水された供給源を用いて、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを生成するための方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、水がホルムアルデヒドの水含有供給源から分離される分離装置の一例を示す概略的な構成図である。
【
図2】
図2は、水がホルムアルデヒドの水含有供給源から分離される分離装置のさらなる例を示す概略的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明のホルムアルデヒドの水含有供給源の脱水のための方法(以後、単に、「脱水方法」と呼ばれる)は、ゼオライト膜を用いて、ホルムアルデヒドの水含有供給源から水を分離する。
【0048】
本発明において、ホルムアルデヒドの水含有供給源は、ホルムアルデヒド、水およびホルムアルデヒド以外の有機溶媒を含有する溶液として定義される。ホルムアルデヒドの脱水された供給源の例は、少なくともいくらかの水がホルムアルデヒドの水含有供給源から分離された溶液である。本明細書において一般に、「ホルムアルデヒドの脱水された供給源」は、少なくともいくらかの水を本発明の方法によって除去させたホルムアルデヒドの水含有供給源を指す。
【0049】
ホルムアルデヒドの水含有供給源は、ホルムアルデヒドおよび水を含有する。ホルムアルデヒドが容易に重合されるため、ホルムアルデヒドの水含有供給源は、ホルムアルデヒドの水含有供給源中のホルムアルデヒドの重合を防ぐために、ホルムアルデヒド以外の有機溶媒を含有するのが好ましい。ホルムアルデヒド以外の有機溶媒は特に限定されず、様々な有機溶媒が使用され得る。しかしながら、典型的に、本明細書に記載される「有機溶媒」とは、後述される分離促進剤を意味しない。好ましい有機溶媒はメタノールである。しかしながら、一般に、好ましい溶媒は、それとともに、ホルムアルデヒドが、重合に対するホルムアルデヒドの活性を低下させる弱いまたは強い錯体を形成する化合物である。
【0050】
ホルムアルデヒドの水含有供給源は、ホルマリンの形態で入手可能である。市販のホルマリンは、安定剤としてメタノールを含有する。
【0051】
ホルムアルデヒドの含量は、特に限定されないが、ホルムアルデヒドの水含有供給源の100質量%に対して、好ましくは、5〜70質量%である。市販のホルマリンが、ホルムアルデヒドの水含有供給源として使用される場合、ホルムアルデヒドの含量は、一般に、37質量%以上である。ホルムアルデヒドの含量が低く、例えば、5%未満であり、ホルムアルデヒドが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを生成する反応における原料として使用される場合、十分な収率が得られない。ホルムアルデヒドの含量が高く、例えば、50%を超える場合、ホルムアルデヒドの重合反応が起こることがあり、安定性が低下する傾向がある。したがって、ホルムアルデヒドの含量の好ましい範囲は、ホルムアルデヒドの水含有供給源中、最大でも20重量%未満、より好ましくは、5〜18重量%、最も好ましくは、5〜15重量%である。ホルムアルデヒドの組み合わされた水含有供給源および分離促進剤の水含有供給源が使用される場合、組み合わされた流れの中の全体的なホルムアルデヒドレベルは、水を含有する組み合わされた流れの100質量%に対して、好ましくは、2〜70質量%である。また、ホルムアルデヒドの含量の好ましい範囲は、水を含有する組み合わされた流れ中、最大でも20重量%未満、より好ましくは、3〜18重量%、最も好ましくは、5〜15重量%である。
【0052】
一方、ホルムアルデヒドの組み合わされた水含有供給源およびホルムアルデヒド以外の分離促進剤の水含有供給源中の有機溶媒の含量は、ホルムアルデヒドの組み合わされた水含有供給源および分離促進剤の水含有供給源の100質量%の、好ましくは、5〜90質量%である。ホルムアルデヒド以外の有機溶媒の含量が、5質量%より低い場合、ホルムアルデヒドは、十分に安定でないことがある。ホルムアルデヒド以外の有機溶媒の含量が、90質量%より高い場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを生成するための原料の濃度が低下されるため、十分な収率が得られない傾向がある。
【0053】
本発明において、水が、ゼオライト膜を用いて、ホルムアルデヒドの水含有供給源から分離される場合、分離促進剤は、ホルムアルデヒドの水含有供給源に加えられる、または加えられるのが好ましい。それによって、脱水性能が向上される。分離促進剤は、メタノールなどの有機溶媒を用いて溶液に溶解され得る。さらに、分離促進剤は、水を用いて溶液に溶解され得る。好ましくは、分離促進剤は、水およびメタノールを用いて溶液に溶解される。したがって、分離促進剤は、分離促進剤の、水を含有する、および任意に、メタノールを含有する供給源として加えられ得る。したがって、ホルムアルデヒドの組み合わされた水含有供給源および分離促進剤は、メタノールならびに水を含有し得る。
【0054】
分離促進剤の含量は、ホルムアルデヒドの水含有供給源の100質量%に対して、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは、20質量%以上である。分離促進剤の量が、10質量%より少ない場合、十分な脱水性能を得るのは難しい。加えられる分離促進剤の量の上限は、特に限定されないが、好ましくは、90質量%以下、より好ましくは、80質量%以下である。
【0055】
好ましい分離促進剤は、好ましくは、中程度の極性の溶媒である。
【0056】
好適な分離促進剤は、トリフルオロメタン、m−ジフルオロベンゼン、フルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、o−フルオロトルエン、m−フルオロトルエン、p−フルオロトルエン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン;メタン酸メチル、メタン酸エチル、エタン酸メチル、アクリル酸メチル、メタン酸プロピル、エタン酸エチル、プロパン酸メチル、アクリル酸エチル、トランス−2−ブテン酸メチル、メタクリル酸メチル、マロン酸ジメチル、メタン酸ブチル、メタン酸イソブチル、エタン酸プロピル、プロパン酸エチル、ブタン酸メチル、2−ブテン酸エチル、メタクリル酸エチル、シュウ酸ジエチル、コハク酸ジメチル、二酢酸エチレングリコール、メタン酸ペンチル、メタン酸イソペンチル、エタン酸ブチル、エタン酸tert−ブチル、プロパン酸プロピル、ブタン酸エチル、ペンタン酸メチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メタン酸シクロヘキシル、アクリル酸ブチル、マロン酸ジエチル、グルタル酸ジメチル、1,2,3,−プロパントリオール−1,3−ジアセテート、エタン酸ペンチル、プロパン酸ブチル、ブタン酸プロピル、ペンタン酸エチル、3−メチルブタン酸エチル、ヘキサン酸メチル、メタン酸ベンジル、エタン酸フェニル、安息香酸メチル、サリチル酸メチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、シクロヘキサンカルボン酸メチル、エタン酸シクロヘキシル、シュウ酸ジイソプロピル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、エタン酸ヘキシル、プロパン酸ペンチル、プロパン酸イソペンチル、ブタン酸ブチル、ペンタン酸プロピル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸メチル、安息香酸エチル、4−メチル安息香酸メチル、エタン酸ベンジル、プロパン酸フェニル、サリチル酸エチル、2−メトキシ安息香酸メチル、トリアセチン、プロパン酸シクロヘキシル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、グルタル酸ジエチル、エタン酸ヘプチル、ブタン酸ペンチル、オクタン酸メチル、2−(アセチルオキシ)安息香酸メチル、フタル酸ジメチル、2−フェニルエチルエタノエート、プロパン酸ベンジル、プロパン酸フェニル、安息香酸プロピル、フェニル酢酸エチル、ブタン酸シクロヘキシル、アジピン酸ジエチル、エタン酸オクチル、2−メチルヘプチルエタノエート、ペンタン酸ペンチル、トランス−ケイ皮酸エチル、ブタン酸ベンジル、ペンタン酸フェニル、安息香酸ブチル、ヘキサン酸ペンチル、ケイ皮酸プロピル、フタル酸ジエチル、安息香酸ペンチル、サリチル酸ペンチル、エタン酸1−ボルニル、酒石酸ジブチル、サリチル酸フェニル、安息香酸ヘキシル、ノナン二酸ジエチル、安息香酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、ケイ皮酸ペンチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジエチル、2−(アセチルオキシ)安息香酸フェニル、トリブチリン、フタル酸ジブチル、サリチル酸2−ナフチル、フタル酸ジペンチル、アジピン酸ジシクロヘキシル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、1,2,3−プロパントリイルヘキサノエート、オレイン酸ブチル、フタル酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル;2−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−メチルシクロペンタノール、3−ヘキサノール、3−メチル−3−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、o−クレゾール、シクロヘキサンメタノール、2−メチルシクロヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、3−メチル−2−ヘキサノール、2,2−ジメチル−1−ペンタノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノ(xyleno)、3,5−キシレノール、1−フェニルエタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、2−メチル−1−ヘプタノール、4−メチル−1−ヘプタノール、5−メチル−1−ヘプタノール、3−メチル−2−ヘプタノール、5−メチル−2−ヘプタノール、6−メチル−2−ヘプタノール、3−メチル−4−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノ(hexano)、2,2−ジメチル−1−ヘキサノ(hexano)、2,2−ジメチル−1−ヘキサノール、1−フェニル−1−プロパノール、2−フェニル−2−プロパノール、1−フェニル−2−プロパノール、1−ノナノール、2−ノナノール、3−ノナノ(nonano)、1−ナフトール、2−ナフトール、1−フェニル−2−メチル−2−プロパノール、チモール、1−デカノール、2−デカノール、3−デカノール、2,2−ジメチル−1−オクタノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、1−トリデカノ(tridecano)、1−テトラデカノール;ジメチルエーテル、エトキシアセチレン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロピラン、2−メチルテトラヒドロフラン、フェノキシアセチレン、ブトキシアセチレン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、トリエトキシメタン、エチルフェニルエーテル、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、1,4−ジメトキシベンゼン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ユーカリプトール、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシナフタレン;1,4−シクロヘキサンジオン、2−オクタノン、2−ノナノン、ジ−tert−ブチルケトン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、2−デカノン、2−ウンデカノン、7−トリデカノン、9−ヘプタデカノン、10−ノナデカノン;ペンタナール、2,2−ジメチルプロパナールおよび1−ヘプタナールから選択され;またはC1〜C5アルキルアルコールを除外する上記のリストから選択され;またはアルキルアルコールを除外する上記のリストから選択され;またはアルコールを除外する上記のリストから選択され得る。
【0057】
さらに、分離促進剤は、上に挙げた溶媒の2つ以上の混合物または上に挙げた溶媒の1つ以上と1つ以上の他の溶媒との混合物まで及び、これらの混合物は、いずれの場合も、20℃および大気圧で、上に規定される範囲内に入る静的比誘電率を有する。
【0058】
分離促進剤は、好ましくは、下式(IV)によって表されるカルボン酸エステルである。
R
1−COOR
2・・・(IV)
【0059】
式(IV)中、R
1が、水素原子または有機基であり、有機基が、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する有機基である。有機基は、本質的に、炭素原子を有する基であり、例えば、アルキル基、またはアルコキシ基を含む。
【0060】
R
2が、アルキル基であり、アルキル基は、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0061】
カルボン酸エステルの具体例としては、プロパン酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、エタン酸メチル、またはエタン酸エチルが挙げられる。これらのうち、プロパン酸メチルまたはエタン酸エチルが、分離促進剤として使用される場合、透過流束が、増加される傾向がある。さらに、プロパン酸メチルが、ホルムアルデヒドおよびプロパン酸メチルの反応によってメタクリル酸メチルを生成する反応の原料として使用可能であり、したがって、プロパン酸メチルが、本発明において特に好ましい。
【0062】
ホルムアルデヒドの水含有供給源は、ゼオライト膜を用いた脱水にかけられる。
【0063】
ゼオライト膜は、優れた分離、耐熱性、および耐化学薬品性を有する膜である。
【0064】
ゼオライト膜の例としては、Linde A型(LTA)ゼオライト膜、T型(ERI−OFF)ゼオライト膜、X型(FAU)ゼオライト膜、Y型(FAU)ゼオライト膜、モルデナイト(MOR)膜、ZSM−5(MFI)ゼオライト膜、BEAゼオライト膜、菱沸石膜(CHA)、およびシリカライト膜が挙げられる。これらのゼオライトの構造は、Ch Baerlocher、L B McCuskerおよびD H Olsenによる、“The Atlas of Zeolite Framework Types”,6
th revised edition,Elsevier,ISBN 978−0−444−53064−6に記載されている。これらのうち、Linde A型ゼオライト膜、T型ゼオライト膜、菱沸石膜(CHA)、X型ゼオライト膜およびY型ゼオライト膜が好ましい。水がホルムアルデヒドの水含有供給源から選択的に分離され得るという観点から、高いAl含量を有するLinde A型ゼオライトおよび菱沸石(CHA)膜が好ましい。
【0065】
さらに、本発明は、有利に高い流動速度を提供する。
【0066】
一般に、ゼオライトの型として、Al含量が高くなるほど、水への親和性が高くなり、脱水性能が向上される傾向が高くなる。
【0067】
ホルムアルデヒドの水含有供給源中の水の濃度は、典型的に、25質量%以下、より典型的に、20質量%以下である。Linde A型ゼオライト膜が、ゼオライト膜として使用される場合、その耐水性の観点から、ホルムアルデヒドの水含有供給源中の水の濃度は、好ましくは、15質量%以下、より好ましくは、10質量%以下である。ホルムアルデヒドの水含有供給源中の水の濃度が、15質量%を超える場合、分離性能の低下が、Linde A型ゼオライト膜の劣化により生じ得る。しかしながら、ホルムアルデヒドの水含有供給源中の水の濃度が低下される場合、透過流束は、減少される傾向がある。したがって、膜に関わりなく、ホルムアルデヒドの水含有供給源中の水の濃度は、ホルムアルデヒドの水含有供給源の100質量%を基準にして、好ましくは、0.5質量%以上、より好ましくは、2質量%以上、さらにより好ましくは、5質量%以上である。
【0068】
ゼオライトの量は、好ましくは、少なくとも10%、より好ましくは、少なくとも20%、最も好ましくは、少なくとも30%だけ、ホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水するのに十分である。典型的に、存在する全水の50%超が、ホルムアルデヒドの水含有供給源から分離される。
【0069】
一般に、ゼオライト組成物中のSi/Alモル比が高くなるほど、水分離性能が低下する傾向が高くなる。Linde A型ゼオライト(Si/Al≒1.0)と比較して、T型ゼオライト(Si/Al=3.6)およびモルデナイト(Si/Al=5.1)は、より低い水分離性能を有する。ゼオライト膜のSi:Alモル比の範囲は、好ましくは、1:1〜10:1、より好ましくは、1:1〜9:1である。
【0070】
Linde A型ゼオライト膜は、Linde A型ゼオライト結晶を多孔質担体の表面上に沈殿させることによって形成され得る。
【0071】
多孔質担体の例としては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、窒化ケイ素、および炭化ケイ素などのセラミック、アルミニウムおよびステンレス鋼などの金属、ならびにポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリテトラフルオロエチレンなどのポリマーが挙げられる。膜の分離性能の観点から、セラミックまたは金属などの無機化合物が好ましい。多孔質担体の形状は、特に限定されないが、管形状が好ましい。
【0072】
Linde A型ゼオライト結晶が多孔質担体の表面上に沈殿される方法としては、Linde A型ゼオライトの種晶が担体の表面に適用された後、シリカ原料(例えば、ケイ酸ナトリウム、シリカゲル、シリカゾル、シリカ粉末など)および/またはアルミナ原料(例えば、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウムなど)の存在下における、水熱合成法または気相法などの合成方法による沈殿が続く方法が挙げられる。Linde A型ゼオライトは、ナトリウム塩の形態であり得、この形態で、それは通常合成され、または金属イオン、例えば、塩化物塩または硝酸塩、特に、カリウムもしくはカルシウムイオンまたはこれらとナトリウムイオンとの混合物の溶液とイオン交換され得る。好ましくは、ナトリウムイオンの一部が、Linde 5A型ゼオライトとして知られている構造を生成するために、カルシウムイオンとイオン交換される。最も好ましくは、Linde A型ゼオライトは、Linde 4A型ゼオライトとして知られている100%のナトリウムの形態である。
【0073】
X型およびY型ゼオライトは、好ましくは、それらのナトリウム形態または酸形態、より好ましくは、ナトリウム形態である。
【0074】
菱沸石型ゼオライトは、好ましくは、酸、ナトリウム、カリウム、カルシウムまたはストロンチウム、より好ましくはナトリウム、カリウムまたはカルシウムの形態であり得る。市販の製品が、Linde A型ゼオライト膜として使用され得る。
【0075】
上述されるように、ゼオライト膜を用いて、ホルムアルデヒドの水含有供給源から水を分離する方法としては、パーベーパレーション、または蒸気透過が挙げられる。装置のサイズが減少され得るという観点から、パーベーパレーションが好ましい一方、熱エネルギーの消費が相転移を伴わずに低下され得るという観点から、蒸気透過が好ましい。
【0076】
上述されるように、ゼオライト膜による脱水では、分離係数および透過流束が、ホルムアルデヒドの水含有供給源中の水の濃度の増加にしたがって増加される傾向がある。一般に、透過流束は、水含有供給源の温度の上昇にしたがって増加される傾向がある。
【0077】
本発明において、分離中のホルムアルデヒドの水含有供給源の温度は、好ましくは、0〜200℃、より好ましくは、30〜180℃、最も好ましくは50〜150℃である。
【0078】
パーベーパレーションの一例が、
図1を用いて具体的に説明される。
【0079】
図1は、パーベーパレーションによって、ゼオライト膜を用いて、ホルムアルデヒドの水含有供給源から水を分離するための分離装置10を示す。例の分離装置10は、ホルムアルデヒドの水含有供給源を貯蔵する槽11、槽11に設けられたゼオライト膜12、および温度計13、槽11中のホルムアルデヒドの水含有供給源の一定の温度を維持するための恒温浴14、減圧ライン16およびゼオライト膜12の内部の圧力を低下させるための真空ポンプ15、ゼオライト膜12を真空ポンプ15に連結するための減圧ライン16、減圧ライン16に設けられた第1の収集装置17および第2の収集装置18ならびに真空計19を含む。
【0080】
ゼオライト膜12では、一端が封止され、他端が、ステンレス鋼管などのプラグ12aを介して、減圧ライン16に連結される。
【0081】
温度計13の例は、熱電対などを含む。
【0082】
第1の収集装置17および第2の収集装置18は、ホルムアルデヒドの水含有供給源から分離される成分(透過溶液)を収集する。これらの装置は、蒸気状態でゼオライト膜12を透過し、かつ第1の収集装置17および第2の収集装置18を通過する成分を冷却するための冷媒を貯蔵するデュワー瓶17aおよび18a、ならびに冷却された液体状態または固体状態で成分(透過溶液)を捕集するための捕集管17bおよび18bを含む。冷媒の例としては、液体窒素が挙げられる。
【0083】
図1に示される分離装置10を用いたパーベーパレーションの具体例が説明される。ゼオライト膜12としてLinde A型ゼオライト膜を用いた場合が以下に説明される。
【0084】
まず、ホルムアルデヒドの水含有供給源は、槽11中に貯蔵される。槽11中のホルムアルデヒドの水含有供給源の温度は、一定であるように恒温浴14によって維持される。ホルムアルデヒドの水含有供給源の温度は、好ましくは、50〜150℃である。以下の具体例において、それは60℃である。
【0085】
別個に、液体窒素が、デュワー瓶17aおよび18aに貯蔵される。
【0086】
次に、真空ポンプ15が、減圧ライン16およびゼオライト膜12の内側部分の圧力を低下させるように動作する。次に、ホルムアルデヒドの水含有供給源中の水が、蒸気の形態でゼオライト膜12を透過する。ゼオライト膜12を透過する水蒸気は、第1の収集装置17中のデュワー瓶17aに充填された液体窒素によって冷却され、捕集管17bによって収集される。
【0087】
第2の収集装置18は、設けられる必要がない。しかしながら、第2の収集装置18が設けられる場合、すなわち、水蒸気が第1の収集装置17によって収集されない場合、第1の収集装置17を通過する水蒸気は、第2の収集装置18によって収集され得るため、真空ポンプ15中への水の浸透が抑制され得る。
【0088】
効率的な膜分離を実現するために、ゼオライト膜に対して、供給側と透過側における水の濃度差を提供する必要がある。濃度差を提供するための特定の装置として、透過側と供給側との間にできる限り大きい圧力差を提供する装置、または透過側に水を保持しないように水以外の気体を流す装置が例示され得る。
【0089】
できる限り大きい圧力差を提供するために、供給側が加圧されてもよく、または透過側が減圧されてもよい。容易さおよび透過性を考慮すると、供給側の圧力は、好ましくは、50〜800kPaであり、透過側の圧力は、好ましくは、15.0kPa以下であり、供給側の圧力は、より好ましくは、大気圧から500kPaであり、透過側の圧力は、より好ましくは、5.0kPa以下である。
【0090】
透過側に水を保持しないための水以外の気体として、水と反応しない不活性および入手しやすさを考慮すると、窒素またはアルゴンが好ましい。
【0091】
上記の方法によれば、水が、ホルムアルデヒドの水含有供給源から分離され得る。分離された水は、第1の収集装置17の捕集管17b中に収集される。一方、ホルムアルデヒドの脱水された供給源は、槽11中に貯蔵される。
【0092】
上記の方法は、水をゼオライト膜12中に透過させ、ホルムアルデヒドの水含有供給源から水を分離するが、本発明はそれに限定されない。例えば、ゼオライト膜12の種類が変更される場合、水以外の成分が、ゼオライト膜12を透過させられ、ホルムアルデヒドの水含有供給源から分離させられ得る。この場合、ホルムアルデヒドの脱水された供給源は、透過溶液として第1の収集装置17の捕集管17b中に収集され、水は、不透過物として保持され得る。
【0093】
「ホルムアルデヒドの供給源」という用語は、遊離ホルムアルデヒドが、反応条件下で供給源からその場で生じ得るかまたは供給源が、反応条件下で遊離ホルムアルデヒドの同等物として作用し得る、例えば、同等の反応が起こるように、供給源が、ホルムアルデヒドと同じ反応中間体を形成し得ることである。誤解を避けるために、供給源は、それ自体が遊離ホルムアルデヒドであり得る。
【0094】
ホルムアルデヒドの好適な供給源は、式(V)
【化1】
(式中、R
5およびR
6が、好ましくは、独立して、C
1〜C
12炭化水素またはHから選択され、XがOであり、nが、1〜100の整数であり、mが1である)
の化合物であり得る。
【0095】
R
5およびR
6が、独立して、本明細書に定義されるように、C
1〜C
12アルキル、アルケニルまたはアリール、またはH、より好ましくは、C
1〜C
10アルキル、またはH、最も好ましくは、C
1〜C
6アルキルまたはH、特に、メチルまたはHから選択される。nが、好ましくは、1〜10、より好ましくは、1〜5、特に、1〜3の整数である。
【0096】
しかしながら、トリオキサンまたはトリオキサン含有供給源を含むホルムアルデヒドの他の供給源が使用され得る。
【0097】
したがって、ホルムアルデヒドの好適な供給源としては、ホルムアルデヒドの供給源を提供し得る任意の平衡組成物が挙げられる。このようなものの例としては、限定はされないが、ジメトキシメタン、トリオキサン、ポリオキシメチレンR
1−O−(CH
2−O)
i−R
2(式中、R
1および/またはR
2が、アルキル基または水素であり、i=1〜100である)、パラホルムアルデヒド、ホルマリン(ホルムアルデヒド、メタノール、水)ならびにホルムアルデヒド、メタノールおよびプロパン酸メチルの混合物などの他の平衡組成物が挙げられる。
【0098】
典型的に、ポリオキシメチレンは、ホルムアルデヒドおよびメタノールの高級ホルマールまたはヘミホルマールCH
3−O−(CH
2−O)
i−CH
3(「ホルマール−i」)またはCH
3−O−(CH
2−O)
i−H(「ヘミホルマール−i」)(式中、i=1〜100、好ましくは、i=1〜5、特に、i=1〜3である)、または少なくとも1つの非メチル末端基を有する他のポリオキシメチレンである。したがって、ホルムアルデヒドの供給源はまた、式R
31−O−(CH2−O−)
iR
32(式中、R
31およびR
32が、同じかまたは異なる基であってもよく、少なくとも一方が、C
1〜C
10アルキル基から選択され、例えばR
31=イソブチルおよびR
32=メチルである)のポリオキシメチレンであり得る。
【0099】
好ましくは、ホルマリンという用語は、25〜65重量%:0.01〜25重量%:25〜70重量%の比率におけるホルムアルデヒド:メタノール:水の混合物である。より好ましくは、ホルマリンという用語は、30〜60重量%:0.03〜20重量%:35〜60重量%の比率におけるホルムアルデヒド:メタノール:水の混合物である。最も好ましくは、ホルマリンという用語は、35〜55重量%:0.05〜18重量%:42〜53重量%の比率におけるホルムアルデヒド:メタノール:水の混合物である。好ましくは、ホルムアルデヒド、メタノールおよびプロパン酸メチルを含む混合物は、50重量%未満の水を含有する。より好ましくは、ホルムアルデヒド、メタノールおよびプロパン酸メチルを含む混合物は、20重量%未満の水を含有する。最も好ましくは、ホルムアルデヒド、メタノールおよびプロパン酸メチルを含む混合物は、0.1〜15重量%の水を含有する。
【0100】
典型的に、ホルムアルデヒドの水含有供給源は、ホルムアルデヒド、水および、任意に、メタノールを含むホルムアルデヒド溶液である。ホルムアルデヒドの供給源が、水を含有しなくてもよいことが理解されるべきであり、例えば、その場合、ホルムアルデヒドの供給源が、トリオキサンまたは遊離ホルムアルデヒドの形態であるが、この流れを、ホルムアルデヒドの第2の水含有供給源と、および/または湿潤プロパン酸メチルなどの、分離促進剤の水含有供給源と混合することによって、水が加えられてもよい。
【0101】
透過物としてまたは水が透過物として除去された非透過物として、本発明の方法によって得られるホルムアルデヒドの脱水された供給源は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを生成するための原料として有利に使用され得る。
【0102】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルを生成する方法が、例として以下に説明される。
【0103】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、気相凝縮反応において、触媒の存在下で、カルボン酸エステルおよびホルムアルデヒドを反応させることによって得られる。したがって、反応のための原料として、本発明によって得られるホルムアルデヒドの脱水された供給源を使用することができる。水が、ホルムアルデヒドの脱水された供給源から十分に除去されるため、反応系中への水の望ましくない導入が減少され得る。したがって、反応の進行の抑制および触媒の劣化が、起こりにくい。
【0104】
この気相凝縮反応のための触媒の例としては、塩基触媒、特に、カリウム、ルビジウム、およびセシウムなどのアルカリ金属が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ハフニアおよびそれらの組合せなどの担体上に担持される触媒が挙げられる。
【0105】
気相凝縮反応におけるカルボン酸エステル対ホルムアルデヒドの好適なモル比は、1:1〜20:1である。
【0106】
気相凝縮反応の反応温度は、好ましくは、250〜400℃であり、反応圧力は、好ましくは、1×10
5〜1×10
6Paである。
【0107】
有利には、ホルムアルデヒドの脱水された供給源が、ホルムアルデヒドおよびカルボン酸エステルを含有する場合、およびホルムアルデヒドの脱水された供給源におけるモル比が、気相凝縮反応のための上記の比率の範囲内である場合、反応中に、より低いレベルのカルボン酸エステル原料を加える必要があるかまたは加える必要がない。脱水された溶液中のカルボン酸エステルの比率が、過度に低いかまたは存在しない場合、カルボン酸エステルが、必要なレベルを得るために、脱水された溶液に別個に加えられ、溶液は、気相凝縮反応にかけられる。
【0108】
カルボン酸エステルが、ホルムアルデヒドの脱水された供給源に加えられる際、ホルムアルデヒドの水含有供給源の脱水方法の際に言及されるカルボン酸エステルが例示され得る。ホルムアルデヒドの脱水された供給源に加えられるカルボン酸エステルは、好ましくは、ホルムアルデヒドの水含有供給源の脱水の際に水含有供給源に加えられるカルボン酸エステルと同じである。
【0109】
ホルムアルデヒドの脱水された供給源に加えられるカルボン酸エステルとして、市販の製品または合成化合物が使用され得る。
【0110】
カルボン酸エステルの合成方法は、特に限定されないが、合成方法が、プロパン酸メチルの例によって説明される。
【0111】
エチレンおよびメタノールが、プロパン酸メチルを得るために、触媒の存在下で、一酸化炭素と反応される(液相均一系反応)。
【0112】
触媒の例としては、貴金属錯体触媒、特に、ホスフィンなどを貴金属に配位する錯体触媒などが挙げられる。
【0113】
液相均一系反応の反応温度は、好ましくは、10〜150℃である。
【0114】
気相凝縮反応により、カルボン酸エステルおよびホルムアルデヒドを反応させることによる目的物質である(メタ)アクリル酸アルキルエステルに加えて、水が生成される。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、水によって加水分解されて、出発エステルに適切なアルコールが生成される。したがって、気相凝縮反応は、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの加水分解を抑制するために適切なアルコールの存在下で行われる。
【0115】
カルボン酸エステルとして、上記の液相均一系反応によって生成されるプロパン酸メチルが、ホルムアルデヒドの脱水された供給源に加えられ、気相凝縮反応にかけられる場合、メタノールが、エチレンと比較して、過剰に使用されるため、得られるプロパン酸メチルは、未反応のメタノールを含有する。気相凝縮反応が、好ましくは、アルコールの存在下で行われるため、未反応のメタノールが、プロパン酸メチルから分離される必要がなく、プロパン酸メチルに加えて、気相凝縮反応に提供され得る。
【0116】
メタノールおよびホルムアルデヒドの水含有供給源を脱水することによって得られるホルムアルデヒドの脱水された供給源は、メタノールを含有する。
【0117】
したがって、メタノールを含有する脱水された溶液が使用され、または液相均一系反応によって生成されるプロパン酸メチルが、脱水された溶液に加えられる場合、気相凝縮反応は、反応系中にメタノールを別個に加えずに、メタノールの存在下で行われ得る。
【0118】
気相凝縮反応によって得られる反応生成物は、所望の生成物である(メタ)アクリル酸アルキルエステルに加えて、水を含有する。気相凝縮反応では、カルボン酸エステルが、ホルムアルデヒドと比較して大幅に過剰に使用されるため、反応生成物は、未反応のカルボン酸エステルを含有する。さらに、気相凝縮反応が、アルコールの存在下で行われる場合、反応生成物は、アルコールを含有する。
【0119】
したがって、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、反応生成物から分離されるべきである。
【0120】
反応生成物から(メタ)アクリル酸アルキルエステルを分離するための方法は、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、反応生成物を蒸留することによって分離され得る。
【0121】
一方、反応生成物から(メタ)アクリル酸アルキルエステルを分離した後の残渣は、未反応のカルボン酸エステルおよび水を含有する。したがって、カルボン酸エステルおよび水が、残渣から分離される場合、カルボン酸エステルが回収され、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの生成の際に反応剤として再利用される。
【0122】
上記の反応生成物の残渣は、本発明の上記の脱水方法においてホルムアルデヒドの水含有供給源に加えられるカルボン酸エステルとして使用され得る。したがって、ホルムアルデヒドの水含有供給源の脱水および未反応のカルボン酸エステルからの水の分離は、同時に行われ得る。
【0123】
反応生成物の残渣が、ホルムアルデヒドの水含有供給源に加えられ、脱水されるときに生成されるホルムアルデヒドの脱水された供給源は、ホルムアルデヒドに加えて、未反応のカルボン酸エステルを含有する。したがって、ホルムアルデヒドの脱水された供給源が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの原料として使用される場合、未反応のカルボン酸エステルは再利用される。
【0124】
反応生成物の残渣は、ホルムアルデヒドの水含有供給源に加えられ、脱水され、脱水されたホルムアルデヒドを含有する得られた溶液は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの原料として使用される。それによって、本発明の脱水方法は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを生成するための方法の一部に組み込み可能であり、それによって、製造コストが削減され得る。
【0125】
上述されるように、本発明の脱水方法によれば、水が、ホルムアルデヒドの水含有供給源から非常に効率的に分離され得る。特に、分離促進剤が加えられ、脱水される場合、脱水性能が優れている。この場合、透過物が水に富む場合、非透過物は、上記の分離促進剤およびホルムアルデヒドの水含有供給源に対して、ホルムアルデヒドおよび分離促進剤に富み、または非透過物が水に富む場合、透過物は、ホルムアルデヒドおよび分離促進剤に富む。透過物が水に富んでいることが好ましい。
【0126】
本発明の脱水方法によって得られるホルムアルデヒドの脱水された供給源は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの原料として好ましい。特に、それは、メタクリル酸メチルが、プロパン酸メチルから生成される場合に好ましい。さらに、ホルムアルデヒドの脱水された供給源が、原料として使用される場合、反応系中への水の導入が減少され得るため、反応の進行が、抑制されにくく、触媒が劣化しにくい。
【実施例】
【0127】
この後、実施例を示すことによって、本発明に関する具体的な説明が示される。しかしながら、本発明はこれらに限定されない。
【0128】
調製実施例1
Linde 4A型ゼオライト膜を、一般に、欧州特許第1930067号明細書の実施例にしたがって調製した。具体的には、均一な膜形成を補助するための種晶を、担体上に形成した。Linde 4A型ゼオライト微粒子(種晶、粒度:100nm)を水に入れ、撹拌したところ、0.5重量%の濃度を有する懸濁液が得られた。
【0129】
封止体をこの実施例に使用した。具体的には、α−アルミナで作製され、両端に開口部を有する管状多孔質体を調製した。多孔質体は、1.3μmの平均孔径、12mmの外径、9mmの内径および10cmの長さを有していた。封止部材を、多孔質体の一方の開口部にしっかりと取り付け、外気導管が貫通した封止部材を、他方の開口部にしっかりと取り付けた。
【0130】
封止体を、上記の懸濁液に浸漬した。多孔質体全体を懸濁液に浸漬し、外気導管の先端を懸濁液に浸漬しなかった。封止体を3分間にわたって懸濁液に浸漬した。次に、封止体を、約0.2cm/秒の速度で取り出した。封止部材を取り外すことによって、封止体から得られる多孔質体を、25℃の恒温浴中で2時間乾燥させ、次に、70℃の恒温浴で16時間乾燥させて、種晶が付着した多孔質体を生成した。
【0131】
ケイ酸ナトリウム、水酸化アルミニウムおよび蒸留水を混合して、反応溶液を得た。1モル部のアルミナ(Al
2O
3)、2モル部の二酸化ケイ素(SiO
2)および2モル部の酸化ナトリウム(Na
2O)を、150モル部の水に加えて、反応溶液を得た。種晶が付着した多孔質体を、反応溶液に浸漬し、80℃で3時間保持したところ、種晶が付着した多孔質体の表面上にゼオライト膜が形成された。
【0132】
次に、得られたゼオライト膜を、ブラシで清浄化した。さらに、それを、40℃の温水に16時間にわたって浸漬した。Linde 4A型ゼオライト膜をこのようにして得た。
【0133】
調製実施例2
T型ゼオライト膜を、一般に、米国特許第6387269号明細書の実施例にしたがって調製した。
【0134】
非晶質シリカを、アルミン酸ナトリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを含む水溶液中に撹拌しながら導入し、48時間にわたってエージングさせる。溶液の組成は、以下のモル比に相当する:SiO
2/Al
2O
3=112、OH−/SiO
2=0.77、Na+/(Na+ + K+)=0.77、およびH
2O/(Na+ + K+)=20.75。
【0135】
次に、表面にT型ゼオライトの種晶が設けられた多孔質の管状担体を、上記の反応混合物に浸漬した。担体は、「ムライト」からなり、10cmの長さ、1.2cmの外径、1.5mmの厚さ、1.3μmの孔径および40%の気孔率を有していた。種晶の平均サイズは100μmである。多孔質担体における種晶の量は30mg/cm
2である。水熱合成を100℃で24時間行った後、12時間すすぎ、70℃で乾燥させた。
【0136】
調製実施例3
CHA型ゼオライト膜を、一般に、多孔質α−アルミナ担体の外面における二次成長方法を介して水熱合成によって調製した。誤解を避けるために、「CHA型ゼオライト」とは、国際ゼオライト学会(International Zeorite Association)(IZA)によって定義されるCHA構造を有するゼオライトを指すことを意味し、天然の菱沸石と同じ構造を有するゼオライトである。
【0137】
まず、均一な膜形成を補助するために、種晶を多孔質α−アルミナ担体に付着させた。
【0138】
以下のものを、シーディングプロセスにおける水熱合成のための反応混合物として調製した。12.8gの1モル/L−NaOH水溶液および75gの水を含有する混合物中に、0.8gの水酸化アルミニウム(Aldrichから入手される、53.5重量%のAl
2O
3を含有する)を加え、撹拌しながら溶解させて、透明な溶液を作製した。それに、10.8gのN,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウム水酸化物(TMADAOH)水溶液(Sachem Inc.から入手される、25重量%のTMADAOHを含有する)を有機テンプレートとして加え、19.2gのコロイドシリカ(日産化学工業株式会社から入手されるSnowtex−40)をさらに加えた。この混合物を3時間撹拌した。約0.5μmのCHA型ゼオライト種晶を、160℃で2日間にわたって水熱合成した。浸漬コーティング技術をシーディングに使用した。具体的には、無機多孔質担体を、所定の時間にわたって1重量%の濃度で、CHA型ゼオライト結晶の水性懸濁液を含むフラスコ中に垂直に浸漬した。次に、それを、100℃で約5時間乾燥させて、種晶が付着した多孔質体を生成した。
【0139】
以下のものを、膜水熱合成のための反応混合物として調製した。10.5gの1モル/L−NaOH水溶液、7.0gの1モル/L−KOH水溶液および100.0gの水を含有する混合物中に、0.88gの水酸化アルミニウム(Aldrichから入手される、53.5重量%のAl
2O
3を含有する)を加え、撹拌しながら溶解させて、透明な溶液を作製した。それに、2.95gのN,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウム水酸化物(TMADAOH)水溶液(Sachem Inc.から入手される、25重量%のTMADAOHを含有する)を有機テンプレートとして加え、10.5gのコロイドシリカ(日産化学工業株式会社から入手されるSnowtex−40)をさらに加えた。この混合物を2時間撹拌した。種晶が付着された担体を、上記の反応混合物を含むTeflon(登録商標)製の内筒に垂直方向に浸漬し、オートクレーブをしっかりと閉鎖した後、自然発生圧力下で、160℃で48時間加熱した。系を冷却させ、担体−ゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し、洗浄し、次に、120℃で5時間以上乾燥させた。0.1〜0.5℃/分の速度で、膜試料を焼成して、テンプレートを取り外した。450〜500℃のより高い温度を20時間超にわたって加えた。
【0140】
ゼオライト膜のモル比SiO
2/Al
2O
3を、SEM−EDXによって測定したところ、17であることが分かった。
【0141】
実施例1
ホルムアルデヒド(HCHO)、水(H
2O)、メタノール(MeOH)、およびプロパン酸メチル(MeP)を、質量比(HCHO:H
2O:MeOH:MeP)が10:9:11:70になるように混合して、試料(供給液)を調製した。
図1に示される分離装置10を用いて、以下の方法にしたがって、水を供給液から分離した。
【0142】
ゼオライト膜12としてのLinde 4A型ゼオライト膜(上記の調製実施例1の方法で製造された、有効膜面積:2.64×10
−3m
2)、および温度計13としての熱電対を、槽11中に提供した。ゼオライト膜12の一端を封止し、他端をステンレス鋼で作製されたプラグ12aを介して減圧ライン16と連結し、次に、ゼオライト膜12および真空ポンプ15を、減圧ライン16によって連結した。さらに、第1の収集装置17、第2の収集装置18、および真空計19を、減圧ライン16の途中に提供した。
【0143】
500mlの予め調製された供給液を、槽11中に貯蔵した。次に、槽11中の供給液の温度を、温度が60℃になるように恒温浴14で制御した。
【0144】
液体窒素を、デュワー瓶17aおよび18aにそれぞれ貯蔵した。
【0145】
次に、真空ポンプ15を、30分間操作し、減圧ライン16およびゼオライト膜12の内部の圧力を、透過側の圧力が3.0kPa以下になるように低下させた。ゼオライト膜12を透過した蒸気を、デュワー瓶17aを満たしている液体窒素で第1の収集装置17中で冷却し、透過液体を捕集管17b中に収集した。
【0146】
以下の方法にしたがって、ゼオライト膜の分離性能を評価して、透過流束、収集された透過物中の水の濃度および分離係数を得た。結果が、表1に示される。
【0147】
(1)透過流束
分離後に捕集管17b中に収集された透過物の質量を測定し、透過流束を下式(VI)から計算した。式(VI)中、「w」は、透過物の重量[kg]であり、「A」は、ゼオライト膜の有効膜面積[m
2]であり、「t」は、透過時間[時]である。この透過流束は、膜の単位面積当たり、および単位時間当たりの透過物の重量を示す指標である。
透過流束[kg/m
2・時]=w/(A×t)・・・(VI)
【0148】
(2)透過物中の水の濃度
透過物中の水の濃度を、170℃のカラム温度で、ガスクロマトグラフ(検出器:TCD(熱伝導性検出器)、分離カラム:porapakQ)を用いて得た。
【0149】
(3)分離係数
上記の透過物中の水の濃度(2)と同じように、供給液中の水の濃度を得て、分離係数を、下式(VII)から計算した。式(VII)中、「X」が、供給液中の水の濃度[質量%]であり、「Y」が、透過物中の水の濃度[質量%]である。
分離係数={Y/(100−Y)}/{X/(100−X)}・・・(VII)
【0150】
実施例2
実施例1と同様に、実施例1に使用されるゼオライト膜を用いて、水を供給液から再度分離した。次に、ゼオライト膜のそれぞれの使用の際の分離性能を評価した。結果が、表1に示される。
【0151】
実施例3
水溶液中の質量比(HCHO:H
2O:MeOH:MeP)が10:9:41:40になるように調製した水溶液(供給液)を用いたことを除いて、実施例1と同じように、水を供給液から分離した。次に、ゼオライト膜の分離性能を評価した。結果が、表1に示される。
【0152】
実施例4
水溶液中の質量比(HCHO:H
2O:MeOH:MeP)が10:9:61:20になるように調製した水溶液(供給液)を用いたことを除いて、実施例1と同じように、水を供給液から分離した。次に、ゼオライト膜の分離性能を評価した。結果が、表1に示される。
【0153】
実施例5
ゼオライト膜としてT型ゼオライト膜(調製実施例2の方法で製造された、有効膜面積:2.64×10
−3m
2)を用いたこと、および水溶液中の質量比(HCHO:H
2O:MeOH:MeP)が10:9:41:40になるように調製した水溶液(供給液)を用いたことを除いて、実施例1と同じように、水を供給液から分離した。次に、ゼオライト膜の分離性能を評価した。結果が、表1に示される。
【0154】
実施例6
MePの代わりにエタン酸メチル(MeAc)、および水溶液中の質量比(HCHO:H
2O:MeOH:MeAc)が10:9:41:40になるように調製した水溶液(供給液)を用いたことを除いて、実施例1と同じように、水を供給液から分離した。次に、ゼオライト膜の分離性能を評価した。結果が、表1に示される。
【0155】
実施例7
MePの代わりにメタクリル酸メチル(MMA)を用いたこと、および水溶液中の質量比(HCHO:H
2O:MeOH:MMA)が10:9:41:40になるように調製した水溶液(供給液)を用いたことを除いて、実施例1と同じように、水を供給液から分離した。次に、ゼオライト膜の分離性能を評価した。結果が、表1に示される。
【0156】
実施例8
水溶液中の質量比(HCHO:H
2O:MeOH:MeP)が11:0.6:12:76.4になるように調製した水溶液(供給液)を用いたことを除いて、実施例1と同じように、水を供給液から分離した。次に、ゼオライト膜の分離性能を評価した。結果が、表1に示される。
【0157】
実施例9
水溶液中の質量比(HCHO:H
2O:MeOH:MeP)が11:3:12:74になるように調製した水溶液(供給液)を用いたことを除いて、実施例1と同じように、水を供給液から分離した。次に、ゼオライト膜の分離性能を評価した。結果が、表1に示される。
【0158】
実施例10
水溶液中の質量比(HCHO:H
2O:MeOH:MeP)が10:6:11:73になるように調製した水溶液(供給液)を用いたことを除いて、実施例1と同じように、水を供給液から分離した。次に、ゼオライト膜の分離性能を評価した。結果が、表1に示される。
【0159】
実施例11
供給液の温度を50℃に調整したことを除いて、実施例1と同じように、水を供給液から分離した。次に、ゼオライト膜の分離性能を評価した。結果が、表1に示される。
【0160】
実施例12
供給液の温度を40℃に調整したことを除いて、実施例1と同じように、水を供給液から分離した。次に、ゼオライト膜の分離性能を評価した。結果が、表1に示される。
【0161】
実施例13
質量比(HCHO:H
2O:MeOH)が10:9:81になるように、HCHO、H
2OおよびMeOHを混合することによって調製した水溶液(供給液)を用いたことを除いて、実施例1と同じように、水を供給液から分離した。次に、ゼオライト膜の分離性能を評価した。結果が、表1に示される。
【0162】
実施例14
質量比(HCHO:H
2O:MeOH:MeP)が6:9:15:70になるように、HCHO、H
2O、MeOHおよびMePを混合することによって調製した水溶液(供給液)を用いたことを除いて、実施例1と同じように、水を供給液から分離した。次に、ゼオライト膜の分離性能を評価した。結果が、表1に示される。
【0163】
実施例15
質量比(HCHO:H
2O:MeOH:1−ペンタノール)が6:9:15:70になるように、HCHO、H
2O、MeOHおよび1−ペンタノールを混合することによって調製した水溶液(供給液)を用いたことを除いて、実施例14と同じように、水を供給液から分離した。次に、ゼオライト膜の分離性能を評価した。結果が、表1に示される。
【0164】
実施例16
質量比(HCHO:H
2O:MeOH:1,4−ブタンジオール)が6:9:15:70になるように、HCHO、H
2O、MeOHおよび1,4−ブタンジオールを混合することによって調製した水溶液(供給液)を用いたことを除いて、実施例14と同じように、水を供給液から分離した。次に、ゼオライト膜の分離性能を評価した。結果が、表1に示される。
【0165】
実施例17
質量比(HCHO:H
2O:MeOH:グリセロール)が6:9:15:70になるように、HCHO、H
2O、MeOHおよびグリセロール(1,2,3−トリヒドロキシプロパン)を混合することによって調製した水溶液(供給液)を用いたことを除いて、実施例14と同じように、水を供給液から分離した。次に、ゼオライト膜の分離性能を評価した。結果が、表1に示される。
【0166】
【表1】
【0167】
表1から明らかであるように、実施例1〜13において、水を、供給液(ホルムアルデヒドの水溶液)から効率的に分離することができ、脱水性能が優れていた。特に、水溶液中に分離促進剤を含有するLinde 4A型ゼオライト膜を用いて脱水を行った、実施例1〜4、6、7、11、12、14および15における透過流束および分離係数の値がより高く、分離性能(脱水性能)が、水溶液中に分離促進剤を含有しないLinde 4A型ゼオライト膜を用いて脱水を行った実施例13と比較して向上した。
【0168】
さらに、ゼオライト膜を再利用しても分離性能が極めて良好に維持されることが、実施例1および2の結果から確認される。
【0169】
したがって、触媒の存在下で、カルボン酸エステルをホルムアルデヒドと反応させる工程を含む、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを生成するための方法に本発明を適用することが特に好ましく、ここで、ホルムアルデヒドの脱水された供給源が、上記の反応のための原料として使用される。
【0170】
実施例18
5:10:16:66のHCHO/H
2O/MeOH/MePの質量比を有する供給液を連続して供給した。
図2に示される分離装置を用いて、以下の方法にしたがって、水を供給液から分離した。
【0171】
400mmのCHA型ゼオライト膜20(上記の調製実施例3の方法で製造された)を、ステンレス鋼ハウジング21に収容した。多孔質α−アルミナ担体である膜の上部に、中実のステンレス鋼の筒22で栓をして、封止した。サイドアーム23の下の、管の底部を、中空の金属製のねじ込み式プラグ24に取り付け、封止して、プロセスガス気密シールを形成した。露出された36mmの膜長さの有効面積は、1.36×10
−3m
2であった。
【0172】
この装置を空気循環炉(図示せず)に入れた。熱平衡化した供給液を、サイドアーム23を介して、1.5ml/分および110℃(3bar gの圧力)で、CHA型ゼオライト膜にわたって注入した。供給液は、フランジ付きの出口25aを介して出る前に、ゼオライト膜表面にわたって上向きに通過した。3.0.kPaの真空を、ステンレス鋼ハウジング21の基部において出口25bにかけて、成分を膜20の壁に通過させて(透過物)、この装置から除去した。透過物液体を、透過物収集槽(図示せず)中に収集し、非透過物液体を、非透過物収集槽(図示せず)中に収集した。収集槽中の液体を、分析のために採取した。実施例1に記載されるのと同一の分析方法を用いて、ゼオライト膜の分離性能を評価した。
【0173】
CHA型ゼオライト膜によって脱水される原料が、表2に示される。
【0174】
【表2】
【0175】
原料組成物を、300時間にわたって連続して供給し、透過物および非透過物液体の試料を、分析のために定期的に収集した。非透過物の含水量は、300時間全体を通して3.0%±0.1%であることが測定された。透過物は、90%の水および10%のメタノールを含有し、表2中の全ての他の成分は、それらの検出限界(典型的に、10ppm)未満であった。
【0176】
(VII)に規定されるように、原料と透過物との間の、有機物に対する水の分離係数は79.2である。
【0177】
透過物中のメタノールおよび水は、従来の蒸留によって容易に分離され得る。非透過物中の水のレベルは、膜と接触している溶液の接触時間を増加させ、その線速度を上昇させることによって、容易に減少され得る。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本発明は、優れた脱水性能を有するホルムアルデヒドの水含有供給源の脱水のための方法およびこのような脱水によって得られるホルムアルデヒドの脱水された供給源を用いて、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを生成するための方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0179】
10 分離装置
11 槽
12 ゼオライト膜
12a プラグ
13 温度計
14 恒温浴
15 真空ポンプ
16 減圧ライン
17 第1の収集装置
18 第2の収集装置
17a、18a デュワー瓶
17b、18b 捕集管
19 真空計
20 CHA型ゼオライト膜
21 ステンレス鋼ハウジング
22 多孔質α−アルミナ担体上のステンレス鋼管
23 サイドアーム
24 ねじ込み式プラグ
25a、25b フランジ付き出口
【国際調査報告】