特表2015-507003(P2015-507003A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-507003(P2015-507003A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(54)【発明の名称】ドロネダロンの二層錠剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/343 20060101AFI20150206BHJP
   A61K 9/24 20060101ALI20150206BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20150206BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20150206BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20150206BHJP
   A61P 9/06 20060101ALI20150206BHJP
【FI】
   A61K31/343
   A61K9/24
   A61K9/16
   A61K9/20
   A61K9/48
   A61P9/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-557149(P2014-557149)
(86)(22)【出願日】2013年2月14日
(85)【翻訳文提出日】2014年9月25日
(86)【国際出願番号】IB2013051182
(87)【国際公開番号】WO2013124768
(87)【国際公開日】20130829
(31)【優先権主張番号】160/KOL/2012
(32)【優先日】2012年2月20日
(33)【優先権主張国】IN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】502425916
【氏名又は名称】ルピン・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LUPIN LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100162765
【弁理士】
【氏名又は名称】宇佐美 綾
(72)【発明者】
【氏名】デシュムク アシシュ アショクラオ
(72)【発明者】
【氏名】バレラオ ヘマント
(72)【発明者】
【氏名】ブタダ プラビン メグラジ
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラン サジーブ
(72)【発明者】
【氏名】クルカルニ シリシュクマール
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA40
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC11
4C076DD26
4C076DD29
4C076DD41
4C076DD43
4C076DD66
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE32
4C076EE38
4C076FF31
4C086AA10
4C086BA06
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086NA12
4C086ZA36
(57)【要約】
本発明は、ドロネダロンまたはその薬学的に許容され得る塩、エステル、代謝物、プロドラッグもしくはエナンチオマーおよび放出制御ポリマーの多成分組成物に関する。ドロネダロンの多成分組成物の使用は、バイオアベイラビリティを改善し、かつ1日当たりに摂取する投与の回数を減少させ、患者コンプライアンスを改善する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事前放出成分(prior release component)および放出制御成分を含むドロネダロンの多成分組成物であって、事前放出成分が、前記多成分組成物におけるドロネダロンの総量に対して約20重量%〜約60重量%のドロネダロンを含む、多成分組成物。
【請求項2】
事前放出成分が約30重量%〜約55重量%のドロネダロンを含む、請求項1に記載のドロネダロンの多成分組成物。
【請求項3】
前記放出制御成分がドロネダロンおよび放出制御ポリマーを含む、請求項1に記載のドロネダロンの多成分組成物。
【請求項4】
前記成分が放出制御被覆物質でさらに被覆される、請求項3に記載のドロネダロンの多成分組成物。
【請求項5】
さらに、ドロネダロンを含まず放出制御ポリマーを含む成分を含む、請求項1に記載のドロネダロンの多成分組成物。
【請求項6】
前記成分が層、ペレット、顆粒、球体、ミニ錠剤およびそれらの混合物の形態である、請求項1に記載のドロネダロンの多成分組成物。
【請求項7】
前記組成物が錠剤またはカプセルから選択される、請求項1に記載のドロネダロンの多成分組成物。
【請求項8】
前記錠剤が二層もしくは多層錠剤またはマトリクスである、請求項7に記載のドロネダロンの多成分組成物。
【請求項9】
ドロネダロンの多成分組成物であって、
a)ドロネダロンおよび放出制御ポリマーを含む少なくとも1種の放出制御成分、
b)放出制御ポリマーを含む少なくとも1種の成分であって、前記成分がドロネダロンを含まないことを特徴とする成分、
c)成分a)およびb)上に被覆される、ドロネダロンを含む任意選択の事前放出成分
を含む、多成分組成物。
【請求項10】
事前放出成分が前記多成分組成物におけるドロネダロンの総量に対して約20重量%〜約60重量%のドロネダロンを含む、請求項9に記載のドロネダロンの多成分組成物。
【請求項11】
ドロネダロンの多成分組成物であって、
a)ドロネダロンおよび薬学的に許容され得る賦形剤を含む事前放出成分であって、事前放出成分が前記多成分組成物におけるドロネダロンの総量に対して約20重量%〜約60重量%のドロネダロンを含む、成分、
b)放出制御ポリマーを含む放出制御成分、
c)前記成分a)とb)との間の放出制御ポリマーを含む任意選択の成分
を含む、多成分組成物。
【請求項12】
事前放出成分が、前記多成分組成物におけるドロネダロンの総量に対して約20重量%〜約60重量%のドロネダロンを含む、請求項11に記載のドロネダロンの多成分組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1日1回の投与で治療的に有効な血中濃度を維持するドロネダロンの多成分組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
心律動異常は、心臓の電気的活動が異常な、任意の広範囲の、および不均一な状態群を表す用語である。不整脈は、心拍数(拍動)つまり心律動の障害であり、例えば、速すぎる拍動(頻脈)、遅すぎる拍動(除脈)または不規則に拍動することである。不整脈は、心停止および突然死を生じ得る医学的危急状態となり得る。
【0003】
通常、心臓の4つの小室は、非常に特異的に協調して収縮する。心臓に同期的に収縮するよう信号を送る電気インパルスは、心臓の天然のペースメーカーである洞房結節(SA結節)において開始される。信号がSA結節を離れ、2つの上部の小室(心房)を通り移動する。その後、信号は、房室結節(AV結節)を通過する。最後に、信号は下部の小室(心室)を通過する。この経路により、各小室を協調させて収縮させることができる。種々の不整脈を引き起こし得る問題がこの伝導系に沿ってどこかで生じ得る。例として、以下のものがある:SA結節のペースメーカーの能力の問題により、または心臓の天然の電気的経路を通るエネルギー運動(伝導)の遮断により心拍数が遅くなる、除脈。上部の小室(心房)に由来する心拍数が速くなる、上室性頻拍。最も一般的なものは、心房細動または心房粗動(規則的でない急速な心拍数)。および房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)。下部の小室(心室)に由来する心拍数が速い、心室頻拍。
【0004】
心律動の管理方法は、まず、罹患した対象が安定しているか、または安定していないかどうかによる。処置は、理学的手法、投薬、電気変換または電気焼灼もしくは冷凍焼灼を含み得る。不整脈が重篤であるときに、正常な律動に回復させるために、緊急の処置を必要とし得る。これには、電気「ショック」療法(除細動またはカーディオバージョン)、静脈を介して投与される(静脈内)不整脈用薬物を遮断するための一時的ペースメーカーの移植を含み得る。
【0005】
投薬は一般に、不整脈を予防および/または管理するために使用される。作用機序が異なる数多くのクラスの抗不整脈用薬物があり、ナトリウムチャネル遮断薬(クラスI)、例えば、クラスIA、キニジン(キニデックス)、プロカインアミド(プロネスチル)、ジソピラミド(ノルペース);クラスIB、リドカイン(キシロカイン)、トカイニド(トノカード)、メキシレチン(メキシチール);クラスIC、エンカイニド(エンカイド)、フレカイニド(タンボコール);ベータアドレナリン受容体遮断薬(クラスII)、プロプラノロール(インデラル)、アセブトロール(セクトラール)、エスモロール(ブレビブロック)、ソタロール(ベタペース);再分極を延長させる薬剤(クラスIII)、ドロネダロン(Multaq)、アミオダロン(コルダロン);カルシウムチャネル遮断薬(クラスIV)、ベラパミル(カラン、イソプチン)、ジルチアゼム(カルジゼム)、ミベフラジル(ポジコール);その他、アデノシン(アデノカード)、ジゴキシン(ラノキシン)がある。
【0006】
ドロネダロン塩酸塩は、N−{2−ブチル−3−[4−(3−ジブチルアミノプロポキシ)ベンゾイル]ベンゾフラン−5−イル}メタンスルホンアミド、塩酸塩である。

【化1】
【0007】
ドロネダロンの作用は、ヴォーン・ウィリアムズ分類の4つ全てに属する電気生理学的特性に起因する可能性が最も高い。ドロネダロンは、カリウム電流(IK(Ach)、IKur、IKr、IKsなど)を阻害するマルチチャネル遮断薬であるため、心筋活動電位および不応期(III群)を延長させる。ドロネダロンはまた、ナトリウム電流(Ib群)およびカルシウム電流(IV群)を阻害する。ドロネダロンは、非競合的にアドレナリン作動活性(II群)を拮抗する。ドロネダロンは、カリウムチャネル、ナトリウムチャネル、およびカルシウムチャネルを通過して電流を変化させることにより作用し、それにより心臓の伝導を延長させる。これは、規則的な心律動または洞律動の維持に役立ち、心拍数を下げる。
【0008】
ドロネダロンで利用可能な用量は、食事とともに1日2回投与される経口錠剤400mgである。ドロネダロン塩酸塩(Multaq(登録商標);Sanofi−Aventis)は、発作性または持続性の心房細動(AF)または心房粗動(AFL)があり、AF/AFLが最近発現し、関連の心臓血管系リスクファクター(すなわち、年齢70歳超、高血圧、糖尿病、脳血管系事故の既往歴、左心房の直径50mm以上または左室駆出率[LVEF]40%未満)、洞律動状態であり、または心変換になり得る)を有する患者における心臓血管系の入院のリスクを減少させることが承認された。ドロネダロンはまた、卒中または一過性の虚血発作の予防、永続性心房細動の予防、心変換の予防、血中カリウム濃度の調節、心律動異常およびクレアチニン濃度の増加の予防に有用であり、梗塞後の死亡率を低下させることがわかった。ドロネダロンのおもな利点は、アミオダロンに対して比較的副作用特性が低いことである。前全身性初回通過代謝により、絶対経口バイオアベイラビリティは4%(絶食)に過ぎないが、高脂肪食とともに投与されると、およそ15%に増加する。
【0009】
Sanofiに譲渡された米国特許第5223510号は、特にドロネダロンについて開示している。
【0010】
Sanofi Aventisに譲渡された特許文献1は、有効成分として、抗不整脈活性を有するベンゾフラン誘導体またはその薬学的に許容され得る塩の1つを含み、かつ場合により1種以上の薬学的賦形剤と組み合わせた薬学的に許容され得る非イオン性親水性界面活性剤を含むことを特徴とする、経口投与のための固体薬学的組成物に関する。
【0011】
Sanofi Aventisにより出願された特許文献2は、少なくとも1種の有効成分および薬学的に許容され得るポリマーマトリクスを含有する固体分散剤を含む固体薬学的組成物であって、上記の薬学的に許容され得るポリマーマトリクスが、(i)水性媒体中での組成物の分解を促進するため、連続したポリデキストロース相の形態のポリデキストロースおよび(ii)このポリマーの連続した相の形態のポリデキストロース以外の少なくとも1種のポリマーの混和物を含み、上記の薬学的に許容され得るポリマーマトリクスの総量に対して、ポリデキストロースが少なくとも20重量%の濃度であり、ポリデキストロース以外の少なくとも1種のポリマーが少なくとも20重量%の濃度であることを特徴とする、組成物に関する。
【0012】
Sanofi Aventisにより出願された特許文献3は、有効成分として、抗不整脈活性を有するベンゾフラン誘導体またはその薬学的に許容され得る塩の1つを含み、かつ場合により1種以上の薬学的賦形剤と組み合わせた薬学的に許容され得る非イオン性親水性界面活性剤を含むことを特徴とする、経口投与のための固体薬学的組成物に関する。
【0013】
Cadila Healthcareにより出願された特許文献4は、ドロネダロンまたはその塩の薬学的組成物であって、上記の組成物が、(各)界面活性剤、好ましくは(各)非イオン性親水性界面活性剤を含有しないことを特徴とする、薬学的組成物に関し、この発明はまた、そのような組成物を作製する方法に関する。
【0014】
Cadila Healthcareにより出願された特許文献5は、ドロネダロンまたはその薬学的に許容され得る塩および非イオン性親水性界面活性剤以外の1種以上の界面活性剤を含む薬学的組成物に関する。
【0015】
ドロネダロンを含む組成物を調製するための多くの手法が従来技術において開示されてきたが、1日1回投与するドロネダロンの多成分組成物について記載したものはない。治療有効濃度が、長時間血中に維持されるようにドロネダロンの放出を制御し、血中薬物濃度を実質的に一定に保持するドロネダロンの多成分組成物が必要とされる。ドロネダロンは、水性媒体中の溶解性が低く、かつ/またはpHが低く、また、pHが高い状態では沈殿する。その結果、インビボでのバイオアベイラビリティは低く、ドロネダロンの多成分組成物の使用は、このバイオアベイラビリティを改善し、かつ1日あたりに服用する用量の回数を減少させ、患者コンプライアンスを改善する。
【0016】
特筆すべきことに、事前放出成分(prior release component)および長時間、好ましくは最大20時間以上のドロネダロンの放出制御を得るために、ドロネダロンを含む放出制御成分を含む多成分組成物を使用して、ドロネダロン塩酸塩の放出特性を改変することが可能であることが認められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第7323493号
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0243257号
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0139645号
【特許文献4】国際公開第2011/135581号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2011/135582号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ドロネダロンの多成分薬学的組成物は、少ない頻度で投与され、従来の即時放出組成物と関連する上記に開示された問題を軽減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、一実施形態は、事前放出成分および放出制御成分を含み、事前放出成分が多成分組成物におけるドロネダロンの総量に対して約20重量%〜約60重量%のドロネダロンを含む、ドロネダロンの多成分組成物を開示する。
【0020】
さらに別の実施形態は、a)ドロネダロンおよび放出制御ポリマーを含む少なくとも1種の放出制御成分、b)ドロネダロンを含まないことを特徴とする、放出制御ポリマーを含む少なくとも1種の成分、成分a)およびb)上に被覆される、ドロネダロンを含む任意選択の事前放出成分を含む、ドロネダロンの多成分組成物を開示する。
【0021】
さらに別の実施形態は、以下を含むドロネダロンの多成分組成物であって、a)ドロネダロンおよび薬学的に許容され得る賦形剤を含む事前放出成分であって、事前放出成分が、多成分組成物におけるドロネダロンの総量に対して約20重量%〜約60重量%のドロネダロンを含む、成分、b)放出制御ポリマーを含む放出制御成分、c)成分a)とb)との間の放出制御ポリマーを含む任意選択の成分を含む、多成分組成物を開示する。
【0022】
さらに別の実施形態は、事前放出成分および放出制御成分を含み、事前放出成分が、多成分組成物におけるドロネダロンの総量に対して約20重量%〜約60重量%のドロネダロンを含み、ドロネダロンの2つの即時放出錠剤に等しい所与の時間にわたりドロネダロンの血漿暴露を示す、ドロネダロンの多成分組成物を開示する。
【0023】
さらに別の実施形態は、以下を含むドロネダロンの多成分組成物であって、a)ドロネダロンおよび放出制御ポリマーを含む少なくとも1種の放出制御成分、b)ドロネダロンを含まないことを特徴とする、放出制御ポリマーを含む少なくとも1種の成分、c)成分a)およびb)上に被覆され、ドロネダロンを含み、ドロネダロンの2つの即時放出錠剤に等しい所与の時間にわたりドロネダロンの血漿暴露を示す、任意選択の事前放出成分を含む、多成分組成物を開示する。
【0024】
さらに別の実施形態は、以下を含むドロネダロンの多成分組成物であって、a)ドロネダロンおよび薬学的に許容され得る賦形剤を含む事前放出成分であって、事前放出成分が多成分組成物におけるドロネダロンの総量に対して約20重量%〜約60重量%のドロネダロンを含む、成分、b)放出制御ポリマーを含む放出制御成分、c)成分a)とb)との間の放出制御ポリマーを含み、ドロネダロンの2つの即時放出錠剤に等しい所与の時間にわたりドロネダロンの血漿暴露を示す、任意選択の成分を含む、多成分組成物を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、100rpm、リン酸緩衝液1000ml、pH4.5、37℃のUSPバスケット法における測定による実施例1、2、および3のドロネダロンの放出特性を示す。
図2図2は、(a)実施例1において調製された錠剤の単回投与および(b)摂食状態下において1日2回投与されたMultaq(登録商標)400mgの即時放出錠剤の、24時間にわたるドロネダロン血漿濃度(ng/ml)の比較を示す。
図3図3は、(a)実施例2において調製された錠剤の単回投与および(b)摂食状態下において1日2回投与されたMultaq(登録商標)400mgの即時放出錠剤の、24時間にわたるドロネダロン血漿濃度(ng/ml)の比較を示す。
図4図4は、(a)実施例3において調製された錠剤の単回投与および(b)摂食状態下において1日2回投与されたMultaq(登録商標)400mgの即時放出錠剤の、24時間にわたるドロネダロン血漿濃度(ng/ml)の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書は、長時間にわたり制御しながらドロネダロンを送達することができる、ドロネダロンまたはその薬学的に許容され得る塩の多成分薬学的組成物を開示する。好ましくは、多成分組成物は、事前放出成分および1日1回の投与でドロネダロンの治療的に有効な血中濃度を維持する放出制御成分を含む。
【0027】
本明細書において使用される場合、用語「組成物」は、薬学的に許容され得る賦形剤を含む薬剤を指す。これは、経口投与が可能な処方物ならびに他の手段により投与可能な処方物を含む。組成物という用語を、処方物または剤形という用語と交互に用いることができる。
【0028】
本明細書において使用される場合、ドロネダロンという用語は、全ての形態のドロネダロンまたは薬学的に許容され得る塩、エステル、溶媒和物、水和物、代謝物、プロドラッグまたはその異性体を含む。最も好ましい形態はドロネダロン塩酸塩である。
【0029】
ドロネダロンは、約50mg〜約1600mgの用量範囲で使用し得る。
【0030】
一態様において、本発明は、ドロネダロンまたはその薬学的に許容され得る塩を最大80mg使用し得る。
【0031】
一実施形態は、事前放出成分および放出制御成分を含み、事前放出成分が多成分組成物におけるドロネダロンの総量に対して約20重量%〜約60重量%のドロネダロンを含む、ドロネダロン多成分組成物を開示する。
【0032】
ドロネダロンの多成分組成物は、ドロネダロンを含む1種以上の事前放出成分、ドロネダロンを含む1種以上の放出制御成分またはドロネダロンを含まない1種以上の放出制御成分を含み得る。
【0033】
好ましくは、ドロネダロンの多成分組成物は、1種以上の事前放出成分および1種以上の放出制御成分を含み得る。
【0034】
また、好ましくは、ドロネダロンの多成分組成物は、ドロネダロンおよび1種以上の放出制御ポリマーを含む1種以上の放出制御成分、ドロネダロンを含まない1種以上の放出制御成分および場合により事前放出成分を含み得る。
【0035】
さらに、多成分組成物はまた、ドロネダロンを含まず、場合により放出制御ポリマーを含む別の成分を含み得る。
【0036】
本明細書において使用される「放出制御」は、速度を制御して薬剤を放出し、好ましくは最大20時間以上の長時間にわたり薬剤の治療範囲内で経時的に制御された状態である薬剤の血漿濃度を提供する成分を意味すると定義される。本明細書において検討される溶解特性と関連して使用されるときに、用語「放出制御」は、1時間より長い時間にわたり活性剤を送達する本発明において作製された剤形の一部を指す。
【0037】
本明細書において使用される「事前放出」は、多成分組成物において「放出制御成分」の前に放出される成分を意味すると定義される。事前放出成分は、ドロネダロン、あればその異性体もしくはその薬学的に許容され得る塩を薬学的有効成分として含み、さらに、必要な場合は薬学的に許容され得る賦形剤を含有し得る。
【0038】
事前放出成分は、上記の多成分組成物におけるドロネダロンの総量に対して約20重量%〜約60重量%のドロネダロンを含む。好ましくは、事前放出成分は、ドロネダロンの総量の約25%〜約55%、より好ましくはドロネダロンの総量の約30%〜約50%を含む。
【0039】
用語「成分」は、物理的に分離されたユニットまたはコンパートメントを指す。各成分は物理的に接触しており、単一のデバイスまたは組成物を形成する。その会合度は、単一の剤形として組成物の経口摂取を促進するのに必要とされるだけとなる。
【0040】
多成分組成物は、錠剤(単層錠剤、多層錠剤、ミニ錠剤、生体付着性錠剤、浮遊処方物、カプレット、マトリクス錠剤、錠剤中錠剤、粘膜付着性錠剤、放出改変型錠剤、拍動性放出錠剤、胃滞留型錠剤および経時的放出錠剤)、ペレット、ビーズ、顆粒、スフェロイド、粒子、圧縮剤、粉末、カプセル、マイクロカプセル、カプセル中錠剤、マイクロスフィア、マトリクス処方物、およびマイクロ封入物の形態であってよい。
【0041】
放出制御処方物という用語を、時効性放出、プログラム放出、経時的放出、改変放出、部位特異的放出、徐放性放出、持続性放出、緩効性放出、拍動性放出、遅延性放出と同じ意味で使用することができる。放出制御成分は、経口分解する、持続性放出処方物、浸透性剤形、生体付着性処方物、胃滞留型処方物および他のこのような剤形であってよい。
【0042】
事前放出成分および放出制御成分を、当業者であれば明らかな任意の様式で構成することができる。
【0043】
ドロネダロンの放出制御成分は、ドロネダロンおよび1種または2種以上の放出制御ポリマーを含む。本発明において、用語「ポリマー」は、水性環境(例えば、水)と接触すると、膨張、ゲル化、分解または浸食し得る、単一または複数のポリマー物質を含む。
【0044】
当業者であれば、マトリクス材料が多種多様の材料から選択され得ることが理解されるだろう。放出制御ポリマーは、親水性または疎水性ポリマー、疎水性材料およびそれらの組み合わせから選択され得る。
【0045】
放出制御成分はさらに、ドロネダロンを含み得、場合により1種以上の放出制御ポリマーおよび1種または2種以上の放出制御被覆物質を含む。
【0046】
「親水性ポリマー」は、糖類、セルロース誘導体、ガム、タンパク質、ポリビニル誘導体、親水性ポリメタクリル酸コポリマー、ポリエチレン誘導体、カルボキシビニルコポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択されることができるが、それらに限定されない。糖類は、デキストリン、ポリデキストリン、デキストラン、ペクチンおよびペクチン誘導体、アルギン酸塩、ポリガラクツロン酸、キシラン、アラビノキシラン、アラビノガラクタン、デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、アミラーゼおよびアミロペクチンからなる群から選択される少なくとも1種であり、セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびヒドロキシエチルメチルセルロースから選択される少なくとも1種であり、ガムは、グアーガム、ローカストビーンガム、トラガカント、カラギーナン、アカシアガム、アラビアゴム、ゲランガムおよびキサンタンガムから選択される少なくとも1種であり、タンパク質は、ゼラチン、カゼインおよびゼインから選択される少なくとも1種であり、ポリビニル誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアセタルジエチルアミノアセタートから選択される少なくとも1種であり、親水性ポリメタクリル酸コポリマーは、ポリ(メタクリル酸ブチル、(2−ジメチルアミノエチル)メタクリル酸、メタクリル酸メチル)コポリマー、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)コポリマーおよびポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)コポリマーから選択される少なくとも1種であり、ポリエチレン誘導体は、ポリエチレングリコールおよびポリエチレンオキシドから選択される少なくとも1種であり、カルボキシビニルポリマーはカルボマーである。
【0047】
「疎水性ポリマー」は、ポリ酢酸ビニル分散剤、エチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース(低、中間または高分子量)、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、三酢酸セルロース、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、メタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸シアノエチル、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミンコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸無水物)、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリル酸無水物)およびメタクリル酸グリシジルコポリマーまたはそれらの混合物から選択されるが、それらに限定されない。
【0048】
「疎水性材料」は、脂肪酸および脂肪酸エステル、脂肪酸アルコール、ワックス、無機材料、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。脂肪酸または脂肪酸エステルは、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、パルミチン酸セチル、モノオレイン酸グリセリルおよびステアリン酸から選択される少なくとも1種であり、脂肪酸アルコールは、セトステアリルアルコール、セチルアルコールおよびステアリルアルコールから選択される少なくとも1種であり、ワックスは、カルナウバワックス、蜜蝋および微結晶ワックスから選択される少なくとも1種であり、無機材料は、タルク、沈降炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイトおよびビーガムから選択される少なくとも1種である。
【0049】
本発明の組成物に使用され得る放出制御ポリマーの量は、組成物の約2重量%〜約90重量%の範囲である。好ましくは、組成物の約10重量%〜約70重量%、より好ましくは、組成物の約15重量%〜約50重量%である。
【0050】
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容され得る賦形剤」は、当業者であれば公知の任意の生理学的に不活性な、薬理的に不活性な材料であり、ドロネダロンの物理学的および化学的特徴に適合可能である材料を含む。
【0051】
別の実施形態は、a)ドロネダロンおよび放出制御ポリマーを含む少なくとも1種の放出制御成分、b)ドロネダロンを含まないことを特徴とする、放出制御ポリマーを含む少なくとも1種の成分、成分a)およびb)上に被覆され、ドロネダロンを含む任意選択の事前放出成分を含む、ドロネダロンの多成分組成物を開示する。
【0052】
別の実施形態は、以下を含むドロネダロンの多成分組成物であって、a)ドロネダロンおよび薬学的に許容され得る賦形剤を含む事前放出成分であって、事前放出成分が、多成分組成物におけるドロネダロンの総量に対して約20重量%〜約60重量%のドロネダロンを含む、成分、b)放出制御ポリマーを含む放出制御成分、c)成分a)とb)との間の放出制御ポリマーを含む任意選択の成分を含む、多成分組成物を開示する。
【0053】
多成分組成物はさらに、1種以上の薬学的に許容され得る賦形剤、例えば、結合剤、希釈剤、潤滑剤、崩壊剤、流動促進剤、安定化剤、浸透圧剤、溶解促進剤、pH改質剤、および表面活性剤を含有し得る。
【0054】
結合剤の例として、ジャガイモデンプン、アルファ化デンプン、化工デンプン、ゼラチン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、セルロース、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、ポリメタクリル酸、カルボマー、天然ガム、例えば、アカシア、アルギン酸およびグアーガム、ラクトース(無水、一水和物、噴霧乾燥)、液体グルコース、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、カオリン、ポビドン、シロップ、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルアミド、ポリエチレングリコール、スクロース、ポリデキストロース、ゼラチン、ポリプロピレングリコール、トラガカント、セラトニア、ベヘン酸グリセリル、硬化植物油、ゼイン、ヒマシ油、パラフィン、高級脂肪族アルコール、高級脂肪族酸、長鎖脂肪酸、脂肪酸エステル、寒天、キトサン、マルトデキストリン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、イヌリンおよびワックス様材料、例えば、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、硬化脂肪、炭化水素、ステアリン酸、コポビドン、デキストラート、ヒマワリ油およびステアリルアルコールがある。
【0055】
希釈剤の例として、微結晶セルロース、ラクトース、粉末セルロース、ケイ酸化セルロース、酢酸セルロース、メチルセルロース、微結晶ラクトース、第二または第三リン酸カルシウム、糖類、粉砂糖、圧縮糖、粉砂糖、糖スフィア、デキストラート、デキストリン、デキストロース、フルクトース、マルトース、塩化ナトリウム、ラクチトール、マルトデキストリン、マンニトール、スクロース、フルクトース、パルミトステアリン酸グリセリル、セミチコン(semiticone)、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、デンプン、アルファ化デンプン、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、イソマルト、ソルビトール、スルホブチルエーテルb−シクロデキストリン、ポリメタクリル酸、タルク、トレハロース、アルギン酸アンモニウム、炭酸カルシウム、エチルセルロース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムおよび硫酸カルシウムがある。
【0056】
崩壊剤は、ポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ポラクリリンカリウムなどのイオン交換樹脂、微結晶セルロース、デンプンおよびアルファ化デンプン、ホルマリン−カゼイン、ベントナイトまたはビーガムなどのクレイ、グアーガム、セルロースまたはセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸、キトサン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、コロイド状二酸化ケイ素を含む。
【0057】
潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、鉱物油、フマル酸ステアリルナトリウム、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、硬化植物油、硬化ヒマシ油、タルク、硬化大豆油、ステアリルアルコール、ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウム、エチレンオキシドポリマー、ポロキサマー、オクチルドデカノール、フマル酸ステアリルナトリウムおよびコロイド状シリカから選択され得る。
【0058】
安定化剤は、天然および合成リン脂質、それらの水素添加誘導体およびそれらの混合物、有機酸、例えば、酢酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、乳酸およびそれらの混合物、スフィンゴ脂質およびグリコスフィンゴ脂質、生理学的胆汁塩、例えば、コール酸ナトリウム、デヒドロコール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウムおよびタウロコール酸ナトリウム、飽和および不飽和脂肪酸または脂肪酸アルコール、エトキシル化脂肪酸または脂肪酸アルコールならびにそれらのエステルおよびエーテル、アルキルアリール−ポリエーテルアルコール、例えば、チロキサポール、糖または糖アルコールと脂肪酸または脂肪酸アルコールのエステルおよびエーテル、アセチル化またはエトキシル化モノグリセリドおよびジグリセリド、合成生分解性ポリマー、例えば、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンオキシドのブロックコポリマー、エトキシル化ソルビタンエステルまたはソルビタンエーテル、アミノ酸、ポリペプチドおよびタンパク質、例えば、ゼラチンおよびアルブミンあるいはそれらの組み合わせから選択され得る。
【0059】
流動促進剤は、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、タルク、第三リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素およびシリコンハイドロゲルから選択され得る。
【0060】
溶解促進剤は、有機酸、無機酸またはそれらの組み合わせから選択され得るが、それらに限定されない。有機酸は、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸、シュウ酸、アスパラギン酸、マンデル酸、グルタル酸、およびグルタミン酸を含むがそれらに限定されない。無機酸は、塩酸、リン酸、硝酸、および硫酸を含むがそれらに限定されない。
【0061】
pH改質剤などの他の物質、例えば、酢酸/酢酸アルカリ金属塩、フマル酸/フマル酸アルカリ金属塩、コハク酸/コハク酸アルカリ金属塩、クエン酸/クエン酸アルカリ金属塩、酒石酸/酒石酸アルカリ金属塩、乳酸/乳酸アルカリ金属塩、マレイン酸/マレイン酸アルカリ金属塩、メタンスルホン酸/メタンスルホン酸アルカリ金属塩、リン酸モノアルカリ金属塩、例えば、ナトリウムまたはカリウムである上記の塩のそれぞれのアルカリ金属も、多成分組成物に追加することができる。
【0062】
使用される表面活性剤は、親水性、疎水性またはそれらの組み合わせであり得る。親水性表面活性剤は、イオン性または非イオン性のいずれかであり得る。
【0063】
適切な親水性イオン性界面活性剤は、アルキルアンモニウム塩、フシジン酸塩、アミノ酸、オリゴペプチドおよびポリペプチドの脂肪酸誘導体、アミノ酸、オリゴペプチド、およびポリペプチドのグリセリド誘導体、レシチンおよび水素添加レシチン、リソレシチンおよび水素添加リソレシチン、リン脂質およびその誘導体、リソリン脂質およびその誘導体、カルニチン脂肪酸エステル塩、アルキル硫酸の塩、脂肪酸塩、ドクサートナトリウム、アシルラクチル酸、モノグリセリドおよびジグリセリドのモノアセチル化酒石酸エステルおよびジアセチル化酒石酸エステル、スクシニル化モノグリセリドおよびスクシニル化ジグリセリド、モノグリセリドおよびジグリセリドのクエン酸エステル、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミレス硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸塩、ペルフルオロブタンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルアリールエーテルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルカルボン酸塩、例えば、脂肪酸塩、ステアリン酸ナトリウム、ラウロリルサルコシン酸ナトリウム、オクテニジン二塩酸塩、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)または臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、ポリエトキシル化タロウアミン(POEA)、塩化ベンザルコニウム(BAC)、塩化ベンゼトニウム(BZT)、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、臭化ジオクタデシルジメチルアンモニウム(DODAB)、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタインおよびそれらの混合物を含むがそれらに限定されない。
【0064】
適切な親水性非イオン性界面活性剤は、アルキルグルコシド、アルキルマルトシド、アルキルチオグルコシド、ラウリルマクロゴールグリセリド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、例えば、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、例えば、ポリエチレングリコールアルキルフェノール、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル、例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステルおよびポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、例えば、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリオールとグリセリド、植物油、硬化植物油、脂肪酸およびステロールからなる群の少なくとも1種のメンバーとの親水性エステル交換生成物、ポリオキシエチレンステロール、その誘導体および類似体、ポリオキシエチル化ビタミンおよびその誘導体、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、およびそれらの混合物を含む。
【0065】
適切な親油性界面活性剤は、脂肪酸アルコール、グリセロール脂肪酸エステル、アセチル化グリセロール脂肪酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ステロールおよびステロール誘導体、ポリオキシエチル化ステロールおよびステロール誘導体、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖エステル、糖エーテル、モノグリセリドおよびジグリセリドの乳酸誘導体、ポリオールとグリセリド、植物油、硬化植物油、脂肪酸およびステロールからなる群の少なくとも1種のメンバーとの疎水性エステル交換生成物、油溶性ビタミン/ビタミン誘導体、およびそれらの混合物を含むがそれらに限定されない。この群のうち、好ましい親油性界面活性剤は、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、およびそれらの混合物を含み、またはポリオールと植物油、硬化植物油、およびトリグリセリドからなる群の少なくとも1種のメンバーとの疎水性エステル交換生成物である。
【0066】
浸透圧剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、尿素、イノシトール、スクロース、ラクトース(無水、一水和物、噴霧乾燥)、グルコース、ソルビトール、フルクトース、マンニトール、デキストロース、コハク酸マグネシウム、および酸性リン酸カリウム、スルホブチルエーテルb−シクロデキストリンから選択され得る。浸透圧剤はまた、放出制御被覆物質に添加され得る。
【0067】
放出制御成分はまた、ドロネダロンの放出を制御する被覆物質を有し得る。放出制御成分由来の被覆物質の多孔性は、細孔形成剤を使用することにより改変され得る。細孔形成剤は、本質的に重合性または非重合性であってよい。被覆層に溶解し、細孔を形成する、被覆物質に存在する任意の水溶性材料は、細孔形成剤として作用し得る。細孔形成剤は、カリウム塩、例えば、塩化カリウム、ナトリウム塩、例えば、塩化ナトリウム、カルシウム塩、マグネシウム塩、アミノ酸、弱酸、炭水化物、例えば、スクロース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース(無水、一水和物、噴霧乾燥)、アミノおよび/または酸官能基を含むポリマーまたはポリビニルピロリドンの選択された形態であってよい。例として、アスパラギン、グルタミン、ロイシン、ネロロイシン、メグルミン、イソロイシン、クエン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムがある。
【0068】
被覆に使用される可塑剤は、例えば、アセチル化モノグリセリド、ブチルフタリルブチルグリコラート、酒石酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、エチルフタリルエチルグリコラート、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸塩、トリプロピオイン(tripropioin)、ジアセチン、フタル酸ジブチル、アセチルモノグリセリド、ポリエチレングリコール、ヒマシ油、クエン酸トリエチル、多価アルコール、グリセロール、酢酸エステル、三酢酸グリセロール、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ブチルオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ブチルオクチル、アゼライン酸ジオクチル、エポキシ化タラート、トリメリット酸トリイソオクチル、フタル酸ジエチルヘキシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−i−オクチル、フタル酸ジ−i−デシル、フタル酸ジ−n−ウンデシル、フタル酸ジ−n−トリデシル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチルを含む。
【0069】
被覆に使用される潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムもしくはステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、鉱物油、フマル酸ステアリルナトリウム、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、硬化植物油、硬化ヒマシ油、タルク、硬化大豆油、ステアリルアルコール、ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウム、エチレンオキシドポリマー、ポロキサマー、オクチルドデカノール、フマル酸ステアリルナトリウムおよびコロイド状シリカを含む。
【0070】
本明細書において使用される場合、用語「生物学的同等性」は、同じ有効成分を含有する2種以上の薬学的組成物を互いに比較する科学的根拠を指す。「生物学的同等性」は、薬学的等価物または薬学的代替物の活性剤が適切に計画された試験において投与されたときに作用部位で利用可能となる速度および範囲に大きな差がないことを意味する。生物学的同等性は、2つの組成物の薬物動態学的パラメータを比較するインビボ試験により決定することができる。生物学的同等性試験において多くの場合使用されるパラメータは、Tmax(最高薬物濃度(Cmax)となる時間)、Cmax(観察された最高血漿薬物濃度)、AUC0−t(所与の時間にわたる薬物の総血漿暴露量)である。本文脈において、2つの組成物の実質的な生物学的同等性を、AUC(0−24)およびCmaxにおいて、0.80〜1.25の90%信頼間隔(Cl)で確立した。
【0071】
さらに別の実施形態は、ドロネダロンの多成分組成物であって、a)ドロネダロンおよび薬学的に許容され得る賦形剤を含む事前放出成分であって、事前放出成分が多成分組成物におけるドロネダロンの総量に対して約20重量%〜約60重量%のドロネダロンを含む、成分、b)放出制御ポリマーを含む放出型制御成分、c)成分a)およびb)の間の放出制御ポリマーを含み、ドロネダロンの2つの即時放出錠剤に等しい所与の時間にわたりドロネダロンの血漿暴露を示す任意選択の成分を含む、多成分組成物を開示する。
【0072】
さらに別の実施形態は、事前放出成分および放出制御成分を含み、事前放出成分が多成分組成物におけるドロネダロンの総量に対して約20重量〜約60重量%ドのロネダロンを含み、ドロネダロンの2つの即時放出錠剤に等しい所与の時間にわたりドロネダロンの血漿暴露を示す、ドロネダロンの多成分組成物を開示する。
【0073】
さらに別の実施形態は、a)ドロネダロンおよび放出制御ポリマーを含む少なくとも1種の放出制御成分、b)ドロネダロンを含まないことを特徴とする、放出制御ポリマーを含む少なくとも1種の成分で、c)成分a)およびb)上に被覆され、ドロネダロンを含み、ドロネダロンの2つの即時放出錠剤に等しい所与の時間にわたりドロネダロンの血漿暴露を示す、任意選択の事前放出成分を含む、ドロネダロンの多成分組成物を開示する。
【0074】
多成分組成物を、当技術分野において公知の種々の方法により、例えば、乾式造粒法、スラッギング法、ローラー圧縮法、湿式造粒法(水性/非水性溶剤を使用)、溶融造粒法、固体分散法、直接打錠法、二重打錠法、押出し球形法、積層法、高速せん断混合物造粒法、流動層造粒法、噴霧乾燥法、水蒸気による造粒法、水分活性化乾式造粒法、水分造粒法、熱粘着式造粒法、発砲造粒法などにより製造し得る。スラッギング法またはローラー圧縮法を使用して、混和物をコプリメートに圧縮することができる。従来の粉砕方法に従い、顆粒を粉砕することができる。
【0075】
組成物を製造するために使用し得る溶剤は、水性、非水性またはそれらの組み合わせであってよい。
【0076】
被覆作業を標準的な装置、例えば、流動層塗布機、ウルスター塗布機または回転層塗布機において行うことができる。放出制御被覆物は、水性、非水性またはその2つの組み合わせであってよい。
【0077】
本発明は、本明細書に記載の具体的な実施形態により範囲を限定されない。実際には、本明細書に記載のものに加え、本発明の種々の変更は、上記の説明より当業者であれば明らかであるだろう。このような変更は、添付の特許請求の範囲にあることが企図される。
【実施例】
【0078】
実施例1
【表1】
【0079】
簡略な製造方法
放出制御成分
1.秤量のドロネダロン塩酸塩とコポビドン、トウモロコシデンプン、クロスポビドン、ラクトース一水和物、HMPC E4M CRおよびHMPC K100 LVCRをステンレス鋼シーブ30に篩過させる。
2.第一リン酸カリウムをステンレス鋼シーブ100に篩過させる。
3.工程1および工程2の混和物を急速撹拌造粒機に入れ、5分間乾燥混合させる。
4.工程3の混和物を、十分な量のジクロロメタンを使用し、適切な造粒パラメータを用いて造粒する。
5.工程4の湿式顆粒を箱型乾燥機で、60℃の入口温度にてそのLODが達するまで乾燥させる。
6.工程5の乾燥顆粒をステンレス鋼シーブ20に篩過させる。
7.ラクトース一水和物、クロスポビドン、およびコロイド状二酸化ケイ素の顆粒外量をステンレス鋼シーブ40に篩過させ、工程6の顆粒と十分に混合させる。
8.工程7の混和物をステアリン酸マグネシウムで潤滑させ(ステンレス鋼シーブ40に篩過させる)、3分間混合させる。
【0080】
事前放出成分
9.秤量のドロネダロン塩酸塩、コポビドン、トウモロコシデンプン、クロスポビドンおよびラクトース一水和物(ファーマトース200M)をステンレス鋼シーブ30に篩過させる。
10.工程9の混和物を急速撹拌造粒機に入れ、5分間乾燥混合させる。
11.工程10の混和物を十分な量のジクロロメタンを使用し、適切な造粒パラメータを用いて造粒する。
12.工程11の湿式顆粒をステンレス鋼シーブ12に篩過させ、箱型乾燥機で、60℃の入口温度にてそのLODが、105℃で恒量まで、1.5〜2.5重量%に達するまで乾燥させる。
13.工程12の乾燥顆粒をステンレス鋼シーブ20に篩過させる。
14.クロスポビドン、ラクトース一水和物(DCL−11)およびコロイド状二酸化ケイ素の顆粒外量をステンレス鋼シーブ40に篩過させ、工程13の顆粒と十分に混合させる。
15.工程14の混和物をステアリン酸マグネシウムで潤滑させ(ステンレス鋼シーブ40に篩過させる)、3分間混合させる。
16.工程8および工程15の混和物を、17.00×12.00mmの長円形状のパンチを使用し、適切な物理学的パラメータを用いて二層錠剤に圧縮する。
【0081】
実施例2

【表2】
【0082】
簡略な製造方法
放出制御成分
1.秤量のドロネダロン塩酸塩、コポビドン、クロスポビドン、およびHMPC K100 LVCRをステンレス鋼シーブ30に篩過させる。
2.第一リン酸カリウムをステンレス鋼シーブ100に篩過させる。
3.工程1および工程2の混和物を急速撹拌造粒機に入れ、5分間乾燥混合させる。
4.工程3の混和物を十分な量のジクロロメタンを使用し、適切な造粒パラメータを用いて造粒する。
5.工程4の湿式顆粒を箱型乾燥機で、60℃の入口温度にてそのLODが達するまで乾燥させる。
6.工程5の乾燥顆粒をステンレス鋼シーブ20に篩過させる。
7.ポリエチレンオキシド、HPMC K100M CR、クロスポビドンおよびコロイド状二酸化ケイ素の顆粒外量をステンレス鋼シーブ40に篩過させ、工程6の顆粒と十分に混合させる。
8.工程7の混和物をステアリン酸マグネシウムで潤滑させ(ステンレス鋼シーブ40に篩過させ)、3分間混合させる。
9.工程8の潤滑させた混和物を、11.50mmの丸型パンチを使用し、適切な物理学的パラメータを用いて錠剤に圧縮する。
10.秤量のエチルセルロース、HPMCおよびクエン酸トリエチルをIPAとジクロロメタンの混合物(50:50)に溶解させ、45分間撹拌させる。
11.工程9の圧縮させた錠剤を工程10で調製した分散液で被覆する。
【0083】
事前放出成分
12.秤量のドロネダロン塩酸塩、コポビドン、トウモロコシデンプン、クロスポビドンおよびラクトース一水和物(ファーマトース200M)をステンレス鋼シーブ30に篩過させる。
13.工程12の混和物を急速撹拌造粒機に入れ、5分間乾燥混合させる。
14.工程13の混和物を十分な量のジクロロメタンを使用し、適切な造粒パラメータを用いて造粒する。
15.工程14の湿式顆粒をステンレス鋼シーブ12に篩過させ、箱型乾燥機で、60℃の入口温度にてそのLODが、60℃で恒量まで、1.5〜2.5重量%に達するまで乾燥させる。
16.工程15の乾燥顆粒をステンレス鋼シーブ20に篩過させる。
17.クロスポビドン、ラクトース一水和物(DCL−11)およびコロイド状二酸化ケイ素の顆粒外量をステンレス鋼シーブ40に篩過させ、工程16の顆粒と十分に混合させる。
18.工程17の混和物をステアリン酸マグネシウムで潤滑させ(ステンレス鋼シーブ40に篩過させ)、3分間混合させる。
19.工程11および工程17の混和物を、17.00×12.00mmの長円形状のパンチを使用し、適切な物理学的パラメータを用いて二層錠剤に圧縮する。
【0084】
実施例3

【表3】
【0085】
簡略な製造方法
放出制御成分
1.秤量のドロネダロン塩酸塩、コポビドン、クロスポビドン、およびHMPC K100 LVCRをステンレス鋼シーブ30に篩過させる。
2.第一リン酸カリウムをステンレス鋼シーブ100に篩過させる。
3.工程1および工程2の混和物を急速撹拌造粒機に入れ、5分間乾燥混合させる。
4.工程3の混和物を十分な量のジクロロメタンを使用し、適切な造粒パラメータを用いて造粒する。
5.工程4の湿式顆粒を箱型乾燥機で、60℃の入口温度にてそのLODが達するまで乾燥させる。
6.工程5の乾燥顆粒をステンレス鋼シーブ20に篩過させる。
7.ポリエチレンオキシド、HPMC K100M CR、クロスポビドンおよびコロイド状二酸化ケイ素の顆粒外量をステンレス鋼シーブ40に篩過させ、工程6の顆粒と十分に混合させる。
8.工程7の混和物をステアリン酸マグネシウムで潤滑させ(ステンレス鋼シーブ40に篩過させ)、3分間混合させる。
【0086】
ドロネダロン非含有成分
9.秤量のHPMCK100MCR、ポリオックスWSR303、ラクトース一水和物、およびコロイド状二酸化ケイ素をステンレス鋼シーブ40に篩過させる。
10.工程9の混和物をステアリン酸マグネシウムで潤滑させ(ステンレス鋼シーブ40に篩過させ)、3分間混合させる。
11.工程8および工程10の潤滑させた混和物を、11.50mmの長円形状のパンチを使用し、適切な物理学的パラメータを用いて二層錠剤に圧縮する。
【0087】
事前放出成分
12.秤量のドロネダロン塩酸塩、コポビドン、トウモロコシデンプン、クロスポビドンおよびラクトース一水和物(ファーマトース200M)をステンレス鋼シーブ30に篩過させる。
13.工程12の混和物を急速撹拌造粒機に入れ、5分間乾燥混合させる。
14.工程13の混和物を十分な量のジクロロメタンを使用し、適切な造粒パラメータを用いて造粒する。
15.工程14の湿式顆粒をステンレス鋼シーブ12に篩過させ、箱型乾燥機で、60℃の入口温度にてそのLODが、60℃で恒量まで、1.5〜2.5重量%に達するまで乾燥させる。
16.工程15の乾燥顆粒をステンレス鋼シーブ20に篩過させる。
17.クロスポビドン、ラクトース一水和物(DCL−11)およびコロイド状二酸化ケイ素の顆粒外量をステンレス鋼シーブ40に篩過させ、工程16の顆粒と十分に混合させる。
18.工程17の混和物をステアリン酸マグネシウムで潤滑させ(ステンレス鋼シーブ40に篩過させ)、3分間混合させる。
19.工程11および工程17の混和物を、17.00×12.00mmの長円形状のパンチを使用し、適切な物理学的パラメータを用いて二層錠剤に圧縮する。
【0088】
溶解特性
1000mlのリン酸緩衝液、pH4.5、37℃にて100rpmのUSPバスケット法において、実施例1、2、および3の放出制御処方物を溶解させた。
【0089】
表4に各実施例の薬物放出特性を示す。
【表4】
【0090】
薬物動態試験の概要
実施例1、2、および3において調製されたドロネダロンの多成分組成物と、Multaq(登録商標)400mgの即時放出錠剤のバイオアベイラビリティの比較が、標準的な摂食状態下の健常な成人男性ボランティア8例において行われた。
【0091】
摂食状態下での薬物動態試験の結果は、以下の表5〜7に示す通りである。
【0092】
表5は、摂食状態下における実施例1で調製したドロネダロンの多成分組成物と1日2回(BID)のMultaq(登録商標)400mgの即時放出錠剤の薬物動態試験の結果を示す。
【表5】
【0093】
実施例1は、相対的バイオアベイラビリティが85%であり、Multaqの初回投与のCmaxを十分に包含し、CmaxのT/Rは最も高いIRピークに対して82%であり、長時間使用におけるこの放出制御組成物の良好な忍容性を示すことがわかった。
【0094】
表6は、摂食状態下における実施例2で調製したドロネダロンの多成分組成物と1日2回(BID)のMultaq(登録商標)400mgの即時放出錠剤の薬物動態試験の結果を示す。
【表6】
【0095】
実施例2は、相対的バイオアベイラビリティが約85%であり、これはIRの初回投与のCmaxを十分に包含し、CmaxのT/Rは最も高いIRピークに対して73.8%であり、長時間使用におけるこのCR処方物の良好な忍容性を示すことがわかった。
【0096】
表7は、摂食状態下における実施例3で調製したドロネダロンの多成分組成物と1日2回(BID)のMultaq(登録商標)400mgの即時放出錠剤の薬物動態試験の結果を示す。
【表7】
【0097】
実施例3の場合の相対的バイオアベイラビリティは約100%である。作用の開始または初期吸収特性(0〜4時間)は、IRの初回投与のものと一致する。CmaxのT/Rは86.9%であり、頻度の少ない投与の利点に加えてIR特性と比較すると、ピーク曝露関連の副作用の傾向が少ないことを示す。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】